JP6880980B2 - 誘導加熱装置及び誘導加熱方法 - Google Patents
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Description
さらに、被加熱材の種類、例えば鋼種や合金の種類は現在非常に多くなっており、また、合金組成は同一規格の中でもばらつきがある。
また、特許文献4に開示の誘導加熱方法は、特許文献3に開示の方法と同様、金属材の物性値を用いるものである。そして、特許文献4に開示の誘導加熱方法は、特許文献3に開示の方法と同様、適切に昇温するためには、十分な量かつ正確な金属材の物性値を保持しておく必要があり、これは困難である。
特許文献1及び2は、金属材の温度に基づいて誘導コイルへの供給電力を制御することは開示しているが、上述の問題に関し、開示も示唆もしていない。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る誘導加熱装置を備える連続溶融亜鉛めっき装置の概略を示す図である。
図1の連続溶融亜鉛めっき装置100は、鋼板Hに溶融亜鉛めっきし、溶融亜鉛めっきが付着した鋼板Hを誘導加熱装置1により加熱し、鋼板Hの溶融亜鉛めっき層を合金化することにより、鋼板Hの溶接性、耐食性、プレス性等を良好にするものである。以下、具体的に説明する。
連続溶融亜鉛めっき装置100では、鋼板Hは製造ライン上を搬送され、不図示の焼鈍炉で焼鈍された後、外気によって酸化されるのを防止するために設けられるダクト状のスナウト6内を通って溶融亜鉛めっき浴2に導入される。
溶融亜鉛めっき浴2に導入された鋼板Hは、該浴2内に設けられたシンクロール2aにより、上向きに方向転換され、サポートロール2bで反りが矯正された後、溶融亜鉛めっき浴2から引き出される。
そして、溶融亜鉛めっきされた鋼板Hは、ガスワイピングノズル3からワイピングガスがその両面に吹き付けられ、めっき付着量が調整される。
制振装置4による振動の抑制や角度の規定のための方式としては、高温ガス(例えば450℃以上)を鋼板Hの端部に吹き付ける方式が考えられる。また、電磁力のピンチ力による方式であってもよい。
溶融亜鉛めっき層が合金化された鋼板Hは、不図示の冷却装置により冷却され、上部ロール5により通板方向が変換される。
誘導加熱装置1は、製造ライン(以下、ラインという)上を搬送中の被加熱材としての鋼板Hを誘導加熱部10によって誘導加熱するものであり、ラインにおける誘導加熱部10の上流側の位置に温度測定部11及び物性値測定部12を備える。図の例では、温度測定部11が物性値測定部12の上流側に配設されているが、温度測定部11と物性値測定部12との位置は反対であってもよい。
誘導加熱部10は、図に示すように、誘導コイル10aと交流電源10bとを有する。
誘導コイル10aは、銅などの導体で構成され、搬送されている鋼板Hの周囲に巻き回されるように設けられており、また、交流電源10bに接続されている。
交流電源10bは、誘導コイル10aに電力を供給/出力する。
温度測定部11は、ラインにおける誘導加熱部10の上流側の位置であって制振装置4と誘導加熱部10の間の位置すなわち誘導加熱部10の直前の位置で、搬送中の鋼板Hの温度を測定する。この温度測定部11は、例えば赤外線温度センサ等の被接触型の温度センサで構成される。
物性値測定部12は、図3に示すように、検査コイル12aと交流電源12bとを有する。
検査コイル12aは、銅などの導体で構成され、搬送されている鋼板Hの周囲に巻き回されるように設けられており、また、交流電源12bに接続されている。
交流電源12bは、コイル12aに電力を供給/出力する。
なお、物性値測定部12は、鋼板Hを誘導加熱することを目的としたものではないため、その交流電源12bから供給される電力は、誘導加熱部10の交流電源10bから供給される電力より小さくすることが好ましい。
誘導加熱装置1は、さらに鋼板情報取得部13と制御部14とを備える。
制御部14は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、誘導加熱装置1における誘導加熱処理を実行するプログラムが格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、光磁気ディスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部14にインストールされたものであってもよい。制御部14の詳細については後述する。
L1=V*sinθ/2π*f1I1・・・(1)
なお、図4の横軸は比透磁率、縦軸は検査コイル12aのインダクタンスLを示し、関係式f(x)は以下のシミュレーションの結果を対数関数で近似したものである。すなわち、鋼板Hの厚み及び幅がそれぞれ1mm、500mmであり、検査コイル12aの巻き数、開口部の高さ及び開口部の幅がそれぞれ、5巻き、60mm、580mmであり、励磁電流が10Aであり、交流電源12bの周波数が1kHzであるものとし、鋼板Hの比透磁率を10、100、1000としたときの検査コイル12aのインダクタンスLをシミュレーションにより計算し、計算結果を対数関数で近似することにより上記関係式f(x)を得ることができる。
ΔT=Tt−Tm ・・・式(2)
P=W*t*v*ρm*c*ΔT ・・・式(3)
f2>4*ρe/(π*t2*μ) ・・・式(4)
I2=(P*((R2+(2π*f*L´)2))1/2/(2π*f*L´) ・・・式(5)
R=(n2*ρe*W/δ)/l ・・・式(6)
δ=(ρe/(π*f*μ))1/2 ・・・式(7)
本実施形態に係る誘導加熱装置1は、図示は省略するが、第1の実施形態に係る誘導加熱装置とは異なり、物性値測定部12の検査コイル12a(図3参照)が誘導加熱部10の誘導コイル10aと同一形状である。
本実施形態に係る誘導加熱装置1では、例えば、制御部14はまず、第1の実施形態と同様に、物性値測定部12で測定した物理量に基づいて、物性値測定部12内を鋼板Hが搬送されたときの検査コイル12aのインダクタンスLを算出する。
I=(P/R´)1/2 ・・・式(8)
図5は、本発明の第3の実施形態に係る誘導加熱装置の概略を示す図である。
図5の誘導加熱装置1は、第1の実施形態のものと異なり、制御部14が、温度測定部15での測定結果に基づいて、制御部14で決定した誘導加熱部10の交流電源10bから供給する電力の出力条件を補正し、言い換えると、温度測定部15での測定結果を上記出力条件にフィードバックする。
なお、本実施形態のようなフィードバック制御は、第2の実施形態のような検査コイルと誘導コイルの形状が同一である構成にも適用することができる。
以上の例では、誘導加熱部は、誘導コイルによって鋼板の板面に略平行な磁束を発生させ、該磁束によって鋼板に発生した誘導電流により鋼板を加熱するLF方式のものである。誘導加熱部はこの例に限られず、誘導コイルによって鋼板の板面に略垂直であり鋼板を貫通する磁束を発生させ該磁束により鋼板に発生した誘導電流により鋼板を加熱するTF(垂直磁束)方式のものであってもよい。
以上の例では、物性値測定部の検知コイルは、該コイルに励磁電流を通電したときに、物性値測定部内を通過する鋼板の板面に略平行な磁束を発生させるLF式のものである。しかし、検査コイルはこの例に限られず、該コイルに励磁電流を通電したときに、物性値測定部内を通過する鋼板の板面に略垂直であり鋼板を貫通する磁束を発生させるTF式のものであってもよく、また、励磁電流を通電したときに磁束を発生させ、物性値測定部内を通過する鋼板に誘導電流を発生させるコイルであればよい。
なお、第2の実施形態において、誘導加熱部としてTF方式のものが採用される場合、物性値測定部の検査コイルとしてはTF式のものであって該誘導加熱部の誘導コイルと同一形状のものが採用される。
以上の例では、物性値測定部の検査コイルに流れた電流の情報などを物性値測定部から制御部に送信し、制御部が受信した情報に基づき検査コイルのインダクタンスを算出し該インダクタンスに基づき誘導加熱装置の交流電源の出力条件を決定していた。この例に限られず、物性値測定部でインダクタンスを算出/測定した上で、インダクタンスに係る情報を物性値測定部から制御部に送信し、制御部では該インダクタンスに基づき上記出力条件を決定してもよい。
以上の例では、各実施形態に係る誘導加熱装置を、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造のために誘導加熱を行う装置に適用していた。合金化溶融亜鉛めっき鋼板の鋼板厚さは、通常3mm未満の薄板である。しかし、各実施形態に係る誘導加熱装置は、それ以外の厚さの鋼板、例えば厚さ6mm以上の厚板の熱処理のために誘導加熱を行う装置に適用してもよい。厚板に対する熱処理としては焼き入れや焼き戻し等といったものがある。また、以上の各実施形態に係る誘導加熱装置は、鋼板すなわち板状の鋼材を誘導加熱する装置に適用しているが、棒状の鋼材、線状の鋼材を誘導加熱する装置に適用してもよい。さらに、以上の各実施形態に係る誘導加熱装置は、帯状の鋼材を帯状のまま連続的に誘導加熱する装置に適用しているが、帯状の鋼材を円筒状に巻き取った円筒状金属コイルをライン上で誘導加熱する装置に適用してもよい。また、各実施形態にかかる誘導加熱装置の被加熱材は、鋼材に限られず、他の金属材であってもよく、さらに、金属材に限らず、高い導電性を有するものであれば良く、例えば、カーボンであってもよい。
また、実施例4、5は、鋼種が鋼種A、目標温度Ttが600℃で実施例1と共通であるが、寸法が実施例1とは異なり、実施例4では厚さ0.2mm×幅1000mm、実施例5では厚さ1.0mm×幅900mmであった。
実施例6、7は、鋼種が鋼種A、寸法が厚さ0.5mm×幅1800で実施例1と共通であるが、目標温度Ttが実施例1とは異なり、実施例6では700℃、実施例7では800℃であった。
実施例8は、鋼種、寸法、目標温度が実施例1と共通であるが、誘導加熱前の鋼板の温度Tmが実施例1と異なっていた。
10…誘導加熱部
10a…誘導コイル
10b…交流電源
11…温度測定部
12…物性値測定部
12a…検査コイル
12b…交流電源
13…鋼板情報取得部
14…制御部
15…温度測定部
100…連続溶融亜鉛めっき装置
Claims (10)
- 誘導コイルと該誘導コイルに電力を出力する交流電源とを有する誘導加熱部によって、ライン上を搬送中の溶融亜鉛めっき鋼板を被加熱材として誘導加熱して亜鉛めっき層を合金化する誘導加熱装置であって、
前記ラインにおける前記誘導加熱部の直前の上流側の位置に設けられ、前記誘導加熱部の直前で搬送中の前記被加熱材の温度を測定する温度測定部と、
前記ラインにおける前記誘導加熱部の直前の上流側の位置に設けられ、前記誘導加熱部の直前で搬送中の前記被加熱材の物性値に関する物理量を前記被加熱材の周囲に巻き回されるようにして前記ライン上に配設された検査コイルにより測定する物性値測定部と、
少なくとも前記温度測定部及び前記物性値測定部での測定結果に基づいて、前記交流電源から前記誘導コイルへの電力の出力条件を決定する制御部と、を備えることを特徴とする誘導加熱装置。 - 少なくとも前記被加熱材の寸法に係る情報を取得する鋼板情報取得部を備え、
前記制御部は、前記物性値測定部で測定した物理量から前記物性値を算出し、前記温度測定部での測定結果と、算出した前記物性値と、前記鋼板情報取得部で取得した前記被加熱材の寸法とに基づいて前記出力条件を決定することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱装置。 - 前記物性値測定部は、前記物理量として、当該物性値測定部内を前記被加熱材が搬送されたときの前記検査コイルのインダクタンスを算出するための物理量または当該インダクタンスを測定することを特徴とする請求項1または2に記載の誘導加熱装置。
- 前記物性値測定部は、前記ライン上に配設され前記誘導コイルと同一形状の検査コイルを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。
- 前記ラインにおける前記誘導加熱部の直後の下流側に設けられ、前記誘導加熱部による誘導加熱直後の、搬送中の前記被加熱材の温度を測定する別の温度測定部を備え、
前記制御部は、前記別の温度測定部での測定結果に基づいて、前記出力条件を補正することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。 - 誘導コイルと該誘導コイルに電力を出力する交流電源とを有する誘導加熱部によって、ライン上を搬送中の溶融亜鉛めっき鋼板を被加熱材として誘導加熱して亜鉛めっき層を合金化する誘導加熱方法であって、
前記誘導加熱部の直前の上流側の前記ライン上を搬送中の前記被加熱材の温度を測定する温度測定工程と、
前記誘導加熱部の直前の上流側の前記ライン上を搬送中の前記被加熱材の物性値に関する物理量を前記被加熱材の周囲に巻き回されるようにして前記ライン上に配設された検査コイルにより測定する物性値測定工程と、
少なくとも前記温度測定工程及び前記物性値測定工程での測定結果に基づいて、前記交流電源から前記誘導コイルへの電力の出力条件を決定する出力条件決定工程と、を含むことを特徴とする誘導加熱方法。 - 少なくとも前記被加熱材の寸法に係る情報を取得する鋼板情報取得工程を含み、
前記出力条件決定工程は、前記物性値測定工程で測定した物理量から前記物性値を算出し、前記温度測定工程での測定結果と、算出した前記物性値と、前記鋼板情報取得工程で取得した前記被加熱材の寸法とに基づいて前記出力条件を決定することを特徴とする請求項6に記載の誘導加熱方法。 - 前記物性値測定工程は、前記物理量として、前記ライン上に配設された前記検査コイルを有する物性値測定部内を前記被加熱材が搬送されたときの前記検査コイルのインダクタンスを算出するための物理量または当該インダクタンスを測定することを特徴とする請求項6または7に記載の誘導加熱方法。
- 前記物性値測定工程は、前記ライン上に配設された前記誘導コイルと同一形状の検査コイルを用いて前記物理量を測定することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の誘導加熱方法。
- 前記誘導加熱部の直後の下流側の前記ライン上を搬送中の前記誘導加熱部による誘導加熱直後の前記被加熱材の温度を測定する別の温度測定工程と、
前記別の温度測定工程での測定結果に基づいて、前記出力条件を補正する補正工程と、を含むことを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の誘導加熱方法。
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