JP4139130B2 - 繊維処理剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は繊維処理剤に関し、特にスパンレース法による不織布の製造に用いる繊維の処理用として好適な繊維処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、不織布の製造法として、繊維状物をバインダーによって接合する方法(接着法)、繊維状物のウェブにニードルパンチングを施して繊維相互を交絡させる方法(ニードルパンチング法)等が知られているが、繊維状物をジェット水流によって相互に交絡させるスパンレース法は、ニードルパンチング法と比較して繊維損傷が少なく、強度、伸度、タフネス等の物理特性やドレープ性に優れ、また接着法のようにバインダーを使用していないため安全面での利点があり、衛生材料、医療品、日常品等の各種分野への利用に好適な不織布を得ることができる。
【0003】
スパンレース法により不織布を製造する工程は、未結合繊維のウェブを製造する工程と、ジェット水流により繊維を交絡させる工程とに大別される。未結合ウェブの製造工程では、通常、カーディング機が用いられており、カーディング機を通過し易いような摩擦特性、帯電防止性能を繊維に付与できることが繊維処理剤に要求されている。一方、ジェット水流により繊維相互を交絡させる工程では、ウェブの繊維間隙へジェット水流が浸透し易いような水浸透性を繊維に付与することが要求されるため、繊維処理剤には繊維に親水性を付与できるような特性が要求されるとともに、気泡やスカムが発生し難く、しかもジェット水流に使用する循環水を汚濁し難い等の物性を有することが要求される。スパンレース法により不織布を製造する工程は通常、カーディング機によるウェブ製造工程と、ジェット水流による交絡工程とが一連の連続した工程として行われるため、繊維処理剤は上記したウェブ製造工程において要求される特性と、交絡工程において要求される特性を同時に有していることが必要とされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、不織布製造用繊維の処理剤としては、アルキルリン酸エステル塩やアルキルサルフェートを主成分とし、必要に応じて、これらとポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン系界面活性剤を併用したものが用いられている。
【0005】
これらの化合物を、スパンレース法による不織布製造用繊維の処理剤として用いた場合、ウェブ製造工程におけるカーディング機の通過性を向上することはできるものの、交絡工程におけるジェット水流によって繊維から脱落した繊維処理剤によって、ジェット水流を生じさせるための循環水が泡立ち、作業性の低下をきたし易いという問題があった。循環水の起泡を防止するためには循環水中に、疎水性シリコーン、鉱物油、ポリオキシアルキルアルキルエーテル等の化合物を消泡剤として添加したり、繊維処理剤の主成分として、分子骨格にアルキル基を持たないポリプロピレングリコール、プルロニック型非イオン界面活性剤等を用いることが挙げられる。
【0006】
しかしながら、循環水中に消泡剤を添加する方法は、ジェット水流によって繊維から脱落した繊維処理剤とジェット水流による乳化作用によって、添加した消泡剤が乳化され易くなるため、消泡剤による充分な消泡作用が発現されなかったり、消泡作用の持続性が低い等の問題があった。一方、繊維処理剤としてポリプロピレングリコール、プルロニック型非イオン界面活性剤等を用いた場合、これらの界面活性剤は一般に繊維に対する平滑性、柔軟性の付与能が低いため、交絡工程において起泡し難い反面、ウェブ製造工程におけるカーディング機の通過性が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、繊維に対して優れた平滑性、柔軟性を付与できるとともに、スパンレース法による不織布製造の際のジェット水流による交絡工程において起泡を生じる虞れのない繊維処理剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明のスパンレース法不織布製造用繊維処理剤は、(A)成分として、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、スベリン酸より選ばれた少なくとも1種を二塩基酸成分とし、分子量200〜15000のポリオキシエチレングリコール及び分子量1000〜15000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールをジオール成分とする二塩基酸とジオールとのエステル化合物と、(B)成分として、アルキルリン酸エステル塩、エチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸エステル塩より選ばれた少なくとも1種とを含有し、(A)成分と(B)成分とを重量比で(A):(B)=40:60〜90:10の割合で含有することを特徴とする。
【0009】
本発明の繊維処理剤において、(B)成分としては、アルキル基の炭素数6〜10のアルキルリン酸エステルのカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、アルキル基の炭素数4〜8であるエチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸のカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の繊維処理剤における(A)成分である、二塩基酸とジオールとのエステル化合物を構成する二塩基酸としては、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、スベリン酸等が挙げられる。またジオールとしては、エチレンオキシドを重合して得られるポリオキシエチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム共重合体又はブロック共重合体であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが挙げられる。本発明において、(A)成分は上記二塩基酸とジオールとを触媒の存在下で加熱して脱水縮合しエステル化させる等の方法で得られる。触媒としてはp−トルエンスルホン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。エステル化反応に際し、二塩基酸、ジオールは各々2種以上混合して用いることができる。(A)成分を得るには、二塩基酸とジオールとを二塩基酸/ジオール=2モル/1モル〜1モル/2モルの比率、更に好ましくは1モル/1モル〜1モル/2モルの比率で反応させることが好ましい。
【0011】
本発明において、上記(A)成分は、二塩基酸成分が、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、スベリン酸の1種又は2種以上であり、ジオール成分が、分子量200〜15000のポリオキシエチレングリコール及び分子量1000〜15000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールである構造を有するエステル化合物である。このようなエステル化合物は、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、スベリン酸の1種又は2種以上と、分子量200〜15000のポリオキシエチレングリコールとから得られるエステル化合物と、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、スベリン酸の1種又は2種以上と、分子量1000〜15000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとから得られるエステル化合物を混合して調整することができる。また、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、スベリン酸の1種又は2種以上と、分子量200〜15000のポリオキシエチレングリコール、分子量1000〜15000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとの混合物とから得たものでも、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、スベリン酸の1種又は2種以上と、分子量200〜15000のポリオキシエチレングリコール又は分子量1000〜15000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの一方を反応させた後、他方を反応させて得たものでも良い。また分子量200〜15000のポリオキシエチレングリコール、分子量1000〜15000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、それぞれ2種以上の異なる化合物を用いることができる。
【0012】
本発明において、(B)成分であるアルキルリン酸エステル塩、エチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸エステル塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。アルキルリン酸エステル塩は、脂肪族アルコールに、五酸化リンや塩化ホスホリル等のリン酸化剤を付加反応させて得たアルキルリン酸エステルを、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカリで中和することにより得られる。またエチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸エステル塩は、エチレングリコールモノアルキルエーテルに同様のリン酸化剤を反応させた後、同様のアルカリで中和することにより得られる。上記アルキルリン酸エステル塩、エチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸エステル塩は、2種以上を混合して用いることができる。尚、本発明においてアルキルリン酸エステル塩やエチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸エステル塩とは、アルキルリン酸エステルやエチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸エステルを、完全にアルカリで中和して得られる中性塩でなくても良く、未中和部分を含む酸性塩であっても良い。上記アルキルリン酸エステル塩やエチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸エステル塩は、それらの1.0重量%水溶液のpHが4.5〜8.0であるものが好ましく、更に5.5〜7.5であるものが好ましい。
【0013】
本発明において、アルキルリン酸エステル塩としては、アルキル基の炭素数が6〜10のアルキルリン酸のカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩の1種又は2種以上を用いることが好ましい。また、エチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸エステル塩としては、アルキル基の炭素数が4〜8のエチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸エステルのカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩の1種又2種以上を用いることが好ましい。
【0014】
上記アルキルリン酸エステル塩を得るための脂肪族アルコールとしては、炭素数6〜10のヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール等の直鎖アルコールや、2−エチルヘキシルアルコール等の分岐アルコール等を用いることができる。またエチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸エステル塩を得るための炭素数4〜8のアルキル基を持つエチレングリコールモノアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル等の直鎖エチレングリコールモノアルキルエーテルの他、分岐エチレングリコールモノアルキルエーテル等も用いることができる。アルキル基の炭素数が6未満のアルキルリン酸エステル塩やアルキル基の炭素数が4未満のエチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸エステル塩を用いた場合には、充分な帯電防止性能が得られ難く、またアルキル基の炭素数が10を超えるアルキルリン酸エステル塩やエチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸エステル塩を用いると起泡し易くなる。
【0015】
本発明の繊維処理剤は、上記(A)成分と(B)成分とを、重量比で(A):(B)=40:60〜90:10の割合で含有するが、(A):(B)=40:60〜75:25で含有することが好ましい。(A)成分の割合が上記範囲より少ないと消泡性が低下し、(A)の割合が上記範囲より多いと帯電防止性能とカード工程の通過性が低下する。尚、上記したようにアルキルリン酸エステル塩やエチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸エステル塩は、脂肪族アルコールやエチレングリコールモノアルキルエーテルにリン酸化剤を反応させて得たアルキルリン酸エステルやエチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸エステルをアルカリで中和して得られる。また未中和のアルキルリン酸エステルやエチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸エステルを、前記(A)成分及びアルカリとともに配合し、結果として繊維処理剤中有にアルキルリン酸エステル塩やエチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸エステル塩が形成されるようにしても良い。
【0016】
本発明の処理剤中には、必要によりプロピレングリコール等の可溶化剤を配合することができる。可溶化剤を添加することにより、処理剤が混濁したり分離したりするのを防止することができる。可溶化剤は本発明処理剤中の割合が20重量%以下となるように添加することが好ましい。
【0017】
本発明の繊維処理剤により繊維を処理する場合、本発明の繊維処理剤が繊維に0.01〜2.0重量%付着するように処理することが好ましい。繊維処理の方法としては、ディップ、シャワー等が挙げられる。本発明の繊維処理剤により処理し得る繊維としては、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン等の熱可塑性合成繊維や、これらの合成繊維を芯とし、ポリエチレン等の樹脂を鞘として構成した複合繊維等が挙げられる。
【0018】
本発明の繊維処理剤は繊維の平滑性、柔軟性を必要する如何なる繊維の処理用として用いることができるが、特にスパンレース法による不織布製造に用いる繊維の処理用として好適である。
【0019】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
セバシン酸1モル当たりに対し、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ランダム重合体:平均分子量13000、エチレンオキシド成分比75重量%)0.1モル、ポリエチレングリコール(平均分子量600)0.5モル、ポリエチレングリコール(平均分子量400)0.4モルを、攪拌機付の4つ口フラスコ中で加熱して脱水縮合し、(A)成分のエステルを得た。このエステル40重量部と、(B)成分としてオクチルリン酸カリウム8重量部及びエチレングリコールモノブチルエーテルリン酸エステルカリウム塩12重量部、更に可溶化剤としてプロピレングリコール10重量部を配合して処理剤Aとした。
【0020】
上記処理剤Aの0.4重量%水溶液を調製し、この処理液をポリエステル短繊維(2.2dtex×51mm)に0.2重量%付与(処理剤の有効成分換算)した後、80℃で1時間乾燥させて処理原綿とした。処理後のポリエステル繊維原綿を開綿した後、フラットカード(オートリ-ツルッシュラー社製 TSKカード)を使用し、毎分40mの速度でカード工程を通過させてウェブを作製した。カード工程におけるウェブの紡出状態(カーディング機通過性)、カーディング機のドッファーからウェブが紡出した際にウェブに発生した静電気量、得られたウェブの状態を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
【0021】
カーディング機通過性:
○・・カーディング機のシリンダーへの繊維の巻き付き、沈み込みが認められない。
×・・カーディング機のシリンダーへの繊維の巻き付き、沈み込みがあり、ドッファーへの巻き上がりが多い。
【0022】
静電気発生量:
カーディング工程におけるドッファーから紡出される繊維ウェブ表面の発生静電気量を測定し、
○・・・発生静電気量が0〜−200V超
×・・・発生静電気量が−200〜−500V
として評価した。
【0023】
ウェブの状態:
○・・・得られたウェブは安定して均一な地合を有している。
×・・・得られたウェブには地合むらが多い。
【0024】
【表1】
【0025】
また処理剤の水溶液の透明性、ロスマイルス法による起泡性及びホモミキサー法による起泡性を以下のようにして試験した。結果を表1にあわせて示す。
【0026】
水溶液の透明性:
処理液にイオン交換水を添加して0.15%水溶液を調製し、この水溶液の外観を目視により以下の基準で評価した。
A:完全に透明
B:僅かに帯青乳白色を呈している。
C:白濁している。
【0027】
ロスマイルス法による起泡性
JIS K3362に準拠して測定した。
【0028】
ホモミキサー法による起泡性:
繊維処理剤の15重量%水溶液(30℃)300mlを500mlのビーカーに入れ、ホモミキサーで6000rpmで5分間撹拌し、撹拌停止直後から5分経過後までの泡高さを測定した。
【0029】
実施例2
セバシン酸1モル当たりに対し、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ランダム重合体:平均分子量13000、エチレンオキシド成分比75重量%)0.2モル、ポリエチレングリコール(平均分子量600)0.8モルを、攪拌機付の4つ口フラスコ中で加熱して脱水縮合し、(A)成分のエステルを得た。このエステル30重量部と、(B)成分としてオクチルリン酸カリウム15重量部及びエチレングリコールモノブチルエーテルリン酸エステルカリウム塩10重量部、更に可溶化剤としてプロピレングリコール10重量部を配合して処理剤Bとした。
【0030】
上記処理剤Bの0.4重量%水溶液を調製し、この処理液により実施例1と同様にしてポリエステル繊維を処理した後、処理後のポリエステル繊維を用いて実施例1と同様にしてウェブを製造した。カード工程におけるウェブの紡出状態(カーディング機通過性)、カーディング機のドッファーからウェブが紡出した際にウェブに発生した静電気量、得られたウェブの状態を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
【0031】
また処理剤の水溶液の透明性、ロスマイルス法による起泡性及びホモミキサー法による起泡性を実施例1と同様にして試験した。結果を表1にあわせて示す。
【0032】
実施例3
セバシン酸1モル当たりに対し、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ランダム重合体:平均分子量13000、エチレンオキシド成分比75重量%)0.2モル、ポリエチレングリコール(平均分子量600)0.8モルを、攪拌機付の4つ口フラスコ中で加熱して脱水縮合し、(A)成分のエステルを得た。このエステル60重量部と、(B)成分としてオクチルリン酸アンモニウム35重量部及びエチレングリコールモノブチルエーテルリン酸エステルカリウム塩5重量部を配合して処理剤Cとした。
【0033】
上記処理剤Cの0.8重量%水溶液を調製し、この処理液により実施例1と同様にしてポリエステル繊維を処理した後、処理後のポリエステル繊維を用いて実施例1と同様にしてウェブを製造した。カード工程におけるウェブの紡出状態(カーディング機通過性)、カーディング機のドッファーからウェブが紡出した際にウェブに発生した静電気量、得られたウェブの状態を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
【0034】
また処理剤の水溶液の透明性、ロスマイルス法による起泡性及びホモミキサー法による起泡性を実施例1と同様にして試験した。結果を表1にあわせて示す。
【0035】
比較例1
ポリプロピレングリコール(平均分子量400)50重量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(平均分子量2000、エチレンオキシド成分比43重量%)20重量部、オクチルリン酸アンモニウム5重量部、エチレングリコールモノブチルエーテルリン酸エステルカリウム塩10重量部、プロピレングリコール10重量部を配合して処理剤Dとした。
【0036】
上記処理剤Dの0.8重量%水溶液を調製し、この処理液により実施例1と同様にしてポリエステル繊維を処理した後、処理後のポリエステル繊維を用いて実施例1と同様にしてウェブを製造した。カード工程におけるウェブの紡出状態(カーディング機通過性)、カーディング機のドッファーからウェブが紡出した際にウェブに発生した静電気量、得られたウェブの状態を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
【0037】
また処理剤の水溶液の透明性、ロスマイルス法による起泡性及びホモミキサー法による起泡性を実施例1と同様にして試験した。結果を表1にあわせて示す。
【0038】
比較例2
ポリエチレングリコール(平均分子量600)のオレイン酸エステル40重量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル(平均分子量1700)30重量部、ラウリルリン酸カリウム5重量部、エチレングリコールモノブチルエーテルリン酸エステルカリウム塩15重量部、プロピレングリコール10重量部を配合して処理剤Eとした。
【0039】
上記処理剤Eの0.8重量%水溶液を調製し、この処理液により実施例1と同様にしてポリエステル繊維を処理した後、処理後のポリエステル繊維を用いて実施例1と同様にしてウェブを製造した。カード工程におけるウェブの紡出状態(カーディング機通過性)、カーディング機のドッファーからウェブが紡出した際にウェブに発生した静電気量、得られたウェブの状態を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
【0040】
また処理剤の水溶液の透明性、ロスマイルス法による起泡性及びホモミキサー法による起泡性を実施例1と同様にして試験した。結果を表1にあわせて示す。
【0041】
比較例3
ラウリルリン酸カリウム90重量部、プロピレングリコール10重量部を配合して処理剤Fとした。
【0042】
この処理剤Fの0.8重量%水溶液を調製し、この処理液により実施例1と同様にしてポリエステル繊維を処理した後、処理後のポリエステル繊維を用いて実施例1と同様にしてウェブを製造した。カード工程におけるウェブの紡出状態(カーディング機通過性)、カーディング機のドッファーからウェブが紡出した際にウェブに発生した静電気量、得られたウェブの状態を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
【0043】
また処理剤の水溶液の透明性、ロスマイルス法による起泡性及びホモミキサー法による起泡性を実施例1と同様にして試験した。結果を表1にあわせて示す。
【0044】
比較例4
セバシン酸1モルに対し、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ランダム重合体:平均分子量13000,エチレンオキシド成分比率75重量%)0.2モル、ポリエチレングリコール(平均分子量600)0.8モルを、攪拌機付の4つ口フラスコ中で加熱して脱水縮合し(A)成分のエステルを得た。このエステル90重量部と、(B)成分としてエチレングリコールモノブチルエーテルリン酸エステルカリウム塩5重量部、及び可溶化剤としてプロピレングリコール5重量部を配合して処理剤Gとした。
【0045】
この処理剤Gの0.8重量%水溶液を調製し、この処理液により実施例1と同様にしてポリエステル繊維を処理した後、処理後のポリエステル繊維を用いて実施例1と同様にしてウェブを製造した。カード工程におけるウェブの紡出状態(カーディング機通過性)、カーディング機のドッファーからウェブが紡出した際にウェブに発生した静電気量、得られたウェブの状態を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
【0046】
また処理剤の水溶液の透明性、ロスマイルス法による起泡性及びホモミキサー法による起泡性を実施例1と同様にして試験した。結果を表1にあわせて示す。
【0047】
比較例5
セバシン酸1モルに対し、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ランダム重合体:平均分子量13000,エチレンオキシド成分比率75重量%)0.2モル、ポリエチレングリコール(平均分子量600)0.8モルを、攪拌機付の4つ口フラスコ中で加熱して脱水縮合し(A)成分のエステルを得た。このエステル90重量部と、(B)成分としてエチレングリコールモノブチルエーテルリン酸エステルカリウム塩5重量部、及び可溶化剤としてプロピレングリコール5重量部を配合して処理剤Hとした。
【0048】
この処理剤Hの0.8重量%水溶液を調製し、この処理液により実施例1と同様にしてポリエステル繊維を処理した後、処理後のポリエステル繊維を用いて実施例1と同様にしてウェブを製造した。カード工程におけるウェブの紡出状態(カーディング機通過性)、カーディング機のドッファーからウェブが紡出した際にウェブに発生した静電気量、得られたウェブの状態を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
【0049】
また処理剤の水溶液の透明性、ロスマイルス法による起泡性及びホモミキサー法による起泡性を実施例1と同様にして試験した。結果を表1にあわせて示す。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の繊維処理剤は、繊維に対して優れた柔軟性、平滑性を付与できるとともに、水溶液の起泡性が低い利点を有する。このため、本発明の繊維処理剤をスパンレース法による不織布の製造用繊維の処理用として用いた場合、未結合繊維のウェブの製造工程において、カーディング機の針布やシリンダー等に繊維が巻き付いたりする虞れがなく、効率よく優れたウェブを得ることができるとともに、ウェブの繊維をジェット水流によって交絡させる工程において循環水が泡立って作業性を低下させる虞れがない等の効果を有する。
Claims (2)
- (A)成分として、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、スベリン酸より選ばれた少なくとも1種を二塩基酸成分とし、分子量200〜15000のポリオキシエチレングリコール及び分子量1000〜15000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールをジオール成分とする二塩基酸とジオールとのエステル化合物と、(B)成分として、アルキルリン酸エステル塩、エチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸エステル塩より選ばれた少なくとも1種とを含有し、(A)成分と(B)成分とを重量比で(A):(B)=40:60〜90:10の割合で含有することを特徴とするスパンレース法不織布製造用繊維処理剤。
- (B)成分が、アルキル基の炭素数6〜10のアルキルリン酸エステルのカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、アルキル基の炭素数4〜8のエチレングリコールモノアルキルエーテルリン酸エステルのカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩より選ばれた少なくとも1種である請求項1記載のスパンレース法不織布製造用繊維処理剤。
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