JP6994612B1 - 透水性付与剤及びその利用 - Google Patents
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Abstract
Description
透水性付与剤は、繊維に均一に付着させるため、水に乳化して低濃度のエマルションという形態で付与する。しかし、特許文献1の透水性付与剤を用いた場合、乳化性が不十分であることから、繊維への付与を行う際に均一に給油できないために、透水性付与剤の繊維上への不均一付着により、不織布の製造面ではカード機へのスカム堆積、不織布の性能面では透水性能の不均一化、といった問題があった。
すなわち、本発明の透水性付与剤は、下記成分(A)、下記成分(B)及び下記成分(C)を含有する透水性付与剤であって、前記透水性付与剤の不揮発分に占める下記成分(A)の重量割合が0.1~10重量%、下記成分(B)の重量割合が10~60重量%、下記成分(C)の重量割合が10~70重量%である。
成分(A):1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロパン-1,2-ジオールおよび1,2-デカンジオールから選ばれる少なくとも1種の2価のアルコール
成分(B):アルキルホスフェート、アルキルホスフェート塩、ポリオキシアルキレン基含有アルキルホスフェート、ポリオキシアルキレン基含有アルキルホスフェート塩、アルキルスルホン酸、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸およびジアルキルスルホコハク酸塩から選ばれる少なくとも1種
成分(C):1価アルコール、多価アルコールおよびこれらのアルキレンオキシド付加物から選ばれる少なくとも1種と脂肪族カルボン酸とのエステル
前記成分(A)が、1,3-プロパンジオールであると好ましい。
有効50重量%濃度水溶液の20℃における粘度が100~1000mPa・sであると好ましい。
本発明の透水性繊維は、原料短繊維に対して、上記透水性付与剤を付与してなる。
本発明の不織布の製造方法は、上記透水性繊維を集積させて繊維ウェブを作製し、該繊維ウェブを熱処理する工程を含む。
各成分について説明する。
成分(A)は、炭素数3~12の炭化水素基を有する2価のアルコールおよび/または炭素数3~12の炭化水素基を有するモノアルキルグリセロールエーテルという、分子内に水酸基を2つ有する化合物である。
本発明の透水性付与剤における成分(A)は、成分(B)及び成分(C)が有する瞬時透水性及び耐久透水性を阻害することなく、成分(B)及び成分(C)に相溶性を付与し、乳化性を向上させ、給油工程を安定化させる機能を発揮する。
炭素数3~12の炭化水素基を有する2価のアルコールとしては、炭素数3~12の炭化水素基を有する2価のアルコールとしては、炭素数3~12の鎖状脂肪族アルコール、炭素数3~12の脂環式アルコール等を挙げることができる。
炭素数3~12の鎖状脂肪族アルコールとしては、例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール及び1,12-ドデカンジオール等を挙げることができる。本願効果を発揮する観点から、1,3-プロパンジオールが特に好ましい。
その他の炭素数3~12の炭化水素基を有する2価のアルコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジ(1,3-プロピレン)グリコール、ジ(1,2-プロピレン)グリコール、イソプレングリコール等が挙げられる。
これらの2価アルコールは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他の炭素数3~12の炭化水素基を有する2価のアルコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジ(1,3-プロピレン)グリコール、ジ(1,2-プロピレン)グリコール、イソプレングリコール等が挙げられる。
これらの2価アルコールは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(B)は、アルキルホスフェート、アルキルホスフェート塩、ポリオキシアルキレン基含有アルキルホスフェート、ポリオキシアルキレン基含有アルキルホスフェート塩、アルキルスルホン酸、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸およびジアルキルスルホコハク酸塩から選ばれる少なくとも1種である。
成分(B)としては、混合物であってもよく、1種または2種以上を用いてもよい。
アルキルホスフェート塩およびポリオキシアルキレン基含有アルキルホスフェート塩を構成する塩としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属塩、アミン塩又はアンモニウム塩等が挙げられ、制電性を付与する観点から、中でもアルカリ金属塩が好ましい。アルキルホスフェート塩を構成する塩は、1種又は2種以上から構成されてもよい。
アルカリ金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられ、中でもカリウム塩が好ましい。
ポリオキシアルキレン基含有アルキルホスフェートおよびポリオキシアルキレン基含有アルキルホスフェート塩を構成するポリオキシアルキレン基は、下記一般式(1)で示される。
一般式(1) (A1O)m
A1Oは、例えば、それぞれ独立に、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基である。1つのA1Oにおいて、オキシエチレン基とオキシプロピレン基など、複数種のオキシアルキレン基を含んでもよい。
mは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。mは、1~100であり、好ましくは2~30、より好ましくは3~10である。
アルキルスルホン酸塩を構成する塩としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属塩、アミン塩又はアンモニウム塩等が挙げられ、制電性を付与する観点から、中でもアルカリ金属塩が好ましい。アルキルスルホン酸塩を構成する塩は、1種又は2種以上から構成されてもよい。
アルカリ金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられ、中でもナトリウム塩が好ましい。
ジアルキルスルホコハク酸およびジアルキルスルホコハク酸塩を構成するアルキル基の炭素数としては、本願効果を奏する観点から、6~18が好ましく、8~16がより好ましく、8~14がさらに好ましい。
ジアルキルスルホコハク酸塩を構成する塩としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属塩、アミン塩又はアンモニウム塩等が挙げられ、制電性を付与する観点から、中でもアルカリ金属塩が好ましい。アルキルスルホン酸塩を構成する塩は、1種又は2種以上から構成されてもよい。
アルカリ金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられ、中でもナトリウム塩が好ましい。
成分(C)は、1価アルコール、多価アルコールおよびこれらのアルキレンオキシド付加物から選ばれる少なくとも1種と脂肪族カルボン酸とのエステルである。
本発明の透水性付与剤は、成分(A)、成分(B)に加え、当該成分(C)を含むことにより、耐久透水性及び給油工程の安定化に寄与する。
1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。
1価アルコールのアルキレンオキシド付加物について、アルキレンオキシドの炭素数は2~4が好ましい。2種類以上のアルキレンオキシドを付加する場合、それらの付加順序は特に限定されるものでなく、付加形態はブロック状、ランダム状のいずれでもよい。また、アルキレンオキシドの付加モル数は、0~150が好ましく、0~50がさらに好ましく、0~20が特に好ましく、0が最も好ましい。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコールなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン、ペンタエリスリトール、ショ糖などのポリオール類が挙げられる。さらに、グリセリンの縮合物であるジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン等のポリグリセリンも含まれる。
多価アルコールのアルキレンオキシドのアルキレンオキシド付加物について、アルキレンオキシドの炭素数は2~4が好ましい。2種類以上のアルキレンオキシドを付加する場合、それらの付加順序は特に限定されるものでなく、付加形態はブロック状、ランダム状のいずれでもよい。また、アルキレンオキシドの付加モル数は、0~150が好ましく、0~50がさらに好ましく、0~20が特に好ましく、0が最も好ましい。
不飽和脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
また、これらの脂肪族ポリカルボン酸無水物も使用することができ、例えば、無水マロン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水ピメリン酸、無水スベリン酸、無水アゼライン酸、無水セバシン酸、無水マレイン酸、無水クエン酸等が挙げられる。
ポリカルボン酸は、炭素数10~66の2価以上のカルボン酸(芳香族カルボン酸を除く)が好ましい。
ポリカルボン酸は、例えば、セバシン酸、オレイン酸ダイマー、エルカ酸ダイマー、オレイン酸トリマー、エルカ酸トリマー等が挙げられる。
ポリカルボン酸のうち、耐久透水性を長期的に維持させる点から、炭素数18~22の不飽和脂肪酸のダイマー酸であることが好ましく、炭素数18の不飽和脂肪酸のダイマー酸であることがさらに好ましい。
ポリオールとしては、2価以上のアルコールであり、かつ、分子内に(ポリ)オキシアルキレン基を有するものであれば特に限定されないが、例えば、オキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位で構成されたポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンソルビタン、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン、ポリオキシアルキレンポリグリセリン、ポリオキシアルキレンポリグリセリンエステル、ポリオキシアルキレン変性シリコーン等が挙げられる。
オキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位で構成されたポリアルキレングリコールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが挙げられる。
ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、液戻り防止性、耐久透水性に優れる点から、100~10000が好ましく、200~2000がより好ましく、400~1000がさらに好ましい。
(GPC測定条件)
装置:装置名「HPLC LC-6A SYSTEM」(SHIMAZU社製)
カラム:「KF-800P(10mm×4.6mmφ)」、「KF-804(300mm×8mmφ)」、「KF-802.5(300mm×8mmφ)」、「KF-801(300mm×8mmφ)」(以上、SHODEX社製)
移動相:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
サンプル量:100μl(100倍希釈)
カラム温度:50℃
検量線作成標準物質:ポリスチレン(PSt)
本発明の透水性付与剤はその他成分として、本願発明の効果を発揮する観点から、下記の成分(D)、成分(E)を含有してもよい。
多価アルコールとしては、たとえば、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビタン、ソルビトール、ペンタエリスリトール等が挙げられ、グリセリンが好ましい。
ポリオキシアルキレン基としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の炭素数2~4のアルキレンオキシドが挙げられる。
本発明の透水性付与剤の有効50重量%濃度水溶液の20℃における粘度は、本願効果を奏する観点から、100~1000mPa・sが好ましく、100~900mPa・sがより好ましく、100~700mPa・sがさらに好ましく、100~500mPa・sが最も好ましい。
前記透水性付与剤の不揮発分に占める前記成分(B)の重量割合は、本願効果を奏する観点から、10~60重量%が好ましく、13~55重量%がより好ましく、15~50重量%がさらに好ましく、20~45重量%が特に好ましい。
前記透水性付与剤の不揮発分に占める前記成分(C)の重量割合は、本願効果を奏する観点から、10~70重量%が好ましく、13~60重量%がより好ましく、15~55重量%がさらに好ましく、20~50重量%が特に好ましい。
なお、本発明における不揮発分とは、透水性付与剤を105℃で熱処理して溶媒等を除去し、恒量に達した時の絶乾成分をいう。本発明における有効成分とは、当該不揮発分を意味する。
本発明の透水性繊維は、不織布製造用合成繊維(繊維本体)とこれに付着した上記透水性付与剤とから構成される透水性繊維であり、一般的には所定の長さに切断した短繊維である。透水性付与剤の不揮発分の付着率は、前記透水性繊維に対して0.1~2重量%であり、好ましくは0.3~1重量%である。透水性繊維に対する透水性付与剤の不揮発分の付着率が0.1重量%未満では、瞬時透水性、耐久透水性が低下することがある。一方、透水性付与剤の不揮発分の付着率が2重量%を超えると、繊維をカード処理する時に巻付きが多くなって生産性が大幅に低下し、乾式法等の方法により得られた不織布等の繊維製品が透水後にベトツキが大きくなることがある。
これら不織布製造用合成繊維(繊維本体)のなかでも、付着した透水性付与剤が尿や体液等の液体で濡れても繊維表面に残り易いという理由から、ポリオレフィン系繊維(ポリオレフィン繊維やポリオレフィン繊維を含む複合繊維)、ポリエステル系繊維(ポリエステル繊維やポリエステル繊維を含む複合繊維)等の不織布製造用合成繊維に本発明の透水性付与剤は好適である。
不織布の製造方法として、特に限定なく、公知の方法を採用できる。原料繊維としては短繊維や長繊維を用いることができる。原料繊維が短繊維のウェブ形成方式としては、カード方式やエアレイド方式等の乾式法や抄紙方式等の湿式法が挙げられる。また原料繊維が長繊維のウェブ形成方式としては、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法等が挙げられる。また、繊維間結合方式としては、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、スティッチボンド法等が挙げられる。
本発明の不織布の製造方法は、本発明の透水性繊維(例えば短繊維)をカード機等に通し繊維ウェブを作製し、得られた繊維ウェブを熱処理する工程を含むものが好ましい。すなわち、本発明の透水性付与剤は、不織布の製造において繊維ウェブを熱処理する工程を有する場合に、特に好適に使用されるものである。
繊維ウェブを熱処理して接合させる方法としては、加熱ロールまたは超音波による熱圧着、加熱空気による熱融着、熱圧着点(ポイントボンディング)法等の熱融着法が挙げられる。繊維ウェブを熱処理して接合させる一例としては、芯に高融点の樹脂を使用し鞘に低融点の樹脂を使用する鞘芯型の複合繊維の場合、低融点の樹脂の融点付近で熱処理することで、繊維交点の熱接着を容易に行なうことができる。
熱接着させる工程を含む不織布の製造方法としては、透水性付与剤が付与された短繊維をカード機等に通しウェブとしたものを上述のように熱処理して接合させ一体化する方法、エアレイド法でパルプ等を積層する際に本発明の透水性繊維(短繊維)と混綿して、上述のように熱処理して接合させる方法等も挙げられる。その他、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法等により得られた繊維成形体に対して、本発明の透水性付与剤を付着させたものを加熱ロールまたは加熱空気等で熱処理して、または加熱ロールまたは加熱空気等で熱処理したものに本発明の透水性付与剤を付着させて、不織布を製造する方法も挙げられる。
得られたスパンボンド不織布に本発明の透水性付与剤を付与する方法としては、グラビア法、フレキソ法、ゲートロール法等のロールコーティング法、スプレーコーティング法等で行うことができるが、不織布への塗布量を片面ずつ調節できるものであれば特に限定されるものではない。また、透水性付与剤が付与された不織布の乾燥の方法としては、熱風および赤外線により乾燥させる方法、熱源に接触させて乾燥させる方法等を用いてよい。
(実施例1~10及び比較例1~6)
表1及び2に示す各成分及び水を混合して、透水性付与剤全体に占める不揮発分の重量割合が50重量%の実施例1~10、比較例1~6の透水性付与剤をそれぞれ調製した。得られた透水性付与剤をそれぞれ約60℃の温水で不揮発分の重量割合が0.9重量%の濃度になるよう希釈して希釈液を得た。ただし、実施例2、4、7及び9は、それぞれ参考例2、4、7及び9とする。
次に、繊維本体300gに対しそれぞれの透水性付与剤の希釈液150gをディップ給油法で付着させ、透水性繊維に付着する透水性付与剤の不揮発分の付着量を0.45重量%にした。繊維本体は、透水性付与剤等の繊維処理剤が付着していない、ポリプロピレン(芯)-ポリエチレン(鞘)系複合繊維であり、単繊維繊度が2.2Dtex、繊維長が38mmのものであった。それぞれの透水性付与剤の希釈液を付着させた繊維を、80℃の温風乾燥機の中に2時間入れた後、室温で8時間以上放置して乾燥させて、透水性繊維を得た。
化合物A1:1,3-プロパンジオール(融点20℃以下)
化合物A2:1,4-ブタンジオール(融点20℃以下)
化合物A3:3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロパン-1,2-ジオール(融点20℃以下)
化合物A4:1,2-デカンジオール(融点約50℃)
化合物B1:オクチルホスフェートカリウム塩
化合物B2:ラウリルホスフェートカリウム塩
化合物B3:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩
化合物B4:ジトリデシルスルホコハク酸ナトリウム塩
化合物C1:ソルビタンモノラウレート
化合物C2:ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノラウレート
化合物C3:ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタントリオレエート
化合物C4:炭素数18の不飽和脂肪酸のダイマー酸と、分子量600のポリオキシエチレングリコールとのポリエステル化合物(重量平均分子量7000)
化合物D1-1:ポリオキシエチレン(20モル)カスターワックス
化合物D3-1:ポリオキシエチレン(20モル)カスターワックスのマレイン酸縮合物の水酸基1モル当量あたりステアリン酸1モル当量で封鎖したエステル
化合物E :ポリオキシエチレン変性シリコーン
(溶液安定性)
表1及び2に示す各成分及び水を混合して、透水性付与剤全体に占める不揮発分の重量割合が5重量%の実施例1~10、比較例1~6の透水性付与剤をそれぞれ調製した。それぞれの透水性付与剤の希釈液80gを100mL容量のガラス製スクリュー管瓶に入れ、25℃の恒温室内で静置させた。24時間後の溶液状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。3以上であると実用に供し得る。
〔判定基準〕
5 … 無色透明で均一な状態
4 … 青白く透明感があり、分離や沈殿がない状態
3 … 青白~白色の半透明であり、分離や沈殿がない状態
2 … 軽く振ると分散するが、わずかに分離や沈殿がある状態
1 … 激しく撹拌しないと分散しない分離や沈殿がある状態
(スカム発生の有無)
製綿工程のスカム発生の代用評価として、ポリエステルフィラメントを用いてスカム評価を行った。
各透水性付与剤の有効10%濃度エマルションを市販のポリエステルフィラメント(200d/24f)の脱脂糸に定量ポンプを用いて、OPU=1.0%となるように給油した。
各透水性付与剤付着糸を40mmφ梨地クロムピン上、糸速度200m/分、入張力25g、接触角180度で一定長(10000m)走行させたときのピン上に蓄積するスカムの有無を肉眼で判定した。3以上であると実用に供し得る。
〔判定基準〕
5 … スカム発生が見られない
4 … スカム発生が僅かに見られる
3 … スカムが少し発生する
2 … スカム発生が見られる
1 … スカムの発生が多く見られる
(制電性)
カード試験機を用いて20℃×45%RHの条件で試料透水性繊維40gをシリンダー回転数970rpm(設定可能な最高回転数)でミニチュアカード機に通す。発生した静電気の電圧を測定し、以下の基準で評価する。なお、5が最も良い評価であり、3以上であると実用に供し得る。
5 … 0.5kV未満
4 … 0.5~1.0kV
3 … 1.0kV超~1.5kV、
2 … 1.5kV超~2.0kV
1 … 2.0kVより大
(不織布の瞬時透水性)
不織布を濾紙(東洋濾紙、No.5)の上に重ね、不織布表面から10mmの高さに設置したビューレットより1滴(約0.05ml)の人工尿を滴下して、不織布表面から水滴が消失するまでの時間を測定する。不織布表面の20箇所でこの測定を行って5秒未満の個数を表示する。個数を以下の基準で評価する。なお、5が最も良い評価であり、3以上であると実用に供し得る。
〔判定基準〕
5 … 19個~20個
4 … 17個~18個
3 … 14個~16個
2 … 11個~13個
1 … 10個以下
EDANA法のRepeated Liquid Strike-Through Time法に従い、不織布(10cm×10cm)に0.9%生理食塩水を透水させ、透水時間を測定した。透水後、不織布を2枚の濾紙(東洋濾紙、No.5)の間に挟み、その上に板(10cm×10cm)と重り(500g)を乗せて3分間放置して脱水し、その後さらに5分間風乾した。
試験に供した不織布について、同様の作業を繰り返して行う。この繰り返し試験では回数を重ねても透水時間が短い方がよい。時間(秒数)を以下の基準で評価する。なお、5が最も良い評価であり、3以上であると実用に供し得る。
〔判定基準〕
5 … 2秒未満
4 … 2秒以上3秒未満
3 … 3秒以上5秒未満
2 … 5秒以上10秒未満
1 … 10秒以上
一方、比較例1~6では、成分(A)を含まない場合(比較例1)には溶液安定性が不足し、成分(B)を含まない場合(比較例2)には溶液安定性が不足し、成分(C)を含まない場合(比較例3)には耐久透水性が不足し、成分(A)の含有量が30重量%を超える場合(比較例4)には耐久透水性が不足し、成分(B)の含有量が60重量%を超える場合(比較例5)には耐久透水性が不足し、成分(C)の含有量が70重量%を超える場合(比較例6)には溶液安定性が不足し、本願の耐久透水性及び給油工程の安定化という課題のうち少なくとも1つを解決できていない。
Claims (7)
- 下記成分(A)、下記成分(B)及び下記成分(C)を含有する透水性付与剤であって、
前記透水性付与剤の不揮発分に占める下記成分(A)の重量割合が0.1~10重量%、下記成分(B)の重量割合が10~60重量%、下記成分(C)の重量割合が10~70重量%である、
透水性付与剤。
成分(A):1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロパン-1,2-ジオールおよび1,2-デカンジオールから選ばれる少なくとも1種の2価のアルコール
成分(B):アルキルホスフェート、アルキルホスフェート塩、ポリオキシアルキレン基含有アルキルホスフェート、ポリオキシアルキレン基含有アルキルホスフェート塩、アルキルスルホン酸、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸およびジアルキルスルホコハク酸塩から選ばれる少なくとも1種
成分(C):1価アルコール、多価アルコールおよびこれらのアルキレンオキシド付加物から選ばれる少なくとも1種と脂肪族カルボン酸とのエステル - 前記成分(A)の融点が20℃以下である、請求項1に記載の透水性付与剤。
- 前記成分(A)が、1,3-プロパンジオールである、請求項1又は2に記載の透水性付与剤。
- 有効50重量%濃度水溶液の20℃における粘度が100~1000mPa・sである、請求項1~3のいずれかに記載の透水性付与剤。
- 原料短繊維に対して、請求項1~4のいずれかに記載の透水性付与剤を付与してなる、透水性繊維。
- 請求項5に記載の透水性繊維を含有する、不織布。
- 請求項5に記載の透水性繊維を集積させて繊維ウェブを作製し、該繊維ウェブを熱処理する工程を含む、不織布の製造方法。
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