JP5759160B2 - 内添型親水化剤およびその用途 - Google Patents

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本発明は、内添型親水化剤と該内添型親水化剤を含む用途に関する。詳細には、内添型親水化剤、該内添型親水化剤を含む合成樹脂組成物、該組成物を成形してなる成形物、該組成物を溶融紡糸してなる親水性繊維、該親水性繊維を含有する不織布に関する。
一般に、紙おむつや合成ナプキンを代表とする生理用品等の吸収性物品は、疎水性合成繊維(ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維等)を主材とする各種不織布に親水性を付与したトップシートと吸収材及び撥水性を付与したバックシートの間に、綿状パルプや高分子吸収体等からなる材料を配置した、3層から形成される構造になっている。尿や体液等の液体はトップシートを通過して吸収体に吸収されるが、透水性のよいこと、すなわち液体がトップシート上から内部の吸収体に完全に吸収される迄の時間が極めて短い瞬時透水性が必要である。
さらに、僅か1回から2回の液体の吸収によってトップシート上の処理剤が流出して透水性が急激に低下するのは、おむつの取り替え回数が増すことになって好ましくないので、トップシートには繰り返しの液体吸収に耐える耐久透水性が要求される。
これらの特性を、処理剤を繊維表面に処理することによって改善する技術が提案されている。処理剤には、疎水性合成繊維の表面に対して、瞬時透水性がよく、かつ耐久透水性を維持するという相反する要求特性を求められ、特定のアニオン、カチオン、ノニオンおよび/または両性界面活性剤等の配合割合の調整等で補っていた。しかし、これらの処理は繊維の表面処理であるがゆえに、繰り返し使用の時、尿や体液等の液体によって洗い流されてしまうので、今後の衛生材料用途に要求される半永久的な瞬時透水性、耐久透水性を得ることは困難である。
一方、繊維に親水性を付与する方法として、繊維を構成する樹脂に親水剤を添加する手法が知られている。たとえば、特許文献1では、繊維を構成する樹脂に親水剤を添加することにより、親水性付与に加えて、親水剤の溶出による不具合の軽減も図られている。しかし、特許文献1の内添型親水化剤は、耐久性のある親水性を有するものの、その親水性のレベルは十分ではない。
以上のように、従来の内添型親水化剤の添加では、昨今の衛生材料用途等に求められる親水性レベルを満足することができない。従って、今後の衛生材料用途やその他親水化を必要とされる用途等において、高い親水性レベルを持つ高性能の内添型親水化剤が望まれている。
特開2005−350795号公報
本発明の目的は、合成樹脂組成物に内添され、該合成樹脂組成物を成形してなる成形物を高い性能レベルで親水化できる内添型親水化剤、該内添型親水化剤を含む合成樹脂組成物、該組成物を成形してなる成形物、該組成物を溶融紡糸してなる親水性繊維、該親水性繊維を含有する不織布を提供するものである。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の成分を含有する内添型親水化剤であれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示されるポリエーテルポリエステル化合物(A)および/または下記の成分(B)を含有する、内添型親水化剤である。
Figure 0005759160
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、1価の脂肪族アルコールからOH基を除いた残基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、aは1〜100の整数であり、bは0〜100の整数であり、Rは2価の有機基である。)
成分(B):ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルとジカルボン酸(またはジカルボン酸誘導体)との縮合物および/またはその縮合物の少なくとも1つ以上の水酸基を脂肪酸で封鎖したエステル
本発明の内添型親水化剤は、前記ポリエーテルポリエステル化合物(A)を必須に含有することが好ましい。さらに前記成分(B)を必須に含有することが好ましい。
本発明の内添型親水化剤が前記ポリエーテルポリエステル化合物(A)と前記成分(B)を必須に含有する場合、その重量比(A/B)は5/95〜95/5であることが好ましい。
本発明の内添型親水化剤において、内添型親水化剤の不揮発分に占める前記ポリエーテルポリエステル化合物(A)と前記成分(B)の合計の重量割合は20〜100重量%であることが好ましい。
本発明の内添型親水化剤は、合成繊維用として好適に使用できる。詳細には、本発明の内添型親水化剤は、親水性繊維を製造する際の合成樹脂組成物に内添して使用されることが好ましい。
本発明の合成樹脂組成物は、合成樹脂と、上記の内添型親水化剤とを含むものである。本発明の成形物は、該合成樹脂組成物を成形してなるものである。本発明の親水性繊維は、該合成樹脂組成物を溶融紡糸してなるものである。本発明の不織布は、該親水性繊維を含むものである。
本発明の内添型親水化剤は、合成樹脂組成物に内添されることにより、該合成樹脂組成物を成形してなる成形物を高い性能レベルで親水化できる。本発明の合成樹脂組成物は、内添型親水化剤を含むので、該合成樹脂組成物を成形してなる成形物を高い性能レベルで親水化できる。本発明の成形物は、高い性能レベルで親水化されている。特に、本発明の親水性繊維、該親水性繊維を含有する不織布は、瞬時透水性、耐久透水性のいずれについても高い性能レベルを有する。
本発明の内添型親水化剤は、上記一般式(1)で示されるポリエーテルポリエステル化合物(A)および/または上記の成分(B)を含有するものである。以下、詳細に説明する。
[ポリエーテルポリエステル化合物(A)]
上記一般式(1)で示されるポリエーテルポリエステル化合物(A)(以下、成分(A)ということがある)は、成形物を高い性能レベルで親水化できる成分であり、特に瞬時透水性と耐久透水性において優れる成分である。一般式(1)中、R、Rは、それぞれ独立して、1価の脂肪族アルコールからOH基を除いた残基(脂肪族炭化水素基)である。脂肪族炭化水素基の炭素数は分布があってもよく、脂肪族炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖状であっても分岐を有していてもよく、多環構造を有していてもよい。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜60が挙げられるが、耐久透水性を向上させる点から、10〜60がより好ましく、12〜60がさらに好ましく、14〜60が特に好ましい。
1価の脂肪族アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、ノナコサノール、トリアコンタノール、C24〜26アルコール(伊藤製油(株)製、商品名:ハイソコール246)、C32〜36アルコール(新日本理化(株)製、商品名:NJコール3236)、C14〜60アルコール(米国ペトロライト社製、商品名:ユニリンアルコール450)、C30〜60アルコール(日本精化(株)製、商品名:ラノリンアルコールA)等が挙げられる。これらの中でも、C24〜26アルコール、C32〜36アルコール、C14〜60アルコール、C30〜60アルコール等の炭素数が14以上のものが好ましい。これらの脂肪族アルコールは、1種から構成されていてもよく、また2種以上から構成されていてもよい。
また、脂肪族アルコールは、耐久透水性を向上させる点から、炭素数1〜60の範囲で分布を有することが好ましい。つまり、炭素数1〜60の範囲で、炭素数が異なる複数の脂肪族アルコールであることが好ましい。分布を有する炭素数の範囲は10〜60が好ましく、12〜60がより好ましく、14〜60がさらに好ましい。分布は、この炭素数範囲の一部で有していてもよく、全範囲で有していてもよい。この炭素数範囲の一部で分布を有する場合、炭素数が異なる脂肪族アルコールは3種以上が好ましく、5〜60種がより好ましく、10〜55種がさらに好ましく、15〜50種が特に好ましい。
AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。オキシアルキレン単位の繰り返し数であるaは1〜100の整数であり、bは0〜100の整数であり、各々5〜50が好ましく、各々6〜30がより好ましい。AOは、1種または2種以上であってもよく、2種以上の場合、ブロック付加体、交互付加体、またはランダム付加体のいずれを構成してもよい。(AO)および(AO)は、オキシアルキレン単位としてオキシエチレン単位を50モル%以上有するポリオキシアルキレン基が好ましい。該オキシエチレン単位は、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましい。
は2価の有機基であり、ジカルボン酸およびジカルボン酸の無水物からカルボキシル基(または酸無水物基)を除いた2価の有機基を挙げることができる。Rとしては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、チオジプロピオン酸、チオジオクタン酸、チオジラウリン酸、チオジステアリン酸等およびこれらのジカルボン酸の無水物等からカルボキシル基(または酸無水物基)を除いた2価の有機基を挙げられる。これらの中でも、(無水)コハク酸、(無水)マレイン酸からカルボキシル基(または酸無水物基)を除いた2価の有機基が好ましい。
成分(A)は、1価の脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物および/または1価の脂肪族アルコールと、ジカルボン酸および/またはジカルボン酸の無水物とを、脱水縮合反応して得られる縮合物である。成分(A)の縮合物を製造する場合、1価の脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物および/または1価の脂肪族アルコールの合計の水酸基1モル当量あたりのジカルボン酸のカルボキシル基モル当量は、0.4〜2の範囲であることが好ましく、0.5〜1.6がさらに好ましく、0.6〜1が特に好ましい。成分(A)を製造する際のエステル化の方法、反応条件等については特に限定はなく、公知の方法、通常の条件を採用できる。例えば、1価の脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物および/または1価の脂肪族アルコールの合計2モルと無水マレイン酸1モルの割合で、触媒存在下の窒素ガス気流下で、生成する水を留去しながら加温して反応させることにより得られる。
[成分(B)]
成分(B)は、ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(以下、ポリヒドロキシエステルということがある)とジカルボン酸(またはジカルボン酸誘導体)との縮合物および/またはその縮合物の少なくとも1つ以上の水酸基を脂肪酸で封鎖したエステルである。成分(B)は、合成樹脂、特に疎水性合成樹脂との親和性が高く、成分(A)と同様に、成形物を高い性能レベルで親水化できる成分であり、特に瞬時透水性と耐久透水性において優れる成分である。
ここで、ジカルボン酸誘導体とは、エステル化反応やエステル置換反応等により水酸基含有化合物とカルボン酸エステルを形成できる誘導体である。つまり、ジカルボン酸のアルキルエステル、酸無水物、アミド等が挙げられる。
ポリヒドロキシエステルは、構造上、ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸と多価アルコールとのエステルであり、多価アルコールの水酸基のうち、2個以上(好ましくは全部)の水酸基がエステル化されている。したがって、ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルは、複数の水酸基を有するエステルである。
ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸は、脂肪酸の炭化水素基に酸素原子を介してポリオキシアルキレン基が結合した構造を有し、ポリオキシアルキレン基の脂肪酸の炭化水素基と結合していない片末端が水酸基となっている。
ポリヒドロキシエステルとしては、たとえば、炭素数6〜22(好ましくは12〜22)のヒドロキシ脂肪酸と多価アルコールとのエステル化物のアルキレンオキシド付加物を挙げることができる。ヒドロキシ脂肪酸の炭素数が6未満であると、親水性が強くなり、一方、22を超えると疎水性が強くなる。いずれの場合も他の成分との相溶性が悪くなるため、十分な耐久透水性を得られないことがある。
炭素数6〜22のヒドロキシ脂肪酸としては、たとえば、ヒドロキシカプリル酸、ヒドロキシカプリン酸、ヒドロキシウンデカン酸、ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸挙げられ、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸が好ましい。多価アルコールとしては、たとえば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ソルビタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、グリセリンが好ましい。アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の炭素数2〜4のアルキレンオキシドが挙げられる。
アルキレンオキシドの付加モル数は、上記ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルの水酸基1モル当量当り、好ましくは80以下、さらに好ましくは5〜30である。付加モル数が80を超えると液戻り量が増加することがあるので好ましくない。高い耐久透水性を得るためには、親水基と疎水基のバランスを調整することが重要である。アルキレンオキシドに占めるエチレンオキシドの割合は、好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上である。エチレンオキシドの割合が50モル%未満では、疎水性が強くなるために十分な耐久透水性が得られないことがある。
2種類以上のアルキレンオキシドを付加する場合、それらの付加順序は特に限定されるものでなく、付加形態はブロック状、ランダム状、交互状のいずれでもよい。アルキレンオキシドの付加は公知の方法により行うことができるが、塩基性触媒の存在下にて行うことが一般的である。
ポリヒドロキシエステルは、たとえば、多価アルコールとヒドロキシ脂肪酸(ヒドロキシモノカルボン酸)を通常の条件でエステル化してエステル化物を得て、次いでこのエステル化物にアルキレンオキシドを付加反応させることによって製造できる。ポリヒドロキシエステルは、ひまし油などの天然から得られる油脂やこれに水素を添加した硬化ひまし油を用い、さらにアルキレンオキシドを付加反応させることによっても、好適に製造できる。
ポリヒドロキシエステルを製造する場合、多価アルコールの水酸基1モル当量あたりのヒドロキシ脂肪酸のカルボキシル基モル当量は、0.5〜1の範囲であることが好ましい。
ポリヒドロキシエステルとジカルボン酸(またはジカルボン酸誘導体)との縮合物(以下、縮合物ということがある)を製造する場合、ポリヒドロキシエステルの水酸基1モル当量あたりのジカルボン酸のカルボキシル基当量は、0.2〜1の範囲であることが好ましく、0.3〜0.8がさらに好ましい。前記縮合物を得る為には、通常のエステル化反応やエステル置換反応等のエステル化物が得られるような一般的な反応条件で良く、特に限定はない。
ジカルボン酸(またはジカルボン酸誘導体)のジカルボン酸部分の炭素数については、2〜10が好ましく、2〜8がさらに好ましい。ジカルボン酸の炭素数が10を超えると十分な親水性を付与できないことがある。このような縮合物を与える原料のジカルボン酸としては、たとえば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等が挙げられる。
また、前述の縮合物の原料となるジカルボン酸の他にジカルボン酸誘導体として、無水マロン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水ピメリン酸、無水スベリン酸、無水アゼライン酸、無水セバシン酸、無水マレイン酸等の酸無水物、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アジピン酸ジメチル等のジカルボン酸エステルも挙げられるが、特にこれらに限定するわけではない。
ジカルボン酸(またはジカルボン酸誘導体)と共に、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸等のカルボン酸を20%以下(好ましくは10%以下)含有してもよい。
本発明の成分(B)は、前記縮合物だけでなく、前記縮合物の少なくとも1つ以上の水酸基を脂肪酸で封鎖したエステルも含まれる。脂肪酸で封鎖したエステルは、封鎖していないエステルに比べ、耐久透水性能が向上し、また化合物が経時的に増粘しないので、取り扱い性が安定する。
縮合物の少なくとも1つ以上の水酸基を封鎖する脂肪酸の炭素数は10〜50が好ましく、12〜36がさらに好ましい。脂肪酸の炭素数が10未満であると親水性が強くなり、十分な耐久透水性を得ることができないことがある。一方、脂肪酸の炭素数が50を超えると疎水性が強くなる。このように、配合する他の成分や内添対象となる合成樹脂に合わせて縮合物の親水性と疎水性とを調整することができ、十分な耐久透水性を得るようにすることができる。脂肪酸中の炭化水素基の炭素数は分布があってもよく、炭化水素基は直鎖状であっても分岐を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、多環構造を有していてもよい。このような脂肪酸としては、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イコサン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラノリン脂肪酸(ウールグリースを精製したラノリン誘導体である炭素数12〜36の脂肪酸)等が挙げられるが、ステアリン酸、ベヘン酸、ラノリン脂肪酸が好ましい。縮合物と脂肪酸とのエステルを製造する場合、縮合物の水酸基1モル当量あたりの脂肪酸のカルボキシル基モル当量は0〜1の範囲であることが好ましく、0.2〜1がさらに好ましい。エステル化の反応条件については特に限定はない。
[内添型親水化剤]
本発明の内添型親水化剤は、成分(A)および/または成分(B)を含有するものである。これら成分を必須に含有する本発明の内添型親水化剤は、後述の合成樹脂組成物に内添されることにより、合成樹脂組成物を成形してなる成形物を高い性能レベルで親水化できる。特に、合成繊維を親水化するための合成繊維用途で好適に使用される。詳細には、本発明の内添型親水化剤は、親水性繊維を製造する際の合成樹脂組成物に内添して使用されることが好ましい。
内添型親水化剤の不揮発分に占める成分(A)と成分(B)の合計の重量割合は、20〜100重量%が好ましく、40〜100重量%がより好ましく、50〜100重量%がさらに好ましく、60〜100重量%が特に好ましい。なお、合計の重量割合とは、成分(A)のみを含む場合は成分(A)の重量割合を意味し、成分(B)のみを含む場合は成分(B)の重量割合を意味し、成分(A)及び成分(B)の双方を含む場合はそれら合計の重量割合を意味する。また、本発明の内添型親水化剤の不揮発分とは、疎水性合成樹脂への練り込み処理のような高温処理によっても揮発せずに疎水性合成樹脂中に残存する内添型親水化剤中の成分を意味し、内添型親水化剤を105℃で熱処理して水分、溶剤分、低分子量成分などを除去し、恒量に達したときの揮発せずに残存した成分を意味する。
本発明の内添型親水化剤は、より効果を発揮させる点から、成分(A)を必須に含有することが好ましく、成分(A)及び成分(B)を必須に含有することがさらに好ましい。
成分(A)と成分(B)を必須に含有する場合、その重量比(成分(A)/成分(B))は、5/95〜95/5が好ましく、15/85〜85/15がより好ましく、25/75〜75/25がさらに好ましい。
本発明の内添型親水化剤は、本発明の効果を本質的に変えない限りにおいて、前記成分(A)および成分(B)以外のその他親水化剤、帯電防止剤、着色防止のための酸化防止剤、その他成分を含有してもよい。また、その成分数も特に限定はなく、例えば、以下に例示する成分を組み合わせて用いてもよい。
その他親水化剤としては、例えば、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド等の非イオン界面活性剤、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコク酸塩、アルキル燐酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル燐酸エステル塩、およびこれらの未中和物等の陰イオン界面活性剤、アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、イミダゾリニウム型カチオン界面活性剤、アルキルベタイン界面活性剤、アルキルイミダゾール型ベタイン界面活性剤、アミド基含有ベタイン界面活性剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)等のモノフェノール系酸化防止剤、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のビスフェノール系酸化防止剤、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン等の高分子型フェノール系酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤、トリフェニルホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)等の燐系酸化防止剤等が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、高級アルコール、高級アルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸アミド等が挙げられる。
その他成分としては、公知の耐熱安定剤、耐候安定剤、各種安定剤、充填剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、抗菌剤、防腐剤、防錆剤、芳香剤、消泡剤、染料、顔料、艶消し剤、天然油、合成油、ワックス等が挙げられる。
本発明の内添型親水化剤の製造方法としては、公知の方法を採用できる。例えば、成分(A)、成分(B)、および必要に応じてその他の成分を配合し、各々の融点以上の温度で撹伴混合してもよいし、合成樹脂との混合や繊維成形加工時に各成分を混合してもよい。
本発明の内添型親水化剤は、たとえば、フレーク状、ペレット状等の形態でもよい。
本発明の内添型親水化剤全体に占める不揮発分の重量割合については特に限定はないが、90重量%以上が好ましく、95重量%以上がより好ましく、98重量%以上がさらに好ましく、99重量%以上が特に好ましい。
[合成樹脂組成物]
本発明の合成樹脂組成物は、合成樹脂と本発明の内添型親水化剤とを含むものである。本発明で用いられる合成樹脂としては、疎水性合成樹脂が好適である。疎水性合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性合成樹脂が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができるが、なかでもポリプロピレンが好ましい。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、低融点ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアクリレート、ポリラクテート、ポリブチレンサクシネート等を挙げることができるが、なかでもポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリアミド系樹脂としては、ナイロン66、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12等を挙げることができるが、なかでもナイロン66、ナイロン6が好ましい。
合成樹脂組成物に含まれる内添型親水化剤の不揮発分の含有率については特に限定はないが、前記合成樹脂に対して、0.1〜30重量%が好ましく、0.2〜20重量%がより好ましく、0.3〜10重量%がさらに好ましく、0.5〜5重量%が特に好ましい。該含有率が0.1重量%未満では、瞬時透水性、耐久透水性が低下することがある。一方、該含有率が30重量%を超えると、相溶性不足により合成樹脂組成物の製造が困難になるおそれがある。
合成樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、合成樹脂と内添型親水化剤以外に、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤や、滑剤、造核剤、顔料、無機充填剤、可塑剤、必要に応じてその他樹脂添加剤等を含有してもよい。
本発明の合成樹脂組成物は、親水性繊維の原料組成物(溶融紡糸原液)や、フィルム、シート等の成形物の原料組成物であり、これら原料組成物の中間原料となるマスターバッチをも含む。
本発明の合成樹脂組成物がマスターバッチの場合、分散の均一性やハンドリング性を向上させる目的から、本発明の内添型親水化剤の不揮発分の含有率は、合成樹脂に対して5〜30重量%が好ましく、10〜20重量%がさらに好ましい。該含有率が5重量%未満では、成形物、特に親水性繊維を製造する際に、均一な濃度での混合性を確保できないうえ、親水性繊維を製造する場合にマスターバッチが大量に必要となり、コスト高となるおそれがある。一方、該含有率が30重量%を超えると、相溶性不足によりマスターバッチの製造が困難になるおそれがある。
マスターバッチの製造方法としては、たとえば、通常のプラスチック成形機、すなわちバンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ベント付スクリュー押出成形機、ニーダー等を使用して、合成樹脂と本発明の内添型親水化剤とを必須とする成分を溶融混練、冷却後、ペレタイズしマスターバッチを作製する方法等を挙げることができる。前記溶融混練における混練温度は、合成樹脂の軟化点を考慮して、好ましくは150℃以上、さらに好ましくは200℃以上である。
本発明の合成樹脂組成物の製造方法としては、特に限定はなく、内添型親水化剤と合成樹脂とを単に溶融混練する方法や、上記のマスターバッチと合成樹脂とを溶融混練する方法等、公知の手法を採用できる。
本発明の合成樹脂組成物は、本発明の内添型親水化剤を含有しているので、150℃以上、特に200℃以上の温度状況下で混合や成形加工が行われる場合であっても、油煙およびそれに伴う問題の発生が少なく、成形物に優れた瞬時透水性、耐久透水性を付与できる。
[成形物]
本発明の成形物は、上記の合成樹脂組成物を成形してなるものである。成形物としては、例えば、合成樹脂組成物を溶融紡糸してなる親水性繊維、インフレーションフィルムや2軸延伸フィルム等のフィルム、シート、射出成形品、ブロー成形品など様々な形状の成形物を挙げることができる。特に、本発明の内添型親水化剤は、成形物が親水性繊維となる場合に好適に用いられる。親水性繊維については、別途説明する。
成形物の製造方法としては、特に限定はなく、公知の手法を採用できる。例えば、上記の合成樹脂組成物を加熱溶融した状態で、射出成形、ブロー成形、押出成形、熱成形(2軸延伸加工等)する方法等を挙げることができる。成形物の製造温度は、合成樹脂の軟化点を考慮して150℃以上が好ましい。また、成形物の製造は、連続して行ってもよい。例えば、上記の合成樹脂組成物を押出成形機で溶融混練し、ついで、Tダイ法によりフィルムに加工する方法等がある。
[親水性繊維]
本発明の親水性繊維は、上記の合成樹脂組成物を溶融紡糸してなるものである。親水性繊維としては、例えば、溶融紡糸され所定の長さに切断された短繊維、溶融紡糸され巻き取られた長繊維、溶融紡糸されシート化されたスパンボンド不織布など、様々な形状の親水性繊維を挙げることができる。ポリオレフィン系繊維において本発明の効果が最も発揮される。
親水性繊維の製造方法としては、特に限定はなく、上記の合成樹脂組成物を加熱溶融させて溶融紡糸原液を調製し、それを溶融紡糸する方法等、公知の手法を採用できる。親水性繊維の製造温度は、合成樹脂の軟化点を考慮して150℃以上が好ましい。本発明の親水性繊維の製造は、連続して行ってもよく、たとえば、上記の合成樹脂組成物を押出成形機で溶融混練し、ついで、溶融紡糸機により繊維加工する方法等がある。
親水性繊維に対して、内添型親水化剤の不揮発分の含有量は、0.1〜30重量%が好ましく、0.2〜20重量%がより好ましく、0.3〜10重量%がさらに好ましく、0.5〜5重量%が特に好ましい。不揮発分の含有量が0.1重量%未満では、瞬時透水性、耐久透水性が低下することがある。一方、不揮発分の含有量が30重量%を超えると、相溶性不足により親水性繊維の製造が困難になるおそれがある。
本発明の合成樹脂組成物を溶融紡糸してなる親水性繊維としては、たとえば、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維、塩化ビニル系繊維、2種類以上の熱可塑性樹脂からなる複合繊維等が挙げられる。複合繊維の組み合わせとしては、ポリオレフィン系樹脂/ポリオレフィン系樹脂の場合、例えば、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、直鎖状高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレンと他のα−オレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ポリプロピレン、直鎖状高密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン等が挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂の場合、例えば、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、直鎖状高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。また、ポリエステル系樹脂/ポリエステル系樹脂の場合、例えば、共重合ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。さらにポリアミド系樹脂/ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂等からなる繊維も例示することができる。これらの親水性繊維のなかでも、不織布製造用ポリオレフィン系繊維(ポリオレフィン繊維やポリオレフィン繊維を含む複合繊維)、不織布製造用ポリエステル系繊維(ポリエステル繊維やポリエステル繊維を含む複合繊維)が好適であり、さらには不織布製造用ポリオレフィン系繊維が好適である。
繊維の断面構造は鞘芯型、並列型、偏心鞘芯型、多層型、放射型あるいは海島型が例示できるが、繊維製造工程での生産性や、不織布加工の容易さから、偏心を含む鞘芯型または並列型が好ましい。また、断面形状は円形または異形形状とすることができる。異形形状の場合、例えば扁平型、三角形〜八角形等の多角型、T字型、中空型、多葉型等の任意の形状とすることができる。
[不織布およびその製造方法]
本発明の不織布は、上記の親水性繊維を含むものである。不織布の製造方法として、特に限定なく、公知の方法を採用できる。原料繊維として、上記の親水性繊維からなる短繊維や長繊維を用いることができる。原料繊維が短繊維のウェブ形成方式としては、カード方式やエアレイド方式等の乾式法や抄紙方式等の湿式法が挙げられる。また原料繊維が長繊維のウェブ形成方式としては、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法等が挙げられる。また、繊維間結合方式としては、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、スティッチボンド法等が挙げられる。
本発明の不織布の製造方法は、本発明の親水性繊維(例えば短繊維)をカード機等に通し繊維ウェブを作製し、得られた繊維ウェブを熱処理する工程を含むものが好ましい。すなわち、本発明の内添型親水化剤は、不織布の製造において繊維ウェブを熱処理する工程を有する場合に、特に好適に使用されるものである。
繊維ウェブを熱処理して接合させる方法としては、加熱ロールまたは超音波によるによる熱圧着、加熱空気による熱融着、熱圧着点(ポイントボンディング)法等の熱融着法が挙げられる。繊維ウェブを熱処理して接合させる一例としては、芯に高融点の樹脂を使用し鞘に低融点の樹脂を使用する鞘芯型の複合繊維の場合、低融点の樹脂の融点付近で熱処理することで、繊維交点の熱接着を容易に行なうことができる。
不織布の製造方法としては、親水性繊維からなる短繊維をカード機等に通しウェブとしたものを上述のように熱処理して接合させ一体化する方法、エアレイド法でパルプ等を積層する際に本発明の親水性繊維(短繊維)と混綿して、上述のように熱処理して接合させる方法等も挙げられる。
スパンボンド法の一例としては、合成繊維樹脂を紡糸し、次に、紡出された合成長繊維フィラメントを冷却流体により冷却し、延伸空気によってフィラメントに張力を加えて所期の繊度とする。その後、紡糸されたフィラメントを捕集ベルト上に捕集し、接合処理を行ってスパンボンド不織布を得る。接合手段としては、加熱ロールまたは超音波によるによる熱圧着、加熱空気による熱融着、熱圧着点(ポイントボンディング)法等がある。
本発明にかかる不織布は、前記不織布を1層以上含む不織布製品も含み、他の不織布、たとえば親水剤を含まないスパンボンド不織布やメルトブローン不織布との積層体であってもよいし、フィルム、たとえば多孔性フィルムとの積層体であってもよいし、織布または編物との積層体であってもよい。積層体の組み合わせは、その目的に応じて適宜選ぶことができるが、本発明の不織布層を有することにより、親水性に優れる不織布積層体とすることが可能となる。
本発明にかかる不織布は、親水性に優れる繊維からなるので、紙おむつなどの衛生材料の部材として用いた場合に、尿や体液を繰り返し吸収するのに十分な親水性を付与できるため、これらの用途に好適に用いることができる。さらに医療用材料、包装材などの用途にも好適である。
本発明の不織布は、耐久透水性に優れている。不織布の耐久透水性評価は、繰り返しの評価が3回目において生理食塩水の消失時間を20箇所で測定し、消失時間5秒未満となる箇所の個数は、通常10個以上、好ましくは12個以上、さらに好ましくは14個以上、より好ましくは16個以上、特に好ましくは18個以上、最も好ましくは20個である。
以下に本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、各実施例および比較例における評価項目と評価方法は以下の通りである。なお、例中の「部」および「%」とあるのは、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。また、実施例7及び8は参考例とする。
(実施例1〜18および比較例1〜5)
表1および2に示す各成分を混合して、実施例1〜18、比較例1〜5の内添型親水化剤をそれぞれ調製した。
疎水性合成繊維として、ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、MFR=30g/10min)を用い、表1および2に示す内添型親水化剤の添加量の重量%となるよう、ポリプロピレン樹脂に対して内添型親水化剤を添加し、押出機にて220℃で溶融させて、合成樹脂組成物である溶融紡糸原液を得た。次いで、その溶融紡糸原液を紡糸口金から吐出させ、紡出した長繊維を冷却エヤーにより冷却し、延伸ローラーにより延伸して繊度2dになるようにして、クリンパーにて捲縮を付与した。その後、カッターで切断して繊維長51mmの短繊維である親水性繊維を作製した。
得られた親水性繊維をそれぞれ混打綿工程およびカード試験機を用いたカード工程に通し、目付30g/mのウェブを作製した。得られたウェブをエンボス面積率20%のエンボスロール(130℃)により熱融着処理してエンボス不織布を得た。得られた不織布について、下記に示す評価方法で物性(瞬時透水性および耐久透水性)をそれぞれ評価した。その結果を表3および4に示す。
〔評価方法〕
(1)不織布の瞬時透水性
不織布を濾紙(東洋濾紙、No.5)の上に重ね、不織布表面から10mmの高さに設置したビューレットより1滴(約0.05ml)の生理食塩水を滴下して、不織布表面から水滴が消失するまでの時間を測定する。不織布表面の20箇所でこの測定を行って5秒未満の個数を表示する。この個数が18個以上であれば瞬時透水性は良好である。
(2)不織布の耐久透水性
不織布(10cm×10cm)を市販の紙おむつに重ね、その上に内径60mmの円筒を置き、生理食塩水150mlを円筒内に注入して不織布を通して紙おむつに吸収させた。注水後3分間放置した後に、不織布を2枚の濾紙(東洋濾紙、No.5)の間に挟み、その上に板(10cm×10cm)と重り(合計3.5kg)を乗せて3分間放置して脱水し、その後さらに5分間風乾した。風乾後の試料不織布に上記円筒内で生理食塩水が通過した箇所について、不織布の瞬時透水性の試験方法によって、生理食塩水の消失時間を20箇所で測定し、消失時間5秒未満の個数を表示した。この個数が18個以上であれば耐久透水性は良好である。試験に供した不織布について、同様の作業を繰り返して行う。この繰り返し試験では回数を重ねても生理食塩水の消失個数(消失時間5秒未満となる箇所の個数)が多い方がよい。
Figure 0005759160
成分a1:ポリオキシエチレン(10モル)ステアリルエーテル2モルとマレイン酸1モルとのエステル
成分a2:ポリオキシエチレン(10モル)C14〜60アルキルエーテル2モルとマレイン酸1モルとのエステル
成分a3:ポリオキシエチレン(5モル)ポリオキシプロピレン(3モル)ポリオキシブチレン(2モル)C24〜26アルキルエーテル2モルとマレイン酸1モルとのエステル
成分a4:ポリオキシエチレン(7モル)ポリオキシプロピレン(3モル)C24〜26アルキルエーテル2モルとマレイン酸1モルとのエステル
(なお、成分a3、a4のポリオキシアルキレン基はランダム付加)
成分b1:ポリオキシエチレン(20モル)カスターワックスのマレイン酸縮合物(水酸基は未封鎖)
成分b2:ポリオキシエチレン(20モル)カスターワックスのマレイン酸縮合物の水酸基1モル当量あたりステアリン酸1モル当量で封鎖したエステル
成分c1:ステアリン酸モノグリセライド
成分c2:ポリオキシエチレン(7モル)ノニルフェニルエーテル
成分c3:ポリオキシエチレン(10モル)ジステアリン酸エステル
成分c4:ポリオキシエチレン(10モル)ステアリルエーテルのステアリン酸エステル
成分c5:ステアリン酸ジエタノールアミド
Figure 0005759160
Figure 0005759160
Figure 0005759160
表3から明らかなように、実施例1〜18の本発明の内添型親水化剤が内添された親水性繊維を含む不織布は、瞬時透水性、耐久透水性が共に良好であった。この内添型親水化剤を添加すれば、繊維に瞬時透水性および耐久透水性を付与することができ、本発明の効果が確認された。一方、表4から明らかなように、これらの成分組成範囲から外れる比較例1〜5は、総ての必要特性を満足することはできなかった。
本発明の内添型親水化剤は、合成樹脂に内添させて親水性を付与するときに有効である。本発明の不織布は、優れた瞬時透水性、耐久透水性を併せ持つものである。
本発明の不織布は、衛生材料、医療用材料、包装材料、産業用材料などの用途に好適に用いられ、用途としては、使い捨ておむつや生理用ナプキンの部材、シーツ、ペットシート、野菜等のつゆ吸収シート、ドリップシート、ガウン、おしぼり、パップ材、作業着、ワイパー、ウェットテイッシュ、ガーゼ、フキン、タオル、オシリフキ、トイレクリーナー、フローリングクリーナー、レンジクリーナー、化粧落とし、めがね拭き等に適用できる。特に、使い捨ておむつや生理用ナプキンの部材として好ましく適用することができる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で示されるポリエーテルポリエステル化合物(A)を必須に含有する、内添型親水化剤。
    Figure 0005759160
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立して、1価の脂肪族アルコールからOH基を除いた残基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、aは1〜100の整数であり、bは0〜100の整数であり、Rは2価の有機基である。)
  2. 内添型親水化剤の不揮発分に占める前記ポリエーテルポリエステル化合物(A)の重量割合が20〜100重量%である、請求項1に記載の内添型親水化剤。
  3. ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルとジカルボン酸たはジカルボン酸誘導との縮合物および/またはその縮合物の少なくとも1つ以上の水酸基を脂肪酸で封鎖したエステルからなる成分(B)をさらに含有し、
    前記ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステルが、構造上、ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸と多価アルコールとのエステルであって多価アルコールの水酸基のうち2個以上の水酸基がエステル化されたエステルであ
    前記ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸が、脂肪酸の炭化水素基に酸素原子を介してポリオキシアルキレン基が結合した構造を有し、ポリオキシアルキレン基の脂肪酸の炭化水素基と結合していない片末端が水酸基である、
    請求項1に記載の内添型親水化剤。
  4. 前記ポリエーテルポリエステル化合物(A)と前記成分(B)との重量比(A/B)が、5/95〜95/5である、請求項3に記載の内添型親水化剤。
  5. 内添型親水化剤の不揮発分に占める前記ポリエーテルポリエステル化合物(A)と前記成分(B)の合計の重量割合が20〜100重量%である、請求項3又は4に記載の内添型親水化剤。
  6. 合成繊維用である、請求項1〜5のいずれかに記載の内添型親水化剤。
  7. 合成樹脂と、請求項1〜6のいずれかに記載の内添型親水化剤とを含む、合成樹脂組成物。
  8. 請求項7に記載の合成樹脂組成物を成形してなる、成形物。
  9. 請求項7に記載の合成樹脂組成物を溶融紡糸してなる、親水性繊維。
  10. 請求項9に記載の親水性繊維を含む、不織布。
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