JP4306179B2 - 鋼材の熱処理方法及びそのプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱装置を用いて鋼材を加熱処理する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼材を移送しながら加熱する誘導加熱装置の制御方法に関しては、例えば特開昭55−78490号公報において、実昇温量と目標昇温量の差から誘導加熱装置の操作量の補正値を求め、その補正値を次加熱材以降の操作量に反映させる制御方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、誘導加熱装置で鋼材を加熱する場合、鋼材の表面が主に加熱され、鋼材内部は主に表面からの熱伝導により加熱される。このため表面温度の検出値からその鋼材の昇温量を推定するためには鋼材内部の熱伝導を考慮する必要があることから、上記制御方法においては制御精度上の課題が指摘できる。
【0004】
またこの制御方法では、調整ゲインの値を調整する必要があるが、どのように調整すべきかが開示されていない。さらに、温度制御結果は以降の加熱材に適用されるが、現在加熱している鋼材に関しては、自身の温度測定結果が反映されない。このように、上記制御方法を実機に適用するに際しては、なお解決すべき課題がある。
【0005】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであって、現在加熱している鋼材の加熱制御結果を、その鋼材自身の加熱制御に反映することができ、鋼材の温度を精度良く加熱することができる鋼材の熱処理方法およびそのプログラムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、鋼材を移送方向に沿って複数のブロックに区分し、該区分された各ブロックの移送に合わせて、(1)第1の誘導加熱装置によって加熱される前のブロックの鋼材温度と、加熱後のブロックの鋼材温度と、ブロックの鋼材を加熱するために第1の誘導加熱装置に供給した電力とから第1の誘導加熱装置の加熱効率をブロックについて求めるステップ、(2)ブロックについて求めた加熱効率を用いて次段に配された第2の誘導加熱装置に供給するブロックを目標温度に加熱するための電力を決定するステップ、(3)この決定された電力を第2の誘導加熱装置に供給するステップ、上記(1)乃至(3)の一連の処理を繰り返してブロックの鋼材を第2の誘導加熱装置で加熱することを特徴とする鋼材の熱処理方法である。
【0008】
また本発明は、鋼材を移送方向に沿って複数のブロックに区分し、該区分された各ブロックの移送に合わせて、(1)誘導加熱装置によって加熱される前の第1のブロックの鋼材温度と、加熱後の第1のブロックの鋼材温度と、第1のブロックの鋼材を加熱するために誘導加熱装置に供給した電力とから誘導加熱装置の加熱効率を第1のブロックについて求めるステップ、(2)第1のブロックについて求めた加熱効率を用いて、第1のブロックに続くブロックである第2のブロックを目標温度に加熱するために誘導加熱装置に供給する電力を決定するステップ、(3)この決定された電力を誘導加熱装置に供給するステップ、上記(1)乃至(3)の一連の処理を繰り返して第2のブロックの鋼材を誘導加熱装置で加熱することを特徴とする鋼材の熱処理方法である。
【0010】
また本発明は、コンピュータに、鋼材を移送方向に沿って複数のブロックに区分する手順、を実行させた後、各ブロックの移送に合わせて、(1)第1の誘導加熱装置によって加熱される前のブロックの鋼材温度と、加熱後のブロックの鋼材温度と、ブロックの鋼材を加熱するために第1の誘導加熱装置に供給した電力とから第1の誘導加熱装置の加熱効率をブロックについて求める手順、(2)ブロックについて求めた加熱効率を用いて次段に配された第2の誘導加熱装置に供給するブロックを目標温度に加熱するための電力を決定する手順、(3)この決定された電力を第2の誘導加熱装置に供給する手順の、上記(1)乃至(3)の一連の処理を繰り返して実行させてブロックの鋼材を第2の誘導加熱装置で加熱するためのプログラムである。
【0011】
また本発明は、コンピュータに、鋼材を移送方向に沿って複数のブロックに区分する手順、を実行させた後、各ブロックの移送に合わせて、(1)誘導加熱装置によって加熱される前の第1のブロックの鋼材温度と、加熱後の第1のブロックの鋼材温度と、第1のブロックの鋼材を加熱するために誘導加熱装置に供給した電力とから誘導加熱装置の加熱効率を第1のブロックについて求める手順、(2)第1のブロックについて求めた加熱効率を用いて、第1のブロックに続くブロックである第2のブロックを目標温度に加熱するために誘導加熱装置に供給する電力を決定する手順、(3)この決定された電力を誘導加熱装置に供給する手順の、上記(1)乃至(3)の一連の処理を繰り返して実行させて第2のブロックの鋼材を誘導加熱装置で加熱するためのプログラムである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る誘導加熱装置の概略構成を示す側面図である。
ライン上には誘導加熱装置1が複数台設置されており、被加熱材である鋼材2は図中左から右の方向に搬送されながら、それぞれの誘導加熱装置1によって加熱される。
【0013】
初段の誘導加熱装置1の入側には温度検出器3が備えられ、加熱前の鋼材2の温度を検出する。検出された温度は制御装置4に入力され、制御装置4は鋼材2の温度から、それぞれの誘導加熱装置1に供給するべき電力量を計算し、電力供給装置5に対してその電力量を設定値として出力する。
【0014】
そして、電力供給装置5は誘導加熱装置1の電力を制御装置4からの設定値になるよう制御する。この加熱処理された鋼材2の温度は誘導加熱装置1の出側に備えられた温度検出器6によって測定される。
【0015】
尚、制御装置4には搬送ローラ7から搬送パルスが入力され、制御装置4はこのパルス信号に基づいて、鋼材2の搬送速度、搬送量を計算する。
【0016】
次に、本構成の誘導加熱装置1を用いて鋼材2の温度を制御する方法について説明する。
本実施の形態では、鋼材2の移動方向の温度を精度良く制御するため、鋼材2を仮想的に複数の部分(以下、「仮想部分」という)に分割して温度を管理する。図1で鋼材2に記された点線が仮想部分の境界を示している。この仮想部分に記載された番号i−1、i、i+1は、鋼材2の先頭からの順番を表したものである。
【0017】
先ず誘導加熱装置1前後の温度検出値から誘導加熱装置での加熱効率を求める。
誘導加熱装置1で鋼材2を加熱すると、誘導電流は表面近傍に集中して流れるため、主に表面が加熱され、鋼材内部は、表面からの熱伝導で加熱される。そこで、誘導加熱装置1で加熱を行う場合の鋼材内部の誘導電流分布を求める。鋼材内部の電流分布は、浸透深さで表現される。この浸透深さは周波数、比透磁率で異なり、式(1)で表される。
【0018】
δ=5.03*√(R/μ/fx)/100 …(1)
ただし、δ:浸透深さ、R:比抵抗、μ:比透磁率、fx:周波数。
【0019】
浸透深さδが大きい場合には誘導電流が鋼材内部まで流れるが、浸透深δが小さい場合には、誘導電流が表面に集中するため加熱も表面に集中し、鋼材内部は表面からの熱伝導により加熱されることになる。したがって、同じ電力を投入しても、浸透深さが異なれば表面の加熱温度は変わってくることになる。そこで、式(1)に基づいて浸透深さを求めて鋼材内部での電流密度分布を決定し、この電流分布から誘導加熱装置1への投入電力を決定する。
【0020】
一般的に鋼材表面からの距離zと、その位置における誘導電流I(z)の関係は式(2)で表される。αは定数である。
【0021】
I(z)=αexp(−z/δ) …(2)
よって、鋼材表面からの距離zでの消費電力の比は式(3)で表される。
【0022】
E0(z)=I(z)2/∫I(z)2 …(3)
すなわち、式(3)を誘導加熱の際の電力分布と考えることができる。
【0023】
次に、この誘導加熱装置を用いた加熱過程における鋼材の温度変化を数式を用いて表す。熱伝導方程式の差分式から、(4)式を得る。
【0024】
【数1】
式(4)から、被加熱材をその厚み方向に三分割した温度計算式は下式になる。
【0025】
【数2】
式(7)のQ1は境界条件である大気との熱伝達と、加熱装置からの供給される熱量からなる。式(7)は式(8)、(10)で表される。
【0026】
【数3】
E(i)(i=1、2、3)は、式(3)を差分式で表現したものである。 ここで、式(9)をxi,jについて線形化する。鋼材の温度をx0と仮定し、x0を中心に式(9)にあるx4 i,jの項をテーラ展開の一次の項までを使用して線形近似する。1次までのテーラ展開は式(11)で表される。そして式(11)を利用して、式(12)を得る
【数4】
式(12)を用い、式(7)を整理して式(13)を得る。
【0027】
【数5】
式(13)において、行列Eの逆行列を左側から掛けることにより、式(17)、式(18)を得る。
【0028】
【数6】
式(18)が鋼材の温度変化の基本式となる。ub=0とすると、大気による冷却過程時の温度変化を表す式となる。
【0029】
次に、この式を用いて、誘導加熱装置手前温度検出器位置から、誘導加熱装置出側の温度検出器位置までの温度変化を表す式を作成する。
【0030】
図1における区間1、区間2、区間3の距離をそれぞれ、l1、l2、l3、またそれぞれの区間の通過速度をそれぞれ、v1、v2、v3とする。さらに、x(k)を下記式で定義する。
【0031】
【数7】
区間1の終端での温度は、式(22)、(23)で表される。
【0032】
【数8】
加熱装置での供給電力量をubとすると、区間2の終端での温度は、式(24)、(25)で表される。
【0033】
【数9】
さらに区間3の終端での温度は、式(26)〜(28)で表される。
【0034】
【数10】
これが目標温度Trに等しくなるようにubを決めればよいので、式(29)が成立する。
【0035】
【数11】
ただし、Trが表面温度の場合は、cx=[1,0,0]、Trが平均温度の場合には、cx=[1/3,1/3,1/3]となる。よって、目標温度Trに加熱するための加熱装置の供給電力量は式(30)で与えられる。
【0036】
【数12】
【0037】
しかしながら、加熱装置での電力損失、また供給された電力量が被加熱材を昇温させる際の加熱損失などのため、式(30)で与えられる電力量を加熱装置に供給しても、被加熱材の昇温量が目標昇温量に達しない場合が多い。
【0038】
このため、供給電力量が被加熱材の温度上昇に及ぼす加熱効率を、実昇温量を求めることにより算出し、加熱装置の加熱効率を考慮した上で、目標昇温量を得るための供給電力量を算出する。
【0039】
被加熱材の通過速度と、加熱装置の入り側と出側に設置された温度検出器の設置間隔から、被加熱材のある部分が温度検出器間を通過する時間が求められる。先端からi番目の部分の区間1、区間2、区間3における移動速度をそれぞれ、v1(i)、v2(i)、v3(i)とすると温度検出器間の通過時間は式(31)で求められる。
【0040】
tb(i)=l1/v1(i)+l2/v2(i)+l3/v3(i)…(31)
但し、tb(i):温度検出器間の通過時間
したがって、加熱装置の入側および出側の温度検出器では、時間差tb(i)をもって、被加熱材の同じ位置の温度が検出され、その際の温度検出器の検出した温度差が被加熱材の実昇温量となる。
【0041】
さらに、温度検出器の検出を周期的に行うことにより、被加熱材全体の昇温量を検出することができる。ここで、被加熱材の先端からi番目の部分の区間の入り側温度検出器位置での温度分布をTb1(i)、Tb2(i)、Tb3(i)とする。
【0042】
そして、x(k,i)を被加熱材の時刻kでの先端からi番目の区間の温度として式(32)で定義する。
【0043】
【数13】
【0044】
式(30)で、i番目の効率をβ(i)として、供給電力量ub(i)を与えた場合の出側温度検出器位置での温度がTb0(i)になるので、式(33)が成立する。
【0045】
【数14】
【0046】
加熱効率は、与えられた電力供給量のうち実際に加熱に使用される電力量の割合であり、式(33)を変形して式(34)を得る。
【0047】
【数15】
【0048】
推定された加熱効率を用いて、次加熱装置への供給電力量は以下の式で与えられる。
【0049】
【数16】
【0050】
以上説明した計算方法は、制御装置4内において処理することによって実現することができる。
図2、3は、本発明に係る第1の実施の形態の加熱制御の概略の手順を示すフロー図である。
【0051】
先ず、加熱しようとする鋼材の先頭からi番目の仮想部分について初段の加熱装置1入り側における鋼材内部の温度分布x(1)を求める(S1)。この時点における内部温度は例えば加熱炉などから搬送された状態であるため、予め定めたパターンにより内部温度を推定するものであっても良い。
【0052】
次に、最初の誘導加熱装置1の電力による鋼材内部の電力分布を式(3)により求める(S2)。そして、その電力分布に基づいて誘導加熱装置1から供給される熱量分布を式(8)、(10)により求める(S3)。また、大気への放散熱量を式(12)により求める(S4)。そして、これらの求めた結果を用いて、鋼材内部の温度変化を求めるための式(19)、(20)、(21)で表される係数を算出する(S5)。
【0053】
以上の準備に続いて、各誘導装置1での制御動作が行われる。
以下の説明ではj番目の誘導加熱装置1を対象とするが、先ず初段の誘導加熱装置1についての処理を行うため、インデックスjを初期値である1に設定する(S6)。
【0054】
次に、j番目の誘導加熱装置1についてそれぞれの区間の距離、それぞれの区間の通過速度を求める(S7)。そして、鋼材2が目標温度となる電力を式(30)により算出して、該当する電力供給装置5に設定する(S8)。
【0055】
電力供給装置5はこの設定電力に基づいて、j番目の誘導加熱装置1の加熱電力を制御する。そして、鋼材2のi番目の仮想部分がj番目の誘導加熱装置1の出側温度計7を通過した時点で制御装置4は次の処理手順を進める。
【0056】
先ず、制御装置はj番目の誘導加熱装置1入り側での鋼材温度分布x(k)、j番目の誘導加熱装置1の電力実績値ub、j番目の誘導加熱装置1の出側での鋼材表面温度Tb0(i)を求める(S9)。そして、これらの値を用いてj番目の誘導加熱装置1の加熱効率β(i)を式(34)より算出する(S10)。
【0057】
ここで加熱効率β(i)は、誘導加熱装置1の特性、設置環境条件、加熱対象鋼材の特性などによって変動する値である。従って、ステップS10で求めた加熱効率β(i)は、次段であるj+1番目の誘導加熱装置1で使用する加熱効率として、例えばj+1番目の制御装置4に伝送する(S11)。
【0058】
また、この加熱効率β(i)は本来j番目の誘導加熱装置1で用いられるべき値である。そこで、この加熱効率β(i)を用いて、j番目の誘導加熱装置1の出側の温度分布を式(28)によって再計算し、その結果をj+1番目の誘導加熱装置1の入り側の温度分布値x(k)とする(S12)。
【0059】
最終段の誘導加熱装置1の処理が終わっていない場合(S13 No)は、次段の誘導加熱装置1についての処理にすすめるために、インデックスjを更新して(S14)、ステップS7〜S12を繰り返して実行する。
【0060】
このように、鋼材2の内部温度分布を求めて加熱効率を推定し、その推定値を用いて、次段の誘導加熱装置1の供給電力量計算に反映させることにより、温度制御の精度を向上させることができる。
【0061】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る誘導加熱装置の概略構成を示す側面図であり、図5は、本発明に係る第2の実施の形態の加熱制御の概略の手順を示すフロー図である。
【0062】
加熱制御の準備処理は第1の実施の形態のステップS1〜S6の手順と同様のためその詳細の説明は省略する。
【0063】
以下の説明ではj番目の誘導加熱装置1によるi番目の部分の鋼材の加熱処理を対象とし、その処理を順次、次の誘導加熱装置1に移して行く。
【0064】
j番目の誘導加熱装置1についてそれぞれの区間の距離、それぞれの区間の鋼材2のi番目の部分の通過速度を求める(S20)。そして、鋼材2のi番目の部分が目標温度となる電力を式(30)により算出して、該当する電力供給装置5に設定する(S21)。
【0065】
電力供給装置5はこの設定電力に基づいて、j番目の誘導加熱装置1の加熱電力を制御する。そして、鋼材2のi番目の仮想部分がj番目の誘導加熱装置1の出側温度計7を通過した時点で制御装置4は次の処理手順を進める。
【0066】
先ず、制御装置はj番目の誘導加熱装置1入り側での鋼材温度分布x(k)、j番目の誘導加熱装置1の電力実績値ub、j番目の誘導加熱装置1の出側でのi番目の部分の鋼材表面温度Tb0(i)を求める(S22)。そして、これらの値を用いてj番目の誘導加熱装置1の加熱効率β(i)を式(34)より算出する(S23)。
【0067】
ここで加熱効率β(i)は、誘導加熱装置1の特性、設置環境条件、加熱対象鋼材の特性などによって変動する値である。従って、ステップS23で求めた加熱効率β(i)は、このj番目の誘導加熱装置1で鋼材のi+1番目の部分の加熱に用いる電力を計算する式(30)に使用する加熱効率とする(S24)。
【0068】
また、この加熱効率β(i)は本来j番目の誘導加熱装置1で用いられるべき値である。そこで、この加熱効率β(i)を用いて、j番目の誘導加熱装置1の出側の温度分布を式(28)によって再計算し、その結果をj+1番目の誘導加熱装置1の入り側の温度分布値x(k)とする(S25)。
【0069】
最終段の誘導加熱装置1の処理が終わっていない場合(S26 No)は、次段の誘導加熱装置1についての処理にすすめるために、インデックスjを更新して(S27)、ステップS20〜S25を繰り返して実行する。
【0070】
このように、鋼材2の内部温度分布を求めて加熱効率を推定し、その推定値を用いて、現在加熱した鋼材の以降の部分の供給電力量計算に反映させることにより、温度制御の精度を向上させることができる。
【0071】
尚、本実施の形態では、制御装置4と電力供給装置5をそれぞれの誘導加熱装置1毎に設けた構成であるが、本発明はこの形態に限定されるものではなく、適宜機能を集約して構成するものであっても良い。
【0072】
尚、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれているため、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明を抽出することができる。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【0073】
【発明の効果】
以上のように本発明を用いれば、現在加熱している鋼材の加熱制御結果を、その鋼材自身の加熱制御に反映することができ、鋼材の温度を精度良く加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱処理方法が適用される熱処理設備の概略構成を示す側面図。
【図2】本発明に係る加熱制御の概略の手順を示すフロー図。
【図3】本発明に係る加熱制御の概略の手順を示すフロー図。
【図4】本発明に係る他の形態の熱処理方法が適用される熱処理設備の概略構成を示す側面図。
【図5】本発明に係る他の形態の加熱制御の概略の手順を示すフロー図。
【符号の説明】
1…誘導加熱装置
2…鋼材
3…温度検出器
4…制御装置
5…電力供給装置
6…温度検出器
7…搬送ローラ
Claims (4)
- 熱処理ラインに適宜の間隔で配設された複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を移送しつつ加熱する鋼材の熱処理方法において、
前記鋼材を移送方向に沿って複数のブロックに区分し、
該区分された各ブロックの移送に合わせて、
(1)第1の誘導加熱装置によって加熱される前の前記ブロックの鋼材温度と、加熱後の前記ブロックの鋼材温度と、前記ブロックの鋼材を加熱するために前記第1の誘導加熱装置に供給した電力とから前記第1の誘導加熱装置の加熱効率を前記ブロックについて求めるステップ、
(2)前記ブロックについて求めた加熱効率を用いて次段に配された第2の誘導加熱装置に供給する前記ブロックを目標温度に加熱するための電力を決定するステップ、
(3)この決定された電力を前記第2の誘導加熱装置に供給するステップ、
上記(1)乃至(3)の一連の処理を繰り返して前記ブロックの鋼材を前記第2の誘導加熱装置で加熱することを特徴とする鋼材の熱処理方法。 - 熱処理ラインに配設された誘導加熱装置を用いて鋼材を移送しつつ加熱する鋼材の熱処理方法において、
前記鋼材を移送方向に沿って複数のブロックに区分し、
該区分された各ブロックの移送に合わせて、
(1)前記誘導加熱装置によって加熱される前の第1のブロックの鋼材温度と、加熱後の前記第1のブロックの鋼材温度と、前記第1のブロックの鋼材を加熱するために前記誘導加熱装置に供給した電力とから前記誘導加熱装置の加熱効率を前記第1のブロックについて求めるステップ、
(2)前記第1のブロックについて求めた加熱効率を用いて、前記第1のブロックに続くブロックである第2のブロックを目標温度に加熱するために前記誘導加熱装置に供給する電力を決定するステップ、
(3)この決定された電力を前記誘導加熱装置に供給するステップ、
上記(1)乃至(3)の一連の処理を繰り返して前記第2のブロックの鋼材を前記誘導加熱装置で加熱することを特徴とする鋼材の熱処理方法。 - 熱処理ラインに適宜の間隔で配設された複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を移送しつつ加熱する鋼材の熱処理制御プログラムにおいて、
コンピュータに、
前記鋼材を移送方向に沿って複数のブロックに区分する手順、
を実行させた後、各ブロックの移送に合わせて、
(1)第1の誘導加熱装置によって加熱される前の前記ブロックの鋼材温度と、加熱後の前記ブロックの鋼材温度と、前記ブロックの鋼材を加熱するために前記第1の誘導加熱装置に供給した電力とから前記第1の誘導加熱装置の加熱効率を前記ブロックについて求める手順、
(2)前記ブロックについて求めた加熱効率を用いて次段に配された第2の誘導加熱装置に供給する前記ブロックを目標温度に加熱するための電力を決定する手順、
(3)この決定された電力を前記第2の誘導加熱装置に供給する手順
の、上記(1)乃至(3)の一連の処理を繰り返して実行させて前記ブロックの鋼材を前記第2の誘導加熱装置で加熱するためのプログラム。 - 熱処理ラインに配設された誘導加熱装置を用いて鋼材を移送しつつ加熱する鋼材の熱処理制御プログラムにおいて、
コンピュータに、
前記鋼材を移送方向に沿って複数のブロックに区分する手順、
を実行させた後、各ブロックの移送に合わせて、
(1)前記誘導加熱装置によって加熱される前の第1のブロックの鋼材温度と、加熱後の前記第1のブロックの鋼材温度と、前記第1のブロックの鋼材を加熱するために前記誘導加熱装置に供給した電力とから前記誘導加熱装置の加熱効率を前記第1のブロックについて求める手順、
(2)前記第1のブロックについて求めた加熱効率を用いて、前記第1のブロックに続くブロックである第2のブロックを目標温度に加熱するために前記誘導加熱装置に供給する電力を決定する手順、
(3)この決定された電力を前記誘導加熱装置に供給する手順
の、上記(1)乃至(3)の一連の処理を繰り返して実行させて前記第2のブロックの鋼材を前記誘導加熱装置で加熱するためのプログラム。
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