JP5650991B2 - 透水性付与剤、それが付着した透水性繊維および不織布の製造方法 - Google Patents

透水性付与剤、それが付着した透水性繊維および不織布の製造方法 Download PDF

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本発明は、透水性付与剤、それが付着した透水性繊維および不織布の製造方法に関する。詳細には、不織布製造用疎水性合成繊維に対して、本発明の透水性付与剤を付与することにより、不織布製造時のカード工程で優れた通過性が得られ、得られた不織布が瞬時透水性、耐久透水性、液戻り防止性を併せ持ち、かつ安全性にも優れる、透水性付与剤、それが付着した透水性繊維および不織布の製造方法に関する。
一般に、紙おむつや合成ナプキンを代表とする生理用品等の吸収性物品は、疎水性合成繊維(ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維等)を主材とする各種不織布に親水性を付与したトップシートと、吸収材及び撥水性を付与したバックシートの間に綿状パルプや高分子吸収体等からなる材料を配置した3層から形成される構造になっている。尿や体液等の液体はトップシートを通過して吸収体に吸収されるが、透水性のよいこと、すなわち液体がトップシート上から内部の吸収体に完全に吸収される迄の時間が極めて短い瞬時透水性が必要である。加えて一度吸収体に吸収された液体が再びトップシート上に戻らないようにすること、すなわち液戻り防止性が必要である。さらに、僅か1回から2回の液体の吸収によってトップシート上の処理剤が流出して透水性が急激に低下するのは、おむつの取り替え回数が増すことになって好ましくないので、トップシートには繰り返しの液体吸収に耐える耐久透水性が要求される。また、不織布の製造面からは、カード工程の高速化に伴いシリンダーへの巻付きやスカムが発生したり、ウェブにネップが発生して表面品位の優れた不織布が得られなくなるので、良好なカード通過性が要求される。さらに、安全性への配慮から皮膚への刺激性の少ない要求が一層強くなってきている。親水性に極めて劣る疎水性合成繊維について、上記のような要求に応える透水性付与剤およびそれが付着した透水性繊維が要求されている。
これらの特性を透水性付与剤によって改善する技術が提案されている。疎水性合成繊維の表面に対して、瞬時透水性がよく、かつ繰り返しの液体透水に対しても透水性を維持するという相反する要求特性を透水性付与剤に求められ、アルキルホスフェート塩、カチオン性界面活性剤および両性界面活性剤等の配合割合の調整等で補っていた。しかし、瞬時透水性が得られる場合でも耐久透水性が不足したり、耐久透水性がある程度得られる場合でも瞬時透水性が不足したりして、現在の衛生材料用途に要求される瞬時透水性・耐久透水性の両者を満足するものが得られていなかった。また、不織布の製造工程であるカード工程においても、カード機にスカムが発生したり、ウェブにネップが発生する問題があった。さらには、皮膚への刺激性の強いものが多いという問題点があった。
たとえば、特許文献1ではアルキル燐酸エステル塩にポリエーテル変性シリコーンを併用する方法が開示されているが、耐久透水性や液戻り防止性が不足する。特許文献2ではアルキル燐酸エステル塩に2種類の両性界面活性剤を併用する方法が開示されているが、耐久透水性が不足する。特許文献3ではポリオキシアルキレン脂肪酸アミドのアシル化ポリアミンカチオン化物、アルキルホスフェート塩、両性界面活性剤、ポリオキシアルキレン変性シリコーンを併用する方法が提案されているが、カード通過性や液戻り防止性が不足する。特許文献4ではベタイン型両性活性剤とオキシ脂肪酸エステルのポリアルキレン付加物のジカルボン酸エステルおよびアニオン性界面活性剤を配合した処理剤が開示されているが、カード通過性や瞬時透水性および耐久透水性が不足する。特許文献5ではアルキルホスフェート塩に両性界面活性剤、アルコキシル化リシノレイン型化合物、ポリオキシアルキレン変性シリコーンを併用して繊維を処理する方法が提案されているが、カード通過性や液戻り防止性が不足する。特許文献6ではアルキルホスフェート塩、ポリオキシアルキレン基とアシル基とを有した(ポリ)アミンのカチオン化物、ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルとジカルボン酸との縮合物の少なくとも1つ以上の水酸基を脂肪酸で封鎖したエステル、ジアルキルスルホサクシネート塩、トリアルキルグリシン誘導体、ポリオキシアルキレン変性シリコーンを併用して繊維を処理する方法が提案されているが、カード通過性や液戻り防止性が不足する。
このように、これらの処理剤では、現在の衛生材料用途に要求される瞬時透水性、耐久透水性、液戻り防止性には不十分なレベルにあるだけでなく、不織布の製造工程であるカード工程においてカード機にスカムが発生したり、カード工程の高速化に伴い、ウェブにネップが発生する問題が多くなってきている。さらに、皮膚への刺激性が強く、安全性の問題が出てきている。
以上のように、これらの処理剤では全ての性能レベルを満足することができない。従って、衛生材料用途において、高い性能レベルと安全性を併せ持つ高性能の処理剤が望まれている。
特開平4−82961号公報 特開2000−170076号公報 特開2002−161474号公報 特開2000−34672号公報 特開2002−161477号公報 特開2007−247128号公報
そこで本発明は、従来の問題点を解決して、瞬時透水性、耐久透水性、液戻り防止性およびカード通過性のいずれについても高い性能レベルを有し、安全性にも優れた透水性付与剤、それが付着した透水性繊維および不織布の製造方法を提供するものである。
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のポリエーテルポリエステル化合物(A)を必須成分として含有する透水性付与剤であれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる透水性付与剤は、下記一般式(1)で示されるポリエーテルポリエステル化合物(A)を必須成分として含有するものである。
Figure 0005650991
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、1価の脂肪族アルコールからOH基を除いた残基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、aは1〜100の整数であり、Rは2価の有機基である。)
また、本発明にかかる透水性付与剤は、下記一般式(2)で示されるアルキルホスフェート塩(B)をさらに含有することが好ましい。
Figure 0005650991
(式中、Rは炭素数6〜22のアルキル基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であって、bは0〜15の整数であり、nは1〜2の整数であり、Yは水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオンおよびトリエタノールアンモニウムイオンからなる群から選択されるイオン性残基である。)
前記ポリエーテルポリエステル化合物(A)と前記アルキルホスフェート塩(B)との重量比(A/B)は、5/95〜80/20であることが好ましい。
前記透水性付与剤の不揮発分全体に占める前記ポリエーテルポリエステル化合物(A)の重量割合は5〜60重量%であることが好ましい。また、前記透水性付与剤の不揮発分全体に占めるアルキルホスフェート塩(B)の重量割合は5〜80重量%であることが好ましい。
また、本発明にかかる透水性付与剤は、エステル油および鉱物油から選ばれる少なくとも1種の平滑剤(C)をさらに含有してもよく、前記透水性付与剤の不揮発分全体に占める前記平滑剤(C)の重量割合は0.2〜40重量%であることが好ましい。
また、前記エステル油は、1価アルコールおよび/または1価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)エーテル化合物と脂肪酸とから得られる脂肪酸エステル、および多価アルコールおよび/または多価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)エーテル化合物と脂肪酸とから得られる脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。前記鉱物油は、マシン油、スピンドル油および流動パラフィンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明にかかる透水性付与剤は、ジアルキルスルホサクシネート塩(D1)、ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルとジカルボン酸との縮合物の少なくとも1つの水酸基を脂肪酸で封鎖したエステル(D2)および含窒素系界面活性剤(D3)から選ばれる少なくとも1種の成分(D)を含有してもよく、前記透水性付与剤の不揮発分全体に占める前記成分(D)の重量割合が0.2〜40重量%であることが好ましい。
また、本発明にかかる透水性付与剤は、不織布製造用疎水性合成繊維に用いられることが好ましい。
本発明にかかる透水性繊維は、不織布製造用疎水性合成繊維に対して、請求項1〜6のいずれかに記載の透水性付与剤を付着させたものである。
本発明にかかる不織布の製造方法は、前記の透水性繊維を集積させて繊維ウェブを作製し、得られた繊維ウェブを熱処理する工程を含むものである。
本発明にかかる透水性付与剤、この透水性付与剤が付着した透水性繊維および不織布は、瞬時透水性、耐久透水性、液戻り防止性およびカード通過性のいずれについても高い性能レベルを有し、安全性にも優れる。
本発明の透水性付与剤は、上記一般式(1)で示されるポリエーテルポリエステル化合物(A)を必須成分として含有するものである。以下、詳細に説明する。
〔ポリエーテルポリエステル化合物(A)〕
上記一般式(1)で示されるポリエーテルポリエステル化合物(A)(以下、成分(A)ということがある)は、瞬時透水性と耐久透水性において非常に優れる成分である。一般式(1)中、R、Rは、それぞれ独立して、1価の脂肪族アルコールからOH基を除いた残基(脂肪族炭化水素基)である。脂肪族炭化水素基の炭素数は分布があってもよく、脂肪族炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖状であっても分岐を有していてもよく、多環構造を有していてもよい。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜60が挙げられるが、耐久透水性を向上させる点から、10〜60がより好ましく、12〜60がさらに好ましく、14〜60が特に好ましい。
1価の脂肪族アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコサノール、ドコサノール、テトロコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、ノナコサノール、トリアコンタノール、C24〜26アルコール(伊藤製油(株)製、商品名:ハイソコール246)、C32〜36アルコール(新日本理化(株)製、商品名:NJコール3236)、C14〜60アルコール(米国ペトロライト社製、商品名:ユニリンアルコール450)、C30〜60アルコール(日本精化(株)製、商品名:ラノリンアルコールA)等が挙げられる。これらの中でも、C24〜26アルコール、C32〜36アルコール、C14〜60、C30〜60アルコール等の炭素数が14以上のものが好ましい。これらの脂肪族アルコールは、1種から構成されていてもよく、また2種以上から構成されていてもよい。
また、脂肪族アルコールは、耐久透水性を向上させる点から、炭素数1〜60の範囲で分布を有することが好ましい。つまり、炭素数1〜60の範囲で、炭素数が異な複数の脂肪族アルコールであることが好ましい。分布を有する炭素数の範囲は10〜60が好ましく、12〜60がより好ましく、14〜60がさらに好ましい。分布は、この炭素数範囲の一部で有していてもよく、全範囲で有していてもよい。この炭素数範囲の一部で分布を有する場合、炭素数が異なる脂肪族アルコールは3種以上が好ましく、5〜60種がより好ましく、10〜55種がさらに好ましく、15〜50種が特に好ましい。
AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。オキシアルキレン単位の繰り返し数であるaは、1〜100の整数であり、5〜50が好ましく、6〜30がより好ましい。(AO)は、オキシアルキレン単位としてオキシエチレン単位を50モル%以上有するポリオキシアルキレン基が好ましい。
は2価の有機基であり、ジカルボン酸およびジカルボン酸の無水物からカルボキシル基(または酸無水物基)を除いた2価の有機基を挙げることができる。Rとしては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、チオジプロピオン酸、チオジオクタン酸、チオジラウリン酸、チオジステアリン酸等およびこれらのジカルボン酸の無水物等からカルボキシル基(または酸無水物基)を除いた2価の有機基を挙げられる。これらの中でも、(無水)コハク酸、(無水)マレイン酸からカルボキシル基(または酸無水物基)を除いた2価の有機基が好ましい。
成分(A)は、1価の脂肪族アルコールと1価の脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物とジカルボン酸とを脱水縮合反応して得られる縮合物である。成分(A)の縮合物を製造する場合、1価の脂肪族アルコールと1価の脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物のモル比率(1価の脂肪族アルコール/1価の脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物)は、10/90〜90/10であることが好ましく、30/70〜70/30がさらに好ましく、35/65〜60/40が特に好ましい。また、1価の脂肪族アルコールと1価の脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物の合計の水酸基1モル当量あたりのジカルボン酸のカルボキシル基モル当量は、0.4〜2の範囲であることが好ましく、0.5〜1.6がさらに好ましく、0.6〜1.0が特に好ましい。成分(A)を製造する際のエステル化の方法、反応条件等については特に限定はなく、公知の方法、通常の条件を採用できる。例えば、1価の脂肪族アルコール1モルと1価の脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物1モルと無水マレイン酸1モルの割合で、触媒存在下の窒素ガス気流下で、生成する水を留去しながら加温して反応させることにより得られる。
成分(A)を通常のエステル化方法にて合成する際に、下記一般式(3)で示される化合物や下記一般式(4)で示される化合物が副生成物として生成されることがある。本発明の透水性付与剤は、成分(A)と共にこれら化合物を含有してもよい。
一般式(3)で示される化合物は、成分(A)と同様に、瞬時透水性と耐久透水性において優れる成分である。透水性付与剤が一般式(3)で示される化合物を含有する場合、該化合物の重量割合は、成分(A)100重量部に対して、0〜100重量部が好ましく、0〜60重量部がより好ましく、10〜50重量部がさらに好ましく、15〜40重量部が特に好ましい。
一般式(4)で示される化合物は、不織布の液戻り性に優れているが、透水性にやや劣る成分である。透水性付与剤が一般式(4)で示される化合物を含有する場合、該化合物の重量割合は、成分(A)100重量部に対して、0〜100重量部が好ましく、0〜50重量部がより好ましく、10〜45重量部がさらに好ましく、10〜35重量部が特に好ましい。該化合物の重量割合が100重量部より多くなると、瞬時透水性が悪化することがある。
なお、成分(A)と一般式(3)で示される化合物と一般式(4)で示される化合物のそれぞれの重量割合は、GPC(ゲル透水クロマトグラフ)分析によって求めることができる。
Figure 0005650991
一般式(3)中、R、R、AO及びaは、一般式(1)で記載したものと同様である。
Figure 0005650991
一般式(4)中、R及びRは、一般式(1)で記載したものと同様である。
透水性付与剤の不揮発分全体に占める成分(A)の重量割合は、5〜60重量%が好ましく、5〜45重量%がより好ましく、5〜35重量%がさらに好ましく、10〜25重量%が特に好ましい。なお、本発明の透水性付与剤の不揮発分とは、水分などを除くための熱乾燥工程後においても繊維表面に残存する透水性付与剤中の成分を意味し、透水性付与剤を105℃で熱処理して水分などを除去し、恒量に達したときの揮発せずに残存した成分を意味する。
〔アルキルホスフェート塩(B)〕
本発明の透水性付与剤は、成分(A)に加え、前述の一般式(2)で示されるアルキルホスフェート塩(B)(以下、成分(B)ということがある)をさらに含むことが好ましい。成分(B)は、特にカード通過性能、耐久透水性を保持する性能、液戻り量を少なくする性能に優れた成分である。
一般式(2)中、Rは炭素数6〜22のアルキル基であり、炭素数は10〜18が好ましく、10〜16がより好ましく、10〜14がさらに好ましい。アルキル基の炭素数が6未満では、カード工程通過性が低下すると共に製品の臭気が強くなることがあり、アルキル基の炭素数が22超であると、化合物の水溶性、カード通過性、瞬時透水性が低下することがある。アルキル基の炭素数は分布があってもよく、アルキル基は直鎖状であっても分岐を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。
AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。オキシアルキレン単位の繰り返し数であるbは0〜15の整数であり、0〜10が好ましく、0〜3がさらに好ましく、bが0でポリオキシアルキレン基を含有しない場合が特に好ましい。(AO)は、オキシアルキレン単位としてオキシエチレン単位を50モル%以上有するポリオキシアルキレン基が好ましい。nは1〜2の整数であり、Yは水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオンおよびトリエタノールアンモニウムイオンからなる群から選択されるイオン性残基である。これらは混合物であってもよく、また、1種または2種以上を用いてもよい。
これらの中でもカード通過性や耐久透水性を保持する性能の向上という理由から、成分(B)は、デシルホスフェートカリウム塩、ラウリルホスフェートカリウム塩、トリデシルホスフェートカリウム塩、ミリスチルホスフェートカリウム塩、セチルホスフェートカリウム塩、オレイルホスフェートカリウム塩、ポリオキシエチレン2モル付加セチルホスフェートカリウム塩、ポリオキシエチレン3モル付加ラウリルホスフェートジエタノールアンモニウム塩、ポリオキシエチレン3モル付加ラウリルホスフェートトリエタノールアンモニウム塩が好ましく、ラウリルホスフェートカリウム塩がさらに好ましい。
透水性付与剤の不揮発分全体に占める成分(B)の重量割合は、5〜80重量%が好ましく、10〜60重量%がより好ましく、20〜50重量%がさらに好ましく、20〜40重量%が特に好ましい。
また、本発明の透水性付与剤は、その効果をより一層発揮させるために、特に瞬時透水性能と耐久透水性能に優れた成分(A)と、特にカード通過性能、耐久透水性を保持する性能、液戻り量を少なくする性能に優れた成分(B)との重量比(A)/(B)を5/95〜80/20となるようにすることが好ましく、5/95〜50/50がさらに好ましく、10/90〜30/70が特に好ましい。
本発明の透水性付与剤は、成分(A)に加え、または成分(A)と成分(B)に加え、後述の平滑剤(C)および/または成分(D)をさらに含有してもよい。
〔平滑剤(C)〕
平滑剤(C)(以下、成分(C)ということがある)は、エステル油および鉱物油から選ばれる少なくとも1種であり、より一層のカード通過性等を向上することができる成分である。とくに、シリンダーへの巻付きが少なくウェブにネップが発生しにくいので、表面品位の優れた不織布が得られる。
成分(C)をさらに含む場合において、透水性付与剤の不揮発分全体に占める成分(C)の重量割合は、0.2〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がさらに好ましく、10〜20重量%が特に好ましい。重量割合が、40重量%超になると、透水性付与剤の水溶性が不足し溶液安定性の低下やカード工程での制電性が低下することがある。
成分(C)のエステル油について、特に限定はないが、1価アルコールおよび/または1価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)エーテル化合物と脂肪酸とから得られる脂肪酸エステル、および多価アルコールおよび/または多価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)エーテル化合物と脂肪酸とから得られる脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種の脂肪酸エステルが好ましい。
脂肪酸エステルを構成する原料の1価アルコールとしては、特に限定はないが、1価の脂肪族アルコール等が挙げられる。1価の脂肪族アルコールの炭素数は分布があってもよい。また、飽和であっても不飽和あってもよく、直鎖状であってもよく、分岐を有していてもよい。脂肪族アルコールの炭素数は、1〜22が好ましく、8〜18がより好ましく、10〜18がさらに好ましく、12〜18が特に好ましい。
1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。
1価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)エーテル化合物のアルキレンオキサイドの付加モル数は、0〜150が好ましく、0〜50がさらに好ましく、アルキレンオキサイドを含有しない場合が特に好ましい。
脂肪酸エステルを構成する原料の多価アルコールとしては、特に限定はないが、2〜6価のアルコール等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン、ペンタエリスリトール、ショ糖などのポリオール類が挙げられる。さらに、グリセリンの縮合物であるジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン等のポリグリセリンも含まれる。さらに、これらの(ポリ)オキシアルキレン付加物も挙げられる。
多価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)エーテル化合物のアルキレンオキサイドの付加モル数は、0〜150が好ましく、0〜50がさらに好ましく、0〜20が特に好ましい。
脂肪酸エステルを構成する原料の脂肪酸としては、特に限定はなく、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。この中でも、飽和脂肪酸が好ましく、脂肪酸の炭素数は、10〜30が好ましく、12〜18がさらに好ましく、14〜18が特に好ましい。
飽和脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
これらの脂肪酸エステルは、前述の1価アルコールや多価アルコールおよび/またはそれらアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)エーテル化合物と脂肪酸とを適宜選択して公知の合成法により得ることができる。
1価アルコールおよび/または1価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)エーテル化合物と脂肪酸とから得られる脂肪酸エステルとしては、ラウリルオレエート、ステアリルオレエート、オレイルオレエート、イソオクチルオレエート、イソオクチルパルミテート、イソオクチルステアレート、トリデシルオレエート、ブチルステアレート、2−エチルヘキシルオレエート、オレイルステアレート、オレイルパルミテート、オレイルラウレート、オレイルイソステアレート、ポリオキシエチレン(10モル)ステアリルエーテルのオレイン酸エステル等が挙げられる。
また、多価アルコールおよび/または1価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)エーテル化合物と脂肪酸とから得られる脂肪酸エステルとしては、グリセリンモノオレエート、グリセリンモノステアレート、ヘキサグリセリンモノステアレート、トリメチロールプロパンモノパルミテート、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(20モル)グリセリンモノステアレート等が挙げられる。
これらの中でも、脂肪酸エステルとしては、イソオクチルパルミテートやイソオクチルステアレートが特に好ましい。
成分(C)の鉱物油としては、マシン油、スピンドル油および流動パラフィンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。鉱物油の30℃の粘度は、1×10−6〜5×10−5/sが好ましく、1×10−6〜4×10−5/sがより好ましい。鉱物油としては流動パラフィンが好ましい。
〔成分(D)〕
本発明の透水性付与剤は、耐久透水性を補助する成分として、ジアルキルスルホサクシネート塩(D1)、ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルとジカルボン酸との縮合物の少なくとも1つの水酸基を脂肪酸で封鎖したエステル(D2)および含窒素系界面活性剤(D3)から選ばれる少なくとも1種の成分(D)を、安全性を損なわない範囲で含んでもよい。透水性付与剤の不揮発分全体に占める成分(D)の重量割合は0.2〜40重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましく、5〜30重量%がさらに好ましく、5〜20重量%が特に好ましい。重量割合が40重量%超になると、カード通過性等が悪化することがある。また、成分(D1)および/または成分(D3)を必須に含む場合は、透水性付与剤の不揮発分全体に占める成分(D1)と成分(D3)の合計量は、0.2〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましく、5〜10重量%がさらに好ましい。
〔成分(D1)〕
前記のジアルキルスルホサクシネート塩(D1)(成分(D1)ということがある)は、α位にスルホン酸塩の基を有するコハク酸のジアルキルエステルである。ジアルキルエステルを構成するアルキル基の炭素数は分布があってもよく、アルキル基は直鎖状であっても分岐を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。アルキル基の炭素数は6〜18が好ましく、8〜18がより好ましく、10〜18がさらに好ましく、12〜14が特に好ましい。アルキル基の炭素数が6未満ではカード通過性が低下することがある。一方、アルキル基の炭素数が18超であると、瞬時透水性が低下することがある。
成分(D1)のスルホン酸塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩、アミン塩を挙げることができ、ナトリウム塩および/またはカリウム塩であると、透水性付与剤が付着した繊維に液体が速やかに浸透するので好ましい。
成分(D1)としては、たとえば、ジヘキシルスルホサクシネートナトリウム塩、ジ−2−エチルヘキシルスルホサクシネートナトリウム塩、ジラウリルスルホサクシネートナトリウム塩、ジ椰子アルキルスルホサクシネートナトリウム塩、ジトリデシルスルホサクシネートナトリウム塩、ジミリスチルスルホサクシネートナトリウム塩、ジステアリルスルホサクシネートナトリウム塩等が挙げられる。これらのジアルキルスルホサクシネート塩は、1種または2種以上を併用してもよい。
〔成分(D2)〕
ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(以下、ポリヒドロキシエステルということがある)とジカルボン酸との縮合物の少なくとも1つの水酸基を脂肪酸で封鎖したエステル(D2)(成分(D2)ということがある)は、疎水性繊維との親和性が高く、成分(D2)を含む付与剤は水と接触しても繊維から脱落し難くなることから、耐久透水性をより向上できる成分である。
ポリヒドロキシエステルは、構造上、ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸と多価アルコールとのエステルであり、多価アルコールの水酸基のうち、2個以上(好ましくは全部)の水酸基がエステル化されている。したがって、ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルは、複数の水酸基を有するエステルである。
ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸は、脂肪酸の炭化水素基に酸素原子を介してポリオキシアルキレン基が結合した構造を有し、ポリオキシアルキレン基の脂肪酸の炭化水素基と結合していない片末端が水酸基となっている。
ポリヒドロキシエステルとしては、たとえば、炭素数6〜22(好ましくは12〜22)のヒドロキシ脂肪酸と多価アルコールとのエステル化物のアルキレンオキシド付加物を挙げることができる。ヒドロキシ脂肪酸の炭素数が6未満であると、親水性が強くなり、一方、22を超えると疎水性が強くなる。いずれの場合も他の成分との相溶性が悪くなるため、十分な耐久透水性を得られないことがある。
炭素数6〜22のヒドロキシ脂肪酸としては、たとえば、ヒドロキシカプリル酸、ヒドロキシカプリン酸、ヒドロキシウンデカン酸、ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸挙げられ、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸が好ましい。多価アルコールとしては、たとえば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ソルビタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、グリセリンが好ましい。アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の炭素数2〜4のアルキレンオキシドが挙げられる。
アルキレンオキシドの付加モル数は、上記ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルの水酸基1モル当量当り、好ましくは80以下、さらに好ましくは5〜30である。付加モル数が80を超えると液戻り量が増加することがあるので好ましくない。高い耐久透水性を得るためには、親水基と疎水基のバランスを調整することが重要である。アルキレンオキシドに占めるエチレンオキシドの割合は、好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上である。エチレンオキシドの割合が50モル%未満では、疎水性が強くなるために十分な耐久透水性が得られないことがある。
ポリヒドロキシエステルは、たとえば、多価アルコールとヒドロキシ脂肪酸(ヒドロキシモノカルボン酸)を通常の条件でエステル化してエステル化物を得て、次いでこのエステル化物にアルキレンオキシドを付加反応させることによって製造できる。ポリヒドロキシエステルは、ひまし油などの天然から得られる油脂やこれに水素を添加した硬化ひまし油を用い、さらにアルキレンオキシドを付加反応させることによっても、好適に製造できる。
ポリヒドロキシエステルを製造する場合、多価アルコールの水酸基1モル当量あたりのヒドロキシ脂肪酸のカルボキシル基モル当量は、0.5〜1の範囲であることが好ましい。
ポリヒドロキシエステルとジカルボン酸との縮合物において、ジカルボン酸の炭素数については、2〜10が好ましく、2〜8がさらに好ましい。ジカルボン酸の炭素数が10を超えると十分な親水性を付与できないことがある。このようなジカルボン酸としては、たとえば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フタル酸等が挙げられる。ジカルボン酸と共に、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸等のジカルボン酸以外のカルボン酸を20%以下(好ましくは10%以下)含有してもよい。ポリヒドロキシエステルとジカルボン酸との縮合物を製造する場合、ポリヒドロキシエステルの水酸基1モル当量あたりのジカルボン酸のカルボキシル基モル当量は、0.2〜1の範囲であることが好ましく、0.4〜0.8がさらに好ましい。成分(D2)を製造する際のエステル化の方法、反応条件等については特に限定はなく、公知の方法、通常の条件を採用できる。
本発明の成分(D2)は、上述のポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルとジカルボン酸との縮合物(以下、縮合物ということがある)において、少なくとも1つの水酸基を脂肪酸で封鎖したエステルである。脂肪酸で封鎖していないエステルでは、耐久透水性能が不足し、また化合物が経時的に増粘し水不溶物が増加するので、付与剤の溶液安定性が低下する。
縮合物の少なくとも1つ以上の水酸基を封鎖する脂肪酸の炭素数は10〜50が好ましく、12〜36がさらに好ましい。また、脂肪酸の炭素数が10未満であると親水性が強くなり、十分な耐久透水性を得ることができないことがある。脂肪酸中の炭化水素基の炭素数は分布があってもよく、炭化水素基は直鎖状であっても分岐を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、多環構造を有していてもよい。このような脂肪酸としては、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イコサン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられるが、ベヘン酸やウールグリースを精製したラノリン誘導体である炭素数12〜36のラノリン脂肪酸が好ましい。縮合物と脂肪酸とのエステルを製造する場合、縮合物の水酸基1モル当量あたりの脂肪酸のカルボキシル基モル当量は0.2〜1の範囲であることが好ましく、0.4〜1がさらに好ましい。エステル化の反応条件については特に限定はない。
〔成分(D3)〕
含窒素系界面活性剤(D3)(成分(D3)ということがある)としては、アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(D3a)、イミダゾリニウム型カチオン界面活性剤(D3b)、アルキルベタイン界面活性剤(D3c)、アルキルイミダゾール型ベタイン界面活性剤(D3d)、アミド基含有ベタイン界面活性剤(D3e)および高級脂肪酸アルカノールアミド型界面活性剤(D3f)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の成分(D3)は、瞬時透水性や耐久透水性に優れた成分であるが、カード通過性や安全性が劣ることがあるので最少量の使用が好ましい。
アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(D3a)としては特に限定はないが、例えば、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジ椰子アルキルジメチルアンモニウムクロライド、ジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジラウリルメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ジステアリルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジ(オレイロキシエチル)ヒドロキシエチルメチルアンモニウムメトサルフェート、ジ(ステアリン酸アミドエチル)ヒドロキシエチルメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。これらのなかでも、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライドやジステアリルジメチルアンモニウムクロライドが好ましい。
イミダゾリニウム型カチオン界面活性剤(D3b)としては特に限定はないが、イミダゾリニウム環の2位の置換基が炭素数11〜21の脂肪族炭化水素基であって、アニオン基がメチル硫酸イオン、エチル硫酸イオンおよびジメチル燐酸イオンからなる群から選択されるイオン性残基である場合のものが好ましい。かかるイミダゾリニウム型カチオン界面活性剤としては、例えば1−ヒドロキシエチル−1−エチル−2−ラウリルイミダゾリニウムエチルサルフェート、1−ヒドロキシエチル−1−エチル−2−オレイルイミダゾリニウムエチルサルフェート、1−ヒドロキシエチル−1−エチル−2−ステアリルイミダゾリニウムエチルサルフェート、1−ヒドロキシエチル−1−メチル−2−テトラデシルイミダゾリニウムメチルサルフェート、1−ヒドロキシエチル−1−メチル−2−ラウリルイミダゾリニウムメチルサルフェート、1−ヒドロキシエチル−1−メチル−2−オレイルイミダゾリニウムメチルサルフェート、1−ヒドロキシエチル−1−メチル−2−ステアリルイミダゾリニウムメチルサルフェート、1−ヒドロキシエチル−1−メチル−2−オレイルイミダゾリニウムジメチルホスフェート等が挙げられる。これらのなかでも、1−ヒドロキシエチル−1−エチル−2−オレイルイミダゾリニウムエチルサルフェートが好ましい。
アルキルベタイン界面活性剤(D3c)としては特に限定はないが、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノスルホプロピルベタイン、ラウリルジメチルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。これらの中でも、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタインが好ましい。
アルキルイミダゾール型ベタイン界面活性剤(D3d)としては特に限定はないが、例えば、2−ラウリル―N―カルボキシメチル―N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−オレイル―N―カルボキシメチル―N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。これらのなかでも、2−ラウリル―N―カルボキシメチル―N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインが好ましい。
アミド基含有ベタイン界面活性剤(D3e)としては特に限定はないが、例えば、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられ、これらの中でも、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインが好ましい。
高級脂肪酸アルカノールアミド型界面活性剤(D3f)としては特に限定はないが、例えば、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ベヘン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド等が挙げられる。さらに、高級脂肪酸アルカノールアミド型界面活性剤には、炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物も含んでもよい。これらの中でも、ステアリン酸ジエタノールアミドやベヘン酸ジエタノールアミドが好ましい。
〔その他の成分〕
本発明の透水性付与剤は、本発明の効果を阻害しない範囲でポリオキシアルキレン変性シリコーン(E)(成分(E)ということがある)を含有してもよいが、液戻り防止性が不足するという問題とカード時にスカムが発生するという理由から、透水性付与剤の不揮発分全体に占めるシリコーン系化合物(E)の重量割合は、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、7重量%未満、5重量%未満、3重量%未満の順で好ましい。
成分(E)は、分子量が1,000〜100,000であり、Si含有率が20〜70重量%である。ポリオキシアルキレンがポリオキシエチレンやポリオキシプロピレンであり、ポリオキシアルキレン全体のうちポリオキシエチレンが占める割合が20重量%以上である。
本発明の透水性付与剤は、必要に応じて水および/または溶剤を含有していてもよく、水を必須に含有することが好ましい。本発明に使用する水としては、純水、蒸留水、精製水、軟水、イオン交換水、水道水等のいずれであってもよい。透水性付与剤を製造する際の透水性付与剤全体に占める不揮発分の重量割合は、10〜40重量%が好ましく、18〜30重量%が特に好ましい。
また、本発明の透水性付与剤には、必要に応じて、抗菌剤、酸化防止剤、防腐剤、艶消し剤、顔料、防錆剤、芳香剤、消泡剤等がさらに含まれていてもよい。
〔透水性付与剤の製造方法〕
本発明の透水性付与剤の製造方法としては、公知の方法を採用できる。例えば、成分(A)と必要に応じて成分(C)を配合し約70℃の温度で撹伴する。次に、必要に応じて成分(B)の水溶液を配合して約70℃の温度で均一に攪拌する。次に、必要に応じて成分(D)を配合して約70℃の温度で均一に攪拌する。次いで、攪拌しながら所定量の水を注入し希釈すると10〜40重量%の透水性付与剤が得ることができる。
〔透水性繊維〕
本発明の透水性繊維は、不織布製造用疎水性合成繊維(繊維本体)とこれに付着した上記透水性付与剤とから構成される透水性繊維であり、一般的には所定の長さに切断した短繊維である。透水性付与剤の不揮発分の付着率は、前記透水性繊維に対して0.1〜2重量%が好ましく、0.3〜1重量%がさらに好ましい。透水性繊維に対する透水性付与剤の不揮発分の付着率が0.1重量%未満では、瞬時透水性、耐久透水性が低下することがある。一方、透水性付与剤の不揮発分の付着率が2重量%を超えると、繊維をカード処理する時に巻付きが多くなって生産性が大幅に低下し、乾式法等の方法により得られた不織布等の繊維製品が透水後にベトツキが大きくなることがある。
不織布製造用疎水性合成繊維(繊維本体)としては、たとえば、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、塩ビ繊維、2種類以上の熱可塑性樹脂からなる複合繊維等であり、複合繊維の組み合わせとしては、ポリオレフィン系樹脂/ポリオレフィン系樹脂の場合、例えば、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、直鎖状高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレンと他のα−オレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ポリプロピレン、直鎖状高密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン等が挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂の場合、例えば、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、直鎖状高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。また、ポリエステル系樹脂/ポリエステル系樹脂の場合、例えば、共重合ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。さらにポリアミド系樹脂/ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂等からなる繊維も例示することができる。これら不織布製造用疎水性合成繊維(繊維本体)のなかでも、付着した透水性付与剤が尿や体液等の液体によって脱落がし難いという理由から、不織布製造用ポリオレフィン系繊維(ポリオレフィン繊維やポリオレフィン繊維を含む複合繊維)、不織布製造用ポリエステル系繊維(ポリエステル繊維やポリエステル繊維を含む複合繊維)等の疎水性合成繊維に本発明の透水性付与剤は好適であり、さらには不織布製造用ポリオレフィン系繊維に本発明の透水性付与剤は好適である。
繊維の断面構造は鞘芯型、並列型、偏心鞘芯型、多層型、放射型あるいは海島型が例示できるが、繊維製造工程での生産性や、不織布加工の容易さから、偏心を含む鞘芯型または並列型が好ましい。また、断面形状は円形または異形形状とすることができる。異形形状の場合、例えば扁平型、三角形〜八角形等の多角型、T字型、中空型、多葉型等の任意の形状とすることができる。
本発明の透水性付与剤は、そのまま希釈等せずに繊維本体に付着させてもよく、水等で不揮発分全体の重量割合が0.5〜5重量%となる濃度に希釈してエマルジョンとして繊維本体に付着させてもよい。透水性付与剤を繊維本体へ付着させる工程は、繊維本体の紡糸工程、延伸工程、捲縮工程等のいずれであってもよい。本発明の透水性付与剤を繊維本体に付着させる手段については、特に限定はなく、ローラー給油、ノズルスプレー給油、ディップ給油等の手段を使用してもよい。繊維の製造工程やその特性に合わせ、より均一に効率よく目的の付着量が得られる方法を採用すればよい。また、乾燥の方法としては、熱風および赤外線により乾燥させる方法、熱源に接触させて乾燥させる方法等を用いてよい。
〔不織布の製造方法〕
不織布の製造方法として、特に限定なく、公知の方法を採用できる。原料繊維としては短繊維や長繊維を用いることができる。原料繊維が短繊維のウェブ形成方式としては、カード方式やエアレイド方式等の乾式法や抄紙方式等の湿式法が挙げられる。また原料繊維が長繊維のウェブ形成方式としては、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法等が挙げられる。また、繊維間結合方式としては、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、スティッチボンド法等が挙げられる。
本発明の不織布の製造方法は、本発明の透水性繊維(例えば短繊維)をカード機等に通し繊維ウェブを作製し、得られた繊維ウェブを熱処理する工程を含むものが好ましい。すなわち、本発明の透水性付与剤は、不織布の製造において繊維ウェブを熱処理する工程を有する場合に、特に好適に使用されるものである。
繊維ウェブを熱処理して接合させる方法としては、加熱ロールまたは超音波によるによる熱圧着、加熱空気による熱融着、熱圧着点(ポイントボンディング)法等の熱融着法が挙げられる。繊維ウェブを熱処理して接合させる一例としては、芯に高融点の樹脂を使用し鞘に低融点の樹脂を使用する鞘芯型の複合繊維の場合、低融点の樹脂の融点付近で熱処理することで、繊維交点の熱接着を容易に行なうことができる。
不織布の製造方法としては、透水性付与剤が付与された短繊維をカード機等に通しウェブとしたものを上述のように熱処理して接合させ一体化する方法、エアレイド法でパルプ等を積層する際に本発明の透水性繊維(短繊維)と混綿して、上述のように熱処理して接合させる方法等も挙げられる。その他、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法等により得られた繊維成形体に対して、本発明の透水性付与剤を付着させたものを加熱ロールまたは加熱空気等で熱処理して、または加熱ロールまたは加熱空気等で熱処理したものに本発明の透水性付与剤を付着させて、不織布を製造する方法も挙げられる。
スパンボンド法の一例としては、複合繊維樹脂を紡糸し、次に、紡出された複合長繊維フィラメントを冷却流体により冷却し、延伸空気によってフィラメントに張力を加えて所期の繊度とする。その後、紡糸されたフィラメントを捕集ベルト上に捕集し、接合処理を行ってスパンボンド不織布を得る。接合手段としては、加熱ロールまたは超音波によるによる熱圧着、加熱空気による熱融着、熱圧着点(ポイントボンディング)法等がある。
得られたスパンボンド不織布に本発明の透水性付与剤を付与する方法としては、グラビア法、フレキソ法、ゲートロール法等のロールコーティング法、スプレーコーティング法等で行うことができるが、不織布への塗布量を片面ずつ調節できるものであれば特に限定されるものではない。また、乾燥の方法としては、熱風および赤外線により乾燥させる方法、熱源に接触させて乾燥させる方法等を用いてよい。
〔透水性繊維の物性〕
本発明の透水性繊維は、液戻り防止性に優れた物性を有している。透水性繊維の液戻り量は、通常1.2g以下、好ましくは1.0g以下、さらに好ましくは0.8g以下、より好ましくは0.6g以下、特に好ましくは0.4g以下、最も好ましくは0.2g以下である。
本発明の透水性繊維は、耐久透水性に優れている。透水性繊維の耐久透水性評価は、繰り返しの評価が3回目において生理食塩水の消失時間を20箇所で測定し、消失時間5秒未満となる箇所の個数は、通常10個以上、好ましくは12個以上、さらに好ましくは14個以上、より好ましくは16個以上、特に好ましくは18個以上、最も好ましくは20個である。
本発明の透水性繊維は、安全性に優れている。衛生材料用途では、人体に直接接することから、高い安全性が求められている。透水性繊維の安全性を評価するためには、細胞毒性(IC50)試験を実施し、70%以上が好ましい。本発明の透水性付与剤を繊維本体に付着させることによって、上記物性が得られる。
以下に本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、各実施例および比較例における評価項目と評価方法は以下の通りである。なお、例中の「部」および「%」とあるのは、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
(実施例1〜10および比較例1〜11)
表1および2に示す各成分および水を混合して、透水性付与剤全体に占める不揮発分の重量割合が25重量%の実施例1〜10、比較例1〜11の透水性付与剤をそれぞれ調製した。得られた透水性付与剤をそれぞれ約60℃の温水で不揮発分の重量割合が0.8重量%の濃度になるよう希釈して希釈液を得た。
次に、繊維本体300gに対しそれぞれの透水性付与剤の希釈液150gをスプレーで付着させ、透水性繊維に付着する透水性付与剤の不揮発分の付着量を0.4重量%にした。繊維本体は、透水性付与剤等の繊維処理剤が付着していない、ポリプロピレン(芯)−ポリエチレン(鞘)系複合繊維であり、単繊維繊度が1.5Dtex、繊維長が38mmのものであった。それぞれの透水性付与剤の希釈液を付着させた繊維を、60℃の温風乾燥機の中に2時間入れた後、室温で8時間以上放置して乾燥させて、透水性繊維を得た。
得られた透水性繊維をそれぞれ混打綿工程およびカード試験機を用いたカード工程に通し、目付30g/mのウェブを作製した。その際、それぞれの透水性繊維について、下記に示す評価方法でカード工程における物性(カード通過性:シリンダー巻付きおよびスカム発生の有無)を評価した。得られたウェブをエァースルー型熱風循環乾燥機中130℃で熱処理してウェブを固定し、不織布を得た。得られた不織布について、下記に示す評価方法で物性(瞬時透水性、耐久透水性および液戻り防止性)をそれぞれ評価した。その結果を表3および4に示す。
〔評価方法〕
(1)シリンダー巻付き
カード試験機を用いて30℃×70%RHの条件で試料短繊維40gをカーディングした後にシリンダーを観察し、以下の基準で評価した。なお、5が最も良い評価である。
5…巻付きなし、4…シリンダー面の1/10に巻付きあり、3…シリンダー面の1/5に巻付きあり、2…シリンダー面の1/3に巻付きあり、1…全面に巻付きあり
(2)スカム発生の有無
カード試験機を用いて30℃×70%RHの条件で試料短繊維200gをカーディングした後にローラーに付着したスカムを観察し、スカム発生の有無を評価した。
(3)ネップ発生の数
カード試験機を用いて25℃×65%RHの条件で試料短繊維20gをカーディングした後にウェブを観察し、発生したネップ数を数えた。なお、ネップ数0が最も優れる。
(4)不織布の瞬時透水性
不織布を濾紙(東洋濾紙、No.5)の上に重ね、不織布表面から10mmの高さに設置したビューレットより1滴(約0.05ml)の生理食塩水を滴下して、不織布表面から水滴が消失するまでの時間を測定する。不織布表面の20箇所でこの測定を行って5秒未満の個数を表示する。この個数が18個以上であれば瞬時透水性は良好である。
(5)不織布の耐久透水性
不織布(10cm×10cm)を市販の紙おむつに重ね、その上に内径60mmの円筒を置き、生理食塩水80mlを円筒内に注入して不織布を通して紙おむつに吸収させた。注水後3分間放置した後に、不織布を2枚の濾紙(東洋濾紙、No.5)の間に挟み、その上に板(10cm×10cm)と重り(合計3.5kg)を乗せて3分間放置して脱水し、その後さらに5分間風乾した。風乾後の試料不織布に上記円筒内で生理食塩水が通過した箇所について、不織布の瞬時透水性の試験方法によって、生理食塩水の消失時間を20箇所で測定し、消失時間5秒未満の個数を表示した。この個数が18個以上であれば耐久透水性は良好である。試験に供した不織布について、同様の作業を繰り返して行う。この繰り返し試験では回数を重ねても生理食塩水の消失個数(消失時間5秒未満となる箇所の個数)が多い方がよい。
(6)不織布の液戻り防止性
市販の紙おむつの上に不織布(10cm×10cm)を置き、さらにその上に内径60mmの円筒を置き、生理食塩水100mlを円筒内に注入して不織布を通して紙おむつに吸収させた。生理食塩水が全て紙おむつに吸収されたら円筒を取り除き、予め秤量した濾紙(東洋濾紙、No.5)を20枚重ね、これに5kgの荷重を乗せた。5分間放置後、濾紙の重さを計り、重量増加分を測定して液戻り量(g)とした。1.2g以下を許容範囲としているが、1.0g以下が望ましい。
(7)細胞毒性試験(IC50
細胞株はV79細胞を用いるコロニー形成法により、水抽出液3〜100%の濃度範囲で検討し、コロニー形成を50%阻害する濃度(%)をIC50とした。抽出条件および処理条件等は「第15改正 日本薬局方 2006年度」のプラスチック製医薬品容器試験法の細胞毒性試験に準拠して実施した。合否の判定は、濃度70%以上を合格(○)とし、70%未満を不合格(×)とした。
(8)透水性繊維に付着する透水性付与剤の付着率
透水性繊維に付着する透水性付与剤の不揮発分の付着率は、25℃×40%RHの温湿度で24時間調湿した透水性繊維(W1)を、メタノールを用いて、迅速残脂抽出装置R−11型(東海計器(株)製)で抽出し、透水性付与剤の不揮発分の付着量(W2)を求めた。そして下記の式より、透水性付与剤の不揮発分の付着率C%を求めた。
C=W2/W1×100(%)
Figure 0005650991
成分a1、a2:ステアリルアルコールとポリオキシエチレン(10モル)ステアリルエーテルと無水マレイン酸をそれぞれ等モルで混合して、触媒として少量のp−トルエンスルホン酸を加えて、110℃で3時間反応させ、210℃で3時間さらに反応させた。GPC(ゲル透水クロマトグラフ)分析より算出した反応物中の成分a1(ステアリルアルコールとポリオキシエチレン(10モル)ステアリルエーテルのマレイン酸エステル)の含有量は60重量%であった。残り40重量%は副生成物である成分a2(ジステアリルアルコールのマレイン酸エステル約20重量%、ジポリオキシエチレン(10モル)ステアリルエーテルのマレイン酸エステル約20重量%)であった。
成分a1、a2:C24〜26アルコールとポリオキシエチレン(15モル)ステアリルエーテルと無水マレイン酸をそれぞれ等モルで混合して、触媒として少量のp−トルエンスルホン酸を加えて、110℃で3時間反応させ、210℃で3時間さらに反応させた。GPC(ゲル透水クロマトグラフ)分析より算出した反応物中の成分a1(C24〜26アルコールとポリオキシエチレン(15モル)ステアリルエーテルのマレイン酸エステル)の含有量は60重量%であった。残り40重量%は副生成物である成分a2(ジC24〜26アルコールのマレイン酸エステル約20重量%、ジポリオキシエチレン(15モル)ステアリルエーテルのマレイン酸エステル約20重量%)であった。
なお、GPC分析は、下記方法により行った。
<GPC分析>
東ソー(株)製高速ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC−8220GPCを用い、試料濃度2mg/ccで分離カラム(昭和電工(株)製Shodex(登録商標)KF−G、KF−402HQ)に注入し、RI検出器で測定されたピークの面積より各成分の重量比率を算出した。
成分b1:ラウリルホスフェートカリウム塩
成分b2:トリデシルホスフェートカリウム塩
成分b3:ポリオキシエチレン2モルセチルホスフェートカリウム塩
成分c1:イソオクチルパルミテート
成分c2:イソオクチルステアレート
成分d1:ジ椰子アルキルスルホサクシネートナトリウム塩
成分d2:ジトリデシルスルホサクシネートナトリウム塩
成分d1:ポリオキシエチレン(20モル)カスターワックスのマレイン酸縮合物の水酸基1モル当量あたりステアリン酸1モル当量で封鎖したエステル
成分d2:ポリオキシエチレン(20モル)カスターワックスのマレイン酸縮合物の水酸基1モル当量あたりベヘン酸1モル当量で封鎖したエステル
成分d1:ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド
成分d2:1−ヒドロキシエチル−1−エチル−2−オレイルイミダゾリニウムエチルサルフェート
成分d3:ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン
成分d4:2−ラウリル―N―カルボキシメチル―N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン
成分d5:ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン
成分d6:ステアリン酸ジエタノールアミド
成分e:ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン変性シリコーン(Si含有率:65%、POE含有率:100%、分子量:10000)。なお、POE含有率は、ポリオキシアルキレン中のポリオキシエチレンの含有率(重量%)を示す。
Figure 0005650991
成分b4:ステアリルホスフェートカリウム塩
成分f1:ポリオキシエチレンベヘン酸ジエチレントリアミンのエピクロルヒドリンを反応させたカチオン化物(ポリオキシエチレン基の数:15)
成分f2:ポリオキシエチレン(10モル)ベヘン酸ジエタノールアミド
成分f3:ポリオキシエチレン(20モル)カスターワックスのマレイン酸縮合物(未封鎖物)
Figure 0005650991
Figure 0005650991
表3から明らかなように、実施例1〜10の本発明の透水性付与剤を給油した透水性繊維は、カード通過性が良好であり、透水性不織布の瞬時透水性、耐久透水性および液戻り量も少なく良好であった。さらには、細胞毒性試験にも合格した。この透水性付与剤を付与すれば、繊維に瞬時透水性、耐久透水性、および液戻り防止性を付与し、さらに皮膚への刺激性も低減することができ、本発明の効果が確認された。一方、表4から明らかなように、これらの成分組成範囲から外れる比較例1〜11は、総ての必要特性を満足することはできなかった。
本発明の透水性付与剤は、疎水性の合成繊維に対して、透水性を付与するときに有効である。本発明の透水性繊維は、カード工程で優れた通過性を有しており、さらに得られた不織布は、瞬時透水性、耐久透水性、液戻り防止性を併せ持ち、かつ安全性にも優れたものである。従って、本発明の透水性付与剤及び透水性繊維は、高品位の不織布を製造するために有効である。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で示されるポリエーテルポリエステル化合物(A)を必須成分として含有する、透水性付与剤。
    Figure 0005650991
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立して、1価の脂肪族アルコールからOH基を除いた残基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、aは1〜100の整数であり、Rは2価の有機基である。)
  2. 下記一般式(2)で示されるアルキルホスフェート塩(B)をさらに含有する、請求項1に記載の透水性付与剤。
    Figure 0005650991
    (式中、Rは炭素数6〜22のアルキル基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であって、bは0〜15の整数であり、nは1〜2の整数であり、Yは水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオンおよびトリエタノールアンモニウムイオンからなる群から選択されるイオン性残基である。)
  3. 前記ポリエーテルポリエステル化合物(A)と前記アルキルホスフェート塩(B)との重量比(A/B)が、5/95〜80/20である、請求項2に記載の透水性付与剤。
  4. 前記透水性付与剤の不揮発分全体に占めるポリエーテルポリエステル化合物(A)の重量割合が5〜60重量%であり、前記アルキルホスフェート塩(B)の重量割合が5〜80重量%である、請求項2または3に記載の透水性付与剤。
  5. エステル油および鉱物油から選ばれる少なくとも1種の平滑剤(C)をさらに含有し、前記透水性付与剤の不揮発分全体に占める前記平滑剤(C)の重量割合が0.2〜40重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の透水性付与剤。
  6. 前記エステル油が、1価アルコールおよび/または1価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)エーテル化合物と脂肪酸とから得られる脂肪酸エステル、および多価アルコールおよび/または多価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)エーテル化合物と脂肪酸とから得られる脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種であり、前記鉱物油が、マシン油、スピンドル油および流動パラフィンから選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の透水性付与剤。
  7. ジアルキルスルホサクシネート塩(D1)、ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルとジカルボン酸との縮合物の少なくとも1つの水酸基を脂肪酸で封鎖したエステル(D2)および含窒素系界面活性剤(D3)から選ばれる少なくとも1種の成分(D)をさらに含み、前記透水性付与剤の不揮発分全体に占める前記成分(D)の重量割合が0.2〜40重量%である、請求項1〜6のいずれかに記載の透水性付与剤。
  8. 不織布製造用疎水性合成繊維に用いられる、請求項1〜7のいずれかに記載の透水性付与剤。
  9. 不織布製造用疎水性合成繊維に対して、請求項1〜8のいずれかに記載の透水性付与剤を付着させた、透水性繊維。
  10. 請求項9に記載の透水性繊維を集積させて繊維ウェブを作製し、得られた繊維ウェブを熱処理する工程を含む、不織布の製造方法。
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