JP2017040825A - 複層フィルムおよび偏光子保護フィルム並びに偏光板 - Google Patents
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Abstract
Description
ムには、トリアセチルセルロースが主に使用されている。トリアセチルセルロースからな
るフィルムは透湿度が高いため、薄膜化するにしたがって、偏光子の品質低下を引き起こ
す傾向となる。偏光子保護フィルムの改良は液晶表示装置の薄型化において課題となって
いる。
タクリル樹脂からなるフィルムを延伸処理すると靭性が高まることが知られている(特許
文献1参照)。ところが、通常のメタクリル樹脂フィルムを延伸すると位相差が大きくな
り、IPS液晶方式では画面の品位低下を引き起こしてしまう。
フィルムを得やすくなることが知られている(特許文献2〜5)。しかしながら、これら
の方法で使用されるメタクリル樹脂は、耐熱性を向上させるために、芳香族ビニル単量体
やイミド系単量体を共重合しているため、強度が低いので、これをフィルムにしても割れ
やすく光学フィルムとして適さない。また、偏光子保護フィルムとして用いる場合、表面の傷つき性や防眩性など機能が十分でなく、これらを満足するフィルムが望まれていた。
当該樹脂層の少なくとも一方の面に、ハードコート層、防眩層、反射防止層及び帯電防止層よりなる群から選択される1種以上の層を含む機能層と、を有してなる複層フィルムであって、
前記メタクリル樹脂組成物は、前記メタクリル樹脂100質量部に対する前記ポリカーボネート樹脂と前記フェノキシ樹脂の合計含有量が0.1質量部以上12質量部以下であって、前記メタクリル樹脂と前記ポリカーボネート樹脂と前記フェノキシ樹脂とを合計したものを80質量%以上含むメタクリル樹脂組成物である複層フィルム。
[3]: 前記ポリカーボネート樹脂が1000より大きく、32000より小さい粘度平均分子量を有しているものである[1]または[2]に記載の複層フィルム。
[4]: 前記メタクリル樹脂が、メタクリル酸メチル由来の構造単位の含有量が80質量%以上であって、重量平均分子量が200000以下のものである[1]〜[3]のいずれかに記載の複層フィルム。
[5]: 前記メタクリル樹脂が、重量平均分子量が80000〜200000であり、且つメタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が92質量%以上である[1]〜[4]のいずれかに記載の複層フィルム。
[6]: 前記メタクリル樹脂組成物が、3,000以上、40,000以下の平均重合度を有している高分子加工助剤を、前記メタクリル樹脂100質量部に対して0.3質量部以上、6質量部以下含有するものである[1]〜[5]のいずれかに記載の複層フィルム。
[7]: 前記メタクリル樹脂組成物が、紫外線吸収剤を前記メタクリル樹脂100質量部に対して0.1質量部以上、5質量部以下含有するものである[1]〜[6]のいずれかに記載の複層フィルム。
[8]: 前記メタクリル樹脂のシンジオタクティシティ(rr)が、85%以下である[1]〜[7]のいずれかに記載の複層フィルム。
[9]: 面積比で1.5〜8倍に二軸延伸された[1]〜[8]のいずれかに記載の複層フィルム。
[10]: 複層フィルムの厚みが10〜60μmで、機能層の厚みが1〜15μmで、機能層側の鉛筆硬度が2H以上である、[1]〜[9]のいずれかに記載の複層フィルム。
[12]: [1]〜[10]のいずれかに記載の複層フィルムからなる位相差フィルム。
[13]: [1]〜[10]に記載の複層フィルム、[11]に記載の偏光子保護フィルムまたは[12]に記載の複層フィルムのいずれかが少なくとも1枚偏光子に積層された偏光板。
[14]: [13]に記載の偏光板を含む画像表示装置。
メタクリル樹脂のシンジオタクティシティ(rr)(%)は、重水素化クロロホルム中、30℃で、1H-NMRスペクトルを測定し、そのスペクトルからTMSを0ppmとした際の、0.6〜0.95ppmの領域の面積(X)と0.6〜1.35ppmの領域の面積(Y)とを計測し、式:(X/Y)×100にて算出することができる。
AlR1R2R3
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基またはN,N−二置換アミノ基を表す。R2およびR3は、それぞれが結合してなる、置換基を有していてもよいアリーレンジオキシ基であってもよい。)
で示される化合物が挙げられる。具体的には、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム等が挙げられる。
また、アニオン重合法においては、重合反応を制御するために、エーテルや含窒素化合物などを共存させることもできる。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂は、多官能ヒドロキシ化合物と炭酸エステル形成性化合物との反応によって得られる重合体である。該ポリカーボネート樹脂は、メタクリル樹脂との相溶性、得られる樹脂層の透明性がよいという観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ηsp /c=[η]+0.45×[η]2 c
(但し[η]は極限粘度、上記条件ではc=0.5)
[η]=1.23×10- 4 Mv0 . 8 3
なお、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量、MVR値や重量平均分子量は末端停止剤や分岐剤の量を調整することによって行うことができる。
ェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、α,ω−ビス〔3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピル〕ポリジメチルシロキサン、レゾルシン、2,7−ジヒドロキシナフタレンが好ましく、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
フェノキシ樹脂は、式(1)で表される構造単位を10〜1000個含むことが好ましく、より好ましくは15〜500個、さらに好ましくは30〜300個含むことが好ましい。
フェノキシ樹脂の製造に用いる2価フェノール化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシン、4,4−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、1、3−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル)ベンゼン、1、4−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル)ベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1、1−3、3、3−ヘキサフルオロプロパン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどを挙げることができる。これらの中でも物性、コスト面から特に4,4−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、又は9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが好ましい。
フェノキシ樹脂の製造に用いることのできる触媒は、従来公知の重合触媒である。好適に使用することができる重合触媒として、アルカリ金属水酸化物、第三アミン化合物、第四アンモニウム化合物、第三ホスフィン化合物、第四ホスホニウム化合物を挙げることができる。
なお、2価基を構成する2つの結合の手の位置は化学的に可能な位置であれば特に限定されない。式(1)中のXは、式(2)〜(8)に示す化合物中のベンゼン環上から2つの水素原子が引き抜かれてできる結合の手を有する二価基であることが好ましい。特に、式(3)〜(8)に示す化合物中のいずれか二つのベンゼン環上からそれぞれ1つの水素原子が引き抜かれてできる結合の手を有する二価基であることが好ましい。
式(3)および(4)中、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、または炭素数2〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、nおよびmは、それぞれ独立に、1〜4のいずれかの整数である。
式(5)、(6)、(7)および(8)中、R5及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、または炭素数2〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、q及びrは、それぞれ独立に、1〜4のいずれかの整数である。
式(9)中、R9は、単結合、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、または炭素数3〜20のシクロアルキリデン基である。
式(9)または(10)中、R10は、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基である。
本発明に用いられるメタクリル樹脂組成物におけるポリカーボネート樹脂とフェノキシ樹脂との合計含有量は、メタクリル樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上12質量部以下であり、好ましくは0.5質量部以上、8質量部以下、さらに好ましくは0.9質量部以上、5質量部以下である。
また、フェノキシ樹脂の含有量が0.1質量部以上12質量部以下であれば、得られる樹脂層と機能層との接着性が向上する傾向があり、耐久性に優れる複層フィルムを得ることができる。
そのような高分子加工助剤としては、三菱レイヨン製のメタブレンシリーズ、ダウ製またはクレハ製のパラロイドシリーズ等が挙げられる。
なお、高分子加工助剤の平均重合度は自動希釈型毛細管粘度計(ウベローデ型)を用い、クロロホルムを溶媒として20℃で測定して、PMMA換算重合度で求めることができる。
リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤とを併用する場合、リン系酸化防止剤/ヒンダードフェノール系酸化防止剤を質量比で0.2/1〜2/1で使用するのが好ましく、0.5/1〜1/1で使用するのがより好ましい。
該熱劣化防止剤としては、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGM)、2,4−ジtert−アミル−6−(3’,5’−ジ−tert−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGS)などが好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、ホルムアミジン類などが挙げられる。これらの中でも、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、または波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが100dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤が好ましい。
これら紫外線吸収剤の中、紫外線被照による樹脂劣化が抑えられるという観点からベンゾトリアゾール類が好ましく用いられる。
εmax=[Amax/(10×10-3)]×MUV
有機色素としては、樹脂に対しては有害とされている紫外線を可視光線に変換する機能を有する化合物が好ましく用いられる。
光拡散剤や艶消し剤としては、ガラス微粒子、ポリシロキサン系架橋微粒子、架橋ポリマー微粒子、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。
蛍光体として、蛍光顔料、蛍光染料、蛍光白色染料、蛍光増白剤、蛍光漂白剤などが挙げられる。
また延伸処理で位相差を小さくしたい場合は、延伸時の温度を高く設定したり、延伸後の弛緩量を大きくしたりすることが好ましい。また、延伸処理で位相差を大きくしたい場合は、MD方向とTD方向の延伸倍率の比を大きくしたり、延伸時の温度を低く設定したりすることが好ましい。
本発明に用いられる樹脂層は、本発明の複層フィルムを偏光子保護フィルムとして用いる場合、波長590nmの光に対する厚さ方向位相差Rthが、樹脂層の厚さ40μmの時に、好ましくは−5nm以上、5nm以下、より好ましくは−4nm以上、4nm以下、さらに好ましくは−3nm以上、3nm以下、特に好ましくは−2nm以上、2nm以下、最も好ましくは−1nm以上、1nm以下である。
面内方向位相差および厚さ方向位相差がこのような範囲であれば、位相差に起因する画像表示装置の表示特性への影響が顕著に抑制され得る。より具体的には、干渉ムラや3Dディスプレイ用液晶表示装置に用いる場合の3D像の歪みが顕著に抑制され得る。
なお、面内方向位相差Reおよび厚さ方向位相差Rthは、それぞれ、以下の式で定義される値である。
Re=(nx−ny)×d
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
ここで、nxは樹脂層の遅相軸方向の屈折率であり、nyは樹脂層の進相軸方向の屈折率であり、nzは樹脂層の厚さ方向の屈折率であり、d(nm)は樹脂層の厚さである。遅相軸は、樹脂層面内の屈折率が最大になる方向をいい、進相軸は、面内で遅相軸に垂直な方向をいう。
また、本発明に用いられる樹脂層は、本発明の複層フィルムを位相差フィルムとして用いる場合、波長590nmの光に対する面内方向位相差Reが、樹脂層の厚さ40μmの時に、130nm以上160nm以下であり、好ましくは130nm以上150nm以下である。Reの値は液晶表示装置の駆動方法や光学特性の補償方法によって適時設計する必要があるが、上記範囲とすることにより、液晶表示装置の視認性をより一層向上することができる。
本発明の複層フィルムが有する機能層は、1層でもよいし、2層以上の多層であってもよい。また樹脂層の片面に機能層を有していても、両面に有していてもよい。
ハードコート層は、高硬度化して保護する機能を有する層である。オーバーコート層と称されることもある。ハードコート層は従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。ハードコート層としては、硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層であることが好ましい。ハードコート層としても適用可能な硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂などを要求性能などに応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系などが挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマーモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー乃至は(メタ)アクリル酸エステルプレポリマーなどからなる。さらに3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。ハードコート層は、上記硬化性樹脂を含むハードコート層用樹脂組成物を、本発明に用いられる樹脂層に直接塗工、もしくはプライマー層を塗布した樹脂層のプライマー層面に塗布し、硬化することにより得られる。本発明に用いる樹脂層は、表面硬度が高いため、ハードコート層を積層して複層フィルムとした場合に、より高い表面硬度の複層フィルムが得られる。
反射防止層は、外来光の鏡面反射による背景の映り込みを防止する層である。従来公知の反射防止層の中から適宜選択して用いることができる。反射防止層としては、例えば、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層し、最表面が低屈折率層となる様に多層化(マルチコート)した反射防止層や、微細凹凸形状等のナノ構造が形成された反射防止層等が挙げられる。上記高屈折率層としては、チタン、タンタル、ジルコニウム、インジウム等の金属酸化物微粒子を含有する高屈折率層形成用樹脂組成物及びその硬化物等が挙げられる。また、上記低屈折率層としては、フッ素系の樹脂や、中空シリカ微粒子等を含有する低屈折率層形成用樹脂組成物及その硬化物等が挙げられる。これらの反射防止層を用いることにより、層界面での反射光を干渉によって相殺することで、表面の反射を抑え、良好な反射防止効果を得る反射防止層等とすることができる。
防眩層は、外来光を散乱もしくは拡散させる層である。例えば、光の入射面を粗面化することにより、外来光を拡散することができる。この粗面化処理には、サンドブラスト法やエンボス法等により基体表面を直接、微細凹凸を形成して粗面化する方法、基体表面に放射線、熱の何れかもしくは組み合わせにより硬化する樹脂バインダ中にシリカなどの無機フィラーや、樹脂粒子などの有機フィラーを含有させた塗膜により粗面化層を設ける方法、及び基体表面に海島構造による多孔質膜を形成する方法を挙げることができる。樹脂バインダの樹脂としては、表面層として表面強度が望まれる関係上、硬化性アクリル樹脂や、上記ハードコート層同様に電離放射線硬化性樹脂等が好適には使用される。
本発明の複層フィルムの帯電を抑制するために帯電防止層を備えていてもよい。帯電防止層は、従来公知のもののなかから適宜選択して用いることができる。例えば、上記ハードコート用の樹脂組成物中に、公知の帯電防止剤を混合して用いることにより、帯電防止層とすることができる。帯電防止剤の具体例としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性化合物、スズ及びチタンのアルコキシドのような有機金属化合物及びそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、又は金属キレート部を有し、且つ、電離放射線により重合可能なモノマー又はオリゴマー、或いは電離放射線により重合可能な重合可能な官能基を有する且つ、カップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。また、導電性ポリマーやカーボンナノチューブ、銀ナノワイヤー等を用いてもよい。
また、本発明に用いる樹脂層は、表面硬度が高いため、鉛筆硬度を維持したい場合であっても、樹脂層や機能層の厚みを薄くし、本発明の複層フィルムの厚みを薄くすることができる。複層フィルムの厚みは、好ましくは1〜300μm、より好ましくは10〜60μm、さらに好ましくは15〜50μmである。
本発明の複層フィルムは、透明性、耐熱性が高く、表面硬度が高いため、光学用途以外の用途として、IRカットフィルムや、防犯フィルム、飛散防止フィルム、ウィンドウフィルム、加飾フィルム、金属加飾フィルム、太陽電池表面保護フィルム、太陽電池用封止フィルム、太陽電池用裏面保護フィルム、太陽電池用基盤フィルム、ガスバリアフィルム用保護フィルム、シュリンクフィルム、インモールドラベル用フィルム、水蒸気バリアフィルム基材、農業用フィルムに使用することができる。
接着剤層の厚さは、乾燥状態において、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.03〜5μmである。
島津製作所社製ガスクロマトグラフ GC−14Aに、カラムとしてGL Sciences Inc.社製 Inert CAP 1(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m)を繋ぎ、インジェクション温度を180℃に、検出器温度を180℃に、カラム温度を60℃(5分間保持)から昇温速度10℃/分で200℃まで昇温して、10分間保持する条件に設定して、測定を行い、この結果に基づいて重合転化率を算出した。
各製造例、実施例および比較例で得られたメタクリル樹脂およびメタクリル樹脂組成物のMwおよび分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて下記の条件でクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンの分子量に換算した値を算出した。ベースラインはGPCチャートの高分子量側のピークの傾きが保持時間の早い方から見てゼロからプラスに変化する点と、低分子量側のピークの傾きが保持時間の早い方から見てマイナスからゼロに変化する点を結んだ線とした。
GPC装置:東ソー社製、HLC−8320
検出器:示差屈折率検出器
カラム:東ソー社製のTSKgel SuperMultipore HZM-Mの2本とSuperhz4000を直列に繋いだものを用いた。
溶離剤: テトラヒドロフラン
溶離剤流量: 0.35mL/分
カラム温度: 40℃
検量線:標準ポリスチレン10点のデータを用いて作成
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、ウベローデ粘度計を用いてポリカーボネート樹脂0.5gを塩化メチレン100mLに溶解した溶液の比粘度ηspを20℃で測定し、下記のSchnellの式を満足する値として、20℃の塩化メチレン溶液の極限粘度[η]から、算出した。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2 c
(但し[η]は極限粘度、上記条件ではc=0.5)
[η]=1.23×10- 4 Mv0 . 8 3
メタクリル樹脂の1H−NMRスペクトルを、核磁気共鳴装置(Bruker社製 ULTRA SHIELD 400 PLUS)を用いて、溶媒として重水素化クロロホルムを用い、室温、積算回数64回の条件にて、測定した。そのスペクトルからTMSを0ppmとした際の0.6〜0.95ppmの領域の面積(X)と、0.6〜1.35ppmの領域の面積(Y)とを計測し、次いで、三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)を式:(X/Y)×100にて算出した。
メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびメタクリル樹脂組成物を、JIS K7121に準拠して、示差走査熱量測定装置(島津製作所製、DSC−50(品番))を用いて、230℃まで一度昇温し、次いで室温まで冷却し、その後、室温から230℃までを10℃/分で昇温させる条件にてDSC曲線を測定した。2回目の昇温時に測定されるDSC曲線から求められる中間点ガラス転移温度を本発明におけるガラス転移温度とした。
(メルトボリュームフローレート(MVR))
各実施例および比較例でフィルムの製造に用いたメタクリル樹脂組成物の原料であるポリカーボネート樹脂を、JIS K7210に準拠して、300℃、1.2kg荷重、10分間の条件で測定した。
自動希釈型毛細管粘度計(ウベローデ型、毛細管内径=0.5mm)を用い、クロロホルムを溶媒として20℃で測定して、PMMA換算重合度で求めた。
各実施例および比較例で得られた二軸延伸フィルムから100mm×30mmの試験片を切り出し、その表面に70mmの長さの直線を記入し、110℃の温度に保たれた強制温風循環式恒温オーブン内で30分間加熱後、記入した直線の長さ(L(mm))をスケールで読取り、下記式により加熱収縮率を求めた。
加熱収縮率(%)=(70−L)/70×100
各実施例および比較例で得られた二軸延伸フィルムから50mm×50mmの試験片を切り出し、JIS K7361−1に準じて、ヘイズメータ(村上色彩研究所製、HM−150)を用いてその全光線透過率を測定した。またメタクリル樹脂組成物の評価は、1.0mm厚の成形体を熱プレスにて成形し、全光線透過率を測定した。
各実施例および比較例で得られた二軸延伸フィルムから50mm×50mmの試験片を切り出し、JISK7136に準拠して、ヘイズメータ(村上色彩研究所製、HM−150)を用いてそのヘイズを測定した。またメタクリル樹脂組成物の評価は、1.0mm厚の成形体を熱プレスにて成形し、ヘイズを測定した。
各実施例および比較例で得られた二軸延伸フィルムから40mm×40mmの試験片を切り出した。この試験片を、自動複屈折計(王子計測社製KOBRA−WR)を用いて、温度23±2℃、湿度50±5%において、波長590nm、40°傾斜方向の位相差値から3次元屈折率nx、ny、nzを求め、前述した式より厚さ方向位相差Rthを計算した。試験片の厚さd(nm)は、デジマティックインジケータ(ミツトヨ社製)を用いて測定し、屈折率nは、デジタル精密屈折計(カルニュー光学工業社製 KPR−20)で測定した。
JIS K5600−5−4に準拠し、0.75Kg荷重で得られた二軸延伸フィルムの鉛筆硬度を測定した。
各実施例および比較例で得られた未延伸フィルムを二軸延伸する際、以下の基準で延伸性を評価した。延伸は、未延伸フィルムを、100mm×100mmに切り出し、パンタグラフ式二軸延伸試験機(東洋精機社製)により、ガラス転移温度+10℃の延伸温度、一方向120%/分の延伸速度、一方向2倍の延伸倍率で逐次二軸延伸し後(面積比で4倍)、10秒保持し、次いで冷却した
A:割れやクラックのないフィルムを10サンプル中、5サンプル以上取得できたもの。
B:割れやクラックのないフィルムを10サンプル中、4サンプル以下しか取得できなかったもの。
撹拌翼と三方コックが取り付けられた5Lのガラス製反応容器内を窒素で置換した。これに、室温下にて、トルエン1600g、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン2.49g(10.8mmol)、濃度0.45Mのイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムのトルエン溶液53.5g(30.9mmol)、および濃度1.3Mのsec−ブチルリチウムの溶液(溶媒:シクロヘキサン95質量%、n−ヘキサン5質量%)6.17g(10.3mmol)を仕込んだ。撹拌しながら、これに、蒸留精製したメタクリル酸メチル550gを−20℃にて30分間かけて滴下した。滴下終了後、−20℃にて180分間撹拌した。溶液の色が黄色から無色に変わった。この時点におけるメタクリル酸メチルの重合転化率は100%であった。
得られた溶液にトルエン1500gを加えて希釈した。次いで、該希釈液をメタノール100kgに注ぎ入れ、沈澱物を得た。得られた沈殿物を80℃、140Paにて24時間乾燥して、Mwが96100で、分子量分布が1.07で、シンジオタクティシティ(rr)が83%で、ガラス転移温度が133℃で、且つメタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合が100質量%であるメタクリル樹脂〔PMMA1〕を得た。
撹拌翼と三方コックが取り付けられた5Lのガラス製反応容器内を窒素で置換した。これに、室温下にて、トルエン1600g、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン2.49g(10.8mmol)、濃度0.45Mのイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムのトルエン溶液53.5g(30.9mmol)、および濃度1.3Mのsec−ブチルリチウムの溶液(溶媒:シクロヘキサン95%、n−ヘキサン5%)6.17g(10.3mmol)を仕込んだ。撹拌しながら、これに、蒸留精製したメタクリル酸メチル550gを20℃にて30分かけて滴下した。滴下終了後、20℃で90分間撹拌した。溶液の色が黄色から無色に変わった。この時点におけるメタクリル酸メチルの重合転化率は100%であった。
得られた溶液にトルエン1500gを加えて希釈した。次いで、希釈液をメタノール100kgに注ぎ入れ、沈澱物を得た。得られた沈殿物を80℃、140Paにて24時間乾燥して、Mwが81400で、分子量分布が1.08で、シンジオタクティシティ(rr)が73%で、ガラス転移温度が131℃で、且つメタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が100質量%であるメタクリル樹脂〔PMMA2〕を得た。
攪拌機および採取管が取り付けられたオートクレーブ内を窒素で置換した。これに、精製されたメタクリル酸メチル100質量部、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル(水素引抜能:1%、1時間半減期温度:83℃)0.0052質量部、およびn−オクチルメルカプタン0.225質量部を入れ、撹拌して、原料液を得た。かかる原料液中に窒素を送り込み、原料液中の溶存酸素を除去した。
オートクレーブと配管で接続された槽型反応器に容量の2/3まで原料液を入れた。温度を140℃に維持して先ずバッチ方式で重合反応を開始させた。重合転化率が55質量%になったところで、平均滞留時間150分となる流量で、原料液をオートクレーブから槽型反応器に供給し、且つ原料液の供給流量に相当する流量で、反応液を槽型反応器から抜き出して、温度140℃に維持し、連続流通方式の重合反応に切り替えた。切り替え後、定常状態における重合転化率は55質量%であった。
メタクリル樹脂〔PMMA2〕57質量部およびメタクリル樹脂〔PMMA3〕43質量部を混ぜ合わせ、二軸押出機(テクノベル社製、商品名:KZW20TW-45MG-NH-600)で250℃にて混練押出してメタクリル樹脂〔PMMA4〕を製造した。
PC1:住化スタイロンポリカーボネート社製、301−40(品番);MVR(300℃、1.2Kg)=40cm3/10分、Mv=16200
PC2:住化スタイロンポリカーボネート社製、SD POLYCA TR−2001
(品番);MVR(300℃、1.2Kg)=200cm3/10分、Mv=11400
Phenoxy1:新日鉄住金化学社製、YP-50S(品番)
Phenoxy2:InChem社製、PKFE(品番)
B1:三菱レイヨン社製メタブレンP550A(平均重合度:7734、MMA88質量%/BA12質量%)
B2:ダウケミカル社製パラロイドK125P(平均重合度:19874、MMA79質量%/BA21質量%)
メタクリル樹脂〔PMMA1〕100質量部、ポリカーボネート樹脂〔PC1〕2.5質量部および加工助剤〔B2〕2質量部を混ぜ合わせ、二軸押出機(テクノベル社製、商品名:KZW20TW-45MG-NH-600)で250℃にて混練押出してメタクリル樹脂組成物〔1〕を製造した。得られたメタクリル樹脂組成物〔1〕を熱プレス成形して50mm×50mm×1.0mmの板状成形体を成形し、全光線透過率、ヘイズおよびガラス転移温度を測定した。メタクリル樹脂組成物〔1〕の物性を表4に示す。
表4に示す配合とする以外は延伸フィルム製造例1と同じ方法でメタクリル樹脂組成物〔2〕〜〔7〕を製造した。得られたメタクリル樹脂組成物〔2〕〜〔7〕を熱プレス成形して50mm×50mm×1.0mmの板状成形体を成形し、全光線透過率、ヘイズおよびガラス転移温度を測定した。メタクリル樹脂組成物〔2〕〜〔7〕の物性を表3および表4に示す。
黒色アクリル板( (株)クラレ製、厚み2.0mm)を、複層フィルムの機能層と反対側の面に粘着剤で貼り合わせ、黒色アクリル板を貼り付けた側の面の反射をなくしたサンプルを作製した。
一般的にディスプレイを用いるオフィス環境下(約1000Lx)において、上記で作製したサンプルの機能層側を上面に、黒色アクリル板を床面にして、蛍光灯の真下に配置し、下記の基準で防眩性を目視にて判定した。
判定基準
A :蛍光灯の写り込みがない、または少し写り込んでいる、視認性への影響が少ない。
B :蛍光灯が写り込んでいるが、輪郭線はぼやけて見える。
C : くっきりと蛍光灯の輪郭線が写り込んでおり、かなり気になる。
JIS K5600−5−4に準拠し、0.75Kg荷重で得られた複層フィルムの機能層側の鉛筆硬度を測定した。
紫外線硬化型樹脂:ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(日本化薬(株)製)28.4質量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(日本化薬(株)製)1.50質量部と、アクリル系ポリマー(分子量75,000)3.18質量部と、光硬化開始剤 イルガキュア184(BASF社製)1.96質量部と、光硬化開始剤 イルガキュア907(BASF社製)0.33質量部と、透光性微粒子単分散スチレンビーズ(粒径3.5μm、屈折率1.60)4.55質量部と、シリコン系レベリング剤0.0105質量部を混合した材料を作成した。当該材料と、トルエン:シクロヘキサノンが7:3の溶剤とを、全固形分が38%となるように添加して十分混合し、組成物として調整した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用組成物1を調製した。なお、防眩層用組成物1の硬化物の屈折率は1.51となる。
ペンタエリスリトールトリアクリレートと多官能ウレタン化アクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートとの反応生成物)とが重量比60/40で、酢酸エチルに固形分濃度60%で溶解されており、レベリング剤を含む紫外線硬化性樹脂組成物を準備した。この紫外線硬化性樹脂組成物は、硬化後に1.53の屈折率を示す。
イソシアヌル酸トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびイソホロンジイソシアネートポリウレタンからなる紫外線硬化型樹脂(DIC(株)製、商品名「ユニディック17−806」、固形分:80重量%、溶媒:酢酸ブチル)を準備した。前記紫外線硬化型樹脂の硬化皮膜の屈折率は、1.53であった。前記紫外線硬化型樹脂の樹脂固形分100重量部あたり、微粒子としてアクリルとスチレンの架橋粒子(積水化成品工業(株)製、商品名「テクポリマーXX−133AA」、重量平均粒径:3.0μm、屈折率:1.525)を5重量部、レベリング剤(DIC(株)製、商品名「GRANDICPC−4100」)を1.0重量部、光重合開始剤(BASF社製、商品名「イルガキュア907」)を5重量部混合した。この混合物を、固形分濃度が35重量%となるように、イソプロピルアルコール(IPA)/シクロペンタノン(CPN)混合溶媒(重量比70/30)で希釈して、防眩層用組成物3を調製した。
コロイダルシリカスラリー((MIBK分散);固形分40%、平均粒径20nm)2.86質量部と、紫外線硬化型樹脂としてUV−1700B(日本合成化学工業(株)製ジペンタエリストロールヘキサアクリレート、屈折率1.51、固形分60%MIBK:メチルイソブチルケトン希釈)5.34質量部と、アロニックスM315(東亞合成(株)製イソシアヌール酸のエチレンオキサイド3モル付加物のトリアクリレート、固形分60%MIBK希釈)1.34質量部と、イルガキュア184(光硬化開始剤;BASF社製)0.024質量部と、イルガキュア907(光硬化開始剤;BASF社製)0.004質量部と、UT−3971(防汚剤;固形分30%MIBK溶液;日本合成化学工業製)0.007質量部と、トルエン2.85質量部と、シクロヘキサノン0.60質量部とを十分混合して組成物として調整した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、固形分40.5%のハードコート用組成物を調製した。なお、ハードコート用組成物によって形成されるハードコート層の屈折率は1.51となる。
延伸フィルム製造例1で得られたフィルム(基材フィルム〔1〕)に、防眩層用組成物1を乾燥後厚みが5.5μmになるようにワイヤーバーにてコーティングした。これを70℃の熱風乾燥機中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、紫外線を照射線量が30mJになるよう照射して塗膜を硬化させ防眩層を形成した。
さらに、防眩層上にハードコート用組成物を乾燥厚み6.5μmになるようにワイヤーバーにてコーティングした。これを70℃の熱風乾燥機中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、紫外線を照射線量が150mJになるよう照射して塗膜を硬化させハードコート層付防眩層を形成した。これにより、樹脂層と、2種の機能層を有してなる複層フィルム1を得た。
延伸フィルム製造例2で得られたフィルム(基材フィルム〔2〕)に、防眩層用組成物2を乾燥後厚みが3.5μmになるようにワイヤーバーにてコーティングした。これを70℃の熱風乾燥機中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、紫外線を照射線量が200mJになるよう照射して塗膜を硬化させ防眩層を形成した。これにより、樹脂層と、1種の機能層を有してなる複層フィルム2を得た。
延伸フィルム製造例3で得られたフィルム(基材フィルム〔3〕)に、防眩層用組成物3を乾燥後厚みが6.0μmになるようにワイヤーバーにてコーティングした。これを70℃の熱風乾燥機中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、紫外線を照射線量が200mJになるよう照射して塗膜を硬化させ防眩層を形成した。これにより、樹脂層と、1種の機能層を有してなる複層フィルム3を得た。
表5に示す構成とする以外は実施例1〜3と同じ方法で複層フィルム4〜7を製造した。比較例1は防眩層を積層しなかった。評価結果を表5に示す。
平均重合度2400、ケン化度99.9モル%、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水中に60秒間浸漬して膨潤させた。次いで、0.3重量%(重量比:ヨウ素/ヨウ化カリウム=0.5/8)の30℃のヨウ素溶液中で1分間染色しながら、3.5倍まで延伸した。その後、65℃の4重量%のホウ酸水溶液中に0.5分間浸漬しながら総合延伸倍率が6倍になるよう延伸した。延伸後、70℃のオーブンで3分間乾燥を行い、厚さ22μmの偏光子を得た。
延伸フィルム製造例1の二軸延伸フィルムと実施例4の複層フィルムをそれぞれ偏光子保護フィルムA1、A2として用いた。ポリエステルウレタン(第一工業製薬社製、商品名:スーパーフレックス210、固形分:33%)16.8g、架橋剤(オキサゾリン含有ポリマー、日本触媒社製、商品名:エポクロスWS−700、固形分:25%)4.2g、1重量%のアンモニア水2.0g、コロイダルシリカ(扶桑化学工業社製、クォートロンPL−3、固形分:20重量%)0.42gおよび純水76.6gを混合し、易接着剤組成物を得た。
得られた易接着剤組成物を、コロナ放電処理を施したA1の二軸延伸フィルムのコロナ放電処理面に、乾燥後の厚さが100nmとなるように、バーコーターで塗布した。その後、フィルムを熱風乾燥機(110℃)に投入し、易接着剤組成物を約5分乾燥させて、A1の二軸延伸フィルム上に易接着層を形成した。同様にして、A2の基材フィルム側にも同様に易接着層を形成した。
(偏光子保護フィルムB)
厚さ40μmのトリアセチルセルセルロースフィルムを、10%の水酸化ナトリウム水溶液(60℃)に30秒間浸漬してケン化した後、60秒間水洗し、第2の偏光子保護フィルムBを得た。
12 接着剤層
13 易接着層
14 偏光子保護フィルム
15 接着剤層
16 光学フィルム
141 樹脂層
142 機能層
Claims (14)
- 三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が50%以上のメタクリル樹脂と、ポリカーボネート樹脂またはフェノキシ樹脂の少なくとも1つを含有するメタクリル樹脂組成物からなる樹脂層と、
当該樹脂層の少なくとも一方の面に、ハードコート層、防眩層、反射防止層及び帯電防止層よりなる群から選択される1種以上の層を含む機能層と、を有してなる複層フィルムであって、
前記メタクリル樹脂組成物は、前記メタクリル樹脂100質量部に対する前記ポリカーボネート樹脂と前記フェノキシ樹脂の合計含有量が0.1質量部以上12質量部以下であって、前記メタクリル樹脂と前記ポリカーボネート樹脂と前記フェノキシ樹脂とを合計したものを80質量%以上含むメタクリル樹脂組成物である複層フィルム。 - 前記ポリカーボネート樹脂の300℃、1.2KgでのMVR値が130〜250cm3/10分である請求項1に記載の複層フィルム。
- 前記ポリカーボネート樹脂が1000より大きく、32000より小さい粘度平均分子量を有しているものである請求項1または2に記載の複層フィルム。
- 前記メタクリル樹脂が、メタクリル酸メチル由来の構造単位の含有量が80質量%以上であって、重量平均分子量が200000以下のものである請求項1〜3のいずれかに記載の複層フィルム。
- 前記メタクリル樹脂が、重量平均分子量が80000〜200000であり、且つメタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が92質量%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の複層フィルム。
- 前記メタクリル樹脂組成物が、3,000以上、40,000以下の平均重合度を有している高分子加工助剤を、前記メタクリル樹脂100質量部に対して0.3質量部以上、6質量部以下含有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の複層フィルム。
- 前記メタクリル樹脂組成物が、紫外線吸収剤を前記メタクリル樹脂100質量部に対して0.1質量部以上、5質量部以下含有するものである請求項1〜6のいずれかに記載の複層フィルム。
- 前記メタクリル樹脂のシンジオタクティシティ(rr)が、85%以下である請求項1〜7のいずれかに記載の複層フィルム。
- 面積比で1.5〜8倍に二軸延伸された請求項1〜8のいずれかに記載の複層フィルム。
- 複層フィルムの厚みが10〜60μmで、機能層の厚みが1〜15μmで、機能層側の鉛筆硬度が2H以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の複層フィルム。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の複層フィルムからなる偏光子保護フィルム。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の複層フィルムからなる位相差フィルム。
- 請求項1〜10に記載の複層フィルム、請求項11に記載の偏光子保護フィルムまたは請求項12に記載の複層フィルムのいずれかが少なくとも1枚偏光子に積層された偏光板。
- 請求項13に記載の偏光板を含む画像表示装置。
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