JP2021138843A - インクジェット用インク及びインクジェット用インクの製造方法 - Google Patents
インクジェット用インク及びインクジェット用インクの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2021138843A JP2021138843A JP2020037748A JP2020037748A JP2021138843A JP 2021138843 A JP2021138843 A JP 2021138843A JP 2020037748 A JP2020037748 A JP 2020037748A JP 2020037748 A JP2020037748 A JP 2020037748A JP 2021138843 A JP2021138843 A JP 2021138843A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- graphene
- ink
- mass
- resin
- polycyclic aromatic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
- Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
- Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
- Ink Jet (AREA)
Abstract
【課題】吐出性に優れ、かつ画像濃度に優れる画像を形成できるインクジェット用インク及びインクジェット用インクの製造方法を提供する。【解決手段】インクジェット用インクは、グラフェンと、特定樹脂と、溶媒とを含有する。前記特定樹脂は、多環芳香族基を有する。インクジェット用インクの製造方法は、グラフェン粉末及び特定樹脂を溶融混練する溶融混練工程と、前記分散工程で得られた分散液からインクジェット用インクを調製する調製工程とを備える。前記特定樹脂は、多環芳香族基を有する。【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット用インク及びインクジェット用インクの製造方法に関する。
インクジェット用インク(特に、モノクロ印刷に用いるインクジェット用ブラックインク)には、画像濃度に優れる画像を形成できることが要求されている。このような要求に対して、顔料としてグラフェンを用いたインクジェット用インクが検討されている。グラフェンは、その特異な電気的特性に由来して不透明度が高いことが知られている。そのため、グラフェンを含有するインクジェット用インクは、画像濃度に優れる画像を形成できるとされている。グラフェンを含有するインクジェット用インクとして、例えば、表面に親水性基を有する置換グラフェンを含有するインクが提案されている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット用インクは、吐出性と、形成される画像の画像濃度とが不十分である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、吐出性に優れ、かつ画像濃度に優れる画像を形成できるインクジェット用インクを提供することである。
本発明に係るインクジェット用インクは、グラフェンと、特定樹脂と、溶媒とを含有する。前記特定樹脂は、多環芳香族基を有する。
本発明に係るインクジェット用インクの製造方法は、グラフェン粉末及び特定樹脂を溶融混練する溶融混練工程と、前記溶融混練工程で得られた混錬物を溶媒に分散させる分散工程と、前記分散工程で得られた分散液からインクジェット用インクを調製する調製工程とを備える。前記特定樹脂は、多環芳香族基を有する。
本発明に係るインクジェット用インク及びインクジェット用インクの製造方法は、吐出性に優れ、かつ画像濃度に優れる画像を形成できるインクジェット用インクを提供できる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、粉体の個数平均一次粒子径は、何ら規定していなければ、走査型電子顕微鏡を用いて測定した一次粒子の円相当径(ヘイウッド径:一次粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。粉体の個数平均一次粒子径は、例えば100個の一次粒子の円相当径の個数平均値である。なお、粒子の個数平均一次粒子径は、特に断りがない限り、粉体中の粒子の個数平均一次粒子径を指す。
本明細書では、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。また、アクリル酸及びメタクリル酸を包括的に「(メタ)アクリル酸」と総称する場合がある。
<第1実施形態:インク>
以下、本発明の第1実施形態に係るインクジェット用インク(以下、単にインクと記載することがある)を説明する。本発明に係るインクは、グラフェンと、特定樹脂と、溶媒とを含有する。特定樹脂は、多環芳香族基を有する。
以下、本発明の第1実施形態に係るインクジェット用インク(以下、単にインクと記載することがある)を説明する。本発明に係るインクは、グラフェンと、特定樹脂と、溶媒とを含有する。特定樹脂は、多環芳香族基を有する。
本発明のインクは、上述の構成を備えることにより、吐出性に優れ、かつ画像濃度に優れる画像を形成できる。その理由は以下の通りであると推察される。本発明のインクは、グラフェンを含有する。グラフェンは、その特異な電気的特性に由来して不透明度が極めて高いことが知られている。そのため、本発明のインクは、画像濃度に優れる画像を形成できる。一方、グラフェンは、本来は単層構造を有する平面的な分子であるが、π−π相互作用(スタッキング)によって複数のグラフェン分子が積層してグラフェン凝集体を形成し易い性質を有する。グラフェン凝集体は、粒子径が数百nm〜数μm程度と比較的大きい。そのため、グラフェンを含有する公知のインクは、グラフェン凝集体が形成されることにより、吐出性が低下し易い傾向がある。
本発明のインクは、グラフェンに加え、特定樹脂を含有する。特定樹脂は、本発明のインク中でのグラフェンの分散性を向上させる。詳しくは、特定樹脂は、多環芳香族基を有する。多環芳香族基は、疎水性が高く、かつグラフェンとπ−π相互作用を生じ易い。本発明のインクは、特定樹脂を含有することで、グラフェンが安定して分散できる疎水性の高い局所的環境が形成される。これにより、本発明のインクは、グラフェン凝集体の形成を抑制できる。以上から、本発明のインクは、吐出性に優れる。
本発明に係るインクによって画像を形成する記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙が好ましい。以下、本発明のインクについて、更に詳細に説明する。なお、以下に説明する各成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[グラフェン]
本発明のインクにおいて、グラフェンは、黒色顔料として機能する。グラフェンの個数平均一次粒子径としては、10nm以上50nm以下が好ましく、20nm以上30nm以下がより好ましい。
本発明のインクにおいて、グラフェンは、黒色顔料として機能する。グラフェンの個数平均一次粒子径としては、10nm以上50nm以下が好ましく、20nm以上30nm以下がより好ましい。
グラフェンとしては、例えば、非修飾グラフェン(炭素原子のみを含むグラフェン)及び修飾グラフェン(官能基で置換されたグラフェン)が挙げられる。修飾グラフェンが有する官能基としては、例えば、カルボキシ基、カルボニル及びヒドロキシ基が挙げられる。非修飾グラフェンは、青味がかった黒色を有する。修飾グラフェンは、赤味がかった黒色を有する。また、修飾グラフェンは、非修飾グラフェンよりも分散性に優れる。
グラフェンとしては、非修飾グラフェンが好ましい。ここで、非修飾グラフェンが有する青味がかった黒色は、人間の目には自然な黒色として認識される傾向がある。そのため、本発明のインクが非修飾グラフェンを含有することで、自然な黒色を有する画像を形成できる。なお、本発明のインクは、特定樹脂を含有することで、非修飾グラフェンを安定的に分散させることができる。
グラフェンの製造方法としては、例えば、グラファイトから粘着テープで剥離する方法、化学的気相成長法、Hummer法、液相剥離法及び気相剥離法が挙げられる。このうち、グラファイトから粘着テープで剥離する方法は、量産には適さない。化学的気相成長法は、大面積の単層グラフェンの製造に適した方法であるが、インクに用いる微小なグラフェンの製造方法としては適さない。Hummer法は、製造工程において酸化還元処理を行う。そのため、Hummer法では、多数の官能基(例えば、カルボニル基及びカルボキシ基)を有する修飾グラフェンが得られる。上述の通り、グラフェンとしては、修飾グラフェンよりも非修飾グラフェンが好ましい。以上から、グラフェンの製造方法としては、液相剥離法又は気相剥離法が好ましい。
本発明のインクにおけるグラフェンの含有割合としては、0.1質量%以上2.0質量%以下が好ましい。グラフェンの含有割合を0.1質量%以上とすることで、形成される画像の画像濃度をより向上できる。グラフェンの含有割合を2.0質量%以下とすることで、グラフェンの分散性を向上でき、本発明のインクの吐出性をより向上できる。
[特定樹脂]
特定樹脂は、多環芳香族基を有する。多環芳香族基としては、例えば、多環芳香族炭化水素から1個又は2個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。多環芳香族基としては、多環芳香族炭化水素から1個又は2個の水素原子を除いた基が好ましい。
特定樹脂は、多環芳香族基を有する。多環芳香族基としては、例えば、多環芳香族炭化水素から1個又は2個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。多環芳香族基としては、多環芳香族炭化水素から1個又は2個の水素原子を除いた基が好ましい。
多環芳香族炭化水素は、非置換の多環芳香族炭化水素でもよく、置換基(例えば、アルキル基)で置換された多環芳香族炭化水素でもよい。多環芳香族炭化水素としては、例えば、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、クリセン、ピレン及びトリフェニレンが挙げられる。多環芳香族炭化水素としては、ナフタレンが好ましい。
多環芳香族基としては、ナフチル基又はナフチレン基が好ましい。多環芳香族基がナフチル基又はナフチレン基を含むことで、特定樹脂のガラス転移点を低減できる。また、ナフチル基又はナフチレン基を含むモノマーは、比較的安価に入手できる。そのため、多環芳香族基がナフチル基又はナフチレン基を含むことで、特定樹脂の製造コストを低減できる。
特定樹脂は、親水性基を更に有することが好ましい。特定樹脂が親水性基を更に有することで、本発明のインク中での特定樹脂の分散性を向上できる。親水性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、及びエステル基(−COO−)が挙げられる。親水性基としては、ヒドロキシ基又はエステル基が好ましい。
特定樹脂としては、例えば、多環芳香族基を有するスチレン樹脂、多環芳香族基を有する(メタ)アクリル樹脂、多環芳香族基を有するスチレン−(メタ)アクリル樹脂、多環芳香族基を有するポリエステル樹脂、及び多環芳香族基を有するウレタン樹脂が挙げられる。ここで、スチレン樹脂は、スチレン単位を有する樹脂である。(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位を有する樹脂である。スチレン−(メタ)アクリル樹脂は、スチレン単位と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位とを有する樹脂である。
特定樹脂は、多環芳香族基を含むモノマーに由来する特定繰り返し単位を有することが好ましい。この場合、特定樹脂における特定繰り返し単位の含有割合は、5.0質量%以上25.0質量%以下が好ましい。特定繰り返し単位の含有割合を5.0質量%以上とすることで、本発明のインク中でのグラフェンの分散性をより向上できる。特定繰り返し単位の含有割合を25.0質量%以下とすることで、特定樹脂のガラス転移点を低減できる。
特定樹脂としては、多環芳香族基を有するスチレン−(メタ)アクリル樹脂、又は多環芳香族基を有するポリエステル樹脂が好ましい。以下、多環芳香族基を有するスチレン−(メタ)アクリル樹脂(以下、特定スチレン−(メタ)アクリル樹脂と記載することがある)、及び多環芳香族基を有するポリエステル樹脂(以下、特定ポリエステル樹脂と記載することがある)の詳細について説明する。
(特定スチレン−(メタ)アクリル樹脂)
特定スチレン−(メタ)アクリル樹脂は、特定繰り返し単位と、スチレン単位と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位とを有する。特定スチレン−(メタ)アクリル樹脂は、親水性基を含む繰り返し単位を更に有することが好ましい。
特定スチレン−(メタ)アクリル樹脂は、特定繰り返し単位と、スチレン単位と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位とを有する。特定スチレン−(メタ)アクリル樹脂は、親水性基を含む繰り返し単位を更に有することが好ましい。
(特定繰り返し単位)
特定スチレン−(メタ)アクリル樹脂において、特定繰り返し単位としては、例えば、多環芳香族基及び(メタ)アクリロイル基を含むモノマーに由来する繰り返し単位、並びに多環芳香族基及びビニル基を含むモノマーに由来する繰り返し単位が挙げられる。多環芳香族基及び(メタ)アクリロイル基を含むモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ナフチル(より具体的には、(メタ)アクリル酸1−ナフチル及び(メタ)アクリル酸2−ナフチル)が挙げられる。多環芳香族基及びビニル基を含むモノマーとしては、例えば、ビニルナフタレン(より具体的には、1−ビニルナフタレン及び2−ビニルナフタレン)が挙げられる。特定繰り返し単位としては、(メタ)アクリル酸2−ナフチルに由来する繰り返し単位が好ましい。
特定スチレン−(メタ)アクリル樹脂において、特定繰り返し単位としては、例えば、多環芳香族基及び(メタ)アクリロイル基を含むモノマーに由来する繰り返し単位、並びに多環芳香族基及びビニル基を含むモノマーに由来する繰り返し単位が挙げられる。多環芳香族基及び(メタ)アクリロイル基を含むモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ナフチル(より具体的には、(メタ)アクリル酸1−ナフチル及び(メタ)アクリル酸2−ナフチル)が挙げられる。多環芳香族基及びビニル基を含むモノマーとしては、例えば、ビニルナフタレン(より具体的には、1−ビニルナフタレン及び2−ビニルナフタレン)が挙げられる。特定繰り返し単位としては、(メタ)アクリル酸2−ナフチルに由来する繰り返し単位が好ましい。
特定スチレン−(メタ)アクリル樹脂において、特定繰り返し単位の含有割合としては、5.0質量%以上25.0質量%以下が好ましく、15.0質量%以上20.0質量%以下がより好ましい。
(スチレン単位)
特定スチレン−(メタ)アクリル樹脂において、スチレン単位の含有割合としては、15.0質量%以上65.0質量%以下が好ましく、30.0質量%以上50.0質量%以下がより好ましい。
特定スチレン−(メタ)アクリル樹脂において、スチレン単位の含有割合としては、15.0質量%以上65.0質量%以下が好ましく、30.0質量%以上50.0質量%以下がより好ましい。
((メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位)
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル及び(メタ)アクリル酸オクチルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ブチルが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル及び(メタ)アクリル酸オクチルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ブチルが好ましい。
特定スチレン−(メタ)アクリル樹脂において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位の含有割合としては、5.0質量%以上35.0質量%以下が好ましく、12.0質量%以上25.0質量%以下がより好ましい。
(親水性基を含む繰り返し単位)
親水性基を含む繰り返し単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルに由来する繰り返し単位が挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル及び(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが挙げられる。親水性基を含む繰り返し単位としては、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルに由来する繰り返し単位が好ましい。
親水性基を含む繰り返し単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルに由来する繰り返し単位が挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル及び(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが挙げられる。親水性基を含む繰り返し単位としては、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルに由来する繰り返し単位が好ましい。
特定スチレン−(メタ)アクリル樹脂において、親水性基を含む繰り返し単位の含有割合としては、5.0質量%以上45.0質量%以下が好ましく、15.0質量%以上25.0質量%以下がより好ましい。親水性基を含む繰り返し単位の含有割合を5.0質量%以上25.0質量%以下とすることで、特定スチレン−(メタ)アクリル樹脂を適度に分散させることができる。
特定スチレン−(メタ)アクリル樹脂としては、アクリル酸2−ナフチルに由来する繰り返し単位と、スチレン単位と、メタクリル酸2−ヒドロキシブチルに由来する繰り返し単位と、メタクリル酸ブチルに由来する繰り返し単位とを有する樹脂が好ましい。
特定スチレン−(メタ)アクリル樹脂の合成方法としては、例えば、溶媒に、各繰り返し単位を導入するモノマーと、重合促進剤(例えば、過硫酸カリウム)と、界面活性剤(例えば、アニオン界面活性剤)とを添加し、加熱状態で反応させる方法が挙げられる。溶媒としては、水が好ましい。
(特定ポリエステル樹脂)
特定ポリエステル樹脂は、1種以上の多価アルコールと1種以上の多価カルボン酸とを縮重合させることで得られる。
特定ポリエステル樹脂は、1種以上の多価アルコールと1種以上の多価カルボン酸とを縮重合させることで得られる。
特定ポリエステル樹脂を合成するための多価アルコールとしては、例えば、2価アルコール(例えば、ジオール化合物、及びビスフェノール化合物)、及び3価以上のアルコールが挙げられる。
特定ポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸としては、例えば、2価カルボン酸及び3価以上のカルボン酸が挙げられる。
なお、特定ポリエステル樹脂の合成では、多価カルボン酸の代わりに、縮重合によりエステル結合を形成できる多価カルボン酸誘導体(例えば、多価カルボン酸の無水物、多価カルボン酸のアルキルエステル及び多価カルボン酸ハライド)を使用してもよい。
特定ポリエステル樹脂の原料は、多環芳香族基を有する多価アルコール、又は多環芳香族基を有する多価カルボン酸を含む。特定ポリエステル樹脂の原料は、多環芳香族基を有する多価アルコールを含むことが好ましい。
多環芳香族基を有する多価アルコールとしては、例えば、ナフタレンジオール(より具体的には、1,3−ナフタレンジオール、1,4−ナフタレンジオール及び2,6−ナフタレンジオール)、ナフタレントリオール、アントラセンジオール及びアントラセントリオールが挙げられる。多環芳香族基を有する多価アルコールとしては、ナフタレンジオールが好ましい。
多環芳香族基を有する多価カルボン酸としては、例えば、ナフタレンジカルボン酸(より具体的には、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸)、ナフタレントリカルボン酸(より具体的には、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、及び1,2,4−ナフタレントリカルボン酸)、アントラセンジカルボン酸及びアントラセントリカルボン酸が挙げられる。
特定ポリエステル樹脂において、特定繰り返し単位(多環芳香族基を有する多価カルボン酸に由来する繰り返し単位又は多環芳香族基を有する多価アルコールに由来する繰り返し単位)の含有割合としては、5.0質量%以上25.0質量%以下が好ましく、15.0質量%以上25.0質量%以下がより好ましい。
特定ポリエステル樹脂の原料は、多環芳香族基を有しない多価アルコール及び多環芳香族基を有しない多価カルボン酸を更に含んでもよい。多環芳香族基を有しない多価アルコールとしては、例えば、多環芳香族基を有しないジオール化合物、多環芳香族基を有しないビスフェノール化合物、及び多環芳香族基を有しない3価以上のアルコールが挙げられる。多環芳香族基を有しない多価カルボン酸としては、例えば、多環芳香族基を有しない2価カルボン酸、及び多環芳香族基を有しない3価以上のカルボン酸が挙げられる。
多環芳香族基を有しないジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ペンテン−1,5−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、1,4−ベンゼンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
多環芳香族基を有しないビスフェノール化合物としては、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、及びビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
多環芳香族基を有しない3価以上のアルコールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及び1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
多環芳香族基を有しない多価アルコールとしては、エチレングリコール又は1,6−ヘキサンジオールが好ましい。
特定樹脂において、多環芳香族基を有しない多価アルコールに由来する繰り返し単位の含有割合としては、25.0質量%75.0質量%以下が好ましく、40.0質量%以上60.0質量%以下がより好ましい。
多環芳香族基を有しない2価カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(例えば、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、及びイソドデシルコハク酸)、及びアルケニルコハク酸(例えば、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、及びイソドデセニルコハク酸)が挙げられる。
多環芳香族基を有しない3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、及びエンポール三量体酸が挙げられる。
多環芳香族基を有しない多価カルボン酸としては、セバシン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム又はこれらの誘導体が好ましく、セバシン酸又は5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムがより好ましい。
特定樹脂において、多環芳香族基を有しない多価カルボン酸に由来する繰り返し単位の含有割合としては、5.0質量%40.0質量%以下が好ましく、10.0質量%以上25.0質量%以下がより好ましい。
特定ポリエステル樹脂としては、多環芳香族基を有する多価カルボン酸と、多環芳香族基を有しない多価カルボン酸と、多環芳香族基を有しない多価アルコールとの縮合物が好ましく、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルと、セバシン酸と、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムと、エチレングリコールと、1,6−ヘキサンジオールとの縮合物がより好ましい。
本発明のインクにおいて、特定樹脂の含有割合としては、0.5質量%以上8.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以上4.0質量%以下がより好ましい。特定樹脂の含有割合を0.5質量%以上とすることで、本発明のインク中でのグラフェンの分散性を向上できる。特定樹脂の含有割合を8.0質量%以下とすることで、本発明のインクの吐出性をより向上できる。
特定樹脂100質量部に対するグラフェンの含有量としては、10質量部以上25質量部以下が好ましく、20質量部以上25質量部以下がより好ましい。特定樹脂100質量部に対するグラフェンの含有量を10質量部以上とすることで、形成される画像の画像濃度を向上できる。特定樹脂100質量部に対するグラフェンの含有量を25質量部以下とすることで、グラフェンの分散性を向上できる。
[溶媒]
溶媒としては、例えば、水及び水溶性有機溶媒が挙げられる。溶媒としては、水が好ましい。
溶媒としては、例えば、水及び水溶性有機溶媒が挙げられる。溶媒としては、水が好ましい。
本発明のインクにおいて、溶媒の含有割合としては、20.0質量%以上80.0質量%以下が好ましく、40.0質量%以上60.0質量%以下がより好ましい。溶媒の含有割合を20.0質量%以上80.0質量%以下とすることで、本発明のインクの粘度を適度な範囲に調整することができる。
[界面活性剤]
本発明のインクは、界面活性剤を更に含有することが好ましい。界面活性剤は、本発明のインクの記録媒体に対する濡れ性を向上させる。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤が好ましい。ノニオン界面活性剤としては、ノニオン(メタ)アクリル樹脂、ノニオン(メタ)アクリル樹脂のプレポリマー、及びアセチレングリコール界面活性剤が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、アセチレングリコール界面活性剤が好ましい。
本発明のインクは、界面活性剤を更に含有することが好ましい。界面活性剤は、本発明のインクの記録媒体に対する濡れ性を向上させる。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤が好ましい。ノニオン界面活性剤としては、ノニオン(メタ)アクリル樹脂、ノニオン(メタ)アクリル樹脂のプレポリマー、及びアセチレングリコール界面活性剤が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、アセチレングリコール界面活性剤が好ましい。
ノニオン(メタ)アクリル樹脂としては、水溶性を有するノニオン(メタ)アクリル樹脂が好ましく、親水性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体がより好ましい。上述の親水性モノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールアクリレート、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、及びメタクリル酸エチルが挙げられる。上述の疎水性モノマーとしては、例えば、アクリル酸n−ブチル、ポリプロピレングリコールアクリレート、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベンジル、及びメタクリル酸ベンジルが挙げられる。
本発明のインクが界面活性剤を含有する場合、本発明のインクにおいて、界面活性剤の含有割合としては、0.05質量%以上2.0質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1.0質量%以下がより好ましい。界面活性剤の含有割合を0.05質量%以上2.0質量%以下とすることで、本発明のインクにより形成される画像について、オフセットの発生を抑制しつつ、画像濃度をより向上できる。
[保湿剤]
本発明のインクは、保湿剤を更に含有することが好ましい。保湿剤は、本発明のインクからの液体成分の揮発を抑制し、これによりインクの粘度を安定化させる。
本発明のインクは、保湿剤を更に含有することが好ましい。保湿剤は、本発明のインクからの液体成分の揮発を抑制し、これによりインクの粘度を安定化させる。
保湿剤としては、例えば、アルキレングリコール及びグリセリンが挙げられる。アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、1,3−ブタンジオール、及び1,5−ペンタンジオールが挙げられる。保湿剤としては、グリセリンが好ましい。
本発明のインクが保湿剤を含有する場合、本発明のインクにおいて、保湿剤の含有割合としては、0.5質量%以上8.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以上4.0質量%以下がより好ましい。保湿剤の含有割合を0.5質量%以上8.0質量%以下とすることで、本発明のインクの粘度をより安定化できる。
[浸透剤]
本発明のインクは、浸透剤を更に含有することが好ましい。浸透剤は、記録媒体に対する本発明のインクの浸透性を向上させる。浸透剤としては、例えば、1,2−へキシレングリコール、1,2−オクタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。浸透剤としては、3−メチル−1,5−ペンタンジオール又はトリエチレングリコールモノエチルエーテルが好ましい。
本発明のインクは、浸透剤を更に含有することが好ましい。浸透剤は、記録媒体に対する本発明のインクの浸透性を向上させる。浸透剤としては、例えば、1,2−へキシレングリコール、1,2−オクタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。浸透剤としては、3−メチル−1,5−ペンタンジオール又はトリエチレングリコールモノエチルエーテルが好ましい。
本発明のインクが浸透剤を含有する場合、本発明のインクにおいて、浸透剤の含有割合としては、1.0質量%以上20.0質量%以下が好ましく、5.0質量%以上15.0質量%以下がより好ましい。浸透剤の含有割合を1.0質量%以上20.0質量%以下とすることで、本発明のインクの浸透性をより向上できる。
[他の成分]
本発明のインクは、必要に応じて、公知の添加剤(より具体的には、例えば、溶解安定剤、乾燥防止剤、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤及び防カビ剤)を更に含有してもよい。
本発明のインクは、必要に応じて、公知の添加剤(より具体的には、例えば、溶解安定剤、乾燥防止剤、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤及び防カビ剤)を更に含有してもよい。
本発明のインクは、例えば、後述する第2実施形態に係るインクの製造方法により製造することができる。但し、本発明のインクは、他の方法により製造してもよい。
<第2実施形態:インクの製造方法>
以下、本発明の第2実施形態に係るインクの製造方法を説明する。本発明のインクの製造方法は、グラフェン粉末及び特定樹脂を溶融混練する溶融混練工程と、溶融混練工程で得られた混錬物を溶媒に分散させる分散工程と、分散工程で得られた分散液からインクを調製する調製工程とを備える。特定樹脂は、多環芳香族基を有する。本発明のインクの製造方法は、上述の第1実施形態に係るインクの製造方法として好適である。以下、本発明のインクの製造方法の詳細を説明する。なお、第1実施形態に係るインクと重複する説明については、適宜省略する。
以下、本発明の第2実施形態に係るインクの製造方法を説明する。本発明のインクの製造方法は、グラフェン粉末及び特定樹脂を溶融混練する溶融混練工程と、溶融混練工程で得られた混錬物を溶媒に分散させる分散工程と、分散工程で得られた分散液からインクを調製する調製工程とを備える。特定樹脂は、多環芳香族基を有する。本発明のインクの製造方法は、上述の第1実施形態に係るインクの製造方法として好適である。以下、本発明のインクの製造方法の詳細を説明する。なお、第1実施形態に係るインクと重複する説明については、適宜省略する。
[混錬工程]
本工程では、グラフェン粉末及び特定樹脂を溶融混練する。溶融混練に用いる溶融混練機としては、例えば、二軸押し出し機が挙げられる。溶融混練の条件としては、例えば、材料投入量を2kg/時以上10kg/時以下、軸回転数を100rpm以上250rpm以下、温度を80℃以上120℃以下とすることができる。本工程では、グラフェン粉末及び特定樹脂を溶融混練する前に、グラフェン粉末及び特定樹脂をミキサーで混合しておくことが好ましい。
本工程では、グラフェン粉末及び特定樹脂を溶融混練する。溶融混練に用いる溶融混練機としては、例えば、二軸押し出し機が挙げられる。溶融混練の条件としては、例えば、材料投入量を2kg/時以上10kg/時以下、軸回転数を100rpm以上250rpm以下、温度を80℃以上120℃以下とすることができる。本工程では、グラフェン粉末及び特定樹脂を溶融混練する前に、グラフェン粉末及び特定樹脂をミキサーで混合しておくことが好ましい。
ここで、一般的に流通しているグラフェン粉末(例えば、市販のグラフェン粉末)の多くは、複数のグラフェン分子が積層したグラフェン凝集体を含む。そのため、グラフェン粉末をそのまま溶媒に分散させることで調製したインクは、グラフェン凝集体が含まれているため、吐出性が不十分である傾向がある。本発明のインクの製造方法では、グラフェン粉末及び特定樹脂を溶融混練する。特定樹脂が存在する状態で溶融混練によってグラフェン粉末に強い剪断力を付与することで、グラフェン粉末に含まれるグラフェン凝集体を解砕できる。その結果、インク中に分散し易いサイズのグラフェンを得ることができる。
[分散工程]
本工程では、溶融混練工程で得られた混錬物を溶媒に分散させる。本工程において、混錬物を溶媒に分散させる方法としては、例えば、転相乳化法が挙げられる。詳しくは、混練物及び有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)を混合することで混練物を有機溶媒に溶解させ、混練物及び有機溶媒を含有する溶液を調製する。次に、インクの溶媒(例えば、水)を、上述の溶液に添加する。インクの溶媒の添加量は、上述の有機溶媒と略同量とすることができる。これにより、グラフェン及び特定樹脂を含む複合体を析出させる。次に、上述の溶液を減圧し、有機溶媒を溜去する。これにより、グラフェン、特定樹脂及び溶媒を含有する分散液が得られる。
本工程では、溶融混練工程で得られた混錬物を溶媒に分散させる。本工程において、混錬物を溶媒に分散させる方法としては、例えば、転相乳化法が挙げられる。詳しくは、混練物及び有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)を混合することで混練物を有機溶媒に溶解させ、混練物及び有機溶媒を含有する溶液を調製する。次に、インクの溶媒(例えば、水)を、上述の溶液に添加する。インクの溶媒の添加量は、上述の有機溶媒と略同量とすることができる。これにより、グラフェン及び特定樹脂を含む複合体を析出させる。次に、上述の溶液を減圧し、有機溶媒を溜去する。これにより、グラフェン、特定樹脂及び溶媒を含有する分散液が得られる。
[調製工程]
本工程では、分散工程で得られた分散液からインクを調製する。詳しくは、上述の分散液に、他の成分(例えば、界面活性剤、浸透剤、及び保湿剤)を添加して攪拌機で均一に混合することでインクを調製する。なお、上述の分散液を、そのままインクとして用いてもよい。調製したインクは、フィルター(例えば孔径1μm以下のフィルター)により異物及び粗大粒子を除去してもよい。
本工程では、分散工程で得られた分散液からインクを調製する。詳しくは、上述の分散液に、他の成分(例えば、界面活性剤、浸透剤、及び保湿剤)を添加して攪拌機で均一に混合することでインクを調製する。なお、上述の分散液を、そのままインクとして用いてもよい。調製したインクは、フィルター(例えば孔径1μm以下のフィルター)により異物及び粗大粒子を除去してもよい。
以下、本発明の実施例を説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
<インクの調製>
以下の方法により、実施例1〜2及び比較例1〜5のインクを調製した。各インクの組成を下記表1に示す。
以下の方法により、実施例1〜2及び比較例1〜5のインクを調製した。各インクの組成を下記表1に示す。
[特定樹脂の合成]
以下の方法により、実施例で用いる特定樹脂として、樹脂(R−a)及び(R−c)を合成した。また、比較例において特定樹脂の代わりに用いる樹脂として、樹脂(R−b)及び(R−d)を合成した。なお、樹脂(R−a)及び(R−b)は、スチレン−(メタ)アクリル樹脂であった。樹脂(R−c)及び(R−d)は、ポリエステル樹脂であった。
以下の方法により、実施例で用いる特定樹脂として、樹脂(R−a)及び(R−c)を合成した。また、比較例において特定樹脂の代わりに用いる樹脂として、樹脂(R−b)及び(R−d)を合成した。なお、樹脂(R−a)及び(R−b)は、スチレン−(メタ)アクリル樹脂であった。樹脂(R−c)及び(R−d)は、ポリエステル樹脂であった。
(樹脂(R−a)の合成)
温度計及び攪拌羽根をセットした容量2Lの3つ口フラスコを、反応容器として用いた。反応容器に、イオン交換水800mLとアニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマール(登録商標)0」、成分:ラウリル硫酸ナトリウム)5gとを投入した。次いで、ウォーターバスを用いて反応容器の内温を80℃に昇温させた。別途、スチレン9.0mL(8.2g)、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル4mL(4.0g)、メタクリル酸ブチル4mL(3.6g)及びアクリル酸2−ナフチル3mL(3.4g)を混合し、モノマー混合液Aを調製した。また、別途、過硫酸カリウム0.5gをイオン交換水30mLに溶解させることで、過硫酸カリウム水溶液を調製した。上述の反応容器の内温を80℃に保持しつつ、モノマー混合液A及び過硫酸カリウム水溶液を、5時間かけて反応容器に各々滴下した。滴下後、反応容器を80℃で3時間保持することにより、重合反応を行った。重合反応後の反応容器の内容物は、白濁液状であった。次いで、反応容器に、酢酸エチル500mLを徐々に滴下した。酢酸エチルの滴下により、反応容器の内容物には白色固形物が析出した。析出した白色固形物を回収し、これを樹脂Aとした。
温度計及び攪拌羽根をセットした容量2Lの3つ口フラスコを、反応容器として用いた。反応容器に、イオン交換水800mLとアニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマール(登録商標)0」、成分:ラウリル硫酸ナトリウム)5gとを投入した。次いで、ウォーターバスを用いて反応容器の内温を80℃に昇温させた。別途、スチレン9.0mL(8.2g)、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル4mL(4.0g)、メタクリル酸ブチル4mL(3.6g)及びアクリル酸2−ナフチル3mL(3.4g)を混合し、モノマー混合液Aを調製した。また、別途、過硫酸カリウム0.5gをイオン交換水30mLに溶解させることで、過硫酸カリウム水溶液を調製した。上述の反応容器の内温を80℃に保持しつつ、モノマー混合液A及び過硫酸カリウム水溶液を、5時間かけて反応容器に各々滴下した。滴下後、反応容器を80℃で3時間保持することにより、重合反応を行った。重合反応後の反応容器の内容物は、白濁液状であった。次いで、反応容器に、酢酸エチル500mLを徐々に滴下した。酢酸エチルの滴下により、反応容器の内容物には白色固形物が析出した。析出した白色固形物を回収し、これを樹脂Aとした。
(樹脂(R−b)の合成)
以下の点を変更した以外は、樹脂(R−a)の合成と同様の方法により、樹脂(R−b)を合成した。樹脂(R−b)の合成では、モノマー混合液Aの代わりに、モノマー混合液Bを用いた。モノマー混合液Bは、スチレン13mL(11.8g)、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル5mL(5.1g)及びアクリル酸エチル3mL(2.8g)を混合することで調製した。
以下の点を変更した以外は、樹脂(R−a)の合成と同様の方法により、樹脂(R−b)を合成した。樹脂(R−b)の合成では、モノマー混合液Aの代わりに、モノマー混合液Bを用いた。モノマー混合液Bは、スチレン13mL(11.8g)、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル5mL(5.1g)及びアクリル酸エチル3mL(2.8g)を混合することで調製した。
(樹脂(R−c)の合成)
窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対をセットした容量10Lの四つ口フラスコを反応容器として用いた。反応容器に、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル1135gと、セバシン酸833gと、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム555gと、エチレングリコール875gと、1,6−ヘキサンジオール1625gと、シュウ酸チタン酸カリウム50gとを投入した。反応容器の内部を窒素雰囲気下とした後、反応容器の内温を250℃まで昇温させた。その後、反応容器の内温を250で保持したまま、反応容器の内圧が133.3Paになるまで徐々に減圧した後、10時間保持することで重縮合反応を行った。これにより、樹脂(R−c)を得た。
窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対をセットした容量10Lの四つ口フラスコを反応容器として用いた。反応容器に、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル1135gと、セバシン酸833gと、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム555gと、エチレングリコール875gと、1,6−ヘキサンジオール1625gと、シュウ酸チタン酸カリウム50gとを投入した。反応容器の内部を窒素雰囲気下とした後、反応容器の内温を250℃まで昇温させた。その後、反応容器の内温を250で保持したまま、反応容器の内圧が133.3Paになるまで徐々に減圧した後、10時間保持することで重縮合反応を行った。これにより、樹脂(R−c)を得た。
(樹脂(R−d)の合成)
窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対をセットした容量10Lの四つ口フラスコを反応容器として用いた。反応容器に、1,6−ヘキサンジオール2643gと、1,4−ブタンジオール864gと、コハク酸2945gとを投入した。次いで、反応容器の内部を窒素雰囲気下とした後、反応容器の内温を160℃に昇温させることで、反応容器の内容物を加熱溶解させた。別途、スチレン1831gと、アクリル酸161gと、ジクミルパーオキサイド110gとを混合し、モノマー混合液Cを調製した。上述の反応容器の内温を160℃に保持した状態で、上述の反応容器に、滴下漏斗を用いてモノマー混合液Cを1時間かけて滴下した後、内容物を1時間攪拌した。これにより、スチレン及びアクリル酸を重合させた。次いで、反応容器の内圧が133.3Paになるまで徐々に減圧した。これにより、未反応のスチレン及びアクリル酸の除去を行った。次いで、反応容器に、2−エチルヘキサン錫(II)40gと、没食子酸3gとを投入した。次いで、反応容器の内温を210℃に昇温させた後、8時間保持することで重縮合反応を行った。これにより、樹脂(R−d)を得た。
窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対をセットした容量10Lの四つ口フラスコを反応容器として用いた。反応容器に、1,6−ヘキサンジオール2643gと、1,4−ブタンジオール864gと、コハク酸2945gとを投入した。次いで、反応容器の内部を窒素雰囲気下とした後、反応容器の内温を160℃に昇温させることで、反応容器の内容物を加熱溶解させた。別途、スチレン1831gと、アクリル酸161gと、ジクミルパーオキサイド110gとを混合し、モノマー混合液Cを調製した。上述の反応容器の内温を160℃に保持した状態で、上述の反応容器に、滴下漏斗を用いてモノマー混合液Cを1時間かけて滴下した後、内容物を1時間攪拌した。これにより、スチレン及びアクリル酸を重合させた。次いで、反応容器の内圧が133.3Paになるまで徐々に減圧した。これにより、未反応のスチレン及びアクリル酸の除去を行った。次いで、反応容器に、2−エチルヘキサン錫(II)40gと、没食子酸3gとを投入した。次いで、反応容器の内温を210℃に昇温させた後、8時間保持することで重縮合反応を行った。これにより、樹脂(R−d)を得た。
[グラフェン分散液の調製]
以下の方法により、グラフェン分散液(A)〜(D)を調製した。
以下の方法により、グラフェン分散液(A)〜(D)を調製した。
(グラフェン分散液(A))
(混錬工程)
FMミキサー(日本コークス株式会社製)に、非修飾グラフェンを含むグラフェン粉末(グラフェンプラットフォーム株式会社製「グラフェンパウダーGNH−XZ」)200gと、樹脂(R−a)800gとを投入した後、2400rpmで混合した。得られた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて溶融混練した。混練条件は、材料投入量を5kg/時、軸回転数を160rpm、設定温度を100℃とした。これにより、混練物(A)を得た。
(混錬工程)
FMミキサー(日本コークス株式会社製)に、非修飾グラフェンを含むグラフェン粉末(グラフェンプラットフォーム株式会社製「グラフェンパウダーGNH−XZ」)200gと、樹脂(R−a)800gとを投入した後、2400rpmで混合した。得られた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて溶融混練した。混練条件は、材料投入量を5kg/時、軸回転数を160rpm、設定温度を100℃とした。これにより、混練物(A)を得た。
(分散工程)
混練物(A)10gを粉砕した後、容器(容量1Lのフラスコ)に投入した。次いで、容器に、テトラヒドロフラン(THF)100mLを投入した。次いで、容器の内温を50℃に昇温させながら、マグネティックスターラーを用いて内容物を攪拌した。これにより、混練物(A)をTHFに溶解させた。次いで、容器に、ビュレットを用いてイオン交換水100mLを徐々に滴下した。これにより、グラフェン及び樹脂(R−a)を含む複合体を析出させた。滴下終了後、容器の内温を50℃に維持した状態で1時間攪拌した。次いで、容器を100hPaに減圧することでTHFを留去した。これにより、グラフェン及び樹脂(R−a)を含む複合体を含有するグラフェン分散液(A)を得た。
混練物(A)10gを粉砕した後、容器(容量1Lのフラスコ)に投入した。次いで、容器に、テトラヒドロフラン(THF)100mLを投入した。次いで、容器の内温を50℃に昇温させながら、マグネティックスターラーを用いて内容物を攪拌した。これにより、混練物(A)をTHFに溶解させた。次いで、容器に、ビュレットを用いてイオン交換水100mLを徐々に滴下した。これにより、グラフェン及び樹脂(R−a)を含む複合体を析出させた。滴下終了後、容器の内温を50℃に維持した状態で1時間攪拌した。次いで、容器を100hPaに減圧することでTHFを留去した。これにより、グラフェン及び樹脂(R−a)を含む複合体を含有するグラフェン分散液(A)を得た。
(グラフェン分散液(B)〜(D))
以下の点を変更した以外は、グラフェン分散液(A)の調製と同様の方法により、グラフェン分散液(B)〜(D)を調製した。グラフェン分散液(B)の調製では、樹脂(R−a)の代わりに、樹脂(R−b)を用いた。グラフェン分散液(C)の調製では、樹脂(R−a)の代わりに、樹脂(R−c)を用いた。グラフェン分散液(D)の調製では、樹脂(R−a)の代わりに、樹脂(R−d)を用いた。
以下の点を変更した以外は、グラフェン分散液(A)の調製と同様の方法により、グラフェン分散液(B)〜(D)を調製した。グラフェン分散液(B)の調製では、樹脂(R−a)の代わりに、樹脂(R−b)を用いた。グラフェン分散液(C)の調製では、樹脂(R−a)の代わりに、樹脂(R−c)を用いた。グラフェン分散液(D)の調製では、樹脂(R−a)の代わりに、樹脂(R−d)を用いた。
以下の点を変更した以外は、グラフェン分散液(A)の調製と同様の方法により、樹脂を含有しないグラフェン分散液の調製を試みた。樹脂を含有しないグラフェン分散液の調製では、混練工程を行わなかった。また、樹脂を含有しないグラフェン分散液の調製では、分散工程において、混練物10gを反応容器に投入する代わりに、非修飾グラフェンを含むグラフェン粉末2gを反応容器に投入した。しかし、この方法では、グラフェン粉末がイオン交換水に分散しなかった。そのため、樹脂を含有しないグラフェン分散液を調製することはできなかった。
[実施例1]
(調製工程)
攪拌機(新東科学株式会社製「スリーワンモーター(登録商標)BL−600」)を用いて、グラフェン分散液(A)40.0質量部と、ノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール(登録商標)420、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物」)0.5質量部と、保湿剤としてのグリセリン2.0質量部と、浸透剤としての3−メチル−1,5−ペンタンジオール(MPD)6.0質量部と、浸透剤としてのトリエチレングリコールモノエチルエーテル(TEGME)3.0質量部と、イオン交換水48.5質量部とを混合した。得られた混合物を、孔径1μmのフィルター(Membrane−Solutions LLC社製、材質:PTFE)でろ過を行った。これにより、実施例1のインクを得た。
(調製工程)
攪拌機(新東科学株式会社製「スリーワンモーター(登録商標)BL−600」)を用いて、グラフェン分散液(A)40.0質量部と、ノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール(登録商標)420、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物」)0.5質量部と、保湿剤としてのグリセリン2.0質量部と、浸透剤としての3−メチル−1,5−ペンタンジオール(MPD)6.0質量部と、浸透剤としてのトリエチレングリコールモノエチルエーテル(TEGME)3.0質量部と、イオン交換水48.5質量部とを混合した。得られた混合物を、孔径1μmのフィルター(Membrane−Solutions LLC社製、材質:PTFE)でろ過を行った。これにより、実施例1のインクを得た。
[実施例2及び比較例1〜4]
以下の点を変更した以外は、実施例1のインクの調製と同様の方法により、実施例2及び比較例1〜4のインクを調製した。実施例2及び比較例1〜4のインクの調製では、各原料の種類及び添加量を下記表1に示す通りに変更した。
以下の点を変更した以外は、実施例1のインクの調製と同様の方法により、実施例2及び比較例1〜4のインクを調製した。実施例2及び比較例1〜4のインクの調製では、各原料の種類及び添加量を下記表1に示す通りに変更した。
[比較例5]
グラフェンインク分散液に代えてカーボンブラック分散液(オリエント化学工業株式会社製「BONJET BLACK CW2」、固形分15質量%)を53.5質量部使用した以外は、実施例1のインクの調整と同様の方法により、比較例5のインクを調製した。
グラフェンインク分散液に代えてカーボンブラック分散液(オリエント化学工業株式会社製「BONJET BLACK CW2」、固形分15質量%)を53.5質量部使用した以外は、実施例1のインクの調整と同様の方法により、比較例5のインクを調製した。
各インクにおける樹脂及び顔料(グラフェン及びカーボンブラック)の種類及び添加量を下記表2に示す。
<評価>
以下の方法により、実施例1〜2及び比較例1〜5のインクの吐出性と、形成される画像の画像濃度とを評価した。評価は、温度25℃、かつ湿度60%RHの環境下で行った。評価結果を下記表3に示す。
以下の方法により、実施例1〜2及び比較例1〜5のインクの吐出性と、形成される画像の画像濃度とを評価した。評価は、温度25℃、かつ湿度60%RHの環境下で行った。評価結果を下記表3に示す。
[評価機]
評価機として、記録ヘッド(京セラ株式会社製「KJ4B−QA」)と、搬送ベルトとを主に備えるインクジェット記録装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の試作機)を用いた。評価機の備える記録ヘッドに、評価対象となるインク(詳しくは、実施例1〜2及び比較例1〜5のインクの何れか)を充填した。評価機は、吐出するインク滴の一滴当たりの体積が10.5pLとなるように設定した。なお、搬送ベルトは、記録媒体(後述する普通紙)を搬送する間、記録媒体の裏面(インクが吐出される側の面とは反対側の面)に0.6KPaの負圧を発生させた。
評価機として、記録ヘッド(京セラ株式会社製「KJ4B−QA」)と、搬送ベルトとを主に備えるインクジェット記録装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の試作機)を用いた。評価機の備える記録ヘッドに、評価対象となるインク(詳しくは、実施例1〜2及び比較例1〜5のインクの何れか)を充填した。評価機は、吐出するインク滴の一滴当たりの体積が10.5pLとなるように設定した。なお、搬送ベルトは、記録媒体(後述する普通紙)を搬送する間、記録媒体の裏面(インクが吐出される側の面とは反対側の面)に0.6KPaの負圧を発生させた。
[画像濃度]
評価機を用いて、A4サイズの普通紙(Mondi社製「Color Copy(登録商標)」、坪量90g/m2)に、10cm×10cmのソリッド画像(印字率:100%)を形成した。その後、ソリッド画像が形成された普通紙を24時間静置した。その後、反射濃度計(X−Rite社製「RD−19」)を用い、上述のソリッド画像の画像濃度を測定した。詳しくは、上述のソリッド画像内の無作為に選択される10箇所で画像濃度を測定し、各測定結果の算術平均値を画像濃度の評価値とした。画像濃度は、以下の評価基準に沿って判定した。
評価機を用いて、A4サイズの普通紙(Mondi社製「Color Copy(登録商標)」、坪量90g/m2)に、10cm×10cmのソリッド画像(印字率:100%)を形成した。その後、ソリッド画像が形成された普通紙を24時間静置した。その後、反射濃度計(X−Rite社製「RD−19」)を用い、上述のソリッド画像の画像濃度を測定した。詳しくは、上述のソリッド画像内の無作為に選択される10箇所で画像濃度を測定し、各測定結果の算術平均値を画像濃度の評価値とした。画像濃度は、以下の評価基準に沿って判定した。
(画像濃度の評価基準)
良好(A):評価値が1.25以上
不良(B):評価値が1.25未満
良好(A):評価値が1.25以上
不良(B):評価値が1.25未満
[吐出性]
評価機を用いて、100枚のA4サイズの普通紙(Mondi社製「Color Copy(登録商標)」、坪量90g/m2)に、ノズルチェックパターンを連続で形成した。100枚目の普通紙に形成したノズルチェックパターンを観察し、吐出不良に由来するパターン欠陥の有無を確認した。吐出性は、パターン欠陥が確認されなかった場合を良好(A)、確認された場合を不良(B)と評価した。
評価機を用いて、100枚のA4サイズの普通紙(Mondi社製「Color Copy(登録商標)」、坪量90g/m2)に、ノズルチェックパターンを連続で形成した。100枚目の普通紙に形成したノズルチェックパターンを観察し、吐出不良に由来するパターン欠陥の有無を確認した。吐出性は、パターン欠陥が確認されなかった場合を良好(A)、確認された場合を不良(B)と評価した。
実施例1〜2のインクは、グラフェンと、特定樹脂と、溶媒とを含有していた。特定樹脂は、多環芳香族基を有していた。実施例1〜2のインクは、吐出性に優れ、かつ画像濃度に優れる画像を形成できた。
一方、比較例1〜5のインクは、上述の構成を備えなかったため、吐出性が不良であったか、又は形成される画像の画像濃度が不良であった。
詳しくは、比較例5のインクは、グラフェンの代わりに、カーボンブラックを含有していた。比較例5のインクは、画像濃度に優れる画像を形成できなかった。以上から、顔料としてグラフェンを含有するインクは、一般的な黒色顔料であるカーボンブラックを含有するインクよりも画像濃度に優れる画像を形成できると判断される。
比較例1及び2のインクは、特定樹脂の代わりに、多環芳香族基を有しない樹脂である樹脂(R−b)及び(R−d)を含有していた。比較例1及び2のインクは、画像濃度に優れる画像を形成できなかった。これは、比較例1及び2のインクは、インク調製の際にグラフェンを溶媒に十分に分散させることができず、ろ過によってグラフェンが除去されたためであると判断される。即ち、比較例1及び2のインクにおいて、グラフェンの実際の含有割合は、表2に示すグラフェンの添加量(0.7質量%)よりも少なかったと判断される。
以上から、特定樹脂は、インク中でのグラフェンの分散性を向上させることができると判断される。そのため、特定樹脂を含有するインクは、画像濃度に優れる画像を形成できると判断される。
なお、比較例3及び4のインクが示すように、特定樹脂を含有しないインクであっても、グラフェン分散液の添加量を増大させることで、画像濃度に優れる画像を形成することができた。しかし、比較例3及び4のインクは、吐出性が良好でなかった。比較例3及び4のインクは、グラフェンの分散性が良好でないにも関わらずグラフェンの含有割合が比較的高い。そのため、比較例3及び4のインクは、ノズル付近で固形分(主にグラフェン)が凝集して吐出不良が発生したと判断される。
本発明のインクは、画像を形成するために用いることができる。本発明のインクの製造方法は、画像を形成するために用いることができるインクを提供できる。
Claims (9)
- グラフェンと、特定樹脂と、溶媒とを含有し、
前記特定樹脂は、多環芳香族基を有する、インクジェット用インク。 - 前記多環芳香族基は、ナフチル基又はナフチレン基である、請求項1に記載のインクジェット用インク。
- 前記特定樹脂は、親水性基を更に有する、請求項1又は2に記載のインクジェット用インク。
- 前記グラフェンは、非修飾グラフェンを含む、請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェット用インク。
- 前記特定樹脂は、前記多環芳香族基を含むモノマーに由来する特定繰り返し単位を有し、
前記特定樹脂における前記特定繰り返し単位の含有割合は、5.0質量%以上25.0質量%以下である、請求項1〜4の何れか一項に記載のインクジェット用インク。 - 前記特定樹脂は、多環芳香族基を有するスチレン−(メタ)アクリル樹脂、又は多環芳香族基を有するポリエステル樹脂を含む、請求項1〜5の何れか一項に記載のインクジェット用インク。
- 前記グラフェンの含有割合は、0.1質量%以上2.0質量%以下である、請求項1〜6の何れか一項に記載のインクジェット用インク。
- 前記特定樹脂の含有割合は、0.5質量%以上8.0質量%以下である、請求項1〜7の何れか一項に記載のインクジェット用インク。
- グラフェン粉末及び特定樹脂を溶融混練する溶融混練工程と、
前記溶融混練工程で得られた混錬物を溶媒に分散させる分散工程と、
前記分散工程で得られた分散液からインクジェット用インクを調製する調製工程とを備え、
前記特定樹脂は、多環芳香族基を有する、インクジェット用インクの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020037748A JP2021138843A (ja) | 2020-03-05 | 2020-03-05 | インクジェット用インク及びインクジェット用インクの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020037748A JP2021138843A (ja) | 2020-03-05 | 2020-03-05 | インクジェット用インク及びインクジェット用インクの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021138843A true JP2021138843A (ja) | 2021-09-16 |
Family
ID=77669442
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020037748A Pending JP2021138843A (ja) | 2020-03-05 | 2020-03-05 | インクジェット用インク及びインクジェット用インクの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021138843A (ja) |
-
2020
- 2020-03-05 JP JP2020037748A patent/JP2021138843A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP3252117B1 (en) | Near-infrared ray absorbing microparticle dispersion solution and production method thereof | |
JP2003231757A (ja) | 熱可塑性樹脂微粒子水性分散体の製造方法および電子写真用トナー | |
TW201103962A (en) | Binder for ink of inkjet printing, ink for inkjet printing containing same and printed article | |
TW201114848A (en) | The process for producing water-based pigment dispersion and for producing water-based ink for ink-jet recording | |
WO2008001762A1 (fr) | Solution de dispersion aqueuse de pigment, encre pour impression a jet d'encre et procédé de production d'une solution de dispersion aqueuse de pigment | |
WO2019167749A1 (ja) | 顔料含有脂肪族ポリエステル微粒子、その製造方法および化粧品 | |
JP2021138843A (ja) | インクジェット用インク及びインクジェット用インクの製造方法 | |
JP2021109968A (ja) | インク組成物及びインクの印刷方法 | |
JP7191662B2 (ja) | 顔料水分散体の製造方法 | |
DE102019122821A1 (de) | Toner | |
JP5993298B2 (ja) | フルオレン骨格を有する着色樹脂粒子及びその製造方法 | |
JP2012193052A (ja) | 有機溶媒分散アルミナゾル及びその製造方法 | |
JP7022227B1 (ja) | 金属印刷用インキ組成物、及びそれを用いた、印刷中のミスチングを低減させる方法 | |
JP7463756B2 (ja) | インクジェット用インク | |
JP4277254B2 (ja) | 熱可塑性樹脂微粒子水性分散体の製造方法および電子写真用トナー | |
JPH08245769A (ja) | ポリエステル樹脂水分散体の製造方法 | |
JP2004143440A (ja) | インクジェットプリンタ用油性インク組成物及びそれを用いた画像形成方法 | |
JP5545011B2 (ja) | カラートナー用顔料組成物、それを含有してなるカラートナー用着色樹脂組成物及びカラートナー | |
JP2005062517A (ja) | 静電荷像現像用カラートナー。 | |
JP6904207B2 (ja) | インクジェット記録用水性インク及びその製造方法 | |
JP2004070178A (ja) | トナーの製造方法 | |
JP4302239B2 (ja) | 転写リボン用コーティング被膜 | |
JP2011046921A (ja) | 着色粒子 | |
JP2004263027A (ja) | 熱可塑性樹脂微粒子水性分散体の製造方法および電子写真用トナー | |
EP4140754A2 (en) | Image forming method and printed matter |