JP6605833B2 - 不織布製造用処理剤とその利用 - Google Patents
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Description
天然繊維は、繊維表面に油脂が付着しているため、不織布への加工時に処理剤が必要とされることが少ない。一方、合成繊維は繊維表面に何も付着していないため、潤滑性、集束性、帯電防止性などを付与する処理剤が目的に応じて使用されている。
不織布への加工時に使用される処理剤の帯電防止成分としては、硫酸エステル又は燐酸エステルを主体とする繊維処理剤が一般的である(特許文献1)。
硫酸エステル又は燐酸エステルを主体とする繊維処理剤を適用した場合、繊維から不織布へ加工する工程中で、静電気発生は抑制されているにも拘わらず、いずれの加工態様においても、不織布の地合いが不均一、すなわち、不織布の品質の低下が散見されるようになってきた。
硫酸エステル又は燐酸エステル等を主体とする繊維処理剤が付着した短繊維を、スパンレースや抄紙等の水を使用する生産工程に供すると、該処理剤の起泡により不織布加工途中のウェブが乱れることで不織布の品質の低下が生じていることが判明した。
また、ニードルパンチ及びケミカルボンド等の工程に供すると、絡合性が不足するために風綿が多く発生して、ウェブが不均一となることで不織布の品質の低下が生じていることが判明した。
エアレイドの工程に供すると、スリット等にスカムが蓄積し、均一に短繊維を降り積もらせることができなくなっていることが判明した。
繊維処理剤を不織布の加工態様に合わせて変えると、合成繊維製造の生産性の面から適切でない。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、絡合性及びスカム抑制に優れ、起泡の少ない不織布製造用処理剤、不織布加工時に絡合性及びスカム抑制に優れ且つ起泡の少ない短繊維、及び地合いの良好な不織布を提供することにある。
すなわち、本発明の不織布製造用処理剤は、炭素数が4〜11の脂肪酸及び/又はその塩である成分(A)、有機リン酸エステル及び/又はその塩である成分(B)及びノニオン性界面活性剤である成分(C)を含む不織布製造用処理剤であって、処理剤の不揮発分に占める前記成分(A)の重量割合が50〜95重量%、前記成分(B)の重量割合が1〜30重量%、前記成分(C)の重量割合が1〜30重量%であり、スパンレース用である、不織布製造用処理剤である。
前記成分(A)の前記成分(B)に対する重量比(A/B)が1以上であると好ましい。
本発明の不織布は、上記短繊維を含有する。
本発明の不織布の製造方法は、上記短繊維を集積させて繊維ウェブを作製し、該繊維ウェブをスパンレース法で処理する工程を含む。
本発明の不織布製造用処理剤が処理された短繊維を用いた不織布の製造方法であれば、不織布作製工程において、生産性を向上させることができる。
成分(A)は、炭素数が4〜11の脂肪酸及び/又はその塩である。成分(A)は、泡が少なく、かつ、繊維−繊維間摩擦が適度であるため、不織布製造用処理剤に適用した場合に、スパンレース用途及び抄紙用途に特に優れる成分であり、制電性も優れるため、エアレイド用途にも好適である。成分(A)は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
また、成分(A)には消泡性も兼ね備えていることから、繊維処理剤に燐酸エステル等の起泡性の界面活性剤と併用しても、繊維処理剤全体として泡が少ない。
当該炭素数は4〜10が好ましく、6〜10がより好ましく、8〜10がさらに好ましい。炭素数が12以上であると、低起泡性に劣る。
炭素数が4〜11の直鎖脂肪酸の具体例としては、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸が挙げられる。
炭素数が4〜11の分岐脂肪酸の具体例としては、特に限定されないが、イソブタン酸、イソペンタン酸、イソヘキサン酸、イソヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、2−プロピルヘプタン酸、イソデカン酸、イソウンデカン酸、2,4,4−トリメチルペンタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸等が挙げられる。
また、アルカリ金属塩の一部に、アルカリ金属以外の金属塩が含まれると、低起泡性の観点から好ましい。
アルカリ金属塩としては、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩が挙げられるが、コストの観点から、カリウム塩、ナトリウム塩が好ましい。
成分(B)は、有機リン酸エステル及び/又はその塩である。成分(B)は、湿潤時の金属−繊維間摩擦が低いため、不織布製造の前工程の繊維製造工程の工程通過性に優れ、制電性に優れるため、繊維製造後の不織布作製工程で工程通過性に優れる。
成分(B)は単独で使用すると起泡性が高い成分であるが、成分(A)が一定量以上含有されることにより、低起泡性が維持できる。
成分(C)は、ノニオン性界面活性剤である。成分(C)は、濡れ性が良好なため、不織布製造の前工程の繊維製造工程の工程通過性に優れ、繊維に適度な集束性を付与できるため、繊維製造後の不織布作製工程で工程通過性に優れる。
成分(C)は単独で使用すると起泡性が高い成分であるが、成分(A)が一定量以上含有されることにより、低起泡性が維持できる。
成分(C)は、集束性の観点から、25℃で液状であることが好ましい。
一方、ノニオン性界面活性剤の重量平均分子量が1500超であると、絡合性が低下することがある。
R2は直鎖でも分岐でも構わないが、分岐であると低起泡性に優れるため、好ましい。
化学式(3)において、AOはオキシアルキレン基であり、たとえば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等を挙げることができる。なかでも、オキシアルキレン基としては、制電性および濡れ性の点で、オキシエチレン基が好ましい。
オキシアルキレン基が2種以上のオキシアルキレン基から構成される場合、それぞれ種類の異なるオキシアルキレン基の結合形式については、特に限定はなく、ブロック状、ランダム状、交互状のいずれの結合形式であってもよい。
なお、POEはポリオキシエチレンを意味し、POE(6)はポリオキシエチレン6モルを意味し、[PO(3)/EO(4)]はポリオキシエチレン3モル及びポリオキシプロピレン4モルのランダム付加体を意味する。
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(C2)について特に制限はないが、R3の炭素数は、低起泡性の観点から、6〜20が好ましく、6〜10又は16〜20がより好ましい。6未満又は20超では、水への溶解性に劣り、本願効果が得られないことがある。R3は直鎖と分岐のいずれであってもよい。なお、2重結合部分の結合形態は、シスおよびトランスのいずれでもよい。
化学式(4)において、AOはオキシアルキレン基であり、たとえば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等を挙げることができる。なかでも、オキシアルキレン基としては、処理剤の溶解性の点で、オキシエチレン基が好ましい。
オキシアルキレン基が2種以上のオキシアルキレン基から構成される場合、それぞれ種類の異なるオキシアルキレン基の結合形式については、特に限定はなく、ブロック状、ランダム状、交互状のいずれの結合形式であってもよい。
不織布加工時の風綿が少なく、絡合性が向上する観点から、アルキレンオキシドの付加モル数は、多価アルコール脂肪酸エステルの1分子当り、5〜60が好ましく、10〜50がより好ましく、20〜40がさらに好ましい。60を越えると、粘着性が強くなり、不織布作製工程において、スカムが増加する可能性がある。
なお、POEとはポリオキシエチレンを意味し、POEの後ろの括弧内の数字はオキシエチレンの付加モル数を意味する。
処理剤の不揮発分に占める前記成分(A)の重量割合の下限値は、20重量%であり、40重量%が好ましく、50重量%がより好ましく、55重量%がさらに好ましい。20重量%未満では、低起泡性及び制電性が劣る。
処理剤の不揮発分に占める前記成分(A)の重量割合の上限値は、95重量%であり、90重量%が好ましく、80重量%がより好ましく、75重量%がさらに好ましい。90重量%を超えると、絡合性及びカード通過性が劣る。
このように、前記成分(A)が20〜95重量%含有されることで、低起泡性と絡合性のバランスが保たれることが本発明の特徴である。
上記成分(B)の、処理剤の不揮発分に占める前記成分(B)の重量割合の上限値は、30重量%が好ましく、28重量%がより好ましく、25重量%がさらに好ましい。30重量%を超えると、低起泡性が劣ることがある。
上記成分(C)の、処理剤の不揮発分に占める前記成分(C)の重量割合の上限値は、30重量%が好ましく、28重量%がより好ましく、25重量%がさらに好ましい。30重量%を超えると、低起泡性が劣ることがある。
本発明の不織布製造用処理剤は、必要に応じて水および/または溶剤を含有していてもよく、水を必須に含有することが好ましい。本発明に使用する水としては、純水、蒸留水、精製水、軟水、イオン交換水、水道水等のいずれであってもよい。
本発明の不織布製造用処理剤には、更に所望によりN−トリアルキルグリシンやN−トリアルキルスルフォベタインなどの乳化剤、カルナバワックス等の潤滑剤等を添加してもよい。また、必要があれば適切な防腐剤、防錆剤、消泡剤を添加してもよい。
本発明の不織布製造用処理剤の製造方法としては、特に限定なく、公知の方法を採用できる。処理剤は、通常、構成する前記の各成分を任意の順番で添加混合することによって製造される。
本発明の短繊維は、原料短繊維本体とこれに付着した上記不織布製造用処理剤とから構成される繊維をいい、一般的には所定の長さに切断した短繊維である。
不織布製造用処理剤の付与量は、原料短繊維に対して、0.05〜2.0重量%が好ましく、0.06〜1.5重量%がより好ましく、0.07〜1.0重量%がさらに好ましく、0.08〜0.7重量%が特に好ましい。0.05重量%未満では、静電気防止性が不足する可能性があり、2.0重量%超では、脱落によるスカムが増加する可能性がある。
スパンレース法及びニードルパンチ法による不織布製造に供する短繊維の場合は、2〜100mmが好ましく、10〜64mmがより好ましく、20〜60mmがさらに好ましく、31〜55mmが特に好ましい。繊維長が2mm未満及び100mm超であると、絡合性が低下する可能性がある。
エアレイド法及び抄紙法による不織布製造に供する短繊維の場合は、1〜40mmが好ましく、2〜20mmがより好ましく、3〜10mmがさらに好ましい。繊維長が40mm以下だと均一分散が達成され易く、さらに不織布の地合が良好になりやすい。繊維長が1mm以上だと、不織布に加工したときの不織布強力が良好である。
ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維の場合には、不織布製造用処理剤を原料短繊維本体へ付着させる工程は、原料短繊維本体の紡糸工程、延伸工程、捲縮工程、切断工程手前等のいずれであってもよく、付着させる手段は、ローラー給油、ノズルスプレー給油、ディップ給油等のいずれであってもよい。
レーヨン繊維、キュプラ繊維、アセテート繊維等の再生繊維の場合には、不織布製造用処理剤を原料短繊維本体へ付着させる工程は繊維の切断工程後であり、付着させる手段は、均一に付着し、処理剤の性能が発揮され易い観点から、ディップ−ニップ給油が好ましい。
以上に限定されず、短繊維の製造工程やその特性に合わせ、より均一に効率よく目的の付着率が得られる方法を採用すればよい。また、乾燥の方法としては、熱風および赤外線により乾燥させる方法、熱源に接触させて乾燥させる方法等を用いてよい。
上記レーヨン繊維としては、ビスコースレーヨン繊維、強力レーヨン繊維、高強力レーヨン繊維、高湿潤弾性レーヨン繊維、溶剤紡糸レーヨン繊維、ポリノジック繊維等が挙げられる。
複合繊維の組み合わせとしては、ポリオレフィン系樹脂/ポリオレフィン系樹脂の場合、例えば、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、直鎖状高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレンと他のα−オレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ポリプロピレン、直鎖状高密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン等が挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂の場合、例えば、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、直鎖状高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。また、ポリエステル系樹脂/ポリエステル系樹脂の場合、例えば、共重合ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。さらにポリアミド系樹脂/ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂等からなる繊維も挙げられる。
これらの中でも、原料繊維が撥水性であるためにスパンレース法による不織布製造時により高い水圧が必要であり、起泡性低減がさらに必要との観点から、ポリオレフィン系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂/ポリエステル系樹脂がさらに好ましい。
後述するエアレイド法又は抄紙法による不織布製造工程に本発明の短繊維を供する場合には、原料繊維が熱融着繊維を含むと、熱融着繊維以外の繊維と混合した後、熱融着することで不織布となるため、好ましい。
前記熱融着繊維としては、不織布製造工程において溶融・融着が可能な熱可塑性繊維であればよく、低融点ポリエステル、低融点ビニロン、低融点ナイロンなどの単体繊維、あるいは芯がポリエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエステルで、鞘がポリエステル、エチレン・酢酸ビニル共重合体のような所謂芯−鞘型の複合繊維などを単独で用いてもよいし、あるいはこれらの二種以上を併用してもよい。
背景技術で既述したとおり、不織布加工態様は、多様化しており、スパンレース法、ニードルパンチ法、ケミカルボンド法、抄紙法及びエアレイド法がある。
本発明の不織布は、以下に記載する方法で作製した不織布である。
スパンレース法の場合には、本発明の短繊維を開繊工程にて開繊し、2以上の種類の短繊維を使用する場合には混綿し、不織布加工機によるカーディングにて繊維ウェブを作製する。
繊維ウェブを作製するには、繊維を不織布加工機に供給し、不織布加工機から排出されるフリースを適宜積層すればよい。不織布加工機としては、フリース中の繊維がほぼ一方向に配列するパラレル不織布加工機、フリース中の繊維が無配向となるランダム不織布加工機、前二者の中間程度の配向となるセミランダム不織布加工機、従来綿繊維の開繊に最も一般的に使用されているフラット不織布加工機等を使用することができる。不織布加工機から排出されたフリースを、そのまま多数枚重ねて、一方向に繊維が配列したウェブまたは繊維が無配向となっている繊維ウェブとしてもよい。また、一方向に繊維が配列したフリースを、各フリースの繊維が直交する状態で多数枚重ねて、縦・横均一な繊維ウェブとしてもよい。本発明においては、縦・横の引張強度が同等である方が好ましいので、繊維ウェブとしても、繊維が無配向となっている繊維ウェブまたは各フリース間の繊維が直交している繊維ウェブを採用することが好ましい。
不織布加工機によるカーディング工程は、繊維束状となったスライバーではなく、繊維ウェブを作製する点で、紡績時のカーディング工程と異なる。そのため、不織布加工機によるカーディング工程では、紡績時のカーディング工程では見られなかった風綿が発生し易い。係る理由から、本願発明の不織布製造用処理剤は、紡績用処理剤と異なり、絡合性の要求度が極めて高い。
繊維ウェブを作製する方法は、スパンレース法と同様である。
ニードルパンチ法による不織布製造方法は、一般的には繊維束に対して垂直な方向に棘を持った針が上下運動して、針の先端あるいは、棘に引っかかった繊維束が押し込められて立体的な絡み合いを生じさせることにより不織布を製造する工程(ニードルパンチ工程ということもある)を含む。ニードルパンチの回数、密度、針の形を最適化して、所望の結束力を得ることができる。
繊維ウェブをニードルパンチ法により不織布を製造するに際し、積層ウェブまたは不織布の少なくとも両端部を固定し、繊維移動を惹起しない状態にすることもできる。
抄紙法による不織布製造方法は、本発明の処理剤が処理された短繊維を水中に分散させて抄紙する工程(抄紙工程ということもある)を含むものである。該短繊維は、抄紙工程において、撹拌・分散時、繊維同士が絡みにくく、速やかに沈降して単繊維に分散し、安定分散性も良好である。
抄紙工程としては、常法の湿式抄紙工程を採用できる。湿式抄紙工程としては、上記工程で本発明の処理剤が処理された短繊維をパルパーに投入して水中で撹拌・分散し、懸濁させる。この時、水に低シェアで分散され、気泡が抑制されるので、繊維が均一に分散することで、地合いの良好な抄紙を得ることができる。次に、抄き網に供給し、湿紙とする。そして、湿紙を乾燥させる乾燥工程を経て、ロール状に巻取り、湿式抄紙不織布を得る。抄き網は円網、短網が一般的であるが、長網、ロトフォーマー、ハイドロフォーマー、パーチフォーマーなどでも構わない。乾燥工程は複数の回転加熱ローラー式(多筒式)あるいはヤンキードラム式のいずれでも構わない。
また、本発明の抄紙不織布の製造方法は、抄紙工程で、原料短繊維を本発明の処理剤を含む水中に分散させて抄紙してもよい。
エアレイド法による不織布製造方法は、本発明の短繊維を篩、またはスリットを通して該短繊維が均一分散した繊維ウェブとなるよう降り積もらせる工程(エアレイド工程ということもある)を含むものである。
本発明の短繊維が、上記熱融着性繊維を含む場合、例えば、レーヨン繊維、パルプ繊維及び熱融着繊維からなる場合には、前記エアレイド工程により繊維ウェブを得た後、加熱による熱融着又は熱接着により不織布を製造する工程が好ましい。
又、本発明の短繊維が熱融着性繊維を含まない場合、例えば、レーヨン繊維単独である場合には、前記エアレイド工程により繊維ウェブを得た後、エマルションバインダーを付与し、繊維同士の交点を結合させて不織布を製造する工程が好ましい。
前記エマルションバインダーとしては、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリアクリレート等が用いられる。
エアレイド法で製造されたマット状の繊維ウェブにおいては、繊維は全方向に均一分散しているので、かさ高の繊維集合体となるし、繊維が均一分散されているので、強度の高い不織布が得られる。
スパンレース法の場合、繊維ウェブの重量(目付)は、10〜150g/m2程度であるのが好ましい。目付が10g/m2未満であると、繊維密度が小さくなって、三次元的絡合が不十分になる傾向が生じる。一方、目付が150g/m2を超える場合も、単位面積当りの繊維量が多すぎて、三次元的絡合が不十分になる傾向が生じる。
ニードルパンチ法の場合、繊維ウェブの重量(目付)は、20〜1300g/m2程度と幅広く用途により選択できるが、20〜500g/m2が好ましく、30〜400g/m2がより好ましい。目付が20g/m2未満及び1300g/m2超であると、不織布の地合いが低下することがある。
エアレイド法の場合、繊維ウェブの重量(目付)は、10〜150g/m2程度であるのが好ましい。目付が10g/m2未満又は150g/m2を超える場合も、単位面積当りの繊維量が適正でないことにより、不織布の厚さが不均一となる可能性がある。
本発明の不織布は、スパンレース法及びニードルパンチ法による不織布製造工程で、絡合性に優れることにより風綿が少ないため、ウェブが均一となることにより、高品質である。
本発明の不織布は、エアレイド法による不織布製造工程で、スカム抑制に優れることにより、ウェブが均一となることにより、高品質である。
スパンレース法による不織布製造方法で得られた不織布は、製造工程でスパンレース処理をしていることにより、不織布製造用処理剤の残存量が少ない観点と、繊維間空隙が大きく、柔軟性に優れるという観点とから、直接、肌に触れる用途や拭き布として好適に用いられる。マスク、空気フィルター、水、コーヒーならびにティーバッグ、液体カートリッジならびにバッグフィルター、真空バッグ、アレルゲン膜、幼児用おむつ、女性用衛生ナプキン、成人失禁用製品、個人用衛生ふき取り繊維、包帯、外傷用包帯、空気フィルター、液体フィルター、家庭用ふき取り繊維、店舗用タオル、電池セパレーター、真空洗浄剤バッグ、化粧品パッド、食品パッケージ、衣類、衣服、医療用の衣類、および使い捨て下着等が挙げられる。
下記(A1−1〜X1)の各成分を用い、表1〜3に記載の比率で混合を行い、撹拌して、各実施例・比較例の不織布製造用処理剤の不揮発分を調製し、イオン交換水で希釈して、0.5%濃度のエマルションを得た。
A−1 ヘキサン酸カリウム塩
A−2 オクタン酸カリウム塩
A−3 イソオクタン酸カリウム塩
A−4 デカン酸カリウム塩
A−5 イソデカン酸カリウム塩
A−6 ノナン酸カリウム塩
B−1 ラウリルホスフェートカリウム塩
B−2 POE(3)ラウリルホスフェートカリウム塩
B−3 POE(5)セチルホスフェートカリウム塩
B−4 ステアリルホスフェートカリウム塩
B−5 POE(5)ステアリルホスフェートカリウム塩
C−1 POE(5)オレイルエーテル
C−2 POE(8)オレイルエーテル
C−3 PEG(600)オレエート
C−4 POE(5)セチルエーテル
X−1 ラウリン酸カリウム塩
なお、POEとはポリオキシエチレンを意味する。POE(5)とは、ポリオキシエチレンの5モル付加を意味する。
次に、予め脱脂しておき、処理剤が付着していない1.3dtex×38mmの原料ポリエステル短繊維(SD)を用い、原料短繊維に対する処理剤の不揮発分の付着量が0.17重量%になるように、前記処理剤のエマルションを給油し、当該原綿を80℃、2時間で乾燥した。得られた処理剤付与綿を下記の各評価に供した。評価結果を表1〜3に示す。なお、表中の不揮発分(%)は重量%のことを意味する。
処理剤付与綿30gを500mlのビーカーに入れ、その上に常温のイオン交換水300gを注ぎ入れ、ラップで蓋をして4時間放置後、イオン交換水に浸漬した処理剤付与綿から別の300mlビーカーに浸漬液200mlを搾り出した。次に、その搾り液30mlを100m1の栓付きメスシリンダーに入れて、10回強振した後、その5分後の泡の高さを測定した。泡の高さが1.0cm未満で低起泡性が良好であると判断した。
低起泡性の判断の指標(泡の高さ(cm))
◎(非常に良好):泡の高さが0.5cm未満。
○(良好) :泡の高さが0.5cm以上1.0cm未満。
△(不良) :泡の高さが1.0cm以上2.0cm未満。
×(非常に不良):泡の高さが2.0cm以上。
処理剤付与綿3kgを大和機工社製ミニチュアローラーカード機で処理し、ケーシング内側に付着したスカムを下記の4段階で目視判定し、◎〜○であればスカム抑制効果が良好であると判断した。
スカムの目視判定の指標
◎(非常に良好):ケーシングの内側の2割未満の範囲にスカムが付着。
○(良好) :ケーシングの内側の2割以上5割未満の範囲にスカムが付着。
△(不良) :ケーシングの内側の5割以上8割未満の範囲にスカムが付着。
×(非常に不良):ケーシングの内側の8割以上の範囲にスカムが付着。
処理剤付与綿3kgを大和機工社製ミニチュアローラーカード機で処理し、飛散した風綿をニューマーで吸引して集積し、その重量が30g未満であれば絡合性(風綿)が良好であると判断した。
絡合性(風綿)の判断の指標
◎(非常に良好):風綿の重量が10g未満
○(良好) :風綿の重量が10g以上30g未満
△(不良) :風綿の重量が30g以上60g未満
×(非常に不良):風綿の重量が60g以上
(スパンレース法)
処理剤付与綿40gをそれぞれ大和機工社製開繊機(型式OP−400)により開繊処理を施した。次いで、開繊処理された処理剤付与綿をランダム不織布加工機に供給し、排出されたフリースを積層して、目付100g/m2の繊維ウェブを得た。この繊維ウェブを、金属製ネットよりなる支持体上に配置し、噴射圧力15kg/cm2・Gで第一段階のスパンレース処理を施し、綿繊維相互間を予備的に三次元絡合させた。引き続き、噴射圧力100kg/cm2・Gで第二段階のスパンレース処理を施し、乾燥して不織布をそれぞれ得た。得られたスパンレース法による不織布の地合を目視判定にて評価した。
不織布の地合の判断の指標
◎:不織布の地合の乱れがなく、見た目が非常に良好である。
○:不織布の地合の乱れが少なく、見た目が良好である。
△:不織布の地合に若干の乱れが見られる。
×:不織布の地合に乱れが見られる。
予め脱脂しておき、処理剤が付着していない1.7dtex×5mmの原料ポリエステル短繊維(SD)を用い、原料短繊維に対する処理剤の不揮発分の付着量が0.2重量%になるように、前記処理剤のエマルションを給油し、当該原綿を80℃、2時間で乾燥して、処理剤付与綿を得た。1000mlビーカーにイオン交換水500gを採取し、その中に該処理剤付与綿1gを入れ、プロペラ撹拌機(回転数1000rpm)で10分間攪拌する。その後、No.5Aのろ紙を用いてヌッチェでろ過し、脱水後に風乾して得た抄紙の地合を目視により以下の評価基準で評価した。
不織布の地合の判断の指標
◎:不織布の地合の乱れがなく、見た目が非常に良好である。
○:不織布の地合の乱れが少なく、見た目が良好である。
△:不織布の地合に若干の乱れが見られる。
×:不織布の地合に乱れが見られる。
Dan−Webforming社のフォーミングドラムユニット(600mm幅、フォーミングドラムの孔形状2.4mm×20mmの長方形、開孔率40%)を用いてドラム回転数200rpm、ニードルロール回転数900rpm、ウェブ搬送速度30m/分の条件で、上記抄紙法で用いた処理剤付与綿3kgを通し、エアレイドウェブを採取した。アクリル系エマルジョンバインダー(固形分10%)8重量%(ウェブ重量対比)をスプレー塗布し、更に160℃の熱風で加熱して不織布を作製した。不織布の地合を目視により以下の評価基準で評価した。
不織布の地合の判断の指標
◎:不織布の地合の乱れがなく、見た目が非常に良好である。
○:不織布の地合の乱れが少なく、見た目が良好である。
△:不織布の地合に若干の乱れが見られる。
×:不織布の地合に乱れが見られる。
一方、比較例1〜7において、処理剤の不揮発分に占める前記成分(A)の重量割合が20〜95重量%の範囲にない場合(比較例1〜6)、炭素数が4〜11ではなく12の脂肪酸塩である場合(比較例7)には、本願課題の内の少なくとも1つが解決できていない。
Claims (6)
- 炭素数が4〜11の脂肪酸及び/又はその塩である成分(A)、有機リン酸エステル及び/又はその塩である成分(B)及びノニオン性界面活性剤である成分(C)を含む不織布製造用処理剤であって、処理剤の不揮発分に占める前記成分(A)の重量割合が50〜95重量%、前記成分(B)の重量割合が1〜30重量%、前記成分(C)の重量割合が1〜30重量%であり、スパンレース用である、不織布製造用処理剤。
- 前記脂肪酸が分岐脂肪酸である、請求項1に記載の不織布製造用処理剤。
- 前記成分(A)の前記成分(B)に対する重量比(A/B)が1以上である、請求項1又は2に記載の不織布製造用処理剤。
- 原料短繊維に対して、請求項1〜3のいずれかに記載の不織布製造用処理剤を付与してなる、短繊維。
- 請求項4に記載の短繊維を含有する、不織布。
- 請求項4に記載の短繊維を集積させて繊維ウェブを作製し、該繊維ウェブをスパンレース法で処理する工程を含む、不織布の製造方法。
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