JP2020157389A - 研磨用分散液及び研磨シート、並びにこれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】研磨対象物の被研磨面に凹凸や傷を発生させずに研磨することができる研磨シートを提供する。【解決手段】研磨シートの製造方法は、有機溶媒と、ダイヤモンド粒子と、アミン価が1.0〜50mgKOH/gである塩基性官能基を有するポリマーと、を少なくとも含有することを特徴とする研磨用分散液と、樹脂と、を混合させて研磨用樹脂組成物を得る工程と、可撓性基材上に研磨用樹脂組成物を塗布した後、研磨用樹脂組成物中の有機溶媒を除去して研磨層を形成させる工程と、を含むことを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、研磨用分散液及び研磨シート、並びにこれらの製造方法に関する。
従来、金属、半導体、これらの酸化物等の材料表面に対して研磨シートを用いた精密研磨が行われている。例えば、半導体デバイスの構成要素として用いられるシリコンウェーハの表面は、ラッピング工程やポリシング工程を経て高品位の鏡面に仕上げられる。
研磨シートに用いる研磨剤としては、酸化クロム、酸化アルミ、炭化ケイ素等を使用したテープが知られている。このような研磨剤の硬度がモース硬度8.5〜9.5と硬いため、広く研磨シートに用いられてきた。
シリコンウェーハの表面の研磨においては、これらの研磨剤よりもモース硬度の高い研磨剤が必要とされているため、研磨剤としてダイヤモンド粒子を用いた研磨シートが用いられてきた。近年、半導体デバイスの高性能化及び高集積化に伴って、シリコンウェーハには品質の向上が求められている。
特許文献1には、研磨テープの製造方法として、結合剤とダイヤモンド粒子とを混合させた混合物に有機溶剤で希釈した後攪拌して研磨塗料を得ており、さらに超音波を利用して、研磨塗料中のダイヤモンド粒子の二次粒子を分解し、一次粒子の形態にして研磨塗料中に分散させる方法が開示されている。
しかしながら、当該方法では、十分に二次粒子を一次粒子に分解することはできず、かつ、一度一次粒子の状態にしても保存安定性が悪いために短期間のうちに再凝集してしまう問題がある。したがって、当該研磨塗料で作製した研磨テープは、ダイヤモンド粒子が再凝集した二次粒子を含有しているため、被研磨面に凹凸や傷が発生してしまい、十分な研磨性能が得られない欠点があった。
従って、ダイヤモンド粒子が一次粒子の状態で長期にわたり分散した状態を維持することの出来る研磨用分散液及び研磨性能に優れた研磨シートが求められてきた。
特開2006−142388号公報
本発明は、ダイヤモンド粒子が一次粒子の状態で長期にわたり分散した状態を維持することの出来る研磨用分散液を提供することを目的とする。さらに、研磨対象物の被研磨面に凹凸や傷を発生させずに研磨することができる研磨シートを提供することを目的とする。
第一の発明は、有機溶媒に、一次粒子のメディアン径が0.1〜5.0μmであるダイヤモンド粒子と、アミン価が1.0〜50mgKOH/gである塩基性官能基を有するポリマーと、を含有させて混合液を得る工程、前記混合液に超音波を照射させる工程、を含むことを特徴とする研磨用分散液の製造方法である。
第二の発明は、前記塩基性官能基を有するポリマーの酸価が、1.0〜50mgKOH/gであることを特徴とする第一の発明に記載の研磨用分散液の製造方法である。
第三の発明は、有機溶媒と、一次粒子のメディアン径が0.1〜5.0μmであるダイヤモンド粒子と、アミン価が1.0〜50mgKOH/gである塩基性官能基を有するポリマーと、を少なくとも含有することを特徴とする研磨用分散液である。
第四の発明は、前記ダイヤモンド粒子のメディアン径の標準偏差が0.01〜5.0であることを特徴とする第三の発明に記載の研磨用分散液である。
第五の発明は、前記塩基性官能基を有するポリマーの酸価が、1.0〜50mgKOH/gであることを特徴とする第三又は第四の発明に記載の研磨用分散液である。
第六の発明は、有機溶媒と、ダイヤモンド粒子と、アミン価が1.0〜50mgKOH/gである塩基性官能基を有するポリマーと、を少なくとも含有することを特徴とする研磨用分散液と、樹脂と、を混合させて研磨用樹脂組成物を得る工程と、可撓性基材上に研磨用樹脂組成物を塗布した後、研磨用樹脂組成物中の有機溶媒を除去して研磨層を形成させる工程と、を含むことを特徴とする研磨シートの製造方法である。
第七の発明は、前記ダイヤモンド粒子の一次粒子のメディアン径が、0.1〜5.0μmであることを特徴とする第六の発明に記載の研磨シートの製造方法である。
第八の発明は、前記塩基性官能基を有するポリマーの酸価が、1.0〜50mgKOH/gであることを特徴とする第六又は第七の発明のいずれかに記載の研磨シートの製造方法である。
第九の発明は、可撓性基材上に研磨層を有する研磨シートにおいて、研磨層が、一次粒子のメディアン径が0.1〜5.0μmであるダイヤモンド粒子と、アミン価が1.0〜50mgKOH/gである塩基性官能基を有するポリマーと、樹脂と、を少なくとも含有することを特徴とする研磨シートである。
第十の発明は、前記塩基性官能基を有するポリマーの酸価が、1.0〜50mgKOH/gであることを特徴とする第九の発明に記載の研磨シートである。
第十一の発明は、前記研磨層の表面の算術平均粗さが0.05〜3.0μmであることを特徴とする第九又は第十の発明に記載の研磨シートである。
本発明の研磨用分散液の製造方法により得られた研磨用分散液は、ダイヤモンド粒子を長期間にわたって一次粒子の状態で分散した状態を維持することができる。さらに。当該研磨用分散液を用いることにより、研磨対象物の研磨面に凹凸や傷を発生させずに研磨することができる研磨シートを製造することができる。
本発明の実施例1の分散液をクライオSEM法により1万倍の倍率で撮影したSEM写真を示す図である。 本発明の比較例1の分散液をクライオSEM法により1万倍の倍率で撮影したSEM写真を示す図である。 本発明の実施例8の研磨シートにおける研磨層の表面を3万倍の倍率で撮影したSEM写真を示す図である。 本発明の比較例7の研磨シートにおける研磨層の表面を3万倍の倍率で撮影したSEM写真を示す図である。
まず、本発明の研磨用分散液の製造方法について説明する。
<研磨用分散液の製造方法>
本発明の研磨用分散液の製造方法は、有機溶媒に、一次粒子のメディアン径0.1μmから5.0μmであるダイヤモンド粒子と、アミン価が1.0〜50mgKOH/gである塩基性官能基を有するポリマーと、を含有させて混合液を得る工程と、前記混合液に超音波を照射させる工程と、を含むことを特徴とする研磨用分散液の製造方法である。
本発明の研磨用分散液の製造方法により得られた研磨用分散液は、ダイヤモンド粒子を一次粒子の状態で、長期間にわたり分散した状態を維持することができる研磨用分散液である。
<ダイヤモンド粒子>
本発明に用いるダイヤモンド粒子は、単結晶のダイヤモンド粒子でも、多結晶のダイヤモンド粒子でもよい。本発明に用いるダイヤモンド粒子は、研磨速度の向上の観点から、単結晶のダイヤモンド粒子を用いることが好ましく挙げられる。
本発明に用いるダイヤモンド粒子の一次粒子のメディアン径は、0.1〜5.0μmの範囲にある単結晶又は多結晶のダイヤモンド粒子である。
本発明において、ダイヤモンド粒子の一次粒子のメディアン径は、レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置で検知される分散したダイヤモンド粒子の積算%の分布曲線における体積%となる径(D50)をいう。
本発明の製造方法によれば、ダイヤモンド粒子の一次粒子の標準偏差は、特定の範囲に入ることを特徴としている。
粒子径の標準偏差(STD.DEV.;Standard Deviation
)は、下記式で算出されるものである。
STD.DEV.=(d84%−d16%)/2
上記式中のd84%は、粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき
、その累積カーブが84%となるときの粒子径を表し、d16%は累積カーブが16%と
なるときの粒子径を表す。
ダイヤモンド粒子の粒径の標準偏差は0.01〜5.0であり、好ましくは、0.01〜2.0であり、特に好ましくは0.01〜0.5である。ダイヤモンド粒子の粒径の標準偏差が、当該範囲に入ることで、優れた研磨性能の研磨シートを製造することができる。
研磨用分散液には、ダイヤモンド粒子以外に、研磨剤としてアルミナ粒子及び/又はシリカ粒子を含有させて用いても良い。
研磨用分散液中のダイヤモンド粒子の含有量は、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上が特に好ましく挙げられる。このような高濃度の研磨用分散液を用いることで、ダイヤモンド粒子の緻密性の高い研磨シートを製造することが可能となる。
具体的には、ダイヤモンド粒子を20質量%含有する研磨用分散液では、温度40℃で一週間放置しても、ダイヤモンド粒子の凝集物はほとんど見られない特徴を有している。
<塩基性官能基を有するポリマー>
本発明に用いる塩基性官能基を有するポリマーのアミン価は、1.0mg〜50mgKOH/gであることが好ましく、5mg〜40mgKOH/gであることがさらに好ましく挙げられる。このような塩基性官能基を有するポリマーを用いることで、研磨用分散液中のダイヤモンド粒子が一次粒子の状態で、長期にわたり分散させることのできる研磨用分散液を得ることができる。
また、前記塩基性官能基を有するポリマーは、酸性官能基を有していてもよい。
塩基性官能基を有するポリマーとしては、塩基性官能基としては、第二級、第三級又は第四級のアミン等が挙げられる。また、酸性官能基としては、カルボン酸、サルフェート、ホスフェートが挙げられる。ポリマーとは、分子量が500を超え、一般的には1000を超えるものである。ポリマーとしては、炭化水素、ポリアクリル、ポリメタクリル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイミン、およびそれらのコポリマー等が挙げられる。
塩基性官能基を有するポリマー、塩基性官能基及び酸性官能基を有するポリマーの具体例としては、具体的には、「(メタ)アクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル」の(共)重合体類;「(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体」の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩若しくはアルキルアミン塩類;「1級、2級若しくは3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル」の(共)重合体、当該(共)重合体のアミノ基の塩、当該(共)重合体のアミノ基の(部分)酸変性物;「水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステル」の(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシ基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩類;等を挙げることができる。
上記の塩基性官能基を有するポリマーの中でも、アクリル系ポリマーのアミン塩、ブロック共重合体のアミン塩、ポリエステル系ポリマーのアミン塩又はウレタン系ポリマーのアミン塩が好ましく用いられる。
本願発明の製造方法では、酸性官能基及び塩基性官能基を有するポリマーを用いることが、ダイヤモンド粒子を長期にわたり分散させることができる点より、特に好ましく挙げられる。
塩基性官能基及び酸性官能基を有するポリマーの酸価は、1.0mgKOH/gから50mgKOH/gであることが好ましく、2.0mgKOH/gから30mgKOH/gであることがさらに好ましく挙げられる。
このような範囲であれば、ダイヤモンド粒子の分散安定性に特に優れる研磨用分散液を得ることができる。
研磨用分散液中における塩基性官能基を有するポリマーの含有量は、0.1〜10質量%であり、0.2〜8.0質量%が好ましく、0.5〜5.0質量%が特に好ましく挙げられる。このような範囲にすることで、ダイヤモンド粒子を一次粒子の状態で有機溶媒中に長期間に渡り分散させることが可能となる。
塩基性官能基を有するポリマーを含有させることで、ダイヤモンド粒子の表面に吸着し、再凝集を抑制する作用がある。そのため、研磨用分散液中におけるダイヤモンド粒子は、再凝集によって二次粒子となり沈殿することのなく、一次粒子の状態で長期間に渡り分散状した態を維持することが可能となる。
<有機溶媒>
本発明に用いる有機溶媒は、研磨用分散液の分散媒としての役割を有する。
有機溶媒としては、一価アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類及びオキシアルコール化合物類(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メトキシプロピレングリコール、ジメトキシプロパノール等)、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、アミド系(N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等)、スルホラン系(スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等)、鎖状スルホン系(ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、エチルイソプロピルスルホン)、環状アミド系(N−メチル−2−ピロリドン等)、カーボネイト類(エチレンカーボネイト、プロピレンカーボネイト、イソブチレンカーボネイト等)、ニトリル系(アセトニトリル等)、スルホキシド系(ジメチルスルホキシド等)、2−イミダゾリジノン系〔1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジノン等)、1,3,4−トリアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3,4−トリメチル−2−イミダゾリジノン等)〕等が挙げられる。
前記有機溶媒は、単独で用いても2種類以上混合して用いてもよい。ダイヤモンド粒子の分散性を向上させる目的や、用いる樹脂と研磨用分散液との混合のし易さより、2種類以上を混合させて用いることが好ましく挙げられる。
<添加剤>
本発明の研磨用分散液には、ダイヤモンド粒子及び塩基性官能基を有するポリマー以外に、添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ジブチルリン酸又は亜リン酸のリン酸化合物、ホウ酸、マンニット、ホウ酸とマンニット、ソルビット等の錯化合物やホウ酸とエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールとの錯化合物等のホウ素化合物、o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール等のニトロ化合物が挙げられる。
研磨用分散液中における前記添加剤の含有量は、0.1〜5.0質量%が好ましく、0.1〜2.0質量%がより好ましい。0.1質量%未満では十分な分散安定性が得られない場合があり、5質量%を超えると凝集する可能性がある。
<混合液に超音波を照射させる工程>
本発明の製造方法は、前記混合液に超音波を照射させる工程を含むことを特徴としている。前記混合液に超音波を照射させることで、ダイヤモンド粒子の一次粒子のメディアン径が0.1μmから5.0μmであるダイヤモンド粒子と、アミン価が0.1〜50mgKOH/gである塩基性官能基を有するポリマーと、を含有させて混合液に超音波を照射させることで、ダイヤモンド粒子の凝集体のファンデルワールス力を解除させるだけではなく、ダイヤモンド粒子同士を研磨させることで、ダイヤモンド粒子の形状が球形に近づき、大きさが均一なダイヤモンド粒子を得ることができる。
超音波を照射させる方法としては、超音波発振機やガラス器具洗浄用超音波浴等を用いて前記混合液に超音波を照射する方法が挙げられる。
超音波を混合液に照射させる時間は5分から10時間であることが好ましく、10分から5時間であることがより好ましく、15分から2時間であることが特に好ましく挙げられる。
5分未満では、ダイヤモンド粒子の凝集体のファンデルワールス力を十分に解除することができない可能性があり、10時間超では、ダイヤモンド粒子自体の研磨が進み、所望する粒径が得られない可能性がある。
本発明の製造方法により得られる研磨用分散液は、研磨用分散液自体を研磨用途として使用してもよく、研磨用分散液を用いて研磨シートを作製してもよい。
研磨用分散液自体を研磨用途として使用する方法としては、例えば、一般的な研磨装置に研磨対象物をセットし、研磨装置の研磨パッドを通じて研磨対象物の表面に研磨用分散液を供給する。研磨用分散液を連続的に供給しつつ、研磨対象物の表面に研磨パッドを押し付けて両者を相対的に回転移動させることで研磨対象物の研磨を行うことができる。
<研磨シートの製造方法>
上述した研磨用分散液と、樹脂と、を混合させて研磨用樹脂組成物を得る工程と、可撓性基材上に研磨用樹脂組成物を塗布した後、研磨用樹脂組成物中の溶媒を除去して研磨層を形成させる工程と、を含むことを特徴とする研磨シートの製造方法である。
<樹脂>
本発明に用いる樹脂は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、通常成形材料として用いられる熱可塑性樹脂の中から任意に選ぶことができる。このようなこのとしては、特に限定されるわけではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカプロラクトン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエ−テル、ポリスルホン、液晶ポリマー、アクリロニトリル・スチレン樹脂及び各種の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
また、さらに好ましくは、化石資源使用量削減の観点から、植物由来の熱可塑性樹脂であることが好ましく挙げられる。具体的には、ポリ乳酸、エステル化澱粉、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、コハク酸、イタコン酸や1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールなどをモノマーとして合成されるポリエステル樹脂等が使用でき、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
熱硬化性樹脂とは、通常の成形材料として用いられる熱硬化性樹脂の中から任意に選ぶことができる。このようなものとしては、特に限定されるわけではないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、珪素樹脂などが挙げられる。
前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAグリシジルエーテル型エポキシ、ビスフェノールFグリシジルエーテル型エポキシ、ビスフェノールSグリシジルエーテル型エポキシ、ビスフェノールADグリシジルエーテル型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシ、ビフェニル型エポキシ、クレゾールノボラック型エポキシが挙げられる。また、さらに天然由来物質から得られたエポキシ樹脂であることが環境負荷低減化の観点で好ましい。具体的には、エポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸エステル類、エポキシ化アマニ油、ダイマー酸変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
前記フェノール樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾール等のフェノール類とホルムアルデヒド等を反応させノボラック型フェノール樹脂等を合成し、これにヘキサメチレンテトラミン等を配合し、硬化させるもの等が挙げられる。例えば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン型フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジシクロペンタジエンから共重合により合成される、ジシクロペンタジエン型フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトールノボラック樹脂等のジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記フラン樹脂としては、例えば、フルフラール樹脂、フルフラールフェノール樹脂、フルフラールケトン樹脂、フルフリルアルコール樹脂、フルフリルアルコールフェノール樹脂が挙げられる。前記ユリア樹脂としては、例えば尿素等とホルムアルデヒド等の重合反応物(脱水縮合反応物)が挙げられる。前記メラミン樹脂としては、例えばメラミン等とホルムアルデヒド等の重合反応物が挙げられる。
前記不飽和ポリエステル樹脂としては、不飽和多塩基酸等と多価アルコール等より得られる不飽和ポリエステルを、これと重合する単量体に溶解し硬化する樹脂等が挙げられる。例えば、不飽和多塩基酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、へキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられ、多価アルコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサングリコール等が挙げられる。
前記珪素樹脂としては、オルガノポリシロキサン類を主骨格とするものが挙げられる。
これらの樹脂は、ダイヤモンド粒子100質量部に対する使用する量は、10〜200質量部が好ましく挙げられ、20〜100質量部がより好ましく挙げられる。
<研磨用分散液と樹脂とを混合させて研磨用樹脂組成物を得る方法>
研磨用分散液と樹脂とを混合させて研磨用樹脂組成物を得る方法としては、研磨用分散液と樹脂とを直接混合させて研磨用樹脂組成物を作製してもよく、あらかじめ樹脂と有機溶媒を混合させた後に、研磨用分散液と混合させて研磨用樹脂組成物を作製してもよい。
製造する研磨用樹脂組成物の粘度は、室温において0.1cp〜500cpが好ましく、0.5cp〜200cpがより好ましく、1.0cpから100cpが特に好ましく挙げられる。このような範囲の粘度を有する研磨用樹脂組成物を用いることで、所望の厚さの研磨層を有する研磨シートを作製することができる。
<可撓性基材>
研磨シートを研磨対象物の研磨対象面へ押し付けて使用する際の研磨対象面への追従性及び適度な引っ張り強度といった性能が求められている。研磨シートの形状としては、テープ状やディスク状が好ましく挙げられる。
このような性能を満たすためには、可撓性基材の厚さを厚さ5μmから100μmにすることが好ましく挙げられ、10μmから90μmにすることがさらに好ましく挙げられ、20μmから80μmにすることが特に好ましく挙げられる。引っ張り強度に耐えることができ、追従性に優れるという観点から、可撓性基材の厚さを当該範囲とすることが好ましい。
可撓性基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース、メチルメタクリレート系共重合物等のアクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂やポリメタクリルイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等が挙げられる。
可撓性基材上に研磨層を形成させる方法としては、エアードクターコート、ブレードコート、エアーナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、キスコート、スプレーコート、バーコート、スピンコート等により、可撓性基材上に研磨用樹脂組成物をコートした後に、研磨用樹脂組成物中の有機溶媒を除去して乾燥させることで、可撓性基材上に研磨層を形成させることができる。
これらの中でも特に簡単に均一な厚さの層を形成させることが出来る点より、バーコート法が好ましく挙げられる。
可撓性基材には、研磨層との密着性を向上させるため、可撓性基体と研磨層との間にプライマー層を設けてもよい。プライマー層に用いる樹脂としては、COOM、SOM、OSOM、P=O(OM)、O−P=O(OM)(Mは水素原子、アルカリ金属塩基又はアミン塩)等の官能基を1つ又は2つ以上有するポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂又はポリ(メタ)アクリル樹脂等が好ましく挙げられる。
<研磨シート>
本発明の研磨シートは、可撓性基材の表面にダイヤモンド粒子を含有する研磨層から構成されている。
本発明の研磨シートは、ダイヤモンド粒子が一次粒子の状態で均一に分散している特長を有している。そのため、本発明の研磨シートを用いて研磨対象物を研磨することで、研磨対象物に凹凸や傷を生じさせなくすることが可能となる。従って、本発明の研磨シートは磁気ディスク、精密機器、精密部品及びプリント基板の仕上げ加工等に用いる研磨テープとして好適に用いることができ、特にシリコンウェーハの端面仕上げ工程の研磨用として好適に用いることができる。
本発明の研磨シートは、研磨シートの表面の算術平均粗さが0.05〜3.0μmであることが好ましく、0.05〜1.0μmであることがさらに好ましく挙げられる。
このような範囲にすることで、短時間で対象物を平滑に研磨することができる。
研磨シートの表面の算術平均粗さはレーザー式、触針式などの一般的な表面粗さ計により測定する。
以下、本発明を実施例に基づき説明する。なお、本発明は、実施例等により、なんら限定されるものではない。実施例中の「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を表す。
(実施例1)
メチルエチルケトン300部に分散剤(DISPERBYK−2013、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価18mgKOH/g、酸価8mgKOH/g)15部を加え、25℃にて10分間攪拌混合し、分散剤を均一に溶解させた溶液を得た。得られた溶液に、ダイヤモンド粒子(1/4、テクノライズ株式会社製、一次粒子メディアン径0.22〜0.28μm)135部を加え、超音波洗浄器SU−2TH(柴田科学株式会社製)を用いて超音波を30分間照射し、ダイヤモンド粒子を分散させた分散液450部を得た。得られた分散液を0.5μmのメンブレンフィルターを通して、不純物や異物、残存凝集粒子を除去し、研磨用分散液1を得た。なお、研磨用分散液1中におけるダイヤモンド粒子の含有量は30質量%である。
[研磨用分散液中のダイヤモンド粒子のメディアン径及び標準偏差の測定]
研磨用分散液1中ダイヤモンド粒子のメディアン径は、Microtrac Nanotrac150(日機装株式会社製、粒度分布測定器)を用いて下記条件により測定した。ダイヤモンド粒子のメディアン径と標準偏差を表1に示す。
<測定条件>
測定時間:180秒
溶媒:メチルエチルケトン(屈折率(20℃)1.378)
粒子屈折率:ダイヤモンド(屈折率 2.42)
粒子密度:3.5 g/cc
透過性:透過
形状:非球状
[研磨用分散液の分散安定性の評価]
製造した研磨用分散液1を50部、40℃の温度環境下で1週間保存した後、メディアン径を測定した後、1.0μmのメンブレンフィルターを用いて凝集物を得た。この凝集物の質量を測定し、分散安定性を評価した。分散安定性の評価結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、「分散剤(DISPERBYK−2013、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価18mgKOH/g、酸価8mgKOH/g)」を、「分散剤(DISPERBYK−2012、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価7mgKOH/g、酸価7mgKOH/g」に代えた以外は実施例1と同様にして研磨用分散液2を作製し、研磨用分散液2の分散安定性を評価した。
(実施例3)
実施例1において、「分散剤(DISPERBYK−2013、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価18mgKOH/g、酸価8mgKOH/g)」を、「分散剤(DISPERBYK−2001、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価29mgKOH/g、酸価19mgKOH/g」に代えた以外は実施例1と同様にして研磨用分散液3を作製し、研磨用分散液3の分散安定性を評価した。
(実施例4)
実施例1において、「分散剤(DISPERBYK−2013、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価18mgKOH/g、酸価8mgKOH/g)」を、「分散剤(DISPERBYK−2025、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価37mgKOH/g、酸価38mgKOH/g」に代えた以外は実施例1と同様にして研磨用分散液4を作製し、研磨用分散液4の分散安定性を評価した。
(実施例5)
実施例1において、「分散剤(DISPERBYK−2013、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価18mgKOH/g、酸価8mgKOH/g)」を、「分散剤(DISPERBYK−142、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価43mgKOH/g、酸価46mgKOH/g」に代えた以外は実施例1と同様にして研磨用分散液5を作製し、研磨用分散液5の分散安定性を評価した。
(実施例6)
実施例1において、「分散剤(DISPERBYK−2013、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価18mgKOH/g、酸価8mgKOH/g)」を、「分散剤(DISPERBYK−162、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価13mgKOH/g)」に代えた以外は実施例1と同様にして研磨用分散液6を作製し、研磨用分散液6の分散安定性を評価した。
(実施例7)
実施例1において、「分散剤(DISPERBYK−2013、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価18mgKOH/g、酸価8mgKOH/g)」を、「分散剤(BYK−9077、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価48mgKOH/g)」に代えた以外は実施例1と同様にして研磨用分散液7を作製し、研磨用分散液7の分散安定性を評価した。
(比較例1)
実施例1において、超音波洗浄器SU−2TH(柴田科学株式会社製)を用いて超音波を30分間照射しなかった以外は、実施例1と同様にして研磨用分散液8を作製し、研磨用分散液8の分散安定性を評価した。
(比較例2)
実施例1において、超音波洗浄器SU−2TH(柴田科学株式会社製)を用いて超音波を30分間照射せず、ビーズミルによりダイヤモンド粒子を30分間分散させた以外は、実施例1と同様にして研磨用分散液9を作製し、研磨用分散液9の分散安定性を評価した。
(比較例3)
実施例1において、「分散剤(DISPERBYK−2013、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価18mgKOH/g、酸価8mgKOH/g)」を、「分散剤(DISPERBYK−174、ビック・ケミージャパン株式会社製、酸価22mgKOH/g)」に代えた以外は実施例1と同様にして研磨用分散液10を作製し、研磨用分散液10の分散安定性を評価した。
(比較例4)
実施例1において、「分散剤(DISPERBYK−2013、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価18mgKOH/g、酸価8mgKOH/g)」を、「分散剤(DISPERBYK−108、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価71mgKOH/g」に代えた以外は実施例1と同様にして研磨用分散液11を作製し、研磨用分散液11の分散安定性を評価した。
(比較例5)
実施例1において、「分散剤(DISPERBYK−2013、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価18mgKOH/g、酸価8mgKOH/g)」を、「分散剤(DISPERBYK−140、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価76mgKOH/g、酸価73mgKOH/g」に代えた以外は実施例1と同様にして研磨用分散液12を作製し、研磨用分散液12の分散安定性を評価した。
(比較例6)
実施例1において、「分散剤(DISPERBYK−2013、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価18mgKOH/g、酸価8mgKOH/g)」を、「分散剤(DISPERBYK−2150、ビック・ケミージャパン株式会社製、アミン価57mgKOH/g」に代えた以外は実施例1と同様にして研磨用分散液13を作製し、研磨用分散液13の分散安定性を評価した。
Figure 2020157389
表1中、超音波を照射した研磨用分散液には○、超音波を照射していない研磨用分散液は×とした。
表1をみてわかるように、実施例1〜7において塩基性官能基を有するポリマーのアミン価が50mgKOH/g以下の場合は研磨用分散液製造後、ダイヤモンド粒子の一次粒子径と同等のメディアン径が得られる。さらに塩基性官能基を有するポリマーの酸価が50mgKOH/g以下の場合は研磨用分散液製造後、メディアン径がより小さく得られる。
また、40℃の温度環境下で1週間保存した研磨用分散液中には、ダイヤモンド粒子の凝集体は少ないため、保存安定性に優れていることがわかる。
比較例1〜6において超音波を照射せずに分散液を製造した場合、ダイヤモンド粒子の分散が十分に進行せず、製造時の濾過で多くの粒子が濾別され、ダイヤモンド粒子の一次粒子径と比較してメディアン径も大きく、保存安定性も劣ることが確認できた。また、酸価のみを有するポリマーや塩基性官能基を有するポリマーのアミン価及び酸価が50mgKOH/g以上で含む場合も同様にメディアン径が大きく、保存安定性が悪いことが確認された。
これより、実施例1〜7の研磨分散液は、良好な粒度分布と保存安定性を有していることが確認された。
[SEMによる分散液の表面観察]
実施例1〜7、比較例1〜6の分散液のSEM写真(倍率:1万倍)を日本電子株式会社製のMP−Z08181Tを用いてクライオSEM法により撮影した。実施例1〜7の分散液では単一粒子が非常に多く観察され合格であった。一方、比較例1〜6の分散液では粒子が会合している様子であり不合格であった。
ここで、実施例1及び比較例1の分散液については、撮影したSEM写真を図1及び図2に示した。
(実施例8)
シクロヘキサノン100部にポリエステル樹脂(エリーテルUE−9200、ユニチカ株式会社製)43部を加え、25℃にて1時間以上攪拌混合し、樹脂を均一に溶解させた溶液を得た。得た溶液143部に製造した研磨用分散液1を415部混合し、ポリエステルフィルム(厚さ50μm)にバーコーターを用いて均一に塗布し、送風乾燥機に入れ、温度100℃で1分間乾燥させ、乾燥後、研磨層の膜厚が3μmの研磨シートを得た。
<研磨シートの評価方法>
作製した研磨シートを用いて、予め粗研磨を施してある半導体デバイス用の4インチシリコン基板の表面を回転させながら研磨し、平均表面粗さ(Ra)の測定と外観の観察を実施した。
シリコン基板の平均表面粗さ(Ra)は、触針式表面形状測定器(Dektak6M、アルバック株式会社製)を用いて下記条件により測定した。
<測定条件>
触針半径:12.5μm
測定距離:1000μm
測定時間:20秒
触針圧 :5mg
測定範囲:6.5μm
<研磨条件>
研磨前のシリコン基板の平均表面粗さ(Ra):31.6nm
シリコン基板回転数:500回転
テープ押付圧力:1kg/cm
<変化率>
変化率は以下の式により計算した。
変化率=[(研磨後の平均表面粗さ)−(研磨前の平均表面粗さ)]/(研磨前の平均表面粗さ)
(実施例9から実施例14及び比較例7から比較例12)
実施例9から実施例14及び比較例7から比較例12はそれぞれ実施例1中の研磨用分散液1の代わりに研磨用分散液2から研磨用分散液13を用いた以外は、実施例1と同様に研磨シートを作製して評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 2020157389
表2をみてわかるように、実施例8〜14の研磨シートはダイヤモンド粒子のメディアン径が小さく、凝集しにくいため、研磨試験後、研磨前のシリコン基板の表面粗さが低下(良好化)していることが確認された。
一方で、比較例7〜12の研磨シートはダイヤモンド粒子のメディアン径が大きく、凝集し易いため、研磨試験後、研磨前のシリコン基板の表面粗さが増加(悪化)しており、精密研磨が進んでいないことが確認された。
本発明に係わる実施例8〜14の研磨シートは、良好な研磨性能を有し、凝集粒子による凹凸や不良傷の発生がないことが確認された。
<SEMによる研磨シートの表面観察>
実施例8〜14、比較例7〜12の研磨シートにおける研磨層表面のSEM写真(倍率:3万倍)をFE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡、Carl Zeiss製 ULTRA55)により撮影した。実施例8〜14の研磨シートでは粒子が密に分布しており合格であった。一方、比較例7〜12の研磨シートでは粒子が疎に分布しており不合格であった。
ここで、実施例8及び比較例7の研磨シートについては、撮影した研磨層表面のSEM写真を図3及び図4に示した。
本発明により得られる研磨用分散液及び研磨シートは、磁気ディスク、精密機器、精密部品及びプリント基板の仕上げ加工等に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 有機溶媒と、ダイヤモンド粒子と、アミン価が1.0〜50mgKOH/gである塩基性官能基を有するポリマーと、を少なくとも含有することを特徴とする研磨用分散液と、樹脂と、を混合させて研磨用樹脂組成物を得る工程と、
    可撓性基材上に研磨用樹脂組成物を塗布した後、研磨用樹脂組成物中の有機溶媒を除去して研磨層を形成させる工程と、を含むことを特徴とする研磨シートの製造方法。
  2. 前記ダイヤモンド粒子の一次粒子のメディアン径が、0.1〜5.0μmであることを特徴とする請求項1に記載の研磨シートの製造方法
  3. 前記塩基性官能基を有するポリマーの酸価が、1.0〜50mgKOH/gであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の研磨シートの製造方法。
  4. 可撓性基材上に研磨層を有する研磨シートにおいて、
    研磨層が、一次粒子のメディアン径が0.1〜5.0μmであるダイヤモンド粒子と、アミン価が1.0〜50mgKOH/gである塩基性官能基を有するポリマーと、樹脂と、を少なくとも含有することを特徴とする研磨シート。
  5. 前記塩基性官能基を有するポリマーの酸価が、1.0〜50mgKOH/gであることを特徴とする請求項4に記載の研磨シート。
  6. 前記研磨層の表面の算術平均粗さが0.05〜3.0μmであることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の研磨シート。
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