JPWO2018124247A1 - 変異型ニトリルヒドラターゼ、該変異型ニトリルヒドラターゼをコードする核酸、該核酸を含む発現ベクター及び形質転換体、該変異型ニトリルヒドラターゼの製造方法、並びにアミド化合物の製造方法 - Google Patents

変異型ニトリルヒドラターゼ、該変異型ニトリルヒドラターゼをコードする核酸、該核酸を含む発現ベクター及び形質転換体、該変異型ニトリルヒドラターゼの製造方法、並びにアミド化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2018124247A1
JPWO2018124247A1 JP2018559618A JP2018559618A JPWO2018124247A1 JP WO2018124247 A1 JPWO2018124247 A1 JP WO2018124247A1 JP 2018559618 A JP2018559618 A JP 2018559618A JP 2018559618 A JP2018559618 A JP 2018559618A JP WO2018124247 A1 JPWO2018124247 A1 JP WO2018124247A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amino acid
subunit
nitrile hydratase
seq
acid sequence
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018559618A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6757422B2 (ja
Inventor
俊博 舘野
淳子 徳田
慶一郎 甲斐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Publication of JPWO2018124247A1 publication Critical patent/JPWO2018124247A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6757422B2 publication Critical patent/JP6757422B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/88Lyases (4.)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/70Vectors or expression systems specially adapted for E. coli
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/10Cells modified by introduction of foreign genetic material
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P13/00Preparation of nitrogen-containing organic compounds
    • C12P13/02Amides, e.g. chloramphenicol or polyamides; Imides or polyimides; Urethanes, i.e. compounds comprising N-C=O structural element or polyurethanes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12YENZYMES
    • C12Y402/00Carbon-oxygen lyases (4.2)
    • C12Y402/01Hydro-lyases (4.2.1)
    • C12Y402/01084Nitrile hydratase (4.2.1.84)

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

αサブユニットとβサブユニットとを有するシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼにおいて、αサブユニットのN末端から40番目及び43番目並びにβサブユニットのN末端から205番目、206番目及び215番目、からなる群から選ばれる少なくとも1つの位置におけるアミノ酸残基の特定のアミノ酸残基への置換を含む、変異型ニトリルヒドラターゼ。

Description

本開示は、変異型ニトリルヒドラターゼ、該変異型ニトリルヒドラターゼをコードする核酸、該核酸を含む発現ベクター及び形質転換体、該変異型ニトリルヒドラターゼの製造方法、並びにアミド化合物の製造方法に関する。
ニトリルヒドラターゼは、種々の化合物のニトリル基を水和によりアミド基に変換するニトリル水和活性を有する酵素であり、酵素反応を利用した工業的なアミド化合物の製造プロセスにおいて利用されている。
近年、工業的なアミド化合物の製造技術に対する要求水準はますます高くなってきている傾向にある。こうした事情に鑑みて、アミド化合物の製造コストに占めるニトリルヒドラターゼのランニングコストを低減させるべく、種々の検討がこれまでになされている。特に、ニトリルヒドラターゼについては、該酵素の単位重量あたりの活性値を向上させることが可能な変異体に係る技術について、数多くの報告がなされている(特開平9−275978号公報、特開2004−194588号公報、特開2005−160403号公報、国際公開第2004/056990号、国際公開第2010/055666号、特開2007−143409号公報、特開2008−253182号公報等)。
ここで、酵素反応を利用した工業的なアミド化合物の代表的な製造プロセスにおいては、通常、pHが7〜9となるように調整した溶液中において、ニトリルヒドラターゼの触媒作用を利用してニトリル化合物からアミド化合物を合成させる反応を進行させる反応工程と、上記溶液のpHを3.5〜6.5に調整し、該pHにおいて活性炭を用いて前記溶液中に存在するニトリルヒドラターゼに吸着を利用して除去することにより精製されたアミド化合物を得る精製工程とをこの順で行っていた(特開2001−270857号公報)。
本発明者らは、ニトリルヒドラターゼを利用した工業的なアミド化合物の製造効率を従来にも増して向上させるべく鋭意検討した。その結果、酸性のpH領域において行われる前記精製工程においても、ニトリルヒドラターゼの触媒作用を利用してニトリル化合物からアミド化合物を合成させる反応を進行させ続けることが、その設計指針として有効であることを見出した。
しかしながら、一般に、野生型ニトリルヒドラターゼの至適pHは7〜9であり、野生型ニトリルヒドラターゼはpH3.5〜6.5の条件下においては活性が大きく低下する。したがって、野生型ニトリルヒドラターゼを用いても、精製工程において酵素反応は満
足できる程度には生じない。また、上記のとおり種々のニトリルヒドラターゼ変異体が報告されてきたが、これらも精製工程で用いられるような酸性条件下においては活性が大きく低下する。このように、酸性条件下での精製工程においてニトリル化合物からアミド化合物を合成する反応を触媒する酵素活性の良好なpH安定性を示すニトリルヒドラターゼ変異体に関する技術は、これまでに報告されていなかった。特にpH5.0以下といった比較的強い酸性条件下においては、タンパク質は失活する傾向がより高く、このようなpH条件下でも酵素活性が良好に保持されるニトリルヒドラターゼ変異体に関する技術は、これまでに報告されていなかった。
そこで、本開示は、ニトリル化合物からアミド化合物の合成反応を触媒する酵素活性のpHに対する安定性が向上した、新たな変異点を有する変異型ニトリルヒドラターゼに関する技術を提供する。より具体的には、pH3.5〜6.5といった酸性領域においても酵素活性を良好に保持する変異型ニトリルヒドラターゼに関する技術を提供する。さらに具体的には、pHが3.5〜5.0という比較的強い酸性領域においても酵素活性を良好に保持する変異型ニトリルヒドラターゼに関する技術を提供する。
本開示は、以下の態様を含む。
<1> αサブユニットとβサブユニットとを有するシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼにおいて、下記のアミノ酸残基置換(a)〜(e)からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基置換を含む、変異型ニトリルヒドラターゼ、
(a)αサブユニットのN末端から40番目のアミノ酸残基のAsnへの置換、
(b)αサブユニットのN末端から43番目のアミノ酸残基のValへの置換、
(c)βサブユニットのN末端から205番目のアミノ酸残基のValへの置換、
(d)βサブユニットのN末端から206番目のアミノ酸残基のGlnへの置換、
(e)βサブユニットのN末端から215番目のアミノ酸残基のAsnへの置換。
<2> アミノ酸残基置換(a)〜(e)からなる群から選ばれる2つ以上のアミノ酸残基置換を含む、<1>に記載の変異型ニトリルヒドラターゼ。
<3> アミノ酸残基置換(b)と、アミノ酸残基置換(a)、(c)、(d)及び(e)からなる群から選択される少なくとも1つと、を含む<1>又は<2>に記載の変異型ニトリルヒドラターゼ。
<4> αサブユニットのアミノ酸配列における、N末端から36番目のアミノ酸がTrpである、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の変異型ニトリルヒドラターゼ。
<5> αサブユニットのアミノ酸配列における、N末端から36番目のアミノ酸がMet、Ser、Gly又はAlaである、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の変異型ニトリルヒドラターゼ。
<6> αサブユニットのアミノ酸配列が、以下の(1)〜(13)のうち1つ以上を満たす、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の変異型ニトリルヒドラターゼ:
(1)N末端から6番目のアミノ酸残基がThr又はAlaである、
(2)N末端から13番目のアミノ酸残基がLeuである、
(3)N末端から19番目のアミノ酸残基がValである、
(4)N末端から27番目のアミノ酸残基がIleである、
(5)N末端から48番目のアミノ酸残基がGlnである、
(6)N末端から71番目のアミノ酸残基がHisである、
(7)N末端から92番目のアミノ酸残基がGluである、
(8)N末端から94番目のアミノ酸残基がIleである、
(9)N末端から126番目のアミノ酸残基がTyrである、
(10)N末端から148番目のアミノ酸残基がAspである、
(11)N末端から188番目のアミノ酸残基がGlyである、
(12)N末端から197番目のアミノ酸残基がCysである、
(13)N末端から204番目のアミノ酸残基がArgである。
<7> βサブユニットのアミノ酸配列が、以下の(15)〜(47)のうち少なくとも1つを満たす、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の変異型ニトリルヒドラターゼ:
(15)N末端から4番目のアミノ酸残基がMetである、
(16)N末端から8番目のアミノ酸残基がAlaである、
(17)N末端から10番目のアミノ酸残基がAspである、
(18)N末端から24番目のアミノ酸残基がIleである、
(19)N末端から33番目のアミノ酸残基がVal又はMetである、
(20)N末端から37番目のアミノ酸残基がVal又はLeuである、
(21)N末端から40番目のアミノ酸残基がIle、Val又はLeuである、
(22)N末端から41番目のアミノ酸残基がIleである、
(23)N末端から46番目のアミノ酸残基がLysである、
(24)N末端から48番目のアミノ酸残基がValである、
(25)N末端から51番目のアミノ酸残基がValである、
(26)N末端から61番目のアミノ酸残基がVal、Gly、Trp、Ser、Leu又はThrである、
(27)N末端から79番目のアミノ酸残基がAsnである、
(28)N末端から96番目のアミノ酸残基がArgである、
(29)N末端から107番目のアミノ酸残基がMetである、
(30)N末端から108番目のアミノ酸残基がAsp又はArgである、
(31)N末端から110番目のアミノ酸残基がAsnである、
(32)N末端から112番目のアミノ酸残基がVal又はIleである、
(33)N末端から118番目のアミノ酸残基がValである、
(34)N末端から127番目のアミノ酸残基がSerである、
(35)N末端から146番目のアミノ酸残基がGlyである、
(36)N末端から150番目のアミノ酸残基がAsn又はSerである、
(37)N末端から160番目のアミノ酸残基がCys、Trp又はMetである、
(38)N末端から168番目のアミノ酸残基がGluである、
(39)N末端から176番目のアミノ酸残基がAla、Thr、Met又はCysである、
(40)N末端から186番目のアミノ酸残基がArgである、
(41)N末端から200番目のアミノ酸残基がGluである、
(42)N末端から212番目のアミノ酸残基がTyrである、
(43)N末端から217番目のアミノ酸残基がVal、His、Met、Gly、Ser、Leu又はCysである、
(44)N末端から218番目のアミノ酸残基がMet又はSerである、
(45)N末端から226番目のアミノ酸残基がIleである、
(46)N末端から230番目のアミノ酸残基がGluである、
(47)N末端から231番目のアミノ酸残基がValである。
<8> 下記[1]〜[49]のいずれかのシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼにおいて、前記(a)〜(e)からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基置換を含む、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の変異型ニトリルヒドラターゼ。
[1]配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号2のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[2]配列番号16のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号33のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[3]配列番号17のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号33のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[4]配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号34のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[5]配列番号19のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号34のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[6]配列番号20のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号35のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[7]配列番号20のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号36のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[8]配列番号21のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号37のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[9]配列番号21のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号38のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[10]配列番号21のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号39のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[11]配列番号21のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号40のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[12]配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号41のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[13]配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号42のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[14]配列番号21のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号43のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[15]配列番号22のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号44のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[16]配列番号23のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号45のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[17]配列番号24のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号46のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[18]配列番号25のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号47のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[19]配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号48のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[20]配列番号23のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号49のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[21]配列番号16のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号50のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[22]配列番号26のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号51のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[23]配列番号27のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号52のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[24]配列番号28のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号53のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[25]配列番号17のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号54のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[26]配列番号29のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号55のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[27]配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号56のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[28]配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号57のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[29]配列番号30のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号58のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[30]配列番号29のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号59のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[31]配列番号31のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号60のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[32]配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号61のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[33]配列番号32のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号62のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[34]配列番号30のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号63のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[35]配列番号30のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号64のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[36]配列番号30のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号65のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[37]配列番号25のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号54のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[38]配列番号30のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号66のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[39]配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号67のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[40]配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号68のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[41]配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号69のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[42]配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号70のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[43]配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号71のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[44]配列番号21のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号72のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[45]配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号73のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
[46]上記[1]〜[45]のニトリルヒドラターゼのうちいずれか1つにおけるαサブユニットのN末端から36番目のアミノ酸残基をTrp残基とした、ニトリルヒドラターゼ
[47]上記[1]〜[46]のうちいずれか1つのニトリルヒドラターゼ(A)のαサブユニット又は該αサブユニットと90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるαサブユニットバリアントと、前記ニトリルヒドラターゼ(A)のβサブユニット又は該βサブユニットと90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるβサブユニットバリアントと、を有するニトリルヒドラターゼであって、αサブユニット及びβサブユニットのうち少なくとも一方はαサブユニットバリアント又はβサブユニットバリアントである、ニトリルヒドラターゼ
[48]上記[1]〜[46]のうちいずれか1つのニトリルヒドラターゼ(B)におけるαサブユニットにおいて付加、置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸残基(前記(a)及び(b)の置換されるアミノ酸残基を除く)の総数が1〜10であり、かつ、前記ニトリルヒドラターゼ(B)におけるβサブユニットにおいて、付加、置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸残基(前記(c)〜(e)の置換されるアミノ酸残基を除く)の総数が1〜10であるニトリルヒドラターゼ
<9> <1>〜<8>のいずれか1つに記載の変異型ニトリルヒドラターゼをコードする核酸。
<10> <9>に記載の核酸を含むベクター。
<11> 発現ベクターである、<10>に記載のベクター。
<12> <11>に記載の発現ベクターを含む形質転換体。
<13> <12>に記載の形質転換体を培地中で培養すること、並びに培養された形質転換体及び培地のうち少なくとも一方から、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の変異型ニトリルヒドラターゼを回収することを含む変異型ニトリルヒドラターゼの製造方法。
<14> <13>に記載の製造方法によって得られた変異型ニトリルヒドラターゼ。
<15> <1>〜<8>及び<14>のうちいずれか1つに記載の変異型ニトリルヒドラターゼをニトリル化合物に接触させることを含む、アミド化合物の製造方法。
<16> さらに、pH3.5〜pH6.5で、アミド化合物を含む溶液から不純物を除去することを含む、<15>に記載のアミド化合物の製造方法。
<17> さらに、アミド化合物を活性炭により精製することを含む、<15>または<16>に記載のアミド化合物の製造方法。
本開示によれば、ニトリル化合物からアミド化合物の合成反応を触媒する酵素活性のpHに対する安定性が向上した、新たな変異点を有する変異型ニトリルヒドラターゼに関する技術を提供することができる。より具体的には、pH3.5〜6.5といった酸性領域においても酵素活性を良好に保持する変異型ニトリルヒドラターゼに関する技術を提供することができる。さらに具体的には、pHが3.5〜5.0という比較的強い酸性領域においても酵素活性を良好に保持する変異型ニトリルヒドラターゼに関する技術を提供することができる。
<変異型ニトリルヒドラターゼ>
本開示は、αサブユニットとβサブユニットとを有するシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼにおいて、下記のアミノ酸残基置換(a)〜(e)からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基置換を含む、変異型ニトリルヒドラターゼ(以下、変異型ニトリルヒドラターゼAともいう)を提供する:
(a)αサブユニットのN末端から40番目のアミノ酸残基のAsnへの置換、
(b)αサブユニットのN末端から43番目のアミノ酸残基のValへの置換、
(c)βサブユニットのN末端から205番目のアミノ酸残基のValへの置換、
(d)βサブユニットのN末端から206番目のアミノ酸残基のGlnへの置換、
(e)βサブユニットのN末端から215番目のアミノ酸残基のAsnへの置換。
上記(a)〜(e)のアミノ酸残基置換を少なくとも1つ以上含む変異体は、これまでに報告されていなかった。すなわち、前記変異型ニトリルヒドラターゼが含む(a)〜(e)のアミノ酸残基置換は、いずれも、これまでに報告がなされていなかった変異であるといえる。これら(a)〜(e)のアミノ酸残基置換を、以下、アミノ酸残基置換群Aともいう。そして、上述した変異を含む本開示に係る変異型ニトリルヒドラターゼは、ニトリル化合物からアミド化合物の合成反応に対し、従来のニトリルヒドラターゼ変異体と比べて幅広いpH領域において安定性を有する酵素活性を示すことが可能な酵素である。この点については、実施例にて詳細に説明する。
従来から野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼの変異体を得ようとする試みはされてきたが、これらは主に酵素の至適pH条件下における酵素活性の向上を目的とするものであって、酵素の至適pH条件とは反対の酸性条件下におけ
る酵素活性についての検討はされていなかった。至適条件から外れる酸性条件下におけるニトリルヒドラターゼの酵素活性は、本発明者等によって初めて着目されたものであり、上記の新たなアミノ酸残基変異が有効であることを見いだしたものである。
以下に、本開示に係る変異型ニトリルヒドラターゼについてより詳しく説明する。本開示におけるヌクレオチド配列の説明は、当該ヌクレオチド配列を保持している核酸鎖が二本鎖を形成している場合であっても一方の鎖上の配列に着目してなされる場合があるが、二本鎖のうち他方の鎖においては、そのような配列の説明はその相補的な配列へと読み替えて適用すべきである。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても当該工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中の各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼとは、配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと配列番号2のアミノ酸配列を有するβサブユニットを有する野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼだけでなく、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼに対して、当業者が野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼの改変配列であると認識できる程度に、改変を加えた改変ニトリルヒドラターゼをも含む概念である。シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼの概念に含まれる改変ニトリルヒドラターゼには、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼに対して、(i)1つ以上のアミノ酸残基における別のアミノ酸残基への置換、(ii)上記(a)〜(e)以外の1つ以上のアミノ酸残基の欠失、(iii)アミノ酸残基の挿入、(iv)αサブユニットのアミノ酸配列のN末端及びC末端のうち一方若しくは両方へのアミノ酸残基の付加、(v)βサブユニットのアミノ酸配列のN末端及びC末端のうち一方若しくは両方へのアミノ酸残基の付加、からなる群から選択される1つ以上の改変を加えた改変ニトリルヒドラターゼも含まれる。
前記改変ニトリルヒドラターゼのαサブユニットにおいて、置換されたアミノ酸残基の数は、例えば、1〜20であり、あるいは1〜15であり、あるいは1〜10であり、あるいは1〜8であり、あるいは1〜7であり、あるいは1〜6であり、あるいは1〜5であり、あるいは1〜4であり、あるいは1〜3であり、あるいは1〜2であり、あるいは1である。置換されたアミノ酸残基の数は0であってもよい。
前記改変ニトリルヒドラターゼのβサブユニットにおいて、置換されたアミノ酸残基の数は、例えば、1〜20であり、あるいは1〜15であり、あるいは1〜10であり、あるいは1〜8であり、あるいは1〜7であり、あるいは1〜6であり、あるいは1〜5であり、あるいは1〜4であり、あるいは1〜3であり、あるいは1〜2であり、あるいは1である。置換されたアミノ酸残基の数は0であってもよい。
前記改変ニトリルヒドラターゼのαサブユニットにおいて、欠失されたアミノ酸残基の数は、例えば、1〜10であり、あるいは1〜7であり、あるいは1〜4であり、あるいは1〜2であり、あるいは1である。欠失されたアミノ酸残基の数は0であってもよい。
前記改変ニトリルヒドラターゼのβサブユニットにおいて、欠失されたアミノ酸残基の数は、例えば、1〜10であり、あるいは1〜7であり、あるいは1〜4であり、あるいは1〜2であり、あるいは1である。欠失されたアミノ酸残基の数は0であってもよい。
前記改変ニトリルヒドラターゼのαサブユニットにおいて、挿入されたアミノ酸残基の数は、例えば、1〜10であり、あるいは1〜7であり、あるいは1〜4であり、あるいは1〜2であり、あるいは1である。挿入されたアミノ酸残基の数は0であってもよい。
前記改変ニトリルヒドラターゼのβサブユニットにおいて、挿入されたアミノ酸残基の数は、例えば、1〜10であり、あるいは1〜7であり、あるいは1〜4であり、あるいは1〜2であり、あるいは1である。挿入されたアミノ酸残基の数は0であってもよい。
前記改変ニトリルヒドラターゼのαサブユニットにおいて、置換、欠失又は挿入されたアミノ酸残基の総数は、例えば、1〜20であり、あるいは1〜14であり、あるいは1〜8であり、あるいは1〜4であり、あるいは1〜2であり、あるいは1である。末端付加がある場合などは、置換、欠失又は挿入されたアミノ酸残基の総数は、0であってもよい。
前記改変ニトリルヒドラターゼのβサブユニットにおいて、置換、欠失又は挿入されたアミノ酸残基の総数は、例えば、1〜20であり、あるいは1〜14であり、あるいは1〜8であり、あるいは1〜4であり、あるいは1〜2であり、あるいは1である。末端付加がある場合などは、置換、欠失又は挿入されたアミノ酸残基の総数は、0であってもよい。
前記改変ニトリルヒドラターゼのαサブユニットにおいて、末端付加されたアミノ酸残基の数は、例えば、一末端あたり1〜60であり、あるいは1〜40であり、あるいは1〜20であり、あるいは1〜10であり、あるいは1〜5であり、あるいは1〜3であり、あるいは1である。付加されたアミノ酸残基の数は0であってもよい。
前記改変ニトリルヒドラターゼのβサブユニットにおいて、末端付加されたアミノ酸残基の数は、例えば、一末端あたり1〜60であり、あるいは1〜40であり、あるいは1〜20であり、あるいは1〜10であり、あるいは1〜5であり、あるいは1〜3であり、あるいは1である。付加されたアミノ酸残基の数は0であってもよい。
末端付加アミノ酸残基は、例えば分泌シグナル配列であってもよい。末端付加アミノ酸残基はN末端のみに、C末端のみに、あるいはN末端及びC末端の両方に存在してもよい。
前記改変ニトリルヒドラターゼと野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼとの類似性は配列同一性によっても表現できる。
前記改変ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのアミノ酸配列は、配列番号1で表される野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのアミノ酸配列との間で、例えば70%以上の配列同一性を有し、あるいは80%以上の配列同一性を有し、あるいは85%以上の配列同一性を有し、あるいは90%以上の配列同一性を有し、あるいは95%以上の配列同一性を有し、あるいは96%以上の配列同一性を有し、あるいは97%以上の配列同一性を有し、あるいは98%以上の配列同一性を有し、あるいは99%以上の配列同一性を有する。
前記改変ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列は、配列番号2で表される野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列との間で、例えば70%以上の配列同一性を有し、あるいは80%以上の配列同一性を有し、あるいは85%以上の配列同一性を有し、あるいは90%以上の配列同一性を有し、あるいは95%以上の配列同一性を有し、あるいは96%以上の配列同一性を有し、あるいは97%以上の配列同一性を有し、あるいは98%以上の配列同一性を有し、あるいは99%以上の配列同一性を有する。
なお、配列同士のアラインメントは、ClustalW(1.83)で行うことができ、初期パラメータ(ギャップオープンペナルティ:10、ギャップエクステンションペナ
ルティ:0.05を含む)を使用して行うことができる。
改変ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列を野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列とアラインメントした場合、改変ニトリルヒドラターゼの改変の様式によっては、アラインメントの上で対応するアミノ酸残基同士であっても、上記のように規定されたサブユニットのN末端からの距離が異なることがある。本開示においては、このような場合、改変ニトリルヒドラターゼについて、サブユニットのN末端からX番目のアミノ酸残基とは、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼの当該サブユニットのN末端からX番目のアミノ酸残基とアラインメント上対応するアミノ酸残基を指す。例えば、本開示における「αサブユニットのN末端から40番目のアミノ酸残基」、「αサブユニットのN末端から40番目のAsp残基」あるいは「αサブユニットのN末端から40番目のアミノ酸残基であるAsp残基」とは、改変ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列上においては、αサブユニットのN末端から40番目以外の位置に位置することがありうる。例えば、改変ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのN末端から41番目のアミノ酸残基(必ずしもAspでなくてもよい)が、アミノ酸残基の挿入の結果、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのN末端から40番目のアミノ酸残基であるAsp残基に対応することがありうる。このような場合、本開示中の説明における「αサブユニットのN末端から40番目のアミノ酸残基」、「αサブユニットのN末端から40番目のAsp残基」又は「αサブユニットのN末端から40番目のアミノ酸残基であるAsp残基」とは、改変ニトリルヒドラターゼ中のαサブユニットのN末端から41番目のアミノ酸残基を指す。
野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼにおいては、配列番号1の先頭に位置するMet残基がαサブユニットのアミノ酸配列のN末端から1番目のアミノ酸残基であり、αサブユニットのアミノ酸配列のN末端から40番目のアミノ酸残基はAsp残基であり、αサブユニットのアミノ酸配列のN末端から43番目のアミノ酸残基はAla残基である。また、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼにおいては、配列番号2の先頭に位置するMet残基がβサブユニットのアミノ酸配列のN末端から1番目のアミノ酸残基であり、βサブユニットのアミノ酸配列のN末端から205番目のアミノ酸残基はGly残基であり、βサブユニットのアミノ酸配列のN末端から206番目のアミノ酸残基はPro残基であり、βサブユニットのアミノ酸配列のN末端から215番目のアミノ酸残基はTyr残基である。
アミノ酸残基置換(a)〜(e)のうち1つ以上の導入対象として使用することができる改変ニトリルヒドラターゼの配列は、National Center for Biotechnology Information(NCBI)が提供するGenBankに登録されているニトリルヒドラターゼの配列、あるいは公知文献に記載のニトリルヒドラターゼの配列から選んで使用することができる。また、上述の特開平9−275978号公報、特開2004−194588号公報、特開2005−160403号公報、国際公開第2004/056990号、国際公開第2010/055666号に記載されている改変ニトリルヒドラターゼの配列から選んで使用することができる。この場合、これらの特許文献に記載の改良に加えて、アミノ酸残基置換(a)〜(e)のうち1つ以上の導入によりpH安定性の向上という新たな効果も得ることができる。
なお、アミノ酸残基置換(a)〜(e)のうち1つ以上の導入対象として使用することができる改変ニトリルヒドラターゼは、N末端から36番目のアミノ酸残基(野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列におけるN末端から36番目のThr残基にアラインメント上対応するアミノ酸残基)がTrp残基であるもの(以降では、アミノ酸残基置換(f)ともいう)であってもよい。アミノ酸残基置換(a)〜(e)のうち1つ以上に加えてアミノ酸残基置換(f)を有することは、より向上したpH安定性を有する変異型ニトリルヒドラターゼを得る観点から好ましい。言
い換えると、アミノ酸残基置換(f)が存在すると、アミノ酸残基置換(a)から(e)による効果がより強くなる傾向にある。
また、例えば、国際公開第2010/055666号には、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列に対して、以下のようなアミノ酸残基置換(以下、アミノ酸残基置換群Bともいう)を導入することが記載されている。
αサブユニットのアミノ酸配列におけるアミノ酸残基置換(αサブユニットのN末端を基準とした位置で表わす)
6番目のアミノ酸残基であるLeuをThr又はAlaに置換
13番目のアミノ酸残基であるIleをLeuに置換
19番目のアミノ酸残基であるAlaをValに置換
27番目のアミノ酸残基であるMetをIleに置換
36番目のアミノ酸残基であるThrをMet、Ser、Gly又はAlaに置換
48番目のアミノ酸残基であるAsnをGlnに置換
71番目のアミノ酸残基であるArgをHisに置換
92番目のアミノ酸残基であるAspをGluに置換
94番目のアミノ酸残基であるMetをIleに置換
126番目のアミノ酸残基であるPheをTyrに置換
148番目のアミノ酸残基であるGlyをAspに置換
188番目のアミノ酸残基であるThrをGlyに置換
197番目のアミノ酸残基であるGlyをCysに置換
204番目のアミノ酸残基であるValをArgに置換
βサブユニットのアミノ酸配列におけるアミノ酸残基置換(βサブユニットのN末端を基準とした位置で表わす)
4番目のアミノ酸残基であるValをMetに置換
8番目のアミノ酸残基であるGlyをAlaに置換
10番目のアミノ酸残基であるThrをAspに置換
24番目のアミノ酸残基であるValをIleに置換
33番目のアミノ酸残基であるAlaをVal又はMetに置換
37番目のアミノ酸残基であるPheをVal又はLeuに置換
40番目のアミノ酸残基であるThrをIle、Val又はLeuに置換
41番目のアミノ酸残基であるPheをIleに置換
46番目のアミノ酸残基であるMetをLysに置換
48番目のアミノ酸残基であるLeuをValに置換
51番目のアミノ酸残基であるPheをValに置換
61番目のアミノ酸残基であるAlaをVal、Gly、Trp、Ser、Leu又はThrに置換
79番目のアミノ酸残基であるHisをAsnに置換
96番目のアミノ酸残基であるGlnをArgに置換
107番目のアミノ酸残基であるProをMetに置換
108番目のアミノ酸残基であるGluをAsp又はArgに置換
110番目のアミノ酸残基であるGluをAsnに置換
112番目のアミノ酸残基であるLysをVal又はIleに置換
118番目のアミノ酸残基であるPheをValに置換
127番目のアミノ酸残基であるLeuをSerに置換
146番目のアミノ酸残基であるArgをGlyに置換
150番目のアミノ酸残基であるAlaをAsn又はSerに置換
160番目のアミノ酸残基であるArgをCys、Trp又はMetに置換
168番目のアミノ酸残基であるThrをGluに置換
176番目のアミノ酸残基であるTyrをAla、Thr、Met又はCysに置換
186番目のアミノ酸残基であるLeuをArgに置換
200番目のアミノ酸残基であるAlaをGluに置換
206番目のアミノ酸残基であるProをLeuに置換
212番目のアミノ酸残基であるSerをTyrに置換
217番目のアミノ酸残基であるAspをVal、His、Met、Gly、Ser、Leu又はCysに置換
218番目のアミノ酸残基であるCysをMet又はSerに置換
226番目のアミノ酸残基であるValをIleに置換
230番目のアミノ酸残基であるAlaをGluに置換
231番目のアミノ酸残基であるAlaをValに置換
アミノ酸残基置換(a)〜(e)のうち1つ以上の導入対象として使用することができる改変ニトリルヒドラターゼは、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列と比較した場合に、上記アミノ酸残基置換群Bから選択される1つ以上のアミノ酸残基置換を含むものであってもよく、これにさらにアミノ酸残基置換(f)を有していてもよい。上記アミノ酸残基置換は2つ以上を組み合わせて含まれていてもよい。そうした組み合わせの例も国際公開第2010/055666号には多数記載されている。また、改変ニトリルヒドラターゼは、もちろん、ニトリルヒドラターゼ活性を有するべきである。
例えば、3つを組み合わせて含んでいる場合は、
αサブユニットにおけるThr36Ser及びAsp92Glu並びにβサブユニットにおけるAla33Valの組み合わせ、
αサブユニットにおけるMet94Ile並びにβサブユニットにおけるAla61Gly及びAla150Asnの組み合わせ、
βサブユニットにおけるVal4Met、Tyr176Ala及びAsp217Valの組み合わせ
βサブユニットにおけるAla33Met、His79Asn及びTyr176Thrの組み合わせ、
βサブユニットにおけるThr40Val、Cys218Met及びVal226Ileの組み合わせ、
などが例として挙げられる。
また、例えば8つを組み合わせて含んでいる場合は、
αサブユニットにおけるIle13Leu、Ala19Val、Arg71His及びPhe126Tyr並びにβサブユニットにおけるPhe37Leu、Gln96Arg、Glu108Asp及びAla200Gluの組み合わせ(国際公開第2010/055666号:形質転換体番号59)、
αサブユニットにおけるLeu6Thr、Met27Ile、Thr36Met及びPhe126Tyr並びにβサブユニットにおけるThr10Asp、Pro107Met、Phe118Val及びAla200Gluの組み合わせ(国際公開第2010/055666号:形質転換体番号68)、
αサブユニットにおけるLeu6Thr、Thr36Met及びPhe126Tyr並びにβサブユニットにおけるThr10Asp、Phe118Val、Ala200Glu、Pro206Leu及びAla230Gluの組み合わせ(国際公開第2010/055666号:形質転換体番号92)、
αサブユニットにおけるLeu6Thr、Ala19Val及びPhe126Tyr並
びにβサブユニットにおけるLeu48Val、His79Asn、Glu108Arg、Ser212Tyr及びAla230Gluの組み合わせ(国際公開第2010/055666号:形質転換体番号85)、
αサブユニットにおけるThr36Met、Gly148Asp及びVal204Arg並びにβサブユニットにおけるPhe41Ile、Phe51Val、Glu108Asp、Pro206Leu及びAla230Gluの組み合わせ(国際公開第2010/055666号:形質転換体番号93)、
が例として挙げられる。
また、アミノ酸残基置換(a)〜(e)のうち1つ以上の導入対象として使用することができる改変ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列は、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列と比較して、上記に例示された箇所(アミノ酸残基置換群B及びアミノ酸残基置換(f))以外のアミノ酸残基におけるアミノ酸残基置換を含んでいてもよい。このような、アミノ酸残基置換群Bのうち1つ以上のアミノ酸残基置換及び/又はアミノ酸残基置換(f)に加えて、あるいはアミノ酸残基置換群Bのアミノ酸残基の置換もアミノ酸残基置換(f)も無しに、アミノ酸残基置換群B及びアミノ酸残基置換(f)以外のアミノ酸残基におけるアミノ酸残基置換を含む改変ニトリルヒドラターゼに対しても、アミノ酸残基置換(a)〜(e)のうち1つ以上の導入は、後述のように立体構造上の安定化を通じて、改変ニトリルヒドラターゼが有するpH安定性を向上させる効果を奏する。
上記の野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼ又は改変ニトリルヒドラターゼに対して、アミノ酸残基置換(a)〜(e)のうち1つ以上を導入して、本開示に係る変異型ニトリルヒドラターゼを得ることができる。
前記変異ニトリルヒドラターゼは、アミノ酸残基置換(a)〜(e)及び(f)のうち、表Iで示す2つのアミノ酸残基置換の組み合わせを含んでいてもよい。
前記変異ニトリルヒドラターゼは、アミノ酸残基置換(a)〜(e)及び(f)のうち、表IIで示す3つのアミノ酸残基置換の組み合わせでもを含んでいてもよい。
前記変異ニトリルヒドラターゼは、アミノ酸残基置換(a)〜(e)及び(f)のうち、表IIIで示す4つのアミノ酸残基置換の組み合わせを含んでいてもよい。
前記変異ニトリルヒドラターゼは、アミノ酸残基置換(a)〜(e)及び(f)のうち、表IVで示す5つのアミノ酸残基置換の組み合わせを含んでいてもよい。
前記変異ニトリルヒドラターゼは、アミノ酸残基置換(a)〜(e)及び(f)の全て(表Vで示す6つのアミノ酸残基置換)の組み合わせを含んでいてもよい。
アミノ酸残基置換(a)〜(e)のうち1つ以上の導入対象として使用することができる改変ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列は、国際公開第2010/055666号等で作製された改変ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列又はこれに類似する配列であってもよい。このため、本開示に係る変異型ニトリルヒドラターゼは、例えば、
αサブユニットのN末端から40番目のアミノ酸残基のAsnへの置換、
αサブユニットのN末端から43番目のアミノ酸残基のValへの置換、
βサブユニットのN末端から205番目のアミノ酸残基のValへの置換、
βサブユニットのN末端から206番目のアミノ酸残基のGlnへの置換、
βサブユニットのN末端から215番目のアミノ酸残基のAsnへの置換。
のうち少なくとも1つを、以下のニトリルヒドラターゼ(1)〜(47)のいずれかに導入したもの(以下、変異型ニトリルヒドラターゼBともいう)であってもよい:
(1)配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号2のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(2)配列番号16のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号33のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(3)配列番号17のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号33のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(4)配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号34のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(5)配列番号19のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号34のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(6)配列番号20のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号35のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(7)配列番号20のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号36のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(8)配列番号21のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号37のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(9)配列番号21のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号38のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(10)配列番号21のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号39のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(11)配列番号21のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号40のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(12)配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号41のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(13)配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号42のアミ
ノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(14)配列番号21のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号43のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(15)配列番号22のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号44のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(16)配列番号23のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号45のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(17)配列番号24のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号46のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(18)配列番号25のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号47のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(19)配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号48のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(20)配列番号23のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号49のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(21)配列番号16のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号50のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(22)配列番号26のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号51のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(23)配列番号27のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号52のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(24)配列番号28のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号53のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(25)配列番号17のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号54のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(26)配列番号29のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号55のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(27)配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号56のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(28)配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号57のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(29)配列番号30のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号58のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(30)配列番号29のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号59のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(31)配列番号31のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号60のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(32)配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号61のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(33)配列番号32のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号62のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(34)配列番号30のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号63のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(35)配列番号30のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号64のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(36)配列番号30のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号65のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(37)配列番号25のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号54のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(38)配列番号30のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号66のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(39)配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号67のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(40)配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号68のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(41)配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号69のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(42)配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号70のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(43)配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号71のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(44)配列番号21のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号72のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(45)配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号73のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
(46)上記(1)〜(45)のニトリルヒドラターゼのうちいずれか1つにおけるαサブユニットのN末端から36番目のアミノ酸残基をTrp残基とした、ニトリルヒドラターゼ、
(47)上記(1)〜(46)のニトリルヒドラターゼのうちいずれか1つである特定ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と70%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるαサブユニットバリアントと、前記特定ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と70%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるβサブユニットバリアントと、を有する改変ニトリルヒドラターゼであって、αサブユニットのアミノ酸配列及びβサブユニットのアミノ酸配列のうち少なくとも一方はαサブユニットバリアント又はβサブユニットバリアントのアミノ酸配列である、改変ニトリルヒドラターゼ。
なお、上記のニトリルヒドラターゼ(2)〜(45)は、配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと配列番号2のアミノ酸配列を有するβサブユニットとを有するニトリルヒドラターゼ(1)と比較すると以下表6〜表13に記載のアミノ酸残基において相違しており、国際公開第2010/055666号に形質転換体番号と共に記載されている。以下の表において、変異箇所の欄の数字は、該当するサブユニットのアミノ酸配列のN末端からの位置を表している。また、形質転換体番号とは、国際公開第2010/055666号において付されている番号である。
アミノ酸残基置換(a)〜(e)のうち1つ以上の導入対象として使用することができる改変ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列は、上記(2)〜(45)の44のうちのいずれかのニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列であることが好ましく、上記(3)、(11)、(18)、(19)、(25)、(27)、(28)、(29)、(32)、(33)、(34)、(35)、(36)、(37)、(38)、(39)、(40)、(41、(42)、(43)、(44)、及び(45)のうちのいずれかのニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列であることがより好ましい。
上記(47)において、αサブユニットバリアントのアミノ酸配列の特定ニトリルヒドラターゼのαサブユニットに対する配列同一性は、80%以上でもよく、あるいは85%以上でもよく、あるいは90%以上でもよく、あるいは95%以上でもよく、あるいは96%以上でもよく、あるいは97%以上でもよく、あるいは98%以上でもよく、あるいは99%以上でもよい。同様に、上記(47)において、βサブユニットバリアントのアミノ酸配列の特定ニトリルヒドラターゼのβサブユニットに対する配列同一性は、80%以上でもよく、あるいは85%以上でもよく、あるいは90%以上でもよく、あるいは95%以上でもよく、あるいは96%以上でもよく、あるいは97%以上でもよく、あるいは98%以上でもよく、あるいは99%以上でもよい。また、αサブユニットバリアントとは、上記で規定された配列同一性を満たすが、特定ニトリルヒドラターゼのαサブユニットとは異なるアミノ酸配列を有するαサブユニットのことをいう。βサブユニットバリアントとは、上記で規定された配列同一性を満たすが、特定ニトリルヒドラターゼのβサブユニットとは異なるアミノ酸配列を有するβサブユニットのことをいう。
上記(2)〜(45)のニトリルヒドラターゼは、国際公開第2010/055666号においてその活性が実施例において確認された(形質転換体番号5、62、68、95及び111)ニトリルヒドラターゼであり、また、上記(1)のニトリルヒドラターゼは野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼである。(2)〜(46)のニトリルヒドラターゼも、アミノ酸残基置換(a)〜(e)のうち1つ以上の導入対象として使用することができる。また、このニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列に類似するアミノ酸配列を有する他の改変ニトリルヒドラターゼもアミノ酸残基置換(a)〜(e)のうち1つ以上の導入対象として使用することができる。このため、改変ニトリルヒドラターゼと野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼとの間のアミノ酸配列の差異について説明した事項(配列改変の程度や例についての説明を含む)は、「野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼ」を上記(1)〜(46)のいずれかのニトリルヒドラターゼと読み替えてそのまま適用できる。また、改変ニトリルヒドラターゼは、もちろん、ニトリルヒドラターゼ活性を有するべきである。
例えば、上記変異型ニトリルヒドラターゼBが含みうるアミノ酸残基置換及びその組み合わせ、並びにニトリルヒドラターゼのαサブユニットのN末端から36番目のアミノ酸残基については、前記変異型ニトリルヒドラターゼBは前記表Iに記載のアミノ酸残基の組み合わせa〜o、前記表IIに記載のアミノ酸残基の組み合わせp〜ai、前記表IIIに記載のアミノ酸残基の組み合わせaj〜ax、前記表IVに記載のアミノ酸残基の組み合わせay〜bd、及び前記表Vに記載のアミノ酸残基の組み合わせbeからなる群から選択されるアミノ酸残基の組み合わせを含んでいてもよい。つまり、上記(1)〜(46)のニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列に対して、このようなアミノ酸残基置換の組み合わせを導入しうる。
また、例えば、上記(47)のニトリルヒドラターゼは、上記(1)〜(46)のニトリルヒドラターゼのいずれかに対して、(i)1つ以上のアミノ酸残基における別のアミノ酸残基への置換、(ii)上記(a)〜(e)以外の1つ以上のアミノ酸残基の欠失、(iii)アミノ酸残基の挿入、(iv)αサブユニットのアミノ酸配列のN末端及びC末端のうち一方若しくは両方へのアミノ酸残基の付加、(v)βサブユニットのアミノ酸配列のN末端及びC末端のうち一方若しくは両方へのアミノ酸残基の付加、からなる群から選択される1つ以上の改変を加えた改変ニトリルヒドラターゼであってもよい。
前記(47)のニトリルヒドラターゼのαサブユニットにおいて、上記(1)〜(46)のいずれかのニトリルヒドラターゼのαサブユニットを基準とした場合に置換されたアミノ酸残基の数は、例えば、1〜20であり、あるいは1〜15であり、あるいは1〜10であり、あるいは1〜8であり、あるいは1〜7であり、あるいは1〜6であり、あるいは1〜5であり、あるいは1〜4であり、あるいは1〜3であり、あるいは1〜2であり、あるいは1である。置換されたアミノ酸残基の数は0であってもよい。
前記(47)のニトリルヒドラターゼβサブユニットにおいて、上記(1)〜(46)のいずれかのニトリルヒドラターゼのβサブユニットを基準とした場合に置換されたアミノ酸残基の数は、例えば、1〜20であり、あるいは1〜15であり、あるいは1〜10であり、あるいは1〜8であり、あるいは1〜7であり、あるいは1〜6であり、あるいは1〜5であり、あるいは1〜4であり、あるいは1〜3であり、あるいは1〜2であり、あるいは1である。置換されたアミノ酸残基の数は0であってもよい。
前記(47)のニトリルヒドラターゼのαサブユニットにおいて、上記(1)〜(46)のいずれかのニトリルヒドラターゼのαサブユニットを基準とした場合に欠失されたアミノ酸残基の数は、例えば、1〜10であり、あるいは1〜7であり、あるいは1〜4であり、あるいは1〜2であり、あるいは1である。欠失されたアミノ酸残基の数は0であってもよい。
前記(47)のニトリルヒドラターゼのβサブユニットにおいて、上記(1)〜(46)のいずれかのニトリルヒドラターゼのβサブユニットを基準とした場合に欠失されたアミノ酸残基の数は、例えば、1〜10であり、あるいは1〜7であり、あるいは1〜4であり、あるいは1〜2であり、あるいは1である。欠失されたアミノ酸残基の数は0であってもよい。
前記(47)のニトリルヒドラターゼのαサブユニットにおいて、上記(1)〜(46)のいずれかのニトリルヒドラターゼのαサブユニットを基準とした場合に挿入されたアミノ酸残基の数は、例えば、1〜10であり、あるいは1〜7であり、あるいは1〜4であり、あるいは1〜2であり、あるいは1である。挿入されたアミノ酸残基の数は0であ
ってもよい。
前記(47)のニトリルヒドラターゼのβサブユニットにおいて、上記(1)〜(46)のいずれかのニトリルヒドラターゼのβサブユニットを基準とした場合に挿入されたアミノ酸残基の数は、例えば、1〜10であり、あるいは1〜7であり、あるいは1〜4であり、あるいは1〜2であり、あるいは1である。挿入されたアミノ酸残基の数は0であってもよい。
前記(47)のニトリルヒドラターゼのαサブユニットにおいて、上記(1)〜(46)のいずれかのニトリルヒドラターゼのαサブユニットを基準とした場合に置換、欠失又は挿入されたアミノ酸残基の総数は、例えば、1〜20であり、あるいは1〜14であり、あるいは1〜8であり、あるいは1〜4であり、あるいは1〜2であり、あるいは1である。末端付加がある場合などは、置換、欠失又は挿入されたアミノ酸残基の総数は、0であってもよい。
前記(47)の改変ニトリルヒドラターゼのβサブユニットにおいて、上記(1)〜(46)のいずれかのニトリルヒドラターゼのβサブユニットを基準とした場合に置換、欠失又は挿入されたアミノ酸残基の総数は、例えば、1〜20であり、あるいは1〜14であり、あるいは1〜8であり、あるいは1〜4であり、あるいは1〜2であり、あるいは1である。末端付加がある場合などは、置換、欠失又は挿入されたアミノ酸残基の総数は、0であってもよい。
前記(47)のニトリルヒドラターゼのαサブユニットにおいて、上記(1)〜(46)のいずれかのニトリルヒドラターゼのαサブユニットを基準とした場合に末端付加されたアミノ酸残基の数は、例えば、一末端あたり1〜60であり、あるいは1〜40であり、あるいは1〜20であり、あるいは1〜10であり、あるいは1〜5であり、あるいは1〜3であり、あるいは1である。付加されたアミノ酸残基の数は0であってもよい。
前記(47)のニトリルヒドラターゼのβサブユニットにおいて、上記(1)〜(46)のいずれかのニトリルヒドラターゼのβサブユニットを基準とした場合に末端付加されたアミノ酸残基の数は、例えば、一末端あたり1〜60であり、あるいは1〜40であり、あるいは1〜20であり、あるいは1〜10であり、あるいは1〜5であり、あるいは1〜3であり、あるいは1である。付加されたアミノ酸残基の数は0であってもよい。
前記(47)のニトリルヒドラターゼは、(1)〜(46)のいずれかのニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列と比較した場合に、上記アミノ酸残基置換群Bから選択される1つ以上のアミノ酸残基置換を含むものであってもよい。上記アミノ酸残基置換は2つ以上を組み合わせて含まれていてもよい。
上記において(47)のα/βサブユニットバリアントは、特定ニトリルヒドラターゼのα/βサブユニットのアミノ酸配列と比較してのアミノ酸の挿入やアミノ酸残基の欠失は有さず、アミノ酸残基の置換又は末端付加のみを有するものであってもよい。(47)のα/βサブユニットバリアント中におけるアミノ酸残基の位置については、前述と同様に、特定ニトリルヒドラターゼのα/βサブユニット中の指定されたアミノ酸残基とアラインメント上対応する位置を意味する。
本開示に係る変異型ニトリルヒドラターゼは、
上記ニトリルヒドラターゼ(1)〜(46)のいずれかのニトリルヒドラターゼである特定ニトリルヒドラターゼに対して、あるいは
特定ニトリルヒドラターゼのαサブユニットに対して70%以上の配列同一性を有する改変αサブユニット及び特定ニトリルヒドラターゼのβサブユニットに対して70%以上の配列同一性を有する改変βサブユニットを有するが特定ニトリルヒドラターゼ自体ではない改変ニトリルヒドラターゼに対して、
以下のアミノ酸残基置換のうち少なくとも1つを導入したもの(以下変異型ニトリルヒドラターゼCともいう)であってもよい:
前記特定ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのN末端から40番目のアミノ酸残基に対応するアミノ酸残基のAsnへの置換、
前記特定ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのN末端から43番目のアミノ酸残基に対応するアミノ酸残基のValへの置換、
前記特定ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのN末端から205番目のアミノ酸残基に対応するアミノ酸残基のValへの置換、
前記特定ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのN末端から206番目のアミノ酸残基に対応するアミノ酸残基のGlnへの置換、
前記特定ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのN末端から215番目のアミノ酸残基に対応するアミノ酸残基のAsnへの置換。
上記説明において、前記導入前のニトリルヒドラターゼが前記改変ニトリルヒドラターゼである場合、「特定ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのN末端からA番目のアミノ酸残基に対応するアミノ酸残基」とは、前記改変ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのアミノ酸配列を特定ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのアミノ酸配列に対してアラインメントしたときに、特定ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのアミノ酸配列のN末端からA番目のアミノ酸残基と対応する改変ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのアミノ酸配列上のアミノ酸残基を指し、同様に、「特定ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのN末端からA番目のアミノ酸残基に対応するアミノ酸残基」とは、前記改変ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列を特定ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列に対してアラインメントしたときに、特定ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列のN末端からA番目のアミノ酸残基と対応する改変ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列上のアミノ酸残基を指す。また、前記導入前のニトリルヒドラターゼが特定ニトリルヒドラターゼである場合、「特定ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのN末端からA番目のアミノ酸残基に対応するアミノ酸残基」とは、特定ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのN末端からA番目のアミノ酸残基を指し、「特定ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのN末端からA番目のアミノ酸残基に対応するアミノ酸残基」とは、特定ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのN末端からA番目のアミノ酸残基を指す。
上記改変ニトリルヒドラターゼにおいて、そのαサブユニットの、特定ニトリルヒドラターゼのαサブユニットに対する配列同一性は、80%以上でもよく、あるいは85%以上でもよく、あるいは90%以上でもよく、あるいは95%以上でもよく、あるいは96%以上でもよく、あるいは97%以上でもよく、あるいは98%以上でもよく、あるいは99%以上でもよい。同様に、そのβサブユニットの、上記特定ニトリルヒドラターゼのβサブユニットに対する配列同一性は、80%以上でもよく、あるいは85%以上でもよく、あるいは90%以上でもよく、あるいは95%以上でもよく、あるいは96%以上でもよく、あるいは97%以上でもよく、あるいは98%以上でもよく、あるいは99%以上でもよい。特に、上記改変ニトリルヒドラターゼにおいて、そのαサブユニットの、特定ニトリルヒドラターゼのαサブユニットに対する配列同一性は、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。同様に、上記改変ニトリルヒドラターゼにおいて、そのβサブユニットの、特定ニトリルヒドラターゼのβサブユニットに対する配列同一性は、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。改変ニトリルヒドラターゼと野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼとの間のアミノ酸配列の差異について説明した事項(配列改変の程度や例についての説明を含む)は、「野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼ」を特定ニトリルヒドラターゼと読み替えてそのまま適用できる。上記において改変ニトリルヒドラターゼのα/βサブユニットのアミノ酸配列は、特定ニトリルヒドラターゼのα/βサブユニットのアミノ酸配列と比較してのアミノ酸の挿入やアミノ酸残基の欠失は有さず、アミノ酸残基の置換又は末端付加のみを有するものであってもよい。また、改変ニトリルヒドラターゼは、もちろん、ニトリルヒドラターゼ活性を有するべきである。
上記変異型ニトリルヒドラターゼCが含みうるアミノ酸残基置換及びその組み合わせ、並びに前記特定ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのN末端から36番目に対応するアミノ酸残基については、前記変異型ニトリルヒドラターゼCは前記表Iに記載のアミノ酸残基の組み合わせa〜o、前記表IIに記載のアミノ酸残基の組み合わせp〜ai、前記表IIIに記載のアミノ酸残基の組み合わせaj〜ax、前記表IVに記載のアミノ酸残基の組み合わせay〜bd、及び前記表Vに記載のアミノ酸残基の組み合わせbeからなる群から選択されるアミノ酸残基の組み合わせを含んでいてもよい。つまり、特定ニトリルヒドラターゼ又は改変ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列に対して、このようなアミノ酸残基置換の組み合わせを導入しうる。
また、例えば、前記改変ニトリルヒドラターゼは、(1)〜(46)のいずれかのニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列と比較した場合に、上記アミノ酸残基置換群Bから選択される1つ以上のアミノ酸残基置換を含むものであってもよい。上記アミノ酸残基置換は2つ以上を組み合わせて含まれていてもよい。
なお、以上で説明した改変ニトリルヒドラターゼは、上記で特定されたαサブユニット又はそのN末端若しくはC末端若しくはその両方に付加配列を加えたポリペプチドと、上記で特定されたβサブユニット又はそのN末端若しくはC末端若しくはその両方に付加配列を加えたポリペプチドと、を有するニトリルヒドラターゼであってもよい。前記改変ニトリルヒドラターゼのαサブユニットにおいて、末端付加されたアミノ酸残基の数は、例えば、一末端あたり1〜60であり、あるいは1〜40であり、あるいは1〜20であり、あるいは1〜10であり、あるいは1〜5であり、あるいは1〜3であり、あるいは1である。付加されたアミノ酸残基の数は0であってもよい。前記改変ニトリルヒドラターゼのβサブユニットにおいて、末端付加されたアミノ酸残基の数は、例えば、一末端あたり1〜60であり、あるいは1〜40であり、あるいは1〜20であり、あるいは1〜10であり、あるいは1〜5であり、あるいは1〜3であり、あるいは1である。付加されたアミノ酸残基の数は0であってもよい。
改変ニトリルヒドラターゼのαサブユニットにおいて、付加、置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸配列(前記(a)及び(b)の置換されるアミノ酸残基を除く)を含む場合は、置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸残基の総数は1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。同様に、改変ニトリルヒドラターゼのβサブユニットにおいて、付加、置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸配列(前記(c)〜(e)の置換されるアミノ酸残基を除く)を含む場合は、置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸残基の総数は1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
本開示に係る変異型ニトリルヒドラターゼは、一般的に、上記のとおり規定されたαサブユニット2つと、上記のとおり規定されたβサブユニット2つとが会合して、機能するものである。
本開示に係る変異型ニトリルヒドラターゼは、従来のニトリルヒドラターゼ変異体と異なり、pH3.5〜6.5等の酸性条件下においても、ニトリル化合物からアミド化合物の合成反応に対して良好な酵素活性を示す。本開示に係る変異型ニトリルヒドラターゼが有する前記酸性条件下における酵素活性の安定性の向上は、pH5.0以下の領域で特に顕著である。そのため、前記変異型ニトリルヒドラターゼによれば、ニトリルヒドラターゼを利用した工業的なアミド化合物の製造プロセスにおいて、ニトリル化合物からアミド化合物を合成させる反応を進行させる反応工程だけでなく、pH3.5〜6.5等の酸性条件下で活性炭を用い、該溶液中に存在するタンパク質等の不純物を吸着除去して精製されたアミド化合物を得る精製工程においても、基質であるニトリル化合物をアミド化合物へ転換する該アミド化合物の合成反応を十分に進行させることが可能となる。そのため、前記変異型ニトリルヒドラターゼによれば、従来の酵素を用いる場合と比べて、工業的なアミド化合物の製造プロセスにおいて、目的の生成物であるアミド化合物の製造効率を飛躍的に向上させることが可能である。前記酸性条件は、不要な蛋白質のより効率的な除去のために5.0以下のpH、例えばpH3.5〜pH5.0で行ってもよい。
また、酸処理(例えばpH4.0、30℃、30時間の処理)を施した変異型ニトリルヒドラターゼの反応初速度の、酸処理を施していない変異型ニトリルヒドラターゼの反応初速度に対する比(酸処理後の反応初速度/酸処理前の反応初速度)の値は、酸処理を施
した野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼの反応初速度の、酸処理を施していない野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼの反応初速度に対する比(酸処理後の反応初速度/酸処理前の反応初速度)の値に対して、1.1倍以上の値を示していることが好ましい。
なお、上述した変異型ニトリルヒドラターゼまたは野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのpH安定性は、例えば、以下の方法で評価することができる。
反応条件として、基質であるアクリロニトリルを2.5%(v/v)含む、50mMトリス塩酸水溶液(pH8.0)で、反応温度20℃で15分から60分反応させる。反応終了後、生成したアクリルアミドを定量する。アクリルアミド量はHPLCによって分析することができる。また、酸処理は、例えば、pH4.0近辺で30℃、30時間処理することで行うことができる。具体的には、実施例におけるpH安定性の評価の欄に記載したやり方で評価できる。
例えば、ニトリルヒドラターゼを生産する形質転換体の培養終了液40μLを740μLの54mMトリス塩酸水溶液(pH8.0)に懸濁し、これに20μLのアクリロニトリルを添加して20℃で緩やかに攪拌しながら15分から60分間反応させ、反応終了後にHPLCを用いて反応液の分析を行い、生成したアミド化合物の量(P)を測定する(あるいは消費されたニトリル化合物の量から計算してもよい)。また、前記形質転換体の培養終了液1000μLを取り、遠心分離して回収した菌体に50mMクエン酸緩衝液(pH4.0)1000μLを加え、攪拌しながら30℃で30時間処理する(酸処理)。処理後、780μLを遠心分離して菌体を回収し、780μLの54mMトリス塩酸水溶液(pH8.0)に懸濁し、これに20μLのアクリロニトリルを添加して20℃で緩やかに攪拌しながら15分から60分間反応させ、反応終了後にHPLCを用いて反応液の分析を行い、生成したアミド化合物の量(Q)を測定する(あるいは消費されたニトリル化合物の量から計算してもよい)。反応及び分析はそれぞれの条件について3回以上行う。酸処理後のニトリルヒドラターゼにより得られたアミド化合物の量(Q)を酸処理前のニトリルヒドラターゼにより得られたアミド化合物の量(P)で除し、商(R)を求める。商Rを野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼについて、及び試験対象のニトリルヒドラターゼについてそれぞれ求め、試験対象のニトリルヒドラターゼにおけるRの値の、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼにおけるRに対する比(試験対象/野生型)を求める。この比が1.0を超えていれば、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼと比較してpH安定性が向上していることが示される。
本開示に係る変異型ニトリルヒドラターゼは、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼよりも上記によって求めたR値が高いものであり、変異型ニトリルヒドラターゼのR値は野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのR値の1.1倍以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましく、1.3倍以上であることがより好ましく、1.4倍以上であることがより好ましい。
また、前記変異型ニトリルヒドラターゼは、上述したように、ニトリル化合物からアミド化合物の合成反応に対し、従来の変異型ニトリルヒドラターゼと比べて幅広いpH領域において酵素活性を示すという点で、pH安定性に優れた酵素である。そして、上述した(a)〜(e)のアミノ酸残基置換がいずれもニトリルヒドラターゼの酵素活性のpH安定性を向上させる要因について、本発明者らが考察した結果、上述した(a)〜(e)のアミノ酸残基置換に関わるアミノ酸は、いずれも、酵素の基質ポケット近傍に存在しているものであることが判明した。上述した(a)〜(e)のアミノ酸残基置換のうち1つ以上を含むことにより、タンパク質の立体構造(フォールディング状態)が幅広いpH領域
において良好な状態に保持されていると考えられる。このため、上記(a)から(e)のアミノ酸残基置換は一群のアミノ酸残基置換であると考えられる(アミノ酸残基置換群A)。
また、前記変異型ニトリルヒドラターゼは、αサブユニットとβサブユニットが会合した2量体がその基本構造単位となっており、その2量体が更に会合して4量体を形成する。αサブユニットのN末端から111番目のアミノ酸残基であるシステイン残基がシステインスルフィン酸(Cys-SOOH)に、N末端から113番目のアミノ酸残基である
システイン残基がシステインスルフェン酸(Cys-SOH)にそれぞれ翻訳後修飾を受
け、この修飾アミノ酸残基を介してαサブユニットのポリペプチド鎖とコバルト原子が結合し、活性中心を形成するものである。
野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ(Pseudonocardia thermophila)由来のニトリルヒドラターゼを形質転換体内で大量に発現できるプラスミド及び同プラスミドにより形質転換された細胞株としては、MT−10822(受託番号FERM BP−5785として茨城県つくば市東1-1-1 独立行政法人産業技
術総合研究所特許生物寄託センターに平成8年2月7日より寄託されている)を使用することができる。また、改変ニトリルヒドラターゼは、通常の遺伝子操作技術を用いて得ることができる。タンパク質の立体構造は、一般に、アミノ酸配列の相同性が高い場合、該タンパク質を含む菌株の種属によらず、類似の構造を有する蓋然性が高いとされているため、アミノ酸残基置換(a)〜(e)のうち1つ以上の導入により得られる効果は、改変ニトリルヒドラターゼを含め、上記で規定されたシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼ一般に対して発揮される。そして、得られた変異型ニトリルヒドラターゼは、例えば、pH8.0における酵素活性に比したpH4.0における酵素活性により評価されるpH安定性が、アミノ酸残基置換(a)〜(e)のうち1つ以上の導入前に比して向上していてもよい。
また、前記変異型ニトリルヒドラターゼは、上記(a)〜(e)のアミノ酸残基置換のうち少なくとも1つを含むものである。前記変異型ニトリルヒドラターゼは、(a)〜(e)のアミノ酸残基置換を1つだけ含んでいてもよいし、2つ以上含んでいてもよい。例えば、2つの組み合わせの場合、(a)と(b)の組み合わせ、(a)と(c)の組み合わせ、(a)と(d)の組み合わせ、(a)と(e)の組み合わせ、(b)と(c)の組み合わせ、(b)と(d)の組み合わせ、(b)と(e)の組み合わせ、(c)と(d)の組み合わせ、(c)と(e)の組み合わせ、(d)と(e)の組み合わせ、及び(d)と(f)の組み合わせが挙げられる。
3つの組み合わせの場合、例えば、、(a)、(b)及び(c)の組み合わせ、(a)、(b)及び(d)の組み合わせ、(a)、(b)及び(e)の組み合わせ、(a)、(c)及び(d)の組み合わせ、(a)、(c)及び(e)の組み合わせ、(a)、(d)及び(e)の組み合わせ、(b)、(c)及び(d)の組み合わせ、(b)、(c)及び(e)の組み合わせ、(b)、(d)及び(e)の組み合わせ、並びに(c)、(d)及び(e)の組み合わせが挙げられる。
4つの組み合わせの場合、例えば、(a)、(b)、(c)及び(d)の組み合わせ、(a)、(b)、(c)及び(e)の組み合わせ、(a)、(b)、(d)及び(e)の組み合わせ、(a)、(c)、(d)及び(e)の組み合わせ、及び(b)、(c)、(d)及び(e)の組み合わせが挙げられる。
もちろん、(a)〜(e)は5つ組み合わせて置換しても構わない。
一実施形態においては、前記変異型ニトリルヒドラターゼは、上記(b)のアミノ酸残基置換、及びこれに加えて上記(a)及び(c)〜(e)のアミノ酸残基置換からなる群
のうち1つ以上のアミノ酸残基置換を含む。上記(b)のアミノ酸残基置換と共に含まれる上記(a)及び(c)〜(e)のアミノ酸残基置換からなる群のうち1つ以上のアミノ酸残基置換は、2つのアミノ酸残基置換であってもよく、3つのアミノ酸残基置換であってもよく、4つのアミノ酸残基置換(つまり、(a)及び(c)〜(e)の全て)であってもよい。また、この実施形態においては、前記変異型ニトリルヒドラターゼはさらに前記(f)のアミノ酸残基置換を有していてもよい。
そして、上述したとおり、(a)〜(e)のアミノ酸残基置換のうち少なくとも1つを導入する対象となる改変ニトリルヒドラターゼは、野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼ又は上述の(1)〜(5)の特定配列に対してアミノ酸の置換等の改変を含むものであってもよい。このため、変異型ニトリルヒドラターゼも、野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼ又は上述の(1)〜(5)の特定配列と比較して、上記(a)〜(e)のアミノ酸残基置換に加えて、上記(a)〜(e)のアミノ酸残基置換以外の位置のアミノ酸残基置換を含んでいてもかまわない。このように他のアミノ酸残基置換を含む変異型ニトリルヒドラターゼであっても、立体構造上特定の位置に位置するアミノ酸残基置換群Aによる効果は得ることができる。
一実施形態においては、本開示に係る変異型ニトリルヒドラターゼは、pH安定性の向上だけでなく、ニトリル化合物からアミド化合物を生成する反応の初速度においても向上を有するものである。つまり、(a)〜(e)のアミノ酸残基置換のうち少なくとも1つを野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼ又は改変ニトリルヒドラターゼに導入することにより、導入前の反応初速度よりも向上した反応初速度を示すニトリルヒドラターゼが得られる。反応初速度は、例えば、変異型ニトリルヒドラターゼを生産する形質転換体の培養終了液40μLを740μLの54mMトリス塩酸水溶液(pH8.0)に懸濁し、これに20μLのアクリロニトリルを添加して20℃で緩やかに攪拌しながら15分から60分間反応させ、反応終了後にHPLCを用いて反応液の分析を行うことにより求めることができる。また、本開示に係る変異型ニトリルヒドラターゼは、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼよりも高い反応初速度をpH8.0で示すことが好ましく、1.1倍以上高い反応初速度を示すことがより好ましく、1.2倍以上高い反応初速度を示すことがより好ましく、1.3倍以上高い反応初速度を示すことがより好ましく、1.4倍以上高い反応初速度を示すことがより好ましい。
前記変異型ニトリルヒドラターゼは、以下の手法で製造することができる。
例えば、前記変異型ニトリルヒドラターゼをコードするDNAを含む発現ベクターを用意し、この発現ベクターにより任意の宿主細胞を形質転換して形質転換体または細胞株を取得し、ついで、前記形質転換体や細胞株を培養して変異型ニトリルヒドラターゼを産生することができる。
ここで、野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子は、配列番号3に示されるヌクレオチド配列と、配列番号4に示されるヌクレオチド配列とからなる。なお。配列番号3に示されるヌクレオチド配列は、配列番号1からなるアミノ酸配列に対応し、配列番号4に示されるヌクレオチド配列は、配列番号2からなるアミノ酸配列に対応する。
そして、前記変異型ニトリルヒドラターゼをコードするDNAは、少なくとも、配列番号3で示されるヌクレオチド配列または配列番号4で示されるヌクレオチド配列における、上記(a)〜(e)のアミノ酸残基置換位置に対応するコドン(計5箇所)のうち1つ以上に下記のようなヌクレオチド置換を有しており、その他の位置においても改変ニトリルヒドラターゼに対応するヌクレオチド置換を有している。
具体的には、例えば、野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのN末端から40番目のアミノ酸残基であるAsp残基をAsnに置換した変異体を作製する場合、配列番号3で示されるヌクレオチド配列の5’末端から118〜120番目のヌクレオチドであるGACをAACまたはAATに置換したDNAを使用すればよい。
野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのN末端から43番目のアミノ酸残基であるAla残基をValに置換した変異体を作製する場合、配列番号3で示されるヌクレオチド配列の5’末端から127〜129番目のヌクレオチドであるGCCをGTT、GTC、GTAまたはGTGに置換したDNAを使用すればよい。
野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのN末端から205番目のアミノ酸残基であるGly残基をValに置換した変異体を作製する場合、配列番号4で示されるヌクレオチド配列の5’末端から613〜615番目のヌクレオチドであるGGGをGTT、GTC、GTAまたはGTGに置換したDNAを使用すればよい。
野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのβサブユニットのN末端から206番目のアミノ酸残基であるPro残基をGlnに置換されている変異体を作製する場合、配列番号4で示されるヌクレオチド配列の5’末端から616〜618番目のヌクレオチドであるCCGをCAAまたはCAGに置換したDNAを使用すればよい。
野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのN末端から215番目のアミノ酸残基であるTyr残基をAsnに置換した変異体を作製する場合、配列番号4で示されるヌクレオチド配列の5’末端から643〜645番目のヌクレオチドであるTACをAACまたはAATに置換したDNAを使用すればよい。
また、アミノ酸残基置換(f)に関しては、野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのN末端から36番目のアミノ酸残基であるThr残基をTrpに置換した変異体を作製する場合、配列番号3で示されるヌクレオチド配列の5’末端から106〜108番目のヌクレオチドであるACGをTGGに置換したDNAを使用すればよい。
前記発現ベクターは、変異型ニトリルヒドラターゼのαサブユニットをコードする遺伝子及び変異型ニトリルヒドラターゼのβサブユニットをコードする遺伝子を含み、また、各遺伝子の発現に必要な制御領域及び自律複製に必要な領域などの、形質転換体や細胞株による変異型ニトリルヒドラターゼの産生を可能にする要素を必要に応じて含む。発現ベクターが導入される宿主細胞は任意の細胞であってよいが、例えば大腸菌が挙げられる。
発現に必要な制御領域としては、プロモーター配列(転写を制御するオペレーター配列を含む。)、リボゾーム結合配列(SD配列)、転写終結配列等を挙げることができる。具体的なプロモーター配列の例としては、大腸菌由来のトリプトファンオペロンのtrpプロモーター、ラクトースオペロンのlacプロモーター、ラムダファージ由来のPLプロモーター及びPRプロモーター等が挙げられる。また、tacプロモーターやtrcプロモーターのように人為的に設計・改変された配列も利用できる。
リボゾーム結合配列としては、配列番号74に含まれる、TAAGGAGGTを有する配列が望ましく、これら制御領域の発現ベクター上での配列順序は、プロモーター配列とリボゾーム結合配列は変異型ニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子より5'末端側上
流に位置する事が望ましく、転写終結配列は変異型ニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子より3'末端側下流に位置する事が望ましい。また、その様な制御領域により変異型
ニトリルヒドラターゼのαサブユニット遺伝子及びβサブユニット遺伝子が各々独立のシストロンとして発現されてもよいし、共通の制御領域によりポリシストロンとして発現されてもよい。
以上の要件を満たしているベクターの例としては、大腸菌中での自律複製可能な領域を含んでいるpBR322、pUC18、pBluescript、pKK223−3、pSC101を挙げる事ができる。
このようなベクターに前記変異型ニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子を該変異型ニトリルヒドラターゼの活性の発現に必要な領域と共に挿入することにより、本開示に係る発現ベクターを構築する方法や、該発現ベクターを所望の宿主細胞に形質転換する方法、さらには該形質転換体内でニトリルヒドラターゼを産生させる方法等については、例えば「Molecular Cloning 3rd Edition」(J.Sambro
okら;Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001)等に記載されている分子生物学、生物工学、及び遺伝子工学の分野において公知の一般的な方法や宿主細胞を採用することができる。
上述した発現ベクターを所望の宿主細胞に形質転換して得られた形質転換体は、培地で培養することにより、前記発現ベクターが含むニトリルヒドラターゼ遺伝子に基づく変異型ニトリルヒドラターゼを生産することができる。宿主細胞が大腸菌の場合、前記形質転換体を培養する培地としてLB培地やM9培地などが一般的に用いられるが、より好ましくはそのような培地に成分としてFeイオン及びCoイオンを0.1μg/mL以上含ませた培地である。前記形質転換体を培地に植菌した後、適当な培養温度(一般的には、20℃〜50℃)で生育させればよい。
前記変異型ニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子を発現させて所望の酵素活性を有する変異型ニトリルヒドラターゼを生産する場合、ニトリルヒドラターゼの活性化に関与するタンパク質をコードする遺伝子も共に発現させてもよい。
このニトリルヒドラターゼの活性化に関与するタンパク質とは、該タンパク質の発現の有無が、ニトリルヒドラターゼの活性化を直接左右する性質を有しているタンパク質の事であり、特開平11−253168号公報に記載されるシュードノカルディア・サーモフィラ由来のニトリルヒドラターゼ活性化に関与するタンパク質(ニトリルヒドラターゼ活性化タンパク質)をその代表例として挙げる事が出来る。前記ニトリルヒドラターゼ活性化タンパク質の配列は配列番号75に示される。
<核酸>
本開示に係る核酸は、前記変異型ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有する。
前記変異型ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を合成する方法として、対応する野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼをコードするヌクレオチド配列に変異点を導入する方法や、変異点を含む全ヌクレオチド配列を化学的に合成する方法などが挙げられる。野生型のシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼをコードするヌクレオチド配列を鋳型として、遺伝子に変異を生じさせる方法としては、例えば、部位特異的変異法(Kramer,
W. and frita,H.J., Methods in Enzymology,v
ol.154,P.350(1987))、リコンビナントPCR法(PCR Tech
nology,Stockton Press(1989)、特定の部分のDNAを化学
合成する方法、遺伝子をヒドロキシアミン処理する方法、遺伝子を保有する菌株を紫外線照射する方法、ニトロソグアニジンや亜硝酸などの化学薬剤で処理する方法、市販の突然変異導入キットを使用する方法などが挙げられる。本開示に係る核酸はDNAであってもRNAであってもよい。
<ベクター>
本開示に係るベクターは、前記変異型ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列で示される核酸を含むベクターであれば特に限定されず、公知のベクターに前記変異型ニトリルヒドラターゼを導入したものが例として挙げられる。また、前記ベクターはファージベクターであってもプラスミドベクターであってもかまわない。
<発現ベクター>
本開示に係る発現ベクターは、前記変異型ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列で示される核酸を含む発現ベクターであれば特に限定されるものではないが、形質転換効率や翻訳効率を向上させるなどの観点より、以下に示すような構成を示すプラスミドベクターやファージベクターであることがより好ましい。
〔発現ベクターの基本構成〕
発現ベクターは、前記変異型ニトリルヒドラターゼをコードするヌクレオチド配列を含み、前記宿主細胞を形質転換しうるものであれば特に限定されない。必要に応じて、該ヌクレオチド配列の他に、他の領域を構成するヌクレオチド配列(以下、単に「他の領域」とも言う。)を含んでいてもよい。 他の領域としては、例えば、前記形質転換体が、前記変異型ニトリルヒドラターゼを産生するために必要とする制御領域や、自律複製に必要な領域などが挙げられる。
また、前記形質転換体の選択を容易にするという観点より、選択マーカーとなりうる選択遺伝子をコードするヌクレオチド配列をさらに含んでいてもよい。
前記変異型ニトリルヒドラターゼを産生するために必要となる制御領域としては、プロモーター配列(転写を制御するオペレーター配列を含む。)、リボゾーム結合配列(SD配列)、転写終結配列等を挙げることができる。
〔酵母を宿主細胞とした場合の発現ベクター〕
酵母を宿主細胞とした場合、発現ベクターとしては、前記変異型ニトリルヒドラターゼをコードするヌクレオチド配列の他に、プロモーター配列を含んでいることが好ましい。プロモーター配列としては、酵母を宿主細胞とする形質転換体中で前記変異型ニトリルヒドラターゼを発現できるものであればいずれを用いてもよい。
例えばアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH1)プロモーター、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK1)プロモーター、ペプチド鎖伸長因子(TEF)プロモーター、グリセロール3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)プロモーター、ガラクトキナーゼ(GAL1)プロモーター、メタロチオネイン(CUP1)プロモーター、抑制性酸性ホスファターゼ(PHO5)プロモーター、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーターなどのプロモーター配列が用いられる。
なお、上記プロモーター配列の由来は宿主細胞となる酵母に限定されない。
サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターなどのように、外来のプロモーターを用いてもよい。これらは用いる酵素の由来や種類によって適宜選択することができる。
また、前記発現ベクターは、分泌シグナルを含んでいてもよい。これにより、形質転換
体が前記変異型ニトリルヒドラターゼを産生した場合、細胞外に前記変異型ニトリルヒドラターゼを分泌することが可能となる。
分泌シグナルとしては、宿主細胞となる酵母から前記変異型ニトリルヒドラターゼを分泌できるものであれば、特に限定されない。分泌効率の観点より、αファクターシグナル配列、インベルターゼシグナル配列、酸ホスファターシグナル配列、グルコアミラーゼシグナル配列などを用いることが好ましい。
以上のようなプロモーター配列や分泌シグナルを含む発現ベクターとしては、具体的にはpRS423、pRS424、YEplac195等が挙げられる。
〔糸状菌を宿主細胞とした場合の発現ベクター〕
糸状菌を宿主細胞とした場合、発現ベクターとしては、前記変異型ニトリルヒドラターゼをコードするヌクレオチド配列の他に、プロモーター配列を含んでいることが好ましい。プロモーター配列としては、糸状菌を宿主細胞とする形質転換体中で前記変異型ニトリルヒドラターゼを発現できるものであればいずれを用いてもよい。
糸状菌に対して適切な発現ベクターは、van den Hondel,C.A.M.
J.J.et al.(1991)In:Bennett,J.W.and Lasure, L.L.(eds.)More gene Manipulations in
Fungi.Academic Press,pp.396−428に記載されている。
また、pUC18、pBR322,pUC100、pSL1180(ファルマシア・インク社製)、pFB6及びアスペルギルス(Aspergillus)pRAX、トリコデルマ(Trichoderma)pTEX等のような一般的に用いられる他の発現ベクターを用いることもできる。
〔原核生物を宿主細胞とした場合の発現ベクター〕
大腸菌、枯草菌、放線菌などの原核生物を宿主細胞とする場合、発現ベクターは、前記変異型ニトリルヒドラターゼをコードするヌクレオチド配列の他に、プロモーター配列を含んでいることが好ましい。また、プロモーター配列の他にリボゾーム結合配列や転写終結配列等を含んでいてもよい。
プロモーター配列の例としては、大腸菌由来のトリプトファンオペロンのtrpプロモーター、ラクトースオペロンのlacプロモーター、ラムダファージ由来のPLプロモーター及びPRプロモーターや、枯草菌由来のグルコン酸合成酵素プロモーター(gnt)、アルカリプロテアーゼプロモーター(apr)、中性プロテアーゼプロモーター(npr)、α−アミラーゼプロモーター(amy)等が挙げられる。
また、tacプロモーターのように独自に改変又は設計されたプロモーター配列も利用できる。
リボゾーム結合配列としては、大腸菌由来または枯草菌由来の配列が挙げられるが、大腸菌や枯草菌等の所望の宿主細胞内で機能する配列であれば特に限定されるものではない。
前記リボゾーム結合配列としては、例えば、16SリボゾームRNAの3’末端領域に相補的な配列のうち、4ヌクレオチド以上連続したコンセンサス配列をDNA合成により作成した配列などが挙げられる。
転写終結配列は必ずしも必要ではないが、ρ因子非依存性のもの、例えばリポプロテインターミネーター、trpオペロンターミネーター等が利用できる。
これら制御領域の発現ベクター上での配列順序は、特に制限されるものではないが、転写効率を考慮すると5’末端側上流からプロモーター配列、リボゾーム結合配列、目的蛋
白質をコードする遺伝子、転写終結配列の順に並ぶことが望ましい。
ここでいう発現ベクターの具体例としては、大腸菌中での自律複製可能な領域を含んでいるpBR322、pUC18、Bluescript II SK(+)、pKK223−3、pSC101や、枯草菌中での自律複製可能な領域を含んでいるpUB110、pTZ4、pC194、ρ11、φ1、φ105等を発現ベクターとして利用することができる。
また、2種類以上の宿主内での自律複製が可能な発現ベクターの例として、pHV14、TRp7、YEp7及びpBS7等を発現ベクターとして利用することができる。
〔形質転換体の作製方法〕
本開示に係る形質転換体は、公知の方法により作製することができる。例えば、本開示に係る変異型ニトリルヒドラターゼをコードするヌクレオチド配列と、必要に応じて前記他の領域とを含む前記発現ベクターを構築し、該発現ベクターを所望の宿主細胞に形質転換する方法等が挙げられる。具体的には、Sambrook,J.,et.al.,”Molecular Cloning A Laboratory Manual, 3rd Edition”,Cold Spring Harbor Laboratory
Press,(2001)等に記載されている分子生物学、生物工学及び遺伝子工学の分野において公知の一般的な方法を利用することができる。
本開示に係る形質転換体は、前記宿主細胞に前記発現ベクターを組み込むだけではなく、必要に応じて前記宿主細胞での使用頻度の低いコドンを、使用頻度の高いコドンにするように、サイレント変異を導入すること等を併せて行い作製することもできる。
これにより、発現ベクターに組み込んだ前記変異型ニトリルヒドラターゼ由来のタンパク質の生産量を増加させることができる可能性がある。
サイレント変異の導入に関し、宿主細胞でのコドン使用頻度に合わせて発現ベクター上にある該ニトリルヒドラターゼ遺伝子および該ニトリルヒドラターゼ遺伝子を細胞外に分泌させるためのシグナル配列のコドンを調整する方法であれば、サイレント変異導入の手法、変異点、変更するヌクレオチドの種類等は特に制限されない。
<変異型ニトリルヒドラターゼの製造方法>
本開示に係る変異型ニトリルヒドラターゼの製造方法は、前記形質転換体を培地中で培養すること、及び培養された形質転換体及び培地のうち少なくとも一方から、前記変異型ニトリルヒドラターゼを回収することを含む。
〔形質転換体の培養方法〕
前記発現ベクターで形質転換して得られた形質転換体の培養の条件は、形質転換前の宿主細胞の培養条件と同様であり、公知の条件を用いることができる。
培地としては炭素源、窒素源、無機物及びその他の栄養素を適量含有する培地ならば合成培地または天然培地のいずれでも使用可能である。培地に使用する成分としては、公知のものを用いることができる。例えば、肉エキス、酵母エキス、麦芽エキス、ペプトン、NZアミン及びジャガイモ等の有機栄養源、グルコース、マルトース、しょ糖、デンプン及び有機酸等の炭素源、硫酸アンモニウム、尿素及び塩化アンモニウム等の窒素源、リン酸塩、マグネシウム、カリウム及び鉄等の無機栄養源、ビタミン類を適宜組み合わせて使用できる。
なお、前記選択マーカーを含む発現ベクターにより形質転換した形質転換体の培養においては、例えば、前記選択マーカーが薬剤耐性である場合には、それに対応する薬剤を含む培地を使用し、前記選択マーカーが栄養要求性である場合には、それに対応する栄養素を含まない培地を使用する。培地のpHは、pH4〜pH8の範囲で選べばよい。
培養は前記培地を含有する液体培地中で、前記形質転換体を振とう培養、通気攪拌培養
、連続培養、流加培養などの通常の培養方法を用いて行なうことができる。
培養条件は、前記形質転換体、培地、培養方法の種類により適宜選択すればよく、形質転換体が生育し、本開示に係る変異型ニトリルヒドラターゼを産生できる条件であれば特に制限はない。
培養温度は20℃〜45℃、好ましくは24℃〜37℃で好気的に培養を行う。
培養期間は1日間〜7日間の範囲で目的の変異型ニトリルヒドラターゼ活性を有する蛋白質の含量が最大になるまで培養すればよい。
変異型ニトリルヒドラターゼ回収工程
変異型ニトリルヒドラターゼ回収工程は、培養された形質転換体及び培養後の培地のうち少なくともいずれか一方から、前記変異型ニトリルヒドラターゼを回収する工程である。
形質転換した形質転換体を培養した後、本開示に係る前記変異型ニトリルヒドラターゼを回収する方法は、この分野で慣用されている方法を使用することができる。
本開示に係る前記変異型ニトリルヒドラターゼが形質転換した形質転換体外に分泌される場合は、該形質転換体の培養物を遠心分離、ろ過等を行うことで粗酵素液を容易に得ることができる。また、本開示に係る前記変異型ニトリルヒドラターゼが形質転換した形質転換体内に蓄積される場合は、培養した該形質転換体を遠心分離等の手段により回収し、回収した該形質転換体を緩衝液に懸濁し、リゾチーム処理、凍結融解、超音波破砕などの公知の方法に従い該形質転換体の細胞膜を破壊することにより、粗酵素液を回収すればよい。
前記粗酵素液を、限外ろ過法などにより濃縮し、防腐剤などを加えて濃縮酵素として利用することが可能である。また、濃縮した後、スプレードライ法などによって前記変異型ニトリルヒドラターゼの粉末酵素を得ることもできる。
回収されたニトリルヒドラターゼ活性を有する粗酵素液について、分離精製を必要とする場合は、例えば、硫酸アンモニウムなどによる塩析、アルコールなどによる有機溶媒沈殿法、透析及び限外ろ過などによる膜分離法、あるいはイオン交換体クロマトグラフィー、逆相高速クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーなどの公知のクロマト分離法を適宜組み合わせて行うことができる。
本開示に係るアミド化合物の製造方法は、前記変異型ニトリルヒドラターゼをニトリル化合物に接触させることを含む。前記変異型ニトリルヒドラターゼは、ニトリル化合物からアミド化合物を合成する反応を触媒する。アミド化合物の製造方法を、以下により具体的に説明する。
まず、前記変異型ニトリルヒドラターゼを産生する形質転換体や細胞株を培養し、得られる培養液、細胞または細胞処理物を媒体中にてニトリル化合物と接触させる。これにより前記変異型ニトリルヒドラターゼはニトリル化合物と接触し、前記変異型ニトリルヒドラターゼは、ニトリル化合物を対応するアミド化合物へと変換する。ここでいう細胞処理物とは、該形質転換体からの抽出物や磨砕物、これらの抽出物や磨砕物のニトリルヒドラターゼ活性画分を分離して得られる粗酵素調製物や更に精製して得られる酵素精製物などの後分離物、該形質転換体や該形質転換体の抽出物、磨砕物または後分離物を適当な手段を用いて固定化した固定化物の事を示している。
上述した接触させる温度は、好ましくは、前記変異型ニトリルヒドラターゼが失活しない温度範囲内であり、より好ましくは、0℃〜60℃、より好ましくは15℃〜35℃である。例えば、前記変異型ニトリルヒドラターゼを産生する形質転換体や細胞株を培養した培養液を、ニトリル化合物を含む水溶液中にそのまま添加してもよく、あるいは培養液を遠心処理して菌体を分離し、菌体をニトリル化合物を含む水溶液に添加してもよい。反
応時における水溶液のpHは7〜9であることが好ましく、7.5〜8.5であることがより好ましい。ニトリル化合物は水溶液中に、例えば0.25体積%〜20.0体積%、より好ましくは2.0体積%〜5.0体積%の濃度で存在してもよい。形質転換体の培養についての詳細は、変異型ニトリルヒドラターゼの製造方法の項で述べたとおりである。
上述したニトリル化合物の具体例としては、前記変異型ニトリルヒドラターゼが基質として作用できる化合物であれば特に限定されないが、好ましくは、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、n−ブチロニトリル、イソブチロニトリル、クロトノニトリル、α−ヒドロキシイソブチロニトリル等といった炭素数2〜4のニトリル化合物がその代表例として挙げられる。ニトリル化合物中のニトリル基が水和によりアミド基に変換されるため、例えば、アクリロニトリルはアクリルアミドに変換できる。
次に、前記変異型ニトリルヒドラターゼを失活させることなく、媒体中に活性炭を添加することにより、前記変異型ニトリルヒドラターゼを触媒として用いたニトリル化合物からアミド化合物の合成反応を終了させずに、生成したアミド化合物を精製する。
なお、前記変異型ニトリルヒドラターゼとの接触によりニトリル化合物からアミド化合物を製造する反応は、ニトリルヒドラターゼの至適pHに合わせて、例えばpH7〜9といった中性〜塩基性の条件で行う。pHは例えばアンモニアや水酸化ナトリウムといった塩基性物質を緩衝液中で必要に応じて用いることで調節できる。一方、アミド化合物の精製は、例えばpH3.5〜6.5といった酸性条件下で行うことが好ましい。これはアミド化合物含有液中に含まれる不純物、特に蛋白質を、効率的に除去するためである。酸性pHへの変更は、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、吉草酸、塩酸、アクリル酸、メタクリル酸等の酸を用いることで行うことができる。このように、前記アミド化合物の製造方法は、pH3.5〜6.5の条件で、生成したアミド化合物を含む溶液から不純物を除去する精製工程を含むことが好ましい。この工程では不純物の除去のために活性炭を用いることが好ましい。つまり、一実施形態においては、本開示に係るアミド化合物の製造方法は、さらに、アミド化合物を活性炭により精製することを含む。このため、前記変異型ニトリルヒドラターゼは、好ましくはpH3.5〜6.5の条件において、前記(a)〜(e)のアミノ酸残基置換のうちの少なくとも1つを導入する前よりも向上した酵素活性を有することが好ましい。前記pH条件は、不要な蛋白質のより効率的な除去のために5.0以下のpHで行ってもよい。
上記のとおり、本開示に係る変異型ニトリルヒドラターゼは、その向上したpH安定性により、ニトリル化合物からアミド化合物を製造するプロセス全体を通じての高い変換効率を達成することが可能である。以上、実施形態について述べたが、これらは例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下の実施例により実施形態を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって何等限定されるものではない。なお、以下の実施例において「変異箇所」とは、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有する野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼとのアミノ酸配列上の差異の位置を指す。
[比較例1]野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼの取得(1)
30mLの試験管に10mLのLB液体培地を調製し、121℃における20分間のオートクレーブにより該液体培地を滅菌した。この液体培地に対し、終濃度が100μg/mLとなるようにアンピシリンを添加した後、上記の細胞株MT−10822を一白金耳植菌し、37℃で300rpmにて約20時間培養した。その後、得られた培養液1mLを適当な遠心チューブに分取した後、遠心分離(15000rpm×5分)により該菌体を分離した。
続いてアルカリSDS抽出法により、分離して得られた菌体よりプラスミドpPT−DB1を調製した。調製したプラスミドを大腸菌HB101のコンピテントセル(東洋紡績社製)に形質転換し、形質転換体(1)を得た。形質転換体(1)は、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼであるニトリルヒドラターゼ(1)を産生する。
[比較例2]変異型ニトリルヒドラターゼの取得(2)
表14で示すような野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのαサブユニットのN末端から92番目のアミノ酸残基であるAspをGluに置換した変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(2)を取得するために、宝酒造社製の「LA PCR in vitro mutagenesis Kit」(以後、変異導入キットと呼ぶ)を用いた部位特異的な変異導入を行った。野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼ発現プラスミドpPT−DB1を鋳型としてPCR反応を行った。
PCR反応No.1は、配列番号5のプライマー及びM13プライマーM4(配列番号12に配列を記載)を各々50pmol含む全量50μLの系(組成は変異導入キットに記載の条件による)で、熱変性(98℃)15秒、アニーリング(55℃)30秒、伸長反応(72℃)120秒の条件を25サイクル繰り返す事により行った。
PCR反応No.2は、MUT4プライマー(配列番号14に配列を記載)及びM13プライマーRV(配列番号13に配列を記載)を各々50pmol含む全量50μLの系(組成は変異導入キットに記載の条件による)で、PCR反応No.1と同様の操作により行った。
PCR反応No.1及びNo.2の反応終了液各5μLを用いたアガロース電気泳動(アガロース濃度1.0重量%)によりDNA増幅産物の分析を行ったところ、増幅DNA産物の存在が確認できた。
Microcon100(宝酒造社製)を用いてそれぞれのPCR反応終了液より過剰なプライマー及びdNTPを除去した後、TEを加えて各々50μLの溶液を調製した。該TE溶液を各0.5μLずつ含む全量47.5μLのアニーリング溶液(組成は変異導入キットに記載の条件による)を調製し、熱変性処理(98℃)を10分間行った後、37℃まで60分間かけて一定の速度で冷却を行い、続いて37℃で15分間保持することによってアニーリング処理を行った。
アニーリング処理液にTaKaRa LA Taqを0.5μL加えて72℃で3分間加熱処理を行い、ヘテロ2本鎖を完成させた。
これにM13プライマーM4(配列番号12に配列を記載)及びM13プライマーRV(配列番号13に配列を記載)を各々50pmol加えて全量を50μLとした後、熱変性(98℃)15秒、アニーリング(55℃)30秒、伸長反応(72℃)120秒の条件を25サイクル繰り返すことによるPCR反応No.3を行った。
PCR反応No.3の反応終了液5μLを用いたアガロース電気泳動(シグマ社製タイプVII低融点アガロース使用;アガロース濃度0.8重量%)によりDNA増幅産物の分析を行ったところ、約2kbの増幅DNA産物の存在が確認できた。
続いて、アガロースゲルから約2KbのDNA断片のみを切り出し、該アガロース片(約0.1g)を細かく粉砕し1mLのTE溶液に懸濁後、55℃で1時間保温してアガロースを完全に融解させた。
この融解液に対してフェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈澱を行って該DNA断片を精製し、最終的に10μLのTEに溶解した。
精製した約2kbの増幅DNA断片を制限酵素EcoRI及びHindIIIにより切断した後、この制限酵素処理液に対してフェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈澱を行って該DNA断片を精製し、最終的に10μLのTEに溶解した。
同様に、EcoRI及びHindIIIによりニトリルヒドラターゼ発現プラスミドpPT−DB1を切断し、アガロースゲル電気泳動(シグマ社製タイプVII低融点アガロース使用;アガロース濃度0.7%)を行い、アガロースゲルから約2.7KbのDNA断片のみを切り出した。
切りだしたアガロース片(約0.1g)を細かく粉砕し1mLのTE溶液に懸濁後、55℃で1時間保温してアガロースを完全に融解させた。
この融解液に対してフェノール/クロロホルム抽出とエタノール沈澱を行って該DNA断片を精製し、最終的に10μLのTEに溶解した。
この様にして得られた約2kbと約2.7KbのDNA断片をDNAライゲーションキット(宝酒造社製)を用いて連結させた後、大腸菌HB101のコンピテントセル(東洋紡績社製)を形質転換し、形質転換体(2)を得た。また上記菌体からアルカリSDS抽出法によりプラスミドを調製し、DNAシーケンサーにてニトリルヒドラターゼ遺伝子部分のヌクレオチド配列を決定し、実施例1記載のプラスミドpPT−DB1に、αサブユニットのN末端から92番目のアミノ酸残基であるAspをGluとする変異を有していることを確認した。形質転換体(2)は、表14に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(2)を産生する。
〈pH安定性の比較〉
こうして得られた形質転換体(2)、及び、そのベースとなったpPT−DB1を含む形質転換体(1)を用いたアミド化合物の製造におけるpH安定性を以下の方法により比較した。これによりニトリルヒドラターゼ(2)のニトリルヒドラターゼ(1)と比較した相対的なpH安定性が評価できる。
試験管に40μg/mLの硫酸第二鉄・七水和物及び10μg/mLの塩化コバルト・二水和物を含む5mLのLB液体培地を調製し、121℃における20分間のオートクレーブにより滅菌した。
この培地に終濃度が100μg/mLとなるようにアンピシリンを添加した後、各形質転換体を一白金耳植菌し、37℃において200rpmにて約20時間其々培養した。
該培養終了液40μlを取り、740μLの54mMトリス塩酸水溶液(pH8.0)に懸濁し、これに20μLのアクリロニトリルを添加して20℃で緩やかに攪拌しながら15分から60分間反応させた。反応終了後、HPLCを用いて反応液の分析を行い、ニトリル化合物からアミド化合物を生成する酵素活性を求めた。反応及び分析は各形質転換体に対し3回以上行い、分注操作等でのデータのばらつきを補正した。
同様に、前記培養終了液1000μlを取り、遠心分離し回収した菌体に50mMクエン酸緩衝液(pH4.0)1000μlを加え、撹拌しながら30℃、30hr処理した(酸処理)。処理後、780μlを遠心分離し菌体を回収し、780μLの54mMトリス塩酸水溶液(pH8.0)に懸濁し、これに20μLのアクリロニトリルを添加して20℃で緩やかに攪拌しながら15分から60分間反応させた。反応終了後、HPLCを用いて反応液の分析を行い、ニトリル化合物からアミド化合物を生成する酵素活性を求めた。反応及び分析は各形質転換体に対し3回以上行い、分注操作等でのデータのばらつきを補正した。
〈分析条件〉
分析機器: 日本分光HPLC
カラム : YMC Pack ODS−A (150×6.00 mm)
分析温度: 40℃
移動相 : 3% アセトニトリル、10mM リン酸
50mMクエン酸緩衝液(pH4.0)で処理した菌体の活性と処理無しの菌体の酵素活性の比を取りpH安定性とした。形質転換体(2)のpH安定性は野生型(1)と比較し0.82倍であった。
上記の結果は、ニトリルヒドラターゼの至適条件下で反応初速度を上昇させると考えられている変異であっても(国際公開第2010/055666号参照)、pH安定性の向上は必ずしももたらされないことを示している。
[実施例1] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(3)
表14で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(3)を取得するために、配列番号5のプライマーに代えて配列番号7のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にしてプラスミドを得て、形質転換体(3)を得た。形質転換体(3)は、表14に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(3)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(3)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表14に示す。
[実施例2] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(4)
表14で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(4)を取得するために、配列番号5のプライマーに代えて配列番号8のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にしてプラスミドを得て、形質転換体(4)を得た。形質転換体(4)は、表14に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(4)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(4)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表14に示す。
[実施例3] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(5)
表14で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(5)を取得するために、配列番号5のプライマーに代えて配列番号9のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にしてプラスミドを得て、形質転換体(5)を得た。形質転換体(5)は、表14に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(5)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(5)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表14に示す。
[実施例4] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(6)
表14で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(6)を取得するために、配列番号5のプライマーに代えて配列番号10のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にしてプラスミドを得て、形質転換体(6)を得た。形質転換体(6)は、表14に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(6)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(6)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表14に示す。
[実施例5] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(7)
表14で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(7)を取得するために、配列番号5のプライマーに代えて配列番号11のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にしてプラスミドを得て、形質転換体(7)を得た。形質転換体(7)は、表14に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(7)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(7)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表14に示す。
表14に示された結果から、アミノ酸残基置換群Aに属する各アミノ酸残基置換は、単独で、ニトリルヒドラターゼのpH安定性の向上をもたらすことが分かる。一方、アミノ酸残基置換群Aに属しない、αサブユニットにおけるN末端から92番目のAsp残基のGluへの置換は、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼと比較してのpH安定性の向上をもたらさなかった。
[実施例6] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(8)
表15で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(8)を取得するために、実施例1のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号6のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にして形質転換体(8)を得た。形質転換体(8)は、表15に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(8)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(8)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表15に示す。
[実施例7] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(9)
表15で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(9)を取得するために、実施例2のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号6のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にして形質転換体(9)を得た。形質転換体(9)は、表15に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(9)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(9)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表15に示す。
[実施例8] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(10)
表15で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(10)を取得するために、実施例3のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号6のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にして形質転換体(10)を得た。形質転換体(10)は、表15に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(10)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(10)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表15に示す。
[実施例9] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(11)
表15で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する
形質転換体(11)を取得するために、実施例4のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号6のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にして形質転換体(11)を得た。形質転換体(11)は、表15に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(11)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(11)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表15に示す。
[実施例10] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(12)
表15で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(12)を取得するために、実施例5のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号6のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にして形質転換体(12)を得た。形質転換体(12)は、表15に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(12)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(12)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表15に示す。
[実施例11] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(13)
表15で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(13)を取得するために、実施例1のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号8のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にして形質転換体(13)を得た。形質転換体(13)は、表15に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(13)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(13)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表15に示す。
[実施例12] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(14)
表15で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(14)を取得するために、実施例1のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号9のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にして形質転換体(14)を得た。形質転換体(14)は、表15に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(14)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(14)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表15に示す。
[実施例13] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(15)
表15で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(15)を取得するために、実施例2のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号9のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にして形質転換体(15)を得た。形質転換体(15)は、表15に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(15)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(15)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表15に示す。
[実施例14] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(16)
表15で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(16)を取得するために、実施例2のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号10のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にして形質転換体(16)を得た。形質転換体(16)は、表15に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(16)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(16)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方
法で評価した。得られた結果を表15に示す。
[実施例15] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(17)
表15で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(17)を取得するために、実施例2のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号11のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にして形質転換体(17)を得た。形質転換体(17)は、表15に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(17)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(17)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表15に示す。
[実施例16] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(18)
表15で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(18)を取得するために、比較例1のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号15のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にして形質転換体(18)を得た。形質転換体(18)は、表15に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(18)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(18)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表15に示す。
[実施例17] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(19)
表15で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(19)を取得するために、実施例3のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号11のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にして形質転換体(19)を得た。形質転換体(19)は、表15に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(19)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(19)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表15に示す。
[実施例18] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(20)
表15で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(20)を取得するために、実施例4のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号11のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にして形質転換体(20)を得た。形質転換体(20)は、表15に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(20)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(20)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表15に示す。
表15に示された結果から、アミノ酸残基置換群Aに属する各アミノ酸残基置換は、互いに組み合わせても、ニトリルヒドラターゼのpH安定性の向上をもたらすことが分かる。また、アミノ酸残基置換群Aに属するアミノ酸残基置換を互いに組み合わせた場合、あるいはアミノ酸残基置換(f)と組み合わせた場合には、そのpH安定性がより向上する傾向があることが分かる。
[実施例19] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(21)
表16で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(21)を取得するために、実施例7のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号9のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にして形質転換体(21)を得た。形質転換体(21)は、表16に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(21)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(21)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表16に示す。
[実施例20] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(22)
表16で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(22)を取得するために、実施例11のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号9のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にして、形質転換体(22)を得た。形質転換体(22)は、表16に記載の変異を有す
るニトリルヒドラターゼ(22)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(22)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表16に示す。
[実施例21] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(23)
表16で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(23)を取得するために、実施例7のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号11のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にして、形質転換体(23)を得た。形質転換体(23)は、表16に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(23)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(23)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表16に示す。
表16に示された結果から、アミノ酸残基置換群Aに属する各アミノ酸残基置換は、2つ以上組み合わせても、またさらにアミノ酸残基置換(f)と組み合わせても、ニトリルヒドラターゼのpH安定性の向上をもたらすことが分かる。また、安定化の程度は組み合わせにより向上する傾向があることが分かる。
[実施例22] 変異型ニトリルヒドラターゼの取得(24)
表17で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(24)を取得するために、実施例7のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号15のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にして形質転換体(24)を得た。形質転換体(24)は、表17に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(24)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(24)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表17に示す。
表17に示された結果から、アミノ酸残基置換群Aに属する各アミノ酸残基置換は、3
つ以上組み合わせても、ニトリルヒドラターゼのpH安定性の向上をもたらすことが分かる。また、その向上の程度は一段と高い傾向がある。
[実施例23] 変異型ニトリルヒドラターゼの反応初速度
野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼ及び表18で示すアミノ酸残基置換を有するニトリルヒドラターゼの反応初速度を、「pH安定性の比較」に記載の酸処理前のアミド化合物生成の測定における反応初速度を測定することで調べた結果を表18に示す。反応初速度の値は、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼにおける反応初速度の値に対する相対値で示す。
表18に示された結果から、アミノ酸残基置換群Aに属するアミノ酸残基置換は、ニトリルヒドラターゼの反応初速度の向上ももたらすことが分かる。
[比較例3] ニトリルヒドラターゼ変異体の取得(25)
表19で示すようなアミノ酸置換位置で変異させたニトリルヒドラターゼ変異体を含むプラスミド(日本国特許第5551081号形質転換体番号92参照)を用いて、比較例2に記載の形質転換と同様の方法によって形質転換体(25)を得た。形質転換体(25)は、表19に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(25)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(25)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表19に示す。
[実施例24] ニトリルヒドラターゼ変異体の取得(26)
表19で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(26)を取得するために、比較例3のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号8のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にしてプラスミドを得て、形質転換体(26)を得た。形質転換体(26)は、表19に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(26)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(26)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表19に示す。
表19に示された結果から、アミノ酸残基置換群Aに属するアミノ酸残基置換は、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのpH安定性を向上させるだけではなく、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼからの改変アミノ酸配列を有するニトリルヒドラターゼのpH安定性の向上ももたらすことが分かる。
[実施例25] ニトリルヒドラターゼ変異体の反応初速度
表20で示すようなアミノ酸置換位置で変異させたニトリルヒドラターゼ変異体の反応初速度を、「pH安定性の比較」に記載の酸処理前のアミド化合物生成の測定における反応初速度を測定することで調べた結果を表20に示す。反応初速度の値は、ニトリルヒドラターゼ(25)における反応初速度の値に対する相対値で示す。
表20に示された結果から、アミノ酸残基置換群Aに属するアミノ酸残基置換は、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼの反応初速度を向上させるだけではなく、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼからの改変アミノ酸配列を有するニトリルヒドラターゼの反応初速度の向上ももたらすことが分かる。
[比較例4] ニトリルヒドラターゼ変異体の取得(27)
表21で示すようなアミノ酸置換位置で変異させたニトリルヒドラターゼ変異体を含むプラスミド(日本国特許第5551081号形質転換体番号114参照)を用いて、比較例2に記載の形質転換と同様の方法によって形質転換体(27)を得た。形質転換体(27)は、表21に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(27)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(27)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表21に示す。
[実施例26] ニトリルヒドラターゼ変異体の取得(28)
表21で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(28)を取得するために、比較例4のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号8のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にしてプラスミドを得て、形質転換体(28)を得た。形質転換体(28)は、表21に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(28)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(28)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表21に示す。
表21に示された結果から、アミノ酸残基置換群Aに属するアミノ酸残基置換は、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのpH安定性を向上させるだけではなく、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼからの改変アミノ酸配列を有するニトリルヒドラターゼのpH安定性の向上ももたらすことが分かる。
[実施例27] ニトリルヒドラターゼ変異体の反応初速度
表21で示すようなアミノ酸置換位置で変異させたニトリルヒドラターゼ変異体の反応初速度を、「pH安定性の比較」に記載の酸処理前のアミド化合物生成の測定における反応初速度を測定することで調べた結果を表22に示す。反応初速度の値は、ニトリルヒドラターゼ(27)における反応初速度の値に対する相対値で示す。
表22に示された結果から、アミノ酸残基置換群Aに属するアミノ酸残基置換は、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼの反応初速度を向上させるだけではなく、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼからの改変アミノ酸配列を有するニトリルヒドラターゼの反応初速度の向上ももたらすことが分かる。
[比較例5] ニトリルヒドラターゼ変異体の取得(29)
表23で示すようなアミノ酸置換位置で変異させたニトリルヒドラターゼ変異体を含むプラスミド(特許第5551081号形質転換体番号33参照)を用いて、比較例2に記載の形質転換と同様の方法によって形質転換体(29)を得た。形質転換体(29)は、表23に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(29)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(29)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表23に示す。
[実施例28] ニトリルヒドラターゼ変異体の取得(30)
表23で示すようなアミノ酸残基置換を有する変異型ニトリルヒドラターゼを発現する形質転換体(30)を取得するために、比較例5のプラスミドを鋳型として用い、配列番号5のプライマーに代えて配列番号8のプライマーを用いること以外は比較例2と同様にしてプラスミドを得て、形質転換体(30)を得た。形質転換体(30)は、表23に記載の変異を有するニトリルヒドラターゼ(30)を産生する。
ニトリルヒドラターゼ(30)のpH安定性を上記「pH安定性の比較」に記載した方法で評価した。得られた結果を表23に示す。
表23に示された結果から、アミノ酸残基置換群Aに属するアミノ酸残基置換は、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼのpH安定性を向上させるだけではなく、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼからの改変アミノ酸配列を有するニトリルヒドラターゼのpH安定性の向上ももたらすことが分かる。
[実施例29] ニトリルヒドラターゼ変異体の反応初速度
表23で示すようなアミノ酸置換位置で変異させたニトリルヒドラターゼ変異体の反応初速度を、「pH安定性の比較」に記載の酸処理前のアミド化合物生成の測定における反応初速度を測定することで調べた結果を表24に示す。反応初速度の値は、ニトリルヒドラターゼ(29)における反応初速度の値に対する相対値で示す。
表24に示された結果から、アミノ酸残基置換群Aに属するアミノ酸残基置換は、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼの反応初速度を向上させるだけではなく、野生型シュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼからの改変アミノ酸配列を有するニトリルヒドラターゼの反応初速度の向上ももたらすことが分かる。
2016年12月28日に出願された日本国特許出願2016-256050号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (17)

  1. αサブユニットとβサブユニットとを有するシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼにおいて、下記のアミノ酸残基置換(a)〜(e)からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基置換を含む、変異型ニトリルヒドラターゼ、
    (a)αサブユニットのN末端から40番目のアミノ酸残基のAsnへの置換、
    (b)αサブユニットのN末端から43番目のアミノ酸残基のValへの置換、
    (c)βサブユニットのN末端から205番目のアミノ酸残基のValへの置換、
    (d)βサブユニットのN末端から206番目のアミノ酸残基のGlnへの置換、
    (e)βサブユニットのN末端から215番目のアミノ酸残基のAsnへの置換。
  2. アミノ酸残基置換(a)〜(e)からなる群から選ばれる2つ以上のアミノ酸残基置換を含む、請求項1に記載の変異型ニトリルヒドラターゼ。
  3. アミノ酸残基置換(b)と、アミノ酸残基置換(a)、(c)、(d)及び(e)からなる群から選択される少なくとも1つと、を含む、請求項1又は請求項2に記載の変異型ニトリルヒドラターゼ。
  4. αサブユニットのアミノ酸配列における、N末端から36番目のアミノ酸がTrpである、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の変異型ニトリルヒドラターゼ。
  5. αサブユニットのアミノ酸配列における、N末端から36番目のアミノ酸がMet、Ser、Gly又はAlaである、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の変異型ニトリルヒドラターゼ。
  6. αサブユニットのアミノ酸配列が、以下の(1)〜(13)のうち1つ以上を満たす、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の変異型ニトリルヒドラターゼ:
    (1)N末端から6番目のアミノ酸残基がThr又はAlaである、
    (2)N末端から13番目のアミノ酸残基がLeuである、
    (3)N末端から19番目のアミノ酸残基がValである、
    (4)N末端から27番目のアミノ酸残基がIleである、
    (5)N末端から48番目のアミノ酸残基がGlnである、
    (6)N末端から71番目のアミノ酸残基がHisである、
    (7)N末端から92番目のアミノ酸残基がGluである、
    (8)N末端から94番目のアミノ酸残基がIleである、
    (9)N末端から126番目のアミノ酸残基がTyrである、
    (10)N末端から148番目のアミノ酸残基がAspである、
    (11)N末端から188番目のアミノ酸残基がGlyである、
    (12)N末端から197番目のアミノ酸残基がCysである、
    (13)N末端から204番目のアミノ酸残基がArgである。
  7. βサブユニットのアミノ酸配列が、以下の(15)〜(47)のうち少なくとも1つを満たす、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の変異型ニトリルヒドラターゼ:
    (15)N末端から4番目のアミノ酸残基がMetである、
    (16)N末端から8番目のアミノ酸残基がAlaである、
    (17)N末端から10番目のアミノ酸残基がAspである、
    (18)N末端から24番目のアミノ酸残基がIleである、
    (19)N末端から33番目のアミノ酸残基がVal又はMetである、
    (20)N末端から37番目のアミノ酸残基がVal又はLeuである、
    (21)N末端から40番目のアミノ酸残基がIle、Val又はLeuである、
    (22)N末端から41番目のアミノ酸残基がIleである、
    (23)N末端から46番目のアミノ酸残基がLysである、
    (24)N末端から48番目のアミノ酸残基がValである、
    (25)N末端から51番目のアミノ酸残基がValである、
    (26)N末端から61番目のアミノ酸残基がVal、Gly、Trp、Ser、Leu又はThrである、
    (27)N末端から79番目のアミノ酸残基がAsnである、
    (28)N末端から96番目のアミノ酸残基がArgである、
    (29)N末端から107番目のアミノ酸残基がMetである、
    (30)N末端から108番目のアミノ酸残基がAsp又はArgである、
    (31)N末端から110番目のアミノ酸残基がAsnである、
    (32)N末端から112番目のアミノ酸残基がVal又はIleである、
    (33)N末端から118番目のアミノ酸残基がValである、
    (34)N末端から127番目のアミノ酸残基がSerである、
    (35)N末端から146番目のアミノ酸残基がGlyである、
    (36)N末端から150番目のアミノ酸残基がAsn又はSerである、
    (37)N末端から160番目のアミノ酸残基がCys、Trp又はMetである、
    (38)N末端から168番目のアミノ酸残基がGluである、
    (39)N末端から176番目のアミノ酸残基がAla、Thr、Met又はCysである、
    (40)N末端から186番目のアミノ酸残基がArgである、
    (41)N末端から200番目のアミノ酸残基がGluである、
    (42)N末端から212番目のアミノ酸残基がTyrである、
    (43)N末端から217番目のアミノ酸残基がVal、His、Met、Gly、Ser、Leu又はCysである、
    (44)N末端から218番目のアミノ酸残基がMet又はSerである、
    (45)N末端から226番目のアミノ酸残基がIleである、
    (46)N末端から230番目のアミノ酸残基がGluである、
    (47)N末端から231番目のアミノ酸残基がValである。
  8. 下記[1]〜[49]のいずれかのシュードノカルディア・サーモフィラ由来ニトリルヒドラターゼにおいて、前記(a)〜(e)からなる群から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基置換を含む、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の変異型ニトリルヒドラターゼ。
    [1]配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号2のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [2]配列番号16のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号33のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [3]配列番号17のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号33のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [4]配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号34のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [5]配列番号19のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号34のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [6]配列番号20のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号35のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [7]配列番号20のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号36のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [8]配列番号21のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号37のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [9]配列番号21のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号38のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [10]配列番号21のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号39のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [11]配列番号21のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号40のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [12]配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号41のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [13]配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号42のアミ
    ノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [14]配列番号21のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号43のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [15]配列番号22のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号44のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [16]配列番号23のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号45のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [17]配列番号24のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号46のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [18]配列番号25のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号47のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [19]配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号48のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [20]配列番号23のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号49のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [21]配列番号16のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号50のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [22]配列番号26のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号51のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [23]配列番号27のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号52のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [24]配列番号28のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号53のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [25]配列番号17のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号54のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [26]配列番号29のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号55のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [27]配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号56のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [28]配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号57のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [29]配列番号30のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号58のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [30]配列番号29のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号59のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [31]配列番号31のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号60のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [32]配列番号18のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号61のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [33]配列番号32のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号62のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [34]配列番号30のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号63のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [35]配列番号30のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号64のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [36]配列番号30のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号65のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [37]配列番号25のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号54のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [38]配列番号30のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号66のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [39]配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号67のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [40]配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号68のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [41]配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号69のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [42]配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号70のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [43]配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号71のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [44]配列番号21のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号72のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [45]配列番号1のアミノ酸配列を有するαサブユニットと、配列番号73のアミノ酸配列を有するβサブユニットと、を有するニトリルヒドラターゼ、
    [46]上記[1]〜[45]のニトリルヒドラターゼのうちいずれか1つにおけるαサブユニットのN末端から36番目のアミノ酸残基をTrp残基とした、ニトリルヒドラターゼ
    [47]上記[1]〜[46]のうちいずれか1つのニトリルヒドラターゼ(A)のαサブユニット又は該αサブユニットと90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるαサブユニットバリアントと、前記ニトリルヒドラターゼ(A)のβサブユニット又は該βサブユニットと90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるβサブユニットバリアントと、を有するニトリルヒドラターゼであって、αサブユニット及びβサブユニットのうち少なくとも一方はαサブユニットバリアント又はβサブユニットバリアントである、ニトリルヒドラターゼ
    [48]上記[1]〜[46]のうちいずれか1つのニトリルヒドラターゼ(B)におけるαサブユニットにおいて付加、置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸残基(前記(a)及び(b)の置換されるアミノ酸残基を除く)の総数が1〜10であり、かつ、前記ニトリルヒドラターゼ(B)におけるβサブユニットにおいて、付加、置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸残基(前記(c)〜(e)の置換されるアミノ酸残基を除く)の総数が1〜10であるニトリルヒドラターゼ
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の変異型ニトリルヒドラターゼをコードする核酸。
  10. 請求項9に記載の核酸を含むベクター。
  11. 発現ベクターである、請求項10に記載のベクター。
  12. 請求項11に記載の発現ベクターを含む形質転換体。
  13. 請求項12に記載の形質転換体を培地中で培養すること、並びに培養された形質転換体及び培地のうち少なくとも一方から、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の変異型ニトリルヒドラターゼを回収することを含む変異型ニトリルヒドラターゼの製造方法。
  14. 請求項13に記載の製造方法によって得られた変異型ニトリルヒドラターゼ。
  15. 請求項1〜請求項8及び請求項14のうちいずれか1項に記載の変異型ニトリルヒドラターゼをニトリル化合物に接触させることを含む、アミド化合物の製造方法。
  16. さらに、pH3.5〜pH6.5で、アミド化合物を含む溶液から不純物を除去することを含む、請求項15に記載のアミド化合物の製造方法。
  17. さらに、アミド化合物を活性炭により精製することを含む、請求項15または請求項16に記載のアミド化合物の製造方法。
JP2018559618A 2016-12-28 2017-12-27 変異型ニトリルヒドラターゼ、該変異型ニトリルヒドラターゼをコードする核酸、該核酸を含む発現ベクター及び形質転換体、該変異型ニトリルヒドラターゼの製造方法、並びにアミド化合物の製造方法 Active JP6757422B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016256050 2016-12-28
JP2016256050 2016-12-28
PCT/JP2017/047127 WO2018124247A1 (ja) 2016-12-28 2017-12-27 変異型ニトリルヒドラターゼ、該変異型ニトリルヒドラターゼをコードする核酸、該核酸を含む発現ベクター及び形質転換体、該変異型ニトリルヒドラターゼの製造方法、並びにアミド化合物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2018124247A1 true JPWO2018124247A1 (ja) 2019-10-31
JP6757422B2 JP6757422B2 (ja) 2020-09-16

Family

ID=62709396

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018559618A Active JP6757422B2 (ja) 2016-12-28 2017-12-27 変異型ニトリルヒドラターゼ、該変異型ニトリルヒドラターゼをコードする核酸、該核酸を含む発現ベクター及び形質転換体、該変異型ニトリルヒドラターゼの製造方法、並びにアミド化合物の製造方法

Country Status (9)

Country Link
US (1) US11098299B2 (ja)
EP (1) EP3564368A4 (ja)
JP (1) JP6757422B2 (ja)
KR (1) KR102324118B1 (ja)
CN (1) CN110139930B (ja)
AU (1) AU2017388945B2 (ja)
RU (1) RU2736086C1 (ja)
TW (1) TWI773716B (ja)
WO (1) WO2018124247A1 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020147031A1 (zh) * 2019-01-16 2020-07-23 江南大学 一种腈水合酶突变体、含该突变体的基因工程菌及其应用
CN109593750B (zh) * 2019-01-16 2020-01-21 江南大学 一种腈水合酶突变体、含该突变体的基因工程菌及其应用
CN110938616B (zh) * 2019-10-31 2021-01-29 江南大学 一种温泉热碱芽孢杆菌来源的腈水合酶的突变体
CN112322606B (zh) * 2020-11-20 2022-05-10 江南大学 一种腈水合酶突变体及其应用
CN113151233B (zh) * 2021-04-13 2022-08-12 浙江工业大学 腈水合酶赖氨酸突变体hba-k2h2、编码基因及应用
CN113151234B (zh) * 2021-04-13 2022-08-12 浙江工业大学 腈水合酶赖氨酸突变体hba-k2h2r、编码基因及应用
CN113122526B (zh) * 2021-04-14 2023-09-22 浙江工业大学 腈水合酶赖氨酸突变体hba-k1、编码基因及应用
CN114317507A (zh) * 2021-11-30 2022-04-12 清华大学 腈水合酶突变体及其应用
CN114277022B (zh) * 2021-12-03 2023-08-08 江南大学 一种高活性和高热稳定性的腈水合酶突变体
WO2024004661A1 (ja) * 2022-06-30 2024-01-04 三井化学株式会社 変異型ニトリルヒドラターゼ、該変異型ニトリルヒドラターゼをコードする核酸、該核酸を含むベクター及び形質転換体、該変異型ニトリルヒドラターゼの製造方法、並びにアミド化合物の製造方法

Family Cites Families (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1101470C (zh) 1996-02-14 2003-02-12 三井东压化学株式会社 新型腈水合酶
JP3380133B2 (ja) 1996-02-14 2003-02-24 三井化学株式会社 新規なニトリルヒドラターゼ
CN1340101A (zh) * 1999-10-26 2002-03-13 昭和电工株式会社 新型红球菌属细菌、源自于红球菌属细菌的腈水解酶基因、腈水合酶基因和酰胺酶基因,以及利用它们生产羧酸的方法
JP4959059B2 (ja) 2000-01-17 2012-06-20 三井化学株式会社 アミド化合物の精製方法
WO2001053253A1 (fr) 2000-01-17 2001-07-26 Mitsui Chemicals, Inc. Procede de purification d'un compose amide
JP2004194588A (ja) * 2002-12-19 2004-07-15 Mitsui Chemicals Inc 新規なニトリルヒドラターゼ
JP4216700B2 (ja) 2003-11-10 2009-01-28 三井化学株式会社 ニトリルヒドラターゼ活性を有する酵素の改変方法
DE102004013847A1 (de) * 2004-03-20 2005-10-06 Degussa Ag Cyanidtolerante Nitrilhydratasen
JP2005328787A (ja) * 2004-05-21 2005-12-02 Mitsubishi Rayon Co Ltd ニトリルヒドラターゼ活性を有する新規な微生物、ニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子及びアミド化合物の製造方法
TW200634151A (en) * 2004-12-09 2006-10-01 Asahi Chemical Ind Transformant expressing nitrile hydratase
JP4916709B2 (ja) 2005-11-24 2012-04-18 三菱レイヨン株式会社 改良型ニトリルヒドラターゼ
EP1842907A1 (en) * 2006-04-07 2007-10-10 B.R.A.I.N. Ag A group of novel enantioselective microbial nitrile hydratases with broad substrate specificity
JP5069032B2 (ja) 2007-04-04 2012-11-07 ダイヤニトリックス株式会社 改良型ニトリルヒドラターゼ
EP2363473B1 (en) * 2008-11-14 2018-01-10 Mitsui Chemicals, Inc. Nitrile hydratase variant
JP5492876B2 (ja) * 2009-04-30 2014-05-14 三井化学株式会社 3−メルカプトプロピオン酸またはその塩を製造する方法
JPWO2011145687A1 (ja) * 2010-05-21 2013-07-22 三井化学株式会社 不飽和結合を有するアミド化合物の安定化方法
AU2012264058B2 (en) * 2011-05-31 2015-10-22 Mitsubishi Chemical Corporation Improved nitrile hydratase
US9193966B2 (en) * 2011-06-07 2015-11-24 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Nitrile hydratase
KR101995103B1 (ko) * 2014-06-06 2019-07-03 미쯔비시 케미컬 주식회사 개량형 니트릴 히드라타제

Also Published As

Publication number Publication date
TW201829447A (zh) 2018-08-16
KR102324118B1 (ko) 2021-11-08
EP3564368A1 (en) 2019-11-06
JP6757422B2 (ja) 2020-09-16
WO2018124247A1 (ja) 2018-07-05
AU2017388945A1 (en) 2019-08-01
RU2736086C1 (ru) 2020-11-11
AU2017388945B2 (en) 2021-06-03
CN110139930B (zh) 2023-08-25
CN110139930A (zh) 2019-08-16
EP3564368A4 (en) 2020-08-12
KR20190080948A (ko) 2019-07-08
TWI773716B (zh) 2022-08-11
US11098299B2 (en) 2021-08-24
US20190367897A1 (en) 2019-12-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6757422B2 (ja) 変異型ニトリルヒドラターゼ、該変異型ニトリルヒドラターゼをコードする核酸、該核酸を含む発現ベクター及び形質転換体、該変異型ニトリルヒドラターゼの製造方法、並びにアミド化合物の製造方法
US11001823B2 (en) Nitrilase mutants and application thereof
JP5551081B2 (ja) ニトリルヒドラターゼ変異体
CN112501151B (zh) 一种腈水合酶突变体及其应用
JP2004194588A (ja) 新規なニトリルヒドラターゼ
AU2015270032B2 (en) Improved nitrile hydratase
JP3408737B2 (ja) ニトリルヒドラターゼの活性化に関与するタンパク質及びそれをコードする遺伝子
KR101608734B1 (ko) L-아미노산을 생산하는 미생물 및 이를 이용하여 l-아미노산을 생산하는 방법
JP4216700B2 (ja) ニトリルヒドラターゼ活性を有する酵素の改変方法
KR101725454B1 (ko) 하프니아 알베이 유래의 라이신 디카르복실라아제를 코딩하는 유전자, 이를 포함하는 재조합 벡터, 숙주세포 및 이를 이용한 카다베린의 생산방법
CN110951711B (zh) 一种具有降解手性酯活性的酯酶及其编码基因和应用
KR101778878B1 (ko) 박테로이데스 속 미생물 유래의 gaba 생성 고활성 글루탐산탈탄산효소 및 이의 용도
WO2024004661A1 (ja) 変異型ニトリルヒドラターゼ、該変異型ニトリルヒドラターゼをコードする核酸、該核酸を含むベクター及び形質転換体、該変異型ニトリルヒドラターゼの製造方法、並びにアミド化合物の製造方法
TW202409063A (zh) 變異型腈水合酶、編碼該變異型腈水合酶之核酸、含有該核酸之載體及轉形體、該變異型腈水合酶之製造方法、及醯胺化合物之製造方法
JP2023022671A (ja) (メタ)アクリル酸又はその塩の製造方法
JP2008118985A (ja) 溶菌酵素阻害剤、溶菌抑制剤及びポリ−ガンマ−グルタミン酸の分解抑制剤及びポリ−ガンマ−グルタミン酸の製造方法
JP2023141245A (ja) 3-ヒドロキシカルボン酸化合物又はその塩の製造方法
JP6235815B2 (ja) 組換えヒトμ−カルパインの調製方法
CN112921044A (zh) 解淀粉芽孢杆菌脲酶在食品级枯草芽孢杆菌中的重组表达
JP2023141244A (ja) 芳香族カルボン酸化合物又はその塩の製造方法
CN115572720A (zh) 鸟氨酸环化脱氨酶突变体及其应用
JP2009077722A (ja) 新規なニトリルヒドラターゼ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190620

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200428

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200626

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200811

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200828

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6757422

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250