JP2004052114A - 耐久透水性付与剤および透水性繊維 - Google Patents
耐久透水性付与剤および透水性繊維 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】繰り返し体液等の水性液体を透過させても、水性液体の吸収がスムーズで吸収の低下が少ない吸水性物品の表面材を得ることができる、疎水性繊維用透水性付与剤を提供する。
【解決手段】HLBが9.0〜11.5の脂肪酸エステル(A)と、HLBが6.5〜8.5の脂肪酸エステル(B)からなり、(A)と(B)の合計質量に基づく(A)の量が40〜90質量%、(B)の量が10〜60質量%である疎水性繊維用耐久透水性付与剤;および、HLBが6.6〜9.8の、重合度4以上のポリエチレングルコール脂肪酸エステル(C)と、HLBが6.5〜8.5の、エーテル基の数が0〜2個の多価アルコール脂肪酸エステル(B1)からなり、(C)と(B1)の合計質量に基づく(C)の量が40〜90質量%、(B1)の量が10〜60質量%である疎水性繊維用耐久透水性付与剤。
【選択図】 なし
【解決手段】HLBが9.0〜11.5の脂肪酸エステル(A)と、HLBが6.5〜8.5の脂肪酸エステル(B)からなり、(A)と(B)の合計質量に基づく(A)の量が40〜90質量%、(B)の量が10〜60質量%である疎水性繊維用耐久透水性付与剤;および、HLBが6.6〜9.8の、重合度4以上のポリエチレングルコール脂肪酸エステル(C)と、HLBが6.5〜8.5の、エーテル基の数が0〜2個の多価アルコール脂肪酸エステル(B1)からなり、(C)と(B1)の合計質量に基づく(C)の量が40〜90質量%、(B1)の量が10〜60質量%である疎水性繊維用耐久透水性付与剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、透水性付与剤に関する。さらに詳しくは、吸水性物品の表面材等に用いる疎水性繊維用の耐久透水性付与剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙おむつ、衛生ナプキン等の吸水性物品の表面材に用いる繊維の透水性付与剤としては、ソルビタンモノオレイン酸エステルとソルビタンモノオレイン酸エステルエチレンオキシド付加物との混合物を用いる付与剤が知られている。(特開昭63−38453号公報)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この透水性付与剤を用いた繊維からなる表面材では、紙おむつ等、繰り返し体液を吸収させる吸収体の性能向上の要望が強くなり、さらに吸収回数を増やす要望が出てきたため、繰り返し使用時に、吸収性能が十分でないという欠点を有するに至った。
【0004】
本発明は、繰り返し体液等の水性液体を透過させても、水性液体の吸収がスムーズで吸収の低下が少ない吸水性物品の表面材を得ることができる、疎水性繊維用透水性付与剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示すような発明に到達した。
すなわち本発明は、下記の5発明である。
(I) HLBが9.0〜11.5の脂肪酸エステル(A)と、HLBが6.5〜8.5の脂肪酸エステル(B)からなり、(A)と(B)の合計質量に基づく(A)の量が40〜90質量%、(B)の量が10〜60質量%であることを特徴とする疎水性繊維用耐久透水性付与剤。
(II) HLBが6.6〜9.8の、重合度4以上のポリエチレングルコール脂肪酸エステル(C)と、HLBが6.5〜8.5の、エーテル基の数が0〜2個の多価アルコール脂肪酸エステル(B1)からなり、(C)と(B1)の合計質量に基づく(C)の量が40〜90質量%、(B1)の量が10〜60質量%であることを特徴とする疎水性繊維用耐久透水性付与剤。
(III) 疎水性繊維に対して、上記(I)または(II)の耐久透水性付与剤が0.05〜2質量%付着されてなる透水性繊維。
(IV) 上記の透水性繊維を用いた不織布。
(V) 上記の不織布からなる表面材を用いた吸水性物品。
【0006】
【発明の実施の形態】
本第1発明の耐久透水性付与剤は、HLBが9.0〜11.5の脂肪酸エステル(A)とHLBが6.5〜8.5の脂肪酸エステル(B)を併用する。
【0007】
本発明でいうHLBは、界面活性剤の親水性を表す数値であり、HLBが大きい程、親水性であることを示す。ここで使用するHLBは、小田氏の考案した化合物の無機性の値と有機性の値との比率から求める方法により計算したものである〔小田著「帝人タイムス、22頁、第9巻(1952年);小田、寺村著「界面活性剤の合成と其応用」、501頁、槇書店(1957年);等に記載〕。
【0008】
上記構成成分(A)のHLBは9.0〜11.5の範囲である。下限は好まし9.5であり、上限は好ましくは11.2、さらに好ましくは10.5である。HLBが9.0以上の場合は、浸透性が良好であり、11.5を越える場合は、外観の安定性が不良となる。
上記構成成分(B)のHLBは6.5〜8.5の範囲である。下限は好ましくは7.0であり、上限は好ましくは8.2である。HLBが6.5未満の場合は、乳化性が不良となり、8.5以下の場合は、外観の安定性が良好である。
【0009】
本第1発明において、脂肪酸エステル(A)は、1価以上(好ましくは2〜8価)のアルコール〔好ましくは数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる、以下Mnと略す)1000以下〕と、脂肪酸(好ましくは炭素数8〜24)とのエステルであって、上記HLBの範囲を満たすものであればとくに限定されず、2種以上を併用してもよい。
(A)としては、炭素数10〜14の脂肪酸と炭素数2〜6の多価アルコールとのエステルが好ましい。
炭素数10〜14の脂肪酸としては、直鎖状でも分岐状でも、飽和、不飽和のいずれでもよく、デカン酸、ラウリン酸、およびミリスチン酸などが挙げられる。炭素数2〜6の多価アルコールとしては、Mn200以下のものが好ましく、例えば、2価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール;3価アルコールとしてはグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン;4〜6価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ジグリセリン、ソルビトール;が挙げられる。
これらの脂肪酸と多価アルコールのエステルとしては、ジエステルやトリエステルでもよいが、好ましいものはモノエステルである。さらに好ましいものは、4〜6価アルコールの脂肪酸モノエステルであり、とくに好ましいものは、ペンタエリスリトールまたはソルビタンのモノラウリン酸エステルであり、最も好ましいものは、ソルビタンモノラウリン酸エステルである。
【0010】
本第1発明において、脂肪酸エステル(B)は、1価以上(好ましくは2〜8価)のアルコール(好ましくはMn1000以下)と、脂肪酸(好ましくは炭素数8〜24)とのエステルであって、上記HLBの範囲を満たすものであればとくに限定されず、2種以上を併用してもよい。
(B)としては、分子中のエーテル基の数が0〜2個の多価アルコールの脂肪酸エステル(B1)が好ましく、炭素数16〜22の脂肪酸と炭素数2〜6の多価アルコールとのエステルがさらに好ましい。
炭素数16〜22の脂肪酸としては、直鎖状でも分岐状でも、飽和、不飽和のいずれでもよく、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、およびベヘニン酸などが挙げられる。炭素数2〜6の多価アルコールとしては、前記(A)において例示したものと同様のものが挙げられる。
これらの脂肪酸と多価アルコールのエステルとしては、ジエステルやトリエステルでもよいが、好ましいものはモノエステルである。さらに好ましいものは、4〜6価アルコールの脂肪酸モノエステルであり、とくに好ましいものは、ペンタエリスリトールまたはソルビタンのモノオレイン酸エステルであり、最も好ましいものは、ソルビタンモノオレイン酸エステルである。
【0011】
本第1発明の耐久透水性付与剤における(A)と(B)の合計質量に基づく(A)と(B)の量は、好ましくは(A)が40〜90質量%、(B)が10〜60質量%である。(A)の下限はさらに好ましくは42質量%、とくに好ましくは45質量%〔すなわち、(B)の上限はさらに好ましくは58質量%、とくに好ましくは55質量%〕であり、(A)の上限はさらに好ましくは80質量%、とくに好ましくは75質量%〔すなわち、(B)の下限はさらに好ましくは20質量%、とくに好ましくは25質量%〕である。(A)の量が90質量%以下であると、付与剤を用いた繊維の吸水性が良好であり、40質量%以上では、付与剤の乳化性が良好である。
【0012】
次に、本第2発明の耐久透水性付与剤は、HLBが6.6〜9.8の、重合度4以上のポリエチレングルコール(以下PEGと略す)脂肪酸エステル(C)と、HLBが6.5〜8.5の、エーテル基の数が0〜2個の多価アルコール脂肪酸エステル(B1)を併用する。
【0013】
上記構成成分(C)のHLBは6.6〜9.8の範囲である。下限は好ましくは6.8、さらに好ましくは7.0であり、上限は好ましくは9.5、さらに好ましくは9.0である。HLBが6.6以上の場合は、乳化性が良好であり、9.8以下の場合は、浸透性が良好である。
上記構成成分(B1)のHLBは6.5〜8.5の範囲である。下限は好ましくは7.0であり、上限は好ましくは8.2である。HLBが6.5未満の場合は、乳化性が不良となり、8.5以下の場合は、外観の安定性が良好である。
【0014】
本第2発明において、脂肪酸エステル(C)は、重合度4以上(すなわちMn194以上)のPEG(好ましくはMn1000以下)と、脂肪酸(好ましくは炭素数8〜24)とのエステルであって、上記HLBの範囲を満たすものであればとくに限定されず、2種以上を併用してもよい。
(C)としては、炭素数12〜18の脂肪酸と、Mn200〜500(とくに300〜450)のPEGとのエステルが好ましい。
炭素数12〜18の脂肪酸としては、直鎖状でも分岐状でも、飽和、不飽和のいずれでもよく、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸などが挙げられる。
これらの脂肪酸とPEGのエステルとしては、モノエステルでもジエステルでもよいが、ジエステルが好ましい。さらに好ましいものは、Mn300〜450のPEGの脂肪酸ジエステルであり、とくに好ましいものは、Mn350〜450のPEGのジラウリン酸エステルである。
【0015】
本第2発明において、脂肪酸エステル(B1)は、エーテル基の数が0〜2個の多価(好ましくは2〜8価)アルコール(好ましくはMn500以下)と、脂肪酸(好ましくは炭素数8〜24)とのエステルであって、上記HLBの範囲を満たすものであればとくに限定されず、2種以上を併用してもよい。
(B1)としては、炭素数16〜22の脂肪酸と炭素数2〜6の多価アルコールとのエステルが好ましい。
炭素数16〜22の脂肪酸としては、前記(B)において例示したものと同様のものが挙げられる。炭素数2〜6の多価アルコールとしては、前記(A)において例示したものと同様のものが挙げられる。また、(B1)として好ましいものは、前記(B)と同様である。
【0016】
本第2発明の耐久透水性付与剤における(C)と(B1)の合計質量に基づく(C)と(B1)の量は、好ましくは(C)が40〜90質量%、(B1)が10〜60質量%である。(C)の下限はさらに好ましくは42質量%、とくに好ましくは45質量%〔すなわち、(B1)の上限はさらに好ましくは58質量%、とくに好ましくは55質量%〕であり、(C)の上限はさらに好ましくは80質量%、とくに好ましくは75質量%〔すなわち、(B1)の下限はさらに好ましくは20質量%、とくに好ましくは25質量%〕である。(C)の量が90質量%以下であると、付与剤を用いた繊維の吸水性が良好であり、40質量%以上では、付与剤の乳化性が良好である。
【0017】
本第1および第2発明の透水性付与剤は、必要に応じて、(A)、(B)、(C)および(B1)以外の界面活性剤(D)、およびその他の添加剤(E)を含有してもよい。
(D)としては、非イオン界面活性剤{高級アルコール(炭素数8〜24)のエチレンオキシド(以下EOと略す)3〜30モル付加物、高級アルコール(炭素数8〜24)のプロピレンオキシド(以下POと略す)/EO3〜50モル付加物、多価アルコールエステルのEO3〜30モル付加物、および多価アルコールエステルEO3〜30モル付加物の脂肪酸(炭素数8〜24)エステルなど}、アニオン界面活性剤(炭素数8〜18のカルボン酸塩、スルホン酸塩、および燐酸エステル塩など)、カチオン界面活性剤(第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、アミン塩型界面活性剤など)、並びに両性界面活性剤(ベタイン型界面活性剤など)が挙げられる。
(E)としては、シリコン化合物、ワックス、酸化防止剤、紫外線吸収剤、および香料などが挙げられる。
【0018】
本発明の付与剤中の(D)の含量は、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
また、本発明の付与剤中の(E)の含量は、好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。
【0019】
本発明の透水性付与剤は、(A)と(B)、または(C)と(B1)のいずれかと、必要により(D)および/または(E)の各成分を配合し、常温または必要により加熱(例えば30〜80℃)して均一に混合することにより得られる。各成分の配合順序、配合方法は特に限定されない。
【0020】
本発明の耐久透水性付与剤は、疎水性繊維に、通常水系エマルションとして給油される。
水系エマルションは、本付与剤に20〜40℃の水または湯を投入して希釈するか、20〜40℃の水または湯の中に本付与剤を加えて乳化し、作成するのが好ましい。
【0021】
水系エマルションには、必要により、水以外の水溶性溶剤を併用してもよい。水溶性溶剤の使用量は、好ましくは水に対して20質量%以下、さらに好ましくは、1〜10質量%である。
上記水溶性溶剤は、20℃で水と任意の割合で相溶する溶剤であり、エチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。好ましくは、エチレングリコールである。
【0022】
エマルションの溶剤を除く非揮発分の濃度は、任意の濃度の選択が可能であるが、好ましくは0.1〜30質量%、さらに好ましくは0.5〜20質量%である。
【0023】
疎水性繊維に透水性付与剤を付着させる方法には特別な制限はなく、紡糸・延伸などの任意の行程で、オイリングロール法、浸漬法、噴霧法などの通常用いられる方法を利用することができる。
付与剤の付着量は、繊維に対し純分(水および水溶性溶剤を除く非揮発成分)で、好ましくは0.05〜2質量%、さらに好ましくは、0.1〜1.5質量%である。
本発明の透水性付与剤を付着させることで、疎水性繊維に耐久的な透水性を付与し、本発明の透水性繊維とすることができる。
【0024】
本発明の透水性繊維の素材に用いられる疎水性繊維とは、温度25℃、湿度65%で吸水率が1質量%以下である繊維を意味する。疎水性繊維としてはとくに限定されず、通常用いられる疎水性の合成繊維を用いることができ、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、およびエチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体などが挙げられる。また、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート、およびポリエーテルポリエステルなどが挙げられる。ポリアミドとしては、6,6−ナイロン、および6−ナイロンなどが挙げられる。
これらの中でも、ポリオレフィンおよびポリエステルは、おむつ用吸水素材として好ましく用いられる。
【0025】
本発明の耐久透水性付与剤が付与されてなる透水性繊維を用いた繊維形態は、布状の形状のものが好ましく、織物、編物、不織布などが挙げられる。また、混綿、混紡、混繊、交編、交織などの方法で混合した繊維を布状として使用してもよい。これらの中では、とくに不織布が好ましい。
【0026】
不織布に適用する場合、本透水性付与剤を処理した短繊維を、乾式または湿式法で繊維積層体とした後、加熱ロールで圧着したり、空気加熱で融着したり、高圧水流で繊維を交絡させ不織布としてもよいし、スパンボンド法、メルトブローン法、フラッシュ紡糸法などによって得られた不織布に、本付与剤を付着させてもよい。
【0027】
本発明の透水性繊維、およびそれを用いた不織布は、吸水性物品の表面材、とくに紙おむつ、生理用ナプキン等の衛生材料の表面材として好適に用いられる。また、セカンドシート、吸水体、工業用または医療用のワイパー、吸収パッド、および透水シートなどに利用することもできる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下において、部は質量部、%は質量%を意味する。
【0029】
本実施例および比較例に用いた原料とその記号は以下の通りである。
<脂肪酸エステル(A)>
A−1:ソルビタンモノラウリン酸エステル(HLB:10.0)
A−2:ソルビタンモノデカン酸エステル(HLB:11.2)
A−3:ソルビタンモノミリスチン酸エステル(HLB:9.0)
<脂肪酸エステル(B)または(B1)>
B−1:ソルビタンモノオレイン酸エステル(HLB:7.7)
B−2:ソルビタンモノパルミチン酸エステル(HLB:8.2)
<脂肪酸エステル(C)>
C−1:Mn400のPEGのジラウリン酸エステル(HLB:8.8)
C−2:Mn400のPEGのジオレイン酸エステル(HLB:6.8)
C−3:Mn400のPEGのジミリスチン酸エステル(HLB:7.9)
C−4:Mn300のPEGのジラウリン酸エステル(HLB:7.3)
<他の成分>
R−1:ソルビタンモノオレイン酸エステルEO10モル付加物(HLB:12.3)
R−2:Mn200のPEGのジオレイン酸エステル(HLB:4.7)
【0030】
実施例1〜10
表1に記載の部数の各成分を櫂型攪拌機を有する配合槽に仕込み、40〜50℃にて混合し、黄色液状の本発明の透水性付与剤100部を得た。
【0031】
比較例1〜7
表2に記載の部数の各成分を櫂型攪拌機を有する配合槽に仕込み、40〜50℃にて混合し、黄色液状の比較の透水性付与剤100部を得た。ただし、比較例4、5および7は、単一の成分(黄色液状)100部を用いた。
【0032】
性能試験
実施例1〜10、および比較例1〜7で得た、本発明または比較の透水性付与剤を用いて、付与剤の乳化性、繰り返し透水性、およびドライタッチ性の評価を行った。評価結果を表3に示す。各試験項目の試験方法および評価基準は、下記のとおりである。
【0033】
〔乳化性〕
乳化方法 :99.5部の30℃のイオン交換水を攪拌しながら、0.5部の35℃の各透水性付与剤を投入して乳化した。
乳化性の評価:乳化60分経過後、目視にて判定した。
○:油滴・スカム無し。
×:油滴・スカムが見られる。
乳化性不良のもの(比較例1、4および6)は、繰り返し透水性、ドライタッチ性の試験が実施できなかった。
【0034】
〔繰り返し透水性〕
試料処理方法:目付20g/m2 のポリプロピレンスパンボンド不織布に、透水性付与剤を0.5%給油した。給油は、給油浴の付与剤エマルション(純分0.5%)に浸漬後、マングルで絞り(絞り率:100%)、その後、循風乾燥機で80℃、30分間乾燥した。
透水性試験 :上記方法で処理した試料10cm×10cmを、内径4.3cmの上下に積んだ円筒2個の間に挟み、上の円筒内に、イオン交換水20ccを入れ、透水後、試料を濾紙で挟んで水を吸い取り、その後3時間風乾する。これを吸水回数1回とする。2回目以降は、これらの処理を水が透らなくなるまで繰り返す。試料が水を透した最後の回数を、繰り返し透水回数とした。
【0035】〔ドライタッチ性〕
試料処理方法 :繰り返し透水性試験と同様に処理した。
ドライタッチ性の評価:上記の試料10cm×10cmに、同じ面積の濾紙を乗せ、中心部に水1ccを滴下し、1分後に水を滴下した箇所を手で軽く押さえ、触感でドライ感を確認した。
○:ドライ感あり。
×:湿った感じが残る。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
表3の結果から明らかなように、本発明の透水性付与剤(各実施例)は、いずれも、比較例に比べて繰り返し透水性が大きい。
【0040】
【発明の効果】
本発明の耐久透水性付与剤が付着された透水性繊維を使用した不織布は、繰り返し透水回数が従来の付与剤を用いた場合に比べて飛躍的に向上する。このため、紙おむつ、生理用ナプキンといった衛生材料の表面材としてとくに好適である。
【発明の属する分野】
本発明は、透水性付与剤に関する。さらに詳しくは、吸水性物品の表面材等に用いる疎水性繊維用の耐久透水性付与剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙おむつ、衛生ナプキン等の吸水性物品の表面材に用いる繊維の透水性付与剤としては、ソルビタンモノオレイン酸エステルとソルビタンモノオレイン酸エステルエチレンオキシド付加物との混合物を用いる付与剤が知られている。(特開昭63−38453号公報)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この透水性付与剤を用いた繊維からなる表面材では、紙おむつ等、繰り返し体液を吸収させる吸収体の性能向上の要望が強くなり、さらに吸収回数を増やす要望が出てきたため、繰り返し使用時に、吸収性能が十分でないという欠点を有するに至った。
【0004】
本発明は、繰り返し体液等の水性液体を透過させても、水性液体の吸収がスムーズで吸収の低下が少ない吸水性物品の表面材を得ることができる、疎水性繊維用透水性付与剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示すような発明に到達した。
すなわち本発明は、下記の5発明である。
(I) HLBが9.0〜11.5の脂肪酸エステル(A)と、HLBが6.5〜8.5の脂肪酸エステル(B)からなり、(A)と(B)の合計質量に基づく(A)の量が40〜90質量%、(B)の量が10〜60質量%であることを特徴とする疎水性繊維用耐久透水性付与剤。
(II) HLBが6.6〜9.8の、重合度4以上のポリエチレングルコール脂肪酸エステル(C)と、HLBが6.5〜8.5の、エーテル基の数が0〜2個の多価アルコール脂肪酸エステル(B1)からなり、(C)と(B1)の合計質量に基づく(C)の量が40〜90質量%、(B1)の量が10〜60質量%であることを特徴とする疎水性繊維用耐久透水性付与剤。
(III) 疎水性繊維に対して、上記(I)または(II)の耐久透水性付与剤が0.05〜2質量%付着されてなる透水性繊維。
(IV) 上記の透水性繊維を用いた不織布。
(V) 上記の不織布からなる表面材を用いた吸水性物品。
【0006】
【発明の実施の形態】
本第1発明の耐久透水性付与剤は、HLBが9.0〜11.5の脂肪酸エステル(A)とHLBが6.5〜8.5の脂肪酸エステル(B)を併用する。
【0007】
本発明でいうHLBは、界面活性剤の親水性を表す数値であり、HLBが大きい程、親水性であることを示す。ここで使用するHLBは、小田氏の考案した化合物の無機性の値と有機性の値との比率から求める方法により計算したものである〔小田著「帝人タイムス、22頁、第9巻(1952年);小田、寺村著「界面活性剤の合成と其応用」、501頁、槇書店(1957年);等に記載〕。
【0008】
上記構成成分(A)のHLBは9.0〜11.5の範囲である。下限は好まし9.5であり、上限は好ましくは11.2、さらに好ましくは10.5である。HLBが9.0以上の場合は、浸透性が良好であり、11.5を越える場合は、外観の安定性が不良となる。
上記構成成分(B)のHLBは6.5〜8.5の範囲である。下限は好ましくは7.0であり、上限は好ましくは8.2である。HLBが6.5未満の場合は、乳化性が不良となり、8.5以下の場合は、外観の安定性が良好である。
【0009】
本第1発明において、脂肪酸エステル(A)は、1価以上(好ましくは2〜8価)のアルコール〔好ましくは数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる、以下Mnと略す)1000以下〕と、脂肪酸(好ましくは炭素数8〜24)とのエステルであって、上記HLBの範囲を満たすものであればとくに限定されず、2種以上を併用してもよい。
(A)としては、炭素数10〜14の脂肪酸と炭素数2〜6の多価アルコールとのエステルが好ましい。
炭素数10〜14の脂肪酸としては、直鎖状でも分岐状でも、飽和、不飽和のいずれでもよく、デカン酸、ラウリン酸、およびミリスチン酸などが挙げられる。炭素数2〜6の多価アルコールとしては、Mn200以下のものが好ましく、例えば、2価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール;3価アルコールとしてはグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン;4〜6価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ジグリセリン、ソルビトール;が挙げられる。
これらの脂肪酸と多価アルコールのエステルとしては、ジエステルやトリエステルでもよいが、好ましいものはモノエステルである。さらに好ましいものは、4〜6価アルコールの脂肪酸モノエステルであり、とくに好ましいものは、ペンタエリスリトールまたはソルビタンのモノラウリン酸エステルであり、最も好ましいものは、ソルビタンモノラウリン酸エステルである。
【0010】
本第1発明において、脂肪酸エステル(B)は、1価以上(好ましくは2〜8価)のアルコール(好ましくはMn1000以下)と、脂肪酸(好ましくは炭素数8〜24)とのエステルであって、上記HLBの範囲を満たすものであればとくに限定されず、2種以上を併用してもよい。
(B)としては、分子中のエーテル基の数が0〜2個の多価アルコールの脂肪酸エステル(B1)が好ましく、炭素数16〜22の脂肪酸と炭素数2〜6の多価アルコールとのエステルがさらに好ましい。
炭素数16〜22の脂肪酸としては、直鎖状でも分岐状でも、飽和、不飽和のいずれでもよく、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、およびベヘニン酸などが挙げられる。炭素数2〜6の多価アルコールとしては、前記(A)において例示したものと同様のものが挙げられる。
これらの脂肪酸と多価アルコールのエステルとしては、ジエステルやトリエステルでもよいが、好ましいものはモノエステルである。さらに好ましいものは、4〜6価アルコールの脂肪酸モノエステルであり、とくに好ましいものは、ペンタエリスリトールまたはソルビタンのモノオレイン酸エステルであり、最も好ましいものは、ソルビタンモノオレイン酸エステルである。
【0011】
本第1発明の耐久透水性付与剤における(A)と(B)の合計質量に基づく(A)と(B)の量は、好ましくは(A)が40〜90質量%、(B)が10〜60質量%である。(A)の下限はさらに好ましくは42質量%、とくに好ましくは45質量%〔すなわち、(B)の上限はさらに好ましくは58質量%、とくに好ましくは55質量%〕であり、(A)の上限はさらに好ましくは80質量%、とくに好ましくは75質量%〔すなわち、(B)の下限はさらに好ましくは20質量%、とくに好ましくは25質量%〕である。(A)の量が90質量%以下であると、付与剤を用いた繊維の吸水性が良好であり、40質量%以上では、付与剤の乳化性が良好である。
【0012】
次に、本第2発明の耐久透水性付与剤は、HLBが6.6〜9.8の、重合度4以上のポリエチレングルコール(以下PEGと略す)脂肪酸エステル(C)と、HLBが6.5〜8.5の、エーテル基の数が0〜2個の多価アルコール脂肪酸エステル(B1)を併用する。
【0013】
上記構成成分(C)のHLBは6.6〜9.8の範囲である。下限は好ましくは6.8、さらに好ましくは7.0であり、上限は好ましくは9.5、さらに好ましくは9.0である。HLBが6.6以上の場合は、乳化性が良好であり、9.8以下の場合は、浸透性が良好である。
上記構成成分(B1)のHLBは6.5〜8.5の範囲である。下限は好ましくは7.0であり、上限は好ましくは8.2である。HLBが6.5未満の場合は、乳化性が不良となり、8.5以下の場合は、外観の安定性が良好である。
【0014】
本第2発明において、脂肪酸エステル(C)は、重合度4以上(すなわちMn194以上)のPEG(好ましくはMn1000以下)と、脂肪酸(好ましくは炭素数8〜24)とのエステルであって、上記HLBの範囲を満たすものであればとくに限定されず、2種以上を併用してもよい。
(C)としては、炭素数12〜18の脂肪酸と、Mn200〜500(とくに300〜450)のPEGとのエステルが好ましい。
炭素数12〜18の脂肪酸としては、直鎖状でも分岐状でも、飽和、不飽和のいずれでもよく、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸などが挙げられる。
これらの脂肪酸とPEGのエステルとしては、モノエステルでもジエステルでもよいが、ジエステルが好ましい。さらに好ましいものは、Mn300〜450のPEGの脂肪酸ジエステルであり、とくに好ましいものは、Mn350〜450のPEGのジラウリン酸エステルである。
【0015】
本第2発明において、脂肪酸エステル(B1)は、エーテル基の数が0〜2個の多価(好ましくは2〜8価)アルコール(好ましくはMn500以下)と、脂肪酸(好ましくは炭素数8〜24)とのエステルであって、上記HLBの範囲を満たすものであればとくに限定されず、2種以上を併用してもよい。
(B1)としては、炭素数16〜22の脂肪酸と炭素数2〜6の多価アルコールとのエステルが好ましい。
炭素数16〜22の脂肪酸としては、前記(B)において例示したものと同様のものが挙げられる。炭素数2〜6の多価アルコールとしては、前記(A)において例示したものと同様のものが挙げられる。また、(B1)として好ましいものは、前記(B)と同様である。
【0016】
本第2発明の耐久透水性付与剤における(C)と(B1)の合計質量に基づく(C)と(B1)の量は、好ましくは(C)が40〜90質量%、(B1)が10〜60質量%である。(C)の下限はさらに好ましくは42質量%、とくに好ましくは45質量%〔すなわち、(B1)の上限はさらに好ましくは58質量%、とくに好ましくは55質量%〕であり、(C)の上限はさらに好ましくは80質量%、とくに好ましくは75質量%〔すなわち、(B1)の下限はさらに好ましくは20質量%、とくに好ましくは25質量%〕である。(C)の量が90質量%以下であると、付与剤を用いた繊維の吸水性が良好であり、40質量%以上では、付与剤の乳化性が良好である。
【0017】
本第1および第2発明の透水性付与剤は、必要に応じて、(A)、(B)、(C)および(B1)以外の界面活性剤(D)、およびその他の添加剤(E)を含有してもよい。
(D)としては、非イオン界面活性剤{高級アルコール(炭素数8〜24)のエチレンオキシド(以下EOと略す)3〜30モル付加物、高級アルコール(炭素数8〜24)のプロピレンオキシド(以下POと略す)/EO3〜50モル付加物、多価アルコールエステルのEO3〜30モル付加物、および多価アルコールエステルEO3〜30モル付加物の脂肪酸(炭素数8〜24)エステルなど}、アニオン界面活性剤(炭素数8〜18のカルボン酸塩、スルホン酸塩、および燐酸エステル塩など)、カチオン界面活性剤(第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、アミン塩型界面活性剤など)、並びに両性界面活性剤(ベタイン型界面活性剤など)が挙げられる。
(E)としては、シリコン化合物、ワックス、酸化防止剤、紫外線吸収剤、および香料などが挙げられる。
【0018】
本発明の付与剤中の(D)の含量は、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
また、本発明の付与剤中の(E)の含量は、好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。
【0019】
本発明の透水性付与剤は、(A)と(B)、または(C)と(B1)のいずれかと、必要により(D)および/または(E)の各成分を配合し、常温または必要により加熱(例えば30〜80℃)して均一に混合することにより得られる。各成分の配合順序、配合方法は特に限定されない。
【0020】
本発明の耐久透水性付与剤は、疎水性繊維に、通常水系エマルションとして給油される。
水系エマルションは、本付与剤に20〜40℃の水または湯を投入して希釈するか、20〜40℃の水または湯の中に本付与剤を加えて乳化し、作成するのが好ましい。
【0021】
水系エマルションには、必要により、水以外の水溶性溶剤を併用してもよい。水溶性溶剤の使用量は、好ましくは水に対して20質量%以下、さらに好ましくは、1〜10質量%である。
上記水溶性溶剤は、20℃で水と任意の割合で相溶する溶剤であり、エチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。好ましくは、エチレングリコールである。
【0022】
エマルションの溶剤を除く非揮発分の濃度は、任意の濃度の選択が可能であるが、好ましくは0.1〜30質量%、さらに好ましくは0.5〜20質量%である。
【0023】
疎水性繊維に透水性付与剤を付着させる方法には特別な制限はなく、紡糸・延伸などの任意の行程で、オイリングロール法、浸漬法、噴霧法などの通常用いられる方法を利用することができる。
付与剤の付着量は、繊維に対し純分(水および水溶性溶剤を除く非揮発成分)で、好ましくは0.05〜2質量%、さらに好ましくは、0.1〜1.5質量%である。
本発明の透水性付与剤を付着させることで、疎水性繊維に耐久的な透水性を付与し、本発明の透水性繊維とすることができる。
【0024】
本発明の透水性繊維の素材に用いられる疎水性繊維とは、温度25℃、湿度65%で吸水率が1質量%以下である繊維を意味する。疎水性繊維としてはとくに限定されず、通常用いられる疎水性の合成繊維を用いることができ、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、およびエチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体などが挙げられる。また、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート、およびポリエーテルポリエステルなどが挙げられる。ポリアミドとしては、6,6−ナイロン、および6−ナイロンなどが挙げられる。
これらの中でも、ポリオレフィンおよびポリエステルは、おむつ用吸水素材として好ましく用いられる。
【0025】
本発明の耐久透水性付与剤が付与されてなる透水性繊維を用いた繊維形態は、布状の形状のものが好ましく、織物、編物、不織布などが挙げられる。また、混綿、混紡、混繊、交編、交織などの方法で混合した繊維を布状として使用してもよい。これらの中では、とくに不織布が好ましい。
【0026】
不織布に適用する場合、本透水性付与剤を処理した短繊維を、乾式または湿式法で繊維積層体とした後、加熱ロールで圧着したり、空気加熱で融着したり、高圧水流で繊維を交絡させ不織布としてもよいし、スパンボンド法、メルトブローン法、フラッシュ紡糸法などによって得られた不織布に、本付与剤を付着させてもよい。
【0027】
本発明の透水性繊維、およびそれを用いた不織布は、吸水性物品の表面材、とくに紙おむつ、生理用ナプキン等の衛生材料の表面材として好適に用いられる。また、セカンドシート、吸水体、工業用または医療用のワイパー、吸収パッド、および透水シートなどに利用することもできる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下において、部は質量部、%は質量%を意味する。
【0029】
本実施例および比較例に用いた原料とその記号は以下の通りである。
<脂肪酸エステル(A)>
A−1:ソルビタンモノラウリン酸エステル(HLB:10.0)
A−2:ソルビタンモノデカン酸エステル(HLB:11.2)
A−3:ソルビタンモノミリスチン酸エステル(HLB:9.0)
<脂肪酸エステル(B)または(B1)>
B−1:ソルビタンモノオレイン酸エステル(HLB:7.7)
B−2:ソルビタンモノパルミチン酸エステル(HLB:8.2)
<脂肪酸エステル(C)>
C−1:Mn400のPEGのジラウリン酸エステル(HLB:8.8)
C−2:Mn400のPEGのジオレイン酸エステル(HLB:6.8)
C−3:Mn400のPEGのジミリスチン酸エステル(HLB:7.9)
C−4:Mn300のPEGのジラウリン酸エステル(HLB:7.3)
<他の成分>
R−1:ソルビタンモノオレイン酸エステルEO10モル付加物(HLB:12.3)
R−2:Mn200のPEGのジオレイン酸エステル(HLB:4.7)
【0030】
実施例1〜10
表1に記載の部数の各成分を櫂型攪拌機を有する配合槽に仕込み、40〜50℃にて混合し、黄色液状の本発明の透水性付与剤100部を得た。
【0031】
比較例1〜7
表2に記載の部数の各成分を櫂型攪拌機を有する配合槽に仕込み、40〜50℃にて混合し、黄色液状の比較の透水性付与剤100部を得た。ただし、比較例4、5および7は、単一の成分(黄色液状)100部を用いた。
【0032】
性能試験
実施例1〜10、および比較例1〜7で得た、本発明または比較の透水性付与剤を用いて、付与剤の乳化性、繰り返し透水性、およびドライタッチ性の評価を行った。評価結果を表3に示す。各試験項目の試験方法および評価基準は、下記のとおりである。
【0033】
〔乳化性〕
乳化方法 :99.5部の30℃のイオン交換水を攪拌しながら、0.5部の35℃の各透水性付与剤を投入して乳化した。
乳化性の評価:乳化60分経過後、目視にて判定した。
○:油滴・スカム無し。
×:油滴・スカムが見られる。
乳化性不良のもの(比較例1、4および6)は、繰り返し透水性、ドライタッチ性の試験が実施できなかった。
【0034】
〔繰り返し透水性〕
試料処理方法:目付20g/m2 のポリプロピレンスパンボンド不織布に、透水性付与剤を0.5%給油した。給油は、給油浴の付与剤エマルション(純分0.5%)に浸漬後、マングルで絞り(絞り率:100%)、その後、循風乾燥機で80℃、30分間乾燥した。
透水性試験 :上記方法で処理した試料10cm×10cmを、内径4.3cmの上下に積んだ円筒2個の間に挟み、上の円筒内に、イオン交換水20ccを入れ、透水後、試料を濾紙で挟んで水を吸い取り、その後3時間風乾する。これを吸水回数1回とする。2回目以降は、これらの処理を水が透らなくなるまで繰り返す。試料が水を透した最後の回数を、繰り返し透水回数とした。
【0035】〔ドライタッチ性〕
試料処理方法 :繰り返し透水性試験と同様に処理した。
ドライタッチ性の評価:上記の試料10cm×10cmに、同じ面積の濾紙を乗せ、中心部に水1ccを滴下し、1分後に水を滴下した箇所を手で軽く押さえ、触感でドライ感を確認した。
○:ドライ感あり。
×:湿った感じが残る。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
表3の結果から明らかなように、本発明の透水性付与剤(各実施例)は、いずれも、比較例に比べて繰り返し透水性が大きい。
【0040】
【発明の効果】
本発明の耐久透水性付与剤が付着された透水性繊維を使用した不織布は、繰り返し透水回数が従来の付与剤を用いた場合に比べて飛躍的に向上する。このため、紙おむつ、生理用ナプキンといった衛生材料の表面材としてとくに好適である。
Claims (7)
- HLBが9.0〜11.5の脂肪酸エステル(A)と、HLBが6.5〜8.5の脂肪酸エステル(B)からなり、(A)と(B)の合計質量に基づく(A)の量が40〜90質量%、(B)の量が10〜60質量%であることを特徴とする疎水性繊維用耐久透水性付与剤。
- (A)が炭素数10〜14の脂肪酸と炭素数2〜6の多価アルコールのエステルであり、(B)が炭素数16〜22の脂肪酸と炭素数2〜6の多価アルコールのエステルである請求項1に記載の耐久透水性付与剤。
- HLBが6.6〜9.8の、重合度4以上のポリエチレングルコール脂肪酸エステル(C)と、HLBが6.5〜8.5の、エーテル基の数が0〜2個の多価アルコール脂肪酸エステル(B1)からなり、(C)と(B1)の合計質量に基づく(C)の量が40〜90質量%、(B1)の量が10〜60質量%であることを特徴とする疎水性繊維用耐久透水性付与剤。
- (C)が炭素数12〜18の脂肪酸と数平均分子量200〜500のポリエチレングリコールのエステルであり、(B1)が炭素数16〜22の脂肪酸と炭素数2〜6の多価アルコールのエステルである請求項3に記載の耐久透水性付与剤。
- 疎水性繊維に対して、請求項1〜4のいずれかに記載の耐久透水性付与剤が0.05〜2質量%付着されてなる透水性繊維。
- 請求項5に記載の透水性繊維を用いた不織布。
- 請求項6に記載の不織布からなる表面材を用いた吸水性物品。
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