JPWO2018159520A1 - ガラス積層体とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、軽量化が可能で、透明性が良好で、無機ガラス板と樹脂シートとを貼り合わせる工程での表面荒れ、反り、層剥離、および割れ等の不良の発生を抑制することができ、耐久性が良好で、導光性能に優れたガラス積層体を提供する。ガラス積層体(1)は、無機ガラス板(11)上に中間膜(12)を介して硬質樹脂シート(13)が積層された積層構造を含む。硬質樹脂シートが特性(a)および(b)を有する硬質樹脂組成物からなり、中間膜が特性(c)および(d)を有する軟質樹脂組成物からなる。(a)ガラス転移温度が120℃以上。(b)光路長200mmでの波長420nmにおける光透過率が60%以上。(c)設定温度25℃、周波数1.0Hzでの貯蔵弾性率G′が1.0×107Pa以下。(d)周波数1.0Hzでの損失正接tanδが最大となるピーク温度が25℃以下。

Description

本発明は、ガラス積層体とその製造方法に関する。
自動車グレージング等のガラス部材を用いる用途では、部材の軽量化および安全性向上を目的に、無機ガラス板と透明な硬質樹脂シートとを積層したガラス積層体の開発が進められている。さらに、近年、メタクリル系樹脂等の導光性能に優れた透明樹脂を用いたガラス積層体に光源を組み合わせ、導光方式を適用した面状発光体の検討も始まっている。かかる面状発光体は、車内照明としても機能可能な自動車サンルーフ材等の高機能自動車グレージング材等に好ましく用いることができる。
国際公開第2014/187500号 国際公開第2007/029541号 特開2001−234129号公報(特許第3878386号公報)
無機ガラス板と一般的なメタクリル系樹脂シートとを接着した従来のガラス積層体は、以下のような課題を有している。一般的に、無機ガラス板と中間膜となるポリビニルブチラールシート等の軟質樹脂シートとメタクリル系樹脂シートとを重ねた後、熱プレス法、真空バッグ法、またはオートクレーブ法により、加熱圧着する。この方法において、中間膜が完全に溶融しない加熱条件では、無機ガラス板とメタクリル系樹脂シートとの接着不良またはガラス積層体の歪みが生じる恐れがある。そのため、中間膜が完全溶融するように加熱を充分に行うことが好ましい。そのために必要な温度は、一般的に80℃超である。しかしながら、かかる温度で加熱を行うと、メタクリル系樹脂が軟化溶融しさらに加圧によって流動することで、表面荒れが生じる恐れがある。
上記課題の解決手段として、メタクリル系樹脂シートのガラス転移温度(Tg)を高めることが考えられる。特許文献1には、ガラス層と、メタクリル系樹脂およびスチレン・マレイン酸無水物共重合体樹脂を含み、Tgを高めたメタクリル系樹脂組成物からなる樹脂層とを含むガラス積層体が開示されている(請求項1)。しかしながら、特許文献1に記載のガラス積層体を面状発光体に適用する場合、スチレン・マレイン酸無水物共重合体樹脂の影響により、出射光に色ムラ等の発光不良が生じる恐れがある。
また、無機ガラス板とメタクリル系樹脂シート等の硬質樹脂シートとを貼り合わせる工程では、無機ガラス板と硬質樹脂シートとの線膨張係数の差が原因となり、加熱圧着後のガラス積層体が室温に戻る過程でガラス積層体に反り、層剥離、および割れ等の不良が発生する恐れがある。
上記課題の解決手段として、複数の中間膜を介して無機ガラス板と硬質樹脂シートとを接着することが考えられる。特許文献2には、プラスチック板/第1の中間膜/第2の中間膜/無機ガラス板の積層構造を有するガラス積層体が開示されている(請求項1、19)。特許文献3には、異なる粘弾性特性を有する第1、第2の中間膜(第1、第2の感圧接着層)を介して、無機ガラス板と樹脂板とを積層したガラス積層体が開示されている(請求項1、6)。特許文献3のガラス積層体は、第1、第2の中間膜の間に好ましくは、透明な水蒸気バリアー層を備える(請求項3)。
特許文献2、3に記載のガラス積層体は、ガラス積層体の製造時に高温高圧処理を要さないため、反り、層剥離、および割れ等の不良の発生を抑制することができる。しかしながら、特許文献2に記載のガラス積層体の製造方法は、プラスチック板/第1の中間膜の積層構造を有する第1の積層体と、第2の中間膜/無機ガラス板の積層構造を有する第2の積層体とを別々に作製した後、これら2つの積層体を貼り合わせる方法である(請求項1)。そのため、工程が多く、高コストである。特許文献3に記載のガラス積層体は、第1、第2の中間膜の間に好ましくは透明な水蒸気バリアー層を備える必要があり、生産性に乏しい。
また、車両等に使用されるガラス積層体は、高温環境、低温環境、温度変化環境、高湿環境、および降雨環境等の任意の環境に曝され得る。かかる環境下で使用されても、表面荒れ、反り、層剥離、および割れ等の不良の発生が生じ難い、良好な耐久性を有することが好ましい。なお、反り、層剥離、および割れ等の不良は、無機ガラス板と樹脂シートとの線膨張係数の差だけではなく、これら部材の吸水率の差によっても、生じ得る。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、軽量化が可能で、透明性が良好で、無機ガラス板と樹脂シートとを貼り合わせる工程での表面荒れ、反り、層剥離、および割れ等の不良の発生を抑制することができ、耐久性が良好で、導光性能に優れたガラス積層体を提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[14]のガラス積層体とその製造方法、面状発光体、および車両部材を提供する。
[1] 無機ガラス板上に中間膜を介して硬質樹脂シートが積層された積層構造を含むガラス積層体であって、
前記硬質樹脂シートが下記特性(a)および(b)を有する硬質樹脂組成物からなり、
前記中間膜が下記特性(c)および(d)を有する軟質樹脂組成物からなる、ガラス積層体。
(a)ガラス転移温度が120℃以上である。
(b)光路長200mmでの波長420nmにおける光透過率が60%以上である。
(c)設定温度25℃、周波数1.0Hzでの貯蔵弾性率G′が1.0×10Pa以下である。
(d)周波数1.0Hzでの損失正接tanδが最大となるピーク温度が25℃以下である。
[2] 前記硬質樹脂組成物が、メタクリル酸メチル単位60〜100質量%およびメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステル単位0〜40質量%からなるメタクリル酸メチル(共)重合体を含む、[1]のガラス積層体。
[3] 前記メタクリル酸メチル(共)重合体の三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が50〜85%である、[2]のガラス積層体。
[4] 前記硬質樹脂組成物がさらに、前記硬質樹脂シートのマトリクス樹脂の屈折率との屈折率差(Δn)の絶対値が0.3〜3である光拡散粒子を0.0001〜0.1質量%含む、[1]〜[3]のいずれかのガラス積層体。
[5] 前記屈折率差(Δn)の絶対値と前記光拡散粒子の体積平均粒径d(μm)との積(Δn・d)が0.1μm以上である、[4]のガラス積層体。
[6] 前記軟質樹脂組成物が熱可塑性ポリウレタン系樹脂を含む、[1]〜[5]のいずれかのガラス積層体。
[7] 前記中間膜は少なくとも片面に表面凹凸構造を有する、[1]〜[6]のいずれかのガラス積層体。
[8] 前記硬質樹脂シートの少なくとも一方の面上にさらに耐擦傷性層を備える、[1]〜[7]のいずれかのガラス積層体。
[9] [1]〜[8]のいずれかのガラス積層体と、当該ガラス積層体の少なくとも一方の端面に光を導入する光源とを含む、面状発光体。
[10] [1]〜[8]のいずれかのガラス積層体、または[9]の面状発光体を含む、車両部材。
[11] 自動車グレージング材または自動車サンルーフ材である、[10]の車両部材。
[12] 前記中間膜および前記硬質樹脂シートを溶融共押出しにより積層する工程を含む、[1]〜[8]のいずれかのガラス積層体の製造方法。
[13] 前記無機ガラス板と前記中間膜となる軟質樹脂シートと前記硬質樹脂シートとをこの順で重ねた後、加熱圧着する、[1]〜[8]のいずれかのガラス積層体の製造方法。
[14] 前記無機ガラス板と、前記中間膜となる軟質樹脂シートと、あらかじめ少なくとも一方の面に前記耐擦傷性層が形成された前記硬質樹脂シートとをこの順で重ねた後、加熱圧着する、[8]のガラス積層体の製造方法。
本発明によれば、軽量化が可能で、透明性が良好で、無機ガラス板と樹脂シートとを貼り合わせる工程での表面荒れ、反り、層剥離、および割れ等の不良の発生を抑制することができ、耐久性が良好で、導光性能に優れたガラス積層体を提供することができる。
本発明に係る第1実施形態のガラス積層体の模式断面図である。 本発明に係る第2実施形態のガラス積層体の模式断面図である。 本発明に係る第3実施形態のガラス積層体の模式断面図である。 本発明に係る第4実施形態のガラス積層体の模式断面図である。 本発明に係る第5実施形態のガラス積層体の模式断面図である。 本発明に係る一実施形態の面状発光体の模式断面図である。 本発明に係る他の実施形態の面状発光体([実施例]で作製した面状発光体)の模式断面図である。
[ガラス積層体]
本発明のガラス積層体は、無機ガラス板上に中間膜を介して硬質樹脂シートが積層された積層構造を含む。本発明のガラス積層体において、硬質樹脂シートは特定の耐熱特性および光学特性、具体的には下記特性(a)および(b)を有する硬質樹脂組成物からなる。中間膜は特定の粘弾性特性、具体的には下記特性(c)および(d)を有する軟質樹脂組成物からなる。
(a)ガラス転移温度(Tg)が120℃以上である。
(b)光路長200mmでの波長420nmにおける光透過率が60%以上である。
(c)設定温度25℃、周波数1.0Hzでの貯蔵弾性率G′が1.0×10Pa以下である。
(d)周波数1.0Hzでの損失正接tanδが最大となるピーク温度が25℃以下である。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度(Tg)、光透過率、貯蔵弾性率G′、および損失正接tanδが最大となるピーク温度等の各種パラメータは、[発明を実施するための形態]または[実施例]の項に記載の方法にて測定される測定値を示す。
本明細書において、任意の数値範囲A〜Bは、A以上B以下の数値範囲を示す。
本発明のガラス積層体は、無機ガラス板と硬質樹脂シートとを含む複合材であるため、ガラス単体に比して軽量化が可能である。また、外部から強い衝撃を受けても破損しづらく、仮にガラスが破損したとしてもガラス破片が飛散せず、安全性に優れる。
本発明のガラス積層体では、硬質樹脂シートが特定の耐熱性(特性(a))を有する。そのため、無機ガラス板と硬質樹脂シートとを貼り合わせる工程において、無機ガラス板と硬質樹脂シートとを良好に接着させるために中間膜が完全溶融するように充分な加熱を行っても、硬質樹脂シートの軟化溶融および流動が抑制される。その結果、硬質樹脂シートの表面荒れの発生が抑制され、均一な厚みを有し、面状の良好なガラス積層体を得ることができる。
本発明のガラス積層体では、中間膜が特定の粘弾性特性(特性(c)、(d))を有する。中間膜は、無機ガラス板と硬質樹脂シートとを良好に接着させる機能と、ガラス積層体の耐衝撃性を向上させる機能を有することができる。中間膜はさらに、内部応力緩和性能を有し、これにより、無機ガラス板と硬質樹脂シートとを貼り合わせる工程において、無機ガラス板と硬質樹脂シートとの線膨張係数の差に起因して加熱圧着後のガラス積層体が室温に戻る過程で生じる恐れがあるガラス積層体の反り、層剥離、および割れ等の不良の発生を抑制する機能を有することができる。
硬質樹脂シートの耐熱性および中間膜の粘弾性特性による上記作用効果は、ガラス積層体の製造時だけではなく、高温環境、低温環境、温度変化環境、高湿環境、および降雨環境等の任意の環境下でも同様に得られる。そのため、本発明のガラス積層体は、任意の環境で使用されても、硬質樹脂シートの軟化溶融および流動による表面荒れ、並びに、無機ガラス板と硬質樹脂シートとの線膨張係数の差および吸水率の差に起因して生じる恐れがある反り、層剥離、および割れ等の不良の発生が生じ難い、良好な耐久性を有することができる。
本発明のガラス積層体では、硬質樹脂シートが特定の光学特性(特性(b))を有するため、透明性が良好で、導光性能に優れる。そのため、本発明のガラス積層体は、導光板としての利用が可能である。本発明のガラス積層体は、ガラス積層体の一端面に光を導入する光源と組み合わせることで、発光性能が良好な面状発光体を提供することができる。
(無機ガラス板)
無機ガラス板としては特に制限されず、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、熱線吸収板ガラス、特殊ガラス(例えば太陽光を制御する目的で銀等の金属またはインジウム錫酸化物等の金属酸化物のスパッタリングが施されたもの)、低Eガラス、強化ガラス、およびこれらの組合せ等が挙げられる。これらは無色でも有色でもよい。
(硬質樹脂シート)
硬質樹脂シートは、ガラス転移温度(Tg)が120℃以上であり、光路長200mmでの波長420nmにおける光透過率が60%以上である硬質樹脂組成物からなる。硬質樹脂シートは、単層構造でも組成の異なる複数の硬質樹脂組成物層からなる積層構造でもよい。
硬質樹脂組成物は、ガラス転移温度(Tg)が120℃以上、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上である。Tgが120℃以上であることで、硬質樹脂シートが耐熱性能に優れたものとなり、ガラス積層体の製造時および実使用時における硬質樹脂シートの表面荒れが効果的に抑制される。
硬質樹脂組成物は、光路長200mmでの波長420nmにおける光透過率が60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上である。光透過率が60%以上であることで、硬質樹脂シートは、透明性および導光性能に優れるものとなる。
波長420nmは、導光板等の光学部材の光源の1つとして用いられる一般的な青色LED(発光ダイオード)のピーク波長である470nmに近接する領域の波長である。この波長420nmでの光透過率が低いと、わずかながらも黄色見が増加する恐れがある。したがって、光透過率の測定波長として420nmを採用することで、透明性および導光性能を適切に評価することができる。
なお、本明細書において、特に明記しない限り、波長420nmでの分光光透過率は、射出成形された長光路成形品(200mm×50mm×2mm)を用い、200mmの光路長の条件で測定されるものとする。
硬質樹脂組成物としては上記の耐熱特性および光学特性(特性(a)、(b))を有するものであればよい。
一態様において、硬質樹脂組成物は、メタクリル酸メチル(共)重合体(A)を含むメタクリル系樹脂組成物である。メタクリル酸メチル(共)重合体(A)は、メタクリル酸メチル(MMA)の単独重合体であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)、または、MMAと他の1種以上の単量体との共重合体である。メタクリル酸メチル(共)重合体(A)は、1種または2種以上用いることができる。
メタクリル酸メチル(共)重合体(A)中のMMA単位の含有量は特に制限されず、硬質樹脂シートの耐擦傷性が優れることから、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは99質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
メタクリル酸メチル(共)重合体(A)中のMMA単位の含有量は、メタクリル酸メチル(共)重合体(A)をメタノール中で再沈殿することにより精製した後、熱分解ガスクロマトグラフィを用いて熱分解および揮発成分の分離を行い、MMAと共重合成分とのピーク面積の比から算出することができる。
メタクリル酸メチル(共)重合体(A)は、MMA単位以外の(メタ)アクリル酸エステル単位を含むことができる。MMA以外の(メタ)アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、およびメタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸1−メチルシクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロオクチル、およびメタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル(TCDMA)等のメタクリル酸シクロアルキルエステル;メタクリル酸フェニル等のメタクリル酸アリールエステル;メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アラルキルエステル;アクリル酸メチル(MA)、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸ペンタフルオロエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、およびアクリル酸3−ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル等が挙げられる。入手性および耐熱性の観点から、TCDMAおよびMA等が好ましい。
メタクリル酸メチル(共)重合体(A)におけるMMA単位以外の(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、特に好ましくは1質量%以下、最も好ましくは0質量%である。
メタクリル酸メチル(共)重合体(A)は、MMAを含む1種以上の単量体を重合することで得られる。重合において、複数種の単量体を用いる場合は、通常、複数種の単量体を混合して単量体混合物を調製した後、重合に供する。重合方法は特に制限されず、生産性と耐熱性の観点から、ラジカル重合およびアニオン重合等が好ましい。
メタクリル酸メチル(共)重合体(A)は、耐熱性および成形性の観点から、三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)(以下、「rr比率」ともいう。)が好ましくは50〜85%である。耐熱性の観点から、rr比率の下限は、より好ましくは53%、さらに好ましくは55%、特に好ましくは58%、最も好ましくは60%である。成形性の観点から、rr比率の上限は、より好ましくは77%、特に好ましくは65%である。
rr比率は連続する3つの構造単位の連鎖(3連子、triad)が有する2つの連鎖(2連子、diad)が、ともにラセモ(rrと表記する)である割合である。なお、ポリマー分子中の構造単位の連鎖(2連子、diad)において立体配置が同じものをメソ(meso)、逆のものをラセモ(racemo)と称し、それぞれm、rと表記する。
メタクリル酸メチル(共)重合体(A)のrr比率は、重水素化クロロホルム中、30℃で、H−NMRスペクトルを測定し、そのスペクトルからテトラメチルシラン(TMS)を0ppmとした際の、0.6〜0.95ppmの領域の面積(X)と0.6〜1.35ppmの領域の面積(Y)とを計測し、式:(X/Y)×100にて算出することができる。
メタクリル酸メチル(共)重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは40,000〜500,000、より好ましくは60,000〜300,000、特に好ましくは80,000〜200,000である。Mwが40,000以上であることで、硬質樹脂シートは力学強度に優れるものとなり、500,000以下であることで、硬質樹脂シートは成形性に優れるものとなる。
メタクリル酸メチル(共)重合体(A)は、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上、特に好ましくは140℃以上である。Tgが120℃以上であることで、硬質樹脂シートは耐熱性に優れるものとなる。
メタクリル酸メチル(共)重合体(A)は、光路長200mmでの波長420nmにおける光透過率が、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。光透過率が60%以上であることで、硬質樹脂シートは透明性および導光性能に優れるものとなる。
加熱溶融成形の安定性の観点から、メタクリル酸メチル(共)重合体(A)のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは1〜10g/10分である。MFRの下限値はより好ましくは1.2g/10分、特に好ましくは1.5g/10分である。MFRの上限値はより好ましくは7.0g/10分、特に好ましくは4.0g/10分である。
なお、本明細書において、「MFR」は、特に明記しない限り、メルトインデクサーを用い、温度230℃、3.8kg荷重の条件で測定される値である。
硬質樹脂組成物は、メタクリル酸メチル(共)重合体(A)に替えて、またはメタクリル酸メチル(共)重合体(A)と併用して、1種以上のポリカーボネート系樹脂(PC)を含むことができる。ポリカーボネート系樹脂(PC)は、一般式:−(−O−X−O−C(=O)−)−で示される炭酸結合を含む基本構造を有する重合体である。上記式中、Xは一般には炭化水素基であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子またはヘテロ結合の導入された炭化水素基を用いてもよい。
ポリカーボネート系樹脂(PC)は、炭酸結合に直接結合する炭化水素の種類から、芳香族ポリカーボネート系樹脂と脂肪族ポリカーボネート系樹脂とに分類できる。いずれを用いてもよいが、耐熱性、機械的物性、および電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート系樹脂がより好ましい。
芳香族ポリカーボネート系樹脂は例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物、カーボネート前駆体、および必要に応じてポリヒドロキシ化合物等を反応させて得ることができる。芳香族ポリカーボネート系樹脂は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。芳香族ポリカーボネート系樹脂は1種の繰り返し単位からなる単独重合体でも、複数の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。共重合体の形態は、ランダム共重合体およびブロック共重合体等、任意である。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましい。中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性および耐熱性の観点から、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。カーボネート前駆体としては、カルボニルハライドおよびカーボネートエステル等が挙げられる。芳香族ジヒドロキシ化合物およびカーボネート前駆体はそれぞれ、1種または2種以上用いることができる。
ポリカーボネート系樹脂(PC)の製造方法としては、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合、およびプレポリマーの固相エステル交換等が挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂(PC)は市販品を用いてもよい。例えば、住化スタイロンポリカーボネート株式会社製「カリバー(登録商標)」および「SDポリカ(登録商標)」;三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製「ユーピロン/ノバレックス(登録商標)」;出光興産株式会社製「タフロン(登録商標)」;帝人化成株式会社製「パンライト(登録商標)」等が挙げられる。導光性能の観点から、住化スタイロンポリカーボネート株式会社製「SDポリカSD2201W、SD2211W」;三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製「ユーピロン HL‐Series」等が挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂(PC)の粘度平均分子量(Mv)は成形可能であればよく、通常12,000〜50,000、好ましくは14,000〜40,000、より好ましくは16,000〜30,000である。ポリカーボネート系樹脂(PC)のMvが12,000未満では、機械的強度が低下する恐れがある。Mvが50,000超では、溶融流動性が低下し、成形性が不充分となる恐れがある。ポリカーボネート系樹脂(PC)は、Mvの異なる複数のポリカーボネート系樹脂(PC)の混合物であってもよい。この場合には、混合物の分子量が上記範囲内にあれば、Mvが上記範囲外のポリカーボネート系樹脂(PC)を含んでいてもよい。
本明細書において、「粘度平均分子量(Mv)」は、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて、温度20℃で極限粘度[η](単位:dl/g)を測定し、下記式(1)のSchnellの粘度式から算出される値である。なお、極限粘度[η]は、溶液濃度c(g/dl)での比粘度ηspを測定し、下記式(2)により算出される値である。
Schnellの粘度式:[η]=1.23×10−4・Mv0.83・・・(1)、
ηsp/c=[η]+0.45×[η]・c・・・(2)
ポリカーボネート系樹脂(PC)は、ガラス転移温度(Tg)が好ましくは140℃以上、より好ましくは145℃以上、特に好ましくは150℃以上である。Tgが140℃以上であることで、硬質樹脂シートは耐熱性に優れるものとなる。
ポリカーボネート系樹脂(PC)は、光路長200mmでの波長420nmにおける光透過率が好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。光透過率が60%以上であることで、硬質樹脂シートは透明性および導光性能に優れるものとなる。
好ましくはメタクリル酸メチル(共)重合体(A)および/またはポリカーボネート系樹脂(PC)を含む硬質樹脂組成物はさらに、光拡散粒子を含むことができる。光拡散粒子は、マトリクス樹脂と異なる屈折率を有し、光を散乱する粒子である。硬質樹脂シートが光拡散粒子を含む場合、光源から本発明のガラス積層体の一端面に光を導入したとき、ガラス積層体の厚さ方向に光を散乱しながら、対向する他端面に向かって、ガラス積層体の面方向に光を良好に導光させることが可能となる。硬質樹脂シート内に光拡散粒子を含有させる態様では、印刷および表面凹凸加工等により光拡散層を別途設ける必要なく安価に、導光性能に優れ、面状発光体の導光板として好適なガラス積層体を提供することが可能となる。
なお、硬質樹脂シートはメタクリル酸メチル(共)重合体(A)および/またはポリカーボネート系樹脂(PC)等の硬質樹脂のみから形成されていてもよい。本発明においては、このように硬質樹脂シートが硬質樹脂のみから形成されている場合においても、便宜上、硬質樹脂シートは硬質樹脂組成物からなると考えるものとする。
光拡散粒子を含む場合においても、硬質樹脂シートは、光源の消灯時には良好な透明性を有することが好ましい。硬質樹脂シートの透明性を充分に確保した上で、光拡散粒子の光散乱作用による導光性能の向上効果が効果的に得られるように、光拡散粒子の径、含有量、および光拡散粒子とマトリクス樹脂との屈折率差を設計する。
光拡散粒子の体積平均粒径は、過小では光散乱効果が効果的に得られず、ガラス積層体の入射端面付近とそこから離れた位置とで色目に差が生じる恐れがあり、過大では、比較的粒径の大きな粒子が面状発光体の点灯時に輝点となって発光外観を損ねる恐れがある。体積平均粒径d(μm)は、好ましくは0.5〜5μm、より好ましくは0.75〜4μm、特に好ましくは1〜3μmである。なお、本明細書において、「体積平均粒径d」は、レーザー回折散乱法によって求められる粒径である。
硬質樹脂組成物中の光拡散粒子の含有量は、過高では硬質樹脂シートの透明性が不充分となる恐れがあり、過低では光散乱効果および導光効果が不充分となる恐れがある。透明性と、光散乱効果および導光効果とのバランスの観点から、光拡散粒子の含有量は、好ましくは0.0001〜0.1質量%、より好ましくは0.000125〜0.01質量%、特に好ましくは0.00025〜0.001質量%である。
硬質樹脂組成物中のマトリクス樹脂(好ましくはメタクリル酸メチル(共)重合体(A)および/またはポリカーボネート系樹脂(PC))と光拡散粒子との屈折率差(Δn)の絶対値は、過小では、光散乱効果が効果的に得られないため、効率良く光を取り出すことが難しく、過大では、散乱光は後方散乱が支配的となるため、効率良く光を取り出すことが難しくなる。屈折率差(Δn)の絶対値が過小または過大では、充分な輝度を得るには光拡散粒子の含有量を増やす必要があり、それによって透明性が不充分となる恐れがある。点灯時の明るさと透明性のバランスから、屈折率差(Δn)の絶対値は好ましくは0.3〜3、より好ましくは0.4〜3である。
点灯時の明るさと透明性のバランスから、屈折率差(Δn)の絶対値と体積平均粒径d(μm)との積(Δn・d)は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上である。
光拡散粒子としては、マトリクス樹脂に対する屈折率差の大きい無機化合物粒子が好まく、酸化チタン粒子および酸化亜鉛粒子等の金属酸化物粒子等が好ましい。これらは、1種または2種以上用いることができる。
硬質樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、メタクリル酸メチル(共)重合体(A)およびポリカーボネート系樹脂(PC)以外の他の重合体を含有していてもよい。他の重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、およびポリノルボルネン等のポリオレフィン系樹脂;エチレン系アイオノマー;ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸−MMA共重合体、ハイインパクトポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、およびMBS樹脂等のスチレン系樹脂;メタクリル酸メチル−スチレン共重合体;ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、およびポリアミドエラストマー等のポリアミド系樹脂;ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアセタール、ポリウレタン系樹脂、フェノキシ系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、およびシリコーン変性樹脂等の他の熱可塑性樹脂;フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、およびエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂;アクリルゴム、シリコーンゴム;SEPS、SEBS、SIS等のスチレン系熱可塑性エラストマー;IR、EPR、EPDM等のオレフィン系ゴム等が挙げられる。これらは1種または2種以上用いることができる。
硬質樹脂組成物中における他の重合体の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。
硬質樹脂組成物は必要に応じて、他の各種添加剤を含有していてもよい。他の添加剤としては、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、染料・顔料、艶消し剤、耐衝撃性改質剤、および蛍光体等が挙げられる。これら添加剤の含有量は本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定でき、好ましくは、酸化防止剤の含有量は0.01〜1質量%、紫外線吸収剤の含有量は0.01〜3質量%、光安定剤の含有量は0.01〜3質量%、滑剤の含有量は0.01〜3質量%、染料・顔料の含有量は0.01〜3質量%である。
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する能力を有する化合物である。紫外線吸収剤は、主に光エネルギーを熱エネルギーに変換する機能を有すると言われる化合物である。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、およびホルムアミジン類等が挙げられる。中でも、ベンゾトリアゾール類、トリァジン類、または波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm・mol−1cm−1以下である紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール類は紫外線被照による着色等の光学特性低下を抑制する効果が高いので、ガラス積層体を光学用途に適用する場合に好ましく用いられる。ベンゾトリアゾール類としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(BASFジャパン株式会社製「商品名TINUVIN329」等)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(BASFジャパン株式会社製「商品名TINUVIN234」等)、および2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェノール](株式会社ADEKA製「アデカスタブLA−31」等)等が好ましい。
また、波長380nm付近の波長を効率的に吸収したい場合は、トリアジン類の紫外線吸収剤が好ましく用いられる。かかる紫外線吸収剤としては、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(株式会社ADEKA製「アデカスタブLA−F70」等)、およびその類縁体であるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製「TINUVIN477」および「TINUVIN460」等)等が挙げられる。
光安定剤は、主に光による酸化で生成するラジカルを捕捉する機能を有すると言われる化合物である。好適な光安定剤としては、2,2,6,6一テトラアルキルピペリジン骨格を持つ化合物等のヒンダードアミン類が挙げられる。例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(株式会社ADEKA製「アデカスタブLA−77Y」等)等が挙げられる。
好ましくはメタクリル酸メチル(共)重合体(A)および/またはポリカーボネート系樹脂(PC)を含む硬質脂組成物に光拡散粒子、他の重合体および他の添加剤等の任意成分を添加する場合、任意成分の添加のタイミングは特に制限されず、メタクリル酸メチル(共)重合体(A)および/またはポリカーボネート系樹脂(PC)の重合時、重合されたメタクリル酸メチル(共)重合体(A)とポリカーボネート系樹脂(PC)との混合時または混合後のいずれのタイミングでもよい。
加熱溶融成形の安定性の観点から、硬質樹脂組成物のMFRは、好ましくは1〜10g/10分である。MFRの下限値は、より好ましくは1.5g/10分、特に好ましくは2.0g/10分である。MFRの上限値は、より好ましくは7.0g/10分、特に好ましくは4.0g/10分である。
硬質樹脂シートの成形方法は特に制限されず、押出成形法、キャスト成形法、および射出成形法等が挙げられ、押出成形法等が好ましい。
複数の硬質樹脂組成物層からなる積層構造の硬質樹脂シートは、公知の多層成形によって成形することができる。
硬質樹脂シートは、中間膜、または他の任意の層と共に多層押出成形することもできる。
(中間膜)
中間膜は、無機ガラス板と硬質樹脂シートとを接着させる透明な層である。中間膜は、特定の粘弾性特性を有する軟質樹脂組成物からなる。中間膜は、単層構造でも組成の異なる複数の軟質樹脂組成物層からなる積層構造でもよい。
軟質樹脂組成物は、設定温度25℃、周波数1.0Hzでの貯蔵弾性率G′が1.0×10Pa以下であり、好ましくは5.0×10Pa以下、より好ましくは1.0×10Pa以下である。貯蔵弾性率G′が1.0×10Pa以下であることで、ガラス積層体の製造時および実使用時において、無機ガラス板と硬質樹脂シートとの線膨張係数の差および吸水率の差に起因して生じる恐れがある反り、層剥離、および割れ等の不良の発生を効果的に抑制することができる。
軟質樹脂組成物は、周波数1.0Hzでの損失正接tanδが最大となるピーク温度が25℃以下であり、好ましくは20℃以下、より好ましくは15℃以下である。損失正接tanδの最大ピーク温度が25℃以下であることで、本発明のガラス積層体は、上記不良の発生を抑制することができ、かつ耐衝撃性に優れるものとなる。
軟質樹脂組成物を構成する軟質樹脂としては、ポリビニルブチラール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン系アイオノマー、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、およびこれらの変性物等が挙げられる。これらは、1種または2種以上用いることができる。
中間膜は、無機ガラス板と硬質樹脂シートとを良好に接着させる機能と、ガラス積層体の耐衝撃性を向上させる機能を有する。さらに、内部応力緩和性能を有し、これにより、無機ガラス板と硬質樹脂シートとの線膨張係数の差および吸水率の差に起因して、ガラス積層体の製造時および実使用時において生じる恐れがある反り、層剥離、および割れ等の不良の発生を抑制する機能を有する。かかる機能に優れることから、熱可塑性ポリウレタン系樹脂が特に好ましい。中間膜は熱可塑性ポリウレタン系樹脂等の軟質樹脂のみから形成されていてもよいし、上記のような軟質樹脂の他に各種添加剤等をさらに含んでいてもよい。なお、本発明においては、このような中間膜が軟質樹脂のみから形成されている場合においても、便宜上、中間膜は軟質樹脂組成物からなると考えるものとする。
熱可塑性ポリウレタン系樹脂は、ポリイソシアネートとポリオールと鎖伸長剤とを反応させて得られる。熱可塑性ポリウレタン系樹脂は、鎖伸長剤とポリイソシアネートとの反応によってできたハードセグメントと、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によってできたソフトセグメントとからなるブロック共重合体であることが好ましい。
ポリイソシアネートとしてはジイソシアネートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、および2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート化合物;ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)プロパン、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、および1−メチル−2,4−(または2,6)−ジイソシアネートシクロヘキサン等の脂環族系ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート等の脂肪族・脂環族混合系ジイソシアネート化合物;トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、およびビスフェノールAジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート化合物等が挙げられる。ジイソシアネートは、日光による変色を防ぐ観点から、脂肪族または脂環式のジイソシアネートを使用するのが好ましい。これらは1種または2種以上用いることができる。
ポリオールとしては例えば、脂肪族の二塩基酸またはその無水物を、二価アルコール(好ましくは脂肪族の二価アルコール)とポリエステル化反応させることによって得られるポリエステルジオールが挙げられる。脂肪族の二塩基酸は一般式HOOC−R−COOHで表され(式中、Rは、炭素数2〜12、好ましくは4〜8個のアルキレン基である。)、アジピン酸、スクシン酸、パルミチン酸、スベリン酸、アゼライン酸、およびセバシン酸等が挙げられる。二価アルコールは好ましくは炭素数2〜15のアルコールであり、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、および1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
他のポリオールとしては、オキシメチレン基を有するポリオキシテトラメチレンジオール、オキシプロピレン基あるいはオキシエチレン基とオキシプロピレン基とを有するポリオキシアルキレンジオール、および上記のオキシアルキレン基とオキシテトラメチレン基とを有するポリエーテルジオール等が挙げられる。
他のポリオールとしては、ジメチルカーボネートおよびジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;ホスゲン、クロロギ酸エステル、ジアリルカーボネート、およびアルキレンカーボネート等の化合物と、低分子量ポリオールとを重縮合させて得られるポリカーボネートジオール等が挙げられる。
ポリオールは、1種または2種以上用いることができる。
鎖伸長剤としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、およびビスヒドロキシエトキシベンゼン等が挙げられる。
熱可塑性ポリウレタン系樹脂の貯蔵弾性率G′および損失正接tanδピーク温度は、熱可塑性ポリウレタン系樹脂を構成するハードセグメント(鎖伸長剤とポリイソシアネートとの反応部位)とソフトセグメント(ポリオールとポリイソシアネートとの反応部位)との質量比、ソフトセグメントのガラス転移温度(Tg)、および、各成分の重量平均分子量(Mw)または種類等を選択することにより調節できる。例えば、ソフトセグメントの質量比の多いものを用いれば貯蔵弾性率G′は低下する傾向があり、ソフトセグメントのガラス転移温度(Tg)の低いものを用いればtanδピーク温度は低下する傾向がある。
中間膜の表面形状は特に限定されず、少なくとも片面、好ましくは両面にエンボス構造等の表面凹凸構造を有することができる。中間膜が表面凹凸構造を有する場合、無機ガラス板と硬質樹脂シートと積層する際の取り扱い性(泡抜け性)に優れる。表面凹凸構造の高さについては特に制限されず、好ましくは5〜500μm、より好ましくは7〜300μm、特に好ましくは10〜200μmである。表面凹凸構造の高さが5μm未満では、無機ガラス板と硬質樹脂シートと積層する際に、無機ガラス板と中間膜との間、および硬質樹脂シートと中間膜との間にできる気泡を効率よく除去できない場合があり、500μm超では、表面凹凸構造の形成が難しい。表面凹凸構造の形状は、規則的でもよいし、不規則的でもよい
表面凹凸構造の形成方法としては、エンボスロール法、カレンダーロール法、および異形押出法等が挙げられる。中でも、比較的多くの一定量の凹凸模様を簡易に形成することができることから、エンボスロール法が好ましい。
中間膜は、軟質樹脂シートを用いて形成することができる。軟質樹脂シートの成形方法は特に制限されず、押出成形法、キャスト成形法、および射出成形法等が挙げられ、押出成形法等が好ましい。
複数の軟質樹脂組成物層からなる積層構造の軟質樹脂シートは、公知の多層成形によって成形することができる。
軟質樹脂シートは、硬質樹脂シート、または他の任意の層と共に多層押出成形することもできる。
なお、表面凹凸構造は、軟質樹脂シートを成形する際の冷却工程中または冷却工程後、若しくは軟質樹脂シートの製造後に付与することができる。
(ガラス積層体の積層構成と製造方法)
図面を参照して、本発明に係る第1〜第5実施形態のガラス積層体の構造と製造方法の例について、説明する。これらの図において、同じ構成要素には同じ参照符号を付してある。
図1に示す第1実施形態のガラス積層体1は、無機ガラス板11上に中間膜12と硬質樹脂シート13とを順次備えた3層構造のガラス積層体である。
各構成要素の厚さは特に制限されない。無機ガラス板11の厚さは、剛性および軽量化の観点から、好ましくは0.1〜4.0mm、より好ましくは0.5〜3.0mm、特に好ましくは1.0〜2.0mmである。中間膜12の厚さは、層間接着性、耐衝撃性、および内部応力緩和性能の観点から、好ましくは0.03〜8.0mm、より好ましくは0.1〜7.0mm、特に好ましくは0.4〜6.0mmである。硬質樹脂シート13の厚さは、耐擦傷性、耐候性、および耐衝撃性等の観点から、好ましくは0.1〜10mm、より好ましくは0.5〜5mm、特に好ましくは1.0〜3.0mmである。
第1実施形態のガラス積層体1の製造方法は特に制限されず、無機ガラス板11と中間膜12となる軟質樹脂シートと硬質樹脂シート13とをこの順で重ねた後、加熱圧着して貼り合わせる方法が挙げられる。なお、無機ガラス板11には必要に応じて、あらかじめ少なくとも一方の面に対して、接着増強処理を施しておいてもよい。接着増強処理は例えば米国特許第7,625,627号明細書に記載されている。
加熱圧着法としては特に制限されず、熱プレス法、真空バッグ法、およびオートクレーブ法等が挙げられる。例えば、無機ガラス板11と中間膜12となる軟質樹脂シートと硬質樹脂シート13とを重ねた予備積層体を真空バッグ内に入れ、真空ライン等の手段によって真空バッグから空気を吸引し、真空バッグ内の真空状態を維持したまま、オートクレーブ等の内部で加熱および加圧する方法が好ましい。加熱圧着時には、中間膜12が完全溶融するように加熱を充分に行うことが好ましい。そのために必要な加熱温度は、一般的に80℃超、好ましくは90℃以上である。硬質樹脂シート13の表面荒れを抑制するために、加熱温度の上限は好ましくは120℃、より好ましくは110℃である。
その他の製造方法としては、あらかじめ中間膜12と硬質樹脂シート13とからなる積層シートを用意し、この積層シートを無機ガラス板11上に重ね、加熱圧着して貼り合わせる方法が挙げられる。
中間膜12と硬質樹脂シート13とからなる積層シートは、公知の多層成形によって行うことができる。多層成形法としては、多層押出成形法、多層ブロー成形法、多層プレス成形法、多色射出成形法、およびインサート射出成形法等が挙げられる。
生産性の観点から、中間膜12と硬質樹脂シート13とを溶融共押出しにより積層する多層押出成形が好ましい。特に、フラットなTダイと互いに隣接する複数の冷却ロールとを備えた成形装置を用いた多層押出成形が好ましい。
Tダイの方式としては、加熱溶融状態の複数種の樹脂をTダイ流入前に積層するフィードブロック方式、および、加熱溶融状態の複数種の樹脂をTダイ内部で積層するマルチマニホールド方式等が挙げられる。層間の界面の平滑性を高める観点から、マルチマニホールド方式が好ましい。
複数の冷却ロールのうち少なくとも硬質樹脂シートに接する冷却ロールは、表面が鏡面仕上げされたポリシングロールであることが好ましい。
なお、本発明のガラス積層体は図示する3層構造に限定されず、適宜設計変更が可能である。無機ガラス板11、中間膜12、硬質樹脂シート13は、それぞれ単数でも複数でもよい。
ガラス積層体は必要に応じて、他の任意の層を含むことができる。他の層の構成材料は特に制限されず、中間膜および硬質樹脂シートとは組成の異なる各種樹脂(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エネルギー線硬化性樹脂、およびこれらの組合せ)等が挙げられる。
他の層の機能は特に制限されず、他の要素を支持する支持層、耐擦傷性層、帯電防止層、防汚層、摩擦低減層、防眩層、反射防止層、粘着層、熱線吸収層、遮音層および衝撃強度付与層等の各種機能層として機能してもよい。他の層は単数でも複数でもよい。他の層が複数である場合、組成は同一でも非同一でもよい。
図2に示す第2実施形態のガラス積層体2は、第1実施形態のガラス積層体1を基本構造とし、さらに、中間膜12と硬質樹脂シート13との間に、硬質樹脂シート13とは組成の異なる熱可塑性樹脂層14を備えた態様である。熱可塑性樹脂層14は、単層構造でも積層構造でもよい。
熱可塑性樹脂層14の構成樹脂としては特に制限されず、メタクリル系樹脂;ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン;変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド;シリコーン変性樹脂;ポリエーテルエーテルケトン;ポリスルホン;ポリフェニレンオキサイド;ポリイミド、ポリエーテルイミド;フェノキシ系樹脂等が挙げられる。中でも、透明性、耐熱性、および耐衝撃性の観点から、メタクリル系樹脂およびポリカーボネート系樹脂等が好ましい。
熱可塑性樹脂層14の厚さは特に制限されず、好ましくは0.04〜3mm、より好ましくは0.05〜1.5mm、特に好ましくは0.06〜1.0mmである。熱可塑性樹脂層14の厚さが0.04mm以上であることでガラス積層体の耐衝撃性を向上でき、3mm以下であることでガラス積層体の反りを抑制できる。
第2実施形態のガラス積層体2の製造方法は特に制限されず、無機ガラス板11と、中間膜12となる軟質樹脂シートと、あらかじめ一方の面に熱可塑性樹脂層14が形成された硬質樹脂シート13とをこの順で重ねた後、加熱圧着する方法が挙げられる。
その他の製造方法としては、あらかじめ中間膜12と熱可塑性樹脂層14と硬質樹脂シート13とからなる積層シートを用意し、この積層シートを無機ガラス板11上に重ね、加熱圧着して貼り合わせる方法が挙げられる。
なお、第2実施形態のガラス積層体2においても、第1実施形態と同様に適宜設計変更が可能である。
図3に示す第3実施形態のガラス積層体3は、第1実施形態のガラス積層体1を基本構造とし、さらに、硬質樹脂シート13上に耐擦傷性層21を備えた態様である。
図4に示す第4実施形態のガラス積層体4は、第2実施形態のガラス積層体2を基本構造とし、さらに、硬質樹脂シート13上に耐擦傷性層21を備えた態様である。
図5に示す第5実施形態のガラス積層体5は、第1実施形態のガラス積層体1を基本構造とし、さらに、硬質樹脂シート13の両面に耐擦傷性層21を備えた態様である。
耐擦傷性層21は例えば、モノマー、オリゴマー、および樹脂等からなる流動性の硬化性組成物を硬質樹脂シート13の表面に塗布し、硬化させることで形成することができる。硬化性組成物は例えば、熱により硬化する熱硬化性組成物、または電子線、放射線、紫外線等のエネルギー線で硬化するエネルギー線硬化性組成物である。
熱硬化性組成物は、フェノール系樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、およびポリシロキサン樹脂等の熱硬化性樹脂を含む。
熱硬化性組成物は必要に応じて、架橋剤および重合開始剤等の硬化剤または重合促進剤等を含有していてもよい。硬化剤としては、ポリウレタン系樹脂にはイソシアネート、ポリエステル系樹脂には有機スルホン酸等、エポキシ系樹脂にはアミン、不飽和ポリエステル系樹脂にはメチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物およびアゾビスイソブチルエステル等のラジカル開始剤が好ましく用いられる。
エネルギー線硬化性組成物としては、分子中にアクリロイル基およびメタクリロイル基等の重合性不飽和結合を含む基、チオール基、またはエポキシ基を有するオリゴマーおよび/またはモノマーを含有する組成物が挙げられる。耐擦傷性を高める観点から、アクリロイル基またはメタクリロイル基を複数有するオリゴマーおよび/またはモノマーを含有する組成物が好ましい。
エネルギー線硬化性組成物は、光重合開始剤および/または光増感剤を含有していてもよい。光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、ベンゾフェノン、および4−クロロベンゾフェノン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィドおよびテトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドおよびベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。光増感剤としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、およびトリ−n−ブチルホスフイン等が挙げられる。
耐擦傷性層21の厚さは特に制限されず、好ましくは2〜10μm、より好ましくは3〜8μm、特に好ましくは4〜7μmである。耐擦傷性層の厚さが2μm以上であることで良好な耐擦傷性を発現でき、10μm以下であることでガラス積層体の耐衝撃性が優れたものとなる傾向がある。
第3実施形態のガラス積層体3の製造方法は特に制限されず、無機ガラス板11と、中間膜12となる軟質樹脂シートと、あらかじめ一方の面に耐擦傷性層21が形成された硬質樹脂シート13とをこの順で重ねた後、加熱圧着する方法が挙げられる。その他の製造方法としては、あらかじめ中間膜12と硬質樹脂シート13と耐擦傷性層21からなる積層シートを用意し、この積層シートを無機ガラス板11上に重ね、加熱圧着して貼り合わせる方法が挙げられる。
第4実施形態のガラス積層体4の製造方法は特に制限されず、無機ガラス板11と、中間膜12となる軟質樹脂シートと、あらかじめ一方の面に熱可塑性樹脂層14が形成され、他方の面に耐擦傷性層21が形成された硬質樹脂シート13とをこの順で重ねた後、加熱圧着する方法が挙げられる。その他の製造方法としては、あらかじめ中間膜12と熱可塑性樹脂層14と硬質樹脂シート13と耐擦傷性層21からなる積層シートを用意し、この積層シートを無機ガラス板11上に重ね、加熱圧着して貼り合わせる方法が挙げられる。
第5実施形態のガラス積層体5の製造方法は特に制限されず、無機ガラス板11と、中間膜12となる軟質樹脂シートと、あらかじめ両面に耐擦傷性層21が形成された硬質樹脂シート13とをこの順で重ねた後、加熱圧着する方法が挙げられる。その他の製造方法としては、あらかじめ中間膜12と第1の耐擦傷性層21と硬質樹脂シート13と第2の耐擦傷性層21からなる積層シートを用意し、この積層シートを無機ガラス板11上に重ね、加熱圧着して貼り合わせる方法が挙げられる。両面に耐擦傷性層21を有する硬質樹脂シート13は、硬化性組成物の硬化による歪みが硬質樹脂シート13の両面で同等となるため、反りが抑制され、中間膜12を構成する軟質樹脂組成物との接着性が向上する。
なお、第3〜第5実施形態のガラス積層体3〜5においても、第1実施形態と同様に適宜設計変更が可能である。
以上説明したように、本発明によれば、軽量化が可能で、透明性が良好で、無機ガラス板と樹脂シートとを貼り合わせる工程での表面荒れ、反り、層剥離、および割れ等の不良の発生を抑制することができ、耐久性が良好で、導光性能に優れたガラス積層体を提供することができる。
[面状発光体]
本発明の面状発光体は、一態様において、上記の本発明のガラス積層体と、このガラス積層体の片端面または両端面から光を導入する光源とを含む。
図6に、本発明に係る一実施形態の面状発光体の模式断面図を示す。
本実施形態の面状発光体6は、ガラス積層体61と、このガラス積層体61の硬質樹脂シート61Cの両端面にそれぞれ隣接して配置された光源62および光を効率良く利用するための光反射カバー63とを備える。
ガラス積層体61は、無機ガラス板61A上に中間膜61Bを介して硬質樹脂シート61Cが積層された積層構造を含む本発明のガラス積層体であり、例えば図1〜図5に示した第1〜第5実施形態のガラス積層体1〜5のうちのいずれかの積層構造を有する。
光源62からの出射光は、ガラス積層体61の硬質樹脂シート61Cの光入射側の端面である両端面から入射し、ガラス積層体61の中央部に向けて導光される。
ガラス積層体61に含まれる硬質樹脂シート61Cが光拡散粒子を含む態様では、ガラス積層体61の厚さ方向に光を散乱しながらガラス積層体61の中央部に向かって、ガラス積層体61の面方向に光を良好に導光させることができる。
図7に示す設計変更の面状発光体7は、ガラス積層体61と、このガラス積層体61の片端面に隣接して配置された光源62および光反射カバー63とを備える。なお、図7において、図6と同じ構成要素には同じ参照符号を付してある。
本発明によれば、ガラス積層体の少なくとも一方の端面から光を供給したときに、導光距離によらず、均一な色相の光を取り出すことが可能な発光特性に優れた面状発光体を提供することができる。
[用途]
本発明のガラス積層体は例えば、安全窓ガラスおよび間仕切り等の建築用部品;液晶保護板、導光板、各種ディスプレイの前面板、および拡散板等の光学関係部品;自動車内装/外装部材(サイドバイザー、リアバイザー、ヘッドウィング、ヘッドライトカバー、バンパー、サンルーフ、およびグレージング等)等の車両部材;温室、大型水槽、箱水槽、バスタブ等の浴室部材、サニタリー部材、時計パネル、デスクマット、遊技部品、玩具、および熔接時の顔面保護用マスク等に用いることができる。
本発明のガラス積層体および面状発光体は車両部材として好適であり、自動車グレージング材、特に自動車サンルーフ材等として好適である。本発明の面状発光体を用いることで、光源の消灯時には透明板として機能し、点灯時には車内照明として機能する自動車サンルーフ材等の高機能自動車グレージング材を提供することが可能となる。
以下、本発明に係る実施例、および比較例について説明する。
[評価項目および評価方法]
評価項目および評価方法は、以下の通りである。
(硬質樹脂組成物のガラス転移温度(Tg))
硬質樹脂組成物10mgを80℃で24時間乾燥した後、アルミパンに入れた。示差走査熱量計(TA Instruments社製「Q20」)を用い、30分以上窒素置換を行った後、10ml/分の窒素気流中、25℃から200℃まで20℃/分の速度で昇温し、200℃で10分間保持した後、25℃まで自然冷却した(1次走査)。次いで、10℃/分の速度で再度200℃まで昇温し(2次走査)、中点法にてガラス転移温度(Tg)を算出した。
(硬質樹脂組成物の光透過率(%))
射出成形機(株式会社名機製作所製「M−100−DM」)を用い、シリンダ温度270℃、金型温度50℃および成形サイクル40秒の条件で硬質樹脂組成物を射出成形して、厚さ2mm、短辺50mm、長辺200mmの短冊状の試験片を得た。試験片の短辺側の両端面を成形導光用ゲート加工機(メガロテクニカ株式会社製「GCPB−S」)を用いて研磨した後、試験片の光路長200mmでの波長420nmにおける光透過率を、日本分光株式会社製「紫外可視近赤外分光光度計V−670」を用いて測定した。
(軟質樹脂組成物の貯蔵弾性率G′(Pa)および損失正接tanδのピーク温度(℃))
軟質樹脂組成物を金型枠に入れ、200℃、50kg/cmの条件にて、5分間熱プレスし、厚さ1mmの単層シートを得た。得られた単層シートを直径8mmの円柱状の打ち抜き片を用いて打ち抜くことで、直径8mm、厚さ1mmの試験片を作製した。得られた試験片について、ティー・エイ・インスツルメント社製「ARES−G2」を用い、25℃から140℃まで昇温した後、動的歪み5.0%、1.0Hzの条件で、140℃から−40℃まで3℃/minで降温した際の貯蔵弾性率(G′)および損失弾性率(G″)を測定した。得られたG′およびG″から、損失正接tanδ(損失正接(tanδ)=損失弾性率(G″)/貯蔵弾性率(G′))を求め、測定温度範囲内でtanδの値が最大となる温度を損失正接tanδのピーク温度とした。
(ガラス積層体の外観評価)
<製造直後>
製造直後のガラス積層体に対して、外観不良の有無を評価した。目視観察にて、色相不良(黄変)、光学歪み、最外層の表面荒れ、中間層の皺、気泡、白化、反り、層剥離、および割れ等の外観不良が確認されたものを「不良」、前記外観不良が確認されなかったものを「良好」と判定した。
<ヒートサイクル試験後>
製造されたガラス積層体を、温度20℃・相対湿度20%の環境下に1時間放置した。その後、相対湿度85%の環境下で、1℃/分の速度で70℃まで昇温し、4時間保持した後、1℃/分の速度で温度−40℃まで降温し、4時間保持する湿熱プロファイルを1サイクルとし、これを10サイクル繰り返した。このヒートサイクル試験後のガラス積層体に対して、製造直後と同様の方法にて、外観不良の有無を評価した。
(面状発光体の作製と評価)
得られたガラス積層体を用いて図7に示したような面状発光体7を作製し、評価した。ガラス積層体61にはあらかじめ、光入射側の端面に対向する他方の端面に光吸収処理64を施しておいた。ガラス積層体61の光入射側の端面に隣接して、光源62と光反射カバー63とを配置した。光源62としては、7個のLEDを10mmの間隔で、ガラス積層体の光入射側の端面に対して平行方向に一列に配置したものを用いた。LEDとしては、日亜化学工業株式会社製「LED NFSW036BT」(発光部の径:3mm)を用いた。個々のLEDに2.8Vの電圧を印加した。
光源62からの出射光は、ガラス積層体61の光入射側の端面から入射し、ガラス積層体61内を光吸収処理64が施された他方の端面に導光される。光入射側の端面から光吸収処理64が施された他方の端面までの距離を300mmとした。光入射側の端面の位置を0mmとし、光吸収処理64が施された他方の端面までの間の任意の地点までの距離を「導光距離」とした。
得られた面状発光体について、導光距離200mmにおける光源点灯時の明るさと色目の変化を硬質樹脂シート61C側から目視評価した。導光距離200mmにおいても高輝度の面発光が確認でき、導光距離による色度変化が小さく、光入射側の端面から他方の端面まで色目の変化が確認されないものを「良好」と判定した。面発光が低輝度であった、または色ムラが見られたものを「不良」と判定した。
[材料]
用いた材料は、以下の通りである。
<無機ガラス板>
(G1)市販のフロートガラス(厚さ2.8mm)。
<メタクリル系樹脂(A1)>
メタクリル系樹脂(A1)として、株式会社クラレ製パラペット(Mw=82,000、MMA単独重合体(MMA比率=100%)、rr比率=52%)を用意した。
<メタクリル系樹脂(A2)>
撹拌機および採取管が取り付けられたオートクレーブ内を窒素で置換した。これに、精製されたメタクリル酸メチル(MMA)100質量部、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(水素引抜能:1%、1時間半減期温度:83℃)0.0065質量部、およびn−オクチルメルカプタン0.290質量部を入れ、撹拌して、原料液を得た。この原料液中に窒素を送り込み、原料液中の溶存酸素を除去した。
上記オートクレーブと配管を介して接続された槽型反応器に容量の2/3まで原料液を入れた。温度を120℃に維持した状態で、先ずバッチ方式で重合反応を開始させた。重合転化率が55質量%になったところで、温度120℃に維持したまま、平均滞留時間が120分となる流量で、原料液をオートクレーブから槽型反応器に供給し、且つ原料液の供給流量に相当する流量で、反応液を槽型反応器から抜き出して、連続流通方式の重合反応に切り替えた。切り替え後、定常状態における重合転化率は45質量%であった。
定常状態になった槽型反応器から抜き出される反応液を、平均滞留時間2分間となる流量で内温230℃の多管式熱交換器に供給して加温した。次いで加温された反応液をフラッシュ蒸発器に導入し、未反応単量体を主成分とする揮発分を除去して、溶融樹脂を得た。揮発分が除去された溶融樹脂を内温230℃の二軸押出機に供給してストランド状に吐出し、ペレタイザーでカットした。以上のようにして、ペレット状のメタクリル系樹脂(A2)(Mw=83,000、MMA単独重合体(MMA比率=100質量%)、rr比率=55%)を得た。
<メタクリル系樹脂(A3)>
撹拌翼と三方コックが取り付けられた5Lのガラス製反応容器内を窒素で置換した。これに、室温下にて、トルエン1600g、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン2.49g(10.8mmol)、濃度0.45Mのイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムのトルエン溶液53.5g(30.9mmol)、および濃度1.3Mのsec−ブチルリチウムの溶液(溶媒:シクロヘキサン95%、n−ヘキサン5%)6.17g(10.3mmol)を仕込んだ。撹拌しながら、これに、蒸留精製したメタクリル酸メチル(MMA)550gを20℃にて30分かけて滴下した。滴下終了後、20℃で90分間撹拌した。溶液の色が黄色から無色に変わった。この時点におけるMMAの重合転化率は100%であった。
得られた溶液にトルエン1500gを加えて希釈した。次いで、希釈液をメタノール100kgに注ぎ入れ、沈澱物を得、得られた沈殿物を80℃、140Paにて24時間乾燥した。以上のようにして、メタクリル系樹脂(A3)(Mw=81,400、MMA単独重合体(MMA比率=100質量%)、rr比率=73%)を得た。
<メタクリル系樹脂(A4)>
撹拌翼と三方コックが取り付けられた5Lのガラス製反応容器内を窒素で置換した。これに、メタクリル酸メチル(MMA)を630g、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル(TCDMA)を350g、アクリル酸メチル(MA)を20g、アゾビスイソブチロニトリルを0.6g、n−オクチルメルカプタンを2.0g、イオン交換水を2500g、分散剤を0.9g、およびpH調整剤を10.7g仕込んだ。撹拌しながら、液温を室温から70℃に上げ、120分間保持して、重合反応を行った。液温を室温まで下げ、重合反応液をガラス製反応容器内から抜き出した。重合反応液から固形分を濾過で取り出し、水で洗浄し、80℃にて24時間熱風乾燥させた。得られた固形分を二軸押出機に供給し、シリンダ温度230℃で溶融混練して押出成形した。以上のようにして、ペレット状のメタクリル系樹脂(A4)(Mw=119,300、MMA/TCDMA/MA共重合体(MMA比率=67.2質量%、TCDMA比率=31.7質量%、MA比率=1.1質量%))を得た。
<メタクリル系樹脂(A5)>
メタクリル系樹脂(A5)として、株式会社クラレ製パラペット(Mw=120,000、MMA/MA共重合体(MMA比率=93.6質量%、MA比率=6.4質量%)、rr比率=48%)を用意した。
用いたメタクリル系樹脂の単量体単位組成、MMA比率、rr比率、およびMwを表1に示しておく。
<ビニル系共重合体(V)>
(V1)電気化学工業株式会社製「レジスファイR−200」(Mw=80,000、スチレン(St)/無水マレイン酸(MAH)/MMA共重合体(St比率56質量%、MAH比率=18質量%、MMA比率=26質量%))。
<ポリカーボネート系樹脂(PC)>
(PC1)三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製「ユーピロンHL−8000」(Mw=27,000、温度300℃、1.2kg荷重下でのMFR=139g/10分)、
(PC2)三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製「ユーピロンE−2000」(Mw=60,000、温度300℃、1.2kg荷重下でのMFR=5.3g/10分)。
<熱可塑性ポリウレタンシート(PU1)>
ルブリゾール社製「Estane AG−8451」をカレンダー成形した後、両面エンボス加工を施して、厚さ760μmの熱可塑性ポリウレタンシート(PU1)を得た。
<ポリビニルブチラールシート(PVB1)>
株式会社クラレ製ポリビニルブチラール(原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度1700、アセタール化度74モル%、ビニルアルコール単位19モル%、ビニルアセテート単位7モル%)61.5質量部に対して、可塑剤として、「クラレポリオールP−510」(株式会社クラレ製、水酸基2つ当たりの数平均分子量が500、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸とからなるポリエステルジオール)38.5質量部を添加した。得られたポリビニルブチラール樹脂組成物を押出成形した後、両面エンボス加工を施して、厚さ760μmのポリビニルブチラールシート(PVB1)を得た。
<ポリビニルブチラールシート(PVB2)>
株式会社クラレ製ポリビニルブチラール(原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度1700、アセタール化度74モル%、ビニルアルコール単位19モル%、ビニルアセテート単位7モル%)72.5質量部に対して、可塑剤として、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート27.5質量部を添加した。得られたポリビニルブチラール樹脂組成物を押出成形した後、両面エンボス加工を施して、厚さ760μmのポリビニルブチラールシート(PVB2)を得た。
<ポリビニルブチラールシート(PVB3)>
ポリビニルブチラールシート(PVB3)として、株式会社クラレ製「Trosifol Extra−Stiff」(厚さ760μm)を用意した。
<エチレン系アイオノマーシート(EI1)>
エチレン系アイオノマーシート(EI1)として、株式会社クラレ製「SentryGlas」(厚さ760μm)を用意した。
[製造例1〜9](硬質樹脂組成物、硬質樹脂シート、および耐擦傷性層付きの硬質樹脂シートの製造)
表2に示す配合比でメタクリル系樹脂(A1)〜(A5)、ビニル系共重合体(V1)、ポリカーボネート系樹脂(PC1)〜(PC2)、光拡散粒子、および、紫外線吸収剤を二軸押出機に供給し、シリンダ温度240℃で溶融混錬して押出成形して、ペレット状の硬質樹脂組成物(HRC1)〜(HRC8)を得た。光拡散粒子としては、酸化チタン粒子(体積平均粒径d=1.0μm、テイカ株式会社製「JR−1000」)を用いた。マトリクス樹脂の屈折率と光拡散粒子の屈折率との屈折率差(Δn)の絶対値、および、屈折率差(Δn)の絶対値と光拡散粒子の体積平均粒径d(μm)との積(Δn・d)を表2に示しておく。紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASF社製「TINUVIN479」)を用いた。
得られたペレット状の硬質樹脂組成物(HRC1)〜(HRC8)を軸径50mmのベント式単軸押出機に連続的に投入し、シリンダ温度190〜260℃、吐出量30kg/時の条件にて溶融押出した。溶融状態の硬質樹脂組成物を260℃に設定した幅400mmのTダイより押出し、100℃、130℃に設定した一対の金属剛体ロールでニップすることでシート状に成形し、0.47m/minの速度で引き取った。以上のようにして、硬質樹脂シート(HRS1)〜(HRS9)(幅300mm、長さ400mm、厚さ2mm)を得た。
製造例1〜5、7〜9では、得られた各硬質樹脂シートの一方の面に、多官能アクリル系樹脂を含む紫外線硬化型ハードコート塗料(日本合成化学工業株式会社製「UV−1700B」)を用いて、ロールコート法により耐擦傷性層(厚さ約4μm)を形成した。
製造例6では、得られた硬質樹脂シートの両面に、多官能アクリル系樹脂を含む紫外線硬化型ハードコート塗料(アイカ工業株式会社製「アイカアイトロンZ−850−3AF」)を用いて、ディップコート法により耐擦傷性層(厚さ約4μm)を形成した。
以上のようにして、少なくとも一方の面に耐擦傷性層を有する硬質樹脂シートを得た。
[実施例1〜7、比較例1〜6]
実施例1〜7、比較例1〜6の各例においては、用いる材料を変えて、無機ガラス板と、中間膜となる軟質樹脂シートと、少なくとも一方の面に耐擦傷性層を有する硬質樹脂シートとをこの順で重ねた後、加熱圧着して、耐擦傷性層/硬質樹脂シート/中間膜/無機ガラス板の積層構造を有するガラス積層体(図3)または、耐擦傷性層/硬質樹脂シート/耐擦傷性層/中間膜/無機ガラス板の積層構造を有するガラス積層体(図5)を作製し、評価した。加熱圧着は、真空バッグ法により、30℃から110℃に60分間で昇温し、その後110℃で30分間保持する温度プロファイルの条件にて実施した。得られたガラス積層体を用いて、図7に示したような面状発光体を作製し、評価した。各例において、各層に用いた材料と特性、および評価結果を表3に示す。
[評価結果]
実施例1〜7では、硬質樹脂シート/中間膜/無機ガラス板の積層構造を含み、硬質樹脂シートが特定の耐熱特性と光学特性(特性(a)、(b))を有する硬質樹脂組成物からなり、中間膜が特定の粘弾性特性(特性(c)、(d))を有する軟質樹脂組成物からなるガラス積層体を製造した。得られたガラス積層体はいずれも、製造直後およびヒートサイクル試験後のいずれにおいても、表面荒れ、反り、層剥離、および割れ等の外観不良が発生せず、耐久性が良好であった。得られたガラス積層体はいずれも、硬質樹脂シートが長い導光距離においても高い光透過率を有し、好ましくは光拡散粒子を適当量含み、導光性能に優れるものであった。そのため、高輝度で色ムラのない均一な面発光の面状発光体が得られた。
硬質樹脂シートに、耐熱性の低い硬質樹脂シート(HRS7)を用いた比較例1では、製造直後およびヒートサイクル試験後に硬質樹脂シートに表面荒れが発生した。
硬質樹脂シートに、スチレン(St)/無水マレイン酸(MAH)/MMA共重合体(ビニル系共重合体(V1))を含み、光透過率が低い硬質樹脂組成物からなる硬質樹脂シート(HRS8)を用いた比較例2では、得られた面状発光体は低輝度で色ムラも見られた。
硬質樹脂シートに、光透過率が低いポリカーボネート系樹脂からなる硬質樹脂シート(HRS9)を用いた比較例3では、製造直後およびヒートサイクル試験後に光学歪みが発生し、さらに、得られた面状発光体は低輝度で色ムラも見られた。
中間膜に、20℃における貯蔵弾性率G′が高く、損失正接tanδのピーク温度が高い軟質樹脂を用いた比較例4〜6では、製造直後に反りが発生し、ヒートサイクル試験において経時的に反り量が増し、最終的にはガラス板に割れが発生した。
Figure 2018159520
Figure 2018159520
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本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、適宜設計変更が可能である。
この出願は、2017年2月28日に出願された日本出願特願2017−036964号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
1〜5、61 ガラス積層体
6、7 面状発光体
11、61A 無機ガラス板
12、61B 中間膜
13、61C 硬質樹脂シート
14 熱可塑性樹脂層
62 光源
63 光反射カバー
64 光吸収処理

Claims (14)

  1. 無機ガラス板上に中間膜を介して硬質樹脂シートが積層された積層構造を含むガラス積層体であって、
    前記硬質樹脂シートが下記特性(a)および(b)を有する硬質樹脂組成物からなり、
    前記中間膜が下記特性(c)および(d)を有する軟質樹脂組成物からなる、ガラス積層体。
    (a)ガラス転移温度が120℃以上である。
    (b)光路長200mmでの波長420nmにおける光透過率が60%以上である。
    (c)設定温度25℃、周波数1.0Hzでの貯蔵弾性率G′が1.0×10Pa以下である。
    (d)周波数1.0Hzでの損失正接tanδが最大となるピーク温度が25℃以下である。
  2. 前記硬質樹脂組成物が、メタクリル酸メチル単位60〜100質量%およびメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステル単位0〜40質量%からなるメタクリル酸メチル(共)重合体を含む、請求項1に記載のガラス積層体。
  3. 前記メタクリル酸メチル(共)重合体の三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が50〜85%である、請求項2に記載のガラス積層体。
  4. 前記硬質樹脂組成物がさらに、前記硬質樹脂シートのマトリクス樹脂の屈折率との屈折率差(Δn)の絶対値が0.3〜3である光拡散粒子を0.0001〜0.1質量%含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス積層体。
  5. 前記屈折率差(Δn)の絶対値と前記光拡散粒子の体積平均粒径d(μm)との積(Δn・d)が0.1μm以上である、請求項4に記載のガラス積層体。
  6. 前記軟質樹脂組成物が熱可塑性ポリウレタン系樹脂を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス積層体。
  7. 前記中間膜は少なくとも片面に表面凹凸構造を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス積層体。
  8. 前記硬質樹脂シートの少なくとも一方の面上にさらに耐擦傷性層を備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラス積層体。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のガラス積層体と、当該ガラス積層体の少なくとも一方の端面に光を導入する光源とを含む、面状発光体。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のガラス積層体、または請求項9に記載の面状発光体を含む、車両部材。
  11. 自動車グレージング材または自動車サンルーフ材である、請求項10に記載の車両部材。
  12. 前記中間膜および前記硬質樹脂シートを溶融共押出しにより積層する工程を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のガラス積層体の製造方法。
  13. 前記無機ガラス板と前記中間膜となる軟質樹脂シートと前記硬質樹脂シートとをこの順で重ねた後、加熱圧着する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のガラス積層体の製造方法。
  14. 前記無機ガラス板と、前記中間膜となる軟質樹脂シートと、あらかじめ少なくとも一方の面に前記耐擦傷性層が形成された前記硬質樹脂シートとをこの順で重ねた後、加熱圧着する、請求項8に記載のガラス積層体の製造方法。
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