JPWO2020111159A1 - 準ミリ波・ミリ波帯域用電波吸収シート及び準ミリ波・ミリ波電波吸収方法 - Google Patents

準ミリ波・ミリ波帯域用電波吸収シート及び準ミリ波・ミリ波電波吸収方法 Download PDF

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Abstract

特に、準ミリ波帯域の周波数において優れた電波吸収性能を有し、軽量で可とう性に優れたシート状の電波吸収体を提供する。電波反射層(A)と、該電波反射層(A)の上部に平行に配置された電波吸収層(B)と、を備えてなり、電波吸収層(B)が、膜厚が400〜1000μmの範囲内であり、周波数24GHzにおける電波吸収層(B)の比透磁率(μr=μ’+μ”i)が、実数部μ’が1.0〜1.50、虚数部μ”の絶対値が0以上且つ1.0未満であって、周波数24GHzにおける電波吸収層(B)の比誘電率(εr=ε’+ε”i)が、実数部ε’が14〜25、虚数部ε”の絶対値が4〜10の範囲内にある、準ミリ波・ミリ波帯域用電波吸収シート。

Description

本発明は電波吸収シート及び電波吸収方法に関する。
ラジオ、テレビ、無線通信などの通信機器からは電波が放射されているが、これに加え、最近の情報技術の進展により急増した携帯電話、パソコンなどの電子機器からも電波は放射されている。このため、電子機器、通信機器などの電波による誤作動を回避するための一手法として、効率よく電波を吸収し、吸収した電波を熱エネルギーに変換するという電波吸収体(Electro Magnetic Absorber、EMA)を電波発生部位近傍又は遠方に設置することがよく行われている。
電波発生部位遠方に電波吸収体を設置する例としては、例えば高速道路の自動料金収受システム(ETC)用途がある。ETCは、高速道路の料金所出口を自動車が通過する際に、料金所に備えられた路側機アンテナと車載器側アンテナとの間で周波数5.8GHzのマイクロ波を使用して課金情報等を交換するシステムである。このETCシステムが導入された料金所では、アンテナから放射されたマイクロ波が料金所屋根等にあたって反射されたり、隣接するETCレーンから不要な電波が漏洩する等の理由により、通信に異常を引き起こすことがある。そこで料金所屋根やETCレーンの間に電波吸収体を設置することによって、通信異常を抑制することが行われている。(特許文献1など)
このように電波吸収体は広く利用され、目的や用途に応じて種々の材質、形状の電波吸収体が開発されてきた。
広帯域に吸収する電波吸収体としてはピラミッド型電波吸収体と積層型電波吸収体等がある。
ピラミッド型電波吸収体とは、吸収材内部を電波が透過する間に電波のエネルギーが減衰していくタイプの電波吸収体である。特許文献2には、発泡ポリエチレンなどの発泡性有機樹脂を基材として、カーボンブラックやグラファイトなどの導電性材料を混錬させた材料を、ピラミッド型がいくつも連なったような形状に成型した電波吸収体が記載されている。電波吸収体自体がピラミッド型のような形状であることによって、電波吸収体表面部(電波の到来方向)の断面積を小さくでき、表面部での入射電波の反射が抑制されて吸収体内部に電波が進入しやすくなり、吸収体断面積が増加するにしたがって、吸収体内部に進入した電波が効率よく熱エネルギーに変換できると考えられている。
一方、積層型の電波吸収体は、電波反射層と複数の電波吸収層を積層することで、電波を吸収させたものであり、例えば特許文献3には、金属板の表面に金属粉末及び結合剤を含む磁性損失層を形成した電波吸収体が開示されている。
近年、電子機器や通信機器は高周波数の電波を利用する製品へとシフトしてきた。例えば、自動車の衝突防止支援用にミリ波レーダーの適用が試みられている。ミリ波帯域の電波を吸収する電波吸収体は開発されているものの、その多くはピラミッド型であり、経年変化や熱等により基材が変質・変形して電波吸収性が低下するという問題があった。また、ピラミッド型電波吸収体は嵩高いため、設置場所によっては取り付け困難であり、製造工程も煩雑という問題もある。
更には、従来の積層型電波吸収体は、ミリ波帯域の吸収周波数帯域幅に関して十分なレベルに達していなかった。このため、ミリ波帯域幅で広域に吸収し、更には曲面に貼り付けできる軽量で可とう性のある電波吸収体を設計することは技術的に困難であった。
こうしたニーズに応えるべく、本発明者は、特許文献4において電波反射層に対して比誘電率が特定の値を示す電波吸収層を複層組み合わせることで、ミリ波帯域において十分に電波を吸収できる電波吸収シートを提案した。しかしながら特許文献4記載の電波吸収シートは、電波吸収層が積層構造であることに伴い、膜厚が厚くなり、更なる薄膜化が望まれていた。また、当該電波吸収シートはミリ波帯域の電波に着目して設計されたものであり、準ミリ波帯域の電波吸収特性に乏しい。
ミリ波、準ミリ波については明確な定義はなされていないが、準ミリ波は20GHzから30GHz(波長は10mmから15mm)、ミリ波は30GHzから300GHz(波長は1mmから10mm)の電波を指す場合が多い。
自動車の衝突防止支援レーダーとして、前方にある衝突物を検出するにはミリ波レーダーが適しているが、車体後方や側面にある車体周りの衝突物を検出するには準ミリ波が使用されている。また、高速・大容量化、超多数端末接続等を可能とする次世代無線通信システム「5G」(第5世代移動通信システム:5th Generation)にも準ミリ波の電波が利用されようとしている。
このように、近い将来、ミリ波だけではなく準ミリ波を利用した機器も増加することが予測されており、準ミリ波帯域の電波吸収特性に優れた電波吸収体の開発も必要とされている。
特開2001−217645号公報 特開平6−334382号公報 特開平8−288684号公報 WO2018/124131号
本発明は、高周波数、特に準ミリ波帯域において優れた電波吸収性能を有するシート状の電波吸収体、及びこれを用いた電波吸収方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記した課題について鋭意検討した結果、電波反射層に組み合わせる電波吸収層の膜厚と比透磁率及び比誘電率に着目した。そして電波吸収層の膜厚が特定範囲であり、周波数24GHzにおける電波吸収層の比透磁率と比誘電率が特定の関係にある場合に、特に準ミリ波帯域において電波吸収特性が大きく発現することを見出した。
即ち本発明は、
電波反射層(A)と、前記電波反射層(A)の上部に平行に配置された電波吸収層(B)と、を備えてなる準ミリ波・ミリ波帯域用電波吸収シートであって、
前記電波吸収層(B)の膜厚が400〜1000μmの範囲内であり、
周波数24GHzにおける前記電波吸収層(B)の比透磁率(μr=μ’+μ”i)の実数部μ’が1.0〜1.50の範囲内にあり、虚数部μ”の絶対値が0以上且つ1.0未満であって、
周波数24GHzにおける前記電波吸収層(B)の比誘電率(εr=ε’+ε”i)の実数部ε’が14〜25の範囲内であり、虚数部ε”の絶対値が4〜10の範囲内にある、
準ミリ波・ミリ波帯域用電波吸収シート、及び、前記電波吸収シートを用いる、準ミリ・ミリ波帯域の電波吸収方法、並びに、誤作動の電波障害を生じる原因となる電波反射体に、前記電波吸収シートを設置するか、又は、前記電波反射体と電波受信装置との間に、前記記載の電波吸収シートを設置する、電波障害の防止方法、に関する。
本発明の電波吸収シートは、準ミリ波帯域の電波吸収性を高いレベルで発現することができる。本電波吸収シートは準ミリ波、ミリ波などの高周波数の電波を効率的に吸収することができるため、高周波数の電波を利用した機器の付近に設置することで誤作動を防止するなど、種々の用途に適用可能である。
また、本電波吸収シートは厚さが薄く、可とう性に優れ、耐久性にも優れているので、多種・多様な基材に取り付けることができる。
図1は、電波吸収シートを構成する各層の関係を表す概略図である。 図2は、準ミリ波帯域の電波吸収特性チャートの一例である。
以下、添付図面に基づき、本発明に従う準ミリ波・ミリ波帯域用電波吸収シートの実施形態を説明する。本明細書において、準ミリ波帯域とは、自動走行や5G通信用の周波数を含む20〜30GHzを、ミリ波帯域とは衝突防止や自動走行用の周波数である76〜81GHzを意味するものとする。
図1は本発明における電波吸収シートを構成する各層の関係を表す概略図である。
この図1において、電波反射層(A)の上には電波吸収層(B)、保護層(C)が順に積層されている。本電波吸収シートは、電波αが前記保護層(C)側から入射するように用いる。尚、図1では説明のために各層の間に空間が設けられているが、本発明では通常は各層が互いに密着している。
<電波反射層(A)>
前記電波反射層(A)は、後述の電波吸収層(B)を減衰しながら透過し反射層Aに達した電波αを、その表面で反射させるものである。
前記電波反射層(A)の材質に制限はないが、一般には金属シートが用いられる。金属シートには金属箔も包含される。金属の種類としては例えば、ブリキ、真ちゅう、銅、鉄、ニッケル、ステンレススチール、アルミニウム等を挙げることができ、更にはメッシュ状の金属シートであっても良い。
電波反射層(A)の膜厚としては、特に制限されるものではないが、最終的に得られる電波吸収シートの可とう性、設置作業性などの点から、好ましくは25〜500μmの範囲内であり、特に好ましくは30〜300μmの範囲内である。
本明細書において、膜厚は、SEMを用いて試験体の断面を観察し、得られた画像から任意に3箇所を選択し、その平均値によって求めることができる。
<電波吸収層(B)>
図1において前記電波吸収層(B)は、電波反射層(A)の上部に平行に配置され、24GHzにおける比誘電率と膜厚が特定条件を満たしている。
《比透磁率及び比誘電率》
本発明においては、比透磁率及び比誘電率を決定するための周波数が24GHzであることが重要である。本明細書において比透磁率μrとは、下記式(1)によって示される値である。
Figure 2020111159
上記式(1)において、μrは比透磁率であり、μ’は比透磁率の実数部を示し、μ”は比透磁率の虚数部を示す。ただし、i=√(−1)とする。
また、材料の24GHzにおける透磁率μは下記式(2)によって示される値である。本発明で定義する比透磁率μrは、真空の透磁率μ0に対する材料の透磁率μの比を示すものであり、単位は無い。
Figure 2020111159
例えば比透磁率μrがμr=1.5−0.3iで表される場合、「比透磁率の実数部μ’」は1.5であり、「比透磁率の虚数部μ”の絶対値」は0.3であるものとする。
また、本明細書において比誘電率εrとは、下記式(3)によって示される値である。
Figure 2020111159
上記式(3)において、εrは比誘電率であり、ε’は比誘電率の実数部を示し、ε”は比誘電率の虚数部を示す。ただし、i=√(−1)とする。
また、材料の24GHzにおける誘電率ε(F/m)は、下記式(4)によって示される値である。本発明で定義する比誘電率εrは、真空の誘電率ε0(F/m)に対する材料の誘電率ε(F/m)の比を示すものであり、単位は無い。
Figure 2020111159
例えば比誘電率εrがεr=5−3iで表される場合、「比誘電率の実数部ε’」は5であり、「比誘電率の虚数部ε”の絶対値」は3であるものとする。
本発明において、周波数24GHzにおける比透磁率μr及び比誘電率εrの測定は、フリースペースSパラメータ法(反射伝送法)により行うものとする。例えば、比誘電率測定機器としてベクトル型ネットワークアナライザー(「PNA−X」商品名、KEYSIGHT社製)を用い、フリースペースフィクチャと校正金属板を用い、「N1500材料特性スイート」(商品名、KEYSIGHT社製、ソフトウェア)を用いて、Sパラメーターの測定値からシミュレーションにより求めることができる。
比透磁率及び比誘電率は周波数により変化するものであるため、周波数20〜30GHzの範囲内で周波数毎の比透磁率及び比誘電率データを取得し、そのデータの中から周波数24GHzにおける比透磁率及び比誘電率の値を選択するものとする。
本発明の電波吸収シートにおいて、電波吸収層(B)は、周波数24GHzのときの比透磁率の実数部μ’が1.0〜1.5の範囲内、そして比透磁率の虚数部μ”の絶対値が1.0未満であり、比誘電率の実数部ε’が14〜25の範囲内、そして比誘電率の虚数部ε”の絶対値が4〜10の範囲内にあるものである。比透磁率の実数部μ’が1.0〜1.3、比透磁率の虚数部μ”の絶対値が0.5未満であり、比誘電率の実数部ε’が18〜23、比誘電率の虚数部ε”の絶対値が5〜8の範囲内にあるとさらによい。
電波吸収層(B)の比透磁率の実数部μ’が1.0未満では、電波吸収シートの準ミリ波・ミリ波帯域の電波吸収量が低下し、一方1.5を超えると電波吸収シートの準ミリ波・ミリ波帯域の電波吸収量及び耐久性が低下する傾向があり、好ましくない。また、比透磁率の虚数部μ”の絶対値が1.0を超えると本電波吸収シートの準ミリ波・ミリ波帯域の電波吸収量及び耐久性が低下する傾向があるので好ましくない。比誘電率の実数部ε’が14未満では、本電波吸収シートの準ミリ波・ミリ波帯域の電波吸収量が低く、25を超えても本電波吸収シートの準ミリ波・ミリ波帯域の電波吸収量が低下する傾向にあり好ましくない。また、電波吸収層(B)の比誘電率の虚数部ε”の絶対値が4未満では、準ミリ波・ミリ波帯域電波吸収量が低く、一方で10を超えると、準ミリ波・ミリ波帯域の電波吸収量が低下するため好ましくない。
電波吸収層(B)は、誘電性粉末及び結合剤を含むフィルムあるいは塗膜であることができる。当該フィルムあるいは塗膜としては、例えば、誘電性粉末を結合剤中に分散させた分散物を膜状に成型したフィルムであってもよいし、結合剤、誘電性粉末及び溶媒を含む電波吸収塗料組成物を塗布し、乾燥させて形成された塗膜であってもよい。
《結合剤》
上記結合剤としては、主としてポリマーが用いられる。具体例としては、例えばエステルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩化ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレンゴム、塩素化ポリプロピレンゴム、塩素化エチレンプロピレンゴム、臭素化ブチルゴム等のゴム成分;ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、セラック、ロジン、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、炭化水素樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン系樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル樹脂等の樹脂成分、並びにこれら組み合わせ等を挙げることができる。この中でも好ましくは、エチレンプロピレンジエンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、塩素化ポリプロピレンゴム、塩素化エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン系樹脂、ポリイソシアネート樹脂、アミノ樹脂並びにこれらの組み合わせ等が挙げられる。
《誘電性を有する粉末》
誘電性を有する粉末としては、誘電性を有すればどのような材質、形状のものでも使用することができる。具体例を挙げると、例えば、フェライト、センダスト、Fe−Cr−Al合金、Fe−Si−Cr合金、Fe−Al−Si合金、パーマロイ、カルボニル鉄、α−アルミナ、β−アルミナ、コランダム、酸化クロム、酸化セリウム、酸化チタン、ITO、含酸化珪素化合物、窒化珪素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化珪素、チタンカーバイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ベンゾグアナミン、架橋ポリスチレン、ポリエチレン、シリコン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、カーボン類、チタン酸バリウム、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される材料の粉末である。
誘電性粉末の平均粒子径としては0.001〜500μmが好ましく、更には、0.01〜100μmが好ましい。また、誘電性粉末が針状形状である場合は、平均短径が0.001〜500μmが好ましく、更には、0.01〜100μmが好ましい。
本明細書において、誘電性粉末の平均粒子径又は平均短径は、SEMを用い、本発明電波吸収シートのSEM像を観察することにより測定することにより得られる。
電波吸収層(B)に含まれる誘電性粉末の量としては、結合剤100質量部を基準として、好ましくは100〜700質量部であり、より好ましくは200〜500質量部である。
なお、上記誘電性を有する粉末としては、その成分の一部としてフェライトを含むことが、本発明の電波吸収シートの準ミリ波・ミリ波帯域の電波吸収性の点から適している。
本明細書においてフェライトとは、酸化鉄とその構造の一部に金属を含有した複合酸化物をいい、製法、形状、構造などに制限はない。中でも、鉄に複合される金属として、マンガン、亜鉛、ニッケル、コバルト、銅、バリウム、ストロンチウム、ケイ素、アルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種、好ましくは少なくとも2種の金属を化学構造的に含有するフェライトが好ましい。
酸化鉄の一部に少なくとも1種の金属を化学構造的に含有するフェライトの好ましい例としては、例えば、亜鉛系フェライト、コバルト系フェライト、マグネシウム系フェライト、バリウム系フェライト、ストロンチウム系フェライト、並びにこれらの組み合わせ等が挙げられる。
酸化鉄の一部に少なくとも2種の金属を化学構造的に含有するフェライトの好ましい例としては、例えばマンガン・亜鉛系フェライト、マンガン・ニッケル系フェライト、ニッケル・亜鉛系フェライト、銅・亜鉛系フェライト、並びにこれらの組み合わせ等が挙げられる。
誘電性を有する粉末がフェライトを含む場合、電波吸収層(B)に含まれるフェライトの量としては、結合剤100質量部を基準として、好ましくは150〜650質量部であり、より好ましくは200〜500質量部である。
また、上記誘電性を有する粉末としては、その成分の一部として含酸化ケイ素化合物を含むことが、本発明の電波吸収シートの準ミリ波・ミリ波帯域の電波吸収性及び耐久性の点から適している。
本発明における含酸化ケイ素化合物としては、シリカ等の二酸化ケイ素が挙げられるが、タルク、珪藻土、ウォラストナイト等の各種二酸化ケイ素と金属酸化物からなる鉱物など、その組成に酸化ケイ素を含む化合物も包含される。
誘電性粉末が含酸化ケイ素化合物を含む場合、電波吸収層(B)に含まれる含酸化ケイ素化合物の量としては、結合剤100質量部を基準として、好ましくは0.5〜50質量部であり、より好ましくは1〜10質量部である。
また、上記誘電性粉末としては、その成分の一部としてカーボン類を含むことが本発明の電波吸収シートの準ミリ波・ミリ波帯域の電波吸収性、可とう性及び耐久性の点から適している。
本発明に用いることのできるカーボン類としては、形状、製法等制限はなく、また導電性であっても絶縁性であってもよい。具体例としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラフェン、フラーレン、人造ダイヤモンド、グラファイト、並びにこれらの組み合わせ等を挙げることができる。
誘電性を有する粉末がカーボン類を含む場合、電波吸収層(B)に含まれるカーボン類の量としては、結合剤100質量部を基準として、好ましくは1〜50質量部であり、より好ましくは2〜30質量部である。
準ミリ波・ミリ波帯領域の電波吸収性を高レベルで発揮するためには、電波吸収層(B)の膜厚も重要なファクターである。本発明では、電波吸収層(B)の膜厚が400〜1000μmの範囲内にあり、好ましくは450〜900μmの範囲内であり、特に好ましくは500〜800μmの範囲内である。電波吸収層(B)の膜厚が400μm未満では、本電波吸収シートの準ミリ波・ミリ波帯域の電波吸収性が低下し、一方、1000μmを越えても準ミリ波・ミリ波帯域の電波吸収性が低下してしまう。
また、本発明では、電波吸収層(B)の比誘電率、膜厚に加えて、タンジェントデルタ値が準ミリ波・ミリ波帯域での電波吸収性を有する指標として重要である。
電波吸収層(B)が、比透磁率、比誘電率、膜厚の条件に加えて、タンジェントデルタ値が0.25〜0.70の範囲内のものであると、本発明の電波吸収シートの準ミリ波・ミリ波帯域での電波吸収性が良好なものとなり、好ましい。
タンジェントデルタ値とは、誘電体内での電気エネルギー損失の度合いを表す数値であり、本明細書では比誘電率の虚数部/実数部比の絶対値を算出することによって得られる値である。
本発明において電波吸収層(B)は、単層構造であっても多層構造であってもよいが、電波吸収層(B)が単層構造である場合は、最終生成物である電波吸収シートの製造に要する時間を削減できると共に、準ミリ波・ミリ波帯域での電波吸収性及び可とう性が共に適度にあり、効果的である。
<保護層(C)>
図1において、前記保護層(C)は、電波吸収層(B)の上部に平行に配置されるものであり、本発明の電波吸収シートが所望の準ミリ波・ミリ波帯域の電波吸収性及び耐久性を備えるために、必要に応じて設けられる。そして図1のように、電波反射層(A)の上に電波吸収層(B)が、そして電波吸収層(B)の上に保護層(C)が、この順に配置されていることが重要である。
また、保護層(C)を設けることによって、その下層に位置する各層を保護するとともに、電波吸収シートに耐久性も付与することができる。
保護層(C)は、成型したフィルムであってもよいし、塗料組成物を塗布し、乾燥させた塗膜であってもよい。また、保護層(C)は、単層構造からなってもよいし、多層構造であってもよい。
本発明において、上記保護層(C)の材質には特に制限はないが、結合剤としてポリマー(合成樹脂)を含むフィルムが適している。かかるポリマーとしては電波吸収層(B)の説明で例示した化合物と同様のものを挙げることができ、中でも塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリオレフィン樹脂から選ばれる樹脂がよい。
本明細書においてポリウレタン樹脂を含むフィルムとしては、結合剤としてポリウレタン樹脂を使用したもののみならず、水酸基含有樹脂とポリイソシアネートを含む成分を混合し、塗布して硬化させて得たフィルムもポリウレタン樹脂フィルムとして包含する。
また、保護層(C)は、電波吸収シートの耐久性の観点から顔料を含有することが適している。顔料としては、着色顔料及び体質顔料が使用できる。
着色顔料は、意匠性や用途、目的に応じて適宜選択できる。また、着色顔料としては、従来公知のものを使用することができる。着色顔料の具体例としては、例えば、カーボンブラック、酸化銅、四三酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等の黒色顔料;黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスエロー、ナフトールエローS、ハンザエロー、ベンジジンエローG、ベンジジンエローGR、キノリンエローレーキ、パーマネントエローNCG、タートラジンレーキ等の黄色顔料;ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピロゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等の赤色顔料;紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC等の青色顔料;クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等の緑色顔料;亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等の白色顔料、並びにこれらの組み合わせ等;などが挙げられる。一方、体質顔料としては、例えば、シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、硫酸バリウム、並びにこれらの組み合わせ等が挙げられる。
着色顔料の配合量としては、用いる種類によって異なるが、保護層(C)の隠蔽性、準ミリ波・ミリ波帯域の電波吸収性、可とう性及び耐久性の観点から、一般には、保護層(C)を構成する着色フィルムに含まれるポリマーの質量を基準として、好ましくは0.1〜300質量部の範囲内であり、特に好ましくは5〜150質量部の範囲内である。
体質顔料の配合量としては、準ミリ波・ミリ波帯域の電波吸収性、可とう性及び耐久性の観点から着色フィルムに含まれるポリマーの質量を基準として、好ましくは1〜200質量部の範囲内であり、特に好ましくは2〜100質量部の範囲内である。
保護層(C)の隠蔽率は好ましくは50%以上であり、70%以上の範囲内にあるものを使用することが特に好ましい。
本明細書において保護層(C)の隠蔽率は、例えば、JIS K5600 4−1のB法に準拠した隠蔽率試験紙に保護層(C)を載せ、保護層(C)を介して三刺激値Yを白色部(YW)と黒色部(YB)各々において測定し、YB/YWを百分率で算出したものである。
本発明において、準ミリ波・ミリ波帯領域の電波吸収性を高レベルで発揮し、可とう性、耐久性を良好なものとするためには、保護層(C)の膜厚は好ましくは30〜200μmであり、特に好ましくは50〜100μmの範囲内である。
本発明において、保護層(C)単独の周波数24GHzにおける比誘電率としては、実数部ε’が1.5〜8.0、好ましくは2.0〜5.0であり、そして比誘電率の虚数部ε”の絶対値が1.0未満、特に好ましくは0.1未満の範囲内にあることが適している。そしてタンジェントデルタ値は0.1以下、特に0.01以下の範囲内が適している。
<電波吸収シート>
本発明の電波吸収シートは、電波反射層(A)及び電波吸収層(B)、そして必要に応じて保護層(C)から構成されるものであり、各層を付着させるには公知の手法が用いられる。各層は液状塗料を塗布し乾燥させることによって形成されていてもよいが、フィルム貼り付けによって形成させる場合には、各フィルム間に必要に応じて接着層(P)を設けてもよい。
<接着層(P)>
接着層(P)は、各層間の付着性を向上させ、本電波吸収シートの耐久性を向上させる目的で、必要に応じて設けられる層であり、公知の接着剤あるいは粘着剤を使用できる。
接着層(P)を構成する接着剤あるいは粘着剤の形態としては、水分散系、溶液系、2液混合系、固体系、テープ系のいずれであってもよい。材質としては特に制限されるものではないが、有機系接着剤あるいは粘着剤であっても、無機系接着剤あるいは粘着剤であってもよい。
有機系接着剤あるいは粘着剤としては、例えば、酢酸ビニル系、酢酸ビニル樹脂エマルジョン系、ビニル樹脂系、エチレン−酢酸ビニル樹脂系、ポリ酢酸ビニル樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリビニルアルコール系、エチレン酢酸ビニル系、塩化ビニル系、α−オレフィン系、アクリル樹脂系、ポリアミド系、ポリイミド系、セルロース系、ポリビニルピロリドン系、ポリスチレン系、ポリスチレン樹脂系、シアノアクリレート系、ポリビニルアセタール系、ウレタン樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、ポリビニルブチラール樹脂系、ポリアロマティック系、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、レゾルシノール系、クロロブレンゴム系、ニトリルゴム系、スチレンブタジエンゴム系、ポリベンズイミダソール系、熱可塑性エラストマー系、ブチルゴム系、シリコーン系、変性シリコン系、シリル化ウレタン系、ウレタンゴム系、ポリサルファイト系、アクリルゴム系などの合成系接着剤;並びにデンプン系、天然ゴム系、アスファルト、膠、アラビアガム、漆、カゼイン、大豆タンパク、松やになどの天然系接着剤あるいは粘着剤;反応性ホットメルト接着剤あるいは粘着剤などが挙げられる。
無機系接着剤あるいは粘着剤としては、珪酸ソーダ、セメント系(ポルトランドセメント、漆喰、石膏、マグネシウムセメント、リサージセメント、歯科用セメントなど)及びセラミックなどを挙げることができる。
上記した接着剤あるいは粘着剤の中でも、本電波吸収シートの可とう性、準ミリ波・ミリ波帯域の電波吸収性及び耐久性の観点から、合成系接着剤あるいは粘着剤の使用が適している。
また、接着層(P)の膜厚としては、特に制限されるものではないが、準ミリ波・ミリ波帯域の電波吸収性の観点からは一般に100μm以下であることができ、特に7〜80μmの範囲内にあることができる。
本発明において、準ミリ波・ミリ波帯域の電波吸収性を高いレベルで発揮するには、電波吸収シートの最表面(電波吸収層(B)側、保護層(C)がある場合は保護層(C)側)の表面粗さが、Sa(算術平均表面粗さ)で150〜6000nm、好ましくは200〜5500nm、Sq(2乗平均平方根高さ表面粗さ)で200〜7000nm、好ましくは300〜6000nmの範囲内となるように調整することが望ましい。
本発明において、粗さパラメータSa(算術平均粗さ)及びSq(2乗平均平方根高さ)は、ISO 25178に規定された方法に基づき、以下の条件で撮影した試験体表面の画像を用いて測定したものである。
・装置:光干渉顕微鏡(ブルカーAXS社製 Countour GT−1)
・対物レンズ:5倍
・内部レンズ(接眼レンズ):0.55倍
・測定範囲:幅6mm/長さ:1.7mm。
<電波吸収方法>
本発明は、上記した如き電波吸収シートを用いることによって、準ミリ波・ミリ波帯域の電波を吸収する電波吸収方法を提供するものである。
また、本発明は、誤作動の電波障害を生じる原因となる電波反射体に、上記電波吸収シートを設置するか、又は、前記電波反射体と電波受信装置との間に、上記電波吸収シートを設置する、電波障害の防止方法を提供するものである。
上記本発明の電波吸収シートは、その全体膜厚が0.5〜1.5mm、特に0.6〜1mmの範囲内であることができ、可とう性に極めて優れている。なお、塗料の場合は、乾燥後の膜厚がこの範囲であればよい。このため、種々の形状の電波反射体に容易に取り付け可能である。
本発明の電波吸収シートを直接あるいは近傍に設置するための上記電波反射体としては、準ミリ波及びミリ波、特に準ミリ波帯域の電波が発生する環境にある物品・構造体であれば特に制限はない。
具体例としていくつかの例を挙げれば、中央分離帯、トンネル内壁、遮音壁、防音壁、道路標識、ガードレール、道路反射ミラー、電柱、信号機、交通標識、街路樹、道路照明灯柱等の自動車走行用道路近辺にある物品・構造体、自動車工場や整備場、部屋の壁面等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、下記例中の「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
<電波吸収シートの製造>
実施例1
タテが30cm、ヨコが30cm、厚さが50μmのアルミニウム箔(Al箔)に、10μm接着層(アクリル系接着剤)を設け、その上に、塩素化ポリエチレンゴム100部に対してMnZnフェライト(マンガン・亜鉛系フェライト、平均粒子径0.7μm)350部、絶縁カーボン350部、及びシリカ3部を混練りし、成型して得られた膜厚570μmの単層構造のシートを積層し、さらにその上に、10μm接着層(アクリル系接着剤)を設け、膜厚80μmの保護シート(注)を貼り付けて電波吸収シート(X−1)を得た。
(注)保護シート:塩化ビニル樹脂と酸化チタンとを含有する着色フィルム。塩化ビニル樹脂100部に対する酸化チタン量は80部である。
実施例2〜15及び比較例1〜9
電波吸収層、保護層の材質、厚さを表1〜表4記載の通りとする以外は、実施例1と同様にして、シート状の電波吸収シート(X−2)〜(X−24)を得た。尚、表中phrは結合剤100質量部に対する各成分の質量比率を意味する。また、表中、保護層の比誘電率の欄に記載のjは、電波吸収層の比誘電率を表すiと同義である。よって、実施例1の保護層の比誘電率の実数部は3.8であり、虚数部の絶対値は0.08である。
比較例10
タテが30cm、ヨコが30cm、厚さが50μmのアルミニウム箔に、10μm接着層を設け、その上に、EPDMゴム(エチレンプロピレンジエンゴム)100部に対してマンガン−亜鉛系フェライト790部を混練りし、成型して得られた膜厚550μmのシート(1)を積層し、さらにその上に、エチレンプロピレンジエンゴム100部に対してバリウム系フェライト300部を混練りし、成形して得られた膜厚950μmのシート(2)を積層し、さらにその上に、80μmの市販の白色マーキングフィルム(粘着剤付意匠フィルム ファンタックシート:(株)カンペファンタックセンター)を貼り付けて、電波吸収シート(X−25)を得た。電波吸収シート(X−25)において、シート(1)の周波数79GHzのときの比誘電率はε=34−4.5iであり、シート(2)の比誘電率はε=2.5−0.2iである。この電波吸収シート(X−25)の全体膜厚は1.64mmであり、電波吸収層部分は積層構造となっており、その部分の厚さは1.5mmである。
Figure 2020111159
Figure 2020111159
Figure 2020111159
Figure 2020111159
(注)MnZnフェライト:マンガン・亜鉛系フェライト、平均粒子径0.7μm、
(注)絶縁カーボン:絶縁性のカーボンブラック、平均粒子径20nm、
(注)導電カーボン:導電性のカーボンブラック、平均粒子径34nm、
(注)シリカ:平均粒子径6μm、
(注)Baフェライト:バリウム系フェライト、平均粒子径2μm、
(注)チタン酸バリウム:平均粒子径2μm、
(注)Fe−Al−Si合金:鉄、アルミニウム、シリコンの合金。
<評価試験>
上記実施例及び比較例で作成した電波吸収シート(X−1)〜(X−25)を下記基準、方法にて評価し、各電波吸収シートが有する性状値と共に表1〜表4に示した。尚、表1〜表4中、電波吸収層(B)及び保護層(C)の比誘電率及び比透磁率、並びに電波吸収シートの膜厚、粗さパラメータSa、Sqは明細書記載の方法によって求めたものである。
(*)各電波吸収シートの準ミリ波電波吸収性測定
各電波吸収シートの電波吸収性を、電波吸収量が−30dB以上の電波吸収体を部屋の壁面及び床面に設置した電波暗室にて、電波吸収測定装置を用いて測定した。具体的には、電波吸収測定装置に備えられた送信用ホーンアンテナと受信用ホーンアンテナの入射及び反射角度が、床面からの垂直面に対し、それぞれ10°となるように、送信用ホーンアンテナと受信用ホーンアンテナを設置し、それぞれのアンテナから45cmの距離となるように金属反射板を置き、反射してくる信号を受信用ホーンアンテナで受信して、その電波反射率を100%とする。次に、金属反射板を取除き、反射してくる信号を受信用ホーンアンテナで受信して、その電波反射率を0%とする。そして金属反射板を置いた位置に測定試料を置き、準ミリ波付近の周波数について測定試料表面から反射してくる電波反射量を測定し、周波数(GHz)を横軸とし、電波吸収量(dB)を縦軸とする準ミリ波付近の電波吸収特性チャートを得た。図2に電波吸収特性チャートの一例を示す。
(*)ピーク周波数における電波吸収量
上記電波吸収量測定で得られた電波吸収特性チャートにおいて、最も電波吸収量が多い周波数をピーク周波数(M3)とし、該ピーク周波数における電波吸収量を求め、表中に記載した。尚、表中の電波吸収量は数値が低いほど、電波吸収量が多く、良好であることを意味する。
(*)電波吸収量が−20dB以上となる帯域幅
電波吸収量−20dBにおける、最大吸収周波数M1と最小吸収周波数M2との差であり、次式で表される。bw=M1−M2。
表中の数値が大きいほど準ミリ波領域での帯域幅が広いことを意味し、良好である。尚、表中「−」の記号は電波吸収量が−20dBに達していないために、幅が測定できないことを意味する。
(*)各電波吸収シートのミリ波電波吸収性測定
上記準ミリ波電波吸収測定試験において、準ミリ波に替えてミリ波付近の周波数について測定試料から反射してくる電波反射量を測定し、周波数(GHz)を横軸とし、電波吸収量(dB)を縦軸とするミリ波電波吸収特性チャートを得た。ピーク周波数における電波吸収量及び電波吸収量が−20dB以上となる帯域幅の求め方は準ミリ波の場合と同様である。表中−は最大吸収量が−20dB未満を意味する。
(*)可とう性
各電波吸収シート(X−1)〜(X−25)を、電波反射層が下となるように180°手で折り曲げ、折り曲げ作業性と折り曲げ部の表面状態を下記基準にて評価した。
○:折り曲げ作業性は良好であり、折り曲げ部に破損が全く認められない、
△:折り曲げ作業性は良好であるが、折り曲げ部に破損が若干認められる、
×:折り曲げ作業が困難であり、折り曲げ部に著しい破損が認められる。
(*耐久性)
各電波吸収シートを構成する保護層又は電波吸収層側の表面に、5%塩酸水溶液をスポイトで1滴垂らし、50℃雰囲気下で5時間放置した後、水洗し、スポットした箇所を観察し、次の基準で評価した。
◎:変化が全く認められない、
○:スポット部にツヤビケがやや認められる、
△:スポット部にツヤビケが明らかに認められる、
×:塗面に膨潤又は白化が生じている。
(考察)
表1〜表4の結果より、本発明の効果について以下に考察する。
実施例1〜15は本発明で規定した範囲内の電波吸収シートである。
比較例1及び2は電波吸収層(B)の膜厚が本発明で規定した範囲を外れる電波吸収 シートである。
比較例3及び9は電波吸収層(B)の比誘電率実数部及び虚数部が本発明で規定する範囲を下回る電波吸収シートである。
比較例4、5は、電波吸収層(B)の比透磁率の実数部が本発明で規定した範囲を上回る電波吸収シートである。
比較例6は、電波吸収層(B)の比透磁率の虚数部が本発明で規定した範囲を上回る電波吸収シートである。
比較例7は、電波反射層(A)が備えられていない電波吸収シートである。
比較例8は電波吸収層(B)の比誘電率実数部及び虚数部が本発明で規定する範囲を上回る電波吸収シートである。
比較例10は、電波吸収層部分の膜厚が本発明範囲を上回る電波吸収シートである。
以上により調製された電波吸収シートによる準ミリ波及びミリ波帯域の電波吸収特性及び可とう性試験、耐久性試験結果より、以下のことが言える。
電波反射層(A)及び電波吸収層(B)を備えるとともに配置関係が規定どおりであり、電波吸収層(B)の膜厚が所定範囲内であり、電波吸収層の比誘電率及び比透磁率が本発明所定の範囲内にある限り、準ミリ波吸収性に極めて優れ、帯域幅が広く、ミリ波吸収性も有し、可とう性、耐久性に優れた電波吸収シートが得られる。
電波吸収層(B)が膜厚の条件を満たさない場合は、電波吸収シートの準ミリ波吸収性が充分発揮できないが、電波吸収層(B)膜厚が本発明規定の範囲にあるときに限り、準ミリ波電波吸収性と帯域幅が飛躍的に増大する。(実施例1と、比較例1、2との対比)。
電波吸収層(B)が比誘電率の条件を満たさない場合は、電波吸収シートの準ミリ波吸収性が充分発揮できないが、電波吸収層(B)の比誘電率が本発明規定の範囲にあるときに限り、ミリ波電波吸収性と帯域幅が飛躍的に増大する。(実施例1と、比較例3、8、9との対比)。
電波反射層(A)がない電波吸収シートでは、電波吸収シートの準ミリ波吸収性が充分発揮できない。しかしながら、すべての層を組み合わせることによって、ミリ波電波吸収性と帯域幅が飛躍的に増大する。(実施例1と比較例7との対比)。
電波吸収層(B)の比透磁率の条件を満たさない場合は、電波吸収シートの準ミリ波吸収性が充分発揮できないが、電波吸収層(B)の比透磁率が本発明規定の範囲にあるときに限り、ミリ波電波吸収性と帯域幅が飛躍的に増大し、耐久性も向上する。(実施例1と比較例4、5、6との対比)。
電波吸収層部分に誘電性を有する粉末を含んでいても、トータルの膜厚が厚く、また、積層構造である場合は、ミリ波吸収性を有するが準ミリ波特性が十分ではない。(実施例1と比較例10との対比)。

Claims (17)

  1. 電波反射層(A)と、前記電波反射層(A)の上部に平行に配置された電波吸収層(B)と、を備えてなり、
    前記電波吸収層(B)の膜厚が400〜1000μmの範囲内であり、
    周波数24GHzにおける前記電波吸収層(B)の比透磁率(μr=μ’+μ”i)の実数部μ’が1.0〜1.50の範囲内であり、虚数部μ”の絶対値が0以上且つ1.0未満であって、
    周波数24GHzにおける前記電波吸収層(B)の比誘電率(εr=ε’+ε”i)の実数部ε’が14〜25の範囲内であり、虚数部ε”の絶対値が4〜10の範囲内にある、
    準ミリ波・ミリ波帯域用電波吸収シート。
  2. 前記電波吸収層(B)が、誘電性を有する粉末及び結合剤を含むフィルムであり、
    前記誘電性を有する粉末は、以下の材料:
    フェライト、センダスト、Fe−Cr−Al合金、Fe−Si−Cr合金、Fe−Al−Si合金、パーマロイ、カルボニル鉄、α−アルミナ、β−アルミナ、コランダム、酸化クロム、酸化セリウム、酸化チタン、ITO、含酸化珪素化合物、窒化珪素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化珪素、チタンカーバイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ベンゾグアナミン、架橋ポリスチレン、ポリエチレン、シリコン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、カーボン類、チタン酸バリウム、並びにこれらの組み合わせ
    からなる群から選択される材料の粉末である、請求項1に記載の電波吸収シート。
  3. 前記誘電性を有する粉末が、その成分の一部としてフェライトを含む、請求項2に記載の電波吸収シート。
  4. 前記誘電性を有する粉末が、その成分の一部として含酸化珪素化合物を含む、請求項2又は3に記載の電波吸収シート。
  5. 前記誘電性を有する粉末が、その成分の一部としてカーボン類を含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  6. 前記電波吸収層(B)が、前記電波吸収層(B)に含まれる前記結合剤100質量部を基準として、前記誘電性を有する粉末を100〜700質量部含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  7. 前記電波吸収層(B)が、前記誘電性を有する粉末を前記結合剤中に分散させた分散物を、膜状に成型したフィルムである、請求項2〜6のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  8. 前記電波吸収層(B)が、前記結合剤、前記誘電性を有する粉末、及び溶媒を含む電波吸収塗料組成物を塗布し、乾燥させて形成されたフィルムである、2〜6のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  9. 前記電波吸収層(B)が単層構造である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  10. さらに最表面の位置に保護層(C)を備え、前記電波反射層(A)、前記電波吸収層(B)、及び前記保護層(C)の順に平行に配置されてなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  11. 前記保護層(C)が、結合剤として塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリオレフィン樹脂から選ばれる樹脂を含むフィルムである、請求項10に記載の電波吸収シート。
  12. 前記保護層(C)が、着色剤を含む着色フィルムである、請求項10又は11に記載の電波吸収シート。
  13. 周波数24GHzにおける前記保護層(C)の比誘電率(εr=ε’+ε”i)の実数部ε’が1.5〜8の範囲内であり、虚数部ε”の絶対値が0以上で1.0未満にある、請求項10〜12のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  14. 最表面の表面粗さが、算術平均粗さで150〜6000nm、2乗平均平方根高さで200〜7000nmの範囲内にある、請求項1〜13のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  15. 各層間のうち、少なくとも1つの層間に接着層(P)を設けてなる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の電波吸収シート。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の電波吸収シートを用いる、準ミリ・ミリ波帯域の電波吸収方法。
  17. 誤作動の電波障害を生じる原因となる電波反射体に、請求項1〜15のいずれか1項に記載の電波吸収シートを設置するか、又は、前記電波反射体と電波受信装置との間に、請求項1〜15のいずれか1項に記載の電波吸収シートを設置することを含む、電波障害の防止方法。
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