JP2002235285A - 耐久親水化された長繊維不織布 - Google Patents

耐久親水化された長繊維不織布

Info

Publication number
JP2002235285A
JP2002235285A JP2001027288A JP2001027288A JP2002235285A JP 2002235285 A JP2002235285 A JP 2002235285A JP 2001027288 A JP2001027288 A JP 2001027288A JP 2001027288 A JP2001027288 A JP 2001027288A JP 2002235285 A JP2002235285 A JP 2002235285A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nonwoven fabric
fiber
long
polyester
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001027288A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeki Tanaka
茂樹 田中
Hisao Nishinaka
久雄 西中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2001027288A priority Critical patent/JP2002235285A/ja
Publication of JP2002235285A publication Critical patent/JP2002235285A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】後加工によって経済的に、親水性能の耐久性が
高いポリエステル系不織布を提供する。 【解決手段】繊維径が0.5〜40ミクロンであり、ポ
リエステル成分が80質量%以上を占める長繊維不織布
の繊維表面に、ポリエステルポリエーテルブロック共重
合体が析出していることを特徴とする耐久親水化された
長繊維不織布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は改良された親水性能
を有するポリエステル系長繊維不織布に関するものであ
り、詳しくは親水性能およびその耐久性が高く、繰返
し、あるいは、長期間、水に浸漬しても良好な親水性能
が保持できるポリエステル系親水化長繊維不織布に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートに代表され
るポリエステルは比較的優れた特性を有しているため、
家庭用、産業用各種材料として多方面に利用されてい
る。特に繊維分野においてはその優れた物理的、化学的
な特性および経済性のため不織布として幅広く使用され
ている。しかしながら、ポリエステル繊維は疎水性繊維
であり、帯電し易く、親水性がないなどの欠点がある。
これら欠点を改良するため多数の方法が提案されてい
る。ポリエステルを重合時に親水性物質、特定のリン化
合物を添加してブロック共重合体を得る方法(特公昭6
3−12897号公報)、紡糸時に親水性物質を添加す
る方法(特開昭59−711676号公報)、或いは、
繊維表面に親水性物質をグラフト重合する方法(特公昭
57−386号公報)、繊維を低温プラズマで処理する
方法(特開昭59−47476号公報)、親水性基を含
有するポリエステルオリゴマーの水分散体を繊維表面に
付着させる方法(特開昭62−19165号公報)等が
ある。
【0003】しかしながら、親水性物質の添加やグラフ
ト重合による方法ではポリエステル繊維の機械的性能が
低下するとか、繊維および/または不織布の生産性が悪
化する等の欠点がある。また、親水性基を含有するポリ
エステルオリゴマーの水分散体を繊維表面に付着させる
方法では親水性の耐久性能が劣り、高圧の水流での絡合
処理、あるいは、フィルター、土木ドレン材、おしぼり
等のように長時間水または水溶液に浸漬される等で繊維
表面のポリエステルオリゴマーが脱落し、不織布での親
水性能を保持しえない等の欠点がある。また、不織布に
おいては親水性繊維、例えばレーヨン、晒綿等を混合し
て親水性不織布を得ることが可能であるが、嵩高な不織
布が得られない、生産性が悪い、価格が高い等の欠点が
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
方法に比べて親水性能の耐久性が高く、繰返し、あるい
は、長時間水または水溶液に浸漬されるような場合でも
良好な親水性能を保持できるポリエステル系不織布を、
経済的に提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)繊維径
が0.5〜40ミクロンであり、ポリエステル成分が8
0質量%以上を占める長繊維不織布表面に、ポリエステ
ルポリエーテルブロック共重合体が析出されていること
を特徴とする耐久親水化された長繊維不織布、(2)前
記ポリエステルポリエーテルブロック共重合体が、酸成
分が芳香族ジカルボン酸および/または脂肪族ジカルボ
ン酸、アルコール成分が平均分子量500以上のポリオ
キシアルキレングリコールであり、該ポリオキシアルキ
レングリコール成分の共重合量が全共重合体質量に対し
て5〜150質量%あることを特徴とする前記(1)記
載の耐久親水化された長繊維不織布、(3)前記(2)
記載のポリエステルポリエーテルブロック共重合体が、
不織布100質量部に対し、0.05質量部以上の割合
で付与されたことを特徴とする(1)記載の耐久親水性
長繊維不織布、(4)前記ポリエステルポリエーテルブ
ロック共重合体が、ポリエステルポリエーテルブロック
共重合体の他にアニオン界面活性剤とカチオン界面活性
剤とを含有し、かつ、ノニオン界面活性剤および/また
は両性イオン界面活性剤を含有した水性分散混合液か
ら、加熱によりイオンコンプレックスが生成して分散が
破壊されることによって析出されていることを特徴とす
る前記(1)〜(3)のいずれかに記載の耐久親水化さ
れた長繊維不織布 、(5)前記(1)〜(4)のいず
れかに記載の長繊維不織布が、目付が100〜2000
g/m2であり、ニードルパンチ加工されていることを
特徴とする土木用耐久親水化された長繊維不織布、
(6)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の長繊維不
織布が、目付が30〜300g/m2であり、熱融着に
より一体化されていることを特徴とするフィルター用耐
久親水化された長繊維不織布、である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の不織布で使用されるポリ
エステル繊維は、エチレンテレフタレート単位を主体と
するポリエステルであることが好ましく、ポリエチレン
テレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレートのいずれかあるいはその混合
物がより好ましい。さらに、酸成分としてテレフタル酸
が50質量%以上で、それ以外にイソフタル酸、ジフェ
ニルスルホンジカルボン酸、3,5−ジカルボキシベン
ゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンジカルボン酸等
を1種類または2種類以上共重合したポリエステルが好
ましい。また、グリコール成分としてエチレングリコー
ルが70質量%以上で、それ以外にジエチレングリコー
ル、ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ネ
オペンチルグリコール等を1種類または2種類以上共重
合したポリエステルが好ましい。
【0007】これらのポリエステルを単独で繊維に形成
しても良く、あるいは、融点または軟化点が20℃以上
異なるポリエステル、あるいは、120℃での乾熱収縮
率が10%以上異なるポリエステルを芯鞘型あるいは並
列型に複合して繊維を形成しても良い。これらのポリエ
ステル繊維は必要により、艶消し剤、顔料、抗菌剤、芳
香剤等を含有させても差し支えない。また、これらのポ
リエステル繊維の断面形状は丸、中空丸、異形、中空異
形等、いずれの形状でも差し支えない。
【0008】また、本発明で使用される不織布は単独あ
るいは2種類以上の上記ポリエステル繊維が80〜10
0質量%とポリエステル以外の繊維20〜0質量%とで
構成される。ポリエステル以外の繊維としては、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル等の合成
繊維、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリプロピレン
/ポリプロピレン等の複合繊維であり、これらの繊維が
単独または2種類以上で組み合わされて使用されていて
も差し支えない。さらに、複数の素材、製法、密度、厚
み等の異なる不織布が積層された複合不織布でも使用に
差し支えない。本発明で使用するポリエステルポリエー
テルブロック共重合体成分は特にポリエステル繊維と強
固に固着し、親水性の耐久性を高めるため、ポリエステ
ル成分の割合が80質量%未満であると初期の親水性は
良好であるが、その耐久性は悪くなる。
【0009】さらに、本発明で使用される不織布は従来
公知のスパンボンド法あるいはメルトブロー法のいずれ
かにより製造される。カードウェブ、エアーレイドウェ
ブ、あるいは、湿式抄造ウェブを使って、ニードルパン
チ法、スティッチボンド法、サーマルボンド法、レジン
ボンド法、水流交絡法等のなどにより得られた不織布と
積層などの手段により複合化して使用されてもよい。
【0010】不織布を構成する繊維の繊維径は0.5〜
40ミクロンであることが好ましい。繊維径が0.5ミ
クロンより細いとポリエステルポリエーテルブロック共
重合体により開孔がつぶれてしまい不織布の持つ通気性
など好適な特性が失われるためあまり好ましくない。一
方、40ミクロンより太い場合は、親水性成分がなくて
も重力だけで水や水溶液が浸透していくため本発明の効
果があまり大きくない。
【0011】前記ポリエステルポリエーテルブロック共
重合体の酸成分は、主としてテレフタル酸が用いられる
が、他に、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、
および、それらのエステル形成性誘導体を単独あるいは
2種以上を混合して用いることができる。具体的には、
イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジ
カルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、3,5
−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウム等の芳香
族ジカルボン酸、蓚酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼ
ライン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂肪族ジカル
ボン酸、さらに、これらのジメチルエステル、ジエチル
エステル等のジアルキルエステル等を挙げることができ
る。
【0012】また、グリコール成分としては、エチレン
グリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキ
サンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペン
チルグリコール、ジエチレングリコール、ハイドロキノ
ン等を単独あるいは2種以上を混合して用いることがで
きる。
【0013】さらに、エーテル成分のポリオキシアルキ
レングリコールおよび/またはその誘導体の共重合成分
として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドと
のランダムまたはブロック共重合体等のポリオキシアル
キレングリコール、ポリテトラメチレングリコールにエ
チレンオキサイドを付加して得られるブロック共重合体
のごとき両末端が水酸基のポリオキシアルキレングリコ
ール、メトキシポリエチレングリコール、フェノキシポ
リエチレングリコール、ナトリウムスルホフェノキシポ
リエチレングリコールのごとき片末端がエーテル結合を
介して封鎖されたポリオキシアルキレングリコール誘導
体等が挙げられる。これらのポリオキシアルキレングリ
コール化合物は単独あるいは2種以上の混合物として用
いることができる。
【0014】上記ポリオキシアルキレングリコール化合
物の平均分子量は500以上であり、800〜5000
の範囲がより好ましい。平均分子量が500未満の場
合、十分な親水性が得られない。また、ポリオキシアル
キレングリコール化合物は5〜150質量%の範囲、よ
り好ましくは40〜130質量%の範囲で共重合され
る。5質量%未満であると水分散性が悪く、乳化分散が
困難になるとともに十分な親水性が得られない。150
%以上であるとポリエステル繊維との親和性が低下し、
かつ、親水性がよくなり過ぎるため、親水性の耐久性が
悪くなる。
【0015】本発明においては、上記ポリエステルポリ
エーテルブロック共重合体は不織布100質量部に対し
て、0.05質量部以上の割合で付与されることが好ま
しく、さらに、0.2質量部以上がより好ましい。ポリ
エステルポリエーテルブロック共重合体の割合が0.0
5質量部未満であると十分な親水性およびその耐久性が
得られない。
【0016】上記ポリエステルポリエーテルブロック共
重合体を使用した変性ポリエステル系の樹脂の市販品と
して、高松油脂(株)製のSR−1000、SR−18
00、SR−6200、SR−5000等が挙げられ
る。
【0017】本発明のポリエステル系不織布に付着させ
る水性分散混合液は前記ポリエステルポリエーテルブロ
ック共重合体の他にアニオン界面活性剤とカチオン界面
活性剤とを含有し、かつ、ノニオン界面活性剤および/
または両性イオン界面活性剤を含有していることが必要
である。一般にアニオン界面活性剤とカチオン界面活性
剤とを混合すると容易にイオンコンプレックスを生成し
沈殿を生じてしまう。しかし、混合前のアニオン界面活
性剤あるいはカチオン界面活性剤の少なくともどちらか
一方にノニオン界面活性剤および/または両性イオン界
面活性剤が所定量混合されていると両者を混合しても低
温領域では安定であり、イオンコンプレックスを生じな
い。
【0018】35℃以下に保持した上記混合液に、ポリ
エステルポリエーテルブロック共重合体を含有させ、ポ
リエステル系不織布に付与した後、35℃以上に加熱す
ると、アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とがイ
オンコンプレックスを形成し、分散破壊が生じるととも
にポリエステルポリエーテルブロック共重合体が析出し
てポリエステル繊維の表面に強固に固着し、親水性のポ
リエステル系不織布を得ることができる。また、生成し
たイオンコンプレックスがポリエステル繊維とポリエス
テルポリエーテルブロック共重合体との双方に強固に固
着するため、得られた親水性の耐久性は極めて高くな
る。アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオ
ン界面活性剤、両性イオン界面活性剤は従来公知の界面
活性剤が使用でき、各々、1種類または2種類以上を混
合して使用しても差し支えない。
【0019】アニオン界面活性剤としてはカルボン酸
塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩
等があり、具体的には、高級脂肪酸石鹸、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸アミドスルホン酸
ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、高
級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテルリン酸塩等を例示することがで
きる。
【0020】カチオン界面活性剤としては脂肪族アミン
塩および4級アンモニウム塩、芳香族4級アンモニウム
塩、複素環4級アンモニウム塩等があり、具体的には、
脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、アルキル
ピリジウム塩、アルキルイソキノリウム塩、ベンゼトニ
ウム塩等を例示することができる。
【0021】ノニオン界面活性剤としてはエーテル型、
エステル型、エーテルエステル型、含窒素型等があり、
具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポ
リオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリ
マー、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテル、多価アルコール脂
肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪
酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を例示することが
できる。
【0022】両性イオン界面活性剤としては、ベタイン
型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等があ
り、具体的には、アルキルジメチルベタイン、アルキル
ジエチレントリアミン酢酸、アルキルメチルアミノカル
ボン酸塩等を例示することができる。
【0023】これらの界面活性剤の使用量は適宜に設定
されるが、通常はポリエステルポリエーテルブロック共
重合体に対して、それぞれ5〜200質量%、好ましく
は10〜100質量%である。
【0024】さらに具体的に水性分散混合液の調製例を
以下に述べるが、これに限定されるものではない。アニ
オン界面活性剤、および、カチオン界面活性剤の水性分
散液の少なくともどちらか一方にポリエステルポリエー
テルブロック共重合体を混合し、ポリエステルポリエー
テルブロック共重合体含有の水性分散液を調製する。さ
らに、ノニオン界面活性剤および/または両性イオン界
面活性剤をこれらの水性分散液の少なくともどちらか一
方に混合して、使用直前に2種類の水性分散液を35℃
以下、より好ましくは25℃以下の温度で混合攪拌す
る。調製した水性分散混合液に、必要に応じて、抗菌
剤、酸化防止剤、防腐剤、制電剤、着色剤等を添加して
も差し支えはない。
【0025】上記のように調製した水性分散混合液を3
5℃以下の温度に保持したままで、ポリエステル系不織
布に前記の割合となるように付着させる。付着方法は浸
漬法、吸尽法、スプレー法等公知の方法が使用でき、ま
た、水性分散混合液を付着させる前に他の界面活性剤等
が付着していても差し支えはない。水性分散混合液を付
着させたポリエステル系不織布を、次いで、35℃以
上、より好ましくは50℃以上の温度に加熱、乾燥する
ことで親水性長繊維不織布が得られる。
【0026】本発明の不織布は土木用途およびフィルタ
ー用途に特に好適に用いられる。土木用途では、100
〜2000g/m2の比較的嵩高なニードルパンチ不織
布の形態で用いるのが特に好適である。親水化により排
水機能や吸水性能が著しく改善されるため非常に好まし
い。また、本発明で用いられるポリエステルポリエーテ
ルブロック共重合体が析出する水性分散混合液は、ニー
ドルパンチ油剤として作用するため繊維とニードルの摩
擦を小さくすることから、ニードルパンチ行程での針折
れを抑制することが可能となり、目付が高いために針折
れを生じやすいニードルパンチタイプが広く用いられる
土木用不織布に特に好適である。
【0027】フィルター用途では、液体フィルターとし
て用いた際に流体の通過抵抗が低くなり、低エネルギー
での濾過操作が可能となるため好ましい。液体フィルタ
ーでは、液体が不織布を通過する際にかなり高い剪断力
を受けるため繊維が相互に強く接着されていることが必
要である。バインダーなどを使用しない場合には、エン
ボス加工やカレンダー処理を35℃以上の温度で行い接
着させて形態安定性をはかる操作がこの用途ではほぼ不
可欠であるが、水性分散混合液からポリエステルポリエ
ーテルブロック共重合体が析出する工程を別にもうける
ことなく、熱融着工程と同時処理が可能となり省エネル
ギー化にもつながり好適である。
【0028】熱接着により繊維を固定する場合は、繊維
間隙が狭くなりフィルター性能の向上に寄与するが、ポ
リエステルポリエーテルブロック共重合体が内部に浸透
するのに時間がかかるようになるため目付が高いと内部
に浸透させるのが難しくなる。従って、フィルター用の
熱融着処理不織布では、目付が30〜300g/m2
間にある不織布を処理することが好ましい。目付が30
g/m2より小さいと繊維径を小さくしてもフィルター
性能を上げることができない。
【0029】特にフィルター用途において、繊維径がお
およそ6ミクロン細くなると、繊維により形成される細
い孔に水に浸透しにくいため有効濾過面積が小さくなっ
て濾過精度が低下する傾向にあるが、本発明の親水化不
織布は親水性が高いためにその問題がなく、高い濾過精
度を実現可能である。繊維径の細いメルトブローン不織
布を液体フィルターとして用いる際にこの効果は特に顕
著となるため本発明の適用が非常に有効である。
【0030】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものでは
ない。
【0031】(水性分散混合液調製)酸成分としてテレ
フタル酸80質量%、イソフタル酸20質量%、グリコ
ール成分としてエチレングリコールのエステル成分10
0質量部、および、ポリオキシエチレンラウリルフェニ
ルエーテル(平均分子量1100)のエーテル成分70
質量部を共重合したポリエステルポリエーテルブロック
共重合体(a)、ラウリルホスフェートK塩(b)、ジ
オクチルスルホコハク酸Na塩(c)、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル(d)を混合し乳化分散液を予備
調製する。一方、高級脂肪酸アミドの4級アンモニウム
塩(e)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル(f)の混合乳化分散液を予備調製する。これら2種
類の乳化分散液を25℃以下の温度に冷却してから混合
し、水性分散混合液を得た。最終的に、(a)の濃度は
1.0質量%、および、(a)100質量部に対し、
(b)20質量部、(c)20質量部、(d)20質量
部、(e)30質量部、(f)20質量部となるように
調製した。この水性分散混合液はポリエステル繊維に付
着させるまで25℃以下の温度に保持して使用した。
【0032】(ラローズ法吸水率)図1に示すようなラ
ローズ法吸水性能測定装置(東洋紡エンジニアリング
(株)製)を用いて測定した。すなわち、給水容器
(1)のコック(3)を開いて吸水計測管(4)の先端
まで水を満たすとともにグラスフィルター(8)の上面
まで純水を張り、コック(3)を閉める。さらに、グラ
スフィルター(8)の上面にろ紙を接触させて余分な水
を吸い取るとともに、吸水計測管(4)の目盛りを0に
合わせる。その後、直径6cmの測定試料をグラスフィ
ルターの上面に静かに乗せ、直ちに直径6cmの真鍮製
おもりを乗せると同時に時間を計り始める。3分後の吸
水計測管(4)の目盛りを読み取り、吸水量を測定す
る。吸水率は次式で求めた。 ラローズ法吸水率(wt%)=100×吸水量(ml=
g)/試料の質量(g)
【0033】(水滴吸収率)ろ紙の上に測定する不織布
を置き、0.2mlの20℃の水滴を1cmの高さから
滴下する。それぞれ、50ケ所に1滴づつ滴下し、不織
布に吸収された水滴の割合を求めた。
【0034】(親水性の耐久性評価方法)200mlの
広口ビンに筒状にまるめた10cm×20cmの不織布
試料と純水200mlを入れ、1Hzの振とう機で30
分間振とうした後、さらに純水200mlで不織布試料
をすすいでから乾燥する。この不織布試料を使用して、
上記のラローズ法吸水率、水滴吸収率を測定し、それぞ
れ振とう処理前(初期)のラローズ法吸水率、水滴吸収
率とから次式で求めた。 ラローズ法吸水率に対する耐久性(%)=100×振と
う処理後吸水率(wt%)/振とう処理前吸水率(wt
%) 水滴吸収率に対する耐久性(%)=100×振とう処理
後吸収率(%)/振とう処理前吸収率(%)
【0035】(実施例1〜2、比較例1)繊維径が18
ミクロンのポリエチレンテレフタレート繊維がニードル
パンチ法で絡合して構成された目付け130g/m2
スパンボンド不織布に上記水性分散混合液を浸漬法で処
理し、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体が表
−1に記載の付着率となるようにローラーでプレスして
余分の水性分散混合液を絞った後、130℃で乾燥し
て、表1に記載の親水性長繊維不織布を得た。
【0036】(比較例2)水性分散混合液を(b)、
(c)、(d)、(e)、(f)の界面活性剤のみの乳
化分散液とした以外は実施例1と同様にして表1に記載
のポリエステル不織布を得た。界面活性剤の各成分割合
は前記水性分散混合液と同じにし、不織布に対する付着
率は0.55wt%とした。
【0037】(比較例3)水性分散混合液を(a)およ
び(b)、(c)、(d)の界面活性剤のみの乳化分散
液とした以外は実施例1と同様にして表1に記載のポリ
エステル不織布を得た。
【0038】(実施例3)繊維径が14ミクロンの繊維
が部分的に熱圧着して構成された目付け50g/m2
ポリエチレンテレフタレート製スパンボンド不織布に実
施例1と同様に加工して、表1に記載の親水性長繊維不
織布を得た。
【0039】
【表1】
【0040】上述のように、本発明で得られる親水性長
繊維不織布は、後加工でありながら親水性能及びその耐
久性が極めて優れていることがわかる。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、後加工で経済的にポリ
エステル本来の優れた特性を損なうことがなく、耐久性
に優れた親水性ポリエステル系長繊維不織布を提供する
ことができ、本発明の長繊維不織布は、紙おむつ、生理
処理用品、各種ワイプス、キッチンペーパー、カウンタ
ークロス、コーヒーフィルターなどの各種フィルター、
トレーマット、土木用ドレン材など極めて広範囲の用途
に好適である。
【手続補正書】
【提出日】平成13年3月23日(2001.3.2
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】追加
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において評価に使用したラローズ法吸水
性能測定装置の概略図である。
【符号の説明】 1…給水容器、 2…20℃の純水、 3
…コック、4…吸水計測管、 5…吸水試験部、
6…直径6cmの真鍮製重り、7…直径6cmの円形試
料、 8…グラスフィルター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D04H 3/14 D06M 101:32 // D06M 101:32 15/507 Z Fターム(参考) 4D019 AA03 BA13 BB03 BC06 BC13 BC15 BC20 BD01 DA02 DA03 4L033 AA07 AB07 AC07 AC15 CA45 4L047 AA21 AB03 AB07 BA03 BA09 BB06 CA19 CB07 CC04 CC05 CC12 CC16 DA00 EA10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維径が0.5〜40ミクロンであり、
    ポリエステル成分が80質量%以上を占める長繊維不織
    布の繊維表面に、ポリエステルポリエーテルブロック共
    重合体が析出していることを特徴とする耐久親水化され
    た長繊維不織布。
  2. 【請求項2】 前記ポリエステルポリエーテルブロック
    共重合体が、酸成分が芳香族ジカルボン酸および/また
    は脂肪族ジカルボン酸、アルコール成分が平均分子量5
    00以上のポリオキシアルキレングリコールであり、該
    ポリオキシアルキレングリコール成分の共重合量が全共
    重合体質量に対して5〜150質量%あることを特徴と
    する請求項1記載の耐久親水化された長繊維不織布。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のポリエステルポリエーテ
    ルブロック共重合体が、不織布100質量部に対し、
    0.05質量部以上の割合で付与されたことを特徴とす
    る請求項1記載の耐久親水化された長繊維不織布。
  4. 【請求項4】 前記ポリエステルポリエーテルブロック
    共重合体が、ポリエステルポリエーテルブロック共重合
    体の他にアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とを
    含有し、かつ、ノニオン界面活性剤および/または両性
    イオン界面活性剤を含有した水性分散混合液から、加熱
    によりイオンコンプレックスが生成して分散が破壊され
    ることによって析出されていることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載の耐久親水化された長繊維不織
    布。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の長繊維
    不織布が、目付が100〜2000g/m2であり、ニ
    ードルパンチ加工されていることを特徴とする土木用耐
    久親水化された長繊維不織布。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の長繊維
    不織布が、目付が30〜300g/m2であり、熱融着
    により一体化されていることを特徴とするフィルター用
    耐久親水化された長繊維不織布。
JP2001027288A 2001-02-02 2001-02-02 耐久親水化された長繊維不織布 Withdrawn JP2002235285A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001027288A JP2002235285A (ja) 2001-02-02 2001-02-02 耐久親水化された長繊維不織布

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001027288A JP2002235285A (ja) 2001-02-02 2001-02-02 耐久親水化された長繊維不織布

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002235285A true JP2002235285A (ja) 2002-08-23

Family

ID=18891976

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001027288A Withdrawn JP2002235285A (ja) 2001-02-02 2001-02-02 耐久親水化された長繊維不織布

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002235285A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007108206A1 (ja) * 2006-03-17 2007-09-27 Matsumoto Yushi-Seiyaku Co., Ltd. 繊維処理剤およびその応用
EP1734171A4 (en) * 2004-04-07 2009-04-01 Matsumoto Yushi Seiyaku Kk FIBER PROCESSING AGENT, SHORT POLYESTER FIBER MADE THEREWITH, AND NONWOVEN FABRIC
JP2018154938A (ja) * 2017-03-17 2018-10-04 呉羽テック株式会社 高伸度不織布シート及び高伸度不織布シートの製造方法
JP6777356B1 (ja) * 2019-06-13 2020-10-28 竹本油脂株式会社 合成繊維用処理剤及び合成繊維
WO2020250550A1 (ja) * 2019-06-13 2020-12-17 竹本油脂株式会社 合成繊維用処理剤及び合成繊維
WO2020262231A1 (ja) * 2019-06-26 2020-12-30 パナソニックIpマネジメント株式会社 水処理用濾材及びそれを用いた水処理用濾過装置、並びに水処理用濾材の製造方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5962640A (ja) * 1982-10-01 1984-04-10 Toyobo Co Ltd 高分子成形品の処理方法
JPS61291622A (ja) * 1985-06-18 1986-12-22 Toyobo Co Ltd ポリエステル系繊維加工剤
JPS62289674A (ja) * 1986-06-02 1987-12-16 帝人株式会社 親水処理剤
JPH06299455A (ja) * 1993-04-12 1994-10-25 Unitika Ltd 土木用積層シート
JPH073637A (ja) * 1993-06-11 1995-01-06 Nippon Petrochem Co Ltd 繊維または繊維製品の加工方法
JPH09111629A (ja) * 1995-10-19 1997-04-28 Toyobo Co Ltd 不織布およびその製造法
JP2000117024A (ja) * 1998-10-09 2000-04-25 Toyobo Co Ltd 空気浄化用フィルター

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5962640A (ja) * 1982-10-01 1984-04-10 Toyobo Co Ltd 高分子成形品の処理方法
JPS61291622A (ja) * 1985-06-18 1986-12-22 Toyobo Co Ltd ポリエステル系繊維加工剤
JPS62289674A (ja) * 1986-06-02 1987-12-16 帝人株式会社 親水処理剤
JPH06299455A (ja) * 1993-04-12 1994-10-25 Unitika Ltd 土木用積層シート
JPH073637A (ja) * 1993-06-11 1995-01-06 Nippon Petrochem Co Ltd 繊維または繊維製品の加工方法
JPH09111629A (ja) * 1995-10-19 1997-04-28 Toyobo Co Ltd 不織布およびその製造法
JP2000117024A (ja) * 1998-10-09 2000-04-25 Toyobo Co Ltd 空気浄化用フィルター

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1734171A4 (en) * 2004-04-07 2009-04-01 Matsumoto Yushi Seiyaku Kk FIBER PROCESSING AGENT, SHORT POLYESTER FIBER MADE THEREWITH, AND NONWOVEN FABRIC
WO2007108206A1 (ja) * 2006-03-17 2007-09-27 Matsumoto Yushi-Seiyaku Co., Ltd. 繊維処理剤およびその応用
KR101374640B1 (ko) 2006-03-17 2014-03-17 마쓰모토유시세이야쿠 가부시키가이샤 섬유 처리제 및 그 응용
JP2018154938A (ja) * 2017-03-17 2018-10-04 呉羽テック株式会社 高伸度不織布シート及び高伸度不織布シートの製造方法
JP6777356B1 (ja) * 2019-06-13 2020-10-28 竹本油脂株式会社 合成繊維用処理剤及び合成繊維
WO2020250550A1 (ja) * 2019-06-13 2020-12-17 竹本油脂株式会社 合成繊維用処理剤及び合成繊維
CN113785089A (zh) * 2019-06-13 2021-12-10 竹本油脂株式会社 合成纤维用处理剂和合成纤维
KR20210152001A (ko) * 2019-06-13 2021-12-14 다케모토 유시 가부시키 가이샤 합성 섬유용 처리제 및 합성 섬유
KR102378978B1 (ko) 2019-06-13 2022-03-25 다케모토 유시 가부시키 가이샤 합성 섬유용 처리제 및 합성 섬유
CN113785089B (zh) * 2019-06-13 2022-08-09 竹本油脂株式会社 合成纤维用处理剂和合成纤维
WO2020262231A1 (ja) * 2019-06-26 2020-12-30 パナソニックIpマネジメント株式会社 水処理用濾材及びそれを用いた水処理用濾過装置、並びに水処理用濾材の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6720070B2 (en) Hydrophilic polyester fiber and hydrophilic nonwoven fabric using the same and their production
KR100408385B1 (ko) 내구친수성섬유,직물및성형품
US20070232179A1 (en) Nonwoven fibrous structure comprising synthetic fibers and hydrophilizing agent
JP6818384B2 (ja) 繊維処理剤、それが付着した透水性繊維および不織布の製造方法
WO2006089619A1 (en) Cleansing sheets, manufacturing process and use thereof
JP2002088660A (ja) ワイパー基布
WO2016002476A1 (ja) 繊維処理剤、それが付着した透水性繊維および不織布の製造方法
JP2002235285A (ja) 耐久親水化された長繊維不織布
JP2911068B2 (ja) 複合繊維および不織布
JP3487424B2 (ja) 親水性ポリエステル繊維、親水性不織布およびその製造方法
JP4411667B2 (ja) 耐久親水性繊維及びそれを用いた繊維成形体
JP3314775B2 (ja) 耐久親水性繊維およびそれを用いた繊維成形体
JP4174995B2 (ja) 耐久親水性複合繊維及びそれを用いた繊維成形体
WO1997049855A1 (fr) Fibres hydrophiles et articles et filtres de type tissu constitues de celles-ci
JP2001303449A (ja) 親水性ポリエステル系不織布の製造方法
JP3571465B2 (ja) 繊維製品用透水性付与剤および透水性繊維製品
JP2019063414A (ja) 吸収性物品用不織布、吸収性物品用表面シート、及びそれを含む吸収性物品
JP7045469B2 (ja) 吸湿不織布およびその製造方法
JPH108380A (ja) 親水性繊維及び布状物
JP4028958B2 (ja) 耐久親水性繊維およびこれを用いた不織布
JP4124569B2 (ja) 透水性付与剤及びその繊維と不織布
JP2002263043A (ja) ワイピング用不織布
JPH01314545A (ja) ワイピングクロス
JP2003201670A (ja) 親水性長繊維不織布、複合化不織布及びそれらを用いた吸収性物品
JPH04136251A (ja) 吸水性能の優れた不織布

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100630

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100708

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20100902