JP5069032B2 - 改良型ニトリルヒドラターゼ - Google Patents
改良型ニトリルヒドラターゼ Download PDFInfo
- Publication number
- JP5069032B2 JP5069032B2 JP2007098186A JP2007098186A JP5069032B2 JP 5069032 B2 JP5069032 B2 JP 5069032B2 JP 2007098186 A JP2007098186 A JP 2007098186A JP 2007098186 A JP2007098186 A JP 2007098186A JP 5069032 B2 JP5069032 B2 JP 5069032B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- amino acid
- residues
- nitrile hydratase
- substitution
- acid residue
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Description
ニトリルヒドラターゼを生産する微生物としては、例えば、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、リゾビウム(Rhizobium)属、クレビシエラ(Klebsiella)属、シュードノカルディア(Pseudonocardia)属等に属する微生物を挙げることができる。中でもロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J1株はアクリルアミドの工業的生産に使用されており、有用性が実証されている。また、その菌株が産生するニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子も明らかとなっている(特許文献1参照)。
(1)以下の(A)又は(B)のタンパク質。
(A) 野生型ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列において下記(a)〜(g)からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、ニトリルヒドラターゼ活性を有することを特徴とするタンパク質
(a)αサブユニットのアミノ酸配列のうち補欠分子結合領域を構成するアミノ酸配列C(S/T)LCSCの最も下流側のC残基より53残基下流のアミノ酸残基
(b)上記アミノ酸配列C(S/T)LCSCの最も下流側のC残基より67残基下流のアミノ酸残基
(c)βサブユニットのアミノ酸配列のうちC末端のアミノ酸から数えて213残基上流のアミノ酸残基
(d)上記C末端のアミノ酸残基から数えて97残基上流のアミノ酸残基
(e)上記C末端のアミノ酸残基から数えて65残基上流のアミノ酸残基
(f)上記C末端のアミノ酸残基から数えて62残基上流のアミノ酸残基
(g)上記C末端のアミノ酸残基から数えて40残基上流のアミノ酸残基
(B) (A)のタンパク質のアミノ酸配列において、前記置換後のアミノ酸残基を除き、1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、ニトリルヒドラターゼ活性を有することを特徴とするタンパク質
(2)以下の(A)又は(B)のタンパク質。
(A) 野生型ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列において下記(a)及び(b)のアミノ酸残基と下記(c)〜(e)からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基とが他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、ニトリルヒドラターゼ活性を有することを特徴とするタンパク質
(a)βサブユニットのアミノ酸配列のうちC末端のアミノ酸残基から数えて63残基上流のアミノ酸残基
(b)上記C末端のアミノ酸残基から数えて11残基上流のアミノ酸残基
(c)上記C末端のアミノ酸残基から数えて213残基上流のアミノ酸残基
(d)上記C末端のアミノ酸残基から数えて65残基上流のアミノ酸残基
(e)上記C末端のアミノ酸残基から数えて62残基上流のアミノ酸残基
(B) (A)のタンパク質のアミノ酸配列において、前記置換後のアミノ酸残基を除き、1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、ニトリルヒドラターゼ活性を有することを特徴とするタンパク質
(3)以下の(A)又は(B)のタンパク質。
(A) 野生型ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列において下記(a)及び(b)のアミノ酸残基と下記(c)〜(f)からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基とが他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、ニトリルヒドラターゼ活性を有することを特徴とするタンパク質
(a)βサブユニットのアミノ酸配列のうちC末端のアミノ酸残基から数えて63残基上流のアミノ酸残基
(b)上記C末端のアミノ酸残基から数えて11残基上流のアミノ酸残基
(c)上記C末端のアミノ酸残基から数えて97残基上流のアミノ酸残基
(d)上記C末端のアミノ酸残基から数えて40残基上流のアミノ酸残基
(e)αサブユニットのアミノ酸配列のうち補欠分子結合領域を構成するアミノ酸配列C(S/T)LCSCの最も下流側のC残基より53残基下流のアミノ酸残基
(f)上記アミノ酸配列C(S/T)LCSCの最も下流側のC残基より67残基下流のアミノ酸残基
(B) (A)のタンパク質のアミノ酸配列において、前記置換後のアミノ酸残基を除き、1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、ニトリルヒドラターゼ活性を有することを特徴とするタンパク質
(4)以下の(A)又は(B)のタンパク質。
(A) 野生型ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列において下記(a)及び(b)及び(c)のアミノ酸残基と下記(d)〜(h)からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基とが他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、ニトリルヒドラターゼ活性を有することを特徴とするタンパク質
(a)βサブユニットのアミノ酸配列のうちC末端のアミノ酸残基から数えて63残基上流のアミノ酸残基
(b)上記C末端のアミノ酸残基から数えて11残基上流のアミノ酸残基
(c)上記C末端のアミノ酸残基から数えて173残基上流のアミノ酸残基
(d)上記C末端のアミノ酸残基から数えて213残基上流のアミノ酸残基
(e)上記C末端のアミノ酸残基から数えて118残基上流のアミノ酸残基
(f)上記C末端のアミノ酸残基から数えて65残基上流のアミノ酸残基
(g)上記C末端のアミノ酸残基から数えて62残基上流のアミノ酸残基
(h)上記C末端のアミノ酸残基から数えて40残基上流のアミノ酸残基
(B) (A)のタンパク質のアミノ酸配列において、前記置換後のアミノ酸残基を除き、1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、ニトリルヒドラターゼ活性を有することを特徴とするタンパク質
(5) 上記タンパク質をコードする遺伝子DNA。
(6) 上記遺伝子DNAを含む組換えベクター。
(7) 上記組換えベクターを含む形質転換体。
(8) 上記形質転換体を培養して得られる培養物から採取されるニトリルヒドラターゼ。
(9) 上記形質転換体を培養し、得られる培養物からニトリルヒドラターゼを採取することを特徴とする、ニトリルヒドラターゼの製造方法。
(10) 上記タンパク質、又は形質転換体を培養して得られる培養物若しくは当該培養物の処理物をニトリル化合物に接触させ、当該接触により生成されるアミド化合物を採取することを特徴とする、アミド化合物の製造方法。
本発明によれば、さらに、上記改良型ニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子DNA、当該遺伝子DNAを含む組換えベクター、当該組換えベクターを含む形質転換体、当該形質転換体の培養物から採取されるニトリルヒドラターゼ及びその製造、並びに前記タンパク質(改良型ニトリルヒドラターゼ)又は、当該培養物若しくは当該培養物の処理物を用いたアミド化合物の製造方法を提供することができる。
1.改良型ニトリルヒドラターゼ
(a)野生型ニトリルヒドラターゼ
本発明の改良型ニトリルヒドラターゼは、野生型ニトリルヒドラターゼの改良型(変異型)であり、その由来は特に限定されるものではない。ここで、「野生型ニトリルヒドラターゼ」とは、自然界の生物(例えば、土壌細菌等の微生物)より分離され得るニトリルヒドラターゼを指し、当該酵素を構成するアミノ酸配列、及び当該酵素をコードする遺伝子の塩基配列が、人為的に欠失又は挿入せず、あるいは、他のアミノ酸又は塩基で置換されておらず、天然由来の特性を保持したままのニトリルヒドラターゼを意味する。既知の微生物由来のニトリルヒドラターゼのみならず、未知の生物由来のニトリルヒドラターゼも上記「野生型ニトリルヒドラターゼ」に含まれる。
本発明は、野生型ニトリルヒドラターゼにアミノ酸置換を施した改良型(変異型)ニトリルヒドラターゼである。置換を施す対象となる野生型ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列はGenBank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)等のNCBIのデータベースに公表されている。
例えば、ロドコッカス・ロドクロウスJ1(FERM BP-1478)由来のαサブユニットは、アミノ酸配列が配列番号4で示され、塩基配列が配列番号3で示される。また、βサブユニット(配列番号2、1)のアクセッション番号は「P21220」である。また、ロドコッカス・ロドクロウスM8(SU1731814) 由来のαサブユニットのアクセッション番号は「ATT79340」であり、βサブユニットのアクセッション番号は「AAT79339」である。さらに、シュードモナス・サーモフィラ(Pseudomonas thermophila)JCM3095由来のαサブユニットのアクセッション番号は「1IRE A」であり、βサブユニットのアクセッション番号は「1IRE B」である。
(b)上記アミノ酸配列C(S/T)LCSCの最も下流側のC残基より67残基下流のアミノ酸残基
(c)βサブユニットのアミノ酸配列のうちC末端のアミノ酸から数えて213残基上流のアミノ酸残基
(d)上記C末端のアミノ酸残基から数えて97残基上流のアミノ酸残基
(e)上記C末端のアミノ酸残基から数えて65残基上流のアミノ酸残基
(f)上記C末端のアミノ酸残基から数えて62残基上流のアミノ酸残基
(g)上記C末端のアミノ酸残基から数えて40残基上流のアミノ酸残基
(h)上記C末端のアミノ酸残基から数えて63残基上流のアミノ酸残基
(i)上記C末端のアミノ酸残基から数えて11残基上流のアミノ酸残基
(j)上記C末端のアミノ酸残基から数えて173残基上流のアミノ酸残基
(k)上記C末端のアミノ酸残基から数えて118残基上流のアミノ酸残基
・上記(h)及び(i)のアミノ酸残基と、上記(c)、(e)及び(f)からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基
・上記(h)及び(i)のアミノ酸残基と、上記(a)、(b)、(d)及び(g)からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基
・上記(h)、(i)及び(j)のアミノ酸残基と、上記(c)、(e)、(f)、(g)及び(k)からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基
本発明のニトリルヒドラターゼのβサブユニットのアミノ酸配列におけるC末端のアミノ酸残基から数えて63残基上流のアミノ酸残基(アスパラギン)、上記C末端のアミノ酸残基から数えて11残基上流のアミノ酸残基(バリン)、及び上記C末端のアミノ酸残基から数えて40残基上流のアミノ酸残基(グリシン)が他のアミノ酸(例えばセリンなど)に置換されるとともに、
本発明のニトリルヒドラターゼのαサブユニットのアミノ酸配列における補欠分子結合領域を構成するアミノ酸配列C(S/T)LCSCの最も下流側のC残基より67残基上流のアミノ酸残基(グリシン)が他のアミノ酸(例えばリジンやアラニン等)に置換されたアミノ酸配列を含み、かつ、ニトリルヒドラターゼ活性を有する酵素タンパク質が好ましく挙げられる。このようなアミノ酸置換の態様の表記例としては、「Nβ←63S,Vβ←11A,Gβ←40R、Gα67↓E」等が挙げられる。
2.Gα↓67S
3.Pβ←213A
4.Lβ←97R
5.Vβ←65S
6.Kβ←62R
7.Gβ←40R
8.Nβ←63S,Vβ←11A,Pβ←213A
9.Nβ←63S,Vβ←11A,Vβ←65S
10.Nβ←63S,Vβ←11A,Kβ←62R
11.Nβ←63S,Vβ←11A,Pβ←213A,Vβ←65S
12.Nβ←63S,Vβ←11A,Pβ←213A,Kβ←62R
13.Nβ←63S,Vβ←11A,Vβ←65S,Kβ←62R
14.Nβ←63S,Vβ←11A,Pβ←213A,Vβ←65S,Kβ←62R
15.Nβ←63S,Vβ←11A,Iα↓53T
16.Nβ←63S,Vβ←11A,Gα↓67S
17.Nβ←63S,Vβ←11A,Lβ←97R
18.Nβ←63S,Vβ←11A,Gβ←40R
19.Nβ←63S,Vβ←11A,Iα↓53T,Gα↓67S
20.Nβ←63S,Vβ←11A,Iα↓53T,Lβ←97R
21.Nβ←63S,Vβ←11A,Iα↓53T,Gβ←40R
22.Nβ←63S,Vβ←11A,Gα↓67S,Lβ←97R
23.Nβ←63S,Vβ←11A,Gα↓67S,Gβ←40R
24.Nβ←63S,Vβ←11A,Lβ←97R,Gβ←40R
25.Nβ←63S,Vβ←11A,Iα↓53T,Gα↓67S,Lβ←97R
26.Nβ←63S,Vβ←11A,Iα↓53T,Gα↓67S,Gβ←40R
27.Nβ←63S,Vβ←11A,Iα↓53T,Lβ←97R,Gβ←40R
28.Nβ←63S,Vβ←11A,Gα↓67S,Lβ←97R,Gβ←40R
29.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Pβ←213A
30.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Vβ←65S
31.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Kβ←62R
32.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Gβ←40R
33.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Sβ←118T
34.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Pβ←213A,Vβ←65S
35.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Pβ←213A,Kβ←62R
36.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Pβ←213A,Gβ←40R
37.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Pβ←213A,Sβ←118 T
38.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Vβ←65S,Kβ←62R
39.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Vβ←65S,Gβ←40R
40.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Vβ←65S,Sβ←118T
41.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Kβ←62R,Gβ←40R
42.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Kβ←62R,Sβ←118T
43.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Gβ←40R,Sβ←118T
44.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Pβ←213A,Vβ←65S ,Kβ←62R
45.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Pβ←213A,Vβ←65S ,Gβ←40R
46.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Pβ←213A,Vβ←65S ,Sβ←118T
47.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Pβ←213A,Kβ←62R ,Gβ←40R
48.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Pβ←213A,Kβ←62R ,Sβ←118T
49.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Pβ←213A,Gβ←40R ,Sβ←118T
50.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Vβ←65S,Kβ←62R, Gβ←40R
51.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Vβ←65S,Kβ←62R, Sβ←118T
52.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Vβ←65S,Gβ←40R, Sβ←118T
53.Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Kβ←62R,Gβ←40R, Sβ←118T
Gα↓67S:塩基配列TGCACTCTGTGTTCGTGC(配列番号3における304〜321番目:配列番号54)の最後のCより、199〜201塩基下流(3'末端側)に位置するコドン「GGT」をTCA、TCC、TCG、TCT、AGC又はAGTに置換させる。特に、199塩基下流に位置するGをAに置換させること(GGT→AGT)が好ましい。
Pβ←213A:塩基配列GCG(配列番号1における685〜687番目(配列番号2のアミノ酸配列のC末端アミノ酸残基のコドン))の先頭のGより、634〜636塩基上流(5'末端側)に位置するコドン「CCC」をGCA,GCC,GCG又はGCTに置換させる。特に636塩基上流に位置するCをGに置換させること(CCC→GCC)が好ましい。
Lβ←97R:塩基配列GCG(配列番号1における685〜687番目(配列番号2のアミノ酸配列のC末端アミノ酸残基のコドン))の先頭のGより、286〜288塩基上流(5'末端側)に位置するコドン「CTA」をCGA,CGC、CGG,CGT、AGA又はAGGに置換させる。特に287塩基上流に位置するTをGに置換させること(CTA→CGA)が好ましい。
Vβ←65S:塩基配列GCG(配列番号1における685〜687番目(配列番号2のアミノ酸配列のC末端アミノ酸残基のコドン))の先頭のGより、190〜192塩基上流(5'末端側)に位置するコドン「GTG」をTCA、TCC、TCG、TCT、AGC又はAGTに置換させる。特に、192塩基上流に位置するGをAに置換させ、191塩基上流に位置するTをGに置換させること(GTG→AGC)が好ましい。
Kβ←62R:塩基配列GCG(配列番号1における685〜687番目(配列番号2のアミノ酸配列のC末端アミノ酸残基のコドン))の先頭のGより、181〜183塩基上流(5'末端側)に位置するコドン「AAG」をCGA,CGC、CGG,CGT、AGA又はAGGに置換させる。特に、183塩基上流に位置するAをCに置換させ、182塩基上流に位置するAをGに置換させること(AAG→CGG)が好ましい。
Gβ←40R:塩基配列GCG(配列番号1における685〜687番目(配列番号2のアミノ酸配列のC末端アミノ酸残基のコドン))の先頭のGより、115〜117塩基上流(5'末端側)に位置するコドン「GGC」をCGA,CGC、CGG,CGT、AGA又はAGGに置換させる。特に、117塩基上流に位置するGをCに置換させること(GGC→CGC)が好ましい。
Nβ←63S:塩基配列GCG(配列番号1における685〜687番目(配列番号2のアミノ酸配列のC末端アミノ酸残基のコドン))の先頭のGより、184〜186塩基上流に位置するコドン「AAC」をAGC、AGT、TCA、TCC、TCG、又はTCTに置換させる。特に、185塩基上流に位置するAをGに置換させること(AAC→AGC)が好ましい。
Vβ←11A:塩基配列GCG(配列番号1における685〜687番目(配列番号2のアミノ酸配列のC末端アミノ酸残基のコドン))の先頭のGより、28〜30塩基上流に位置するコドン「GTC」をGCA、GCC、GCG又はGCTに置換させる。特に、29塩基上流に位置するTをCに置換させること(GTC→GCC)が好ましい。
Sβ←173K:塩基配列GCG(配列番号1における685〜687番目(配列番号2のアミノ酸配列のC末端アミノ酸残基のコドン))の先頭のGより、514〜516塩基上流に位置するコドン「TCG」をAAA又はAAGに置換させる。特に、516塩基上流に位置するTをAに置換させ、515塩基上流に位置するCをAに置換させること(TCG→AAG)が好ましい。
Iβ←118T:塩基配列GCG(配列番号1における685〜687番目(配列番号2のアミノ酸配列のC末端アミノ酸残基のコドン))の先頭のGより、349〜351塩基上流に位置するコドン「TCG」をACA、ACC、ACG又はACTに置換させる。特に、351塩基上流に位置するTをAに置換させること(TCG→ACG)が好ましい。
R−CONH2 (1)
(ここで、Rは、置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基又はアルケニル基、置換されていてもよい炭素数3〜18のシクロアルキル基又はアリール基、あるいは、置換されていてもよい飽和又は不飽和複素環基である。)
で表されるアミド化合物が挙げられる。特に、式中、Rが「CH2=CH−」であるアクリルアミドが好ましい。
変異体を用いたタンパク質の機能、性質を研究する方法の一つに、ランダム変異導入法がある。ランダム変異導入法とは、特定のタンパク質をコードする遺伝子に対してランダムな変異を導入し、変異体を作製する方法である。PCRによるランダム変異導入法では、DNA増幅時に厳密度(ストリンジェンシー)の低い条件を設定して、塩基の変異を導入する(Error prone PCR)ことができる。このError prone PCRでは、増幅されるDNAの全域に対して任意の部位に変異が導入される。そうすると、得られた任意の部位に変異が導入された変異体の機能を検討することによって、タンパク質固有の機能に重要なアミノ酸やドメインの情報を得ることができる。
Error prone PCRの反応条件としては、例えば、反応液中のdNTP(dGTP、dCTP、dATP又はdTTP)のいずれか1種、2種又は3種の配合割合を他のdNTPに比べて減らした組成とする条件が挙げられる。これにより、DNA合成の際、配合割合を減らしたdNTPが必要な箇所においては、誤って他のdNTPが用いられる可能性が高くなり、変異が導入される。また、他の反応条件としては、反応液中のMgCl2及び/又はMnCl2量を増やした組成とする条件も好ましく挙げられる。
本発明の改良型ニトリルヒドラターゼには、例えば、配列番号1及び3の塩基配列で表される野生型であるロドコッカス・ロドクロウスJ1株由来の遺伝子に、βサブユニットのアミノ酸配列においてC末端のアミノ酸残基から数えて63残基上流のアミノ酸置換、上記C末端のアミノ酸残基から数えて11残基上流のアミノ酸置換、及び上記C末端のアミノ酸残基から数えて40残基上流のアミノ酸置換に相当する変異を導入するとともに、αサブユニットの補欠分子結合領域を構成するC(S/T)LCSCの最も下流側のC残基より67残基下流のアミノ酸置換に相当する変異を導入した遺伝子によりコードされるものも含まれる。
ニトリルヒドラターゼ遺伝子は、形質転換される宿主生物において発現可能なように、ベクターに組み込むことが必要である。例えば、ベクターとしてはプラスミドDNA、バクテリオファージDNA、レトロトランスポゾンDNA、人工染色体DNAなどが挙げられる。
本発明において、改良型ニトリルヒドラターゼは、上記形質転換体を培養し、得られる培養物から採取することにより製造することができる。
本発明は当該培養物から改良型ニトリルヒドラターゼを採取することを特徴とする、改良型ニトリルヒドラターゼの製造方法をも含む。
本発明において、「培養物」とは、培養上清、培養細胞、培養菌体、又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。本発明の形質転換体を培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。目的の改良型ニトリルヒドラターゼは、上記培養物中に蓄積される。
上述のように製造された改良型ニトリルヒドラターゼは、酵素触媒として物質生産に利用することができる。例えば、ニトリル化合物に、上記改良型ニトリルヒドラターゼを接触させることにより、アミド化合物を生成する。そして、接触により生成されるアミド化合物を採取する。これにより、アミド化合物を製造することができる。
反応方法、及び反応終了後のアミド化合物の採取方法は、基質及び酵素触媒の特性により適宜選択される。
改良型ニトリルヒドラターゼ遺伝子の取得
(1)変異遺伝子ライブラリーの構築
鋳型となるプラスミドとしては、βサブユニットのアミノ酸配列(配列番号2)のC末端のアミノ酸残基から数えて63残基上流のアミノ酸残基がアスパラギン(N)からセリン(S)に変異し、かつ、上記C末端のアミノ酸残基から数えて11残基上流のアミノ酸残基がバリン(V)からアラニン(A)に変異したプラスミドpAB002(図1)を用いた。
ここで、プラスミドpAB002の作製方法は、部位特異的変異導入法を用い、市販のキット:QuikChange XL Site-Directed Mutagenesis Kit(Stratagene社)を使用した。変異を導入する鋳型として、プラスミドpJH601(図2)を使用した。
プラスミドpJH601は野生型ニトリルヒドラターゼの発現プラスミドであり、受託番号FERM BP-10314として独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に平成14(2002)年12月26日付けで国際寄託されている。
β←63−F: ccgaaatatgtgcggAGCaagatcggggaaatc (配列番号5)
β←63−R: gatttccccgatcttGCTccgcacatatttcgg (配列番号6)
<PCR反応液組成>
鋳型プラスミドpJH601(10ng) 2μl
10× 反応Buffer 5μl
プライマーβ←63-F(100ng/μl) 1μl
プライマーβ←63-R(100ng/μl) 1μl
2.5mM dNTPmix 1μl
滅菌水 36μl
QuickSolution 3μl
Pfu Turbo DNA Polymerase 1μl
<反応条件>
95℃で1分
(95℃で50秒、60℃で50秒、68℃で14分)×18サイクル
68℃で7分
培養後、プレート上に生育した数個のコロニーをLB培地(50mg/L アンピシリン)1.5mlで各々培養してからFlexiPrep Kit(アマシャムバイオサイエンス社)を使用してプラスミドを抽出した。抽出後、得られたプラスミドの塩基配列の決定を行い、目的の変異が導入されていることを確認した。このようにして、Nβ←63Sのアミノ酸置換を生じさせる塩基置換が導入された変異導入プラスミド:p52を得た。
β←11−F: gaaagacgtagtgtgcGCCgatctctgggaaccg (配列番号7)
β←11−R: cggttcccagagatcGGCgcacactacgtctttc (配列番号8)
上記と同様の方法で変異を導入するPCRおよびプラスミドの抽出を行い、得られたプラスミドの塩基配列の決定を行い、目的の変異が導入されていることを確認した。このようにして、Nβ←63S及びVβ←11Aのアミノ酸置換を生じさせる塩基置換が導入された変異導入プラスミド:pAB002を得た。
ランダム変異導入は、PCRにおけるヌクレオチドの誤取り込みによる塩基置換(Error prone PCR)を利用した。
<PCR反応液組成>
鋳型プラスミド(pAB002)(10ng) 1μl
10× PCR Buffer(GIBCO社製) 10μl
50mM MgCl2(GIBCO社製) 3μl
プライマーTrc-02(100ng/μl) 1μl
プライマーTrc-03(100ng/μl) 1μl
2.5mM dNTPmix 8μl
10mM dITP 2μl
10mM dBraUTP 2μl
滅菌水 71μl
Taq DNAポリメラーゼ(GIBCO社製) 1μl
<プライマー>
Trc-02: ggaattcgtataatgtgtggaattgtgagc (配列番号9)
Trc-03: ggctgaaaatcttctctcatccgcc (配列番号10)
<反応条件>
(94℃で30秒、65℃で30秒、72℃で3分)×30サイクル
スクリーニングには、上記(1)で得られたニトリルヒドラターゼ遺伝子を含む大腸菌JM109形質転換体、及び野生型ニトリルヒドラターゼを産生する大腸菌JM 109/ pJH601を使用した。LB-Amp培地(1mM IPTG、5μg/ml CoCl2含有)を1mlずつ入れた96穴ディープウェルプレートに上記菌株を各々接種し、37℃で12時間液体培養した。次いで、培養液を60℃の温度下、30分間の熱処理に供した後、残存ニトリルヒドラターゼ活性の測定を下記の方法で行った。ランダムに変異導入したニトリルヒドラターゼ遺伝子を有する数万個の形質転換体についてスクリーニングを行った。
pE306:Nβ←63S,Vβ←11A,Pβ←213A
pE316:Nβ←63S,Vβ←11A,Vβ←65S
pE317:Nβ←63S,Vβ←11A,Kβ←62R
pE414:Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Kβ←62R
pE415:Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Pβ←213A
pE416:Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Sβ←118T
pE418:Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Vβ←65S,Kβ←62R
pE419:Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Pβ←213A,Vβ←65S
pE420:Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Vβ←65S,Kβ←62R,Sβ←118T
pE516:Nβ←63S,Vβ←11A,Gα↓67S,Gβ←40R
pE536:Nβ←63S,Vβ←11A,Iα↓53T,Gα↓67S,Gβ←40R
pE539:Nβ←63S,Vβ←11A,Iα↓53T,Lβ←97R,Gβ←40R
pE601:Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Gβ←40R
ロドコッカス菌形質転換体の作製と評価
(1)プラスミドの構築
以下の方法でαサブユニットのアミノ酸配列において、補欠分子結合領域を構成するCTLCSC領域の最も上流側のC残基より、60残基上流の残基に変異(Nα↑60D)を有するロドコッカス菌用プラスミドを作製した。変異の導入は部位特異的変異導入法を用い、市販キット:QuikChange XL Site-Directed Mutagenesis Kit(Stratagene社)を使用した。実験は操作マニュアルに従った。変異を導入する鋳型プラスミドとしてpSJ034を使用した。pSJ034はロドコッカス菌においてニトリルヒドラターゼを発現するプラスミドである。pSJ034は、pSJ023より特開平10-337185号公報に示す方法で作製した。
なお、pSJ023は形質転換体「R. rhodochrous ATCC12674/pSJ023」であり、受託番号FERM BP-6232として独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に平成9(1997)年3月4日付けで国際寄託されている。
β←63−F: ccgaaatatgtgcggAGCaagatcggggaaatc (配列番号5)
β←63−R: gatttccccgatcttGCTccgcacatatttcgg (配列番号6)
<PCR反応液組成>
鋳型プラスミドpSJ034(10ng) 2μl
10× 反応Buffer 5μl
プライマーβ←63−F(100ng/μl) 1μl
プライマーβ←63−R(100ng/μl) 1μl
2.5mM dNTPmix 1μl
滅菌水 36μl
QuickSolution 3μl
Pfu Turbo DNA Polymerase 1μl
<反応条件>
95℃で1分
(95℃で50秒、60℃で50秒、68℃で14分)×18サイクル
68℃で7分
β←11−F: gaaagacgtagtgtgcGCCgatctctgggaaccg (配列番号7)
β←11−R: cggttcccagagatcGGCgcacactacgtctttc (配列番号8)
α↓53−F:agcagctccgaaACCcgctacatcgtcatcccg (配列番号11)
α↓53−R:cgggatgacgatgtagcgGGTttcggagctgct (配列番号12)
α↓67−F:gccggcaccgacAGTtggtccgaggag (配列番号13)
α↓67−R:ctcctcggaccaACTgtcggtgccggc (配列番号14)
β←40−F:gagcagctccgccggcctcCGCgacgatcctcg (配列番号15)
β←40−R:cgaggatcgtcGCGgaggccggcggagctgctc (配列番号16)
β←62−F:cgaaatatgtgcggaacCGGatcggggaaatcg (配列番号17)
β←62−R:cgatttccccgatCCGgttccgcacatatttcg (配列番号18)
β←65−F:ggtgcccgaaatatAGCcggaacaagatcgggg (配列番号19)
β←65−R:ccccgatcttgttccgGCTatatttcgggcacc (配列番号20)
β←97−F:acgagccccactccCGAgcgcttccaggagcg (配列番号21)
β←97−R:cgctcctggaagcgcTCGggagtggggctcgt (配列番号22)
β←118−F:cacggacaggaagccgACGcggaagttcgatccg (配列番号23)
β←118−R:cggatcgaacttccgCGTcggcttcctgtccgtg (配列番号24)
β←173−F:cggttcttccgggagAAGatggggaacgaaaac (配列番号25)
β←173−R:gttttcgttccccatCTTctcccggaagaaccg (配列番号26)
β←213−F:gatacggaccggtcGCCtatcagaaggacgagccc (配列番号27)
β←213−R:gggctcgtccttctgataCGCgaccggtccgtatc (配列番号28)
pER306:Nβ←63S,Vβ←11A,Pβ←213A
pER316:Nβ←63S,Vβ←11A,Vβ←65S
pER317:Nβ←63S,Vβ←11A,Kβ←62R
pER414:Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Kβ←62R
pER415:Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Pβ←213A
pER416:Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Sβ←118T
pER418:Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Vβ←65S,Kβ←62R
pER419:Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Pβ←213A,Vβ←65S
pER420:Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Vβ←65S,Kβ←62R,Sβ←118T
pER516:Nβ←63S,Vβ←11A,Gα↓67S,Gβ←40R
pER536:Nβ←63S,Vβ←11A,Iα↓53T,Gα↓67S,Gβ←40R
pER539:Nβ←63S,Vβ←11A,Iα↓53T,Lβ←97R,Gβ←40R
pER601:Nβ←63S,Vβ←11A,Sβ←173M,Gβ←40R
ロドコッカス・ロドクロウス ATCC 12674 株の対数増殖期の細胞を遠心分離器により集菌し、氷冷した滅菌水にて3回洗浄し、滅菌水に懸濁した。上記(1)で調製したプラスミド 1μlと菌体懸濁液10μlを混合し、氷冷した。キュベットにDNAと菌体の懸濁液を入れ、遺伝子導入装置 Gene Pulser (BIO RAD)により2.0KV、200 OHMSで電気パルス処理を行った。電気パルス処理液の入ったキュベットを氷冷下10分間静置し、37℃で10分間ヒートショクを行った。その後、キュベットにMYK培地(0.5%ポリペプトン、0.3%バクトイーストエキス、0.3%バクトモルトエキス、0.2% K2HPO4 、0.2% KH2PO4 )500μl を加え、30℃、5時間静置した後、50μg/mlカナマイシン入りMYK寒天培地に塗布した。30℃、3日間培養後のコロニーを形質転換体とした。
得られたロドコッカス菌形質転換体を用いて、熱処理後の残存ニトリルヒドラターゼ活性を調べた。比較対照として、野生型ニトリルヒドラターゼを有するロドコッカス・ロドクロウスATCC12674/pSJ034(以下、ATCC12674/pSJ034という)を使用した。
菌体懸濁液のニトリルヒドラターゼ活性の測定は、下記の方法で行った。
菌体液0.2mlと50mMリン酸緩衝液(pH7.0)4.8mlとを混合し、さらに5.0%(w/v)のアクリロニトリルを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)5mlを混合液に加えて、10℃で10分間振盪しながら反応させた。
次いで、菌体を濾別して、ガスクロマトグラフィーを用いて生成したアクリルアミドの量を定量した。
分析機器: ガスクロマトグラフGC-14B(島津製作所製)
検出器: FID(検出200℃)
カラム: ポラパックPS(ウォーターズ社製カラム充填剤)を充填した1mガラスカラム
カラム温度: 190℃
アクリルアミドの量からニトリルヒドラターゼ活性を換算した。ここで、ニトリルヒドラターゼ活性は、1分間に1μmolのアクリルアミドを生成する酵素量を1Uと定義する。
ATCC12674/pSJ034と、上記(2)の工程で得られた各形質転換体をMYK培地(50μg/mlカナマイシン)にそれぞれ接種し、30℃にて2日間振盪培養し、GGPK培地(1.5% グルコース、1% グルタミン酸ナトリウム、0.1% 酵母エキス、0.05% K2HPO4 、0.05% KH2PO4、0.05% MgSO4・7H2O、1% CoCl2、0.1% 尿素、50μg/mlカナマイシン、pH7.2)に1%植菌を行った。30℃で3日間振盪培養し、遠心分離により集菌した。その後、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)で菌体を洗浄し、最後に少量の同緩衝液に懸濁した。
アミド化合物耐性の評価
実施例2で得られた形質転換体を用いて、アミド化合物耐性を評価した。当該評価は、下記反応液組成及び反応条件で行った。なお、反応に用いる各菌体懸濁液は、培養菌液の濁度を分光光度計で測定し、同一の菌体濃度になるように100mMリン酸緩衝液(pH7.0)で適宜希釈して調製した。比較対照として、野生型ニトリルヒドラターゼを有するATCC12674/pSJ034を使用した。
50%アクリルアミド溶液 94g
アクリロニトリル 4g
1Mリン酸緩衝液 1g
菌液(同一の菌体濃度) 1g
<反応条件>
攪拌しながら6時間反応(30℃)
反応開始前(0時間)、0.5時間後及び6時間後にそれぞれ反応液1mlをサンプリングし、0.45μmのフィルターを用いて濾過を行った。得られた濾液を、ガスクロマトグラフィーに供した。分析条件は、実施例2の(3)に示すアクリルアミド定量の分析条件と同様に行った。 残存するアクリロニトリルの割合(%)の分析結果を表4に示した。
配列番号6:合成DNA
配列番号7:合成DNA
配列番号8:合成DNA
配列番号9:合成DNA
配列番号10:合成DNA
配列番号11:合成DNA
配列番号12:合成DNA
配列番号13:合成DNA
配列番号14:合成DNA
配列番号15:合成DNA
配列番号16:合成DNA
配列番号17:合成DNA
配列番号18:合成DNA
配列番号19:合成DNA
配列番号20:合成DNA
配列番号21:合成DNA
配列番号22:合成DNA
配列番号23:合成DNA
配列番号24:合成DNA
配列番号25:合成DNA
配列番号26:合成DNA
配列番号27:合成DNA
配列番号28:合成DNA
Claims (9)
- 以下の(A)又は(B)のタンパク質。
(A)ロドコッカス・ロドクロウス由来の野生型ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列において下記(a)及び(b)のアミノ酸置換と下記(c)〜(e)からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、かつ、野性型ニトリルヒドラターゼよりも高耐熱性および高アミド化合物耐性を有することを特徴とするタンパク質
(a)βサブユニットのアミノ酸配列のうちC末端のアミノ酸残基から数えて63残基上流のアミノ酸残基のセリンへの置換
(b)上記C末端のアミノ酸残基から数えて11残基上流のアミノ酸残基のアラニンへの置換
(c)上記C末端のアミノ酸残基から数えて213残基上流のアミノ酸残基のアラニンへの置換
(d)上記C末端のアミノ酸残基から数えて65残基上流のアミノ酸残基のセリンへの置換
(e)上記C末端のアミノ酸残基から数えて62残基上流のアミノ酸残基のアルギニンへの置換
(B) (A)のタンパク質のアミノ酸配列において、前記置換後のアミノ酸残基を除き、1〜10個のアミノ酸残基が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、ニトリルヒドラターゼ活性を有することを特徴とするタンパク質 - 以下の(A)又は(B)のタンパク質。
(A)ロドコッカス・ロドクロウス由来の野生型ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列において下記(a)及び(b)及び(c)のアミノ酸置換と下記(d)〜(f)からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、かつ、野性型ニトリルヒドラターゼよりも高耐熱性および高アミド化合物耐性を有することを特徴とするタンパク質
(a)βサブユニットのアミノ酸配列のうちC末端のアミノ酸残基から数えて63残基上流のアミノ酸残基のセリンへの置換
(b)上記C末端のアミノ酸残基から数えて11残基上流のアミノ酸残基のアラニンへの置換
(c)上記C末端のアミノ酸残基から数えて40残基上流のアミノ酸残基のアルギニンgへの置換
(d)上記C末端のアミノ酸残基から数えて97残基上流のアミノ酸残基のアルギニンへの置換(e)αサブユニットのアミノ酸配列のうち補欠分子結合領域を構成するアミノ酸配列C(S/T)LCSCの最も下流側のC残基より53残基下流のアミノ酸残基のトレオニンへの置換
(f)上記アミノ酸配列C(S/T)LCSCの最も下流側のC残基より67残基下流のアミノ酸残基のセリンへの置換
(B) (A)のタンパク質のアミノ酸配列において、前記置換後のアミノ酸残基を除き、1〜10個のアミノ酸残基が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、ニトリルヒドラターゼ活性を有することを特徴とするタンパク質 - 以下の(A)又は(B)のタンパク質。
(A)ロドコッカス・ロドクロウス由来の野生型ニトリルヒドラターゼのアミノ酸配列において下記(a)及び(b)及び(c)のアミノ酸置換と下記(d)〜(h)からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、かつ、野性型ニトリルヒドラターゼよりも高耐熱性および高アミド化合物耐性を有することを特徴とするタンパク質
(a)βサブユニットのアミノ酸配列のうちC末端のアミノ酸残基から数えて63残基上流のアミノ酸残基のセリンへの置換
(b)上記C末端のアミノ酸残基から数えて11残基上流のアミノ酸残基のアラニンへの置換
(c)上記C末端のアミノ酸残基から数えて173残基上流のアミノ酸残基のメチオニンへの置換
(d)上記C末端のアミノ酸残基から数えて213残基上流のアミノ酸残基のアラニンへの置換
(e)上記C末端のアミノ酸残基から数えて118残基上流のアミノ酸残基のトレオニンへの置換
(f)上記C末端のアミノ酸残基から数えて65残基上流のアミノ酸残基のセリンへの置換
(g)上記C末端のアミノ酸残基から数えて62残基上流のアミノ酸残基のアルギニンへの置換
(h)上記C末端のアミノ酸残基から数えて40残基上流のアミノ酸残基のセリンへの置換
(B) (A)のタンパク質のアミノ酸配列において、前記置換後のアミノ酸残基を除き、1〜10個のアミノ酸残基が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、ニトリルヒドラターゼ活性を有することを特徴とするタンパク質 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンパク質をコードする遺伝子DNA。
- 請求項4記載の遺伝子DNAを含む組換えベクター。
- 請求項5記載の組換えベクターを含む形質転換体。
- 請求項6記載の形質転換体を培養して得られる培養物から採取されるニトリルヒドラターゼ。
- 請求項6記載の形質転換体を培養し、得られる培養物からニトリルヒドラターゼを採取することを特徴とする、ニトリルヒドラターゼの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンパク質、又は請求項6記載の形質転換体を培養して得られる培養物若しくは当該培養物の処理物をニトリル化合物に接触させ、当該接触により生成されるアミド化合物を採取することを特徴とする、アミド化合物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007098186A JP5069032B2 (ja) | 2007-04-04 | 2007-04-04 | 改良型ニトリルヒドラターゼ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007098186A JP5069032B2 (ja) | 2007-04-04 | 2007-04-04 | 改良型ニトリルヒドラターゼ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008253182A JP2008253182A (ja) | 2008-10-23 |
JP5069032B2 true JP5069032B2 (ja) | 2012-11-07 |
Family
ID=39977470
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007098186A Active JP5069032B2 (ja) | 2007-04-04 | 2007-04-04 | 改良型ニトリルヒドラターゼ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5069032B2 (ja) |
Families Citing this family (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101532467B1 (ko) * | 2008-11-14 | 2015-07-06 | 미쓰이 가가쿠 가부시키가이샤 | 니트릴 히드라타아제 변이체 |
JP5532618B2 (ja) * | 2009-01-30 | 2014-06-25 | 三菱レイヨン株式会社 | 改良型ニトリルヒドラターゼ及びその製造方法 |
JP5817088B2 (ja) * | 2010-03-24 | 2015-11-18 | 三菱レイヨン株式会社 | ニトリルヒドラターゼ遺伝子を欠失又は不活性化させた微生物 |
JP2011217665A (ja) * | 2010-04-08 | 2011-11-04 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | ニトリルヒドラターゼ遺伝子を置換した微生物 |
EP2716754B1 (en) | 2011-05-31 | 2017-03-08 | Mitsubishi Rayon Co., Ltd. | Improved nitrile hydratase |
AU2015203199B2 (en) * | 2011-06-07 | 2017-10-26 | Mitsubishi Chemical Corporation | Improved nitrile hydratase |
KR101698709B1 (ko) | 2011-06-07 | 2017-01-20 | 미쯔비시 레이온 가부시끼가이샤 | 개량형 니트릴 히드라타제 |
KR101995103B1 (ko) * | 2014-06-06 | 2019-07-03 | 미쯔비시 케미컬 주식회사 | 개량형 니트릴 히드라타제 |
JP6156442B2 (ja) * | 2015-05-28 | 2017-07-05 | 三菱ケミカル株式会社 | ニトリルヒドラターゼ遺伝子を置換した微生物 |
EP3564368A4 (en) | 2016-12-28 | 2020-08-12 | Mitsui Chemicals, Inc. | MUTED NITRILE HYDRATASE, NUCLEIC ACID FOR CODING THE SAY MUTED NITRILE HYDRATASE, EXPRESSION VECTOR AND TRANSFORM WITH THE SAY NUCLEIC ACID, MANUFACTURING METHODS FOR SAY MUTED NITRILE HYDRATASE AND PRODUCTION OF AMBITRIL HYDRATASE |
JP7020614B2 (ja) * | 2018-03-30 | 2022-02-16 | 三井化学株式会社 | ニトリルヒドラターゼを含む菌体処理物の製造方法及びアミド化合物の製造方法 |
CN109593750B (zh) * | 2019-01-16 | 2020-01-21 | 江南大学 | 一种腈水合酶突变体、含该突变体的基因工程菌及其应用 |
CN110938616B (zh) * | 2019-10-31 | 2021-01-29 | 江南大学 | 一种温泉热碱芽孢杆菌来源的腈水合酶的突变体 |
AU2022219778A1 (en) | 2021-02-10 | 2023-06-22 | Mitsubishi Chemical Corporation | Improvement of reactivity of nitrile hydratase by aldehyde |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004194588A (ja) * | 2002-12-19 | 2004-07-15 | Mitsui Chemicals Inc | 新規なニトリルヒドラターゼ |
JP2004215513A (ja) * | 2003-01-09 | 2004-08-05 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 改良型ニトリルヒドラターゼ |
JP2004222538A (ja) * | 2003-01-20 | 2004-08-12 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 改良型ニトリルヒドラターゼ |
US7645605B2 (en) * | 2004-05-26 | 2010-01-12 | Mitsubishi Rayon Co., Ltd | Heat-resistant nitrile hydratase |
JP4916685B2 (ja) * | 2005-08-05 | 2012-04-18 | 三菱レイヨン株式会社 | 改良型ニトリルヒドラターゼ |
JP4916709B2 (ja) * | 2005-11-24 | 2012-04-18 | 三菱レイヨン株式会社 | 改良型ニトリルヒドラターゼ |
-
2007
- 2007-04-04 JP JP2007098186A patent/JP5069032B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008253182A (ja) | 2008-10-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5069032B2 (ja) | 改良型ニトリルヒドラターゼ | |
JP4916709B2 (ja) | 改良型ニトリルヒドラターゼ | |
US10487320B2 (en) | Nitrile hydratase | |
JP4922757B2 (ja) | 改良型ニトリルヒドラターゼ | |
JP5915649B2 (ja) | 改良型ニトリルヒドラターゼ | |
JP4916685B2 (ja) | 改良型ニトリルヒドラターゼ | |
JP6690747B2 (ja) | 改良型ニトリルヒドラターゼ | |
JP5532618B2 (ja) | 改良型ニトリルヒドラターゼ及びその製造方法 | |
AU2015203203B2 (en) | Improved nitrile hydratase |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20090325 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20090326 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100330 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20101105 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20110117 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20110117 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20120411 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20120411 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120515 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120705 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120724 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120816 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150824 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5069032 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R360 | Written notification for declining of transfer of rights |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360 |
|
R370 | Written measure of declining of transfer procedure |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |