JPWO2019044873A1 - 離型シート - Google Patents
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Abstract
Description
離型シートを構成する基材の表面には、粘着シートから剥がれやすくするために、離型剤を含有する樹脂層が設けられている。離型シート用の離型剤として、シリコーン系離型剤が最も多く使用されている。しかしながら、シリコーン系離型剤を用いた場合、シリコーン系離型剤の中に含まれる低分子量のシリコーン化合物が、粘着シートの粘着剤層表面に移行して、残存することがあった。粘着シートの粘着剤層表面に残存するシリコーン化合物は、粘着剤の粘着力の低下を起すだけでなく、徐々に気化して、たとえば、粘着シートが用いられた電子部品の表面に堆積することにより、その性能に悪影響を与えることが指摘されていた。
特許文献1、2の離型シートは、粘着シートに対して良好な離型性を示す。しかしながら、これらの離型シートは、耐熱性が低いため、粘着シートと貼り合わせた状態で、高温で保存した場合に、粘着シートと強く接着してしまい、ハンドリング性が低下することがあり、また、離型剤成分が粘着シートへ移行し、剥離した粘着シートは接着性が低下することがあった。特に、粘着剤を塗布した後の乾燥時や、粘着シートの転写時などにおいて、熱がかかると、離型シートは離型性が変化しやすく、ハンドリング上好ましくないものであった。
特許文献3、4の離型シートは、粘着シートとの離型性に優れ、耐熱性にも優れ、特許文献1、2の離型シートにおける問題を解決したものである。しかしながら、特許文献3の離型シートは、実質的に有機溶剤溶液を塗布して離型層を形成するものであり、製造において作業環境に問題があった。また、特許文献3、4の離型シートは、樹脂層の動摩擦係数が大きく、ロール・ツー・ロールでの連続製造工程において、コア芯に巻いて、ロール状の積層体を作製する際に、離型シートにしわ、折れ、凹凸等が生じ、その結果、離型シートの収率が低下することとなり、経済性の低下を招く結果となっている。このことから、離型性に優れるだけでなく、動摩擦係数を低減した離型シートが望まれていた。
すなわち本発明の要旨は、次のとおりである。
樹脂層が、オレフィン成分と不飽和カルボン酸成分とを共重合成分として含有する1種以上の重合体を含有し、
オレフィン成分が、α−オレフィン成分とエチレン成分とを含有し、
α−オレフィン成分とエチレン成分との質量比(α−オレフィン成分/エチレン成分)が、樹脂層において、10/90〜60/40であり、
樹脂層面と基材面とを重ね合わせた際の動摩擦係数が0.50以下であり、
アクリル系粘着剤層を有する樹脂テープの前記粘着剤層を離型シートの樹脂層表面に貼り付けることで得られた試料を、25℃にて、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件で測定したときの粘着剤層と樹脂層との剥離強度が0.5N/cm以下であることを特徴とする離型シート。
(2)重合体が、(メタ)アクリル酸エステル成分を共重合成分として含有することを特徴とする(1)に記載の離型シート。
(3)樹脂層における(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量が0.1〜15質量%であることを特徴とする(2)に記載の離型シート。
(4)樹脂層における不飽和カルボン酸成分の含有量が0.1〜15質量%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の離型シート。
(5)樹脂層が、オキサゾリン化合物および/またはカルボジイミド化合物からなる架橋剤を含有し、樹脂層における架橋剤の含有量が、重合体100質量部に対して、0.1〜50質量部であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の離型シート。
(6)樹脂層が、ポリビニルアルコールを含有し、樹脂層におけるポリビニルアルコールの含有量が、重合体100質量部に対して、0.1〜1000質量部であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の離型シート。
(7)ポリビニルアルコールのケン化度が、99mol%以下であることを特徴とする(6)に記載の離型シート。
(8)上記(1)に記載の離型シートを製造するための方法であって、
酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体からなる重合体(A)と酸変性ポリエチレン樹脂からなる重合体(B)と水性媒体とを含む重合体含有液状物を基材上に塗布して樹脂層を形成することを特徴とする離型シートの製造方法。
(9)酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体からなる重合体(A)におけるα−オレフィン成分とエチレン成分の質量比(α−オレフィン成分/エチレン成分)が、40/60〜80/20(ただし、40/60を除く)であることを特徴とする(8)に記載の離型シートの製造方法。
本発明の離型シートは、水性塗剤を用いることにより、基材上に離型性を有する樹脂層を形成することができ、有機溶剤の使用による作業環境の問題を解消して製造することができる。
本発明の離型シートは、基材と、その上に設けられた樹脂層とから構成される。そして樹脂層は、オレフィン成分と不飽和カルボン酸成分とを共重合成分として含有する1種以上の重合体を含有する。
本発明において、重合体を構成するオレフィン成分は、α−オレフィン成分とエチレン成分とを含有することが必要である。
α−オレフィン成分としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。これらの中でも、経済性の観点や入手のしやすさの観点から、プロピレン、1−ブテンが好ましく、プロピレンがより好ましい。これらのα−オレフィン成分は重合体中に2種類以上含まれていてもよい。
樹脂層における、α−オレフィン成分とエチレン成分との質量比が前記範囲であると、離型シートは、優れた離型性を有し、耐熱性にも優れている。α−オレフィン成分とエチレン成分との質量比が前記範囲外であると、離型シートは、離型性が低下し、耐熱性が劣る傾向にあるだけでなく、離型シートに貼り付けて高温で保持した後の粘着材料は、残留接着率が低下することがある。
不飽和カルボン酸成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でも、後述する重合体の水性分散化において、重合体を安定的に分散するために、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。これらの不飽和カルボン酸成分は重合体中に2種類以上含まれていてもよい。不飽和カルボン酸成分は、重合体中に共重合されていればよく、その形態は限定されるものではなく、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。
樹脂層が、2種類以上の重合体を含有する場合、各重合体がそれぞれ、上記の、α−オレフィン成分とエチレン成分との質量比、不飽和カルボン酸成分の含有量、(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量を満足する必要はなく、重合体の総体や樹脂層において、α−オレフィン成分とエチレン成分との質量比、不飽和カルボン酸成分の含有量、(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量を満足すればよく、樹脂層は、上記共重合成分を含有しない重合体を含有してもよい。
酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体からなる重合体(A)は、α−オレフィン/エチレン共重合体が酸変性されたものであり、α−オレフィン/エチレン共重合体は、一種以上のα−オレフィン成分とエチレン成分とを含有する。
α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。これらの中でも、経済性の観点や入手のしやすさの観点から、プロピレン、1−ブテンが好ましい。
重合体(A)を構成するα−オレフィン/エチレン共重合体におけるα−オレフィン成分とエチレン成分の質量比を前記範囲とすることで、重合体(A)を含有する樹脂層を設けた離型シートは、被着体を貼り付けた状態で、高温下に長時間曝しても、被着体表面を汚染しにくいものとなる。
α−オレフィン/エチレン共重合体に導入される不飽和カルボン酸成分の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもα−オレフィン/エチレン共重合体への導入のし易さの点から、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。これらの不飽和カルボン酸成分は重合体中に2種類以上含まれていてもよい。
不飽和カルボン酸成分は、α−オレフィン/エチレン共重合体中に共重合されていればよく、その形態は限定されるものではなく、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
また、重合体(A)は、市販のものを用いてもよい。市販の重合体(A)として、三井化学社製ルーカントシリーズのA−5515、A−5260、A−5320Hなどが挙げられる。
上記酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体からなる重合体(A)とともに、樹脂層を構成する酸変性ポリエチレン樹脂からなる重合体(B)は、ポリエチレン樹脂が酸変性されたものである。
ポリエチレン樹脂に導入される不飽和カルボン酸成分の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもポリエチレン樹脂への導入のし易さの点から、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。これらの不飽和カルボン酸成分は重合体中に2種類以上含まれていてもよい。
不飽和カルボン酸成分は、ポリエチレン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されるものではなく、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。
本発明において、離型シートの樹脂層は、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤を含有することにより、樹脂層の構成成分が架橋し、樹脂層の離型性、凝集力、耐水性などの各種性能を向上させることができる。架橋剤としては、重合体を構成する不飽和カルボン酸成分と反応する官能基を、分子内に複数個有する化合物が用いられ、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物等が挙げられる。反応性の観点から、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも一つの架橋剤であることが好ましい。
オキサゾリン基含有ポリマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の付加重合性オキサゾリンを重合させることにより得られる。必要に応じて他の単量体が共重合されていてもよい。オキサゾリン基含有ポリマーの重合方法は、特に限定されず、公知の種々の重合方法を採用することができる。
オキサゾリン基含有ポリマーの市販品としては、日本触媒社製のエポクロスシリーズが挙げられ、具体的には、水溶性タイプの「WS−500」、「WS−700」、固形タイプの「RPS−1005」などが挙げられる。
ポリカルボジイミドの製法は、特に限定されるものではない。ポリカルボジイミドは、例えば、イソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応により製造することができる。イソシアネート化合物も限定されるものではなく、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネートのいずれであってもよい。イソシアネート化合物は、必要に応じて多官能液状ゴムやポリアルキレンジオールなどが共重合されていてもよい。
ポリカルボジイミドの市販品としては、日清紡社製のカルボジライトシリーズが挙げられ、具体的には、水溶性タイプの「SV−02」、「V−02」、「V−02−L2」、「V−04」、エマルジョンタイプである「E−02」、「E−03A」、「E−04」、有機溶液タイプの「V−01」、「V−03」、「V−07」、「V−09」、無溶剤タイプの「V−05」などが挙げられる。
エポキシ化合物の市販品としては、ナガセケムテック社製のデナコールシリーズ(EM−150、EM−101など)、アデカ社製のアデカレジンEM−0517、EM−0526、EM−11−50B、EM−051R、阪本薬品工業社製のSR−GSG、SR−4GSLなどが挙げられる。
イソシアネート化合物の市販品としては、住化バイエルウレタン社製のバイヒジュール3100、デスモジュールDN、BASF社製のバソナートHW−100等が挙げられる。
本発明において、離型シートの樹脂層はポリビニルアルコールを含有してもよい。ポリビニルアルコールが樹脂層中に分散することによって、剥離強度の経時的増加を抑制することができ、また、ポリビニルアルコール自体が有する、基材との密着性を発揮することができる。
ポリビニルアルコールの平均重合度は、特に限定されるものではなく、例えば、100以上であればよいが、離型シートの連続製造工程における操業性の観点からは、5,000以下であることが好ましく、1,500以下であることがより好ましい。
ポリビニルアルコールのケン化度が99mol%を超えたり、または、平均重合度が5,000を超えると、樹脂層を形成するための液状物は、ゲルが生じることがある。液状物を循環させて基材に塗布する方式で離型シートを連続製造する場合、液状物に生じたゲルは、循環系中に堆積して、連続操業性の低下を招くおそれがある。
また、樹脂層におけるポリビニルアルコールの含有量は、透明性向上(ヘーズを下げる)の観点で、重合体100質量部に対して、10質量部未満または500質量部以上であることが好ましく、5質量部以下または1000質量部以上であることがより好ましく、ゼロであることがさらに好ましい。一方、工程中の離型シートの■がし忘れ予防のための視認性向上(ヘーズを上げる)の観点で、ポリビニルアルコールの含有量は、10質量部以上500質量部未満であることが好ましく、100質量部以上400質量部以下であることがより好ましい。
本発明の離型シートは、離型シートの樹脂層面と、他の離型シートの基材面とを重ね合わせて測定したときの動摩擦係数は、0.50以下であることが必要であり、0.45以下であることが好ましく、0.40以下であることがより好ましい。動摩擦係数が0.50を超えると、離型シートをコア芯に巻き取る際、樹脂層面と基材面との滑り性が低いため、巻きずれが生じやすく、離型シートにしわ、折れ、凹凸等が生じ、離型シートの収率が低下するおそれがあるだけでなく、樹脂層の耐傷性が低下し、被着体の剥離後の表面形状に影響を及ぼすおそれがある。動摩擦係数は、樹脂層を形成する材料により制御することができ、樹脂層が2種類以上の重合体を含有するものであったり、樹脂層における(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量が好ましい範囲内であると、動摩擦係数が小さくなる傾向がある。
また、粘着力が強い粘着材料の代表であるシリコーン系粘着材料に対しても、本発明の離型シートを使用することが可能である。シリコーン系粘着材料に対して従来のようなシリコーン系離型シートを用いると、粘着剤層と離型層との親和性が高いため密着性が高まり剥離しにくくなる。これに対して、本発明の離型シートはシリコーン系粘着材料に対しても良好な剥離性を保つことができる。
本発明の離型シートは、耐熱性に優れるため、離型シートが貼り付けられた粘着材料が、保管、流通の過程において、高温下に長時間曝されても、経時で剥離強度が変化することがなく、また、貼り付け後長時間経過した後も、樹脂層と粘着材料との剥離強度の変化を小さく抑えることができる。
また、工業的に離型シートを剥離する工程においては、作業ラインの高速化に伴い、一般的に10m/分を超える速度で、離型シートを剥離するため、粘着材料からの高速剥離が可能な離型シートが求められている。本発明の離型シートは、十分な離型性を有しているため、粘着材料から高速で剥離しても、音がなく抵抗感がなく剥離ができる。すなわち、本発明の離型シートは高速剥離時に、ジッピングやスティックスリップと呼ばれる音がする現象によって、粘着材料の表面状態が粗くなることにより透明性や粘着性が低下することを抑制することができる。
本発明の離型シートのヘーズは、基材の種類や厚さ、また、樹脂層の構成成分や厚さを選択することにより調整することができ、特に樹脂層におけるポリビニルアルコールの含有量によって調整することができる。
柔軟性の指標は特に限定されず、例えば、貯蔵弾性率、損失弾性率、ビッカース硬さ、マルテンス硬さ、ロックウェル硬さ、ショア硬さ、ヌープ硬さ、鉛筆硬度の他、ナノインデンテーション法によって測定される硬度などが挙げられる。
本発明の離型シートを構成する基材としては、樹脂材料、紙、合成紙、布、金属材料、ガラス材料等で形成されたものが挙げられる。基材の厚みは、特に限定されるものではないが、通常は1〜1000μmであればよく、1〜500μmが好ましく、10〜200μmがより好ましく、25〜100μmが特に好ましい。
樹脂材料は延伸処理されていてもよい。中でも、基材は、機械的特性および熱的特性に優れるポリエステル樹脂フィルムが好ましく、安価で入手が容易という点からポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
本発明の離型シートは、オレフィン成分と不飽和カルボン酸成分とを共重合成分として含有する重合体を液状媒体中に含有してなる液状物を、基材に塗布し、液状物の塗布された基材を乾燥、延伸および熱処理して樹脂層を形成する方法によって、工業的に簡便に製造することができる。
両親媒性有機溶剤とは、20℃における有機溶剤に対する水の溶解性が5質量%以上である有機溶剤をいう(20℃における有機溶剤に対する水の溶解性については、例えば「溶剤ハンドブック」(講談社サイエンティフィク、1990年第10版)等の文献に記載されている)。
両親媒性有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコール−n−ブチルエーテル等のエチレングリコール誘導体類、そのほか、アンモニアを含む、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等の有機アミン化合物、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム類等を挙げることができる。
重合体の液状物としては、水性分散体を用いることができる。重合体を水性分散化する方法は、特に限定されないが、例えば、国際公開第02/055598号に記載された方法が挙げられる。
水性媒体中の重合体の分散粒子径は、他の成分との混合時の安定性および混合後の保存安定性の点から、数平均粒子径が1μm以下であることが好ましく、0.8μm以下であることがより好ましい。このような粒径は、国際公開第02/055598号に記載の製法により達成可能である。なお、重合体の数平均粒子径は動的光散乱法によって測定される。
重合体の水性分散体の固形分濃度は、特に限定されるものではないが、水性分散体の粘性を適度に保つためには、1〜60質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
樹脂層形成用液状物には、その性能が損なわれない範囲で、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、ヌレ剤等の添加剤を加えることができる。
本発明の離型シートは、プリプレグの工程材料としても好適に用いられるものであり、例えば、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの樹脂および硬化剤等を含む溶液を、塗布、乾燥してシートを形成する際のキャリアシートとして、好適に使用することができる。
本発明の離型シートは、耐熱性も併せ持つため、硬化工程における高温処理後においても、離型性を維持することができる。プリプレグは、補強効果を高めるために、炭素繊維やガラス繊維等の織物等の補強材が使用されていてもよい。プリプレグが使用される工程としては、プリント配線板のプレス工程、航空機、自転車、風車等の構造部材の成形工程、ゴルフシャフト、テニスラケット等のスポーツ・レジャー用品の成形工程が挙げられる。プリント配線板としては、片面プリント配線板、両面プリント配線板、フレキシブルプリント配線板、多層プリント配線板などが挙げられる。
これらの製造工程においては、ベース基材となる本発明の離型シート上に、溶媒でペースト状あるいはスラリー状とした原料を塗布、乾燥することにより、シート状構造体を形成することができる。あるいは、離型シート上に、溶融させた樹脂を押出すことにより、シート状構造体を形成することができる。
赤外吸収スペクトル分析(Perkin Elmer社製フーリエ変換赤外分光光度計System−2000、分解能4cm−1)を行い、重合体における不飽和カルボン酸成分の含有量を求めた。
オルトジクロロベンゼン(d4)中、120℃にて、1H−NMR、13C−NMR分析(日本電子社製、500MHz)を行い、求めた。13C−NMR分析では定量性を考慮したゲート付きデカップリング法を用いて測定した。
GPC分析(東ソー社製、HLC−8020、カラムはTSK−GEL)を用いて、試料をテトラヒドロフランに溶解して40℃で測定し、ポリスチレン標準試料で作成した検量線から数平均分子量を求めた。テトラヒドロフランに溶解し難い場合はオルトジクロロベンゼンを用いた。
JIS K7210:1999記載の方法に準じて、190℃、2160g荷重で測定した。
重合体の水性分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求めた。
得られた離型シートの基材を構成するポリエチレンテレフタレート樹脂を、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)により溶解し、樹脂層のみを分取した。分取した樹脂層を、固体13C-NMR分析(日本電子社製、500MHz)に供し、求めた。固体13C-NMR分析では、定量性を考慮したDD/MAS法を用いて測定した。
得られた離型シートの樹脂層側に、巾50mm、長さ150mmのアクリル系粘着テープ(日東電工社製、No.31B/アクリル系粘着剤)をゴムロールで圧着して、剥離強度測定用試料とした。この剥離強度測定用試料の、粘着テープと離型シートとの剥離強度を、25℃の恒温室で、引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分とした。
得られた離型シートの樹脂層側に、巾50mm、長さ150mmのアクリル系粘着テープ(日東電工社製、No.31B/アクリル系粘着剤)をゴムロールで圧着して、試料とした。試料を、金属板/ゴム板/試料/ゴム板/金属板の形で挟み、2kPa荷重、25℃の雰囲気で24時間放置し、剥離強度測定用試料を得た。この剥離強度測定用試料の、粘着テープと離型シートとの剥離強度を、25℃の恒温室で、引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分とした。
得られた離型シートの樹脂層側に、巾50mm、長さ150mmのアクリル系粘着テープ(日東電工社製、No.31B/アクリル系粘着剤)をゴムロールで圧着して、試料とした。試料を、金属板/ゴム板/試料/ゴム板/金属板の形で挟み、2kPa荷重、70℃の雰囲気で24時間放置し、剥離強度測定用試料を得た。この剥離強度測定用試料の、粘着テープと離型シートとの剥離強度を、25℃の恒温室で、引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分とした。
前記(7)の剥離強度試験(25℃)、(8)の剥離強度試験(25℃−24時間経過後)および(9)の剥離強度試験(70℃−24時間経過後)により離型シート表面から剥離した巾50mm、長さ150mmのアクリル系粘着テープ(日東電工社製、No.31B/アクリル系粘着剤)を、それぞれステンレス板(SUS304 厚さ1mm)に貼付し、2kPa荷重、室温で20時間放置した。その後、アクリル系粘着テープとステンレス板の剥離強度を、25℃の恒温室で引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定した。剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分とした。この測定により得られた剥離強度を、それぞれF1(7)、F1(8)、F1(9)とした。
ステンレス板(SUS304 厚さ1mm)に、巾50mm、長さ150mmのアクリル系粘着テープ(日東電工社製No.31B/アクリル系粘着剤)を貼付し、2kPa荷重、室温で20時間放置した。その後、アクリル系粘着テープとステンレス板の剥離強度を、25℃の恒温室で引張試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機、2020型)にて測定(剥離角度は180度、剥離速度は300mm/分)し、得られた剥離強度をF2とした。
下記式を用いて、それぞれの粘着テープの残留接着率を得た。
25℃放置後の残留接着率(%)=(F1(7)/F2)×100
25℃、24時間経過後の残留接着率(%)=(F1(8)/F2)×100
70℃、24時間経過後の残留接着率(%)=(F1(9)/F2)×100
粘着テープの粘着剤層表面が離型シートにより汚染されたり、剥離の際に粘着テープの表面が著しく粗くなった場合、粘着テープの再粘着性が低下し、粘着テープとしての性能を損なう。したがって、残留接着率は高い方が好ましい。
得られた離型シートを50mm×50mmの大きさに2枚切り出し、樹脂層面と基材面とが接触するように重ね合せ、60℃で10kPaの荷重をかけた状態で、24時間放置したあと、荷重を取り除いて室温まで冷却した後、樹脂層面と基材面との密着状態を調べることで耐ブロッキング性を評価した。
○:2枚のシートに密着が見られない、または、2枚のシートが簡単に剥がれ、樹脂層に白化などの変化が見られない。
△:2枚のシートに密着が見られるが、樹脂層に白化などの変化が見られない。
×:樹脂層が凝集破壊を起こす、または、2枚のシートを剥がした後の樹脂層が全体的に白くなっている。
得られた離型シートから、離型シート1と離型シート2とを切り出し、接触面積が40cm2となるように、離型シート1の樹脂層面と、離型シート2の基材面とを重ね合せ、JIS K7125に基づき、動摩擦係数を測定した。
得られた離型シートのヘーズを、ヘーズメーター(日本電色工業社製、NDH4000)を用い、JIS K7136に従って測定した。
実施例2、5〜6、14、16〜19、21〜28、比較例5において、24時間連続して離型シートを製造した際の操業性を評価した。すなわち、水性塗剤が入った液受けパンに、送液ポンプおよびカートリッジフィルター(アドバンテック東洋社製 TCW−10N−PPS(公称孔径10μm))からなる循環系を接続し、圧力0.2MPaで送液しながらグラビアコートを行った際に、フィルターの目詰まりの発生に伴うフィルターの交換回数で連続操業性の評価を行った。
○:フィルター交換0回
△:フィルター交換1回
×:フィルター交換2回以上
合成例1:重合体P−1
プロピレン/エチレン共重合体(質量比:プロピレン/エチレン=62.3/37.7、数平均分子量=3,500)280gを、4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下でキシレン470gに加熱溶解させた後、系内温度を140℃に保って撹拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸60gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド30gをそれぞれ2時間かけて加え、その後6時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥して得られた酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体からなる重合体P−1を合成した。
合成例1において、質量比(プロピレン/エチレン)が56.9/43.1であるプロピレン/エチレン共重合体(数平均分子量=8,100)を用い、無水マレイン酸の量を30g、ジクミルパーオキサイドの量を25gに変更した以外は、同様の操作を行って得られた、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体からなる重合体P−2を合成した。
合成例1において、質量比(プロピレン/エチレン)が57.3/42.7であるプロピレン/エチレン共重合体(数平均分子量=5,200)を用い、無水マレイン酸の量を20gに変更した以外は、同様の操作を行って得られた、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体からなる重合体P−3を合成した。
プロピレン/エチレン共重合体(質量比:プロピレン/エチレン=64.8/35.2)280gを、4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下でキシレン470gに加熱溶解させた後、系内温度を140℃に保って撹拌下、無水マレイン酸30gとジクミルパーオキサイド25gをそれぞれ2時間かけて加え、その後6時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥して、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体からなる重合体P−4を合成した。
プロピレン/ブテン/エチレン三元共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3)280gを、4つ口フラスコ中において、窒素雰囲気下で加熱溶融させた。その後、系内温度を170℃に保って、撹拌下、無水マレイン酸32gとジクミルパーオキサイド6gとをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥して、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体からなる重合体P−5を合成した。
プロピレン/エチレン共重合体(質量比:プロピレン/エチレン=25/75)100gを、4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で、130℃に加熱したキシレン400gに溶解させた。次いで、この溶液に、無水マレイン酸のトルエン溶液(5質量%)10gおよびジクミルパーオキサイドのトルエン溶液(10質量%)5gをそれぞれ30分間かけて加え、その後、系内を130℃に保って、4時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥して、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体からなる重合体P−6を合成した。
プロピレン−エチレン共重合体(質量比:プロピレン/エチレン=97.9/2.1)280gを、4つ口フラスコ中において、窒素雰囲気下で加熱溶融させた。その後、系内温度を170℃に保って、撹拌下、無水マレイン酸10gとジクミルパーオキサイド6gとをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥して、酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体からなる重合体P−7を合成した。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、45.0gの重合体P−1、93.0gのテトラヒドロフラン、2.0gのシクロヘキサン、30.6gのトリエチルアミンおよび129.4gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌した。この状態を保ちつつ、ヒーターの電源を入れ加熱し、系内温度を110℃に保って60分間撹拌した。その後、水浴につけて撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却し、165.0gの蒸留水および3.2gのN,N−ジメチルエタノールアミン(以下、DMEA)を追加した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、60℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、243.2gの水性媒体を留去した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な重合体P−1の水性分散体E−1を得た。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、54.0gの重合体P−2、57.6gのイソプロパノール、33.9gのトリエチルアミンおよび154.5gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌した。この状態を保ちつつ、ヒーターの電源を入れ加熱し、系内温度を120℃に保って60分間撹拌した。その後、水浴につけて撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却し、176.7gの蒸留水を追加した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、60℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、206.7gの水性媒体を留去した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な重合体P−2の水性分散体E−2を得た。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、45.0gの重合体P−3、90.9gのテトラヒドロフラン、2.1gのシクロヘキサン、9.0gのトリエチルアミンおよび153.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌した。この状態を保ちつつ、ヒーターの電源を入れ加熱し、系内温度を110℃に保って60分間撹拌した。その後、水浴につけて撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却し、55.2gの蒸留水および7.9gのDMEAを追加した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、60℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、138.1gの水性媒体を留去した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な重合体P−3の水性分散体E−3を得た。
製造例2において、重合体P−4を用いた以外は、同様の操作を行って、乳白色の均一な重合体P−4の水性分散体E−4を得た。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、45.0gの重合体P−5、105.0gのテトラヒドロフラン、3.0gのシクロヘキサン、9.0gのDMEAおよび138.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌した。この状態を保ちつつ、ヒーターの電源を入れ加熱し、系内温度を125℃に保って60分間撹拌した。その後、水浴につけて撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却し、80.0gの蒸留水を追加した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、60℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、155.0gの水性媒体を留去した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な重合体P−5の水性分散体E−5を得た。
25.0gの重合体P−6と4,975gのテトラヒドロフランを混合、加熱、撹拌することで、P−6の含有量が0.5質量%のP−6溶液を作製した。
次いで、10,000gの蒸留水を、撹拌機とヒーターを備えた容器に仕込み、撹拌機で撹拌しながら、5,000gの前記P−6溶液を5分間かけて徐々に添加し、蒸留水とP−6溶液からなる水性分散体を作製した。この時、水性分散体は、ポリオレフィン樹脂が均一に分散していた(均一に白濁していた)。
得られた水性分散体を、ヒーターで60℃に加熱し、撹拌したまま、容器内を徐々に減圧した。加熱、減圧によって発生した、テトラヒドロフランおよび水の蒸気は、容器外で凝縮し、容器外に留去させた。容器内の水性分散体の質量が200g以下となったところで、水性分散体を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過した。この時濾過後のフィルター上には、未分散物はなかった。濾過後の水性分散体に、蒸留水を加え、固形分濃度が10質量%となる様に調整した。このようにして、乳白色の均一な重合体P−6の水性分散体E−6を得た。
製造例5において、重合体P−7を用いた以外は、同様の操作を行って、乳白色の均一な重合体P−7の水性分散体E−7を得た。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリエチレン樹脂からなる重合体P−8(アルケマ社製、ボンダインLX−4110、質量比:エチレン/アクリル酸エステル/無水マレイン酸=91/7/2)、75.0gのn−プロパノール、2.5gのトリエチルアミンおよび162.5gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を120℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、水浴につけて撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却し、147.8gの蒸留水および2.2gのDMEAを追加した。を追加した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、60℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、150.0gの水性媒体を留去した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な重合体P−8の水性分散体E−8を得た。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリエチレン樹脂からなる重合体P−9(ダウケミカル社製、プリマコール5980I、質量比:エチレン/アクリル酸=80/20)、16.8gのトリエチルアミン、および223.2gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を120℃に保ってさらに40分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁の重合体P−9の水性分散体E−9を得た。
WS700:オキサゾリン化合物(日本触媒社製、エポクロスWS−700)
WS500:オキサゾリン化合物(日本触媒社製、エポクロスWS−500)
E−02:カルボジイミド化合物(日清紡社製、カルボジライトE−02)
EM−051R:エポキシ化合物(アデカ社製、アデカレジンEM−051R)
HW−100:イソシアネート化合物(BASF社製、バソナートHW−100)
VC−10:ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール社製、VC−10、ケン化度99.3モル%以上、平均重合度1,000)
JT−05:ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール社製、JT−05、ケン化度93.5〜94.5モル%、平均重合度500)
JF−05:ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール社製、JF−05、ケン化度98.0〜99.0モル%、平均重合度500)
酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体からなる重合体(A)としてP−1が50質量部、酸変性ポリエチレン樹脂からなる重合体(B)としてP−8が50質量部、架橋剤が10質量部、ポリビニルアルコールが10質量部となるように、それぞれの水性分散体を混合して調製した水性塗剤を、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製エンブレットPET−38、厚み38μm、片面コロナ処理済)のコロナ処理面に、マイヤーバーを用いて塗布した後、140℃で15秒間乾燥させて、厚み0.2μmの樹脂層をフィルム上に形成させたのち、50℃で2日間エージングを行うことで離型シートを得た。
重合体(A)、(B)、架橋剤、ポリビニルアルコールの種類と質量部を表2、4に示すものに変更して水性塗剤を調製した以外は、実施例1と同様にして、離型シートを得た。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(日本エステル社製、固有粘度0.6)をTダイ備え付けの押出機(75mm径、L/Dが45の緩圧縮タイプ単軸スクリュー)を用いて、シンリンダー温度260℃、Tダイ温度280℃でシート状に押出し、表面温度25℃に調節された冷却ロール上に密着させて急冷し、厚み500μmの未延伸フィルムとした。続いて、90℃で縦方向に3.4倍延伸させた後、グラビアコート機を用いて、実施例1で調製した水性塗剤を、乾燥、延伸後の塗布量が0.2g/m2になるように塗布し、次に温度90℃で2秒間予熱した後、240℃で横方向に3.0倍の倍率で延伸し、離型シートを得た。得られたポリエステルフィルムと樹脂層を合わせた厚みは、50μmであった。
重合体(A)、(B)、架橋剤、ポリビニルアルコールの種類と質量部を表2、4に示すものに変更して調製した水性塗剤を塗布した以外は、実施例2と同様にして、離型シートを得た。
樹脂層において、(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量が特に好ましい範囲であり、重合体が2種類含まれている実施例の離型シートは、動摩擦係数が小さい値となった。また、樹脂層において、ケン化度がより好ましい範囲のポリビニルアルコールを含む離型シートは、連続操業性に優れていた。
一方、比較例1、6の離型シートは、動摩擦係数が高く、生産性が劣っていた。
比較例2〜5の離型シートは、樹脂層におけるα−オレフィン成分/エチレン成分の質量比が本発明で規定する範囲を外れるため、いずれも離型性に劣っていた。
Claims (9)
- 基材上に樹脂層を設けてなる離型シートであって、
樹脂層が、オレフィン成分と不飽和カルボン酸成分とを共重合成分として含有する1種以上の重合体を含有し、
オレフィン成分が、α−オレフィン成分とエチレン成分とを含有し、
α−オレフィン成分とエチレン成分との質量比(α−オレフィン成分/エチレン成分)が、樹脂層において、10/90〜60/40であり、
樹脂層面と基材面とを重ね合わせた際の動摩擦係数が0.50以下であり、
アクリル系粘着剤層を有する樹脂テープの前記粘着剤層を離型シートの樹脂層表面に貼り付けることで得られた試料を、25℃にて、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件で測定したときの粘着剤層と樹脂層との剥離強度が0.5N/cm以下であることを特徴とする離型シート。 - 重合体が、(メタ)アクリル酸エステル成分を共重合成分として含有することを特徴とする請求項1に記載の離型シート。
- 樹脂層における(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量が0.1〜15質量%であることを特徴とする請求項2に記載の離型シート。
- 樹脂層における不飽和カルボン酸成分の含有量が0.1〜15質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の離型シート。
- 樹脂層が、オキサゾリン化合物および/またはカルボジイミド化合物からなる架橋剤を含有し、樹脂層における架橋剤の含有量が、重合体100質量部に対して、0.1〜50質量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の離型シート。
- 樹脂層が、ポリビニルアルコールを含有し、樹脂層におけるポリビニルアルコールの含有量が、重合体100質量部に対して、0.1〜1000質量部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の離型シート。
- ポリビニルアルコールのケン化度が、99mol%以下であることを特徴とする請求項6に記載の離型シート。
- 請求項1に記載の離型シートを製造するための方法であって、
酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体からなる重合体(A)と酸変性ポリエチレン樹脂からなる重合体(B)と水性媒体とを含む重合体含有液状物を基材上に塗布して樹脂層を形成することを特徴とする離型シートの製造方法。 - 酸変性α−オレフィン/エチレン共重合体からなる重合体(A)におけるα−オレフィン成分とエチレン成分の質量比(α−オレフィン成分/エチレン成分)が、40/60〜80/20(ただし、40/60を除く)であることを特徴とする請求項8に記載の離型シートの製造方法。
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