JP2003234593A - 電波吸収体 - Google Patents

電波吸収体

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JP2003234593A
JP2003234593A JP2002029820A JP2002029820A JP2003234593A JP 2003234593 A JP2003234593 A JP 2003234593A JP 2002029820 A JP2002029820 A JP 2002029820A JP 2002029820 A JP2002029820 A JP 2002029820A JP 2003234593 A JP2003234593 A JP 2003234593A
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Japan
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radio wave
layer
iron powder
radio
wave absorber
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JP2002029820A
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Toshio Kudo
敏夫 工藤
Kazuyuki Kashiwabara
一之 柏原
Takasada Mitsui
孝禎 三ツ井
Katsunobu Hosoya
勝宣 細谷
Hitoshi Sato
仁 佐藤
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CI Kasei Co Ltd
Mitsubishi Cable Industries Ltd
Original Assignee
CI Kasei Co Ltd
Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた難燃性と優れた電波吸収能を同時に兼
ね備える新規な電波吸収体を提供する。 【解決手段】 カルボニル鉄を還元させた鉄粉を塩素化
ポリエチレン中に分散させてなる電波吸収層と、当該電
波吸収層の電波の入射を意図する側に配置された不燃層
と、当該電波吸収層の電波の入射を意図しない側に配置
された電波反射層とを備える電波吸収体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性の向上され
た電波吸収体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ITS(Intelligent Transport
Systems;高度道路交通システム)に代表される交通イ
ンフラの情報化に伴い、ETC(Electronic Toll Coll
ection;ノンストップ自動料金収受)システムやAHS
(Advanced cruise-assist Highway System;走行支援
道路システム)、レーダや衛星通信などによるDSRC
(Dedicated Short Range Communication:狭域通信)
システム、双方向道路情報システムなど、ミリ波、マイ
クロ波などの電波の使用による無線通信技術を応用した
システムの導入が拡大している。これらのシステムで
は、路面や吸音壁などで使用電波が反射することによる
通信領域内での電波の乱反射が、システムの誤作動を引
き起こす原因となっており問題とされている。この問題
を解決すべく、当該システム近傍の路側、吸音壁、高
架、料金所の天井などに、電波吸収特性を有する電波吸
収体を設置する試みが従来よりなされてきた。電波吸収
体は、たとえば、ゴムやプラスチックなどのバインダー
に導電性カーボンの粉末やフェライトの粉末などの電波
損失材を混合し、これをシート状(板状)に成形したも
のなどにて実現されていた。
【0003】一般に、火災時の災害防止のため、電波吸
収体には難燃性が要求されるが、上記のゴムやプラスチ
ックなどのバインダーに電波損失材を混合させたのみの
構成では可燃性があり、大電力の電波が吸収体に連続的
に入射すると内部が発熱し発火燃焼するという危険性が
あった。このため従来より、上記バインダーに、ハロゲ
ン系、非ハロゲン系(ハロゲン原子を含有しない)の難
燃剤や難燃助剤をさらに配合して電波吸収体に難燃性を
付与することがなされてきたが、ハロゲン系難燃剤を使
用すると、比較的少量の配合で、電波吸収体に優れた難
燃性を付与することができる反面、燃焼すると有毒ガス
を発生するという問題があった。また、非ハロゲン系難
燃剤を使用すると、電波吸収体に優れた難燃性を付与す
るためには多量に配合する必要があり、これにより電波
吸収能が低減してしまうという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
解決するためになされたものであって、その目的とする
ところは、優れた難燃性と優れた電波吸収能を同時に兼
ね備える新規な電波吸収体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を行った結果、本発明を完成す
るに至った。即ち、本発明は以下のとおりである。 (1)カルボニル鉄を還元させた鉄粉を塩素化ポリエチ
レン中に分散させてなる電波吸収層と、当該電波吸収層
の電波の入射を意図する側に配置された不燃層と、当該
電波吸収層の電波の入射を意図しない側に配置された電
波反射層とを備える電波吸収体。 (2)不燃層の厚みが20μm〜500μmである上記
(1)に記載の電波吸収体。 (3)不燃層が、少なくとも両主面を塩化ビニル樹脂で
被覆されたガラスクロスである上記(1)または(2)
に記載の電波吸収体。 (4)電波反射層がアルミニウムラミネート箔である上
記(1)〜(3)のいずれかに記載の電波吸収体。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の好ましい一例の電波吸収体1を簡略化
して示す図であり、図1(a)は断面図、図1(b)は
斜視図である。なお図1(a)は、図1(b)の切断面
線IA−IAからみた断面である。本発明の電波吸収体
1は、電波吸収層2と、電波吸収層2の電波の入射を意
図する側(図1の例では、厚み方向一方Z1側)に配置
された不燃層3と、電波吸収層2の電波の入射を意図し
ない側(図1の例では、厚み方向他方Z2側)に配置さ
れた電波反射層4とを基本的に備えるシート状物であ
る。図1には、厚み方向一方Z1側(電波の入射を意図
する側)から厚み方向他方Z2側(電波の入射を意図し
ない側)へ向かって順に、不燃層3、電波吸収層2、電
波反射層4が互いに隣接して配置されてなる例を示す。
【0007】本発明における電波吸収層2としては、塩
素化ポリエチレン中にカルボニル鉄を還元させた鉄粉を
分散させてなるものが用いられる。塩素化ポリエチレン
は、当該電波吸収層2においてバインダーとして使用さ
れる。塩素化ポリエチレンを使用することで、高充填の
電波吸収層(たとえば、充填密度が20vol%〜60
vol%程度)を形成することができ、充填可能な鉄粉
量の幅を広くとれることから、鉄粉量の調整により種々
の周波数に対応する電波吸収体が実現可能であるという
利点を有する。
【0008】本発明に使用されるカルボニル鉄を還元し
た鉄粉は、カルボニル法にて生産された高純度(純度:
97重量%以上)の鉄粉(カルボニル鉄粉)を還元して
得られた鉄粉(以下、「カルボニル還元鉄粉」というこ
とがある。)を指す。なお当該「カルボニル鉄粉」、
「カルボニル還元鉄粉」の名称は、生産工程中の中間体
である「ペンタカルボニル鉄」に由来するものであり、
カルボニル基を有する訳ではない。本発明に用いるカル
ボニル還元鉄粉は、その形状に特に制限はなく、球状や
針状、その他の様々な形状のものを用いることができる
が、バインダー(塩素化ポリエチレン)への分散性が良
好であり、またバインダーにカルボニル還元鉄粉を混合
した混合物を圧延加工する際に配向することなくシート
成形を容易に行えることから、球状のカルボニル還元鉄
粉を用いることが好ましい。なお本明細書中において、
カルボニル還元鉄粉の形状に関して「球状」とはアスペ
クト比が1〜5であるものを指し、「針状」とはアスペ
クト比が5よりも大きいものを指すものとする。
【0009】本発明に使用するカルボニル還元鉄粉末
は、平均粒径が1μm〜10μmであるのが好ましく、
3μm〜7μmであるのがより好ましい。カルボニル還
元鉄粉末の平均粒径が1μm未満であると、バインダー
中での分散性が低下する傾向にあるためであり、またカ
ルボニル還元鉄粉末の平均粒径が10μmを超えると、
電波吸収特性が低下する傾向にあるためである。上記平
均粒径は、たとえば以下の手順にて測定できる。測定対
象(カルボニル還元鉄の粉末)を水またはエタノールな
どの有機液体に投入し、35kHz〜40kHz程度の
超音波を付与した状態にて約2分間分散処理して得た分
散液を用い、かつその場合の粒状物の量は該分散液のレ
ーザ透過率(入射光量に対する出力光量の比)が70%
〜95%となる量とし、次いで該分散液について、マイ
クロトラック粒度分析計にかけてレーザー光の散乱によ
り個々の粒状物の粒径(D1、D2、D3・・・)、お
よび各粒径ごとの存在個数(N1、N2、N3・・・)
を計測する(個々の粒状物の粒径(D)は、マイクロト
ラック粒度分析形によれば種々の形状の粒状物ごとに球
相当径が自動的に測定される。)。視野内に存在する個
々の粒子の個数(N)と各粒径(D)とから、下記式
(1)にて平均粒径を算出する。 平均粒径=(ΣND3/ΣN)1/3 (1)
【0010】カルボニル還元鉄粉は、従来公知の種々の
手法にて得ることができる。球状のカルボニル還元鉄粉
については、たとえば、図2のフローチャートに簡略化
して示すような工程を含有する方法にて製造することが
できる。本手法によれば、まず、カルボニル法により鉄
からカルボニル鉄粉を得る(鉄(Fe)に一酸化炭素を
反応させてペンタカルボニル鉄(Fe(CO)5)を得
た後、これを蒸留し、熱分解してカルボニル鉄粉とす
る。得られたカルボニル鉄粉を水素還元して、カルボニ
ル還元鉄粉とする。また、針状のカルボニル還元鉄粉に
ついては、たとえば、特開平10−32398号公報に
記載の製法などによって得ることができる。上記平均粒
径を有するようなカルボニル還元鉄粉は、上記で適宜得
られたカルボニル還元鉄粉を、気流により分級するなど
して取得することができる。
【0011】カルボニル還元鉄粉は、市販のもの、たと
えば、BASF Japan社製の球状のカルボニル鉄
粉(純度:97重量%)や、ISP Japan社製の
球状のカルボニル鉄粉(純度:97重量%)を使用して
もよい。
【0012】本発明の電波吸収層2において、上記カル
ボニル還元鉄粉は、塩素化ポリエチレン100重量部に
対し、10重量部〜1000重量部配合されているのが
好ましく、200重量部〜800重量部配合されるのが
より好ましい。カルボニル還元鉄粉の配合が塩素化ポリ
エチレン100重量部に対し10重量部未満であると、
充分な電波吸収特性が得られにくい傾向にあるため好ま
しくない。また、カルボニル還元鉄粉の配合が塩素化ポ
リエチレン100重量部に対し1000重量部を超える
と、電波吸収層を層状(シート状)に成形することが困
難となる傾向にあるため好ましくない。
【0013】電波吸収層2は、たとえば、塩素化ポリエ
チレン中にカルボニル還元鉄粉を混合し、後述するよう
な添加物を必要に応じて適宜混合した後、均一に分散す
るよう70℃〜130℃で10分間〜1時間程度混練し
た後、当該混合物を公知の手法にてシート状に成型する
ことによって、形成する。成型方法は、従来公知のロー
ル圧延加工にて行ってもプレス加工によって行ってもよ
いが、生産効率が良好である点より、ロール圧延加工に
よりシート状に成型するのが好ましい。ロール圧延加工
の場合、たとえば、100℃〜150℃のロール温度、
0.1MPa〜2MPaの圧力で行えばよい。
【0014】電波吸収層2は、通常、概ね均一な厚みを
有するように形成され、その厚みは、対象とする電波の
周波数に応じて適宜選択する。例えば、周波数が5.8
GHzの電波を対象電波とする場合、電波吸収層2の厚
みを1.5mm〜2.1mm(1.8mm±0.3m
m)とすることで優れた吸収特性が得られる。この場
合、電波吸収層2の厚みが1.5mm〜2.1mmを外
れると、5.8GHzの周波数を有する電波の吸収特性
は低下する傾向にある。
【0015】本発明における不燃層3は、不燃効果を有
する層状のものであれば特に制限はないが、ガラスクロ
ス(ガラス繊維を織り込んで織布や不織布としたもの)
を使用するのが好ましい。ここで「不燃性」とは、建築
基準法第2条第9号に規定されている条件を満足するこ
とをいう。中でも、電波吸収層との接着性、接着後の耐
久性(不所望の外力で剥がれたり割れたりするのを防止
する)の観点から、図1に示すようなガラスクロスの両
主面を少なくとも塩化ビニル樹脂で被覆してなる構造
(被覆層5、ガラスクロス6、被覆層5という構造)を
有するものが好ましい。当該塩化ビニル樹脂による被覆
は、たとえば塩化ビニル樹脂製のフィルムをガラスクロ
スの両主面に貼着することにより行えばよい。なお、こ
の塩化ビニル樹脂製のフィルムに、後述するような難燃
剤などが配合されていてもよい。
【0016】本発明における不燃層は、不燃性を保持し
つつより優れた電波吸収能を達成できる観点から、概ね
均一な厚みを有し、その厚みが20μm〜500μmで
あるのが好ましく、20μm〜100μmであるのがよ
り好ましい。不燃層3の厚みが20μm未満であると、
不燃特性が充分でない上に不所望な外力によって電波吸
収層2が損傷し易くなり(電波吸収層の保護層としての
役割低下)、電波吸収特性が低下する傾向にあるため好
ましくなく、また不燃層3の厚みが500μmを超える
と、電波吸収特性(減衰量特性)が低下する傾向にある
ため好ましくない。不燃層3の好ましい態様として、図
1(a)に示すように厚み方向一方Z1側から厚み方向
他方Z2側へ向かって順に、厚みが50μmの被覆層5
(塩化ビニル樹脂)、厚みが250μmのガラスクロス
6、厚みが50μmの被覆層5(塩化ビニル樹脂)とい
うように配置された場合が例示される。
【0017】このような不燃層3は、たとえば熱圧着に
て電波吸収層2の電波の入射を意図する側(厚み方向一
方Z1側)に配置されるように設ければよい。中でも、
熱圧着にて、電波吸収層2に隣接するように設けるのが
好ましく、その条件としては、100℃〜150℃、
0.1MPa〜2MPa程度である。また、弾性系接着
剤、熱硬化性樹脂系接着剤、エラストマー系接着剤、熱
可塑性樹脂系接着剤、瞬間系接着剤、無機系接着剤な
ど、適宜の接着剤を介在させてもよい。
【0018】電波反射層は、入射してきた電波を反射し
て、入射してきた電波を相殺するために設けられたもの
であって、導電性を有し、電波吸収層の終端インピーダ
ンスが0(ゼロ)となるものであれば、特に制限なく使
用できる。このような電波反射層としては、たとえば、
アルミニウム、銅、鉄などの金属箔が適用される。この
ような電波反射層4は、優れた電波吸収能を有する電波
吸収体を実現し得る観点からは、図1に示す例のよう
に、電波吸収層2の電波の入射を意図しない側(厚み方
向他方Z2側)に隙間なく隣接させて設けるのが好まし
い。
【0019】本発明における電波反射層4としては、図
1に示すように上記金属箔7の片面に防食層8を形成し
たもの(金属ラミネート箔)を用い、これを、防食層8
を形成した側が電波の入射を意図しない側(厚み方向他
方Z2側)に配置されるように配置して設けるのが好ま
しい。防食層8の形成材料としては、公知の樹脂を用い
ればよく、具体的には、ポリエステル樹脂やポリプロピ
レン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。また、電
波吸収層の電波の入射を意図する側とは反対側の面に導
電性塗料を塗布して反射層を形成することもできる。導
電性塗料を塗布する場合、スプレー方式で塗料を噴霧さ
せて電波吸収層に塗布する方法や電波吸収層を回転させ
て塗料を均一の厚みとなるように塗布する方法が挙げら
れる。
【0020】上記防食層8を金属箔に接着させる方法と
しては、たとえば熱圧着による接着や公知の接着剤を介
しての接着が挙げられる。
【0021】電波反射層4も、概ね均一な厚みを有する
ように形成されるのが好ましい。電波反射層4の厚み
は、特に制限はないが、たとえば図1のように金属ラミ
ネート箔で実現する場合には、金属箔7の厚みが10μ
m〜100μm程度であり、防食層8の厚みが10μm
〜200μm程度であるのが好ましい。
【0022】電波吸収層2と電波反射層4とを接着させ
る手段としては、シート状に成型した電波吸収層2に、
金属箔7を隣接させるようにして電波反射層4を載置
し、たとえば100℃〜150℃、0.1MPa〜2M
Paの条件でプレスを施して熱接着する方法や、弾性系
接着剤、熱硬化性樹脂系接着剤、エラストマー系接着
剤、熱可塑性樹脂系接着剤、瞬間系接着剤、無機系接着
剤など公知の接着剤を使用して接着する方法が挙げられ
る。なお上記の不燃層3と電波反射層4は、どちらを先
に電波吸収層2に設けてもよく、また同時に設けてもよ
い。
【0023】上述してきたように、本発明の電波吸収体
1は、カルボニル鉄を還元させた鉄粉を塩素化ポリエチ
レン中に分散させてなる電波吸収層2と、当該電波吸収
層2の電波の入射を意図する側に配置された不燃層3
と、当該電波吸収層2の電波の入射を意図しない側に配
置された電波反射層4とを、基本的に備えるものであ
る。本発明においては、このような構成を基本的に備え
ることで、優れた難燃性と、優れた電波吸収能とを同時
に兼ね備える電波吸収体を実現することができるもので
ある。ここで、「優れた難燃性」とは、防炎物品の防炎
性能試験基準の「合板」(消防法施行規則4条の3第2
項〜7項参照)を準用した防炎試験を実施し、2分間の
加熱時間で、残炎時間が10秒以下、かつ、残じん時間
が30秒以下となるような延焼防止効果を有することを
指す。また「優れた電波吸収能(優れた電波吸収特
性)」とは、たとえば、5.8GHzの電波を20dB
以上減衰できる性質をいう。
【0024】なお本発明における電波吸収層2には、電
波吸収特性を劣化させない範囲で、難燃剤、難燃助剤、
可塑剤、充填剤、酸化防止剤など、適宜の添加剤が添加
されていてもよい。
【0025】難燃剤が添加される場合、たとえば、バイ
ンダーである塩素化ポリエチレン100重量部あたり有
機臭化物系難燃剤と亜鉛系難燃剤との混合物を5重量部
〜50重量部配合されているのが好ましく、10重量部
〜35重量部配合されているのがより好ましい。このよ
うな難燃剤の混合物の添加により、電波吸収体の難燃性
がより向上される。上記難燃剤の混合物が塩素化ポリエ
チレン100重量部あたり5重量部未満しか配合されて
いないと、難燃剤が配合されたことによる難燃性のさら
なる向上がみられない傾向にあり、また上記難燃剤の混
合物が塩素化ポリエチレン100重量部あたり50重量
部を超えて配合されていると、難燃性は向上される反
面、電波吸収能が低下する傾向にある。上記難燃剤の混
合物が添加される場合、有機臭化物系難燃剤と亜鉛系難
燃剤との混合割合は、95:5〜60:40であるのが
好ましく、90:10〜70:30であるのがより好ま
しい。
【0026】有機臭化物系難燃剤としては、ヘキサブロ
モベンゼン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブ
ロモジフェニルエーテル、エチレンビスペンタブロモジ
フェニル、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−3,5−ジ
ブロモフェニル)プロパンなどを用いることができる。
亜鉛系難燃剤としては、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒド
ロキシスズ酸亜鉛、酸化亜鉛などを用いることができ
る。
【0027】また必要に応じ、水酸化アルミニウムや水
酸化マグネシウムなどのその他の難燃剤を併用すること
もできる。
【0028】電波吸収層2に添加してもよい可塑剤とし
ては、たとえば、ジオクチルフタラート(DOP)やジ
ブチルフタラート(DBP)などのフタル酸エステル系
のもの、ジオクチルアジペート(DOA)などのアジピ
ン酸エステル系のもの、ジオクチルセバケート(DO
S)などのセバシン酸エステル系のもの、トリメリット
酸オクチルエステルなどのトリメリット酸系エステル、
ピロメリット酸エステル、ポリエステル系、エポキシ化
大豆油などが挙げられる。可塑剤は、通常、塩素化ポリ
エチレン100重量部あたり5重量部以下添加すること
ができる。
【0029】電波吸収層2に添加してもよい充填剤とし
ては、従来公知の種々の有機系、無機系の充填剤を使用
することができるが、電波吸収特性を損なうことなく圧
延加工性を向上できることから、無機系の充填剤を配合
するのが好ましい。このような無機系の充填剤として
は、たとえば、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、タル
ク、カーボンからなる群から選ばれる少なくとも1種が
挙げられる。シリカとしては、具体的には、乾式法ホワ
イトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、合成ケイ酸塩
系ホワイトカーボン、コロイダル・シリカ、噴霧状シリ
カが例示される。炭酸カルシウムとしては、具体的に
は、沈降性炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質
炭酸カルシウム、胡粉が例示される。クレーとしては、
具体的には、含水ケイ酸アルミニウムを主成分とし、カ
オリン質クレー(カオリンナイト、ハロサイト)、パイ
ロフェライト質クレー、セリサイト質クレー、またはカ
オリナイトを600℃で焼成した焼成クレーなどが例示
される。タルクとしては、含水ケイ酸マグネシウムを主
成分としたものが例示される。カーボンとしては、チャ
ンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラッ
ク、アセチレンブラックなどが例示される。中でも、圧
延成形後の電波吸収層の表面形状が良好である点で、平
均粒径が5μm以下のカーボンを配合するのが、特に好
ましい。上記カーボンの平均粒径は、上述したカルボニ
ル還元鉄と同様にして測定できる。
【0030】電波吸収層2に添加してもよい酸化防止剤
としては、従来公知のフェノール系の酸化防止剤、チオ
エーテル系の酸化防止剤など、従来公知の種々のものが
挙げられる。酸化防止剤は、通常、塩素化ポリエチレン
100重量部あたり3重量部以下添加することができ
る。
【0031】また、不燃層3を上述したような少なくと
も両主面を塩化ビニル樹脂で被覆されたガラスクロスで
実現する場合、塩化ビニル樹脂には、従来公知の適宜の
難燃剤や難燃助剤、防火剤などが配合されていてもよ
い。当該難燃剤としては、たとえば、ブロム系難燃剤、
リン酸エステル系難燃剤、ハロゲン化リン酸エステル系
難燃剤、無機系難燃剤などが挙げられる。
【0032】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではな
い。実施例1 塩素化ポリエチレンに、ISP Japan社製カルボ
ニル還元鉄粉(S−1641、平均粒径3μm〜5μ
m)を38vol%配合し、混練した組成物を120℃
のロール温度で0.5MPaの圧力でロール圧延加工を
施し、厚み2mmのシート状の電波吸収層2を形成し
た。このような電波吸収層2を、不燃層3(化粧ガラス
クロス(コーテッドガラスK、ユニチカグラスファイバ
社製、不燃認定番号:不燃(個)第1445号)、塩化
ビニル樹脂層:50μm/ガラスクロス:250μm/
塩化ビニル樹脂層:50μm)上に載置し、さらに電波
反射層4としてアルミニウムラミネート箔(アルミニウ
ム箔:10μm/ポリエステル樹脂:25μm)をアル
ミニウム箔が電波吸収層2に隣接するように配置して載
置し、130℃、0.2MPaの条件でプレス熱圧着を
施して、図1に示したような電波吸収体1のサンプルを
作製した。
【0033】比較例1 不燃層3を設けなかった以外は実施例1と同様にして、
電波吸収体のサンプルを作製した。
【0034】〔評価試験〕 (1)防炎性能試験 各サンプルについて、防炎物品の防炎性能試験基準の
「合板」(消防法施行規則4条の3第2項〜7項参照)
を準用した防炎性能試験(45°メッケルバーナー法)
を行った。実施例1のサンプルでは、2分間の加熱時間
で残炎時間が7秒、残じん時間が20秒で、炭化面積が
35cm2であり、当該基準の延焼防止効果を果たすも
のであった。比較例1プルのサンプルでは、2分間の加
熱時間で残炎時間が12秒、残じん時間が40秒で、炭
化面積が55cm2であり、当該基準の延焼防止効果を
果たすものであった。 (2)電波吸収能試験 実施例1、比較例1の各サンプルを300mm×300
mmに切り出したものについて、アーチ法(入射各:1
0°、周波数:5.8GHz(測定周波数範囲:3GH
z〜8GHz)にて電波吸収能の評価試験を行った。実
施例1、比較例1のサンプルともに、25dBの電波吸
収特性を示した。
【0035】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、優れた難燃性と優れた電波吸収能を同時に兼ね
備える電波吸収体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい一例の電波吸収体1を簡略化
して示す図であり、図1(a)は断面図、図1(b)は
斜視図である。
【図2】本発明に使用するカルボニル還元鉄粉を製造す
る方法の一例を簡略化して示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 電波吸収体 2 電波吸収層 3 不燃層 4 電波反射層 5 被覆層 6 ガラスクロス 7 金属箔 8 防食層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柏原 一之 兵庫県尼崎市東向島西之町8番地 三菱電 線工業株式会社内 (72)発明者 三ツ井 孝禎 和歌山県有田市箕島663番地 三菱電線工 業株式会社箕島製作所内 (72)発明者 細谷 勝宣 和歌山県有田市箕島663番地 三菱電線工 業株式会社箕島製作所内 (72)発明者 佐藤 仁 埼玉県上尾市愛宕3丁目1番22号 シーア イ化成株式会社研究所内 Fターム(参考) 2E001 DE01 DH01 GA85 HA33 HD11 HD13 JB02 LA04 5E321 AA43 AA44 AA50 BB33 BB41 GG01 GG05 GH10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボニル鉄を還元させた鉄粉を塩素化
    ポリエチレン中に分散させてなる電波吸収層と、当該電
    波吸収層の電波の入射を意図する側に配置された不燃層
    と、当該電波吸収層の電波の入射を意図しない側に配置
    された電波反射層とを備える電波吸収体。
  2. 【請求項2】 不燃層の厚みが20μm〜500μmで
    ある請求項1に記載の電波吸収体。
  3. 【請求項3】 不燃層が、少なくとも両主面を塩化ビニ
    ル樹脂で被覆されたガラスクロスである請求項1または
    2に記載の電波吸収体。
  4. 【請求項4】 電波反射層がアルミニウムラミネート箔
    である請求項1〜3のいずれかに記載の電波吸収体。
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