JPWO2020174992A1 - 車体補強構造 - Google Patents

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Abstract

車体補強構造は、アウタパネルとインナパネルとを相互に接合して形成する長尺状の中空構造と、中空構造を下側閉断面と上側閉断面とに隔成する補強部材と、を備える。下側閉断面及び上側閉断面のうちの、少なくともいずれか一方の内部には、前記閉断面を横切るように延在するバルクヘッドが閉断面の延在方向に離間して、少なくとも一対配置される。一対のバルクヘッドの間は充填剤の充填される充填室とされる。インナパネルには、充填室に連通するように充填剤の充填口が設けられる。

Description

本発明は、後輪の外側を覆うリヤホイールハウスを含む車体補強構造に関する。
本願は、2019年2月28日に出願された日本国特願2019−035576号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
車体の後側部には、後輪の外側を覆うリヤホイールハウス(インナパネル)が設けられている。リヤホイールハウスの外側には、サイドアウタパネル(アウタパネル)が接合され、サイドアウタパネルとリヤホイールハウスの接合部間には、ドア開口部の周辺において後輪の外周面形状に略沿って延びる閉断面(中空構造)が長尺状に設けられている。
近年、この種の車体補強構造では、操縦安定性をより高め、かつ、車体側方からの衝撃荷重をより有利に受け止めるために、リヤホイールハウス回りの剛性の向上が望まれている。この対策として、リヤホイールハウスの上面側にホイールハウス補強部材(補強部材)が接合され、ホイールハウス補強部材とリヤホイールハウスの間に補強閉断面(下側閉断面)が形成されるとともに、ホイールハウス補強部材とサイドアウタパネルとの間に隣接する閉断面(上側閉断面)が形成されるようにしたものが案出されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−312358号公報
特許文献1に記載の車体補強構造は、ホイールハウス補強部材とリヤホイールハウスの間に形成される補強閉断面によってリヤホイールハウス回りの剛性を高めることができる。しかし、リヤホイールハウス回り、特にリヤホイールの前部側のサイドシルとの連結部の近傍部分では、ドア開口からの乗員の乗降性を考慮すれば補強のための閉断面構造を配置できるスペースが限られているため、補強のための閉断面構造を充分に大きく確保することができない。このため、限られた配置スペース内において、リヤホイールハウス回りの剛性をさらに向上させることが望まれている。
本発明の態様は、スペースを大きく占有しないコンパクトな構造により、インナパネル回りの車体骨格の強度・剛性をより高めることができる車体補強構造を提供する。
本発明に係る車体補強構造は、以下の構成を採用した。
(1)本発明に係る車体補強構造は、アウタパネルとインナパネルとを相互に接合して形成する長尺状の中空構造と、前記中空構造を下側閉断面と上側閉断面とに隔成する補強部材と、を備え、前記下側閉断面及び前記上側閉断面のうちの、少なくともいずれか一方の内部に、前記閉断面を横切るように延在するバルクヘッドが前記閉断面の延在方向に離間して、少なくとも一対配置されるとともに、この一対の前記バルクヘッドの間が充填剤の充填される充填室とされ、前記インナパネルに、前記充填室に連通するように充填剤の充填口が設けられている。
上記の(1)の態様の構成により、インナパネルとアウタパネルの間の長尺状の中空構造が補強部材によって下側閉断面と上側閉断面とに隔成して長手方向の強度・剛性を高める。そして、下側閉断面または上側閉断面は、バルクヘッドによって潰れ方向の変形を規制され、長手方向と直交する方向の強度・剛性を高める。さらに、充填剤が充填される充填室は、上側閉断面または下側閉断面の強度・剛性を一層高めることができる。充填剤として液状のものを使用すれば、狭い充填室であっても充填剤を充填することができる。充填室内に充填された充填剤は、制振性を高め車体振動の低減を図ることができるとともに、車室内への騒音の進入を抑制することができる。
(2)上記(1)の態様において、前記バルクヘッドは、前記下側閉断面の内部に配置される第1バルクヘッドと、前記上側閉断面の内部に配置される第2バルクヘッドの二種類から成るようにしても良い。
この場合、下側閉断面と上側閉断面は、第1バルクヘッドと第2バルクヘッドによってそれぞれ潰れ変形を規制され、それによって長手方向と直交する方向の強度・剛性が高められる。これにより、インナパネルとアウタパネルの間の中空構造は、補強部材と、第1バルクヘッド及び第2バルクヘッドによって効率良く強度・剛性を高められる。したがって、本構成を採用した場合には、車両側方から入力される衝撃荷重に対する強度・耐性が高まるとともに、上下方向の曲げ応力に対しても強くなる。
(3)上記(2)の態様において、前記第1バルクヘッドは、下端が前記インナパネルの上面に結合されるとともに、上端が前記補強部材の上壁の下面に結合されるようにしても良い。
この場合、補強部材の上壁とインナパネルの間の下側閉断面の上下方向の潰れが第1バルクヘッドによって確実に規制される。このため、下側閉断面の断面積を充分に確保することが難しい部位であっても、下側閉断面の上下方向の潰れを抑制することができる。
(4)上記(3)の態様において、前記補強部材の上壁には、前記第1バルクヘッドの下端を前記インナパネルの上面に結合するための工具の挿入を許容する開口部が設けられるようにしても良い。
この場合、補強部材の上壁の開口部に工具を挿入し、第1バルクヘッドの下端をインナパネルの上面に結合する作業を開口部を通して容易に行うことができる。このため、補強部材に第1バルクヘッドを予め固定しておき、その状態で補強部材をインナパネルの上面側に結合するとともに、第1バルクヘッドの下端をインナパネルの上面に結合する手法を採ることができる。この手法を採用することにより、組付効率が良好になり、生産性を高めることが可能になる。
(5)上記(2)の態様において、前記第1バルクヘッドは、前記補強部材の上壁の下面に結合される上部接合片を有し、前記第2バルクヘッドは、前記補強部材の上壁の上面に結合される下部接合片を有し、前記上部接合片と前記下部接合片とは、前記補強部材の上壁を間に挟んで三枚重ねで結合されるようにしても良い。
この場合、第1バルクヘッドの上部接合片と第2バルクヘッドの下部接合片とを、補強部材の上壁に重ねた状態で、スポット溶接やリベット止め等によって同時に結合することができる。したがって、この構成を採用した場合には、生産性を高めることが可能になる。
(6)上記(2)の態様において、前記下側閉断面の内部のうちの一対の前記第1バルクヘッドの間は、充填剤の充填される第1充填室とされ、前記上側閉断面の内部のうちの一対の前記第2バルクヘッドの間は、充填剤の充填される第2充填室とされ、前記インナパネルの前記第1充填室または前記第2充填室に臨む壁には、充填剤の前記充填口が設けられ、前記補強部材の上壁には、前記第2充填室と前記第1充填室を連通する連通口が設けられるようにしても良い。
この場合、インナパネルの充填口から充填剤が充填されると、その充填剤は第1充填室と第2充填室のいずれか一方の内部に充填されるとともに、連通口を通って他方にも充填される。これにより、インナパネル回りの上側閉断面と下側閉断面の強度・剛性を充填剤によって高めることが可能になる。また、本構成を採用した場合には、上側閉断面と下側閉断面とに充填剤を容易に充填することができる。充填剤として、例えば、制振性や遮音性を有する発泡材、例えば、断熱ウレタンフォーム等を用いることができる。充填剤として、このような発泡材を用いた場合には、車体振動の低減を図ることができるとともに、車室内への騒音の進入を抑制することができる。
本発明の態様では、インナパネルとアウタパネルの間の中空構造が補強部材によって下側閉断面と上側閉断面とに隔成され、下側閉断面と上側閉断面のうちの少なくともいずれか一方の内部に閉断面の延在方向に離間してバルクヘッドが少なくとも一対設けられている。そして、一対のバルクヘッドによって仕切られた閉断面の内部の充填室に充填口を通して充填剤が充填される。したがって、本発明の構成を採用した場合には、スペースを大きく占有しないコンパクトな構造により、インナパネル回りの強度・剛性をより高めることができる。
実施形態の車両の分解斜視図である。 実施形態の車両の図1のII部の拡大図である。 実施形態の車両の図2のIII部の拡大図である。 実施形態の車両の図3のIV−IV断面に対応する断面図である。 実施形態のバルクヘッドを周辺部品とともに示した斜視図である。 実施形態の車両の図4のVI−VI断面に対応する断面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、前後や上下、左右については、特別に断らない限り、車両についての前後や上下、左右を意味するものとする。また、図面の適所には、車両の上方を指す矢印UPと、車両の前方を指す矢印FRと、車両の左側方を指す矢印LHが記されている。
図1は、本実施形態の車両の車体1を左側前部上方から見た分解斜視図であり、図2は、図1のII部の拡大図である。本実施形態の車体1は、左右ほぼ対称に形成されている。以下では、車体1の左側面を示す各図を参照して車体補強構造について説明する。
車体1は、図1,図2に示すように、サイドシル10と、リヤホイールハウス11と、クオータピラー12と、ルーフサイドレール13と、ホイールハウス補強部材14と、サイドアウタパネル15と、を備えている。
サイドシル10は、車室外側の側部下端位置に配置され、車体前後方向に略沿って延出している。リヤホイールハウス11は、サイドシル10の後部側において、後輪Wrの外側を覆うように配置されている。クオータピラー12は、リヤホイールハウス11の頂部付近からルーフサイドレール13に向けて前部上方側に傾斜して延出し、上端部がルーフサイドレール13に結合されている。ルーフサイドレール13は、車体のルーフ部の側部において車体前後方向に略沿って延出している。ホイールハウス補強部材14は、リヤホイールハウス11の前部寄りの上面側に接合され、サイドシル10の後部に向かって延出している。
サイドアウタパネル15は、車両側部の意匠面を成すパネル材である。サイドアウタパネル15は、サイドシル10の車外側の一部を構成するサイドシルアウタ部15aと、リヤホイールハウス11の外側を覆うホイールハウス部15bと、を有する。
本実施形態では、リヤホイールハウス11がインナパネルを構成し、サイドアウタパネル15がアウタパネルを構成している。また、ホイール補強部材は、補強部材を構成している。
サイドシル10は、図示しないサイドシルインナの外側にサイドシルスチフナ10sが結合されることにより、両者の間に閉断面が形成されている。また、サイドシルスチフナ10sの外側には、サイドアウタパネル15のサイドシルアウタ部15aが結合されている。サイドシルスチフナ10sとサイドシルアウタ部15aとの間にも閉断面が形成されている。また、サイドシルスチフナ10sの後端部には、サイドシル補強部材50が一体に結合され、サイドシル補強部材50がリヤホイールハウス11の前部領域に結合されている。
また、サイドシル10とルーフサイドレール13の車体前後方向の略中央部はセンタピラー16によって連結されている。センタピラー16の前方側には、図示しないフロントドアによって開閉される前部側ドア開口17が設けられ、センタピラー16の後部側には、図示しないリヤドアによって開閉される後部側ドア開口18が設けられている。後部側ドア開口18は、センタピラー16と、サイドシル10と、リヤホイールハウス11の前部領域と、クオータピラー12と、ルーフサイドレール13と、に囲まれて構成されている。後部側ドア開口18の後部下端のコーナー部分Cは、リヤホイールハウス11の前部領域とサイドシル10の後部領域との連結部により、側面視が略V字状に形成されている。この側面視が略V字状の領域の近傍部は、乗員の乗降のし易さを犠牲にしないためには、断面積を小さくせざるを得ない。このため、リヤホイールハウス11の前部領域は、限られたスペース内において、高い強度・剛性を得られる断面構造の工夫が為されている。
この部分の詳細な断面構造については後に詳述する。
図3は、図2のIII部の拡大図であり、図4は、図3のIV−IV断面に対応する断面図である。
リヤホイールハウス11は、図4に示すように、車幅方向内側に配置されるパネル材であるリヤホイールハウスインナ11Iと、車幅方向外側に配置されるパネル材であるリヤホイールハウスアウタ11Oと、を備えている。リヤホイールハウスインナ11Iは、後輪Wrの外周面に対向するインナベース壁11I−bと、インナベース壁11I−bの車幅方向外側端から後輪Wrの径方向外側に向かって延びるインナ起立壁11I−aと、を有する。リヤホイールハウスアウタ11Oは、後輪Wrの外周面に対向するアウタベース壁11O−bと、アウタベース壁11O−bの車幅方向内側端から後輪Wrの径方向外側に向かって延びるアウタ起立壁11O−aと、アウタベース壁11O−bの車幅方向外側端から後輪Wrの軸心方向に向かって延びる内向きフランジ部11O−cと、を有する。
リヤホイールハウスインナ11Iとリヤホイールハウスアウタ11Oは、インナ起立壁11I−aとアウタ起立壁11O−aが相互に重ね合わされ、インナ起立壁11I−aとアウタ起立壁11O−aとがスポット溶接によって相互に接合されている。
リヤホイールハウスアウタ11Oのアウタベース壁11O−bは、リヤホイールハウスインナ11Iのインナベース壁11I−bの付根部よりも後輪Wrに近接した位置に配置され、後述する下側閉断面30が拡大されている。即ち、リヤホイールハウスアウタ11Oのアウタ起立壁11O−aは、リヤホイールハウスインナ11Iのインナ起立壁11I−aとの重ね合わせ部(接合部)よりも下方に延び、アウタベース壁11O−bは、アウタ起立壁11O−aの下端から車幅方向外側に略直角に屈曲して延びている。
リヤホイールハウスアウタ11Oのアウタ起立壁11O−aは、インナ起立壁11I−aとの重ね合わせ部(接合部)よりも上端側領域が車幅方向外側にクランク状に屈曲した後に上方にストレートに延びている。以下、このストレートに延びる部分を上端フランジ部11O−af1と呼び、インナ起立壁11I−aとの重ね合わせ部を中間フランジ部11O−af2と呼ぶ。
サイドアウタパネル15のホイールハウス部15bのうちの、後部側ドア開口18に臨む前部領域15b−1は、リヤホイールハウスアウタ11Oのアウタベース壁11O−bの上方を覆う上壁20uと、上壁20uの車幅方向内側の端部から上方に向かって(後輪Wrの径方向外側に向かって)延びる起立壁20pと、上壁20uの車幅方向外側の端部から下方に向かって(後輪Wrの軸心方向に向かって)延びる内向きフランジ部20gと、を有している。上壁20uは、車幅方向外側に向かって段差状に屈曲して形成されている。以下、上壁20uのうちの車幅方向内側に位置される高さの高い部位を高位部20u−1と呼び、車幅方向外側に位置される高さの低い部位を低位部20u−2と呼ぶ。起立壁20pは、リヤホイールハウスアウタ11Oの上端フランジ部11O−af1に車幅方向外側から重ねられ、上端フランジ部11O−af1にスポット溶接等によって接合されている。また、内向きフランジ部20gは、リヤホイールハウスアウタ11Oの内向きフランジ部11O−cに車幅方向外側から重ねられ、内向きフランジ部11O−cにスポット溶接等によって接合されている。
サイドアウタパネル15のホイールハウス部15bは、リヤホイールハウスアウタ11Oと接合されることにより、リヤホイールハウスアウタ11Oとの間で後輪Wrの外周面形状に略沿って延びる閉断面21を形成している。
ホイールハウス補強部材14は、ホイールハウス部15bの前部領域15b−1とリヤホイールハウスアウタ11Oの間の閉断面21(中空構造)の内側に配置され、閉断面21の内側を下側閉断面30と上側閉断面31とに隔成している。ホイールハウス補強部材14の前端部は、サイドシル10の後部まで延び、サイドシル10の後部のサイドシル補強部材50に結合されている。また、ホイールハウス補強部材14の後端部は、クオータピラー12の下端の近傍まで延び、補強部材32(図1,図2参照。)を介してクオータピラー12の下端に結合されている。なお、クオータピラー12は、中空構造に限らず、開放断面であっても良い。
ホイールハウス補強部材14は、上壁14uと、上壁14uの車幅方向外側の端部から下方に屈曲した側壁14sを有する補強部材本体部14hと、補強部材本体部14hの側壁14sの下端から車幅方向外側に延びる外フランジ部14oと、補強部材本体部14hの上壁14uの車幅方向内側の端部から後輪Wrの径方向外側(ほぼ上方)に向かって延びる内フランジ部14iと、を備えている。外フランジ部14oは、リヤホイールハウスアウタ11Oのアウタベース壁11O−bの上面に接合される外側接合部を構成し、内フランジ部14iは、リヤホイールハウスアウタ11Oのアウタ起立壁11O−a(中間フランジ部11O−af2)の車幅方向外側の面に接合される内側接合部を構成している。
ホイールハウス補強部材14の上壁14uには、図2,図3に示すように、長手方向に離間して複数の開口部33が形成されている。各開口部33は、車幅方向に長い長孔状に形成されている。また、上壁14uの隣接する各開口部33の間には、車幅方向に略沿って延びるビード34が形成されている。最も前方側(下方側)に位置される開口部33Aは、他の開口部33よりも大きい開口面積に形成されている。
図5は、ホイールハウス補強部材14等の一部の部材を取り去った図3とほぼ同部分の斜視図であり、図6は、図4のVI−VI断面に対応する断面図である。
ホイールハウス補強部材14の下方の下側閉断面30には、下側閉断面30を横切るように延在する一対の第1バルクヘッド40A,40Bが配置されている。一対の第1バルクヘッド40A,40Bは、ホイールハウス補強部材14の長手方向(ほぼ車両前後方向)に離間した二位置に配置されている。より具体的には、一対の第1バルクヘッド40A,40Bは、ホイールハウス補強部材14の内側の上壁14uの開口部33Aを間に挟む二位置に配置されている。下側閉断面30は、一対の第1バルクヘッド40A,40Bによって隔成されることにより、第1バルクヘッド40A,40Bの間に充填剤49の充填される第1充填室47が形成されている。充填剤49としては、制振性や遮音性を有する発泡材、例えば、冷蔵庫の断熱ウレタンフォーム等を用いることができる。また、1液型発泡ウレタンスプレーを用いると簡便に施工することができる。これは、ウレタン樹脂(ポリウレタン)に発泡剤を加えて発泡させたものである。アクアフォームのように2液を混ぜるタイプではなく、缶スプレーのように、ガンのノズルを充填口に挿入し、閉断面内に加熱することなく簡単に発泡させることができる。これは硬質ウレタンフォームとも呼ばれる。
一方、ホイールハウス補強部材14の外側(上方及び外側方)の上側閉断面31には、上側閉断面31を横切るように延在する一対の第2バルクヘッド41A,41Bが配置されている。一対の第2バルクヘッド41A,41Bは、ホイールハウス補強部材14の長手方向(ほぼ車両前後方向)に離間した二位置に配置されている。第2バルクヘッド41A,41Bは、ホイールハウス補強部材14の長手方向について、第1バルクヘッド40A,40Bとほぼ同位置に配置されている。上側閉断面31は、一対の第2バルクヘッド41A,41Bによって隔成されることにより、第2バルクヘッド41A,41Bの間に充填剤49の充填される第2充填室48が形成されている。
第1バルクヘッド40A,40Bは、下側閉断面30を横切るように延在するベース壁40A−b,40B−bと、各ベース壁40A−b,40B−bの上端部から略直角に屈曲して延びる上フランジ40A−u,40B−u(上部接合片)と、各ベース壁40A−b,40B−bの下端部から略直角に屈曲して延びる下フランジ40A−l,40B−l(下部接合片)と、を有する。上フランジ40A−u,40B−u(上部接合片)は、ホイールハウス補強部材14の上壁14uの下面に接合され、下フランジ40A−l,40B−l(下部接合片)は、リヤホイールハウスアウタ11Oのアウタベース壁11O−bの上面に接合されている。第1バルクヘッド40A,40Bの下フランジ40A−l,40B−lは、相互に対向する方向に屈曲して延びている。つまり、両方の下フランジ40A−l,40B−lは、ホイールハウス補強部材14の上壁14uの開口部33Aの下方位置に向かって延びている。なお、下フランジ40A−1,40B−1を相互に連結した場合には、生産性をより高めることができる。
上壁14uの開口部33Aは、第1バルクヘッド40A,40Bの下フランジ40A−l,40B−lをリヤホイールハウスアウタ11Oのアウタベース壁11O−bに溶接やリベット等で結合するときに、結合用の工具を内部に挿入することができる。したがって、第1バルクヘッド40A,40Bをホイールハウス補強部材14に予め接合しておき、ホイールハウス補強部材14をリヤホイールハウスアウタ11Oの上面側に接合する際に、開口部33Aを通して各第1バルクヘッド40A,40Bの下フランジ40A−l,40B−lをリヤホイールハウスアウタ11Oに接合することができる。
第2バルクヘッド41A,41Bは、上側閉断面31を横切るように延在するベース壁41A−b,41B−bと、各ベース壁41A−b,41B−bの車幅方向内側寄り部分41A−b1,41B−b1の下端部から略直角に屈曲して延びる第1下フランジ41A−l1,41B−l1(下部接合片)と、各ベース壁41A−b,41B−bの車幅方向外側寄り部分41A−b2,41B−b2の下端部から略直角に屈曲して延びる第2下フランジ41A−l2,41B−l2と、を有する。第1下フランジ41A−l1,41B−l1は、ホイールハウス補強部材14の上壁14uの上面に接合され、第2下フランジ41A−l2,41B−l2は、ホイールハウス補強部材14の外フランジ部14oの上面またはリヤホイールハウスアウタ11Oのアウタベース壁11O−bの上面とに接合されている。各ベース壁41A−b,41B−bの上端は、サイドアウタパネル15のホイールハウス部15bとの間に隙間を設定するが、充填剤49の漏れを最小にするように狭く設定されている。また、第2バルクヘッド41A,41Bは、図5に示すように、ホイールハウス補強部材14の側壁14sの車幅方向外側の面に接合される側部フランジ41A−s,41B−sをさらに備えている。
ここで、第2バルクヘッド41A,41Bの各第1下フランジ41A−l1,41B−l1は、ホイールハウス補強部材14の上壁14uを間に挟んで、第1バルクヘッド40A,40Bの上フランジ40A−u,40B−u(上部接合片)と三枚重ねに重ねられ、三枚重ねの状態で溶接やリベット等によって上壁14uに結合されている。
また、リヤホイールハウスアウタ11Oのアウタ起立壁11O−aのうちの、第2充填室48に臨む位置には、充填剤49を第2充填室48と第1充填室47に充填するための充填口45が形成されている。充填剤49は、リヤホイールハウス11に、ホイールハウス補強部材14、第1バルクヘッド40A,40B、第2バルクヘッド41A,41B、サイドアウタパネル15等を組付けた後に、充填口45を通して第2充填室48内に充填される。このため、第2充填室48内に充填された充填剤49の一部は、ホイールハウス補強部材14の上壁14uの開口部33Aを通って第1充填室47内に充填される。
以上のように、本実施形態の車体補強構造では、リヤホイールハウス11(インナパネル)とサイドアウタパネル15(アウタパネル)の間の閉断面21の長尺のもの(中空構造)がホイールハウス補強部材14(補強部材)によって下側閉断面30と上側閉断面31に隔成して長手方向の強度・剛性を高める。そして、下側閉断面30または上側閉断面31は、第1バルクヘッド40A,40Bまたは第2バルクヘッド41A,41Bによって潰れ方向の変形を規制され、長尺状のものの長手方向と直交する方向の強度・剛性を高める。さらに、充填剤49が充填された第1充填室47または第2充填室48は、下側閉断面30または上側閉断面31の強度・剛性を一層高めることができる。この充填剤49の充填口45または連通口33A(開口部)は、液状の充填剤49を適用することで狭い第1充填室47または第2充填室48でも充填剤49を充填することができる。特に、リヤホイールハウス11(インナパネル)とサイドアウタパネル15(アウタパネル)の間の断面が確保できない狭い閉断面21の長尺のもの(中空構造)に有用である。これにより、制振性や遮音性を高め、車体振動の低減を図ることができるとともに、車室内への騒音の進入を抑制することができる。
また、下側閉断面30は、第1バルクヘッド40A,40Bによって潰れ方向の変形を規制されることにより、長手方向と直交する方向の強度・剛性を高められる。上側閉断面31は、第2バルクヘッド41A,41Bによって同様に潰れ変形を規制されることにより、長手方向と直交する方向の強度・剛性を高められる。これにより、リヤホイールハウス11(インナパネル)とサイドアウタパネル15(アウタパネル)の間の閉断面21(中空構造)は、ホイールハウス補強部材14と、第1バルクヘッド40A,40B及び第2バルクヘッド41A,41Bによって効率良く強度・剛性を高められる。したがって、本構成を採用した場合には、車両側方から入力される衝撃荷重に対する強度・耐性が高まるとともに、上下方向の曲げ応力に対しても強くなる。
また、本実施形態の車体補強構造では、第1バルクヘッド40A,40Bの下端がリヤホイールハウスアウタ11O(リヤホイールハウス11)の上面に結合され、第1バルクヘッド40A,40Bの上端がホイールハウス補強部材14の上壁14uの下面に結合されている。このため、ホイールハウス補強部材14とリヤホイールハウスアウタ11Oの間に形成される下側閉断面30の上下方向の潰れを第1バルクヘッド40A,40Bによって確実に規制することができる。したがって、下側閉断面30の断面積を充分に確保することが難しい部位であっても、下側閉断面30の上下方向の潰れを確実に規制することができる。
また、本実施形態の車体補強構造では、第1バルクヘッド40A,40Bの下端をリヤホイールハウスアウタ11O(リヤホイールハウス11)に結合するための工具の挿入を許容する開口部33Aが、ホイールハウス補強部材14の上壁14uに設けられている。
このため、第1バルクヘッド40A,40Bをホイールハウス補強部材14に予め固定した状態で、開口部33を通して第1バルクヘッド40A,40Bとリヤホイールハウスアウタ11Oの結合作業を行うことができる。したがって、本構成を採用した場合には、構成部品の組付効率が良好になるため、生産性を高めることができる。
さらに、本実施形態の車体補強構造では、第1バルクヘッド40A,40Bの上フランジ40A−u,40B−uと、第2バルクヘッド41A,41Bの第1下フランジ41A−l1とが、ホイールハウス補強部材14の上壁14uを間に挟んで三枚重ねで結合されている。このため、第1バルクヘッド40A,40Bの上フランジ40A−u,40B−uと、第2バルクヘッド41A,41Bの第1下フランジ41A−l1をホイールハウス補強部材14の上壁14uに重ねた状態で、スポット溶接やリベット止め等によって三部材を同時に結合することができる。したがって、本構成を採用した場合には、生産性をより高めることができる。
また、本実施形態では、下側閉断面30の内部に一対の第1バルクヘッド40A,40Bが配置されることで、下側閉断面30の内部に第1充填室47が形成され、上側閉断面31の内部に一対の第1バルクヘッド40A,40Bが配置されることで、上側閉断面31の内部に第2充填室48が形成されている。そして、リヤホイールハウスアウタ11Oのアウタ起立壁11O−aのうちの、第2充填室48に臨む部位に充填口45が形成され、ホイールハウス補強部材14の上壁14uに第2充填室48と第1充填室47を連通するように開口部33Aが形成されている。このため、リヤホイールハウス回りの構成部材を組付けた後に、充填口45を通して第2充填室48と第1充填室47とに液状や泡状の充填剤49を容易に充填することができる。そして、充填剤49が第1充填室47と第2充填室48の内部で固化すると、下側閉断面30と上側閉断面31の剛性や強度が効率良く部分的に高まる。
また、充填剤49として、制振性や遮音性を有する発砲材や断熱ウレタンフォーム等を用いた場合には、車体振動の低減を図ることができるとともに、車室内への騒音の進入を抑制することができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
11…リヤホイールハウス(インナパネル)
14…ホイールハウス補強部材(補強部材)
15…サイドアウタパネル(アウタパネル)
21…閉断面(中空構造)
30…下側閉断面
31…上側閉断面
33A…開口部(連通口)
40A,40B…第1バルクヘッド(バルクヘッド)
41A,41B…第2バルクヘッド(バルクヘッド)
40A−u,40B−u…上フランジ(上部接合片)
41A−l1,41B−l1…第1下フランジ(下部接合片)
45…充填口
47…第1充填室(充填室)
48…第2充填室(充填室)
49…充填剤

Claims (6)

  1. アウタパネルとインナパネルとを相互に接合して形成する長尺状の中空構造と、
    前記中空構造を下側閉断面と上側閉断面とに隔成する補強部材と、を備え、
    前記下側閉断面及び前記上側閉断面のうちの、少なくともいずれか一方の内部に、前記閉断面を横切るように延在するバルクヘッドが前記閉断面の延在方向に離間して、少なくとも一対配置されるとともに、この一対の前記バルクヘッドの間が充填剤の充填される充填室とされ、前記インナパネルに、前記充填室に連通するように充填剤の充填口が設けられている
    車体補強構造。
  2. 前記バルクヘッドは、前記下側閉断面の内部に配置される第1バルクヘッドと、前記上側閉断面の内部に配置される第2バルクヘッドの二種類から成る
    請求項1に記載の車体補強構造。
  3. 前記第1バルクヘッドは、下端が前記インナパネルの上面に結合されるとともに、上端が前記補強部材の上壁の下面に結合されている
    請求項2に記載の車体補強構造。
  4. 前記補強部材の上壁には、前記第1バルクヘッドの下端を前記インナパネルの上面に結合するための工具の挿入を許容する開口部が設けられている
    請求項3に記載の車体補強構造。
  5. 前記第1バルクヘッドは、前記補強部材の上壁の下面に結合される上部接合片を有し、
    前記第2バルクヘッドは、前記補強部材の上壁の上面に結合される下部接合片を有し、
    前記上部接合片と前記下部接合片とは、前記補強部材の上壁を間に挟んで三枚重ねで結合されている
    請求項2に記載の車体補強構造。
  6. 前記下側閉断面の内部のうちの一対の前記第1バルクヘッドの間は、充填剤の充填される第1充填室とされ、
    前記上側閉断面の内部のうちの一対の前記第2バルクヘッドの間は、充填剤の充填される第2充填室とされ、
    前記インナパネルの前記第1充填室または前記第2充填室に臨む壁には、充填剤の前記充填口が設けられ、
    前記補強部材の上壁には、前記第2充填室と前記第1充填室を連通する連通口が設けられている
    請求項2に記載の車体補強構造。
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