JP3504118B2 - トンネル炉のスラブ焼き上げ制御装置 - Google Patents

トンネル炉のスラブ焼き上げ制御装置

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JP3504118B2
JP3504118B2 JP24535597A JP24535597A JP3504118B2 JP 3504118 B2 JP3504118 B2 JP 3504118B2 JP 24535597 A JP24535597 A JP 24535597A JP 24535597 A JP24535597 A JP 24535597A JP 3504118 B2 JP3504118 B2 JP 3504118B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホットストリップ
ミル上に設置され、被加熱材料(以下、スラブと呼ぶ)
を圧延に好適な温度に加熱するトンネル炉のスラブ焼き
上げ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のホットストリップミルは、図13
に示すようなレイアウト構成となっている。このホット
ストリップミルは、最上流にスラブ51を加熱するスラ
ブ加熱炉52、この加熱炉51から抽出されたスラブ5
1を圧延する粗圧延機53、仕上圧延機54、コイラ5
5から構成されている。
【0003】このスラブ加熱炉52は、通常,ラインと
直角方向に複数設置され、加熱炉入り時の厚みが約26
0mm、長さが10m前後のスラブ51が装入され、数
時間かけて約1200°Cに加熱し抽出する。なお、1
つの炉には40〜50本のスラブ51が在炉する。
【0004】この従来のホットストリップミルにおいて
は、スラブ51を別の場所から加熱炉52の装入側に運
び込んで加熱炉52に装入する。そして、加熱炉52で
焼き上げて抽出し、複数の粗圧延機53で複数のパスに
より約20〜60mmの厚さに圧延し、仕上圧延機54
に搬送する。
【0005】この種のホットストリップミルは、比較的
生産量の高いミルであるが、消費エネルギが大きく、新
設に際し高い設備投資が必要である。ところで、最近、
連鋳設備の進歩に伴い、例えば100mm前後の薄いス
ラブを連鋳により生産できるようになってきた。このた
め、連鋳設備とホットストリップミルをつなげる方式が
注目されている。この方式は、従来形のスラブ加熱炉を
設置せず、新しい加熱炉となるトンネル炉を設置し、連
鋳設備と圧延機群とを直結させる新しいミルラインであ
る。
【0006】この新しいミルラインは、図14に示すよ
うに連鋳設備60にトンネル炉61をもつホットストリ
ップミルを連結したもので、トンネル炉61内には、連
鋳設備60で連鋳とされたスラブ62をトンネル炉装入
前のシエア63で所定の長さのスラブ64に切断されて
装入され、トンネル炉61内のテーブルローラ65で搬
送しながら焼き上げていく。さらに、トンネル炉61の
出力側ライン上には圧延機群66およびコイラ67の順
序で配置されている。
【0007】このトンネル炉61のもつ新しいミルは、
従来のミルに較べて生産性が少ないが、建設費用が安価
であり、また連鋳設備60と連結しているので、スラブ
62が1000°C前後の温度を有しており、消費エネ
ルギが少なくすむ特徴をもっている。
【0008】ゆえに、この新しいミルは、連鋳から生産
されたスラブ62がシエア63で生産計画で定まる長さ
に切断する。そして、この切断されたスラブ64を後工
程の圧延処理に適した温度に加熱するためにトンネル炉
61が用いられている。このトンネル炉61では、切断
されたスラブ64がテーブルローラ65上を動きながら
抽出目標温度となるように加熱する。
【0009】その結果、加熱するスラブの厚みが薄く、
また加熱時間が非常に短い。従来の加熱炉52では、約
3時間かけてスラブ51を加熱していたが、新しいミル
のトンネル炉61では、10分前後で焼き上げることが
できる。
【0010】最も異なる点は、トンネル炉61は連鋳設
備60と直結している点である。トンネル炉内のスラブ
64は連鋳と同期した速度でトンネル炉内を移動する。
従って、トンネル炉61はスラブ64をテーブルローラ
65で搬送させる構造となる。また、スラブ64の装入
温度は、連鋳速度に依存し、連鋳速度が変われば装入温
度も変わる点である。さらに、圧延機群66が何らかの
理由で操業できなくなった場合、連鋳設備60は生産を
ストップできないことから、トンネル炉61ではスラブ
64を蓄積しておくバッフアの役目を果たさなければな
らない。ゆえに、トンネル炉61の長さは従来形に較べ
て非常に長く、100m以上となる。
【0011】よって、以上のようにトンネル炉61は、
新しい概念に基づく炉であり、新しい制御方法が必要と
なってくる。次に、図15は新しいミル上に設置された
従来のトンネル炉の焼き上げ制御装置を説明する構成図
である。
【0012】この新しいミル上のトンネル炉61は加熱
帯と保温帯とに分けられ、連鋳設備60で生産されたス
ラブ62がトンネル炉入口側のシェア63で圧延計画に
基づく長さのスラブ64に切断され、トンネル炉61に
装入される。
【0013】このスラブ62、64は、通常2〜5(m
/分)程度の連鋳速度で移動するが、所定のテーブルロ
ーラ65を操作し、スラブ62とスラ64との間隔を少
し開け、トンネル炉61に装入する。この間隔をスラブ
間ギャップと呼ぶ。スラブ間ギャップを開けた後、その
後のスラブ64は連鋳速度と同期して移動する。
【0014】そして、トンネル炉内に装入されたスラブ
64はテーブルローラ群65で搬送されながら抽出目標
温度に焼き上げられる。このトンネル炉内には温度計7
1が設置され、炉温制御装置72において温度計71か
のフィードバック信号が各帯ごとに定める設定炉温7
3となるように調節演算を実行し、燃料を調節する信号
74を出力し、炉内温度を制御する。なお、この設定温
度は通常オペレータが設定する。
【0015】このトンネル炉61の加熱帯でスラブ64
が抽出目標温度まで焼き上げられ、テーブルローラ65
にて保温帯に送られる。この保温帯は抽出目標温度に焼
き上がったスラブ64の温度を保持するための帯であっ
て、保熱帯とも呼ばれ、加熱帯と同様の温度制御手段を
用いて温度制御を行っている。
【0016】また、トンネル炉61は、圧延機群66な
どが圧延できないときのバッフアの役目を兼ねているの
で、バッフア帯とも呼ばれ、保温帯のスラブ64はいつ
でもトンネル炉61から抽出できる状態にあり、後工程
の圧延が準備された段階で抽出され、圧延機群66に送
られる。
【0017】75はテーブル制御装置、77はトラッキ
ング装置であって、スラブの位置をトラッキングするた
めにライン上に複数設置されているスラブ位置検出器7
7の信号を受け、スラブの先端および尾端の位置を把握
する機能をもっている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところで、以上のよう
な新しいミルにおいては、スラブ64を抽出目標温度に
焼き上げるための設定炉温73をオペレータが設定して
いるが、この設定炉温73をどのような値に設定する
か、大きな問題である。
【0019】なぜならば、従来のホットストリップミル
における加熱炉52の制御は自動運転が行われている
が、新しいミルにおけるトンネル炉61のスラブ焼き上
げ制御は、スラブ長手方向を考慮したきめ細かな制御を
実施する必要があり、自動運転が非常に難しいためであ
る。
【0020】現状では、オペレータが試行錯誤により設
定炉温73を設定しているが、連鋳の場合には、スラブ
の厚みや幅が途中で変更する場合があり、従って、1つ
のスラブの中でも厚さが異なる場合がある。この厚みや
幅を変更するとき、連鋳の速度も変更する。しかし、前
述したように、トンネル炉61に装入されるスラブ64
の装入温度は連鋳速度によって変わり、途中で速度が変
化すると、1つのスラブの中でも長さ方向の温度が異な
ってくる。
【0021】従って、トンネル炉61では、スラブ64
の長さ方向にも注目し、スラブ全長にわたって抽出目標
温度以上に焼き上げなければならないが、オペレータに
よる設定では困難である。
【0022】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、設定炉温を自動的に決定し、トンネル炉の効率的な
自動運転を可能とするトンネル炉のスラブ焼き上げ制御
装置を提供することにある。
【0023】また、本発明の目的は、スラブの焼き上げ
精度の向上を図るトンネル炉のスラブ焼き上げ制御装置
を提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、
スラブの焼き上げに際し、省エネルギ化を実現可能とす
るトンネル炉のスラブ焼き上げ制御装置を提供すること
にある。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に対応する発明は、連鋳設備の出力側に少
なくとも加熱帯を有するトンネル炉を配置し、連鋳スラ
ブから所定長さに切断されたスラブを抽出目標温度に焼
き上げる制御を行うトンネル炉のスラブ焼き上げ制御装
置において、前記スラブの先端位置のトラッキング信号
と予め決定されたスラブの長さ方向の任意の位置の温度
計算ポイントとを用いて、当該スラブの温度計算ポイン
ト位置信号を取得するとともに、前記トンネル炉入り側
に設置されるスラブ位置検出器から前記スラブ温度計算
ポイントが到達したことを受けて起動信号を出力するポ
イント位置演算手段と、このポイント位置演算手段から
出力される起動信号を受けたとき、この起動信号を受け
た時点の前記連鋳の速度から前記スラブの温度計算ポイ
ントが前記加熱帯に在炉する残在炉時間を演算する残在
炉時間演算手段と、この残在炉時間と前記トンネル炉へ
の温度計算ポイントの装入温度と抽出目標温度とを用い
て、前記スラブを抽出目標温度に焼き上げるのに必要な
炉温を求める必要炉温演算手段と、この必要炉温演算手
段で求められた必要炉温を記憶するとともに、前記トン
ネル炉の少なくとも加熱帯に複数の温度計算ポイントを
もつスラブが在炉する場合、前記ポイント位置演算手段
からの温度計算ポイント位置信号に基づいて、各温度計
算ポイントに対する必要炉温の中で最も高い必要炉温を
当該スラブの抽出目標温度とし、目標炉温を設定する炉
温設定手段とを設け、この目標炉温のもとに加熱帯の温
度制御を実行するものである。
【0025】このような手段を講じたことにより、スラ
ブの全温度計算ポイントを抽出目標温度に焼き上げるの
に必要な炉温を求め、これら必要炉温の中から最も高い
必要炉温を当該スラブの抽出目標温度とし炉温設定手段
に設定するので、スラブの長手方向を考慮しつつ全長に
わたってスラブを抽出目標温度以上に自動的に焼き上げ
ることができ、生産効率の向上および一定品質のスラブ
を生産可能である。
【0026】次に、請求項2に対応する発明は、請求項
1の発明の構成要件に新たに、予め炉温設定手段に優先
度データを入力し、前記トンネル炉の加熱帯に在炉する
複数のスラブのうち、最も優先度の高いスラブの各温度
計算ポイントの必要炉温の中から最も高い必要炉温を当
該スラブの抽出目標温度を選択させる手段を設けたもの
である。
【0027】このような手段を設けたことにより、1つ
の帯に複数のスラブを有する場合、ある特定のスラブ,
例えば特殊材料或いは実験材料を優先し、抽出温度を管
理することができる。
【0028】次に、請求項3に対応する発明は、請求項
1または請求項2に対応する発明の構成要件に新たに、
トンネル炉の加熱帯が複数の帯に分割されている場合、
前記ポイント位置演算手段からのスラブの温度計算ポイ
ント位置信号と前記各帯の実測温度と前記装入温度とを
用いて、当該スラブの温度計算ポイントが前記トンネル
炉に装入されて抽出されるまで、全温度計算ポイントの
現在温度を演算し前記必要炉温演算手段に導入する実績
スラブ温度演算手段を設けることにより、必要炉温演算
手段は、次の下流側帯に入ったスラブに対して再度必要
炉温を計算し、各帯ごとに温度制御するので、スラブの
焼き上げ精度を大幅に向上できる。
【0029】さらに、請求項4に対応する発明は、請求
項3の構成要件に新たに、実績スラブ温度演算手段の演
算により得られるスラブの温度計算ポイントの現在温度
のうち、前記加熱帯の最も下流側のスラブの全温度計算
ポイントの現在温度と抽出目標温度とを比較し当該スラ
ブの焼き上がりを判定するスラブ温度判定手段を設ける
ことにより、当該スラブが焼き上がっているとき、前記
加熱帯から他の帯に搬送可能とするので、加熱帯におけ
るエネルギの節減に貢献する。
【0030】さらに、請求項5に対応する発明は、請求
項1ないし請求項4の何れか1つの構成要素であるポイ
ント位置演算手段として、記スラブの先端位置および尾
端位置をトラッキングするトラッキング手段と、前記ト
ンネル炉内で加熱するスラブの長さ方向に、当該スラブ
の長さ方向の任意の位置にスラブ温度計算ポイントを選
択的に決定可能とする温度計算ポイント決定手段と、前
記スラブの先端位置のトラッキング信号から起動信号を
取り出し、また前記スラブの先端位置のトラッキング信
号と決定された各スラブ温度計算ポイントとからスラブ
の温度計算ポイント位置信号を求める温度計算ポイント
位置演算手段とを設けたことにより、従来のラインのト
ラッキング手段に対し、スラブの長さ方向の任意の位置
にスラブ温度計算ポイントを決定し出力するだけで、確
実にスラブの温度計算ポイント位置信号を求めることが
できる。
【0031】 さらに、請求項6に対応する発明は、請
求項1ないし請求項4の何れか1つの構成要素である残
在炉時間演算手段として、加熱帯の長さを連鋳の速度で
除することにより残在炉時間を求めるが、連鋳のスラブ
を所定長さにカットしスラブ間ギャップを設ける場合、
残在路時間t H は、 H ={(L H −n・L GAP )/V }+n・T GAP なる演算式によって求める。ここで、、L H は加熱帯の
長さ、nは前記加熱帯内の各スラブ間ギャップ作成回
数、L GAP は前記スラブ間ギャップ長さ、V は前記連
鋳速度、T GAP は前記スラブ間ギャップ作成に必要とす
る時間である。従って、以上のようにして残在路時間t
H を求めるので、 スラブ相互間にスラブ間ギャップを設
けた場合でも、各スラブの残在炉時間を正確に求めるこ
とができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)図1は本発明に係わるトンネル炉
のスラブ焼き上げ制御装置の一実施を形態を示す構成図
である。
【0033】この制御装置のうち、ライン系は、図14
および図15と同様であるので、その構成等の詳細は図
14,図15の説明に譲り、ここでは簡単に説明する。
すなわち、連鋳設備にトンネル炉1をもった新しいミル
ラインが連結されている。このトンネル炉1は、加熱帯
2と保温帯3とに分けられ、連鋳となっているスラブ4
を圧延計画に基づく長さのスラブ5にするためにシェア
6で切断し、トンネル炉1に装入する。この切断された
スラブ5は、テーブル制御装置7によるテーブルローラ
8の操作制御により、連鋳速度と同期した速度で動くよ
うになっている。トンネル炉1の出力ラインには圧延機
群9およびコイラ(図示せず)が配置されている。
【0034】次に、制御系について説明する。この制御
系は、スラブの長さ方向に対して一定長さ毎に温度計算
ポイント11を決定する温度計算ポイント決定装置12
と、ライン上に複数設置され、スラブの先端,尾端の位
置を検出するスラブ位置検出器13と、これらスラブ位
置検出器13の位置検出信号を取り込んでスラブの位置
をトラッキングするトラッキング装置14と、このトラ
ッキング装置14のトラッキング信号をもとにスラブの
各温度計算ポイント11の位置を計算して位置信号15
を出力し、またスラブの1つの温度計算ポイント11が
例えばトンネル炉入り側に設置されたスラブ位置検出器
13の位置に到達タイミングを受けて起動信号16を出
力する温度計算ポイント位置演算装置17とが設けられ
ている。なお、スラブ位置検出器13の設置方法や検出
器13からの検出信号に基づいてスラブ位置をトラッキ
ングする方法等については従来周知である。
【0035】18は残在炉時間演算装置であって、これ
は温度計算ポイント位置演算装置17から起動信号16
を受けて、連鋳速度19に基づいて該当温度計算ポイン
トの残在炉時間20を演算し必要炉温演算装置21に送
出する。この必要炉温演算装置21は、残在炉時間演算
装置18から得られる残在炉時間20とその温度計算ポ
イントの装入温度22と抽出目標温度23とを用いて加
熱帯2の必要炉温24を演算し、また保温帯3について
は抽出目標温度+αを計算し、それぞれ炉温設定装置2
5に送出する。この炉温設定装置25は、必要炉温24
を順次記憶する一方、加熱帯2に在炉するスラブ5の各
温度計算ポイントの必要炉温のうち最も高い必要炉温を
検索し、加熱側設定炉温26として計装システムである
炉温制御装置27に送出する。
【0036】保温帯3についても同様の考えの下に、保
温側設定炉温26′を炉温制御装置27′に送出する。
この炉温制御装置27,27′は、各帯2,3に設置さ
れる温度計28,28′が設定炉温26,26′となる
ように例えばPI(P:比例,I:積分)またはPID
(D:微分)調節演算を実行し、燃料調節信号29,2
9′を出力し、各加熱帯2および保温帯3の温度を制御
する。
【0037】次に、以上のような装置動作について説明
する。先ず、スラブの温度計算ポイントを決定する例に
ついて述べる。トンネル炉1を含めた加熱炉の設置目的
は、被加熱スラブを抽出目標温度に焼き上げることにあ
る。すなわち、図2に示すように、スラブの装入温度と
抽出目標温度とを与え、ある加熱時間で抽出目標温度に
焼き上げればよい。
【0038】スラブ温度は、図13に示す従来の加熱炉
の場合、通常,スラブ長さ方向のある代表した点の厚み
方向の平均温度であり、スラブの長さ方向の温度を考え
ておらず、またスラブ長さ方向の温度制御も実施してい
ない。また、従来の加熱炉においては、スラブは幅方向
に予熱帯、加熱帯、均熱帯の順に加熱炉を移動し、各ス
ラブの長さ方向について見れば、装入時刻は同時であ
り、また抽出も同一時刻であることは明白である。
【0039】一方、本発明装置の対象とするトンネル炉
1では、スラブは図14に示すように、トンネル炉内の
長さ方向に移動するという,全く従来と異なる移動の形
態をとつている。1本のスラブの先端の装入時刻と尾端
の装入時刻は異なる。また、抽出時刻も先端と尾端とで
は異なる。しかも、途中で連鋳速度が変化すると、スラ
ブの先端と尾端とでは在炉時間が異なることになる。
【0040】また、スラブの装入温度は、先に述べたよ
うに連鋳速度が変わると変化する。連鋳のモールドから
トンネル炉1には入るまでに連鋳速度が変化した場合、
1つのスラブであっても、長さ方法で装入温度が異な
る。このことは、炉温が一定であれば、1本のスラブの
長さ方向で異なる温度分布が生じてしまうことになり、
抽出目標温度に焼き上がらないことも生じる。これは、
後工程の圧延にとって非常に好ましくない。
【0041】そこで、本発明装置においては、スラブ5
がトンネル炉内でスラブ長手方向に移動することから、
スラブ長さ方向の温度を綿密に制御する必要があるとい
う考えに基づき、スラブの温度計算ポイントを長さ方向
に設けることが特徴である。すなわち、図3に一例を示
すように、1つのスラブ5の長さ方向に複数の温度計算
ポイント(1)〜(N)を設け、図示点線で示すように
温度計算ポイント毎の短いスラブに仮想的に分割したと
考える。
【0042】そして、温度計算ポイント決定装置12
は、スラブの長さ方向に対して一定長さ毎に温度計算ポ
イントとすることを基本とし、この各温度計算ポイント
を抽出目標温度に焼き上げることとする。なお、一定長
さをむやみに短くし、温度計算ポイントをむやみに多く
しても意味がないし、装置の演算負荷が多くなり、装置
の演算能力に合致しなくなる。
【0043】よって、本発明における温度計算ポイント
決定装置12は、例えば1mの一定長さを温度計算ポイ
ントの基準とするが、温度計算ポイントをいくつか間引
いたり、増やしたりし、スラブの任意の位置を温度計算
ポイントとする。このようにすれば、現在の装置の演算
能力にあわせることができる。装置がさらに高速になれ
ば、温度計算ポイントを短くすればよいことになる。ま
た、連鋳およびミルラインに全く外乱が無く、一定の連
鋳速度のときには、スラブ全長にわたって同じ温度とな
るので、スラブのある1点だけに温度計算ポイントを設
けても良い。つまり、温度計算ポイント決定装置12
は、状況に応じて温度計算ポイントを可変可能にするも
のであり、スラブの長さ方向の任意の位置を温度計算対
象とすることを特徴とする。
【0044】以上のようにして温度計算ポイント決定装
置12により決定される温度計算ポイントを出力し、温
度計算ポイント位置演算装置17に送出する。この位置
演算装置17は、トラッキング装置14からのスラブの
トラッキング信号を受け、温度計算ポイント決定装置1
2で決定される各温度計算ポイントの位置をトラッキン
グする。前述したように、温度計算ポイントは1つのス
ラブを温度計算ポイント毎のスラブに分割したものと考
えるので、この各温度計算ポイントの位置を把握する必
要があるのは明白である。圧延ラインでは、スラブのト
ラッキングが常に実行され、周知の技術であることは既
に述べている。このスラブのトラッキングをベースにス
ラブ5の各温度計算ポイントのトラッキングをすること
は容易である。すなわち、各スラブの先端の位置が分か
れば、予めきめられた各温度計算ポイントの位置を容易
に把握できる。
【0045】よって、この温度計算ポイント位置演算装
置17は、1つの温度計算ポイントが例えばトンネル炉
入り側に設置するスラブ位置検出器13に到達したタイ
ミングであり、これをとらえて起動信号16を出力し残
在炉時間演算装置18に送出し、またトラッキング装置
14からのトラッキング信号と温度計算ポイント決定装
置12で決定された温度計算ポイントとに基づいて各温
度計算ポイント位置信号15を発生し炉温設定装置25
に送出する。
【0046】この残在炉時間演算装置18はスラブの各
温度計算ポイントの加熱帯2での残在炉時間を演算す
る。この残在炉時間とは、スラブ5の温度計算ポイント
がトンネル炉1に入った後、加熱帯2を出るまでの残さ
れた予定の在炉時間である。
【0047】通常,装入温度と抽出目標温度とに基づ
き、トンネル炉1においてスラブ5を目標温度に焼き上
げるには、図2に示すようにスラブの加熱温度と炉温と
がパラメータとなる。どちらかを決めれば、他方を求め
ることができる。
【0048】そこで、本発明装置においては、先ず最初
に残在炉時間演算装置18により残在炉時間(加熱時
間)20を決定し、その後、必要炉温演算装置21を用
いて、決まった残在炉時間で抽出目標温度に焼き上げる
ための必要炉温を演算する。
【0049】残在炉時間演算装置18では、以下のよう
な演算を行って残在炉時間20を決定する。スラブ5
は、トンネル炉1の加熱帯2を出るまでは連鋳速度で移
動しているので、加熱帯2の長さを連鋳速度19で割れ
ば、残在炉時間20を求めることができるが、前述した
ようにシェア6でカットした後、スラブの間隔(ギャッ
プ)を開けるための操作を行うので、この操作を考慮す
ると次の演算式によって残在炉時間20(tH )を求め
る。
【0050】
【数1】
【0051】ここで、tH:残在炉時間(加熱時間)、
H:トンネル炉1の加熱帯2の長さ、LGAP:スラブ間
ギャップ長であって、後記するように予め決められる一
定の値である。Vc:連鋳速度、n:温度計算ポイント
が加熱帯2を出るまでに、スラブ間ギャップを作成する
回数であって、スラブの在炉時間に影響を与えるもので
あるが、圧延計画で定まる値である。GAP:スラブ間
ギャップを作成するのに必要とする時間である。
【0052】上式においてVc は連鋳の現状速度であり
容易に入手可能である。スラブ間のギャップ長LGAP
通常予め決まる一定の値である。nは温度計算ポイント
が加熱帯2を出るまでに、スラブ間ギャップを作成する
回数であって、これも圧延計画により決まる値である。
また、スラブ間ギャップを作成するのに必要な時間T
GAP も決まった操作を実施するので、予め把握できる値
である。
【0053】なお、残在炉時間演算装置18による演算
タイミングは、トンネル炉1の入り側に設けたある定点
を温度計算ポイントが通過したときである。また、温度
計算ポイントのトラッキングは前述したように温度計算
ポイント位置演算装置17で実施されている。
【0054】次に、必要炉温演算装置21は、各温度計
算ポイントが抽出目標温度になるような炉温度を演算す
る。つまり、必要炉温演算装置21は、残在炉時間演算
装置18で求めた残在炉時間で抽出目標温度に焼き上げ
るのに必要な炉温(必要炉温)を演算することにある。
【0055】この必要炉温を決めるには、スラブ温度計
算モデルを使用し、スラブの温度予測を行い、炉温を演
算する。先ず、スラブ温度演算モデルから説明する。ス
ラブの温度は、一般にフーリエの熱伝導微分方程式が基
本になっている。フーリエの熱伝導微分方程式は以下の
通りである。
【0056】
【数2】
【0057】ここで、c:スラブの比率、ρ:スラブの
密度、Ts :スラブ温度、X:X軸方向(スラブ厚み方
向)、K:スラブの熱伝導度、t:時間である。前記
(2)式を解くには、図4に示すようにスラブを厚み方
向に格子分割し、各格子を差分方程式で解くことができ
る。図4はスラブの厚み方向に4分割した例であつて、
温度の計算格子を5点とした場合である。通常,4から
6分割にすれば十分である。スラブ内部格子iの温度T
s,i (i=2〜4)は下式により計算できる。
【0058】
【数3】
【0059】この(3)式は、時刻tのスラブ格子温度
s,i,t から時間刻み△t後のスラブ格子温度T
s,i,t+1 を計算する式である。なお、△xはスラブを厚
み方向に分割した距離である。一方、スラブの表面温度
i (i=1、5)は下式により演算できる。
【0060】
【数4】
【0061】上式においてqi,t はスラブへの熱入力で
あって、炉内のスラブは炉温で決まる輻射熱qi,t で加
熱される。その輻射熱は次式に示すステファンボルツマ
ン(Stefan Boltzman )の式により計算できる。
【0062】
【数5】
【0063】上式においてσ:Stefan Boltzman 定数、
Φ:総括熱吸収率である一定値、Tz :炉温、T
s,i,t :スラブの温度(表面温度)である。なお、スラ
ブ温度とは前述したようにスラブの厚み方向の平均温度
であり、この平均温度は(3)式と(4)式とにより求
めた各格子温度から厚み方向の平均を求めた値である。
【0064】よっ、以上の(3)式〜(5)式の演算式
を用いることにより、スラブがトンネル炉1に装入され
る時の初期温度と炉温Tz とを与えれば、スラブがトン
ネル炉に装入されてから出るまでの時間,つまり残在炉
時間にわたってスラブの温度を予測できる。
【0065】しかし、前記(5)式の炉温は、解析的に
解けないので、図5に示すフローに従って繰り返し演算
することにより求める。図5の処理フローについて説明
する。
【0066】先ず、残在炉時間演算装置18から残在炉
時間を読み取り(S1)、またスラブ装入温度であるス
ラブ初期温度を読み込む(S2)。この装入温度は前述
したように連鋳速度に依存し、連鋳を管理する計算機な
どで管理・把握されており、当該計算機などから与えら
れる。トンネル炉1の入り側に温度計を設置し、これを
利用してもよい。
【0067】次に、炉温を仮定する(S3)。この仮定
した炉温に基づき、前記(3)式〜(5)式を用いて、
スラブの温度を時間刻み△t毎に計算する(S4)。そ
して、時間tが残在炉時間を過ぎる(加熱帯を出る時
刻)までスラブ温度を計算する(S5,S6)。時間t
が残在炉時間を過ぎた時、演算したスラブ温度と抽出目
標温度とを比較し(S7)、抽出目標温度に満たないと
き炉温を変更する(S8)。
【0068】このような一連の処理動作を、スラブ温度
が抽出目標温度になるまで繰り返し、スラブ温度が抽出
目標温度になったときの炉温が必要炉温である。そし
て、抽出目標温度にスラブを焼き上げるのに必要な炉温
が求まり、この求まった必要炉温は炉温設定装置25に
送出する。
【0069】以上の一連の説明は、トンネル炉1の加熱
帯2の設定炉温の求め方を述べたものであるが、保温帯
3の求め方については、目標温度に焼き上がったスラブ
を保温するのが目的であるので、保温帯3の炉温は抽出
目標温度+αをもつて設定炉温とする。αは10°C前
後の値で十分である。
【0070】そして、スラブ5が進み、次の温度計算ポ
イントがスラブ位置検出器13の設置位置に到達したタ
イミングで同様の動作を行ない、その温度計算ポイント
の必要炉温を求め、図6に示す必要炉温テーブル30に
順次追加記憶していく。なお、この必要炉温テーブル3
0は炉温設定装置25に設けてもよい。むしろ、各温度
計算ポイントの必要炉温ごとに必要炉温演算装置21か
ら送られてくるので、後の処理の関係を考えれば、必要
炉温テーブル30は炉温設定装置25に設けた方がよ
い。
【0071】さらに、スラブの最も出側の温度計算ポイ
ントが加熱帯2を出れば、その必要炉温は対象外とな
り、削除され、必要炉温テーブル30は更新される。そ
こで、炉温設定装置は25は、必要炉温演算装置21に
より計算された各温度計算ポイントの必要炉温を記憶す
るので、その中からもっとも高い必要炉温を検索し、計
算システムである炉温制御装置27の目標炉温として出
力する。
【0072】図6は各温度計算ポイントの必要炉温から
炉温制御装置27に設定する設定炉温の決定方法を説明
する図である。この図から明らかなように、加熱帯2に
スラブの温度計算ポイントが“1”〜“6”まで在炉し
た場合を考えている。この各温度計算ポイントの必要炉
温Tz (1) からTz (6) の中で最も高い炉温を検索し、
その検索された炉温を設定炉温とする。このように最も
高い炉温を検索するのは、スラブのどこの位置でも抽出
目標温度以上にスラブを加熱しなければならないためで
ある。
【0073】このように温度計算ポイント毎にスラブを
注目し、全長にわたってスラブを抽出目標温度以上に焼
き上げられる炉温設定値を炉温制御装置27に設定す
る。その結果、スラブはトンネル炉1を移動しながら目
標温度に焼き上げられる。
【0074】よって、以上の一連の説明から明らかなよ
うに、トンネル炉1の自動化が可能となる。 (第2の実施の形態)図7は本発明に係わるトンネル炉
のスラブ焼き上げ制御装置の他の実施の形態を示す構成
図である。なお、同図において図1と同一部分には同一
符号を付してその説明を省略し、特に異なる部分につい
て説明する。
【0075】この制御装置おいては、炉温設定装置25
にスラブの優先度データ31を追加入力する構成であ
る。その理由は、トンネル炉1の操業として、ある特殊
材料或いは実験材料を優先して焼き上げたい場合がある
ためである。
【0076】第1の実施の形態では、1つの帯2,3に
複数のスラブが在炉する場合、全てのスラブの全ての温
度計算ポイントの中で最も高い炉温を設定炉温として出
力するものである。しかし、場合によっては、ある特定
のスラブに注目し、その他のスラブは無視しても、注目
スラブだけ抽出温度を確保すれば良いという要求を見逃
せない。
【0077】第2の実施の形態は、以上のような要求を
実現することにある。今、図8に示すように、加熱帯2
内にスラブAとスラブBとが在炉しているとする。この
場合には、それぞれのスラブに温度計算ポイントがあ
り、それらの必要炉温は図8の必要炉温テーブル30
A,30Bに示す値とする。
【0078】例えば第1の実施の形態では、スラブA,
Bを区別することなく、1200°Cが最も高いので、
1200°を設定炉温とするが、本実施の形態では、ス
ラブBの優先度が高い場合、スラブBの中で最も高い1
190°Cを設定炉温とし、炉温制御装置27に設定す
る。
【0079】このためには、予めスラブに優先度のレベ
ルを付け、この優先度の高いレベルのスラブが在炉する
場合、このスラブを優先して焼き上げることが可能とな
る。従って、以上のように予め定めた特別のスラブを優
先し、当該スラブの中で最も高い設定炉温を取り出し、
炉温制御装置27に設定するようにすれば、例えば特殊
材料、実験材料などのスラブを優先して焼き上げること
ができる。 (第3の実施の形態)図9は本発明に係わるトンネル炉
のスラブ焼き上げ制御装置の他の実施の形態を示す構成
図である。この図においても図1および図7と同一部分
には同一符号を付してその説明を省略し、特に異なる部
分について説明する。
【0080】この実施の形態は、トンネル炉1の加熱帯
2を複数の帯に細分化し、それぞれの帯ごとに炉温制御
装置27,27を設置し、各帯ごとに独立に温度制御を
実施することにより、スラブの焼き上げ精度の向上を図
ることにある。
【0081】また、図1および図7に示す制御装置の構
成要素に新たに、実績スラブ温度演算装置32を設け
る。以下、スラブの焼き上げ精度の向上の理由および実
績スラブ温度演算装置32を設けた理由について図10
を用いて説明する。図10はトンネル炉1の加熱帯2を
第1帯と第2の帯に分割配置した例である。
【0082】第1および第2の実施の形態では、スラブ
の温度計算ポイントがトンネル炉1に入る前に在炉時間
を予測し、必要炉温を計算している。これを、ここでは
第1次計算タイミングと呼ぶ。例えば図10(a)で
は、トンネル炉入り側に設置されたスラブ位置検出器1
3に温度計算ポイント(n)が到達したときを第1次計
算タイミングとし、連鋳速度を用いて前記(1)式によ
り、在炉時間を予測し、必要炉温を計算する。
【0083】そして、計算した後に連鋳速度が変化した
時、在炉時間が変わり、スラブの焼き上がり精度が悪く
なる。すなわち、第1次計算タイミング以降に連鋳速度
が早くなると、在炉時間が短くなり、目標温度に焼けな
いことがでてくる。
【0084】そこで、この実施の形態では、焼き上げ精
度を改善することにある。今、図10(b)に示すよう
に、スラブがトンネル炉内を移動し、温度計算ポイント
(n)が第2帯に到達した時(これを、第2次計算タイ
ミングと呼ぶ)、再度連鋳速度を用いて、残在炉時間を
計算し、第2帯以降の必要炉温を再計算し、再出力する
ことにより、より高精度化を狙ったものである。この第
2次計算タイミング時の計算結果は、第1次計算タイミ
ング時から連鋳速度が変化していない場合には第1次計
算タイミングの最初に計算した炉温と同じ値となること
は言うまでもない。
【0085】ここで、第2次計算タイミング時の計算方
法を説明する。第2次計算タイミングでのスラブの残在
炉時間は、前記(1)式と同様の式で計算できる。すな
わち、(1)式のトンネル炉1の加熱帯2の長さが加熱
帯2の第2帯からの長さにした式で計算できる。
【0086】次に、第1次計算タイミングでは、スラブ
の初期温度として、トンネル炉装入温度を用いた。この
実施の形態では、温度計算ポイントが第2帯に到達した
時のスラブの初期温度が必要である。これを実現するた
めには、スラブがトンネル炉に入った後、スラブ温度を
常時演算する手段が必要となる。つまり、実績スラブ温
度演算装置32が必要となる。
【0087】この実績スラブ温度演算装置32では、ス
ラブの各温度計算ポイントがトンネル炉1に装入された
タイミング以降、各温度計算ポイントの装入温度22を
初期温度とし、時間刻み毎△tに各帯の温度計28,2
8の炉温を用いて、前記(3)式〜(5)式のスラブモ
デルのもとに計算することにより、温度計算ポイントが
トンネル炉1に装入された装入温度をスタートとし、在
炉している間、常時,時間刻み毎△tのスラブの実際の
温度を計算する。
【0088】このとき、各温度計算ポイントの位置に応
じた炉温を使う必要がある。そこで、実績スラブ温度演
算装置32では、温度計算ポイント位置演算装置17で
得られた各温度計算ポイントの位置データ15を取り込
んでスラブ温度の計算を実施する。すなわち、スラブの
温度計算ポイントが第1帯に在炉しているときは第1帯
の炉温を使う必要がある。また、スラブの温度計算ポイ
ントが第2帯に入ったならば、第2帯の炉温を使う必要
がある。
【0089】このようにして、実績スラブ温度演算装置
32は、各温度計算ポイントがトンネル炉1に装入され
たタイミング以降、炉内全ての温度計算ポイントの現在
温度を常時計算している。
【0090】そして、温度計算ポイント位置演算装置1
7は、ある温度計算ポイントが第2帯に到着したタイミ
ング(第2次計算タイミング)で起動信号16を発生
し、残在炉時間演算装置18を起動する。
【0091】この残在炉時間演算装置18は、第2帯に
到達した温度計算ポイントの第2帯の残在炉時間20を
その時の連鋳速度19を用いて計算する。必要炉温演算
装置21は、その温度計算ポイントの第2帯以降の残在
炉時間と、実績スラブ温度演算装置32で計算している
現在のスラブ温度33とを用い、その温度計算ポイント
が目標温度になる必要炉温24を図5に示す処理フロー
に従って再計算する。この再計算された必要炉温24は
炉温設定装置25に送られ、連鋳速度が変化された場合
には炉温が修正される。このようにして、連鋳速度が変
化した場合にも、スラブが目標温度に焼き上がるような
炉温を第2帯で修正し、スラブの焼き上がりの精度を上
げる。
【0092】なお、加熱帯2が2つの帯以上に分割され
ている場合には、さらに第3帯に温度計算ポイントが到
達したタイミングで再計算を同様な考え方で実施すれば
良い (第4の実施の形態)図11は本発明に係わるトンネル
炉のスラブ焼き上げ制御装置の他の実施の形態を示す構
成図である。この図においても図1、図7および図9と
同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、特に
異なる部分について説明する。
【0093】この実施の形態は、例えば図12に示すよ
うに、トンネル炉1の加熱帯2に3つのスラブA,B,
Cが在炉している場合、最初のスラブAはまだ加熱帯2
の第2帯に在炉しているが、このとき既に抽出目標温度
に焼き上がっているとき、そのスラブAを更に加熱する
とエネルギロスとなるので、スラブの焼き上がりを判定
し、抽出目標温度に焼き上がっているとき、省エネルギ
を図る観点からトンネル炉1の保温帯3に搬送すること
にある。
【0094】具体的には、実績スラブ温度演算装置32
の出力側にスラブの焼き上がりを判定するスラブ温度判
定装置41を設けた構成とする。この実績スラブ温度演
算装置32は、前述したように、常時,スラブの各温度
計算ポイントがトンネル炉1に装入されるタイミング以
降、炉内での全ての温度計算ポイントの現在温度を計算
している。
【0095】そこで、スラブ温度判定装置41は、スラ
ブの全ての温度計算ポイントの現在温度42と抽出目標
温度23とを比較し、スラブの全温度ポイントが抽出目
標温度以上に焼き上がっている場合、そのスラブを下流
側の帯に搬送させる信号43を出力し、テーブル制御装
置9に送出する。なお、スラブ間のギャップは前述する
ように予め決定される一定の値であり、スラブの全温度
ポイントが抽出目標温度以上に焼き上がった場合、この
ギャップに無関係に下流側の帯に搬送させる。ここで、
テーブル制御装置9は、スラブ温度判定装置41から信
号を受けると、該当スラブを下流の帯に搬送させるの
で、その分だけ加熱帯2のエネルギの消費を抑制でき、
省エネルギ化に貢献する。
【0096】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、スラブの全温
度計算ポイントを抽出目標温度に焼き上げるのに必要な
炉温を求め、これら必要炉温の中から最も高い必要炉温
を当該スラブの抽出目標温度とし炉温設定手段に設定す
るので、温度制御の設定炉温を自動的に決定でき、ひい
ては生産効率の向上および一定品質のスラブを生産する
ことができる。
【0097】請求項2の発明によれば、1つの帯に複数
のスラブが在炉する場合、ある特定のスラブ,例えば特
殊材料或いは実験材料を優先し、適切な温度制御を実現
できる。
【0098】請求項3の発明によれば、スラブの焼き上
げ精度の向上を図ることができる。請求項4の発明によ
れば、各スラブの焼き上げに際し、エネルギの節減化に
貢献できる。
【0099】請求項5の発明によれば、従来のラインの
トラッキング手段に対し、スラブの長さ方向の任意の位
置にスラブ温度計算ポイントを決定し出力するだけで、
確実にスラブの温度計算ポイント位置信号を求めること
ができる。請求項6の発明によれば、所定長さのスラブ
相互の間にスラブ間ギャップを設けた場合でも、各スラ
ブの残在炉時間を正確に求めることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わるトンネル炉のスラブ焼き上げ
制御装置の一実施の形態を示す構成図。
【図2】 スラブの加熱温度と炉温との関係を示す説明
図。
【図3】 スラブの温度計算ポイントの説明図。
【図4】 ある温度計算ポイントにおけるスラブ厚み方
向の温度計算格子を説明する図。
【図5】 必要炉温を求めるための処理フローを示す
図。
【図6】 図1において設定炉温を決定するための説明
図。
【図7】 本発明に係わるトンネル炉のスラブ焼き上げ
制御装置の他の実施の形態を示す構成図。
【図8】 図7において設定炉温を決定するための説明
図。
【図9】 本発明に係わるトンネル炉のスラブ焼き上げ
制御装置の他の実施の形態を示す構成図。
【図10】 図9において計算タイミングを説明する
図。
【図11】 本発明に係わるトンネル炉のスラブ焼き上
げ制御装置の他の実施の形態を示す構成図。
【図12】 複数のスラブに対する加熱帯から他の帯へ
の搬送を説明する図。
【図13】 従来のホットストリップミルのレイアウト
図。
【図14】 連鋳設備とトンネル炉をもつミルとを連結
した新しいミルラインのレイアウト図。
【図15】 従来のトンネル炉のスラブ焼き上げ制御装
置を示す構成図。
【符号の説明】
1…トンネル炉 2…加熱炉 4…連鋳のスラブ 5…所定長さのスラブ 9…圧延機群 11…温度計算ポイント 12…温度計算ポイント決定装置 17…温度計算ポイント位置演算装置 18…残在炉時間演算装置 21…必要炉温演算装置 25…炉温設定装置 27,27′…炉温制御装置 32…実績スラブ温度演算装置 41…スラブ温度判定装置

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連鋳設備の出力側に少なくとも加熱帯を
    有するトンネル炉および圧延機群を配置し、連鋳スラブ
    を所定長さに切断し、この切断されたスラブを前記トン
    ネル炉に装入し、抽出目標温度に焼き上げる制御を行う
    トンネル炉のスラブ焼き上げ制御装置において、 前記スラブの先端位置のトラッキング信号と予め決定さ
    れたスラブの長さ方向の任意の位置の温度計算ポイント
    とを用いて、当該スラブの温度計算ポイント位置信号を
    取得するとともに、前記トンネル炉入り側に設置される
    スラブ位置検出器から前記スラブ温度計算ポイントが到
    達したことを受けて起動信号を出力するポイント位置演
    算手段と、 このポイント位置演算手段から出力される起動信号を受
    けたとき、この起動信号を受けた時点の前記連鋳の速度
    から前記スラブの温度計算ポイントが前記加熱帯に在炉
    する残在炉時間を演算する残在炉時間演算手段と、 この残在炉時間と前記トンネル炉への温度計算ポイント
    の装入温度と抽出目標温度とを用いて、前記スラブを抽
    出目標温度に焼き上げるのに必要な炉温を求める必要炉
    温演算手段と、 前記ポイント位置演算手段からの温度計算ポイント位置
    信号に基づいて、前記必要炉温演算手段で求められた必
    要炉温を記憶するとともに、前記トンネル炉の少なくと
    も加熱帯に在炉するスラブの複数の温度計算ポイントに
    対する必要炉温の中で最も高い必要炉温を当該スラブの
    抽出目標温度とし、目標炉温を設定する炉温設定手段と
    を備え、 この目標炉温のもとに前記加熱帯の温度制御を実行する
    トンネル炉のスラブ焼き上げ制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載するトンネル炉のスラ
    ブ焼き上げ制御装置において、 予め炉温設定手段に優先度データを入力し、前記トンネ
    ル炉の加熱帯に在炉する複数のスラブのうち、最も優先
    度の高いスラブの各温度計算ポイントの必要炉温の中か
    ら最も高い必要炉温を当該スラブの抽出目標温度を選択
    させる手段を設けたことを特徴とするトンネル炉のスラ
    ブ焼き上げ制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載するト
    ンネル炉のスラブ焼き上げ制御装置において、 前記トンネル炉の加熱帯が複数の帯に分割されている場
    合、 前記ポイント位置演算手段からのスラブの温度計算ポイ
    ント位置信号と前記各帯の実測温度と前記装入温度とを
    用いて、当該スラブの温度計算ポイントが前記トンネル
    炉に装入されて抽出されるまで、全温度計算ポイントの
    現在温度を演算し前記必要炉温演算手段に導入する実績
    スラブ温度演算手段を設け、 前記必要炉温演算手段は、次の下流側帯に入ったタイミ
    ングを受けて前記残在炉時間演算手段による演算により
    得られる残在炉時間と前記抽出目標温度と前記全温度計
    算ポイントの現在温度とから、前記次の下流側帯の必要
    炉温を再計算し、前記各帯ごとに温度制御を行なうよう
    にしたことを特徴とするトンネル炉のスラブ焼き上げ制
    御装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載するトンネル炉のスラ
    ブ焼き上げ制御装置において、 前記実績スラブ温度演算手段の演算により得られるスラ
    ブの温度計算ポイントの現在温度のうち、前記加熱帯の
    最も下流側のスラブの全温度計算ポイントの現在温度と
    抽出目標温度とを比較し当該スラブの焼き上がりを判定
    するスラブ温度判定手段を設け、 当該スラブが焼き上がっているとき、前記加熱帯から他
    の帯に搬送可能とすることを特徴とするトンネル炉のス
    ラブ焼き上げ制御装置。
  5. 【請求項5】 ポイント位置演算手段は、前記スラブ
    の先端位置および尾端位置をトラッキングするトラッキ
    ング手段と、前記トンネル炉内で加熱するスラブの長さ
    方向に、当該スラブの任意の位置にスラブ温度計算ポイ
    ントを選択的に決定可能とする温度計算ポイント決定手
    段と、前記スラブの先端位置のトラッキング信号から起
    動信号を取り出し、また前記スラブの先端位置のトラッ
    キング信号と決定された各スラブ温度計算ポイントとか
    らスラブの温度計算ポイント位置信号を求める温度計算
    ポイント位置演算手段とを設けたことを特徴とする請求
    項1ないし請求項4の何れか1つに記載のトンネル炉の
    スラブ焼き上げ制御装置。
  6. 【請求項6】 残在炉時間演算手段は、前記加熱帯の長
    さを前記連鋳の速度で除することにより残在炉時間を求
    めるが、連鋳のスラブを所定長さにカットしスラブ間ギ
    ャップを設ける場合、残在路時間t H は、 H ={(L H −n・L GAP )/V }+n・T GAP なる演算式によって 求めることを特徴とする請求項1な
    いし請求項4の何れか1つに記載のトンネル炉のスラブ
    焼き上げ制御装置。但し、前記演算式において、L H
    加熱帯の長さ、nは前記加熱帯内の各スラブ間ギャップ
    作成回数、L GAP は前記スラブ間ギャップ長さ、V
    前記連鋳速度、T GAP は前記スラブ間ギャップ作成に必
    要とする時間である。
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