JP6812999B2 - 金属帯の誘導加熱装置、金属帯の製造方法、及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

金属帯の誘導加熱装置、金属帯の製造方法、及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、連続搬送される金属帯を高周波電流により誘導加熱する金属帯の誘導加熱装置、並びに該誘導加熱装置を用いた金属帯の製造方法及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
ステンレス鋼、オーステナイト分率の大きな鋼、アルミニウムなどの非磁性の金属帯を通板しながら加熱する際に、当該金属帯の表裏に誘導コイルを配置した構造を有し、磁束が金属帯の厚み方向に通過する、いわゆるトランスバース式(Transverse Flux,TF式)誘導加熱装置が用いられている。
特許文献1の図7には、磁束を生成する主コイル1と、この主コイル1に高周波電流を流すための高周波電源装置と、主コイル1が巻回された主鉄芯2と、ストリップ9のエッジ部の磁束密度を調整する磁気遮蔽材料(F/M)10とから構成されるトランスバース式誘導加熱装置が記載されている。この誘導加熱装置では、主コイル1と主鉄芯2との組み合わせによって、主インダクタが構成される。主鉄芯2はストリップ9を挟んで互いに対向して配置された1対から成る。主鉄芯2は主コイル1の生成する磁束密度を大きくし、かつ漏れ磁束を抑制し、ストリップ9の加熱効率を高めるためのものである。ストリップ9は、図7中、例えば上方から下方へ連続して移動しながら、誘導加熱装置に供給される。薄板状の導電性を有するストリップ9に、垂直な方向成分をもつ交番磁束を印加すると、それを打ち消すようにストリップ9中に誘導電流(渦電流)が生じ、それに伴い発生したジュール熱によって、ストリップ9が加熱される。
特許文献1の誘導加熱装置では、主コイル1が、2つのコイルをその長手方向がストリップの幅方向に一致させて互いに近接して配置させてなる。そのため、特許文献1の図8に示すように、2つのコイルが隣り合うストリップの幅方向中央部分aでは、均一な加熱が可能である。
しかしながら、発生した渦電流は、電磁界の境界条件にしたがい、ストリップの幅方向両端部に集中する性質があることから、ストリップの幅方向両端部は、均一に加熱された中央部分よりも高温になることが知られている。特許文献1の誘導加熱装置では、磁気遮蔽材料10が、いわゆるエッジマスクの役割を果たし、ストリップの両端部を通過する磁束を遮蔽、減衰することにより、上記両端部の過加熱を防止している。ストリップのエッジからのエッジマスク挿入量を調整することで、ストリップ両端部の温度分布を調整することができる。
しかしながら、この場合、特許文献1の図8に示すように、ストリップの両端部cの温度がストリップの中央部分aの温度と等しくなるように、エッジマスクの挿入量を調整すると、両端部の少し内側に低温領域bが発生してしまう。これは、中央部分ではストリップ幅方向に流れている渦電流が、両端部の少し内側の領域でストリップ長手方向に向きを変える結果、この領域で渦電流の密度が希薄になるためである。
このように従来のエッジマスクでは、ストリップ両端部とその少し内側の領域の渦電流分布を十分に調整することができない。そこで特許文献1は、その図1において、補助鉄心4及び補助コイル31,32からなる補助インダクタを、低温領域に対応する位置に設けたトランスバース式誘導加熱装置を開示している。この装置では、補助インダクタによって、ストリップ両端部の少し内側の領域を加熱することで、ストリップの幅方向に均一な加熱を行うことができると記載されている。
特開平7−169561号公報
しかしながら、特許文献1の図1に示す誘導加熱装置では、主インダクタに加えて補助インダクタを配置するため、これらのインダクタを制御するための多数の制御装置が必要となり、装置構成が複雑、高価となるという問題があった。
そこで本発明は、上記課題に鑑み、簡易な装置構成で金属帯を幅方向に均一に加熱することが可能な金属帯の誘導加熱装置、並びに該誘導加熱装置を用いた金属帯の製造方法及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく本発明者らは、金属帯の幅方向両端部を通過する磁束を遮蔽する磁束減衰材(エッジマスク)の形状を工夫することによって、金属帯の両端部の過加熱を防止しつつ、その少し内側の低温領域の発生も抑制できないかと着想した。そして、鋭意検討した結果、金属帯の少なくとも片面とそれぞれ対向する一対の板状部材からなる従来のエッジマスクに対して、板状部材に金属帯に向かう方向に突出した突出部を設け、この突出部を低温領域の位置に配置することにより、上記課題を解決できることを見出した。
上記知見に基づき完成された本発明の要旨構成は以下のとおりである。
(1)幅方向と直交する搬送方向に連続搬送される金属帯を高周波電流により誘導加熱する金属帯の誘導加熱装置であって、
前記金属帯の幅方向に沿って前記金属帯よりも広幅に延在するストレート部を有し、少なくとも前記金属帯の片面に対向して配置された第1コイルと、
前記金属帯の幅方向に沿って前記金属帯よりも広幅に延在するストレート部を有し、少なくとも前記金属帯の片面に対向し、かつ前記第1コイルとストレート部同士が隣り合うように配置された第2コイルと、
前記第1コイルと前記第2コイルに逆方向の高周波電流を流す交流電源と、
前記第1コイル及び前記第2コイルと、前記金属帯の幅方向両端部との間に配置された一対の磁束減衰材と、
を有し、
前記一対の磁束減衰材は、前記金属帯の片面と対向する第1板状部を備え、前記第1板状部の、前記金属帯の幅方向中央側の端部には、前記金属帯に向かう方向に突出した第1突出部が設けられていることを特徴とする金属帯の誘導加熱装置。
(2)前記金属帯の幅方向に沿って前記金属帯よりも広幅に延在するストレート部を有し、少なくとも前記金属帯の他面に対向し、かつ前記搬送方向において前記第1コイルと重なる位置に配置された第3コイルと、
前記金属帯の幅方向に沿って前記金属帯よりも広幅に延在するストレート部を有し、少なくとも前記金属帯の他面に対向し、かつ前記第3コイルとストレート部同士が隣り合うように、前記搬送方向において前記第2コイルと重なる位置に配置された第4コイルと、
前記第3コイルと前記第4コイルに逆方向の高周波電流を流す交流電源と、
前記第1コイルが巻き回された第1部分と、前記第2コイルが巻き回された第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを連結する第1連結部とを備え、前記第1部分、前記第2部分、及び前記第1連結部が前記第1コイル及び前記第2コイルの隣り合うストレート部を囲むように、前記金属帯の片面に対向して前記金属帯よりも広幅に配置された第1鉄心と、
前記第3コイルが巻き回された第3部分と、前記第4コイルが巻き回された第4部分と、前記第3部分と前記第4部分とを連結する第2連結部とを備え、前記第3部分、前記第4部分、及び前記第2連結部が前記第3コイル及び前記第4コイルの隣り合うストレート部を囲むように、前記金属帯の他面に対向して前記金属帯よりも広幅に配置された第2鉄心と、
をさらに有し、
前記一対の磁束減衰材は、前記金属帯の他面と対向する第2板状部と、前記第1板状部と前記第2板状部とを連結する連結部をさらに備え、前記第1板状部、前記第2板状部、及び前記連結部で前記金属帯の幅方向端部を囲い、前記第2板状部の、前記金属帯の幅方向中央側の端部には、前記金属帯に向かう方向に突出した第2突出部が設けられている、上記(1)に記載の金属帯の誘導加熱装置。
(3)前記第1乃至第4コイルは、前記金属帯の幅方向に沿って前記金属帯よりも広幅に延在する一対のストレート部を有する、上記(2)に記載の金属帯の誘導加熱装置。
(4)前記第1乃至第4コイルにおいて、前記一対のストレート部の搬送方向間隔が、前記金属帯の幅の40%以下である、上記(3)に記載の金属帯の誘導加熱装置。
(5)前記一対の磁束減衰材において、前記第1板状部及び前記第2板状部の、前記金属帯の幅方向中央側の端部は、前記搬送方向における前記第1鉄心の第1連結部及び前記第2鉄心の第2連結部に対応する部位に第1切欠き部を有する、上記(2)〜(4)のいずれか一項に記載の金属帯の誘導加熱装置。
(6)前記一対の磁束減衰材において、前記第1板状部及び前記第2板状部の、前記金属帯の幅方向中央側の端部は、前記搬送方向における両端部に第2切欠き部を有する、上記(2)〜(5)のいずれか一項に記載の金属帯の誘導加熱装置。
(7)前記金属帯の両エッジの位置を検出するセンサーと、
前記一対の磁束減衰材を前記金属帯の幅方向に進退させる可動装置と、
前記センサーからの入力を受け、前記一対の磁束減衰材の各第1突出部が、前記金属帯の幅方向において前記金属帯のエッジから一定距離を維持するように前記可動装置を制御する制御部と、
をさらに有する、上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の金属帯の誘導加熱装置。
(8)金属帯の製造過程において、上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の誘導加熱装置を用いて、幅方向と直交する搬送方向に連続搬送される前記金属帯を高周波電流により誘導加熱する工程を含むことを特徴とする金属帯の製造方法。
(9)幅方向と直交する方向に連続搬送される鋼帯に溶融亜鉛めっきを施す工程と、
上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の誘導加熱装置を用いて、幅方向と直交する搬送方向に連続搬送される前記鋼帯を高周波電流により誘導加熱して、前記鋼帯に施された亜鉛めっきを加熱合金化する工程と、
を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
本発明の金属帯の誘導加熱装置及び金属帯の製造方法によれば、簡易な装置構成で金属帯を幅方向に均一に加熱することができる。本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法によれば、簡易な装置構成で鋼帯を幅方向に均一に加熱し、亜鉛めっきを加熱合金化することができる。
比較例1による金属帯の誘導加熱装置を模式的に示す図であり、(A)は平面図、(B)は側断面図である。 比較例1における誘導加熱による板幅方向の鋼帯温度分布を示す図である。 比較例1における、鋼帯を流れる誘導電流の分布を示す概念図であり、(A)は板幅が大きい場合、(B)は板幅が小さい場合である。 本発明の一実施形態による金属帯の誘導加熱装置100を模式的に示す図であり、(A)は平面図、(B)は搬送方向に垂直な断面図である。 比較例2による金属帯の誘導加熱装置を模式的に示す、搬送方向に垂直な断面図である。 誘導加熱による板幅方向の鋼帯温度分布を示す図であり、(A)は、本発明の一実施形態による誘導加熱装置100を用いた場合、(B)及び(C)は、比較例2による誘導加熱装置を用いた場合である。 磁束分布を模式的に示す図であり、(A)は、本発明の一実施形態による誘導加熱装置100を用いた場合、(B)は、比較例2による誘導加熱装置を用いた場合である。 (A)は、本発明の一実施形態による誘導加熱装置100で用いるエッジマスク80の模式的斜視図であり、(B)は第1変形例によるエッジマスク80Cの模式的斜視図である。 鋼帯を流れる誘導電流の分布を示す概念図であり、(A)はエッジマスク無しの比較例1の場合、(B)はエッジマスク80を用いた本発明の一実施形態の場合、(C)は、変形例によるエッジマスク80Cを用いた場合である。 第2変形例によるエッジマスク80Dの模式的斜視図である。
(金属帯の誘導加熱装置)
以下、本発明の一実施形態による金属帯の誘導加熱装置100を説明する。図4(A),(B)を参照して、本実施形態の誘導加熱装置100は、幅方向と直交する搬送方向Tに連続搬送される鋼帯Sを高周波電流により誘導加熱する、いわゆるトランスバース式誘導加熱装置である。本実施形態では、搬送方向Tは鉛直方向であるが、本発明はこれに限定されない。なお、以後、鋼帯Sの幅方向を「板幅方向」と称し、鋼帯Sの幅を「板幅」と称する。
(基本装置構成)
本実施形態の誘導加熱装置100は、磁束減衰材としてのエッジマスク80,90以外は、図1(A),(B)に示す比較例1による誘導加熱装置と同じ構成を前提として有する。そこで、まずは図1(A),(B)を参照して、比較例1による誘導加熱装置の構成を説明する。
図1に示す誘導加熱装置は、互いに近接して配置される第1コイル10及び第2コイル20と、互いに近接して配置される第3コイル30及び第4コイル40とを有する。第1コイル10は、板幅方向に沿って(好ましくは図1(A)に示すように板幅方向と平行に)延在する一対のストレート部12A,12Bを有するコイルであり、鋼帯の片面S1に対向して配置される。第2コイル20は、板幅方向に沿って(好ましくは図1(A)に示すように板幅方向と平行に)延在する一対のストレート部22A,22Bを有するコイルであり、鋼帯の片面S1に対向し、かつ第1コイル10に近接して配置される。より詳細には、第1コイル10と第2コイル20は、互いに内側のストレート部12B,22A同士が隣り合うように配置される。第3コイル30は、板幅方向に沿って(好ましくは板幅方向と平行に)延在する一対のストレート部32A,32Bを有するコイルであり、鋼帯の他面S2に対向し、かつ搬送方向Tにおいて第1コイル10と重なる位置(好ましくは図1(B)に示すように第1コイル10と同じ位置)に配置される。第4コイル40は、板幅方向に沿って(好ましくは板幅方向と平行に)延在する一対のストレート部42A,42Bを有するコイルであり、鋼帯の他面S2に対向し、かつ搬送方向Tにおいて第2コイル20と重なる位置(好ましくは図1(B)に示すように第2コイル20と同じ位置に)配置される。より詳細には、第3コイル30と第4コイル40は、互いに内側のストレート部32B,42A同士が隣り合うように配置される。
図1に示すように、この誘導加熱装置は、磁束を集束かつ増幅させるために、鋼帯Sの両面S1,S2にそれぞれ対向して配置された第1鉄心60及び第2鉄心70を有することが好ましい。第1鉄心60は、第1コイル10が巻き回された第1部分62と、第2コイル20が巻き回された第2部分64と、これら第1部分62と第2部分64とを連結する第1連結部66とを備え、図1(B)に示すように、板幅方向に垂直な断面の形状が略U型形状を有する。この略U型形状を構成する第1部分62、第2部分64、及び第1連結部66が第1コイル10及び第2コイル20の隣り合うストレート部12B,22Aを囲むように配置されている。第2鉄心70は、第3コイル30が巻き回された第3部分72と、第4コイル40が巻き回された第4部分74と、これら第3部分72と第4部分74とを連結する第2連結部76とを備え、図1(B)に示すように、板幅方向に垂直な断面の形状が略U型形状を有する。この略U型形状を構成する第3部分72、第4部分74、及び第2連結部76が第3コイル30及び第4コイル40の隣り合うストレート部32B,42Aを囲むように配置されている。第1鉄心60及び第2鉄心70は、電磁鋼板を積層したものとしてもよいし、磁性材料であるフェライトコア等を用いてもよい。
図1(A)に示すように、第1コイル10と第2コイル20には交流電源50が接続されており、交流電源50によって、第1コイル10と第2コイル20には逆方向で、好ましくは同位相の高周波電流を流すことができる。同様に、第3コイル30と第4コイル40にも、別途の交流電源(図示せず)が接続されており、この交流電源によって、第3コイル30と第4コイル40には逆方向で、好ましくは同位相の高周波電流を流すことができる。これら第1乃至第4コイル10,20,30,40に交流電流を流すことで交番磁界が形成され、図1(B)に示すように、鋼帯Sに垂直な磁束Mが鋼帯Sを通過する。第1鉄心60及び第2鉄心70は、磁束Mを増幅するとともに外部への漏えいを防ぐものであり、鋼帯Sを挟んで対向する第1部分62と第3部分72、及び、第2部分64と第4部分74が、実質的な誘導加熱用の磁場のかかる領域を形成する。ただし、本発明は図1(A),(B)に示す基本装置構成に限定されることはなく、第1コイル10及び第2コイル20を有しさえすれば、鋼帯Sの厚み方向に通過する磁束を形成することができる。
図1(A)に示すように、第1乃至第4コイル10,20,30,40の各ストレート部は、いずれも鋼帯Sよりも広幅に配置されており、第1鉄心60及び第2鉄心70も、鋼帯Sよりも広幅に配置されている。これにより、均一な磁場を印加する範囲を板幅よりも広くすることができる。なお、この誘導加熱装置では、種々の板幅に対応可能である。対応可能な板幅の範囲は仕様により定められている。図1(A)に示すように、各コイルの幅Woと各鉄心の幅Wは、仕様により定められた最大板幅Ws(例えば1500mm)よりも大きく設定されている。
鋼帯の幅方向全体に均一な磁場を確実に印加する観点から、コイルの幅Woは、仕様最大板幅Wsよりも20%以上大きいことが好ましい。また、鉄心の幅Wは、仕様最大板幅Wsよりも10%以上大きいことが好ましい。また、装置の大型化を防ぐ観点から、コイルの幅Woは、仕様最大板幅Wsよりも50%以下大きいことが好ましい。鉄心の幅Wは、仕様最大板幅Wsよりも25%以下大きいことが好ましい。
なお、第1乃至第4コイル10,20,30,40、第1鉄心60、及び第2鉄心70は、適宜構造物で固定されている。従来のトランスバース式誘導加熱装置には、コイルを移動させるような構成もあるが、そのような場合には通電用ケーブルが曲がることによって電気抵抗損失が増大し、あるいはケーブルが焼損する恐れもあるが、図1に示す誘導加熱装置ではそのようなことはない。
上記の構成を有する誘導加熱装置で鋼帯Sを加熱した際の板幅方向の鋼帯温度分布と鋼帯を流れる誘導電流の分布を、それぞれ図2と図3(A),(B)を参照して説明する。図3(A)は、仕様最大板幅Wsの鋼帯を加熱した場合を示している。この図に示したように、互いに逆方向の電流を流した2つのコイル10,20を隣り合わせで配置しているため、2つのコイル10,20間に位置する鋼帯Sの部分では、各コイルに起因した電流が合流して互いの流れを規制し、直線状で一様かつ大きな電流密度の電流C1が流れる区間が形成されている。この区間では、電流密度が一様であるから、加熱による温度変化も一様となる。そのため、図2に示すように、鋼帯Sの中央部分の定常部Wgでは均一な温度に加熱することができる。
定常部Wgを流れた電流C1は、鋼帯の幅方向両端部EP1,EP2で、図3(A)の上下方向に分岐し、方向を変えて周回する。本誘導加熱装置の問題点は、方向を変えた電流C2が鋼帯の両端部に沿って長手方向に流れるため、鋼帯の両端部で発熱が搬送方向に長い領域で発生し、鋼帯の両端部が高温化することにある。また、方向転換を開始する付近(鋼帯の両端部の高温領域の少し内側)の電流分布は複雑で、加熱後の温度が幅方向の他の部分に比較して低温になる傾向がある。その結果、図2に示すように、定常部Wgの両側には、温度分布が不均一な非定常部Wxが形成され、この非定常部Wxでは、鋼帯の幅方向エッジに向かって一度低温になった後に高温となる。
本誘導加熱装置では、コイル幅Woと鉄心幅Wをともに仕様最大板幅Wsより大きくしているため、非定常部Wxは板幅に対して最小限とすることができ、しかも、板幅が変わっても非定常部の幅は一定とすることができる。すなわち、図3(B)に示すように、例えば最大板幅Wsの半分の板幅の鋼帯を加熱する場合には、図2の二点鎖線で示す温度分布となり、電流C1’によって定常部Wg’が形成され、電流C1’が方向転換し電流C2’が流れる両端部に非定常部Wx’が形成される。その際、非定常部Wx’の幅は、非定常部Wxの幅と同等である。また、低温部の鋼帯エッジからの距離も、板幅に依存せず一定となる。
なお、図3(A),(B)に示すように、鋼帯両端部で方向転換した後の電流C3,C3’は、大きく周回して広い領域に広がっている。この領域の電流の総量は、コイル間を流れる電流C1,C1’と同じであるが、流れる領域が広いため単位断面積を流れる電流密度が小さくなっている。誘導電流による発熱は電流密度の二乗に比例するから、直線状の電流C1,C1’による発熱に比べて無視でき、温度の一様性にほとんど影響しない。
なお、図1(A)を参照して、鋼帯の幅方向全体に均一な磁場を確実に印加する観点から、第1乃至第4コイル10,20,30,40において、一対のストレート部の搬送方向間隔Lが、最大板幅Wsの40%以下であることが好ましい。また、コイルの発生する磁束量を十分確保するため、当該Lは、最大板幅Wsの5%以上とすることが好ましい。
また、図1(A)を参照して、隣り合うコイル間の距離Dは、コイルが相互に加熱し合うことを防ぐ観点から10mm以上とすることが好ましい。また、当該距離Dは、鋼帯に均一な電流を発生させ均一な加熱を行う観点からは100mm以下とすることが好ましい。
また、図1(B)を参照して、コイルと鋼帯との距離Gは、鋼帯の振動によって鋼帯と誘導加熱装置が接触することを防ぐ観点から10mm以上とすることが好ましい。また、当該距離Gは、誘導加熱装置で挟まれた空間の磁束を均一にする観点からは100mm以下とすることが好ましい。
(エッジマスク)
次に、図4(A),(B)に示す本実施形態の誘導加熱装置100は、上記図1(A),(B)に示す誘導加熱装置と同じ構成を有し、さらに、鋼帯の両端部EP1,EP2を囲うように配置された一対の磁束減衰材としてのエッジマスク80,90を有する。一対のエッジマスク80,90は、図2に示す鋼帯両端部(非定常部)における温度不均一を抑制するための部材である。エッジマスク80,90は、鉄心と同様に、電磁鋼板を積層したものとしてもよいし、磁性材料であるフェライトコア等を用いてもよい。
本実施形態におけるエッジマスク80,90は、第1コイル10、第2コイル20及び第1鉄心60と、第3コイル30、第4コイル40及び第2鉄心70との間に、鋼帯の幅方向両端部EP1,EP2をそれぞれ囲うように配置される。エッジマスク80,90は、第1板状部81,91と、第2板状部82,92と、連結部83,93とで鋼帯の両端部EP1,EP2を囲う。第1板状部81,91は、鋼帯の片面S1と対向し、長手方向が搬送方向Tと一致した矩形の板状部である。第2板状部82,92は、鋼帯の他面S2と対向し、長手方向が搬送方向Tと一致した矩形の板状部である。連結部83,93は、第1板状部と第2板状部とを連結し、第1板状部及び第2板状部と直交し、長手方向が搬送方向Tと一致した矩形の板状部である。なお、本実施形態では、図4(B)に示すように、連結部83は、第1板状部81及び第2板状部82の板幅方向外側端部同士を連結している。しかし本発明はこれに限定されず、前記端部よりも板幅方向中央側の部分同士を連結してもよい。そして、第1板状部81,91と第2板状部82,92によって、鋼帯の鋼帯の両端部EP1,EP2を通過する磁束を遮蔽、減衰させて、非定常部のうち高温部をなくすように機能する。
さらに、エッジマスク80は、第1板状部81の板幅方向中央側の端部に、搬送方向Tに沿って、鋼帯Sに向かう方向に突出した第1突出部84が設けられ、同様に、第2板状部82の板幅方向中央側の端部にも、搬送方向Tに沿って鋼帯Sに向かう方向に突出した第2突出部85が設けられている。エッジマスク90も同様に、第1板状部91の板幅方向中央側の端部に、搬送方向Tに沿って、鋼帯Sに向かう方向に突出した第1突出部94が設けられ、第2板状部92の板幅方向中央側の端部にも、搬送方向Tに沿って、鋼帯Sに向かう方向に突出した第2突出部95が設けられている。これら突出部84,85,94,95を非定常部のうち低温部の位置に配置することによって、この位置での磁束を強化し、低温部がより加熱されるようになる。なお、基本装置構成として第1コイル10及び第2コイル20のみを有する場合には、エッジマスク80,90は、第1板状部81,91と、その端部に設けられた第1突出部84,94のみを備えればよい。
このような効果が得られるメカニズムについて、図5に示す比較例2による誘導加熱装置におけるエッジマスク80B,90Bと比較しつつ説明する。図5に示すエッジマスク80B,90Bは、第1板状部81,91と、第2板状部82,92と、連結部83,93とを有する点では、本実施形態におけるエッジマスク80,90と共通するが、第1突出部及び第2突出部は有しない。
このエッジマスク80B,90Bを用いる場合、鋼帯両端部(非定常部)における温度分布は、図6(B)又は図6(C)に示すようになる。すなわち、鋼帯の両エッジにおける温度が鋼帯中央部分(定常部)における温度と等しくなるように、エッジマスク80B,90Bを鋼帯の両端から十分な深さに挿入すると、図6(B)に示すように、非定常部に大きな低温部ができてしまう。このとき、鋼帯端部での磁束分布は、図7(B)に示すようになる。すなわち、第1板状部81と第2板状部82とで挟まれる空間では磁束密度が下がり、鋼帯端部における温度は全体的に下がり、鋼帯エッジ温度は中央部分と等しくなる。しかしながら、当該空間のうち板幅中央寄りの空間では磁束密度が下がり過ぎ、その結果、大きな低温部ができてしまう。一方で、この低温部をなくそうと、エッジマスク80B,90Bの鋼帯の両端からの挿入量を小さくすると、図6(C)に示すとおり、低温部での温度低下は抑制できるが、一方で、磁束を遮蔽して高温部をなくすという本来の目的が十分に果たせず、高温部での温度上昇が大きくならざるを得ない。このように図6(B),(C)いずれの場合も、鋼帯両端部(非定常部)における温度差を十分に小さくすることができない。
これに対して、本実施形態におけるエッジマスク80,90を用いる場合、鋼帯両端部(非定常部)における温度分布は図6(A)に示すようになり、鋼帯端部での磁束分布は図7(A)に示すようになる。すなわち、第1板状部81と第2板状部82とで挟まれる空間では磁束密度が下がり、鋼帯端部における温度は全体的に下がり、鋼帯エッジ温度を中央部分と等しくすることができる。しかも、当該空間のうち板幅中央寄りの空間では、第1突出部84及び第2突出部85によって磁束が集中し、磁束密度が高まる。そのため、当該位置では誘導電流の密度も高まり、低温部での温度低下を抑制することができる。その結果、図6(A)に示すように、鋼帯両端部(非定常部)における温度差を十分に小さくすることができる。
既述のように、本実施形態では、低温部の鋼帯エッジからの距離は、板幅に依存せず一定となる。そして、その距離は、誘導加熱装置に固有のものであり予め把握することができる。よって、突出部84,85,94,95の位置が低温部の位置と対応させればよい。すなわち、図4(A)を参照して、鋼帯エッジからエッジマスク内端までの距離Leは、低温部の位置に応じて適宜設定すればよいが、概ね、鋼帯エッジからコイル搬送方向間隔Lの半分の位置とすればよい。
本実施形態では、種々の板幅に対応すべく、一対のエッジマスク80,90を板幅方向に進退させる可動装置(図示せず)を備えることが好ましい。また、板幅が一定の鋼帯を通板中でも、鋼帯の通板時の蛇行によって、鋼帯エッジからエッジマスク内端までの距離Leは、±5〜10mm程度変動することになる。その際に、Leの変動に極力減らすように、前記可動装置で一対のエッジマスク80,90を板幅方向に進退させることが好ましい。具体的には、鋼帯の両エッジの位置を検出するセンサー(図示せず)を配置し、制御部(図示せず)が、センサーからの入力を受け、一対のエッジマスクの各第1突出部が、板幅方向において鋼帯エッジから一定距離を維持するように可動装置を制御する。
図4(A)を参照して、エッジマスク80,90の搬送方向長さLmは、磁束が多く分布する領域を効果的に覆う観点からコイルの搬送方向長さLの3倍以上とすることが好ましい。また、当該長さLmは、設備が過大になり付帯設備と干渉させない観点からはLの4倍以下とすることが好ましい。
図4(B)を参照して、突出部の幅Wmは、磁束を効果的に集める観点からコイルの搬送方向長さLの0.05倍以上とすることが好ましい。また、当該長さLは、温度上昇効果が過大にならない観点からはLの0.5倍以下とすることが好ましい。
図4(B)を参照して、突出部の突出長さHmは、磁束を効果的に集める観点からコイルと鋼帯との距離Gの0.1倍以上とすることが好ましい。また、当該長さHmは、鋼帯との接触防止の観点からはGの0.5倍以下とすることが好ましい。
図4(B)を参照して、エッジマスクの板幅方向深さDmは、鋼帯エッジとの接触防止の観点からコイルの搬送方向長さL以上とすることが好ましい。また、マスクの効果確保の観点からはLの2倍以下とすることが好ましい。
(エッジマスクの変形例)
図8(A)に示すエッジマスク80の変形例を、図8(B)に示す。図8(B)に示すエッジマスク80Cは、第1切欠き部86が設けられていること以外は、エッジマスク80と同様である。第1切欠き部86は、第1板状部81及び第2板状部82の板幅中央側の端部の、搬送方向中央部(具体的には、搬送方向における第1鉄心の第1連結部66及び第2鉄心の第2連結部76に対応する部位)に設けられる。これにより、鋼帯の蛇行によるLeの変動が多少大きくなっても、非定常部における温度差が大きくなることを抑制することができ、操業の安定性を高めることができる。なお、第1切欠き部86には突出部も存在しない。
このような効果が得られるメカニズムを、図9(A)〜(C)を参照して説明する。図9(A)に示すように、エッジマスクを設けない場合、電流は鋼帯端部の狭い範囲で向きを変え、端部で過加熱となる。図9(B)に示すように、エッジマスク80を設ける場合、電流が向きを変える位置を鋼帯エッジから遠くすることによってエッジの発熱量分布が緩やかにして、鋼帯端部の過加熱を解消することができるが、一方で、直線状の電流が流れる領域が狭くなる。さらに、エッジマスク80では、突出部が磁束密度を強める効果を持ち、誘導電流がエッジ付近まで分流しないようにするのでエッジの発熱量分布が局所的になる。そのため、温度分布を一定にするには、局所的な発熱量を抑制する適正位置にエッジマスクを配置しなければならず、位置制御が難しくなる傾向がある。これに対して、図9(C)に示すように、第1切欠き部86を設けたエッジマスク80Cを設ける場合、直線状の電流が流れる領域を長くすると同時に、向きを変えた後の電流を広げる効果があるので、発熱量分布が緩やかになる。そのため、エッジマスク位置の精密制御の必要性を低減することができる。
第1切欠き部86の形状は、図8(B)に示すように、エッジマスクの上面視で矩形であることが好ましい。そして、第1切欠き部86の切欠き深さ(板幅方向の長さ)は、突出部のエッジマスク阻害効果を抑制する観点からWm以上とすることが好ましい。また、当該切欠き深さは、エッジマスクの効果を損なわない観点からはWmの2倍以下とすることが好ましい。また、第1切欠き部86の幅(搬送方向の長さ)は、突出部による温度上昇が過大にならない観点からD以上とすることが好ましい。また、当該幅は、突出部による温度上昇の影響が広がり過ぎない観点からはDの2倍以下とすることが好ましい。
図8(A)に示すエッジマスク80のさらなる変形例を、図10に示す。図10に示すエッジマスク80Dは、第1切欠き部86に加えて、第2切欠き部87A,87Bが設けられていること以外は、エッジマスク80と同様である。第2切欠き部87A,87Bは、第1板状部81及び第2板状部82の板幅中央側の端部の、搬送方向両端部にそれぞれ設けられる。これにより、図3(A)に示す電流C1をエッジ付近まで直線的に流すとともに、電流C2から電流C3に至る電流を広く分散させるができる。その結果、鋼帯の板幅方向の温度差をより小さくすることができる。
第2切欠き部87A,87Bの形状は、図10に示すように、エッジマスクの上面視で矩形であることが好ましい。そして、第2切欠き部87A,87Bの切欠き深さ(板幅方向の長さ)は、突出部のエッジマスク阻害効果を抑制する観点からWm以上とすることが好ましい。また、当該切欠き深さは、エッジマスクの効果を損なわない観点からはWmの2倍以下とすることが好ましい。また、第2切欠き部87A,87Bは、突出部の加熱効を損なわない観点から両コイルの外側を起点とすることが好ましい。
(金属帯の製造方法)
本実施形態による金属帯の製造方法は、金属帯の製造過程において、上記のような本実施形態による誘導加熱装置100を用いて、幅方向と直交する搬送方向に連続搬送される金属帯を高周波電流により誘導加熱する工程を含むことを特徴とする。この方法によれば、金属帯を幅方向に均一に加熱することができる。
また、本実施形態のトランスバース型誘導加熱装置1台では所定の加熱ができない場合は、搬送方向に沿って複数台を並べて加熱すればよい。ただし、コイルの外側を周回する電流C同士が干渉しないように、互いに2L以上の間隔を設けて設置することが好ましい。
(金属帯)
上記実施形態では、金属帯が鋼帯である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、銅、オーステナイト系ステンレス、アルミニウムなどの非磁性の金属帯を適用することもできる。
(合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法)
本実施形態による誘導加熱装置100は、溶融亜鉛めっき鋼板の合金化処理に好適に適用することができる。すなわち、本実施形態の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、幅方向と直交する方向に連続搬送される鋼帯に溶融亜鉛めっきを施す工程と、上記のような本実施形態による誘導加熱装置100を用いて、幅方向と直交する搬送方向に連続搬送される前記鋼帯を高周波電流により誘導加熱して、前記鋼帯に施された亜鉛めっきを加熱合金化する工程と、を有する。この方法によれば、鋼帯を幅方向に均一に加熱し、亜鉛めっきを加熱合金化することができる。
(比較例1)
図1(A),(B)に示す誘導加熱装置を用いて、板厚1.0mmのSUS304製鋼帯を通板速度60mpmで通板しながら誘導加熱を行った。第1鉄心60及び第2鉄心70は、板厚0.3mmの電磁鋼板を積層したものとした。隣り合うコイルに流す電流の周回方向は、互いに逆向きで同位相になるようにし、交流電流は1000Hzとした。また、各種寸法は以下のとおりとした。
仕様最大板幅Ws:1500mm
コイルの搬送方向長さL:300mm
鉄心の幅W:1800mm
コイルの幅Wo:2100mm
隣り合うコイル間の距離D:50mm
コイルと鋼帯との距離G:100mm
板幅1500mmの鋼帯を26℃で均一な初期温度Tiから加熱した後に、板幅方向の温度分布を放射温度計で測定したところ、図2の実線に示すように、両端部の非定常部Wx=約150mmの領域の内側の定常部Wg=約1200mmの領域を一定の温度145℃に加熱できた。ただし、非定常部Wxにおいては、温度差が92℃と大きかった。この例では、1MWの出力で誘導加熱を行った。
次に、板幅750mmの鋼帯を同様に加熱したところ、図2の二点鎖線に示すように、両端部の非定常部Wx’は約150mmとなり、板幅1500mmの場合と変わらなかった。定常部Wg’は450mmとなり、この領域は一定の温度に加熱できた。この例では、板幅1500mmの場合と同じ温度に加熱するため、誘導加熱の出力は500kWにした。
(本発明例1)
図4(A),(B)に示す誘導加熱装置を用いて、比較例1と同じ条件で、板幅1500mmで、板厚1.0mmのSUS304製鋼帯の誘導加熱を行った。また、各種寸法は以下のとおりとした。
鋼帯エッジからエッジマスク内端までの距離Le:150mm
エッジマスクの搬送方向長さLm:900mm
突出部の幅Wm:60mm
突出部の突出長さHm:25mm
エッジマスクの板幅方向深さDm:450mm
鋼帯を加熱した後に板幅方向の温度分布を放射温度計で測定したところ、図6(A)に示すように、定常部は145℃に加熱され、非定常部では、鋼帯エッジ温度を定常部と同じ145℃としつつ、非定常部の温度差を2℃に抑えることができた。
また、既述の鋼帯の両エッジの位置を検出するセンサーと、エッジマスクを板幅方向に進退させる可動機構と、該可動機構の制御部とを備える構成で、鋼帯の通板時の蛇行によるLeの変動を抑えた。ただし、鋼帯の蛇行が急な場合、追従に遅れが生じる。その際、本発明例1では、Leの変動が±10mmの場合に、Leの変動がない場合と比べて、非定常部の温度差が1.5倍となった。
(比較例2)
図5に示すエッジマスク80B,90Bを設けたこと以外は比較例1と同じ誘導加熱装置を用いて、比較例1と同じ条件で、板幅1500mmで、板厚1.0mmのSUS304製鋼帯の誘導加熱を行った。なお、エッジマスクの寸法は、突出部がないこと以外は、上記本発明例1に示すものと同じとした。
鋼帯エッジからエッジマスク内端までの距離Leを200mmとして鋼帯を加熱した後に、板幅方向の温度分布を放射温度計で測定したところ、図6(B)に示すように、定常部は145℃に加熱され、非定常部では、鋼帯エッジ温度を定常部と同じ145℃とすることができたものの、低温部の温度低下が大きく、非定常部の温度差が10℃となった。
鋼帯エッジからエッジマスク内端までの距離Leを150mmとして鋼帯を加熱した後に、板幅方向の温度分布を放射温度計で測定したところ、図6(C)に示すように、定常部は145℃に加熱され、非定常部では、低温部での温度低下は2℃に抑えられたものの、鋼帯エッジ温度が定常部より8℃高くなり、非定常部の温度差はやはり10℃となった。
また、本比較例2では、鋼帯の急な蛇行の際、Leの変動が±3mmより大きくなると、Leの変動がない場合と比べて、非定常部の温度差が1.5倍に急激に大きくなった。
(本発明例2)
図8(B)に示す変形例のエッジマスク80Cを用いたこと以外は、本発明例1と同じ条件で、板幅1500mmで、板厚1.0mmのSUS304製鋼帯の誘導加熱を行った。第1切欠き部の寸法は、板幅方向の長さを60mm、搬送方向の長さを50mmとした。
本発明例2では、鋼帯の急な蛇行の際、Leの変動が±20mm以下であれば、Leの変動がない場合と比べて、非定常部の温度差を1.5倍以下にすることができ、操業の安定性が一層高まった。
(本発明例3)
図10に示す変形例のエッジマスク80Dを用いたこと以外は、本発明例1と同じ条件で、板幅1500mmで、板厚1.0mmのSUS304製鋼帯の誘導加熱を行った。第1切欠き部の寸法は、本発明例2と同じである。第2切欠き部の寸法は、板幅方向の長さを60mm、搬送方向の長さを125mmとした。
本発明例3では、定常部は145℃に加熱され、非定常部では、鋼帯エッジ温度を定常部と同じ145℃としつつ、非定常部の温度差を1℃に抑えることができた。
本発明の金属帯の誘導加熱装置及び金属帯の誘導加熱方法によれば、簡易な装置構成で金属帯を幅方向に均一に加熱することができる。
100 金属帯の誘導加熱装置
10 第1コイル
12A,12B ストレート部
20 第2コイル
22A,22B ストレート部
30 第3コイル
32A,32B ストレート部
40 第4コイル
42A,42B ストレート部
50 交流電源
60 第1鉄心
62 第1部分
64 第2部分
66 第1連結部
70 第2鉄心
72 第3部分
74 第4部分
76 第2連結部
80,90 エッジマスク(磁束減衰材)
81,91 第1板状部
82,92 第2板状部
83,93 連結部
84,94 第1突出部
85,95 第2突出部
86 第1切欠き部
87A 第2切欠き部
87B 第2切欠き部
S 鋼帯
S1 鋼帯の片面
S2 鋼帯の他面
T 鋼帯の搬送方向
EP1,EP2 鋼帯の幅方向両端部
E1,E2 鋼帯の幅方向両エッジ
Ws 鋼帯の仕様最大板幅
L 一対のストレート部の搬送方向間隔(コイルの搬送方向長さ)
W 鉄心の幅
Wo コイルの幅
D 隣り合うコイル間の距離
G コイルと鋼帯との距離
Le 鋼帯エッジからエッジマスク内端までの距離
Lm エッジマスクの搬送方向長さ
Wm 突出部の幅
Hm 突出部の突出長さ
Dm エッジマスクの板幅方向深さ
M 磁束
C1 隣り合うコイル間の電流ベクトル
C2 鋼帯幅方向端部の電流ベクトル
C3 コイル周辺の電流ベクトル
Ti 初期温度
Wg 定常部
Wx 非定常部

Claims (8)

  1. 幅方向と直交する搬送方向に連続搬送される金属帯を高周波電流により誘導加熱する金属帯の誘導加熱装置であって、
    前記金属帯の幅方向に沿って前記金属帯よりも広幅に延在するストレート部を有し、少なくとも前記金属帯の片面に対向して配置された第1コイルと、
    前記金属帯の幅方向に沿って前記金属帯よりも広幅に延在するストレート部を有し、少なくとも前記金属帯の片面に対向し、かつ前記第1コイルとストレート部同士が隣り合うように配置された第2コイルと、
    前記第1コイルと前記第2コイルに逆方向の高周波電流を流す交流電源と、
    前記金属帯の幅方向に沿って前記金属帯よりも広幅に延在するストレート部を有し、少なくとも前記金属帯の他面に対向し、かつ前記搬送方向において前記第1コイルと重なる位置に配置された第3コイルと、
    前記金属帯の幅方向に沿って前記金属帯よりも広幅に延在するストレート部を有し、少なくとも前記金属帯の他面に対向し、かつ前記第3コイルとストレート部同士が隣り合うように、前記搬送方向において前記第2コイルと重なる位置に配置された第4コイルと、
    前記第3コイルと前記第4コイルに逆方向の高周波電流を流す交流電源と、
    前記第1コイルが巻き回された第1部分と、前記第2コイルが巻き回された第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを連結する第1連結部とを備え、前記第1部分、前記第2部分、及び前記第1連結部が前記第1コイル及び前記第2コイルの隣り合うストレート部を囲むように、前記金属帯の片面に対向して前記金属帯よりも広幅に配置された第1鉄心と、
    前記第3コイルが巻き回された第3部分と、前記第4コイルが巻き回された第4部分と、前記第3部分と前記第4部分とを連結する第2連結部とを備え、前記第3部分、前記第4部分、及び前記第2連結部が前記第3コイル及び前記第4コイルの隣り合うストレート部を囲むように、前記金属帯の他面に対向して前記金属帯よりも広幅に配置された第2鉄心と、
    前記第1コイル、前記第2コイル及び前記第1鉄心と、前記第3コイル、前記第4コイル及び前記第2鉄心との間に、前記金属帯の幅方向両端部をそれぞれ囲うように配置された一対の磁束減衰材と、
    を有し、
    前記一対の磁束減衰材は、前記金属帯の片面と対向する第1板状部と、前記金属帯の他面と対向する第2板状部と、前記第1板状部と前記第2板状部とを連結する連結部と、を備え、前記第1板状部、前記第2板状部、及び前記連結部で前記金属帯の幅方向端部を囲い、前記第1板状部の、前記金属帯の幅方向中央側の端部には、前記金属帯に向かう方向に突出した第1突出部が設けられ、前記第2板状部の、前記金属帯の幅方向中央側の端部には、前記金属帯に向かう方向に突出した第2突出部が設けられていることを特徴とする金属帯の誘導加熱装置。
  2. 前記第1乃至第4コイルは、前記金属帯の幅方向に沿って前記金属帯よりも広幅に延在する一対のストレート部を有する、請求項に記載の金属帯の誘導加熱装置。
  3. 前記第1乃至第4コイルにおいて、前記一対のストレート部の搬送方向間隔が、前記金属帯の幅の40%以下である、請求項に記載の金属帯の誘導加熱装置。
  4. 前記一対の磁束減衰材において、前記第1板状部及び前記第2板状部の、前記金属帯の幅方向中央側の端部は、前記搬送方向における前記第1鉄心の第1連結部及び前記第2鉄心の第2連結部に対応する部位に第1切欠き部を有する、請求項のいずれか一項に記載の金属帯の誘導加熱装置。
  5. 前記一対の磁束減衰材において、前記第1板状部及び前記第2板状部の、前記金属帯の幅方向中央側の端部は、前記搬送方向における両端部に第2切欠き部を有する、請求項のいずれか一項に記載の金属帯の誘導加熱装置。
  6. 前記金属帯の両エッジの位置を検出するセンサーと、
    前記一対の磁束減衰材を前記金属帯の幅方向に進退させる可動装置と、
    前記センサーからの入力を受け、前記一対の磁束減衰材の各第1突出部が、前記金属帯の幅方向において前記金属帯のエッジから一定距離を維持するように前記可動装置を制御する制御部と、
    をさらに有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の金属帯の誘導加熱装置。
  7. 金属帯の製造過程において、請求項1〜のいずれか一項に記載の誘導加熱装置を用いて、幅方向と直交する搬送方向に連続搬送される前記金属帯を高周波電流により誘導加熱する工程を含むことを特徴とする金属帯の製造方法。
  8. 幅方向と直交する方向に連続搬送される鋼帯に溶融亜鉛めっきを施す工程と、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の誘導加熱装置を用いて、幅方向と直交する搬送方向に連続搬送される前記鋼帯を高周波電流により誘導加熱して、前記鋼帯に施された亜鉛めっきを加熱合金化する工程と、
    を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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