JPWO2018181801A1 - ブロック共重合体及びブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

ブロック共重合体及びブロック共重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

工業的製造に適しており、ゴム組成物及び接着剤組成物に好適な、数平均分子量が100,000以上の芳香族ビニル化合物重合体とクロロプレン重合体のブロック共重合体を提供すること。
芳香族ビニル化合物重合体のブロックと、クロロプレン重合体のブロックと、をそれぞれ1つ以上含み、下記化学式(1)又は(2)で表される構造の官能基を有し、数平均分子量が100,000以上であり、前記クロロプレン重合体のブロックの数平均分子量が合計80,000以上である、ブロック共重合体。
【化1】
Figure 2018181801


【化2】
Figure 2018181801


(化学式(1)中、Rは、水素、塩素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロシクリル基を示す。)

Description

本技術は、ブロック共重合体及びブロック共重合体の製造方法に関する。より詳細には、芳香族ビニル化合物重合体のブロックと、クロロプレン重合体のブロックと、をそれぞれ1つ以上含む、ブロック共重合体及びブロック共重合体の製造方法に関する。
芳香族ビニル化合物重合体のブロック及びクロロプレン重合体のブロックを含むブロック共重合体が研究、開発されている。例えば、特許文献1の合成例9には、数平均分子量が4600の無水マレイン酸/スチレン交互共重合体−CRジブロック体が開示されている。特許文献1の合成例11には、数平均分子量が4800の無水マレイン酸/スチレン/メタクリル酸共重合体−CRジブロック体が開示されている。また、特許文献2には、アニオン重合によりスチレン/クロロプレン重合体を得る技術が開示されている。
特開2007−297502号公報 特開平3−207710号公報
特許文献1に記載のブロック共重合体は、数平均分子量が小さく、工業的な応用に耐えうる十分な分子量を有してない。工業的な応用に耐えうるには、数平均分子量が100,000以上であることが好ましい。
特許文献2に記載の技術は、有機溶剤を使用し低温且つ禁水の条件でアニオン重合を行わなければならず、工業的製造に適さない。また、特許文献2に記載のスチレン/クロロプレン重合体は、活性な官能基を有しないため物理的特性が劣る。
ところで、クロロプレン系重合体は、ゴム組成物や接着剤組成物として利用可能である事が知られている。しかしながら、特許文献2に記載のスチレン/クロロプレン重合体は活性な官能基を有していないため、物理的特性に優れたゴム組成物や接着剤組成物を得ることは困難であり、これら組成物の原料には適さない。
そこで、本発明は、工業的製造に適しており、ゴム組成物及び接着剤組成物に好適な、数平均分子量が100,000以上の芳香族ビニル化合物重合体とクロロプレン重合体のブロック共重合体を提供することを主目的とする。
すなわち、本発明は、芳香族ビニル化合物重合体のブロックと、クロロプレン重合体のブロックと、をそれぞれ1つ以上含み、下記化学式(1)又は(2)で表される構造の官能基を有し、数平均分子量が100,000以上であり、前記クロロプレン重合体のブロックの数平均分子量が合計80,000以上である、ブロック共重合体を提供する。
Figure 2018181801

Figure 2018181801

(化学式(1)中、Rは、水素、塩素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロシクリル基を示す。)
前記芳香族ビニル化合物は、スチレン、アルキルスチレン、アリールスチレン、ハロゲン化スチレン、アルコキシスチレン及びビニル安息香酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
また、本発明は、下記化学式(3)又は(4)で表される化合物の存在下で、芳香族ビニル化合物単独、又は芳香族ビニル化合物と他の単量体とをリビングラジカル乳化重合し、芳香族ビニル化合物重合体のブロックを合成した後、クロロプレン単独、又はクロロプレンと他の単量体とを混合してリビングラジカル乳化重合し、クロロプレン重合体のブロックを合成する、数平均分子量が100,000以上であり前記クロロプレン重合体のブロックの数平均分子量が合計80,000以上であるブロック共重合体の製造方法を提供する。
Figure 2018181801

Figure 2018181801

(化学式(3)中、Rは、水素、塩素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロシクリル基を示す。化学式(3)及び(4)中、R3〜5はそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環、置換もしくは無置換の飽和、不飽和もしくは芳香族の複素環、有機金属種、又は任意の重合体鎖を示す。)
また、本発明は、上記化学式(3)又は(4)で表される化合物の存在下で、クロロプレン単独、又はクロロプレンと他の単量体とを分添してリビングラジカル乳化重合し、クロロプレン重合体のブロックを合成した後、芳香族ビニル化合物単独、又は芳香族ビニル化合物と他の単量体とを混合してリビングラジカル乳化重合し、芳香族ビニル化合物重合体のブロックを合成する、数平均分子量が100,000以上であり前記クロロプレン重合体のブロックの数平均分子量が合計80,000以上であるブロック共重合体の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記ブロック共重合体を含む、組成物を提供する。
上記組成物は、ゴム組成物又は接着剤組成物であってもよい。
また、本発明は、上記組成物を含む、免震・防振用部品、ベルト、接着剤、自動車用部品、自動二輪用部品、航空機用部品、船舶用部品、鉄道車両用部品、医療・介護用部品、電子材料を提供する。
本発明により、工業的製造に適しており、ゴム組成物及び接着剤組成物に好適な、数平均分子量が100,000以上の芳香族ビニル化合物重合体とクロロプレン重合体のブロック共重合体が提供されうる。特には、本発明により、機械的強度及び減衰性に優れたゴム組成物、及び低粘度で耐熱強度に優れた接着剤組成物が提供されうる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<1.ブロック共重合体>
まず、本発明の一実施形態に係るブロック共重合体について説明する。当該ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物重合体のブロックと、クロロプレン重合体のブロックと、をそれぞれ1つ以上含む。
上記芳香族ビニル化合物重合体は、1種の芳香族ビニル化合物からなる単独重合体、2種以上の芳香族ビニル化合物からなる共重合体、又は芳香族ビニル化合物と他の単量体からなる共重合体でありうる。芳香族ビニル化合物は、スチレン、アルキルスチレン、アリールスチレン、ハロゲン化スチレン、アルコキシスチレン及びビニル安息香酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、スチレンがより好ましい。芳香族ビニル化合物と共重合体を形成する他の単量体としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、その他の共役ジエン類、アクリル酸及びそのエステル類、メタクリル酸及びそのエステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。芳香族ビニル化合物重合体は、好ましくは1種の芳香族ビニル化合物からなる単独重合体であり、より好ましくはポリスチレンである。
上記クロロプレン重合体は、クロロプレン(2−クロロ−1,3−ブタジエン)の単独重合体、又は、クロロプレンと他の単量体との共重合体でありうる。クロロプレンと共重合体を形成する他の単量体としては、例えば、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸及びそのエステル類、メタクリル酸及びそのエステル類などが挙げられる。クロロプレン重合体は、好ましくはクロロプレンの単独重合体(ポリクロロプレン)である。
ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は、工業的な応用に十分耐えうるよう、100,000以上であり、好ましくは120,000以上である。数平均分子量は、好ましくは250,000以下であり、より好ましくは220,000以下である。250,000以下とすることで、組成物への加工が容易なブロック共重合体が得られる。また、本実施形態のブロック共重合体は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)が、好ましくは1.3以上であり、より好ましくは1.6以上である。当該分子量分布は、一般的には6.0以下であり、好ましくは3.0以下である。ブロック共重合体の分子量分布がこのような範囲であると、当該ブロック共重合体を含有するゴム組成物及び接着剤組成物の物理的特性がより良好となる。
ブロック共重合体に含まれるクロロプレン重合体のブロックの数平均分子量は、合計80,000以上であり、好ましくは90,000以上であり、より好ましくは100,000以上である。クロロプレン重合体のブロックの数平均分子量が合計80,000未満のブロック共重合体を含有するゴム組成物は、機械的強度が劣るおそれがある。また、当該ブロック共重合体を含有する接着剤組成物は、耐熱強度が劣るおそれがある。
本明細書において、数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。
上記ブロック共重合体は、下記化学式(1)又は(2)で表される構造の官能基を有する。
Figure 2018181801

Figure 2018181801
上記化学式(1)中、Rは、水素、塩素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロシクリル基を示す。
活性官能基である上記官能基は、本実施形態のブロック共重合体同士を架橋する際に架橋点となり、当該ブロック共重合体を配合した組成物の物理的特性に変化を及ぼす。このため、当該ブロック共重合体は、ゴム組成物の機械的強度を向上させ、接着剤組成物の耐熱強度を改善する効果を奏する。
上記構造の官能基を有するブロック共重合体は、詳細は後述するが、特定の構造を有する化合物の存在下でリビングラジカル乳化重合反応を行うことにより得られる。リビングラジカル乳化重合反応において連鎖移動剤として用いられた化合物の一部構造が官能基として重合体に導入されることは、当業者に明らかであり、例えば一般的なRAFT重合に関する文献(Aust.J.Chem.2009,62,1402−1472)に記載されるとおりである。また、クロロプレン系重合体中、上記官能基の存在は、任意の方法で確認できるが、一般的には13C−NMR法が用いられる (J.Polym.Sci.,Part A:Polym.Chem.,2009,47,3118−3130等) 。十分な積算回数で、13C−NMR法による測定を行うことで上記官能基由来のピークを観測することができ、その存在を確認可能である。さらには、炭素13をエンリッチした、化学式(3)又は(4)で表される化合物を用いてリビングラジカル乳化重合反応を行って得られた重合体について同様の測定を行うことで当業者は上記官能基の存在を確認できる。
上記ブロック共重合体は、下記一般式(a)、(b)、(e)又は(f)により表される構造を有するジブロック共重合体を包含する。また、上記ブロック共重合体は、下記一般式(c)又は(d)により表される構造を有するトリブロック共重合体を包含する。
A−B−X ・・・(a)
B−A−X ・・・(b)
A−B−A−X ・・・(c)
B−A−B−X ・・・(d)
A−B−X−B−A ・・・(e)
B−A−X−A−B ・・・(f)
上記一般式(a)〜(f)中、Aは芳香族ビニル化合物重合体のブロック、Bはクロロプレン重合体のブロック、Xは上記化学式(1)又は(2)で表される官能基を示す。
本明細書において、ジブロック共重合体の第二ブロック部分のみの数平均分子量は、以下の式により算出する。
(第二ブロックの数平均分子量)=(第一ブロック+第二ブロックの数平均分子量)―(第一ブロックの数平均分子量)。
同様に、トリブロック共重合体の第三ブロック部分のみの数平均分子量は以下の式により算出する。
(第三ブロックの数平均分子量)=(第一ブロック+第二ブロック+第三ブロックの数平均分子量)―(第一ブロック+第二ブロックの数平均分子量)
ここで、第一ブロックの数平均分子量や第一ブロック+第二ブロックの数平均分子量、第一ブロック+第二ブロック+第三ブロックの数平均分子量は、それぞれ第一ブロック、第二ブロック、第三ブロックの重合が終了した段階で少量サンプリングしたポリマーのGPC分析により求めることが出来る。
上記ブロック共重合体は、下記化学式(5)〜(8)で表される構造のうち少なくとも1つを有してもよい。
Figure 2018181801

Figure 2018181801

Figure 2018181801

Figure 2018181801
上記化学式(5)〜(7)中、R6〜10はそれぞれ独立に、水素、塩素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロシクリル基を示す。上記化学式(8)中、Arは、アリール基を示す。
上記化学式(5)〜(7)で表される構造は、クロロプレン重合体のブロックを合成する際に生じうる。上記化学式(8)で表される構造は、芳香族ビニル化合物重合体のブロックを合成する際に生じうる。
<2.ブロック共重合体の製造方法>
次に、本発明の一実施形態に係るブロック共重合体の製造方法について説明する。上述したブロック共重合体は、当該製造方法により得られる。
本実施形態の製造方法は、始めに芳香族ビニル化合物重合体のブロックを合成し、後にクロロプレン重合体のブロックを合成する方法(製造方法I)と、始めにクロロプレン重合体のブロックを合成し、後に芳香族ビニル化合物の重合体のブロックを合成する方法(製造方法II)と、に大別される。以下、それぞれについて詳細に説明する。
<2−1.製造方法I>
製造方法Iでは、下記化学式(3)又は(4)で表される化合物の存在下で、芳香族ビニル化合物単独、又は芳香族ビニル化合物と他の単量体とをリビングラジカル乳化重合し、芳香族ビニル化合物重合体のブロックを合成した(第一ブロックの重合)後、クロロプレン単独、又はクロロプレンと他の単量体とを混合してリビングラジカル乳化重合し、クロロプレン重合体のブロックを合成する(第二ブロックの重合)。
Figure 2018181801

Figure 2018181801
上記化学式(3)中、Rは、水素、塩素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロシクリル基を示す。一般的にはRは上記一般式(1)のR1として重合体鎖に導入される置換基である。化学式(3)及び(4)中、R3〜5はそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環、置換もしくは無置換の飽和、不飽和もしくは芳香族の複素環、有機金属種、又は任意の重合体鎖を示す。
上記化学式(3)又は(4)で表される化合物は、リビングラジカル乳化重合において連鎖移動剤として機能する。当該化合物の残基が、製造されるブロック共重合体中に官能基として残存する。このため、本製造方法により得られるブロック共重合体は、上記化学式(1)又は(2)で表される構造の官能基を有する。
上記化学式(3)で表される化合物は特に限定されるものではなく一般的な化合物を使用することができ、例えばジチオカルバメート類、ジチオエステル類が挙げられる。具体的にはベンジル1−ピロールカルボジチオエート(慣用名:ベンジル1−ピロールジチオカルバメート)、ベンジルフェニルカルボジチオエート、1−ベンジル−N,Nジメチル−4−アミノジチオベンゾエート、1−ベンジル−4−メトキシジチオベンゾエート、1−フェニルエチルイミダゾールカルボジチオエート(慣用名:1−フェニルエチルイミダゾールジチオカルバメート)、ベンジル−1−(2−ピロリジノン)カルボジチオエート)(慣用名:ベンジル−1−(2−ピロリジノン)ジチオカルバメート)、ベンジルフタルイミジルカルボジチオエート、(慣用名:ベンジルフタルイミジルジチオカルバメート)、2−シアノプロプ−2−イル−1−ピロールカルボジチオエート、(慣用名:2−シアノプロプ−2−イル−1−ピロールジチオカルバメート)、2−シアノブト−2−イル−1−ピロールカルボジチオエート、(慣用名:2−シアノブト−2−イル−1−ピロールジチオカルバメート)、ベンジル−1−イミダゾールカルボジチオエート、(慣用名ベンジル−1−イミダゾールジチオカルバメート)、2−シアノプロプ−2−イル−N,N−ジメチルジチオカルバメート、ベンジル−N,N−ジエチルジチオカルバメート、シアノメチル−1−(2−ピロリドン)ジチオカルバメート、2−(エトキシカルボニルベンジル)プロプ−2−イル−N,N−ジエチルジチオカルバメート、1−フェニルエチルジチオベンゾエート、2−フェニルプロプ−2−イルジチオベンゾエート、1−酢酸−1−イル−エチルジチオベンゾエート、1−(4−メトキシフェニル)エチルジチオベンゾエート、ベンジルジチオアセテート、エトキシカルボニルメチルジチオアセタート、2−(エトキシカルボニル)プロプ−2−イルジチオベンゾエート、2−シアノプロプ−2−イルジチオベンゾエート、tert−ブチルジチオベンゾエート、2,4,4−トリメチルペンタ−2−イルジチオベンゾエート、2−(4−クロロフェニル)−プロプ−2−イルジチオベンゾエート、3−ビニルベンジルジチオベンゾエート、4−ビニルベンジルジチオベンゾエート、ベンジルジエトキシホスフィニルジチオフォルマート、tert−ブチルトリチオペルベンゾエート、2−フェニルプロプ−2−イル−4−クロロジチオベンゾエート、ナフタレン−1−カルボン酸−1−メチル−1−フェニル−エチルエステル、4−シアノ−4−メチル−4−チオベンジルスルファニル酪酸、ジベンジルテトラチオテレフタラート、カルボキシメチルジチオベンゾエート、ジチオベンゾエート末端基を持つポリ(酸化エチレン)、4−シアノ−4−メチル−4−チオベンジルスルファニル酪酸末端基を持つポリ(酸化エチレン)、2−[(2−フェニルエタンチオイル)スルファニル]プロパン酸、2−[(2−フェニルエタンチオイル)スルファニル]コハク酸、3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−カルボジチオエートカリウム、シアノメチル−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−カルボジチオエート、シアノメチルメチル−(フェニル)ジチオカルバメート、ベンジル−4−クロロジチオベンゾエート、フェニルメチル−4−クロロジチオベンゾエート、4−ニトロベンジル−4−クロロジチオベンゾエート、フェニルプロプ−2−イル−4−クロロジチオベンゾエート、1−シアノ−1−メチルエチル−4−クロロジチオベンゾエート、3−クロロ−2−ブテニル−4−クロロジチオベンゾエート、2−クロロ−2−ブテニルジチオベンゾエート、ベンジルジチオアセテート、3−クロロ−2−ブテニル−1H−ピロール−1−ジチオカルボン酸、2−シアノブタン−2−イル4−クロロ−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−カルボジチオエート、シアノメチルメチル(フェニル)カルバモジチオエートが挙げられる。これらのなかでも特に好ましくは、ベンジル1−ピロールカルボジチオエート、ベンジルフェニルカルボジチオエートが用いられる。
上記化学式(4)で表される化合物は、特に限定されるものではなく一般的な化合物を使用することができ、例えば、2−シアノ−2−プロピルドデシルトリチオカルボナート、ジベンジルトリチオカルボナート、ブチルベンジルトリチオカルボナート、2−[[(ブチルチオ)チオキソメチル]チオ]プロピオン酸、2−[[(ドデシルチオ)チオキソメチル]チオ]プロピオン酸、2−[[(ブチルチオ)チオキソメチル]チオ]コハク酸、2−[[(ドデシルチオ)チオキソメチル]チオ]コハク酸、2−[[(ドデシルチオ)チオキソメチル]チオ]−2−メチルプロピオン酸、2,2′−[カルボノチオイルビス(チオ)]ビス[2−メチルプロピオン酸]、2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチルブチルトリチオカルボナート、ベンジル2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1−メチル−2−オキソエチルトリチオカルボナート、3−[[[(tert−ブチル)チオ]チオキソメチル]チオ]プロピオン酸、シアノメチルドデシルトリチオカルボナート、ジエチルアミノベンジルトリチオカルボナート、ジブチルアミノベンジルトリチオカルボナートなどのトリチオカルボナート類が挙げられる。これらのなかでも特に好ましくは、ジベンジルトリチオカルボナート、ブチルベンジルトリチオカルボナートが用いられる。
上記化学式(3)又は(4)で表される化合物の量は、本実施形態で目的とするブロック共重合体を得るためには、重合で消費される全モノマー100モルに対して2モル以下が好ましい。
上記製造方法では、芳香族ビニル化合物重合体のブロックを合成するにあたり、芳香族ビニル化合物単独、又は芳香族ビニル化合物と他の単量体を用いる。上記芳香族ビニル化合物は、1種又は2種以上の芳香族ビニル化合物でありうる。芳香族ビニル化合物は、スチレン、アルキルスチレン、アリールスチレン、ハロゲン化スチレン、アルコキシスチレン及びビニル安息香酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、スチレンがより好ましい。上記他の単量体は、芳香族ビニル化合物と共重合可能であればよく、例えば、ブタジエン、イソプレン、その他の共役ジエン類、アクリル酸及びそのエステル類、メタクリル酸及びそのエステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。これらの中でも、1種の芳香族ビニル化合物を用いることが好ましく、スチレンを単独で用いることがより好ましい。
本製造方法では、芳香族ビニル化合物及び必要なその他の単量体と、上記化学式(3)又は(4)で表される化合物とを、乳化/分散剤を用いて水に乳化させた後にラジカル重合開始剤を添加して、乳化/分散剤のミセル内で重合反応を進行させることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイドなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、4−メトキシ−アゾビスバレロニトリルなどのアゾ化合物が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。ラジカル重合開始剤の量は、例えば、芳香族ビニル化合物単量体100質量部に対して0.001〜5質量部とすればよい。
乳化重合で使用する、乳化/分散剤は、特に限定されるものではないが、乳化安定性の観点からアニオン又はノニオン系の乳化/分散剤が好ましい。特に重合終了後の凍結凝固乾燥時のフィルム状の上記ブロック共重合体に、適当な強度を持たせて過度の収縮および破損を防ぐことができるという理由から、ロジン酸アルカリ金属塩を使用することが好ましい。ロジン酸は、樹脂酸、脂肪酸などの混合物である。樹脂酸としては、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマル酸、イソピマル酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロイソピマル酸、セコデヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸などが含まれ、脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸などが含まれている。これらの成分組成は、ガムロジン、ウッドロジン、トールロジンに分類されるロジン採取方法の違い、松の産地及び樹種、蒸留精製、不均化(不均斉化)反応によって変化するものであり、本発明では限定されない。乳化安定性や取り扱いやすさを考慮するとナトリウム塩またはカリウム塩の使用が好ましい。乳化/分散剤の濃度については、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜5質量%である。0.1質量%以上とすることで、単量体を十分に乳化することができ、10質量%以下とすることで、上記ブロック共重合体を固形にする際に、より析出しやすくなる。
芳香族ビニル化合物重合体のブロックを合成する際の重合温度は、単量体の種類などに応じて適宜決定されればよいが、10〜100℃が好ましく、70〜100℃が更に好ましい。
また、芳香族ビニル化合物重合体のブロックを合成する際の重合率は特に限定するものではないが、未反応の単量体の除去の効率より、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
芳香族ビニル化合物重合体のブロックを合成した後は、クロロプレン単独、又はクロロプレンと他の単量体とを混合してリビングラジカル乳化重合し、クロロプレン重合体のブロックを合成する(第二ブロックの重合)。当該他の単量体は、クロロプレンと共重合可能であればよく、例えば、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸及びそのエステル類、メタクリル酸及びそのエステル類などが挙げられる。これらの中でも、クロロプレンを単独で用いることが好ましい。
クロロプレン重合体のブロックの合成は、芳香族ビニル化合物重合体のブロックを取り出さずに連続してこれを含むラテックスに対してシード重合すればよいが、これに限定はされない。また、芳香族ビニル化合物重合体を含むラテックスは未反応の単量体を含んでいてもよい。芳香族ビニル化合物重合体のブロックを重合系内から一旦取り出した後に、当該芳香族ビニル化合物重合体のブロックとクロロプレンなどの単量体とを溶媒に溶解して、クロロプレン重合体のブロックを合成してもよい。
クロロプレン及び必要な他の単量体は、一括添加でも分添でも構わないが、重合系内に一括で添加することが好ましい。分添すると、ミセル中の芳香族ビニル化合物重合体のブロックの活性末端に対して、クロロプレン単量体が相対的に少ない状態となり、副反応の生じる可能性がある。一方、一括で添加すると、クロロプレン単量体が相対的に多い状態となるため制御重合性が向上する。
クロロプレン重合体のブロックを合成する際の重合温度は、クロロプレン重合体のブロックの安定性を確保するため、10〜50℃が好ましい。重合温度を10℃以上とすることで、乳化液の増粘や開始剤の効率をより向上させることができる。また、クロロプレンの沸点は約59℃であることから、重合温度を50℃以下とすることで、異常重合などにより発熱した場合であっても除熱が追いつかずに反応液が突沸する事態を回避することができる。リビング性についても、50℃以下とすることで、連鎖移動剤の加水分解の影響やモノマーの蒸発を考慮する必要がなくなるため好ましい。
また、クロロプレン重合体のブロックの重合率は、ブロック共重合体がゲル化することを防止するため、80%以下が好ましい。重合率の調整は、重合禁止剤を添加して重合反応を停止させることで行いうる。重合禁止剤としては、特に限定するものではないが、例えば、油溶性の重合禁止剤であるチオジフェニルアミン、4−ターシャリーブチルカテコール、2,2−メチレンビス−4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノールや、水溶性の重合禁止剤であるジエチルヒドロキシルアミンなどがある。
未反応単量体の除去は、減圧加熱などの公知の方法により行えばよい。その後、pHを調製し、凍結凝固、水洗、熱風乾燥などの工程を経て、固形状のブロック共重合体を回収すればよい。
得られるブロック共重合体は、数平均分子量が100,000以上であり、クロロプレン重合体のブロックの数平均分子量が合計80,000以上である。数平均分子量は、単量体とラジカル重合開始剤の仕込み比や、重合率を任意で設定することで調整すればよい。
また、得られるブロック共重合体は、上記一般式(a)〜(f)で表される構造のうち、一般式(a)「A−B−X」又は一般式(e)「A−B−X−B−A」で表される構造を有する。
本製造方法によりクロロプレン重合体のブロックを合成し、未反応単量体を除去した後、更に芳香族ビニル化合物単独、又は芳香族ビニル化合物と他の単量体とを混合してリビングラジカル乳化重合し、芳香族ビニル化合物重合体のブロックを更に合成してもよい(第三ブロックの重合)。これにより、上記一般式(c)「A−B−A−X」で表される構造を有するブロック共重合体を製造することができる。
芳香族ビニル化合物重合体のブロックを更に合成する際には、ブロック共重合体がゲル化することを防止するため、重合率を80%以下とすることが好ましい。その他の反応条件や処理は先の説明と同様である。
<2−2.製造方法II>
製造方法IIでは、上記化学式(3)又は(4)で表される化合物の存在下で、クロロプレン単独、又はクロロプレンと他の単量体とを分添してリビングラジカル乳化重合し、クロロプレン重合体のブロックを合成した(第一ブロックの重合)後、芳香族ビニル化合物単独、又は芳香族ビニル化合物と他の単量体とを混合してリビングラジカル乳化重合し、芳香族ビニル化合物重合体のブロックを合成する(第二ブロックの重合)。
製造方法IIの説明では、上記製造方法Iと異なる点について述べ、製造方法Iと同様の点はその説明を省略する。
本製造方法では、クロロプレン重合体のブロックを合成する際に、クロロプレン、又はクロロプレンと他の単量体の一部に連鎖移動剤を混合したものを初期に仕込み、残りのクロロプレン、又はクロロプレンと他の単量体とを分添する。クロロプレン単量体と連鎖移動剤を一括で添加して重合させると制御重合性の低下する可能性がある。
本製造方法では、まず、クロロプレン及び必要なその他の単量体のうち、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜50質量%、最も好ましくは20〜40質量%の単量体を、上記化学式(3)又は(4)で表される化合物と共に乳化/分散剤を用いて水に乳化させることが好ましい。その後、クロロプレン及び必要なその他の単量体を分添してリビングラジカル乳化重合を行い、クロロプレン重合体のブロックを合成する。
クロロプレン重合体のブロックの重合率は、ブロック共重合体がゲル化することを防止するため、80%以下が好ましい。重合率の調整は、重合禁止剤を添加して重合反応を停止させることで行いうる。重合禁止剤としては、特に限定するものではないが、例えば、油溶性の重合禁止剤であるチオジフェニルアミン、4−ターシャリーブチルカテコール、2,2−メチレンビス−4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノールや、水溶性の重合禁止剤であるジエチルヒドロキシルアミンなどがある。
クロロプレン重合体のブロックを合成した後、未反応単量体を除去することが好ましい。その後、芳香族ビニル化合物単独、又は芳香族ビニル化合物と他の単量体とを混合してリビングラジカル乳化重合し、芳香族ビニル化合物重合体のブロックを合成する。芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な単量体は、一括添加してもよい。
得られるブロック共重合体は、上記一般式(a)〜(f)で表される構造のうち、一般式(b)「B−A−X」又は一般式(f)「B−A−X−A−B」で表される構造を有する。
本製造方法により芳香族ビニル化合物重合体のブロックを合成し、未反応単量体を除去した後、クロロプレン単独、又はクロロプレンと他の単量体とを混合してリビングラジカル乳化重合し、クロロプレン重合体のブロックを更に合成してもよい(第三ブロックの重合)。これにより、上記一般式(d)「B−A−B−X」で表される構造を有するブロック共重合体を製造することができる。
芳香族ビニル化合物重合体のブロックを合成する際の重合率は特に限定するものではないが、未反応の単量体の除去の効率性より、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
クロロプレン重合体のブロックを更に合成する際には、クロロプレン及び必要な他の単量体を一括で添加することが好ましい。これにより、芳香族ビニル化合物重合体のブロックに対してクロロプレン単量体が十分量存在する条件下で重合反応を行うことができ、クロロプレン重合体のブロックの合成がスムーズに進行する。
上述したように、本実施形態の製造方法は、芳香族ビニル化合物重合体のブロックとクロロプレン重合体のブロックとを含むブロック共重合体を、リビングラジカル乳化重合により製造する。従前より、アニオン重合を用いてスチレン/クロロプレン重合体を得る技術は知られているが(上記特許文献2)、当該アニオン重合は、−70〜0℃といった低温で行わなければならず、また、有機溶剤を使用した禁水条件下で反応を行う必要があることから、工業的製造には適していない。しかしながら、本実施形態の製造方法は、アニオン重合を用いずにブロック共重合体を製造可能であるため、工業的製造に好適である。
クロロプレン重合体のブロックの重合率は、ブロック共重合体がゲル化することを防止するため、80%以下が好ましい。重合率の調整は、重合禁止剤を添加して重合反応を停止させることで行いうる。重合禁止剤としては、特に限定するものではないが、例えば、油溶性の重合禁止剤であるチオジフェニルアミン、4−ターシャリーブチルカテコール、2,2−メチレンビス−4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノールや、水溶性の重合禁止剤であるジエチルヒドロキシルアミンなどがある。
<3.組成物>
本発明の一実施形態に係る組成物は、上記ブロック共重合体を含み、好ましくはゴム組成物又は接着剤組成物である。上記ブロック共重合体を含むゴム組成物は、機械的強度及び減衰性に優れる。また、上記ブロック共重合体を含む接着剤組成物は、低粘度で耐熱強度に優れる。
本実施形態の組成物において、ブロック共重合体以外の原料は特に限定されず、目的や用途に応じて適宜選択することができる。ゴム組成物に含有されうる原料としては、例えば、加硫剤、加硫促進剤、充填剤または補強剤、可塑剤、加工助剤や滑剤、老化防止剤、シランカップリング剤などが挙げられる。
添加可能な加硫剤としては、クロロプレンゴムの加硫に一般に用いられる硫黄、チオウレア系、グアニジン系、チウラム系、チアゾール系の有機加硫剤が使用できるが、チオウレア系のものが好ましい。チオウレア系の加硫剤としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア、トリエチルチオウレア、N,N’−ジフェニルチオウレア等が挙げられ、特にトリメチルチオウレア、エチレンチオウレアが好ましい。また、3−メチルチアゾリジンチオン−2−ジメチルアンモニウムハイドロジエンイソフタレートあるいは1,2−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール誘導体等の加硫剤も使用することができる。これらの加硫剤は、上記に挙げたものを2種以上併用してもよい。また、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、バリウム、ゲルマニウム、チタニウム、錫、ジルコニウム、アンチモン、バナジウム、ビスマス、モリブデン、タングステン、テルル、セレン、鉄、ニッケル、コバルト、オスミウムなどの金属単体、及びこれら金属の酸化物や水酸化物を加硫剤として使用することができる。これら添加可能な加硫剤のなかでも、特に、酸化カルシウムや酸化亜鉛、二酸化アンチモン、三酸化アンチモン、酸化マグネシウムは、加硫効果が高いため好ましい。また、これらの加硫剤は2種以上を併用してもよい。なお、加硫剤は、本実施形態のゴム組成物中のゴム成分100質量部に対して合計で0.1質量部以上10質量部以下の範囲で添加することが好ましい。
充填剤または補強剤は、ゴムの硬さを調整したり機械強度を向上させるために添加するものであり特に限定はないが、例えばカーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウムが挙げられる。その他の無機充填剤として特に限定するものではないが、γ−アルミナ及びα−アルミナなどのアルミナ(Al)、ベーマイト及びダイアスポアなどのアルミナ一水和物(Al・HO)、ギブサイト及びバイヤライトなどの水酸化アルミニウム[Al(OH)]、炭酸アルミニウム[Al(CO]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)]、炭酸マグネシウム(MgCO)、タルク(3MgO・4SiO・HO)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO・9HO)、チタン白(TiO)、チタン黒(TiO2n−1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al)、クレー(Al・2SiO)、カオリン(Al・2SiO・2HO)、パイロフィライト(Al・4SiO・HO)、ベントナイト(Al・4SiO・2HO)、ケイ酸アルミニウム(AlSiO、Al・3SiO・5HOなど)、ケイ酸マグネシウム(MgSiO、MgSiOなど)、ケイ酸カルシウム(CaSiOなど)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al・CaO・2SiOなど)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO)、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)・nHO]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO3)]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩などを使用してもよい。充填剤及び補強剤は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。これら充填剤及び補強剤の配合量は、要求される本実施形態のゴム組成物やその加硫成形体の物性に応じて調整すればよく、特に限定するものではないが、本実施形態のゴム組成物中のゴム成分100質量部に対して通常は合計で15質量部以上200質量部以下の範囲で添加することができる。
可塑剤は、ゴムと相溶性のある可塑剤であれば特に制限はないが、例えば菜種油、アマニ油、ヒマシ油、ヤシ油などの植物油、フタレート系可塑剤、DUP(フタル酸ジウンデシル)、DOS(セバシン酸ジオクチル)、DOA(アジピン酸ジオクチル)、エステル系可塑剤、エーテルエステル系可塑剤、チオエーテル系可塑剤、アロマ系オイル、ナフテン系オイル、潤滑油、プロセスオイル、パラフィン、流動パラフィン、ワセリン、石油アスファルトなどの石油系可塑剤などがあり、本実施形態のゴム組成物や該組成物の加硫成形体に要求される特性に合わせて1種もしくは複数を使用することができる。可塑剤の配合量には特に限定はないが、本実施形態のゴム組成物中のゴム成分100質量部に対して通常は合計で5質量部以上50質量部以下の範囲で配合することができる。
ゴム組成物を混練したり加硫成形したりする際に、ロールや成形金型、押出機のスクリューなどから剥離しやすくなるようにするなど、加工特性や表面滑性を向上させるために添加する加工助剤や滑剤としては、ステアリン酸などの脂肪酸あるいはポリエチレンなどのパラフィン系加工助剤、脂肪酸アミドなどを挙げることができる。加工助剤及び滑剤は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。その添加量には特に限定はないが、通常は本実施形態のゴム組成物中のゴム成分100質量部に対して合計で0.5質量部以上5質量部以下である。
耐熱性を向上させる老化防止剤として、通常のゴム用途に使用されている、ラジカルを捕捉して自動酸化を防止する一次老化防止剤と、ハイドロパーオキサイドを無害化する二次老化防止剤を添加することができる。それらの老化防止剤はゴム組成物中のゴム成分100質量部に対して、それぞれ0.1質量部以上10質量部以下の割合で添加することができ、好ましくは2質量部以上5質量部以下の範囲である。これらの老化防止剤は単独使用のみならず2種以上を併用することも可能である。なお、一次老化防止剤の例としては、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤、アクリレート系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、カルバミン酸金属塩、ワックスを挙げることができ、また、二次老化防止剤として、リン系老化防止剤、硫黄系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤などを挙げることができる。老化防止剤の例として特に限定するものではないが、N−フェニル−1−ナフチルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4´−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N´−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N´−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N´−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N´−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N´−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4´−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、7−オクタデシル−3−(4´−ヒドロキシ−3´,5´−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス−[メチレン−3−(3´,5´−ジ−tert−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N´−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)−ヒドロシンナアミド、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−ホスホネート−ジエチルエステル、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメイト)]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル及び3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(ノニル・フェニル)フォスファイト、トリス(混合モノ−及びジ−ノニルフェニル)フォスファイト、ジフェニル・モノ(2−エチルヘキシル)フォスファイト、ジフェニル・モノトリデシル・フォスファイト、ジフェニル・イソデシル・フォスファイト、ジフェニル・イソオクチル・フォスファイト、ジフェニル・ノニルフェニル・フォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)フォスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコール・ジフォスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラフォスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルフォスファイト−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチル−ジ−トリデシルフォスファイト)、2,2´−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)フルオロフォスファイト、4,4´−イソプロピリデン−ジフェノールアルキル(C12〜C15)フォスファイト、環状ネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニルフォスファイト)、環状ネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−フェニルフォスファイト)、環状ネオペンタンテトライルビス(ノニルフェニルフォスファイト)、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジブチルハイドロゲンフォスファイト、ジステアリル・ペンタエリスリトール・ジフォスファイト及び水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトールフォスファイト・ポリマーなどが挙げられる。
上記ブロック共重合体や天然ゴム等のゴム成分と充填剤や補強剤との接着性を高め、機械的強度を向上させるために、さらにシランカップリング剤を添加することもできる。シランカップリング剤はゴム組成物を混練する際に加えても、充填剤または補強剤を予め表面処理する形で加えてもどちらでも構わない。シランカップリング剤は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。特に限定するものではないが、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(3−トリメトキシンリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス−(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3−ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリンドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリロイルモノスルフィド、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、フエニルトリメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、ジフエニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリッフエニルクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、トリエチルクロロシランなどが例として挙げられる。
本実施形態の接着剤組成物は溶剤系接着剤組成物であることが好ましい。溶剤系接着剤組成物に含有されうる原料としては、例えば、溶剤、金属酸化物、粘着付与樹脂、老化防止剤、ホルムアルデヒドキャッチャー剤、充填剤、ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤や、ヒンダードアミン等の光安定剤などが挙げられる。
溶剤は、シックハウス症候群の原因物質となるトルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族系溶剤ではなく、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの非芳香族系溶剤であって、単独では上記ブロック共重合体の溶解性に乏しい貧溶媒同士の混合体のみにて上記ブロック共重合体を溶解することが好ましい。溶剤の使用量は、接着剤の用途や種類によって適宜調整すればよく、特に限定するものではないが、上記ブロック共重合体の固形分濃度が10〜30質量%となるように調整すると、接着剤としての、耐熱接着力、初期接着力のバランスが良好となるため好ましい。
金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等を用いることができる。
粘着付与樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂、ロジン樹脂、クマロン樹脂、石油樹脂等を用いることができる。
老化防止剤としては、例えば、2,2´−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N´−ヘキサン−1,6−ジイルビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシアルキルエステル、ジエチル[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ホスホネート、3,3´,3´´,5,5´,5´´−ヘキサ−t−ブチル−a,a´,a´´−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)ポロピオネート]、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等を用いることができる。
ホルムアルデヒドキャッチャー剤としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、メラミン、ジシアンジアミド、尿素、エチレン尿素、4,5−ジメトキシエチレン尿素、プロピレン尿素、5−メチルプロピレン尿素、5−ヒドロキシプロピレン尿素、5−メトキシプロピレン尿素、オキサリル尿素(パラバン酸)、ヒドラゾベンゾチアゾール、セミカルバジド、チオセミカルバジドを用いることができ、これにより有害な揮発性物質であるホルムアルデヒドを捕捉できる。
充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、クレー、スメクタイト、シリカ、ハイドロタルサイトやマイカ等を用いることができる。
上記ゴム組成物及び接着剤組成物は、公知の機械や装置を用いて常法に従って製造することができる。
上記組成物を含む製品の製造方法は、上記組成物を配合しさえすれば特に限定されない。上記組成物は、そのまま使用してもよく加硫してから使用してもよい。
<4.組成物を含む製品>
本発明の一実施形態に係る製品は、上記組成物を含む。本実施形態の製品は、好ましくは、免震・防振用部品、ベルト、接着剤、自動車用部品、自動二輪用部品、航空機用部品、船舶用部品、鉄道車両用部品、医療・介護用部品、電子材料である。これらの製品のうち、接着剤は上記接着剤組成物を含み、その他の製品は上記ゴム組成物を含む。上記ゴム組成物を含む製品は、機械的強度及び減衰性に優れる。また、上記接着剤組成物を含む接着剤は、低粘度で耐熱強度に優れる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の例において言及される分子量及び重合率(重合転化率ともいう)は、以下のとおりに測定された。
<分子量の測定>
得られたクロロプレンスチレンジブロック共重合体及び途中サンプリングで得られた重合体又は共重合体の数平均分子量Mn、質量平均分子量Mw、及び分子量分布(Mw/Mn)は、これら共重合体又は重合体のサンプルを、THFで濃度0.1質量%に調整した後、TOSOH HLC−8320GPCにより測定された(標準ポリスチレン換算)。当該測定において、プレカラムとしてTSKガードカラムHHR−H、及び、分析カラムとしてHSKgelGMHHR−H3本が使用された。当該測定において、サンプルポンプ圧8.0〜9.5MPa、流量1mL/min、及び40℃でサンプルを流出させた。検出は、示差屈折計により行われた。流出時間と分子量との関係を示す較正曲線は、以下にあげる分子量を有する既知の標準ポリスチレンサンプル計9点を測定して作成した校正曲線を用いた。(Mw=8.42×10、1.09×10、7.06×10、4.27×10、1.90×10、9.64×10、3.79×10、1.74×10、2.63×10)。当該較正曲線と各サンプルの流出時間とに基づき、各サンプル中の共重合体又は重合体の分子量が得られた。
<重合率>
重合開始からある時刻までの重合率は、サンプリングしたラテックス(乳化重合液)を加熱風乾することで乾燥重量から算出した。具体的には、以下の一般式(XII)より計算した。重合途中の乾燥重量は、ラテックスに対して乾燥重量に影響を与えない程度の少量の重合禁止剤を添加し、一般式(XII)より計算した。
重合率[%]={(総仕込み量[g]×固形分濃度[質量%]/100)−(蒸発残分[g])}/モノマー仕込み量[g]×100 ・・・(XII)
式中、固形分濃度は、サンプリングしたラテックス2gを130℃中で加熱し溶媒(水)、揮発性薬品、及び原料を除いた後、加熱前後の質量変化から揮発分を除いて求めた固形分の濃度(質量%)である。総仕込み量及び蒸発残分は重合処方より計算した。総仕込み量とは、重合開始からある時刻までに重合缶に仕込んだ原料、試薬、及び溶媒(水)の総量である。蒸発残分とは、重合開始からある時刻までに仕込んだ薬品及び原料のうち、130℃の条件下で揮発せずにポリマーと共に固形分として残留する薬品及び原料の質量を表す。モノマー仕込み量は、重合缶に初期に仕込んだモノマー及び重合開始からある時刻までに分添したモノマーの量の合計である。
共重合体の各ブロックの重合率も同様に、サンプリングしたラテックス(乳化重合液)を加熱風乾することで乾燥重量から算出した。具体的には、一般式(XII)より計算した。重合途中の乾燥重量は、ラテックスに対して乾燥重量に影響を与えない少量の重合禁止剤を添加し、一般式(XII)より計算した。式中、固形分濃度は、サンプリングしたラテックス2gを130℃中で加熱し溶媒(水)、揮発性薬品及び原料を除いた後、加熱前後の質量変化から揮発分を除いて求めた固形分の濃度(質量%)である。総仕込み量及び蒸発残分は重合処方より計算した。総仕込み量とは、重合開始からある時刻までに重合缶に仕込んだ原料、試薬、及び溶媒(水)の総量である。蒸発残分とは、重合開始からある時刻までに仕込んだ薬品及び原料のうち、130℃の条件下で揮発せずにポリマーと共に固形分として残留する薬品の重量を表す。前ブロックまでに重合したポリマーの質量も、蒸発残分に含む。モノマー仕込み量は、重合缶に初期に仕込んだモノマー及び重合開始からある時刻までに分添したモノマーの量の合計である。
<ジブロック共重合体の製造>
[実施例1]
(ポリスチレンブロックの合成)
500ml三口セパラブルフラスコ中で、水100gに水酸化ナトリウム50mg、ナフタリンスルホン酸・ホルマリン縮合物ソーダ1.0g、不均化トールロジンカリウム塩4.43gを溶解させ、窒素フローによる脱気をオイルバスで30℃に保ち10分間行なった。
次に、活性アルミナカラムで安定剤を取り除いたスチレンモノマー(デンカ株式会社製)5gとベンジル1−ピロールカルボジチオエート(シグマアルドリッチジャパン製)200mgを上記セパラブルフラスコに添加し、30℃のオイルバスで10分間乳化させた。
得られた乳化液を80℃まで昇温し、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(和光純薬工業株式会社製)の2.00重量%水溶液6.52gを添加し、重合を開始した。4時間後、25℃まで降温させて重合を停止させ、ポリスチレンマクロモノマーラテックスを得た。以上の手順により、ポリスチレンのブロック(第一ブロック)を合成した。
スチレンモノマーの重合転化率は、ポリスチレンマクロモノマーラテックスを加熱風乾することで乾燥重量から算出し、90%以上であることを確認した。また、この乾燥サンプルをGPC分析に用いて、第一ブロックの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
(ポリクロロプレンブロックの合成)
次に、45℃に加熱した上記ポリスチレンマクロモノマーラテックス中に、安定剤を蒸留により除去したクロロプレンモノマー95gを添加し、クロロプレンモノマーの重合転化率が80%になるまで重合を行った後、N,N−ジエチルヒドロキシルアミンの10.0重量%水溶液を添加することで重合反応を停止させ、減圧蒸留により残留クロロプレンモノマーを除去した。以上の手順により、ポリクロロプレンのブロック(第二ブロック)を合成した。
得られたクロロプレンスチレンジブロック共重合体ラテックスを加熱風乾することにより、乾燥重量からクロロプレンモノマーの重合転化率を算出した。また、この乾燥サンプルをGPC分析に用いて、第二ブロックの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
(クロロプレンスチレンジブロック共重合体のドライアップ)
得られたクロロプレンスチレンジブロック共重合体ラテックスをpH7.0に調整し、−20℃に冷やした金属板上に凍結凝固させることで乳化破壊した。得られたシートを水洗し、130℃で15分間乾燥させることにより、実施例1の固形状のクロロプレンスチレンジブロック共重合体を得た。当該クロロプレンスチレンジブロック共重合体をGPC分析に用いて、ジブロック共重合体全体(第一ブロック+第二ブロック)の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
[実施例2]
実施例1のスチレンモノマーの仕込み量を10gに、クロロプレンモノマー仕込み量を90gに変更した以外は、実施例1と同様の手順により実施例2のクロロプレンスチレンジブロック共重合体を得た。なお、スチレンモノマーの重合転化率は、ポリスチレンマクロモノマーラテックスを加熱風乾することで乾燥重量から算出し、90%以上であることを確認した。
[実施例3]
実施例1のスチレンモノマーの仕込み量を15gに、クロロプレンモノマーの仕込み量を85gに変更した以外は、実施例1と同様の手順により実施例3のクロロプレンスチレンジブロック共重合体を得た。なお、スチレンモノマーの重合転化率は、ポリスチレンマクロモノマーラテックスを加熱風乾することで乾燥重量から算出し、90%以上であることを確認した。
[実施例4]
実施例1のベンジル1−ピロールカルボジチオエート200mgをジベンジルトリチオカーボネート161mgに変更した以外は、実施例1と同様の手順により実施例4のクロロプレンスチレンジブロック共重合体を得た。なお、スチレンモノマーの重合転化率は、ポリスチレンマクロモノマーラテックスを加熱風乾することで乾燥重量から算出し、90%以上であることを確認した。
[比較例1]
実施例3のベンジル1−ピロールカルボジチオエートの添加量200mgを278mgに変更した以外は、実施例3と同様の手順により、数平均分子が100,000未満である比較例1のクロロプレンスチレンジブロック共重合体を得た。なお、スチレンモノマーの重合転化率は、ポリスチレンマクロモノマーラテックスを加熱風乾することで乾燥重量から算出し、90%以上であることを確認した。
[比較例2]
実施例1のスチレンモノマーの仕込み量を50gに、クロロプレンモノマーの仕込み量を50gに変更した以外は、実施例1と同様の手順により、クロロプレン重合体のブロックの数平均分子が合計80,000未満である比較例2のクロロプレンスチレンジブロック共重合体を得た。なお、スチレンモノマーの重合転化率は、ポリスチレンマクロモノマーラテックスを加熱風乾することで乾燥重量から算出し、90%以上であることを確認した。
実施例1〜3及び比較例1、2は、上記一般式(a)「A−B−X」で表される構造を有するジブロック共重合体である。また、実施例4は、上記一般式(e)「A−B−X−B−A」で表される構造を有するジブロック共重合体である。
[比較例3]
(クロロプレンホモポリマーの合成)
500ml三口セパラブルフラスコ中で、水100gに水酸化ナトリウム50mg、ナフタリンスルホン酸・ホルマリン縮合物ソーダ1.0g、不均化トールロジンカリウム塩4.43gを溶解させ、窒素フローによる脱気をオイルバスで30℃に保ち10分間行なった。
次に、減圧蒸留により安定剤を取り除いたクロロプレンモノマー100gとジエチルザントゲンスルフィド1.00gを上記セパラブルフラスコに添加し、30℃のオイルバスで10分間乳化させた。得られた乳化液を35℃まで昇温し、過硫酸カリウムの2.00重量%水溶液を添加し、重合率が60%に到達するまで重合を行った。N,N−ジエチルヒドロキシルアミンの10.00重量%水溶液を添加することで反応を停止させ、減圧蒸留により残留クロロプレンモノマーを除去する事でクロロプレンホモポリマーラテックスを得た。
(クロロプレンホモポリマーのドライアップ)
得られたクロロプレンホモポリマーラテックスをpH7.0に調整し、−20℃に冷やした金属板上に凍結凝固させることで乳化破壊した。得られたシートを水洗し、130℃で15分間乾燥させることにより、比較例3の固形状のクロロプレンホモポリマーを得た。当該クロロプレンホモポリマーをGPC分析に用いて、クロロプレンホモポリマーの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
[比較例4]
(クロロプレンホモポリマーの合成)
500ml三口セパラブルフラスコ中で、水100gに水酸化ナトリウム50mg、ナフタリンスルホン酸・ホルマリン縮合物ソーダ1.0g、不均化トールロジンカリウム塩4.43gを溶解させ、窒素フローによる脱気をオイルバスで30℃に保ち10分間行なった。
次に、減圧蒸留により安定剤を取り除いたクロロプレンモノマー100gと1−ドデカンチオール1.00gを上記セパラブルフラスコに添加し、30℃のオイルバスで10分間乳化させた。得られた乳化液を35℃まで昇温し、過硫酸カリウムの2.00重量%水溶液を添加し、重合率が65%に到達するまで重合を行った。N,N−ジエチルヒドロキシルアミンの10.00重量%水溶液を添加することで反応を停止させ、減圧蒸留により残留クロロプレンモノマーを除去する事でクロロプレンホモポリマーラテックスを得た。また、この乾燥サンプルをGPC分析に用いて、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。結果、数平均分子量(Mn)は22.3×10g/mol、重量平均分子量(Mw)は63.4×10g/mol、分子量分布(Mw/Mn)は2.84であった。
(スチレンホモポリマーの合成)
500ml三口セパラブルフラスコ中で、水100gに水酸化ナトリウム50mg、ナフタリンスルホン酸・ホルマリン縮合物ソーダ1.0g、不均化トールロジンカリウム塩4.43gを溶解させ、窒素フローによる脱気をオイルバスで30℃に保ち10分間行なった。
次に、活性アルミナカラムで安定剤を取り除いたスチレンモノマー(デンカ株式会社製)10gとベンジル1−ピロールカルボジチオエート(シグマアルドリッチジャパン製)200mgを上記セパラブルフラスコに添加し、30℃のオイルバスで10分間乳化させた。
得られた乳化液を80℃まで昇温し、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(和光純薬工業株式会社製)の2.00重量%水溶液6.52gを添加し、重合を開始した。4時間後、25℃まで降温させて重合を停止させ、ポリスチレンマクロモノマーラテックスを得た。
スチレンモノマーの重合転化率は、ポリスチレンマクロモノマーラテックスを加熱風乾することで乾燥重量から算出し、90%以上であることを確認した。また、この乾燥サンプルをGPC分析に用いて、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。結果、数平均分子量(Mn)は1.4×10g/mol、重量平均分子量(Mw)は1.7×10g/mol、分子量分布(Mw/Mn)は1.24であった。
(クロロプレンホモポリマーとスチレンホモポリマーのブレンド物の作製)
得られたラテックス状のクロロプレンホモポリマー中の固形分90質量部に対し、固形分が10質量部になるようにラテックス状のスチレンホモポリマーを添加し、60分間撹拌混合し、クロロプレンホモポリマーとスチレンホモポリマーのブレンド物のラテックスを得た。
(クロロプレンホモポリマーとスチレンホモポリマーのブレンド物のドライアップ)
得られたクロロプレンホモポリマーとスチレンホモポリマーのブレンド物のラテックスをpH7.0に調整し、−20℃に冷やした金属板上に凍結凝固させることで乳化破壊した。得られたシートを水洗し、130℃で15分間乾燥させることにより、比較例4の固形状のクロロプレンホモポリマーとスチレンホモポリマーのブレンド物を得た。
<ゴムの製造>
実施例1〜4又は比較例1〜4の重合体100質量部と、N-フェニル-1-ナフチルアミン1質量部、カーボンブラック(SRF;旭カーボーン社製旭#50)30質量部、酸化マグネシウム(協和化学工業社製キョーワマグ#150)4質量部、酸化亜鉛(堺化学社製)5質量部、エチレンチオウレア(川口化学社製アクセル22S)0.5質量部とを、8インチロールを用いて混練りし、ゴム組成物を得た。
得られたゴム組成物を、電熱プレスを用いて、160℃、20分間の熱処理を行って加硫ゴムを作製した。
<ゴム物性の評価>
上記加硫ゴムの破断強度及び破断伸びは、JIS K6251に準拠して測定した。破断強度は20MPa以上を合格とし、破断伸びは300%以上を合格とした。また、上記加硫ゴムの減衰性は、JIS K6394に準拠し、25%引張試験時のヒステリシスロスを測定した。減衰性は9.0×10−3J以上を合格とした。
<接着剤の製造>
アルキルフェノール樹脂(タマノル526:荒川化学工業社製)50質量部と酸化マグネシウム(キョウワマグ#150:協和化学工業社製)3質量部をシクロヘキサン100質量部に溶解させて、室温下、16時間キレート化反応させた。
次に、そのシクロヘキサン溶液に対して、実施例1〜4又は比較例1〜4の重合体100質量部、酸化マグネシウム3質量部、酸化亜鉛1質量部、シクロヘキサン90質量部、メチルエチルケトン190質量部を加え、実施例1〜4又は比較例1〜4の重合体が完全に溶解するまで混合撹拌し、接着剤を得た。
<接着剤の評価>
60℃における接着剤の耐熱強度を、次の手順により測定した。まず、帆布(25mm×150mm)2枚それぞれに、接着剤を3000g/m塗布した。その後、オープンタイムを30分として、ハンドローラーで5往復した。そして、セットタイム10日後の被着体を、60℃の恒温槽付きの引張試験機で50mm/minの条件で引っ張り、剥離強度を測定した。耐熱強度は、1.0N/mm以上を合格とした。
接着剤の溶液粘度は、ブルックフィールド型粘度計を用いて25℃で測定した。溶液粘度は、150mPa・s以下を合格とした。
実施例1〜4及び比較例1〜4の結果を下記表1に示す。表1中、「PS」はポリスチレン、「PCP」はポリクロロプレンを意味し、「CP/St」はホモポリクロロプレンラテックスとホモポリスチレンラテックスのブレンド物であることを意味する。
Figure 2018181801
表1に示すように、実施例1〜4のジブロック共重合体を含むゴムは、破断強度、破断伸び、減衰性が優れていた。また、実施例1〜4のジブロック共重合体を含む接着剤は、低粘度で耐熱強度に優れていた。
一方、比較例1、2又は4の重合体を含むゴムは、実施例と同等の硬度を有していたが、破断強度が劣っていた。比較例1のジブロック共重合体を含む接着剤は、耐熱強度が劣っていた。比較例2のジブロック共重合体を含む接着剤は、耐熱性を有していなかった。また、比較例3又は4の重合体を含む接着剤は、溶液粘度が高すぎて塗工性が悪かった。
<トリブロック共重合体の製造>
[実施例5]
(ポリスチレンブロックの合成)
500ml三口セパラブルフラスコ中で、水100gに水酸化ナトリウム50mg、ナフタリンスルホン酸・ホルマリン縮合物ソーダ1.0g、不均化トールロジンカリウム塩4.43gを溶解させ、窒素フローによる脱気をオイルバスで30℃に保ち10分間行なった。
次に、活性アルミナカラムで安定剤を取り除いたスチレンモノマー(デンカ株式会社製)5gとベンジル1−ピロールカルボジチオエート(シグマアルドリッチジャパン製)200mgを上記セパラブルフラスコに添加し、30℃のオイルバスで10分間乳化させた。
得られた乳化液を80℃まで昇温し、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(和光純薬工業株式会社製)の2.00重量%水溶液6.52gを添加し、重合を開始した。4時間後、25℃まで降温させて重合を停止させ、ポリスチレンマクロモノマーラテックスを得た。以上の手順により、ポリスチレンのブロック(第一ブロック)を合成した。
スチレンモノマーの重合転化率は、ポリスチレンマクロモノマーラテックスを加熱風乾することで乾燥重量から算出し、90%以上であることを確認した。また、この乾燥サンプルをGPC分析に用いて、第一ブロックの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
(ポリクロロプレンブロックの合成)
次に、45℃に加熱した上記ポリスチレンマクロモノマーラテックス中に、安定剤を蒸留により除去したクロロプレンモノマー90gを添加し、クロロプレンモノマーの重合転化率が80%になるまで重合を行った後、N,N−ジエチルヒドロキシルアミンの10.0重量%水溶液を添加することで重合反応を停止させ、減圧蒸留により残留クロロプレンモノマーを除去した。以上の手順により、ポリクロロプレンのブロック(第二ブロック)を合成した。
クロロプレンスチレンジブロック共重合体ラテックスを加熱風乾することにより、乾燥重量からクロロプレンモノマーの重合転化率を算出した。また、この乾燥サンプルをGPC分析に用いて、第二ブロックの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
(ポリスチレンブロックの合成)
次に、クロロプレンスチレンジブロック共重合体ラテックス中に、活性アルミナカラムで安定剤を取り除いたスチレンモノマー(デンカ株式会社製)5gを添加し常温で20分間撹拌した後、80℃まで加熱した。2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(和光純薬工業株式会社製)の2.00重量%水溶液を6.52g添加し、重合を行った後、25℃まで冷却し重合を停止させた。以上の手順により、ポリスチレンのブロック(第三ブロック)を合成した。
スチレンクロロプレンスチレントリブロック共重合体ラテックスを加熱風乾することにより、乾燥重量からスチレンモノマーの重合転化率を算出し、90%以上であることを確認した。また、この乾燥サンプルをGPC分析に用いて、第三ブロックの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
(スチレンクロロプレンスチレントリブロック共重合体のドライアップ)
得られたスチレンクロロプレンスチレントリブロック共重合体ラテックスをpH7.0に調整し、−20℃に冷やした金属板上に凍結凝固させることで乳化破壊した。得られたシートを水洗し、130℃で15分間乾燥させることにより、実施例5の固形状のスチレンクロロプレンスチレントリブロック共重合体を得た。当該スチレンクロロプレンスチレントリブロック共重合体をGPC分析に用いて、トリブロック共重合体全体(第一ブロック+第二ブロック+第三ブロック)の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
実施例5は、上記一般式(c)「A−B−A−X」で表される構造を有するトリブロック共重合体である。
得られた実施例5のトリブロック共重合体を用いて、上記と同様の手順により、ゴム及び接着剤を製造し、評価した。実施例5の結果を下記表2に示す。
Figure 2018181801
表2に示すように、実施例5のトリブロック共重合体を含むゴムは、破断強度、破断伸び、減衰性が優れていた。また、実施例5のトリブロック共重合体を含む接着剤は、低粘度で耐熱強度に優れていた。

上記化学式(3)で表される化合物は特に限定されるものではなく一般的な化合物を使用することができ、例えばジチオカルバメート類、ジチオエステル類が挙げられる。具体的にはベンジル1−ピロールカルボジチオエート(慣用名:ベンジル1−ピロールジチオカルバメート)、ベンジルフェニルカルボジチオエート、1−ベンジル−N,Nジメチル−4−アミノジチオベンゾエート、1−ベンジル−4−メトキシジチオベンゾエート、1−フェニルエチルイミダゾールカルボジチオエート(慣用名:1−フェニルエチルイミダゾールジチオカルバメート)、ベンジル−1−(2−ピロリジノン)カルボジチオエート)(慣用名:ベンジル−1−(2−ピロリジノン)ジチオカルバメート)、ベンジルフタルイミジルカルボジチオエート慣用名:ベンジルフタルイミジルジチオカルバメート)、2−シアノプロプ−2−イル−1−ピロールカルボジチオエート慣用名:2−シアノプロプ−2−イル−1−ピロールジチオカルバメート)、2−シアノブト−2−イル−1−ピロールカルボジチオエート慣用名:2−シアノブト−2−イル−1−ピロールジチオカルバメート)、ベンジル−1−イミダゾールカルボジチオエート慣用名ベンジル−1−イミダゾールジチオカルバメート)、2−シアノプロプ−2−イル−N,N−ジメチルジチオカルバメート、ベンジル−N,N−ジエチルジチオカルバメート、シアノメチル−1−(2−ピロリドン)ジチオカルバメート、2−(エトキシカルボニルベンジル)プロプ−2−イル−N,N−ジエチルジチオカルバメート、1−フェニルエチルジチオベンゾエート、2−フェニルプロプ−2−イルジチオベンゾエート、1−酢酸−1−イル−エチルジチオベンゾエート、1−(4−メトキシフェニル)エチルジチオベンゾエート、ベンジルジチオアセテート、エトキシカルボニルメチルジチオアセート、2−(エトキシカルボニル)プロプ−2−イルジチオベンゾエート、2−シアノプロプ−2−イルジチオベンゾエート、tert−ブチルジチオベンゾエート、2,4,4−トリメチルペンタ−2−イルジチオベンゾエート、2−(4−クロロフェニル)−プロプ−2−イルジチオベンゾエート、3−ビニルベンジルジチオベンゾエート、4−ビニルベンジルジチオベンゾエート、ベンジルジエトキシホスフィニルジチオフォルマート、tert−ブチルトリチオペルベンゾエート、2−フェニルプロプ−2−イル−4−クロロジチオベンゾエート、ナフタレン−1−カルボン酸−1−メチル−1−フェニル−エチルエステル、4−シアノ−4−メチル−4−チオベンジルスルファニル酪酸、ジベンジルテトラチオテレフタラート、カルボキシメチルジチオベンゾエート、ジチオベンゾエート末端基を持つポリ(酸化エチレン)、4−シアノ−4−メチル−4−チオベンジルスルファニル酪酸末端基を持つポリ(酸化エチレン)、2−[(2−フェニルエタンチオイル)スルファニル]プロパン酸、2−[(2−フェニルエタンチオイル)スルファニル]コハク酸、3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−カルボジチオエートカリウム、シアノメチル−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−カルボジチオエート、シアノメチルメチル−(フェニル)ジチオカルバメート、ベンジル−4−クロロジチオベンゾエート、フェニルメチル−4−クロロジチオベンゾエート、4−ニトロベンジル−4−クロロジチオベンゾエート、フェニルプロプ−2−イル−4−クロロジチオベンゾエート、1−シアノ−1−メチルエチル−4−クロロジチオベンゾエート、3−クロロ−2−ブテニル−4−クロロジチオベンゾエート、2−クロロ−2−ブテニルジチオベンゾエート、ベンジルジチオアセテート、3−クロロ−2−ブテニル−1H−ピロール−1−ジチオカルボン酸、2−シアノブタン−2−イル4−クロロ−3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−カルボジチオエート、シアノメチルメチル(フェニル)カルバモジチオエートが挙げられる。これらのなかでも特に好ましくは、ベンジル1−ピロールカルボジチオエート、ベンジルフェニルカルボジチオエートが用いられる。
上記化学式(4)で表される化合物は、特に限定されるものではなく一般的な化合物を使用することができ、例えば、2−シアノ−2−プロピルドデシルトリチオカルボナート、ジベンジルトリチオカルボナート、ブチルベンジルトリチオカルボナート、2−[[(ブチルチオ)チオキソメチル]チオ]プロピオン酸、2−[[(ドデシルチオ)チオキソメチル]チオ]プロピオン酸、2−[[(ブチルチオ)チオキソメチル]チオ]コハク酸、2−[[(ドデシルチオ)チオキソメチル]チオ]コハク酸、2−[[(ドデシルチオ)チオキソメチル]チオ]−2−メチルプロピオン酸、2,2′−[カルボノチオイルビス(チオ)]ビス[2−メチルプロピオン酸]、2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチルブチルトリチオカルボナート、ベンジル2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1−メチル−2−オキソエチルトリチオカルボナート、3−[[[(tert−ブチル)チオ]チオキソメチル]チオ]プロピオン酸、シアノメチルドデシルトリチオカルボナート、ジエチルアミノベンジルトリチオカルボナート、ジブチルアミノベンジルトリチオカルボナートなどのトリチオカルボナート類が挙げられる。これらのなかでも特に好ましくは、ジベンジルトリチオカルボナート、ブチルベンジルトリチオカルボナートが用いられる。
上記ブロック共重合体や天然ゴム等のゴム成分と充填剤や補強剤との接着性を高め、機械的強度を向上させるために、さらにシランカップリング剤を添加することもできる。シランカップリング剤はゴム組成物を混練する際に加えても、充填剤または補強剤を予め表面処理する形で加えてもどちらでも構わない。シランカップリング剤は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。特に限定するものではないが、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(3−トリメトキシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス−(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3−ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリ
メトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリロイルモノスルフィド、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、フエニルトリメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、ジフエニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、トリエチルクロロシランなどが例として挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、2,2´−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N´−ヘキサン−1,6−ジイルビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシアルキルエステル、ジエチル[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ホスホネート、3,3´,3´´,5,5´,5´´−ヘキサ−t−ブチル−a,a´,a´´−(メシチレン−2,4,6−トリル)トリ−p−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)ロピオネート]、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等を用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の例において言及される分子量及び重合率(重合転化率ともいう)は、以下のとおりに測定された。
<分子量の測定>
得られたクロロプレンスチレンジブロック共重合体及び途中サンプリングで得られた重合体又は共重合体の数平均分子量Mn、量平均分子量Mw、及び分子量分布(Mw/Mn)は、これら共重合体又は重合体のサンプルを、THFで濃度0.1質量%に調整した後、TOSOH HLC−8320GPCにより測定された(標準ポリスチレン換算)。当該測定において、プレカラムとしてTSKガードカラムHHR−H、及び、分析カラムとしてHSKgelGMHHR−H3本が使用された。当該測定において、サンプルポンプ圧8.0〜9.5MPa、流量1mL/min、及び40℃でサンプルを流出させた。検出は、示差屈折計により行われた。流出時間と分子量との関係を示す較正曲線は、以下にあげる分子量を有する既知の標準ポリスチレンサンプル計9点を測定して作成した校正曲線を用いた。(Mw=8.42×10、1.09×10、7.06×10、4.27×10、1.90×10、9.64×10、3.79×10、1.74×10、2.63×10)。当該較正曲線と各サンプルの流出時間とに基づき、各サンプル中の共重合体又は重合体の分子量が得られた。
<重合率>
重合開始からある時刻までの重合率は、サンプリングしたラテックス(乳化重合液)を加熱風乾することで乾燥重量から算出した。具体的には、以下の一般式(XII)より計算した。重合途中の乾燥重量は、ラテックスに対して乾燥重量に影響を与えない程度の少量の重合禁止剤を添加し、一般式(XII)より計算した。
重合率[%]={(総仕込み量[g]×固形分濃度[質量%]/100)−(蒸発残分[g])}/モノマー仕込み量[g]×100 ・・・(XII)
式中、固形分濃度は、サンプリングしたラテックス2gを130℃中で加熱し溶媒(水)、揮発性薬品、及び原料を除いた後、加熱前後の質量変化から揮発分を除いて求めた固形分の濃度(質量%)である。総仕込み量及び蒸発残分は重合処方より計算した。総仕込み量とは、重合開始からある時刻までに重合缶に仕込んだ原料、試薬、及び溶媒(水)の総量である。蒸発残分とは、重合開始からある時刻までに仕込んだ薬品及び原料のうち、130℃の条件下で揮発せずにポリマーと共に固形分として残留する薬品及び原料の質量を表す。モノマー仕込み量は、重合缶に初期に仕込んだモノマー及び重合開始からある時刻までに分添したモノマーの量の合計である。
共重合体の各ブロックの重合率も同様に、サンプリングしたラテックス(乳化重合液)を加熱風乾することで乾燥重量から算出した。具体的には、一般式(XII)より計算した。重合途中の乾燥重量は、ラテックスに対して乾燥重量に影響を与えない少量の重合禁止剤を添加し、一般式(XII)より計算した。式中、固形分濃度は、サンプリングしたラテックス2gを130℃中で加熱し溶媒(水)、揮発性薬品及び原料を除いた後、加熱前後の質量変化から揮発分を除いて求めた固形分の濃度(質量%)である。総仕込み量及び蒸発残分は重合処方より計算した。総仕込み量とは、重合開始からある時刻までに重合缶に仕込んだ原料、試薬、及び溶媒(水)の総量である。蒸発残分とは、重合開始からある時刻までに仕込んだ薬品及び原料のうち、130℃の条件下で揮発せずにポリマーと共に固形分として残留する薬品及び原料の重量を表す。前ブロックまでに重合したポリマーの質量も、蒸発残分に含む。モノマー仕込み量は、重合缶に初期に仕込んだモノマー及び重合開始からある時刻までに分添したモノマーの量の合計である。
[比較例1]
実施例3のベンジル1−ピロールカルボジチオエートの添加量200mgを278mgに変更した以外は、実施例3と同様の手順により、数平均分子が100,000未満である比較例1のクロロプレンスチレンジブロック共重合体を得た。なお、スチレンモノマーの重合転化率は、ポリスチレンマクロモノマーラテックスを加熱風乾することで乾燥重量から算出し、90%以上であることを確認した。
[比較例2]
実施例1のスチレンモノマーの仕込み量を50gに、クロロプレンモノマーの仕込み量を50gに変更した以外は、実施例1と同様の手順により、クロロプレン重合体のブロックの数平均分子が合計80,000未満である比較例2のクロロプレンスチレンジブロック共重合体を得た。なお、スチレンモノマーの重合転化率は、ポリスチレンマクロモノマーラテックスを加熱風乾することで乾燥重量から算出し、90%以上であることを確認した。
Figure 2018181801

Claims (7)

  1. 芳香族ビニル化合物重合体のブロックと、クロロプレン重合体のブロックと、をそれぞれ1つ以上含み、下記化学式(1)又は(2)で表される構造の官能基を有し、数平均分子量が100,000以上であり、前記クロロプレン重合体のブロックの数平均分子量が合計80,000以上である、ブロック共重合体。
    Figure 2018181801

    Figure 2018181801

    (化学式(1)中、Rは、水素、塩素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロシクリル基を示す。)
  2. 前記芳香族ビニル化合物は、スチレン、アルキルスチレン、アリールスチレン、ハロゲン化スチレン、アルコキシスチレン及びビニル安息香酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のブロック共重合体。
  3. 下記化学式(3)又は(4)で表される化合物の存在下で、芳香族ビニル化合物単独、又は芳香族ビニル化合物と他の単量体とをリビングラジカル乳化重合し、芳香族ビニル化合物重合体のブロックを合成した後、クロロプレン単独、又はクロロプレンと他の単量体とを混合してリビングラジカル乳化重合し、クロロプレン重合体のブロックを合成する、数平均分子量が100,000以上であり前記クロロプレン重合体のブロックの数平均分子量が合計80,000以上であるブロック共重合体の製造方法。
    Figure 2018181801

    Figure 2018181801

    (化学式(3)中、Rは、水素、塩素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロシクリル基を示す。化学式(3)及び(4)中、R3〜5はそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環、置換もしくは無置換の飽和、不飽和もしくは芳香族の複素環、有機金属種、又は任意の重合体鎖を示す。)
  4. 下記化学式(3)又は(4)で表される化合物の存在下で、クロロプレン単独、又はクロロプレンと他の単量体とを分添してリビングラジカル乳化重合し、クロロプレン重合体のブロックを合成した後、芳香族ビニル化合物単独、又は芳香族ビニル化合物と他の単量体とを混合してリビングラジカル乳化重合し、芳香族ビニル化合物重合体のブロックを合成する、数平均分子量が100,000以上であり前記クロロプレン重合体のブロックの数平均分子量が合計80,000以上であるブロック共重合体の製造方法。
    Figure 2018181801

    Figure 2018181801

    (化学式(3)中、Rは、水素、塩素、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロシクリル基を示す。化学式(3)及び(4)中、R3〜5はそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環、置換もしくは無置換の飽和、不飽和もしくは芳香族の複素環、有機金属種、又は任意の重合体鎖を示す。)
  5. 請求項1又は2に記載のブロック共重合体を含む、組成物。
  6. ゴム組成物又は接着剤組成物である、請求項5に記載の組成物。
  7. 請求項5又は6に記載の組成物を含む、免震・防振用部品、ベルト、接着剤、自動車用部品、自動二輪用部品、航空機用部品、船舶用部品、鉄道車両用部品、医療・介護用部品、電子材料。

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