JP2016017228A - 剥離性の改善方法 - Google Patents

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諒 寺西
慎介 清水
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慎介 清水
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Yuta HAGIWARA
悠太 萩原
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Abstract

【課題】昇華転写染色方法における、被染色物から中間記録媒体を剥離するときの、中間記録媒体の剥離性の改善方法の提供。【解決手段】少なくともポリエステル樹脂と、昇華性染料と、ワックスとを含有するトナーを中間記録媒体に付着させ、該トナーが含有する染料を、被染色物に昇華転写した後、中間記録媒体を剥離することにより染色を行う昇華転写染色方法における、中間記録媒体の剥離性の改善方法であって、それぞれ170℃における該トナーの貯蔵弾性率が10〜500Paであり、且つ、損失弾性率が10〜900Paである剥離性の改善方法により、上記の課題を解決できた。【選択図】なし

Description

本発明は、昇華転写染色方法における、被染色物から中間記録媒体を剥離するときの、中間記録媒体の剥離性の改善方法に関する。
ポリエステル繊維を代表とする疎水性繊維又はPETフィルムを代表とする疎水性樹脂に対する電子写真方式を用いる染色方法の1つとして、昇華転写染色方法が挙げられる。この方法は、紙等の中間記録媒体にトナーを付与した後、中間記録媒体のトナー付与面と、被染色物の染色面とを重ね合わせてから熱処理を行い、トナー中に含有される染料を被染色物の染色面に昇華転写させることにより、染色を行う方法である。
トナーを用いる昇華転写染色方法は、トナーを構成する複数の成分のうち染料のみを中間記録媒体から被染色物へ染着させることが可能となる。このため、被染色物には染料以外のトナー構成成分は付着せず、例えば衣料品、シートやソファー等のインテリア、又は、寝具等の、生地の風合いを重要視する用途に好適であること;及び、敏感な肌質の人に対するトナー構成成分によるかぶれ・湿疹等の発生リスクを低減できること;等のメリットが得られる。
また、繊維の染色工程として一般に必要な未固着染料の洗浄、及び洗浄後の繊維の乾燥等の工程が、昇華転写染色方法では不要となる。このことは、染色工程の大幅な削減;高コスト、且つ、大規模なスペースと大規模な稼働エネルギーを必要とする、洗浄・乾燥ライン及び洗浄水の処理設備等の不要化;及び、染料を含有する洗浄水等による環境汚染の根本的な解決;等のメリットも生じる。
これらの理由から、昇華転写染色方法は、小規模なスペースでも染色を行うことができる、優れた染色方法とされている。
昇華転写染色方法は、上記の通り中間記録媒体と被染色物とを重ね合わせて加熱し、染料を被染色物へ昇華転写させる方法であるが、この昇華転写を行った後、被染色物から中間記録媒体を剥離する工程が必要である。しかしながら、この剥離工程において、中間記録媒体と被染色物とが強固に張り付くことがあり、剥離が良好に行えないことが重大な問題となっている。
上記の剥離が良好に行えないと、被染色物から中間記録媒体を剥離する際に大きな力が必要となる不具合が生じる上、被染色物の質感や外観を傷つけてしまう;特に中間記録媒体として紙を使用すると、剥離の際に中間記録媒体が破損して被染色物から完全には剥離できず、被染色物に張り付いた状態で残存してしまう;及び、中間記録媒体に付着させたトナー自体が被染色物に張り付くこと等により、染色の不良や被染色物の風合いが大きく損なわれてしまう;等の、様々な理由から、不良品の生じることが判明した。
このため、昇華転写染色方法においては、被染色物から中間記録媒体を剥離するときの、中間記録媒体の剥離性の改善が強く要望されている。
昇華転写染色方法は、例えば下記の特許文献1〜5に開示されている。
特開平02−295787号公報 特開平06−051591号公報 特開平10−058638号公報 特開2000−029238号公報 特表2006−500602号公報
本発明は、昇華転写染色方法における、被染色物から中間記録媒体を剥離するときの、中間記録媒体の剥離性の改善方法の提供を課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、少なくともポリエステル樹脂と、昇華性染料とを含有するトナーを用いる昇華転写染色方法において、該トナーの動的粘弾性試験における貯蔵弾性率(G’)が170℃において10〜500Paであり、且つ、損失弾性率(G’’)が170℃において10〜900Paであるトナーを用いることにより、上記の課題を解決できることを見出して本発明を完成させた。すなわち本発明は、以下の1)〜12)に関する。
1)
少なくともポリエステル樹脂と、昇華性染料とを含有するトナーを中間記録媒体に付着させ、該中間記録媒体におけるトナーの付着面と、被染色物とを重ね合わせて熱処理することにより、該中間記録媒体に付着したトナーが含有する染料を、被染色物に昇華転写した後、被染色物から中間記録媒体を剥離することにより、被染色物の染色を行う昇華転写染色方法における、被染色物から中間記録媒体を剥離するときの、中間記録媒体の剥離性の改善方法であって、該トナーの動的粘弾性試験における貯蔵弾性率(G’)が170℃において10〜500Paであり、且つ、損失弾性率(G’’)が170℃において10〜900Paである、中間記録媒体の剥離性の改善方法。
2)
上記1)に記載のトナーが、さらにワックスを含有するトナーである上記1)に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法。
3)
上記1)に記載のトナーが、さらに外添剤を含有するトナーである上記1)に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法。
4)
上記3)に記載の外添剤が、少なくともチタン酸ストロンチウムを含有する外添剤である、上記3)に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法。
5)
上記1)に記載のトナーが、さらに荷電制御剤を含有するトナーである、上記1)に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法。
6)
被染色物が、少なくとも疎水性繊維、若しくは疎水性樹脂を含有する物質である上記1)に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法。
7)
被染色物が、疎水性繊維又は疎水性繊維を含有する混紡繊維、若しくは該繊維の構造物である布帛;疎水性樹脂を含有するフィルムやシート;及び、疎水性樹脂がコーティングされた布帛、ガラス、金属又は陶器;よりなる群から選択される疎水性繊維、若しくは疎水性樹脂を含有する物質である、上記1)又は6)に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法。
8)
疎水性繊維、若しくは疎水性樹脂を含有する物質が、少なくともポリエステル繊維、若しくはポリエステル樹脂を含有する物質である上記1)、6)又は7)のいずれか一項に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法。
9)
被染色物が、少なくともポリエステル樹脂を含有するマイクロファイバーである、上記1)又は6)〜8)のいずれか一項に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法。
10)
上記1)に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法に用いるトナーであって、少なくともポリエステル樹脂と、昇華性染料とを含有し、該トナーの動的粘弾性試験における貯蔵弾性率(G’)が170℃において10〜500Paであり、且つ、損失弾性率(G’’)が170℃において10〜900Paである、トナー。
11)
上記1)に記載の剥離性の改善方法に用いるトナーが付着した中間記録媒体であって、該トナーが、少なくともポリエステル樹脂と、昇華性染料とを含有し、該トナーの動的粘弾性試験における貯蔵弾性率(G’)が170℃において10〜500Paであり、且つ、損失弾性率(G’’)が170℃において10〜900Paであるトナーが付着した中間記録媒体。
12)
上記1)〜9)のいずれか一項に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法を用い、被染色物から中間記録媒体を剥離することにより得られる染色された繊維、若しくは物質。
本発明により、昇華転写染色方法における、被染色物から中間記録媒体を剥離するときの、中間記録媒体の剥離性の改善方法を提供できた。
本明細書においては特に断りのない限り、「%」及び「部」については、実施例等も含めて、いずれも質量基準で記載する。
上記トナーが含有するポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、昇華性染料と混合することが可能なものであれば、公知のポリエステル樹脂の中から適宜選択することができる。また、ポリエステル樹脂は2種類以上を混合して使用することもできる。
前記のポリエステル樹脂としては、特に限定されないが、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸を原料として、重縮合反応を行うことによって得られる樹脂が挙げられる。
前記の多価アルコール成分としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等のような2価アルコールが挙げられる。また、3価以上のアルコールとしては、例えばグリセリン、ソルビトール、1,4−ソルビタン、2−メチルプロパントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。これらの中では、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリンが好ましい。これらの多価アルコール成分は、1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。
前記の多価カルボン酸成分としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、メサコニン酸等が挙げられる。また、これらジカルボン酸の二塩基酸塩や酸無水物、炭素数1〜6の低級アルキルエステルのような誘導体を用いることもできる。これらの中では、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が好ましい。これらの多価カルボン酸成分は、1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。
ポリエステル樹脂の原料としては、必要により、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪族モノカルボン酸;分岐や不飽和基を有する脂肪族モノカルボン酸;オクタノール、デカノール、ドデカノール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等の脂肪族モノアルコール;安息香酸、ナフタレンカルボン酸等の芳香族モノカルボン酸;等を加えることができる。
また、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多官能カルボン酸を適宜用いて主鎖同士の架橋をし、ゲル化をすることで、高温オフセットに強い樹脂を合成できる。
上記トナーは、少なくともポリエステル樹脂を含有する。該トナーは、樹脂としてポリエステル樹脂のみを含有することもできるし、ポリエステル以外の樹脂をさらに含有することもできる。
ポリエステル以外の樹脂としては、例えば、スチレン又はスチレン誘導体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられる。
上記した樹脂は、いずれも単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
上記スチレン又はスチレン誘導体の重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等が挙げられる。
上記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等が挙げられる。
上記トナーが含有するポリエステル樹脂と、ポリエステル以外の樹脂との含有比率は特に制限されないが、「ポリエステル樹脂」/「ポリエステル以外の樹脂」の含有比率は上記G’及びG’’を超えない範囲で、質量基準で通常100/0〜50/50、好ましくは100/0〜60/40、より好ましくは100/0〜70/30、さらに好ましくは100/0〜80/20、特に好ましくは100/0〜90/10である。
上記樹脂は合成することもできるし、市販品として入手することもできる。
樹脂を合成するときは、その合成方法は特に限定されず、公知の方法であればいずれも使用することができる。一例としては、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法等が使用できる。また、これら複数の重合法でそれぞれ製造された樹脂を混合することもできる。
市販品のポリエステル樹脂の一例としては、三菱レーヨン株式会社製のダイヤクロン FC−684、ダイヤクロン FC−1224、ダイヤクロン FC−2232、ダイヤクロン FC−2247、ダイヤクロン FC−316、ダイヤクロン ER−508等が挙げられる。
上記トナーは、動的粘弾性試験におけるG’が170℃において10〜500Paであり、G’’が170℃において10〜900Paであることが好ましい。
170℃におけるG’及びG’’の両方、又はいずれか一方が上記の範囲を満たさないときは、被染色物からの中間記録媒体の剥離が不十分となり、例えば、被染色物の質感や外観を傷つけてしまう;剥離するときに中間記録媒体が破損して被染色物から完全には剥離できず、被染色物に張り付いた状態で残存してしまう(この現象は、中間記録媒体として紙を使用するときに、特に生じやすい。);及び、中間記録媒体に付着させたトナー自体が被染色物に張り付くこと等により、染色の不良や被染色物の風合いが大きく損なわれてしまう;等の、様々な不具合が生じる。
上記ポリエステル樹脂の中には、上記トナーが含有するポリエステル樹脂として単独で使用すると、該トナーが上記G’及び/又はG’’を満たさない樹脂も含まれる。しかし、そのようなポリエステル樹脂であっても、例えば2種類の樹脂を併用したとき、該トナーが上記G’及びG’’を満たすことがある。このため、ポリエステル樹脂の種類は特に制限されない。
好ましいポリエステル樹脂の目安としては、該ポリエステル樹脂の単独での動的粘弾性試験における170℃でのG’(以下「PE−G’」という。)及びG’’(以下「PE−G’’」という。)として、以下の範囲が挙げられる。
PE−G’としては通常60〜1000Pa、好ましくは100〜700Pa、より好ましくは120〜500Paである。
PE−G’’としては通常60〜2000Pa、好ましくは100〜1500Pa、より好ましくは120〜1100Paである。
上記PE−G’及びPE−G’’を満たすポリエステル樹脂は、単独で使用しても、上記トナーのG’及びG’’を満たすことができる。
また、ポリエステル樹脂を併用するときは、少なくとも1種類のポリエステル樹脂として、上記PE−G’及びPE−G’’を満たすポリエステル樹脂を使用することにより、上記トナーのG’及びG’’を満たすことが可能となる。このようなとき、上記トナーが含有するポリエステル樹脂の総質量に対して、PE−G’及びPE−G’’を満たすポリエステル樹脂の含有量は、通常35%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは45%以上である。
上記PE−G’及びPE−G’’を満たすポリエステル樹脂としては、例えば、三菱レーヨン株式会社製のダイヤクロン ER−508、三洋化成工業製のM−412、M−302等が挙げられる。
上記G’及びG’’(PE−G’及びPE−G’’も含む)は、ARES(ティー・エイ・インスツルメントジャパン社製)を用いて、下記の条件で測定することができる。
[測定治具]:直径25mmおよび直径8mmの円形パラレルプレートを使用。
[測定試料]:トナー(PE−G’及びPE−G’’を測定するときは、トナーが含有する樹脂そのもの)0.1gを秤量し、10kNの荷重を1分間かけて、直径8mm、厚さ約2mmの円盤状に成型したペレット。
[測定周波数]:1.0Hz。
[測定歪の設定]:初期値を0.02%に設定した後、自動測定モードにて測定。
[試料の伸長補正]:自動モードにて調整。
[測定温度範囲]:30〜180℃。
[昇温速度]:5℃/分。
[測定間隔]:1秒毎。
上記の昇華性染料としては特に限定されないが、昇華転写適性のある染料が好ましい。
「昇華転写適性のある染料」とは、「乾熱処理に対する染色堅ろう度試験方法[JIS L 0879:2005](2010年 確認、平成17年1月20日 改定、 財団法人日本規格協会 発行)」における、感熱処理試験(C法)汚染(ポリエステル)の試験結果が、通常4級以下、好ましくは3.5級又は3級に近い4級以下、より好ましくは3級以下の染料を意味する。すなわち、本明細書においては、感熱処理試験(C法)汚染(ポリエステル)の試験結果が4級の染料は、昇華転写適性のある染料に含まれる。なお、「3.5級」又は「3級に近い4級」の染料の意味は、下記する「4.5級」又は「5級に近い4級」の染料と同様に、当業者には周知である。
そのような染料のうち、公知の染料としては、例えば以下の染料が挙げられる。
イエロー染料としては、C.I.ディスパースイエロー3、7、8、23、39、51、54、60、71、86;C.I.ソルベントイエロー43、114、163;等が挙げられる。
オレンジ染料としては、C.I.ディスパースオレンジ1、1:1、5、20、25、25:1、33、56、76;等が挙げられる。
ブラウン染料としては、C.I.ディスパースブラウン2;等が挙げられる。
レッド染料としては、C.I.ディスパースレッド11、50、53、55、55:1、59、60、65、70、75、93、146、158、190、190:1、207、239、240;C.I.バットレッド41;等が挙げられる。
バイオレット染料としては、C.I.ディスパースバイオレット8、17、23、27、28、29、36、57;等が挙げられる。
ブルー染料としては、C.I.ディスパースブルー19、26、26:1、35、55、56、58、64、64:1、72、72:1、81、81:1、91、95、108、131、141、145、359、360;C.I.ソルベントブルー3、63、83、105、111;等が挙げられる。
上記した染料は、いずれも単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
また、複数の昇華性染料を配合し、例えばブラックのように元の染料とは全く異なる色相を得ることも好ましく行われる。この時は、例えばブルー染料を主体にイエロー染料、及びレッド染料を適宜配合することによりブラック染料とすることができる。
さらに、例えばブルー、イエロー、オレンジ、レッド、バイオレット、又はブラック等の色調を、より好みの色調に微調整する目的;又は、中間色を得る目的;等により、複数の染料を配合することもできる。
上記トナーは、染料として、少なくとも昇華性染料を含有する以外に、非昇華性染料をさらに含有することもできる。
非昇華性染料としては特に限定されないが、「乾熱処理に対する染色堅ろう度試験方法[JIS L 0879:2005](2010年 確認、平成17年1月20日 改定、 財団法人日本規格協会 発行)」における、感熱処理試験(C法)汚染(ポリエステル)の試験結果が、4級を超える染料を意味する。当業者であれば周知の通り、感熱処理試験(C法)汚染(ポリエステル)の試験結果が、4級は越えているが5級までは達しない、4級と5級の間と判定されることもある。このようなとき、それらの染料が慣用的に「4.5級」、又は「5級に近い4級」等と判定されることは、当業者には周知である。本明細書において、非昇華染料としては通常4級を超える染料、好ましくは4.5級又は5級に近い4級の染料、より好ましくは5級以上の染料が挙げられる。
、そのような染料のうち、公知の染料としては、例えば以下の染料が挙げられる。
イエロー染料としては、C.I.ディスパースイエロー42、49、76、83、88、93、99、114、119、126、160、163、165、180、183、186、198、199、200、224、237等が挙げられる。
レッド染料としては、C.I.ディスパースレッド73、88、91、92、111、127、131、143、145、146、152、153、154、179、191、192、206、221、258、283、302、323、328、359等が挙げられる。
ブルー染料としては、C.I.ディスパースブルー27、54、60、73、73:1、75、77、79、79:1、87、143、165、165:1、165:2、181、185、197、225、257、266、267、281、341、353、354、358、360、364、365、368等が挙げられる。
上記トナーが含有する昇華性染料の含有量は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。昇華性染料の含有量の目安としては、トナーの総質量に対して通常1〜40%、好ましくは2〜35%、より好ましくは3〜25%である。
トナー中における昇華性染料の含有量が少なすぎると染色濃度の低下が生じ、多すぎるとトナーの電気特性の低下や濃度ムラ、染色ムラ等の染色不良を生じることがある。
上記ワックスとしては、特に制限はなく、公知のワックスの中から適宜選択することができる。それらの中では、融点が通常50℃〜160℃、好ましくは60℃〜155℃、より好ましくは70〜150℃のワックスが好ましい。上記のトナーは、このようなワックスを含有することにより、離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これによりオイルレス(例えばオイルのような離型剤を、定着ローラに塗布しない方法)で使用したときでもホットオフセット性が良好となる。
上記のワックスとしては、例えば、カルナバワックス、キャンデリラワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス、硬化ひまし油、酸性オレフィンワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス;等の天然ワックスが挙げられる。
また、例えば、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワックス等の合成炭化水素ワックス;エステル(例えば、マレイン酸エチルエステル、マレイン酸ブチルエステル、ステアリン酸メチルエステル、ステアリン酸ブチルエステル、パルミチン酸セチルエステル、モンタン酸エチレングリコールエステル等の脂肪酸エステル又はその部分ケン化物等)、ケトン、エーテル等の合成ワックス;等の合成ワックスも挙げられる。
さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリル酸アミド、ベヘニン酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド;低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等);側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子;等をワックスとして用いることもできる。
これらの中では、カルナバワックス、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エステルワックス、アミド系ワックスが好ましく、カルナバワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エステルワックスがより好ましく、カルナバワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスがさらに好ましい。
上記ワックスは、いずれも単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
ワックスの含有量は通常0.1〜20%、好ましくは0.5〜10%、より好ましくは1〜5%である。
ワックスの含有量が0.1%未満のときは定着ローラへのオフセットが生じやすく、20%を超えると中間記録媒体に対するトナーの定着不良が生じる。
上記ワックスの入手方法は特に制限されず、公知の方法で合成することも、市販品として入手することもできる。市販品の一例としては、例えば、カルナバワックスとしては株式会社加藤洋行製のカルナバワックスC1等;モンタンワックスとしてはクラリアント社製のLicowax KP等;等が挙げられる。
上記トナーは、外添剤、荷電制御剤等の添加剤を含有することができる。
上記の外添剤は、トナー粒子に流動性、現像性、帯電性等を付与する目的として使用することができる。外添剤としては特に制限はなく、公知の外添剤の中から適宜選択することができる。
外添材の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、等が挙げられる。これらの中ではシリカ、酸化チタン、チタン酸ストロンチウムが好ましい。
上記した外添剤は、いずれも単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
外添剤の含有量は、外添剤で処理するトナーの総質量に対して通常0.5〜6%、好ましくは0.7〜5%、より好ましくは0.8〜4%である。
前記トナーに含有するチタン酸ストロンチウムの含有量の目安としては、トナーの総質量に対して通常0.5〜3%、好ましくは0.7〜2%、より好ましくは0.8〜1.8%である。
上記外添剤の一次粒子径としては、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、上記外添剤のBET法による比表面積としては、20〜500m/gが好ましい。
上記外添剤の市販品としては、例えば、シリカとしては日本アエロジル株式会社製のAEROSIL R812、AEROSIL RX50、AEROSIL RX200、AEROSIL RY200L、AEROSIL RX300、キャボットジャパン株式会社製のTG−6110G、TG−810G、TG−811F、クラリアントジャパン株式会社製のH2000/4、H2000T、H05TM、H05TA、H13TM、H20TM、H30TM、H30TA等;アルミナとしては日本アエロジル株式会社製のAEROXIDE Alu C 805等;酸化チタンとしてはチタン工業株式会社製のSTT−30A、STT−30S、STT−550R、EC−300、日本アエロジル株式会社製のAEROXIDE TiO2 T805、AEROXIDE TiO2 NKT90等;チタン酸ストロンチウムとしてはチタン工業株式会社製のSW−100、SW−350等;等が挙げられる。これらの中では、AEROSIL RX50、AEROSIL RY200L、AEROSIL RX300、H05TM、TG−811F、SW−100、SW−350等が好ましい。
外添剤の使用量は、外添剤で処理する上記のトナーの総質量に対して通常0.01〜5%、好ましくは0.01〜4%である。
上記荷電制御剤としては、特に制限はなく、公知の荷電制御剤の中から適宜選択することができる。
例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、ポリマー型荷電制御剤(CCR)等が挙げられる。
上記した荷電制御剤は、いずれも単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
荷電制御剤の含有量は上記の樹脂の種類、他の添加剤の有無等により変動し、一概に規定することは困難である。荷電制御剤の含有量の目安としては、上記のトナーを構成する、少なくともポリエステル樹脂を含有する樹脂の総質量に対して通常0.1〜10%、好ましくは0.2〜7%程度である。
荷電制御剤の含有量が0.1%未満のときは、帯電制御性能が得られないことがあり、10%を超えるとトナーの帯電性が大きくなりすぎ、荷電制御剤の効果を減退させて、トナーと現像ローラとの静電的吸引力が増大し、該トナーの流動性の低下や、画像濃度の低下を生じることがある。
上記荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のボントロンE−82、サリチル酸系金属錯体のボントロンE−84、フェノール系縮合物のボントロンE−89(以上、オリエント化学工業社製);第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製);第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージNEG VP2036、コピーチャージNX VP434(以上、ヘキスト社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製);銅フタロシアニン;ペリレン;キナクリドン;アゾ系顔料;又は、スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する、高分子系の化合物のFCA−201−PS、FCA−1001−NS(以上、藤倉化成社製);等が挙げられる。
上記のトナーの体積平均粒子径(D50 Vol.)としては特に制限されないが、通常1μm〜12μm、好ましくは2μm〜10μm、より好ましくは3μm〜10μm、さらに好ましくは5μm〜8μm程度である。
なお、平均粒子径は、精密粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製、Mulitisizer 4)を用いて測定し、本明細書においては特に断りのない限り、測定値の小数点以下を四捨五入して記載する。
上記のトナーの製造方法としては、少なくともポリエステル樹脂と、昇華性染料とを混練した後、粉砕、分級を行う粉砕法;昇華性染料等の染料の存在下に、重合性のモノマーを重合させ、同時に形状や大きさを制御しながら粉体を調製する重合法(例えば、乳化重合法、溶解懸濁法、乳化会合法、ポリエステル伸張法等);等の、公知のいずれの製造方法も使用することができる。トナーの製造を高速に行えるという点では粉砕法が好ましく、トナーの体積平均粒子径を小さくするという点では重合法が好ましい。
上記のうち、粉砕法による上記トナーの製造は、例えば、下記の製造工程1〜4の4つの工程により行うことができる。
[製造工程1]:混合工程。
少なくともポリエステル樹脂と、昇華性染料、及び必要に応じてワックス、荷電制御剤等の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機で混合し、樹脂−染料混合物を得る工程。
[製造工程2]:混練工程。
製造工程1で得られた樹脂−染料混合物を、密閉式ニーダー;又は、1軸もしくは2軸の押出機;等で溶融混練し、冷却してトナーの原料となる樹脂組成物を得る工程。
[製造工程3]:粉砕・分級工程。
製造工程2で得られた樹脂組成物を、ハンマーミル等で粗粉砕した後、ジェットミル等で微粉砕し、必要に応じて各種分級機やサイクロンを用いて目標とする粒度分布になる様に分級してトナー母粒子を得る工程。
[製造工程4]:外添処理工程。
製造工程3で得られたトナー母粒子に、外添剤を添加してヘンシェルミキサー等で混合し、トナーを得る工程。
上記の中間記録媒体としては、特に制限はなく、「紙・板紙及びパルプ用語[JIS P 0001:1998(2008年 確認、平成10年3月20日 改正、財団法人日本規格協会 発行)]」中、第28頁〜第47頁の「3.分類 f)紙・板紙の品種及び加工製品」に記載された紙・板紙の品種及び加工製品(番号6001〜6284。但し、番号6235の「耐油性」、6263「フルート,段」、6273「パルプ成型品」、6276「カーボン紙」、6277「マルチコピーフォーム用紙」、6278「裏カーボンフォーム用紙」を除く);及び、セロハン(以下、「紙・板紙の品種及び加工製品;及び、セロハン」を「紙等」という。)の中から適宜選択することができる。
上記の紙等のうち、昇華転写に使用できるものであれば、いずれも中間記録媒体として使用することができる。
なお、後記するように、昇華転写を行うときは通常190℃〜210℃程度の熱処理を行う。従って、上記の中間記録媒体のうち、該熱処理のときに安定なものが好ましい。
上記被染色物としては、少なくとも疎水性繊維、若しくは疎水性樹脂を含有する物質が挙げられる。
これらのうち、疎水性繊維としては、疎水性繊維又は疎水性繊維を含有する混紡繊維、若しくは該繊維の構造物である布帛等が挙げられる。上記の疎水性繊維としては、少なくともポリエステル繊維を含有する繊維が挙げられる。該疎水性繊維の総質量中における、ポリエステル繊維の含有量は通常60%〜100%、好ましくは70%〜100%、より好ましくは80%〜100%である。
上記の疎水性樹脂を含有する物質としては、疎水性樹脂として少なくともポリエステル樹脂を含有する物質が挙げられる。該疎水性樹脂の総質量中における、ポリエステル樹脂の含有量は通常60%〜100%、好ましくは70%〜100%、より好ましくは80%〜100%である。
疎水性樹脂を含有する物質としては、例えば、疎水性樹脂を含有するフィルムやシート、好ましくはPETフィルムやPETシート等;疎水性樹脂がコーティングされた布帛、ガラス、金属、陶器等;が挙げられる。なお、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」を意味する。
上記の疎水性繊維又は疎水性繊維を含有する混紡繊維、若しくは該繊維の構造物である布帛の具体例としては、例えば、サテン、トロピカル、ダブルピケ、マイクロファイバー等が挙げられる。これらの中でも繊維が非常に細い超極細繊維として知られるマイクロファイバーを被染色物として使用すると、昇華転写染色において中間記録媒体との張り付きが極めて強く生じ、剥離性が顕著に悪化する。このため、上記の剥離性の改善方法は、被染色物としてマイクロファイバーを使用したときに、極めて顕著な剥離性の改善効果を発揮する。
上記の昇華転写染色方法において、中間記録媒体におけるトナーの付着面と、被染色物とを重ねあわせて熱処理するときの熱処理温度は、通常190〜210℃程度である。この熱処理により、中間記録媒体に付着したトナーが含有する昇華性染料は、被染色物に昇華転写され、被染色物が染色される。この熱処理後の段階では中間記録媒体と被染色物とは付着した状態である。このため、通常は被染色物から中間記録媒体を剥離することにより昇華転写染色が完了する。
本発明の昇華転写染色方法における被染色物から中間記録媒体を剥離するときの、中間記録媒体の剥離性の改善方法により、被染色物から中間記録媒体を剥離する際に大きな力が必要となる不具合;被染色物の質感や外観を傷つけてしまう問題;特に、中間記録媒体として紙を使用すると、剥離の際に中間記録媒体が破損して被染色物から完全には剥離できず、被染色物に張り付いた状態で残存してしまう問題;及び、中間記録媒体に付着させたトナー自体が被染色物に張り付くこと等により、染色の不良や被染色物の風合いが大きく損なわれてしまう問題;等の、様々な不具合や問題を解決することが可能となった。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
実施例中、平均粒子径は、精密粒度分布測定装置「Mulitisizer 4(ベックマン・コールター株式会社製)」を用いて測定した。
また、貯蔵弾性率(G’若しくはPE−G’)、及び損失弾性率(G’’若しくはPE−G’’)は、明細書中に記載の装置、及び条件を用いてそれぞれ測定した。
[実施例1]
三菱レイヨン株式会社製のダイヤクロン FC−2232(46部)、ダイヤクロン ER−508(45部)、日本化薬株式会社製のC.I.ディスパースレッド60(14部)、ボントロン E−84(1部)、カルナバワックスC1(4部)をヘンシェルミキサーにて30m/秒の回転速度で10分間予備混合した後、二軸押出機により溶融混練した。得られた溶融混練物を粉砕・分級機を用いて粉砕・分級することにより、体積平均粒子径が8μmのトナー母粒子を得た。
なお、170℃における、ダイヤクロン FC−2232のPE−G’は1586Pa、PE−G’’は336Pa;ダイヤクロン ER−508のPE−G’は206Pa、PE−G’’は649Pa;であった。
得られたトナー母粒子(100部)、H05TM(1.5部)、AEROSIL RX300(1.5部)、STT−550R(0.5部)をヘンシェルミキサーに入れ、30m/秒の回転速度で10分間撹拌し、実施例1のマゼンタトナーを得た。
[実施例2]:トナーが付着した中間記録媒体の調製。
レーザープリンター(キヤノン株式会社製:LBP5910)に、実施例1で得たマゼンタトナーを充填してベタ画像を印刷し、トナーが付着した中間記録媒体(PPC紙)を得た。
[比較例1]:比較用トナーの調製。
三菱レイヨン株式会社製のダイヤクロン FC−316(96部)、日本化薬株式会社製のC.I.ディスパースレッド60(14部)、ボントロン E−84(1部)、カルナバワックスC1(4部)をヘンシェルミキサーにて30m/秒の回転速度で10分間予備混合した後、二軸押出機により溶融混練した。得られた溶融混練物を粉砕・分級機を用いて粉砕・分級することにより、体積平均粒子径が8μmのトナー母粒子を得た。
なお、170℃における、ダイヤクロン FC−316のPE−G’は2734Pa、PE−G’’は4382Paであった。
得られたトナー母粒子(100部)、H05TM(1.5部)、AEROSIL RX300(1.5部)、STT−550R(0.5部)をヘンシェルミキサーに入れ、30m/秒の回転速度で10分間撹拌し、比較例1のマゼンタトナーを得た。
[比較例2]
ダイヤクロンFC−316の代わりに、PE−G’が170℃において2677Paであり、PE−G’’が170℃において1150Paであるポリエステル樹脂を用いる以外は比較例1と同様にして、比較例2のマゼンタトナーを得た。
[比較例3〜4]:比較用のトナーが付着した中間記録媒体の調製。
実施例1で得たマゼンタトナーの代わりに、比較例1〜2で得た比較用のマゼンタトナーを用いる以外は実施例2と同様にして、比較用のトナーが付着した中間記録媒体(PPC紙)を得た。比較例1〜2のトナーがそれぞれ付着した中間記録媒体(PPC紙)を、それぞれ比較例3〜4とする。
[剥離性評価試験]
剥離性の評価試験として、下記する[剥離性1]及び[剥離性2]の2つの試験を行った。試験結果と、トナーの物性値を下記表1に示す。
[剥離性1:人力による剥離性評価]
被染色物として、いずれも100%ポリエステル繊維で構成されているサテン(厚み150μm)、及びマイクロファイバー(厚み500μm)のそれぞれと、上記の実施例2、及び比較例3〜4でそれぞれ得た各中間記録媒体とを重ね合わせた後、熱プレス機(太陽精機株式会社製:トランスファープレス機TP−600A2)を用いて195℃×60秒の条件にて熱処理することにより、昇華転写染色を行った。この時点では付着状態にある被染色物と中間記録媒体から、中間記録媒体を手で剥離するときの剥離性を、以下3段階の基準で評価した。なお、被染色物として、マイクロファイバーを用いたときは、それぞれ2セットについて昇華転写染色を行った。この2セットのうち、1セットは「[剥離性1]」に、残りの1セットは下記する「[剥離性2]」のそれぞれの試験に使用した。
A:中間記録媒体と被染色物との剥離性が良好であり、剥がすために殆ど力を必要としない。また、中間記録媒体が破損することなく、剥離が完了する。
B:中間記録媒体と被染色物との剥離性が低下し、剥がすために力を必要とする。また剥離の際に、中間記録媒体の一部が破損して被染色物に付着したまま残存する。
C:中間記録媒体と被染色物との剥離性が大幅に低下し、剥がすために大きな力を必要とする。また剥離の際に、中間記録媒体の大部分が破損して被染色物に付着したまま残存する。
[剥離性2:剥離強度の測定]
上記「[剥離性1:人力による剥離性評価]」で得た、付着状態にあるマイクロファイバーの被染色物と中間記録媒体から、中間記録媒体を剥離するときの力(剥離強度)を、90°剥離試験機(イマダ製デジタルフォースゲージ、DPRS5TR)で測定した。数値の単位はニュートン(N)である。
下記表1中の略号等は、以下の意味を表す。
G’:貯蔵弾性率。
G’’:損失弾性率。
MF:マイクロファイバー。
なお、比較例4は、被染色物と中間記録媒体とが強固に付着していたため、中間記録媒体を被染色物から剥離するとき、中間記録媒体の破損が激しく、「剥離性2」における剥離強度の測定ができなかった。
Figure 2016017228
表1から明らかなように、本発明の実施例は、各比較例と比較して剥離性に極めて優れることが確認された。
本発明の剥離性の改善方法は、昇華転写染色方法における被染色物から中間記録媒体を剥離するときの剥離性が極めて良好となる。このため、昇華転写染色を行うときに極めて有用である。

Claims (12)

  1. 少なくともポリエステル樹脂と、昇華性染料とを含有するトナーを中間記録媒体に付着させ、該中間記録媒体におけるトナーの付着面と、被染色物とを重ね合わせて熱処理することにより、該中間記録媒体に付着したトナーが含有する染料を、被染色物に昇華転写した後、被染色物から中間記録媒体を剥離することにより、被染色物の染色を行う昇華転写染色方法における、被染色物から中間記録媒体を剥離するときの、中間記録媒体の剥離性の改善方法であって、該トナーの動的粘弾性試験における貯蔵弾性率(G’)が170℃において10〜500Paであり、且つ、損失弾性率(G’’)が170℃において10〜900Paである、中間記録媒体の剥離性の改善方法。
  2. 請求項1に記載のトナーが、さらにワックスを含有するトナーである請求項1に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法。
  3. 請求項1に記載のトナーが、さらに外添剤を含有するトナーである請求項1に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法。
  4. 請求項3に記載の外添剤が、少なくともチタン酸ストロンチウムを含有する外添剤である、請求項3に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法。
  5. 請求項1に記載のトナーが、さらに荷電制御剤を含有するトナーである、請求項1に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法。
  6. 被染色物が、少なくとも疎水性繊維、若しくは疎水性樹脂を含有する物質である請求項1に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法。
  7. 被染色物が、疎水性繊維又は疎水性繊維を含有する混紡繊維、若しくは該繊維の構造物である布帛;疎水性樹脂を含有するフィルムやシート;及び、疎水性樹脂がコーティングされた布帛、ガラス、金属又は陶器;よりなる群から選択される疎水性繊維、若しくは疎水性樹脂を含有する物質である、請求項1又は6に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法。
  8. 疎水性繊維、若しくは疎水性樹脂を含有する物質が、少なくともポリエステル繊維、若しくはポリエステル樹脂を含有する物質である請求項1、6又は7のいずれか一項に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法。
  9. 被染色物が、少なくともポリエステル樹脂を含有するマイクロファイバーである、請求項1又は6〜8のいずれか一項に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法。
  10. 請求項1に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法に用いるトナーであって、少なくともポリエステル樹脂と、昇華性染料とを含有し、該トナーの動的粘弾性試験における貯蔵弾性率(G’)が170℃において10〜500Paであり、且つ、損失弾性率(G’’)が170℃において10〜900Paである、トナー。
  11. 請求項1に記載の剥離性の改善方法に用いるトナーが付着した中間記録媒体であって、該トナーが、少なくともポリエステル樹脂と、昇華性染料とを含有し、該トナーの動的粘弾性試験における貯蔵弾性率(G’)が170℃において10〜500Paであり、且つ、損失弾性率(G’’)が170℃において10〜900Paであるトナーが付着した中間記録媒体。
  12. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の中間記録媒体の剥離性の改善方法を用い、被染色物から中間記録媒体を剥離することにより得られる染色された繊維、若しくは物質。
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