JP2022186001A - 撥水繊維用処理剤及びその利用 - Google Patents

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幸男 酒井
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裕志 小南
Hiroshi Kominami
充宏 多田
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Abstract

【課題】撥水性及び制電性に優れる撥水繊維用処理剤を提供する。【解決手段】ノニオン界面活性剤(A)と、(ポリ)オキシアルキレン基及びヒドロキシル基を含まないエステル化合物(B1)、炭素数が6~22のアルコール(B2)及び炭素数7~70の炭化水素化合物(B3)から選ばれる少なくとも1種である化合物(B)と、炭素数2~5の炭化水素基を有するアルキルホスフェート及び/又はその塩(C1)及び炭素数2~5の炭化水素基を有するポリオキシアルキレン基含有アルキルホスフェート及び/又はその塩(C2)から選ばれる少なくとも1種であるホスフェート(C)と、を含有する撥水繊維用処理剤であって、前記処理剤の不揮発分に占めるノニオン界面活性剤(A)の重量割合が10~79.9重量%、前記化合物(B)の重量割合が20~70重量%、前記ホスフェート(C)の重量割合が0.1~40重量%である撥水繊維用処理剤。【選択図】なし

Description

本発明は、撥水繊維用処理剤及びその利用に関する。
一般に、紙おむつや合成ナプキンを代表とする生理用品等の吸収性物品は、少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含む繊維(ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維等)を主材とする各種不織布に親水性を付与したトップシートと、撥水性を付与したバックシートと、トップシートとバックシートの間に綿状パルプや高分子吸収体等からなる材料とを配置した3層から形成される構造になっていることが多い。バックシートは、尿や血液の漏れを防ぐために強い撥水性が求められる。またバックシート不織布を製造する工程において、静電気が発生すると不織布の地合が悪くなる事から静電気防止性(制電性)が求められるが、撥水化処理された繊維は静電気が発生しやすく撥水性と制電性の両立が求められる。
そこで、繊維表面にアルキル基の炭素数が14~18で、且つカリウム塩の割合が50~90重量%、ナトリウム塩の割合が10~50重量%であるアルキルホスフェート塩を用いることで撥水性と制電性を両立させる提案(特許文献1)がなされているが、撥水性と制電性の両立の程度がまだ不十分であった。
特開平8-325937号公報
そこで、本発明の目的は、撥水性及び制電性に優れる撥水繊維用処理剤を提供することである。又、該処理剤が付着した繊維および不織布を提供することである。
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ノニオン界面活性剤(A)と、特定の化合物(B)と、ホスフェート(C)とを、特定の割合で含む撥水繊維用処理剤であれば、解決できることを突き止めた。
すなわち、本発明の撥水繊維用処理剤は、ノニオン界面活性剤(A)と、(ポリ)オキシアルキレン基及びヒドロキシル基を含まないエステル化合物(B1)、炭素数が6~22のアルコール(B2)及び炭素数7~70の炭化水素化合物(B3)から選ばれる少なくとも1種である化合物(B)と、
炭素数2~5の炭化水素基を有するアルキルホスフェート及び/又はその塩(C1)及び炭素数2~5の炭化水素基を有するポリオキシアルキレン基含有アルキルホスフェート及び/又はその塩(C2)から選ばれる少なくとも1種であるホスフェート(C)と、を含有する撥水繊維用処理剤であって、前記処理剤の不揮発分に占めるノニオン界面活性剤(A)の重量割合が10~79.9重量%、前記化合物(B)の重量割合が20~70重量%、前記ホスフェート(C)の重量割合が0.1~40重量%である。
前記ノニオン界面活性剤(A)がポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含むと好ましい。
本発明の撥水性繊維は、原料撥水繊維に対して、上記撥水繊維用処理剤が付与されてなる。
本発明の撥水不織布の製造方法は、上記撥水性繊維を集積させて繊維ウェブを作製し、得られた繊維ウェブを熱処理する工程を含む。
本発明の撥水繊維用処理剤は、撥水性及び制電性に優れる。
本発明の撥水繊維用処理剤は、ノニオン界面活性剤(A)と、特定の化合物(B)と、特定のホスフェート(C)とを含む。以下に詳細に説明する。
〔ノニオン界面活性剤(A)〕
本発明の撥水繊維用処理剤は、ノニオン界面活性剤(A)を必須に含む。ノニオン界面活性剤(A)は、後述する(B)を乳化し、繊維に均一に付着させる機能を有する。
ノニオン界面活性剤(A)としては、多価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有し、分子中に水酸基が1つ以上有するエステル化合物(A1)、ポリオキシアルキレンヒマシ油エーテル(A2)、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油エーテル(A3)、ポリオキシアルキレン脂肪族アルコールエーテル(A4)及びPEGエステル(A5)等が挙げられる。
エステル化合物(A1)は、多価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有し、分子中に水酸基が1つ以上有する化合物である。後述するエステル化合物(B1-2)とは水酸基が1つ以上有する点で別の化合物である。
多価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有し、分子中に水酸基が1つ以上有するエステル化合物(A1)としては、特に限定されるものではないが、ソルビタンモノエステル(ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノラウレート)、ソルビタンジエステル(ソルビタンジステアレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタンジラウレート)、ソルビタントリエステル(ソルビタントリステアレート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタントリラウレート)、グリセリンモノエステル(グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート)、グリセリンジエステル(グリセリンジステアレート、グリセリンジオレエート、グリセリンジパルミテート、グリセリンジラウレート)等が挙げられる。
ポリオキシアルキレンヒマシ油エーテル(A2)は、ヒマシ油に対し、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加した構造を持つ化合物である。
ポリオキシアルキレンヒマシ油エーテル(A2)としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル(ポリオキシエチレン(1~25モル)ヒマシ油エーテル)が挙げられる。
ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油エーテル(A3)は、硬化ひまし油に対し、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加した構造を持つ化合物である。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル(A3)としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル(ポリオキシエチレン(1~25モル)硬化ヒマシ油エーテル)が挙げられる。
ポリオキシアルキレン脂肪族アルコールエーテル(A4)とは、脂肪族一価アルコール及び/又は脂肪族多価アルコールに対し、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加した構造を持つ化合物である。
ポリオキシアルキレン脂肪族アルコールエーテルとしては、例えば、オクチルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、グリセリン、ソルビトール、ソルビタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。
アルキレンオキシドの付加モル数としては、1~100モルが好ましく、2~70モルがより好ましく、3~50モルがさらに好ましい。また、アルキレンオキシド全体に対するエチレンンオキシドの割合は、20モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、40モル%以上がさらに好ましい。
ポリオキシアルキレン脂肪族アルコールエーテル(A4)としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシアルキレン脂肪族アルコールエーテル(ポリオキシエチレン(1~20モル)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(1~20モル)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(1~20モル)パルミチルエーテル、ポリオキシエチレン(1~20モル)ラウリルエーテル)、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル(ポリオキシエチレン(1~20モル)ステアリルエステル、ポリオキシエチレン(1~20モル)オレイルエステル、ポリオキシエチレン(1~20モル)パルミチルエステル、ポリオキシエチレン(1~20モル)ラウリルエステル)が挙げられる。
PEGエステル(A4)について、PEGとは、ポリエチレングリコールを意味し、PEGの水酸基と1価の脂肪酸とがエステル化した構造を有するポリエチレングリコールのエステル(以下、PEGエステル)を意味する。
1価の脂肪酸の炭素数については、特に限定されるものではないが、好ましくは4~24、より好ましくは10~22、さらに好ましくは12~20である。脂肪酸は、飽和と不飽和とを問わない。
PEGの重量平均分子量については、特に限定されるものではないが、200~600が好ましい。
〔化合物(B)〕
化合物(B)は、前記ノニオン界面活性剤(A)及びホスフェート(C)と併用されることにより、撥水繊維に対して、付与前よりも撥水性を付与する効果がある。
化合物(B)は、(ポリ)オキシアルキレン基及びヒドロキシル基を含まないエステル化合物(B1)及び炭素数が6~22のアルコール(B2)及び炭素数7~70の炭化水素化合物(B3)から選ばれる少なくとも1種である。
((ポリ)オキシアルキレン基及びヒドロキシル基を含まないエステル化合物(B1))
エステル化合物(B1)は、(ポリ)オキシアルキレン基及びヒドロキシル基のいずれも含まない化合物である。
(ポリ)オキシアルキレン基及びヒドロキシル基を含まないエステル化合物(B1)としては、炭素数6~22の炭化水素基を有する1価アルコールと炭素数6~22の炭化水素基を有する脂肪酸とのエステル化合物(B1-1)、多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物(B1-2)等が挙げられる。
エステル化合物(B1-2)は、多価アルコールの水酸基の全てが脂肪酸とエステル結合された構造を有し、いわゆる完全封鎖エステルである。
炭素数6~22の炭化水素基を有する1価アルコールと炭素数6~22の炭化水素基を有する脂肪酸とのエステル化合物(B1-1)としては、ステアリルステアレート、2-エチルヘキシルステアレート、オレイルステアレート、ラウリルステアレート、オレイルオレエート、オレイルステアレート等が挙げられる。
多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物(B1-2)としては、グリセリントリステアレート、ヤシ油、ひまわり油、パーム油、菜種油、魚油、牛脂等が挙げられる。
(炭素数が6~22のアルコール(B2))
炭素数が6~22のアルコール(B2)としては、へキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナオール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、へキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ヘネイコサノール、ドコサノール等の直鎖アルカノール;2-エチルへキサノール、2-プロピルヘプタノール、2-ブチルオクタノール、1-メチルヘプタデカノール、2-ヘキシルオクタノール、1-ヘキシルヘプタノール、イソデカノール、イソトリデカノール、3,5,5-トリメチルヘキサノール等の分岐アルカノール;ヘキセノール、ヘプテノール、オクテノール、ノネノール、デセノール、ウンデセノール、ドデセノール、トリデセノール、テトラデセノール、ペンタデセノール、へキサデセノール、ペンタデセノール、ヘキサデセノール、ヘプタデセノール、オクタデセノール、ノナデセノール、エイセノール、ドコセノール、等の直鎖アルケノール;イソヘキセノール、2-エチルへキセノール、イソトリデセノール、1-メチルヘプタデセノール、1-ヘキシルヘプテノール、イソトリデセノールおよびイソオクタデセノール等の分岐アルケノール等が挙げられる。これらのアルコールは、1種または2種以上を併用してもよい。
(炭素数7~70の炭化水素化合物(B3))
炭素数7~70の炭化水素化合物としては、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン等のパラフィン系炭化水素やデカリン等のナフテン系炭化水素、またベンゼンやナフタリン等の芳香族炭化水素、石油から分離精製されたスピンドル油、ケロシン油、流動パラフィンが挙げられる。これら炭化水素化合物は単体又は2種類以上の混合物として使用することが出来る。
〔ホスフェート(C)〕
本発明に使用されるホスフェート(C)は、炭素数2~5の炭化水素基を有するアルキルホスフェート及び/又はその塩(C1)及び炭素数2~5の炭化水素基を有するポリオキシアルキレン基含有アルキルホスフェート及び/又はその塩(C2)からから選ばれる少なくとも1種である。
炭素数2~5の炭化水素基を有するアルキルホスフェート及び/又はその塩(C1)としては、エチルホスフェート、プロピルホスフェート、ブチルホスフェート、ペンチルホスフェート、エチルホスフェートカリウム塩、プロピルホスフェートカリウム塩、ブチルホスフェートカリウム塩、ペンチルホスフェートカリウム塩、エチルホスフェートナトリウム塩、プロピルホスフェートナトリウム塩、ブチルホスフェートナトリウム塩、ペンチルホスフェートナトリウム塩が挙げられる。
炭素数2~5の炭化水素基を有するポリオキシアルキレン基含有アルキルホスフェート及び/又はその塩(C2)としては、
モノエチレングリコールモノブチルエーテルホスフェートカリウム塩等、が挙げられる。
〔撥水繊維用処理剤〕
本発明の撥水繊維用処理剤は、ノニオン界面活性剤(A)、化合物(B)及びホスフェート(C)を必須で含む。
前記処理剤の不揮発分に占めるノニオン界面活性剤(A)の重量割合は、10~79.9重量%であり、15~75重量%がより好ましく、20~70重量%がさらに好ましい。10重量%未満では、濡れ性が不足し、79.9重量%を超えると撥水性が不足する。
前記処理剤の不揮発分に占める前記化合物(B)の重量割合は、20~70重量%であり、25~65重量%がより好ましく、30~60重量%がさらに好ましい。20重量%未満では、撥水性が不足し、70重量%を超えると制電性が不足する。
前記処理剤の不揮発分に占める前記ホスフェート(C)の重量割合は、0.1~40重量%であり、1~30重量%が好ましく、2~25重量%がより好ましく、3~20重量%がさらに好ましく、4~15重量%が最も好ましい。0.1重量%未満では、制電性が不足し、40重量%を超えると撥水性が不足する。
〔撥水性繊維〕
本発明の撥水性繊維は、不織布製造用合成繊維(繊維本体)とこれに付着した上記撥水繊維用処理剤とから構成される撥水性繊維であり、一般的には所定の長さに切断した短繊維である。撥水繊維用処理剤の不揮発分の付着率は、前記撥水性繊維に対して0.1~2重量%が好ましく、0.3~1重量%がさらに好ましい。撥水性繊維に対する撥水繊維用処理剤の不揮発分の付着率が0.1重量%未満では、繊維をカード処理する時に制電性が低下することがある。一方、撥水繊維用処理剤の不揮発分の付着率が2重量%を超えると、繊維をカード処理する時に巻付きが多くなって生産性が大幅に低下したり、不織布等のベトツキが大きくなることがある。
不織布製造用合成繊維(繊維本体)としては、たとえば、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、塩ビ繊維、2種類以上の熱可塑性樹脂からなる複合繊維等であり、複合繊維の組み合わせとしては、ポリオレフィン系樹脂/ポリオレフィン系樹脂の場合、例えば、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、直鎖状高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレンと他のα-オレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ポリプロピレン、直鎖状高密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン等が挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂の場合、例えば、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、直鎖状高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。また、ポリエステル系樹脂/ポリエステル系樹脂の場合、例えば、共重合ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。さらにポリアミド系樹脂/ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂等からなる繊維も例示することができる。これら不織布製造用合成繊維(繊維本体)のなかでも、柔らかな肌触りが好まれる理由から、不織布製造用ポリオレフィン系繊維(ポリオレフィン繊維やポリオレフィン繊維を含む複合繊維)、不織布製造用ポリエステル系繊維(ポリエステル繊維やポリエステル繊維を含む複合繊維)等の疎水性合成繊維に本発明の撥水繊維用処理剤は好適であり、さらには不織布製造用ポリオレフィン系繊維に本発明の撥水繊維用処理剤は好適である。
繊維の断面構造は鞘芯型、並列型、偏心鞘芯型、多層型、放射型あるいは海島型が例示できるが、繊維製造工程での生産性や、不織布加工の容易さから、偏心を含む鞘芯型または並列型が好ましい。また、断面形状は円形または異形形状とすることができる。異形形状の場合、例えば扁平型、三角形~八角形等の多角型、T字型、中空型、多葉型等の任意の形状とすることができる。
本発明の撥水繊維用処理剤は、そのまま希釈等せずに繊維本体に付着させてもよく、水等で不揮発分全体の重量割合が0.5~5重量%となる濃度に希釈してエマルジョンとして繊維本体に付着させてもよい。撥水繊維用処理剤を繊維本体へ付着させる工程は、繊維本体の紡糸工程、延伸工程、捲縮工程等のいずれであってもよい。本発明の撥水繊維用処理剤を繊維本体に付着させる手段については、特に限定はなく、ローラー給油、ノズルスプレー給油、ディップ給油等の手段を使用してもよい。繊維の製造工程やその特性に合わせ、より均一に効率よく目的の付着量が得られる方法を採用すればよい。また、乾燥の方法としては、熱風および赤外線により乾燥させる方法、熱源に接触させて乾燥させる方法等を用いてよい。
〔不織布の製造方法〕
不織布の製造方法として、特に限定なく、公知の方法を採用できる。原料繊維としては短繊維や長繊維を用いることができる。原料繊維が短繊維のウェブ形成方式としては、カード方式やエアレイド方式等の乾式法や抄紙方式等の湿式法が挙げられる。また原料繊維が長繊維のウェブ形成方式としては、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法等が挙げられる。また、繊維間結合方式としては、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、スティッチボンド法等が挙げられる。
本発明の不織布の製造方法は、本発明の撥水性繊維(例えば短繊維)をカード機等に通し繊維ウェブを作製し、得られた繊維ウェブを熱処理する工程を含むものが好ましい。すなわち、本発明の撥水繊維用処理剤は、不織布の製造において繊維ウェブを熱処理する工程を有する場合に、特に好適に使用されるものである。
繊維ウェブを熱処理して接合させる方法としては、加熱ロールまたは超音波によるによる熱圧着、加熱空気による熱融着、熱圧着点(ポイントボンディング)法等の熱融着法が挙げられる。繊維ウェブを熱処理して接合させる一例としては、芯に高融点の樹脂を使用し鞘に低融点の樹脂を使用する鞘芯型の複合繊維の場合、低融点の樹脂の融点付近で熱処理することで、繊維交点の熱接着を容易に行なうことができる。
不織布の製造方法としては、撥水繊維用処理剤が付与された短繊維をカード機等に通しウェブとしたものを上述のように熱処理して接合させ一体化する方法、エアレイド法でパルプ等を積層する際に本発明の撥水性繊維(短繊維)と混綿して、上述のように熱処理して接合させる方法等も挙げられる。その他、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法等により得られた繊維成形体に対して、本発明の撥水繊維用処理剤を付着させたものを加熱ロールまたは加熱空気等で熱処理して、または加熱ロールまたは加熱空気等で熱処理したものに本発明の撥水繊維用処理剤を付着させて、不織布を製造する方法も挙げられる。
スパンボンド法の一例としては、複合繊維樹脂を紡糸し、次に、紡出された複合長繊維フィラメントを冷却流体により冷却し、延伸空気によってフィラメントに張力を加えて所期の繊度とする。その後、紡糸されたフィラメントを捕集ベルト上に捕集し、接合処理を行ってスパンボンド不織布を得る。接合手段としては、加熱ロールまたは超音波によるによる熱圧着、加熱空気による熱融着、熱圧着点(ポイントボンディング)法等がある。
得られたスパンボンド不織布に本発明の撥水繊維用処理剤を付与する方法としては、グラビア法、フレキソ法、ゲートロール法等のロールコーティング法、スプレーコーティング法等で行うことができるが、不織布への塗布量を片面ずつ調節できるものであれば特に限定されるものではない。また、乾燥の方法としては、熱風および赤外線により乾燥させる方法、熱源に接触させて乾燥させる方法等を用いてよい。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はここに記載した実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例に示される「パーセント(%)」及び「部」は、特に限定しない限り、「重量%」及び「重量部」を示す。なお、実施例及び比較例において、撥水繊維用処理剤の各特性の評価は次の方法に従って行った。
(実施例1~18及び比較例1~12)
表1~4に示す各成分及び水を混合して、撥水繊維用処理剤全体に占める不揮発分の重量割合が25重量%の実施例1~18、比較例1~12の撥水繊維用処理剤をそれぞれ調製した。得られた撥水繊維用処理剤をそれぞれ約60℃の温水で不揮発分の重量割合が0.9重量%の濃度になるよう希釈して希釈液を得た。
次に、繊維本体300gに対しそれぞれの撥水繊維用処理剤の希釈液150gをディップ給油法で付着させ、撥水性繊維に付着する撥水繊維用処理剤の不揮発分の付着量を0.45重量%にした。繊維本体は、撥水繊維用処理剤等の繊維処理剤が付着していない、ポリプロピレン(芯)-ポリエチレン(鞘)系複合繊維であり、単繊維繊度が2.2Dtex、繊維長が38mmのものであった。それぞれの撥水繊維用処理剤の希釈液を付着させた繊維を、80℃の温風乾燥機の中に2時間入れた後、室温で8時間以上放置して乾燥させて、撥水性繊維を得た。
得られた撥水性繊維をそれぞれ開繊工程およびカード試験機を用いたカード工程に通し、目付25g/mのウェブを作製した。その際、それぞれの撥水性繊維について、下記に示す評価方法でカード工程における物性(制電性)を評価した。得られたウェブを用いて変色防止性を評価した。得られたウェブをエアースルー型熱風循環乾燥機中140℃で熱処理してウェブを固定し、不織布を得た。得られた不織布について、下記に示す評価方法で物性(撥水性)をそれぞれ評価した。その結果を表1~4に示す。
[撥水性]
不織布(25g/m)を15cm角に切断し、JIS L1092の6.1 耐水度A法(低水圧法)による(a)静水圧法に準拠して耐水圧を測定し以下の基準で評価した。なお、5が最も良い評価である。3以上であると実用に供し得る。
5 … 25mm以上
4 … 20mm以上~25mm未満
3 … 15mm以上~20mm未満
2 … 10mm以上~15mm未満
1 … 10mm未満
[カード工程評価]
(制電性) カード試験機を用いて20℃×45%RHの条件で試料撥水性繊維40gをシリンダー回転数970rpm(設定可能な最高回転数)でミニチュアカード機に通す。発生した静電気の電圧を測定し、以下の基準で評価する。なお、5が最も良い評価であり、5以上であると実用に供し得る。
5…0.1kV未満、
4…0.1~1.0kV、
3…1.0kV超~1.5kV、
2…1.5kV超~2.0kV、
1…2.0kVより大
[経時変化綿カード工程評価]
(経時綿制電性)
50℃×65%RH×2週間の条件下で経時変化させた試料撥水性繊維40gをカード試験機を用いて20℃×45%RHの条件でシリンダー回転数970rpm(設定可能な最高回転数)でミニチュアカード機に通す。
発生した静電気の電圧を測定し、以下の基準で評価する。なお、5が最も良い評価であり、3以上であると実用に供し得る。
5…0.1kV未満、
4…0.1~1.0kV、
3…1.0kV超~1.5kV、
2…1.5kV超~2.0kV、
1…2.0kVより大
[紡糸工程評価]
濡れ性の評価による代用評価である。調製した各例の撥水繊維用処理剤の10%水溶液を更に水希釈して1%水溶液を作製し、この1%水性液にフェルトを浮かばせ、沈むまでの時間を測定し、以下の基準で評価した。なお、5が最も良い評価であり、3以上であると実用に供し得る。
5…30秒未満、
4…30秒以上~60秒未満、
3…60秒以上~90秒未満、
2…90秒以上~30分未満、
1…30分以上
なお、表1及び表2中に示す成分は次の通りである。
A-1 ソルビタンモノステアレート
A-2 ポリオキシエチレン(10モル)硬化ヒマシ油エーテル
A-3 ポリオキシエチレン(7モル)ステアリルエーテル
A-4 ポリオキシエチレン(20モル)オレイルエーテル
B-1 ステアリルアルコール
B-2 ステアリルステアレート
B-3 2-エチルヘキシルステアレート
B-4 パラフィンワックス
C-1 エチルホスフェートカリウム塩
C-2 プロピルホスフェートカリウム塩
C-3 ブチルホスフェートナトリウム塩
C-4 モノエチレングリコールモノブチルエーテルホスフェートカリウム塩
c-1 ヘキシルホスフェートカリウム塩
c-2 オクチルホスフェートカリウム塩
c-3 ラウリルホスフェートカリウム塩
c-4 ステアリルホスフェートカリウム塩
Figure 2022186001000001
Figure 2022186001000002
Figure 2022186001000003
Figure 2022186001000004
表1~4から明らかなように、実施例1~18までの撥水繊維用処理剤は、ノニオン界面活性剤(A)と、(ポリ)オキシアルキレン基及びヒドロキシル基を含まないエステル化合物(B1)、炭素数が6~22のアルコール(B2)及び炭素数7~70の炭化水素化合物(B3)から選ばれる少なくとも1種である化合物(B)と、炭素数2~5の炭化水素基を有するアルキルホスフェート及び/又はその塩(C1)及び炭素数2~5の炭化水素基を有するポリオキシアルキレン基含有アルキルホスフェート及び/又はその塩(C2)からから選ばれる少なくとも1種であるホスフェート(C)と、特定量含有するため、撥水性及び制電性に優れる。
一方、比較例1~12では、ホスフェート(C)を含まない場合(比較例1~6)には溶液安定性、撥水及び制電性が不足し、成分(B)を含まない場合(比較例2)、化合物(B)を含まない場合(比較例7~10)、ホスフェート(C)が0.1%未満である場合(比較例11、12)には、撥水性及び制電性の課題のうち少なくとも1つを解決できていない。
本発明の撥水繊維用処理剤を用いて処理した撥水繊維及び不織布は、紙おむつやナプキンを代表とする生理用品等の吸収性物品のバックシートに用いられる。その他、食品用途、医療用途、及び工業用途での撥水シートを必要とする場面で使用することもできる。

Claims (4)

  1. ノニオン界面活性剤(A)と、(ポリ)オキシアルキレン基及びヒドロキシル基を含まないエステル化合物(B1)、炭素数が6~22のアルコール(B2)及び炭素数7~70の炭化水素化合物(B3)から選ばれる少なくとも1種である化合物(B)と、
    炭素数2~5の炭化水素基を有するアルキルホスフェート及び/又はその塩(C1)及び炭素数2~5の炭化水素基を有するポリオキシアルキレン基含有アルキルホスフェート及び/又はその塩(C2)から選ばれる少なくとも1種であるホスフェート(C)と、を含有する撥水繊維用処理剤であって、
    前記処理剤の不揮発分に占めるノニオン界面活性剤(A)の重量割合が10~79.9重量%、前記化合物(B)の重量割合が20~70重量%、前記ホスフェート(C)の重量割合が0.1~40重量%である、撥水繊維用処理剤。
  2. 前記ノニオン界面活性剤(A)がポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む、請求項1に記載の撥水繊維用処理剤。
  3. 原料撥水繊維に対して、請求項1又は2に記載の撥水繊維用処理剤が付与されてなる、撥水性繊維。
  4. 請求項3に記載の撥水性繊維を集積させて繊維ウェブを作製し、得られた繊維ウェブを熱処理する工程を含む、撥水不織布の製造方法。
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