JP2005158960A - 電波吸収体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 10GHz〜110GHzの範囲の中で,特定の範囲の連続した周波数領域の電波を高い吸収性能で吸収する電波吸収体を提供する。
【解決手段】 本電波吸収体1は、反射板2と、この反射板2の上に積層され且つカーボンを11〜50質量%含有する第1電波吸収層3と、この第1電波吸収層3の上に積層され且つカーボンを0〜8質量%含有する第2電波吸収層4と、を備える。上記カーボンは、窒素吸着比表面積が30〜300m/gであるカーボンブラックが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電波吸収体に関し、更に詳しくは、10GHz〜110GHzの範囲の周波数を吸収帯とする電波吸収体に関する。
本発明の電波吸収体は、ITSレーダー、室内無線LAN等で利用される電波の虚像防止、パーソナルコンピュータ、携帯電話、バンパー等の筐体の内部に備わる電子機器等からの不要な電波の輻射低減等のため、各種機器等の受電波面(電子機器等の筐体の内外壁等)、トンネル、ガードレール等の構造物の外壁、室内の壁や天井、乗物の壁や天井、バンパー筐体内部等に用いることができる。
特にITSレーダー等の近接電波源で車等の電波の乱反射体の多い環境下での、様々な方向から入射する電波に対して高い電波吸収性能を要求される環境に用いることができる。
近年、電波の利用周波数が、FM、VHF、UHF等のMHz帯から、自動車のITSレーダー等のGHz帯へ広がりつつあり、ミリ波、即ち、30GHz〜300GHzの周波数を有する電波に好適な電波吸収体の開発が進められている。
MHz帯や数GHz程度までの周波数を有する電波に好適な電波吸収体としては、スピネル型フェライトの焼結体あるいはその粉体を樹脂等に分散させてなる複合磁性体が一般的に用いられている。一方、ミリ波帯に好適な電波吸収体としては、カーボン等の導電性材料を用いて誘電損失により電波吸収させる電波吸収体(特許文献1及び特許文献2参照)や、抵抗皮膜を備えるもの等が開示されている。更に、六方晶フェライトを改良してミリ波帯に適用した電波吸収体(特許文献3参照)が開示されている。
また、ミリ波帯用で且つ層構造を有する電波吸収体としては、導電性酸化チタンを含む組成物からなる電波吸収層を2層以上積層してなる電波吸収体(特許文献4参照)が開示されている。
特開2001−77583号公報 特開2001−77584号公報 特開平11−354972号公報 特開2002−223094号公報
電波吸収層が1層のみで構成される電波吸収体は、所定範囲の周波数を有する電波が垂直方向から入射すると、ある周波数における1本の鋭い電波吸収ピークを有する。従って、所定の周波数を有する電波に好適な電波吸収体とするためには、その周波数に好適な電波吸収層の複素比誘電率及びその厚さを一意に決めなければならない。しかし、そのような電波吸収体を用いると、斜め方向から入射する電波に対して低い電波吸収性能しか得られない。また、従来、斜め方向から入射する電波に対し高い電波吸収性能を有する電波吸収体を設計することは、かなり困難であり、極めて煩雑な試行錯誤を行う必要がある。
本発明は、10GHz〜110GHzの範囲の周波数を有する電波が、垂直方向から入射したときのみならず、斜め方向から入射した場合にも高い吸収性能を示す電波吸収体を提供することを目的とする。
本発明は以下に示される。
1.反射板と、この反射板の上に積層され且つカーボンを11〜50質量%含有する第1電波吸収層と、この第1電波吸収層の上に積層され且つカーボンを0〜8質量%含有する第2電波吸収層と、を備えることを特徴とする電波吸収体。
2.上記カーボンは、窒素吸着比表面積が30〜300m/gのカーボンブラックである上記1に記載の電波吸収体。
3.反射板と、この反射板の上に積層され且つカーボンを含有する第1電波吸収層と、この第1電波吸収層の上に積層され且つカーボンを含有する第2電波吸収層と、を備える電波吸収体であって、上記第1電波吸収層の厚さがdmm(ミリメートル)及びカーボンの含有量がC質量%、並びに、上記第2電波吸収層の厚さがdmm(ミリメートル)及びカーボンの含有量がC質量%とした場合、下記式(1)及び(2)を満足することを特徴とする電波吸収体。
27.8d/√(2.7exp(0.042C))+41.4>50 (1)
−21.4(C)/(C)+56.3>50 (2)
本発明の電波吸収体は、反射板と、この反射板の上に積層される第1電波吸収層と、更にこの第1電波吸収層の上に積層される第2電波吸収層と、を備えることにより、10GHz〜110GHzの範囲の周波数を有する電波が、本電波吸収体の表面、即ち、第2電波吸収層側の表面に、垂直方向からのみならず、斜め方向から入射した場合にも高い吸収性能を示す。
上記カーボンが、特定の範囲にある窒素吸着比表面積を有するカーボンブラックである場合には、特に優れた電波吸収性を示す。
また、上記第1電波吸収層及び上記第2電波吸収層を、所定の式を満足するように構成した場合には、10GHz〜110GHzの範囲の周波数領域の中で、垂直から特定の角度までの連続した範囲で入射する電波を高い吸収性能で吸収できる電波吸収体とすることができる。より具体的には、斜入射角度(電波吸収体表面に対して垂直方向を0度とした場合の角度)が垂直から50度(より好ましくは60度)までの電波に対して、電波吸収性能が20dBを超える電波吸収体を得ることができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の電波吸収体は、反射板と、この反射板の上に積層される第1電波吸収層と、更にこの第1電波吸収層の上に積層される第2電波吸収層と、を備えるものであり、例えば、図1に示す断面構造を有する。即ち、図1に示す電波吸収体1は、反射板2と、この反射板2の上に積層される第1電波吸収層3と、更にこの第1電波吸収層3の上に積層される第2電波吸収層4と、を備える。
1.電波吸収層
まず、本発明の電波吸収体を構成する電波吸収層(第1電波吸収層及び第2電波吸収層)について説明する。
上記第1電波吸収層及び上記第2電波吸収層は、いずれもカーボンを含有する。これらの層に用いるカーボンは、種類、性質等において同じであってもよいし、異なっていてもよい。尚、このカーボンは、電波吸収性物質として用いるものである。
上記カーボンとしては、カーボンブラック、黒鉛等を用いることができるが、カーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックとしては、チャネルブラック、サーマルブラック及びファーネスブラックを1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)が下記範囲にあるものを用いることが好ましく、これによって、より電波吸収性能に優れた電波吸収体とすることができる。即ち、上記窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは30〜300m/g、より好ましくは100〜300m/g、更に好ましくは250〜300m/gである。
カーボンブラック又は黒鉛の形状は特に限定されないが、例えば、粒子状、小片状、鱗片状、塊状、繊維状等とすることができる。尚、形状の違いによって、電波吸収特性が異なる場合がある。
また、カーボンブラック又は黒鉛の大きさも特に限定されず、好ましい最大長さは10〜1000nm、より好ましくは10〜100nm、更に好ましくは10〜20nmである。
上記第1電波吸収層に含有されるカーボンの量は、この第1電波吸収層全体に対して、11〜50質量%であり、好ましくは13〜40質量%、更に好ましくは16〜27質量%である。カーボン量が少なすぎると、斜め方向から入射する電波に対しては吸収性能が低下する傾向にあり、一方、多すぎると、斜め方向から入射する電波に対しては吸収性能が低下する傾向にある。また、上記第2電波吸収層に含有されるカーボンの量は、この第2電波吸収層全体に対して、0〜8質量%である。カーボン量が多すぎると、垂直方向から入射する電波に対しては吸収性能を示すが、斜め方向から入射する電波に対しては吸収性能が低下する傾向にある。
上記第1電波吸収層及び上記第2電波吸収層に含有されるカーボンの量の組み合わせは、以下の通りである。
上記第2電波吸収層に含有されるカーボンの量が0質量%、即ち、カーボンが全く含有されない場合、上記第1電波吸収層に含有されるカーボンの量は、この第1電波吸収層全体に対して、好ましくは11〜50質量%、より好ましくは13〜40質量%、更に好ましくは16〜27質量%である。
また、 上記第2電波吸収層に含有されるカーボンの量が0質量%を超えて8質量%以下である場合、上記第1電波吸収層及び上記第2電波吸収層に含有されるカーボンの量は、各層の全体に対して、好ましくはそれぞれ11〜50質量%及び8質量%以下、より好ましくはそれぞれ13〜40質量%及び6質量%以下、更に好ましくはそれぞれ16〜27質量%及び2質量%以下である。
上記カーボンは、通常、以下に例示する高分子材料を含む保持材等とともに、所定形状、例えば、板状、円盤状、楕円盤状、球状、曲面状(半球状等)、直方体状、円柱状、立方体状等の電波吸収層とされる。
上記保持材は、上記電波吸収性物質を保持あるいは結着する等の機能を有するものである。この保持材としては特に限定されず、ゴム、エストラマー、樹脂等を使用できる。
ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、シリコーンゴム、エピクロルヒドリンゴム等が挙げられる。
また、エラストマーとしては、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素系エラストマー、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体等の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
更に、樹脂としては、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
本発明における上記保持材としては、熱可塑性エラストマー及び熱可塑性樹脂が特に好ましい。これらを用いることによって、容易に目的、用途等に応じた形状とすることができ、各電波吸収層とした場合、各電波吸収物質を大気、水分等による酸化あるいは変質等から保護することもできる。尚、各素材は、それぞれ1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、アスファルト、セメント、粘土等の無機系バインダ等を保持材として用いることもできる。尚、上記第1電波吸収層及び上記第2電波吸収層に用いる保持材は、種類、性質等において同じであってもよいし、異なっていてもよい。
上記電波吸収層は、上記電波吸収性物質及び上記保持材以外に、難燃剤、充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、抗菌剤、着色剤等の添加剤が含有したものとすることもできる。
上記第1電波吸収層及び上記第2電波吸収層の厚さは、吸収すべき電波の周波数や各層の構成成分等により選択されるが、全面に渡って、一定の厚さであることが好ましい。上記第2電波吸収層にカーボンを含有する場合、それぞれ、好ましくは0.2〜1.9mm及び0.5〜1.3mm、より好ましくは0.6〜1.8mm及び0.6〜1.2mm、更に好ましくは1.1〜1.6mm及び0.8〜1.0mmである。上記第1電波吸収層及び上記第2電波吸収層の厚さを上記範囲とすることにより、電波吸収性能に優れた電波吸収体とすることができる。
また、上記第2電波吸収層にカーボンを含有しない場合、上記第1電波吸収層及び上記第2電波吸収層の厚さは、それぞれ、好ましくは0.2〜0.9mm及び0.5〜1.3mm、より好ましくは0.6〜1.8mm及び0.6〜1.2mm、更に好ましくは1.1〜1.6mm及び0.8〜1.0mmである。上記第1電波吸収層及び上記第2電波吸収層の厚さを上記範囲とすることにより、電波吸収性能に優れた電波吸収体とすることができる。
本発明者らは、様々な種類のカーボンを用い、各含有量を変化させ、更に厚さが異なるように、第1電波吸収層及び第2電波吸収層をそれぞれ作製し、それらを組み合わせ、斜め方向から入射する電波に対する電波吸収性能を測定した。また、第1電波吸収層及び第2電波吸収層の各複素比誘電率を測定した。その結果、各層に含まれるカーボンの含有量及び各層の厚さと、所定の周波数を有し且つ斜め方向から入射する電波に対する電波吸収特性との相関が下記一般式(1)及び(2)によって説明できることを見い出した。即ち、下記一般式(1)及び(2)を満足する構成を有する第1電波吸収層及び第2電波吸収層の組み合わせからなる電波吸収体が優れた性能を示すことを見い出した。
27.8d/√(2.7exp(0.042C))+41.4>50 (1)
−21.4(C)/(C)+56.3>50 (2)
但し、C及びdは、それぞれ、第1電波吸収層に含まれるカーボンの含有量(質量%)、第1電波吸収層の厚さ(mm)であり、C及びdは、それぞれ、第2電波吸収層に含まれるカーボンの含有量(質量%)、第2電波吸収層の厚さ(mm)である。
上記一般式(1)は、第2電波吸収層に電波が入射したとき、第2電波吸収層だけで反射減衰量が20dB以上の時の限界入射角度50dBより大きい範囲を示す式である。
上記一般式(2)は、第1電波吸収層と第2電波吸収層の2層で反射減衰量が20dB以上の時の限界入射角度50dBより大きい範囲を示す式である。
2.反射板
次に、本発明の電波吸収体を構成する反射板について説明する。
この反射板は、電波を反射することができるものであれば、その構成材料は特に限定されない。この構成材料としては、アルミニウム、銅、金等の金属、ステンレス等の合金、カーボン等が挙げられる。上記反射板は、金属又は合金を主として含むもの、あるいは、カーボンからなるものであれば、その形状、厚さ等は特に限定されない。形状は、平面状、曲面状、半球状等とすることができる。
上記反射板の例としては、金属、合金又はカーボンからなる板;高分子からなるフィルム、シート、板等の表面に金属又は合金からなる膜(金属膜又は合金膜の張り合わせあるいはメッキ膜、蒸着膜等によるもの)又はカーボンからなる膜が形成された積層型反射板;高分子からなるフィルム、シート、板等の内部に金属又は合金からなる粒子等が分散した複合型反射板;高分子からなるフィルム、シート、板等の内部に金属又は合金からなる網状体を含む複合型反射板等が挙げられる。尚、上記膜は、例えば、0.1μm等という厚さであっても、十分に電波を反射することができる。
尚、本発明においては、各用途における、例えば、支持板、筐体等をそのまま反射板として用いることができる。
3.電波吸収体
本発明の電波吸収体は、上記のように、反射板と、第1電波吸収層と、第2電波吸収層とを備えるものである。電波吸収体の構造は、図1に示す構造のほか、図2に示すように、反射板2及び第1電波吸収層3の間、並びに、第1電波吸収層3及び第2電波吸収層4の間に接合層5又は6を備えた構造とすることもできる。
図1に示す構造の電波吸収体は、第1電波吸収層及び第2電波吸収層を、公知の成形方法、例えば、射出成形、シート成形、ロール成形等の成形方法により別々に作製し、反射板に順次圧着する等によって得ることができる。また、所定の各厚さとなるように第1電波吸収層及び第2電波吸収層を同時にシート押出して一体物とし、反射板に圧着する等に
よって得ることができる。更に、反射板の上に、電波吸収材料を保持材に分散した液化したものを塗布し、硬化させて第1電波吸収層を形成し、更に、第1電波吸収層の上に、電波吸収材料を保持材に分散した液化したものを塗布し、硬化させて第2電波吸収層を形成して得ることもできる。電波吸収体の性能を良好なものとするためには、第1電波吸収層及び第2電波吸収層が全面渡って、更には上記第1電波吸収層及び反射板が密着していることが好ましい。
図2に示す構造の電波吸収体は、反射板2及び第1電波吸収層3の間、並びに、第1電波吸収層3及び第2電波吸収層4の間に接着層5及び6を備える。
上記接合層は、反射板2及び第1電波吸収層3、並びに、第1電波吸収層3及び第2電波吸収層4を永久的にあるいは一時的に接合(接着又は粘着)することができるものであれば、その構成材料、接合方法等特に限定されず、目的、用途に応じて接着剤又は粘着剤を用いて接合層を形成すればよい。
粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、含ケイ素系粘着剤等を用いることができる。
また、接着剤としては、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤、ゴム系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリエステル系接着剤、セルロース系接着剤、エテレン・酢酸ビニル系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、ウレタン系接着剤等を用いることができる。
これらの接着剤及び粘着剤は、液剤型、エマルジョン型、ホットメルト型、化学反応型、液状硬化型、紫外線硬化型等から選択すればよい。
上記接合層5及び6に用いる接着剤及び粘着剤は同じであってもよいし、異なっていてもよい。尚、電波吸収性能を低下させないために、上記接合層5及び6の厚さは薄いことが好ましい。従って、上記接合層5及び6の厚さは、好ましくは0.01〜100μm、より好ましくは0.1〜50μm、更に好ましくは1〜30μmである。
また、各接合層は、面接合により形成されていてもよいし、点接合、線接合等により形成されていてもよい。
尚、上記のように、第1電波吸収層及び第2電波吸収層を同時にシート押出して一体物とした場合には、図2における接合層6を設けることなく電波吸収体を製造することができる。
本発明の電波吸収体の作用は以下のとおりである。即ち、所定の周波数を有する電波が本電波吸収体に入射すると、電波が電波吸収層の表面、即ち、第2電波吸収層側の表面から吸収され、電波吸収層の内部において減衰する。反射板に達した電波は、反射板の表面において逆位相で反射され、入射波と逆位相の反射波とで相殺されて、電波吸収層の内部で消滅する。更に、第1電波吸収層と第2電波吸収層との界面もしくは第2電波吸収層と大気との界面とでも反射され、多重反射によってでも消滅される。
また、本発明の電波吸収体は、10GHz〜110GHz、好ましくは30GHz〜80GHzの範囲の周波数を有する電波に対して好適であり、垂直から特定の角度までの連続した範囲で入射する電波を高い吸収性能で吸収できる電波吸収体とすることができる。より具体的には、斜入射角度(電波吸収体表面に対して垂直方向を0度とした場合の角度)が垂直から50度(より好ましくは60度)までの電波に対して、電波吸収性能が20dB以上を超える電波吸収体を得ることができる。
以下、本発明について、試験例を挙げて具体的に説明する。尚、本発明は、これらの試験例に何ら制約されるものではない。また、実施例中の「%」及び「部」は、特に断らない限り質量基準である。
試験例1
厚さ0.1μmの金メッキを施した銅板(縦150mm、横150mm、厚さ0.645mm)の金メッキ層上に、下記構成の第1電波吸収層及び第2電波吸収層を順次、圧着により積層し、電波吸収体を得た(図1参照)。
第1電波吸収層として、窒素吸着比表面積が290m/g及び平均粒子径が14nmであるカーボン粉末(商品名「トーカブラック#8500/F」、東海カーボン社製)28%と、ポリエステル樹脂72%とを混合し、ロール成形により得た、縦150mm、横150mm、厚さ1.25mmのシートを用いた。
また、第2電波吸収層として、電波吸収材料(カーボンブラック)を用いずにポリエステル樹脂のみを用い、ロール成形により得た、縦150mm、横150mm、厚さ0.92mmのシートを用いた。
従って、試験例1の電波吸収体1は、図1に示すように、金メッキを施した銅板からなる反射板2と、この反射板2の上に積層され、且つ、カーボンブラックを28%含有する第1電波吸収層3と、更にこの第1電波吸収層3の上に積層され、且つ、カーボンブラックを含有しない第2電波吸収層4と、を備える。
次に、上記で得た電波吸収体の電波吸収性能を下記の要領で評価した。即ち、自由空間法により、周波数50GHz〜75GHzを有する電波を、電波吸収体に対する入射角を変えながら入射し、電波吸収性能を測定した。周波数60GHzにおける結果を表1と図3に示す。尚、図3において、本試験例1は「No.1」で示した。以下、他の試験例も同様である。
また、上記で作製した第1電波吸収層及び第2電波吸収層のそれぞれについて、厚さ及びカーボン含有量を用い、下記式に代入して各式が成立するかどうか確認した。その結果を表1に示した。表1において、「○」は、式が成立したことを示し、「×」は、式が成立しなかったことを示す。
27.8d/√(2.7exp(0.042C))+41.4>50 (1)
−21.4(C)/(C)+56.3>50 (2)
Figure 2005158960
図3より、20dB以上の電波吸収性能が得られる限界斜入射角が62度であり、電波が斜め方向から入射しても高い吸収性能を示すことが分かる。
試験例2〜5
試験例1で用いたカーボンブラック及びポリエステル樹脂を用い、表1に示すカーボン量及び厚さとなるように各電波吸収層を成形し、反射板の上に積層して各電波吸収体を得た。電波吸収体の評価は、試験例1と同様にして行った。その結果を表1と図3に示す。尚、試験例5は、比較例に相当する。
図3より、試験例2及び3では、20dB以上の電波吸収性能が得られる限界斜入射角がそれぞれ61度及び60度であることが分かる。また、試験例4では、57度であることが分かる。一方、試験例5では、限界斜入射角が27度であり、斜め方向からの電波に対しては、吸収性能が劣る。
試験例6〜7
試験例1で用いたカーボンブラック及びポリエステル樹脂を用い、表1に示すカーボン量及び厚さとなるように電波吸収層を成形し、この単一層のみで各電波吸収体とした。この電波吸収体の評価は、試験例1と同様にして行った。その結果を表1に示す。尚、これらの試験例6及び試験例7は、反射板の上に2層構造を有していないため、比較例に相当する。試験例6の電波吸収体のカーボン含有量及び厚さは、60GHzにおいて20dB以上を得られる限界斜入射角が最大となるように選定した。また、試験例7の電波吸収体は試験例7と同じカーボン含有量で、試験例1の第1電波吸収層の厚さと同じ厚さになるようにした。
試験例6の電波吸収体は、20dB以上の電波吸収性能が得られる限界斜入射角が46度であった。試験例1に比べると16度も小さい。試験例7の電波吸収体では、全入射角に対して、20dB以上の電波吸収性能を得ることができなかった。
試験例8
上記銅板の上に、下記構成の第1電波吸収層及び第2電波吸収層を順次積層し、電波吸収体を得た。
第1電波吸収層として、上記カーボンブラック23%と、上記ポリエステル樹脂77%とを混合し、プレス成形により得た、縦100mm、横100mm、厚さ1.31mmのシートを用いた。
また、第2電波吸収層として、電波吸収材料(カーボンブラック)を用いずにポリエステル樹脂のみを用い、プレス成形により得た、縦100mm、横100mm、厚さ0.93mmのシートを用いた。
電波吸収体の評価を、試験例1と同様にして行ったところ、20dB以上の電波吸収性能が得られる限界斜入射角は62度であった(表1参照)。
試験例9〜11
試験例1で用いたカーボンブラック及びポリエステル樹脂を用い、表1に示すカーボン量及び厚さとなるように各電波吸収層を成形し、反射板の上に積層して各電波吸収体を得た。電波吸収体の評価は、試験例1と同様にして行った。その結果を表1に示す。尚、試験例11は、比較例に相当する。
試験例9及び10の電波吸収体は、20dB以上の電波吸収性能が得られる限界斜入射角がいずれも60度であった。また、試験例11の電波吸収体は、29度であり、斜め方向からの電波に対しては、吸収性能が劣る。
試験例12〜13
試験例1で用いたカーボンブラック及びポリエステル樹脂を用い、表1に示すカーボン量及び厚さとなるように電波吸収層を成形し、この単一層のみで各電波吸収体とした。電波吸収体の評価は、試験例1と同様にして行った。その結果を表1に示す。尚、この試験例12及び試験例13は、反射板の上に2層構造を有していないため、比較例に相当する。試験例12の電波吸収体のカーボン含有量と厚さは、60GHzにおいて20dB以上を得られる限界斜入射角が最大となるように選定した。また、試験例13の電波吸収体は試験例12と同じカーボン含有量で、試験例1の第1電波吸収層の厚さと同じ厚さになるようにした。
試験例12の電波吸収体は、20dB以上の電波吸収性能が得られる限界斜入射角が46度であった。試験例1に比べると16度も小さい。試験例13では、全入射角に対して、20dB以上の電波吸収性能を得ることができなかった。
試験例14〜15
試験例1で用いたカーボンブラック及びポリエステル樹脂を用い、表1に示すカーボン量及び厚さとなるように各電波吸収層を成形し、反射板の上に積層して各電波吸収体を得た。試験例14の評価は、試験例1と同様の方法で周波数を75GHz〜110GHzにて行った。また、試験例15の評価は、試験例1と同様の方法で周波数を18GHz〜26.5GHzにて行った。その結果を表1に示す。
試験例14の電波吸収体は、100GHzにおいて20dB以上の電波吸収性能が得られる限界斜入射角が62度であった。また、試験例15の電波吸収体は、22GHzにおいて60度であった。
本発明の電波吸収体は、電波を完全に吸収する必要がある用途に対して好適であり、ITSレーダー、室内無線LAN等で利用される電波の虚像防止、パーソナルコンピュータ、携帯電話、バンパー等の筐体の内部に備わる電子機器等からの不要な電波の輻射低減等のため、各種機器等の受電波面(電子機器等の筐体の内外壁等)、トンネル、ガードレール等の構造物の外壁、室内の壁や天井、乗物の壁や天井、バンパー筐体内部等に好適である。特にITSレーダー等の近接電波源で車等の電波の乱反射体の多い環境下での、様様な方向から入射する電波に対して高い電波吸収性能を要求される環境に用いることができる。
試験例で作製した電波吸収体を示す概略断面図である。 本発明の電波吸収体の他の例を示す断面図である。 試験例1〜5の電波吸収性能を示す説明図である。
符号の説明
1;電波吸収体、2;反射板、3;第1電波吸収層、4;第2電波吸収層、5及び6;接着層。

Claims (3)

  1. 反射板と、該反射板の上に積層され且つカーボンを11〜50質量%含有する第1電波吸収層と、該第1電波吸収層の上に積層され且つカーボンを0〜8質量%含有する第2電波吸収層と、を備えることを特徴とする電波吸収体。
  2. 上記カーボンは、窒素吸着比表面積が30〜300m/gのカーボンブラックである請求項1に記載の電波吸収体。
  3. 反射板と、該反射板の上に積層され且つカーボンを含有する第1電波吸収層と、該第1電波吸収層の上に積層され且つカーボンを含有する第2電波吸収層と、を備える電波吸収体であって、
    上記第1電波吸収層の厚さがdmm(ミリメートル)及びカーボンの含有量がC質量%、並びに、上記第2電波吸収層の厚さがdmm(ミリメートル)及びカーボンの含有量がC質量%とした場合、下記式(1)及び(2)を満足することを特徴とする電波吸収体。
    27.8d/√(2.7exp(0.042C))+41.4>50 (1)
    −21.4(C)/(C)+56.3>50 (2)
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