JPWO2020066541A1 - 重合性液晶組成物及び位相差フィルム - Google Patents
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Abstract
重合性液晶組成物は、重合性液晶化合物、シクロアルカン構造を含む架橋剤、及び重合開始剤を含む。位相差フィルムは、前記重合性液晶組成物を重合してなる。
Description
本発明は、重合性液晶組成物及び位相差フィルムに関する。
重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物を、樹脂フィルムなどの適切な基材上に塗布して層を形成し、この重合性液晶組成物の層において重合性液晶化合物を配向させ、重合性液晶化合物の配向を維持した状態で前記の層を硬化させて液晶硬化層を形成して、位相差フィルムを製造する(特許文献1参照)。
液晶硬化層が位相差を良好に発現するためには、液晶硬化層において、分子の配向性が保たれていることが好ましい。
また、近年、位相差フィルムが適用される画像表示装置などの機器は薄型化が進み、それに伴って複屈折Δnが大きい位相差フィルムが求められている。
更に、位相差フィルムは、自動車室内などの、高温となる場所で使用されることがある。したがって、位相差フィルムは、高温下にさらされても、光学的性質が変化しにくい、熱耐久性を有するものであることが好ましく、特に面内レターデーションReの低下率が小さいものであることが好ましい。
また、近年、位相差フィルムが適用される画像表示装置などの機器は薄型化が進み、それに伴って複屈折Δnが大きい位相差フィルムが求められている。
更に、位相差フィルムは、自動車室内などの、高温となる場所で使用されることがある。したがって、位相差フィルムは、高温下にさらされても、光学的性質が変化しにくい、熱耐久性を有するものであることが好ましく、特に面内レターデーションReの低下率が小さいものであることが好ましい。
よって、(1)良好な分子の配向性、(2)大きい複屈折Δn、及び(3)熱耐久性を、バランスよく備えた位相差フィルム;及びかかる位相差フィルムを製造しうる重合性液晶組成物が求められている。
本発明者は、前記課題を解決するべく、鋭意検討した。その結果、重合性液晶化合物と、特定の架橋剤と、重合開始剤とを含む重合性液晶組成物により、前記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下を提供する。
すなわち、本発明は、以下を提供する。
[1] 重合性液晶化合物、シクロアルカン構造を含む架橋剤、及び重合開始剤を含む重合性液晶組成物。
[2] 前記重合性液晶化合物が、逆波長分散性重合性液晶化合物である、[1]に記載の重合性液晶組成物。
[3] 前記架橋剤が重合性基を含み、[架橋剤分子量]/[架橋剤1分子当たりの重合性基数]で計算される前記架橋剤の重合性基当量が、10以上1000以下である、[1]又は[2]に記載の重合性液晶組成物。
[4] 前記重合開始剤が、ラジカル重合開始剤である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
[5] 更に界面活性剤を含む、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
[6] [1]〜[5]のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物を重合してなる、位相差フィルム。
[2] 前記重合性液晶化合物が、逆波長分散性重合性液晶化合物である、[1]に記載の重合性液晶組成物。
[3] 前記架橋剤が重合性基を含み、[架橋剤分子量]/[架橋剤1分子当たりの重合性基数]で計算される前記架橋剤の重合性基当量が、10以上1000以下である、[1]又は[2]に記載の重合性液晶組成物。
[4] 前記重合開始剤が、ラジカル重合開始剤である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
[5] 更に界面活性剤を含む、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
[6] [1]〜[5]のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物を重合してなる、位相差フィルム。
本発明によれば、(1)良好な分子の配向性、(2)大きい複屈折Δn、及び(3)熱耐久性を、バランスよく備えた位相差フィルム;及びかかる位相差フィルムを製造しうる重合性液晶組成物を提供できる。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、幅に対して、5倍以上の長さを有するフィルムをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムをいう。フィルムの長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して10万倍以下としうる。
以下の説明において、フィルム又は層の遅相軸とは、別に断らない限り、当該フィルム又は層の面内における遅相軸を表す。
以下の説明において、長尺のフィルムの斜め方向とは、別に断らない限り、そのフィルムの面内方向であって、そのフィルムの長手方向に平行でもなく垂直でもない方向を示す。
以下の説明において、固有複屈折が正の材料とは、別に断らない限り、延伸方向の屈折率がそれに垂直な方向の屈折率よりも大きくなる材料を意味する。また、固有複屈折が負の材料とは、別に断らない限り、延伸方向の屈折率がそれに垂直な方向の屈折率よりも小さくなる材料を意味する。固有複屈折の値は誘電率分布から計算することができる。
以下の説明において、層の面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx−ny)×dで表される値である。ここで、nxは、層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、層の前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。nzは層の厚み方向の屈折率を表す。dは、層の厚みを表す。測定波長は、別に断らない限り、590nmである。
以下の説明において、ある層の複屈折Δnとは、別に断らない限り、Δn=nx−nyで表される値である。複屈折Δnは、通常、面内レターデーションReをdで除した値(Re/d)である。
以下の説明において、別に断らない限り、「逆波長分散特性」とは、波長450nmにおける面内レターデーションRe(450)、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)、及び、波長650nmにおける面内レターデーションRe(650)が、下記の式(1)及び式(2)を満たす特性をいう。
Re(450)/Re(550)<1.00 (1)
Re(650)/Re(550)>1.00 (2)
Re(450)/Re(550)<1.00 (1)
Re(650)/Re(550)>1.00 (2)
以下の説明において、要素の方向が「平行」、「垂直」及び「直交」とは、別に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±3°、±2°又は±1°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
以下の説明において、「(メタ)アクリロイル」の文言は、メタクリロイル、アクリロイル、及びこれらの組み合わせを包含し、「(メタ)アクリロイルオキシ」の文言は、メタクリロイルオキシ、アクリロイルオキシ、及びこれらの組み合わせを包含する。
[1.重合性液晶組成物]
本実施形態の重合性液晶組成物は、重合性液晶化合物、シクロアルカン構造を含む架橋剤、及び重合開始剤を含む。重合性液晶組成物は、それ自身が重合反応をしない化合物(例、界面活性剤)を含んでいてもよい。
本実施形態の重合性液晶組成物は、重合性液晶化合物、シクロアルカン構造を含む架橋剤、及び重合開始剤を含む。重合性液晶組成物は、それ自身が重合反応をしない化合物(例、界面活性剤)を含んでいてもよい。
[1.1.重合性液晶化合物]
液晶化合物は、組成物に配合し配向させた際に、液晶相を呈しうる化合物である。重合性液晶化合物とは、かかる液晶相を呈した状態で、組成物中で重合し、液晶相における分子の配向を維持したまま重合体となりうる液晶化合物である。
液晶化合物は、組成物に配合し配向させた際に、液晶相を呈しうる化合物である。重合性液晶化合物とは、かかる液晶相を呈した状態で、組成物中で重合し、液晶相における分子の配向を維持したまま重合体となりうる液晶化合物である。
重合性液晶化合物は、通常重合性基及びメソゲン構造を含む。
(重合性基)
重合性基(重合性官能基ともいう。)は、ラジカル重合、イオン重合(アニオン重合、カチオン重合)などの重合条件下で重合しうる基を意味する。重合性基は、好ましくは1価の基である。重合性液晶化合物が含みうる重合性基の例としては、ビニル基、イソシアネート基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基などの、ラジカル重合条件下で重合しうるラジカル重合性基、エポキシ基などの、イオン重合条件下で重合しうるイオン重合性基が挙げられ、好ましくはラジカル重合性基であり、より好ましくは(メタ)アクリロイルオキシ基である。
重合性基(重合性官能基ともいう。)は、ラジカル重合、イオン重合(アニオン重合、カチオン重合)などの重合条件下で重合しうる基を意味する。重合性基は、好ましくは1価の基である。重合性液晶化合物が含みうる重合性基の例としては、ビニル基、イソシアネート基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基などの、ラジカル重合条件下で重合しうるラジカル重合性基、エポキシ基などの、イオン重合条件下で重合しうるイオン重合性基が挙げられ、好ましくはラジカル重合性基であり、より好ましくは(メタ)アクリロイルオキシ基である。
かかる重合性基の重合性液晶化合物1分子中の数は、通常2個以上、好ましくは2個以上6個以下、より好ましくは2個以上4個以下、更に好ましくは2個である。
重合性基は、重合性液晶化合物が含みうる環構造に直接結合していてもよく、連結基を介して環構造に結合していてもよい。重合性液晶化合物が含みうる環構造については後述する。ここで、重合性基と環構造とを連結する連結基の例としては、炭素原子数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基;及び、炭素原子数3〜20の2価の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基(−CH2−)の1以上が−O−又は−C(=O)−に置換された基が挙げられる。ここで、重合性基と環構造とを連結する連結基に含まれる水素原子は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は、ハロゲン原子に置換されていてもよい。ただし、連結基の両末端のメチレン基(−CH2−)が−O−又は−C(=O)−に置換されることはない。
(メソゲン構造)
メソゲン構造とは、その構造を有する化合物に液晶性及び配向性を与える、剛直な構造で、通常独立した環構造を2つ以上含み、該環構造が単結合、あるいはsp1混成軌道又はsp2混成軌道を有する連結基により連結された構造である。sp1混成軌道を有する基及びsp2混成軌道を有する基は、好ましくは2価の基である。
メソゲン構造とは、その構造を有する化合物に液晶性及び配向性を与える、剛直な構造で、通常独立した環構造を2つ以上含み、該環構造が単結合、あるいはsp1混成軌道又はsp2混成軌道を有する連結基により連結された構造である。sp1混成軌道を有する基及びsp2混成軌道を有する基は、好ましくは2価の基である。
メソゲン構造の独立した環構造は、置換基を有していてもよい。環構造の例としては、置換基を有していてもよい脂環式(環状脂肪族ともいう。)構造、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素構造、置換基を有していてもよい非芳香族複素環構造、及び置換基を有していてもよい芳香族複素環構造が挙げられる。
脂環式構造の例としては、炭素原子数5〜20の、単環である脂環式構造(例、シクロペンタン環構造、シクロヘキサン環構造、シクロヘプタン環構造、シクロオクタン環構造);炭素原子数5〜20の、2環である脂環式構造(例、デカヒドロナフタレン、アダマンタン);及び3環以上の多環である脂環式構造;が挙げられる。脂環式構造は、飽和の脂環式構造であっても、不飽和結合を含む脂環式構造であってもよいが、飽和の脂環式構造が好ましい。脂環式構造としては、シクロヘキサン環構造がより好ましく、シクロヘキサン−1,4−ジイル基が更に好ましい。脂環式構造は、トランス体としてメソゲン構造に含まれていてもよく、シス体としてメソゲン構造に含まれていてもよく、シス体とトランス体との混合としてメソゲン構造に含まれていてもよい。中でも、トランス体としてメソゲン構造に含まれていることが好ましい。
芳香族炭化水素構造の例としては、ベンゼン環構造、ナフタレン環構造などの、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素構造が挙げられ、ベンゼン環構造が好ましく、1,4−フェニレン基がより好ましい。芳香族炭化水素構造とは、芳香族炭化水素構造を構成する少なくとも一つの環が、芳香族性を有している炭化水素構造を意味し、芳香族炭化水素構造を構成するすべての環が芳香族性を有していなくてもよい。
非芳香族複素環構造の例としては、ピペリジン環構造、ピペラジン環構造、モルホリン環構造、テトラヒドロフラン環構造、テトラヒドロピラン環構造、ジオキサン環構造、1,3−ジチオラン環構造、ピロリジン環構造などの、炭素原子数2〜20の、非芳香族複素環構造が挙げられる。
芳香族複素環構造の例としては、ピロール環構造、ジアゾール環構造、トリアゾール環構造、オキサゾール環構造、ピリジン環構造、ピラジン環構造、ピリミジン環構造、キノリン環構造、フラン環構造、チオフェン環構造、ベンゾチアゾール環構造、ベンゾイソオキサゾール環構造、ベンゾイソチアゾール環構造、ベンゾイミダゾール環構造、ベンゾオキサジアゾール環構造、ベンゾオキサゾール環構造、ベンゾチアジアゾール環構造、ベンゾチオフェン環構造、ベンゾトリアジン環構造、ベンゾトリアゾール環構造、ベンゾピラゾール環構造、ペンゾピラノン環構造などの、炭素原子数2〜20の芳香族複素環構造が挙げられ、フラン環構造、チオフェン環構造、ピリジン環構造、及びピラジン環構造が好ましく、フラン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、及びピラジン−2,5−ジイル基がより好ましい。
環構造が有しうる置換基の例としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、及びシアノ基が挙げられる。これらの置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
かかる独立した環構造のメソゲン構造中の数は、通常2〜20個、好ましくは3〜15個、より好ましくは5〜9個である。
本実施形態に使用される重合性液晶化合物では、かかる独立した2個以上の環構造が単結合、あるいはsp1混成軌道又はsp2混成軌道を有する連結基により連結されている。したがって、ビフェニル及びターフェニルのような複数のベンゼン環が単結合により連結された構造、ベンゼン環とシクロヘキサン環のような脂環式構造とが単結合により連結された構造は、メソゲン構造となりうる。
かかる独立した環構造が芳香環構造である場合、芳香環構造は、芳香族炭化水素構造であっても、芳香族複素環構造であってもよいが、好ましくは芳香族炭化水素構造である。
sp1混成軌道を有する基の例としては、−C≡C−で表される基が挙げられる。
sp2混成軌道を有する基の例としては、−(C=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−S−、−NR’−C(=O)−、−CH=CH−C(=O)−O−、−CH=CH−、−N=CH−、−N=C(CH3)−、−CH=N−NR’’−及び−N=N−が挙げられる。
ここで、R’は、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。R’’は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基を表す。
ここで、R’は、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。R’’は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基を表す。
R’’における置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基の例としては、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH2−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く)が挙げられる。以下、「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH2−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く)」を「アルキル基(he)」ともいう。
アルキル基(he)において、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−C(=O)−により置換されるメチレン基(−CH2−)は、メチル基が有する水素原子が、置換基に置換されることによって生じる−CH2−であってもよい。
アルキル基(he)において、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−C(=O)−により置換されるメチレン基(−CH2−)は、メチル基が有する水素原子が、置換基に置換されることによって生じる−CH2−であってもよい。
R’’における炭素原子数1〜20のアルキル基及びアルキル基(he)が有しうる置換基の例としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基などの、炭素原子数6〜20の1価の芳香族炭化水素基;キサンテニル基などの、炭素原子数2〜18の1価の複素環基;が挙げられ、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、及びキサンテニル基からなる群から選択される1種以上が好ましく、ナフチル基がより好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
(重合性液晶化合物)
本実施形態に使用される重合性液晶化合物は、前記重合性基及びメソゲン構造を有するものであれば格別な限定はないが、好ましくは複数の末端の重合性基と該複数の末端の重合性基に挟まれた領域(以下、「主鎖」と言う。)にメソゲン構造を有する。本実施形態の重合性液晶化合物は、主鎖に結合した、末端が重合性基ではない基(以下、「側鎖」と言う。)を有していてもよく、側鎖にメソゲン構造を含んでいてもよい。
本実施形態に使用される重合性液晶化合物は、前記重合性基及びメソゲン構造を有するものであれば格別な限定はないが、好ましくは複数の末端の重合性基と該複数の末端の重合性基に挟まれた領域(以下、「主鎖」と言う。)にメソゲン構造を有する。本実施形態の重合性液晶化合物は、主鎖に結合した、末端が重合性基ではない基(以下、「側鎖」と言う。)を有していてもよく、側鎖にメソゲン構造を含んでいてもよい。
重合性液晶化合物が主鎖及び主鎖の環構造に結合する側鎖を有している場合、好ましくは、側鎖が結合する環構造を中心として一方の主鎖に含まれる環構造と、他方の主鎖に含まれる環構造が同数である。すなわち、重合性液晶化合物は、主鎖が(2n+1)個の環構造を有し、主鎖の一方の端から数えて(n+1)番目にある環構造に側鎖が結合している構造であることが好ましい。ここで、nは1以上の整数である。nは、好ましくは1以上10以下の整数であり、より好ましくは2以上4以下の整数、特に好ましくは2である。主鎖の一方の端から数えて(n+1)番目にある環構造としては、脂環式構造、芳香族炭化水素構造、非芳香族複素環構造、及び芳香族複素環構造などが挙げられ、好ましくは、脂環式構造、芳香族炭化水素構造、又は芳香族複素環構造であり、より好ましくは、芳香族炭化水素構造や芳香族複素環構造のような芳香族環構造であり、特に好ましくは、ベンゼン環構造であり、最も好ましくは、1,4−フェニレン基である。主鎖の一方の端から数えてn番目にある環構造及び(n+2)番目にある環構造は、共に脂環式構造であることが好ましく、共にシクロヘキサン構造であることがより好ましく、共にシクロヘキサン−1,4−ジイル基であることが特に好ましい。
主鎖の複数の独立する環構造は、通常、単結合、sp1混成軌道を有する基、又はsp2混成軌道を有する基により連結される。連結基は、好ましくは2価の基である。一実施形態において、主鎖の複数の独立する環構造は、好ましくは、直接の単結合、sp1混成軌道を有する基、又はsp2混成軌道を有する基により連結され、より好ましくは−(C=O)−O−又は−CH=N−NR’’−により連結される。
主鎖に結合する側鎖は、独立した環構造を含んでも含まなくてもいずれでもよいが、好ましくは独立した環構造を含む。側鎖の環構造としては、特別な限定はないが、脂環式構造、芳香族炭化水素構造、非芳香族複素環構造、及び芳香族複素環構造が挙げられ、好ましくは芳香族炭化水素環構造や芳香族複素環構造のような芳香環構造である。芳香環構造の具体例としては、フルオレン環構造、ナフタレン環構造、ベンゾオキサゾール環構造、ベンゾチアゾール環構造、ナフト[1,2−d]チアゾール環構造、ナフト[2,1−d]チアゾール環構造が挙げられる。側鎖の環構造は、通常主鎖の環構造のうちの一つに単結合又は連結基により連結される。側鎖の環構造(好ましくは芳香環構造)を主鎖の環構造のうちの一つに結合させる連結基としては、sp1混成軌道、sp2混成軌道及びsp3混成軌道を有する連結基のいずれでもよい。側鎖の環構造は、主鎖の環構造のうちの一つに、好ましくは単結合、sp1混成軌道を有する基又はsp2混成軌道を有する基により連結され、より好ましくは−CH=N−NR’’−により連結される。
ここで、R’’は前記と同義である。
ここで、R’’は前記と同義である。
側鎖に含まれうるメソゲン構造は、−CH=N−NR’’−Rhcを含むことが好ましい。ここで、Rhcは、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表し、後述するRhで表される基であることが好ましく、置換基を有していても良いベンゾチアゾール−2−イル基がより好ましい。R’’は前記と同義である。R’’は、後述するRgで表される基であることが好ましく、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;又は、置換基を有するアルキル基(he)であることがより好ましく、置換基を有するアルキル基(he)であることが更に好ましい。アルキル基(he)が有する置換基としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、及びキサンテニル基からなる群から選択される1種以上が好ましく、ナフチル基がより好ましい。置換基は、炭素原子数1〜20のアルキル基の末端炭素原子;又は、アルキル基(he)の末端炭素原子若しくは末端酸素原子若しくは末端硫黄原子に結合していることが好ましい。
本実施形態に使用される重合性液晶化合物の液晶性及び配向性(すなわち重合性液晶化合物がメソゲン構造を有すること)は、例えば、配向規制力が表面に付与された塗工基材(例えば、表面がラビング処理された水平配向膜用ポリイミドフィルム)に、化合物を含む塗工液を塗工して塗膜を形成し、塗膜を加熱、次いで冷却する過程において、塗膜が(1)流動性及び(2)複屈折性を同時に発現する温度領域を有することによって確認できる。
具体的には、ラビング処理されたポリイミド水平配向膜付の2枚のガラス板の間に化合物を挟んで試料板を作製し、ホットステージを用いて、該試料板を室温から200℃まで加熱(10℃/min)し、次いで200℃から室温まで冷却(10℃/min)する過程において、化合物膜について、(1)流動性及び(2)複屈折性を同時に発現する温度領域が存在することを確認する。
(1)流動性を有することは、1Nのせん断応力を2枚のガラス板のうち一方のガラスに印加した際、一方のガラスがせん断応力を印加する前の位置から1mm以上ずれることにより確認しうる。
(2)複屈折性を有することは、Δn>0.001であることにより確認しうる。Δnについては、試料板について、温度を変化させながら面内方向における位相差及び膜厚を測定し、得られた位相差及び膜厚から、各温度における値を算出しうる。位相差は、位相差測定装置(例えば、AXOMETRICS社「Axo Scan」)により測定されうる。また、膜厚は、光干渉式膜厚計(例えば、フィルメトリクス社製)により測定されうる。
重合性液晶化合物の分子量は、好ましくは300以上、より好ましくは500以上、特に好ましくは800以上であり、好ましくは2000以下、より好ましくは1700以下、特に好ましくは1500以下である。このような範囲の分子量を有する重合性液晶化合物を用いることにより、重合性液晶組成物の塗工性を良好にできる。
重合性液晶組成物は、重合性液晶化合物を、1種単独で含んでいてもよく、2種以上の任意の比率の組み合わせとして含んでいてもよい。
本実施形態で使用される重合性液晶化合物は、逆波長分散性重合性液晶化合物であってもよく、逆波長分散性重合性液晶化合物であることが好ましい。ここで、逆波長分散性重合性液晶化合物とは、ホモジニアス配向させて重合体とした場合に、得られた重合体が逆波長分散特性を示す重合性液晶化合物を示す。重合性液晶組成物が含む重合性液晶化合物の一部又は全部として、逆波長分散性重合性液晶化合物を用いることにより、逆波長分散特性を有する位相差フィルムを容易に得ることができる。
重合性液晶化合物が、逆波長分散性であることは、下記の方法により確認しうる。
(1)重合性液晶化合物、界面活性剤、及び溶媒を含む液晶組成物を調製する。
(2)配向規制力が表面に付与された塗工基材に、液晶組成物を塗工して塗膜を形成し、塗膜を乾燥させて、重合性液晶化合物の層を形成する。
(3)必要に応じて重合性液晶化合物の層を加熱して、重合性液晶化合物の層において重合性液晶化合物を配向させて、重合性液晶化合物の層の、波長450nm、550nm、及び650nmにおける面内レターデーションRe(450)、Re(550)、及びRe(650)を測定し、Re(450)/Re(550)<1.00であり、Re(650)/Re(550)>1.00であることを確認する。
(1)重合性液晶化合物、界面活性剤、及び溶媒を含む液晶組成物を調製する。
(2)配向規制力が表面に付与された塗工基材に、液晶組成物を塗工して塗膜を形成し、塗膜を乾燥させて、重合性液晶化合物の層を形成する。
(3)必要に応じて重合性液晶化合物の層を加熱して、重合性液晶化合物の層において重合性液晶化合物を配向させて、重合性液晶化合物の層の、波長450nm、550nm、及び650nmにおける面内レターデーションRe(450)、Re(550)、及びRe(650)を測定し、Re(450)/Re(550)<1.00であり、Re(650)/Re(550)>1.00であることを確認する。
一実施形態において、重合性液晶化合物は、好ましくは下記式(I)で表される化合物である。式(I)で表される化合物は、逆波長分散特性を示しうる。
式(I)において、Arは、
1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン環、1−ベンゾフラン環、2−ベンゾフラン環、アクリジン環、イソキノリン環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チアゾール環、チアゾロピラジン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、チオフェン環、トリアジン環、トリアゾール環、ナフチリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環、フェナントリジン環、フタラジン環、フラン環、ベンゾ[c]チオフェン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾトリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾピラゾール環、ペンゾピラノン環等の芳香族複素環、1,3−ジチオラン環、ピロリジン、ピペラジン等の複素環、フェニル環、ナフタレン環等の芳香族炭化水素環の少なくとも1つを有し、置換されていてもよい炭素数6〜67の2価の有機基を表す。Arの好ましい例としては、下記式(II−1)〜式(II−7)のいずれかで表される基を示す。式(II−1)〜式(II−7)において、*は、Z1又はZ2との結合位置を表す。
1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン環、1−ベンゾフラン環、2−ベンゾフラン環、アクリジン環、イソキノリン環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チアゾール環、チアゾロピラジン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、チオフェン環、トリアジン環、トリアゾール環、ナフチリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環、フェナントリジン環、フタラジン環、フラン環、ベンゾ[c]チオフェン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾトリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾピラゾール環、ペンゾピラノン環等の芳香族複素環、1,3−ジチオラン環、ピロリジン、ピペラジン等の複素環、フェニル環、ナフタレン環等の芳香族炭化水素環の少なくとも1つを有し、置換されていてもよい炭素数6〜67の2価の有機基を表す。Arの好ましい例としては、下記式(II−1)〜式(II−7)のいずれかで表される基を示す。式(II−1)〜式(II−7)において、*は、Z1又はZ2との結合位置を表す。
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、E1及びE2は、それぞれ独立して、−CR11R12−、−S−、−NR11−、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる基を表す。また、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又は、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。中でも、E1及びE2は、それぞれ独立して、−S−であることが好ましい。
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、D1〜D3は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、または、置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。D1〜D3が表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、2〜100である。
D1〜D3における芳香族炭化水素環基の炭素原子数は、6〜30が好ましい。D1〜D3における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基がより好ましい。
D1〜D3における芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数1〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−OCF3;−C(=O)−Rb;−O−C(=O)−Rb;−C(=O)−O−Rb;−SO2Ra;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Raは、炭素原子数1〜6のアルキル基;並びに、炭素原子数1〜6のアルキル基若しくは炭素原子数1〜6のアルコキシ基を置換基として有していてもよい、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;からなる群より選ばれる基を表す。
Rbは、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;及び、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素環基;からなる群より選ばれる基を表す。
Rbにおける炭素原子数1〜20のアルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜12、より好ましくは4〜10である。Rbにおける炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、およびn−イコシル基等が挙げられる。
Rbにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾール−2−イルチオ基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CH2CF3等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;及び、ベンゾジオキサニル基;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Rbにおける炭素原子数2〜20のアルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2〜12である。Rbにおける炭素原子数2〜20のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、およびイコセニル基等が挙げられる。
Rbにおける炭素原子数2〜20のアルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rbにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Rbにおける炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。中でも、シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が好ましい。
Rbにおける炭素原子数3〜12のシクロアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;等が挙げられる。中でも、シクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Rbにおける炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素環基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基が好ましい。
Rbにおける炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CH2CF3等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;−OCF3;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;ニトロ基;フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CH2CF3等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;−OCF3;が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
D1〜D3における芳香族複素環基の炭素原子数は、2〜30が好ましい。D1〜D3における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基としては、例えば、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、キノリル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、およびベンゾピラゾリル基等が挙げられる。中でも、芳香族複素環基としては、フラニル基、ピラニル基、チエニル基、オキサゾリル基、フラザニル基、チアゾリル基、及びチアジアゾリル基等の、単環の芳香族複素環基;並びに、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キノリル基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、フタルイミド基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピラジニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、及びベンゾチアジアゾリル基等の、縮合環の芳香族複素環基;がより好ましい。
D1〜D3における芳香族複素環基が有しうる置換基としては、例えば、D1〜D3における芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、D4〜D5は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい非環状基を表す。D4及びD5は、それらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。D4〜D5が表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、1〜100である。
D4〜D5における非環状基の炭素原子数は、1〜13が好ましい。D4〜D5における非環状基としては、例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基;シアノ基;カルボキシル基;炭素原子数1〜6のフルオロアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;−C(=O)−CH3;−C(=O)NHPh;−C(=O)−ORx;が挙げられる。中でも、非環状基としては、シアノ基、カルボキシル基、−C(=O)−CH3、−C(=O)NHPh、−C(=O)−OC2H5、−C(=O)−OC4H9、−C(=O)−OCH(CH3)2、−C(=O)−OCH2CH2CH(CH3)−OCH3、−C(=O)−OCH2CH2C(CH3)2−OH、及び−C(=O)−OCH2CH(CH2CH3)−C4H9、が好ましい。前記のPhは、フェニル基を表す。また、前記のRxは、炭素原子数1〜12の有機基を表す。Rxの具体例としては、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、または、水酸基で置換されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基が挙げられる。
D4〜D5における非環状基が有しうる置換基としては、例えば、D1〜D3における芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
D4及びD5がそれらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成している場合、前記のD4及びD5によって環を含む有機基が形成される。この有機基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式において、*は、D4及びD5が結合する炭素の位置を表す。
R*は、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
R**は、炭素原子数1〜3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
R***は、炭素原子数1〜3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
R****は、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、水酸基、及び、−COOR13からなる群より選ばれる基を表す。R13は、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
フェニル基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基及びアミノ基が挙げられる。中でも、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基及びアルコキシ基が好ましい。フェニル基が有する置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
R**は、炭素原子数1〜3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
R***は、炭素原子数1〜3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
R****は、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、水酸基、及び、−COOR13からなる群より選ばれる基を表す。R13は、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
フェニル基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基及びアミノ基が挙げられる。中でも、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基及びアルコキシ基が好ましい。フェニル基が有する置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、D6は、−C(Rf)=N−N(Rg)Rh、−C(Rf)=N−N=C(Rg)Rh、及び、−C(Rf)=N−N=Riからなる群より選ばれる基を表す。D6が表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、通常、3〜100である。
Rfは、水素原子;並びに、メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソプロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;からなる群より選ばれる基を表す。
Rgは、水素原子;並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基;からなる群より選ばれる基を表す。
Rgにおける置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH2−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基;−Gx−Yx−Fx;−SO2Ra;−C(=O)−Rb;−CS−NH−Rb;が挙げられる。Ra及びRbの意味は、上述した通りである。
Rgにおける炭素原子数1〜20のアルキル基の好ましい炭素原子数の範囲及び例示物は、Rbにおける炭素原子数1〜20のアルキル基と同じである。
Rgにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;−SO2Ra;−SRb;−SRbで置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;水酸基;等が挙げられる。Ra及びRbの意味は、上述した通りである。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Rgにおける炭素原子数2〜20のアルケニル基の好ましい炭素原子数の範囲及び例示物は、Rbにおける炭素原子数2〜20のアルケニル基と同じである。
Rgにおける炭素原子数2〜20のアルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rgにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Rgにおける炭素原子数2〜20のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、2−プロピニル基(プロパルギル基)、ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、ペンチニル基、2−ペンチニル基、ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、2−オクチニル基、ノナニル基、デカニル基、7−デカニル基等が挙げられる。
Rgにおける炭素原子数2〜20のアルキニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rgにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Rgにおける炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、Rbにおける炭素原子数3〜12のシクロアルキル基と同じ例が挙げられる。
Rgにおける炭素原子数3〜12のシクロアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、Rgにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Rgにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基としては、例えば、D1〜D3における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
Rgにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、D1〜D3における芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Rgにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基としては、例えば、D1〜D3における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
Rgにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基が有しうる置換基としては、例えば、D1〜D3における芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Gxは、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の2価の脂肪族炭化水素基;並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH2−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR14−C(=O)−、−C(=O)−NR14−、−NR14−、または、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);からなる群より選ばれる有機基を表す。R14は、水素原子、又は、炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。前記「2価の脂肪族炭化水素基」は、2価の鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。
Yxは、−O−、−C(=O)−、−S−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR15−C(=O)−、−C(=O)−NR15−、−O−C(=O)−NR15−、−NR15−C(=O)−O−、−N=N−、及び、−C≡C−、からなる群より選ばれる基を表す。R15は、水素原子、又は、炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。中でも、Yxとしては、−O−、−O−C(=O)−O−及び−C(=O)−O−が好ましい。
Fxは、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する有機基を表す。この有機基の炭素原子数は、好ましくは2以上、より好ましくは7以上、更に好ましくは8以上、特に好ましくは10以上であり、好ましくは30以下である。前記の有機基の炭素原子数には、置換基の炭素原子を含まない。
Fxにおける芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、フルオレン環等の、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環が挙げられる。Fxが、複数の芳香族炭化水素環を有する場合、複数の芳香族炭化水素環は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
Fxにおける芳香族炭化水素環は、置換基を有していてもよい。Fxにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−OCF3;−C(=O)−Rb;−C(=O)−O−Rb;−O−C(=O)−Rb;等が挙げられる。Rbの意味は、上述した通りである。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Fxにおける芳香族複素環としては、例えば、1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン環、1−ベンゾフラン環、2−ベンゾフラン環、アクリジン環、イソキノリン環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チアゾール環、チアゾロピラジン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、チオフェン環、トリアジン環、トリアゾール環、ナフチリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環、フェナントリジン環、フタラジン環、フラン環、ベンゾ[c]チオフェン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾトリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾピラゾール環、ペンゾピラノン環等の、炭素原子数2〜30の芳香族複素環が挙げられる。Fxが、複数の芳香族複素環を有する場合、複数の芳香族複素環は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
Fxにおける芳香族複素環は、置換基を有していてもよい。Fxにおける芳香族複素環が有しうる置換基としては、例えば、Fxにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Fxの好ましい例としては、「芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい、炭素原子数2〜20の環状基」が挙げられる。以下、この環状基を、適宜「環状基(a)」ということがある。
環状基(a)が有しうる置換基としては、例えば、Fxにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
環状基(a)の好ましい例としては、少なくとも一つの炭素原子数6〜18の芳香族炭化水素環を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20の炭化水素環基が挙げられる。この炭化水素環基を、以下、適宜「炭化水素環基(a1)」ということがある。
炭化水素環基(a1)としては、例えば、フェニル基(炭素原子数6)、ナフチル基(炭素原子数10)、アントラセニル基(炭素原子数14)、フェナントレニル基(炭素原子数14)、ピレニル基(炭素原子数16)、フルオレニル基(炭素原子数13)、インダニル基(炭素原子数9)、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基(炭素原子数10)、1,4−ジヒドロナフチル基(炭素原子数10)等の、炭素原子数6〜18の芳香族炭化水素環基が挙げられる。
前記の炭化水素環基(a1)の具体例としては、下記式(1−1)〜(1−21)で表される基が挙げられる。また、これらの基は、置換基を有していてもよい。下記式中、「−」は、環の任意の位置からのびる、Yxとの結合手を表す。
環状基(a)の別の好ましい例としては、炭素原子数6〜18の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜18の芳香族複素環からなる群から選ばれる1以上の芳香環を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の複素環基が挙げられる。この複素環基を、以下、適宜「複素環基(a2)」ということがある。
複素環基(a2)としては、例えば、フタルイミド基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、アクリジニル基、イソキノリニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピラジニル基、オキサゾロピリジニル基、オキサゾロピリダジニル基、オキサゾロピリミジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、キノリル基、シンノリニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジニル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラノニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フェナントリジニル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ベンゾピラノニル基等の、炭素原子数2〜18の芳香族複素環基;キサンテニル基;2,3−ジヒドロインドリル基;9,10−ジヒドロアクリジニル基;1,2,3,4−テトラヒドロキノリル基;ジヒドロピラニル基;テトラヒドロピラニル基;ジヒドロフラニル基;およびテトラヒドロフラニル基;が挙げられる。
前記の複素環基(a2)の具体例としては、下記式(2−1)〜(2−51)で表される基が挙げられる。また、これらの基は、置換基を有していてもよい。下記式中、「−」は、環の任意の位置からのびる、Yxとの結合手を表す。下記式中、Xは、−CH2−、−NRc−、酸素原子、硫黄原子、−SO−または−SO2−を表す。YおよびZは、それぞれ独立して、−NRc−、酸素原子、硫黄原子、−SO−または−SO2−を表す。Eは、−NRc−、酸素原子または硫黄原子を表す。ここで、Rcは、水素原子;または、メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基を表す(但し、各式中において酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO2−は、それぞれ隣接しないものとする。)。
Fxの好ましい別の例としては、「芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の環状基で、少なくとも一つの水素原子が置換され、且つ、前記環状基以外の置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜18のアルキル基」が挙げられる。この置換されたアルキル基を、以下、適宜「置換アルキル基(b)」ということがある。
置換アルキル基(b)における炭素原子数1〜18のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
置換アルキル基(b)において、「芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の環状基」としては、例えば、環状基(a)として説明した範囲の基が挙げられる。
置換アルキル基(b)において、「芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方」は、炭素原子数1〜18のアルキル基の炭素原子に、直接に結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば、−S−、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR15−C(=O)−、−C(=O)−NR15などが挙げられる。R15の意味は、上述した通りである。よって、置換アルキル基(b)における「芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の環状基」には、フルオレニル基、ベンゾチアゾリル基等の、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する基;置換されていてもよい芳香族炭化水素環基;置換されていてもよい芳香族複素環基;連結基を有する置換されていてもよい芳香族炭化水素環よりなる基;連結基を有する置換されていてもよい芳香族複素環よりなる基;が含まれる。
置換アルキル基(b)における芳香族炭化水素環基の好ましい例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、およびフルオレニル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基が挙げられる。
置換アルキル基(b)における芳香族炭化水素環基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、Fxにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
置換アルキル基(b)における芳香族複素環基の好ましい例としては、フタルイミド基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、アクリジニル基、イソキノリニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピラジニル基、オキサゾロピリジニル基、オキサゾロピリダジニル基、オキサゾロピリミジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、キノリル基、シンノリニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラノニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フェナントリジニル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ベンゾピラノニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香複素環基が挙げられる。
置換アルキル基(b)における芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、Fxにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
置換アルキル基(b)における「連結基を有する芳香族炭化水素環よりなる基」及び「連結基を有する芳香族複素環よりなる基」としては、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、アントラセニルチオ基、フェナントレニルチオ基、ピレニルチオ基、フルオレニルチオ基、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、ピレニルオキシ基、フルオレニルオキシ基、ベンゾイソオキサゾリルチオ基、ベンゾイソチアゾリルチオ基、ベンゾオキサジアゾリルチオ基、ベンゾオキサゾリルチオ基、ベンゾチアジアゾリルチオ基、ベンゾチアゾリルチオ基、ベンゾチエニルチオ基、ベンゾイソオキサゾリルオキシ基、ベンゾイソチアゾリルオキシ基、ベンゾオキサジアゾリルオキシ基、ベンゾオキサゾリルオキシ基、ベンゾチアジアゾリルオキシ基、ベンゾチアゾリルオキシ基、ベンゾチエニルオキシ基、等が挙げられる。
置換アルキル基(b)における「連結基を有する芳香族炭化水素環よりなる基」及び「連結基を有する芳香族複素環よりなる基」は、それぞれ、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、Fxにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
置換アルキル基(b)が有しうる環状基以外の置換基としては、例えば、Fxにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
置換アルキル基(b)の具体例としては、下記式(3−1)〜(3−11)で表される基が挙げられる。また、これらの基は、置換基を有していてもよい。下記式中、「−」は、環の任意の位置からのびる、Yxとの結合手を表す。また、下記式中、*は、結合位置を表す。
特に、Arが式(II−5)で表される場合、Fxは、下記式(i−1)〜(i−9)のいずれかで表される基であることが好ましい。また、特に、Arが式(II−6)又は式(II−7)で表される場合、Fxは、下記式(i−1)〜(i−13)のいずれかで表される基であることが好ましい。下記式(i−1)〜(i−13)で表される基は、置換基を有していてもよい。また、下記式中、*は、結合位置を表す。
更には、Arが式(II−5)で表される場合、Fxは、下記式(ii−1)〜(ii−18)のいずれかで表される基であることが特に好ましい。また、Arが式(II−6)又は式(II−7)で表される場合、Fxは、下記式(ii−1)〜(ii−24)のいずれかで表される基であることが特に好ましい。下記式(ii−1)〜(ii−24)で表される基は、置換基を有していてもよい。下記の式において、Yの意味は、上述した通りである。また、下記式中、*は、結合位置を表す。
Arが式(II−5)で表される場合、Fx中の環構造に含まれるπ電子の総数は、8以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。また、Arが式(II−6)又は式(II−7)で表される場合、Fx中の環構造に含まれるπ電子の総数は、4以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。
上述したものの中でも、Rgとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH2−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、または、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基;並びに、−Gx−Yx−Fx;が好ましい。その中でも、Rgとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH2−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、または、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基;並びに、−Gx−Yx−Fx;が特に好ましい。
Rhは、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。
Rhの好ましい例としては、(1)一以上の炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環を有する、炭素原子数6〜40の炭化水素環基、が挙げられる。この芳香族炭化水素環を有する炭化水素環基を、以下、適宜「(1)炭化水素環基」ということがある。(1)炭化水素環基の具体例としては、下記の基が挙げられる。
(1)炭化水素環基は、置換基を有していてもよい。(1)炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;−OCF3;−C(=O)−Rb;−O−C(=O)−Rb;−C(=O)−O−Rb;−SO2Ra;等が挙げられる。Ra及びRbの意味は、上述した通りである。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、および、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Rhの別の好ましい例としては、(2)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2〜40の複素環基が挙げられる。この芳香環を有する複素環基を、以下、適宜「(2)複素環基」ということがある。(2)複素環基の具体例としては、下記の基が挙げられる。Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
(2)複素環基は、置換基を有していてもよい。(2)複素環基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Rhの更に別の好ましい例としては、(3)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数1〜12のアルキル基が挙げられる。この置換されたアルキル基を、以下、適宜「(3)置換アルキル基」ということがある。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数1〜12のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、D1〜D3における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、D1〜D3における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、D1〜D3における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、D1〜D3における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(3)置換アルキル基は、更に置換基を有していてもよい。(3)置換アルキル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Rhの更に別の好ましい例としては、(4)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数2〜12のアルケニル基が挙げられる。この置換されたアルケニル基を、以下、適宜「(4)置換アルケニル基」ということがある。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数2〜12のアルケニル基」としては、例えば、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、D1〜D3における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、D1〜D3における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、D1〜D3における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、D1〜D3における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(4)置換アルケニル基は、更に置換基を有していてもよい。(4)置換アルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Rhの更に別の好ましい例としては、(5)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数2〜12のアルキニル基が挙げられる。この置換されたアルキニル基を、以下、適宜「(5)置換アルキニル基」ということがある。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数2〜12のアルキニル基」としては、例えば、エチニル基、プロピニル基などが挙げられる。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、D1〜D3における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、D1〜D3における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、D1〜D3における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、D1〜D3における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(5)置換アルキニル基は、更に置換基を有していてもよい。(5)置換アルキニル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Rhの好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Rhの更に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Rhの特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
上述したRhの具体例は、更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−OCF3;−C(=O)−Rb;−O−C(=O)−Rb;−C(=O)−O−Rb;−SO2Ra;等が挙げられる。Ra及びRbの意味は、上述した通りである。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、および、炭素原子数1〜6のアルコキシ基が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
Riは、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。
Riの好ましい例としては、一以上の炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環を有する、炭素原子数6〜40の炭化水素環基が挙げられる。
また、Riの別の好ましい例としては、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2〜40の複素環基が挙げられる。
また、Riの別の好ましい例としては、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2〜40の複素環基が挙げられる。
Riの特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。Rの意味は、上述した通りである。
式(II−1)〜式(II−7)のいずれかで表される基は、D1〜D6以外に更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数1〜6のアルキルスルフィニル基、カルボキシル基、炭素原子数1〜6のチオアルキル基、炭素原子数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(I)におけるArの好ましい例としては、下記の式(III−1)〜式(III−10)で表される基が挙げられる。また、式(III−1)〜式(III−10)で表される基は、置換基として炭素原子数1〜6のアルキル基を有していてもよい。下記式中、*は、結合位置を表す。
式(III−1)および式(III−4)の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。下記式中、*は、結合位置を表す。
式(I)において、Z1及びZ2は、それぞれ独立して、単結合、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR21−C(=O)−、−C(=O)−NR21−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=C(CH3)−、−C(CH3)=N−、−N=N−、及び、−C≡C−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R21は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
Z1及びZ2は、好ましくは、それぞれ独立して、−C(=O)−O−、又は−O−C(=O)−である。
Z1及びZ2は、好ましくは、それぞれ独立して、−C(=O)−O−、又は−O−C(=O)−である。
式(I)において、A1、A2、B1及びB2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、及び、置換基を有していてもよい芳香族基、からなる群より選ばれる基を表す。A1、A2、B1及びB2が表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、3〜100である。中でも、A1、A2、B1及びB2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜20の環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の芳香族基が好ましい。
A1、A2、B1及びB2における環状脂肪族基としては、例えば、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、1,4−シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等の、炭素原子数5〜20のシクロアルカンジイル基;デカヒドロナフタレン−1,5−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基等の、炭素原子数5〜20のビシクロアルカンジイル基;等が挙げられる。中でも、置換されていてもよい炭素原子数5〜20のシクロアルカンジイル基が好ましく、シクロヘキサンジイル基がより好ましく、シクロヘキサン−1,4−ジイル基が特に好ましい。環状脂肪族基は、トランス体であってもよく、シス体であってもよく、シス体とトランス体との混合物であってもよい。中でも、トランス体がより好ましい。
A1、A2、B1及びB2における環状脂肪族基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
A1、A2、B1及びB2における芳香族基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、4,4’−ビフェニレン基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;フラン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;等が挙げられる。中でも、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基が好ましく、フェニレン基がさらに好ましく、1,4−フェニレン基が特に好ましい。
A1、A2、B1及びB2における芳香族基が有しうる置換基としては、例えば、A1、A2、B1及びB2における環状脂肪族基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(I)において、Y1及びY2は、それぞれ独立して、単結合、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−NR22−C(=O)−、−C(=O)−NR22−、−O−C(=O)−O−、−NR22−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR22−、及び、−NR22−C(=O)−NR23−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。Y3およびY4は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−NR22−C(=O)−、−C(=O)−NR22−、−O−C(=O)−O−、−NR22−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR22−、及び、−NR22−C(=O)−NR23−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R22及びR23は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
Y1及びY2は、好ましくは、それぞれ独立して、−C(=O)−O−、又は−O−C(=O)−である。
Y3及びY4は、好ましくは、それぞれ独立して、−O−である。
Y1及びY2は、好ましくは、それぞれ独立して、−C(=O)−O−、又は−O−C(=O)−である。
Y3及びY4は、好ましくは、それぞれ独立して、−O−である。
式(I)において、G1及びG2は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基;並びに、炭素原子数3〜20の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基(−CH2−)の1以上が−O−又は−C(=O)−に置換された基;からなる群より選ばれる有機基を表す。G1及びG2の前記有機基に含まれる水素原子は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、または、ハロゲン原子に置換されていてもよい。ただし、G1及びG2の両末端のメチレン基(−CH2−)が−O−又は−C(=O)−に置換されることはない。
G1及びG2における炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数1〜20のアルキレン基が挙げられる。
G1及びG2における炭素原子数3〜20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数3〜20のアルキレン基が挙げられる。
式(I)において、P1及びP2は、それぞれ独立して、重合性官能基を表す。P1及びP2における重合性官能基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の、CH2=CR31−C(=O)−O−で表される基;ビニル基;ビニルエーテル基;p−スチルベン基;アクリロイル基;メタクリロイル基;カルボキシル基;メチルカルボニル基;水酸基;アミド基;炭素原子数1〜4のアルキルアミノ基;アミノ基;エポキシ基;オキセタニル基;アルデヒド基;イソシアネート基;チオイソシアネート基;等が挙げられる。R31は、水素原子、メチル基、又は塩素原子を表す。中でも、CH2=CR31−C(=O)−O−で表される基が好ましく、CH2=CH−C(=O)−O−(アクリロイルオキシ基)、CH2=C(CH3)−C(=O)−O−(メタクリロイルオキシ基)がより好ましく、アクリロイルオキシ基が特に好ましい。
式(I)において、p及びqは、それぞれ独立して、0又は1を表す。
化合物(I)は、例えば、国際公開第2012/147904号に記載される、ヒドラジン化合物とカルボニル化合物との反応により製造しうる。
重合性液晶化合物としては、具体的には、例えば、下記の式で表される化合物が挙げられる。
重合性液晶化合物としては、前記式(A−1)で表される化合物及び式(A−2)で表される化合物が好ましく、前記式(A−2)で表される化合物がより好ましい。
重合性液晶組成物における重合性液晶化合物の量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上であり、また、好ましくは85重量%以下、より好ましくは80重量%以下、更に好ましくは60重量%以下である。
[1.2.架橋剤]
本実施形態に使用される架橋剤は、メソゲン構造を有さず、重合性液晶化合物に橋かけ結合を形成しうる化合物であって、シクロアルカン構造を有する化合物である。以下、シクロアルカン構造を含む架橋剤をシクロアルカン構造含有架橋剤ともいう。シクロアルカン構造含有架橋剤の好ましい例としては、重合性基と1つの独立したシクロアルカン構造とを有する化合物、あるいは重合性基と複数の独立したシクロアルカン構造がsp3混成軌道を有する連結基で連結した構造とを有する化合物が挙げられ、重合性基と1つの独立したシクロアルカン構造とを有する化合物が特に好ましい。
本実施形態に使用される架橋剤は、メソゲン構造を有さず、重合性液晶化合物に橋かけ結合を形成しうる化合物であって、シクロアルカン構造を有する化合物である。以下、シクロアルカン構造を含む架橋剤をシクロアルカン構造含有架橋剤ともいう。シクロアルカン構造含有架橋剤の好ましい例としては、重合性基と1つの独立したシクロアルカン構造とを有する化合物、あるいは重合性基と複数の独立したシクロアルカン構造がsp3混成軌道を有する連結基で連結した構造とを有する化合物が挙げられ、重合性基と1つの独立したシクロアルカン構造とを有する化合物が特に好ましい。
重合性基の例としては、重合性液晶化合物に含まれうる重合性基と同様の基が挙げられ、好ましくはラジカル重合性基又はイオン重合性基であり、より好ましくはラジカル重合性基であり、更に好ましくは(メタ)アクリロイルオキシ基である。架橋剤は、一分子当たり重合性基を通常2個以上含み、好ましくは2〜6個、より好ましくは2個のみ含む。
シクロアルカン構造は、単環構造であっても、2環以上の多環の構造であってもよい。シクロアルカン構造の炭素原子数は、通常5〜50、好ましくは5〜20、より好ましくは5〜15である。
単環構造のシクロアルカン構造の例としては、シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、及びシクロオクタン構造が挙げられる。
2環以上の多環のシクロアルカン構造の例としては、ビシクロヘプタン構造、トリシクロデカン構造(例、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン構造(アダマンタン構造)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン構造)、及びビシクロデカン構造が挙げられる。
単環構造のシクロアルカン構造の例としては、シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、及びシクロオクタン構造が挙げられる。
2環以上の多環のシクロアルカン構造の例としては、ビシクロヘプタン構造、トリシクロデカン構造(例、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン構造(アダマンタン構造)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン構造)、及びビシクロデカン構造が挙げられる。
複数のシクロアルカン構造を連結するsp3混成軌道を有する連結基の例としては、−O−、−O−CH2−、−O−CH2−CH2−、−CF2−O−、−CF2−CF2−、−O−CH2−CH2−O−、及びアルキレン基など挙げられ、好ましくはアルキレン基である。アルキレン基の具体例としては、−CH2−、−CH2−CH2−、−C(CH3)2−などが挙げられ、好ましくは−CH2−(メチレン基)である。
シクロアルカン構造含有架橋剤は、一分子当たりシクロアルカン構造を1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。
架橋剤に含まれる重合性基と、シクロアルカン構造とは、直接結合していてもよいし、連結基を介して結合していてもよい。重合性基とシクロアルカン構造とを結合させうる連結基の例としては、炭素原子数1〜5のアルキレン基が挙げられ、好ましくはメチレン基である。
本実施形態に使用されるシクロアルカン構造含有架橋剤の重合性基当量は、[架橋剤分子量]/[架橋剤1分子当たりの重合性基数]で計算される。本実施形態に使用されるシクロアルカン構造含有架橋剤の重合性基当量は、好ましくは10以上、より好ましくは50以上、更に好ましくは100以上、特に好ましくは120以上、最も好ましくは145以上であり、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、更に好ましくは400以下、特に好ましくは300以下、最も好ましくは250以下であり、好ましくは10〜1000であり、より好ましくは50〜500であり、更に好ましくは100〜400であり、特に好ましくは120〜300であり、最も好ましくは145〜250である。重合性基として含まれる基が(メタ)アクリロイルオキシ基である場合は重合性基当量を「アクリル当量」と言う。
ここで、本実施形態に使用されるシクロアルカン構造含有架橋剤に含まれるシクロアルカン構造の炭素原子数を炭素原子数Cとし、シクロアルカン構造以外の構造部分の炭素原子数を炭素原子数Sとする。炭素原子数Cの炭素原子数Sに対する比率(C/S)は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.5以上、特に好ましくは1以上、最も好ましくは1.2以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、特に好ましくは3以下、最も好ましくは2.5以下であり、好ましくは0.01〜20、より好ましくは0.1〜10、更に好ましくは0.5〜5、特に好ましくは1〜3、最も好ましくは1.2〜2.5である。
シクロアルカン構造含有架橋剤の溶解性パラメータ(SP値)は、好ましくは10以上、より好ましくは15以上であり、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、更に好ましくは20以下であり、好ましくは10〜30、より好ましくは15〜25、更に好ましくは15〜20である。ここで、SP値は、ヒルデブラントの溶解度パラメーター(Hildebrand solubility parameter)を意味する。このSP値は、SP値計算ソフトウェア「HSPiP ver.4.1.7」(http://www.hansen−solubility.com/index.phpより入手可能)により計算できる。
シクロアルカン構造含有架橋剤の具体例としては、下記式(C−1)で表される化合物及び下記式(C−2)で表される化合物が挙げられる。
前記式(C−1)で表される化合物は、例えば新中村化学工業社製「NKエステルA−DCP」として市販されている。
前記式(C−1)で表される化合物は、分子量304であり、アクリル当量が152であり、SP値が18.7であり、炭素原子数Cの、炭素原子数Sに対する比率(C/S)は、10/8=1.25であり、メソゲン構造を有さない。
前記式(C−1)で表される化合物は、分子量304であり、アクリル当量が152であり、SP値が18.7であり、炭素原子数Cの、炭素原子数Sに対する比率(C/S)は、10/8=1.25であり、メソゲン構造を有さない。
前記式(C−2)で表される化合物は、例えば三菱ガス化学社製「アダマンタン誘導体 ダイヤピュレスト」として市販されている。
前記式(C−2)で表される化合物は、分子量276であり、アクリル当量が138であり、炭素原子数Cの、炭素原子数Sに対する比率(C/S)は、10/6=1.67であり、メソゲン構造を有さない。
前記式(C−2)で表される化合物は、分子量276であり、アクリル当量が138であり、炭素原子数Cの、炭素原子数Sに対する比率(C/S)は、10/6=1.67であり、メソゲン構造を有さない。
かかるシクロアルカン構造含有架橋剤は、一種単独で用いてもよいし、2種以上の任意の比率の組み合わせとして用いてもよい。
シクロアルカン構造含有架橋剤の量は、重合性液晶化合物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、更に好ましくは5重量部以上、特に好ましくは8重量部以上であり、好ましくは100重量部以下、より好ましくは50重量部以下、更に好ましくは25重量部以下、特に好ましくは17重量部以下であり、好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは1〜50重量部、更に好ましくは5〜25重量部、特に好ましくは8〜17重量部である。
[1.3.重合開始剤]
重合開始剤とは、重合性化合物の重合を開始させる重合開始作用を発揮する剤をいう。
重合開始剤の例としては、ラジカル重合を開始させるラジカル重合開始剤、イオン重合を開始させるイオン重合開始剤が挙げられる。重合開始剤として、重合性液晶化合物及び架橋剤に含まれる重合性基が重合しうる重合開始剤を用いてよい。重合開始剤は、好ましくはラジカル重合開始剤である。
重合開始剤とは、重合性化合物の重合を開始させる重合開始作用を発揮する剤をいう。
重合開始剤の例としては、ラジカル重合を開始させるラジカル重合開始剤、イオン重合を開始させるイオン重合開始剤が挙げられる。重合開始剤として、重合性液晶化合物及び架橋剤に含まれる重合性基が重合しうる重合開始剤を用いてよい。重合開始剤は、好ましくはラジカル重合開始剤である。
ラジカル重合開始剤としては、加熱によって重合性液晶化合物の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である熱ラジカル発生剤;可視光線、紫外線(i線など)、遠紫外線、電子線、X線等の、活性エネルギー線の露光により、重合性液晶化合物の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である光ラジカル発生剤;のいずれも使用してよい。中でも、ラジカル重合開始剤としては、光ラジカル発生剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤の例としては、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物、及びイミドスルホナート系化合物が挙げられ、好ましくはアセトフェノン系化合物又はオキシム系化合物であり、より好ましくはオキシム系化合物である。オキシム系化合物の中でもO−アシルオキシム系化合物が好ましい。これらの化合物は、露光によって、活性ラジカル、活性酸、又は、活性ラジカル及び活性酸の両方を発生しうる。
アセトフェノン系化合物は、アセトフェノン構造を有する化合物である。アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル・フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4’−モルフォリノブチロフェノン、及び2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オンが挙げられる。
アセトフェノン系化合物として、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば「Irgacure379」(BASF社製)が挙げられる。
オキシム系化合物は、O−アシルオキシム構造を有する化合物が好ましく、例えば、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−1,2−オクタンジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン1−(O−アセチルオキシム)、1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−エタノン1−(O−アセチルオキシム)、1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−エタノン1−(O−アセチルオキシム)、1−[4−[3−[4−[[2−(アセチルオキシ)エチル]スルホニル]−2−メチルベンゾイル]−6−[1−[(アセチルオキシ)イミノ]エチル]−9H−カルバゾール]−9−イル]フェニル1−オクタノン1−(O−アセチルオキシム)が挙げられる。
オキシム系化合物として、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば:「NCI−700」、「NCI−730」、「NCI−831」、「NCI−930」(ADEKA社製);「DFI−020」、「DFI−091」(ダイトーケミックス社製);及び「IrgacureOXE03」、「IrgacureOXE04」(BASF社製);が挙げられる。
イオン重合開始剤の例としては、アニオン重合開始剤及びカチオン重合開始剤が挙げられる。
アニオン重合開始剤の具体例としては、アルキルリチウム化合物;ビフェニル、ナフタレン、ピレンなどの、モノリチウム塩又はモノナトリウム塩;ジリチウム塩、トリリチウム塩などの、多官能性重合開始剤;が挙げられる。
カチオン重合開始剤の具体例としては、硫酸、リン酸、過塩素酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのプロトン酸;三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズなどのルイス酸;芳香族オニウム塩;芳香族オニウム塩と還元剤との併用剤;が挙げられる。
アニオン重合開始剤の具体例としては、アルキルリチウム化合物;ビフェニル、ナフタレン、ピレンなどの、モノリチウム塩又はモノナトリウム塩;ジリチウム塩、トリリチウム塩などの、多官能性重合開始剤;が挙げられる。
カチオン重合開始剤の具体例としては、硫酸、リン酸、過塩素酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのプロトン酸;三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズなどのルイス酸;芳香族オニウム塩;芳香族オニウム塩と還元剤との併用剤;が挙げられる。
かかる重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上の任意の比率の組み合わせとして用いてもよい。
重合開始剤の量は、重合性液晶化合物と架橋剤との合計量に対して、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは、0.5重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、特に好ましくは3重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、更に好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下であり、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜15重量%、更に好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは3〜5重量%である。
[1.4.界面活性剤]
重合性液晶組成物は、任意の成分として、前記の重合性液晶化合物、シクロアルカン構造含有架橋剤、及び重合開始剤に加えて、界面活性剤を含んでいてもよい。
重合性液晶組成物は、任意の成分として、前記の重合性液晶化合物、シクロアルカン構造含有架橋剤、及び重合開始剤に加えて、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤は、イオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤のいずれであってもよい。
イオン性界面活性剤は、更に、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤に分類される。
イオン性界面活性剤は、更に、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤に分類される。
アニオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルが挙げられる。
カチオン性界面活性剤の例としては、アルキル四級アンモニウム塩、及びそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
両性界面活性剤の例としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン;及び、アルキルイミダゾリンが挙げられる。
カチオン性界面活性剤の例としては、アルキル四級アンモニウム塩、及びそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
両性界面活性剤の例としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン;及び、アルキルイミダゾリンが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート;ポリエチレングリコールモノラウレート;ジメチルシリコーン、ジフェニルシリコーン、変性ポリシロキサンなどの、シリコーン系界面活性剤;及び、フルオロアルキル基を含むフッ素系界面活性剤が挙げられる。
重合性液晶組成物に含まれうる界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤が好ましい。ノニオン性界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤が好ましく、フッ素系界面活性剤がより好ましい。
フッ素系界面活性剤の市販品の例としては、DIC社製「メガファック」シリーズ、AGCセイミケミカル社製「サーフロン」シリーズが挙げられる。
界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の量は、重合性液晶化合物と架橋剤との合計量に対して、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、更に好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下であり、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、更に好ましくは0.1〜1重量%、特に好ましくは0.1〜0.5重量%である。
[1.5.その他の任意成分]
重合性液晶組成物に含まれうる、その他の任意成分としては、例えば溶媒が挙げられる。溶媒としては、重合性液晶化合物を溶解できるものが好ましい。このような溶媒としては、通常、有機溶媒を用いる。有機溶媒の例としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル溶媒;及びトルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;が挙げられる。
重合性液晶組成物に含まれうる、その他の任意成分としては、例えば溶媒が挙げられる。溶媒としては、重合性液晶化合物を溶解できるものが好ましい。このような溶媒としては、通常、有機溶媒を用いる。有機溶媒の例としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル溶媒;及びトルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;が挙げられる。
溶媒の沸点は、取り扱い性に優れる観点から、好ましくは60℃〜250℃、より好ましくは60℃〜150℃である。
溶媒の量は、重合性液晶化合物及び架橋剤の合計100重量部に対して、好ましくは200重量部以上、より好ましくは250重量部以上、特に好ましくは300重量部以上であり、好ましくは650重量部以下、より好ましくは550重量部以下、特に好ましくは450重量部以下である。溶媒の量を、前記範囲の下限値以上にすることにより異物発生の抑制ができ、前記範囲の上限値以下にすることにより乾燥負荷の低減ができる。
重合性液晶組成物に含まれうる、任意成分の別の例としては、重合性液晶化合物及びシクロアルカン構造含有架橋剤以外の重合性化合物;金属;金属錯体;酸化チタン等の金属酸化物;染料、顔料等の着色剤;蛍光材料、燐光材料等の発光材料;レベリング剤;チキソ剤;ゲル化剤;多糖類;紫外線吸収剤;赤外線吸収剤;抗酸化剤;イオン交換樹脂;等が挙げられる。これらの成分の量は、分散性重合性液晶化合物及び架橋剤の合計100重量部に対して、各々0.1重量部〜20重量部としうる。
[2.位相差フィルム]
[2.1.位相差フィルムの特性]
本実施形態の位相差フィルムは、重合性液晶組成物を重合してなる。すなわち、本実施形態の位相差フィルムは、重合性液晶組成物に含まれる、重合の反応に関与し得る化合物(例、重合性液晶化合物、架橋剤)を重合させて得られる硬化層からなる。
[2.1.位相差フィルムの特性]
本実施形態の位相差フィルムは、重合性液晶組成物を重合してなる。すなわち、本実施形態の位相差フィルムは、重合性液晶組成物に含まれる、重合の反応に関与し得る化合物(例、重合性液晶化合物、架橋剤)を重合させて得られる硬化層からなる。
重合性液晶組成物の例及び好ましい例としては、前記[1.重合性液晶組成物]における重合性液晶組成物の例及び好ましい例と同様である。
前記重合性液晶組成物を用いて位相差フィルムを形成することにより、良好な分子の配向性、大きい複屈折Δn、及び熱耐久性を、バランスよく備えた位相差フィルムを得ることができる。
前記重合性液晶組成物を用いて位相差フィルムを形成することにより、良好な分子の配向性、大きい複屈折Δn、及び熱耐久性を、バランスよく備えた位相差フィルムを得ることができる。
位相差フィルムの配向性は、例えば、位相差フィルムの目視による観察及び偏光光学顕微鏡による観察により評価できる。熱耐久性は、位相差フィルムの熱耐久性試験後において、位相差フィルムの面内レターデーションReが熱耐久性試験前から低下した程度を測ることにより評価できる。熱耐久性試験の条件は、85℃で100時間としうる。
位相差フィルムにおいて、重合性液晶化合物の重合体は、重合性液晶化合物の配向状態を維持している。そのため、位相差フィルムは、重合性液晶化合物の配向状態に応じた光学特性を有しうる。例えば、位相差フィルムが、逆波長分散性重合性液晶組成物を重合してなる層である場合、位相差フィルムは、逆波長分散性の複屈折Δnを有しうる。したがって、位相差フィルムは、逆波長分散性の面内レターデーションReを有しうる。
位相差フィルムは、大きな複屈折Δnを有する。位相差フィルムの複屈折Δnは、好ましくは0.040以上であり、より好ましくは0.050以上であり、大きい程好ましいが、通常0.20以下である。
位相差フィルムの厚みは、レターデーション等の特性を所望の範囲にできるように、適切に設定しうる。具体的には、位相差フィルムの厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下である。
[2.2.位相差フィルムの製造方法]
位相差フィルムである硬化層は、例えば、下記(i)〜(iii)の工程を含む製造方法によって製造しうる。
(i)支持面に、重合性液晶組成物の層を形成する工程。
(ii)前記重合性液晶組成物の層に含まれる重合性液晶化合物を配向させる工程。
(iii)重合性液晶組成物の層を重合し硬化させる工程。
位相差フィルムである硬化層は、例えば、下記(i)〜(iii)の工程を含む製造方法によって製造しうる。
(i)支持面に、重合性液晶組成物の層を形成する工程。
(ii)前記重合性液晶組成物の層に含まれる重合性液晶化合物を配向させる工程。
(iii)重合性液晶組成物の層を重合し硬化させる工程。
支持面としては、重合性液晶組成物の層を支持できる任意の面を用いうる。この支持面としては、硬化層の面状態を良好にする観点から、通常、凹部及び凸部の無い平坦面を用いる。硬化層の生産性を高める観点から、前記の支持面としては、長尺の基材の表面を用いることが好ましい。
基材としては、通常、樹脂フィルムを用いる。樹脂としては、通常、熱可塑性樹脂を用いる。中でも、配向規制力の高さ、機械的強度の高さ及びコストの低さといった観点から、樹脂としては、正の固有複屈折値を有する樹脂が好ましい。更には、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性に優れることから、ノルボルネン系樹脂等の、脂環式構造含有重合体を含む樹脂を用いることが好ましい。基材に含まれる樹脂の好適な例を商品名で挙げると、ノルボルネン系樹脂として、日本ゼオン社製ゼオノアシリーズの商品を挙げうる。
支持面としての基材の表面には、重合性液晶組成物の層における重合性液晶化合物の配向を促進するため、配向規制力を付与するための処理が施されていることが好ましい。配向規制力とは、重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物を配向させうる、支持面の性質をいう。支持面に配向規制力を付与するため処理としては、例えば、光配向処理、ラビング処理、配向膜形成処理、イオンビーム配向処理、延伸処理などが挙げられる。中でも、延伸処理が好ましい。
必要に応じて基材を用意した後で、基材の表面等の支持面に、重合性液晶組成物の層を形成する工程を行う。通常は、支持面に重合性液晶組成物を塗布して、前記重合性液晶組成物の層を形成する。重合性液晶組成物を塗布する方法としては、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。
重合性液晶組成物の層を形成した後で、当該重合性液晶組成物の層に含まれる重合性液晶化合物を配向させる工程を行う。この工程では、通常は、重合性液晶組成物の層に配向処理を施すことにより、支持面の配向規制力に応じた方向に重合性液晶化合物を配向させる。
配向処理は、通常、重合性液晶組成物の層の温度を所定の配向温度に調整することによって行う。配向温度は、重合性液晶組成物の液晶化温度以上の温度としうる。この際、配向温度は、基材に含まれる樹脂のガラス転移温度未満の温度であることが好ましい。これにより、配向処理による基材の歪みの発生を抑制できる。配向処理の条件の具体例を挙げると、50℃〜160℃の温度条件において、30秒間〜5分間処理する条件としうる。
ただし、重合性液晶化合物の配向は、重合性液晶組成物の塗布により直ちに達成される場合がありえる。そのため、重合性液晶化合物を配向させるための配向処理を、必ずしも重合性液晶組成物の層に施さなくてもよい。
重合性液晶化合物を配向させた後で、前記重合性液晶組成物の層を硬化させて、硬化層を得る工程を行う。この工程では、通常、重合性液晶化合物を重合させて、重合性液晶組成物の層を硬化させる。また、このように重合性液晶組成物の層を硬化させる工程では、重合性液晶化合物の重合反応だけでなく、架橋剤の架橋反応も進行しうる。
重合性液晶化合物の重合方法としては、重合性液晶組成物に含まれる成分の性質に適合した方法を選択しうる。重合方法としては、例えば、活性エネルギー線を照射する方法、及び、熱重合法が挙げられる。中でも、加熱が不要であり、室温で重合反応を進行させられるので、活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。ここで、照射される活性エネルギー線には、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光、並びに電子線等の任意のエネルギー線が含まれうる。なかでも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。
硬化層の製造方法は、前記の工程に加えて、更に任意の工程を含みうる。
例えば、硬化層の製造方法は、重合性液晶化合物を重合させる工程の前に、重合性液晶組成物の層を乾燥させる工程を含んでいてもよい。かかる乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等の乾燥方法で達成しうる。かかる乾燥により、重合性液晶組成物の層から、溶媒を除去することができる。
また、例えば、硬化層の製造方法は、製造された硬化層を支持面から剥離する工程を含んでいてもよい。
例えば、硬化層の製造方法は、重合性液晶化合物を重合させる工程の前に、重合性液晶組成物の層を乾燥させる工程を含んでいてもよい。かかる乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等の乾燥方法で達成しうる。かかる乾燥により、重合性液晶組成物の層から、溶媒を除去することができる。
また、例えば、硬化層の製造方法は、製造された硬化層を支持面から剥離する工程を含んでいてもよい。
[2.3.位相差フィルムと他のフィルムとの組み合わせ]
本実施形態の位相差フィルムを、他のフィルムと組み合わせて、光学フィルムとして用いてもよい。例えば、位相差フィルムである硬化層の製造に用いた基材が十分に高い透明性を有する場合、基材及び硬化層を備えた複層フィルムを、位相差フィルムとして用いうる。また、本実施形態の位相差フィルムを、直線偏光子と組み合わせて、円偏光板として用いてもよい。
本実施形態の位相差フィルムを、他のフィルムと組み合わせて、光学フィルムとして用いてもよい。例えば、位相差フィルムである硬化層の製造に用いた基材が十分に高い透明性を有する場合、基材及び硬化層を備えた複層フィルムを、位相差フィルムとして用いうる。また、本実施形態の位相差フィルムを、直線偏光子と組み合わせて、円偏光板として用いてもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
[レターデーション及び複屈折]
位相差フィルムの590nmにおける面内レターデーションReを、Axometrics社製「AxoScan」により測定した。測定した面内レターデーションRe及び位相差フィルムの厚みd(nm)から、下式より複屈折Δnを算出した。
Δn=Re/d
算出したΔnを下記基準により評価した。
優:Δn≧0.050
良:0.050>Δn≧0.040
不良:0.040>Δn
位相差フィルムの590nmにおける面内レターデーションReを、Axometrics社製「AxoScan」により測定した。測定した面内レターデーションRe及び位相差フィルムの厚みd(nm)から、下式より複屈折Δnを算出した。
Δn=Re/d
算出したΔnを下記基準により評価した。
優:Δn≧0.050
良:0.050>Δn≧0.040
不良:0.040>Δn
[厚み]
フィルムの厚みを、膜厚測定装置(フィルメトリクス社製「フィルメトリクス」)により求めた。
フィルムの厚みを、膜厚測定装置(フィルメトリクス社製「フィルメトリクス」)により求めた。
[熱耐久性]
位相差フィルムの熱耐久性を、下記に従い評価した。
基材上に形成された位相差フィルムを、粘着剤付きスライドガラス(粘着剤:日東電工社製「CS9621T」)に貼り合せた。その後、基材を剥離して試験片を作成し、試験片の位相差フィルムにつき面内レターデーションRe(0hr)を測定した。
位相差フィルムの熱耐久性を、下記に従い評価した。
基材上に形成された位相差フィルムを、粘着剤付きスライドガラス(粘着剤:日東電工社製「CS9621T」)に貼り合せた。その後、基材を剥離して試験片を作成し、試験片の位相差フィルムにつき面内レターデーションRe(0hr)を測定した。
試験片を、85℃の恒温槽に投入し、投入してから100時間後に恒温槽から取り出して、試験片の位相差フィルムにつき面内レターデーションRe(100hr)を測定した。
Reの変化率ΔRe(%)を、下式に基づき算出した。
ΔRe(%)=(Re(100hr)−Re(0hr))/Re(0hr)×100
算出したΔRe(%)に基づいて、位相差フィルムの熱耐久性につき、下記基準により評価した。
優:1.7%≧|ΔRe|
良:3.0%≧|ΔRe|>1.7%
可:8.0%≧|ΔRe|>3.0%
不良:|ΔRe|>8.0%
ΔRe(%)=(Re(100hr)−Re(0hr))/Re(0hr)×100
算出したΔRe(%)に基づいて、位相差フィルムの熱耐久性につき、下記基準により評価した。
優:1.7%≧|ΔRe|
良:3.0%≧|ΔRe|>1.7%
可:8.0%≧|ΔRe|>3.0%
不良:|ΔRe|>8.0%
[配向性]
位相差フィルムの配向性を、以下の方法により評価した。
(目視評価)
位相差フィルムを目視により観察し、位相差フィルムが透明であるか、白濁しているかを判定した。
位相差フィルムの配向性を、以下の方法により評価した。
(目視評価)
位相差フィルムを目視により観察し、位相差フィルムが透明であるか、白濁しているかを判定した。
(偏光光学顕微鏡による評価)
位相差フィルムを、偏光光学顕微鏡(ニコン社製「ECLIPSE LV100POL」)に設置し、偏光光学顕微鏡の偏光子及び検光子をクロスニコルに設定して観察した。観察は、光学フィルムの位置を、消光位に合わせて行った。観察された配向欠陥の程度を評価した。
位相差フィルムを、偏光光学顕微鏡(ニコン社製「ECLIPSE LV100POL」)に設置し、偏光光学顕微鏡の偏光子及び検光子をクロスニコルに設定して観察した。観察は、光学フィルムの位置を、消光位に合わせて行った。観察された配向欠陥の程度を評価した。
(配向性の総合評価)
前記目視及び偏光光学顕微鏡による観察結果から、下記基準で位相差フィルムの配向性を総合評価した。
優:位相差フィルムが透明であり、配向欠陥が見られない。
可:位相差フィルムは透明であるが、配向欠陥がわずかに見られる。
不良:位相差フィルムが白濁しており、配向欠陥が明らかに見られる。
前記目視及び偏光光学顕微鏡による観察結果から、下記基準で位相差フィルムの配向性を総合評価した。
優:位相差フィルムが透明であり、配向欠陥が見られない。
可:位相差フィルムは透明であるが、配向欠陥がわずかに見られる。
不良:位相差フィルムが白濁しており、配向欠陥が明らかに見られる。
ところで、別途、前記の偏光光学顕微鏡に、位相差フィルムの基材フィルムのみを設置し、偏光光学顕微鏡の偏光子及び検光子をクロスニコルに設定して観察した。その結果、硬化層を備えない基材フィルムのみを位相差フィルムの代わりに用いて観察した場合には、配向欠陥が見られなかった。この結果から、前記の評価で観察される配向欠陥が、硬化層に起因して生じていることを確認した。
[参考例1:重合性液晶化合物(A−1)の波長分散性の評価]
下記式(A−1)で表される逆波長分散性重合性液晶化合物100.0部と、界面活性剤としてメガファックF562(DIC社製)0.3部と、溶媒として1,3−ジオキソラン(東邦化学製)400.0部とを混合して、液晶組成物を製造した。
下記式(A−1)で表される逆波長分散性重合性液晶化合物100.0部と、界面活性剤としてメガファックF562(DIC社製)0.3部と、溶媒として1,3−ジオキソラン(東邦化学製)400.0部とを混合して、液晶組成物を製造した。
2.5cm角に裁断されたラビング処理済みのポリイミド水平配向膜を備えた、ガラス基板(E.H.C社製)を用意した。このガラス基板の配向膜上に、スピンコーター(ミカサ社製「A−200」)を用いたスピンコートによって、前記の液晶組成物を塗布し、液晶組成物の層を形成した。この際の塗布条件は、回転速度1100rpm、塗布時間5secであった。その後、液晶組成物の層から、風乾により溶媒を除去して、ガラス基板及び液晶化合物の層を備えるサンプル板を得た。
ホットステージ(メトラー社製「FP−80」)を用いてサンプル板を昇温して、液晶組成物の層において重合性液晶化合物(A−1)を配向させた。そして、このように重合性液晶化合物(A−1)が配向した状態で、この液晶化合物の層の面内レターデーションReを測定した。面内レターデーションReの測定は、測定波長450nm、550nm、及び650nmにおいて行い、Re(450)/Re(550)及びRe(650)/Re(550)を求めた。測定の結果、Re(450)/Re(550)=0.82<1.00であり、Re(650)/Re(550)=1.04>1.00であり、重合性液晶化合物(A−1)が逆波長分散特性を発現しうることが確認された。
また、下記の方法により、重合性液晶化合物(A−1)がメソゲン構造を有するか否かを確認した。
重合性液晶化合物を、ラビング処理されたポリイミド水平配向膜付の2枚のガラス板に挟んで試料板を作製した。該試料板について、下記の試験を行った。
(1)流動性の有無
ホットステージを用いて、室温から200℃まで試料板を加熱(10℃/min)し、次いで200℃から室温まで冷却(10℃/min)する過程において、1Nのせん断応力を2枚のガラス板のうち一方のガラスに印加した。一方のガラスがせん断応力を印加する前の位置から1mm以上ずれた場合に、流動性があると判断した。
ホットステージを用いて、室温から200℃まで試料板を加熱(10℃/min)し、次いで200℃から室温まで冷却(10℃/min)する過程において、1Nのせん断応力を2枚のガラス板のうち一方のガラスに印加した。一方のガラスがせん断応力を印加する前の位置から1mm以上ずれた場合に、流動性があると判断した。
(2)複屈折性の有無
ホットステージを用いて、室温から200℃まで試料板を加熱(10℃/min)し、次いで200℃から室温まで冷却(10℃/min)した。その間、位相差測定装置(AXOMETRICS社「Axo Scan」)により、試料板について、波長590nmにおける面内方向の位相差を測定した。また、試料板について、位相差測定と同温度条件で、光干渉式膜厚計(フィルメトリクス社製)により、膜厚を測定した。得られた位相差及び膜厚より、各温度のΔnを算出した。Δn>0.001である場合に、化合物膜が複屈折性を有すると判断した。
ホットステージを用いて、室温から200℃まで試料板を加熱(10℃/min)し、次いで200℃から室温まで冷却(10℃/min)した。その間、位相差測定装置(AXOMETRICS社「Axo Scan」)により、試料板について、波長590nmにおける面内方向の位相差を測定した。また、試料板について、位相差測定と同温度条件で、光干渉式膜厚計(フィルメトリクス社製)により、膜厚を測定した。得られた位相差及び膜厚より、各温度のΔnを算出した。Δn>0.001である場合に、化合物膜が複屈折性を有すると判断した。
以上の試験の結果、重合性液晶化合物(A−1)の膜が、ある温度範囲において、Δn>0.001であり、かつ流動性を有することが確認された。すなわち、重合性液晶化合物(A−1)の膜について、(1)流動性及び(2)複屈折性を同時に発現する温度領域が存在することが確認され、重合性液晶化合物(A−1)がメソゲン構造を有することが確認された。
[参考例2:重合性液晶化合物(A−2)の波長分散性の評価]
重合性液晶化合物(A−1)の代わりに下記式(A−2)で表される重合性液晶化合物(A−2)を用いた以外は、参考例1と同様にして、Re(450)/Re(550)及びRe(650)/Re(550)を求めた。測定の結果、Re(450)/Re(550)=0.82<1.00であり、Re(650)/Re(550)=1.04>1.00であり、重合性液晶化合物(A−2)が逆波長分散特性を発現しうることが確認された。
重合性液晶化合物(A−1)の代わりに下記式(A−2)で表される重合性液晶化合物(A−2)を用いた以外は、参考例1と同様にして、Re(450)/Re(550)及びRe(650)/Re(550)を求めた。測定の結果、Re(450)/Re(550)=0.82<1.00であり、Re(650)/Re(550)=1.04>1.00であり、重合性液晶化合物(A−2)が逆波長分散特性を発現しうることが確認された。
また、重合性液晶化合物(A−1)の代わりに前記式(A−2)で表される重合性液晶化合物(A−2)を用いた以外は、参考例1と同様にして、重合性液晶化合物(A−2)がメソゲン構造を有するか否かを確認した。
その結果、重合性液晶化合物(A−2)の膜が、ある温度範囲において、Δn>0.001であり、かつ流動性を有することが確認された。すなわち、重合性液晶化合物(A−2)の膜について、(1)流動性及び(2)複屈折性を同時に発現する温度領域が存在することが確認され、重合性液晶化合物(A−2)がメソゲン構造を有することが確認された。
その結果、重合性液晶化合物(A−2)の膜が、ある温度範囲において、Δn>0.001であり、かつ流動性を有することが確認された。すなわち、重合性液晶化合物(A−2)の膜について、(1)流動性及び(2)複屈折性を同時に発現する温度領域が存在することが確認され、重合性液晶化合物(A−2)がメソゲン構造を有することが確認された。
[実施例1]
(1−1.組成物の調製)
重合性液晶化合物として、前記式(A−2)で表される化合物を19.18部、架橋剤(商品名「NKエステルA−DCP」、新中村化学工業社製、SP値18.7)1.92部(重合性液晶化合物100部に対して10部)、界面活性剤(商品名「メガファックF−562」、DIC社製、フッ素系界面活性剤)0.06部(重合性液晶化合物100部に対して0.31部、重合性液晶化合物及び架橋剤の合計に対して0.28重量%)、光重合開始剤(商品名「アデカアークルズNCI−730」、ADEKA社製)0.84部(重合性液晶化合物100部に対して4部、重合性液晶化合物及び架橋剤の合計に対して3.9重量%)、及びシクロペンタノンおよび1,3−ジオキソランの混合溶媒78部を混合し、組成物(X1)を調製した。
(1−1.組成物の調製)
重合性液晶化合物として、前記式(A−2)で表される化合物を19.18部、架橋剤(商品名「NKエステルA−DCP」、新中村化学工業社製、SP値18.7)1.92部(重合性液晶化合物100部に対して10部)、界面活性剤(商品名「メガファックF−562」、DIC社製、フッ素系界面活性剤)0.06部(重合性液晶化合物100部に対して0.31部、重合性液晶化合物及び架橋剤の合計に対して0.28重量%)、光重合開始剤(商品名「アデカアークルズNCI−730」、ADEKA社製)0.84部(重合性液晶化合物100部に対して4部、重合性液晶化合物及び架橋剤の合計に対して3.9重量%)、及びシクロペンタノンおよび1,3−ジオキソランの混合溶媒78部を混合し、組成物(X1)を調製した。
(1−2.延伸前基材の製造)
脂環式構造を有する重合体を含む樹脂である、熱可塑性ノルボルネン樹脂(日本ゼオン株式会社製、Tg 126℃)のペレットを、90℃で5時間乾燥させた。乾燥させたペレットを押し出し機に供給し、押し出し機内で溶融させ、ポリマーパイプおよびポリマーフィルターを通し、Tダイからキャスティングドラム上にシート状に押し出し、冷却し、マスキングフィルム(トレテガー社製「FF1025」)で保護しながら巻取り、厚み80μm、幅1490mmの延伸前基材のロールを得た。
脂環式構造を有する重合体を含む樹脂である、熱可塑性ノルボルネン樹脂(日本ゼオン株式会社製、Tg 126℃)のペレットを、90℃で5時間乾燥させた。乾燥させたペレットを押し出し機に供給し、押し出し機内で溶融させ、ポリマーパイプおよびポリマーフィルターを通し、Tダイからキャスティングドラム上にシート状に押し出し、冷却し、マスキングフィルム(トレテガー社製「FF1025」)で保護しながら巻取り、厚み80μm、幅1490mmの延伸前基材のロールを得た。
(1−3.基材の製造)
(1−2)で得られた延伸前基材のロールから、延伸前基材を引き出し、連続的にマスキングフィルムを剥離してテンター延伸機に供給し、基材フィルムの遅相軸が幅手方向に対して45°(長手方向に対して45°)となるように斜め延伸を行い、さらに基材フィルム幅手方向の両端をトリミングし、幅1350mmで長尺状の、基材を得た。得られた基材のReは143nm、膜厚は77μmであった。得られた基材は、新たなマスキングフィルム(トレテガー社製「FF1025」)で保護しながら巻取り、基材のロールを得た。
(1−2)で得られた延伸前基材のロールから、延伸前基材を引き出し、連続的にマスキングフィルムを剥離してテンター延伸機に供給し、基材フィルムの遅相軸が幅手方向に対して45°(長手方向に対して45°)となるように斜め延伸を行い、さらに基材フィルム幅手方向の両端をトリミングし、幅1350mmで長尺状の、基材を得た。得られた基材のReは143nm、膜厚は77μmであった。得られた基材は、新たなマスキングフィルム(トレテガー社製「FF1025」)で保護しながら巻取り、基材のロールを得た。
(1−4.組成物層の形成)
(1−3)で得られた基材のロールから、基材を繰り出し、マスキングフィルムを剥離して搬送した。室温25℃において、搬送される基材の一方の面(マスキングフィルムが貼合されていた側の面)に、(1−1)で得られた組成物(X1)を、ダイコーターを用いて直接塗布し、組成物(X1)の層を形成した。
(1−3)で得られた基材のロールから、基材を繰り出し、マスキングフィルムを剥離して搬送した。室温25℃において、搬送される基材の一方の面(マスキングフィルムが貼合されていた側の面)に、(1−1)で得られた組成物(X1)を、ダイコーターを用いて直接塗布し、組成物(X1)の層を形成した。
(1−5.乾燥工程(配向処理))
(1−4)で形成した、基材上の組成物の層を、110℃で4分間乾燥させた。これにより、基材上の組成物の層が配向処理された。
(1−4)で形成した、基材上の組成物の層を、110℃で4分間乾燥させた。これにより、基材上の組成物の層が配向処理された。
(1−6.硬化層の形成(重合))
その後、窒素雰囲気下、25℃で、(1−5)で乾燥させた組成物の層に、積算照度700mJ/cm2(照射強度350mW/cm2、照射時間2秒)以上の紫外線をアイグラフィックス社製「水銀ランプ」より照射して、組成物中の重合性液晶化合物を重合させて、硬化液晶分子を形成した。これにより、乾燥膜厚2.4μmの、ホモジニアス配向した組成物の硬化物で形成された硬化層を得て、(基材)/(硬化層)の層構成を有する複層フィルムを得た。
得られた位相差フィルムとしての硬化層について、前記の評価を行った。結果を下表に示す。
その後、窒素雰囲気下、25℃で、(1−5)で乾燥させた組成物の層に、積算照度700mJ/cm2(照射強度350mW/cm2、照射時間2秒)以上の紫外線をアイグラフィックス社製「水銀ランプ」より照射して、組成物中の重合性液晶化合物を重合させて、硬化液晶分子を形成した。これにより、乾燥膜厚2.4μmの、ホモジニアス配向した組成物の硬化物で形成された硬化層を得て、(基材)/(硬化層)の層構成を有する複層フィルムを得た。
得られた位相差フィルムとしての硬化層について、前記の評価を行った。結果を下表に示す。
[実施例2]
下記事項を変更した以外は実施例1と同様にして、硬化層(位相差フィルム)を得て、評価を行った。結果を下表に示す。
・(1−1.組成物の調製)において、架橋剤を0.96部(重合性液晶化合物100部に対して5部)とした。
下記事項を変更した以外は実施例1と同様にして、硬化層(位相差フィルム)を得て、評価を行った。結果を下表に示す。
・(1−1.組成物の調製)において、架橋剤を0.96部(重合性液晶化合物100部に対して5部)とした。
[実施例3]
下記事項を変更した以外は実施例1と同様にして、硬化層(位相差フィルム)を得て、評価を行った。結果を下表に示す。
・(1−1.組成物の調製)において、架橋剤を2.88部(重合性液晶化合物100部に対して15部)とした。
下記事項を変更した以外は実施例1と同様にして、硬化層(位相差フィルム)を得て、評価を行った。結果を下表に示す。
・(1−1.組成物の調製)において、架橋剤を2.88部(重合性液晶化合物100部に対して15部)とした。
[実施例4]
下記事項を変更した以外は実施例1と同様にして、硬化層(位相差フィルム)を得て、評価を行った。結果を下表に示す。
・(1−1.組成物の調製)において、架橋剤を3.84部(重合性液晶化合物100部に対して20部)とした。
下記事項を変更した以外は実施例1と同様にして、硬化層(位相差フィルム)を得て、評価を行った。結果を下表に示す。
・(1−1.組成物の調製)において、架橋剤を3.84部(重合性液晶化合物100部に対して20部)とした。
[実施例5]
下記事項を変更した以外は実施例1と同様にして、硬化層(位相差フィルム)を得て、評価を行った。結果を下表に示す。
・(1−1.組成物の調製)において、重合性液晶化合物として、前記式(A−2)で表される化合物の代わりに前記式(A−1)で表される化合物を用いた。
・(1−1.組成物の調製)において、架橋剤を0.96部(重合性液晶化合物100部に対して5部)とした。
下記事項を変更した以外は実施例1と同様にして、硬化層(位相差フィルム)を得て、評価を行った。結果を下表に示す。
・(1−1.組成物の調製)において、重合性液晶化合物として、前記式(A−2)で表される化合物の代わりに前記式(A−1)で表される化合物を用いた。
・(1−1.組成物の調製)において、架橋剤を0.96部(重合性液晶化合物100部に対して5部)とした。
[実施例6]
下記事項を変更した以外は実施例1と同様にして、硬化層(位相差フィルム)を得て、評価を行った。結果を下表に示す。
・(1−1.組成物の調製)において、重合性液晶化合物として、前記式(A−2)で表される化合物の代わりに前記式(A−1)で表される化合物を用いた。
・(1−1.組成物の調製)において、架橋剤を0.96部(重合性液晶化合物100部に対して5部)とした。
・(1−1.組成物の調製)において、光重合開始剤として、「アデカアークルズNCI−730」の代わりに「Irgacure379」(BASF社製)を用いた。
下記事項を変更した以外は実施例1と同様にして、硬化層(位相差フィルム)を得て、評価を行った。結果を下表に示す。
・(1−1.組成物の調製)において、重合性液晶化合物として、前記式(A−2)で表される化合物の代わりに前記式(A−1)で表される化合物を用いた。
・(1−1.組成物の調製)において、架橋剤を0.96部(重合性液晶化合物100部に対して5部)とした。
・(1−1.組成物の調製)において、光重合開始剤として、「アデカアークルズNCI−730」の代わりに「Irgacure379」(BASF社製)を用いた。
[比較例1]
下記事項を変更した以外は実施例1と同様にして、硬化層(位相差フィルム)を得て、評価を行った。結果を下表に示す。
・(1−1.組成物の調製)において、重合性液晶化合物として、前記式(A−2)で表される化合物の代わりに前記式(A−1)で表される化合物を用いた。
・(1−1.組成物の調製)において、架橋剤として、「NKエステルA−DCP」の代わりに「A−DPH」(新中村化学工業社製)を用いた。また架橋剤を0.96部(重合性液晶化合物100部に対して5部)とした。
・(1−1.組成物の調製)において、光重合開始剤として、「アデカアークルズNCI−730」の代わりに「Irgacure379」(BASF社製)を用いた。
新中村化学工業社製の「A−DPH」は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであり、その化学式は、下記の通りである。
下記事項を変更した以外は実施例1と同様にして、硬化層(位相差フィルム)を得て、評価を行った。結果を下表に示す。
・(1−1.組成物の調製)において、重合性液晶化合物として、前記式(A−2)で表される化合物の代わりに前記式(A−1)で表される化合物を用いた。
・(1−1.組成物の調製)において、架橋剤として、「NKエステルA−DCP」の代わりに「A−DPH」(新中村化学工業社製)を用いた。また架橋剤を0.96部(重合性液晶化合物100部に対して5部)とした。
・(1−1.組成物の調製)において、光重合開始剤として、「アデカアークルズNCI−730」の代わりに「Irgacure379」(BASF社製)を用いた。
新中村化学工業社製の「A−DPH」は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであり、その化学式は、下記の通りである。
[比較例2]
下記事項を変更した以外は実施例1と同様にして、硬化層(位相差フィルム)を得て、評価を行った。結果を下表に示す。
・(1−1.組成物の調製)において、重合性液晶化合物として、前記式(A−2)で表される化合物の代わりに前記式(A−1)で表される化合物を用いた。
・(1−1.組成物の調製)において、架橋剤として、「NKエステルA−DCP」の代わりに「UA−306I」(共栄社化学社製)を用いた。また架橋剤を0.96部(重合性液晶化合物100部に対して5部)とした。
・(1−1.組成物の調製)において、光重合開始剤として、「アデカアークルズNCI−730」の代わりに「Irgacure379」(BASF社製)を用いた。
共栄社化学社製「UA−306I」は、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートであり、その化学式は、下記の通りである。
下記事項を変更した以外は実施例1と同様にして、硬化層(位相差フィルム)を得て、評価を行った。結果を下表に示す。
・(1−1.組成物の調製)において、重合性液晶化合物として、前記式(A−2)で表される化合物の代わりに前記式(A−1)で表される化合物を用いた。
・(1−1.組成物の調製)において、架橋剤として、「NKエステルA−DCP」の代わりに「UA−306I」(共栄社化学社製)を用いた。また架橋剤を0.96部(重合性液晶化合物100部に対して5部)とした。
・(1−1.組成物の調製)において、光重合開始剤として、「アデカアークルズNCI−730」の代わりに「Irgacure379」(BASF社製)を用いた。
共栄社化学社製「UA−306I」は、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートであり、その化学式は、下記の通りである。
[比較例3]
下記事項を変更した以外は実施例1と同様にして、硬化層(位相差フィルム)を得て、評価を行った。結果を下表に示す。
・(1−1.組成物の調製)において、重合性液晶化合物として、前記式(A−2)で表される化合物の代わりに前記式(A−1)で表される化合物を用いた。
・(1−1.組成物の調製)において、架橋剤及び界面活性剤を用いなかった。
・(1−1.組成物の調製)において、光重合開始剤として、「アデカアークルズNCI−730」の代わりに「Irgacure379」(BASF社製)を用いた。
下記事項を変更した以外は実施例1と同様にして、硬化層(位相差フィルム)を得て、評価を行った。結果を下表に示す。
・(1−1.組成物の調製)において、重合性液晶化合物として、前記式(A−2)で表される化合物の代わりに前記式(A−1)で表される化合物を用いた。
・(1−1.組成物の調製)において、架橋剤及び界面活性剤を用いなかった。
・(1−1.組成物の調製)において、光重合開始剤として、「アデカアークルズNCI−730」の代わりに「Irgacure379」(BASF社製)を用いた。
下表において、略記の意味は下記のとおりである。
A−1:前記式(A−1)で表される重合性液晶化合物
A−2:前記式(A−2)で表される重合性液晶化合物
A−DCP:「NKエステルA−DCP」(新中村化学工業社製)
A−DPH:「A−DPH」(新中村化学工業社製)
UA−306I:「UA−306I」(共栄社化学社製)
NCI−730:「アデカアークルズNCI−730」(ADEKA社製)
Irg379:「Irgacure379」(BASF社製)
A−1:前記式(A−1)で表される重合性液晶化合物
A−2:前記式(A−2)で表される重合性液晶化合物
A−DCP:「NKエステルA−DCP」(新中村化学工業社製)
A−DPH:「A−DPH」(新中村化学工業社製)
UA−306I:「UA−306I」(共栄社化学社製)
NCI−730:「アデカアークルズNCI−730」(ADEKA社製)
Irg379:「Irgacure379」(BASF社製)
以上の結果によれば、以下が分かる。
実施例1〜6に係る重合性液晶組成物を重合し硬化して得られた硬化層からなる位相差フィルムは、複屈折Δnが十分に大きく0.040以上であり、且つ熱耐久性が良好であり、且つ配向性が良好である。
一方、架橋剤が、シクロアルカン構造を含まない比較例1及び2に係る重合性液晶組成物を重合し硬化して得られた硬化層からなる位相差フィルムは、配向性が不良である。また、架橋剤を含まない比較例3に係る重合性液晶組成物を重合し硬化して得られた硬化層からなる位相差フィルムは、熱耐久性及び配向性が不良である。
これらの結果は、本発明の重合性液晶組成物により、良好な分子の配向性、大きい複屈折Δn、及び熱耐久性をバランスよく備えた位相差フィルムを製造しうることを示す。
実施例1〜6に係る重合性液晶組成物を重合し硬化して得られた硬化層からなる位相差フィルムは、複屈折Δnが十分に大きく0.040以上であり、且つ熱耐久性が良好であり、且つ配向性が良好である。
一方、架橋剤が、シクロアルカン構造を含まない比較例1及び2に係る重合性液晶組成物を重合し硬化して得られた硬化層からなる位相差フィルムは、配向性が不良である。また、架橋剤を含まない比較例3に係る重合性液晶組成物を重合し硬化して得られた硬化層からなる位相差フィルムは、熱耐久性及び配向性が不良である。
これらの結果は、本発明の重合性液晶組成物により、良好な分子の配向性、大きい複屈折Δn、及び熱耐久性をバランスよく備えた位相差フィルムを製造しうることを示す。
Claims (6)
- 重合性液晶化合物、シクロアルカン構造を含む架橋剤、及び重合開始剤を含む重合性液晶組成物。
- 前記重合性液晶化合物が、逆波長分散性重合性液晶化合物である、請求項1に記載の重合性液晶組成物。
- 前記架橋剤が重合性基を含み、[架橋剤分子量]/[架橋剤1分子当たりの重合性基数]で計算される前記架橋剤の重合性基当量が、10以上1000以下である、請求項1又は2に記載の重合性液晶組成物。
- 前記重合開始剤が、ラジカル重合開始剤である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
- 更に界面活性剤を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物を重合してなる、位相差フィルム。
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