JP6605833B2 - 不織布製造用処理剤とその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、不織布製造用処理剤、該処理剤が付着した短繊維、不織布及び不織布の製造方法に関する。
不織布に使用される繊維として、天然繊維と合成繊維とがある。
天然繊維は、繊維表面に油脂が付着しているため、不織布への加工時に処理剤が必要とされることが少ない。一方、合成繊維は繊維表面に何も付着していないため、潤滑性、集束性、帯電防止性などを付与する処理剤が目的に応じて使用されている。
不織布への加工時に使用される処理剤の帯電防止成分としては、硫酸エステル又は燐酸エステルを主体とする繊維処理剤が一般的である(特許文献1)。
近年、不織布加工技術の進歩に伴い、スパンレース法、エアレイド法、ニードルパンチ法、ケミカルボンド法及び抄紙法等の加工態様の多様化及び不織布加工速度の高速化が顕著になってきた。
硫酸エステル又は燐酸エステルを主体とする繊維処理剤を適用した場合、繊維から不織布へ加工する工程中で、静電気発生は抑制されているにも拘わらず、いずれの加工態様においても、不織布の地合いが不均一、すなわち、不織布の品質の低下が散見されるようになってきた。
特開2007−107131号公報
本発明者らは、不織布の品質の低下の原因を調査した結果、加工態様によって、次のように異なることが分かった。
硫酸エステル又は燐酸エステル等を主体とする繊維処理剤が付着した短繊維を、スパンレースや抄紙等の水を使用する生産工程に供すると、該処理剤の起泡により不織布加工途中のウェブが乱れることで不織布の品質の低下が生じていることが判明した。
また、ニードルパンチ及びケミカルボンド等の工程に供すると、絡合性が不足するために風綿が多く発生して、ウェブが不均一となることで不織布の品質の低下が生じていることが判明した。
エアレイドの工程に供すると、スリット等にスカムが蓄積し、均一に短繊維を降り積もらせることができなくなっていることが判明した。
繊維処理剤を不織布の加工態様に合わせて変えると、合成繊維製造の生産性の面から適切でない。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、絡合性及びスカム抑制に優れ、起泡の少ない不織布製造用処理剤、不織布加工時に絡合性及びスカム抑制に優れ且つ起泡の少ない短繊維、及び地合いの良好な不織布を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の炭素数の脂肪酸及び/又はその塩を特定量含む不織布製造用処理剤であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の不織布製造用処理剤は、炭素数が4〜11の脂肪酸及び/又はその塩である成分(A)、有機リン酸エステル及び/又はその塩である成分(B)及びノニオン性界面活性剤である成分(C)を含む不織布製造用処理剤であって、処理剤の不揮発分に占める前記成分(A)の重量割合が50〜95重量%、前記成分(B)の重量割合が1〜30重量%、前記成分(C)の重量割合が1〜30重量%であり、スパンレース用である、不織布製造用処理剤である。
前記脂肪酸が分岐脂肪酸であると好ましい。
記成分(A)の前記成分(B)に対する重量比(A/B)が1以上であると好ましい
本発明の短繊維は、原料短繊維に対して上記不織布製造用処理剤を付与してなる。
本発明の不織布は、上記短繊維を含有する。
本発明の不織布の製造方法は、上記短繊維を集積させて繊維ウェブを作製し、該繊維ウェブをスパンレース法で処理する工程を含む。
本発明の不織布製造用処理剤が付与された短繊維は、絡合性及びスカム抑制に優れ且つ起泡が少ないため、生産性を向上させることができ、本発明の不織布製造用処理剤が処理された短繊維を含む不織布は、地合が良好である。
本発明の不織布製造用処理剤が処理された短繊維を用いた不織布の製造方法であれば、不織布作製工程において、生産性を向上させることができる。
本発明の不織布製造用処理剤は、特定の成分(A)を特定量含む。以下に詳細に説明する。
[成分(A)]
成分(A)は、炭素数が4〜11の脂肪酸及び/又はその塩である。成分(A)は、泡が少なく、かつ、繊維−繊維間摩擦が適度であるため、不織布製造用処理剤に適用した場合に、スパンレース用途及び抄紙用途に特に優れる成分であり、制電性も優れるため、エアレイド用途にも好適である。成分(A)は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
また、成分(A)には消泡性も兼ね備えていることから、繊維処理剤に燐酸エステル等の起泡性の界面活性剤と併用しても、繊維処理剤全体として泡が少ない。
炭素数が4〜11の脂肪酸としては、直鎖脂肪酸と分岐脂肪酸のいずれであってもよいが、集束性と低起泡性を同時に満たす観点から、一定分子量があるために集束性に優れ、最長鎖が短いために低起泡性であるので、分岐脂肪酸が好ましい。
当該炭素数は4〜10が好ましく、6〜10がより好ましく、8〜10がさらに好ましい。炭素数が12以上であると、低起泡性に劣る。
炭素数が4〜11の直鎖脂肪酸の具体例としては、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸が挙げられる。
炭素数が4〜11の分岐脂肪酸の具体例としては、特に限定されないが、イソブタン酸、イソペンタン酸、イソヘキサン酸、イソヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、2−プロピルヘプタン酸、イソデカン酸、イソウンデカン酸、2,4,4−トリメチルペンタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸等が挙げられる。
炭素数が4〜11の脂肪酸の塩としては、特に限定されないが、アルカリ金属塩、アミン塩、アンモニウム塩、アルカリ金属以外の金属塩が挙げられる。中でも、アルカリ金属塩は、水に溶解するので、繊維処理剤を希釈液として使用できるために繊維上に均一に付与できるという観点から好ましい。
また、アルカリ金属塩の一部に、アルカリ金属以外の金属塩が含まれると、低起泡性の観点から好ましい。
アルカリ金属塩としては、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩が挙げられるが、コストの観点から、カリウム塩、ナトリウム塩が好ましい。
アミン塩としては、NRaRbRcRdで示される基が挙げられる。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基又はポリオキシアルキレン基である。アルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜2がさらに好ましい。ヒドロキシアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜2がさらに好ましい。ポリオキシアルキレン基としては、後述する一般式(1)の(AO)aと同様なものが挙げられる。NRaRbRcRdで示される基としては、例えばアンモニウム基、メチルアンモニウム基、エチルアンモニウム基、プロピルアンモニウム基、ブチルアンモニウム基、ヘキシルアンモニウム基、オクチルアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基、ジエチルアンモニウム基、ジプロピルアンモニウム基、ジブチルアンモニウム基、ジヘキシルアンモニウム基、ジオクチルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリプロピルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、トリヘキシルアンモニウム基、トリオクチルアンモニウム基、テトラメチルアンモニウム基、テトラエチルアンモニウム基、テトラプロピルアンモニウム基、テトラブチルアンモニウム基、テトラヘキシルアンモニウム基、テトラオクチルアンモニウム基、エチルトリメチルアンモニウム基、プロピルトリメチルアンモニウム基、ブチルトリメチルアンモニウム基、ヘキシルトリメチルアンモニウム基、オクチルトリメチルアンモニウム基、メタノールアンモニウム基、エタノールアンモニウム基、プロパノールアンモニウム基、ブタノールアンモニウム基、ヘキサノールアンモニウム基、オクタノールアンモニウム基、ジメタノールアンモニウム基、ジエタノールアンモニウム基、ジプロパノールアンモニウム基、ジブタノールアンモニウム基、ジヘキサノールアンモニウム基、ジオクタノールアンモニウム基、トリメタノールアンモニウム基、トリエタノールアンモニウム基、トリプロパノールアンモニウム基、トリブタノールアンモニウム基、トリヘキサノールアンモニウム基、トリオクタノールアンモニウム基等が挙げられる。これらの中でも、溶解性の点から、Mとしては、アンモニウム基、メチルアンモニウム基、エチルアンモニウム基、プロピルアンモニウム基、ブチルアンモニウム基、ジメタノールアンモニウム基、ジエタノールアンモニウム基、ジプロパノールアンモニウム基、ジブタノールアンモニウム基、トリメタノールアンモニウム基、トリエタノールアンモニウム基、トリプロパノールアンモニウム基、トリブタノールアンモニウム基が好ましく、アンモニウム基、ジメタノールアンモニウム基、ジエタノールアンモニウム基、トリメタノールアンモニウム基、トリエタノールアンモニウム基がさらに好ましい。
アルカリ金属以外の金属塩としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、鉛、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト等が挙げられる。
[成分(B)]
成分(B)は、有機リン酸エステル及び/又はその塩である。成分(B)は、湿潤時の金属−繊維間摩擦が低いため、不織布製造の前工程の繊維製造工程の工程通過性に優れ、制電性に優れるため、繊維製造後の不織布作製工程で工程通過性に優れる。
成分(B)は単独で使用すると起泡性が高い成分であるが、成分(A)が一定量以上含有されることにより、低起泡性が維持できる。
成分(B)は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。成分(B)としては、下記一般式(1)で示される化合物及び下記一般式(2)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、下記一般式(1)で示される化合物と下記一般式(2)で示される化合物をともに含むことがさらに好ましい。
Figure 0006605833
Figure 0006605833
一般式(1)及び一般式(2)中、mは1〜2の数である。Rは炭素数6〜24のアルキル基又はアルケニル基である。AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。aは0〜15の数である。分子内にR、(AO)が2つある場合には、お互いに同一であっても異なっていてもよい。)。Mは、水素原子、アルカリ金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基又はポリオキシアルキレン基である。Qは、M又はRO(AO)である。Yは1又は2である。
mは1〜2の整数である。m=2の場合、成分(B)はアルキルリン酸ジエステルまたはポリオキシアルキレンアルキルリン酸ジエステルとなる。これらを構成する2つの有機基[RO(AO)]−は、同一でもよく、異なっていてもよい。
は炭素数6〜24のアルキル基又はアルケニル基である。Rの炭素数は10〜18が好ましく、10〜16がより好ましく、10〜14がさらに好ましい。Rの炭素数が6未満又は24超では、制電性が不足する可能性がある。Rは直鎖状であっても分岐を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。Rは、直鎖のアルキル基であると、低粘着性であることによりスカム抑制が優れるため、好ましい。
Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示す。オキシアルキレン単位の繰り返し数であるaは0〜15の整数であり、制電性の観点から、0〜10が好ましく、0〜3がさらに好ましい。aが0である場合には、制電性が特に優れる。aが15超では、制電性が不足する可能性がある。(AO)aは、オキシアルキレン単位としてオキシエチレン単位を50モル%以上有するポリオキシアルキレン基が好ましい。
は、水素原子、アルカリ金属又はNRaRbRcRdで示される基である。アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等を挙げることができる。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基又はポリオキシアルキレン基である。アルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜2がさらに好ましい。ヒドロキシアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜2がさらに好ましい。ポリオキシアルキレン基としては、上記一般式(1)の(AO)aと同様なものが挙げられる。NRaRbRcRdで示される基としては、例えばアンモニウム基、メチルアンモニウム基、エチルアンモニウム基、プロピルアンモニウム基、ブチルアンモニウム基、ヘキシルアンモニウム基、オクチルアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基、ジエチルアンモニウム基、ジプロピルアンモニウム基、ジブチルアンモニウム基、ジヘキシルアンモニウム基、ジオクチルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリプロピルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、トリヘキシルアンモニウム基、トリオクチルアンモニウム基、テトラメチルアンモニウム基、テトラエチルアンモニウム基、テトラプロピルアンモニウム基、テトラブチルアンモニウム基、テトラヘキシルアンモニウム基、テトラオクチルアンモニウム基、エチルトリメチルアンモニウム基、プロピルトリメチルアンモニウム基、ブチルトリメチルアンモニウム基、ヘキシルトリメチルアンモニウム基、オクチルトリメチルアンモニウム基、メタノールアンモニウム基、エタノールアンモニウム基、プロパノールアンモニウム基、ブタノールアンモニウム基、ヘキサノールアンモニウム基、オクタノールアンモニウム基、ジメタノールアンモニウム基、ジエタノールアンモニウム基、ジプロパノールアンモニウム基、ジブタノールアンモニウム基、ジヘキサノールアンモニウム基、ジオクタノールアンモニウム基、トリメタノールアンモニウム基、トリエタノールアンモニウム基、トリプロパノールアンモニウム基、トリブタノールアンモニウム基、トリヘキサノールアンモニウム基、トリオクタノールアンモニウム基等が挙げられる。これらの中でも、溶解性の点から、M1としては、アンモニウム基、メチルアンモニウム基、エチルアンモニウム基、プロピルアンモニウム基、ブチルアンモニウム基、ジメタノールアンモニウム基、ジエタノールアンモニウム基、ジプロパノールアンモニウム基、ジブタノールアンモニウム基、トリメタノールアンモニウム基、トリエタノールアンモニウム基、トリプロパノールアンモニウム基、トリブタノールアンモニウム基が好ましく、アンモニウム基、ジメタノールアンモニウム基、ジエタノールアンモニウム基、トリメタノールアンモニウム基、トリエタノールアンモニウム基がさらに好ましい。
これらの中でも、本発明の効果をより発揮できる点から、成分(B)は、ラウリルホスフェートカリウム塩、セチルホスフェートカリウム塩、ステアリルホスフェートカリウム塩、ポリオキシエチレン2モル付加ラウリルホスフェートカリウム塩、ポリオキシエチレン3モル付加ラウリルホスフェートジエタノールアンモニウム塩、ポリオキシエチレン3モルステアリルホスフェートカリウム塩、ポリオキシエチレン5モルステアリルホスフェートカリウム塩が好ましく、ラウリルホスフェートカリウム塩、セチルホスフェートカリウム塩、ステアリルホスフェートカリウム塩、がさらに好ましい。
成分(B)は、一般式(1)においてn=1で示されるアルキルリン酸モノエステル化合物またはポリオキシアルキレンアルキルリン酸モノエステル(単にモノエステルということがある)、一般式(1)においてn=2で示されるアルキルリン酸ジエステル化合物またはポリオキシアルキレンアルキルリン酸ジエステル(単にジエステルということがある)、一般式(2)においてY=1で示されるピロリン酸エステル化合物、一般式(2)においてY=2で示されるトリリン酸エステル化合物の混合物であることが好ましい。なお、ピロリン酸エステル化合物とトリリン酸エステル化合物を合わせて、単にポリエステルということがある。
成分(B)の製造方法としては、特に限定はなく、公知の手法を採用できる。例えば、成分(B)の製造方法は、RO(AO)aHで示される有機ヒドロキシル化合物と無水燐酸Pとを反応させて反応物を得る工程(I)を含むものである。また、工程(I)において、無機燐酸や水を加えて反応してもよい。成分(B)の製造方法は、工程(I)の後、水を前記反応物に添加して加水分解する工程(II)を含んでもよい。工程(II)を含むことで、有機燐酸化合物である成分(B)に含まれるポリリン酸エステルの比率を調整することができる。前記反応物に添加する水の量は、前記有機ヒドロキシル化合物に対して、0.01〜1モルが好ましく、0.03〜0.8モルがより好ましく、0.05〜0.5モルがさらに好ましく、0.07〜0.3モルが特に好ましい。水の添加量が0.01モル未満及び1モル超では、ポリリン酸エステルの量の調節が困難となる場合がある。成分(B)の製造方法としては、工程(I)又は工程(II)の後、Mを有するアルカリ化合物で中和する工程(III)を含むことが好ましい。アルカリ化合物の量は、ヒドロキシ化合物に対して、0.3〜2モルが好ましく、0.4〜1.8がより好ましく、0.5〜1.7がさらに好ましく、0.6〜1.6が更に好ましい。中和度は酸価で測定することができる。成分(B)の酸価は、80KOHmg/g以下が好ましく、70KOHmg/g以下がより好ましく、50KOHmg/g以下がさらに好ましく、10〜40KOHmg/gが特に好ましい。尚、酸価は、水などの他の成分を含まない成分(B)単独での測定値を表す。
成分(B)は、無水リン酸や無機リン中の不純物由来としてヒ素などの重金属化合物を含んでいる。本発明の繊維処理剤は、ヒ素などの重金属化合物を含有してもよい。繊維処理剤の不揮発分に占める重金属化合物の重量割合は、人体への影響や環境への安全性の点から、0.01重量%以下が好ましく、0.005重量%以下がより好ましく、0.001重量%以下がさらに好ましい。
成分(B)を製造する際に、副生成物として、無機燐酸及び/又はその塩が生成する。本発明の繊維処理剤は、無機燐酸及び/又はその塩を含有してもよい。繊維処理剤の不揮発分に占める無機燐酸及び/又はその塩の重量割合は、制電性の点から、5重量%以下が好ましく、4重量%以下がより好ましく、3重量%以下がさらに好ましい。
成分(B)におけるモノエステル、ジエステル及びポリエステルの重量割合、並びに無機燐酸及び/又はその塩の重量割合は、31P−NMRにおけるリン原子由来のピークの積分比率から計算することができる。
〔成分(C)〕
成分(C)は、ノニオン性界面活性剤である。成分(C)は、濡れ性が良好なため、不織布製造の前工程の繊維製造工程の工程通過性に優れ、繊維に適度な集束性を付与できるため、繊維製造後の不織布作製工程で工程通過性に優れる。
成分(C)は単独で使用すると起泡性が高い成分であるが、成分(A)が一定量以上含有されることにより、低起泡性が維持できる。
成分(C)は、集束性の観点から、25℃で液状であることが好ましい。
ノニオン性界面活性剤の重量平均分子量については、特に限定はないが、好ましくは100〜1500、より好ましくは250〜1000、さらに好ましくは300〜800である。ノニオン性界面活性剤の重量平均分子量が100未満であると、絡合性が低下することがある。
一方、ノニオン性界面活性剤の重量平均分子量が1500超であると、絡合性が低下することがある。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C1)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(C2)、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル(C3)及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C4)が挙げられる。ノニオン性界面活性剤は、1種又は2種以上を使用してもよい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、たとえば、下記化学式(3)で表現することができる成分である。
−O−(AO)n1−H (3)
(化学式(3)中、Rはアルキル基、AOはオキシアルキレン基、n1はモル数であり、通常平均モル数で表記される。)
化学式(3)において、Rはアルキル基であれば特に制限はないが、Rの炭素数は、6〜20が好ましく、6〜10又は16〜20がより好ましい。6未満又は20超では、水への溶解性に劣り、本願効果が得られないことがある。
は直鎖でも分岐でも構わないが、分岐であると低起泡性に優れるため、好ましい。
としては、たとえば、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、ラウリル基、n−トリデシル基、ミリスチル基、2−エチルヘキシル基、iso−ウンデシル基、iso−トリデシル基、2−ドデシル基、3−ドデシル基、2−トリデシル基、3−トリデシル基等を挙げることができる。
化学式(3)において、AOはオキシアルキレン基であり、たとえば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等を挙げることができる。なかでも、オキシアルキレン基としては、制電性および濡れ性の点で、オキシエチレン基が好ましい。
オキシアルキレン基がオキシエチレン基を含む場合、オキシアルキレン基全体に占めるオキシエチレン基の割合は、好ましくは75モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
オキシアルキレン基が2種以上のオキシアルキレン基から構成される場合、それぞれ種類の異なるオキシアルキレン基の結合形式については、特に限定はなく、ブロック状、ランダム状、交互状のいずれの結合形式であってもよい。
化学式(3)において、n1はオキシアルキレン基の平均モル数を示し、一般には平均付加モル数ということもある。オキシアルキレン基の平均モル数は、C1成分1モル当たりに含まれるオキシアルキレン基の総モル数を意味する。n1は、1〜10がより好ましく、2〜8がさらに好ましく、2〜6が特に好ましい。15を超えると低起泡性が劣ることがある。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C1)としては、特に限定されないが、POE(10)ステアリルエーテル、POE(6)ステアリルエーテル、POE(10)イソステアリルエーテル、POE(6)イソステアリルエーテル、POE(3)イソステアリルエーテル、POE(10)セチルエーテル、POE(6)セチルエーテル、POE(10)イソセチルエーテル、POE(6)イソセチルエーテル、POE(3)ラウリルエーテル、POE(3)イソトリデシルエーテル、[PO(3)/EO(4)]ステアリルエーテル、[PO(2)/EO(3)]セチルエーテル、[PO(1)/EO(4)]ラウリルエーテル、[PO(2)/EO(3)]イソセチルエーテル、[PO(1)/EO(4)]イソラウリルエーテル等が挙げられる。
なお、POEはポリオキシエチレンを意味し、POE(6)はポリオキシエチレン6モルを意味し、[PO(3)/EO(4)]はポリオキシエチレン3モル及びポリオキシプロピレン4モルのランダム付加体を意味する。
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(C2)は、たとえば、下記化学式(4)で表現することができる成分である。
−O−(AO)n2−H (4)
(但し、化学式(4)において、Rはアルケニル基(炭化水素基中に二重結合1つ)、AOはオキシアルキレン基、n2はモル数であり、通常平均モル数で表記される。)
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(C2)について特に制限はないが、Rの炭素数は、低起泡性の観点から、6〜20が好ましく、6〜10又は16〜20がより好ましい。6未満又は20超では、水への溶解性に劣り、本願効果が得られないことがある。Rは直鎖と分岐のいずれであってもよい。なお、2重結合部分の結合形態は、シスおよびトランスのいずれでもよい。
としては、たとえば、3−ドデセニル基、オレイル基、エライジル基等を挙げることができる。
化学式(4)において、AOはオキシアルキレン基であり、たとえば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等を挙げることができる。なかでも、オキシアルキレン基としては、処理剤の溶解性の点で、オキシエチレン基が好ましい。
オキシアルキレン基がオキシエチレン基を含む場合、オキシアルキレン基全体に占めるオキシエチレン基の割合は、好ましくは75モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
オキシアルキレン基が2種以上のオキシアルキレン基から構成される場合、それぞれ種類の異なるオキシアルキレン基の結合形式については、特に限定はなく、ブロック状、ランダム状、交互状のいずれの結合形式であってもよい。
化学式(4)において、n2はオキシアルキレン基の平均モル数を示し、一般には平均付加モル数ということもある。オキシアルキレン基の平均モル数は、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(C2)1モル当たりに含まれるオキシアルキレン基の総モル数を意味する。n2は、1〜10がより好ましく、2〜8がさらに好ましく、2〜6が特に好ましい。10を超えると低起泡性が劣ることがある。
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(C2)としては、たとえば、POE(10)オレイルエーテル、POE(6)オレイルエーテル、[PO(3)/EO(4)]オレイルエーテル、POE(3)3−ドデセニルエーテル、POE(5)3−ドデセニルエーテル、等が挙げられる。ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(C2)は、これらのうちの1種から構成されていてもよく、または、2種以上から構成されていてもよい。
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(C2)は、たとえば、3−ドデセン1−オール、オレイルアルコール、エライジルアルコール等の鎖式不飽和アルコールに、触媒存在下で、エチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加反応させて製造される。
ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル(C3)(以後単にエステル(C3)と表すことがある)は、脂肪酸とポリアルキレングリコールとがエステル結合した構造を有するエステル化合物である。
前記エステル(C3)としては、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールジパルミテート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールジオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールジラウレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノオレエート、ポリエチレンポリプロピレングリコールジオレエート等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、不織布加工時の風綿が少なく、絡合性が向上する観点から、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールジオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレートが好ましく、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールジオレエートがより好ましい。
前記エステル(C3)を構成するポリアルキレングリコールとしては、不織布加工時の風綿が少なく、絡合性が向上する観点から、分子量が100〜2000が好ましく、200〜1500がより好ましく、300〜1000がさらに好ましく、400〜800が最も好ましい。ポリアルキレングリコールの分子量が100未満であると不織布加工時の風綿が増加する可能性があり、2000を越えると当該処理剤の発泡が多くなると共に、固体性が強くなり、繊維−繊維間の摩擦が低下するために不織布加工時の風綿が増加する可能性がある。
前記ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C4)は、多価アルコール脂肪酸エステルにプロピレンオキシドやエチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加した化合物である。
ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C4)を構成する多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ショ糖類等が挙げられる。さらに、グリセリンの縮合物であるジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン等のポリグリセリンも挙げられる。これらの中でも、不織布加工時の風綿が少ない観点から、3価以上のアルコールが好ましく、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールが好ましい例として挙げることができる。
ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C4)を構成する脂肪酸としては、特に限定はなく、直鎖でも分岐でもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、炭化水素基の側鎖にヒドロキシル基を含有していてもよく、炭素数は分布があってもよい。当該脂肪酸はたとえば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、やし脂肪酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、リシノール酸、リノレン酸、リシネライジン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、セレブロン酸、ヒドロキシリグノセリン酸、サリチル酸、乳酸等があげられ、これ等を2種類以上併用してもよい。
前記ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C4)は、多価アルコールのヒドロキシル基の少なくとも1つ以上がエステル化されたエステルである。また、多価アルコール脂肪酸エステルにおいて付加されるポリオキシアルキレン基を構成するアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の炭素数2〜4のアルキレンオキシドが挙げられ、これ等の2種類以上を使用してもよい。付加されるエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドの付加の順序には特に限定はなく、また付加形態もブロック付加、ランダム付加及びブロック付加とランダム付加の組み合わせのいずれでもよく、特に制限はない。
不織布加工時の風綿が少なく、絡合性が向上する観点から、アルキレンオキシドの付加モル数は、多価アルコール脂肪酸エステルの1分子当り、5〜60が好ましく、10〜50がより好ましく、20〜40がさらに好ましい。60を越えると、粘着性が強くなり、不織布作製工程において、スカムが増加する可能性がある。
前記ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C4)としては、特に限定されないが、POE(20)ソルビタンモノステアレート、POE(20)ソルビタンモノラウレート、POE(20)ソルビタンモノパルミテート、POE(20)ソルビタンモノオレエート、POE(10)ソルビタンモノステアレート、POE(20)ソルビタントリステアレート、POE(20)ソルビタントリラウレート、POE(20)ソルビタントリパルミテート、POE(20)ソルビタントリオレエート、POE(20)グリセリンモノラウレート、POE(20)グリセリンモノステアレート、POE(20)ペンタエリスリトールジラウレート、POE(20)ペンタエリスリトールモノラウレート、POE(15)ペンタエリスリトールモノオレエート、POE(30)ひまし油エーテル、POE(100)ひまし油エーテル等があげられる。中でも、絡合性及び低起包性に特に優れる観点から、POE(20)ソルビタンモノステアレート、POE(20)ソルビタンモノラウレート、POE(20)ソルビタンモノパルミテート、POE(20)ソルビタンモノオレエート、POE(10)ソルビタンモノステアレート、POE(20)ソルビタントリステアレート、POE(20)ソルビタントリラウレート、POE(20)ソルビタントリパルミテート、POE(20)ソルビタントリオレエートが、より好ましい。
なお、POEとはポリオキシエチレンを意味し、POEの後ろの括弧内の数字はオキシエチレンの付加モル数を意味する。
〔不織布製造用処理剤〕
処理剤の不揮発分に占める前記成分(A)の重量割合の下限値は、20重量%であり、40重量%が好ましく、50重量%がより好ましく、55重量%がさらに好ましい。20重量%未満では、低起泡性及び制電性が劣る。
処理剤の不揮発分に占める前記成分(A)の重量割合の上限値は、95重量%であり、90重量%が好ましく、80重量%がより好ましく、75重量%がさらに好ましい。90重量%を超えると、絡合性及びカード通過性が劣る。
このように、前記成分(A)が20〜95重量%含有されることで、低起泡性と絡合性のバランスが保たれることが本発明の特徴である。
本発明の不織布製造用処理剤が前記成分(B)を含む場合、処理剤の不揮発分に占める前記成分(B)の重量割合の下限値は、1重量%が好ましく、3重量%がより好ましく、5重量%がさらに好ましい。1重量%未満では、カード通過性が劣ることがある。
上記成分(B)の、処理剤の不揮発分に占める前記成分(B)の重量割合の上限値は、30重量%が好ましく、28重量%がより好ましく、25重量%がさらに好ましい。30重量%を超えると、低起泡性が劣ることがある。
本発明の不織布製造用処理剤が前記成分(C)を含む場合、処理剤の不揮発分に占める前記成分(C)の重量割合の下限値は、1重量%が好ましく、3重量%がより好ましく、5重量%がさらに好ましい。1重量%未満では、絡合性が劣ることがある。
上記成分(C)の、処理剤の不揮発分に占める前記成分(C)の重量割合の上限値は、30重量%が好ましく、28重量%がより好ましく、25重量%がさらに好ましい。30重量%を超えると、低起泡性が劣ることがある。
本発明の不織布製造用処理剤が成分(B)を含む場合、前記成分(A)の前記成分(B)に対する重量比(A/B)は、前記成分(B)の起泡性を前記成分(A)が低減することにより低起泡性となる観点から、1以上が好ましく、1を超えるとより好ましく、1.5以上がさらに好ましく、2以上が特に好ましい。当該重量比(A/B)の好ましい上限値は30である。
[その他の成分]
本発明の不織布製造用処理剤は、必要に応じて水および/または溶剤を含有していてもよく、水を必須に含有することが好ましい。本発明に使用する水としては、純水、蒸留水、精製水、軟水、イオン交換水、水道水等のいずれであってもよい。
本発明の不織布製造用処理剤には、更に所望によりN−トリアルキルグリシンやN−トリアルキルスルフォベタインなどの乳化剤、カルナバワックス等の潤滑剤等を添加してもよい。また、必要があれば適切な防腐剤、防錆剤、消泡剤を添加してもよい。
本発明の不織布製造用処理剤の製造方法としては、特に限定なく、公知の方法を採用できる。処理剤は、通常、構成する前記の各成分を任意の順番で添加混合することによって製造される。
[短繊維]
本発明の短繊維は、原料短繊維本体とこれに付着した上記不織布製造用処理剤とから構成される繊維をいい、一般的には所定の長さに切断した短繊維である。
不織布製造用処理剤の付与量は、原料短繊維に対して、0.05〜2.0重量%が好ましく、0.06〜1.5重量%がより好ましく、0.07〜1.0重量%がさらに好ましく、0.08〜0.7重量%が特に好ましい。0.05重量%未満では、静電気防止性が不足する可能性があり、2.0重量%超では、脱落によるスカムが増加する可能性がある。
本発明の短繊維の繊維長は、不織布加工態様により次のように異なる。
スパンレース法及びニードルパンチ法による不織布製造に供する短繊維の場合は、2〜100mmが好ましく、10〜64mmがより好ましく、20〜60mmがさらに好ましく、31〜55mmが特に好ましい。繊維長が2mm未満及び100mm超であると、絡合性が低下する可能性がある。
エアレイド法及び抄紙法による不織布製造に供する短繊維の場合は、1〜40mmが好ましく、2〜20mmがより好ましく、3〜10mmがさらに好ましい。繊維長が40mm以下だと均一分散が達成され易く、さらに不織布の地合が良好になりやすい。繊維長が1mm以上だと、不織布に加工したときの不織布強力が良好である。
本発明の短繊維の太さは、一般にデシテックス(以後、dtexで表現する)という単位で表されるが、0.7〜4.0dtexが好ましく、0.8〜3.0dtexがより好ましく、0.9〜2.0dtexがさらに好ましく、1.0〜1.5dtexが特に好ましい。0.7dtex未満では、カード通過性が低下する可能性がある。4.0dtex超では、絡合性が低下する可能性がある。
本発明の不織布製造用処理剤は、そのまま希釈等せずに原料短繊維本体に付着させてもよく、水等で不揮発分全体の重量割合が0.2〜15重量%となる濃度に希釈してエマルションとして原料短繊維本体に付着させてもよい。不織布製造用処理剤を原料短繊維本体へ付着させる工程及び本発明の不織布製造用処理剤を原料短繊維本体に付着させる手段は、原料短繊維の種類によって異なる。
ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維の場合には、不織布製造用処理剤を原料短繊維本体へ付着させる工程は、原料短繊維本体の紡糸工程、延伸工程、捲縮工程、切断工程手前等のいずれであってもよく、付着させる手段は、ローラー給油、ノズルスプレー給油、ディップ給油等のいずれであってもよい。
レーヨン繊維、キュプラ繊維、アセテート繊維等の再生繊維の場合には、不織布製造用処理剤を原料短繊維本体へ付着させる工程は繊維の切断工程後であり、付着させる手段は、均一に付着し、処理剤の性能が発揮され易い観点から、ディップ−ニップ給油が好ましい。
以上に限定されず、短繊維の製造工程やその特性に合わせ、より均一に効率よく目的の付着率が得られる方法を採用すればよい。また、乾燥の方法としては、熱風および赤外線により乾燥させる方法、熱源に接触させて乾燥させる方法等を用いてよい。
本発明の原料短繊維としては、木綿繊維、晒し処理された木綿繊維等の天然繊維、レーヨン繊維、キュプラ繊維、アセテート繊維等の再生繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、2種類以上の熱可塑性樹脂からなる複合繊維等の合成繊維が挙げられる。ポリアミド繊維としては、6−ナイロン繊維、6,6−ナイロン繊維、芳香族ポリアミド繊維等が挙げられる。
又、原料繊維がポリオレフィン繊維及びポリエステル繊維であれば、繊維が撥水性であるためにスパンレース法による不織布製造時により高い水圧が必要であり、起泡性低減がさらに必要との観点から、原料繊維がポリオレフィン繊維及びポリエステル繊維であることが、好ましい。
上記レーヨン繊維としては、ビスコースレーヨン繊維、強力レーヨン繊維、高強力レーヨン繊維、高湿潤弾性レーヨン繊維、溶剤紡糸レーヨン繊維、ポリノジック繊維等が挙げられる。
複合繊維の組み合わせとしては、ポリオレフィン系樹脂/ポリオレフィン系樹脂の場合、例えば、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、直鎖状高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレンと他のα−オレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ポリプロピレン、直鎖状高密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン等が挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂の場合、例えば、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、直鎖状高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。また、ポリエステル系樹脂/ポリエステル系樹脂の場合、例えば、共重合ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。さらにポリアミド系樹脂/ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂等からなる繊維も挙げられる。
これらの中でも、原料繊維が撥水性であるためにスパンレース法による不織布製造時により高い水圧が必要であり、起泡性低減がさらに必要との観点から、ポリオレフィン系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂/ポリエステル系樹脂がさらに好ましい。
後述するエアレイド法又は抄紙法による不織布製造工程に本発明の短繊維を供する場合には、原料繊維が熱融着繊維を含むと、熱融着繊維以外の繊維と混合した後、熱融着することで不織布となるため、好ましい。
前記熱融着繊維としては、不織布製造工程において溶融・融着が可能な熱可塑性繊維であればよく、低融点ポリエステル、低融点ビニロン、低融点ナイロンなどの単体繊維、あるいは芯がポリエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエステルで、鞘がポリエステル、エチレン・酢酸ビニル共重合体のような所謂芯−鞘型の複合繊維などを単独で用いてもよいし、あるいはこれらの二種以上を併用してもよい。
[不織布及び不織布の製造方法]
背景技術で既述したとおり、不織布加工態様は、多様化しており、スパンレース法、ニードルパンチ法、ケミカルボンド法、抄紙法及びエアレイド法がある。
本発明の不織布は、以下に記載する方法で作製した不織布である。
(スパンレース法)
スパンレース法の場合には、本発明の短繊維を開繊工程にて開繊し、2以上の種類の短繊維を使用する場合には混綿し、不織布加工機によるカーディングにて繊維ウェブを作製する。
繊維ウェブを作製するには、繊維を不織布加工機に供給し、不織布加工機から排出されるフリースを適宜積層すればよい。不織布加工機としては、フリース中の繊維がほぼ一方向に配列するパラレル不織布加工機、フリース中の繊維が無配向となるランダム不織布加工機、前二者の中間程度の配向となるセミランダム不織布加工機、従来綿繊維の開繊に最も一般的に使用されているフラット不織布加工機等を使用することができる。不織布加工機から排出されたフリースを、そのまま多数枚重ねて、一方向に繊維が配列したウェブまたは繊維が無配向となっている繊維ウェブとしてもよい。また、一方向に繊維が配列したフリースを、各フリースの繊維が直交する状態で多数枚重ねて、縦・横均一な繊維ウェブとしてもよい。本発明においては、縦・横の引張強度が同等である方が好ましいので、繊維ウェブとしても、繊維が無配向となっている繊維ウェブまたは各フリース間の繊維が直交している繊維ウェブを採用することが好ましい。
不織布加工機によるカーディング工程は、繊維束状となったスライバーではなく、繊維ウェブを作製する点で、紡績時のカーディング工程と異なる。そのため、不織布加工機によるカーディング工程では、紡績時のカーディング工程では見られなかった風綿が発生し易い。係る理由から、本願発明の不織布製造用処理剤は、紡績用処理剤と異なり、絡合性の要求度が極めて高い。
次に、スパンレース処理が繊維ウェブに施される。スパンレース処理は、繊維ウェブに高圧水流を衝突させるという絡合処理手段である。この手段によって、高圧水流のエネルギーが、繊維ウェブ中の繊維に与えられ、繊維はこのエネルギーによって運動させられ、その結果、繊維相互間に三次元的絡合が発現してくるのである。高圧水流は、例えば、孔径が0.05〜2.0mm程度、特に0.1〜0.4mmの噴射孔から、噴射圧力5〜150kg/cm・G程度で、水または温水等の液体を噴出させれば、容易に得ることができる。スパンレース処理は、一般的に、この噴射孔が0.3〜10mm間隔で一列または複数列に多数配列した装置を、繊維ウェブの進行方向と噴射孔の列とが直交するように配置し、進行する繊維ウェブ上に、高圧水流を衝突させることによって行われる。噴射孔と繊維ウェブ間との距離は、1〜15cm程度が好ましい。この距離が1cm未満であると、繊維ウェブに高圧水流が衝突したときのエネルギーが大きすぎて、得られる不織布の地合が乱れるおそれがある。一方、15cmを超えると、繊維ウェブに高圧水流が衝突したときのエネルギーが小さくなって、繊維に十分な運動エネルギーを与えることができず、三次元的絡合が不十分になる傾向が生じる。
繊維ウェブにスパンレース処理を施す際、繊維ウェブは、通常、支持体に担持されている。すなわち、スパンレース処理が施される側とは、反対面に支持体が置かれている。この支持体は、繊維ウェブに施された高圧水流を良好に通過させるものであれば、どのようなものでも使用でき、例えばメッシュスリットや有孔板等が採用される。一般的には、金網等のメッシュスリットが採用され、また孔の大きさは、20〜100メッシュ程度であるのが好ましい。
繊維ウェブにスパンレース処理を施した後、繊維ウェブには液体流として使用した水や温水等の液体が含浸された状態になっており、この液体を従来公知の方法で除去して、不織布が得られるのである。ここで、液体を除去する方法としては、まず、マングルロール等の絞り装置を用いて、過剰の液体を機械的に除去し、引き続き連続熱風乾燥機等の乾燥装置を用いて、残余の液体を除去する方法等が用いられる。以上のようにして得られた不織布は、繊維相互間の三次元的絡合が十分になされており、おしぼりや手拭き等の素材として使用するのに十分な引張強度を持つものである。
(ニードルパンチ法)
繊維ウェブを作製する方法は、スパンレース法と同様である。
ニードルパンチ法による不織布製造方法は、一般的には繊維束に対して垂直な方向に棘を持った針が上下運動して、針の先端あるいは、棘に引っかかった繊維束が押し込められて立体的な絡み合いを生じさせることにより不織布を製造する工程(ニードルパンチ工程ということもある)を含む。ニードルパンチの回数、密度、針の形を最適化して、所望の結束力を得ることができる。
繊維ウェブをニードルパンチ法により不織布を製造するに際し、積層ウェブまたは不織布の少なくとも両端部を固定し、繊維移動を惹起しない状態にすることもできる。
(抄紙法)
抄紙法による不織布製造方法は、本発明の処理剤が処理された短繊維を水中に分散させて抄紙する工程(抄紙工程ということもある)を含むものである。該短繊維は、抄紙工程において、撹拌・分散時、繊維同士が絡みにくく、速やかに沈降して単繊維に分散し、安定分散性も良好である。
抄紙工程としては、常法の湿式抄紙工程を採用できる。湿式抄紙工程としては、上記工程で本発明の処理剤が処理された短繊維をパルパーに投入して水中で撹拌・分散し、懸濁させる。この時、水に低シェアで分散され、気泡が抑制されるので、繊維が均一に分散することで、地合いの良好な抄紙を得ることができる。次に、抄き網に供給し、湿紙とする。そして、湿紙を乾燥させる乾燥工程を経て、ロール状に巻取り、湿式抄紙不織布を得る。抄き網は円網、短網が一般的であるが、長網、ロトフォーマー、ハイドロフォーマー、パーチフォーマーなどでも構わない。乾燥工程は複数の回転加熱ローラー式(多筒式)あるいはヤンキードラム式のいずれでも構わない。
また、本発明の抄紙不織布の製造方法は、抄紙工程で、原料短繊維を本発明の処理剤を含む水中に分散させて抄紙してもよい。
(エアレイド法)
エアレイド法による不織布製造方法は、本発明の短繊維を篩、またはスリットを通して該短繊維が均一分散した繊維ウェブとなるよう降り積もらせる工程(エアレイド工程ということもある)を含むものである。
本発明の短繊維が、上記熱融着性繊維を含む場合、例えば、レーヨン繊維、パルプ繊維及び熱融着繊維からなる場合には、前記エアレイド工程により繊維ウェブを得た後、加熱による熱融着又は熱接着により不織布を製造する工程が好ましい。
又、本発明の短繊維が熱融着性繊維を含まない場合、例えば、レーヨン繊維単独である場合には、前記エアレイド工程により繊維ウェブを得た後、エマルションバインダーを付与し、繊維同士の交点を結合させて不織布を製造する工程が好ましい。
前記エマルションバインダーとしては、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリアクリレート等が用いられる。
エアレイド法に用いられるウェブ製造装置としては、例えば、前後、左右、上下、水平円状等のいずれかに振動し短繊維をふるいの目から分散落下させる箱形篩いタイプの装置が使用できる。また、ネット状の金属多孔板が円筒状に成形され、且つその側面に繊維の投入口を有し、繊維をそのふるいの目から分散・落下させるネット状円筒型タイプの装置も使用できる。
エアレイド法で製造されたマット状の繊維ウェブにおいては、繊維は全方向に均一分散しているので、かさ高の繊維集合体となるし、繊維が均一分散されているので、強度の高い不織布が得られる。
(繊維ウェブの重量(目付))
スパンレース法の場合、繊維ウェブの重量(目付)は、10〜150g/m程度であるのが好ましい。目付が10g/m未満であると、繊維密度が小さくなって、三次元的絡合が不十分になる傾向が生じる。一方、目付が150g/mを超える場合も、単位面積当りの繊維量が多すぎて、三次元的絡合が不十分になる傾向が生じる。
ニードルパンチ法の場合、繊維ウェブの重量(目付)は、20〜1300g/m程度と幅広く用途により選択できるが、20〜500g/mが好ましく、30〜400g/mがより好ましい。目付が20g/m未満及び1300g/m超であると、不織布の地合いが低下することがある。
エアレイド法の場合、繊維ウェブの重量(目付)は、10〜150g/m程度であるのが好ましい。目付が10g/m未満又は150g/mを超える場合も、単位面積当りの繊維量が適正でないことにより、不織布の厚さが不均一となる可能性がある。
本発明の不織布は、スパンレース法及び抄紙法による不織布製造工程で起泡が少ないという特徴があるため、不織布上の泡により、繊維が乱れて目付けが不均一になることがなく、高品質である。又、スパンレース法の高圧水流を循環水にて行なう場合にも、スカム発生によるフィルターやノズル詰まり等の弊害がないため、不織布の生産性を向上させることができる。
本発明の不織布は、スパンレース法及びニードルパンチ法による不織布製造工程で、絡合性に優れることにより風綿が少ないため、ウェブが均一となることにより、高品質である。
本発明の不織布は、エアレイド法による不織布製造工程で、スカム抑制に優れることにより、ウェブが均一となることにより、高品質である。
本発明の不織布の用途としては、各種不織布製造方法により次のように適した用途がある。
スパンレース法による不織布製造方法で得られた不織布は、製造工程でスパンレース処理をしていることにより、不織布製造用処理剤の残存量が少ない観点と、繊維間空隙が大きく、柔軟性に優れるという観点とから、直接、肌に触れる用途や拭き布として好適に用いられる。マスク、空気フィルター、水、コーヒーならびにティーバッグ、液体カートリッジならびにバッグフィルター、真空バッグ、アレルゲン膜、幼児用おむつ、女性用衛生ナプキン、成人失禁用製品、個人用衛生ふき取り繊維、包帯、外傷用包帯、空気フィルター、液体フィルター、家庭用ふき取り繊維、店舗用タオル、電池セパレーター、真空洗浄剤バッグ、化粧品パッド、食品パッケージ、衣類、衣服、医療用の衣類、および使い捨て下着等が挙げられる。
エアレイド法による不織布製造方法で得られた不織布は、かさ高の繊維集合体となるし、繊維が均一分散されているので、強度の高い不織布が得られるため、化粧用パフ、衛材用、皮膚清浄用シート、ワイパー用、食品ドリップ吸収シート、キッチンペーパー、各種包装材、緩衝材、吸着性シート、吸音材、エアフィルターなどに有用である。
抄紙法による不織布製造方法で得られた不織布は、地合いが均一でかつ優れた柔軟性を有しているので、衛生材料用または医療材料用または家庭用品用に有用である。具体的には、肌当て用基材、マスク、貼付剤用基材、化粧落とし用基材、衣料用芯地、ワイパー、合皮用基材などに有用である。
以下に本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、各実施例、比較例における評価項目と評価方法は以下の通りである。又、各実施例、比較例における処理剤の明細と評価結果を表1〜表3にまとめて示す。ただし、実施例1〜5及び13は、それぞれ、参考例1〜5及び13とする。処理剤の明細中、配合比率はいずれも重量%を表す。
(実施例1〜15及び比較例1〜9)
下記(A1−1〜X1)の各成分を用い、表1〜3に記載の比率で混合を行い、撹拌して、各実施例・比較例の不織布製造用処理剤の不揮発分を調製し、イオン交換水で希釈して、0.5%濃度のエマルションを得た。
A−1 ヘキサン酸カリウム塩
A−2 オクタン酸カリウム塩
A−3 イソオクタン酸カリウム塩
A−4 デカン酸カリウム塩
A−5 イソデカン酸カリウム塩
A−6 ノナン酸カリウム塩
B−1 ラウリルホスフェートカリウム塩
B−2 POE(3)ラウリルホスフェートカリウム塩
B−3 POE(5)セチルホスフェートカリウム塩
B−4 ステアリルホスフェートカリウム塩
B−5 POE(5)ステアリルホスフェートカリウム塩
C−1 POE(5)オレイルエーテル
C−2 POE(8)オレイルエーテル
C−3 PEG(600)オレエート
C−4 POE(5)セチルエーテル
X−1 ラウリン酸カリウム塩
なお、POEとはポリオキシエチレンを意味する。POE(5)とは、ポリオキシエチレンの5モル付加を意味する。
[試料綿の作製]
次に、予め脱脂しておき、処理剤が付着していない1.3dtex×38mmの原料ポリエステル短繊維(SD)を用い、原料短繊維に対する処理剤の不揮発分の付着量が0.17重量%になるように、前記処理剤のエマルションを給油し、当該原綿を80℃、2時間で乾燥した。得られた処理剤付与綿を下記の各評価に供した。評価結果を表1〜3に示す。なお、表中の不揮発分(%)は重量%のことを意味する。
[低起泡性]
処理剤付与綿30gを500mlのビーカーに入れ、その上に常温のイオン交換水300gを注ぎ入れ、ラップで蓋をして4時間放置後、イオン交換水に浸漬した処理剤付与綿から別の300mlビーカーに浸漬液200mlを搾り出した。次に、その搾り液30mlを100m1の栓付きメスシリンダーに入れて、10回強振した後、その5分後の泡の高さを測定した。泡の高さが1.0cm未満で低起泡性が良好であると判断した。
低起泡性の判断の指標(泡の高さ(cm))
◎(非常に良好):泡の高さが0.5cm未満。
○(良好) :泡の高さが0.5cm以上1.0cm未満。
△(不良) :泡の高さが1.0cm以上2.0cm未満。
×(非常に不良):泡の高さが2.0cm以上。
[スカム抑制評価]
処理剤付与綿3kgを大和機工社製ミニチュアローラーカード機で処理し、ケーシング内側に付着したスカムを下記の4段階で目視判定し、◎〜○であればスカム抑制効果が良好であると判断した。
スカムの目視判定の指標
◎(非常に良好):ケーシングの内側の2割未満の範囲にスカムが付着。
○(良好) :ケーシングの内側の2割以上5割未満の範囲にスカムが付着。
△(不良) :ケーシングの内側の5割以上8割未満の範囲にスカムが付着。
×(非常に不良):ケーシングの内側の8割以上の範囲にスカムが付着。
[絡合性(風綿)評価]
処理剤付与綿3kgを大和機工社製ミニチュアローラーカード機で処理し、飛散した風綿をニューマーで吸引して集積し、その重量が30g未満であれば絡合性(風綿)が良好であると判断した。
絡合性(風綿)の判断の指標
◎(非常に良好):風綿の重量が10g未満
○(良好) :風綿の重量が10g以上30g未満
△(不良) :風綿の重量が30g以上60g未満
×(非常に不良):風綿の重量が60g以上
[不織布の地合評価]
(スパンレース法)
処理剤付与綿40gをそれぞれ大和機工社製開繊機(型式OP−400)により開繊処理を施した。次いで、開繊処理された処理剤付与綿をランダム不織布加工機に供給し、排出されたフリースを積層して、目付100g/mの繊維ウェブを得た。この繊維ウェブを、金属製ネットよりなる支持体上に配置し、噴射圧力15kg/cm・Gで第一段階のスパンレース処理を施し、綿繊維相互間を予備的に三次元絡合させた。引き続き、噴射圧力100kg/cm・Gで第二段階のスパンレース処理を施し、乾燥して不織布をそれぞれ得た。得られたスパンレース法による不織布の地合を目視判定にて評価した。
不織布の地合の判断の指標
◎:不織布の地合の乱れがなく、見た目が非常に良好である。
○:不織布の地合の乱れが少なく、見た目が良好である。
△:不織布の地合に若干の乱れが見られる。
×:不織布の地合に乱れが見られる。
(抄紙法)
予め脱脂しておき、処理剤が付着していない1.7dtex×5mmの原料ポリエステル短繊維(SD)を用い、原料短繊維に対する処理剤の不揮発分の付着量が0.2重量%になるように、前記処理剤のエマルションを給油し、当該原綿を80℃、2時間で乾燥して、処理剤付与綿を得た。1000mlビーカーにイオン交換水500gを採取し、その中に該処理剤付与綿1gを入れ、プロペラ撹拌機(回転数1000rpm)で10分間攪拌する。その後、No.5Aのろ紙を用いてヌッチェでろ過し、脱水後に風乾して得た抄紙の地合を目視により以下の評価基準で評価した。
不織布の地合の判断の指標
◎:不織布の地合の乱れがなく、見た目が非常に良好である。
○:不織布の地合の乱れが少なく、見た目が良好である。
△:不織布の地合に若干の乱れが見られる。
×:不織布の地合に乱れが見られる。
(エアレイド法)
Dan−Webforming社のフォーミングドラムユニット(600mm幅、フォーミングドラムの孔形状2.4mm×20mmの長方形、開孔率40%)を用いてドラム回転数200rpm、ニードルロール回転数900rpm、ウェブ搬送速度30m/分の条件で、上記抄紙法で用いた処理剤付与綿3kgを通し、エアレイドウェブを採取した。アクリル系エマルジョンバインダー(固形分10%)8重量%(ウェブ重量対比)をスプレー塗布し、更に160℃の熱風で加熱して不織布を作製した。不織布の地合を目視により以下の評価基準で評価した。
不織布の地合の判断の指標
◎:不織布の地合の乱れがなく、見た目が非常に良好である。
○:不織布の地合の乱れが少なく、見た目が良好である。
△:不織布の地合に若干の乱れが見られる。
×:不織布の地合に乱れが見られる。
Figure 0006605833
Figure 0006605833
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表1〜3から分かるように、実施例1〜15の不織布製造用処理剤は、炭素数が4〜11の脂肪酸及び/又はその塩である成分(A)を含む不織布製造用処理剤であって、処理剤の不揮発分に占める前記成分(A)の重量割合が20〜95重量%であるために、不織布製造用処理剤を付与した短繊維は、絡合性及びスカム抑制に優れ且つ起泡が少ない。
一方、比較例1〜7において、処理剤の不揮発分に占める前記成分(A)の重量割合が20〜95重量%の範囲にない場合(比較例1〜6)、炭素数が4〜11ではなく12の脂肪酸塩である場合(比較例7)には、本願課題の内の少なくとも1つが解決できていない。

Claims (6)

  1. 炭素数が4〜11の脂肪酸及び/又はその塩である成分(A)、有機リン酸エステル及び/又はその塩である成分(B)及びノニオン性界面活性剤である成分(C)を含む不織布製造用処理剤であって、処理剤の不揮発分に占める前記成分(A)の重量割合が50〜95重量%、前記成分(B)の重量割合が1〜30重量%、前記成分(C)の重量割合が1〜30重量%であり、スパンレース用である、不織布製造用処理剤。
  2. 前記脂肪酸が分岐脂肪酸である、請求項1に記載の不織布製造用処理剤。
  3. 記成分(A)の前記成分(B)に対する重量比(A/B)が1以上である、請求項1又は2に記載の不織布製造用処理剤。
  4. 原料短繊維に対して、請求項1〜のいずれかに記載の不織布製造用処理剤を付与してなる、短繊維。
  5. 請求項に記載の短繊維を含有する、不織布。
  6. 請求項に記載の短繊維を集積させて繊維ウェブを作製し、該繊維ウェブをスパンレース法で処理する工程を含む、不織布の製造方法。
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