JPWO2019189420A1 - ポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]体積平均粒子径が1〜100μmで、前記体積平均粒子径の変動係数が45%以下であり、前記体積平均粒子径の2倍以上の粒子径を有する粒子の含有量が3.0体積%以下であるポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子、
[2][1]に記載の樹脂粒子の製造方法であって、固有粘度が0.7dl/g以上1.5dl/g以下のポリエチレンテレフタレート系原料樹脂を、冷凍粉砕で体積平均粒子径10〜200μmに1次粉砕する工程と、1次粉砕された樹脂を、流動層型ジェットミルで体積平均粒子径1〜100μmに2次粉砕する工程とを含む、ポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子の製造方法、
[3][1]に記載のポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子と、バインダーとを含み、前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子が分散質として前記バインダーに分散されている、分散体、及び
[4][1]に記載のポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子を含む、光学フィルムに関する。
本発明のポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子は、以下の諸物性を有する。
(a)体積平均粒子径
本発明のポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子の体積平均粒子径は、耐擦傷性の観点から、1〜100μmであり、好ましくは20〜60μmであり、より好ましくは30〜50μmである。また、耐擦傷性の観点から、変動係数(CV値)が45%以下であり、好ましくは40%以下である。また、耐擦傷性の観点から、体積平均粒子径の2倍以上の粒子径を有する粒子(粗大粒子)の含有量が、3.0体積%以下であり、好ましくは2.0体積%以下であり、より好ましくは1.0体積%以下である。
測定は、ベックマン・コールター社発行のMultisizerTM3ユーザーズマニュアルに従って校正されたアパチャーを用いて実施するものとする。
なお、測定に用いるアパチャーは、測定する樹脂粒子の大きさによって、適宜選択する。Current(アパチャー電流)及びGain(ゲイン)は、選択したアパチャーのサイズによって、適宜設定する。例えば、50μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は−800、Gain(ゲイン)は4と設定する。
測定用試料としては、樹脂粒子0.1gを0.1質量%ノニオン性界面活性剤水溶液10ml中にタッチミキサー(ヤマト科学社製、「TOUCHMIXER MT−31」)及び超音波洗浄器(ヴェルヴォクリーア社製、「ULTRASONICCLEANER VS−150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用する。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く撹拌しておき、樹脂粒子を10万個測定した時点で測定を終了する。樹脂粒子の体積平均粒子径は、10万個の粒子の体積基準の粒度分布における算術平均である。
粒子径の変動係数(CV値)を、以下の数式によって算出する。
粒子径の変動係数=(樹脂粒子の体積基準の粒度分布の標準偏差
÷樹脂粒子の体積平均粒子径)×100
体積平均粒子径の2倍の粒子径を有する粒子の含有量は、上述の体積平均粒子径の2倍径以上の粒子の体積基準の割合のことである。
本発明の樹脂粒子の平均円形度は、耐擦傷性の観点から、好ましくは0.82〜0.92であり、より好ましくは0.83〜0.90である。また耐擦傷性の観点から、面積円相当径の中央値以上の粒子径を有する粒子の平均円形度は、好ましくは0.83〜0.92であり、より好ましくは0.84〜0.90である。円形度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、樹脂成分として具体的には90モル%以上、好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは98モル%以上のエチレンテレフタレート単位からなることが好ましい。他の成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、セバシン酸等の酸成分、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール成分を例示することができる。さらに具体的には、例えばエチレンイソフタレート単位、エチレンナフタレンジカルボキシレート単位、ジエチレンテレフタレート単位等が挙げられる。すなわち原料ポリエチレンテレフタレートは、ホモポリマーであることが好ましいが、全ジカルボン酸成分に対し10モル%以下の、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等のテレフタル酸以外のジカルボン酸成分及び/又はジエチレングリコール等のエチレングリコール以外のグリコール成分を用いた共重合ポリマーであってもよい。また、全質量に対し10質量%以下の他の縮合樹脂を混合させたブレンドポリマーであってもよい。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子の固有粘度は、基材樹脂0.5gをテトラクロロエタン/フェノール=50/50(質量比)混合溶液100ml中に加熱溶解した後、冷却して25℃で測定された溶液粘度から算出する。
本発明のポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子には、必要に応じて、他の添加剤が含まれていてもよい。他の添加剤としては、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、展着剤、気泡調整剤、充填剤、着色剤、離型剤、耐候剤、老化防止剤、滑剤、防曇剤、香料などが挙げられるが、コーティングに用いた際の塗工ムラ抑制の観点から、着色剤及び/又は離型剤を含まないものが好ましい。
本発明のポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子の製造方法は、特に限定されるものではないが、好ましい態様として、下記の1次粉砕工程と2次粉砕工程とを含む製造方法が挙げられる。
1次粉砕工程は、固有粘度が0.7dl/g以上1.5dl/g以下のポリエチレンテレフタレート系原料樹脂を、冷凍粉砕で体積平均粒子径10〜200μmに粗粉砕する工程である。2次粉砕工程を効率よくする観点から、体積平均粒子径10〜150μmに粗粉砕することが好ましい。冷凍粉砕は、公知の冷凍粉砕方法によって行われる。すなわち、ポリエチレン系原料樹脂を液体窒素に浸漬して冷凍し、冷凍後のポリエチレンテレフタレート系原料樹脂を冷凍粉砕機に投入して粉砕することにより行われる。前記冷凍粉砕機は、公知のものを使用することができる。
2次粉砕工程は、1次粉砕された樹脂を、流動層型ジェットミル(カウンタージェットミル)で体積平均粒子径1〜100μmに微粉砕する工程である。流動層型ジェットミルを用いると、ポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子同士が衝突し微細化していく際に当該樹脂粒子同士の摩擦が起こりやすく、得られるポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子が少し丸みを帯びているため耐擦傷性に優れている。なお、微粉砕後の体積平均粒子径、変動係数、及び体積平均粒子径の2倍以上の粒子径を有する粒子の含有量については、前記と同様である。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子の円形度は乾式粒子画像分析装置(スペクトリス社製、モフォロギ G3)を用いて測定した。当該装置では、粒子の投影像の周囲長をP、粒子の投影像の面積をAとしたとき、4πA/P2で表される値を円形度として求めている。20000個について測定し、その平均値を平均円形度として求めた。また、面積円相当径の中央値以上の粒子径を有する粒子の平均円形度も求めた。
実施例1
ペレット状の原料ポリエチレンテレフタレート樹脂(IV値1.04/CH−611/遠東紡社製)を冷凍粉砕にて体積平均粒子径100μmに粗粉砕した。その後、流動層式対向型ジェットミル(カウンタージェットミル100AFG、ホソカワミクロン社製)で、供給速度1kg/hr、粉砕圧力0.7MPa、ローター回転数15000rpmで微粉砕した。得られたポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子の体積平気粒子径は34.4μm、CV値は26.4%、体積平均粒子径の2倍以上の粒子径を有する粒子(粗大粒子)の含有量は1.4体積%であった。
原料樹脂を表1に記載した樹脂種に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子を調製した。なお、樹脂種の詳細は以下のとおりである。
TR−BB:ポリエチレンテレフタレート樹脂(IV値0.88/帝人社製)
ペレット状の原料ポリエチレンテレフタレート樹脂(IV値0.60/TRN−MTJ/帝人社製)を冷凍粉砕にて体積平均粒子径33.4μmに粗粉砕することで、比較例1のポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子を得た。
各実施例・比較例で得られたポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子7.5質量部と、アクリル樹脂(DIC社製、製品名アクリディックA811)30質量部、架橋剤(DIC社製、製品名VM−D)10質量部、溶剤として酢酸ブチル50質量部とを攪拌脱泡装置を用いて、3分間混合し、1分間脱泡することによって、分散体を得た。
得られた分散体を、クリアランス100μmのブレードをセットした塗工装置を用いて、厚さ125μmのPETフィルム上に塗布した後、70℃で10分乾燥することによって光拡散シートを得た。
光拡散シートを目視観察し、ポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子が集中している部分とポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子の少ない部分の存在、所謂、塗工ムラの存在を確認した。塗工ムラの観察できなかった場合を「良」、塗工ムラが観察された場合を「不良」とした。
染色物摩擦堅牢度試験機(大栄科学精器製作所社製)を用いた。光拡散シートから縦12cm×横5cmの平面長方形状の試験片を2枚切り出した。染色物摩擦堅牢度試験機の試料台上に、試験片をその光拡散層(ポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子を塗工した層)が上となるように載置、固定した。染色物摩擦堅牢度試験機の摩擦子に光拡散層を上向きにして別の試験片を固定し、更に、その上に500gの分銅(試験片への接触面積は4cm2)を乗せて30往復/分の速さで試験片の長辺方向と平行に10cmの距離を20回往復させて擦過し、光拡散層の傷つき性を評価した。光拡散層の傷が肉眼で確認できなかった場合を「良」、傷が確認できた場合を「不良」とした。
Claims (8)
- 体積平均粒子径が1〜100μmで、前記体積平均粒子径の変動係数が45%以下であり、前記体積平均粒子径の2倍以上の粒子径を有する粒子の含有量が3.0体積%以下であるポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子。
- 固有粘度が0.7dl/g以上1.5dl/g以下である、請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子。
- 平均円形度が0.82〜0.92である、請求項1または2に記載のポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子。
- 着色剤及び/又は離型剤を含まない、請求項1〜3いずれかに記載のポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子。
- 光学フィルム用の添加剤に用いるための、請求項1〜4いずれかに記載のポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子。
- 請求項1〜5いずれかに記載の樹脂粒子の製造方法であって、固有粘度が0.7dl/g以上1.5dl/g以下のポリエチレンテレフタレート系原料樹脂を、冷凍粉砕で体積平均粒子径10〜200μmに1次粉砕する工程と、1次粉砕された樹脂を、流動層型ジェットミルで体積平均粒子径1〜100μmに2次粉砕する工程とを含む、ポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子と、バインダーとを含み、前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子が分散質として前記バインダーに分散されている、分散体。
- 請求項1〜5いずれかに記載のポリエチレンテレフタレート系樹脂粒子を含む、光学フィルム。
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