JPWO2018235567A1 - オクタフルオロシクロペンテンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2では、1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンを原料に用い、N,N−ジメチルホルムアミド溶媒下、フッ化カリウムをフッ素化剤に用いて、原料の滴下速度と、生成物であるオクタフルオロシクロペンテンの抜出し速度を調整しながら反応を行い、オクタフルオロシクロペンテンを収率87.8%で得たと記載されている。
特許文献3では、オクタクロロシクロペンテンを出発原料に用いて、無水フッ化水素により気相中でフッ素化されて得られた、1−クロロヘプタフルオロシクロペンテン、1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン、トリクロロペンタフルオロシクロペンテン、テトラクロロテトラフルオロシクロペンテン、及びペンタクロロトリフルオロシクロペンテンの混合物を、フッ化カリウムによりフッ素化し、オクタフルオロシクロペンテンを収率90%で得ている。
特許文献4では、1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを主成分とする原料をN,N−ジメチルホルムアミド溶媒下、フッ化カリウムによりフッ素化し、収率87%でオクタフルオロシクロペンテンを得ている。
特許文献5では、1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを原料に用いて、N,N−ジメチルホルムアミドと、無極性溶媒であるベンゼンとの混合溶媒下に、フッ化カリウムをフッ素化剤に用いて、加熱還流を行うことで、オクタフルオロシクロペンテンを収率72%で得られたとの記載がなされている。
非特許文献1では、オクタクロロシクロペンテンを原料に用いて、N−メチルピロリドン溶媒下に、フッ素化剤にフッ化カリウムを用いてフッ素化し、オクタフルオロシクロペンテンを収率72%で得ている。
また、別の方策として、内温の初期設定値を高くすることが考えられる。しかし、原料である1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを反応器に供給すれば、やはり、上記したように、1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの低沸点に起因して内温の低下を引き起こし、ひいては、オクタフルオロシクロペンテンの収率を低下させると想定される。
さらにまた、別の方策として、フッ素化工程中における反応器の加熱により、内温を調節することも考えられる。しかし、内温の変動に合わせて反応器の加熱温度を調節して内温が常に所望の値となるように制御することは、非常に困難であり、非現実的である。
なお、本明細書において、各種溶媒の「沸点」は、1気圧下での沸点を意味する。
なお、本明細書において、「体積割合」は、23℃での体積割合を意味する。
以下、本発明の製造方法にて使用しうる原料、混合溶媒、及びアルカリ金属フッ素化物等の各種要素について詳述したうえで、本発明の製造方法に含まれうる各種工程の一例を説明する。
本発明の製造方法では、原料として1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを用いる。1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの調製法は、既知の方法に従う。例えば、米国特許第3,567,788号によれば、1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンを、ジメチスルホキシド溶媒下に、無水フッ化カリウムでフッ素化して、収率74%で1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを得ている。また、特開2001−240568号公報によれば、1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン、1,2,3−トリクロロペンタフルオロシクロペンテン、1,2,4−トリクロロペンタフルオロシクロペンテン、1,2,3,4−テトラクロロテトラフルオロシクロペンテン、及び1,2,3,3,4−ペンタクロロトリフルオロシクロペンテンなどのポリクロロフルオロシクロペンテンを原料に、N,N−ジメチルホルムアミドとトルエンのような芳香族炭化水素との混合溶媒下、フッ化カリウムにてフッ素化し、1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンが最高収率89.1%で得られている。さらにまた、特開2001−261594号公報によれば、1,1−ジクロロオクタフルオロシクロペンタンを原料に用いて、銅、錫、ビスマスなどの遷移金属を主成分とするパラジウム合金触媒下、水素還元を行うことで、最高収率95.6%で、1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンが得られている。
本発明の製造方法にて使用する混合溶媒は、非プロトン性極性溶媒、及びかかる非プロトン性極性溶媒よりも高沸点のグリコールエーテルを含む。非プロトン性極性溶媒に対して、当該非プロトン性溶媒よりも高沸点のグリコールエーテルを混合して得た混合溶媒を用いることで、フッ素化工程における懸濁液の温度の低下を効果的に抑制することができる。ここで、液相中にて原料である1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンをフッ素化剤であるアルカリ金属フッ素化物と接触させてフッ素化する場合、フッ素化剤が懸濁してなる懸濁液の温度が低下すれば、フッ素化反応の速度が低下する。フッ素化反応の速度が低下すると、反応系中における未反応の原料の存在比率が高くなる。その結果、未反応の原料がフッ素化されることなくそのまま気化して、精留塔等の回収機構内へと移動し、フッ素化工程で得られた反応生成物と共に回収され易くなる。そこで、本発明の製造方法にて使用する混合溶媒を上記のような組成とすることで、フッ素化工程における懸濁液の温度の低下を効果的に抑制して、フッ素化工程にて、反応速度の低下を抑制して1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを効率的にフッ素化してオクタフルオロシクロペンテンを生成することができる。よって、かかるフッ素化工程を含む本発明の製造方法によれば、高収率でオクタフルオロシクロペンテンを生成することができるとともに、反応速度の低下抑制効果により製造効率を高めることができる。なお、混合溶媒は、非プロトン性極性溶媒、及びかかる非プロトン性極性溶媒よりも高沸点のグリコールエーテル以外の、第三の溶媒を含んでいても良い。
非プロトン性極性溶媒としては、アミド系溶媒を好適に使用することができる。アミド系溶媒としては、特に限定されることなく、N−メチルホルムアミド(沸点:197℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点:153℃)、N,N−ジエチルホルムアミド(沸点:177℃)、アセトアミド(沸点:222℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(沸点:165℃)、N,N−ジエチルアセトアミド(沸点:185℃)、N−メチルピロリドン(沸点:202℃)、及びN,N−ジメチルイミダゾリジノン(沸点:225℃)、を挙げることができる。これらの中でも、オクタフルオロシクロペンテンの収率を一層高めることが可能である点に鑑みて、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN,N−ジエチルアセトアミドのような直鎖状アミド系溶媒が好ましく、とりわけ工業的に入手が容易な、N,N−ジメチルホルムアミド、及びN,N−ジメチルアセトアミドがより好ましい。非プロトン性極性溶媒は、一種を単独で、或いは複数種を併用して用いることができるが、本発明の製造方法を実施する際の仕込みが容易であるため、一種を単独で用いることが好ましい。
グリコールエーテルとしては、併用する非プロトン性極性溶媒よりも沸点の高い化合物が用いられる。グリコールエーテルとしては、特に限定されることなく、ポリエチレングリコールのジアルキルエーテル、及びポリプロピレングリコールのジアルキルエーテルなどを挙げることができる。グリコールエーテルがポリエチレングリコールのジアルキルエーテル、又はポリプロピレングリコールのジアルキルエーテルであれば、フッ素化工程における懸濁液の温度低下を効果的に抑制して、オクタフルオロシクロペンテンの製造効率及び収率を一層高めることができる。なお、ポリエチレングリコールのジアルキルエーテルのアルキル基の炭素数は4以下であることが好ましい。また、ポリプロピレングリコールのジアルキルエーテルのアルキル基の炭素数は2以下であることが好ましい。具体的には、ポリエチレングリコールのジアルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:162℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点:188℃)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(沸点:179℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点:255℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:216℃)、トリエチレングリコールジエチルエーテル(沸点:>216℃)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:276℃)、テトラエチレングリコールジエチルエーテル(沸点:>276℃)などが挙げられる。ポリプロピレングリコールのジアルキルエーテルとしては、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点:175℃)、ジプロピレングリコールジエチルエーテル(沸点:>175℃)、トリプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点:>241℃)などを挙げることができる。グリコールエーテルとしては、一種を単独で、或いは複数種を併用して用いることができるが、本発明の製造方法を実施する際の仕込みが容易であるため、一種を単独で用いることが好ましい。
アルカリ金属フッ素化物は、上記のような組成の混合溶媒中にて、一部が溶解し、残りが分散して、懸濁液を構成する。そして、かかる懸濁液中のアルカリ金属フッ素化物が、本発明の製造方法にて、原料のフッ素化剤として機能する。アルカリ金属フッ化物としては、例えば、フッ化カリウム及びフッ化セシウムが挙げられる。中でも、フッ化カリウムが工業的に安価であるため、好適に使用される。これらは、一種を単独で、又は複数種を併用して用いることができる。また、アルカリ金属フッ化物の形態としては、可能な限り乾燥された粉末状のものが反応性の観点で好ましく、スプレードライ品がより好ましい。アルカリ金属フッ素化物のスプレードライ品は、スプレードライ処理を経ていない通常の市販品にかかるアルカリ金属フッ素化物よりも、比表面積が大きい傾向があり、分散性に富む。
まず、準備工程では、例えば、反応器内に、アルカリ金属フッ化物、非プロトン性極性溶媒、及びグリコールエーテルを仕込み、反応器を加温して、かかる反応器内にて、アルカリ金属フッ素化物が混合溶媒中に懸濁してなる懸濁液を調製する。そして、原料である1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの供給開始の時点までに、反応器内の懸濁液の温度を115℃以上とすることが好ましい。なお、原料供給開始時点における懸濁液の温度は、130℃以下とすることが好ましい。原料供給開始時点における懸濁液の温度を上記下限値以上とすることで、後続するフッ素化工程におけるフッ素化反応を促進することができる。また、原料開始時点における懸濁液の温度を上記上限値以下とすることで、原料である1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの低沸点に起因して、反応器の上部に据え付けられた精留塔の塔頂部に1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンが濃縮することを抑制して、オクタフルオロシクロペンテンの収率を向上させることができる。
フッ素化工程では、上記準備工程で得られた反応器内の懸濁液を85℃以上に維持しつつ、かかる懸濁液に対して原料である1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを供給してフッ素化してオクタフルオロシクロペンテンを得る。具体的には、まず、原料である1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを、ポンプ等を使用して反応器内に供給する。1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの供給速度としては、0.4〜0.7g/分の範囲が好ましい。供給速度が上記下限値以上であれば、フッ素化工程の所要時間を短縮して、オクタフルオロシクロペンテンの製造効率を一層向上させることができる。また、供給速度が上記上限値以下であれば、反応器内の温度が1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの添加に起因して低下することを効果的に抑制して、フッ素化工程におけるフッ素化反応速度の低下を効果的に抑制することができる。これにより、オクタフルオロシクロペンテンの収率を一層向上させることができる。
回収工程の後、任意で精製工程を実施しても良い。精製工程では、受器に捕集されたオクタフルオロシクロペンテンについて、蒸留精製等の精製処理を行う。このようにして、フッ素化工程にて得られた生成物の純度をさらに高めることができる。
実施例、比較例で得られた反応生成物について、以下の条件に従うガスクロマトグラフィー分析(GC分析)を行い、反応生成物中におけるオクタフルオロシクロペンテンの含有量を分析した。
装置:HP−6890(アジレント社製)
カラム:ジーエルサイエンス社製 Inert Cap−1、長さ60m、内径0.25mm、膜厚1.5μm
カラム温度:40℃で10分間保持し、次いで、20℃/分で昇温し、その後、240℃で10分間保持した。
インジェクション温度:200℃
キャリヤーガス:窒素
スプリット比:100/1
検出器:FID(Flame Ionization Detector)検出器
<準備工程>
撹拌機、精留塔(東科精機製、カラム長:30cm、充填剤:ヘリパックNo.1)、送液ポンプ(山善製、QT−150)を付した、容量500mlのガラス反応器に、アルカリ金属フッ素化物としてのスプレードライフッ化カリウム(33.7g)、非プロトン性極性溶媒としての乾燥N,N−ジメチルホルムアミド150ml、非プロトン性極性溶媒よりも高沸点のグリコールエーテルとしてのジエチレングリコールジメチルエーテル(あらかじめ、モレキュラーシーブ5Aで乾燥した)30mlを入れ、オイルバスに浸漬して120℃に加温し、内容物を撹拌し、懸濁液を得た。反応器内の懸濁液の温度、及び精留塔塔頂部の温度を測定可能な態様で取り付けられた熱電対により、懸濁液の温度及び精留塔塔頂部の温度をモニタリングした。また、精留塔のコンデンサーには−10℃の冷媒を流して循環させた。
<フッ素化工程〜回収工程>
反応器内の懸濁液の温度が117℃になったところで、原料としての1−クロロヘプタフルオロシクロペンテン(供給温度21℃)の反応器内への供給を開始した。原料の供給開始速度は0.62g/分とし、原料供給期間中、供給速度を微調整しつつ、3.25時間にわたって原料を供給した。原料の総供給量は114.5gであった。その間、反応器内の懸濁液の温度は最低で、90.4℃であった。原料の送液を開始してから約1.4時間後に、還流比60で生成物の抜出しを開始した(精留塔塔頂の温度:26.6℃)。その後も、120℃での加温と、還流比60での生成物の抜出しとを継続し、精留塔塔頂の温度、還流具合を見ながら、オイルバスの温度を130℃、140℃と段階的に昇温した。原料の供給を開始してから6時間後に、精留塔塔頂温度が下がり始めたので、オイルバスの温度を120℃まで下げ、精留塔の分留器にアスピレーターを接続し、系内を−0.09MPaの圧力で減圧して、ホールドアップ分を回収した。回収した粗生成物の総量は、101.6gで、ガスクロマトグラフィー分析の結果から、粗生成物中における目的生成物であるオクタフルオロシクロペンテンの含有量を得た。そして、得られた目的生成物の収量の、原料供給量に対する比率を算出した。結果を表1に示す。
グリコールエーテルとしてのジエチレングリコージメチルエーテルを、ジエチレングリコールジエチルエーテル30ml(あらかじめ、モレキュラーシーブ5Aで乾燥)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、原料供給開始時の懸濁液の温度、原料の総供給量、及びフッ素化工程における懸濁液の最低温度は、それぞれ表1に示す通りであった。また、回収工程を経て回収した粗生成物の総量は、100.9gであった。そして、実施例1と同様にして目的生成物の収率を算出した結果を表1に示す。
グリコールエーテルとしてのジエチレングリコージメチルエーテルを、トリエチレングリコールジメチルエーテル30ml(あらかじめ、モレキュラーシーブ5Aで乾燥)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、原料供給開始時の懸濁液の温度、原料の総供給量、及びフッ素化工程における懸濁液の最低温度は、それぞれ表1に示す通りであった。また、回収工程を経て回収した粗生成物の総量は、102.1gであった。そして、実施例1と同様にして目的生成物の収率を算出した結果を表1に示す。
グリコールエーテルとしてのジエチレングリコージメチルエーテルを、トリエチレングリコールジメチルエーテル45ml(あらかじめ、モレキュラーシーブ5Aで乾燥)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、原料供給開始時の懸濁液の温度、原料の総供給量、及びフッ素化工程における懸濁液の最低温度は、それぞれ表1に示す通りであった。また、回収工程を経て回収した粗生成物の総量は、101.3gであった。そして、実施例1と同様にして目的生成物の収率を算出した結果を表1に示す。
グリコールエーテルとしてのジエチレングリコージメチルエーテルを、テトラエチレングリコールジメチルエーテル30ml(あらかじめ、モレキュラーシーブ5Aで乾燥)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、原料供給開始時の懸濁液の温度、原料の総供給量、及びフッ素化工程における懸濁液の最低温度は、それぞれ表1に示す通りであった。また、回収工程を経て回収した粗生成物の総量は、102.9gであった。そして、実施例1と同様にして目的生成物の収率を算出した結果を表1に示す。
グリコールエーテルとしてのジエチレングリコージメチルエーテルを、ジプロピレングリコールジメチルエーテル30ml(あらかじめ、モレキュラーシーブ5Aで乾燥)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、原料供給開始時の懸濁液の温度、原料の総供給量、及びフッ素化工程における懸濁液の最低温度は、それぞれ表1に示す通りであった。また、回収工程を経て回収した粗生成物の総量は、101.3gであった。そして、実施例1と同様にして目的生成物の収率を算出した結果を表1に示す。
非プロトン性極性溶媒としての乾燥N,N−ジメチルホルムアミドを、乾燥N,N−ジメチルアセトアミドに変更し、非プロトン性極性溶媒よりも高沸点のグリコールエーテルとしてのジエチレングリコールジメチルエーテルを、トリエチレングリコールジメチルエーテル(あらかじめ、モレキュラーシーブ5Aで乾燥した)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、原料供給開始時の懸濁液の温度、原料の総供給量、及びフッ素化工程における懸濁液の最低温度は、それぞれ表1に示す通りであった。なお、原料の送液を開始してから約1.4時間後に、還流比60で生成物の抜出しを開始した時点における精留塔塔頂の温度は、26.1℃であった。また、回収工程を経て回収した粗生成物の総量は、101.9gであった。そして、実施例1と同様にして目的生成物の収率を算出した結果を表1に示す。
グリコールエーテルとしてのトリエチレングリコージメチルエーテルを、ジプロピレングリコールジメチルエーテル30ml(あらかじめ、モレキュラーシーブ5Aで乾燥)に変更したこと以外は、実施例7と同様の操作を行った。なお、原料供給開始時の懸濁液の温度、原料の総供給量、及びフッ素化工程における懸濁液の最低温度は、それぞれ表1に示す通りであった。また、回収工程を経て回収した粗生成物の総量は、101.7gであった。そして、実施例1と同様にして目的生成物の収率を算出した結果を表1に示す。
非プロトン性極性溶媒よりも高沸点のグリコールエーテルであるジエチレングリコールジメチルエーテルを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、原料供給開始時の懸濁液の温度、原料の総供給量、及びフッ素化工程における懸濁液の最低温度は、それぞれ表1に示す通りであった。生成物の抜出しを開始してから約2時間後に、精留塔塔頂部の温度が30.7℃まで上昇し、抜出しを一時中断せざるをえなかった。回収工程を経て回収した粗生成物の総量は、101.4gであった。そして、実施例1と同様にして目的生成物の収率を算出した結果を表1に示す。
グリコールエーテルであるトリエチレングリコールジメチルエーテルを添加しなかったこと以外は、実施例7と同様の操作を行った。なお、原料供給開始時の懸濁液の温度、原料の総供給量、及びフッ素化工程における懸濁液の最低温度は、それぞれ表1に示す通りであった。生成物の抜出しを開始してから約1.2時間後に、精留塔塔頂部の温度が28.3℃まで上昇し、抜出しを一時中断せざるをえなかった。回収工程を経て回収した粗生成物の総量は、102.8gであった。そして、実施例1と同様にして目的生成物の収率を算出した結果を表1に示す。
グリコールエーテルとして、非プロトン性極性溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミドよりも沸点の低い、エチレングリコールジメチルエーテル(沸点:84℃)30ml(あらかじめ、モレキュラーシーブ5Aで乾燥)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。なお、原料供給開始時の懸濁液の温度、原料の総供給量、及びフッ素化工程における懸濁液の最低温度は、それぞれ表1に示す通りであった。原料供給開始後、約20分後に、精留塔コンデンサー部での還流が始まったが、その温度は53.6℃であり、明らかに、原料である1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンがほとんど反応せずに、気化していたことが分かる。さらに、1.5時間反応を継続しても、塔頂部の温度は48.2℃までしか下がらず、これ以上反応を継続しても、オクタフルオロシクロペンテンへ変換されにくいことが示唆されたために、実験を中止した。
「KF」は、フッ化カリウムを、
「DMF」は、N,N−ジメチルホルムアミドを、
「DMA」は、N,N−ジメチルアセトアミドを、
「Diglyme」は、ジエチレングリコールジメチルエーテルを、
「Diglyet」は、ジエチレングリコールジエチルエーテルを、
「Triglyme」は、トリエチレングリコールジメチルエーテルを、
「Tetraglyme」は、テトラエチレングリコールジメチルエーテルを、
「DPDME」は、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを、
「Glyme」は、エチレングリコールジメチルエーテルを、
それぞれ示す。
一方、グリコールエーテル類を含有しない懸濁液を用いた比較例1〜2では、収率を十分に高めることができなかったことが分かる。
また、グリコールエーテルとして、非プロトン性極性溶媒よりも沸点の低いグリコールエーテルを用いて調製した懸濁液を用いた比較例3では、1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンのフッ素化工程を安定して進行させることができなかったことが分かる。
Claims (5)
- 1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンをアルカリ金属フッ素化物と接触させてオクタフルオロシクロペンテンを得る製造方法であって、
非プロトン性極性溶媒、及び前記非プロトン性極性溶媒よりも高沸点のグリコールエーテルを含む混合溶媒中に、前記アルカリ金属フッ素化物が懸濁してなる懸濁液を85℃以上に維持しつつ、前記懸濁液に対して1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを供給してフッ素化してオクタフルオロシクロペンテンを得るフッ素化工程と、
前記フッ素化工程にて生成された前記オクタフルオロシクロペンテンを回収する回収工程と、
を含む、オクタフルオロシクロペンテンの製造方法。 - 前記混合溶媒中における前記グリコールエーテルの体積割合が、前記非プロトン性極性溶媒100体積%に対して、10体積%以上30体積%以下である、請求項1に記載のオクタフルオロシクロペンテンの製造方法。
- 前記非プロトン性極性溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、又はN,N−ジメチルアセトアミドである、請求項1又は2に記載のオクタフルオロシクロペンテンの製造方法。
- 前記グリコールエーテルが、ポリエチレングリコールのジアルキルエーテル、又は、ポリプロピレングリコールのジアルキルエーテルである、請求項1〜3の何れかに記載のオクタフルオロシクロペンテンの製造方法。
- 前記グリコールエーテルが、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、及びジプロピレングリコールジメチルエーテルのうちの少なくとも一種を含む、請求項1〜4の何れかに記載のオクタフルオロシクロペンテンの製造方法。
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