JP2010149253A - 研磨シート - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な研削力と十分な研磨精度を併有する研磨シートの提供。
【解決手段】研磨シート1は、主として、基材10と、基材10の表面上に配置されており、研磨粒子32とバインダー樹脂36とを含む研磨構造体36を含む研磨層30と、を少なくとも有している。更に、研磨粒子32は、JIS R1629(1997)レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定方法で規定される粒度分布の体積平均径D50が1.0μm以下であり、研磨層30は、JIS K7125(1999)摩擦係数試験方法で規定される摩擦係数が0.45以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は研磨シートに関する。より詳しくは、本発明は被研磨体(光ファイバ等)の被研磨面(光ファイバコネクタの接続端面等)の研磨に使用される研磨シートに関する。
従来、光ファイバ同士の接続部材としては、取り外しが容易な光ファイバコネクタが広く使用されている。光ファイバコネクタを使用して光ファイバ同士を接続する場合、それぞれの接続端面同士{接続光ファイバ本体(ガラスファイバ)の端面同士と、光ファイバ本体を被覆するフェルールの端面同士}を直接突き合わせた状態で接続する。
そのため、接続後の光ファイバの光損失(通信ロス)を十分に低減する観点から、接続される光ファイバコネクタの接続端面(光ファイバ本体の端面及びフェルールの端面)が、傷(スクラッチ)や(欠損)フチカケを十分に低減した状態の滑らかな面となるように、精密に研磨しておくことが重要となっている。
従来、光ファイバコネクタの接続端面の研磨は、研磨粒子とバインダー樹脂を少なくとも含む研磨層を有する研磨シートを用いて広く行われており、このような研磨シートには、光ファイバコネクタの接続端面を精密に研磨するために十分な研磨精度を有することが要求されている。
そして、十分な研磨精度を得る観点からは、研磨シートを使用して光ファイバコネクタの接続端面の研磨処理をしているときに生じる研磨屑及び研磨層から脱落した研磨粒子のうちの少なくとも一方が接続端面を傷付けたり、研磨処理の後にも接続端面に付着して残ることを十分に防止することも要求されている。
また、研磨層の表面に突出している複数の研磨粒子の間にある谷間が、研磨屑や研磨層から脱落した研磨粒子で満たされ、この満たされた部分が盛り上がり、研磨粒子よりも研磨屑や脱落した研磨粒子のほうが光ファイバコネクタの接続端面にあたり易くなって、研削力が低下するいわゆる「ローディング」を十分に防止することも要求されている。
このような要求に応えるため、従来の研磨シートとしては、例えば、表面に凹凸を有するフィルム基材(基材)と、この基材の表面上に被覆された(配置された)バインダー(バインダー樹脂)と、このバインダーによりフィルム基材に接着された砥粒(研磨粒子)とを有し、この砥粒がフィルム基材の表面に単層で接着されている研磨テープ(研磨シート)が提案されている(特許文献1を参照)。
上記特許文献1に記載の発明は、研磨層が均一性、規則性および形状安定性に優れる凹凸(フィルム基材の凹凸を有する表面に基づいてできる凹凸)を有し、クリーニング効果(目詰まりしにくい)、研磨精度、研磨力(研削力)、及び砥粒の利用効率に優れた研磨テープを提供することを意図している(特許文献1、段落番号[0013]等を参照)。なお、上記の「クリーニング効果」とは、研磨テープを使用して光ファイバコネクタの接続端面の研磨処理をしているときに生じる研磨屑や研磨層から脱落する砥粒を研磨層の凹部に集めて取り除く効果と説明されている(特許文献1、段落番号[0005]等を参照)。
また、別の従来の研磨シートとして、基材フィルム(基材)と、当該基材フィルム上に少なくとも研磨材粒子(研磨粒子)及びバインダー樹脂から形成されてなる研磨層とを有し、研磨層の表面に、一定形状の凸部を有するパターンが形成されている研磨フィルム(研磨シート)が提案されている(特許文献2を参照)。
上記特許文献2に記載の発明は、研磨中に発生した研磨材粒子の凝集物等を、パターン状に形成されている凸部と凸部の隙間(凹部)で捕集させ、研磨中に浮遊する研磨材粒子の凝集物等を減少させ、傷のない良好な被研磨面を安定して研磨できる研磨フィルムを提供することを意図している(特許文献2、段落番号[0006]、[0008]等を参照)。
特開2002−172563号公報 特開2002−292573号公報
しかしながら、研磨シートには、光ファイバコネクタの接続端面を精密に研磨するための十分な研磨精度を有することの他に、光ファイバコネクタの接続端面を短時間で効率よく研磨するための十分な研削力を有することも同時に要求されており、このような十分な研削力と十分な研磨精度を併有する研磨シートを実現するという観点からは、上述した特許文献1及び特許文献2に記載の研磨シートをはじめとする従来の研磨シートであっても未だ改善の余地があった。
例えば、十分な研磨精度を得るためには粒子径の小さな研磨粒子(例えば、後述するJIS R1629(1997)レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定方法で規定される粒度分布の体積平均径D50が1μm程度の研磨粒子)を採用することが有効であるが、粒子径の小さな研磨粒子は研磨層中のバインダー樹脂中に埋もれ易く、研磨層の表面に突出する研磨粒子の部分の体積が少なくなり、研削力が低下してしまう(研削力の低下に伴い、研削力の指標の一つである研磨層の摩擦係数も低下することになる)。そして、研削力が低下すると、接触端面の研削時間が増大し、短時間で研磨処理を行えないことになる。
すなわち、従来から、研磨精度の向上と研削力の向上とを技術的に同時に図ることは、両者がトレードオフの関係あるため、実現することは困難であるとされていた。そこで、本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、十分な研削力と十分な研磨精度を併有する研磨シートを提供することを目的とする。
上述したように、十分な研磨精度を得るために研磨層を構成する研磨粒子として、粒子径の小さな研磨粒子を用いると、研磨粒子がバインダー樹脂中に埋もれ易く十分な研削力が得難くなるということが従来の当業者の一般的な認識であった。
これに対し、本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、上述の当業者の一般的な認識があったにもかかわらず、粒子径の小さな研磨粒子(JIS R1629(1997)レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定方法で規定される粒度分布の体積平均径(一次粒子径)D50が1.0μm以下の粒子)を用いても、十分な研磨精度に加えて十分な研削力を有する研磨層を構成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
基材と、
前記基材の表面上に配置されており、研磨粒子とバインダー樹脂とを含む研磨構造体を含む研磨層と、
を少なくとも有しており、
前記研磨粒子は、JIS R1629(1997)レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定方法で規定される粒度分布の体積平均径D50が1.0μm以下であり、
前記研磨層は、JIS K7125(1999)摩擦係数試験方法で規定される摩擦係数が0.45以上である、
研磨シートを提供する。
上述のように、本発明の研磨シートは、研磨層にJIS R1629(1997)レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定方法で規定される粒度分布の体積平均径D50(以下、単に「D50」という)が1.0μm以下の研磨粒子を含む研磨構造体を含む構成を有している。1.0μm以下の研磨粒子であれば、研磨層の表面付近にこの研磨粒子をバインダー樹脂に埋もれさせること無く数多く偏在させることができ、JIS K7125(1999)摩擦係数試験方法で規定される摩擦係数(以下、単に「摩擦係数」という)が0.45以上の十分な研削力を有する研磨シートを構成できることを、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果見出した。
以上説明したように、本発明の研磨シートによれば、従来は困難とされていた研磨精度の向上と研削力の向上とを技術的に同時にバランスよく実現することができる。
また、本発明の研磨シートにおいては、本発明の効果をより確実に得る観点から、研磨粒子の上記のD50は0.6μm以上であることが好ましい。これにより、特に十分な研削力をより確実に得ることができる。D50が0.6μm以上の研磨粒子を用いることにより、摩擦係数が0.45以上の研磨層をより確実に構成することができる。更に、本発明の研磨シートにおいては、本発明の効果をより確実に得る観点から、研磨層の摩擦係数の上限は大きければ大きいほど好ましいが、例えば0.55以下であればよい。
また、本発明の研磨シートにおいては、本発明の効果をより確実に得る観点から、JIS R1629(1997)レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定方法で規定される粒度分布の体積平均径D99が1.2μm〜1.9μmであることが好ましい。上記JIS R1629(1997)レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定方法で規定される粒度分布の体積平均径D99(以下、単に「D99」という。)が1.9μm以下であると光ファイバの接続端面の研磨処理を行う過程で、接続端面におけるキズの発生をより確実に防止できるようになる。また、D99が1.2μm以上であると十分な研削力をより確実に得ることができる。
また、本発明の研磨シートは、前記研磨層には、前記研磨構造体が2以上含まれており、 前記2以上の前記研磨構造体の間には、溝が形成されていることが好ましい。これにより、光ファイバの接続端面の研磨処理を行う過程において研磨屑、研磨層から脱落する研磨粒子を溝に導いてこれらが接続端面へ接触することをより確実に防止することができるようになる。
ここで、上述のように研磨層の研磨構造体の間に溝を設ける場合、溝の幅が30μm〜80μmであることが好ましい。溝の幅が30μm以上であると、研磨処理中に研磨屑、研磨層から脱落する研磨粒子を溝により確実に導くことができ、更にはこれらを研磨シートの外により確実に排出することができるようになる。また、溝の幅が80μm以下であると、多い研削量を必要とする高荷重又は高回転等の研磨条件にも対応できる。80μmを超えると、溝上を移動する光ファイバに局在的な荷重がかかってしまい、スクラッチやフチカケなどを発生させるおそれがある。
である。
更に、本発明の研磨シートにおいては、本発明の効果をより確実に得る観点から、研磨層は、JIS B0601(1994)で規定される算術平均粗さRaが0.10〜0.25μmであることが好ましい。この範囲であれば、研磨精度が低下しにくく、前工程によるキズ等を十分に取り除くことができる。
また、本発明の研磨シートにおいては、本発明の効果をより確実に得る観点からから、研磨粒子が構成材料としてダイヤモンドを含んでいることが好ましく、また、本発明の研磨シートは、光ファイバコネクタの接続端面の研磨に使用されることが好ましい。
更に、本発明の研磨シートにおいては、本発明の効果をより確実に得る観点から、研磨構造体は、被研磨体側の表面近傍に配置される研磨粒子の単位体積あたりの数が、上記表面近傍以外の内部に配置される研磨粒子の単位体積あたりの数よりも多くなるように構成されていることが好ましい。
また、このように研磨粒子を研磨構造体の表面近傍に多く偏在させて、本発明の効果を更により確実に得る観点からは、研磨構造体が、被研磨体側の最外部に配置される第1の層と、基材の側の最内部に配置される第2の層と、を少なくとも有しており、第1の層と第2の層とが下記式(1)で表される条を満たすように構成されていることが好ましい。
(WP1)>(WP2)・・・(1)
ここで、式(1)中、WP1は前記研磨構造体の前記第1の層の表面における前記バインダー樹脂部分の面積に対する前記研磨粒子部分の面積の比(すなわち、研磨粒子が占める割合)を示し、WP2は前記研磨構造体の前記第2の層の表面における前記バインダー樹脂部分の面積に対する前記研磨粒子部分の面積の比(すなわち、研磨粒子が占める割合)を示を示す。WP1及びWP2は、それぞれ前記研磨構造体の前記第1の層及び前記第2の層の表面のSEM写真を、例えば三谷商事(株)製の画像処理ソフト(商品名:「win ROOF」)を用いて画像処理し、当該表面の研磨粒子とバインダー樹脂との面積比を算出することにより得ることができる。
本発明によれば、十分な研削力と十分な研磨精度を併有する研磨シートを提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の研磨シートの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、以下の説明では、図面においては、本発明を概念的に説明するためのものであるから、表された各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。
[研磨シート]
図1は本発明の研磨シートの一実施形態の基本構成を示す模式断面図である。図2は図1に示した実施形態の研磨シートの研磨層の表面を示す正面図である。図3は図1に示した実施形態の研磨シートの研磨層を構成する研磨構造体の模式拡大断面図である。以下、図1〜3に示す第1実施形態の研磨シート1について説明する。
図1に示す第1実施形態の研磨シート1は、主として、基材10と、基材の表面S1上に配置されており、研磨粒子32とバインダー樹脂34とを含む研磨構造体36を含む研磨層30と、を有して構成されている。更に、図1に示す研磨シート1は、基材10と研磨層30との間にプライマー処理層が更に配置された構成を有している。
基材10は、研磨構造体36を担持して研磨構造体36からなる研磨層30を固定するための部材である。図1に示す基材10は、互いに略平行に対向する第一の主面S1及び第二の主面S2を有するシート状の形状を呈している。そして、基材10の被研磨体の側の第一の主面S1上に研磨構造体36が配置される。
かかる基材10としては、光ファイバコネクタ等の被研磨体の研磨処理を行う際に、研磨構造体36(プライマー処理層20を設ける場合にはプライマー処理層20)との良好な密着性が確保されるものであれば、特に限定されず、公知の研磨シートの基材を使用することができる。
基材10の構成材料としては、公知のプラスチックシートを好ましく用いることができる。基材10の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムを好ましく用いることができる。
基材10の厚さは、研磨シート1の用途に応じて適宜適切な厚さを設定すればよい。例えば、研磨シート1を光ファイバコネクタの接続端面の研磨処理に用いる場合には、利便性(取扱いの容易性)の観点から、基材10の厚さは30μm〜150μmであることが好ましい。
プライマー処理層20は、基材10と研磨構造体36との密着性を確保するために、基材10(の第一の主面S1)と研磨構造体36との間に配置される中間層である。
プライマー処理層20の構成材料としては、基材10と研磨構造体36との密着性を確保できるものであれば特に限定されない。プライマー処理層20の構成材料としては、例えば、水溶性又は水分散性のポリエステル樹脂又はアクリル系樹脂や(例えば特公昭54−43017号公報参照)、例えば水溶性又は水分散可能な親水基含有ポリエステル樹脂に不飽和結合含有化合物をグラフト化させた樹脂(例えば特開平2−310048号公報参照)等を好ましく用いることができる。
プライマー処理層20の厚さは、研磨シート1の用途に応じて適宜適切な厚さを設定すればよい。例えば、研磨シート1を光ファイバコネクタの接続端面の研磨処理に用いる場合には、利便性(取扱いの容易性)の観点から、プライマー処理層20の厚さは0.3μm〜0.8μmであることが好ましい。
なお、基材10と研磨構造体36との密着性を確保するために、プライマー処理層20のかわりに、基材10の第一の主面S1に対してコロナ処理を施してもよい。コロナ処理を施すと、基材10の表面を微細に粗くして基材10の表面積を増加させて、研磨構造体36との密着性を向上させることができる。
研磨層30は、被研磨体を研磨するために設けられる層である。研磨層30は、主として、バインダー樹脂34と研磨粒子32とを含む研磨構造体36を2以上含む構成を有している。
研磨層30は、先に述べた本発明の効果(研磨シート1として十分な研削力と十分な研磨精度を同時に得ること)をより確実に得る観点から、後述する研磨構造体36の構成を規定することにより、JIS K7125(1999)摩擦係数試験方法で規定される摩擦係数が0.45〜0.55になるように調節され、かつ、JIS B0601(1994)で規定される算術平均粗さRaが0.10〜0.25μmとすることができる。
図1に示すように、研磨構造体36は、その断面方向からみた場合(すなわち、第一の主面S1及び第二の主面S2の略法線方向における縦断面を、第一の主面S1及び第二の主面S2と略平行な方向からみた場合)、略ドームの形状を呈している。また、図2に示すように、研磨構造体36は基材10の第一の主面S1及び第二の主面S2の略法線方向からみた場合、研磨層30は、略6角形の形状を呈する表面を有する研磨構造体36が2以上並置された構成を有している。そして、2以上の研磨構造体36の間には、溝38が形成されている。
本実施形態において2以上の研磨構造体36の間に形成される溝38は、研磨層30の全域で連続して形成されており、かつ、溝38の底部は、プライマー処理層20の表面(プライマー処理層20が形成されていない場合には基材10の表面)にまで達するように形成されている。
研磨構造体36の間に形成されている溝38の幅が広すぎると、例えば、光ファイバコネクタの接続端面を研磨処理する場合に、光ファイバコネクタの先端が溝38に入り込んでしまい、光ファイバコネクタの接続端面の傷(スクラッチ)の発生やフチカケの発生の原因になる。一方、溝38の幅が狭すぎると研磨処理の際に発生した研磨屑や脱落した研磨粒子を研磨層30及び接続端面の外に十分に排出できなくなる。こうした不具合をより確実に防止する観点から、溝38はその幅が30μm〜80μmとなるように形成されている。
これにより、研磨シート1を使用して光ファイバコネクタ等の被研磨体の研磨処理をしているときに生じる研磨屑及び研磨層30から脱落した研磨粒子32のうちの少なくとも一方が接続端面を傷付けたり、研磨処理の後にも接続端面に付着して残ることを十分に防止することができる。また、先に述べた、いわゆる「ローディング」も十分に防止することができる。
バインダー樹脂34は、研磨構造体36中に研磨粒子32を分散させた状態で保持するためと、当該研磨構造体36自体をプライマー処理層20上(プライマー処理層20を設けない場合には基材10上)に密着した状態で固定するために研磨構造体36中に含有される材料である。
バインダー樹脂34は、研磨粒子32の良好な分散性と、プライマー処理層20上(プライマー処理層20を設けない場合には基材10上)への良好な密着性が確保できるのであれば特に限定されない。バインダー樹脂34は、公知の研磨シートのバインダー樹脂として使用されているものを用いてもよい。
バインダー樹脂34としては、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、エチレン共重合体、ゴム系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、及び、アミノプラスト系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の合成樹脂が好ましく挙げられる。特に、バインダー樹脂34としては、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、及び、ポリエステル系樹脂がからなる群より選択される少なくとも一種の合成樹脂であることがより好ましい。また、バインダー樹脂34は、少なくとも一部が架橋していても構わない。
研磨粒子32は、被研磨体を研磨するための部材である。研磨粒子32は、先に述べた本発明の効果を得るために以下の構成を有している。すなわち、研磨粒子32は、JIS R1629(1997)レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定方法で規定される粒度分布の体積平均径D50が0.6μm〜1.0μmである。このD50の測定は、例えば、日機装(株)製のマイクロトラック粒度分布測定装置を用いて実施することができる。
更に、先に述べた本発明の効果をより確実に得るために、研磨粒子32は、JIS R1629(1997)レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定方法で規定される粒度分布の体積平均径D99が1.2μm〜1.9μmである。このD99の測定も、例えば、日機装(株)製のマイクロトラック粒度分布測定装置を用いて実施することができる。
研磨粒子32の構成材料は特に限定されず、公知の研磨シートに用いられる研磨粒子を用いてよい。本発明の効果をより確実に得る観点からは、研磨粒子32は構成材料としてダイヤモンドを含んでいることが好ましく、更に、研磨粒子32はダイヤモンドからなる研磨粒子であることがより好ましい。
ダイヤモンドの種類は特に限定されず、多結晶ダイヤモンドモンド、単結晶ダイヤモンドモンド等いずれのダイヤモンドを用いてもよい。不純物除去や親水性向上のために酸処理を行ったダイヤモンドモンドを使用してもよい。また、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を使用してもよい。
ここで、図3に示すように、第1実施形態の研磨シート1の場合、十分な研削力と十分な研磨精度を同時かつより確実に得る観点から、研磨構造体36の表面付近に、バインダー樹脂にできるだけ埋もれさせること無く研磨粒子を数多く偏在させる構成(すなわち、研磨構造体36において被研磨体側の表面近傍に配置される研磨粒子の単位体積あたりの数が、表面近傍以外の内部に配置される研磨粒子の単位体積あたりの数よりも多い構成)とし、摩擦係数が0.45〜0.55の研磨層30をより確実に構成できるようにされている。
上記の構成を有する研磨構造体36についてより具体的に説明する。図3に示すように、研磨構造体36は、被研磨体側の最外部に配置される第1の層36Aと、基材10の側(プライマー処理層20の側)の最内部に配置される第2の層36Bと、を少なくとも有する構成とされている。そして、第1の層36Aに配置される研磨粒子の単位体積あたりの数が、第2の層36Bに配置される研磨粒子の単位体積あたりの数よりも多くなるように構成されている。
更に、第1実施形態の研磨シート1の場合、第1の層36Aと第2の層36Bとが下記式(1)で表される条件を満たすように構成されている。
(WP1)>(WP2) ・・・(2)
ここで、式(1)中、WP1は前記研磨構造体の前記第1の層の表面における前記バインダー樹脂部分の面積に対する前記研磨粒子の部分の面積の比を示し、WP2は前記研磨構造体の前記第2の層の表面における前記バインダー樹脂部分の面積に対する前記研磨粒子の部分の面積の比を示す。
これにより、D50が1μm以下の研磨粒子32を用いているにもかかわらず、研磨構造体36の第1の層35Aの表面から外部に突出している研磨粒子32の突出の程度(すなわち、突出している研磨粒子32部分の体積)を、より確実に十分な研削力と十分な研磨精度が同時に得られるように最適化されることになる(後述する図4に示す、実施例1の第1の層Aの表面のSEM写真を参照)。
以上説明したように、本実施形態の研磨シート1は、1.0μm以下の研磨粒子32を研磨構造体36に使用しており、研磨構造体36の表面付近(第1の層36S)にバインダー樹脂にできるだけ埋もれさせること無くこの研磨粒子を数多く偏在させているので、摩擦係数が0.45以上の研磨層30をより確実に形成することができ、十分な研削力と十分な研磨精度を同時に得ることができる。
[研磨シートの製造方法]
次に、本実施形態の研磨シート1の製造方法の一例について説明する。
本実施形態の研磨シート1の製造方法は、主として、基材10の第一の主面S1上に、プライマー処理層20を形成する第1工程と、プライマー処理層20上に研磨層30を形成する第2工程と、を有している。以下、個々の製造工程についてより具体的に説明する。
(a)第1工程
基材10の第一の主面S1上へのプライマー処理層20の形成する方法としては、例えば基材10の第一の主面S1上にプライマー剤をスプレーコートした後に乾燥する方法等、従来公知の方法を採用することができる。また、基材10の第一の主面S1上にプライマー処理層20が予め設けられた市販品を使用してもよい。
プライマー処理層20上に研磨層30(研磨構造体36と溝38)を形成する方法としては、プライマー処理層20と研磨層30との密着性を十分に確保できる範囲で公知の薄膜製造技術を採用することができる。
例えば、研磨粒子32、バインダー樹脂34、溶剤、架橋剤及び分散剤を混合し、研磨粒子32が分散した塗工液を調製し、この塗工液をプライマー処理層20上に塗工する。次に、プライマー処理層20上に塗工した塗工液を乾燥させることにより溶剤を除去することによって、プライマー処理層20上に研磨構造体36を形成することができる。
ここで、塗工液をプライマー処理層20上に塗工する手法は特に限定されず、バーコーティング、スプレーコーティング、リバースロールコーティング、ナイフコーティング、スクリーン印刷、グラビアコーティング、ダイコーティング等の公知の塗工方式を採用することができる。
架橋剤は、バインダー樹脂を構成するポリマー分子同士を架橋するためのものであり、架橋後のバインダー樹脂の内部に取り込まれた構成を形成するものである。この架橋剤としては、高い反応性によって、研磨作業時に変形しにくい硬い研磨層が得られるという観点から、NCO基中の炭素を除き、炭素数6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネートであることが好ましい。
また、上記と同様の観点から、架橋剤としては、上記のポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、及び、オキサゾリドン基からなる群より選択される少なくとも1種の有機基を含有する変性物等)、及び、上記ポリイソシアネートの化合物であることが好ましい。また、上述したポリイソシアネート、ポリイソシアネートの変性物およびポリイソシアネートの化合物の中から2種以上を選択して混合物としたものを用いてもよい。
溶剤は、バインダー樹脂が可溶なものであれば特に限定されない。具体的には、イソフラン、MEK(メチルエチルケトン)、イソホロン、テルピネオール、Nメチルピロリドン、シクロヘキサノン、プロピレンカーボネート等を用いることができる。
分散剤としては、使用する溶剤に可溶であり、塗工液中において研磨粒子32をバインダー樹脂34中に分散できるものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、長鎖ポリアミノアマイドのポリカルボン酸塩、アルキロールアマノアマイド、変性アクリル系ブロック共重合、不飽和ポリカルボン酸ポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、リン酸オレイル、ドデシル硫酸ナトリウム等を用いることができる。なお、分散剤を使用しなくても塗工液中において研磨粒子32がバインダー樹脂34中に分散できる場合には、分散剤を使用しなくてもよい。
研磨層30に溝38を形成するためには、溝38の形状に対応する形状を有するマスクをプライマー処理層20上に配置し、その上から、例えばバーコーティング、スプレーコーティング、スクリーン印刷又はグラビアコーティング等によって、上記塗工液を塗工すればよい。その他、プライマー処理層20上に研磨層30を全面塗工した後、エッチングにより溝38を形成するという方法を用いることができる。
図3に示した構成を有する研磨構造体36を形成する具体的な方法について説明すると、一つの方法としては、上述した研磨粒子、バインダー樹脂、架橋剤、溶剤、分散剤を含む塗工液(上述のように分散剤が不要な場合もある)を調製する際に、特に、溶剤の比率を図3に示した構成を有する研磨構造体36を形成するのに適した比率に調節する。例えば、後述する実施例の研磨シートを製造する際の塗工液においては、バインダー樹脂の比率を約15質量%〜約20質量%、溶剤の比率を約40質量%〜約50質量%、研磨粒子の比率を約30質量%〜約35質量%とする。
そして、この塗工液をプライマー処理層20上(プライマー処理層20がない場合には基材10上)に塗工する。プライマー処理層20に塗工された塗工液は流動性が高いために、バインダー樹脂がプライマー処理層20の側に偏在するように位置する。このために研磨構造体36の表面に突出している研磨粒子32の部分の体積が大きくなる。
別の方法としては、溶剤の比率の異なる塗工液を2種類調製する方法がある。例えば、溶剤の比率の低い粘度の高い塗工液を研磨構造体36の第2の層36Bの形成用の塗工液(塗工液B)とする。また、溶剤の比率の高い粘度の低い塗工液を研磨構造体36の第1の層36Aの形成用の塗工液(塗工液A)とする。
そして、塗工液Bをまずプライマー処理層20上(プライマー処理層20がない場合には基材10上)に塗工し、次に、必要に応じて塗工液Aを乾燥させた後に、塗工液Aを塗工することにより図3に示した構成を有する研磨構造体36を形成することができる。
以上、本発明の好適な一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。ここで示された実施形態は本発明の一例に過ぎず、特許請求の範囲の技術的思想及び教示の範囲で種々の設計変更が可能であり、したがって他の実施形態も種々存在し、それらは本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
例えば、図1〜図3に示した実施形態の研磨シート1においては、略6角形の形状を呈する表面を有する研磨構造体36について説明しているが、本発明の研磨シートにおける研磨構造体の表面の形状はこの略6角形に限定されるものではない。例えば、研磨構造体36の表面は、略矩形(略菱形、略正方形、略長方形等)、略三角形、略五角形、略八角形等の形状を呈していてもよい。
また、図1〜図3に示した実施形態の研磨シート1においては、プライマー処理層20を基材10と研磨層30との間に配置した構成について説明したが、本発明の研磨シートはこれに限定されない。例えば、本発明の研磨シートは、プライマー処理層20を有さず、基材10上に研磨層30を隣接して配置した構成を有していてもよい。
また、図1〜図3に示した実施形態の研磨シート1においては、溝38がそれぞれの研磨構造体36の周辺部分に連続して形成された構成について説明したが、本発明の研磨シートはこれに限定されない。本発明の研磨シートは、例えば、溝38が部分的に不連続で形成され、研磨構造体36同士が連続している構成を有していてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の研磨シートについて更に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
ここでは、基材10であるポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ75μm)の第1の主面S1側にプライマー処理層20(厚さ0.5μm)が形成された構成を有する、帝人デュポンフィルム(株)製のプライマー処理層付き基材(商品名:「帝人テトロンHLE」)を用いた。
次に、研磨層30を形成するための、研磨粒子32、バインダー樹脂34、架橋剤、溶剤を含む塗工液を調製した。
研磨粒子32としては、トーメイダイヤ(株)製のダイヤモンドモンド粒子(D50:0.8μm、D99:1.2μm、品番:「IRM0−2」)を用い、バインダー樹脂34としては、東洋紡績(株)製のバインダー樹脂(商品名:「バイロンGK280」、これはポリエステル樹脂で、Mn数平均分子量:18×10、比重:1.27(at 30℃)、Tg:68℃、水酸基価:6 KOHmg/g、酸価:2KOHmg/g未満のものである。)を用いた。
また、架橋剤としては、日本ポリウレタン工業(株)製の架橋剤(商品名:「コロネートL」、これはイソシアネートの1種であるMDI(4,4’−ジフェニルメタン-ジイソシアネート)で、NCOの含有量が12.7〜13.7パーセントである。)を用い、溶剤としては、和光純薬工業(株)製の溶剤(商品名:「イソホロン」)を用いた。以上の研磨粒子32、バインダー樹脂34、架橋剤、溶剤を表1に示す含有比率で混合し塗工液を調製した。
次に、溝に対応する部分にマスクを施したスクリーン版及びスクリーン印刷機を用い、プライマー処理層20上に塗工液を塗工し、熱処理(乾燥処理)を100℃、10時間の条件で、上記のバインダー樹脂(ポリエステル樹脂)内における内部架橋反応(ポリマー分子間の架橋反応)を行うとともに、溶剤、分散剤及び未反応の架橋剤を除去した。
このようにして、50μmの溝幅を有する溝38と複数の研磨層構造体36とを有する研磨層30を形成し、本発明の研磨シート1を得た。なお、実施例1の研磨シート1の研磨層30を構成する研磨構造体36について、第1の層36Aの厚さは約4μm、第2の層36Bの厚さは約2μmとなった。
≪実施例2≫
実施例1の研磨シートに使用した研磨粒子32のかわりにD50が1.0μmの研磨粒子32を使用したこと以外は、実施例1と同様に研磨シート1を作製した。
≪実施例3≫
実施例1の研磨シートの作成に使用した塗工液のかわりに、バインダー樹脂の含有比率を18質量%、溶剤の含有比率を40質量%に変更した塗工液を使用したこと以外は、実施例1と同様に研磨シート1を作製した。
≪実施例4≫
実施例1の研磨シートの研磨層30のかわりに、溝幅を80μmとした研磨層30を形成したこと以外は、実施例1と同様に研磨シート1を作製した。
≪比較例1≫
実施例1の研磨シートに使用した研磨粒子32のかわりにD50が0.5μmの研磨粒子を使用したこと以外は、実施例1と同様に研磨シートを作製した。
≪比較例2≫
実施例1の研磨シートに使用した研磨粒子32のかわりにD50が1.3μmの研磨粒子を使用したこと以外は、実施例1と同様に研磨シートを作製した。
≪比較例3≫
実施例1の研磨シートの作成に使用した塗工液のかわりに溶剤の含有比率を30質量%に変更した塗工液を使用したこと以外は、実施例1と同様に研磨シートを作製した。
≪比較例4≫
実施例1の研磨シートの作成に使用した塗工液のかわりに溶剤の含有比率を60質量%に変更した塗工液を使用したこと以外は、実施例1と同様に研磨シートを作製した。
[評価試験]
(1)研磨シートの断面構造評価
実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例4の研磨シートの表面及び内部のSEM写真(倍率:1万倍)を、(株)日立ハイテクノロジーズ製のS−4800を用いて撮影し、得られたSEM写真を用いてこれら研磨シートの断面構造を評価した。実施例1〜実施例4の研磨シートでは、研磨層30の表面付近にこの研磨粒子32がバインダー樹脂34に埋もれること無く数多く偏在していた。
なお、表面のSEM写真とは、図3における研磨シートの法線方向上側から、第1の層36Aの表面を撮影して得られるSEM写真をいい、内部のSEM写真とは、図3における研磨シートのうちの第1の層36Aを取り除き、図3における研磨シート(すなわち第2の層36B)の法線方向上側から、第2の層36Bの表面を撮影して得られるSEM写真をいう。
ここで、実施例1の研磨シートについては、研磨層30を構成する研磨構造体36の表面近傍の部分(第1の層36A)の表面を撮影したSEM写真を図4に示す。また、実施例1の研磨シートについては、研磨層30を構成する研磨構造体36の表面近傍の部分以外の内部の部分(第2の層36B)の表面を撮影したSEM写真を図5に示す。更に、比較例1の研磨シートについては、研磨層を構成する研磨構造体の表面近傍の部分の表面を撮影したSEM写真を図5に示す。
また、実施例1の研磨シートについて、研磨構造体36の第1の層36Aの表面におけるバインダー樹脂部分の面積に対する研磨粒子部分の面積の比WP1、及び研磨構造体36の第2の層36Bの表面におけるバインダー樹脂部分の面積に対する研磨粒子部分の面積の比WP2を求めた。具体的には、上記の表面SEM写真及び内部SEM写真を、三谷商事(株)製の画像処理ソフト(商品名:「win ROOF」)を用いて画像処理し、バインダー樹脂部分に対する研磨粒子部分の面積比を算出することにより得た。この結果、WP1は75%で、WP2は15%であった。
(2)摩擦係数の測定
実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例4の研磨シートのJIS K 7125(1999)摩擦係数試験方法(プラスチックフィルムおよびシートの摩擦係数試験方法)で規定されている摩擦係数の測定を行った。新東科学(株)製の摩擦係数測定装置(商品名:「HEIDON TYPE−14DR」)を用いた。なお、測定条件は、垂直荷重:200gf、端子形状:ボール形状、ボール直径:10mm、速度:100mm/min、走行距離:50mmとした。測定結果を表1及び表2に示す。
(3)光ファイバコネクタの接続端面の研磨処理後の状態の比較評価
(3−1)
実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例4の研磨シートによって光ファイバコネクタの接続端面を研磨し、上記接続端面の状態を観察した。光ファイバコネクタとしては、TOTO(株)製のSCフェルール付きファイバの接続端面を、平均粒子径(D50)が9μmの研磨粒子(ダイヤモンド)を含む研磨シート(バンドー化学(株)製、商品名:「TOPXD902」)を用いて、予め研磨処理(予備研磨処理)したものを使用した。
上記光ファイバコネクタの接続端面を、実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例4の研 磨シートによりそれぞれ研磨した。研磨シートは研磨機((株)精工技研製の研磨機、商品名:「OFL−15」)にセットして研磨した。研磨処理の条件は、研磨処理の加工圧力1500g、回転数220rpm、1つの研磨シートで研磨処理する光ファイバコネクタの本数12本、研磨処理の時間は光ファイバコネクタ1本あたり60秒間で行った。研磨処理の後の光ファイバコネクタの接続端面の状態を、デジタル顕微鏡であるWestoverSCIENTIFIC社製の「Video Fiber Microscope」を用いて撮影(倍率:400倍)を行い、得られた写真を用いて評価した。評価結果を表1及び表2に示す。
(3−2)
また、光ファイバコネクタとして、OPTゲート(株)製のSCフェルール付きファイバを用いた以外は、上記(3−1)と同様に予備研磨処理及び研磨処理をし、その後の光ファイバコネクタの接続端面における引き込み量及び曲率半径を、NORLAND社製の形状評価機(AC−3000)で測定した。評価結果を表1及び表2に示す。
なお、例えば、光ファイバの形状がフェルール形状の理想曲線から凹んでいると、光ファイバ内への空気の流入や入射光漏れ等が起こるによって光損失(通信ロス)が増加する。引き込み量は、フェルール形状の理想曲線からのズレ(光ファイバの形状の凹凸)を表す指標である。例えば、上記のAC−3000を用いた測定では、フェルール形状の理想曲線から光ファイバ形状が凸になっていると、引き込み量はマイナス(−)になる。またフェルール形状の理想曲線から光ファイバ形状が凹みになっていると、引き込み量はプラス(+)になる。
なお、表2中のコネクタの「接続端面の状態」の「良好」とは、上記のVideoFiber Microscopeで得られた写真において、スクラッチ及びフチカケがない状態を示す。また、表3中のコネクタの「接続端面の状態」の「スクラッチ、フチカケあり」とは、上記のVideoFiber Microscopeで得られた写真において、目視により、スクラッチ及びフチカケが確認できる状態を示す。
(4)表面粗さRaの測定評価
実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例4の研磨シートの表面粗さを、(株)ミツトヨ製の接触式表面粗さ計S−3000を用いて測定した。評価結果を表1及び表2に示す。
表1及び表2に示した結果から明らかなように、比較例1〜比較例4の研磨シートに比較して、本発明に係る実施例1〜実施例4の研磨シートは、良好な研削力と良好な研磨精度を併有していることが確認された。
本発明により得られる研磨シートは、光ファイバコネクタを使用して光ファイバ同士を接続する場合の研磨処理に好適に利用することができる。また、本発明により得られる研磨シートは、例えば磁気ディスク、精密機器、精密部品及びプリント基板の仕上げ加工等にも好適に利用することもできる。
本発明の研磨シートの一実施形態の基本構成を示す模式断面図である。 図1に示した一実施形態の研磨シートの研磨層の表面を示す正面図である。 図1に示した一実施形態の研磨シートの研磨層を構成する研磨構造体の模式拡大断面図である。 本発明の研磨シートの実施例1における研磨層を構成する研磨構造体の表面近傍の部分(第1の層)を撮影したSEM写真を示す図である。 本発明の研磨シートの実施例1における研磨層を構成する研磨構造体の表面近傍の部分以外の内部の部分(第2の層)を撮影したSEM写真を示す図である。 比較例1における研磨層を構成する研磨構造体の基材近傍の部分を撮影したSEM写真を示す図である。
1・・・研磨シート、10・・・基材100・・・プライマー処理層、30・・・研磨層、32・・・研磨粒子、34・・・バインダー樹脂、36・・・研磨構造体、38・・・溝。

Claims (11)

  1. 基材と、
    前記基材の表面上に配置されており、研磨粒子とバインダー樹脂とを含む研磨構造体を含む研磨層と、
    を少なくとも有しており、
    前記研磨粒子は、JIS R1629(1997)レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定方法で規定される粒度分布の体積平均径D50が1.0μm以下であり、
    前記研磨層は、JIS K7125(1999)摩擦係数試験方法で規定される摩擦係数が0.45以上である、
    研磨シート。
  2. 前記研磨粒子の前記D50が0.6μm以上である、
    請求項1に記載の研磨シート。
  3. 前記研磨層の前記摩擦係数が0.55以下である、
    請求項1又は2に記載の研磨シート。
  4. 前記研磨粒子は、JIS R1629(1997)レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定方法で規定される粒度分布の体積平均径D99が1.2μm〜1.9μmである、
    請求項1〜3のうちのいずれかに記載の研磨シート。
  5. 前記研磨層には、前記研磨構造体が2以上含まれており、
    前記2以上の前記研磨構造体の間には、溝が形成されている、
    請求項1〜4のうちのいずれかに記載の研磨シート。
  6. 前記溝の幅が30μm〜80μmである、請求項5に記載の研磨シート。
  7. 前記研磨層は、JIS B0601(1994)で規定される算術平均粗さRaが0.10〜0.25μmである、
    請求項1〜6のうちのいずれかに記載の研磨シート。
  8. 前記研磨粒子が構成材料としてダイヤモンドを含んでいる、
    請求項1〜7のうちのいずれかに記載の研磨シート。
  9. 光ファイバの接続端面の研磨に使用される、請求項1〜8のうちのいずれかに記載の研磨シート。
  10. 前記研磨構造体は、被研磨体側の表面近傍に配置される単位体積あたりの前記研磨粒子の数が、前記表面近傍以外の内部に配置される単位体積あたりの前記研磨粒子の数よりも多くなるように構成されている、
    請求項1〜9のうちのいずれかに記載の研磨シート。
  11. 前記研磨構造体が、被研磨体側の最外部に配置される第1の層と、前記基材の側の最内部に配置される第2の層と、を少なくとも有しており、
    前記第1の層と前記第2の層とが下記式(1)で表される条件を満たすように構成されている、
    請求項1〜9のうちのいずれかに記載の研磨シート。
    (WP1)>(WP2)・・・(2)
    [式(1)中、
    WP1は前記研磨構造体の前記第1の層の表面における前記バインダー樹脂部分の面積に対する前記研磨粒子部分の面積の比を示し、
    WP2は前記研磨構造体の前記第2の層の表面における前記バインダー樹脂部分の面積に対する前記研磨粒子部分の面積の比を示を示す。]



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