JP2012126825A - 内添型親水化剤およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一価の脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物及び/または1価の脂肪族アルコールとジカルボン酸を脱水縮合して得られる縮合物である特定なポリエーテルポリエステル化合物(A)およびポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルとジカルボン酸との縮合物および/またはその縮合物の少なくとも1つ以上の水酸基を脂肪酸で封鎖したエステル(B)を含有する内添型親水化剤。
【選択図】なし
Description
さらに、僅か1回から2回の液体の吸収によってトップシート上の処理剤が流出して透水性が急激に低下するのは、おむつの取り替え回数が増すことになって好ましくないので、トップシートには繰り返しの液体吸収に耐える耐久透水性が要求される。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示されるポリエーテルポリエステル化合物(A)および/または下記の成分(B)を含有する、内添型親水化剤である。
上記一般式(1)で示されるポリエーテルポリエステル化合物(A)(以下、成分(A)ということがある)は、成形物を高い性能レベルで親水化できる成分であり、特に瞬時透水性と耐久透水性において優れる成分である。一般式(1)中、R1、R3は、それぞれ独立して、1価の脂肪族アルコールからOH基を除いた残基(脂肪族炭化水素基)である。脂肪族炭化水素基の炭素数は分布があってもよく、脂肪族炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖状であっても分岐を有していてもよく、多環構造を有していてもよい。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜60が挙げられるが、耐久透水性を向上させる点から、10〜60がより好ましく、12〜60がさらに好ましく、14〜60が特に好ましい。
成分(B)は、ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(以下、ポリヒドロキシエステルということがある)とジカルボン酸(またはジカルボン酸誘導体)との縮合物および/またはその縮合物の少なくとも1つ以上の水酸基を脂肪酸で封鎖したエステルである。成分(B)は、合成樹脂、特に疎水性合成樹脂との親和性が高く、成分(A)と同様に、成形物を高い性能レベルで親水化できる成分であり、特に瞬時透水性と耐久透水性において優れる成分である。
ここで、ジカルボン酸誘導体とは、エステル化反応やエステル置換反応等により水酸基含有化合物とカルボン酸エステルを形成できる誘導体である。つまり、ジカルボン酸のアルキルエステル、酸無水物、アミド等が挙げられる。
ポリヒドロキシエステルとしては、たとえば、炭素数6〜22(好ましくは12〜22)のヒドロキシ脂肪酸と多価アルコールとのエステル化物のアルキレンオキシド付加物を挙げることができる。ヒドロキシ脂肪酸の炭素数が6未満であると、親水性が強くなり、一方、22を超えると疎水性が強くなる。いずれの場合も他の成分との相溶性が悪くなるため、十分な耐久透水性を得られないことがある。
2種類以上のアルキレンオキシドを付加する場合、それらの付加順序は特に限定されるものでなく、付加形態はブロック状、ランダム状、交互状のいずれでもよい。アルキレンオキシドの付加は公知の方法により行うことができるが、塩基性触媒の存在下にて行うことが一般的である。
ポリヒドロキシエステルを製造する場合、多価アルコールの水酸基1モル当量あたりのヒドロキシ脂肪酸のカルボキシル基モル当量は、0.5〜1の範囲であることが好ましい。
ジカルボン酸(またはジカルボン酸誘導体)のジカルボン酸部分の炭素数については、2〜10が好ましく、2〜8がさらに好ましい。ジカルボン酸の炭素数が10を超えると十分な親水性を付与できないことがある。このような縮合物を与える原料のジカルボン酸としては、たとえば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等が挙げられる。
また、前述の縮合物の原料となるジカルボン酸の他にジカルボン酸誘導体として、無水マロン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水ピメリン酸、無水スベリン酸、無水アゼライン酸、無水セバシン酸、無水マレイン酸等の酸無水物、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アジピン酸ジメチル等のジカルボン酸エステルも挙げられるが、特にこれらに限定するわけではない。
ジカルボン酸(またはジカルボン酸誘導体)と共に、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸等のカルボン酸を20%以下(好ましくは10%以下)含有してもよい。
縮合物の少なくとも1つ以上の水酸基を封鎖する脂肪酸の炭素数は10〜50が好ましく、12〜36がさらに好ましい。脂肪酸の炭素数が10未満であると親水性が強くなり、十分な耐久透水性を得ることができないことがある。一方、脂肪酸の炭素数が50を超えると疎水性が強くなる。このように、配合する他の成分や内添対象となる合成樹脂に合わせて縮合物の親水性と疎水性とを調整することができ、十分な耐久透水性を得るようにすることができる。脂肪酸中の炭化水素基の炭素数は分布があってもよく、炭化水素基は直鎖状であっても分岐を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、多環構造を有していてもよい。このような脂肪酸としては、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イコサン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラノリン脂肪酸(ウールグリースを精製したラノリン誘導体である炭素数12〜36の脂肪酸)等が挙げられるが、ステアリン酸、ベヘン酸、ラノリン脂肪酸が好ましい。縮合物と脂肪酸とのエステルを製造する場合、縮合物の水酸基1モル当量あたりの脂肪酸のカルボキシル基モル当量は0〜1の範囲であることが好ましく、0.2〜1がさらに好ましい。エステル化の反応条件については特に限定はない。
本発明の内添型親水化剤は、成分(A)および/または成分(B)を含有するものである。これら成分を必須に含有する本発明の内添型親水化剤は、後述の合成樹脂組成物に内添されることにより、合成樹脂組成物を成形してなる成形物を高い性能レベルで親水化できる。特に、合成繊維を親水化するための合成繊維用途で好適に使用される。詳細には、本発明の内添型親水化剤は、親水性繊維を製造する際の合成樹脂組成物に内添して使用されることが好ましい。
内添型親水化剤の不揮発分に占める成分(A)と成分(B)の合計の重量割合は、20〜100重量%が好ましく、40〜100重量%がより好ましく、50〜100重量%がさらに好ましく、60〜100重量%が特に好ましい。なお、合計の重量割合とは、成分(A)のみを含む場合は成分(A)の重量割合を意味し、成分(B)のみを含む場合は成分(B)の重量割合を意味し、成分(A)及び成分(B)の双方を含む場合はそれら合計の重量割合を意味する。また、本発明の内添型親水化剤の不揮発分とは、疎水性合成樹脂への練り込み処理のような高温処理によっても揮発せずに疎水性合成樹脂中に残存する内添型親水化剤中の成分を意味し、内添型親水化剤を105℃で熱処理して水分、溶剤分、低分子量成分などを除去し、恒量に達したときの揮発せずに残存した成分を意味する。
成分(A)と成分(B)を必須に含有する場合、その重量比(成分(A)/成分(B))は、5/95〜95/5が好ましく、15/85〜85/15がより好ましく、25/75〜75/25がさらに好ましい。
その他成分としては、公知の耐熱安定剤、耐候安定剤、各種安定剤、充填剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、抗菌剤、防腐剤、防錆剤、芳香剤、消泡剤、染料、顔料、艶消し剤、天然油、合成油、ワックス等が挙げられる。
本発明の内添型親水化剤は、たとえば、フレーク状、ペレット状等の形態でもよい。
本発明の合成樹脂組成物は、合成樹脂と本発明の内添型親水化剤とを含むものである。本発明で用いられる合成樹脂としては、疎水性合成樹脂が好適である。疎水性合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性合成樹脂が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができるが、なかでもポリプロピレンが好ましい。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、低融点ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアクリレート、ポリラクテート、ポリブチレンサクシネート等を挙げることができるが、なかでもポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリアミド系樹脂としては、ナイロン66、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12等を挙げることができるが、なかでもナイロン66、ナイロン6が好ましい。
本発明の合成樹脂組成物がマスターバッチの場合、分散の均一性やハンドリング性を向上させる目的から、本発明の内添型親水化剤の不揮発分の含有率は、合成樹脂に対して5〜30重量%が好ましく、10〜20重量%がさらに好ましい。該含有率が5重量%未満では、成形物、特に親水性繊維を製造する際に、均一な濃度での混合性を確保できないうえ、親水性繊維を製造する場合にマスターバッチが大量に必要となり、コスト高となるおそれがある。一方、該含有率が30重量%を超えると、相溶性不足によりマスターバッチの製造が困難になるおそれがある。
本発明の成形物は、上記の合成樹脂組成物を成形してなるものである。成形物としては、例えば、合成樹脂組成物を溶融紡糸してなる親水性繊維、インフレーションフィルムや2軸延伸フィルム等のフィルム、シート、射出成形品、ブロー成形品など様々な形状の成形物を挙げることができる。特に、本発明の内添型親水化剤は、成形物が親水性繊維となる場合に好適に用いられる。親水性繊維については、別途説明する。
本発明の親水性繊維は、上記の合成樹脂組成物を溶融紡糸してなるものである。親水性繊維としては、例えば、溶融紡糸され所定の長さに切断された短繊維、溶融紡糸され巻き取られた長繊維、溶融紡糸されシート化されたスパンボンド不織布など、様々な形状の親水性繊維を挙げることができる。ポリオレフィン系繊維において本発明の効果が最も発揮される。
親水性繊維の製造方法としては、特に限定はなく、上記の合成樹脂組成物を加熱溶融させて溶融紡糸原液を調製し、それを溶融紡糸する方法等、公知の手法を採用できる。親水性繊維の製造温度は、合成樹脂の軟化点を考慮して150℃以上が好ましい。本発明の親水性繊維の製造は、連続して行ってもよく、たとえば、上記の合成樹脂組成物を押出成形機で溶融混練し、ついで、溶融紡糸機により繊維加工する方法等がある。
本発明の不織布は、上記の親水性繊維を含むものである。不織布の製造方法として、特に限定なく、公知の方法を採用できる。原料繊維として、上記の親水性繊維からなる短繊維や長繊維を用いることができる。原料繊維が短繊維のウェブ形成方式としては、カード方式やエアレイド方式等の乾式法や抄紙方式等の湿式法が挙げられる。また原料繊維が長繊維のウェブ形成方式としては、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法等が挙げられる。また、繊維間結合方式としては、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、スティッチボンド法等が挙げられる。
繊維ウェブを熱処理して接合させる方法としては、加熱ロールまたは超音波によるによる熱圧着、加熱空気による熱融着、熱圧着点(ポイントボンディング)法等の熱融着法が挙げられる。繊維ウェブを熱処理して接合させる一例としては、芯に高融点の樹脂を使用し鞘に低融点の樹脂を使用する鞘芯型の複合繊維の場合、低融点の樹脂の融点付近で熱処理することで、繊維交点の熱接着を容易に行なうことができる。
表1および2に示す各成分を混合して、実施例1〜18、比較例1〜5の内添型親水化剤をそれぞれ調製した。
疎水性合成繊維として、ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、MFR=30g/10min)を用い、表1および2に示す内添型親水化剤の添加量の重量%となるよう、ポリプロピレン樹脂に対して内添型親水化剤を添加し、押出機にて220℃で溶融させて、合成樹脂組成物である溶融紡糸原液を得た。次いで、その溶融紡糸原液を紡糸口金から吐出させ、紡出した長繊維を冷却エヤーにより冷却し、延伸ローラーにより延伸して繊度2dになるようにして、クリンパーにて捲縮を付与した。その後、カッターで切断して繊維長51mmの短繊維である親水性繊維を作製した。
(1)不織布の瞬時透水性
不織布を濾紙(東洋濾紙、No.5)の上に重ね、不織布表面から10mmの高さに設置したビューレットより1滴(約0.05ml)の生理食塩水を滴下して、不織布表面から水滴が消失するまでの時間を測定する。不織布表面の20箇所でこの測定を行って5秒未満の個数を表示する。この個数が18個以上であれば瞬時透水性は良好である。
不織布(10cm×10cm)を市販の紙おむつに重ね、その上に内径60mmの円筒を置き、生理食塩水150mlを円筒内に注入して不織布を通して紙おむつに吸収させた。注水後3分間放置した後に、不織布を2枚の濾紙(東洋濾紙、No.5)の間に挟み、その上に板(10cm×10cm)と重り(合計3.5kg)を乗せて3分間放置して脱水し、その後さらに5分間風乾した。風乾後の試料不織布に上記円筒内で生理食塩水が通過した箇所について、不織布の瞬時透水性の試験方法によって、生理食塩水の消失時間を20箇所で測定し、消失時間5秒未満の個数を表示した。この個数が18個以上であれば耐久透水性は良好である。試験に供した不織布について、同様の作業を繰り返して行う。この繰り返し試験では回数を重ねても生理食塩水の消失個数(消失時間5秒未満となる箇所の個数)が多い方がよい。
成分a2:ポリオキシエチレン(10モル)C14〜60アルキルエーテル2モルとマレイン酸1モルとのエステル
成分a3:ポリオキシエチレン(5モル)ポリオキシプロピレン(3モル)ポリオキシブチレン(2モル)C24〜26アルキルエーテル2モルとマレイン酸1モルとのエステル
成分a4:ポリオキシエチレン(7モル)ポリオキシプロピレン(3モル)C24〜26アルキルエーテル2モルとマレイン酸1モルとのエステル
(なお、成分a3、a4のポリオキシアルキレン基はランダム付加)
成分b2:ポリオキシエチレン(20モル)カスターワックスのマレイン酸縮合物の水酸基1モル当量あたりステアリン酸1モル当量で封鎖したエステル
成分c1:ステアリン酸モノグリセライド
成分c2:ポリオキシエチレン(7モル)ノニルフェニルエーテル
成分c3:ポリオキシエチレン(10モル)ジステアリン酸エステル
成分c4:ポリオキシエチレン(10モル)ステアリルエーテルのステアリン酸エステル
成分c5:ステアリン酸ジエタノールアミド
本発明の不織布は、衛生材料、医療用材料、包装材料、産業用材料などの用途に好適に用いられ、用途としては、使い捨ておむつや生理用ナプキンの部材、シーツ、ペットシート、野菜等のつゆ吸収シート、ドリップシート、ガウン、おしぼり、パップ材、作業着、ワイパー、ウェットテイッシュ、ガーゼ、フキン、タオル、オシリフキ、トイレクリーナー、フローリングクリーナー、レンジクリーナー、化粧落とし、めがね拭き等に適用できる。特に、使い捨ておむつや生理用ナプキンの部材として好ましく適用することができる。
Claims (10)
- 前記ポリエーテルポリエステル化合物(A)を必須に含有する、請求項1に記載の内添型親水化剤。
- 前記成分(B)を必須に含有する、請求項2に記載の内添型親水化剤。
- 前記ポリエーテルポリエステル化合物(A)と前記成分(B)との重量比(A/B)が、5/95〜95/5である、請求項3に記載の内添型親水化剤。
- 内添型親水化剤の不揮発分に占める前記ポリエーテルポリエステル化合物(A)と前記成分(B)の合計の重量割合が20〜100重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の内添型親水化剤。
- 合成繊維用である、請求項1〜5のいずれかに記載の内添型親水化剤。
- 合成樹脂と、請求項1〜6のいずれかに記載の内添型親水化剤とを含む、合成樹脂組成物。
- 請求項7に記載の合成樹脂組成物を成形してなる、成形物。
- 請求項7に記載の合成樹脂組成物を溶融紡糸してなる、親水性繊維。
- 請求項9に記載の親水性繊維を含む、不織布。
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