JP2003174280A - 電磁波吸収体およびその製造方法ならびに電子機器 - Google Patents

電磁波吸収体およびその製造方法ならびに電子機器

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JP2003174280A
JP2003174280A JP2001373745A JP2001373745A JP2003174280A JP 2003174280 A JP2003174280 A JP 2003174280A JP 2001373745 A JP2001373745 A JP 2001373745A JP 2001373745 A JP2001373745 A JP 2001373745A JP 2003174280 A JP2003174280 A JP 2003174280A
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wave absorber
absorption
absorber
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Yoshiyuki Moriyama
義幸 森山
Naonobu Taniguchi
直延 谷口
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Proterial Ltd
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Hitachi Metals Ltd
Hitachi Metals Kiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁波吸収性能に方向性が無く、広範囲な用
途に使用可能な電磁波吸収体およびその製造方法ならび
に前記電磁波吸収体を具備する電子機器を提供する。 【解決手段】 面方向に電磁波吸収の方向性を有する第
1の電磁波吸収層1と第2の電磁波吸収層2が、前記電
磁波吸収の方向性が積層方向から見て90度交叉するよ
うに積層されて複層電磁波吸収層5を形成する。そして
複層電磁波吸収層5の一方の面に電磁波反射層3を積層
し、他方の面に表面層4を積層して、可撓性を有する電
磁波吸収体6を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電磁波を吸収する電
磁波吸収体およびその製造方法ならびに前記電磁波吸収
体を具備する電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のデジタル機器の高度化、携帯電話
の飛躍的な普及に見られる情報・通信技術の進歩や、コ
ンピュータのCPUの高周波化及び高速無線LANの普
及などにともない、これらの電子機器から発生する電磁
波によって、相互干渉や電子機器の誤作動などの電磁波
障害という問題が生じている。この対策として、前記電
子機器に取り付けてこれらの不要電磁波を吸収する電磁
波吸収体が求められ、準マイクロ波帯及び準ミリ波帯の
電磁波吸収体として、例えば電磁波吸収材であるフェラ
イト焼結体の粉砕粉のような酸化物磁性体粉をゴムやプ
ラスチックなどの樹脂と混合しシート化したものに、金
属メッシュ材や格子状金属部材等の金属製の電磁波反射
層を貼り合わせた電磁波吸収体が提案されている。しか
し従来の電磁波吸収体では、フェライト焼結体の粉砕粉
と樹脂の混合量を調節したり、電磁波吸収体の厚さを調
節し、空間インピーダンスと電磁波吸収体とのインピー
ダンスを整合させることで、目的とする特定の周波数帯
域で特定の入射方向の電磁波に対して大きな吸収が得ら
れるものの、種々の方向から入射する準マイクロ波帯か
ら準ミリ波帯域のように大きく離れた周波数帯域の何れ
をも一様に吸収することはできない。すなわち種々の方
向から入射する広帯域で高周波数の電磁波を吸収できる
電磁波吸収体ではなかった。また、フェライト焼結体の
粉砕粉を混合した樹脂で大きな吸収を得る為には、少な
くとも一層あたりの厚さを4mm以上とせざるを得ず、
小型かつ軽量化を要求される電子機器には取り付けるこ
とが難しい。さらにこの電磁波吸収体を取り付けようと
する電子機器の面は一般に凹凸が多いので、凹凸に沿っ
て変形可能とするために電磁波吸収体は薄くて可撓性が
有ることが必要であり、前述のように厚い電磁波吸収体
では不都合である。
【0003】薄くて可撓性が有る電磁波吸収体を得るた
め、金属磁性体粉あるいは酸化物磁性体粉等の電磁波吸
収材を樹脂と混合した原料を厚さを規制されながら、長
さ方向に連続して製作することによりシート化して電磁
波吸収体とする製法が用いられる。前記製法としては例
えばドクターブレード法、ロール圧延法、押出し法、射
出成形法等がある。前記製法によりシート化された電磁
波吸収体は、前記原料が圧延される方向、ドクターブレ
ードに抗して進行する方向、押出される方向あるいは射
出される方向に電磁波吸収材がそろいやすく、このた
め、電磁波吸収性能が方向によって異なる、すなわち電
磁波吸収性能に方向性が生じる。このような電磁波吸収
性能に方向性が生じるという現象は、例えば図9(a)
において良好な電磁波吸収性能を示す電磁波吸収体5
を、同じ入射方向の電磁波に対して、面方向に90度回
転した状態で設置した図9(b)の状態においては、電
磁波吸収性能が低下するという現象である。これは例え
ば水平偏波の電磁波に対しては良好な電磁波吸収性能を
示す電磁波吸収体が、垂直偏波の電磁波に対しては電磁
波吸収性能が低下するということである。
【0004】特開2001−185892号公報には前
記電磁波吸収性能に方向性が生じるという現象に対策を
施した複層電波吸収体が記載されているので図10を参
照しながらこの複層電波吸収体について説明する。複層
電波吸収体90は第1電波吸収層92と第2電波吸収層
94とで構成され、第1電波吸収層92を形成するフェ
ライトの配向方向(矢印A)と第2電波吸収層94を形成
するフェライトの配向方向(矢印B)とは直交している。
水平偏波と垂直偏波とを有する電磁波が複層電波吸収体
90に入射すると、第1電波吸収層92と第2電波吸収
層94の一方が水平偏波をきわめて良好に吸収し、垂直
偏波は他方がきわめて良好に吸収する。しかしこの複層
電波吸収体は主として放送波や通信波のように特定の周
波数帯域の電磁波を吸収するものであり、広帯域で高周
波数の電磁波を吸収できる電磁波吸収体としての提案が
無い。またこの複層電波吸収体は板状であり可撓性につ
いて提案が無いので、凹凸が多い電子機器の面に取り付
ける電磁波吸収体としては不満足なものである。またこ
の複層電波吸収体の製法は、燒結工程でフェライト結晶
を成長させる際に長軸と短軸を有する扁平形状とした
(配向性を与えた)フェライト粉末をバインダで結合す
る際にプレスや磁場にて一方向に配向させるものである
ため、プロセスが複雑で製作コストが増大する。さらに
この複層電波吸収体の第1電波吸収層92と第2電波吸
収層94は電磁波吸収の方向性を表す標示部を有しない
ので、電磁波吸収の方向性が識別しにくく、製作能率が
低下し製作コストが増大する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の問題点
を解決するためになされたもので、種々の方向から入射
する広帯域で高周波数の電磁波を吸収でき、薄くて可撓
性を有するとともに、製作コストを低減した電磁波吸収
体およびその製造方法ならびに前記電磁波吸収体を具備
することにより電磁波障害対策を施した電子機器を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは種々研究の
結果、下記のような電磁波吸収体およびその製造方法な
らびに電子機器とすることにより前記問題点を解決し、
本発明を完成するに至った。請求項1の発明は複数の電
磁波吸収層が積層された電磁波吸収体において、前記各
電磁波吸収層は電磁波吸収材が分散され且つ面方向に電
磁波吸収の方向性を有するとともに、電磁波吸収の方向
性の角度をずらして積層されていることを特徴とする電
磁波吸収体である。
【0007】請求項2の発明は前記電磁波吸収材が酸化
物磁性体粉及び/又は金属磁性体粉を含有するものであ
ることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収体電磁
波吸収体である。
【0008】請求項3の発明は前記電磁波吸収層が電磁
波吸収の方向性を表す標示部を有することを特徴とする
請求項1又は2に記載の電磁波吸収体である。
【0009】請求項4の発明は請求項1乃至3のいずれ
かに記載の電磁波吸収体の一方の面に導電性材料を分散
した層を積層したこと、及び/又は請求項1乃至3のい
ずれかに記載の電磁波吸収体の他の面に誘電率が10以
下の層を積層したことを特徴とする電磁波吸収体であ
る。
【0010】請求項5の発明は前記電磁波吸収体が可撓
性を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか
に記載の電磁波吸収体である。
【0011】請求項6の発明は複数の電磁波吸収層が積
層された電磁波吸収体であって、前記各電磁波吸収層は
電磁波吸収材が分散され且つ面方向に電磁波吸収の方向
性を有するとともに、電磁波吸収の方向性の角度をずら
して積層された電磁波吸収体の製造方法において、厚さ
を規制されながら長さ方向に連続して形成した電磁波吸
収層帯を、所定の長さ寸法および幅寸法に切断して前記
電磁波吸収層とすることを特徴とする電磁波吸収体の製
造方法である。
【0012】請求項7の発明は前記電磁波吸収層に電磁
波吸収の方向性を表す標示部を付加し、前記標示部によ
り電磁波吸収の方向性を識別して、前記電磁波吸収の方
向性の角度をずらして積層することを特徴とする請求項
6に記載の電磁波吸収体の製造方法である。
【0013】請求項8の発明は請求項1乃至5のいずれ
かに記載の前記電磁波吸収体を具備することを特徴とす
る電子機器である。
【0014】
【発明の実施の形態】(実施形態1)本発明に係る電磁
波吸収体の一実施形態の構造断面図を図1に、後述する
第1の電磁波吸収層1、第2の電磁波吸収層2の平面図
を図2、図3に示す。以下、この一実施形態について図
を参照しながら説明する。
【0015】本実施形態においては面方向に電磁波吸収
の方向性を有する第1の電磁波吸収層1と第2の電磁波
吸収層2が、前記電磁波吸収の方向性の角度を90度ず
らして積層されて複層電磁波吸収層5を形成する。そし
て前記複層電磁波吸収層5の一方の面に電磁波反射層3
を積層し、他の面に表面層4を積層して、可撓性を有す
る電磁波吸収体6を構成した。なお後述のように金属磁
性体粉が予め酸化防止剤で表面処理されていれば、表面
層4を積層しなくても良い。前記各層の層間は熱圧着に
より固着される。そして2層の電磁波吸収層を電磁波吸
収の方向性を90度ずらして積層されることに限定され
ず、3層の電磁波吸収層を電磁波吸収の方向性を60度
づつずらして積層しても良く、4層の電磁波吸収層を方
向性の角度を45度づつずらして積層する等、多層の電
磁波吸収層を方向性の角度をずらして積層しても良い。
また少なくとも一つの層間を接着剤により固着しても良
い。第1の電磁波吸収層1、第2の電磁波吸収層2およ
び電磁波反射層3の層厚さは、それぞれ0.2〜1.2
mmが好ましい。0.2mm未満であると、電磁波吸収
性能が低下し、1.2mmを超えると積層した場合の材
料代が高価になるばかりでなく、重量が重く、可撓性が
低下し実用上好ましくない。より好ましい厚さは0.3
〜1.0mmである。また電磁波反射層3と複層電磁波
吸収層5を積層した合計の厚さは0.6〜2.5mmと
することが好ましい。0.6mm未満であると、吸収性
能が低下し、2.5mmを超えると積層した場合の材料
代が高価になるばかりでなく、重量が重く、可撓性が低
下し実用上好ましくない。より好ましい積層した合計の
厚さは0.8〜2.2mmである。表面層4の厚さは、
0.1mm〜0.5mmが好ましい。0.1mm未満で
あると、後述する金属磁性体粉の酸化防止効果が低下
し、0.5mmを超えると電磁波の反射が大きくなり電
磁波吸収性能が低下する為実用上好ましくない。より好
ましい厚さは0.15mmから0.4mmである。
【0016】電磁波反射層3は母材である可撓性高分子
材料に、電磁波を反射するための導電性材料である粉状
あるいは繊維状の材料を分散したものである。第1の電
磁波吸収層1および第2の電磁波吸収層2は母材である
可撓性高分子材料に、電磁波の磁界成分あるいは電界成
分に作用してそのエネルギーを吸収するための電磁波吸
収材である酸化物磁性体粉、金属磁性体粉の内の少なく
とも一つを分散したものである。表面層4は誘電率が規
定されるとともに必要に応じフェライト粉砕粉を分散さ
せた可撓性高分子材料からなるものものである。上記各
層の詳細は次の通りである。
【0017】電磁波反射層3の母材として用いられる可
撓性高分子材料は、ゴムあるいはプラスチック等の有機
物高分子材料で可撓性があり比重が1.5以下で耐候性
を有するもので、例えばクロロプレンゴム、ブチルゴ
ム、ウレタンゴム、シリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂、
フェノール樹脂等である。前記可撓性高分子材料中に例
えばカーボン繊維や金属繊維等の導電性材料材料を分散
させてシート状の電磁波反射層3を成形する。電磁波反
射層3は面抵抗値を1kΩ□以下とするのが望ましい。
また電磁波反射層3の可撓性高分子材料は、後述する第
1の電磁波吸収層1の金属磁性体粉が酸化されるのを防
ぐ。
【0018】第1の電磁波吸収層1および第2の電磁波
吸収層2はμ’(複素透磁率の実数部)、μ”(複素透
磁率の虚数部)、ε’(複素誘電率の実数部)および
ε”(複素誘電率の虚数部)を高くするために、金属磁
性体粉の扁平形状粉あるいは金属磁性体粉の粒形状粉を
電磁波反射層3に用いられるものと同じ可撓性高分子材
料に分散させシート状に成形したものである。前記金属
磁性体粉の扁平形状粉として、例えば比重が6.0以上
の金属でFe−Cu−Nb−Si−B系ナノ結晶化合金
から水アトマイズ法により粒形状粉をアトライタにて摩
砕することにより製造した平均粒径が0.1〜50μm
で平均厚さが3μm以下の扁平形状粉やカルボニル鉄合
金、アモルファス合金、Fe−Si系合金、モリブデン
パーマロイ、スーパーマロイ等が用いられる。前記扁平
形状粉を分散させた第1の電磁波吸収層1および第2の
電磁波吸収層2は周波数1GHzにおいて、μ’(複素
透磁率の実数部)≧5かつμ”(複素透磁率の虚数部)
≧3かつε’(複素誘電率の実数部)≧20かつε”
(複素誘電率の虚数部)≧0.5とするのが望ましい。
前記扁平形状粉は磁気異方性が大きくなり易く、300
MHz以上であってもμ”(複素透磁率の虚数部)が前
記のように十分に大きくなるため、広い周波数で大きな
磁気損失を得ることが可能となる。前記金属磁性体粉の
粒形状粉として、例えば平均粒径が50μm以下のFe
−Cu−Nb−Si−B系ナノ結晶化合金、アモルファ
ス合金、Fe−Si系合金、モリブデンパーマロイ、ス
ーパーマロイ等の粒形状粉が用いられる。この粒形状粉
を分散させた第1の電磁波吸収層1および第2の電磁波
吸収層2は周波数5GHzにおいて、μ’(複素透磁率
の実数部)≧1.2かつμ”(複素透磁率の虚数部)≧
0.5かつε’(複素誘電率の実数部)≧5かつε”
(複素誘電率の虚数部)≧0.1とするが望ましい。ま
たこれらの金属磁性体粉の扁平形状粉および粒形状粉は
酸化され易いため、予め酸化防止剤で表面処理するのが
望ましい。第1の電磁波吸収層1および第2の電磁波吸
収層2の金属磁性体粉の分散量は65〜92重量%が好
ましい。65重量%未満であると吸収性能が低下し、9
2重量%を超えると材料代が高価になるばかりでなく、
重量が重く、可撓性、耐久性等が低下し実用上好ましく
ない。より好ましい分散量は70〜88重量%である。
【0019】表面層4に用いる可撓性高分子材料は、誘
電率が10を超えると電磁波吸収性能の広帯域性が失わ
れるため誘電率が10以下とするのが好ましく、より好
ましい誘電率は8以下である。また表面層4に用いる可
撓性高分子材料にFe−Ni−Zn−Cu系、Fe−M
g−Zn−Cu系及びFe−Mn−Zn系ソフトフェラ
イト粉砕粉を分散させると、電磁波の反射を低減でき好
ましい。また表面層4の可撓性高分子材料は、第2の電
磁波吸収層2の金属磁性体粉が酸化されるのを防ぐ。
【0020】なお近年、安全性の面から難燃性が要求さ
れ、且つ地球環境保護の観点からは、電磁波吸収体を焼
却処理する時に、塩素等を含む有害ガスが発生しないよ
うにするため塩素、臭素等のハロゲン化合物を含有しな
い、所謂ハロゲンフリーの電磁波吸収体が求められるの
で、前記難燃性でハロゲンフリーの電磁波吸収体とする
ためには、電磁波反射層3、第1の電磁波吸収層1、第
2の電磁波吸収層2および表面層4の内の少なくとも一
つに用いる可撓性高分子材料をEPDMあるいはアクリ
ル樹脂の母材に水酸化アルミニウムあるいは赤燐の難燃
化助剤を添加した樹脂とすることも望ましい。
【0021】第1の電磁波吸収層1および第2の電磁波
吸収層2は、厚さを規制されながら、長さ方向に連続し
て製作する製法によりシート化するとともに、前記長さ
方向に方向性を識別する標示である溝1a、1bを具備
したものである。前記製法としては例えばドクターブレ
ード法、ロール圧延法、押出し法、射出成形法等があ
り、その内の一つであるドクターブレード法について図
4を参照しながら説明する。電磁波吸収層原料18は前
述の金属磁性体粉の扁平形状粉あるいは金属磁性体粉の
粒形状粉を可撓性高分子材料に分散させたものである。
予め帯状のシートに形成され供給ロール11に巻き取ら
れたフィルム10は、供給ロール11から供給されなが
らフィルム巻き取りロール13に巻き取られることによ
り、タンク16と支持台15とにより上下から挟まれな
がら図の矢印方向に移動する。フィルム10が移動して
前記タンク16の底部の開口に位置すると、底部が開口
になっているタンク16に貯留された電磁波吸収層原料
18は重力によりフィルム10上に担持される。フィル
ム10に接近して設けられたドクターブレード17の先
端部(図の紙面下端部)の所謂擦り切り作用により、フ
ィルム10上に担持された電磁波吸収層原料18の上面
部が規制されて所定の厚さとなるとともに、ドクターブ
レード17の前記先端部に設けられた凸部(図示せず)に
より電磁波吸収の方向性を表す標示部である方向性識別
溝(図示せず)が形成された後、加熱炉20内を通過しな
がら電磁波吸収層原料18が加熱キュアされ、前記方向
性識別溝を具備した電磁波吸収層帯19が形成される。
フィルム10上に担持された電磁波吸収層帯19はガイ
ドロール12へ移動し、そこでフィルム10が剥がされ
てフィルム巻取りロール13に巻き取られ、電磁波吸収
層帯19は吸収層帯巻取りロール14に巻き取られる。
電磁波吸収層帯19を所定の長さ寸法および幅寸法に切
断して複数の数量とし、この一部を溝1aを具備した第
1の電磁波吸収層1とし、他の少なくとも一部を溝2a
を具備した第2の電磁波吸収層2とする。なお電磁波吸
収の方向性を表す標示部は前記方向性識別溝に限定され
るものではなく、方向性を識別できる任意のものを採用
できる。例えばロール圧延法で電磁波吸収層帯19を製
作する場合、圧延ロール表面に点状の突起を設けて電磁
波吸収層帯19に一定間隔の凹部あるいはピン穴を具備
しても良い。
【0022】前記製法によりシート化された第1の電磁
波吸収層1および第2の電磁波吸収層2は、前記原料が
圧延される方向、ドクターブレードに抗して進行する方
向、押出される方向あるいは射出される方向に電磁波吸
収材がそろいやすく、このため、電磁波吸収性能が方向
によって異なる、すなわち電磁波吸収性能に方向性が生
じる。この方向性を打消すため、第1の電磁波吸収層1
と第2の電磁波吸収層2は方向性の角度を90度ずらし
て積層され、熱圧着あるいは接着される。前記積層時、
第1の電磁波吸収層1と第2の電磁波吸収層2は外観上
は電磁波吸収の方向性が識別しにくいが、溝1a、1b
を標示とすることにより、方向性を容易に識別できるの
で製作効率が向上し製作コストを低減できる。
【0023】(実施形態2)本発明に係る電磁波吸収体
を具備する電子機器の一実施形態の部分断面図を図5に
示す。以下、この一実施形態について図を参照しながら
説明する。電磁波を発生する電子部品8と、前記電子部
品8を収納するケース9と前記ケース9の内面に設けら
れた電磁波吸収体6から電子機器7が構成される。前記
電磁波吸収体6は実施形態1の電磁波吸収体6と同じで
あり、図1に示す電磁波反射層3がケース9に接着され
る。なお、ケース9と電磁波吸収体6を固着する手段は
前記接着に限定されず、熱圧着等他の手段も採用でき
る。
【0024】
【実施例】(実施例1)繊維長約2mmのカーボン繊維
を可撓性高分子材料であるクロロプレンゴム中に30重
量%分散させ、0.3mmの厚さにシート化し長さ方向
寸法および幅方向寸法が各々150mmとなるように切
断し、電磁波反射層3を製作した。Fe−Cu−Nb−
Si−B系ナノ結晶化合金の扁平形状粉(平均粒径20
μm、平均厚さ1μm)を可撓性高分子材料であるクロ
ロプレンゴム中に78重量%分散させ、0.5mmの厚
さにドクターブレード法でシート化し且つ一方の面に、
前記ドクターブレード法のシート進行方向すなわち長さ
方向に方向性を識別する標示である方向性識別溝(図示
せず)を有した電磁波吸収層帯19を製作した。前記方
向性識別溝の幅は0.2mm、深さは0.07mm、幅
方向のピッチは50mmとした。前記方向性識別溝はド
クターブレード先端部に前記幅、深さ寸法に対応する凸
部を設けることにより容易に形成できた。電磁波吸収層
帯19を、長さ方向寸法および幅方向寸法が各々150
mmとなるように切断し、複数の数量とし、この内半数
を溝1aを有した第1の電磁波吸収層1とし、残り半数
を溝2aを有した第2の電磁波吸収層2とした。さら
に、可撓性高分子材料であるクロロプレンゴムを0.3
mmの厚さにシート化し長さ方向寸法および幅方向寸法
が各々150mmとなるように切断し、誘電率が10以
下の表面層4を製作した。この表面層帯の誘電率は3.
4であった。溝1aと溝2aにより電磁波吸収の方向性
を識別して第1の電磁波吸収層1と第2の電磁波吸収層
2の方向性の角度を90度ずらせて積層するとともに、電
磁波吸収層2と表面層4も図1のように積層し一体化す
ることにより、全体の厚さが1.6mmの薄くて可撓性
が有る電磁波吸収体6を製作した。
【0025】この電磁波吸収体6の電磁波吸収性能をタ
イムドメイン法を用いて評価した結果を図6に示す。図
において、データJA1は第1の電磁波吸収層1の前記
ドクターブレード法のシート進行方向が垂直方向の場
合、データJB1は第1の電磁波吸収層1の前記ドクタ
ーブレード法のシート進行方向が水平方向(すなわち、
同じ入射面方向の電磁波の電磁波に対し、電磁波吸収体
6を面方向に90度回転させた状態)の場合であり、図
よりデータJA1、データJB1ともに2〜15GHz
の広い周波数範囲で50%以上の高い吸収率を示した。
【0026】(比較例)第1の電磁波吸収層1と第2の
電磁波吸収層2の方向性の角度を一致させたこと以外は
実施例1と同じ電磁波吸収体の電磁波吸収性能を評価し
た結果を図7に示す。図において、データHBはデータ
HAに対し、同じ入射面方向の電磁波の電磁波に対し、
電磁波吸収体6を面方向に90度回転させた場合のデー
タであり、図よりデータHAは2〜15GHzの広い周
波数範囲で50%以上の高い吸収率を示したが、データ
HBはデータHAに比べて電磁波吸収性能が低下してい
る。
【0027】(実施例2)可撓性高分子材料を、アクリ
ル100重量部に水酸化アルミニウム15重量部および
赤燐1重量部添加した難燃化され且つハロゲンフリーの
樹脂としたこと以外は、実施例1と同様な電磁波吸収体
を製作した。この電磁波吸収体は難燃性であるととも
に、塩素、臭素等のハロゲン化合物を含有しない所謂ハ
ロゲンフリーの材質であるため、電磁波吸収体を焼却処
理する時に、塩素等を含む有害ガスが発生せず、地球環
境保護の観点から好ましい。そしてこの電磁波吸収体は
実施例1と同様薄くて可撓性が有る。また、この電磁波
吸収性能を評価した結果を図8に示す。図において、デ
ータJ2Aは第1の電磁波吸収層1の圧延方向が垂直方
向の場合、データJ2Bは第1の電磁波吸収層1の圧延
方向が水平方向(すなわち、同じ入射面方向の電磁波の
電磁波に対し、電磁波吸収体6を面方向に90度回転さ
せた状態)の場合である。図より、この電磁波吸収体は
実施例1の電磁波吸収体と略同様な電磁波吸収性能を示
すことがわかる。
【0028】以上、本発明の実施の形態あるいは実施例
について説明したが、本発明は上記実施の形態あるいは
実施例に限定されるものではない。実施の形態あるいは
実施例に記した寸法形状材質等はこれに限定されるもの
ではなく、機能、生産性等を勘案して最適のものとすれ
ば良い。また、実施の形態あるいは実施例では、電磁波
反射層を積層した所謂整合型の電磁波吸収体としたが、
電磁波反射層を積層しない所謂透過型の電磁波吸収体と
しても良い。さらに、実施の形態あるいは実施例では、
インピーダンスマッチングについて記載しなかったが、
表面層の表面抵抗を略377Ωとし、且つ電磁波吸収層
の厚さを波長の1/4としてインピーダンスマッチング
した所謂λ/4型の電磁波吸収体としても良い。
【0029】
【発明の効果】以上に記載したように本発明によれば、
種々の方向から入射する広帯域で高周波数の電磁波を吸
収できるとともに、薄くて可撓性を有する電磁波吸収体
を提供することができる。本発明によれば厚さを規制さ
れながら長さ方向に連続して形成する電磁波吸収層帯の
製法(ドクターブレード法等)とすることによりプロセ
スが簡単で製作コストを低減した電磁波吸収体の製造方
法を提供することができる。本発明によれば電磁波吸収
層に電磁波吸収の方向性を表す標示部を付加し、前記電
磁波吸収の方向性を表す標示部により電磁波吸収の方向
性の識別が容易となり、製作効率が向上し製作コストを
低減した電磁波吸収体の製造方法を提供することができ
る。本発明によれば前記電磁波吸収体を具備することに
より電磁波障害対策を施した電子機器を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1を示す断面図である。
【図2】第1の電磁波吸収層1の平面図である。
【図3】第2の電磁波吸収層2の平面図である。
【図4】ドクターブレード法の説明図である。
【図5】実施形態2の電子機器の部分断面図である。
【図6】実施例1の電磁波吸収体の電磁波吸収性能を評
価した結果を示す図である。
【図7】比較例の電磁波吸収体の電磁波吸収性能を評価
した結果を示す図である。
【図8】実施例2の電磁波吸収体の電磁波吸収性能を評
価した結果を示す図である。
【図9】従来の電磁波吸収性能に方向性が生じる電磁波
吸収体を示す斜視図である。
【図10】従来の電磁波吸収性能に方向性が生じるとい
う現象に対策を施した複層電波吸収体を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 第1の電磁波吸収層 2 第2の電磁波吸収層 1a、1b 溝 3 電磁波反射層 4 表面層 5 複層電磁波吸収層 6 電磁波吸収体 7 電子機器 8 電子部品 9 ケース 10 フィルム 11 供給ロール 12 ガイドロール 13 フィルム巻き取りロール 14 吸収層帯巻取りロール 15 支持台 16 タンク 17 ドクターブレード 18 電磁波吸収層原料 19 電磁波吸収層帯 20 加熱炉
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5E040 CA13 5E321 BB25 BB33 BB44 BB53 GG11

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の電磁波吸収層が積層された電磁波
    吸収体において、前記各電磁波吸収層は電磁波吸収材が
    分散され且つ面方向に電磁波吸収の方向性を有するとと
    もに、前記電磁波吸収の方向性の角度をずらして積層さ
    れていることを特徴とする電磁波吸収体。
  2. 【請求項2】 前記電磁波吸収材が酸化物磁性体粉及び
    /又は金属磁性体粉を含有するものであることを特徴と
    する請求項1に記載の電磁波吸収体。
  3. 【請求項3】 前記電磁波吸収層が電磁波吸収の方向性
    を表す標示部を有することを特徴とする請求項1又は2
    に記載の電磁波吸収体。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の電磁
    波吸収体の一方の面に導電性材料を分散した層を積層し
    たこと、及び/又は請求項1乃至3のいずれかに記載の
    電磁波吸収体の他の面に誘電率が10以下の層を積層し
    たことを特徴とする電磁波吸収体。
  5. 【請求項5】 前記電磁波吸収体が可撓性を有すること
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電磁波
    吸収体。
  6. 【請求項6】 複数の電磁波吸収層が積層された電磁波
    吸収体であって、前記各電磁波吸収層は電磁波吸収材が
    分散され且つ面方向に電磁波吸収の方向性を有するとと
    もに、電磁波吸収の方向性の角度をずらして積層された
    電磁波吸収体の製造方法において、厚さを規制されなが
    ら長さ方向に連続して形成した電磁波吸収層帯を、所定
    の長さ寸法および幅寸法に切断して前記電磁波吸収層と
    することを特徴とする電磁波吸収体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記電磁波吸収層に電磁波吸収の方向性
    を表す標示部を付加し、前記標示部により電磁波吸収の
    方向性を識別して、前記電磁波吸収の方向性の角度をず
    らして積層することを特徴とする請求項6に記載の電磁
    波吸収体の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至5のいずれかに記載の前記
    電磁波吸収体を具備することを特徴とする電子機器。
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