JP2015158560A - 昇華転写染色方法用トナー - Google Patents

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慎介 清水
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弘佑 高井
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Abstract

【課題】本発明は、電子写真方式を用いる昇華転写染色方法において、フィルミング現象、及びトナー凝集を改善する方法を提供すること。【解決手段】電子写真方式によってトナーを中間記録媒体に付着させ、該中間記録媒体に付着させたトナーが含有する染料を、染色される物質に昇華転写させることにより染色を行う昇華転写染色方法に用いるトナーであって、ポリエステル樹脂、昇華性染料、少なくとも1種類の油溶性染料又は分散染料及びカルナバワックスを含有する、該トナー。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法を用いる昇華転写染色方法に用いるトナー、このトナーを用いる昇華転写染色方法、及びこの昇華転写染色方法により染色された物質に関する。
ポリエステル繊維を代表とする疎水性繊維又はPETフィルムを代表とする疎水性樹脂に対する電子写真方式を用いる染色方法の1つとして、昇華転写染色方法が挙げられる。この方法は、紙等の中間記録媒体にトナーを付与した後、中間記録媒体のトナー付与面と、染色対象物の染色面とを重ね合わせてから熱処理を行い、トナー中に含有される染料を染色対象物の染色面に昇華転写させる方法である。
電子写真方式は着色剤としてトナーを用いるが、昇華転写染色を行うと、トナーを構成する複数の成分のうち染料のみを中間記録媒体から染色対象物へ染着させることが可能となる。このため、昇華転写染色方法を用いると、染色対象物には染料以外のトナー構成成分は付着せず、例えば衣料品;シートやソファー等のインテリア;又は、寝具;等の、生地の風合いを重要視する用途に好適であること;及び、敏感な肌質の人に対するトナー構成成分によるかぶれ・湿疹等の発生リスクを低減できること;等のメリットが得られる。
また、繊維の染色工程として一般に必要な未固着染料の洗浄、及び洗浄後の繊維の乾燥等の工程が、昇華転写染色方法では不要となる。このことは、染色工程の大幅な削減;高コストかつ大規模なスペースと大規模な稼働エネルギーを必要とする、洗浄・乾燥ライン及び洗浄水の処理設備等の不要化;及び、染料を含有する洗浄水等による環境汚染の根本的な解決;等のメリットも生じる。
乾式の電子写真方式で用いられる現像剤としては、一般に1成分現像剤と、2成分現像剤が知られている。
また、絶縁性トナーを用いるときの現像方式は、トナーへの帯電電荷の付与とトナーの搬送力との違いにより、磁性1成分現像方式、及び非磁性1成分現像方式の2つに大別される。
ここで、電子写真方式を用いる昇華転写染色で用いられるトナーは、中間記録媒体上の画像を熱により昇華し、被転写物に記録するものであることから、トナーに含まれる昇華性染料の分解温度は150℃以上であるものの、そもそも熱に対して不安定である。従って、トナー中の樹脂に分散させた染料は、わずかの熱で加速度的に樹脂から染み出してトナー表面で固体化し、結果的にトナーを凝集させたり、流動性を低下させ、画像濃度に影響をきたしカスレや濃度低下を引き起こすという問題がある。このようなトナーの凝集は、高温環境において顕著に生じ、不可逆的であることから、一度凝集したトナーは染色に使用することができない。従って、トナー凝集の改善は市場から強く要求されている。
また、トナーを繰り返し用いて印字すると、トナー中のワックスが感光体、現像ローラに付着し、その上にシリカ等の外添剤等が薄くフィルミングして、感光体の感度を落としカブリ発生の原因となる。また同じように、現像ローラへのフィルミングは、トナーの帯電を落とし、濃度低下や、カブリ(白地汚染(中間記録媒体において、本来であれば画像が形成されず、トナーが付着しないはずの中間記録媒体の「地」の部分にトナーが付着し、白地部分を汚染する現象))の原因となる。また、このフィルミング現象が生じると、中間記録媒体の濃度ムラ、掃きムラ等の画像欠陥;等を引き起こす原因となるため、フィルミング現象の発生は大きな問題となっている。
このため、電子写真方式を用いる昇華転写染色方法においては、感光体及び現像ローラへのフィルミング現象を抑制することが市場から強く要求されている。
電子写真方式を用いる昇華転写染色は、例えば下記の特許文献1〜5に開示されている。
特開平02−295787号公報 特開平06−051591号公報 特開平10−058638号公報 特開2000−029238号公報 特表2006−500602号公報
本発明は、電子写真方式を用いる昇華転写染色方法において、フィルミング現象、及びトナー凝集を改善する方法の提供を課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、電子写真方式を用いる昇華転写染色において、ポリエステル樹脂、昇華性染料、少なくとも1種類の油溶性染料又は分散染料及びカルナバワックスを含有するトナーを用いることにより、上記の課題を解決できることを見出して本発明を完成させた。すなわち本発明は、以下の[1]〜[8]に関する。
[1]
電子写真方式によってトナーを中間記録媒体に付着させ、該中間記録媒体に付着させたトナーが含有する染料を、染色される物質に昇華転写させることにより染色を行う昇華転写染色方法に用いるトナーであって、ポリエステル樹脂、昇華性染料、少なくとも1種類の油溶性染料及びカルナバワックスを含有する、該トナー。
[2]
前記昇華性染料がブルー昇華性染料であり、油溶性染料の添加量が、当該ブルー昇華性染料の総質量に対して30〜140質量%である、[1]に記載のトナー。
[3]
前記昇華性染料がイエロー昇華性染料であり、油溶性染料の添加量が、当該イエロー昇華性染料の総質量に対して25〜115質量%である、[1]に記載のトナー。
[4]
前記昇華性染料がマゼンタ昇華性染料であり、油溶性染料の添加量が、当該マゼンタ昇華性染料の総質量に対して35〜135質量%である、[1]に記載のトナー。
[5]
前記昇華性染料がブラック用混合昇華性染料であり、油溶性染料の添加量が、当該昇華性染料の総質量に対して30〜95質量%である、[1]に記載のトナー。
[6]
電子写真方式によって[1]〜[5]のいずれか1項に記載のトナーを中間記録媒体に付着させ、該中間記録媒体に付着させたトナーが含有する染料を、染色される物質に昇華転写させることにより染色を行う昇華転写染色方法。
[7]
上記[6]に記載の昇華転写染色方法により染色された物質。
本発明においては、トナーに含有させる染料として昇華性染料単独でなく、少なくとも1種類の油溶性染料もしくは分散染料を併用して用いることにより、トナーからの染料のブリードアウトを抑え、トナーの凝集を抑制することができる。
また、本発明においては、昇華性トナーのワックスとしてカルナバワックスを用いることにより、フィルミングを防止することができる。
従って、本発明の昇華転写染色方法及びこれに用いるトナーは、フィルミング現象及びトナーの凝集を抑制することができることから、優れた現像特性を有し、接触型もしくは非接触型の乾式現像方式、特にフルカラー大判プリンターを用いた画像形成においても、カブリが殆ど無く、濃度ムラ、掃きムラ、画像メモリ(ゴースト)等の画像欠陥が無い優れたトナー画像を有する中間記録媒体を得る事が可能となった。これに伴い、中間記録媒体上のトナー中に含有される昇華性染料を高い転写効率で被染色物に昇華転写させた場合でも白地汚染及び染め斑を抑制することができるため、染色濃度が高く、且つ白地汚染及び染め斑の無い高品質の染色物を提供できるようになった。
以下、本発明について詳細に説明する。特に断りがない限り、本明細書においては実施例等も含めて「部」は質量部を、「%」は質量%をそれぞれ意味する。
本発明の昇華転写染色方法に用いるトナーは、少なくともポリエステル樹脂、昇華性染料、少なくとも1種類の油溶性染料及びカルナバワックスを含有する。
上記のポリエステル樹脂としては、特に限定されないが、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸とを重縮合反応等を行うことによって得られる樹脂が挙げられる。
上記の多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等のような2価アルコールが挙げられる。また、3価以上のアルコールとしては、例えばグリセリン、ソルビトール、1,4−ソルビタン、2−メチルプロパントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。これらの中では、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリンが好ましい。これらの多価アルコールは、1種類又は2種類以上を混合して使用してもよい。
上記の多価カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、メサコニン酸等が挙げられる。また、これらジカルボン酸の二塩基酸塩や酸無水物、炭素数1〜6の低級アルキルエステルのような誘導体を用いても良い。これらの中では、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が好ましい。これらの多価カルボン酸は、1種類又は2種類以上を混合して使用してもよい。
ポリエステル樹脂の原料としては、必要により、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪族モノカルボン酸;分岐や不飽和基を有する脂肪族モノカルボン酸;オクタノール、デカノール、ドデカノール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等の脂肪族モノアルコール;安息香酸、ナフタレンカルボン酸等の芳香族モノカルボン酸が挙げられる。
また、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多官能カルボン酸を適宜用いて主鎖同士の架橋をし、ゲル化をすることで、高温オフセットに強い樹脂を合成できる。
ポリエステル樹脂の総質量中における、上記「多価アルコール」、「多価カルボン酸」、及び「ポリエステル樹脂の原料」の各含有量は特に限定されない。
上記ポリエステル樹脂は製造しても良いし、市販品として入手したものを使用してもよい。
ポリエステル樹脂を製造する時は、その製造方法は特に限定されず、公知の方法であればいずれも使用することができる。その一例としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法等が使用できる。また、これら複数の重合法でそれぞれ製造された樹脂を混合してもよい。
市販品として入手できるポリエステル樹脂の例としては、ポリエステルとして三菱レーヨン株式会社製のダイヤクロン FC−316、ダイヤクロン FC−489、ダイヤクロン FC−611、ダイヤクロン FC−684、ダイヤクロン FC−1224、ダイヤクロン FC−1233、ダイヤクロン FC−1565、ダイヤクロン FC−2232、ダイヤクロン FC−316等が挙げられる。
上記トナー中に含有するポリエステル樹脂の含有量は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ポリエステル樹脂の含有量の目安としては、トナーの総質量に対して通常59.5〜96%、好ましくは64.3〜96%、より好ましくは69.2〜88.2%である。
また、外添剤を併用するときは、樹脂の含有量の目安としては、トナーの総質量に対して通常59.5〜94%、好ましくは64.3〜93.1%である。
ポリエステル樹脂の含有量が少なすぎるとトナー中の染料の分散不良による、トナーの電気特性の低下を;また、多すぎると染色時における染色濃度の低下を;それぞれ生じることがある。
上記の昇華性染料とは、昇華転写適性のある染料を意味する。
昇華転写適性のある染料としては、「乾熱処理に対する染色堅ろう度試験方法[JIS L 0879:2005](2010年 確認、平成17年1月20日 改定、 財団法人日本規格協会 発行)」における、感熱処理試験(C法)汚染(ポリエステル)の試験結果が、通常3−4級以下、好ましくは3級以下の染料が挙げられる。そのような染料としては、例えば以下の染料が挙げられる。
イエロー染料としては、C.I.ディスパースイエロー3、7、8、23、39、51、54、60、71、86;C.I.ソルベントイエロー114、163;等が挙げられる。
オレンジ染料としては、C.I.ディスパースオレンジ1、1:1、5、20、25、25:1、33、56、76;等が挙げられる。
ブラウン染料としては、C.I.ディスパースブラウン2;等が挙げられる。
レッド染料としては、C.I.ディスパースレッド11、50、53、55、55:1、59、60、65、70、75、93、146、158、190、190:1、207、239、240;C.I.バットレッド41;等が挙げられる。
バイオレット染料としては、C.I.ディスパースバイオレット8、17、23、27、28、29、36、57;等が挙げられる。
ブルー染料としては、C.I.ディスパースブルー19、26、26:1、35、55、56、58、64、64:1、72、72:1、81、81:1、91、95、108、131、141、145、359、360;C.I.ソルベントブルー3、63、83、105、111;等が挙げられる。
上記した染料は、いずれも単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
これらの中ではC.I.ディスパースイエロー54、C.I.ディスパースレッド60、及びC.I.ディスパースブルー359よりなる群から選択される染料が好ましい。
また、複数の染料を配合し、例えばブラックのように元の染料とは全く異なる色相を得ることも好ましく行われる。この時は、例えばブルー染料を主体にイエロー染料、及びレッド染料を適宜配合することによりブラック染料とすることができる。
さらに、例えばブルー、イエロー、オレンジ、レッド、バイオレット、又はブラック等の色調を、より好みの色調に微調整する目的;又は、中間色を得る目的;等により、複数の染料を配合してもよい。
上記トナーに含有する昇華性染料の含有量は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。昇華性染料の含有量の目安としては、トナーの総質量に対して通常1〜40%、好ましくは2〜35%、より好ましくは3〜25%である。
昇華性染料の含有量が少なすぎると染色濃度の低下が見られ、多すぎるとトナー中での昇華性染料の分散不良が起こり、トナーの電気特性が低下することがある。
上記トナーは、昇華性染料以外に、少なくとも1種類の油溶性染料を含有することにより、より顕著なフィルミング現象、及びトナー凝集の改善効果を得ることができる。
上記の油溶性染料としては特に制限されないが、該油溶性染料は、上記の昇華性染料を含まない、該昇華性染料とは異なる染料である。その一例としては、例えばC.I.(カラーインデックス)Solvent若しくはDisperseに分類される染料のうち、上記の昇華性染料以外の染料が挙げられる。
特に好ましい油溶性染料としては、下記式(1)及び式(2)から選択される染料が挙げられる。
Figure 2015158560
Figure 2015158560
昇華性染料としてブルー昇華性染料を用いたシアントナーの場合、油溶性染料の添加量は、ブルー昇華性染料の総質量に対して、好ましくは30〜140%、より好ましくは50〜90%の範囲である。
昇華性染料としてイエロー昇華性染料を用いたイエロートナーの場合、油溶性染料の添加量は、イエロー昇華性染料の総質量に対して、好ましくは25〜115%、より好ましくは40〜80%の範囲である。
昇華性染料としてマゼンタ昇華性染料を用いたマゼンタトナーの場合、油溶性染料の添加量は、マゼンタ昇華性染料の総質量に対して、好ましくは35〜135%、より好ましくは50〜90%の範囲である。
昇華性染料としてブラック用混合昇華性染料を用いたブラックトナーの場合、油溶性染料の添加量は、昇華性染料の総質量に対して、好ましくは30〜95%、より好ましくは35〜70%の範囲である。
昇華転写染色方法に用いられるトナーにおいて、ワックスは、一般に定着時におけるトナー界面と定着ローラとの間で剥離剤として働き、これによりオイルレス(定着ローラに、例えばオイルのような離型剤を塗布しない方法)でも耐ホットオフセット性を良好なものとする。ワックスとしては、多種類のものが知られているが、フィルミング現象、及びトナー凝集を抑制するためには、少なくともカルナバワックスを含有させることが必要である。
特に、電子写真方式により長時間の連続印刷を行うと、時間の経過に伴い感光体上にフィルミング現象が生じ、これにより中間記録媒体の白地汚染や濃度ムラ、掃きムラ等の画像欠陥を引き起こすようになる。フィルミング現象を改善させるためにはカルナバワックスの添加が必須である。市販品として入手できるカルナバワックスの例としては、株式会社加藤洋行製のカルナバワックスC1、カルナバワックスC2等が挙げられる。
ワックスは、少なくともカルナバワックスを含有する限りにおいて、単独で使用してもよいし、カルナバワックスと他のワックスとを併用してもよい。これらの中では前者が好ましい。
カルナバワックスと併用し得る他のワックスの具体例としては、例えば、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス;等の天然ワックス;フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。
さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド;低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等);側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子、等をワックスとして用いてもよい。
これらの中では合成炭化水素ワックス、合成ワックスが好ましい。
上記ワックスの融点としては、50〜160℃が好ましく、70〜120℃がより好ましい。
上記ワックスの溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。
溶融粘度が5cps未満であると離型性が低下することがあり、1000cpsを超えると耐ホットオフセット性及び/又は低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
上記トナーに含有するワックスの含有量は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。目安としてのワックスの含有量は、トナーに含有する上記可塑性樹脂の総質量に対して通常0.5〜20%、好ましくは1.0〜10%である。
ワックスの含有量が0.5%未満であると定着ローラへのオフセットが起こり、20%を超えると、遊離ワックスによる感光体へのフィルミングや現像ローラの汚染、中間記録媒体に対する定着不良が見られる。
上記のトナーは、必要に応じて荷電制御剤、外添剤等をさらに含有してもよい。
上記荷電制御剤としては、特に制限はなく、公知の荷電制御剤の中から適宜選択することができる。
その具体例としては、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、等が挙げられる。
上記した荷電制御剤は、いずれも単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
市販品として入手できる荷電制御剤の例としては、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のボントロンE−82、サリチル酸系金属錯体のボントロンE−84、フェノール系縮合物のボントロンE−89、アゾ系鉄錯体又は錯塩のボントロンT−77(以上、オリエント化学工業社製);第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製);第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージNEG VP2036、コピーチャージNX VP434(以上、ヘキスト社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製);等が挙げられる。
上記トナーに含有する荷電制御剤の含有量は特に制限はなく、適宜選択することができる。その含有量は、上記の樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することは困難である。しかし、荷電制御剤の含有量の目安としては、トナーが含有する上記樹脂の総質量に対して、通常0.1〜10%、好ましくは0.2〜5%である。
荷電制御剤の含有量が0.1%未満であると、帯電制御性が得られないことがある。また、10%を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、荷電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、トナーの流動性の低下や、画像濃度の低下を招くことがある。
上記外添剤は、トナー粒子に流動性、現像性、帯電性等を付与する目的として使用することができる。外添剤としては特に制限はなく、公知の外添剤の中から適宜選択することができる。
外添剤の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、等が挙げられる。これらの中ではシリカ、酸価チタン、チタン酸ストロンチウムが好ましく;シリカ、チタン酸ストロンチウムがより好ましい。
上記した外添剤は、いずれも単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記外添剤の一次粒子径としては、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、上記外添剤のBET法による比表面積としては、20〜500m2/gが好ましい。
市販品として入手できる外添剤の例としては、例えば、シリカとして日本アエロジル株式会社製のAEROSIL R812、AEROSIL RX50、AEROSIL RY50、AEROSIL RX200、AEROSIL RX300、キャボットジャパン株式会社製のTG−6110G、TG−810G、TG−811F、クラリアントジャパン株式会社製のH2000/4、H2000T、H05TM、H13TM、H20TM、H30TM等;アルミナとして日本アエロジル株式会社製のAEROXIDE Alu C 805等;酸価チタンとしてチタン工業株式会社製のSTT−30A、EC−300、日本アエロジル株式会社製のAEROXIDE TiO T805、AEROXIDE TiO NKT90等;チタン酸ストロンチウムとしては富士チタン社製のST、CT、HST−1、HPST−1、HPST−2、チタン工業株式会社製のSW−100、SW−50C、SW−100C、SW−200C、SW−320C等;等が挙げられる。
上記トナーに含有する外添剤の含有量としては特に制限はなく、適宜選択することができる。外添剤の含有量の目安としては、トナーの総質量に対して通常0.01〜5.0%、好ましくは0 .01〜4.0%である。
外添剤の含有量が0.01%未満であると、流動性、帯電性が得られないことがある。また、10%を超えると、トナー粒子から外添剤が剥離する割合が大きくなり、帯電不良や、剥離した外添剤による感光体へのフィルミングを招くことがある。
上記トナーの体積平均粒子径(D50 Vol.)としては特に制限されないが、通常4μm〜12μm、好ましくは5μm〜10μm、より好ましくは6μm〜10μmである。
なお、平均粒子径は、精密粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製、Mulitisizer 4)を用いて測定し、特に断りのない限り、測定値の小数点以下を四捨五入して記載する。
上記トナーの製造方法について説明する。
トナーの製造方法としては、混練、粉砕、分級の工程を経て作製する粉砕法;重合性のモノマーを重合させ、同時に形状や大きさを制御しながらトナーの粒子形成を行う重合法(例えば、乳化重合法、溶解懸濁法、乳化会合法、ポリエステル伸張法等);等の、公知の製造方法が挙げられる。
一例として、粉砕法によるトナーの製造方法は、下記の製造工程1〜4の4つの工程を含むのが一般的である。
「製造工程1(混合工程)」
染料、樹脂、及び必要に応じて荷電制御剤、ワックス等をヘンシェルミキサー等の混合機で混合し、染料−樹脂混合物を得る工程。
「製造工程2(混練工程)」
製造工程1で得られた染料−樹脂混合物を、密閉式ニーダー;又は、1軸もしくは2軸の押出機;等で溶融混練し、冷却して樹脂組成物を得る工程。
「製造工程3(粉砕・分級工程)」
製造工程2で得られた樹脂組成物を、ハンマーミル等で粗粉砕した後、ジェットミル等で微粉砕し、必要に応じて各種分級機やサイクロンを用いて目標とする粒度分布になる様に分級してトナー母粒子を得る工程。
「製造工程4(外添処理工程)」
製造工程3で得られたトナー母粒子に、外添剤を添加してヘンシェルミキサー等で混合し、トナーを得る工程。
トナーを用いた電子写真方式では、一般に下記(1)〜(3)の操作により、中間記録媒体への画像の形成が行われる。
(1)感光ドラム等の潜像担持体上に露光によって形成された静電潜像を、トナーを用いた現像剤により現像し、トナー像を形成する。
(2)得られたトナー像を一旦中間転写部材に転写し、次いで紙等の中間記録媒体に転写することにより、中間記録媒体上にトナー画像を形成する。但し、中間転写部材を用いず、直接紙などの中間記録媒体に転写することもできる。
(3)得られた中間記録媒体を定着器によって加熱、加圧し、中間記録媒体上に形成されたトナー画像を中間記録媒体に定着する。
これにより、中間記録媒体への画像の形成が完了する。
定着器としては、ヒータを備える1対のローラに用紙を挟んで、ローラの回転により用紙を搬送しつつ、加熱及び加圧を行うものが一般的であるが、特に限定されない。ローラの表面温度は、ヒータによって通常90〜190℃程度に加熱される。
定着器はクリーニング機能を備えるものであってもよい。クリーニングの方法としては、シリコーンオイルをローラに供給してクリーニングする方法;シリコーンオイルを含浸したパッド、ローラ、ウェッブ等でローラをクリーニングする方法;等が挙げられる。
昇華転写染色方法としては、上記の中間記録媒体に、例えば公知の電子写真方式でトナーを付着させてトナー画像を形成した後、中間記録媒体のトナー付着面と被染色物とを重ね合わせてから、通常190〜210℃程度で熱処理することにより、トナー中の昇華性染料を中間記録媒体から被染色物へ転写染色させて、中間記録媒体の上記トナー画像を被染色物へ昇華転写する染色方法が挙げられる。
中間記録媒体としては、特に制限はなく、公知の紙・板紙などの中から適宜選択することができる。
その具体例としては、例えば、アイボリー、アスファルト紙、アート紙、色板紙、色上質紙、インクジェット用紙、印刷せんか紙、印刷用紙、印刷用紙A、印刷用紙B、印刷用紙C、印刷用紙D、インディアンペーパー、薄葉印刷紙、薄葉和紙、裏カーボン紙、エアメールペーパー、衛生用紙、エンボス紙、OCR用紙、オフセット用紙、カード用厚紙、化学繊維紙、加工用紙、画仙紙、型紙、片つやクラフト紙、壁紙原紙、紙糸原紙、紙ひも原紙、感圧複写紙、感光紙、感熱紙、雁皮紙、缶用板紙、黄板紙、擬革紙、切符用紙、機能紙、キャストコート紙、京花紙、局紙、金属蒸着紙、金属はく紙、グラシン、グラビア用紙、クラフト紙、クラフト伸張紙、クラフトボール、クレープ紙、軽量コート紙、ケーブル用絶縁紙、化粧板用原紙、建材原紙、ケント紙、研摩原紙、合成紙、合成繊維紙、コート紙、コンデンサ紙、雑種紙、更紙、さらしクラフト紙、ジアゾ感光紙、紙管原紙、磁気記録用紙、紙器用板紙、辞典用紙、遮光紙、重袋用両更クラフト紙、純白ロール紙、証券用紙、障子紙、上質紙、情報用紙、食品容器原紙、書籍用紙、書道用紙、白板紙、白ボール、新聞巻取紙、吸取紙、水溶紙、図面用紙、筋入りクラフト紙、すの目紙、スピーカーコーン紙、静電記録用紙、生理用紙・紙綿用紙、積層板原紙、石こうボード原紙、接着紙原紙、セミ上質紙、セメント袋用紙、セラミックペーパー、ソリッドファイバーボード、ターフェルト原紙、ターポリン紙、耐アルカリ紙、耐火紙、耐酸紙、耐油紙、タオル用紙、檀紙、段ボール、段ボール原紙、地図用紙、チップボール、中質紙、中性紙、ちり紙、つや消しアート紙、ティーバック用紙、ティッシュペーパー、電気絶縁紙、典具帖、貼合紙、転写紙、トイレットペーパー、統計機カード用紙、謄写版原紙、塗工印刷用紙、塗工紙原紙、鳥の子、トレーシングペーパー、中しん原紙、ナプキン原紙、難燃紙、NIP用紙、荷札用紙、粘着紙、ノーカーボン紙、はく離紙、ハトロン紙、バライタ紙、パラフィン紙・ろう紙、バルカナイズドファイバー、半紙、PPC用紙、筆記用紙、微塗工印刷用紙、フォーム用紙・連続伝票用紙、複写原紙、プレスボード、防湿紙、奉書紙、防水紙、防せい紙、包装用紙、ボンド紙、マニラボール、美濃紙・書院紙、ミルクカートン原紙、模造紙、油紙、吉野紙、ライスペーパー・シガレットペーパー、ライナー・ライナ、硫酸紙、両更クラフト紙、ルーフィング原紙、ろ紙、和紙、ワニスペーパー、ワンプ、軽量紙、風乾紙、湿潤強力紙、無灰紙、無酸紙、無仕上紙又は板紙、二層紙又は板紙、三層紙又は板紙、多層紙又は板紙、無サイズ紙、サイズ紙、ウーブペーパー、木目紙又は板紙、マシン仕上げ紙又は板紙、マシン光沢仕上げ紙又は板紙、プレート光沢仕上げ紙又は板紙、摩擦光沢仕上げ紙又は板紙、カレンダ処理紙又は板紙、スーパーカレンダ処理紙、ラミン(紙又は板紙)、片面着色紙又は板紙、両面着色紙又は板紙、ツインワイヤ紙又は板紙、ラグペーパー、オールラグペーパー、機械パルプ紙又は板紙、混合わらパルプ紙又は板紙、水仕上げ紙又は板紙、チップボール、合せチップボール、ミルボード、強光沢ミルボード、同質板紙、機械パルプ板紙、褐色機械パルプ板紙、褐色混合パルプ板紙、擬革板紙、石綿板紙、フェルトボード、タール褐色紙、ウォータリーフペーパー、表面サイズ紙、プレスパン、プレス用紙、しわ付き仕上げ紙、はり合せアイボリー、ブレード塗工紙、ロール塗工紙、グラビア塗工紙、サイズプレス塗工紙、ブラッシュ塗工紙、エアナイフ塗工紙、押出塗工紙、ディップ塗工紙、カーテン塗工紙、ホットメルト塗工紙、溶剤塗工紙、エマルション塗工紙、バブル塗工紙、イミテーションアート紙、聖書用紙、ポスター用紙、包装用ティシュ、原紙、カーボン原紙、ジアゾ感光紙原紙、写真用印画紙原紙、冷凍食品用紙原紙:直接接触紙用、冷凍食品用紙原紙:非接触紙用紙、安全紙、銀行券用紙、絶縁紙又は板紙、ラミネート絶縁体用紙、ケーブル用電気絶縁紙、靴底用板紙、織物紙管用紙、紋紙又は板紙、圧搾用板紙、製本用板紙、衣服箱用板紙、紙型用紙、記録用紙、クラフトライナー、検定済みライナー、クラフト張りライナー、古紙ライナー、封筒用紙、折畳み箱用板紙、塗工折畳み箱用板紙、さらしパルプ裏打ち折畳み箱用板紙、タイプライタ用紙、謄写版複写用紙、スピリット複写用紙、カレンダロール用紙、薬きょう用紙、波形加工用紙、波形加工紙、二層タール紙、強化二層タール紙、布張り紙又は板紙、布しん紙又は板紙、補強紙又は補強板紙、張合せ板紙、カートンコンパクト、上張り、ウェットクレープ、索引カード、ノーカーボンフォーム用紙、封筒、郵便はがき、絵入りはがき、郵便書簡、絵入り郵便書簡等;及び、セロハン;等が挙げられる。
これらの紙・板紙などの内、セルロースを含有する紙がより好ましい。それらの中でも、トレーシングペーパー;ボンド紙;グラシン;硫酸紙;パラフィン紙・ろう紙;耐油紙;コンデンサ紙;ワニスペーパー;等が特に好ましく挙げられる。
被染色物質としては、疎水性繊維(又は、その構造物である布等);PETフィルムやPETシートを代表とする疎水性樹脂からなるフィルムやシート等;疎水性樹脂がコーティングされた布帛、ガラス、金属、陶器等が挙げられる。
疎水性繊維、及び疎水性樹脂としては特に制限は無いが、具体例としては、例えば、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリアクリル繊維等の疎水性繊維及びこれらの繊維を含有する混紡繊維;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリエステル/ポリウレタン複合樹脂等の疎水性樹脂;等が挙げられる。
これらの中ではポリエステル繊維及びこれを含有する混紡繊維、ポリエステル樹脂、及びポリエステル/ポリウレタン複合樹脂が好ましい。
本発明の昇華転写染色方法に用いられるトナーにより、昇華転写染色方法において、トナーの凝集、及び、とりわけフィルミング現象を改善することができる。従って、電子写真方式によってトナーを中間記録媒体に付着させ、該中間記録媒体に付着させたトナーが含有する染料を、染色される物質に昇華転写させることにより染色を行う昇華転写染色方法において、ポリエステル樹脂、昇華性染料、少なくとも1種類の油溶性染料又は分散染料及びカルナバワックスを含有するトナーを用いる、フィルミング現象、及びトナー凝集の改善方法も本発明の範囲に含まれる。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。また、1回の操作で目的とする物質の量が得られなかったときは、目的とする量の物質が得られるまで同じ操作を繰り返し行った。
実施例中、体積平均粒子径(D50 Vol.)は、精密粒度分布測定装置「Mulitisizer 4(ベックマン・コールター株式会社製)」を用いて測定した。
[実施例1]
三菱レイヨン株式会社製のダイヤクロン FC−489(96部)、日本化薬株式会社製のC.I.ディスパースブルー359(14部)、上記式(2)で表される染料(10部)、ボントロン E−84(1部)、カルナバワックスC1(3部)をヘンシェルミキサーにて30m/秒の回転速度で10分間予備混合した後、二軸押出機により溶融混練した。得られた溶融混練物を粉砕・分級機を用いて粉砕・分級することにより、体積平均粒子径が7.9μmのトナー母粒子を得た。得られたトナー母粒子(100部)、日本アエロジル社製のRX50(1部)、日本アエロジル社製のR812(1部)、SW−100(1部)をヘンシェルミキサーに入れ、30m/秒の回転速度で10分間撹拌し、実施例1のシアントナー「T1」を得た。
[実施例2]
実施例1で用いたC.I.ディスパースブルー359(14部)及び上記式(2)で表される染料(10部)に代えて、C.I.ディスパースレッド60(10部)及び上記式(2)で表される染料(7部)を用いる以外は実施例1と同様にして、実施例2のマゼンタトナー「T2」を得た。
[実施例3]
実施例1で用いたC.I.ディスパースブルー359(14部)及び上記式(2)で表される染料(10部)に代えて、C.I.ディスパースイエロー54(5部)及び上記式(1)で表される染料(3部)を用いる以外は実施例1と同様にして、実施例3のイエロートナー「T3」を得た。
[実施例4]
実施例1で用いたC.I.ディスパースブルー359(14部)及び上記式(2)で表される染料(10部)に代えて、C.I.ディスパースイエロー54(2部)、C.I.ディスパースブルー72(12部)、C.I.ディスパースレッド60(6部)の混合物(20部)及び上記式(1)及び式(2)で表される染料の混合物(10部:式(1)及び式(2)の混合比率は1/4)を用いる以外は実施例1と同様にして、実施例4のブラックトナー「T4」を得た。
[比較例1]
実施例1〜実施例4で用いた式(1)及び/又は式(2)で表される染料を、それぞれ使用しない以外は実施例1と同様にして、比較例1のシアントナー「CT1」、マゼンタトナー「CT2」、イエロートナー「CT3」、ブラックトナー「CT4」をそれぞれ得た。
[比較例2]
実施例1〜実施例4で用いた式(1)及び/又は式(2)で表される染料を、それぞれ表1に記載した部数に代える以外は実施例1〜実施例4と同様にして、各色が2種類ずつである、比較例2のシアントナー「CT5」及び「CT6」、マゼンタトナー「CT7」及び「CT8」、イエロートナー「CT9」及び「CT10」、ブラックトナー「CT11」及び「CT12」をそれぞれ得た。
[比較例3]
実施例4で用いたカルナバワックスの代わりに、表1に記載したワックスを用いる以外は実施例4と同様にして、比較例3の4種類のブラックトナー「CT13」、「CT14」、「CT15」及び「CT16」をそれぞれ得た。
下記表1中の略号等は、以下の意味を表す。
FC489:三菱レーヨン株式会社製、ダイヤクロンFC489。
DispB359:C.I.ディスパースブルー359。
DispB72:C.I.ディスパースブルー72。
DispR60:C.I.ディスパースレッド60。
DispY54:C.I.ディスパースイエロー54。
式(1):上記式(1)で表される油溶性染料。
式(2):上記式(2)で表される油溶性染料。
E−84:オリエント化学株式会社製、E−84。
C−1:加藤洋行株式会社製のカルナバワックス C−1。
100TS:三洋化成株式会社製のポリプロピレン系ワックス、ユーメックス100TS。
WEP8:日本油脂株式会社製のエステルワックス、エレクトールWEP8。
FT115:日本精蝋株式会社製の合成FTワックス、FT115。
リコワックス E:クラリアント ジャパン 株式会社製のモンタンワックス、リコワックス E。
RX50:日本アエロジル株式会社製のシリカ、RX50。
R812:日本アエロジル株式会社製のシリカ、R812。
SW−100:チタン工業株式会社製のチタン酸ストロンチウム、SW−100。
D50 Vol.:体積平均粒子径、単位はμm。
Figure 2015158560
上記の実施例及び比較例の各トナーを用いて、下記する方法にて耐刷前後の評価を行った。評価結果を表2に示す。
[A.初期評価試験]
評価例1[平均帯電量及び染色濃度]
上記実施例及び比較例で得た各トナーの初期の平均帯電量(下記表2中の「帯電量1」に相当する。)を電界飛翔式帯電量測定器を用いて測定した。測定結果を表2に示す。
乾式非磁性1成分現像方式印刷機(桂川電気株式会社製:KIPc7800)に、上記実施例及び比較例で得た各トナーをそれぞれ充填した。中間記録媒体としてA0判のボンド紙を用いて、解像度:600pixel/inch、定着温度:135℃、現像バイアス:200Vの条件でベタ画像を印刷し、各トナーが付着した中間記録媒体(ボンド紙)をそれぞれ得た。
得られた各中間記録媒体のトナー付着面と、被染色物として100%ポリエステル繊維で構成されているダブルピケ(目付90g/m2)とを重ね合わせた後、熱プレス機(太陽精機株式会社製:トランスファープレス機TP−600A2)を用いて195℃×60秒の条件にて熱処理することにより、昇華転写染色方法により染色された該ダブルピケの染色物をそれぞれ得た。
得られた各染色物の染色部分を分光光度計「スペクトロアイ(グレタグマクベス社製)」を用いて測色し、染色濃度(下記表2中の「染色濃度1」に相当する。)を測定した。染色濃度は1.35以上であれば、良好であることを示す。測定結果を表2に示す。
[B.耐熱試験]
テスト方法:各実施例及び比較例で得たトナー5gをそれぞれ計量し、スクリュウ栓のついたガラス製サンプル瓶に入れた後、50℃±0.5℃のインキュベーター中に24時間放置することにより、各被検サンプルを調製した。得られた被検サンプルを室温に戻した後、耐熱性をトナー凝集の状態により、下記A〜Eの評価基準で評価した。結果を下記表2に示す。
[耐熱評価基準]
A;サンプル瓶を逆さにすると、トナーは全く凝集せずに落下する。
B;サンプル瓶を逆さにするとトナーは30秒以内に落下する。僅かに軟凝集塊が認められるが、指で軽く押すと容易に解砕され、固化した凝集塊はない。
C:サンプル瓶を逆さにするとトナーは1分以内で落下する。明らかに軟凝集塊が認められるが、指で押すと解砕され、固化した凝集塊はない。
D:サンプル瓶を逆さにして1分を経過してもトナーは自然落下しない。瓶の底を軽くたたくとトナーは落下するが、硬い凝集塊が認められ、指で押して解砕しても、固化した数mm以下程度の小さい凝集塊が残存する。
E:サンプル瓶を逆さにして1分を経過してもトナーは自然落下しない。瓶の底をたたくとトナーは落下するが、硬い凝集塊が認められ、指で押して解砕しても、固化した数mm程度の凝集塊が残存する。
[C.耐刷後の評価]
評価例2[画像評価]
上記の評価例1において、中間記録媒体を得た後、C/W比が20%で1000枚の連続印刷を行った。以下の実施例において、「耐刷後」とは、この「1000枚の連続印刷を行った後」を意味する。この後、上記評価例1と同様にして、ベタ画像を印刷し、耐刷後の各トナーが付着した中間記録媒体(ボンド紙)をそれぞれ得た。なお、上記「C/W比20%」は、各色のB/W比が5%で4色同時に印刷するため、20%となる。 得られた各中間記録媒体の掃きムラと画像メモリの有無を目視にて観察し、以下の評価基準に従って画像を評価した。評価結果を下記表2に示す。
[画像評価基準]
A:掃きムラ、画像メモリが無く、均一なベタ画像が得られている。
B:掃きムラ、画像メモリが僅かに観察される。
C:掃きムラ、画像メモリが明らかに観察される。
D:非常に目立つ程の掃きムラ、画像メモリが明確に観察される。
評価例3[耐刷後の平均帯電量及び染色濃度]
評価例2における耐刷後の各トナーの平均帯電量(下記表2中の「帯電量2」に相当する。)を電界飛翔式帯電量測定器を用いて測定した。測定結果を表2に示す。
評価例2で得られた各中間記録媒体を用いて、評価例1と同じ昇華転写染色方法により、染色された該ダブルピケの染色物をそれぞれ得た。
得られた各染色物の染色濃度(下記表2中の「染色濃度2」に相当する。)を評価例1と同様にして測色した。測定結果を表2に示す。
評価例4[染色物の白地汚染の測色による評価]
評価例2で得られた各染色物の白地部分を分光光度計「スペクトロアイ(グレタグマクベス社製)」を用いて測色し、白地汚染の程度を測定した。測定値を表2に示す。
なお、染色を行う前のダブルピケを同様に測色したときの測定値は0.05であった。従って、この数値は白地汚染が全く無いことを意味する。
評価例5[染色物の白地汚染の目視による評価]
評価例4に用いた各染色物において、測色を行った白地部分の汚染具合を目視にて観察し、下記する4段階の基準で評価した。評価結果を表2に示す。
A:白地汚染がほとんど観察されない。
B:白地汚染が僅かに観察される。
C:白地汚染されていることが明らかに観察される。
D:激しく白地汚染されていることが明確に観察される。
評価例6[染色物の染めムラの目視による評価]
評価例4に用いた各染色物において、染めムラを目視にて観察し、下記する4段階の基準で評価した。評価結果を表2に示す。
A:染めムラが無い高品質の染色物が得られている。
B:染めムラが僅かに観察される。
C:染めムラが明らかに観察される。
D:激しく染めムラがあることが明確に観察される。
評価例7[現像ローラ並びに感光体のフィルミングの観察]
評価例2の耐刷後の現像ローラ及び感光体のフィルミングを目視にて観察し、下記する4段階の基準で評価した。評価結果を表2に示す。
A:フィルミングは発生していない。
B:僅かにフィルミングの発生が認められる。
C:フィルミングの発生が認められ、現像ローラ及び/又は感光体は、うっすらと白くなっている。
D:明らかにフィルミングが発生しており、現像ローラ及び/又は感光体が白くなっている。
Figure 2015158560
表2から明らかなように、実施例で得られたフルカラートナーは耐刷前後でトナーの帯電量の低下が小さく、また染色布の染色濃度変化が殆ど無いことから、比較例と比べて安定した品質の染色物を供給できることが分かった。
実施例で得られた耐刷後のベタ画像を印刷した中間記録媒体は、各比較例と比較して掃きムラや画像メモリが低減されており、より均一なベタ画像が得られることが分かった。
実施例で得られた耐刷後の染色物は白地部分の測色値が各比較例に比べて顕著に低いことが確認された。目視でも白地汚染がほとんど観察されないか、又は僅かに観察される程度であり、染色物の白地汚染を抑制できることが分かった。また、実施例で得られた耐刷後の染色物は染めムラが無く、各比較例と比べて高品質の染色物が得られることが分かった。
本発明の電子写真法を用いる昇華転写染色方法に用いるトナーは、トナーの凝集及びフィルミング現象を改善することができ、染色濃度が高く、且つ染め斑の無い高品質の染色物を提供することが可能であり、長期に用いても、現像ローラや感光体へのトナーフィルミングがなく、実用的に十分な性能を有するため、電子写真方式の昇華転写染色方法として極めて有用である。

Claims (7)

  1. 電子写真方式によってトナーを中間記録媒体に付着させ、該中間記録媒体に付着させたトナーが含有する染料を、染色される物質に昇華転写させることにより染色を行う昇華転写染色方法に用いるトナーであって、ポリエステル樹脂、昇華性染料、少なくとも1種類の油溶性染料及びカルナバワックスを含有する、該トナー。
  2. 前記昇華性染料がブルー昇華性染料であり、油溶性染料の添加量が、当該ブルー昇華性染料の総質量に対して30〜140質量%である、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記昇華性染料がイエロー昇華性染料であり、油溶性染料の添加量が、当該イエロー昇華性染料の総質量に対して25〜115質量%である、請求項1に記載のトナー。
  4. 前記昇華性染料がマゼンタ昇華性染料であり、油溶性染料の添加量が、当該マゼンタ昇華性染料の総質量に対して35〜135質量%である、請求項1に記載のトナー。
  5. 前記昇華性染料がブラック用混合昇華性染料であり、油溶性染料の添加量が、当該昇華性染料の総質量に対して30〜95質量%である、請求項1に記載のトナー。
  6. 電子写真方式によって請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナーを中間記録媒体に付着させ、該中間記録媒体に付着させたトナーが含有する染料を、染色される物質に昇華転写させることにより染色を行う昇華転写染色方法。
  7. 請求項6に記載の昇華転写染色方法により染色された物質。
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