JP4178976B2 - 鋼材の熱処理方法及びそのプログラム - Google Patents

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  • Control Of Heat Treatment Processes (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱装置を用いて鋼材を熱処理する方法及びそのプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄鋼プロセスにおいては、製品となる鋼材の硬度、靭性等の性質を向上させ、より強く粘り強い鋼材を製造するため、焼き入れ、焼き戻し、焼きなまし等さまざまな熱処理が行われている。これらの熱処理は一般的に加熱過程と冷却過程に分けられるが、このうち加熱過程では鋼材の成分に応じた変態点温度が基準となり、精度良く目標温度に加熱することが求められている。例えば、焼入れの場合は変態点よりも高温に加熱し、焼き戻しおよび焼きなましでは変態点に達しないように加熱を行わねばならない。
【0003】
よって、熱処理の目的に応じて精度良く加熱することが必要である。また、同一部材内での品質のばらつきを抑えるためには、鋼材の内部にわたり均一に加熱する必要があるが、誘導加熱装置で鋼材の加熱を行う場合には、鋼材内部の誘導電流が表面に近いところに流れるために、鋼材の表面が主に加熱されることになる。
【0004】
鋼材の内部にわたり均一に加熱する加熱方法として、鋼材を誘導加熱炉内で昇温させる加熱段階と、加熱段階よりも周波数を高くし、かつ投入電力を下げて加熱する均熱段階とのあいだに、加熱段階での誘導加熱と同一の周波数で、かつ加熱段階よりも投入電力を下げて誘導加熱する準加熱段階を設ける誘導加熱方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−170021号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、加熱時間が数十分を要するため効率的ではない。また、鋼材の加熱途中において誘導加熱装置の周波数を変更するものであるため、周波数を切り替える機構を装備するとなれば装置が高価となり、さらに装置の構造が複雑なものとなってしまうという問題点がある。また、鋼材を加熱するための投入電力の決定に際しても、大気による抜熱、加熱装置の効率、鋼材の比熱等を考慮することが精度良い温度制御を実現する上で必要であるが、これらの諸量について定量的な取扱いがされていないという問題点もある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、鋼材の表面温度、中心温度を精度よく目標に一致させ、鋼材が目的の性質をもつような熱処理を行うことができる鋼材の熱処理方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明に係る第1の局面の熱処理方法は、熱処理ラインに適宜の間隔で配設された複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を搬送しつつ加熱する鋼材の熱処理方法において、前記鋼材が誘導加熱される前に、前記鋼材の搬送速度と前記各誘導加熱装置に供給予定の電力とを含むデータから、前記複数の誘導加熱装置の全てによって前記鋼材の熱処理が終了するまでの、前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する演算ステップと、a)各誘導加熱装置出側での鋼材表面の表面温度が第 1 の目標温度以下、b)熱処理終了時の前記鋼材厚み方向内部の所定位置における温度が第2の目標温度に対して所定範囲内、c)加熱電力が誘導加熱装置の上下限範囲内、を制約条件とし、鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値を目的関数とする制約条件付き非線形計画法を用いて電力を算出する電力算出ステップと、前記演算ステップ、前記電力算出ステップを、前記搬送速度を増加させつつ、前記制約条件に適合しなくなるまで繰り返して実行し、前記制約条件に適合する最終の演算に用いられた電力と搬送速度を抽出する抽出ステップとを備え、前記鋼材を前記抽出した搬送速度で搬送しつつ、前記各誘導加熱装置に前記抽出した電力を供給して加熱する鋼材の熱処理方法である
【0009】
また本発明に係る他の局面の熱処理方法は、上記記載の発明である熱処理方法において、前記演算ステップは、境界条件項の大気との熱伝達、前記誘導加熱装置の入り側における鋼材の温度、前記誘導加熱装置出側における鋼材の加熱目標温度、鋼材の搬送速度、誘導電流による鋼材厚み方向の電流密度分布、誘導加熱装置の入り側における鋼材の厚み方向温度分布、誘導加熱装置の出側における鋼材の厚み方向温度分布、供給電力との関係を表した熱伝導モデルを用いる鋼材の熱処理方法である。
【0010】
また本発明に係る他の局面の熱処理方法は、熱処理ラインに適宜の間隔で配設された複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を搬送しつつ加熱する鋼材の熱処理方法において、境界条件項の大気との熱伝達、前記誘導加熱装置の入り側における鋼材の温度、前記誘導加熱装置出側における鋼材の加熱目標温度、鋼材の搬送速度、誘導電流による鋼材厚み方向の電流密度分布、誘導加熱装置の入り側における鋼材の厚み方向温度分布、誘導加熱装置の出側における鋼材の厚み方向温度分布、供給電力との関係を表した熱伝導モデルを用いて、前記鋼材が誘導加熱される前に、前記鋼材の搬送速度と前記各誘導加熱装置に供給予定の電力とを含むデータから、前記複数の誘導加熱装置の全てによって前記鋼材の熱処理が終了するまでの、前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する演算ステップと、a)各誘導加熱装置出側での鋼材表面の表面温度が第 1 の目標温度以下、b)熱処理終了時の前記鋼材厚み方向内部の所定位置における温度が第2の目標温度に対して所定範囲内、c)加熱電力が誘導加熱装置の上下限範囲内、を制約条件とし、鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値を目的関数とする制約条件付き非線形計画法を用いて電力を算出する電力算出ステップと、その演算に用いられた電力を前記各誘導加熱装置に供給する供給ステップと、を備えた鋼材の熱処理方法である。
【0014】
また本発明に係る他の局面の鋼材の製造方法は、上記記載の発明である鋼材の熱処理方法を熱処理工程に含む。
【0015】
また本発明に係る他の局面の熱処理プログラムは、熱処理ラインに適宜の間隔で配設された複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を搬送しつつ加熱する鋼材の熱処理プログラムにおいて、前記鋼材が誘導加熱される前に、前記鋼材の搬送速度と前記各誘導加熱装置に供給予定の電力とを含むデータから、前記複数の誘導加熱装置の全てによって前記鋼材の熱処理が終了するまでの、前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する演算手順、a)各誘導加熱装置出側での鋼材表面の表面温度が第 1 の目標温度以下、b)熱処理終了時の前記鋼材厚み方向内部の所定位置における温度が第2の目標温度に対して所定範囲内、c)加熱電力が誘導加熱装置の上下限範囲内、を制約条件とし、鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値を目的関数とする制約条件付き非線形計画法を用いて電力を算出する電力算出手順、前記演算ステップ、前記電力算出ステップを、前記搬送速度を増加させつつ、前記制約条件に適合しなくなるまで繰り返して実行し、前記制約条件に適合する最終の演算に用いられた電力と搬送速度を抽出する抽出手順、前記鋼材を前記抽出した搬送速度で搬送しつつ、前記各誘導加熱装置に前記抽出した電力を供給して加熱する加熱手順、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0016】
また本発明に係る他の局面の熱処理プログラムは、上記記載の発明である熱処理プログラムにおいて、前記演算手順は、境界条件項の大気との熱伝達、前記誘導加熱装置の入り側における鋼材の温度、前記誘導加熱装置出側における鋼材の加熱目標温度、鋼材の搬送速度、誘導電流による鋼材厚み方向の電流密度分布、誘導加熱装置の入り側における鋼材の厚み方向温度分布、誘導加熱装置の出側における鋼材の厚み方向温度分布、供給電力との関係を表した熱伝導モデルを用いる。
【0017】
また本発明に係る他の局面の熱処理プログラムは、熱処理ラインに適宜の間隔で配設された複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を搬送しつつ加熱する鋼材の熱処理プログラムにおいて、境界条件項の大気との熱伝達、前記誘導加熱装置の入り側における鋼材の温度、前記誘導加熱装置出側における鋼材の加熱目標温度、鋼材の搬送速度、誘導電流による鋼材厚み方向の電流密度分布、誘導加熱装置の入り側における鋼材の厚み方向温度分布、誘導加熱装置の出側における鋼材の厚み方向温度分布、供給電力との関係を表した熱伝導モデルを用いて、前記鋼材が誘導加熱される前に、前記鋼材の搬送速度と前記各誘導加熱装置に供給予定の電力とを含むデータから、前記複数の誘導加熱装置の全てによって前記鋼材の熱処理が終了するまでの、前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する演算手順、a)各誘導加熱装置出側での鋼材表面の表面温度が第 1 の目標温度以下、b)熱処理終了時の前記鋼材厚み方向内部の所定位置における温度が第2の目標温度に対して所定範囲内、c)加熱電力が誘導加熱装置の上下限範囲内、を制約条件とし、鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値を目的関数とする制約条件付き非線形計画法を用いて電力を算出する電力算出手順、その演算に用いられた電力を前記各誘導加熱装置に供給する供給手順、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る熱処理方法が適用される熱処理設備の概略構成を示す側面図である。
【0024】
本熱処理設備は、熱処理ラインに沿って配設された複数の誘導加熱装置1、誘導加熱装置1の入り口に備えられ、鋼材2の温度を検出する温度検出器3、被加熱鋼材2を搬送するための搬送ローラ4、搬送ローラ4の回転から鋼材の搬送速度を検出する速度検出器5、温度検出器3で測定された温度と速度検出器5で測定された速度とから、各誘導加熱装置1の供給電力量を計算する制御装置6、制御装置6からの出力に基づいて各誘導加熱装置1に供給する電力を制御する電力供給装置7及び加熱後の鋼材2の温度を検出する誘導加熱装置出側温度検出器9とで構成されている。
【0025】
尚、本図では電力供給装置7は1台のみ図示しているが、本発明はこの形態に限定されず複数台設けるものであっても良い。
【0026】
続いて、本熱処理設備を用いた第1の実施の形態の熱処理方法について説明する。
【0027】
誘導加熱装置1で鋼材2を加熱すると、上記のように誘導電流は表面近傍に集中して流れるため、主に表面が加熱され、鋼材内部は、表面からの熱伝達で加熱される。そこで、誘導加熱装置1で加熱を行う場合の鋼材内部の誘導電流分布を求める。鋼材内部の電流分布は、浸透深さで表現される。これは周波数、比透磁率で異なり、式(1)で表される。
【0028】
δ=5.03*√{(R/μ/fx)/100} …(1)
ただし、δ:浸透深さ、R:比抵抗、μ:比透磁率、fx:周波数。
【0029】
浸透深さδが大きい場合には誘導電流が鋼材内部まで流れるが、浸透深δが小さい場合には、誘導電流が表面に集中するため加熱も表面に集中し、鋼材内部は表面からの熱伝達により加熱されることになる。したがって、同じ電力を投入しても、浸透深さが異なれば表面の加熱温度は変わってくることになる。そこで、式(1)に基づいて浸透深さを求めて鋼材内部での電流密度分布を決定し、この電流分布から誘導加熱装置1への投入電力を決定する。
【0030】
一般的に鋼材表面からの距離zと、その位置における誘導電流I(z)の関係は式(2)で表される。αは定数である。
【0031】
I(z)=αexp(−z/δ) …(2)
よって、鋼材表面からの距離zでの消費電力の比は式(3)で表される。
【0032】
(z)=I(z)/∫I(z) …(3)
すなわち、式(3)を誘導加熱の際の電力分布と考えることができる。
【0033】
次に、誘導加熱装置1を用いた加熱過程における鋼材の温度変化を数式で表す。熱伝導方程式の差分式から、式(4)〜(6)を得る。
【0034】
【数1】
Figure 0004178976
【0035】
式(4)から(6)を書き換えると、鋼材を厚み方向に三分割した温度差分式は式(7)で表される。
【0036】
【数2】
Figure 0004178976
【0037】
式(4)のQは境界条件である大気との熱伝達と、加熱装置から供給される熱量からなり、式(8)で表される。
【0038】
【数3】
Figure 0004178976
【0039】
ここで、式(9)をxi,jについて線形化する。鋼材の温度をx0と仮定し、x0を中心に式(9)にあるxi,j 4の項をテーラ展開の一次の項までを使用して線形近似する。1次までのテーラ展開は式(11)で表される。
【0040】
【数4】
Figure 0004178976
式(11)を利用して、式(12)を得る
【0041】
【数5】
Figure 0004178976
よって、式(9)は、式(14)となる。
【0042】
【数6】
Figure 0004178976
式(14)を用い、式(7)を整理して式(15)を得る。
【0043】
【数7】
Figure 0004178976
【0044】
式(15)において、行列Eの逆行列を左側から掛けることにより、式(20)を得る。
【0045】
【数8】
Figure 0004178976
【0046】
式(20)が鋼材2の温度変化の基本式となる。尚、この式でub=0とすると、大気による冷却過程時の温度変化を表す式となる。
【0047】
次に、この式を用いて、誘導加熱装置1の手前に設置した温度検出器3の位置から、誘導加熱装置出側の温度検出器位置までの温度変化を表す式を作成する。
【0048】
図2は、温度変化を表す式に用いられる記号を表す図である。
【0049】
誘導加熱装置1の手前の温度検出器3の位置から、誘導加熱装置1の出側の温度検出器位置までの夫々の誘導加熱装置1の長さをli、誘導加熱装置同士の間隔をsi、夫々の誘導加熱装置1への投入電力をuiと表す。そして、鋼材2の誘導加熱装置入り側温度をx0、誘導加熱装置出側温度をx で表し、それぞれの誘導加熱装置前後の温度をx、x’と表す。
【0050】
誘導加熱装置の長さをli、間隔をsi、搬送速度をvとして差分方程式での刻み数を求める。
【0051】
ni=li/v/dt …(24)
mi=si/v/dt …(25)
ただし、dt:刻み時間、ni、mi:刻み数
すると鋼材2が誘導加熱装置によって順次加熱されていくときの各位置の温度は式(26)で表される。
【0052】
【数9】
Figure 0004178976
【0053】
誘導加熱装置間の温度変化、例えばx−x間の温度変化は、式(27)で表される。
【0054】
【数10】
Figure 0004178976
【0055】
また、一番目の誘導加熱装置で加熱された結果の温度、即ち誘導加熱装置の出側温度x’は、式(28)で表される。
【0056】
【数11】
Figure 0004178976
式(28)に式(27)を代入して、式(29)を得る。
【0057】
【数12】
Figure 0004178976
【0058】
この計算を次々と繰り返していくと、N台目誘導加熱装置の出側温度計位置での鋼材2の温度分布は以下のように表される。
【0059】
【数13】
Figure 0004178976
これを整理すると式(31)、(32)のように、u1、…、uNの一次式になる。
【0060】
【数14】
Figure 0004178976
【0061】
式(32)を使用することによって、加熱電力u1、…、uNにより、誘導加熱後の温度分布x1、…、x*を計算で求めることができる。
【0062】
以上説明した計算方法は、制御装置6内において処理することによって実現することができる。図3は、加熱電力から加熱後の鋼材温度分布を求める概略の手順を示すフロー図である。
【0063】
先ず、加熱しようとする鋼材内部における電力分布を式(3)により求める(T1)。そして、その電力分布に基づいて誘導加熱装置1から供給される熱量分布を式(8)、(10)により求める(T2)。また、大気への放散熱量を式(14)により求める(T3)。そして、これらの求めた結果を用いて、鋼材内部の温度変化を求めるための式(21)、(22)、(23)で表される係数を算出する(T4)。
【0064】
続いて、誘導加熱装置1の台数、該装置の長さ、該装置間の間隔、鋼材の搬送速度を用い、誘導加熱装置1が供給する電力から鋼材2の温度分布を求める(T5)。この際、式(27)から式(30)を適用して鋼材2の温度分布を求めても良く、また式(32)を適用して鋼材2の温度分布を求めても良い。
【0065】
次に、この計算方法を用いて所望の熱処理を行う方法、即ち鋼材2が目標とする温度分布となるような加熱電力を決定する手順について説明する。この手順は、上記計算手順を備えた制御装置6内において処理することによって実現することができる。
【0066】
図4は、加熱電力を求める電力演算処理の概略のフローを示す図である。
【0067】
まず適当な初期値電力u1、…、uNを決定する(S1)。そして上記の計算手順(T1〜T4)に従って誘導加熱装置出側の加熱温度分布x1、…、x*を計算する(S2)。そして、各誘導加熱装置での加熱温度と目標とする温度範囲である温度条件とを比較し、温度条件を満たしているかどうかの判定を行う(S3)。
【0068】
温度条件に適合していれば(S4 Yes)、その加熱電力を最終的な加熱電力として計算を終了する。適合していない場合は(S4 No)、新たな誘導加熱電力u1、…、uNを与えて温度計算のやり直しを行う。
【0069】
以上の処理を繰り返し行うことで、誘導加熱装置出側での目標温度分布x*を与えれば、それを実現する電力u1、…、uNを求めることができる。尚、新しい加熱電力u1、…、uNを与える方法は、線形計画法、非線形計画法など一般的な方法を適用すれば良く、温度条件が実現可能であるならば、有限回の計算で収束する。
【0070】
本実施の形態においては、任意台数の誘導加熱装置を用いた場合の内部温度を計算することが可能である。したがって、熱処理ライン内の誘導加熱装置一台毎に鋼材2の内部温度を求めることも、また誘導加熱装置複数台毎に鋼材2の内部温度を求めることも可能となる。
【0071】
従って、加熱工程中における鋼材の表面温度を目標表面温度以下に加熱し、加熱工程終了時における鋼材の内部の所定位置の温度を目標内部温度に対して所定範囲に納まるように制御することのできる電力設定値を定めることができる。
【0072】
次に、本熱処理設備を用いた第2の実施の形態の熱処理方法について説明する。本実施形態では、第1の実施形態で求める加熱電力が最小値になるように処理を行う点に特徴がある。従って、それ以外の構成については第1の実施形態と同一であるため、詳細の説明を省略する。
【0073】
図5は、第2の実施形態に係る、加熱電力を求める電力演算処理の概略のフローを示す図である。
【0074】
まず適当な初期値電力u1、…、uNを決定する(S11)。そして上記の計算手順(T1〜T4)に従って誘導加熱装置出側の加熱温度分布x1、…、x*を計算する(S12)。そして、各誘導加熱装置での加熱温度と目標とする温度範囲である温度条件とを比較し、温度条件を満たしているかどうかの判定を行う(S13)。
【0075】
適合していない場合は(S14 No)、新たな誘導加熱電力u1、…、uNを与えて温度計算のやり直しを行う。温度条件に適合していれば(S14 Yes)、各誘導加熱装置での消費電力量の和である合計消費電力量を求め、合計消費電力量が最少になるかどうかの判定を行う(S15)。すなわち、誘導加熱装置での合計消費電力量が最少になるような加熱電力を求める。合計消費電力量が所定量以下の条件に適合していない場合は(S16 No)、新たな誘導加熱電力を与えて温度計算のやり直しを行う。合計消費電力量が所定量以下の条件に適合していれば(S16 Yes)、その加熱電力を最終的な加熱電力として計算を終了する。
【0076】
この加熱電力が最小値になるように処理する条件は式(33)で表される。
【0077】
【数15】
Figure 0004178976
【0078】
すなわち、これら条件を満たすu(i)とは、加熱工程中の任意の時点での鋼材の表面温度を目標表面温度以下に加熱し、加熱工程終了時の内部の所定位置の温度を目標内部温度に対して所定範囲内に納まるように加熱する電力設定のうち、最も消費電力の少ない加熱電力である。
【0079】
尚、新しい加熱電力u1、…、uNを与える方法は、線形計画法、非線形計画法など一般的な方法で良く、また遺伝子アルゴリズムなどの最適化手法を適用しても良い。
【0080】
次に、本熱処理設備を用いた第3の実施の形態の熱処理方法について説明する。本実施形態では、第2の実施形態で求める最適な加熱電力を逐次二次計画法等の制約条件付き非線形計画法を用いて処理を行う点に特徴がある。従って、それ以外の構成については第2の実施形態と同一であるため、詳細の説明を省略する。
【0081】
まず、第1の実施形態、第2の実施形態における鋼材の加熱条件等を数式で表現する。
【0082】
目標温度に関する条件式は、式(34)、式(35)で表現される。
【0083】
【数16】
Figure 0004178976
【0084】
内部温度は加熱目標であるため等式の条件で表され、表面温度は加熱上限値であるため不等式で表されることになる。ただし、内部温度目標においては、式(36)のように範囲を指定することも可能である。
【0085】
【数17】
Figure 0004178976
【0086】
これらは、各誘導加熱装置の電力を求める際の制約条件となる。さらに、誘導加熱装置の能力にも制限があるので、この制約条件を式(37)、式(38)で表す。
【0087】
【数18】
Figure 0004178976
【0088】
さらに、式(34)、(35)の制約条件において、制約条件中の温度TN、T1sは、第一の実施例の温度式により、誘導加熱装置の加熱電力u1、…、uNを用いて表すことができる。すなわち、式(32)を用いて、制約条件式(34)、(35)を加熱電力u1、…、uNで表す。
【0089】
まず、等式の加熱条件である式(34)は式(39)で表される。
【0090】
【数19】
Figure 0004178976
さらに、不等式の制約条件は以下の式(40)から式(41)で表すことができる。
【0091】
【数20】
Figure 0004178976
【0092】
これらより、目的関数、制約条件がすべて加熱電力u1、…、uNで表現されるため、最適化手法の逐次二次計画法等の制約条件付き非線形計画法を適用することができる。
【0093】
以上の処理を整理し直すと以下のようになる。
【0094】
【数21】
Figure 0004178976
【0095】
この問題設定を、逐次二次計画法等の制約条件付き非線形計画法を用いて最適化を行うと、温度条件を満たす、最少の加熱電力分布が求められる。すなわち、加熱時の表面温度、内部温度の目標を、必要最低限の電力で実現することができる。尚、この手順は上記逐次二次計画法等の制約条件付き非線形計画法による計算手順を備えた制御装置6内において処理することによって実現することができる。
【0096】
図6は、本発明を実機に適用した結果を示す図である。
【0097】
誘導加熱装置6台、初期温度40℃、目標内部温度550℃、目標表面上限温度600℃の時、上記最適化方法で求めた加熱電力の時系列変化を図6の(1)に示し、その電力を用いた場合の温度分布の時系列変化を図6の(2)に示す。
【0098】
本発明の適用によって誘導加熱装置毎に鋼材の温度分布を制御することができるため、本熱処理中における鋼材の表面温度は目標表面上限温度以下に制御されており、最終段の誘導加熱装置の出側位置である約60秒経過時点における鋼材の内部の所定位置の温度は目標内部温度に対して許容範囲に納まっており、目標を満たす温度分布が得られている。
【0099】
このように、本発明によれば加熱工程中の鋼材の表面温度を所定の目標温度以下に加熱し、かつ加熱工程終了時の鋼材の内部の所定位置の温度が目標温度に対して許容範囲に納まるように熱処理された鋼材を製造することができる。
【0100】
次に本熱処理設備を用いた第4の実施の形態の熱処理方法について説明する。第4の実施の形態では、加熱温度の条件を満たす加熱電力の内、熱処理に要する時間が最も短くなるように搬送速度を定める点に特徴がある。従って、それ以外の構成については上述の実施の形態と同一であるため、詳細の説明を省略する。
【0101】
図7は、第4の実施の形態に係る熱処理方法の概略の手順を示すフロー図である。尚、誘導加熱装置群を複数回往復させて鋼材2を加熱する場合には、そのパスごとに搬送速度を設定することが可能である。従って、搬送速度は式(42)で定義する。
【0102】
V0=[V01,V02,V03,・・・,V0n] …(42)
但し、V0:搬送速度初期値、
V0i(i=1〜n):iパス目搬送速度初期値
先ず、搬送速度として初期値を設定する(S20)。ここで、初期値V0は任意の値であっても良く、また実績値に基づいて決定しても良い。
【0103】
そして、その搬送速度を用いて上述の図4、5に示す電力演算を行い加熱電力を求める(S21)。次に、この加熱条件で鋼材2の加熱後温度が制約条件を充足するかどうかを調べる(S22)。この制約条件は、図4のステップS3、図5のステップS13の温度判定条件と同一であり、鋼材2の表面温度、内部温度がそれぞれ所定温度範囲内にあるかどうかを調べるものである。
【0104】
従って、制約条件を充足している場合は(S22 Yes)、電力演算が適正に実行されたことを意味しているため、搬送速度を速くした条件であっても適切な電力量が求められる可能性があるため、搬送速度を所定量だけ速くする(S23)。尚、搬送速度は所定量でなく、所定割合で速くしても良く、また予め定めた関数に基づいて搬送速度を増速しても良い。
【0105】
そして、増速した搬送速度を用いて再度電力演算を行い(S24)、鋼材2の加熱後温度が制約条件を充足するかどうかを調べる(S25)。制約条件を充足する場合は(S25 Yes)、更にステップS23〜25を繰り返す。これによってより速い搬送速度を設定することができる。
【0106】
制約条件を充足しない場合は(S25 No)、後に説明する、搬送速度を減速するステップS26からの処理を実行するが、この処理に進まずに前回の計算に用いた制約条件を充足する搬送速度を採用しても良い。
【0107】
鋼材2の表面温度、内部温度がそれぞれ所定温度範囲にない場合は(S22 No)、電力演算が正しく行われなかったことを意味している。ここで、電力演算が正しく行われない場合は、搬送速度が速すぎるために鋼材2の温度が低くなっている場合である。何故ならば、鋼材2の温度が高い場合は、電力量を低下させることによって温度を下げることが可能なため、必ず電力量を求めることができるからである。
【0108】
従ってこの場合には、鋼材2の温度加熱が不十分であるため、搬送速度を所定量だけ遅くする(S26)。尚、搬送速度は所定量でなく、所定割合で遅くしても良く、また予め定めた関係式または関数に基づいて減速しても良い。
【0109】
そして、減速した搬送速度を用いて再度電力演算を行い(S27)、鋼材2の加熱後温度が制約条件を充足するかどうかを調べる(S28)。制約条件を充足しない場合は(S28 No)、更にステップS26〜28を繰り返す。制約条件を充足する場合は(S28 Yes)、この搬送速度を採用する(S29)。
【0110】
本実施の形態によれば、所定の制約条件を満たす電力の内、最も搬送速度の速い加熱条件を最終結果として得ることができ、従って、最も処理時間が短くなる熱処理条件を求めることができる。
【0111】
尚、本実施の形態では、搬送速度初期値から収束演算を行ったが、複数の搬送速度値に基づいて電力演算を行い、制約条件を満たす搬送速度の内、最速の搬送速度を求めても良い。また、過去の搬送速度実績値と鋼材2の諸元(例えば、厚み、幅等)の組合せに基づいて、加熱しようとする鋼材2の諸元に対応する搬送速度を内分点法によって算出しても良い。
【0112】
以上説明したように、第1の実施形態の発明を適用すれば、誘導加熱装置による鋼材内部の誘導電流分布を推定して誘導加熱装置による投入電力を決定することにより、鋼材の表面温度、内部温度を精度よく目標に一致させ、鋼材を目的の性質になるような熱処理を加えることができる。
【0113】
第2の実施形態の発明においては、さらに消費電力を最少に抑えるような投入電力を求めることができる。
【0114】
また第3の実施形態の発明においては、最適な投入電力を求めるための最適化問題の解を逐次二次計画法等の制約条件付き非線形計画法によって求めることにより、効率よく精度のよい電力分布を求めることができる。
【0115】
更に、第4の実施の形態の発明においては、上述の各実施の形態の加熱処理をできるだけ短い時間で実現することができる。
【0116】
そして、この処理は加熱工程中の中間段階においても適用することができるため、鋼材の内部温度を所望のパターンに従って制御することが可能となる。
【0117】
よって、加熱時の表面温度、内部温度の精度が向上し、安定した品質の鋼材を製造することができるとともに、熱処理の加熱過程の能率を飛躍的に向上することができる。
【0118】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、鋼材の表面温度、内部温度を精度よく目標に一致させ、鋼材が目的の性質をもつように熱処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る熱処理方法が適用される熱処理設備の概略構成を示す側面図。
【図2】 温度変化を表す式に用いられる記号を表す図。
【図3】 加熱電力から加熱後の鋼材温度分布を求める概略の手順を示すフロー図。
【図4】 加熱電力を求めるための概略のフローを示す図。
【図5】 他の実施形態に係る加熱電力を求めるための概略のフローを示す図。
【図6】 本発明を実機に適用した結果を示す図。
【図7】 第4の実施の形態に係る熱処理方法の概略の手順を示すフロー図。
【符号の説明】
1…誘導加熱装置、 2…鋼材、 3…温度検出器、 4…搬送ローラ、
5…速度検出器、 6…制御装置、 7…電力供給装置、
9…誘導加熱装置出側温度検出器

Claims (7)

  1. 熱処理ラインに適宜の間隔で配設された複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を搬送しつつ加熱する鋼材の熱処理方法において、
    前記鋼材が誘導加熱される前に、前記鋼材の搬送速度と前記各誘導加熱装置に供給予定の電力とを含むデータから、前記複数の誘導加熱装置の全てによって前記鋼材の熱処理が終了するまでの、前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する演算ステップと、
    a)各誘導加熱装置出側での鋼材表面の表面温度が第 1 の目標温度以下、
    b)熱処理終了時の前記鋼材厚み方向内部の所定位置における温度が第2の目標温度に対して所定範囲内、
    c)加熱電力が誘導加熱装置の上下限範囲内、
    を制約条件とし、鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値を目的関数とする制約条件付き非線形計画法を用いて電力を算出する電力算出ステップと、
    前記演算ステップ、前記電力算出ステップを、前記搬送速度を増加させつつ、前記制約条件に適合しなくなるまで繰り返して実行し、前記制約条件に適合する最終の演算に用いられた電力と搬送速度を抽出する抽出ステップとを備え、
    前記鋼材を前記抽出した搬送速度で搬送しつつ、前記各誘導加熱装置に前記抽出した電力を供給して加熱することを特徴とする鋼材の熱処理方法。
  2. 前記演算ステップは、境界条件項の大気との熱伝達、前記誘導加熱装置の入り側における鋼材の温度、前記誘導加熱装置出側における鋼材の加熱目標温度、鋼材の搬送速度、誘導電流による鋼材厚み方向の電流密度分布、誘導加熱装置の入り側における鋼材の厚み方向温度分布、誘導加熱装置の出側における鋼材の厚み方向温度分布、供給電力との関係を表した熱伝導モデルを用いることを特徴とする請求項1記載の鋼材の熱処理方法。
  3. 熱処理ラインに適宜の間隔で配設された複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を搬送しつつ加熱する鋼材の熱処理方法において、
    境界条件項の大気との熱伝達、前記誘導加熱装置の入り側における鋼材の温度、前記誘導加熱装置出側における鋼材の加熱目標温度、鋼材の搬送速度、誘導電流による鋼材厚み方向の電流密度分布、誘導加熱装置の入り側における鋼材の厚み方向温度分布、誘導加熱装置の出側における鋼材の厚み方向温度分布、供給電力との関係を表した熱伝導モデルを用いて、前記鋼材が誘導加熱される前に、前記鋼材の搬送速度と前記各誘導加熱装置に供給予定の電力とを含むデータから、前記複数の誘導加熱装置の全てによって前記鋼材の熱処理が終了するまでの、前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する演算ステップと、
    a)各誘導加熱装置出側での鋼材表面の表面温度が第 1 の目標温度以下、
    b)熱処理終了時の前記鋼材厚み方向内部の所定位置における温度が第2の目標温度に対して所定範囲内、
    c)加熱電力が誘導加熱装置の上下限範囲内、
    を制約条件とし、鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値を目的関数とする制約条件付き非線形計画法を用いて電力を算出する電力算出ステップと、
    その演算に用いられた電力を前記各誘導加熱装置に供給する供給ステップと、を備えたことを特徴とする鋼材の熱処理方法。
  4. 請求項1乃至の内いずれかに記載の鋼材の熱処理方法を熱処理工程に含むことを特徴とする鋼材の製造方法。
  5. 熱処理ラインに適宜の間隔で配設された複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を搬送しつつ加熱する鋼材の熱処理プログラムにおいて、
    前記鋼材が誘導加熱される前に、前記鋼材の搬送速度と前記各誘導加熱装置に供給予定の電力とを含むデータから、前記複数の誘導加熱装置の全てによって前記鋼材の熱処理が終了するまでの、前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する演算手順、
    a)各誘導加熱装置出側での鋼材表面の表面温度が第 1 の目標温度以下、
    b)熱処理終了時の前記鋼材厚み方向内部の所定位置における温度が第2の目標温度に対して所定範囲内、
    c)加熱電力が誘導加熱装置の上下限範囲内、
    を制約条件とし、鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値を目的関数とする制約条件付き非線形計画法を用いて電力を算出する電力算出手順、
    前記演算ステップ、前記電力算出ステップを、前記搬送速度を増加させつつ、前記制約条件に適合しなくなるまで繰り返して実行し、前記制約条件に適合する最終の演算に用いられた電力と搬送速度を抽出する抽出手順、
    前記鋼材を前記抽出した搬送速度で搬送しつつ、前記各誘導加熱装置に前記抽出した電力を供給して加熱する加熱手順、
    をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  6. 前記演算手順は、境界条件項の大気との熱伝達、前記誘導加熱装置の入り側における鋼材の温度、前記誘導加熱装置出側における鋼材の加熱目標温度、鋼材の搬送速度、誘導電流による鋼材厚み方向の電流密度分布、誘導加熱装置の入り側における鋼材の厚み方向温度分布、誘導加熱装置の出側における鋼材の厚み方向温度分布、供給電力との関係を表した熱伝導モデルを用いることを特徴とする請求項5記載の鋼材の熱処理プログラム。
  7. 熱処理ラインに適宜の間隔で配設された複数の誘導加熱装置を用いて鋼材を搬送しつつ加熱する鋼材の熱処理プログラムにおいて、
    境界条件項の大気との熱伝達、前記誘導加熱装置の入り側における鋼材の温度、前記誘導加熱装置出側における鋼材の加熱目標温度、鋼材の搬送速度、誘導電流による鋼材厚み方向の電流密度分布、誘導加熱装置の入り側における鋼材の厚み方向温度分布、誘導加熱装置の出側における鋼材の厚み方向温度分布、供給電力との関係を表した熱伝導モデルを用いて、前記鋼材が誘導加熱される前に、前記鋼材の搬送速度と前記各誘導加熱装置に供給予定の電力とを含むデータから、前記複数の誘導加熱装置の全てによって前記鋼材の熱処理が終了するまでの、前記鋼材の表面温度と厚み方向の内部温度とを推定する演算手順、
    a)各誘導加熱装置出側での鋼材表面の表面温度が第 1 の目標温度以下、
    b)熱処理終了時の前記鋼材厚み方向内部の所定位置における温度が第2の目標温度に対して所定範囲内、
    c)加熱電力が誘導加熱装置の上下限範囲内、
    を制約条件とし、鋼材の加熱に使用されるそれぞれの誘導加熱装置の電力量の合計値を目的関数とする制約条件付き非線形計画法を用いて電力を算出する電力算出手順、
    その演算に用いられた電力を前記各誘導加熱装置に供給する供給手順、
    をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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