JPWO2019181653A1 - 金属帯板の誘導加熱方法およびその誘導加熱設備 - Google Patents

金属帯板の誘導加熱方法およびその誘導加熱設備 Download PDF

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Abstract

連続的に搬送される金属帯板を、搬送ライン上の第1の位置に配置された誘導加熱装置を用いて加熱する、金属帯板の誘導加熱方法であって、搬送ライン上で第1の位置とは異なる第2の位置における金属帯板の幅方向中心線の所定の基準線からの変位量を検出するステップ、変位量の時系列変化を表す関数に基づいて、変位量を時間的かつ空間的に外挿することによって第1の位置における金属帯板の幅方向中心線の推定変位量を算出するステップ、および推定変位量に基づいて、金属帯板の幅方向における誘導加熱装置と金属帯板との相対的な位置関係を制御するステップを含む、金属帯板の誘導加熱方法が提供される。

Description

本発明は、長手方向に走行する金属帯板の誘導加熱方法およびその誘導加熱設備に関する。特に、本発明は、金属帯板を幅方向端部における過加熱を抑制して均一に加熱するとともに、蛇行等による板端部の位置の変動に対し即応し得る金属帯板の誘導加熱方法およびその誘導加熱設備に関する。
誘導加熱は、電磁誘導の原理を利用して被加熱物中に渦電流を発生させ、ジュール熱によって対象を加熱する加熱方法であり、熱損失が少なく高効率であるために広く用いられている。金属帯板の誘導加熱には、大きく2つの方式がある。その1つは、金属帯板の幅方向の周囲を囲んだ誘導コイルに高周波電流を流して、磁束を金属帯板の長手方向に貫通させて、この磁束で、金属帯板の幅方向断面内に周回する誘導電流を発生させて金属帯板を加熱するLF(Longitudinal Flux induction heating;縦断磁束誘導加熱)方式(以下、LF方式という。)である。他の1つは、1次コイルを巻回した誘導コイル(良導体)の間に金属帯板を配置し、1次コイルに電流を流して発生させた磁束を金属帯板の板面に貫通させ、金属帯板の板面に誘導電流を発生させて金属帯板を加熱するTF(Transverse Flux induction heating;横断磁束誘導加熱)方式(以下、TF方式という。)である。
一般に、LF方式の誘導加熱では、電流浸透深さδと電流周波数fの関係(δ(mm)=5.03×10√(ρ/μr・f)、ρ(Ωm):比抵抗、μr:比透磁率・f:周波数(Hz))から、いくつかの問題が挙げられる。例えば、金属帯板の板厚が薄い場合、電流の周波数fを高くしなければ誘導電流が発生しないという問題がある。また、非磁性金属帯板や、キュリー温度を超える常温で磁性のある金属帯板の場合、電流浸透深さδが深くなるので、金属帯板の板厚が薄いと誘導電流が発生しないといった問題がある。一方、TF方式の誘導加熱では、板厚に依らず、また、磁性、非磁性の区別なく金属帯板を加熱できる。しかし、TF方式では、対向する誘導コイルが近接していないと、加熱効率が低く、また、金属帯板の端部において過加熱が生じて、板幅方向における均一加熱が難しいという問題がある。
このような誘導加熱方式の得失を踏まえて、磁性、非磁性を問わず金属帯板の端部も含め全幅で加熱温度分布を制御できる技術として、TF方式に関する技術が特許文献1に、また、LF方式とTF方式の両方の特徴を有する技術が特許文献2に記載されている。
例えば、特許文献1では、TF方式の誘導コイルの背面に、複数の相互に独立した磁性体コア(磁気棒)を配設する技術が記載されている。これにより、金属帯板の幅に合わせて磁性体コアの位置を変更し、また電磁遮蔽板(スクリーン)を併用することで金属帯板の幅方向の温度均一性を得ることができる。
特許文献2では、LF方式のように誘導コイルを金属帯板の幅方向回りで多数巻きにするのではなく、1巻きの誘導コイルを金属帯板の表面、裏面のそれぞれで金属帯板の長手方向に位置をずらして周回させる誘導コイルの組を2組以上設ける技術が記載されている。これにより、TF方式のような金属帯板面内を周回する誘導電流を発生させる。また、特許文献2には、誘導コイルの形状を幅方向端部に向かって傾斜する形状とすること、磁性体コアを併用すること、また、誘導コイルを幅方向に移動させること等により、金属帯板の幅方向端部の過加熱を回避する技術が記載されている。
また、このような誘導加熱を利用して走行する金属帯板を加熱するための技術が、例えば特許文献3に記載されている。
特許文献3では、パスラインを規制しかつ蛇行制御するため、表面が絶縁性で非磁性のロールを、走行する金属帯板(帯状金属材料)の進行方向に対して誘導加熱装置(インダクター)の前後に配置する技術が記載されている。これにより、磁性材料でもインダクターに引き寄せられず安定して加熱ができるとともに、蛇行を制御し加熱温度偏差の拡大を防止することができる。
上記の特許文献3に記載された技術では、誘導加熱装置の上流側または下流側に設けられた位置検出装置を用いて検出された金属帯板の幅方向位置に基づいて金属帯板を巻き付けたロールを動かしている。これにより、金属帯板と誘導加熱装置との幅方向位置関係が一定の範囲内に制御される。
また、その他、金属板の蛇行に対して、金属帯板と誘導加熱装置との幅方向の位置関係を制御するための技術が、例えば特許文献4〜6に記載されている。
特許文献4では、金属帯板(ストリップ)の幅方向の中心線を検出し、その中心線の位置すべき位置からのずれ量を検出することが記載されている。さらに、特許文献4には、金属帯板の中心線あるいはエッジのずれ量に応じて、このずれに追随するように誘導加熱装置(電磁石装置)の位置を制御する技術が記載されている。
また、特許文献5では、金属帯板(金属板)に対向させた誘導加熱装置(導体コイル)を金属板幅方向に所定の周期、振幅で水平往復動させることが記載されている。例えば、特許文献5には、連続走行中、板幅方向に位置が変動する金属板中心線に、導体コイルの振幅中心を追従移動させる技術が記載されている。
さらに、特許文献6では、金属帯板(平板)の幅方向の移動量を検出する検出器の検出信号に基づき、誘導加熱装置(誘導加熱コイル装置)のコイルを平板の幅方向の移動に追従するように制御する技術が記載されている。
特開2002−008838号公報 特開2008−288200号公報 特開平11−251048号公報 特開2001−006866号公報 特公平6−037676号公報 実公平6−022950号公報
ここで、特許文献3では、位置検出装置を誘導加熱装置の上流側あるいは下流側に設けるとするものの、実質的には図1および図4などに、位置検出装置が誘導加熱装置の上流側に配置されている例を開示するのみである。そのため、例えば、高温金属ヒュームのために、センサ類を設置し難い溶融めっき装置の出口側等のような、位置検出装置を誘導加熱装置の下流側に配置せざるを得ない場合の問題には何ら解決策を提示していない。すなわち、位置検出装置を誘導加熱装置の下流側に配置する場合、金属帯板が誘導加熱装置を通過した後の幅方向位置しかわからないため、誘導加熱装置の通過時の金属帯板と誘導加熱装置との幅方向位置関係を適切に制御することは必ずしも容易ではない。
また、一方で、金属帯板の誘導加熱方式が、特許文献1に記載のTF方式である場合や、特許文献2に記載の誘導加熱方式である場合には、金属帯板と誘導加熱装置との幅方向位置関係を高い精度で制御することが求められる。これらの誘導加熱方式(ソレノイドコイルを用いる誘導加熱方式を除く)では、金属帯板の幅方向端部温度の的中率に鋭敏であり、高精度な制御が必要なためである。このため、位置検出装置が誘導加熱装置の上流側に配置される場合であっても、位置検出装置と誘導加熱装置との間の距離のために、誘導加熱装置の通過時の金属帯板と誘導加熱装置との幅方向位置関係を十分な精度で制御することは必ずしも容易ではない。
さらに、特許文献3〜6に記載の位置検出装置によって検出された金属帯板の位置に基づいて、一般的なPID制御を用いて金属帯板と誘導加熱装置との間の位置関係を制御することは必ずしも容易ではない。かかる制御では、金属帯板の蛇行に影響を与え得る種々の要素(金属帯板の材質、温度分布、張力分布、金属帯板の形状(板厚、板幅、板つなぎ部位の有無等))に起因した複雑な蛇行が生じる場合、特許文献3〜6に記載のような、検出結果に基づく単なる追従では、複雑な蛇行への対応は困難である。
そこで、本発明は、連続的に搬送される金属帯板を誘導加熱するにあたり、装置配置への制約を最小化しつつ、誘導加熱装置と金属帯板との位置関係を高い精度で制御することが可能な、新規かつ改良された金属帯板の誘導加熱方法およびその誘導加熱設備を提供することを目的の一つとする。
本発明のある観点によれば、連続的に搬送される金属帯板を、搬送ライン上の第1の位置に配置された誘導加熱装置を用いて加熱する、金属帯板の誘導加熱方法であって、搬送ライン上で第1の位置とは異なる第2の位置における金属帯板の幅方向中心線の所定の基準線からの変位量を検出するステップ、変位量の時系列変化を表す関数に基づいて、変位量を時間的かつ空間的に外挿することによって第1の位置における金属帯板の幅方向中心線の推定変位量を算出するステップ、および推定変位量に基づいて、金属帯板の幅方向における誘導加熱装置と金属帯板との相対的な位置関係を制御するステップを含む、金属帯板の誘導加熱方法が提供される。
上記の構成では、金属帯板の幅方向中心線の搬送ライン幅方向中心線からの変位量を時間的かつ空間的に外挿することによって、その変位量を検出する位置が誘導加熱装置の下流側である場合と上流側である場合との両方で同様に誘導加熱装置の幅方向中心線の推定変位量を算出することができる。従って、変位量を検出するための装置を誘導加熱装置の上流側および下流側のどちらに配置してもよく、その点で装置配置への制約が最小化される。また、誘導加熱装置の位置での推定変位量を用いることで、誘導加熱装置と金属帯板との位置関係を高い精度で制御することができる。
上記の金属帯板の誘導加熱方法において、第2の位置は、第1の位置の下流側に位置してもよい。
上記の金属帯板の誘導加熱方法において、第2の位置は、第1の位置の上流側に位置してもよい。
上記の金属帯板の誘導加熱方法において、変位量を検出するステップは、第2の位置において金属帯板の幅方向の少なくとも一方の端部を含む範囲で温度分布を測定するステップ、および温度分布に温度急落部として現れる金属帯板の幅方向端部の位置を変位量に変換するステップを含んでもよい。
上記の金属帯板の誘導加熱方法において、推定変位量を算出するステップは、変位量の時系列変化を関数に変換するステップ、ならびに金属帯板の搬送速度、第1の位置と第2の位置との間の距離、関数、および第1の時刻における変位量に基づいて、第1の時刻における推定変位量を算出するステップを含んでもよい。
この場合、上記の金属帯板の誘導加熱方法は、第1の時刻よりも後の第2の時刻における変位量を、第1の時刻における変位量に基づいて算出された推定変位量と比較した結果に基づいて関数を更新するステップをさらに含んでもよい。
また、この場合、上記の金属帯板の誘導加熱方法は、関数の傾向に応じて金属帯板に幅方向の変位を抑制するための外力を与えるステップをさらに含んでもよい。
上記の金属帯板の誘導加熱方法において、相対的な位置関係を制御するステップは、誘導加熱装置および/またはその一部分を金属帯板の幅方向に移動させるステップを含んでもよい。
本発明の別の観点によれば、連続的に搬送される金属帯板の搬送ライン上の第1の位置に配置された誘導加熱装置を含む、金属帯板の誘導加熱設備であって、搬送ライン上で第1の位置とは異なる第2の位置における金属帯板の幅方向中心線の所定の基準線からの変位量を検出する検出部、変位量の時系列変化を表す関数に基づいて、変位量を時間的かつ空間的に外挿することによって第1の位置における金属帯板の幅方向中心線の推定変位量を算出する推定変位量算出部、および推定変位量に基づいて、金属帯板の幅方向における誘導加熱装置と金属帯板との相対的な位置関係を制御する相対位置制御部を備える、金属帯板の誘導加熱設備が提供される。
上記の金属帯板の誘導加熱設備において、第2の位置は、第1の位置の下流側に位置してもよい。
上記の金属帯板の誘導加熱設備において、第2の位置は、第1の位置の上流側に位置してもよい。
上記の金属帯板の誘導加熱設備において、検出部は、第2の位置において金属帯板の幅方向の少なくとも一方の端部を含む範囲で温度分布を測定し、および温度分布に温度急落部として現れる金属帯板の幅方向端部の位置を変位量に変換してもよい。
上記の金属帯板の誘導加熱設備において、推定変位量算出部は、変位量の時系列変化を関数に変換する機能、ならびに金属帯板の搬送速度、第1の位置と第2の位置との間の距離、関数、および第1の時刻における変位量に基づいて、第1の時刻における推定変位量を算出してもよい。
この場合、推定変位量算出部は、さらに、第1の時刻よりも後の第2の時刻における変位量を、第1の時刻における変位量に基づいて算出された推定変位量と比較した結果に基づいて関数を更新してもよい。
また、この場合、上記の金属帯板の誘導加熱設備は、関数の傾向に応じて金属帯板に幅方向の変位を抑制するための外力を与える外力付与部をさらに含んでもよい。
上記の金属帯板の誘導加熱設備において、誘導加熱装置は、誘導加熱装置を金属帯板の幅方向に移動させるアクチュエータおよび/または誘導加熱装置の一部分を金属帯板の幅方向に移動させるアクチュエータを有し、相対位置制御部は、各アクチュエータに制御信号を送信してもよい。
以上で説明したように、本発明によれば、連続的に搬送される金属帯板を誘導加熱するにあたり、装置配置への制約を最小化しつつ、誘導加熱装置と金属帯板との位置関係を高い精度で制御することができる。
本発明の第1の実施形態に係る誘導加熱設備の概略的な構成を側面図で示す図である。 図1に示した誘導加熱設備における電磁遮蔽板を用いた誘導加熱装置および温度スキャナの配置例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る誘導加熱設備における、搬送ラインの幅方向中心線Lcに、誘導加熱装置の幅方向中心線Fcと鋼帯Sの幅方向中心線Scとが一致している状態を、平面図で説明する図である。 図3Aの状態から、鋼帯Sの幅方向中心線Scがずれた状態を平面図で説明する図である。 図2に示した温度スキャナによって測定される温度分布の例を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態における鋼帯の幅方向の推定変位量の算出方法について説明するための図である。 本発明の第1の実施形態における鋼帯の幅方向の推定変位量の算出方法について説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る誘導加熱方法の工程の例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態に係る誘導加熱方法の工程の具体例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態に係る誘導加熱方法の工程の具体例を示すフローチャートである。 図1に示した誘導加熱設備において誘導加熱装置全体を移動させる変形例を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る誘導加熱設備における分割した磁性体コアを設けた誘導加熱装置および温度スキャナの配置例を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る誘導加熱設備の概略的な構成を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る誘導加熱方法の工程の例を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態に係る誘導加熱方法の工程の例を示すフローチャートである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る誘導加熱設備10の概略的な構成を側面図で示す図である。図1に示されるように、誘導加熱設備10は、誘導加熱装置11と、制御装置12とを含む。誘導加熱装置11は、連続的に搬送される鋼帯Sを加熱するTF方式の誘導加熱装置であり、鋼帯Sの搬送ライン上の位置P1に配置される。なお、鋼帯Sは、本実施形態における金属帯板の例である。制御装置12は、センサの一例としての温度スキャナ121と、演算装置122とを含む。温度スキャナ121は、位置P1とは搬送方向において異なる位置である、鋼帯Sの搬送ライン上の位置P2に配置される。以下の説明では、鋼帯Sの搬送ライン上で、鋼帯Sが搬送されて流れる方向に従って、上流側および下流側を定義する。この定義によれば、鋼帯Sの搬送ライン上で、温度スキャナ121の位置P2は、誘導加熱装置11の位置P1よりも下流側にあってもよい。
演算装置122は、誘導加熱設備10において、種々の演算、制御を行う。演算装置122によって、後述する検出部、推定変位量算出部、相対位置制御部としての機能の一部または全部が実現される。
なお、図1では鋼帯Sが水平方向に搬送されるように示されているが、このような図示は本発明の実施形態における金属帯板の配置を限定するものではない。他の実施形態において、金属帯板は鉛直方向に搬送されてもよい。
図2は、図1に示した誘導加熱設備10における電磁遮蔽板112を用いた誘導加熱装置11および温度スキャナ121の配置例を平面図で示す図である。図2に示されるように、誘導加熱装置11は、誘導コイル111と、電磁遮蔽板112と、図中に矢印で示す鋼帯Sの幅方向に電磁遮蔽板112を移動させるアクチュエータ113とを含む。電磁遮蔽板112は、誘導コイル111で発生させる磁束を鋼帯Sの幅方向端部で部分的に遮蔽する。アクチュエータ113は、図1に示された制御装置12に含まれる演算装置122に接続され、演算装置122が送信する制御信号に従って電磁遮蔽板112を移動させる。電磁遮蔽板112が、鋼帯Sに対して正しい位置、具体的には鋼帯Sの幅方向端部から適切な幅だけを覆うような位置に配置されることによって磁束を遮断し、鋼帯Sの幅方向端部で渦電流の密度が高くなることによって生じる過加熱を防止することができる。なお、アクチュエータ113を用いて電磁遮蔽板112を移動させて正しい位置に配置するための制御の詳細については後述する。
一方、温度スキャナ121は、位置P2において鋼帯Sを含む範囲での温度分布を測定するセンサの例である。図示された例において、温度スキャナ121は、単一のセンサが鋼帯Sの幅方向に移動しながら温度を測定するものとして説明されているが、他の例では、温度スキャナ121が搬送ライン幅方向中心線位置の上方に固定され、温度スキャナ121の筐体に内蔵された温度センサ自体が、必要に応じて幅方向に角度を変えて振られることにより、幅方向全体を測定するようにしたものを用いてもよい。また、図示された例において、温度スキャナ121が温度分布を測定する範囲は鋼帯Sの幅方向の両方の端部を含むが、他の例では、幅方向の対称性を考慮して、温度スキャナ121が温度分布を測定する範囲が鋼帯Sの幅方向の一方の端部だけを含んでいてもよい。
また、温度スキャナ121は、誘導加熱装置11から独立して固定されてもよい。この場合、温度スキャナ121は、誘導加熱装置11の移動に関わらず、鋼帯Sの温度を測定してもよい。温度スキャナ121が、誘導加熱装置11から独立して固定されていることにより、誘導加熱装置11からの振動等の影響によるノイズが低減される。これにより、温度スキャナ121の検出精度が向上される。さらに、温度スキャナ121は、誘導加熱装置11から所定の距離だけ離間した位置に設けられてもよい。この場合、温度スキャナ121は、誘導加熱装置11の移動、設置位置に関わらず、鋼帯Sの温度を測定してもよい。温度スキャナ121が、誘導加熱装置11から離間して設けられていることにより
、誘導加熱装置11からの振動、磁場等の影響によるノイズが低減される。これにより、温度スキャナ121の検出精度がより向上される。ここで、温度スキャナ121と誘導加熱装置11との間の距離は、後述する第2の位置P2での変位量の推定に影響が出ない程度の距離であればよく、特に限定されない。
ここで、図2には、設計上の搬送ラインの幅方向中心線Lc(図2中の細線)と、誘導加熱装置11の幅方向中心線Fc(図2中の中太線)と、鋼帯Sの幅方向中心線Sc(図2中の太線)とが示されている。幅方向中心線とは、搬送ライン、誘導加熱装置11、または鋼帯Sを平面視したときに、それぞれの幅方向長さの中点を通り、当該幅方向に直交する方向に延在する線である。図2および図3Aに示されるように、誘導加熱装置11は、これらの幅方向中心線Lc,Fc,Scが互いに一致する状態を理想的な状態として設計されている。しかしながら、実際には、図3Bに示されるように、鋼帯Sの蛇行により、鋼帯Sの幅方向中心線Scが、搬送ラインの幅方向中心線Lcおよび、誘導加熱装置11の幅方向中心線Fcからずれる。そうすると、図2に示された電磁遮蔽板112が鋼帯Sに対して正しい位置に配置されなくなることによる問題が発生する。具体的には、例えば、鋼帯Sの幅方向の一方の端部では電磁遮蔽板112に覆われる幅が小さくなり、または端部が電磁遮蔽板112に覆われなくなることによって過加熱が発生し、他方の端部では電磁遮蔽板112に覆われる幅が大きくなることによって加熱が不十分になる。上述の通り、図2に示したように電磁遮蔽板112を移動させることによって、例えば図3Bに示すように鋼帯Sの幅方向中心線Scがずれた場合であっても、電磁遮蔽板112の鋼帯Sに対する正しい位置を維持し、過加熱や不十分な加熱を防止することができる。
通常、鋼帯Sの中心線Scならびに誘導加熱装置11の中心線Fcは、所定の基準線と一致されるようにセットされる。ここで、所定の基準線の一例としては、設計した搬送ラインの中心線Lcである。しかし、熱処理炉の炉内ロールは、加熱炉の炉内温度、鋼板温度が非定常に推移すること等により、プロフィールが変化している。それに伴い鋼帯Sと炉内ロールとの接触状態が変わり、鋼帯S内の張力分布が変化することや、加熱・冷却の過程で鋼帯S内に張力分布が生じることなどにより鋼帯Sの中心線Scは、搬送ラインの中心線Lcからずれることが多い。その結果、誘導加熱装置11の中心線Fcは、鋼帯Sの中心線Scとずれてしまう。
誘導加熱装置11がTF方式の場合、磁束の集中する位置は、鋼帯Sの加熱温度分布に敏感に影響することから、所望の加熱温度分布を得るためには鋼帯Sの中心線Scと誘導加熱装置の中心線Fcとを常にできるだけ合わせる必要がある。その合わせ方は、あらかじめ鋼帯Sの中心線Scの位置を予測して、鋼帯Sの中心線Scと誘導加熱装置11の中心線Fcとを合わせるように誘導加熱装置11の移動を制御するか、あるいは鋼帯Sの蛇行制御装置がある場合には、鋼帯Sの中心線Scが常に誘導加熱装置11の中心線Fcと合うように鋼帯Sの蛇行を制御すればよい。
そこで、本発明者らは、鋼帯Sの蛇行に対応するための誘導加熱設備10の制御を検討するに際し、鋼帯Sの蛇行の様子について鋭意、観測を行った。この結果、本発明者らは、鋼帯Sの蛇行には周期成分があることが多いことを見出した。さらに、本発明者らは、蛇行が長周期、短周期の周期関数を含めた種々の関数で表されることに着目し、これらの関数を利用して、鋼帯Sの蛇行に対応可能な誘導加熱設備10の制御を行うことを想到した。
以下、図4、図5Aおよび図5Bを参照して、本実施形態に係る誘導加熱装置11における電磁遮蔽板112の位置の制御について、さらに説明する。図4は、図2に示した温度スキャナによって測定される温度分布の例を示すグラフである。図4に示されるように、誘導加熱設備10では、誘導加熱装置11における加熱後の鋼帯Sは高温である一方で、雰囲気温度が常温の場合や鋼帯Sの背面に冷却した銅板などを設置するなどして、温度分布に鋼帯Sの幅方向(図4のグラフではx軸として示す)の両方の端部に対応する温度急落部として端部E1、E2が現れる。演算装置122は、この端部E1、E2の位置を鋼帯Sの幅方向中心線Scの設計上の幅方向中心線からの変位量Δxに変換する。
より具体的には、演算装置122は、検出部として、鋼帯Sの幅方向における端部E1、E2の位置の中点として鋼帯Sの幅方向中心線Scを特定し、鋼帯Sの幅方向中心線Scを搬送ラインの幅方向中心線Lcとの位置差分として、変位量Δxを逐次算出する。この例において、所定の基準線は、搬送ラインの幅方向中心線Lc(誘導加熱装置11の幅方向中心線Fcとも一致している)である。また、搬送ラインの幅方向中心線Lcは、温度スキャナ121の測定範囲の中心位置でもある。
一方、例えば、搬送ラインの幅方向中心線Lcと誘導加熱装置11の幅方向中心線Fcとが一致していない場合、所定の基準線は、誘導加熱装置11の幅方向中心線Fcとしてもよい。この例において、演算装置122は、検出部として、鋼帯Sの幅方向中心線Scを誘導加熱装置11の幅方向中心線Fcとの位置差分として、変位量Δxを逐次算出する。
上記とは別の例として、演算装置122は、端部E1、E2の位置を鋼帯Sの基準端部位置と比較することによって変位量Δxを算出してもよい。この場合、変位量Δxを算出するために鋼帯Sの基準端部位置の情報、具体的には搬送ラインの幅方向中心線Lcに加えて鋼帯Sの幅の情報が必要になるが、温度スキャナ121が温度分布を測定する範囲は鋼帯Sの幅方向の一方の端部だけを含んでいればよい。
図5Aおよび図5Bは、本発明の第1の実施形態における鋼帯の幅方向の推定変位量の算出方法について説明するための図である。図5Aに示されるように、演算装置122は、鋼帯Sの幅方向の変位量Δx(Δx、Δx+1、Δx+2、・・・)を時刻tについて時々刻々蓄積し、変位量Δxの時系列変化の近似関数f(t)を時系列解析や関数近似などの手法で求める。この変換は、例えば周期性を持つ場合には誤差を最小とするような三角関数で近似するなど、その手法は特に限られるものではない。鋼帯Sの幅方向の変位量Δxの時系列変化、すなわち鋼帯Sの蛇行は周期的に発生することが多い。従って、比較的短い時間における変位量Δxの蓄積によって近似関数f(t)を比較的容易に求めることができる。近似関数f(t)が推定されれば、ある時刻t1における変位量Δx1から、将来の時刻t2における鋼帯Sの長手方向任意の位置での変位量Δx2を予測することが可能になる。また、近似関数f(t)が推定されれば、ある時刻t1における変位量Δx1から、過去の時刻t3における鋼帯Sの長手方向任意の位置での変位量Δx2を予測することも可能になる。以下に、近似関数f(t)による、現在または過去の時刻における長手方向任意の位置の変位量Δx2の推定について、さらに説明する。
図5Bに示されるように、演算装置122は、下流側の位置P2において時刻t1に検出された鋼帯Sの幅方向の変位量Δx1に基づいて、同じ時刻t1における上流側の位置P1での鋼帯Sの推定変位量を算出する。ここで、図5Bには、位置P1と位置P2との間の搬送方向の距離d、および鋼帯Sの搬送速度vが示されている。時刻t1において上流側の位置P1で発生していた鋼帯Sの変位量Δx2は、距離dを搬送速度vで除した時間(d/v)の経過後に、下流側の位置P2で観測されるはずである。従って、図5Aに示したΔxの時系列変化において、t2=t1+d/vとすれば、下流側の位置P2での将来の時刻t2における変位量Δx2が、現在の時刻t1における上流側の位置P1での推定変位量に等しくなる。
一方、現在の時刻t1において、下流の位置P1で発生する鋼帯Sの変位量Δx2は、距離dを搬送速度vで除した時間(d/v)だけ遡った、上流側の位置P2で観測されたはずである。従って、Δxの時系列変化において、t3=t1−d/vとすれば、上流側の位置P2での過去の時刻t3における変位量Δx2が、現在の時刻t1における下流側の位置P1での推定変位量に等しくなる。
このようにして、演算装置122は、誘導加熱装置11よりも上流側または下流側の測定可能な位置P2での変位量Δxの時系列変化から、直接測定ができない位置P1での鋼帯Sの幅方向の推定変位量を算出することができる。
なお、鋼帯Sの搬送において、搬送速度vは変動する場合がある。このとき、演算装置122は、所定の時間内における搬送速度vの値の推移から平均値を算出し、平均搬送速度vavgとして、上述の演算に用いてもよい。ここで、搬送速度vの推移は、搬送ラインにおいて所定位置に設けられたライン速度計(図示せず)によって検出される。ライン速度計の設けられる位置は、平均的な搬送速度vが検出可能な位置であればよく、特に限定されない。例えば、ライン速度計は、変位量の測定される第2の位置P2の近傍に設けられてもよい。
このように、本実施形態において、推定変位量算出部としての演算装置122は、位置P2において検出された鋼帯Sの幅方向の変位量Δxを時間的かつ空間的に外挿することによって位置P1における鋼帯Sの幅方向の推定変位量を算出する。さらに、相対位置制御部としての演算装置122は、推定変位量に基づいて、位置P1における誘導加熱装置11と鋼帯Sとの相対的な位置関係を制御する。具体的には、演算装置122は、推定変位量に基づいて図2に示したアクチュエータ113に制御信号を送信し、アクチュエータ113が制御信号に従って電磁遮蔽板112を移動させる。
(第1の実施形態の工程の例)
図6は、上記で説明した本発明の第1の実施形態に係る誘導加熱方法の工程の例を示すフローチャートである。図6に示す例によれば、まず、検出部により第2の位置P2における鋼帯Sの変位量Δx1が検出される(ステップS11)。具体的には、温度スキャナ121により鋼帯Sの幅方向端部の位置が検出され、演算装置122は、搬送速度vと第1の位置P1と第2の位置P2との間の距離dとに基づいて、鋼帯Sの変位量Δxを算出する。次に、推定変位量算出部としての演算装置122により、近似関数f(t)と搬送速度vと第1の位置P1と第2の位置P2との間の距離dと変位量Δxとに基づいて時間的かつ空間的に変位量が外挿され、第1の位置P1における推定変位量Δx2が算出される(ステップS12)。このとき、近似関数f(t)は、変位量Δxの時系列変化を表す関数である。続いて、第1の位置P1における推定変位量Δx2に基づいて、誘導加熱装置11と鋼帯Sとの相対的な位置関係が制御される(ステップS13)。具体的には、例えば、相対位置制御部としての演算装置122から送信された制御信号に基づいて、アクチュエータ112Aが、誘導加熱装置11を、所定の位置まで移動させる。
(第1の実施形態の工程の具体例)
図7Aおよび図7Bは、上記で説明した本発明の第1の実施形態に係る誘導加熱方法の工程の具体例を示すフローチャートである。図7Aに示された例では、まず、誘導加熱設備10の初期設定が実施される(ステップS101)。初期設定において、誘導加熱装置11では、鋼帯Sの幅に合わせて電磁遮蔽板112が初期配置される。また、制御装置12では、演算装置122に第1の位置P1と第2の位置P2との間の距離d等の値が初期設定される。距離dとして、例えば、電磁遮蔽板112と温度スキャナ121との搬送方向の距離が設定されてもよい。その後、ロールなどの搬送装置(図1では省略されている)によって鋼帯Sの搬送が開始されるとともに、誘導コイル111に高周波電流が供給され、鋼帯Sの誘導加熱が開始される(ステップS102)。
鋼帯Sの誘導加熱の開始後において、温度スキャナ121は、誘導加熱装置11の前後、例えば下流側の位置P2で鋼帯Sの幅方向の温度分布を測定する(ステップS103)。続いて、演算装置122が、温度分布に現れる端部E1、E2の位置を鋼帯Sの幅方向の変位量Δxに変換する(ステップS104)。上記のステップS103、S104を所定の時間だけ繰り返した後に(ステップS105)、演算装置122は、変位量Δxの時系列変化を表す近似関数f(t)を推定する(ステップS106)。近似関数の推定方法は特に限定されない。例えば、公知の数学的近似手法を用いて近似関数を推定してもよい。なお、推定された近似関数は、例えば、1つの三角関数等であってもよいが、周期や振幅などが異なる複数の三角関数等の組合せであってもよい。
図7Bに示すように、ステップS106で近似関数f(t)が推定された後、演算装置122は、ステップS103、S104と同様に温度分布の測定結果に基づいて変位量Δxを検出し(ステップS107、S108)、変位量Δxと近似関数f(t)と搬送速度vと第1の位置P1と第2の位置P2との間の距離dとに基づいて誘導加熱装置11の位置P1における鋼帯Sの推定変位量を算出する(ステップS109)。さらに、演算装置122は、算出された推定変位量に基づいて誘導加熱装置11の電磁遮蔽板112もしくは誘導加熱装置11の移動量を決定し(ステップS110)、移動量に対応する制御信号をアクチュエータ113に送信する(ステップS111)。制御信号を受信したアクチュエータ113の動作によって、電磁遮蔽板112もしくは誘導加熱装置11が移動させられる(ステップS112)。
上記のステップS107〜S112の繰り返し時間は、近似関数により異なるので、チューニングをしながら最適な時間を決めればよい。
ステップS113の所定の時間の経過後、演算装置122は、上記の繰り返しに含まれるn回目のステップS107、S108で検出された変位量Δxを、m回目(m<n)のステップS109で算出された推定変位量と比較する(ステップS114)。ここで、m回目のステップS109では、時刻t1における変位量Δx1に基づいて推定変位量が算出されたものとする。図5Aおよび図5Bを参照して説明したように、この推定変位量は将来の時刻t2における変位量Δx2に対応する。一方、n回目のステップS107、S108では、時刻t2における変位量Δx2’が検出されたものとする。ステップS109で変位量Δx2の算出に用いられた近似関数f(t)は適切であれば、変位量Δx2と変位量Δx2’とは符合する、具体的には変位量Δx2と変位量Δx2’との間の誤差が許容範囲にあるはずである。演算装置122は、ステップS114における比較において誤差が許容範囲内であるか否かを判定し(ステップS115)、誤差が許容範囲内になければ近似関数f(t)を更新する(ステップS116)。
ステップS116において、例えば、演算装置122は、f(t1)=Δx1、かつf(t2)=Δx2’(つまり、Δx2=Δx2’)が満たされるように、近似関数f(t)のパラメータを調節する。例えば、時系列解析としては、過去のデータが大きく変化せず直線的に変動している場合には、回帰直線を近似関数とすればよい。また、張力の変動等による周期的な変動の場合には三角関数などで近似する。このように、それぞれの関数のパラメータを調節すればよい。また、変位量Δxの時系列変化を、一般的な時系列データとして取り扱う場合には、自己回帰モデル(ARモデル)や自己回帰移動平均モデル(ARMAモデル)等の過去のデータの自己相関性を使って未来を予測する統計モデル等を利用する。これらのモデルにおける関数において、パラメータが調節される。このとき、演算装置122は、時刻t1から時刻t2の間に検出された変位量Δxのデータセットを、上記のステップS106で近似関数f(t)を推定するために用いられた変位量Δxのデータセット、または以前に実行されたステップS116で用いられた変位量Δxのデータセットに追加して用いてもよい。あるいは、演算装置122は、それまでの近似関数f(t)とは関係なく、時刻t1から時刻t2の間の変位量Δxのデータセットに基づいて、逐次近似関数f(t)を推定してもよい。ステップS116で近似関数f(t)が更新された後、処理はステップS107に戻る。
一方、ステップS115の判定において誤差が許容範囲内であった場合、演算装置122は、推定変位量に基づく誘導加熱装置11の制御が有効であったか否かの判定を実行する。具体的には、演算装置122は、上記のステップS107〜S112の繰り返しに含まれる少なくとも1回のステップS107で温度スキャナ121によって測定された鋼帯Sの幅方向の温度分布について、許容可能であるか否かを判定する(ステップS117)。上記のステップS104およびステップS108で温度分布が変位量Δxを検出するために利用されたのとは異なり、ステップS117では温度分布それ自体が評価される。例えば、演算装置122は、鋼帯Sの幅方向の温度分布における温度偏差やピーク温度について、許容範囲内にあるか否かを判定する。
ステップS117の判定において鋼帯Sの幅方向の温度分布が許容可能ではなかった場合、演算装置122は、電磁遮蔽板112もしくは誘導加熱装置11の移動に関するパラメータを調節する(ステップS118)。具体的には、例えば、演算装置122は、電磁遮蔽板112もしくは誘導加熱装置11の位置にオフセットを与えたり、推定変位量に応じて電磁遮蔽板112もしくは誘導加熱装置11を移動させるときの倍率や遅延量などのパラメータを調節したりする。
ここで、電磁遮蔽板112もしくは誘導加熱装置11の移動量は、加熱による鋼帯Sの温度変化に対して、一般的には線形的とならない。このため、温度変化に移動量が追従するように、オフセットまたは倍率が調節される。また、誘導加熱装置11等が有効に動作する範囲内に不感領域などの制限が有る場合等を考慮し、これらの影響が抑制されるように、オフセットまたは倍率が設定される。オフセットまたは倍率を調節することで、電磁遮蔽板112もしくは誘導加熱装置11を、鋼帯Sの蛇行に追従させることが可能となる。
また、遅延量は、例えば、複数の電磁遮蔽板112が搬送方向に沿って配置され、それぞれが独立に移動可能な場合において、鋼帯Sの加熱のされ具合を考慮し、後段(下流側)の電磁遮蔽板112の移動開始を前段(上流側)の電磁遮蔽板112の移動開始よりも遅らせる場合等に設定される。
その後、誘導加熱の終了まで、上記のステップS107〜S118の処理が繰り返される(ステップS119)。
図示された例において、ステップS109で算出される推定変位量が正しく、ステップS110〜S112における電磁遮蔽板112もしくは誘導加熱装置11の制御が適切であれば、鋼帯Sの幅方向端部の過加熱が抑制された適切な温度分布が得られるはずである。上記のステップS114〜S118の処理は、上記のような効果が実際に得られているか否かを検証するために実行される。
なお、簡単のため、推定変位量の検証および近似関数f(t)の更新(ステップS114〜S116)と、温度分布の検証および移動に関するパラメータの調節(ステップS117、S118)とが互いに独立して実行される例について説明したが、これらの検証、更新および調節は複合して実行されてもよい。
具体的には、例えば、鋼帯Sの幅方向の温度分布が許容可能であるか否かを判定するステップS117が先に実行され、ここで温度分布が許容可能でない場合に推定変位量の検証および近似関数f(t)の更新のステップS114〜S116が実行され、それでもなお温度分布が許容可能ではない場合に移動に関するパラメータを調節するステップS118が実行されてもよい。
また、例えば、推定変位量の検証および近似関数f(t)の更新(ステップS114〜S116)と、温度分布の検証および移動に関するパラメータの調節(ステップS117、S118)とは異なる周期で実行されてもよく、上記で説明した例とは逆の順序で実行されてもよい。
また、ステップS115における判定の誤差の許容範囲内については、適宜、見直されてもよい。例えば、誤差の許容範囲外となる場合が多いときは、ステップS115における判定の誤差の許容範囲の幅を広げるように調整される。
以上で説明したような本実施形態によれば、鋼帯Sが複雑に蛇行しても、推定変位量を利用して鋼帯Sを適切に誘導加熱することができる。すなわち、推定変位量に基づいて鋼帯Sの幅方向における誘導加熱装置11と鋼帯Sとの相対的な位置関係を制御することによって、鋼帯Sを適切に誘導加熱することができる。これによって、鋼帯Sの幅方向の蛇行に高い精度で追従して電磁遮蔽板112を移動させ、鋼帯Sの幅方向端部の過加熱をより確実に防止することができる。特に、本実施形態によれば、変位量Δxを表す関数に基づいて、推定変位量を求めることができる。これによって、長周期・短周期の蛇行、複数の振動モードの重ね合わせで表される蛇行、さらに鋼帯Sの形状(板つなぎ部位等)による蛇行への影響へ対応した、複雑な制御が実現される。この結果、鋼帯Sの幅方向の蛇行により高い精度で対応できる。
また、本実施形態によれば、適切な誘導加熱による効果が実際に得られているかを検証し、推定変位量の算出に用いる近似関数f(t)や電磁遮蔽板112の制御のためのパラメータを自律的に更新しながら鋼帯Sの誘導加熱を継続することができる。
なお、上記のような検証のステップは、必ずしも演算装置122によって自動的に実行されなくてもよく、例えば温度スキャナ121によって測定された鋼帯Sの幅方向の温度分布を監視するオペレータの指示入力に従って実行されてもよい。オペレータによる監視、または事後的な検証を可能にするために、制御装置12は、温度スキャナ121によって測定された鋼帯Sの幅方向の温度分布、演算装置122によって特定された近似関数f(t)、および電磁遮蔽板112もしくは誘導加熱装置11の移動のためのパラメータの少なくともいずれかを出力するためのディスプレイまたはプリンタなどの出力装置、およびオペレータの指示入力を受け付けるための入力装置を有していてもよい。
[変形例]
図8は、上記で図2に示した例の変形例として、誘導加熱装置11の全体を鋼帯Sの幅方向に移動させる例を示す図である。図8に示された例において、誘導加熱設備10Aは、図中に矢印で示す鋼帯Sの幅方向に誘導加熱装置11を移動させるアクチュエータ113Aを含む。アクチュエータ113Aは、図1に示された制御装置12に含まれる演算装置122に接続され、演算装置122が送信する制御信号に従って誘導加熱装置11を移動させる。図2等を参照して説明したように、誘導加熱装置11には、鋼帯Sの幅方向中心線Scが搬送ラインの幅方向中心線Lcに一致しているときに鋼帯Sの幅方向端部から適切な幅だけを覆うように電磁遮蔽板112が配置されている。鋼帯Sの蛇行によって幅方向中心線Scが搬送ラインの幅方向中心線Lcからずれた場合であっても、図8に示すように誘導加熱装置11の幅方向中心線Fcが鋼帯Sの幅方向中心線Scに近づく、または一致するようにアクチュエータ113Aを用いて誘導加熱装置11を移動させれば、電磁遮蔽板112の鋼帯Sに対する正しい位置を維持し、過加熱や不十分な加熱を防止することができる。
なお、上記で図8に示した例は、例えば鋼帯Sの蛇行量が大きい場合などに適用できる。温度スキャナ121の測定結果に基づくアクチュエータ113Aの制御方法については上記で図4、図5Aおよび図5Bを参照して説明した例と同様である。温度スキャナ121は、図8に示されるように、冶具121Aなどを用いて誘導加熱装置11に固定され、誘導加熱装置11とともに移動してもよい。この場合、変位量Δxの基準になる鋼帯Sの設計上の幅方向中心線は、誘導加熱装置11の幅方向中心線Fcとしてもよい。
また、温度スキャナ121は、誘導加熱装置11から独立して固定され、誘導加熱装置11の移動に関わらず、搬送ラインの幅方向中心線Lcを中心線として温度を測定してもよい。この場合、変位量Δxの基準になる鋼帯Sの設計上の幅方向中心線は、図2の例と同様に搬送ラインの幅方向中心線Lc(誘導加熱装置11の幅方向中心線Fcとは必ずしも一致していない)としてもよい。
また、上記で図8に示した例は、図2に示した例と組み合わせることが可能である。つまり、誘導加熱装置11を鋼帯Sの幅方向に移動させるアクチュエータ113Aと、その誘導加熱装置11の中で電磁遮蔽板112を鋼帯Sの幅方向に移動させるアクチュエータ113との両方が設けられてもよい。この場合、アクチュエータ113、113Aにそれぞれ接続される演算装置122は、基本的には軽量で動きが速いアクチュエータ113を用いて電磁遮蔽板112を適切な位置まで移動させる。演算の結果、遮蔽板の制御範囲を超える場合あるいは制御範囲外と予測される場合には、アクチュエータ113Aを用いた誘導加熱装置11の移動によって幅方向中心線Fcを鋼帯Sの幅方向中心線Scに一致させればよい。あるいは、移動量が不足する場合、演算装置122は、必要とされる移動量を誘導加熱装置11の移動量と電磁遮蔽板112の移動量とに配分し、アクチュエータ113、113Aによる誘導加熱装置11および電磁遮蔽板112の移動を同時に実行することによって、電磁遮蔽板112が適切な位置まで迅速に移動できるようにしてもよい。
(第2の実施形態)
図9は、本発明の第2の実施形態に係る誘導加熱設備における分割した磁性体コア212を設けた誘導加熱装置および温度スキャナの配置例を示す図である。なお、図9に示した誘導加熱装置21の構成以外について、本実施形態の構成は、上記で図1などを参照して説明した第1の実施形態と同様であるため、重複した説明は省略する。また、本実施形態の誘導加熱工程は、推定変位量に基づく移動の制御(図6におけるステップS13、図7BにおけるステップS112)の対象が磁性体コア212である点以外について、図6、または図7Aおよび図7Bに示した第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
図9に示されるように、誘導加熱装置21は、誘導コイル111と、磁性体コア212と、磁性体コア212を図中に矢印で示す鋼帯Sの幅方向に移動させるアクチュエータ213とを含む。磁性体コア212は、誘導コイル111が発生させる磁束を集中させる位置を変化させる。アクチュエータ213は、図1に示された制御装置12に含まれる演算装置122に接続され、演算装置122が送信する制御信号に従って磁性体コア212を移動させる。磁性体コア212が鋼帯Sに対して正しい位置、具体的には鋼帯Sの幅方向端部から適切な距離だけ離隔した位置に配置されることによって、鋼帯Sの幅方向端部で渦電流の密度が高くなることによって生じる過加熱を防止したり、鋼帯Sの幅方向で温度低下する位置に磁束を集中させて温度上昇させ、幅方向の温度分布の調整をすることができる。
本実施形態において誘導加熱装置21に含まれる磁性体コア212は、動作の原理は異なるものの、鋼帯Sの幅方向における磁性体コア212と鋼帯Sとの相対的な位置関係が適切に制御されることによって、鋼帯Sの幅方向端部の過加熱が防止され、温度の補償がされる点では上記の第1の実施形態における電磁遮蔽板112と同様である。従って、本実施形態でも、下流側の温度スキャナ121の位置P2において検出された鋼帯Sの幅方向の変位量Δxを外挿することによって算出された上流側の誘導加熱装置21の位置P1での鋼帯Sの推定変位量に基づいて磁性体コア212を移動させることによって、鋼帯Sの幅方向の蛇行に高い精度で追従して磁性体コア212を移動させ、鋼帯Sの幅方向端部の過加熱をより確実に防止することができる。
(第3の実施形態)
図10は、本発明の第3の実施形態に係る誘導加熱設備の概略的な構成を示す図である。なお、図10に示した誘導加熱設備30の構成で第1の実施形態と共通の符号で示された要素、および後述するフローチャートで第1の実施形態と共通の符号で示された工程については、上記で説明した第1の実施形態と同様であるため、重複した説明は省略する。
図10に示されるように、誘導加熱設備30は、誘導加熱装置11と、制御装置32、ステアリング機構33とを含む。制御装置32は、温度スキャナ121と、演算装置322とを含む。ステアリング機構33は、鋼帯Sの搬送ライン上の位置P3に配置されるステアリングロール331と、ステアリングロール331を傾動させるアクチュエータ332とを含む。上記の図1と同様の定義によれば、鋼帯Sの搬送ライン上で、ステアリングロール331の位置P3は、誘導加熱装置11の位置P1よりも上流側にある。なお、他の実施形態では、位置P3が位置P2よりも下流側にあってもよい。なお、第1の実施形態と同様に、図10では鋼帯Sが水平方向に搬送されるように示されているが、他の実施形態において鋼帯Sなどの金属帯板は鉛直方向に搬送されてもよい。
ステアリングロール331は、概ね鋼帯Sの幅方向に沿って鋼帯Sに当接されるが、幅方向に対してわずかに傾けることが可能である。これによって、鋼帯Sの幅方向の両側にかかる張力を変化させ、鋼帯Sの幅方向の変位を抑制することができる。アクチュエータ332は、演算装置322に接続され、演算装置322が送信する制御信号に従ってステアリングロール331の傾きの角度を調節する。本実施形態において、演算装置322、アクチュエータ332、およびステアリングロール331は、鋼帯Sに幅方向の変位を抑制するための外力を付与する外力付与部を構成する。
図11Aおよび図11Bは、本発明の第3の実施形態に係る誘導加熱方法の工程の例を示すフローチャートである。図11Aに示された例では、ステップS101〜S106までの処理は、上記の第1の実施形態と同様のステップS101〜S106の処理が行われる。ステップS106で近似関数f(t)が推定された後に、演算装置322が、近似関数f(t)が安定的であるか否かを判定する(ステップS301)。具体的には、例えば、演算装置322は、近似関数f(t)によって算出される変位量Δxの変動の周期が短すぎないか、および変位量Δxの振幅が大きすぎないかを判定する。ステップS301の判定において、近似関数f(t)が安定的であった場合、図11Bに示すように、上記の第1の実施形態と同様のステップS107〜S119の処理が実行される。
一方、ステップS301の判定において、近似関数f(t)が安定的ではない場合、演算装置322は、近似関数f(t)の傾向に応じてステアリングロール331の傾動量を決定し(ステップS302)、傾動量に対応する制御信号をアクチュエータ332に送信する(ステップS303)。制御信号を受信したアクチュエータ332の動作によって、ステアリングロール331が傾動させられる(ステップS304)。ステップS304でステアリングロール331が傾動させられた場合、近似関数f(t)が変化することが想定されるため、処理はステップS103に戻る。
上記で説明したような本発明の第3の実施形態では、近似関数f(t)の傾向、具体的には近似関数f(t)が安定的であるか否かに応じて、ステアリングロール331が傾動させられ、鋼帯Sに幅方向の変位を抑制するための外力が与えられる。これによって、例えば、変位量Δxの変動の周期を長くしたり、変位量Δxの振幅を小さくすることで、電磁遮蔽板112を鋼帯Sの蛇行に追従して移動させることができる。この結果、ステアリングロール331を用いて変位量Δxの変動を安定させた上で、改めて近似関数f(t)を特定し、近似関数f(t)を用いて算出された推定変位量に基づく電磁遮蔽板112の制御を実行することができる。上記は、温度スキャナ121とステアリングロール331との位置が離れていて、時定数が比較的大きい場合を想定しているが、時定数が小さい場合には、図3Bなどに示した鋼帯Sの幅方向中心線Scの搬送ラインの幅方向中心線Lcからのずれ量が最小となるように、ステアリングロール331を傾動させるアクチュエータ332をPID制御(Proportional−Integral−Differential Controller)などを用いて制御しても良い。
なお、上記の例では誘導加熱設備30が第1の実施形態と同様の誘導加熱装置11を含むものとして説明したが、他の例において誘導加熱設備はステアリング機構33とともに第2の実施形態と同様の誘導加熱装置21を含んでもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記の各実施形態では鋼帯Sの幅方向の温度分布の測定結果に基づいて鋼帯Sの幅方向の変位量を検出したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、蛇行センサなどを用いて鋼帯Sの第1の位置P1における変位量Δx1を検出してもよい。また、上記したように、鋼帯Sの幅方向の変位量が検出される位置は、誘導加熱装置の下流側には限られず、上流側でもよい。誘導加熱装置の上流側で鋼帯Sの幅方向の変位量を検出する場合にも、近似関数の外挿によって算出された誘導加熱装置の位置での推定を用いることによって、誘導加熱装置と鋼帯Sとの位置関係を制御する際の精度が向上する。
その他に、上記の各実施形態の説明において、鋼帯Sの幅方向の変位量Δxを検出する検出部に含まれるセンサとして温度スキャナ121が用いられる例を示したが、本発明は、かかる例に限定されない。検出部において、鋼帯Sの幅方向の変位量Δxが検出可能とされればよく、例えば、検出部のセンサとして、レーザセンサが用いられてもよいし、近接センサ、または金属を検出可能な各種センサであってもよい。
また、上記の各実施形態の説明において、近似関数f(t)は、変位量Δxの時系列変化に基づいて、算出される例を示したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、近似関数f(t)は、過去の操業実績、シミュレーション結果等に基づいて、予め記憶された近似関数f(t)が使用されてもよい。
10、30 誘導加熱設備
11、21 誘導加熱装置
12、32 制御装置
33 ステアリング機構
111 誘導コイル
112 電磁遮蔽板
113、213、332 アクチュエータ
121 温度スキャナ
122、322 演算装置
212 磁性体コア
331 ステアリングロール

Claims (16)

  1. 連続的に搬送される金属帯板を、搬送ライン上の第1の位置に配置された誘導加熱装置を用いて加熱する、金属帯板の誘導加熱方法であって、
    前記搬送ライン上で前記第1の位置とは異なる第2の位置における前記金属帯板の幅方向中心線の所定の基準線からの変位量を検出するステップ、
    前記変位量の時系列変化を表す関数に基づいて、前記変位量を時間的かつ空間的に外挿することによって前記第1の位置における前記金属帯板の幅方向中心線の推定変位量を算出するステップ、および
    前記推定変位量に基づいて、前記金属帯板の幅方向における前記誘導加熱装置と前記金属帯板との相対的な位置関係を制御するステップ
    を含む、金属帯板の誘導加熱方法。
  2. 前記第2の位置は、前記第1の位置の下流側に位置する、請求項1に記載の金属帯板の誘導加熱方法。
  3. 前記第2の位置は、前記第1の位置の上流側に位置する、請求項1に記載の金属帯板の誘導加熱方法。
  4. 前記変位量を検出するステップは、
    前記第2の位置において前記金属帯板の幅方向の少なくとも一方の端部を含む範囲で温度分布を測定するステップ、および
    前記温度分布に温度急落部として現れる前記金属帯板の幅方向端部の位置を前記変位量に変換するステップ
    を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金属帯板の誘導加熱方法。
  5. 前記推定変位量を算出するステップは、
    前記変位量の時系列変化を前記関数に変換するステップ、ならびに
    前記金属帯板の搬送速度、前記第1の位置と前記第2の位置との間の距離、前記関数、および第1の時刻における前記変位量に基づいて、前記第1の時刻における前記推定変位量を算出するステップ
    を含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の金属帯板の誘導加熱方法。
  6. 前記第1の時刻よりも後の第2の時刻における前記変位量を、前記第1の時刻における前記変位量に基づいて算出された前記推定変位量と比較した結果に基づいて前記関数を更新するステップをさらに含む、請求項5に記載の金属帯板の誘導加熱方法。
  7. 前記関数の傾向に応じて前記金属帯板に幅方向の変位を抑制するための外力を与えるステップをさらに含む、請求項5または請求項6に記載の金属帯板の誘導加熱方法。
  8. 前記相対的な位置関係を制御するステップは、
    前記誘導加熱装置および/またはその一部分を前記金属帯板の幅方向に移動させるステップ
    を含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の金属帯板の誘導加熱方法。
  9. 連続的に搬送される金属帯板の搬送ライン上の第1の位置に配置された誘導加熱装置を含む、金属帯板の誘導加熱設備であって、
    前記搬送ライン上で前記第1の位置とは異なる第2の位置における前記金属帯板の幅方向中心線の所定の基準線からの変位量を検出する検出部、
    前記変位量の時系列変化を表す関数に基づいて、前記変位量を時間的かつ空間的に外挿することによって前記第1の位置における前記金属帯板の幅方向中心線の推定変位量を算出する推定変位量算出部、および
    前記推定変位量に基づいて、前記金属帯板の幅方向における前記誘導加熱装置と前記金属帯板との相対的な位置関係を制御する相対位置制御部
    を備える、金属帯板の誘導加熱設備。
  10. 前記第2の位置は、前記第1の位置の下流側に位置する、請求項9に記載の金属帯板の誘導加熱設備。
  11. 前記第2の位置は、前記第1の位置の上流側に位置する、請求項9に記載の金属帯板の誘導加熱設備。
  12. 前記検出部は、
    前記第2の位置において前記金属帯板の幅方向の少なくとも一方の端部を含む範囲で温度分布を測定し、
    前記温度分布に温度急落部として現れる前記金属帯板の幅方向端部の位置を前記変位量に変換する、
    請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の金属帯板の誘導加熱設備。
  13. 前記推定変位量算出部は、
    前記変位量の時系列変化を関数に変換し、ならびに
    前記金属帯板の搬送速度、前記第1の位置と前記第2の位置との間の距離、前記関数、および第1の時刻における前記変位量に基づいて、前記第1の時刻における前記推定変位量を算出する、
    請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の金属帯板の誘導加熱設備。
  14. 前記推定変位量算出部は、さらに、前記第1の時刻よりも後の第2の時刻における前記変位量を、前記第1の時刻における前記変位量に基づいて算出された前記推定変位量と比較した結果に基づいて前記関数を更新する、請求項13に記載の金属帯板の誘導加熱設備。
  15. 前記関数の傾向に応じて前記金属帯板に幅方向の変位を抑制するための外力を与える外力付与部をさらに含む、請求項9から請求項14のいずれか1項に記載の金属帯板の誘導加熱設備。
  16. 前記誘導加熱装置は、前記誘導加熱装置を前記金属帯板の幅方向に移動させるアクチュエータおよび/または前記誘導加熱装置の一部分を前記金属帯板の幅方向に移動させるアクチュエータを有し、
    前記相対位置制御部は、前記各アクチュエータに制御信号を送信する、請求項9から請求項15のいずれか1項に記載の金属帯板の誘導加熱設備。
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