JP2017040825A - 複層フィルムおよび偏光子保護フィルム並びに偏光板 - Google Patents

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Atsuhiro Nakahara
淳裕 中原
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Abstract

【課題】透明性が高く、熱収縮率が小さく、厚さが均一で、表面が傷つき難い複層フィルムを提供する。【解決手段】三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が50%以上のメタクリル樹脂と、ポリカーボネート樹脂またはフェノキシ樹脂の少なくとも1つを含有するメタクリル樹脂組成物からなる樹脂層と、 当該樹脂層の少なくとも一方の面に、ハードコート層、防眩層、反射防止層及び帯電防止層よりなる群から選択される1種以上の層を含む機能層と、を有してなる複層フィルムであって、 前記メタクリル樹脂組成物は、前記メタクリル樹脂100質量部に対する前記ポリカーボネート樹脂と前記フェノキシ樹脂の合計含有量が0.1質量部以上12質量部以下であって、前記メタクリル樹脂と前記ポリカーボネート樹脂と前記フェノキシ樹脂とを合計したものを80質量%以上含むメタクリル樹脂組成物である複層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、複層フィルムに関する。より詳細に、本発明は、透明性が高く、熱収縮率が小さく、厚さが均一で、表面が傷つき難い複層フィルムに関する。
液晶表示装置には各種の樹脂製フィルムが使用されている。このうち偏光子保護フィル
ムには、トリアセチルセルロースが主に使用されている。トリアセチルセルロースからな
るフィルムは透湿度が高いため、薄膜化するにしたがって、偏光子の品質低下を引き起こ
す傾向となる。偏光子保護フィルムの改良は液晶表示装置の薄型化において課題となって
いる。
そこで、新たな偏光子保護フィルムの材料としてメタクリル樹脂が検討されている。メ
タクリル樹脂からなるフィルムを延伸処理すると靭性が高まることが知られている(特許
文献1参照)。ところが、通常のメタクリル樹脂フィルムを延伸すると位相差が大きくな
り、IPS液晶方式では画面の品位低下を引き起こしてしまう。
メタクリル樹脂にポリカーボネート樹脂などの樹脂を添加することで、位相差の小さい
フィルムを得やすくなることが知られている(特許文献2〜5)。しかしながら、これら
の方法で使用されるメタクリル樹脂は、耐熱性を向上させるために、芳香族ビニル単量体
やイミド系単量体を共重合しているため、強度が低いので、これをフィルムにしても割れ
やすく光学フィルムとして適さない。また、偏光子保護フィルムとして用いる場合、表面の傷つき性や防眩性など機能が十分でなく、これらを満足するフィルムが望まれていた。
特公昭57−32942号公報 特開平5−32846号公報(特許3048183号公報) 特開2012−514759号公報 特開2013−148655号公報 特開2014−051649号公報
本発明は、上記背景に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、透明性が高く、熱収縮率が小さく、厚さが均一で、表面が傷つき難い複層フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく検討を重ねた結果、以下の態様を包含する本発明を完成するに至った。
[1]: 三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が50%以上のメタクリル樹脂と、ポリカーボネート樹脂またはフェノキシ樹脂の少なくとも1つを含有するメタクリル樹脂組成物からなる樹脂層と、
当該樹脂層の少なくとも一方の面に、ハードコート層、防眩層、反射防止層及び帯電防止層よりなる群から選択される1種以上の層を含む機能層と、を有してなる複層フィルムであって、
前記メタクリル樹脂組成物は、前記メタクリル樹脂100質量部に対する前記ポリカーボネート樹脂と前記フェノキシ樹脂の合計含有量が0.1質量部以上12質量部以下であって、前記メタクリル樹脂と前記ポリカーボネート樹脂と前記フェノキシ樹脂とを合計したものを80質量%以上含むメタクリル樹脂組成物である複層フィルム。
[2]: 前記ポリカーボネート樹脂の300℃、1.2KgでのMVR値が130〜250cm3/10分である[1]に記載の複層フィルム。
[3]: 前記ポリカーボネート樹脂が1000より大きく、32000より小さい粘度平均分子量を有しているものである[1]または[2]に記載の複層フィルム。
[4]: 前記メタクリル樹脂が、メタクリル酸メチル由来の構造単位の含有量が80質量%以上であって、重量平均分子量が200000以下のものである[1]〜[3]のいずれかに記載の複層フィルム。
[5]: 前記メタクリル樹脂が、重量平均分子量が80000〜200000であり、且つメタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が92質量%以上である[1]〜[4]のいずれかに記載の複層フィルム。
[6]: 前記メタクリル樹脂組成物が、3,000以上、40,000以下の平均重合度を有している高分子加工助剤を、前記メタクリル樹脂100質量部に対して0.3質量部以上、6質量部以下含有するものである[1]〜[5]のいずれかに記載の複層フィルム。
[7]: 前記メタクリル樹脂組成物が、紫外線吸収剤を前記メタクリル樹脂100質量部に対して0.1質量部以上、5質量部以下含有するものである[1]〜[6]のいずれかに記載の複層フィルム。
[8]: 前記メタクリル樹脂のシンジオタクティシティ(rr)が、85%以下である[1]〜[7]のいずれかに記載の複層フィルム。
[9]: 面積比で1.5〜8倍に二軸延伸された[1]〜[8]のいずれかに記載の複層フィルム。
[10]: 複層フィルムの厚みが10〜60μmで、機能層の厚みが1〜15μmで、機能層側の鉛筆硬度が2H以上である、[1]〜[9]のいずれかに記載の複層フィルム。
[11]: [1]〜[10]のいずれかに記載の複層フィルムからなる偏光子保護フィルム。
[12]: [1]〜[10]のいずれかに記載の複層フィルムからなる位相差フィルム。
[13]: [1]〜[10]に記載の複層フィルム、[11]に記載の偏光子保護フィルムまたは[12]に記載の複層フィルムのいずれかが少なくとも1枚偏光子に積層された偏光板。
[14]: [13]に記載の偏光板を含む画像表示装置。
本発明によれば、透明性が高く、熱収縮率が小さく、厚さが均一で、表面が傷つき難い複層フィルムが得られる。
本発明の実施形態に係る偏光板の一例を示す断面図である。
本発明の複層フィルムは、メタクリル樹脂組成物からなる樹脂層と、機能層と、を有してなる複層フィルムである。
樹脂層は、三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が50%以上のメタクリル樹脂と、ポリカーボネート樹脂またはフェノキシ樹脂の少なくとも1つを含有するメタクリル樹脂組成物からなるものである。
樹脂層の少なくとも一方の面に有している機能層は、ハードコート層、防眩層、反射防止層及び帯電防止層よりなる群から選択される1種以上の層を含む機能層である。
本発明に用いられるメタクリル樹脂は、得られる複層フィルムの耐熱性の観点からメタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が、メタクリル樹脂の質量を基準にして、80質量%以上が好ましく、より好ましくは92質量%以上、さらにより好ましくは95質量%以上、特に好ましくは97質量%以上、さらに特に好ましくは99質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
本発明に用いられるメタクリル樹脂は、メタクリル酸メチルに由来する構造単位以外の構造単位を含んでいても良く、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−イソボルニル、メタクリル酸8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル、メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシルなどのメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸アルキルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシルなどのアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸フェニルなどのアクリル酸アリールエステル;アクリル酸シクロへキシル、アクリル酸ノルボルネニルなどのアクリル酸シクロアルキルエステル;アクリルアミド;メタクリルアミド;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;などの一分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を一つだけ有するビニル系単量体に由来する構造単位が挙げられる。メタクリル酸メチルに由来する構造単位以外の構造単位は、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1質量%以下、最も好ましくは0質量%である。
本発明に用いられるメタクリル樹脂は、三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)の下限が、耐熱性の観点から、好ましくは50%、より好ましくは53%、さらに好ましくは55%、よりさらに好ましくは58%、最も好ましくは60%である。該メタクリル樹脂は、製膜性の観点から、三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)の上限が、好ましくは99%、より好ましくは85%、さらに好ましくは77%、よりさらに好ましくは65%、最も好ましくは64%である。
三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)(以下、単に「シンジオタクティシティ(rr)」と称することがある。)は、連続する3つの構造単位の連鎖(3連子、triad)が有する2つの連鎖(2連子、diad)が、ともにラセモ(rrと表記する)である割合である。なお、ポリマー分子中の構造単位の連鎖(2連子、diad)において立体配置が同じものをメソ(meso)、逆のものをラセモ(racemo)と称し、それぞれm、rと表記する。
メタクリル樹脂のシンジオタクティシティ(rr)(%)は、重水素化クロロホルム中、30℃で、1H-NMRスペクトルを測定し、そのスペクトルからTMSを0ppmとした際の、0.6〜0.95ppmの領域の面積(X)と0.6〜1.35ppmの領域の面積(Y)とを計測し、式:(X/Y)×100にて算出することができる。
本発明に用いられるメタクリル樹脂は、重量平均分子量(以下、「Mw」と称することがある。)が、200000以下が好ましく、より好ましくは60000〜200000、さらにより好ましくは70000〜160000、最も好ましくは80000〜120000である。かかるMwが60000以上で、かつ、シンジオタクティシティ(rr)が50%以上あることで、得られる樹脂層は、強度が高く、割れ難く、延伸し易い。そのため樹脂層および複層フィルムをより薄くすることができる。またMwが200000以下であることで、メタクリル樹脂の成形加工性が高まるので、得られる樹脂層の厚さが均一で且つ表面平滑性に優れる傾向となる。
本発明に用いられるメタクリル樹脂は、Mwと数平均分子量(以下、「Mn」と称することがある。)の比(Mw/Mn:以下、この値を「分子量分布」と称することがある。)が、好ましくは1.2〜2.0、より好ましくは1.3〜1.7である。分子量分布が1.2以上であることでメタクリル樹脂の流動性が向上し、得られる樹脂層は表面平滑性に優れる傾向となる。分子量分布が2.0以下であることで得られる樹脂層は耐衝撃性および靭性に優れる傾向となる。なお、MwおよびMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したクロマトグラムを標準ポリスチレンの分子量に換算した値である。
本発明に用いられるメタクリル樹脂は、JIS K7210に準拠して、230℃、3.8kg荷重の条件において測定される、メルトフローレートが、好ましくは0.1〜5g/10分、さらに好ましくは0.5〜4g/10分、最も好ましくは1.0〜3g/10分である。
本発明に用いられるメタクリル樹脂のガラス転移温度は、好ましくは110℃以上、より好ましくは118℃以上、さらに好ましくは120℃以上、よりさらに好ましくは123℃以上、最も好ましくは124℃以上である。該メタクリル樹脂のガラス転移温度の上限は、通常130℃である。ガラス転移温度は、分子量やシンジオタクティシティ(rr)を調節することによって制御することができる。ガラス転移温度がこの範囲にあると、得られる樹脂層の熱収縮などの変形が起こり難い。なお、ガラス転移温度は、実施例に記載の方法で測定した中間点ガラス転移温度である。
本発明に用いられるメタクリルメタクリル樹脂の製造方法は特に制限されない。例えば、ラジカル重合法、アニオン重合法などの公知の重合法において、重合温度、重合時間、連鎖移動剤の種類や量、重合開始剤の種類や量などを調整することによって、Mw、シンジオタクティシティ(rr)などの特性が所望の本発明の規定する範囲を満たすメタクリル樹脂を製造することができる。
例えば、ラジカル重合法の場合、重合温度を80℃以下にすることが好ましく、70℃以下にすることがより好ましく、60℃以下にすることがさらに好ましい。このように温度を調整すると、シンジオタクティシティ(rr)を高くすることが容易である。
アニオン重合法の場合、重合開始剤として、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等のアルキルリチウムを用いることが好ましい。また、生産性の観点から、有機アルミニウム化合物を共存させることが好ましい。有機アルミニウムとしては、下記式:
AlR123
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基またはN,N−二置換アミノ基を表す。R2およびR3は、それぞれが結合してなる、置換基を有していてもよいアリーレンジオキシ基であってもよい。)
で示される化合物が挙げられる。具体的には、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム等が挙げられる。
また、アニオン重合法においては、重合反応を制御するために、エーテルや含窒素化合物などを共存させることもできる。
また、メタクリル樹脂をアニオン重合法にて製造する場合、重合反応の途中で重合開始剤の量より少ない量、具体的には、重合開始剤の量に対して、好ましくは1モル%〜50モル%、より好ましくは2モル%〜20モル%、さらに好ましくは5モル%〜10モル%の重合停止剤を添加したり、または重合反応の途中で最初に添加した重合開始剤の量に対して、好ましくは1モル%〜50モル%、より好ましくは2モル%〜20モル%、さらに好ましくは5モル%〜10モル%の重合開始剤を追加添加したりすることによって、重量平均分子量を調整できる。
重量平均分子量、シンジオタクティシティ(rr)などが所望の特性を有するメタクリル樹脂を得る第2の方法として、所望の特性を満たさないメタクリル樹脂を一部に混合したり、所望の特性を満たさないメタクリル樹脂同士を適宜混合することにより、所望の特性(重量平均分子量、シンジオタクティシティ(rr)などの特性)を有するメタクリル樹脂を得る方法が挙げられる。かかる方法は、工程管理が容易である。複数種のメタクリル樹脂の混合は、公知の方法、例えばニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサーなどの溶融混練装置を用いて行うことができる。混練時の温度は、使用するメタクリル樹脂の溶融温度に応じて適宜調節することができ、通常150〜300℃である。
所望の特性を有するメタクリル樹脂を得る第3の製造方法として、所望の特性範囲から外れているメタクリル樹脂の存在下で単量体を重合して、所望の重量平均分子量、シンジオタクティシティ(rr)などの特性が所望の範囲を満たすメタクリル樹脂を製造する方法がある。かかる重合は上記したラジカル重合法やアニオン重合法と同様にして行うことができる。第3の製造方法によれば、第2の製造方法に比べて、メタクリル樹脂に掛かる熱履歴が短くなるので、メタクリル樹脂の熱分解が抑制され、着色や異物の少ない樹脂層が得られやすい。
上記のようなメタクリル樹脂の製造方法のうち、透明性の高いメタクリル樹脂が容易に製造できるという観点から、アニオン重合法によって特性が所望の範囲を満たすメタクリル樹脂を製造する方法;アニオン重合法で製造されたメタクリル樹脂と、ラジカル重合で製造されたメタクリル樹脂を混合することによって特性が規定範囲を満たすメタクリル樹脂を製造する方法;およびアニオン重合法で製造されたメタクリル樹脂と、別のアニオン重合法で製造されたメタクリル樹脂とを混合することによって特性が所望の範囲を満たすメタクリル樹脂を製造する方法が好ましく、アニオン重合法で製造されたメタクリル樹脂と、ラジカル重合で製造されたメタクリル樹脂を混合することによって特性が所望の範囲を満たすメタクリル樹脂を製造する方法がより好ましい。
本発明に用いられるメタクリル樹脂組成物は、上記メタクリル樹脂に加え、ポリカーボネート樹脂またはフェノキシ樹脂の少なくともひとつを含有するものである。
〔ポリカーボネート樹脂〕
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂は、多官能ヒドロキシ化合物と炭酸エステル形成性化合物との反応によって得られる重合体である。該ポリカーボネート樹脂は、メタクリル樹脂との相溶性、得られる樹脂層の透明性がよいという観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂は、得られるメタクリル樹脂組成物からポリカーボネートがブリードアウトし難いという観点から、粘度平均分子量(以下、「Mv」と称することがある)が好ましくは1000以上であり、より好ましくは3000以上、さらにより好ましくは5000以上、特に好ましくは10000以上である。また、メタクリル樹脂との相溶性の観点から、粘度平均分子量が、好ましくは32000以下、より好ましくは22000以下、さらにより好ましくは18000以下、特により好ましくは17000以下である。使用するメタクリル樹脂のシンジオタクティシティ(rr)が高いほど、ポリカーボネート樹脂との相溶性が高く、より大きな粘度平均分子量のポリカーボネート樹脂を使用することができる。
また、本発明に用いられるポリカーボネート樹脂は、得られる樹脂層の延伸性が高いという観点からは、粘度平均分子量が15000より大きいものを用いることが好ましい。この場合、Mvは、15500以上が好ましく、15800以上より好ましく、16000以上が最も好ましい。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、キャノン−フェンスケ粘度計やウベローデ粘度計を用いてポリカーボネート樹脂0.5gを塩化メチレン100mLに溶解した溶液の比粘度ηspを20℃で測定し、下記のSchnellの式を満足する値として、20℃塩化メチレン溶液の極限粘度[η]から、算出することができる。
ηsp /c=[η]+0.45×[η]2
(但し[η]は極限粘度、上記条件ではc=0.5)
[η]=1.23×10- 4 Mv0 . 8 3
また、本発明に用いられるポリカーボネート樹脂の300℃、1.2kgでのMVR(メルトボリュームフローレート)値は、メタクリル樹脂との相溶性の観点から、1.0cm3/10分以上が好ましく、10cm3/10分以上がより好ましく、25cm3/10分以上がさらに好ましく、33cm3/10分以上がさらにより好ましく、130cm3/10分以上が特に好ましく、150cm3/10分以上がさらに特に好ましく、180cm3/10分以上が最も好ましい。また、得られるメタクリル樹脂組成物からポリカーボネートがブリードアウトし難いという観点から、2×107cm3/10分以下が好ましく、1×105cm3/10分以下がより好ましく、10000cm3/10分以下がさらに好ましく、390cm3/10分以下がさらにより好ましく、250cm3/10分以下が特に好ましく、230cm3/10分以下がさらに特に好ましく、220cm3/10分以下が最も好ましい。
また、本発明に用いられるポリカーボネート樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したクロマトグラムを標準ポリスチレンの分子量に換算した重量平均分子量(Mw)が、得られるメタクリル樹脂組成物からポリカーボネートがブリードアウトし難いという観点から、Mwは、1300g/モル以上が好ましく、4700g/モル以上がより好ましく、8500g/モル以上が更に好ましく、19200g/モル以上が特に好ましい。また、メタクリル樹脂との相溶性の観点から、75000g/モル以下が好ましく、48300g/モル以下がより好ましく、38200g/モル以下が更に好ましく、35700g/モル以下が特に好ましい。
なお、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量、MVR値や重量平均分子量は末端停止剤や分岐剤の量を調整することによって行うことができる。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、好ましくは110℃以上、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは140℃以上である。該ポリカーネト樹脂のガラス転移温度の上限は、通常180℃である。
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されない。例えば、ホスゲン法(界面重合法)及び溶融重合法(エステル交換法)などが挙げられる。また、本発明に好ましく用いられる芳香族ポリカーボネート樹脂は、溶融重合法で製造したポリカーボネート樹脂原料に、末端ヒドロキシ基量を調整するための処理を施して成るものであってもよい。
ポリカーボネート樹脂を製造するための原料である多官能ヒドロキシ化合物としては、置換基を有していてもよい4,4’−ジヒドロキシビフェニル類;置換基を有していてもよいビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類;置換基を有していてもよいビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル類;置換基を有していてもよいビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド類;置換基を有していてもよいビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド類;置換基を有していてもよいビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン類;置換基を有していてもよいビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン類;置換基を有していてもよいビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類;置換基を有していてもよいジヒドロキシ−p−ターフェニル類;置換基を有していてもよいジヒドロキシ−p−クォーターフェニル類;置換基を有していてもよいビス(ヒドロキシフェニル)ピラジン類;置換基を有していてもよいビス(ヒドロキシフェニル)メンタン類;置換基を有していてもよいビス〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン類;置換基を有していてもよいジヒドロキシナフタレン類;置換基を有していてもよいジヒドロキシベンゼン類;置換基を有していてもよいポリシロキサン類;置換基を有していてもよいジヒドロパーフルオロアルカン類などが挙げられる。
これらの多官能ヒドロキシ化合物の中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、4,4'−ジヒドロキシビフ
ェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、α,ω−ビス〔3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピル〕ポリジメチルシロキサン、レゾルシン、2,7−ジヒドロキシナフタレンが好ましく、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
炭酸エステル形成性化合物としては、ホスゲンなどの各種ジハロゲン化カルボニルや、クロロホーメートなどのハロホーメート、ビスアリールカーボネートなどの炭酸エステル化合物が挙げられる。この炭酸エステル形成性化合物の量は、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよい。
反応は、通常、酸結合剤の存在下に溶媒中で行われる。酸結合剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物や、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩や、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、ジメチルアニリンなどの三級アミン、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリブチルベンジルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイドなどの四級アンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイドなどの四級ホスホニウム塩などが挙げられる。さらに、所望により、この反応系に亜硫酸ナトリウムやハイドロサルファイドなどの酸化防止剤を少量添加してもよい。酸結合剤の量は、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよい。具体的には、原料の多官能ヒドロキシ化合物の水酸基1モル当たり、1当量もしくはそれより過剰な量、好ましくは1〜5当量の酸結合剤を使用すればよい。
また、反応には、公知の末端停止剤や分岐剤を用いることができる。末端停止剤としては、p−tert−ブチル−フェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−パーフルオロノニルフェノール、p−(パーフルオロノニルフェニル)フェノール、p−(パーフルオロキシルフェニル)フェノール、p−tert−パーフルオロブチルフェノール、1−(P−ヒドロキシベンジル)パーフルオロデカン、p−〔2−(1H,1H−パーフルオロトリドデシルオキシ)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル〕フェノール、3,5−ビス(パーフルオロヘキシルオキシカルボニル)フェノール、p−ヒドロキシ安息香酸パーフルオロドデシル、p−(1H,1H−パーフルオロオクチルオキシ)フェノール、2H,2H,9H−パーフルオロノナン酸、1,1,1,3,3,3−テトラフロロ−2−プロパノールなどが挙げられる。
分岐剤としては、フロログリシン、ピロガロール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプテン、2,4−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス〔4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、2,4−ビス〔2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェノール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス〔4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノキシ〕メタン、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、シアヌル酸、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドール、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロモイサチンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート単位以外に、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルもしくはポリシロキサン構造を有する単位等を含有しているものであってもよい。
〔フェノキシ樹脂〕
フェノキシ樹脂は熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂である。フェノキシ樹脂は、例えば、式(1)で表される構造単位を1種以上含み、かつ式(1)で表される構造単位を50質量%以上含む。
式(1)中、Xは少なくとも一つのベンゼン環を含む2価基であり、Rは炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基である。式(1)で表される構造単位は、ランダム、交互、若しくはブロックのいずれの形態で繋がっていてもよい。
フェノキシ樹脂は、式(1)で表される構造単位を10〜1000個含むことが好ましく、より好ましくは15〜500個、さらに好ましくは30〜300個含むことが好ましい。
フェノキシ樹脂は、末端にエポキシ基を有しないものが好ましい。末端にエポキシ基を有しないフェノキシ樹脂を用いるとゲル欠点が少ない樹脂層を得やすい。
フェノキシ樹脂の数平均分子量は、好ましくは3000〜2000000、より好ましくは5000〜100000、最も好ましくは10000〜50000である。数平均分子量がこの範囲にあることで、耐熱性が高く、強度が高いメタクリル樹脂組成物を得ることができる。
フェノキシ樹脂のガラス転移温度は、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましく、95℃以上が最も好ましい。フェノキシ樹脂のガラス転移温度が低すぎると、得られるメタクリル樹脂組成物の耐熱性が低くなる傾向がある。フェノキシ樹脂のガラス転移温度の上限は、特に限定されないが、好ましくは150℃である。フェノキシ樹脂のガラス転移温度が高すぎると、得られるメタクリル樹脂組成物よりなる樹脂層が脆くなる傾向がある。
フェノキシ樹脂は、例えば、2価フェノール化合物とエピハロヒドリンとの縮合反応、あるいは2価フェノール化合物と2官能エポキシ樹脂との重付加反応から得ることができる。該反応は溶媒中あるいは無溶媒下に行うことができる。
フェノキシ樹脂の製造に用いる2価フェノール化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシン、4,4−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、1、3−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル)ベンゼン、1、4−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル)ベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1、1−3、3、3−ヘキサフルオロプロパン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどを挙げることができる。これらの中でも物性、コスト面から特に4,4−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、又は9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが好ましい。
フェノキシ樹脂の製造に用いる2官能エポキシ樹脂類としては、上記の2価フェノール化合物とエピハロヒドリンとの縮合反応で得られるエポキシオリゴマー、例えば、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールSタイプエポキシ樹脂、ビスフェノールAタイプエポキシ樹脂、ビスフェノールFタイプエポキシ樹脂、メチルハイドロキノンジグリシジルエーテル、クロロハイドロキノンジグリシジルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルオキシドジグリシジルエーテル、2,6−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ジクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAタイプエポキシ樹脂、9,9’−ビス(4)−ヒドロキシフェニル)フルオレンジグリシジルエーテル等を挙げることができる。これらの中でも、物性、コスト面から特にビスフェノールAタイプエポキシ樹脂、ビスフェノールSタイプエポキシ樹脂、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ビスフェノールFタイプエポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAタイプエポキシ樹脂、又は9,9’−ビス(4)−ヒドロキシフェニル)フルオレンジグリシジルエーテルが好ましい。
フェノキシ樹脂の製造において用いることができる溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えば、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトフェノン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホランなどを好適に用いることができる。
フェノキシ樹脂の製造に用いることのできる触媒は、従来公知の重合触媒である。好適に使用することができる重合触媒として、アルカリ金属水酸化物、第三アミン化合物、第四アンモニウム化合物、第三ホスフィン化合物、第四ホスホニウム化合物を挙げることができる。
本発明に好ましく用いられるフェノキシ樹脂は、式(1)中のXが、式(2)〜(8)に示す化合物に由来する2価基であることが好ましい。
なお、2価基を構成する2つの結合の手の位置は化学的に可能な位置であれば特に限定されない。式(1)中のXは、式(2)〜(8)に示す化合物中のベンゼン環上から2つの水素原子が引き抜かれてできる結合の手を有する二価基であることが好ましい。特に、式(3)〜(8)に示す化合物中のいずれか二つのベンゼン環上からそれぞれ1つの水素原子が引き抜かれてできる結合の手を有する二価基であることが好ましい。
式(2)中、Rは、水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、または炭素数2〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、pは、1〜4のいずれかの整数である。
式(3)中、Rは、単結合、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、または炭素数3〜20のシクロアルキリデン基である。
式(3)および(4)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、または炭素数2〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、nおよびmは、それぞれ独立に、1〜4のいずれかの整数である。
式(5)および(6)中、R及びRは、それぞれ独立に、単結合、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、または炭素数3〜20のシクロアルキリデン基である。
式(5)、(6)、(7)および(8)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、または炭素数2〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、q及びrは、それぞれ独立に、1〜4のいずれかの整数である。
式(1)中、Xは、複数のベンゼン環が脂環またはヘテロ環と縮合してなる化合物に由来する2価基であっても良い。例えば、フルオレン構造やカルバゾール構造を有する化合物に由来する2価基を挙げることができる。
上記式(2)〜(8)で表される化合物に由来する2価基の例としては、以下のようなものを挙げることができる。なお、この例示は、本願発明におけるXがこれらに限定されることを意味しない。
式(1)で表される構造単位は、好ましくは式(9)若しくは(10)で表される構造単位、より好ましくは式(11)で表される構造単位である。好ましい態様のフェノキシ樹脂は当該構造単位を10〜1000個含むことが好ましい。


式(9)中、Rは、単結合、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、または炭素数3〜20のシクロアルキリデン基である。
式(9)または(10)中、R10は、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基である。
これらフェノキシ樹脂としては、例えば、新日鉄住金化学のYP−50やYP−50S、三菱化学のjERシリーズ、InChem社のフェノキ樹脂であるPKFEやPKHJ等を用いることができる。
ポリカーボネート樹脂またはフェノキシ樹脂の少なくとも1つを含有するメタクリル樹脂組成物により、位相差を調整することができ、また成形時の熱分解が抑制されるため高温での成形が可能となる。
本発明に用いられるメタクリル樹脂組成物におけるポリカーボネート樹脂とフェノキシ樹脂との合計含有量は、メタクリル樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上12質量部以下であり、好ましくは0.5質量部以上、8質量部以下、さらに好ましくは0.9質量部以上、5質量部以下である。
また、フェノキシ樹脂の含有量が0.1質量部以上12質量部以下であれば、得られる樹脂層と機能層との接着性が向上する傾向があり、耐久性に優れる複層フィルムを得ることができる。
この範囲で位相差を調整すれば、成形時の熱分解抑制をできる。また、ポリカーボネート樹脂とフェノキシ樹脂の含有量の調整により位相差を小さくすることもできる。ポリカーボネート樹脂またはフェノキシ樹脂は単独で用いても良いし、併用して用いても良い。
本発明に用いられるメタクリル樹脂組成物に含有されるメタクリル樹脂とポリカーボネート樹脂とフェノキシ樹脂との合計量は、メタクリル樹脂組成物に対して80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは94質量%以上、さらに好ましくは96質量%以上である。
本発明に用いられるメタクリル樹脂組成物に含有されるメタクリル樹脂と、ポリカーボネート樹脂とフェノキシ樹脂との合計量の質量比(〔メタクリル樹脂の質量〕/〔ポリカーボネート樹脂とフェノキシ樹脂との合計の質量〕)は、91/9〜99/1であることが好ましい。
本発明に用いられるメタクリル樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてフィラーを含んでいてもよい。フィラーとしては、炭酸カルシウム、タルク、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。本発明のメタクリル樹脂組成物に含有し得るフィラーの量は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下である。
本発明に用いられるメタクリル樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の重合体を含んでいてもよい。他の重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリノルボルネンなどのポリオレフィン樹脂;エチレン系アイオノマー;ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ハイインパクトポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、MBS樹脂などのスチレン系樹脂;メチルメタクリレート−スチレン共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ポリアミドエラストマーなどのポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、シリコーン変性樹脂;アクリルゴム、アクリル系エラストマー、シリコーンゴム;SEPS、SEBS、SISなどのスチレン系熱可塑性エラストマー;IR、EPR、EPDMなどのオレフィン系ゴムなどが挙げられる。本発明に用いられるメタクリル樹脂組成物に含有され得る他の重合体の量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、最も好ましくは0質量%である。
本発明のメタクリル樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、高分子加工助剤、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤、染顔料、光拡散剤、有機色素、艶消し剤、耐衝撃性改質剤、蛍光体などの添加剤を含有していてもよい。
高分子加工助剤は、高分子量成分を多く含んでいる物質である。高分子加工助剤と樹脂材料との間には高分子どうしの絡み合い(ネットワーク)が発生し、その絡み合い点が疑似架橋点として作用するとされている。そのため高分子加工助剤を添加した場合、ゴムを変形した時と同じように、その樹脂組成物を均一に延伸することができる。高分子加工助剤を無添加の樹脂材料の場合は、この疑似架橋点が存在しないため、例えば、延伸前の樹脂層に厚みの薄い部分が存在するとその部分に応力集中し、局部的に伸ばされて破断するといった不具合が生じる場合がある。
本発明において用いる高分子加工助剤は、平均重合度が3,000〜40,000の高分子化合物であり、好ましくはメタクリル酸メチル単位60質量%以上およびこれと共重合可能なビニル系単量体単位40質量%以下からなるものである。平均重合度は好ましくは6,000〜30,000であり、より好ましくは10,000〜25,000である。メタクリル酸メチルと共重合可能なビニル系単量体の例としては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸エステル、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、N−プロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド等のマレイミド系化合物、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能性単量体を挙げることができる。
そのような高分子加工助剤としては、三菱レイヨン製のメタブレンシリーズ、ダウ製またはクレハ製のパラロイドシリーズ等が挙げられる。
なお、高分子加工助剤の平均重合度は自動希釈型毛細管粘度計(ウベローデ型)を用い、クロロホルムを溶媒として20℃で測定して、PMMA換算重合度で求めることができる。
高分子加工助剤を製造するための重合法については、特に制限はないが、乳化重合によるのが好適である。乳化重合に用いることのできる乳化剤としては、例えば、アニオン系乳化剤であるジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ノニオン系乳化剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等、ノニオン・アニオン系乳化剤であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウムなどのアルキルエーテルカルボン酸塩等を使用することができる。
また、使用する乳化剤の種類によって重合系のpHがアルカリ側になるときは、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステルの加水分解を防止するために適当なpH調整剤を使用することができる。使用するpH調節剤としては、ホウ酸−塩化カリウム−水酸化カリウム、リン酸二水素カリウム−リン酸水素二ナトリウム、ホウ酸−塩化カリウム−炭酸カリウム、クエン酸−クエン酸水素カリウム、リン酸二水素カリウム−ホウ酸、リン酸水素二ナトリウム−クエン酸等を使用することができる。
また、重合開始剤としては、水溶性開始剤あるいは油溶性開始剤の単独系、もしくはレドックス系のもので良く、水溶性開始剤の例としては通常の過硫酸塩等の無機開始剤を単独で用いるか、あるいは亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩等との組み合わせによってレドックス系開始剤として用いることもできる。
油溶性開始剤の例としては、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の有機過酸化物、アゾ化合物等を単独で用いるか、あるいはナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート等との組み合わせによってレドックス系開始剤として用いることもできるが、かかる具体例のみに限定されるものではない。
また、高分子加工助剤の平均重合度は、n−オクチルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤や重合条件等で任意に調整が可能である。
高分子加工助剤の平均重合度は、3,000以上、40,000以下の範囲が好ましい。高分子加工助剤の平均重合度が3,000未満ではメタクリル樹脂組成物を樹脂層にする際の製膜性の向上が認められないだけでなく、延伸した際に十分な延伸性向上の改善効果が認められないことがある。一方、高分子加工助剤の平均重合度が40,000を超えると、透明性が低下すること、または、溶融張力が高くなりすぎて製膜時にメルトカーテンの両端部がちぎれやすくなることがある。高分子加工助剤の配合量は、メタクリル樹脂100質量部に対し、0.3〜6質量部であり、好ましくは0.5〜3質量部である。高分子加工助剤の配合量が0.3質量部未満であると、メタクリル樹脂組成物の製膜性および延伸性の十分な改善効果が発現しなくなる。一方、高分子加工助剤の配合量が6質量部を超えると、メタクリル樹脂組成物のガラス転移温度が低下すること、また透明性が低下すること、さらには、溶融張力が高くなりすぎて製膜時にメルトカーテンの両端部がちぎれやすくなることがある。
酸化防止剤は、酸素存在下においてそれ単体で樹脂の酸化劣化防止に効果を有するものである。例えば、リン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが挙げられる。これらの中、着色による光学特性の劣化防止効果の観点から、リン系酸化防止剤やヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤との併用がより好ましい。
リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤とを併用する場合、リン系酸化防止剤/ヒンダードフェノール系酸化防止剤を質量比で0.2/1〜2/1で使用するのが好ましく、0.5/1〜1/1で使用するのがより好ましい。
リン系酸化防止剤としては、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト(ADEKA社製;商品名:アデカスタブHP−10)、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(BASF社製;商品名:IRGAFOS168)、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(ADEKA社製;商品名:アデカスタブPEP−36)などが好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(BASF社製;商品名IRGANOX1010)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF社製;商品名IRGANOX1076)などが好ましい。
熱劣化防止剤としては、実質上無酸素の状態下で高熱にさらされたときに生じるポリマーラジカルを捕捉することによって樹脂の熱劣化を防止できるものである。
該熱劣化防止剤としては、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGM)、2,4−ジtert−アミル−6−(3’,5’−ジ−tert−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGS)などが好ましい。
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する能力を有する化合物であり、主に光エネルギーを熱エネルギーに変換する機能を有すると言われるものである。メタクリル樹脂組成物における紫外線吸収剤の含有量は、メタクリル樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下が好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、ホルムアミジン類などが挙げられる。これらの中でも、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、または波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが100dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール類は紫外線被照による着色などの光学特性低下を抑制する効果が高いので、本発明の複層フィルムを光学用途に適用する場合に用いる紫外線吸収剤として好ましい。ベンゾトリアゾール類としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(BASF社製;商品名TINUVIN329)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(BASF社製;商品名TINUVIN234)、2,2‘−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール](ADEKA社製;LA−31)などが好ましい。
また、波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤は、得られる複層フィルムの変色を抑制できる。このような紫外線吸収剤としては、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド(クラリアントジャパン社製;商品名サンデユボアVSU)などが挙げられる。
これら紫外線吸収剤の中、紫外線被照による樹脂劣化が抑えられるという観点からベンゾトリアゾール類が好ましく用いられる。
また、波長380nm付近の波長を効率的に吸収したい場合は、トリアジン類の紫外線吸収剤が好ましく用いられる。このような紫外線吸収剤としては、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(ADEKA社製;LA−F70)や、その類縁体であるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASF社製;TINUVIN477やTINUVIN460)などが挙げられる。
さらに380nm〜400nmの波長の光を特に効果的に吸収したい場合は、WO2011/089794A1、WO2012/124395A1、特開2012−012476号公報、特開2013−023461号公報、特開2013−112790号公報、特開2013−194037号公報、特開2014−62228号公報、特開2014−88542号公報、特開2014−88543号公報等に開示される複素環構造の配位子を有する金属錯体を紫外線吸収剤として用いることが好ましい。
なお、紫外線吸収剤のモル吸光係数の最大値εmaxは、次のようにして測定する。シクロヘキサン1Lに紫外線吸収剤10.00mgを添加し、目視による観察で未溶解物がないように溶解させる。この溶液を1cm×1cm×3cmの石英ガラスセルに注入し、日立製作所社製U−3410型分光光度計を用いて、波長380〜450nm、光路長1cmでの吸光度を測定する。紫外線吸収剤の分子量(MUV)と、測定された吸光度の最大値(Amax)とから次式により計算し、モル吸光係数の最大値εmaxを算出する。
εmax=[Amax/(10×10-3)]×MUV
光安定剤は、主に光による酸化で生成するラジカルを捕捉する機能を有すると言われる化合物である。好適な光安定剤としては、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を持つ化合物などのヒンダードアミン類が挙げられる。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアロアミド酸、メチレンビスステアロアミド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、パラフィンワックス、ケトンワックス、オクチルアルコール、硬化油などが挙げられる。
離型剤としては、成形品の金型からの離型を容易にする機能を有する化合物である。離型剤としては、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類;ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステルなどが挙げられる。本発明においては、離型剤として、高級アルコール類とグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用することが好ましい。高級アルコール類とグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用する場合、高級アルコール類/グリセリン脂肪酸モノエステルの質量比が、2.5/1〜3.5/1の範囲で使用するのが好ましく、2.8/1〜3.2/1の範囲で使用するのがより好ましい。
耐衝撃性改質剤としては、アクリル系ゴムもしくはジエン系ゴムをコア層成分として含むコアシェル型改質剤;ゴム粒子を複数包含した改質剤などが挙げられる。
有機色素としては、樹脂に対しては有害とされている紫外線を可視光線に変換する機能を有する化合物が好ましく用いられる。
光拡散剤や艶消し剤としては、ガラス微粒子、ポリシロキサン系架橋微粒子、架橋ポリマー微粒子、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。
蛍光体として、蛍光顔料、蛍光染料、蛍光白色染料、蛍光増白剤、蛍光漂白剤などが挙げられる。
これらの添加剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの添加剤は、メタクリル樹脂やポリカーボネート樹脂やフェノキシ樹脂を製造する際の重合反応液に添加してもよいし、製造されたメタクリル樹脂やポリカーボネート樹脂やフェノキシ樹脂に添加してもよいし、メタクリル樹脂組成物を調製する際に添加してもよい。本発明に用いられるメタクリル樹脂組成物に含有される添加剤の合計量は、樹脂層の外観不良を抑制する観点から、メタクリル樹脂に対して好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。
本発明に用いられるメタクリル樹脂組成物の調製方法は特に限定されない。例えば、ポリカーボネート樹脂やフェノキシ樹脂の存在下にメタクリル酸メチルを含む単量体混合物を重合してメタクリル樹脂を生成させる方法や、メタクリル樹脂およびポリカーボネート樹脂またはフェノキシ樹脂を溶融混練する方法などが挙げられる。これらのうち溶融混練法は工程が単純であるので、好ましい。溶融混練の際に、必要に応じて他の重合体や添加剤を混合してもよいし、メタクリル樹脂を他の重合体および添加剤と混合した後にポリカーボネート樹脂やフェノキシ樹脂と混合してもよいし、ポリカーボネート樹脂やフェノキシ樹脂を他の重合体および添加剤と混合した後にメタクリル樹脂と混合してもよい。混練は、例えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサーなどの既知の混合装置または混練装置を使用して行なうことができる。これらのうち、二軸押出機が好ましい。混合・混練時の温度は、使用するメタクリル樹脂およびポリカーボネート樹脂またはフェノキシ樹脂の溶融温度などに応じて適宜調節することができるが、好ましくは110〜300℃である。上記のような方法で調製されたメタクリル樹脂組成物は、ペレット、顆粒、粉末などの任意の形態にして、フィルム状の樹脂層に成形することができる。
本発明に用いられるメタクリル樹脂組成物は、ガラス転移温度が、好ましくは120℃以上、より好ましくは123℃以上、さらに好ましくは124℃以上である。メタクリル樹脂組成物のガラス転移温度の上限は特に制限はないが、好ましくは130℃である。
本発明に用いられるメタクリル樹脂組成物をGPCにて測定して決定されるMwは、好ましくは60000〜200000、より好ましくは70000〜160000、さらに好ましくは75000〜120000である。本発明に用いられるメタクリル樹脂組成物をGPCにて測定して決定される分子量分布は、好ましくは1.2〜2.5、より好ましくは1.3〜2.0である。Mwや分子量分布がこの範囲にあると、メタクリル樹脂組成物の成形加工性が良好となり、耐衝撃性や靭性に優れた成形体を得易くなる。
本発明に用いられるメタクリル樹脂組成物を230℃および3.8kg荷重の条件で測定して決定されるメルトフローレートは、好ましくは0.1〜6g/10分、さらに好ましくは0.5〜5g/10分、最も好ましくは1.0〜3g/10分である。
本発明に用いられるメタクリル樹脂組成物は、1.0mm厚さのヘイズが、1.0%以下が好ましく、0.7%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。
本発明に用いられる樹脂層は、その製法によって特に限定されない。例えば、前記メタクリル樹脂組成物を、溶液キャスト法、溶融流延法、押出成形法、インフレーション成形法、ブロー成形法などの公知の方法にて製膜することによってフィルム状の樹脂層を得ることができる。これらのうち、押出成形法が好ましい。押出成形法によれば、透明性に優れ、改善された靭性を持ち、取扱い性に優れ、靭性と表面硬度および剛性とのバランスに優れた樹脂層を得ることができる。押出機から吐出されるメタクリル樹脂組成物の温度は好ましくは160〜270℃、より好ましくは220〜260℃に設定する。
押出成形法のうち、良好な表面平滑性、良好な鏡面光沢、低ヘイズの樹脂層が得られるという観点から、前記メタクリル樹脂組成物を溶融状態でTダイから押出し、次いでそれを二つ以上の鏡面ロールまたは鏡面ベルトで挟持して成形することを含む方法が好ましい。鏡面ロールまたは鏡面ベルトは、金属製であることが好ましい。一対の鏡面ロールまたは鏡面ベルトの間の線圧は、好ましくは1N/mm以上、より好ましくは10N/mm以上、さらにより好ましくは30N/mm以上である。
また、鏡面ロールまたは鏡面ベルトの表面温度は共に130℃以下であることが好ましい。また、一対の鏡面ロール若しくは鏡面ベルトは、少なくとも一方の表面温度が60℃以上であることが好ましい。このような表面温度に設定すると、押出機から吐出される前記メタクリル樹脂組成物を自然放冷よりも速い速度で冷却することができ、表面平滑性に優れ且つヘイズの低い本発明の樹脂層を製造し易い。
本発明に用いられる樹脂層は延伸処理を施したものであってもよい。延伸処理によって、機械的強度が高まり、ひび割れし難い樹脂層を得ることができる。延伸方法は特に限定されず、一軸延伸、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、チュブラー延伸法などが挙げられる。延伸時の温度は、均一に延伸でき、高い強度の樹脂層が得られるという観点から、100〜200℃が好ましく、120〜160℃がより好ましい。また特に強度を大きくしたい場合は、低い温度である方が好ましく、例えば110〜150℃が好ましく、125〜140℃がより好ましい。好ましくはメタクリル樹脂組成物のガラス転移温度以上で延伸することが好ましい。延伸は、通常長さ基準で100〜5000%/分で行われる。延伸の後、熱固定を施したり、樹脂層を弛緩することにより、より熱収縮の少ない樹脂層とすることができる。延伸倍率に制限はないが、通常面積比で1.5〜8倍程度とする。
また延伸処理で位相差を小さくしたい場合は、延伸時の温度を高く設定したり、延伸後の弛緩量を大きくしたりすることが好ましい。また、延伸処理で位相差を大きくしたい場合は、MD方向とTD方向の延伸倍率の比を大きくしたり、延伸時の温度を低く設定したりすることが好ましい。
本発明に用いられる樹脂層の厚さは、特に制限されないが、本発明の複層フィルムを光学フィルムとして用いる場合、その厚さは、好ましくは1〜300μm、より好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは15〜40μmである。本発明に用いられる樹脂層は厚さが薄くても、後述の鉛筆硬度を維持できる。
本発明に用いられる樹脂層は、厚さ50μmにおけるヘイズが、好ましくは0.2%以下、より好ましくは0.1%以下である。これにより、表面光沢や透明性に優れる。また、液晶保護フィルムや導光フィルムなどの光学用途に本発明の複層フィルムを用いる場合においては、光源の利用効率が高まり好ましい。さらに、表面賦形を行う際の賦形精度に優れるため好ましい。
本発明に用いられる樹脂層は、本発明の複層フィルムを偏光子保護フィルムとして用いる場合、波長590nmの光に対する面内方向位相差Reが、樹脂層の厚さ40μmの時に、好ましくは5nm以下、より好ましくは4nm以下、さらに好ましくは3nm以下、特に好ましくは2nm以下、最も好ましくは1nm以下である。
本発明に用いられる樹脂層は、本発明の複層フィルムを偏光子保護フィルムとして用いる場合、波長590nmの光に対する厚さ方向位相差Rthが、樹脂層の厚さ40μmの時に、好ましくは−5nm以上、5nm以下、より好ましくは−4nm以上、4nm以下、さらに好ましくは−3nm以上、3nm以下、特に好ましくは−2nm以上、2nm以下、最も好ましくは−1nm以上、1nm以下である。
面内方向位相差および厚さ方向位相差がこのような範囲であれば、位相差に起因する画像表示装置の表示特性への影響が顕著に抑制され得る。より具体的には、干渉ムラや3Dディスプレイ用液晶表示装置に用いる場合の3D像の歪みが顕著に抑制され得る。
なお、面内方向位相差Reおよび厚さ方向位相差Rthは、それぞれ、以下の式で定義される値である。
Re=(nx−ny)×d
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
ここで、nxは樹脂層の遅相軸方向の屈折率であり、nyは樹脂層の進相軸方向の屈折率であり、nzは樹脂層の厚さ方向の屈折率であり、d(nm)は樹脂層の厚さである。遅相軸は、樹脂層面内の屈折率が最大になる方向をいい、進相軸は、面内で遅相軸に垂直な方向をいう。
また、本発明に用いられる樹脂層は、本発明の複層フィルムを位相差フィルムとして用いる場合、波長590nmの光に対する面内方向位相差Reが、樹脂層の厚さ40μmの時に、130nm以上160nm以下であり、好ましくは130nm以上150nm以下である。Reの値は液晶表示装置の駆動方法や光学特性の補償方法によって適時設計する必要があるが、上記範囲とすることにより、液晶表示装置の視認性をより一層向上することができる。
本発明に用いられる樹脂層は、透明性が高く、耐熱性が高く、硬度が大きく、薄いため、本発明の複層フィルムは、偏光子保護フィルムや後述する各種フィルム等に好適である。
本発明に用いられる樹脂層は、シンジオタクティシティの高いメタクリル樹脂を含有しているため、樹脂層の硬度が大きく、機能層を積層することで、より高い表面硬度を発現する。表面硬度の1つの指標としては、鉛筆硬度が用いられる。樹脂層の鉛筆硬度は、好ましくはH以上、より好ましくは2H以上である。
本発明の複層フィルムにおいては、上記樹脂層の少なくとも一方に面に機能層を有している。機能層としては、ハードコート層、反射防止層、防眩層、帯電防止層を挙げることができる。
そのような機能層の厚みは、本発明の複層フィルムが使用される用途に応じて適宜に選択することができ、0.001〜30μmであることが好ましく、1〜15μmであることがより好ましい。薄くした場合は、1〜7μmであることが好ましく、1〜4μmであることがさらに好ましい。その厚みが厚過ぎると、屈曲により容易に機能層が割れてしまい、機能が低下してしまう問題がある。また、薄過ぎると、その機能を発現し難い問題を生じる。同様の理由で、機能層の厚みは、樹脂層の厚みに対して、0.1%〜50%が好ましく、1%〜35%がより好ましい。
本発明の複層フィルムが有する機能層は、1層でもよいし、2層以上の多層であってもよい。また樹脂層の片面に機能層を有していても、両面に有していてもよい。
本発明において、かかる目的とする機能層は、公知の各種のコーティング手法によって樹脂層の片面または両面に形成することが可能であり、例えば、公知の機能性材料の溶液を用いて、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、グラビア法、エアーナイフコート法、ワイヤーバー法、エクストルージョン法、ブレード法、ダイコート法などの湿式法や、スパッターや蒸着等の真空成膜する乾式法により、形成することができる。
<ハードコート層>
ハードコート層は、高硬度化して保護する機能を有する層である。オーバーコート層と称されることもある。ハードコート層は従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。ハードコート層としては、硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層であることが好ましい。ハードコート層としても適用可能な硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂などを要求性能などに応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系などが挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマーモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー乃至は(メタ)アクリル酸エステルプレポリマーなどからなる。さらに3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。ハードコート層は、上記硬化性樹脂を含むハードコート層用樹脂組成物を、本発明に用いられる樹脂層に直接塗工、もしくはプライマー層を塗布した樹脂層のプライマー層面に塗布し、硬化することにより得られる。本発明に用いる樹脂層は、表面硬度が高いため、ハードコート層を積層して複層フィルムとした場合に、より高い表面硬度の複層フィルムが得られる。
<反射防止層>
反射防止層は、外来光の鏡面反射による背景の映り込みを防止する層である。従来公知の反射防止層の中から適宜選択して用いることができる。反射防止層としては、例えば、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層し、最表面が低屈折率層となる様に多層化(マルチコート)した反射防止層や、微細凹凸形状等のナノ構造が形成された反射防止層等が挙げられる。上記高屈折率層としては、チタン、タンタル、ジルコニウム、インジウム等の金属酸化物微粒子を含有する高屈折率層形成用樹脂組成物及びその硬化物等が挙げられる。また、上記低屈折率層としては、フッ素系の樹脂や、中空シリカ微粒子等を含有する低屈折率層形成用樹脂組成物及その硬化物等が挙げられる。これらの反射防止層を用いることにより、層界面での反射光を干渉によって相殺することで、表面の反射を抑え、良好な反射防止効果を得る反射防止層等とすることができる。
<防眩層>
防眩層は、外来光を散乱もしくは拡散させる層である。例えば、光の入射面を粗面化することにより、外来光を拡散することができる。この粗面化処理には、サンドブラスト法やエンボス法等により基体表面を直接、微細凹凸を形成して粗面化する方法、基体表面に放射線、熱の何れかもしくは組み合わせにより硬化する樹脂バインダ中にシリカなどの無機フィラーや、樹脂粒子などの有機フィラーを含有させた塗膜により粗面化層を設ける方法、及び基体表面に海島構造による多孔質膜を形成する方法を挙げることができる。樹脂バインダの樹脂としては、表面層として表面強度が望まれる関係上、硬化性アクリル樹脂や、上記ハードコート層同様に電離放射線硬化性樹脂等が好適には使用される。
<帯電防止層>
本発明の複層フィルムの帯電を抑制するために帯電防止層を備えていてもよい。帯電防止層は、従来公知のもののなかから適宜選択して用いることができる。例えば、上記ハードコート用の樹脂組成物中に、公知の帯電防止剤を混合して用いることにより、帯電防止層とすることができる。帯電防止剤の具体例としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性化合物、スズ及びチタンのアルコキシドのような有機金属化合物及びそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、又は金属キレート部を有し、且つ、電離放射線により重合可能なモノマー又はオリゴマー、或いは電離放射線により重合可能な重合可能な官能基を有する且つ、カップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。また、導電性ポリマーやカーボンナノチューブ、銀ナノワイヤー等を用いてもよい。
本発明に用いる樹脂層は、表面硬度が高いため、機能層を設けた複層フィルムとして、表面硬度の高い複層フィルムが得られる。本発明の複層フィルムの鉛筆硬度は2H以上が好ましく、3H以上がより好ましい。
また、本発明に用いる樹脂層は、表面硬度が高いため、鉛筆硬度を維持したい場合であっても、樹脂層や機能層の厚みを薄くし、本発明の複層フィルムの厚みを薄くすることができる。複層フィルムの厚みは、好ましくは1〜300μm、より好ましくは10〜60μm、さらに好ましくは15〜50μmである。
本発明の複層フィルムは、透明性が高く、耐熱性が高く、表面硬度が高いため、偏光子保護フィルム、位相差フィルム、液晶保護板、携帯型情報端末の表面材、携帯型情報端末の表示窓保護フィルム、導光フィルム、銀ナノワイヤーやカーボンナノチューブを表面に塗布した透明導電フィルム、各種ディスプレイの前面板用途などに好適である。特に本発明の複層フィルムは位相差が小さくできるため、偏光子保護フィルムに好適である。
本発明の複層フィルムは、透明性、耐熱性が高く、表面硬度が高いため、光学用途以外の用途として、IRカットフィルムや、防犯フィルム、飛散防止フィルム、ウィンドウフィルム、加飾フィルム、金属加飾フィルム、太陽電池表面保護フィルム、太陽電池用封止フィルム、太陽電池用裏面保護フィルム、太陽電池用基盤フィルム、ガスバリアフィルム用保護フィルム、シュリンクフィルム、インモールドラベル用フィルム、水蒸気バリアフィルム基材、農業用フィルムに使用することができる。
本発明の複層フィルムを偏光子保護フィルムとして用いる場合、本発明の偏光板は、本発明の複層フィルムからなる偏光子保護フィルムを偏光子に少なくとも1枚積層されたものである。好ましくは、ポリビニルアルコール系樹脂から形成される偏光子と本発明の偏光子保護フィルムが接着剤層を介して積層されてなるものである。
本発明の好ましい一実施形態に係る偏光板は、図1に示すように、偏光子11の一方の面に、接着剤層12、易接着層13、および本発明の偏光子保護フィルム14がこの順で積層され、偏光子11のもう一方の面に、接着剤層15、および光学フィルム16がこの順で積層されてなるものである。
偏光子保護フィルム14は、樹脂層141と機能層142が図1に示すように積層されてなるものである。機能層142は多層でも良い。偏光子保護フィルム14の積層構成としては例えば、樹脂層/防眩層; 樹脂層/反射防止層; 樹脂層/ハードコート層; 樹脂層/帯電防止層; 樹脂層/防眩層/ハードコート層; 樹脂層/反射防止層/ハードコート層; 樹脂層/帯電防止層/ハードコート層 ;などが挙げられる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂から形成される偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性物質(代表的には、ヨウ素、二色性染料)で染色して一軸延伸することによって得られる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を任意の適切な方法(例えば、樹脂を水または有機溶媒に溶解した溶液を流延成膜する流延法、キャスト法、押出法)にて製膜することによって得ることができる。該ポリビニルアルコール系樹脂は、重合度が、好ましくは100〜5000、さらに好ましくは1400〜4000である。また、偏光子に用いられるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの厚さは、偏光板が用いられるLCDの目的や用途に応じて適宜設定され得るが、代表的には5〜80μmである。
本発明の偏光板に設けることができる接着剤層は光学的に透明であれば特に制限されない。接着剤層を構成する接着剤として、例えば、水系接着剤、溶剤系接着剤、ホットメルト系接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤などを用いることができる。これらのうち、水系接着剤および活性エネルギー線硬化型接着剤が好適である。
水系接着剤は、その形態が、水溶液であってもよいし、ラテックスであってもよい。水系接着剤としては、特に限定されないが、例えば、ビニルポリマー系、ゼラチン系、ビニル系ラテックス系、ポリウレタン系、イソシアネート系、ポリエステル系、エポキシ系等を例示できる。このような水系接着剤には、必要に応じて、架橋剤や他の添加剤、酸等の触媒も配合することができる。前記水系接着剤としては、ビニルポリマーを含有する接着剤などを用いることが好ましく、ビニルポリマーとしては、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。またポリビニルアルコール系樹脂には、ホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミン、シュウ酸などの水溶性架橋剤を含有することができる。特に偏光子としてポリビニルアルコール系のポリマーフィルムを用いる場合には、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する接着剤を用いることが、接着性の点から好ましい。さらには、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂を含む接着剤が耐久性を向上させる点からより好ましい。前記水系接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられ、通常、0.5〜60重量%の固形分を含有してなる。
活性エネルギー線硬化型接着剤としては、単官能および二官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物やビニル基を有する化合物を硬化性成分として用いる他、エポキシ化合物やオキセタン化合物と光酸発生剤とを主体とする光カチオン型硬化成分を使用することもできる。活性エネルギー線としては、電子線や紫外線を用いることができる。
また前記接着剤には、金属化合物フィラーを含有させることができる。金属化合物フィラーにより、接着剤層の流動性を制御することができ、膜厚を安定化して、良好な外観を有し、面内が均一で接着性のバラツキのない偏光板が得られる。
接着剤層の形成方法は特に制限されない。例えば、上記接着剤を対象物に塗布し、次いで加熱または乾燥することによって形成できる。接着剤の塗布は本発明の偏光子保護フィルムまたは光学フィルムに対して行ってもよいし、偏光子に対して行ってもよい。接着剤層を形成した後、偏光子保護フィルム若しくは光学フィルムと偏光子とを押し合わせることによって両者を積層することができる。積層においてはロールプレス機や平板プレス機などを用いることができる。加熱乾燥温度、乾燥時間は接着剤の種類に応じて適宜決定される。
接着剤層の厚さは、乾燥状態において、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.03〜5μmである。
本発明の偏光板に設けることができる易接着層は、偏光子保護フィルムと偏光子とが接する面の接着性を向上させるものである。易接着層は、易接着処理などによって設けることができる。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、低圧UV処理等の表面処理が挙げられる。また、易接着層は、アンカー層を形成する方法、または前記の表面処理とアンカー層を形成する方法との併用によって設けることができる。これらの中でも、コロナ処理、アンカー層を形成する方法、およびこれらを併用する方法が好ましい。
上記アンカー層としては、例えば、反応性官能基を有するシリコーン層が挙げられる。反応性官能基を有するシリコーン層の材料は、特に制限されないが、例えば、イソシアネート基含有のアルコキシシラノール類、アミノ基含有アルコキシシラノール類、メルカプト基含有アルコキシシラノール類、カルボキシ含有アルコキシシラノール類、エポキシ基含有アルコキシシラノール類、ビニル型不飽和基含有アルコキシシラノール類、ハロゲン基含有アルコキシシラノール類、イソシアネート基含有アルコキシシラノール類が挙げられる。これらのうち、アミノ系シラノールが好ましい。シラノールを効率よく反応させるためのチタン系触媒や錫系触媒を上記シラノールに添加することにより、接着力を強固にすることができる。また上記反応性官能基を有するシリコーンに他の添加剤を加えてもよい。他の添加剤としては、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン-フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂などの粘着付与剤;紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤などの安定剤等を挙げることができる。また、アンカー層として、セルロースアセテートブチレート樹脂をケン化させたものからなる層も挙げられる。
上記アンカー層は公知の技術により塗工、乾燥して形成される。アンカー層の厚さは、乾燥状態において、好ましくは1〜100nm、さらに好ましくは10〜50nmである。塗工の際、アンカー層形成用薬液を溶剤で希釈してもよい。希釈溶剤は特に制限されないが、アルコール類が挙げられる。希釈濃度は特に制限されないが、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%である。
光学フィルム16は本発明の複層フィルムであってもよいし、別の任意の適切な光学フィルムであってもよい。用いられる光学フィルムは、特に制限されず、例えば、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、メタクリル樹脂等からなるフィルムが挙げられる。本発明の複層フィルムを用いる場合、機能層は通常、接着剤層15と反対側に設けられる。
セルロース樹脂は、セルロースと脂肪酸のエステルである。このようセルロースエステル系樹脂の具体例としては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネート等が挙げられる。これらのなかでも、セルローストリアセテートが特に好ましい。セルローストリアセテートは多くの製品が市販されており、入手容易性やコストの点でも有利である。セルローストリアセテートの市販品の例としては、富士フイルム社製の商品名「UV−50」、「UV−80」、「SH−80」、「TD−80U」、「TD−TAC」、「UZ−TAC」や、コニカミノルタ社製の「KCシリーズ」等が挙げられる。
環状ポリオレフィン樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとその共重合体(代表的にはランダム共重合体)、および、これらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、ならびに、それらの水素化物などが挙げられる。環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン系モノマーが挙げられる。
環状ポリオレフィン樹脂としては、種々の製品が市販されている。具体例としては、日本ゼオン社製の商品名「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR社製の商品名「アートン」、ポリプラスチックス社製の商品名「トーパス」、三井化学社製の商品名「APEL」が挙げられる。
光学フィルム16等の光学フィルムに用いられるメタクリル樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切なメタクリル樹脂を採用し得る。例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリメタクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)が挙げられる。
光学フィルム16等の光学フィルムに用いられるメタクリル樹脂の具体例として、例えば、三菱レイヨン社製のアクリペットVHやアクリペットVRL20A、特開2013−033237やWO2013/005634号公報に記載のメタクリル酸メチルとマレイミド系単量体を共重合したアクリル樹脂、WO2005/108438号公報に記載の分子内に環構造を有するアクリル樹脂、特開2009−197151号公報に記載の分子内に環構造を有するメタクリル樹脂、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高ガラス転移温度(Tg)メタクリル樹脂が挙げられる。
メタクリル樹脂として、ラクトン環構造を有するメタクリル樹脂を用いることもできる。高い耐熱性、高い透明性、二軸延伸することにより高い機械的強度を有するからである。
上記ラクトン環構造を有するメタクリル樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載の、ラクトン環構造を有するメタクリル樹脂が挙げられる。
本発明の偏光板は、画像表示装置に使用することができる。画像表示装置の具体例としては、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)のような自発光型表示装置、液晶表示装置が挙げられる。液晶表示装置は、液晶セルと、当該液晶セルの少なくとも片側に配置された上記偏光板とを有する。
以下、実施例および比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、物性値等の測定は以下の方法によって実施した。
(重合転化率)
島津製作所社製ガスクロマトグラフ GC−14Aに、カラムとしてGL Sciences Inc.社製 Inert CAP 1(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m)を繋ぎ、インジェクション温度を180℃に、検出器温度を180℃に、カラム温度を60℃(5分間保持)から昇温速度10℃/分で200℃まで昇温して、10分間保持する条件に設定して、測定を行い、この結果に基づいて重合転化率を算出した。
(重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn))
各製造例、実施例および比較例で得られたメタクリル樹脂およびメタクリル樹脂組成物のMwおよび分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて下記の条件でクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンの分子量に換算した値を算出した。ベースラインはGPCチャートの高分子量側のピークの傾きが保持時間の早い方から見てゼロからプラスに変化する点と、低分子量側のピークの傾きが保持時間の早い方から見てマイナスからゼロに変化する点を結んだ線とした。
GPC装置:東ソー社製、HLC−8320
検出器:示差屈折率検出器
カラム:東ソー社製のTSKgel SuperMultipore HZM-Mの2本とSuperhz4000を直列に繋いだものを用いた。
溶離剤: テトラヒドロフラン
溶離剤流量: 0.35mL/分
カラム温度: 40℃
検量線:標準ポリスチレン10点のデータを用いて作成
(粘度平均分子量(Mv))
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、ウベローデ粘度計を用いてポリカーボネート樹脂0.5gを塩化メチレン100mLに溶解した溶液の比粘度ηspを20℃で測定し、下記のSchnellの式を満足する値として、20℃の塩化メチレン溶液の極限粘度[η]から、算出した。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2
(但し[η]は極限粘度、上記条件ではc=0.5)
[η]=1.23×10- 4 Mv0 . 8 3
(三連子表示のシンジオタクティシティ(rr))
メタクリル樹脂の1H−NMRスペクトルを、核磁気共鳴装置(Bruker社製 ULTRA SHIELD 400 PLUS)を用いて、溶媒として重水素化クロロホルムを用い、室温、積算回数64回の条件にて、測定した。そのスペクトルからTMSを0ppmとした際の0.6〜0.95ppmの領域の面積(X)と、0.6〜1.35ppmの領域の面積(Y)とを計測し、次いで、三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)を式:(X/Y)×100にて算出した。
(ガラス転移温度Tg)
メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびメタクリル樹脂組成物を、JIS K7121に準拠して、示差走査熱量測定装置(島津製作所製、DSC−50(品番))を用いて、230℃まで一度昇温し、次いで室温まで冷却し、その後、室温から230℃までを10℃/分で昇温させる条件にてDSC曲線を測定した。2回目の昇温時に測定されるDSC曲線から求められる中間点ガラス転移温度を本発明におけるガラス転移温度とした。
(メルトボリュームフローレート(MVR))
各実施例および比較例でフィルムの製造に用いたメタクリル樹脂組成物の原料であるポリカーボネート樹脂を、JIS K7210に準拠して、300℃、1.2kg荷重、10分間の条件で測定した。
(高分子加工助剤の平均重合度)
自動希釈型毛細管粘度計(ウベローデ型、毛細管内径=0.5mm)を用い、クロロホルムを溶媒として20℃で測定して、PMMA換算重合度で求めた。
(加熱収縮率)
各実施例および比較例で得られた二軸延伸フィルムから100mm×30mmの試験片を切り出し、その表面に70mmの長さの直線を記入し、110℃の温度に保たれた強制温風循環式恒温オーブン内で30分間加熱後、記入した直線の長さ(L(mm))をスケールで読取り、下記式により加熱収縮率を求めた。
加熱収縮率(%)=(70−L)/70×100
(全光線透過率)
各実施例および比較例で得られた二軸延伸フィルムから50mm×50mmの試験片を切り出し、JIS K7361−1に準じて、ヘイズメータ(村上色彩研究所製、HM−150)を用いてその全光線透過率を測定した。またメタクリル樹脂組成物の評価は、1.0mm厚の成形体を熱プレスにて成形し、全光線透過率を測定した。
(ヘイズ)
各実施例および比較例で得られた二軸延伸フィルムから50mm×50mmの試験片を切り出し、JISK7136に準拠して、ヘイズメータ(村上色彩研究所製、HM−150)を用いてそのヘイズを測定した。またメタクリル樹脂組成物の評価は、1.0mm厚の成形体を熱プレスにて成形し、ヘイズを測定した。
(厚さ方向位相差Rth)
各実施例および比較例で得られた二軸延伸フィルムから40mm×40mmの試験片を切り出した。この試験片を、自動複屈折計(王子計測社製KOBRA−WR)を用いて、温度23±2℃、湿度50±5%において、波長590nm、40°傾斜方向の位相差値から3次元屈折率nx、ny、nzを求め、前述した式より厚さ方向位相差Rthを計算した。試験片の厚さd(nm)は、デジマティックインジケータ(ミツトヨ社製)を用いて測定し、屈折率nは、デジタル精密屈折計(カルニュー光学工業社製 KPR−20)で測定した。
(鉛筆硬度評価)
JIS K5600−5−4に準拠し、0.75Kg荷重で得られた二軸延伸フィルムの鉛筆硬度を測定した。
(延伸性)
各実施例および比較例で得られた未延伸フィルムを二軸延伸する際、以下の基準で延伸性を評価した。延伸は、未延伸フィルムを、100mm×100mmに切り出し、パンタグラフ式二軸延伸試験機(東洋精機社製)により、ガラス転移温度+10℃の延伸温度、一方向120%/分の延伸速度、一方向2倍の延伸倍率で逐次二軸延伸し後(面積比で4倍)、10秒保持し、次いで冷却した
A:割れやクラックのないフィルムを10サンプル中、5サンプル以上取得できたもの。
B:割れやクラックのないフィルムを10サンプル中、4サンプル以下しか取得できなかったもの。
<製造例1>
撹拌翼と三方コックが取り付けられた5Lのガラス製反応容器内を窒素で置換した。これに、室温下にて、トルエン1600g、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン2.49g(10.8mmol)、濃度0.45Mのイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムのトルエン溶液53.5g(30.9mmol)、および濃度1.3Mのsec−ブチルリチウムの溶液(溶媒:シクロヘキサン95質量%、n−ヘキサン5質量%)6.17g(10.3mmol)を仕込んだ。撹拌しながら、これに、蒸留精製したメタクリル酸メチル550gを−20℃にて30分間かけて滴下した。滴下終了後、−20℃にて180分間撹拌した。溶液の色が黄色から無色に変わった。この時点におけるメタクリル酸メチルの重合転化率は100%であった。
得られた溶液にトルエン1500gを加えて希釈した。次いで、該希釈液をメタノール100kgに注ぎ入れ、沈澱物を得た。得られた沈殿物を80℃、140Paにて24時間乾燥して、Mwが96100で、分子量分布が1.07で、シンジオタクティシティ(rr)が83%で、ガラス転移温度が133℃で、且つメタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合が100質量%であるメタクリル樹脂〔PMMA1〕を得た。
<製造例2>
撹拌翼と三方コックが取り付けられた5Lのガラス製反応容器内を窒素で置換した。これに、室温下にて、トルエン1600g、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン2.49g(10.8mmol)、濃度0.45Mのイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムのトルエン溶液53.5g(30.9mmol)、および濃度1.3Mのsec−ブチルリチウムの溶液(溶媒:シクロヘキサン95%、n−ヘキサン5%)6.17g(10.3mmol)を仕込んだ。撹拌しながら、これに、蒸留精製したメタクリル酸メチル550gを20℃にて30分かけて滴下した。滴下終了後、20℃で90分間撹拌した。溶液の色が黄色から無色に変わった。この時点におけるメタクリル酸メチルの重合転化率は100%であった。
得られた溶液にトルエン1500gを加えて希釈した。次いで、希釈液をメタノール100kgに注ぎ入れ、沈澱物を得た。得られた沈殿物を80℃、140Paにて24時間乾燥して、Mwが81400で、分子量分布が1.08で、シンジオタクティシティ(rr)が73%で、ガラス転移温度が131℃で、且つメタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が100質量%であるメタクリル樹脂〔PMMA2〕を得た。
<製造例3>
攪拌機および採取管が取り付けられたオートクレーブ内を窒素で置換した。これに、精製されたメタクリル酸メチル100質量部、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル(水素引抜能:1%、1時間半減期温度:83℃)0.0052質量部、およびn−オクチルメルカプタン0.225質量部を入れ、撹拌して、原料液を得た。かかる原料液中に窒素を送り込み、原料液中の溶存酸素を除去した。
オートクレーブと配管で接続された槽型反応器に容量の2/3まで原料液を入れた。温度を140℃に維持して先ずバッチ方式で重合反応を開始させた。重合転化率が55質量%になったところで、平均滞留時間150分となる流量で、原料液をオートクレーブから槽型反応器に供給し、且つ原料液の供給流量に相当する流量で、反応液を槽型反応器から抜き出して、温度140℃に維持し、連続流通方式の重合反応に切り替えた。切り替え後、定常状態における重合転化率は55質量%であった。
定常状態になった槽型反応器から抜き出される反応液を、平均滞留時間2分間となる流量で内温230℃の多管式熱交換器に供給して加温した。次いで加温された反応液をフラッシュ蒸発器に導入し、未反応単量体を主成分とする揮発分を除去して、溶融樹脂を得た。揮発分が除去された溶融樹脂を内温260℃の二軸押出機に供給してストランド状に吐出し、ペレタイザーでカットして、ペレット状の、Mwが103600で、分子量分布が1.81で、シンジオタクティシティ(rr)が52%で、ガラス転移温度が120℃で、且つメタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合が100質量%であるメタクリル樹脂〔PMMA3〕を得た。
<製造例4>
メタクリル樹脂〔PMMA2〕57質量部およびメタクリル樹脂〔PMMA3〕43質量部を混ぜ合わせ、二軸押出機(テクノベル社製、商品名:KZW20TW-45MG-NH-600)で250℃にて混練押出してメタクリル樹脂〔PMMA4〕を製造した。
スミペックスMHF(住友化学社製)をメタクリル樹脂〔PMMA5〕とした。
上記〔PMMA1〕〜〔PMMA5〕の物性を表1に示す。
実施例で使用したポリカーボネート樹脂を以下に記載し、物性を表2に記載した。
PC1:住化スタイロンポリカーボネート社製、301−40(品番);MVR(300℃、1.2Kg)=40cm3/10分、Mv=16200
PC2:住化スタイロンポリカーボネート社製、SD POLYCA TR−2001
(品番);MVR(300℃、1.2Kg)=200cm3/10分、Mv=11400
使用したフェノキシ樹脂を以下に記載し、物性を表3に示した。
Phenoxy1:新日鉄住金化学社製、YP-50S(品番)
Phenoxy2:InChem社製、PKFE(品番)
実施例で使用した高分子加工助剤を以下に記載した。なお、ここでMMAはメタクリル酸メチルに由来する構造単位を意味し、BAはアクリル酸ブチルに由来する構造単位を意味する。
B1:三菱レイヨン社製メタブレンP550A(平均重合度:7734、MMA88質量%/BA12質量%)
B2:ダウケミカル社製パラロイドK125P(平均重合度:19874、MMA79質量%/BA21質量%)
紫外線吸収剤として、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(ADEKA社製;LA−F70)を使用した。
<延伸フィルム製造例1>
メタクリル樹脂〔PMMA1〕100質量部、ポリカーボネート樹脂〔PC1〕2.5質量部および加工助剤〔B2〕2質量部を混ぜ合わせ、二軸押出機(テクノベル社製、商品名:KZW20TW-45MG-NH-600)で250℃にて混練押出してメタクリル樹脂組成物〔1〕を製造した。得られたメタクリル樹脂組成物〔1〕を熱プレス成形して50mm×50mm×1.0mmの板状成形体を成形し、全光線透過率、ヘイズおよびガラス転移温度を測定した。メタクリル樹脂組成物〔1〕の物性を表4に示す。
同様に、メタクリル樹脂組成物〔1〕を熱プレス成形して110mm×110mm×160μmの板状成形体を成形し未延伸フィルムを得た。
前記の手法にて得られた未延伸フィルムを、100mm×100mmに切り出し、パンタグラフ式二軸延伸試験機(東洋精機社製)により、ガラス転移温度+10℃の延伸温度、一方向500%/分の延伸速度、一方向2倍の延伸倍率で逐次二軸延伸し(面積比で4倍)、2分かけて100℃以下に冷却して取り出し、厚さ40μmの二軸延伸フィルムを得た。この二軸延伸フィルムは樹脂層として、後述する基材フィルム〔1〕となる。得られた二軸延伸フィルムについての加熱収縮率、全光線透過率、ヘイズ、厚さ方向位相差Rth、鉛筆硬度および未延伸フィルムから延伸フィルムを作製する際の延伸性の測定結果を表4に示す。
<延伸フィルム製造例2〜7>
表4に示す配合とする以外は延伸フィルム製造例1と同じ方法でメタクリル樹脂組成物〔2〕〜〔7〕を製造した。得られたメタクリル樹脂組成物〔2〕〜〔7〕を熱プレス成形して50mm×50mm×1.0mmの板状成形体を成形し、全光線透過率、ヘイズおよびガラス転移温度を測定した。メタクリル樹脂組成物〔2〕〜〔7〕の物性を表3および表4に示す。
メタクリル樹脂組成物〔1〕の代わりにメタクリル樹脂組成物〔2〕〜〔7〕を用いた以外は延伸フィルム製造例1と同じ方法で二軸延伸フィルムを得た。これらの二軸延伸フィルムは樹脂層として、後述する基材フィルム〔2〕〜〔7〕となる。評価結果を表4に示す。
( 防眩性評価 )
黒色アクリル板( (株)クラレ製、厚み2.0mm)を、複層フィルムの機能層と反対側の面に粘着剤で貼り合わせ、黒色アクリル板を貼り付けた側の面の反射をなくしたサンプルを作製した。
一般的にディスプレイを用いるオフィス環境下(約1000Lx)において、上記で作製したサンプルの機能層側を上面に、黒色アクリル板を床面にして、蛍光灯の真下に配置し、下記の基準で防眩性を目視にて判定した。
判定基準
A :蛍光灯の写り込みがない、または少し写り込んでいる、視認性への影響が少ない。
B :蛍光灯が写り込んでいるが、輪郭線はぼやけて見える。
C : くっきりと蛍光灯の輪郭線が写り込んでおり、かなり気になる。
(鉛筆硬度評価)
JIS K5600−5−4に準拠し、0.75Kg荷重で得られた複層フィルムの機能層側の鉛筆硬度を測定した。
<防眩層組成物1>
紫外線硬化型樹脂:ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(日本化薬(株)製)28.4質量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(日本化薬(株)製)1.50質量部と、アクリル系ポリマー(分子量75,000)3.18質量部と、光硬化開始剤 イルガキュア184(BASF社製)1.96質量部と、光硬化開始剤 イルガキュア907(BASF社製)0.33質量部と、透光性微粒子単分散スチレンビーズ(粒径3.5μm、屈折率1.60)4.55質量部と、シリコン系レベリング剤0.0105質量部を混合した材料を作成した。当該材料と、トルエン:シクロヘキサノンが7:3の溶剤とを、全固形分が38%となるように添加して十分混合し、組成物として調整した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用組成物1を調製した。なお、防眩層用組成物1の硬化物の屈折率は1.51となる。
<防眩層用組成物2>
ペンタエリスリトールトリアクリレートと多官能ウレタン化アクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートとの反応生成物)とが重量比60/40で、酢酸エチルに固形分濃度60%で溶解されており、レベリング剤を含む紫外線硬化性樹脂組成物を準備した。この紫外線硬化性樹脂組成物は、硬化後に1.53の屈折率を示す。
上記紫外線硬化性樹脂組成物に、重量平均粒子径が2.7μmで屈折率が1.57のメタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂粒子を上記紫外線硬化性樹脂組成物(バインダー成分)100部に対して、5部加えて分散させた後、固形分(樹脂粒子を含む)の濃度が30%となるように酢酸エチルを添加して、防眩層用組成物2を調製した。
<防眩層用組成物3>
イソシアヌル酸トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびイソホロンジイソシアネートポリウレタンからなる紫外線硬化型樹脂(DIC(株)製、商品名「ユニディック17−806」、固形分:80重量%、溶媒:酢酸ブチル)を準備した。前記紫外線硬化型樹脂の硬化皮膜の屈折率は、1.53であった。前記紫外線硬化型樹脂の樹脂固形分100重量部あたり、微粒子としてアクリルとスチレンの架橋粒子(積水化成品工業(株)製、商品名「テクポリマーXX−133AA」、重量平均粒径:3.0μm、屈折率:1.525)を5重量部、レベリング剤(DIC(株)製、商品名「GRANDICPC−4100」)を1.0重量部、光重合開始剤(BASF社製、商品名「イルガキュア907」)を5重量部混合した。この混合物を、固形分濃度が35重量%となるように、イソプロピルアルコール(IPA)/シクロペンタノン(CPN)混合溶媒(重量比70/30)で希釈して、防眩層用組成物3を調製した。
<ハードコート層組成物>
コロイダルシリカスラリー((MIBK分散);固形分40%、平均粒径20nm)2.86質量部と、紫外線硬化型樹脂としてUV−1700B(日本合成化学工業(株)製ジペンタエリストロールヘキサアクリレート、屈折率1.51、固形分60%MIBK:メチルイソブチルケトン希釈)5.34質量部と、アロニックスM315(東亞合成(株)製イソシアヌール酸のエチレンオキサイド3モル付加物のトリアクリレート、固形分60%MIBK希釈)1.34質量部と、イルガキュア184(光硬化開始剤;BASF社製)0.024質量部と、イルガキュア907(光硬化開始剤;BASF社製)0.004質量部と、UT−3971(防汚剤;固形分30%MIBK溶液;日本合成化学工業製)0.007質量部と、トルエン2.85質量部と、シクロヘキサノン0.60質量部とを十分混合して組成物として調整した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、固形分40.5%のハードコート用組成物を調製した。なお、ハードコート用組成物によって形成されるハードコート層の屈折率は1.51となる。
<実施例1>
延伸フィルム製造例1で得られたフィルム(基材フィルム〔1〕)に、防眩層用組成物1を乾燥後厚みが5.5μmになるようにワイヤーバーにてコーティングした。これを70℃の熱風乾燥機中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、紫外線を照射線量が30mJになるよう照射して塗膜を硬化させ防眩層を形成した。
さらに、防眩層上にハードコート用組成物を乾燥厚み6.5μmになるようにワイヤーバーにてコーティングした。これを70℃の熱風乾燥機中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、紫外線を照射線量が150mJになるよう照射して塗膜を硬化させハードコート層付防眩層を形成した。これにより、樹脂層と、2種の機能層を有してなる複層フィルム1を得た。
<実施例2>
延伸フィルム製造例2で得られたフィルム(基材フィルム〔2〕)に、防眩層用組成物2を乾燥後厚みが3.5μmになるようにワイヤーバーにてコーティングした。これを70℃の熱風乾燥機中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、紫外線を照射線量が200mJになるよう照射して塗膜を硬化させ防眩層を形成した。これにより、樹脂層と、1種の機能層を有してなる複層フィルム2を得た。
<実施例3>
延伸フィルム製造例3で得られたフィルム(基材フィルム〔3〕)に、防眩層用組成物3を乾燥後厚みが6.0μmになるようにワイヤーバーにてコーティングした。これを70℃の熱風乾燥機中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、紫外線を照射線量が200mJになるよう照射して塗膜を硬化させ防眩層を形成した。これにより、樹脂層と、1種の機能層を有してなる複層フィルム3を得た。
<実施例4〜6、比較例1>
表5に示す構成とする以外は実施例1〜3と同じ方法で複層フィルム4〜7を製造した。比較例1は防眩層を積層しなかった。評価結果を表5に示す。
(偏光子)
平均重合度2400、ケン化度99.9モル%、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水中に60秒間浸漬して膨潤させた。次いで、0.3重量%(重量比:ヨウ素/ヨウ化カリウム=0.5/8)の30℃のヨウ素溶液中で1分間染色しながら、3.5倍まで延伸した。その後、65℃の4重量%のホウ酸水溶液中に0.5分間浸漬しながら総合延伸倍率が6倍になるよう延伸した。延伸後、70℃のオーブンで3分間乾燥を行い、厚さ22μmの偏光子を得た。
<偏光板Xの作製>
延伸フィルム製造例1の二軸延伸フィルムと実施例4の複層フィルムをそれぞれ偏光子保護フィルムA1、A2として用いた。ポリエステルウレタン(第一工業製薬社製、商品名:スーパーフレックス210、固形分:33%)16.8g、架橋剤(オキサゾリン含有ポリマー、日本触媒社製、商品名:エポクロスWS−700、固形分:25%)4.2g、1重量%のアンモニア水2.0g、コロイダルシリカ(扶桑化学工業社製、クォートロンPL−3、固形分:20重量%)0.42gおよび純水76.6gを混合し、易接着剤組成物を得た。
得られた易接着剤組成物を、コロナ放電処理を施したA1の二軸延伸フィルムのコロナ放電処理面に、乾燥後の厚さが100nmとなるように、バーコーターで塗布した。その後、フィルムを熱風乾燥機(110℃)に投入し、易接着剤組成物を約5分乾燥させて、A1の二軸延伸フィルム上に易接着層を形成した。同様にして、A2の基材フィルム側にも同様に易接着層を形成した。
次に、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(興人社製)38.3質量部と、トリプロピレングリコールジアクリレート(商品名:アロニックスM−220,東亞合成社製)19.1質量部と、アクリロイルモルホリン(興人社製)38.3部と、光重合開始剤(商品名:KAYACURE DETX−S,ジエチルチオキサントン,日本化薬社製)1.4質量部とを混合して50℃で1時間撹拌して活性エネルギー線硬化型接着剤を得た。
上記活性エネルギー線硬化型接着剤を、偏光子保護フィルムA1およびA2の易接着層側に、乾燥後の厚さが500nmとなるように塗布した。その後、活性エネルギー線硬化型接着剤を介して、前述の偏光子の両側に1枚ずつの偏光子保護フィルムA1とA2を、小型ラミネーターを用いて積層した。貼り合わせた偏光子保護フィルムの両側から、IRヒーターを用いて50℃に加温し、積算照射量1000mJ/cm2の紫外線を両面に照射して、活性エネルギー線硬化型接着剤を硬化させ、偏光子の両面に透明な偏光子保護フィルムA1、A2を有する偏光板Xを得た。作製した偏光板Xを80℃90%RHの恒温恒湿機に投入して100時間後の偏光子の劣化の程度を目視にて観察したところ劣化は認められなかった。
<偏光板Yの作製>
(偏光子保護フィルムB)
厚さ40μmのトリアセチルセルセルロースフィルムを、10%の水酸化ナトリウム水溶液(60℃)に30秒間浸漬してケン化した後、60秒間水洗し、第2の偏光子保護フィルムBを得た。
アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(平均重合度:1200、ケン化度:98.5モル%,アセトアセチル基変性度:5モル%)100質量部に対し、メチロールメラミン20質量部を30℃の温度条件下で純水に溶解し、固形分濃度0.5%の水溶液を得た。得られた水溶液を接着剤組成物として、30℃の温度条件下で用いた。
偏光子保護フィルムBに、調製から30分後の上記接着剤組成物を、乾燥後の厚さが50nmとなるように塗布した。その後、接着剤組成物を介して、前述した偏光子の両側それぞれに偏光子保護フィルムBを、小型ラミネーターを用いて積層し、熱風乾燥機(70℃)に投入して5分間乾燥させて偏光板Yを得た。作製した偏光板Yを80℃90%RHの恒温恒湿機に投入して100時間後の偏光子の劣化の程度を目視にて観察したところ、全面に劣化が認められた。
11 偏光子
12 接着剤層
13 易接着層
14 偏光子保護フィルム
15 接着剤層
16 光学フィルム
141 樹脂層
142 機能層

Claims (14)

  1. 三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が50%以上のメタクリル樹脂と、ポリカーボネート樹脂またはフェノキシ樹脂の少なくとも1つを含有するメタクリル樹脂組成物からなる樹脂層と、
    当該樹脂層の少なくとも一方の面に、ハードコート層、防眩層、反射防止層及び帯電防止層よりなる群から選択される1種以上の層を含む機能層と、を有してなる複層フィルムであって、
    前記メタクリル樹脂組成物は、前記メタクリル樹脂100質量部に対する前記ポリカーボネート樹脂と前記フェノキシ樹脂の合計含有量が0.1質量部以上12質量部以下であって、前記メタクリル樹脂と前記ポリカーボネート樹脂と前記フェノキシ樹脂とを合計したものを80質量%以上含むメタクリル樹脂組成物である複層フィルム。
  2. 前記ポリカーボネート樹脂の300℃、1.2KgでのMVR値が130〜250cm3/10分である請求項1に記載の複層フィルム。
  3. 前記ポリカーボネート樹脂が1000より大きく、32000より小さい粘度平均分子量を有しているものである請求項1または2に記載の複層フィルム。
  4. 前記メタクリル樹脂が、メタクリル酸メチル由来の構造単位の含有量が80質量%以上であって、重量平均分子量が200000以下のものである請求項1〜3のいずれかに記載の複層フィルム。
  5. 前記メタクリル樹脂が、重量平均分子量が80000〜200000であり、且つメタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が92質量%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の複層フィルム。
  6. 前記メタクリル樹脂組成物が、3,000以上、40,000以下の平均重合度を有している高分子加工助剤を、前記メタクリル樹脂100質量部に対して0.3質量部以上、6質量部以下含有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の複層フィルム。
  7. 前記メタクリル樹脂組成物が、紫外線吸収剤を前記メタクリル樹脂100質量部に対して0.1質量部以上、5質量部以下含有するものである請求項1〜6のいずれかに記載の複層フィルム。
  8. 前記メタクリル樹脂のシンジオタクティシティ(rr)が、85%以下である請求項1〜7のいずれかに記載の複層フィルム。
  9. 面積比で1.5〜8倍に二軸延伸された請求項1〜8のいずれかに記載の複層フィルム。
  10. 複層フィルムの厚みが10〜60μmで、機能層の厚みが1〜15μmで、機能層側の鉛筆硬度が2H以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の複層フィルム。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の複層フィルムからなる偏光子保護フィルム。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の複層フィルムからなる位相差フィルム。
  13. 請求項1〜10に記載の複層フィルム、請求項11に記載の偏光子保護フィルムまたは請求項12に記載の複層フィルムのいずれかが少なくとも1枚偏光子に積層された偏光板。
  14. 請求項13に記載の偏光板を含む画像表示装置。

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