JPWO2018105633A1 - 蓄光体および蓄光素子 - Google Patents
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Abstract
Description
こうした蓄光材料の中でも、特に、発光時間が長い蓄光材料として、Eu、Ce、Tb等の希土類元素を含む無機塩が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、有機化合物からなる蓄光材料であれば、粒径制御のような複雑な工程を行うことなく製造することができ、また、無尽蔵に存在する炭素が主な構成元素であるために製造コストを低く抑えることができる。また、有機化合物は分子設計により特性を多様に変化させることができるため、励起波長や発光波長、発光時間を容易に制御することが可能である。さらに、有機化合物は、通常、透明性を確保しやすく、多くの有機溶媒に溶解させることができるため、均一な膜を形成し易いという利点もある。
しかし、従来から用いられている有機系蓄光材料は、有機化合物である燐光材料のフォトルミネッセンスを単純に利用したものであり、その発光時間は、主として有機化合物自体の励起三重項状態の寿命(燐光の発光寿命)に依拠している。このため、従来の有機系蓄光材料では、発光時間を延ばすのにも限界があり、十分な発光時間が得られないのが実情である。
そこで本発明者らは、希土類元素を用いずに有機化合物だけで、十分な発光時間が得られる蓄光体および蓄光素子を提供することを目的として鋭意検討を進めた。
[2] 前記蓄光体への光照射を停止した後に20℃においても発光が観測される、[1]に記載の蓄光体。
[3] 前記蓄光体への光照射に伴って、前記電子ドナー分子から前記電子アクセプター分子へ電子が移動して、ラジカルカチオン状態の電子ドナー分子とラジカルアニオン状態の電子アクセプター分子が生成する、[1]または[2]に記載の蓄光体。
[4] 前記蓄光体への光照射に伴って、前記電子アクセプター分子のHOMOからLUMOへ電子が遷移する、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の蓄光体。
[5] 前記電子ドナー分子のHOMOから前記電子アクセプター分子のHOMOへ電子が移動して、ラジカルカチオン状態の電子ドナー分子とラジカルアニオン状態の電子アクセプター分子が生成する、[4]に記載の蓄光体。
[6] 前記蓄光体への光照射に伴って、前記電子ドナー分子のHOMOからLUMOへ電子が遷移する、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の蓄光体。
[7] 前記電子ドナー分子のLUMOから前記電子アクセプター分子のLUMOへ電子が移動して、ラジカルカチオン状態の電子ドナー分子とラジカルアニオン状態の電子アクセプター分子が生成する、[6]に記載の蓄光体。
[8] 前記ラジカルアニオン状態の電子アクセプター分子のLUMOから他の電子アクセプター分子のLUMOへ電子が移動する、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の蓄光体。
[9] 前記ラジカルアニオン状態の電子アクセプター分子のLUMOからの電子が、前記ラジカルカチオン状態の電子ドナー分子の正孔と再結合してエネルギーが生成する、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の蓄光体。
[10] 前記蓄光体への光照射に伴って、前記電子ドナー分子と前記電子アクセプター分子がエキサイプレックスを形成する、[1]〜[9]のいずれか1項に記載の蓄光体。
[11] 前記電子と前記正孔が再結合して生成した前記エネルギーにより、前記電子ドナー分子と前記電子アクセプター分子がエキサイプレックスを形成する、[10]に記載の蓄光体。
[12] 前記エキサイプレックスが発光する、[10]または[11]に記載の蓄光体。
[13] 前記電子ドナー分子と前記電子アクセプター分子の他にさらに発光材料を有する、[1]〜[12]のいずれか1項に記載の蓄光体。
[14] 前記発光材料が発光する、[13]に記載の蓄光体。
[15] 前記発光が蛍光を含む、[1]〜[14]のいずれか1項に記載の蓄光体。
[16] 前記発光が蛍光と燐光を含む、[1]〜[14]のいずれか1項に記載の蓄光体。
[17] 前記発光が、さらに遅延蛍光を含む、[15]または[16]に記載の蓄光体。
[18] 前記電子アクセプター分子の含有率が、前記電子アクセプター分子と前記電子ドナー分子の合計モル数に対して50mol%超である、[1]〜[17]のいずれか1項に記載の蓄光体。
[19] 前記電子アクセプター分子が、下記の部分構造を有する、[1]〜[18]のいずれか1項に記載の蓄光体。
[20] 前記電子アクセプター分子が、ホスフィンオキシド構造R3P(=O)(Rは置換基を表し、3つのR同士は、互いに同一であっても異なっていてもよい)を2つ以上と、それ以外にヘテロ原子を1つ以上含む、[1]〜[19]のいずれか1項に記載の蓄光体。
[21] 前記ヘテロ原子が、N、O、SおよびPから選択される少なくとも1種である、[20]に記載の蓄光体。
[22] 前記電子ドナー分子が、ジアルキルアミノ基と芳香環を有する、[1]〜[21]のいずれか1項に記載の蓄光体。
[23] 前記電子ドナー分子と前記電子アクセプター分子が混合している、[1]〜[22]のいずれか1項に記載の蓄光体。
[24] 前記電子アクセプター分子の100質量倍以上の量の前記電子ドナー分子を含む領域と、前記電子ドナー分子の100質量倍以上の量の前記電子アクセプター分子を含む領域が存在する、[1]〜[23]のいずれか1項に記載の蓄光体。
[25] 前記電子アクセプター分子の100質量倍以上の量の前記電子ドナー分子を含む領域と、前記電子ドナー分子の100質量倍以上の量の前記電子アクセプター分子を含む領域とが互いに接している、[24]に記載の蓄光体。
[26] 前記電子アクセプター分子か前記電子ドナー分子の少なくとも一方が、繰り返し単位を有する重合体である、[1]〜[25]のいずれか1項に記載の蓄光体。
[27] [1]〜[26]のいずれか1項に記載の蓄光体を含む蓄光膜を支持体上に有する蓄光素子。
本明細書における「室温」とは20℃のことを意味する。
本明細書における「電子求引基」とはハメットのσp値が正である置換基を意味し、「電子供与基」とはハメットのσp値が負である置換基を意味する。ハメットのσp値に関する説明と各置換基の数値については、Hansch,C.et.al.,Chem.Rev.,91,165-195(1991)のσp値に関する記載を参照することができる。
本発明の蓄光体は、ラジカルカチオン状態が安定な電子ドナー分子とラジカルアニオン状態が安定な電子アクセプター分子を有しており、蓄光体への光照射を停止した後に10Kで発光が観測されるものである。
本発明における「電子ドナー分子」とは、蓄光体への光照射に伴って、電子を放出してラジカルカチオン状態になる分子を意味し、本発明における「電子アクセプター分子」とは、電子ドナー分子が放出した電子を受け取ってラジカルアニオン状態になる分子を意味する。「ラジカルカチオン」や「ラジカルアニオン」といったラジカルの存在は、ESR(Electron Spin Resonance)測定等により確認することができる。
本発明における「エキサイプレックス発光」とは、電子ドナー分子と電子アクセプター分子が会合して形成した励起状態(エキサイプレックス)からの発光を意味し、電子ドナー分子単独で観測される発光、および、電子アクセプター分子単独で観測される発光とは発光スペクトルのパターンが異なる発光である。本発明における「10Kで発光が観測される」とは、10Kで蓄光体に光を照射したとき、電子ドナー分子単独で観測される発光、および、電子アクセプター分子単独で観測される発光と発光スペクトルのパターンが異なる発光が観測されることを言う。ここで、本発明の蓄光体の発光スペクトルのパターンは、電子ドナー分子単独で観測される発光スペクトル、および、電子アクセプター分子単独で観測される発光スペクトルに対して、発光スペクトルの形状が異なっていればよく、発光極大波長が異なっていてもよいし、発光ピークの半値幅や立ち上がりの傾きが異なっていてもよいし、発光ピークの数が異なっていてもよい。
本発明の蓄光体は、こうした発光が10Kで(好ましくは20℃でも)観測されるものであって、その電子ドナー分子のラジカルカチオン状態が安定であり、電子アクセプター分子のラジカルアニオン状態が安定なものである。これにより、この蓄光体では、光照射が行われている間にラジカルカチオン状態の電子ドナー分子およびラジカルアニオン状態の電子アクセプター分子が蓄積し、光照射を停止した後にも、それらの再結合により発光が引き続き起こると推定される。そのため、この蓄光体は、長時間発光を継続することができる。
ここで、本明細書中では、光照射を停止した時点からの発光を「残光」と言い、光照射を停止した時点から発光強度が検出できなくなるまでの時間を「残光時間」と言うことがある。本願でいう蓄光体は残光時間が0.1秒以上の蓄光体を意味し、本発明の蓄光体の残光時間は1秒以上であることが好ましく、5秒以上であることがより好ましく、5分以上であることがさらに好ましく、20分以上であることがさらにより好ましい。本発明の蓄光体は、10Kにおいてこのような長い残光時間を達成するだけでなく、20℃においてもこのような長い残光時間を達成するものであることが好ましい。
発光強度は、例えば分光測定装置(浜松ホトニクス社製:PMA-50)を用いて測定することができる。0.01cd/m2未満の発光は、発光強度が検出できないとみなすことができる。
図1上図に示すように、この蓄光体に光が照射されると、電子アクセプター分子が光を吸収して、そのHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)からLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)へ電子が遷移し[1]、その電子アクセプター分子のHOMOへ、電子ドナー分子のHOMOから電子が移動する[2]。これにより、ラジカルカチオン状態の電子ドナー分子とラジカルアニオン状態の電子アクセプター分子からなる電荷分離状態が生成する。電子アクセプター分子のLUMOに遷移した電子は隣接する電子アクセプター分子のLUMOへ順次移動して拡散する[3]。拡散した電子が電子ドナー分子の存在領域と電子アクセプター分子の存在領域の界面に到達すると、その界面に存在する電子ドナー分子のホールと再結合し[4]、これによりエネルギーが発生する。その再結合エネルギーにより、例えば電子ドナー分子と電子アクセプター分子が会合してエキサイプレックス(励起状態)が形成される[5]。このとき、励起一重項状態S1と励起三重項状態T1の発生確率は25%:75%であり、励起一重項状態S1が基底状態へ戻る際に蛍光が放射され、励起三重項状態T1が基底状態へ戻る際に燐光が放射される。あるいは、励起三重項状態T1から励起一重項状態S1への逆項間交差が生じ、その励起一重項状態S1が基底状態へ戻る際に蛍光が放射される。この逆項間交差を経て放射される蛍光は、基底状態から直接遷移した励起一重項状態S1からの蛍光よりも遅れて観測される蛍光であり、本明細書中では「遅延蛍光」と称する。
ここで、電子ドナー分子と電子アクセプター分子とで形成されるエキサイプレックスでは、電子ドナー分子と電子アクセプター分子が空間的に離れていることにより、電子ドナーと電子アクセプターが1分子内に存在する場合に比べて最低励起一重項エネルギー準位と最低励起三重項エネルギー準位との差ΔESTを極めて小さくすることができる。これにより、上記の逆項間交差が高い確率で生じ、励起三重項状態T1のエネルギーも蛍光発光に有効に利用することができる。このため、高い発光効率を得ることができる。また、本発明では、上記の[2]の過程で生成する電子ドナー分子のラジカルカチオン状態および電子アクセプター分子のラジカルアニオン状態が安定であることにより、光照射が行われている間に、そのラジカルカチオン状態の電子ドナー分子とラジカルアニオン状態の電子アクセプター分子が効率よく蓄積すると推測される。このため、この蓄光体は、光照射を停止した後にも、上記の[4]以降の発光メカニズムが働き、長時間発光を継続することができる。
以上の発光メカニズムで蓄光体が発光することは、蓄光体に光を3分間照射した後に、光照射を停止し、その後の発光強度の経時変化を、縦軸に発光強度の対数をとり、横軸に経過時間の対数をとって両対数グラフとし、その両対数グラフが直線関係であることをもって確認することができる。ここで、蓄光体に照射する励起光には電子アクセプター分子の吸収波長または電子ドナー分子の吸収波長に一致する波長の光を用いることができる。
なお、有機化合物のフォトルミネッセンスによる通常の燐光では、縦軸に発光強度の対数をとり、横軸に時間(対数ではない通常の時間)をとってプロットした片対数グラフが直線(1次減衰)になることが確認されている。これに対して、本発明の蓄光体からの発光では、この片対数グラフは直線にならず、通常の燐光とは発光メカニズムが明らかに相違する。
以上、本発明の蓄光体の発光メカニズムについて説明したが、本発明の蓄光体は、上記の過程以外の過程で発光を生じてもよい。例えば、蓄光体に光が照射されたとき、図1下図に示すように、電子ドナー分子が光を吸収して、そのHOMOからLUMOへ電子遷移し[1]、電子アクセプター分子のLUMOへ電子が移動し[2]、電荷分離状態が生成してもよい。このように、HOMOからLUMOへの光吸収による電子遷移が電子アクセプター分子で起きるか電子ドナー分子で起きるかは、電子ドナー分子と電子アクセプター分子の存在比と、これら分子の吸収波長に依存する。すなわち、電子ドナー分子の存在比が比較的大きい場合や、電子ドナー分子の吸収波長が電子アクセプター分子の吸収波長よりも照射光の波長に近い場合には、電子ドナー分子のLUMOから電子アクセプター分子のLUMOへ電子が移動する経路で電荷分離状態が生成し易い傾向がある。
また、電荷分離状態が生成した後、電子ドナー分子に生じたホールが、隣接する電子ドナー分子のHOMOへ順次移動して拡散してもよい。この場合、拡散したホールが電子ドナー分子存在領域と電子アクセプター分子存在領域の界面で電子アクセプター分子の電子と再結合し、エネルギーが発生する。その再結合エネルギーにより、上記の[4]以降の発光メカニズムで発光が生じる。ホールが拡散する態様では、電子は拡散せず、ホールのみが拡散してもよく、電子とホールの両方が拡散してもよい。ただし、本発明の蓄光体では、ホールのみが拡散するよりも、電子のみが拡散するか、電子とホールの両方が拡散することが好ましい。
電子ドナー分子と電子アクセプター分子の存在比(モル比)は、特に制限されないが、電子アクセプター分子の存在比の方が電子ドナー分子の存在比よりも大きいことが好ましい。これにより、電子アクセプター分子のLUMOからLUMOに亘って電子が移動し易く、電子とホールの再結合を高い確率で発生させることができる。蓄光体における電子ドナー分子の含有量については、電子ドナー分子の含有量の項で具体的に説明する。
以下において、この蓄光体が含む電子アクセプター分子および電子ドナー分子、必要に応じて添加されるその他の成分について説明する。
本発明の蓄光体を構成する電子アクセプター分子は、ラジカルアニオン状態が安定であり、電子ドナー分子と組み合わることにより10Kで残光放射を実現しうるものである。例えば、10Kで(および好ましくは20℃においても)電子ドナー分子とエキサイプレックスを形成して発光するものを選択することができる。電子アクセプター分子のHOMOとLUMOのギャップは1.0〜3.5eVであることが好ましく、1.5〜3.4eVであることがより好ましく、2.0〜3.3eVであることがさらに好ましい。これにより、蓄光体への光照射に伴って、そのHOMOからLUMOへの電子遷移を効率よく生じさせることができる。また、電子アクセプター分子のLUMOは6.0eV以下であることが好ましく、5.5eV以下あることがより好ましく、5.0eV以下であることがさらに好ましい。これにより、電荷分離状態が生成した後、電子アクセプター分子のLUMOからLUMOに亘って電子が移動し易く、ホールとの再結合を高い確率で発生させることができる。
電子アクセプター分子のHOMOは光電子分光法またはサイクリックボルタンメトリーにより測定することができ、またLUMOはサイクリックボルタンメトリーまたは吸収スペクトルより求めることが出来る。
また、電子アクセプター分子は、室温においてガラス状態で存在しうるように、高いガラス転移温度Tgを有するものであることが好ましく、また、成膜したときに高い膜密度が得られるものであることが好ましい。膜における電子アクセプターの密度が高いことにより、電荷分離状態が生成した後、電子アクセプター分子のLUMOからLUMOに亘って電子が拡散し易く、電子とホールの再結合を高い確率で発生させることができる。
ホスフィンオキシド構造の置換基Rは、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基であることが好ましい。アリール基を構成する芳香環の説明と好ましい範囲、アリール基の具体例については、下記のAr11等が置換もしくは無置換のアリール基であるときのアリール基を構成する芳香環についての説明と好ましい範囲、アリール基の具体例を参照することができる。ヘテロアリール基を構成する複素環の説明と好ましい範囲、ヘテロアリール基の具体例については、下記のAr11等が置換もしくは無置換のヘテロアリール基であるときのヘテロアリール基を構成する複素環についての説明と好ましい範囲、ヘテロアリール基の具体例を参照することができる。アリール基およびヘテロアリール基に置換しうる置換基の具体例と好ましい範囲については、Ar11等におけるアリール基およびヘテロアリール基に置換しうる置換基の具体例と好ましい範囲を参照することができる。
以下に一般式(2)および一般式(3)におけるL1の好ましい具体例を挙げるが、本発明で採用することができる基は以下の具体例に限定されることはない。なお、nは1以上の整数を表す。
蓄光体を構成する電子ドナー分子は、ラジカルカチオン状態が安定であり、電子アクセプター分子と組み合わることにより10Kで残光放射を実現しうるものである。例えば、10Kで(および好ましくは20℃においても)電子アクセプター分子とエキサイプレックスを形成して発光するものを選択することができる。電子ドナー分子のHOMOは電子アクセプター分子のHOMOよりも高く、そのLUMOが電子アクセプター分子のLUMOよりも高いことが好ましい。これにより、電子ドナー分子のHOMOから電子アクセプター分子のHOMOまたはLUMOへの電子移動が生じ易くなり、電荷分離状態を効率よく生成することができる。具体的には、電子ドナー分子のHOMOは、-3.5〜-8.0eVであることが好ましく、-4.0〜-7.0eVであることがより好ましく、-4.5〜-6.0eVであることがさらに好ましい。
電子ドナー分子のHOMOおよびLUMOはHOMOは光電子分光法またはサイクリックボルタンメトリーにより測定することができ、またLUMOはサイクリックボルタンメトリーまたは吸収スペクトルより求めることが出来る。
蓄光体における電子ドナー分子の含有量は、電子ドナー分子と電子アクセプター分子の合計モル数に対して60mol%未満であることが好ましく、30mol%未満であることがより好ましく、20mol%未満であることがさらに好ましく、10mol%未満であることがさらにより好ましい。また、蓄光体における電子ドナー分子の含有量は、電子ドナー分子と電子アクセプター分子の合計モル数に対して0.001mol%超であることが好ましく、0.01mol%超であることがより好ましく、1mol%超であることがさらに好ましい。電子ドナー分子の含有量を変えることにより、蓄光体が発光する発光色を制御することができる。例えば、電子ドナー分子の含有量を多くする程、エキサイプレックス形成が強くなり長波長の発光になるという現象が見られる。こうした現象を利用することで、蓄光体の発光色や発光時間を制御することができる。例えば、実施例で使用しているPO2CzPhを電子アクセプター分子として含み、TMBを電子ドナー分子として含む蓄光体では、TMBの含有量が30mol%未満である場合には青色光を観測することができ、TMBの含有量が30mol%超である場合には黄色光が観測される。
本発明の蓄光体は、電子アクセプター分子と電子ドナー分子のみから構成されていてもよいし、その他の成分が添加されていてもよいし、電子アクセプター分子および電子ドナー分子、その他の成分を溶解する溶媒を含んでいてもよい。その他の成分として、例えば蛍光材料、燐光材料や遅延蛍光を放射する発光材料(遅延蛍光材料)等の発光材料や、キャリアトラップ材料を挙げることができる。ここで、「遅延蛍光」とは、エネルギー供与により励起状態になった化合物において、励起三重項状態から励起一重項状態への逆項間交差が生じた後、その励起一重項状態から基底状態に戻る際に放射される蛍光であり、直接生じた励起一重項状態からの蛍光(通常の蛍光であり、前記遅延蛍光以外の蛍光)よりも遅れて観測される蛍光である。
蓄光体に蛍光材料を添加することにより、発光波長を制御することができる。
蓄光体に燐光材料を添加することにより、蓄光体が発光する燐光の割合を増加させることができ、燐光の割合を100%にすることもできる。
一方、蓄光体に遅延蛍光材料を添加した場合には、その遅延蛍光材料で励起三重項エネルギー状態から励起一重項エネルギー状態への逆項間交差が生じうるため、蓄光体が発光する蛍光の割合を増加させることができ、蛍光の割合を100%にすることもできる。
蓄光体に添加する燐光材料および遅延蛍光材料としては、公知のものを選択して用いることができる。
蓄光体に燐光材料や遅延蛍光材料を添加する場合、燐光材料および遅延蛍光材料の添加量は、それぞれ、蓄光体の全質量に対して50mol%未満であることが好ましく、25mol%未満であることがより好ましく、0.001〜10mol%であることがさらに好ましい。
また、蓄光体にはキャリアトラップ材料を添加することもできる。キャリアトラップ材料を添加することにより、電荷分離により生じた電子アクセプター分子のラジカルカチオンからキャリアトラップ材料への電子移動がおき、キャリアトラップ材料中で電子をより安定に蓄積することができる。キャリアトラップ材料に蓄積された電子は熱などのエネルギーで再び電子アクセプター分子に戻り、電子ドナー材料の界面で再結合することで蓄光発光が得られる。
キャリアトラップ材料としては、そのLUMO準位が電子アクセプター分子のLUMO準位と近い材料が好ましい。キャリアトラップ材料のLUMO準位は、電子アクセプター分子のLUMO準位より0.001eV以上低いことが好ましく、0.01eV以上低いことがより好ましく、0.1eV以上低いことがさらに好ましい。また、キャリアトラップ材料のLUMO準位と、電子アクセプター分子のLUMO準位との差は、0.5eV以下であることが好ましく、0.4eV以下であることがより好ましく、0.3eV以下であることがさらに好ましい。
本発明の蓄光体は、光が照射されることにより、光照射を停止した後にも、発光(残光)が長時間継続する。
蓄光体の発光は、電子ドナー分子と電子アクセプター分子が会合して形成したエキサイプレックスからの発光か、その他の成分として添加した発光材料(蛍光材料、燐光材料、遅延蛍光材料のうちの少なくとも1つ)からの発光を少なくとも含み、電子アクセプター分子と会合していない電子ドナー分子からの発光や、電子ドナー分子と会合していない電子アクセプター分子からの発光を含んでいてもよい。発光する光は、蛍光および燐光のいずれか一方であってもよく、蛍光と燐光の両方であってもよいし、さらに、遅延蛍光を含んでいてもよい。
蓄光体から残光を得るための励起光は、太陽光であってもよいし、特定の波長範囲の光を出射する人工光源からの光であってもよい。
蓄光体から残光を得るために行う光照射の時間は、1μ秒以上であることが好ましく、1m秒以上であることがより好ましく、1秒以上であることがさらに好ましく、10秒以上であることがさらにより好ましい。これにより、ラジカルアニオンとラジカルカチオンを十分に生成することができ、光照射を停止した後に、発光を長時間継続させることができる。
本発明の蓄光体は、電子アクセプター分子と電子ドナー分子を有していればよく、その形態は特に限定されない。このため、電子アクセプター分子と電子ドナー分子を混合した混合物であってもよいし、電子アクセプター分子と電子ドナー分子がそれぞれ別の領域に存在しているものであってもよい。電子アクセプター分子と電子ドナー分子を混合した混合物としては、例えば、電子アクセプター分子と電子ドナー分子を溶媒に溶解して得た溶液や、電子アクセプター分子と電子ドナー分子を含む薄膜(蓄光膜)を挙げることができる。また、電子アクセプター分子と電子ドナー分子がそれぞれ別の領域に存在している例としては、電子アクセプター分子の100質量倍以上の量の電子ドナー分子を含む領域と電子ドナー分子の100質量倍以上の量の電子アクセプター分子を含む領域を有するもの、電子アクセプター分子を含まず電子ドナー分子を含む領域と電子ドナー分子を含まず電子アクセプター分子を含む領域を有するもの、これらの2つの領域が互いに接しているもの、これらの領域が層状(薄膜を含む)であるものを挙げることができる。
電子アクセプター分子と電子ドナー分子を用いた薄膜は、ドライプロセス、ウェットプロセスのどちらで成膜されたものであってもよい。例えば、加熱溶融させた電子アクセプター分子の融液に電子ドナー分子を添加して混合し、冷却して得たガラス状の薄膜であってもよい。ウェットプロセスで成膜するときに用いる溶媒は、溶質となる電子アクセプター分子や電子ドナー分子に相溶性を有する有機溶媒であればよい。有機溶媒を用いて、例えば、電子アクセプター分子と電子ドナー分子の混合溶液を調製したり、電子アクセプター分子だけを溶解した溶液を調製したり、電子ドナー分子のみを溶解した溶液を調製することができる。混合溶液を支持体上に塗布して乾燥すれば電子アクセプター分子と電子ドナー分子の混合薄膜を形成することができ、また、支持体上に電子アクセプター分子の溶液と電子ドナー分子の溶液を順次塗布して乾燥することにより電子アクセプター分子の薄膜と電子ドナー分子の薄膜を互いに接するように形成することもできる(電子アクセプター分子の溶液と電子ドナー分子の溶液の塗布順は順不同である)。
薄膜の平面形状は用途に応じて適宜選択することができ、例えば、正方形状、長方形状等の多角形状、真円状、楕円状、長円状、半円状のような連続形状であってもよいし、幾何学模様や文字、図形等に対応する特定のパターンであってもよい。
本発明の蓄光素子は、本発明の蓄光体を支持体上に有するものである。蓄光体は通常は膜状にして支持体上に形成される。支持体上に形成される膜は、単一膜でもよいし、複数の膜からなるものであってもよい。単一膜や、複数の膜のうちの一部の膜は、電子アクセプター分子と電子ドナー分子の両方を含む膜とすることができる。また、複数の膜のうちの一部の膜を電子アクセプター分子を含み電子ドナー分子を含まない膜とし、一部の膜を電子ドナー分子を含み電子アクセプター分子を含まない膜とすることもできる。このとき、これらの2種類の膜は互いに接するように構成することもできる。
蓄光体については、蓄光体の欄の対応する記載を参照することができる。なお、蓄光膜の形態については、蓄光体の形態の欄の薄膜についての記載を参照することができる。
支持体については、特に制限はなく、蓄光材料に慣用されているものであればよい。支持体の材料として、例えば紙、金属、プラスチック、ガラス、石英、シリコン等を挙げることができる。可撓性がある支持体に形成することもできるため、用途に応じて様々な形状にすることも可能である。
蓄光膜は、全体が封止材により覆われていることが好ましい。封止材には、ガラス、エポキシ樹脂等の水や酸素の透過率が低い透明材料を用いることができる。
本発明によれば、透明な蓄光体を提供することが可能である。このため、従来の無機材料と異なり、多様な用途に使用し、応用することが可能である。例えば、ガラス等の透明な材料でできた2枚の支持体で本発明の透明な蓄光体を挟み込むことにより、透明な蓄光板を形成すること等が可能である。支持体の透明性を調節すれば、半透明な蓄光板にすることもできる。また、本発明によれば、発光色が異なる透明な蓄光膜を積層することにより、外部へ放出される光の色味を調整することも可能である。
本発明の蓄光組成物は、有機化合物としての電子ドナー分子、電子アクセプター分子および発光材料を溶媒中で混合し塗布するだけで、蓄光品を構成することができる。そのため、本発明の蓄光組成物は、希少元素を含む無機材料の高温焼成、微粒子化および分散工程を用いて蓄光品を構成する無機蓄光材料に比べて、材料調達が容易であるとともに、蓄光品の製造コストが低く抑えられ、また、蓄光品に透明性・フレキシブル性・柔軟性を持たせることができるというメリットがある。よって、本発明の蓄光組成物は、一般的な蓄光品に用いうることの他、上記の特徴を活かして、これまでにない新規な用途を実現することができる。
例えば、本発明の蓄光組成物は、電子ドナー分子および電子アクセプター分子を適宜選択することにより、青色光〜近赤外線領域に亘る広い波長範囲の中で特定の発光波長を実現することができる。このうち、緑色光を発光する蓄光組成物は、緑色の視感強度が強いため、標識用の蓄光塗料として効果的に用いることができる。また、赤色〜近赤外領域の光を発光する蓄光組成物は、その波長領域の光が生体を透過しやすいため、バイオイメージングに用いる標識材料として有用である。さらに、様々な発光色の蓄光組成物を組み合わせて使用することにより、意匠性に優れた物品を提供することができ、また、パスポートなどの公文書偽造防止システムなどにも応用することができる。
さらに、この蓄光塗料で描いた安全誘導標識を用いれば、災害時に長時間にわたる安全な避難誘導が実現するほか、この蓄光塗料を省エネ照明、住宅建材、鉄道、モバイル機器などにコーティングして災害時避難システムの構築が可能となる。
また、本発明の蓄光組成物を含有する蓄光塗料は印刷用インキとしても用いることもできる。これにより、意匠性に優れ、暗闇や災害時の誘導にも用いうる印刷物を得ることができる。こうした蓄光印刷用インキは、例えば、表紙、パッケージ、ポスター、POP、ステッカー、案内看板、避難誘導サイン、安全用品、防犯用品のための印刷に好ましく用いることができる。
こうした蓄光成形品として、例えば電飾看板、商品ディスプレイ、液晶バックライト、照明ディスプレイ、照明器具カバー、交通標識、安全標識、夜間視認性向上部材、サインボード、スクリーン、反射板やメーター部品等の自動車部品、娯楽施設の遊具や玩具、ノートパソコン、携帯電話などのモバイル機器をはじめ、自動車室内や建物内の標示ボタン、時計の文字盤、アクセサリー類、文具類、スポーツ用品、各種の電気・電子・OA機器等の分野における筐体やスイッチ、ボタン類等を挙げることができる。
また、本発明の蓄光組成物は透明性に優れるため、この蓄光組成物をガラスの表面にコーティングするか、蓄光組成物と樹脂の混合物を薄板状に成形することで、蓄光機能を有する調光窓を実現することができる。さらに、蓄光組成物からなる薄板と反射板を積層した場合には、高輝度の蓄光板を得ることができる。こうした蓄光板は、発光誘導タイルとして、各種災害に伴う避難経路道部材、階段段板、蹴込版、框材、溝蓋材、屋外駐車場部材、 港湾整備部材、道路施設安全部材、高所作業足場部材、海上浮遊施設足場部材、山岳遊歩道関連部材、耐塩害性耐候看板等に用いることができる。
また、本発明の蓄光組成物を繊維にコーティングすることにより、蓄光繊維やそれを用いた布類や蓄光衣類を得ることができる。こうした蓄光繊維品として、夜間用作業衣、帽子、非常通路用カーペット、ブライダル衣装、壁掛け、車両用内装材等を挙げることができる。
さらに、本発明の蓄光体は、電荷分離状態が長寿命である。そのため、広い分野で様々な用途に用いることができる。例えば、本発明の蓄光体は、光エネルギーにより電荷分離状態を形成して物質の生産に導く人工光合成の分野に応用することができる。また、本発明の蓄光体は、熱エネルギーや力学的エネルギーに応答する素子としても効果的に用いることができる。例えば、熱エネルギーに応答する素子として、励起光の照射により蓄光体を電荷分離状態とした後、熱を加えて瞬発的に発光させる熱スイッチングを挙げることができる。また、力学的エネルギーに応答する素子として、電荷分離状態とした蓄光体に、圧力などの力学的エネルギーを加えることによって発光する素子や、電荷分離状態とした蓄光体に、圧力などの力学的エネルギーを加えることによって発光状態が変化する素子を挙げることができる。
本実施例で特性を評価した化合物を以下に示す。
窒素雰囲気のグローブボックス中で、石英基板をPO2CzPhの融点以上(300℃以上)の温度に加熱し、その石英基板の上でPO2CzPhを融解させた。このPO2CzPhの融液に、TMBを10mol%の濃度で添加して混合し、急冷することでガラス状態の蓄光膜を形成し、ガラス基板と紫外線硬化樹脂で封止した。作製した蓄光膜について、紫外線吸収スペクトル(Abs)の結果と、室温で340nm励起光による発光スペクトルを測定した結果を図2に示す。
また、これとは別に、TMBの濃度を40mol%に変更すること以外は、上記と同様にしてPO2CzPhとTMBの蓄光膜を形成し、ガラス基板と紫外線硬化樹脂で封止した。
作製した各蓄光膜について、室温で340nm励起光による発光スペクトルを測定した結果を図3に示す。
また、作製した蓄光膜のうち、TMB濃度を10mol%にした蓄光膜について、10〜400Kの温度で340nm励起光を3分間照射した後に、光照射を停止し、その後の発光強度の経時変化を測定した。その発光強度の経時変化を、縦軸に発光強度の対数をとり、横軸に経過時間の対数をとって両対数グラフとした結果を図4に示す。
ここで、光を照射している間、および、光照射を停止してから5秒後、5分後、20分後に撮影した蓄光膜の写真を図9に示す。図9中の各写真は、それぞれ、その下方に示した化合物を電子アクセプター分子として含む蓄光膜の写真であり、実施例1で作製した蓄光膜の写真は、「PO2CzPh」で示した写真である。
窒素雰囲気のグローブボックス中で、PO2CzPhを2-メチルテトラヒドロフランまたはジクロロメタンに溶解して溶液(濃度10-5M)を調製した。
調製したPO2CzPhの2-メチルテトラヒドロフラン溶液について、340nm励起光により、300Kで蛍光スペクトルを測定した結果と、77Kで燐光スペクトルを測定した結果と、77Kで発光スペクトル(発光を全て合わせた発光スペクトル)を測定した結果と、PO2CzPhのジクロロメタン溶液について紫外線吸収スペクトル(Abs)を測定した結果を図5に示す。
また、このTMBの2-メチルテトラヒドロフラン溶液について、77Kで340nm励起光を3分間照射した後に、光照射を停止し、その後の燐光発光強度の経時変化を測定した。その発光強度の経時変化を、縦軸に発光強度の対数をとり、横軸に経過時間をとって片対数グラフとした結果を図7に示す。
窒素雰囲気のグローブボックス中で、TMBを2-メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタンまたはトルエンに溶解して溶液(濃度10-5M)を調製した。
調製したTMBの2-メチルテトラヒドロフラン溶液について、340nm励起光により、300Kで蛍光スペクトルを測定した結果と、77Kで燐光スペクトルを測定した結果と、77Kで発光スペクトル(発光を全て合わせた発光スペクトル)を測定した結果と、TMBのジクロロメタン溶液について紫外線吸収スペクトル(Abs)を測定した結果を図6に示す。
また、このTMBの2-メチルテトラヒドロフラン溶液について、77Kで340nm励起光を3分間照射した後に、光照射を停止し、その後の燐光の発光強度の経時変化を測定した。その発光強度の経時変化を、縦軸に発光強度の対数をとり、横軸に経過時間をとって片対数グラフとした結果を図7に示す。
図2の発光スペクトルは、図5および図6の発光スペクトルのいずれとも合致していないことから、実施例1で作製したPO2CzPhとTMBの蓄光膜からの発光はエキサイプレックス発光であることを確認することができた。また、図3において、TMBの添加濃度が異なる蓄光体同士で発光極大波長に差があることから、TMBの添加濃度により発光色が変化することが確認された。
次に、発光強度の経時変化について見ると、図4の発光強度を時間に対してプロットした両対数グラフの傾きは、いずれの温度条件においても1である。一方、図7の片対数グラフから、TMBの燐光強度減衰は1次指数関数減衰であることがわかる。このことから、実施例1で作製したPO2CzPhとTMBの蓄光膜は、TMBとは発光メカニズムが異なり、図1に示す発光メカニズムにより発光するものであることを確認することができた。
また、図9の写真から、実施例1で作製したPO2CzPhとTMBの蓄光体は光照射を停止してから5分経過後においても残光を認めることができ、優れた蓄光性能を有することが示された。
PO2CzPhの代わりに、PO2CzH、DPEPO、PPT、2CzPO、PyPO、P2CzPh、Estradiol、UGH3、mCP、mCBPまたはT2Tを用い、各化合物を融解させる際、その融点以上の温度に石英基板を加熱したこと以外は、実施例1と同様にしてTMB濃度が10mol%の各種蓄光膜を形成し、それぞれガラス基板と紫外線硬化樹脂で封止した。
実験例1で作製した蓄光膜のうち、PO2CzH、PPT、DPEPO、2CzPOを電子アクセプター分子として含む蓄光膜および実施例1で作製した蓄光膜について、300Kの温度で340nm励起光を3分間照射した後に、光照射を停止し、その後の発光強度の経時変化を測定した。その発光強度の経時変化を、縦軸に発光強度の対数をとり、横軸に経過時間の対数をとって両対数グラフとした結果を図8に示す。図8中の化合物名は、それぞれ、その化合物を電子アクセプター分子として含む蓄光体を表す。
また、実験例1で作製した各蓄光膜に、室温において、340nm励起光を3分間照射した後に、光照射を停止し、その光を照射している間、および、光照射を停止してから5秒後、5分後、20分後に蓄光膜の写真を撮影した。その写真を図9に示す。図9中の各写真は、それぞれ、その下方に示した化合物を電子アクセプター分子として含む蓄光膜の写真であり、例えば「PO2CzH」で示した写真は、PO2CzHを電子アクセプター分子として含む蓄光膜の写真である。
図8に示すように、PO2CzH、PPT、DPEPO、2CzPOを電子アクセプター分子として含む蓄光膜においても、発光強度を時間に対してプロットした両対数グラフは、1程度の傾きを有する直線状であった。また、図9の写真から、PO2CzPhの代わりにPO2CzH、DPEPO、PPT、2CzPOを用いた蓄光膜においても、PO2CzPhを用いた蓄光膜と同様に、残光が認められた。特に、PO2CzH、DPEPO、PPTを用いた蓄光膜では、光照射を停止してから5分経過後においても残光を確認することができた。このことから、これらの化合物を含む蓄光膜もPO2CzPhを含む蓄光膜と同様のメカニズムで発光することが示唆された。また、これらの化合物がTMBと組み合わせる電子アクセプター分子として有効に機能することも確認することができた。
TMBの代わりに、TPPD、TPA、PhCz、MeCzまたはmCPを用いること以外は、実施例1と同様にして各電子ドナー分子の濃度が10mol%の各種蓄光膜を形成し、それぞれガラス基板と紫外線硬化樹脂で封止した。
図10の写真から、TMBの代わりにTPPDを用いた蓄光膜においても、TMBを用いた蓄光膜と同様に残光が認められた。このことから、この化合物を含む蓄光膜もTMBを含む蓄光膜と同様のメカニズムで発光することが示唆された。また、TPPDがPO2CzPhと組み合わせる電子ドナー分子として有効に機能することも確認することができた。
PO2CzPhの融液に添加するTMBの濃度を、0〜100mol%の範囲で変えたこと以外は、実施例1と同様にして各種蓄光膜を作製し、それぞれガラス基板と紫外線硬化樹脂で封止した。
実験例3で作製した各蓄光膜に、室温において、340nm励起光を3分間照射した後に、光照射を停止した。光を照射している間、および、光照射を停止してから5秒後、5分後、20分後に撮影した蓄光膜の写真を図11に示す。
図11の写真から、電子ドナー分子が1〜60mol%である場合に残光が認められ、1〜30mol%である場合により明るい残光が見られ、特に、1〜20mol%では、光照射を停止してから5分経過後においても残光が認められた。このことから、電子ドナー分子の含有量は、電子アクセプター分子と電子ドナー分子の合計モル数に対して1〜60mol%であることが好ましく、1〜30mol%であることがより好ましく、1〜20mol%であることがさらに好ましいことがわかった。
この実施例では、実験例1で蓄光性能を確認したPPTを電子アクセプター分子とする蓄光体について、さらに特性を評価した。
PO2CzPhの代わりにPPTを用い、その融液に添加するTMBの濃度を1mol%としたこと以外は、実施例1と同様にして蓄光膜を形成し、ガラス基板と紫外線硬化樹脂で封止した。
作製した蓄光膜について、紫外可視吸収スペクトル(Absorption)を測定した結果と、検出波長510nmで励起スペクトル(excitation)を測定した結果と、300Kで340nm励起光による発光スペクトル(PL)および残光スペクトル(LPL)を測定した結果を図12に示す。ここで、「発光スペクトル(PL)」は励起光を照射中に観測された発光の発光スペクトルであり、「残光スペクトル(LPL)」は励起光の照射を停止した時点から5秒後に測定した発光スペクトルである。また、TMB濃度を1〜50mol%の範囲で変えて形成した蓄光膜について、発光スペクトル(PL)を測定した結果を図13に示す。ここで、図13および後述の図20の測定に用いている、TMB濃度が5mol%、10mol%、20mol%または50mol%である蓄光膜は、融液に添加するTMBの濃度を変えたこと以外は、この実施例2で他の測定に用いた蓄光膜(TMB濃度:1mol%)と同様にして形成したものである。
また、作製したTMB濃度が1mol%の蓄光膜に、300Kで340nm励起光(500μW)を60秒間照射した後に、光照射を停止し、その後の発光強度の経時変化を測定した。その発光強度の経時変化を、縦軸に発光強度の対数をとり、横軸に経過時間の対数をとって両対数グラフとした結果を図14に示す。また、励起光の照射を停止した時点から1秒後に測定した過渡吸収スペクトルを図15に示す。さらに、励起光の照射を停止した時点から30分までの間に逐次撮影した蓄光膜の写真を図16に示す。
また、図14における発光強度の経時変化を、励起光強度を変えて測定した結果を図17に示し、励起光の照射時間を変えて測定した結果を図18に示し、測定環境の温度を変えて測定した結果を図19に示し、TMB濃度を1mol%、5mol%、20mol%または50mol%とした各蓄光膜について測定した結果を図20に示す。ここで、図17、19、20で変更した項目以外の条件は、図14に示す発光強度の経時変化の測定条件(励起光強度:500μW、励起光の照射時間:60秒、測定環境の温度:300K)と同じである。図18の発光強度の経時変化は、励起光強度:10μW、測定環境温度:300Kで測定した。
窒素雰囲気のグローブボックス中で、PPTをトルエンに溶解して溶液(濃度1x10-5M)を調製した。
また、窒素雰囲気のグローブボックス中で、TMBをトルエンに溶解して溶液(濃度1x10-5M)を調製した。
調製したPPTおよびTMBの各トルエン溶液について、紫外可視吸収スペクトルを測定した結果と、340nm励起光により、300Kで蛍光スペクトルを測定した結果と、77Kで燐光スペクトルを測定した結果を図23に示す。
また、このPPTおよびTMBの各トルエン溶液について、77Kで340nm励起光を60秒間照射した後に、光照射を停止し、その後の燐光発光強度の経時変化を測定した。その発光強度の経時変化を、縦軸の発光強度の対数をとり、横軸に経過時間をとって片対数グラフとした結果を図24に示す。
次に、図14に示す残光の発光強度の経時変化を見ると、発光強度を時間に対してプロットした両対数グラフの傾きが1になっている。一方、上記の比較例2でも確認したように、TMBの燐光強度減衰は1次指数関数減衰である(比較例2の図7、比較例3の図24参照)。このことから、実施例2で作製したPPTとTMBの蓄光膜も、TMBとは発光メカニズムが異なり、図1に示す発光メカニズムにより発光するものであることを確認することができた。
また、図15の過渡吸収スペクトルは、光励起によって生成した活性種の吸収スペクトルに相当するものであり、これを見ると、ラジカルカチオンの吸収帯である600〜1400nmにピークが認められる。このことから、光励起された蓄光膜で、電子ドナーのラジカルカチオンが生成していることを確認することができた。
また、図16の写真から、実施例2で作製したPPTとTMBの蓄光膜は光照射を停止してから30分経過後においても残光を観測することができ、優れた蓄光性能を有することもわかった。
まず、励起光強度依存性に関して、通常の発光体からの発光では、励起光強度とともに発光が強くなるが、ある程度の励起光強度を超えると、発光強度が飽和する傾向が見られる。一方、図17を見ると、この蓄光膜では、励起光強度を高くしても発光強度が飽和せずに強くなっており、また、10μWという弱い励起光でも、十分な強度の発光が認められる。特に、弱い励起光で、十分な強度の発光を観測できていることが極めて特徴的である。
次に、通常の発光体における発光強度は励起時間に依存せず、励起時間を長くしても発光強度は変わらない。これに対して、図18から、この蓄光膜では励起時間を長くするほど、発光寿命と発光強度が増加していることがわかる。これは、光励起によりキャリア(ラジカルカチオンとラジカルアニオン)が生成して蓄積していることを示すものである。
次に、図19に示すサンプル温度依存性を見ると、10〜300Kの範囲では、ほとんど発光強度に変化がないことがわかる。このことから、この蓄光膜は、広い温度範囲で蓄光性能を発揮することができ、室温でも十分に蓄光体として機能することがわかる。
図20に示す電子ドナー濃度依存性については、電子ドナー濃度を高くしていくと、発光寿命が短くなる傾向が認められた。これは、電子ドナー分子であるTMBの濃度が大きいと、光励起によって生成した電子ドナー分子のラジカルカチオンと電子アクセプター分子のラジカルアニオンとの距離が短くなるために、その再結合確率が大きくなって、早期に発光のために消費されるからであると考えられる。
実施例2において、電子ドナー分子であるTMBと組み合わせて用いたPPTの代わりに電子アクセプター分子としてB3PYMPM、TmPyBP、T2T、PO-T2T、3TPYMB、Bphen、Bpy-OXDを用いて実施例2と同様にして蓄光体を作製し、ガラス基板と紫外線硬化樹脂で封止した。実施例2と同じ条件で測定した各蓄光体の発光スペクトルを図21に示し、発光強度の経時変化を図22に示す。
実施例2において、電子ドナー分子であるTMBの代わりにm-MTDATAを用い、電子アクセプター分子としてPPT、TmPyPB、3TPYMB、B3PYMPM、Bpy-OXDを用いたこと以外は、実施例2と同様にして蓄光膜を形成し、ガラス基板と紫外線硬化樹脂で封止した。実施例2と同じ条件で測定した各蓄光体の発光スペクトルを図25に示し、発光強度の経時変化を図26に示す。
実施例2において、電子アクセプター分子であるPPTと組み合わせて用いた電子ドナー分子であるTMBの代わりにCVを用いたこと以外は、実施例2と同様にして蓄光膜を形成し、ガラス基板と紫外線硬化樹脂で封止した。実施例2と同じ条件で測定した蓄光体の発光スペクトルを図27に示し、発光強度の経時変化を図28に示す。
実施例2において、電子アクセプター分子であるPPTと組み合わせて用いる電子ドナー分子としてTMB、m-MTDATA、TAPC、TPD、MeO-TPD、NTNPBを用いて、実施例2と同様にして蓄光膜を形成し、ガラス基板と紫外線硬化樹脂で封止した。実施例2と同じ条件で測定した蓄光体の発光スペクトルを図29に示し、発光強度の経時変化を図30に示す。
実施例2において、電子アクセプター分子であるPPTの代わりにB3PYMPMを用い、電子ドナー分子としてTMB、m-MTDATA、NPD、TCTAを用いて、実施例2と同様にして蓄光膜を形成し、ガラス基板と紫外線硬化樹脂で封止した。実施例2と同じ条件で測定した蓄光体の発光スペクトルを図31に示し、発光強度の経時変化を図32に示す。
窒素ガス環境下において、PPSU(100mg:Aldrich製、Tg=192℃)を1mLのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ、TMB またはm-MTDATA(1mg)を加えた。得られた溶液をドロップキャストし、200℃でアニールすることで蓄光膜を形成し、ガラス基板と紫外線硬化樹脂で封止した。実施例2と同じ条件で測定した蓄光体の発光スペクトルを図33に示し、発光強度の経時変化を図34に示す。
実施例8において、電子ドナー分子であるm-MTDATAの代わりにTMBを用い、電子アクセプター分子としてPBPO、PPSU、PPPOの各種ポリマーを用いて、実施例8と同様にして蓄光膜を形成し、ガラス基板と紫外線硬化樹脂で封止した。また、参照実験として TMBとシクロオレフィンポリマー(日本ゼオン製のZEONEX、以下においてZEOと略す)を用いた膜も形成し、ガラス基板と紫外線硬化樹脂で封止した。ZEOはアクセプター性を持たないホストとして用いたものである。実施例2と同じ条件で測定した蓄光体の発光スペクトルを図35に示し、発光強度の経時変化を図36に示す。図35において、三角は吸収スペクトルを示し、四角は蛍光と燐光を含む発光スペクトルを示し、丸は燐光の発光スペクトルを示す。電子アクセプター分子としてPBPO、PPSU、PPPOの各種ポリマーを用いた場合は、まず蛍光と燐光を含む発光が観測され、次いで燐光だけが観測され、2段階で減衰した。一方、ZEOを用いた場合は、ZEOにアクセプター性がないため蓄光が観測されず、初期のリン光のみが観測された。
Claims (27)
- ラジカルカチオン状態が安定な電子ドナー分子とラジカルアニオン状態が安定な電子アクセプター分子を有する蓄光体であって、前記蓄光体への光照射を停止した後に10Kで発光が観測される蓄光体。
- 前記蓄光体への光照射を停止した後に20℃においても発光が観測される、請求項1に記載の蓄光体。
- 前記蓄光体への光照射に伴って、前記電子ドナー分子から前記電子アクセプター分子へ電子が移動して、ラジカルカチオン状態の電子ドナー分子とラジカルアニオン状態の電子アクセプター分子が生成する、請求項1または2に記載の蓄光体。
- 前記蓄光体への光照射に伴って、前記電子アクセプター分子のHOMOからLUMOへ電子が遷移する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄光体。
- 前記電子ドナー分子のHOMOから前記電子アクセプター分子のHOMOへ電子が移動して、ラジカルカチオン状態の電子ドナー分子とラジカルアニオン状態の電子アクセプター分子が生成する、請求項4に記載の蓄光体。
- 前記蓄光体への光照射に伴って、前記電子ドナー分子のHOMOからLUMOへ電子が遷移する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄光体。
- 前記電子ドナー分子のLUMOから前記電子アクセプター分子のLUMOへ電子が移動して、ラジカルカチオン状態の電子ドナー分子とラジカルアニオン状態の電子アクセプター分子が生成する、請求項6に記載の蓄光体。
- 前記ラジカルアニオン状態の電子アクセプター分子のLUMOから他の電子アクセプター分子のLUMOへ電子が移動する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の蓄光体。
- 前記ラジカルアニオン状態の電子アクセプター分子のLUMOからの電子が、前記ラジカルカチオン状態の電子ドナー分子の正孔と再結合してエネルギーが生成する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の蓄光体。
- 前記蓄光体への光照射に伴って、前記電子ドナー分子と前記電子アクセプター分子がエキサイプレックスを形成する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の蓄光体。
- 前記電子と前記正孔が再結合して生成した前記エネルギーにより、前記電子ドナー分子と前記電子アクセプター分子がエキサイプレックスを形成する、請求項10に記載の蓄光体。
- 前記エキサイプレックスが発光する、請求項10または11に記載の蓄光体。
- 前記電子ドナー分子と前記電子アクセプター分子の他にさらに発光材料を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の蓄光体。
- 前記発光材料が発光する、請求項13に記載の蓄光体。
- 前記発光が蛍光を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の蓄光体。
- 前記発光が蛍光と燐光を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の蓄光体。
- 前記発光が、さらに遅延蛍光を含む、請求項15または16に記載の蓄光体。
- 前記電子アクセプター分子の含有率が、前記電子アクセプター分子と前記電子ドナー分子の合計モル数に対して50mol%超である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の蓄光体。
- 前記電子アクセプター分子が、下記の部分構造を有する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の蓄光体。
- 前記電子アクセプター分子が、ホスフィンオキシド構造R3P(=O)(Rは置換基を表し、3つのR同士は、互いに同一であっても異なっていてもよい)を2つ以上と、それ以外にヘテロ原子を1つ以上含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の蓄光体。
- 前記ヘテロ原子が、N、O、SおよびPから選択される少なくとも1種である、請求項20に記載の蓄光体。
- 前記電子ドナー分子が、ジアルキルアミノ基と芳香環を有する、請求項1〜21のいずれか1項に記載の蓄光体。
- 前記電子ドナー分子と前記電子アクセプター分子が混合している、請求項1〜22のいずれか1項に記載の蓄光体。
- 前記電子アクセプター分子の100質量倍以上の量の前記電子ドナー分子を含む領域と、前記電子ドナー分子の100質量倍以上の量の前記電子アクセプター分子を含む領域が存在する、請求項1〜22のいずれか1項に記載の蓄光体。
- 前記電子アクセプター分子の100質量倍以上の量の前記電子ドナー分子を含む領域と、前記電子ドナー分子の100質量倍以上の量の前記電子アクセプター分子を含む領域とが互いに接している、請求項24に記載の蓄光体。
- 前記電子アクセプター分子か前記電子ドナー分子の少なくとも一方が、繰り返し単位を有する重合体である、請求項1〜25のいずれか1項に記載の蓄光体。
- 請求項1〜26のいずれか1項に記載の蓄光体を支持体上に有する蓄光素子。
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