JPWO2020250550A1 - 合成繊維用処理剤及び合成繊維 - Google Patents

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Abstract

本発明は、炭素数1〜16であるジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも一つを含むA成分、並びに分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10モル超且つ100モル以下の割合で付加させた化合物、及び分子中に芳香環を有する1価カルボン酸1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10モル超且つ100モル以下の割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つを含むB成分、から形成されたジエステル化合物を含むことを特徴とする合成繊維(炭素繊維を除く)用処理剤である。

Description

本発明は、合成繊維に対して優れた初期親水耐久性を付与し、水系媒体に分散させた際に優れた乳化安定性が得られる合成繊維用処理剤、及びかかる合成繊維用処理剤が付着している合成繊維に関する。
例えば紙おむつ等の衛生製品として、体液を吸収するために高吸収性高分子の表面を合成繊維で被覆した製品が知られている。高吸収性高分子の表面を被覆する合成繊維には、例えば繰り返し体液をすばやく吸収する初期親水耐久性等の優れた吸収特性が要求される。そのため、特に疎水性の合成繊維に対しては、上記特性を付与するために合成繊維用処理剤が用いられることがある。また、合成繊維用処理剤には、水系媒体に分散させた乳化物の形態で用いられる場合、乳化安定性も必要になる。
従来、例えば特許文献1〜3に開示される合成繊維用処理剤が知られている。
特許文献1は、1価脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド1〜100モルの付加物と2価カルボン酸とのエステル化合物を含有する透水性付与剤について開示する。
特許文献2は、多環フェノール等のエチレンオキサイド10モル以下の付加物とジカルボン酸とのエステル化合物を含有する繊維用薬剤について開示する。
特許文献3は、所定の割合からなる芳香族ジカルボン酸等の構成単位Aと、エチレングリコール等の構成単位Bと、ポリオキシエチレン多環芳香族エーテル等の構成単位Cとから構成されたポリエーテルエステル化合物を含有するポリエステル系繊維の処理剤について開示する。
国際公開第2011−004713号 特開2003−155666号公報 特開2016−75002号公報
しかし、従来の処理剤では、水系媒体に分散させた際の乳化安定性と、処理剤を用いて親水化処理された合成繊維に求められる初期親水耐久性という2つの性能の両立を十分に図ることができなかった。
本発明が解決しようとする課題は、合成繊維に対して優れた初期親水耐久性を付与し、水系媒体に分散させた際に優れた乳化安定性が得られる合成繊維用処理剤を提供することにある。また、本発明が解決しようとする別の課題は、優れた初期親水耐久性を有する合成繊維を提供することにある。
しかして本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、下記のA成分及び下記のB成分から形成されたジエステル化合物を含む合成繊維用処理剤がまさしく好適であることを見出した。
上記課題を解決するために本発明の一態様の合成繊維(ただし炭素繊維を除く)用処理剤では、炭素数1〜16であるジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも一つを含むA成分と、分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10モル超且つ100モル以下の割合で付加させた化合物、及び分子中に芳香環を有する1価カルボン酸1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10モル超且つ100モル以下の割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つを含むB成分とから形成されたジエステル化合物を含むことを特徴とする。
前記合成繊維用処理剤において、前記A成分は、炭素数1〜16の不飽和脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、及びこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。
前記合成繊維用処理剤において、前記B成分は、分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10モル超且つ50モル以下の割合で付加させた化合物、及び分子中に芳香環を有する1価カルボン酸1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10モル超且つ50モル以下の割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。
前記合成繊維用処理剤において、前記B成分は、分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを15モル以上且つ25モル以下の割合で付加させた化合物、及び分子中に芳香環を有する1価カルボン酸1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを15モル以上且つ25モル以下の割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。
前記合成繊維用処理剤において、前記B成分を形成することとなる前記分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物は、分子中に2以上の芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物であることが好ましい。
前記合成繊維用処理剤は、更にアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、平滑剤、脂肪族アルコール、及びポリエーテル変性シリコーンから選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。
本発明の別の態様の合成繊維は、前記合成繊維用処理剤が付着していることを特徴とする。
前記合成繊維は、疎水性のものであることが好ましい。
前記合成繊維は、ポリエステルであることが好ましい。
本発明によれば、合成繊維に対して優れた初期親水耐久性を付与し、水系媒体に分散させた際に優れた乳化安定性が得られる。
(第1実施形態)
以下、本発明の合成繊維用処理剤(以下、単に処理剤という)を具体化した第1実施形態について説明する。本実施形態の処理剤は、下記のA成分と下記のB成分とがエステル化反応又はエステル交換反応により結合したジエステル化合物を含有する。ジエステル化合物は、1種のジエステル化合物を単独で使用してもよく、2種以上のジエステル化合物を組み合わせて使用してもよい。
上記ジエステル化合物に供されるA成分は、炭素数1〜16であるジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも一つを含む成分である。かかるジカルボン酸及びジカルボン酸のエステル形成性誘導体の具体例としては、例えばクエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸等の脂肪族ジカルボン酸及びこれらの無水物、シュウ酸ジメチル、マロン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ビス(2−エチルヘキシル)等の脂肪族ジカルボン酸のエステル形成誘導体、フタル酸(o−フタル酸)、テレフタル酸(p−フタル酸)、イソフタル酸(m−フタル酸)、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの無水物、フタル酸ジブチル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジオクチル、テレフタル酸ジプロピル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、5−スルホイソフタル酸−1,3−ジメチル等の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体等が挙げられる。これらの中でもフマル酸、マレイン酸等の不飽和脂肪酸ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、及びそれらのエステル形成性誘導体が好ましい。これらの化合物を使用した処理剤を用いることにより、合成繊維の耐久親水性、特に初期親水耐久性が向上する。なお、耐久親水性とは、所定の目的で使用される合成繊維に要求される親水性をどれだけ長く持続できるかを示す性能のことであり、特に、合成繊維が有する初期親水性をどれだけ長く持続できるかを示す性能のことを初期親水耐久性という。
上記ジエステル化合物に供されるB成分は、分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10モル超且つ100モル以下の割合で付加させた化合物、及び分子中に芳香環を有する1価カルボン酸1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10モル超且つ100モル以下の割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つを含む。
B成分を構成する分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物は、分子中に1つの芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物であってもよく、2つ以上の芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物であってもよい。これらの中で、合成繊維の耐久親水性、特に初期親水耐久性を向上させる効果に優れることから、2つ以上の芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物が好ましい。1つの芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物の具体例としては、例えばフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、トリデシルフェノール等の1つの芳香環を有する1価芳香族アルコール等が挙げられる。
2つ以上の芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物の具体例としては、例えばトリスチレン化フェノール、トリ(α−エチルベンジル)フェノール、トリ(α−プロピルベンジル)フェノール、トリ(α−ブチルベンジル)フェノール、ジスチレン化フェノール、ジ(α−エチルベンジル)フェノール、ジ(α−プロピルベンジル)フェノール、ジ(α−ブチルベンジル)フェノール、モノスチレン化フェノール、モノ(α−エチルベンジル)フェノール、モノ(α−プロピルベンジル)フェノール、モノ(α−ブチルベンジル)フェノール、トリベンジルフェノール、ジベンジルフェノール、モノベンジルフェノール等が挙げられる。
B成分を構成する分子中に芳香環を有する1価カルボン酸としては、分子中に1つの芳香環を有する1価カルボン酸であってもよく、2つ以上の芳香環を有する1価カルボン酸であってもよい。芳香環を有する1価カルボン酸の具体例としては、例えば安息香酸等の1つの芳香環を有する1価芳香族カルボン酸等が挙げられる。
B成分を構成する炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの具体例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。これらの中で本発明の効果をより向上させる観点からエチレンオキサイドが好ましい。また、アルキレンオキサイドは、ランダム付加体として構成されても、ブロック付加体として構成されてもよい。
分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物1モルに対する炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの付加モル数、又は分子中に芳香環を有する1価カルボン酸1モルに対するアルキレンオキサイドの付加モル数の下限は、10モルを超え、好ましくは15モル以上である。10モルを超える範囲に規定することにより、合成繊維に付与することのできる親水特性、特に初期親水耐久性及び初期親水性が向上する。また、処理剤の乳化安定性、特に高温での乳化安定性が向上する。また、ジエステル化合物の流動性が向上する結果として、処理剤のハンドリング性がより向上する。
上記付加モル数の上限は、100モル以下、好ましくは50モル以下、より好ましくは25モル以下である。100モル以下に規定することにより、ジエステル化合物の流動性が向上する結果として、処理剤のハンドリング性がより向上する。また、合成繊維に付与することのできる耐久親水性も向上する。なお、アルキレンオキサイドの付加モル数は平均付加モル数を示す。
B成分の具体例としては、例えばポリオキシエチレン(アルキレンオキサイドの付加モル数(以下同じ)が10.5〜50モル)トリスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)ポリオキシプロピレン(10.5〜30モル)トリスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)トリ(α−エチルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)トリ(α−プロピルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)トリ(α−ブチルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)ジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)ジ(α−エチルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)ジ(α−プロピルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)ジ(α−ブチルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)モノスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)モノ(α−エチルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)モノ(α−プロピルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)モノ(α−ブチルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)トリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)ジベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)モノベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)ポリオキシプロピレン(10.5〜30モル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)t−ブチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)安息香酸エステル等が挙げられる。
本実施形態の処理剤が適用される合成繊維は、炭素繊維以外の合成繊維である。炭素繊維以外の合成繊維であれば、特に限定されないが、合成樹脂の表面に親水性を付与するという効果を発揮する観点からすると、疎水性の合成繊維であることが好ましい。
疎水性の合成繊維の例としては、例えばポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維等が挙げられる。これらの繊維は、2種以上から成る複合合成繊維であってもよい。ポリエステル系繊維の具体例としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、これらポリエステル系樹脂を含有して成る複合ポリエステル系繊維等が挙げられる。さらにポリエステル系繊維としては、塩基性又は酸性可染性ポリエステル繊維、帯電防止性ポリエステル繊維、難燃性ポリエステル繊維等の改質ポリエステル繊維等が適用されてもよい。ポリオレフィン系繊維の具体例としては、例えばポリエチレン繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリブテン系繊維が挙げられる。さらにポリプロピレン系繊維としては、種々の単量体を共重合した改質ポリプロピレン繊維、ポリエチレンとポリプロピレンとの複合ポリプロピレン繊維等が適用されてもよい。
本実施形態の処理剤は、短繊維及び長繊維のいずれにも適用することができるが、短繊維に適用されることが好ましい。短繊維は、一般にステープルと呼ばれるものが該当し、一般にフィラメントと呼ばれる長繊維を含まないものとする。また、本実施形態における短繊維の長さは、本技術分野において短繊維に該当するものであれば特に限定されないが、例えば100mm以下であることが好ましい。
本実施形態の処理剤は、以上説明したようなジエステル化合物を含有してなるものであるが、更にアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、平滑剤、脂肪族アルコール、及びポリエーテル変性シリコーンから選ばれる少なくとも一つを含むものが好ましい。これらの成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの成分は、上記ジエステル化合物の特性を阻害することなく、各成分に応じた特性、例えば合成繊維の製糸工程、延伸工程、又は紡糸工程において摩擦を低減させ、糸切れ等の繊維の損傷を防止する特性を付与する。
本実施形態の処理剤に供されるアニオン界面活性剤としては、公知のアニオン界面活性剤を適宜採用することができる。アニオン界面活性剤の具体例としては、例えば(1)ラウリルリン酸エステル塩、セチルリン酸エステル塩、オクチルリン酸エステル塩、オレイルリン酸エステル塩、ステアリルリン酸エステル塩等の脂肪族アルコールのリン酸エステル塩、(2)ポリオキシエチレン(5モル)ラウリルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレン(5モル)オレイルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレン(10モル)ステアリルエーテルリン酸エステル塩等の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキサイドを付加したもののリン酸エステル塩、(3)ラウリルスルホン酸エステル塩、ミリスチルスルホン酸エステル塩、セチルスルホン酸エステル塩、オレイルスルホン酸エステル塩、ステアリルスルホン酸エステル塩、テトラデカンスルホン酸塩、C14〜16アルキルスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等の脂肪族アルコール又は芳香族アルコールのスルホン酸エステル塩、(4)ラウリル硫酸エステル塩、オレイル硫酸エステル塩、ステアリル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩、(5)ポリオキシエチレン(3モル)ラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン(5モル)ラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン3モル、ポリオキシプロピレン3モル)ラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン(3モル)オレイルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン(5モル)オレイルエーテル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキサイドを付加したものの硫酸エステル塩、(6)ひまし油脂肪酸硫酸エステル塩、ごま油脂肪酸硫酸エステル塩、トール油脂肪酸硫酸エステル塩、大豆油脂肪酸硫酸エステル塩、なたね油脂肪酸硫酸エステル塩、パーム油脂肪酸硫酸エステル塩、豚脂脂肪酸硫酸エステル塩、牛脂脂肪酸硫酸エステル塩、鯨油脂肪酸硫酸エステル塩等の脂肪酸の硫酸エステル塩、(7)ひまし油の硫酸エステル塩、ごま油の硫酸エステル塩、トール油の硫酸エステル塩、大豆油の硫酸エステル塩、菜種油の硫酸エステル塩、パーム油の硫酸エステル塩、豚脂の硫酸エステル塩、牛脂の硫酸エステル塩、鯨油の硫酸エステル塩等の油脂の硫酸エステル塩、(8)ラウリン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩等の脂肪酸塩、(9)ジオクチルスルホコハク酸塩等の脂肪族アルコールのスルホコハク酸エステル塩等が挙げられる。アニオン界面活性剤の対イオンとしては、例えばカリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
本実施形態の処理剤に供されるカチオン界面活性剤としては、公知のカチオン界面活性剤を適宜採用することができる。カチオン界面活性剤の具体例としては、例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
本実施形態の処理剤に供される非イオン界面活性剤としては、公知の非イオン界面活性剤を適宜採用することができる。非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば(1)有機酸、有機アルコール、有機アミン及び/又は有機アミドに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、例えばポリオキシエチレンジラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリン酸エステルメチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイン酸ジエステル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテルメチルエーテル、ポリオキシブチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンノニルエーテル、ポリオキシプロピレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンラウロアミドエーテル、ポリオキシエチレントリスチレン化フェニルエーテル等のエーテル型ノニオン界面活性剤、(2)ソルビタントリオレアート、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノステアレート、グリセリンモノラウレラート等の多価アルコール部分エステル型ノニオン界面活性剤、(3)ポリオキシアルキレンソルビタントリオレアート、ポリオキシアルキレンヤシ油、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油トリオクタノアート、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油のマレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、又はオレイン酸エステル等のポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤、(4)ジエタノールアミンモノラウロアミド等のアルキルアミド型ノニオン界面活性剤、(5)ポリオキシエチレンジエタノールアミンモノオレイルアミド、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレン牛脂アミン等のポリオキシアルキレン脂肪酸アミド型ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
本実施形態の処理剤に供する平滑剤としては、上述したジエステル化合物以外の公知の平滑剤を適宜採用することができる。平滑剤の具体例としては、例えば(1)ブチルステアラート、オクチルステアラート、オレイルラウラート、オレイルオレアート、イソペンタコサニルイソステアラート、オクチルパルミテート、イソトリデシルステアレート等の、脂肪族モノアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、脂肪族モノアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)オキシアルキレン付加物と脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、(2)1,6−ヘキサンジオールジデカノエートトリメチロールプロパンモノオレートモノラウレート、ソルビタントリトレアート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、グリセリンモノラウレラート等の、脂肪族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸との完全エステル化合物、脂肪族多価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)オキシアルキレン付加物と脂肪族モノカルボン酸との完全エステル化合物、(3)ジラウリルアジペート、ジオレイルアゼレート、ジイソセチルチオジプロピオナート、ビスポリオキシエチレンラウリルアジパート等の、脂肪族モノアルコールと脂肪族多価カルボン酸との完全エステル化合物、脂肪族モノアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)オキシアルキレン付加物と脂肪族多価カルボン酸との完全エステル化合物、(4)ベンジルオレアート、ベンジルラウラート及びポリオキシプロピレンベンジルステアラート等の、芳香族モノアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、芳香族モノアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)オキシアルキレン付加物と脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、(5)ビスフェノールAジラウラート、ポリオキシエチレンビスフェノールAジラウラート等の、芳香族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸との完全エステル化合物、芳香族多価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)オキシアルキレン付加物と脂肪族モノカルボン酸との完全エステル化合物、(6)ビス2−エチルヘキシルフタラート、ジイソステアリルイソフタレート、トリオクチルトリメリテート等の、脂肪族モノアルコールと芳香族多価カルボン酸との完全エステル化合物、脂肪族モノアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)オキシアルキレン付加物と芳香族多価カルボン酸との完全エステル化合物、(7)ヤシ油、パーム油、ナタネ油、ヒマワリ油、大豆油、ヒマシ油、ゴマ油、魚油、牛脂等の天然油脂等、(8)鉱物油等、処理剤に採用されている公知の平滑剤挙げられる。
本実施形態の処理剤に供する脂肪族アルコールとしては、公知の脂肪族アルコールを適宜採用することができる。脂肪族アルコールの具体例としては、例えば(1)メチルアルコール、ブチルアルコール、オクチルアルコール、ノナノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セリルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソヘキサデシルアルコール、イソステアリルアルコール、イソテトラコサニルアルコール、2−プロピルアルコール、12−エイコシルアルコール、ビニルアルコール、ブテニルアルコール、ヘキサデセニルアルコール、オレイルアルコール、エイコセニルアルコール、2−メチル−2−プロピレン−1−オール、6−エチル−2−ウンデセン−1−オール、2−オクテン−5−オール、15−ヘキサデセン−2−オール等の炭素数1〜40の1価の脂肪族アルコール、(2)フェノール、プロピルフェノール、オクチルフェノール、トリデシルフェノール等の1価の芳香族アルコール、(3)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット等の2〜4価の脂肪族アルコール等が挙げられる。
本実施形態の処理剤に供するポリエーテル変性シリコーンとしては、公知のポリエーテル変性シリコーンを適宜採用することができ、構成としては、特に制限はなく、例えば、ABn型ポリエーテル変性シリコーン、側鎖型ポリエーテル変性シリコーン、両末端型ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル基とアルキル基の両方が側鎖又は末端に導入されたアルキルポリエーテル変性シリコーン、側鎖型ポリエーテル変性シリコーンのポリエーテル鎖末端部分が脂肪族化合物又は脂肪酸化合物で封鎖されたもの、両末端型ポリエーテル変性シリコーンのポリエーテル鎖末端部分が脂肪族化合物又は脂肪酸化合物で封鎖されたもの等が挙げられる。本実施形態の処理剤に供するポリエーテル変性シリコーンは、例えば以下の構造を有することが好ましい。
Figure 2020250550
化1において、
Xは、下記の化2で示される有機基を示し、
Yは、下記の化3で示される有機基を示し、
X,Yの繰り返しは、それぞれブロック又はランダムのいずれの方法で繰り返されてもよく、
a,bは、それぞれ1以上の整数を示す。
Figure 2020250550
化2において、
は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基を示す。
Figure 2020250550
化3において、
は、炭素数3〜6のアルキレン基を示し、
は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数2〜8のアシル基を示し、
c,dは、c+d=1〜200となるような整数(ただし、c≧0、d≧0。)を示す。
本実施形態の処理剤は、必要により分散媒として水を含んでいてもよい。
(第2実施形態)
本発明に係る合成繊維を具体化した第2実施形態について説明する。本実施形態の合成繊維は、第1実施形態の処理剤が付着している合成繊維である。合成繊維の種類としては、第1実施形態の説明の中で挙げたのと同じ炭素繊維以外の合成繊維が適用される。
第1実施形態の処理剤(溶媒を含まない)を合成繊維に付着させる割合に特に制限はないが、処理剤を合成繊維に対し0.1〜3質量%の割合となるよう付着させることが好ましい。また、処理剤を付着させる方法は、例えばローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法、浸漬給油法、スプレー給油法等の公知の方法を採用することができる。処理剤を合成繊維に付着させる際の処理剤の形態は、例えば水性液であってもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲内において有機溶媒が処理剤に少量含まれてもよい。
また、処理剤をどの工程で繊維に付着させるかは特に限定されず、例えば合成繊維の製糸工程、延伸工程、紡糸工程の他、不織布を製造する際の抄紙工程等において付着させてもよい。
本実施形態の処理剤及び合成繊維の作用及び効果について説明する。
(1)本実施形態の処理剤では、合成繊維に対して優れた親水特性を付与することができる。特に疎水性の合成繊維に対して優れた耐久親水性、特に初期親水耐久性、及び初期親水性を付与することができる。
(2)また、処理剤を水系媒体に分散させた際に優れた乳化安定性が得られる。特に25℃の常温での乳化安定性、及び80℃等の高温での乳化安定性に優れる。そのため、合成繊維の製糸工程、延伸工程、紡糸工程の他、不織布を製造する際の抄紙工程等において製造特性を向上させることができる。
(3)本実施形態の処理剤に含まれるジエステル化合物は、常温で流動性又は加熱により流動性を有するため、取扱時に溶媒を用いて希釈する必要がなく、ハンドリング性及び輸送性を著しく向上させることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態の処理剤には、本発明の効果を阻害しない範囲内において、処理剤の品質保持のための安定化剤や制電剤として、つなぎ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の処理剤に通常用いられる成分をさらに配合してもよい。
・本実施形態の処理剤は、上記ジエステル化合物を必須成分とすることを特徴とするが、本発明の効果を阻害しない範囲内において、上記A成分と上記B成分との反応工程で生じる、モノエステル等の反応副生物を含むことを妨げるものではない。
以下、本発明の構成及び効果をより具体的に説明するため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例の説明において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
<試験区分1(ジエステル化合物及び処理剤の調製)>
(実施例1)
ジエステル化合物(E−1)の合成
ジカルボン酸である無水フタル酸(1モル)、ポリオキシエチレン(15モル)トリスチレン化フェニルエーテル(2モル)、及び触媒としてp−トルエンスルホン酸(0.1%)を反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、150〜220℃でエステル化を12時間実施した。
(実施例2)
ジエステル化合物(E−2)の合成
ジカルボン酸のエステル形成誘導体であるマレイン酸ジメチル(2モル)、ポリオキシエチレン(18モル)トリスチレン化フェニルエーテル(2モル)、及び触媒としてチタンテトラブトキシド(0.1%)を反応容器に仕込み、10hPa以下の減圧下、150〜220℃で生成するメタノールを留去しながら、エステル交換反応を8時間実施した。
(実施例3〜33、比較例1〜8)
ジエステル化合物(E−3〜E−33、e−1〜e−8)の合成
原料としてジカルボン酸を使用する実施例9,10,13,15〜18,20〜22,24,26,32,33及び比較例2,3,5,7の各ジエステル化合物(E−9,10,13,15〜18,20〜22,24,26,32,33,e−2,3,5,7)は、表1に示される各成分を使用し、実施例1と同様の方法にて調製した。
原料としてジカルボン酸のエステル形成誘導体を使用する上記以外の実施例及び比較例1,4,6の各エステル化合物は、実施例2と同様の方法にて調製した。
比較例8は、特許文献3(特開2016−75002号公報)の実施例1に記載される化合物であり、具体的にはテレフタル酸ジメチルから形成された構成単位A(42.8モル%)、エチレングリコールから形成された構成単位B(28.6モル%)、及びポリオキシエチレン(18モル)トリスチレン化フェニルエーテルから形成された構成単位C(28.6モル%)からなるポリエーテルエステル化合物(e−8)を使用した。
実施例1〜33及び比較例1〜8は、上記各化合物100質量部からなる処理剤として調製した。
Figure 2020250550
表1において
A−1:無水フタル酸
A−2:無水マレイン酸
A−3:マレイン酸
A−4:イソフタル酸(m−フタル酸)
A−5:テレフタル酸(p−フタル酸)
A−6:テレフタル酸ジメチル
A−7:イソフタル酸ジエチル
A−8:テレフタル酸ジプロピル
A−9:フタル酸ジブチル
A−10:イソフタル酸ジオクチル
A−11:テレフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)
A−12:マレイン酸ジメチル
A−13:マレイン酸ジオクチル
A−14:マレイン酸ビス(2−エチルヘキシル)
A−15:2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル
A−16:フタル酸(o−フタル酸)
A−17:シュウ酸
A−18:クエン酸
A−19:コハク酸ジメチル
A−20:アジピン酸
A−21:アジピン酸ジメチル
a−1:安息香酸メチル
a−2:オレイン酸
B−1:ポリオキシエチレン(15モル)トリスチレン化フェニルエーテル
B−2:ポリオキシエチレン(18モル)トリスチレン化フェニルエーテル
B−3:ポリオキシエチレン(20モル)トリスチレン化フェニルエーテル
B−4:ポリオキシエチレン(25モル)モノスチレン化フェニルエーテル
B−5:ポリオキシエチレン(23モル)トリベンジルフェニルエーテル
B−6:ポリオキシエチレン(15モル)ベンジルフェニルエーテル
B−7:ポリオキシエチレン(8モル)ポリオキシプロピレン(8モル)ランダム付加型トリスチレン化フェニルエーテル
B−8:ポリオキシエチレン(10.5モル)トリスチレン化フェニルエーテル
B−9:ポリオキシエチレン(30モル)トリスチレン化フェニルエーテル
B−10:ポリオキシエチレン(40モル)トリスチレン化フェニルエーテル
B−11:ポリオキシエチレン(50モル)トリスチレン化フェニルエーテル
B−12:ポリオキシエチレン(15モル)フェニルエーテル
B−13:ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(5モル)ブロック付加型フェニルエーテル
B−14:ポリオキシエチレン(15モル)安息香酸エステル
B−15:ポリオキシエチレン(18モル)安息香酸エステル
B−16:ポリオキシエチレン(15モル)t−ブチルフェニルエーテル
B−17:ポリオキシエチレン(25モル)t−ブチルフェニルエーテル
b−1:ポリオキシエチレン(7モル)トリスチレン化フェニルエーテル
b−2:ポリオキシエチレン(5モル)トリスチレン化フェニルエーテル
b−3:ポリオキシエチレン(10モル)ステアリルエーテル
b−4:ポリオキシエチレン(7モル)ステアリルエーテル
b−5:ポリオキシエチレン(10モル)C14〜C60アルキルエーテル
※1:25℃乳化性試験及び80℃乳化性試験のどちらの方法でも乳化できなかったため、評価未実施
※2:25℃乳化性試験及び80℃乳化性試験において、25℃及び80℃にてスポイトでの滴下が行えないため、試験未実施
を示す。
(実施例34〜66)
実施例34〜66の処理剤の調製
実施例34〜66は、ジエステル化合物として実施例1〜33の各ジエステル化合物(E−1〜E−33)を使用した。また、その他成分(界面活性剤、平滑剤、脂肪族アルコール、又はポリエーテル変性シリコーン)として下記に示されるC−1〜C−33をそれぞれ使用した。表2に示される各成分を所定の割合で混合することにより、実施例34〜66の処理剤を調製した。
Figure 2020250550
表2において
C−1:ポリオキシエチレン(3モル)ラウリルエ一テル硫酸エステルトリエタノールアミン塩
C−2:ラウリル硫酸ナトリウム
C−3:ラウリルホスフェートカリウム塩
C−4:オクチルホスフェートカリウム塩
C−5:ステアリルホスフェートカリウム塩
C−6:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
C−7:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
C−8:牛脂硫酸エステルナトリウム塩
C−9:C14〜16アルキルスルホン酸ナトリウム
C−10:ポリオキシエチレン(6モル)ラウリルエ一テル
C−11:ポリオキシエチレン(6モル)ラウリルエ一テルのメチルエーテル
C−12:ポリオキシエチレン(2モル)ポリオキシプロピレン(6モル)ラウリルエーテル
C−13:ポリオキシエチレン(6モル)トリスチレン化フェニルエーテル
C−14:ポリオキシエチレン(20モル)硬化ヒマシ油エステル
C−15:ポリオキシエチレン(30モル)ひまし油エステル
C−16:ポリオキシエチレン(20モル)硬化ヒマシ油エステルのマレイン酸及びステアリン酸エステル
C−17:ポリオキシエチレン(25モル)硬化ひまし油エステルのオレイン酸エステル
C−18:ポリオキシエチレン(10モル)ひまし油脂肪酸
C−19:ポリオキシエチレン(10モル)ヤシ油脂肪酸
C−20:ポリオキシエチレン(10モル)ラウリルアミン
C−21:ポリオキシエチレン(15モル)牛脂アミン
C−22:ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノオレエート
C−23:ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノステアレート
C−24:ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタントリオレエート
C−25:ソルビタンモノオレエート
C−26:ソルビタンモノステアレート
C−27:パーム油
C−28:オレイン酸カリウム
C−29:オレイルアルコール
C−30:オクチルアルコール
C−31:2−エチルヘキサノール
C−32:プロピレングリコール
C−33:ポリエーテル変性シリコーン
を示す。
<試験区分2(5%水溶液の調製)>
200mLのビーカーに25℃の水95gを秤量した。これを450rpmで撹拌しつつ、25℃の各実施例及び各比較例記載のエステル化合物を含む処理剤を5g加えた後、5分間撹拌して5%水溶液を調製した。
<試験区分3(短繊維の調製)>
原料繊維(繊度1.3dtex、長さ38mmのポリエチレンテレフタレート短繊維)5gに対して、試験区分2で調製した各例の5%水溶液をさらに水で希釈して調製した0.2%水溶液5gをスプレーを用いて均一に付着させ、80℃の乾燥機で1時間乾燥した。
得られた短繊維試料について、下記に示されるように耐久親水性、初期親水性、初期親水耐久性の評価を行った。
<試験区分4(評価)>
・耐久親水性
(1)試験区分3で得た短繊維試料5gを、「NONWOVENS STANDARD PROCEDURES 2015 EDITION」(EDANA(European Disposables And Nonwovens Association)発行)中のSTANDARD PROCEDURE:NWSP 010.1.R0(15)の5.1項記載のワイヤーバスケットに均一に詰める。
(2)1Lビーカーに1000gの25℃±1℃の水を秤量する。
(3)短繊維試料が入ったワイヤーバスケットを液面25mmの高さから水中へ落とす。
(4)ワイヤーバスケット全体が液面より下へ沈むまでの時間を測定する。
(5)ワイヤーバスケットから短繊維試料を取り出し、水分率が50%になるまで脱水後、80℃で1時間乾燥する。
(6)(2)〜(5)の工程を、ワイヤーバスケットが60秒以内に沈まなくなるまで繰り返す。
下記評価基準に基づく結果を表1,2の「耐久親水性」欄に示した。
・耐久親水性の評価基準
◎(優):60秒以内にワイヤーバスケット全体が水中へ沈む回数が10回以上の場合
○(良):60秒以内にワイヤーバスケット全体が水中へ沈む回数が5回以上且つ10回未満の場合
×(不良):60秒以内にワイヤーバスケット全体が水中へ沈む回数が5回未満の場合
・初期親水性
(1)試験区分3で得た短繊維試料5gを、上記「STANDARD PROCEDURE:NWSP 010.1.R0(15)」の5.1項記載のワイヤーバスケットに均一に詰める。
(2)1Lビーカーに1000gの25℃±1℃の水を秤量する。
(3)短繊維試料が入ったワイヤーバスケットを液面25mmの高さから水中へ落とす。
(4)ワイヤーバスケット全体が液面より下へ沈むまでの時間を測定する。
下記評価基準に基づく結果を表1,2の「初期親水性」欄に示した。
・初期親水性の評価基準
◎(優):5秒以内にワイヤーバスケット全体が水中へ沈む場合
×(不良):ワイヤーバスケット全体が水中へ沈むのに5秒超かかる場合
・初期親水耐久性
(1)試験区分3で得た短繊維試料5gを、上記「STANDARD PROCEDURE:NWSP 010.1.R0(15)」の5.1項記載のワイヤーバスケットに均一に詰める。
(2)1Lビーカーに1000gの25℃±1℃の水を秤量する。
(3)短繊維試料が入ったワイヤーバスケットを液面25mmの高さから水中へ落とす。
(4)ワイヤーバスケット全体が液面より下へ沈むまでの時間を測定する。
(5)ワイヤーバスケットから短繊維試料を取り出し、水分率が50%になるまで脱水後、80℃で1時間乾燥する。
(6)(2)〜(5)の工程を、ワイヤーバスケットが10秒以内に沈まなくなるまで繰り返す。
下記評価基準に基づく結果を表1,2の「初期親水耐久性」欄に示した。
・初期親水耐久性の評価基準
◎(優):10秒以内にワイヤーバスケット全体が水中へ沈む回数が8回以上の場合
○(良):10秒以内にワイヤーバスケット全体が水中へ沈む回数が4回以上且つ8回未満の場合
×(不良):10秒以内にワイヤーバスケット全体が水中へ沈む回数が4回未満の場合
・25℃乳化性
(1)25℃の水95gを200mLビーカーに加え、25℃のウォーターバスで保温しつつ、450rpmで撹拌する。
(2)5gの25℃又は80℃に加温した、各例記載の処理剤をスポイトで滴下する。
(3)滴下後、5分間撹拌を行い、撹拌直後の乳化状態を確認する。
下記評価基準に基づく結果を表1,2の「25℃乳化性」欄に示した。
・25℃乳化性の評価基準
◎(優):均一に分散又は乳化し、浮遊物又は沈殿物が無い場合
×(不良):均一に分散又は乳化しておらず、浮遊物又は沈殿物が残っている場合
・80℃乳化性
(1)80℃の水95gを200mLビーカーに加え、80℃の湯煎で保温しつつ、450rpmで撹拌する。
(2)5gの25℃又は80℃に加温した、各例記載の処理剤をスポイトで滴下する。
(3)滴下後、5分間撹拌を行い、攪拌直後の乳化状態を確認する。
下記評価基準に基づく結果を表1,2の「80℃乳化性」欄に示した。
・80℃乳化性の評価基準
◎(優):均一に分散又は乳化し、浮遊物又は沈殿物が無い場合
×(不良):均一に分散又は乳化しておらず、浮遊物又は沈殿物が残っている場合
・ハンドリング性
(1)25℃又は80℃の各例記載の処理剤20gを100mLビーカーに加える。
(2)10cmの高さでビーカーを持ち、ビーカーの口を90度傾ける。
(3)20秒以内にビーカーから各例の処理剤がビーカーから流出するか確認し、流出した場合は、流動性ありと判断する。
下記評価基準に基づく結果を表1,2の「ハンドリング性」欄に示した。
・ハンドリング性の評価基準
◎(優):25℃及び80℃の両方の条件で、流動性がある場合
○(良):80℃の条件でのみ、流動性がある場合
×(不良):25℃及び80℃の両方の条件において、流動性が無い場合
以上表1,2の結果からも明らかなように、本発明によれば、合成繊維に対して優れた初期親水耐久性等の親水性特性を付与することができる。また、水系媒体に分散させた際に優れた乳化安定性が得られる。また、取扱時の流動性に優れ、ハンドリング性を向上できる。
本発明は、合成繊維に対して優れた初期親水耐久性を付与し、水系媒体に分散させた際に優れた乳化安定性が得られる合成繊維用処理剤、及びかかる合成繊維用処理剤が付着している合成繊維に関する。
例えば紙おむつ等の衛生製品として、体液を吸収するために高吸収性高分子の表面を合成繊維で被覆した製品が知られている。高吸収性高分子の表面を被覆する合成繊維には、例えば繰り返し体液をすばやく吸収する初期親水耐久性等の優れた吸収特性が要求される。そのため、特に疎水性の合成繊維に対しては、上記特性を付与するために合成繊維用処理剤が用いられることがある。また、合成繊維用処理剤には、水系媒体に分散させた乳化物の形態で用いられる場合、乳化安定性も必要になる。
従来、例えば特許文献1〜3に開示される合成繊維用処理剤が知られている。
特許文献1は、1価脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド1〜100モルの付加物と2価カルボン酸とのエステル化合物を含有する透水性付与剤について開示する。
特許文献2は、多環フェノール等のエチレンオキサイド10モル以下の付加物とジカルボン酸とのエステル化合物を含有する繊維用薬剤について開示する。
特許文献3は、所定の割合からなる芳香族ジカルボン酸等の構成単位Aと、エチレングリコール等の構成単位Bと、ポリオキシエチレン多環芳香族エーテル等の構成単位Cとから構成されたポリエーテルエステル化合物を含有するポリエステル系繊維の処理剤について開示する。
国際公開第2011−004713号 特開2003−155666号公報 特開2016−75002号公報
しかし、従来の処理剤では、水系媒体に分散させた際の乳化安定性と、処理剤を用いて親水化処理された合成繊維に求められる初期親水耐久性という2つの性能の両立を十分に図ることができなかった。
本発明が解決しようとする課題は、合成繊維に対して優れた初期親水耐久性を付与し、水系媒体に分散させた際に優れた乳化安定性が得られる合成繊維用処理剤を提供することにある。また、本発明が解決しようとする別の課題は、優れた初期親水耐久性を有する合成繊維を提供することにある。
しかして本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、下記のA成分及び下記のB成分から形成されたジエステル化合物を含む合成繊維用処理剤がまさしく好適であることを見出した。
上記課題を解決するために本発明の一態様の合成繊維(ただし炭素繊維を除く)用処理剤では、炭素数16以下であるジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも一つを含むA成分と、分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10モル超且つ100モル以下の割合で付加させた化合物、及び分子中に芳香環を有する1価カルボン酸1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10モル超且つ100モル以下の割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つを含むB成分とから形成されたジエステル化合物を含むことを特徴とする。
前記合成繊維用処理剤において、前記A成分は、炭素数16以下の不飽和脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、及びこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。
前記合成繊維用処理剤において、前記B成分は、分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10モル超且つ50モル以下の割合で付加させた化合物、及び分子中に芳香環を有する1価カルボン酸1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10モル超且つ50モル以下の割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。
前記合成繊維用処理剤において、前記B成分は、分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを15モル以上且つ25モル以下の割合で付加させた化合物、及び分子中に芳香環を有する1価カルボン酸1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを15モル以上且つ25モル以下の割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。
前記合成繊維用処理剤において、前記B成分を形成することとなる前記分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物は、分子中に2以上の芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物であることが好ましい。
前記合成繊維用処理剤は、更にアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、平滑剤、脂肪族アルコール、及びポリエーテル変性シリコーンから選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。
本発明の別の態様の合成繊維は、前記合成繊維用処理剤が付着していることを特徴とする。
前記合成繊維は、疎水性のものであることが好ましい。
前記合成繊維は、ポリエステルであることが好ましい。
本発明によれば、合成繊維に対して優れた初期親水耐久性を付与し、水系媒体に分散させた際に優れた乳化安定性が得られる。
(第1実施形態)
以下、本発明の合成繊維用処理剤(以下、単に処理剤という)を具体化した第1実施形態について説明する。本実施形態の処理剤は、下記のA成分と下記のB成分とがエステル化反応又はエステル交換反応により結合したジエステル化合物を含有する。ジエステル化合物は、1種のジエステル化合物を単独で使用してもよく、2種以上のジエステル化合物を組み合わせて使用してもよい。
上記ジエステル化合物に供されるA成分は、炭素数16以下であるジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも一つを含む成分である。かかるジカルボン酸及びジカルボン酸のエステル形成性誘導体の具体例としては、例えばクエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸等の脂肪族ジカルボン酸及びこれらの無水物、シュウ酸ジメチル、マロン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ビス(2−エチルヘキシル)等の脂肪族ジカルボン酸のエステル形成誘導体、フタル酸(o−フタル酸)、テレフタル酸(p−フタル酸)、イソフタル酸(m−フタル酸)、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの無水物、フタル酸ジブチル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジオクチル、テレフタル酸ジプロピル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、5−スルホイソフタル酸−1,3−ジメチル等の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体等が挙げられる。これらの中でもフマル酸、マレイン酸等の不飽和脂肪酸ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、及びそれらのエステル形成性誘導体が好ましい。これらの化合物を使用した処理剤を用いることにより、合成繊維の耐久親水性、特に初期親水耐久性が向上する。なお、耐久親水性とは、所定の目的で使用される合成繊維に要求される親水性をどれだけ長く持続できるかを示す性能のことであり、特に、合成繊維が有する初期親水性をどれだけ長く持続できるかを示す性能のことを初期親水耐久性という。
上記ジエステル化合物に供されるB成分は、分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10モル超且つ100モル以下の割合で付加させた化合物、及び分子中に芳香環を有する1価カルボン酸1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10モル超且つ100モル以下の割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つを含む。
B成分を構成する分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物は、分子中に1つの芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物であってもよく、2つ以上の芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物であってもよい。これらの中で、合成繊維の耐久親水性、特に初期親水耐久性を向上させる効果に優れることから、2つ以上の芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物が好ましい。1つの芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物の具体例としては、例えばフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、トリデシルフェノール等の1つの芳香環を有する1価芳香族アルコール等が挙げられる。
2つ以上の芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物の具体例としては、例えばトリスチレン化フェノール、トリ(α−エチルベンジル)フェノール、トリ(α−プロピルベンジル)フェノール、トリ(α−ブチルベンジル)フェノール、ジスチレン化フェノール、ジ(α−エチルベンジル)フェノール、ジ(α−プロピルベンジル)フェノール、ジ(α−ブチルベンジル)フェノール、モノスチレン化フェノール、モノ(α−エチルベンジル)フェノール、モノ(α−プロピルベンジル)フェノール、モノ(α−ブチルベンジル)フェノール、トリベンジルフェノール、ジベンジルフェノール、モノベンジルフェノール等が挙げられる。
B成分を構成する分子中に芳香環を有する1価カルボン酸としては、分子中に1つの芳香環を有する1価カルボン酸であってもよく、2つ以上の芳香環を有する1価カルボン酸であってもよい。芳香環を有する1価カルボン酸の具体例としては、例えば安息香酸等の1つの芳香環を有する1価芳香族カルボン酸等が挙げられる。
B成分を構成する炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの具体例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。これらの中で本発明の効果をより向上させる観点からエチレンオキサイドが好ましい。また、アルキレンオキサイドは、ランダム付加体として構成されても、ブロック付加体として構成されてもよい。
分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物1モルに対する炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの付加モル数、又は分子中に芳香環を有する1価カルボン酸1モルに対するアルキレンオキサイドの付加モル数の下限は、10モルを超え、好ましくは15モル以上である。10モルを超える範囲に規定することにより、合成繊維に付与することのできる親水特性、特に初期親水耐久性及び初期親水性が向上する。また、処理剤の乳化安定性、特に高温での乳化安定性が向上する。また、ジエステル化合物の流動性が向上する結果として、処理剤のハンドリング性がより向上する。
上記付加モル数の上限は、100モル以下、好ましくは50モル以下、より好ましくは25モル以下である。100モル以下に規定することにより、ジエステル化合物の流動性が向上する結果として、処理剤のハンドリング性がより向上する。また、合成繊維に付与することのできる耐久親水性も向上する。なお、アルキレンオキサイドの付加モル数は平均付加モル数を示す。
B成分の具体例としては、例えばポリオキシエチレン(アルキレンオキサイドの付加モル数(以下同じ)が10.5〜50モル)トリスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)ポリオキシプロピレン(10.5〜30モル)トリスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)トリ(α−エチルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)トリ(α−プロピルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)トリ(α−ブチルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)ジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)ジ(α−エチルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)ジ(α−プロピルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)ジ(α−ブチルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)モノスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)モノ(α−エチルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)モノ(α−プロピルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)モノ(α−ブチルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)トリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)ジベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)モノベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)ポリオキシプロピレン(10.5〜30モル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)t−ブチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10.5〜30モル)安息香酸エステル等が挙げられる。
本実施形態の処理剤が適用される合成繊維は、炭素繊維以外の合成繊維である。炭素繊維以外の合成繊維であれば、特に限定されないが、合成樹脂の表面に親水性を付与するという効果を発揮する観点からすると、疎水性の合成繊維であることが好ましい。
疎水性の合成繊維の例としては、例えばポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維等が挙げられる。これらの繊維は、2種以上から成る複合合成繊維であってもよい。ポリエステル系繊維の具体例としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、これらポリエステル系樹脂を含有して成る複合ポリエステル系繊維等が挙げられる。さらにポリエステル系繊維としては、塩基性又は酸性可染性ポリエステル繊維、帯電防止性ポリエステル繊維、難燃性ポリエステル繊維等の改質ポリエステル繊維等が適用されてもよい。ポリオレフィン系繊維の具体例としては、例えばポリエチレン繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリブテン系繊維が挙げられる。さらにポリプロピレン系繊維としては、種々の単量体を共重合した改質ポリプロピレン繊維、ポリエチレンとポリプロピレンとの複合ポリプロピレン繊維等が適用されてもよい。
本実施形態の処理剤は、短繊維及び長繊維のいずれにも適用することができるが、短繊維に適用されることが好ましい。短繊維は、一般にステープルと呼ばれるものが該当し、一般にフィラメントと呼ばれる長繊維を含まないものとする。また、本実施形態における短繊維の長さは、本技術分野において短繊維に該当するものであれば特に限定されないが、例えば100mm以下であることが好ましい。
本実施形態の処理剤は、以上説明したようなジエステル化合物を含有してなるものであるが、更にアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、平滑剤、脂肪族アルコール、及びポリエーテル変性シリコーンから選ばれる少なくとも一つを含むものが好ましい。これらの成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの成分は、上記ジエステル化合物の特性を阻害することなく、各成分に応じた特性、例えば合成繊維の製糸工程、延伸工程、又は紡糸工程において摩擦を低減させ、糸切れ等の繊維の損傷を防止する特性を付与する。
本実施形態の処理剤に供されるアニオン界面活性剤としては、公知のアニオン界面活性剤を適宜採用することができる。アニオン界面活性剤の具体例としては、例えば(1)ラウリルリン酸エステル塩、セチルリン酸エステル塩、オクチルリン酸エステル塩、オレイルリン酸エステル塩、ステアリルリン酸エステル塩等の脂肪族アルコールのリン酸エステル塩、(2)ポリオキシエチレン(5モル)ラウリルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレン(5モル)オレイルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレン(10モル)ステアリルエーテルリン酸エステル塩等の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキサイドを付加したもののリン酸エステル塩、(3)ラウリルスルホン酸エステル塩、ミリスチルスルホン酸エステル塩、セチルスルホン酸エステル塩、オレイルスルホン酸エステル塩、ステアリルスルホン酸エステル塩、テトラデカンスルホン酸塩、C14〜16アルキルスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等の脂肪族アルコール又は芳香族アルコールのスルホン酸エステル塩、(4)ラウリル硫酸エステル塩、オレイル硫酸エステル塩、ステアリル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩、(5)ポリオキシエチレン(3モル)ラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン(5モル)ラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン3モル、ポリオキシプロピレン3モル)ラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン(3モル)オレイルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン(5モル)オレイルエーテル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキサイドを付加したものの硫酸エステル塩、(6)ひまし油脂肪酸硫酸エステル塩、ごま油脂肪酸硫酸エステル塩、トール油脂肪酸硫酸エステル塩、大豆油脂肪酸硫酸エステル塩、なたね油脂肪酸硫酸エステル塩、パーム油脂肪酸硫酸エステル塩、豚脂脂肪酸硫酸エステル塩、牛脂脂肪酸硫酸エステル塩、鯨油脂肪酸硫酸エステル塩等の脂肪酸の硫酸エステル塩、(7)ひまし油の硫酸エステル塩、ごま油の硫酸エステル塩、トール油の硫酸エステル塩、大豆油の硫酸エステル塩、菜種油の硫酸エステル塩、パーム油の硫酸エステル塩、豚脂の硫酸エステル塩、牛脂の硫酸エステル塩、鯨油の硫酸エステル塩等の油脂の硫酸エステル塩、(8)ラウリン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩等の脂肪酸塩、(9)ジオクチルスルホコハク酸塩等の脂肪族アルコールのスルホコハク酸エステル塩等が挙げられる。アニオン界面活性剤の対イオンとしては、例えばカリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
本実施形態の処理剤に供されるカチオン界面活性剤としては、公知のカチオン界面活性剤を適宜採用することができる。カチオン界面活性剤の具体例としては、例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
本実施形態の処理剤に供される非イオン界面活性剤としては、公知の非イオン界面活性剤を適宜採用することができる。非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば(1)有機酸、有機アルコール、有機アミン及び/又は有機アミドに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、例えばポリオキシエチレンジラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリン酸エステルメチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイン酸ジエステル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテルメチルエーテル、ポリオキシブチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンノニルエーテル、ポリオキシプロピレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンラウロアミドエーテル、ポリオキシエチレントリスチレン化フェニルエーテル等のエーテル型ノニオン界面活性剤、(2)ソルビタントリオレアート、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノステアレート、グリセリンモノラウレラート等の多価アルコール部分エステル型ノニオン界面活性剤、(3)ポリオキシアルキレンソルビタントリオレアート、ポリオキシアルキレンヤシ油、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油トリオクタノアート、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油のマレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、又はオレイン酸エステル等のポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤、(4)ジエタノールアミンモノラウロアミド等のアルキルアミド型ノニオン界面活性剤、(5)ポリオキシエチレンジエタノールアミンモノオレイルアミド、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレン牛脂アミン等のポリオキシアルキレン脂肪酸アミド型ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
本実施形態の処理剤に供する平滑剤としては、上述したジエステル化合物以外の公知の平滑剤を適宜採用することができる。平滑剤の具体例としては、例えば(1)ブチルステアラート、オクチルステアラート、オレイルラウラート、オレイルオレアート、イソペンタコサニルイソステアラート、オクチルパルミテート、イソトリデシルステアレート等の、脂肪族モノアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、脂肪族モノアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)オキシアルキレン付加物と脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、(2)1,6−ヘキサンジオールジデカノエートトリメチロールプロパンモノオレートモノラウレート、ソルビタントリトレアート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、グリセリンモノラウレラート等の、脂肪族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸との完全エステル化合物、脂肪族多価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)オキシアルキレン付加物と脂肪族モノカルボン酸との完全エステル化合物、(3)ジラウリルアジペート、ジオレイルアゼレート、ジイソセチルチオジプロピオナート、ビスポリオキシエチレンラウリルアジパート等の、脂肪族モノアルコールと脂肪族多価カルボン酸との完全エステル化合物、脂肪族モノアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)オキシアルキレン付加物と脂肪族多価カルボン酸との完全エステル化合物、(4)ベンジルオレアート、ベンジルラウラート及びポリオキシプロピレンベンジルステアラート等の、芳香族モノアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、芳香族モノアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)オキシアルキレン付加物と脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、(5)ビスフェノールAジラウラート、ポリオキシエチレンビスフェノールAジラウラート等の、芳香族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸との完全エステル化合物、芳香族多価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)オキシアルキレン付加物と脂肪族モノカルボン酸との完全エステル化合物、(6)ビス2−エチルヘキシルフタラート、ジイソステアリルイソフタレート、トリオクチルトリメリテート等の、脂肪族モノアルコールと芳香族多価カルボン酸との完全エステル化合物、脂肪族モノアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)オキシアルキレン付加物と芳香族多価カルボン酸との完全エステル化合物、(7)ヤシ油、パーム油、ナタネ油、ヒマワリ油、大豆油、ヒマシ油、ゴマ油、魚油、牛脂等の天然油脂等、(8)鉱物油等、処理剤に採用されている公知の平滑剤挙げられる。
本実施形態の処理剤に供する脂肪族アルコールとしては、公知の脂肪族アルコールを適宜採用することができる。脂肪族アルコールの具体例としては、例えば(1)メチルアルコール、ブチルアルコール、オクチルアルコール、ノナノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セリルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソヘキサデシルアルコール、イソステアリルアルコール、イソテトラコサニルアルコール、2−プロピルアルコール、12−エイコシルアルコール、ビニルアルコール、ブテニルアルコール、ヘキサデセニルアルコール、オレイルアルコール、エイコセニルアルコール、2−メチル−2−プロピレン−1−オール、6−エチル−2−ウンデセン−1−オール、2−オクテン−5−オール、15−ヘキサデセン−2−オール等の炭素数1〜40の1価の脂肪族アルコール、(2)フェノール、プロピルフェノール、オクチルフェノール、トリデシルフェノール等の1価の芳香族アルコール、(3)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット等の2〜4価の脂肪族アルコール等が挙げられる。
本実施形態の処理剤に供するポリエーテル変性シリコーンとしては、公知のポリエーテル変性シリコーンを適宜採用することができ、構成としては、特に制限はなく、例えば、ABn型ポリエーテル変性シリコーン、側鎖型ポリエーテル変性シリコーン、両末端型ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル基とアルキル基の両方が側鎖又は末端に導入されたアルキルポリエーテル変性シリコーン、側鎖型ポリエーテル変性シリコーンのポリエーテル鎖末端部分が脂肪族化合物又は脂肪酸化合物で封鎖されたもの、両末端型ポリエーテル変性シリコーンのポリエーテル鎖末端部分が脂肪族化合物又は脂肪酸化合物で封鎖されたもの等が挙げられる。本実施形態の処理剤に供するポリエーテル変性シリコーンは、例えば以下の構造を有することが好ましい。
Figure 2020250550
化1において、
Xは、下記の化2で示される有機基を示し、
Yは、下記の化3で示される有機基を示し、
X,Yの繰り返しは、それぞれブロック又はランダムのいずれの方法で繰り返されてもよく、
a,bは、それぞれ1以上の整数を示す。
Figure 2020250550
化2において、
は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基を示す。
Figure 2020250550
化3において、
は、炭素数3〜6のアルキレン基を示し、
は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数2〜8のアシル基を示し、
c,dは、c+d=1〜200となるような整数(ただし、c≧0、d≧0。)を示す。
本実施形態の処理剤は、必要により分散媒として水を含んでいてもよい。
(第2実施形態)
本発明に係る合成繊維を具体化した第2実施形態について説明する。本実施形態の合成繊維は、第1実施形態の処理剤が付着している合成繊維である。合成繊維の種類としては、第1実施形態の説明の中で挙げたのと同じ炭素繊維以外の合成繊維が適用される。
第1実施形態の処理剤(溶媒を含まない)を合成繊維に付着させる割合に特に制限はないが、処理剤を合成繊維に対し0.1〜3質量%の割合となるよう付着させることが好ましい。また、処理剤を付着させる方法は、例えばローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法、浸漬給油法、スプレー給油法等の公知の方法を採用することができる。処理剤を合成繊維に付着させる際の処理剤の形態は、例えば水性液であってもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲内において有機溶媒が処理剤に少量含まれてもよい。
また、処理剤をどの工程で繊維に付着させるかは特に限定されず、例えば合成繊維の製糸工程、延伸工程、紡糸工程の他、不織布を製造する際の抄紙工程等において付着させてもよい。
本実施形態の処理剤及び合成繊維の作用及び効果について説明する。
(1)本実施形態の処理剤では、合成繊維に対して優れた親水特性を付与することができる。特に疎水性の合成繊維に対して優れた耐久親水性、特に初期親水耐久性、及び初期親水性を付与することができる。
(2)また、処理剤を水系媒体に分散させた際に優れた乳化安定性が得られる。特に25℃の常温での乳化安定性、及び80℃等の高温での乳化安定性に優れる。そのため、合成繊維の製糸工程、延伸工程、紡糸工程の他、不織布を製造する際の抄紙工程等において製造特性を向上させることができる。
(3)本実施形態の処理剤に含まれるジエステル化合物は、常温で流動性又は加熱により流動性を有するため、取扱時に溶媒を用いて希釈する必要がなく、ハンドリング性及び輸送性を著しく向上させることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態の処理剤には、本発明の効果を阻害しない範囲内において、処理剤の品質保持のための安定化剤や制電剤として、つなぎ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の処理剤に通常用いられる成分をさらに配合してもよい。
・本実施形態の処理剤は、上記ジエステル化合物を必須成分とすることを特徴とするが、本発明の効果を阻害しない範囲内において、上記A成分と上記B成分との反応工程で生じる、モノエステル等の反応副生物を含むことを妨げるものではない。
以下、本発明の構成及び効果をより具体的に説明するため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例の説明において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
<試験区分1(ジエステル化合物及び処理剤の調製)>
(実施例1)
ジエステル化合物(E−1)の合成
ジカルボン酸である無水フタル酸(1モル)、ポリオキシエチレン(15モル)トリスチレン化フェニルエーテル(2モル)、及び触媒としてp−トルエンスルホン酸(0.1%)を反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、150〜220℃でエステル化を12時間実施した。
(実施例2)
ジエステル化合物(E−2)の合成
ジカルボン酸のエステル形成誘導体であるマレイン酸ジメチル(2モル)、ポリオキシエチレン(18モル)トリスチレン化フェニルエーテル(2モル)、及び触媒としてチタンテトラブトキシド(0.1%)を反応容器に仕込み、10hPa以下の減圧下、150〜220℃で生成するメタノールを留去しながら、エステル交換反応を8時間実施した。
(実施例3〜33、比較例1〜8)
ジエステル化合物(E−3〜E−33、e−1〜e−8)の合成
原料としてジカルボン酸を使用する実施例9,10,13,15〜18,20〜22,24,26,32,33及び比較例2,3,5,7の各ジエステル化合物(E−9,10,13,15〜18,20〜22,24,26,32,33,e−2,3,5,7)は、表1に示される各成分を使用し、実施例1と同様の方法にて調製した。
原料としてジカルボン酸のエステル形成誘導体を使用する上記以外の実施例及び比較例1,4,6の各エステル化合物は、実施例2と同様の方法にて調製した。
比較例8は、特許文献3(特開2016−75002号公報)の実施例1に記載される化合物であり、具体的にはテレフタル酸ジメチルから形成された構成単位A(42.8モル%)、エチレングリコールから形成された構成単位B(28.6モル%)、及びポリオキシエチレン(18モル)トリスチレン化フェニルエーテルから形成された構成単位C(28.6モル%)からなるポリエーテルエステル化合物(e−8)を使用した。
実施例1〜33及び比較例1〜8は、上記各化合物100質量部からなる処理剤として調製した。
Figure 2020250550
表1において
A−1:無水フタル酸
A−2:無水マレイン酸
A−3:マレイン酸
A−4:イソフタル酸(m−フタル酸)
A−5:テレフタル酸(p−フタル酸)
A−6:テレフタル酸ジメチル
A−7:イソフタル酸ジエチル
A−8:テレフタル酸ジプロピル
A−9:フタル酸ジブチル
A−10:イソフタル酸ジオクチル
A−11:テレフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)
A−12:マレイン酸ジメチル
A−13:マレイン酸ジオクチル
A−14:マレイン酸ビス(2−エチルヘキシル)
A−15:2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル
A−16:フタル酸(o−フタル酸)
A−17:シュウ酸
A−18:クエン酸
A−19:コハク酸ジメチル
A−20:アジピン酸
A−21:アジピン酸ジメチル
a−1:安息香酸メチル
a−2:オレイン酸
B−1:ポリオキシエチレン(15モル)トリスチレン化フェニルエーテル
B−2:ポリオキシエチレン(18モル)トリスチレン化フェニルエーテル
B−3:ポリオキシエチレン(20モル)トリスチレン化フェニルエーテル
B−4:ポリオキシエチレン(25モル)モノスチレン化フェニルエーテル
B−5:ポリオキシエチレン(23モル)トリベンジルフェニルエーテル
B−6:ポリオキシエチレン(15モル)ベンジルフェニルエーテル
B−7:ポリオキシエチレン(8モル)ポリオキシプロピレン(8モル)ランダム付加型トリスチレン化フェニルエーテル
B−8:ポリオキシエチレン(10.5モル)トリスチレン化フェニルエーテル
B−9:ポリオキシエチレン(30モル)トリスチレン化フェニルエーテル
B−10:ポリオキシエチレン(40モル)トリスチレン化フェニルエーテル
B−11:ポリオキシエチレン(50モル)トリスチレン化フェニルエーテル
B−12:ポリオキシエチレン(15モル)フェニルエーテル
B−13:ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(5モル)ブロック付加型フェニルエーテル
B−14:ポリオキシエチレン(15モル)安息香酸エステル
B−15:ポリオキシエチレン(18モル)安息香酸エステル
B−16:ポリオキシエチレン(15モル)t−ブチルフェニルエーテル
B−17:ポリオキシエチレン(25モル)t−ブチルフェニルエーテル
b−1:ポリオキシエチレン(7モル)トリスチレン化フェニルエーテル
b−2:ポリオキシエチレン(5モル)トリスチレン化フェニルエーテル
b−3:ポリオキシエチレン(10モル)ステアリルエーテル
b−4:ポリオキシエチレン(7モル)ステアリルエーテル
b−5:ポリオキシエチレン(10モル)C14〜C60アルキルエーテル
※1:25℃乳化性試験及び80℃乳化性試験のどちらの方法でも乳化できなかったため、評価未実施
※2:25℃乳化性試験及び80℃乳化性試験において、25℃及び80℃にてスポイトでの滴下が行えないため、試験未実施を示す。
(実施例34〜66)
実施例34〜66の処理剤の調製
実施例34〜66は、ジエステル化合物として実施例1〜33の各ジエステル化合物(E−1〜E−33)を使用した。また、その他成分(界面活性剤、平滑剤、脂肪族アルコール、又はポリエーテル変性シリコーン)として下記に示されるC−1〜C−33をそれぞれ使用した。表2に示される各成分を所定の割合で混合することにより、実施例34〜66の処理剤を調製した。
Figure 2020250550
表2において
C−1:ポリオキシエチレン(3モル)ラウリルエ一テル硫酸エステルトリエタノールアミン塩
C−2:ラウリル硫酸ナトリウム
C−3:ラウリルホスフェートカリウム塩
C−4:オクチルホスフェートカリウム塩
C−5:ステアリルホスフェートカリウム塩
C−6:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
C−7:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
C−8:牛脂硫酸エステルナトリウム塩
C−9:C14〜16アルキルスルホン酸ナトリウム
C−10:ポリオキシエチレン(6モル)ラウリルエ一テル
C−11:ポリオキシエチレン(6モル)ラウリルエ一テルのメチルエーテル
C−12:ポリオキシエチレン(2モル)ポリオキシプロピレン(6モル)ラウリルエーテル
C−13:ポリオキシエチレン(6モル)トリスチレン化フェニルエーテル
C−14:ポリオキシエチレン(20モル)硬化ヒマシ油エステル
C−15:ポリオキシエチレン(30モル)ひまし油エステル
C−16:ポリオキシエチレン(20モル)硬化ヒマシ油エステルのマレイン酸及びステアリン酸エステル
C−17:ポリオキシエチレン(25モル)硬化ひまし油エステルのオレイン酸エステル
C−18:ポリオキシエチレン(10モル)ひまし油脂肪酸
C−19:ポリオキシエチレン(10モル)ヤシ油脂肪酸
C−20:ポリオキシエチレン(10モル)ラウリルアミン
C−21:ポリオキシエチレン(15モル)牛脂アミン
C−22:ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノオレエート
C−23:ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノステアレート
C−24:ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタントリオレエート
C−25:ソルビタンモノオレエート
C−26:ソルビタンモノステアレート
C−27:パーム油
C−28:オレイン酸カリウム
C−29:オレイルアルコール
C−30:オクチルアルコール
C−31:2−エチルヘキサノール
C−32:プロピレングリコール
C−33:ポリエーテル変性シリコーンを示す。
<試験区分2(5%水溶液の調製)>
200mLのビーカーに25℃の水95gを秤量した。これを450rpmで撹拌しつつ、25℃の各実施例及び各比較例記載のエステル化合物を含む処理剤を5g加えた後、5分間撹拌して5%水溶液を調製した。
<試験区分3(短繊維の調製)>
原料繊維(繊度1.3dtex、長さ38mmのポリエチレンテレフタレート短繊維)5gに対して、試験区分2で調製した各例の5%水溶液をさらに水で希釈して調製した0.2%水溶液5gをスプレーを用いて均一に付着させ、80℃の乾燥機で1時間乾燥した。
得られた短繊維試料について、下記に示されるように耐久親水性、初期親水性、初期親水耐久性の評価を行った。
<試験区分4(評価)>
・耐久親水性
(1)試験区分3で得た短繊維試料5gを、「NONWOVENS STANDARD PROCEDURES 2015 EDITION」(EDANA(European Disposables And Nonwovens Association)発行)中のSTANDARD PROCEDURE:NWSP 010.1.R0(15)の5.1項記載のワイヤーバスケットに均一に詰める。
(2)1Lビーカーに1000gの25℃±1℃の水を秤量する。
(3)短繊維試料が入ったワイヤーバスケットを液面25mmの高さから水中へ落とす。
(4)ワイヤーバスケット全体が液面より下へ沈むまでの時間を測定する。
(5)ワイヤーバスケットから短繊維試料を取り出し、水分率が50%になるまで脱水後、80℃で1時間乾燥する。
(6)(2)〜(5)の工程を、ワイヤーバスケットが60秒以内に沈まなくなるまで繰り返す。
下記評価基準に基づく結果を表1,2の「耐久親水性」欄に示した。
・耐久親水性の評価基準
◎(優):60秒以内にワイヤーバスケット全体が水中へ沈む回数が10回以上の場合
○(良):60秒以内にワイヤーバスケット全体が水中へ沈む回数が5回以上且つ10回未満の場合
×(不良):60秒以内にワイヤーバスケット全体が水中へ沈む回数が5回未満の場合
・初期親水性
(1)試験区分3で得た短繊維試料5gを、上記「STANDARD PROCEDURE:NWSP 010.1.R0(15)」の5.1項記載のワイヤーバスケットに均一に詰める。
(2)1Lビーカーに1000gの25℃±1℃の水を秤量する。
(3)短繊維試料が入ったワイヤーバスケットを液面25mmの高さから水中へ落とす。
(4)ワイヤーバスケット全体が液面より下へ沈むまでの時間を測定する。
下記評価基準に基づく結果を表1,2の「初期親水性」欄に示した。
・初期親水性の評価基準
◎(優):5秒以内にワイヤーバスケット全体が水中へ沈む場合
×(不良):ワイヤーバスケット全体が水中へ沈むのに5秒超かかる場合
・初期親水耐久性
(1)試験区分3で得た短繊維試料5gを、上記「STANDARD PROCEDURE:NWSP 010.1.R0(15)」の5.1項記載のワイヤーバスケットに均一に詰める。
(2)1Lビーカーに1000gの25℃±1℃の水を秤量する。
(3)短繊維試料が入ったワイヤーバスケットを液面25mmの高さから水中へ落とす。
(4)ワイヤーバスケット全体が液面より下へ沈むまでの時間を測定する。
(5)ワイヤーバスケットから短繊維試料を取り出し、水分率が50%になるまで脱水後、80℃で1時間乾燥する。
(6)(2)〜(5)の工程を、ワイヤーバスケットが10秒以内に沈まなくなるまで繰り返す。
下記評価基準に基づく結果を表1,2の「初期親水耐久性」欄に示した。
・初期親水耐久性の評価基準
◎(優):10秒以内にワイヤーバスケット全体が水中へ沈む回数が8回以上の場合
○(良):10秒以内にワイヤーバスケット全体が水中へ沈む回数が4回以上且つ8回未満の場合
×(不良):10秒以内にワイヤーバスケット全体が水中へ沈む回数が4回未満の場合
・25℃乳化性
(1)25℃の水95gを200mLビーカーに加え、25℃のウォーターバスで保温しつつ、450rpmで撹拌する。
(2)5gの25℃又は80℃に加温した、各例記載の処理剤をスポイトで滴下する。
(3)滴下後、5分間撹拌を行い、撹拌直後の乳化状態を確認する。
下記評価基準に基づく結果を表1,2の「25℃乳化性」欄に示した。
・25℃乳化性の評価基準
◎(優):均一に分散又は乳化し、浮遊物又は沈殿物が無い場合
×(不良):均一に分散又は乳化しておらず、浮遊物又は沈殿物が残っている場合
・80℃乳化性
(1)80℃の水95gを200mLビーカーに加え、80℃の湯煎で保温しつつ、450rpmで撹拌する。
(2)5gの25℃又は80℃に加温した、各例記載の処理剤をスポイトで滴下する。
(3)滴下後、5分間撹拌を行い、攪拌直後の乳化状態を確認する。
下記評価基準に基づく結果を表1,2の「80℃乳化性」欄に示した。
・80℃乳化性の評価基準
◎(優):均一に分散又は乳化し、浮遊物又は沈殿物が無い場合
×(不良):均一に分散又は乳化しておらず、浮遊物又は沈殿物が残っている場合
・ハンドリング性
(1)25℃又は80℃の各例記載の処理剤20gを100mLビーカーに加える。
(2)10cmの高さでビーカーを持ち、ビーカーの口を90度傾ける。
(3)20秒以内にビーカーから各例の処理剤がビーカーから流出するか確認し、流出した場合は、流動性ありと判断する。
下記評価基準に基づく結果を表1,2の「ハンドリング性」欄に示した。
・ハンドリング性の評価基準
◎(優):25℃及び80℃の両方の条件で、流動性がある場合
○(良):80℃の条件でのみ、流動性がある場合
×(不良):25℃及び80℃の両方の条件において、流動性が無い場合
以上表1,2の結果からも明らかなように、本発明によれば、合成繊維に対して優れた初期親水耐久性等の親水性特性を付与することができる。また、水系媒体に分散させた際に優れた乳化安定性が得られる。また、取扱時の流動性に優れ、ハンドリング性を向上できる。

Claims (9)

  1. 炭素繊維以外の合成繊維の処理に使用される合成繊維用処理剤であって、
    炭素数1〜16であるジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも一つを含むA成分と、
    分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10モル超且つ100モル以下の割合で付加させた化合物、及び分子中に芳香環を有する1価カルボン酸1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10モル超且つ100モル以下の割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つを含むB成分と
    から形成されたジエステル化合物を含むことを特徴とする合成繊維用処理剤。
  2. 前記A成分が、炭素数1〜16の不飽和脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、及びこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも一つを含む請求項1に記載の合成繊維用処理剤。
  3. 前記B成分が、分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10モル超且つ50モル以下の割合で付加させた化合物、及び分子中に芳香環を有する1価カルボン酸1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを10モル超且つ50モル以下の割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つを含む請求項1又は2に記載の合成繊維用処理剤。
  4. 前記B成分が、分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを15モル以上且つ25モル以下の割合で付加させた化合物、及び分子中に芳香環を有する1価カルボン酸1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを15モル以上且つ25モル以下の割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つを含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の合成繊維用処理剤。
  5. 前記B成分を形成することとなる前記分子中に芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物が、分子中に2以上の芳香環を有する1価ヒドロキシ化合物である請求項1〜4のいずれか一項に記載の合成繊維用処理剤。
  6. 更にアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、平滑剤、脂肪族アルコール、及びポリエーテル変性シリコーンから選ばれる少なくとも一つを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の合成繊維用処理剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の合成繊維用処理剤が付着していることを特徴とする合成繊維。
  8. 前記合成繊維が、疎水性のものである請求項7に記載の合成繊維。
  9. 前記合成繊維が、ポリエステルである請求項8に記載の合成繊維。
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