JPWO2018043744A1 - グリース - Google Patents

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Abstract

ナフテン系油を含む基油(A)と、ウレア系増ちょう剤(B)とを含有する、グリースを提供する。本発明のグリースは、クリーンルームのような発塵が極めて少ないクリーンな環境下で使用される装置の軸受や摺動部、接合部等の潤滑部分にも適用可能なレベルでの優れた低発塵性を有する。

Description

本発明は、グリースに関する。
一般に、半導体製造装置、液晶製造装置、プリント基板製造装置等の精密電子機器製造装置は、塵埃の非常に少ないクリーンな環境での使用が求められており、通常クリーンルーム内に設置される。また、食品製造工場や医薬品製造工場等においても、製品への異物の混入を避けるため、クリーンな環境が求められている。
このようなクリーンな環境下で用いられる装置や機器には、軸受や摺動部、接合部があり、その潤滑部分には、油飛散が低減された、すなわち低発塵性のグリースが用いられている。
このような低発塵性のグリースとしては、従来から、フッ素系グリースが使用されている。
しかしながら、フッ素系グリースは、一般的に高価であり、低発塵性も十分とは言い難い。また、フッ素系グリースは、他のグリースと比べて潤滑性能が不十分であり、当該フッ素系グリースを充填した潤滑部分のトルクが増大する場合がある。さらに、半導体装置等のような精密電子部品の製造においては、製品へのハロゲン成分の混入は、製品の歩留まりにも悪影響を及ぼす。
非ハロゲン系の低発塵性のグリースとしては、増ちょう剤としてリチウム系石鹸を用いたグリースが知られている。このようなグリースとして、特許文献1には、所定の動粘度を有する基油に、炭素数が10以上のヒドロキシル基を有していない脂肪酸のリチウム塩で、所定の繊維状の増ちょう剤を15〜30質量%含有するグリース組成物が開示されている。
また、非ハロゲン系の低発塵性のグリースとして、特許文献2には、エステル油の割合が50質量%以上の基油と、脂肪族ジウレアを含む増ちょう剤を20質量%以上含有するグリース組成物が開示されている。
特開2004−352953号公報 特開2005−272764号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載のグリース組成物は、低発塵性が不十分である。
さらに、特許文献1に記載のグリース組成物は、増ちょう剤として金属塩を含むため、当該グリース組成物が飛散した場合に、半導体装置等の精密電子機器に付着したことに起因する動作不良を引き起こしやすい。
また、特許文献2に記載のグリース組成物は、エステル油を多く含むために、加水分解しやすく、グリースの寿命の点で問題を有する。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、クリーンルームのような発塵が極めて少ないクリーンな環境下で使用される装置の軸受や摺動部、接合部等の潤滑部分にも適用可能なレベルでの優れた低発塵性を有するグリースを提供することを目的とする。
本発明者らは、ウレア系増ちょう剤と共に、基油としてナフテン系油を含むグリースが、上記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記〔1〕に関する。
〔1〕ナフテン系油を含む基油(A)と、ウレア系増ちょう剤(B)とを含有する、グリース。
本発明のグリースは、クリーンルームのような発塵が極めて少ないクリーンな環境下で設置される装置の軸受や摺動部、接合部等の潤滑部分にも適用可能なレベルでの優れた低発塵性を有する。
〔本発明のグリースの実施態様〕
本発明のグリースは、ナフテン系油を含む基油(A)と、ウレア系増ちょう剤(B)とを含有するものであるが、さらに樹脂成分(C)を含有することが好ましい。
また、本発明の一態様のグリースは、本発明の効果を損なわない範囲で、成分(A)〜(C)以外の汎用添加剤を含有していてもよい。
本発明の一態様のグリースにおいて、上述の成分(A)及び(B)の合計含有量は、当該グリースの全量(100質量%)基準で、好ましくは55〜100質量%、より好ましくは65〜100質量%、更に好ましくは75〜100質量%、より更に好ましくは85〜100質量%である。
本発明の一態様のグリースにおいて、上述の成分(A)、(B)及び(C)の合計含有量は、当該グリースの全量(100質量%)基準で、好ましくは60〜100質量%、より好ましくは75〜100質量%、更に好ましくは85〜100質量%、より更に好ましくは95〜100質量%である。
本発明の一態様のグリースにおいて、金属原子含有化合物の含有量は、当該グリースの全量(100質量%)基準で、好ましくは2.0質量%未満、より好ましくは1.0質量%未満、更に好ましくは0.1質量%未満、より更に好ましくは0.01質量%未満、特に好ましくは0.001質量%未満である。
なお、本発明において、「金属原子含有化合物の含有量」は、ASTM D4951に準拠して測定された値を意味する。
金属原子含有化合物の含有量が上記範囲であれば、得られるグリースの発塵の抑制効果を良好に保つことができ、クリーンな環境下で使用される装置の潤滑部分には適用することができる。
また、当該グリースが飛散し、当該装置から製造された精密電子機器に付着したことに起因する動作不良も、低減することができる。
金属原子含有化合物に含まれる金属原子としては、例えば、リチウム原子やナトリウム原子等のアルカリ金属原子、カルシウム原子やマグネシウム原子等のアルカリ土類金属原子、亜鉛やモリブデン等の遷移金属原子等が挙げられる。
金属原子含有化合物としては、例えば、増ちょう剤として配合される、カルボン酸又はそのエステルをアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム等の水酸化物でけん化した金属系石鹸やリチウムコンプレックス石鹸等の金属系コンプレックス石鹸、並びに、金属系分散剤、金属系清浄剤、金属系極圧剤、金属系摩擦調整剤、及び金属系防錆剤等として配合される金属塩や金属酸化物等が挙げられる。
また、低発塵性のグリースとする観点、並びに、当該グリースを半導体機器製造装置等の軸受や摺動部、接合部等の潤滑部分に用いた場合に当該製造装置から製造される製品の歩留まりを良好とする観点から、本発明の一態様において、ハロゲン系化合物を実質的に含有しないグリースであることが好ましく、特に、フッ素系化合物を実質的に含有しないグリースであることがより好ましい。
本発明において、ハロゲン系化合物とは、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)を含有する化合物を指す。
具体的なハロゲン系化合物としては、例えば、基油として配合されるパーフルオロポリエーテル(PEPE)、増ちょう剤として配合されるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、消泡剤として配合されるフッ素化シリコーン系化合物等が挙げられる。
なお、本発明において、「ハロゲン系化合物を実質的に含有しないグリース」とは、「ある特定の動機を持って、ハロゲン系化合物を意図的に配合してなるグリース」を除外したものであって、当該グリースには、不純物として含み得る程の微量のハロゲン系化合物を含有していてもよい。
本発明の一態様のグリースにおける、ハロゲン系化合物の含有量としては、当該グリースの全量(100質量%)基準で、通常2.0質量%未満、好ましくは1.0質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満、更に好ましくは0.01質量%未満、より更に好ましくは0.001質量%未満である。
以下、本発明のグリースに配合される各成分について説明する。
<基油(A)>
本発明のグリースは、ナフテン系油を含む基油(A)を含有する。
本発明者らは、ウレア系増ちょう剤(B)を用いたグリースにおいて、基油として、ナフテン系油を用いることで、得られるグリースの低発塵性が著しく向上することを見い出した。本発明は、その知見をもとになされたものである。
基油(A)中のナフテン系油の含有量は、低発塵性により優れたグリースとする観点から、基油(A)の全量(100質量%)基準で、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは55〜100質量%、より好ましくは65〜100質量%、更に好ましくは75〜100質量%、更に好ましくは85〜100質量%、より更に好ましくは95〜100質量%である。
なお、本発明で用いるナフテン系油としては、一分子中に飽和環(ナフテン環)を有する炭化水素系化合物であればよく、ナフテン系鉱油であってもよく、合成ナフテン系油であってもよい。
ただし、低発塵性により優れたグリースとする観点から、本発明の一態様で用いるナフテン系油としては、合成ナフテン系油が好ましい。
ナフテン系鉱油としては、ナフテン系原油を常圧蒸留もしくは常圧蒸留残渣油を減圧蒸留して得られる留出油、これらの留出油を常法に従って精製することによって得られる精製油(具体的には溶剤精製油、水添精製油、脱ロウ処理油、白土処理油等)が挙げられる。
合成ナフテン系油としては、例えば、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン環化合物の二量体の水素化物、ビシクロ〔3.2.1〕オクタン環化合物の二量体の水素化物、ビシクロ〔3.3.0〕オクタン環化合物の二量体の水素化物、ビシクロ〔2.2.2〕オクタン環化合物の二量体の水素化物等が挙げられる。
なお、基油(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、ナフテン系油以外の基油を含有してもよい。
ナフテン系油以外の基油としては、鉱油であってもよく、合成油であってもよく、さらにこれらの混合基油であってもよい。
ナフテン系油以外の鉱油としては、例えば、パラフィン系基系原油や中間基系原油等を常圧蒸留もしくは常圧蒸留残渣油を減圧蒸留して得られる留出油、これらの留出油を常法に従って精製することによって得られる精製油(具体的には溶剤精製油、水添精製油、脱ロウ処理油、白土処理油等)が挙げられる。
ナフテン系油以外の合成油としては、例えば、炭化水素系油や芳香族系油等が挙げられる。
当該炭化水素系油としては、例えば、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−デセンオリゴマー、1−デセンとエチレンコオリゴマー等のポリ−α−オレフィン(PAO)及びこれらの水素化物等が挙げられる。
また、当該芳香族系油としては、例えば、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン等のアルキルベンゼン、モノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン、ポリアルキルナフタレン等のアルキルナフタレン等が挙げられる。
ただし、エーテル系油及びエステル系油の含有量が増加するほど、得られるグリースの低発塵性が低下する傾向にある。また、エーテル系油及びエステル系油は、得られるグリースの寿命の低下を引き起こしやすい。
そのため、基油(A)中のエーテル系油及びエステル系油の合計含有量は、少ないほど好ましい。
上記観点から、本発明の一態様において、エーテル系油及びエステル系油の合計含有量が、基油(A)の全量(100質量%)基準で、好ましくは10質量%未満、より好ましくは5質量%未満、更に好ましくは1質量%未満、より更に好ましくは0.1質量%未満である。
基油(A)の40℃における動粘度としては、好ましくは5〜80mm/s、より好ましくは5〜40mm/s、より好ましくは7〜35mm/s、更に好ましくは10〜30mm/s、より更に好ましくは20〜30mm/sである。
当該動粘度が5mm/s以上であれば、得られるグリースが油分離してしまう現象を抑制することができる。
一方、当該動粘度が80mm/s以下であれば、グリースを装置の軸受や摺動部、接合部等の潤滑部分に供給し易く、当該潤滑部分の部材の焼き付きの発生を抑制することができる。
本発明で用いる基油(A)は、高粘度の基油と、低粘度の基油とを組み合わせて、40℃における動粘度を上記範囲に調製した混合基油を用いてもよい。
基油(A)の粘度指数としては、好ましくは50以上、より好ましくは60以上、更に好ましくは75以上である。
なお、本発明において、基油(A)の40℃における動粘度及び粘度指数は、JIS K2283に準拠して測定した値を意味する。
本発明の一態様のグリースにおいて、基油(A)の含有量は、当該グリースの全量(100質量%)基準で、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは65質量%以上であり、また、好ましくは97質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは93質量%以下、より更に好ましくは90質量%以下である。
<ウレア系増ちょう剤(B)>
本発明のグリース組成物は、ウレア系増ちょう剤(B)を含有する。
本発明で用いるウレア系増ちょう剤(B)は、1種からなるものであってもよく、2種以上の混合物であってもよい。
ウレア系増ちょう剤(B)としては、ウレア結合を有する化合物であればよいが、2つのウレア結合を有するジウレアが好ましく、下記一般式(b1)で表される化合物がより好ましい。
−NHCONH−R−NHCONH−R (b1)
上記一般式(b1)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数6〜24の1価の炭化水素基を示し、R及びRは、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。Rは、炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基を示す。
前記一般式(b1)中のR及びRとして選択し得る1価の炭化水素基の炭素数としては、6〜24であるが、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜18である。
また、R及びRとして選択し得る1価の炭化水素基としては、飽和又は不飽和の1価の鎖式炭化水素基、飽和又は不飽和の1価の脂環式炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基が挙げられ、飽和又は不飽和の1価の鎖式炭化水素基が好ましい。
1価の飽和鎖式炭化水素基としては、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、具体的には、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、オクタデセニル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
1価の不飽和鎖式炭化水素基としては、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が挙げられ、具体的には、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、オレイル基、ゲラニル基、ファルネシル基、リノレイル基等が挙げられる。
なお、1価の飽和鎖式炭化水素基及び1価の不飽和鎖式炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
1価の飽和脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基等のシクロアルキル基;メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、プロピルシクロヘキシル基、イソプロピルシクロヘキシル基、1−メチル−プロピルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、ペンチルシクロヘキシル基、ペンチル−メチルシクロヘキシル基、ヘキシルシクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基で置換されたシクロアルキル基(好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基で置換されたシクロヘキシル基);等が挙げられる。
1価の不飽和脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等のシクロアルケニル基;メチルシクロヘキセニル基、ジメチルシクロヘキセニル基、エチルシクロヘキセニル基、ジエチルシクロヘキセニル基、プロピルシクロヘキセニル基等の炭素数1〜6のアルキル基で置換されたシクロアルケニル基(好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基で置換されたシクロヘキセニル基);等が挙げられる。
1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、ジフェニルプロピル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基等が挙げられる。
前記一般式(b1)中のRとして選択し得る2価の芳香族炭化水素基の炭素数としては、6〜18であるが、好ましくは6〜15、より好ましくは6〜13である。
として選択し得る2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ジフェニルメチレン基、ジフェニルエチレン基、ジフェニルプロピレン基、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、エチルフェニレン基等が挙げられる。
これらの中でも、フェニレン基、ジフェニルメチレン基、ジフェニルエチレン基、又はジフェニルプロピレン基が好ましく、ジフェニルメチレン基がより好ましい。
成分(B)として用いるジウレア化合物は、通常ジイソシアネートとモノアミンとを反応させることによって得ることができる。当該反応は、上述のナフテン系油を含む基油(A)に、ジイソシアネートを配合し、加熱溶解して得た、ジイソシアネートを含む基油を加熱し撹拌しながら、そこに、ナフテン系油を含む基油(A)にモノアミンを溶解させた基油を添加する方法が好ましい。
例えば、前記一般式(b1)で表される化合物を合成する場合に、ジイソシアネートとしては、前記一般式(b1)中のRで示される2価の芳香族炭化水素基に対応する基を有するジイソシアネートを用い、モノアミンとしては、R及びRで示される1価の炭化水素基に対応する基を有するアミンを用いて、上記の方法により、所望のジウレア化合物を合成することができる。
本発明の一態様のグリースにおいて、成分(B)の含有量は、当該グリースの全量(100質量%)基準で、好ましくは3〜40質量%、より好ましくは5〜35質量%、更に好ましくは7〜30質量%、より更に好ましくは10〜25質量%である。
成分(B)の含有量が3質量%以上であれば、得られるグリースの混和ちょう度を適度な範囲に調製し易く、取り扱い易いグリースとすることができる。
一方、成分(B)の量が40質量%以下であれば、得られるグリースが硬くなり過ぎず、貧潤滑によって、装置の軸受や摺動部、接合部等の潤滑部分の部材に焼き付きの発生等の弊害を抑制することができる。
<金属石けん>
本発明の一態様のグリースにおいて、本発明の効果を損なわない範囲で、増ちょう剤として、ウレア系増ちょう剤(B)と共に、金属石けんを含有してもよい。
ただし、グリースの発塵の発生を抑制する観点から、金属石けんの含有量は、少ないほど好ましい。
具体的な金属石けんの含有量としては、ウレア系増ちょう剤(B)の全量100質量部に対して、好ましくは10質量部未満、より好ましくは1質量部未満、更に好ましくは0.1質量部未満、より更に好ましくは0.01質量部未満である。
<樹脂成分(C)>
本発明の一態様のグリースは、成分(A)及び(B)と共に、さらに石油樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、及びこれらの水添樹脂から選ばれる樹脂成分(C)を含有することが好ましい。
特定の樹脂成分(C)を含有するグリースとすることで、より優れた低発塵性を発現させることができる。また、得られるグリースの粘性を上昇させることができる。
なお、本発明の一態様のグリースとしては、低発塵性をより向上させたグリースとする観点から、成分(A)及び(B)と共に、さらに石油樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、及びこれらの水添樹脂から選ばれる樹脂成分(C)を含有し、且つ、金属原子含有化合物の含有量が2質量%未満であるグリースであることがより好ましい。
本発明の一態様で用いる樹脂成分(C)は、単独で又は2種以上を併用してもよい。
なお、樹脂成分(C)としては、低発塵性をより向上させたグリースとする観点から、石油樹脂及び水添石油樹脂から選ばれる1種以上であることが好ましく、水添石油樹脂であることがより好ましい。
本発明の一態様で用いる「石油樹脂」とは、例えば、ナフサ分解により、エチレン、アセチレン、プロピレン等を生産する際に副生産される分解油留分を精製した石油由来の不飽和炭化水素を原料として得られる石油樹脂を意味する。
また、本発明の一態様で用いる樹脂成分(C)としては、上記石油樹脂の残存している不飽和結合に水素を付加させて還元した水添石油樹脂であってもよい。
なお、当該水添石油樹脂は、水素化されていない不飽和結合を含み得る部分水添石油樹脂であってもよく、不飽和結合のすべてが水素化された完全水添石油樹脂であってもよい。
石油樹脂としては、例えば、C5留分を共重合して得られるC5系石油樹脂であるジシクロペンタジエン系樹脂、部分水添芳香族変性ジシクロペンタジエン系樹脂、石油ナフサの熱分解で生成するC9留分を共重合して得られるC9系石油樹脂、上記したC5留分とC9留分の共重合石油樹脂等が挙げられる。
また、水添石油樹脂としては、上記の樹脂を水素化した水添樹脂が挙げられる。
テルペン系樹脂とは、テレピン油を原料とした樹脂であって、具体的には、α−ピネンやβ−ピネンを重合してなるテルペン樹脂、フェノールとテルペンの共重合体であるテルペンフェノール樹脂、スチレン等で極性を付与した芳香族変性テルペン樹脂等が挙げられる。
また、本発明の一態様で用いる樹脂成分(C)は、上記テルペン系樹脂の残存している不飽和結合に水素を付加させて還元した水添テルペン系樹脂であってもよい。
ロジン系樹脂としては、マツ類の樹脂等から得られるアビエチン酸又はその誘導体を主成分とする樹脂であって、具体的には、ガムロジンやウッドロジン等のロジン樹脂、フェノールとロジンの共重合体であるロジンフェノール樹脂、及びそれらのエステル化合物等が挙げられる、
また、本発明の一態様で用いる樹脂成分(C)は、上記ロジン系樹脂の残存している不飽和結合に水素を付加させて還元した水添ロジン系樹脂であってもよい。
樹脂成分(C)の軟化点としては、好ましくは70〜200℃、より好ましくは80〜160℃、更に好ましくは90〜140℃である。
なお、本明細書において、樹脂成分(C)の軟化点は、JIS K 2207に準拠して測定された値を意味する。
樹脂成分(C)の重量平均分子量(Mw)としては、通常10000以下、好ましくは200〜8000、より好ましくは300〜5000、更に好ましくは500〜3500である。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値である。
本発明の一態様のグリースにおいて、成分(C)を含有する場合、成分(C)の含有量は、より優れた低発塵性を有するグリースとする観点から、当該グリースの全量(100質量%)基準で、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは3〜25質量%、更に好ましくは5〜20質量%、より更に好ましくは8〜15質量%である。
<汎用添加剤>
本発明の一態様のグリースは、本発明の効果を損なわない範囲で、一般的なグリースに配合される、成分(A)〜(C)以外の汎用添加剤を含有していてもよい。
このような汎用添加剤としては、例えば、酸化防止剤、防錆剤、極圧剤、増粘剤、固体潤滑剤、清浄分散剤、腐食防止剤、金属不活性剤等が挙げられる。
これらの各汎用添加剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤としては、例えば、アルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化−α−ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤;等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、アミン化合物等が挙げられる。
極圧剤としては、例えば、リン系化合物等が挙げられる。
増粘剤としては、例えば、ポリメタクリレート(PMA)、オレフィン共重合体(OCP)、ポリアルキルスチレン(PAS)、スチレン-ジエン共重合体(SCP)等が挙げられる。
固体潤滑剤としては、例えば、ポリイミド、メラミンシアヌレート(MCA)等が挙げられる。
清浄分散剤としては、例えば、コハク酸イミド、ボロン系コハク酸イミド等の無灰分散剤が挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、チアゾール系化合物等が挙げられる。
金属不活性剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。
なお、本発明の一態様のグリースにおいて、金属原子含有化合物やハロゲン系化合物は、上述の含有量の範囲であれば、含有してもよい。
本発明の一態様のグリースにおける、各汎用添加剤の含有量は、当該グリースの全量(100質量%)基準で、通常0〜10質量%、好ましくは0〜7質量%、より好ましくは0〜5質量%、より更に好ましくは0〜2質量%である。
〔本発明のグリースの物性〕
本発明の一態様のグリースの混和ちょう度は、適度な硬さを有し、作業性及び潤滑性能に優れたグリースとする観点から、好ましくは180〜295、より好ましくは200〜290、更に好ましくは220〜285、より更に好ましくは240〜280である。
なお、本明細書において、グリースの混和ちょう度は、JIS K2220.7に準拠して測定された値を意味する。
〔本発明のグリースの用途〕
本発明のグリースは、クリーンルームのような発塵が極めて少ないクリーンな環境下で設置される装置の軸受や摺動部、接合部等の潤滑部分にも適用可能なレベルでの優れた低発塵性を有する。
そのため、本発明のグリースは、クリーンルーム内で製造もしくは使用される装置(例えば、半導体製造装置、液晶製造装置、プリント基板製造装置等)に用いられることが好ましく、より具体的には当該装置の軸受や摺動部、接合部等の潤滑部分の潤滑用途に用いられることがより好ましい。
つまり、本発明は、クリーンルーム内で製造もしくは使用される装置の潤滑部分に、上述の本発明のグリースを使用する潤滑方法も提供される。
また、本発明のグリースは、製品への異物の混入をさけるために、クリーンルームに限らず、食品製造工場や医薬品製造工場等で使用される装置の軸受や摺動部、接合部等の潤滑部分の潤滑用途にも好適である。
〔本発明のグリースの製造方法〕
本発明のグリースの製造方法としては、少なくとも下記工程(1)を有する製造方法が挙げられ、さらに下記工程(2)を有してもよい。
工程(1):ナフテン系油を含む基油(A)に、ウレア系増ちょう剤(B)を配合する工程。
工程(2):樹脂成分(C)を配合する工程。
工程(1)において、ウレア系増ちょう剤(B)は、基油に溶解させた状態で、基油(A)に配合してもよい。
当該基油としては、ウレア系増ちょう剤(B)の合成に使用した基油でもよいが、基油(A)の一部をウレア系増ちょう剤(B)の合成で使用し、ウレア系増ちょう剤(B)を含む基油(A)を調製した後、残りの基油(A)と混合することが好ましい。
なお、工程(1)における基油(A)の温度としては、好ましくは100〜200℃である。
工程(2)において、樹脂成分(C)は、工程(1)の後に基油(A)に配合してもよく、工程(1)で基油(A)にウレア系増ちょう剤(B)を配合する前に、基油(A)に配合してもよい。
また、工程(2)においては、樹脂成分(C)と共に、上述の成分(A)〜(C)以外の汎用添加剤を配合してもよい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、「基油」及び「グリースから増ちょう剤を除いた組成物」の40℃動粘度及び粘度指数は、JIS K2283に準拠して測定した。
また、「金属原子含有化合物の含有量」は、ASTM D4951に準拠して測定した。
実施例1
基油(A−1)として、合成ナフテン油(40℃動粘度:27.9mm/s、粘度指数:70)を用いた。
1Lの金属容器の反応釜内に、上記合成ナフテン油370.0gと、増ちょう剤の原料となる「ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)」64.7g(259mmol)とを加え、加熱溶解し、MDIを含む合成ナフテン油を調製した。また、別途用意した1Lの金属容器内に、上記合成ナフテン油360.0gと、ステアリルアミン135.3g(502mmol)とを加え、加熱溶解し、ステアリルアミンを含む合成ナフテン油を別途調製した。
そして、MDIを含む合成ナフテン油が入った反応釜内に、上述のステアリルアミンを含む合成ナフテン油を加えて、撹拌し均一化させた後、反応液を90〜130℃まで昇温し、1時間保持し、反応を進行させた。
1時間保持後、反応液を冷却して、前記一般式(b1)中のR及びRがステアリル基(オクタデシル基)、Rがジフェニルメチレン基である脂肪族ジウレアである増ちょう剤(B−1)を合成した。
さらに、増ちょう剤(B−1)を含む反応液に、下記に示す添加剤混合物を合計20g加え、室温(25℃)まで冷却した後、3本ロールミルを用いた仕上げ処理を行い、グリース(1)を得た。
グリース(1)の全量(100質量%)基準での、増ちょう剤(B−1)の含有量は20質量%であった。
上記グリース(1)の調製に使用した「添加剤混合物」は、以下の添加剤を含む(なお、いずれの添加剤も、金属原子及びハロゲン原子を実質的に含まない化合物である)。
・極圧剤:硫黄系極圧剤
・酸化防止剤:アミン系酸化防止剤
・防錆剤:エステル系防錆剤
実施例2
基油(A−1)の合計配合量を680gに調製し、さらに下記に示す水添石油樹脂(C−1)を100g加えた以外は、実施例1と同様にして、グリース(2)を得た。
なお、グリース(2)の全量(100質量%)基準での、増ちょう剤(B−1)の含有量は20質量%であり、水添石油樹脂(C−1)の含有量は10質量%であった。
・水添石油樹脂(C−1):出光興産株式会社製、製品名「アイマーブ(登録商標)P−100」、軟化点100℃、C5留分を共重合して得られる水添ジシクロペンタジエン系樹脂、Mw=660。
実施例3
基油(A−1)に代えて、下記に示す基油(A−2)を用い、基油(A−2)の合計配合量を680gに調製し、さらに実施例2でも使用した水添石油樹脂(C−1)を100g加えた以外は、実施例1と同様にして、グリース(3)を得た。
なお、グリース(3)の全量(100質量%)基準での、増ちょう剤(B−1)の含有量は20質量%であり、水添石油樹脂(C−1)の含有量は10質量%であった。
・基油(A−2):合成ナフテン油(40℃動粘度:18.6mm/s、粘度指数:77)。
実施例4
摩擦調整剤として、下記に示すMoDTCを1g加え、基油(A−1)の合計配合量を779gに変更した以外は、実施例1と同様にして、グリース(4)を得た。
なお、グリース(4)の全量(100質量%)基準での、増ちょう剤(B−1)の含有量は20質量%であり、MoDTCの含有量は0.1質量%であった。
・MoDTC:下記式で表される二核ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、デカサクラルーブ515(株式会社ADEKA製)。
Figure 2018043744

(上記式中、Rは、それぞれ独立に、炭素数が8又は13の炭化水素基である。)
実施例で調製したグリース(1)〜(4)について、以下の(i)〜(iii)の測定及び試験を行った。これらの結果を表1に示す。
(i)グリースの混和ちょう度の測定
JIS K 2220.7に準拠して測定した。
(ii)LMガイド発塵試験
ISO 14644−1 Part1で規定の「ISO class2」に相当する清浄度を有するクリーンブースに設置したアクリルケース内で、ボールリテーナータイプのLMガイド(Linear Motion Guide)を往復運転し、発生した塵埃を2.83L/分の流量でパーティクルカウンタに吸引し、粒子径0.1μm以上の塵埃の発塵数を計測した。
本試験中のアクリルケース内の環境は、温度26±1℃、相対湿度70〜81%に調整した。ガイドの駆動は、サーボモータを用いたアクチュエータにより加速度と最高速度を制御した。
より具体的な本試験方法としては、ガイドをレール、ブロック、リテーナー、ボールに分解、洗浄を行ない、組み立てたブロックに、試料となるグリースを1.5g塗布し、レールに取り付け、速度500mm/s、ストローク200mmの条件で、慣らし運転を行い、計測される発塵数の値が安定してから、ガイドの往復運転を50時間行った。なお、ブロックのグリースシールは取り外している。
各グリースを用いた際の50時間のLMガイド発塵試験によって計測された粒子径0.1μm以上の塵埃の平均発塵数(単位:個/L)を表1に示す。
当該平均発塵数の値が小さい程、低発塵性のグリースといえる。また、この平均発塵数の値を基に、下記の基準によるLMガイド発塵試験でのグリースの発塵性も評価した。
(LMガイド発塵試験でのグリースの発塵性の評価基準)
A:上記の平均発塵数が、20個/L未満である。
B:上記の平均発塵数が、20個/L以上、50個/L未満である。
C:上記の平均発塵数が、50個/L以上である。
(iii)ボールネジ発塵試験
ISO 14644−1 Part1で規定の「ISO class2」に相当する清浄度を有するクリーンブースに設置したアクリルケース内で、ボールネジを往復運転し、発生した塵埃を0.5L/分の流量でパーティクルカウンタに吸引し、粒子径0.3μm以上の塵埃の発塵数を計測した。
本試験におけるアクリルケース内の環境は、温度26±1℃、相対湿度70〜81%に調整した。
また、ボールネジの駆動は、サーボモータを用いたアクチュエータにより最高速度(ボールネジの回転数)を制御した。
より具体的な本試験方法としては、ボールネジ(外径25mm、リード5mm)のネジ面全体に、試料となるグリースを6.0g塗布し、ボール−ナット速度100mm/s、ストローク150mmの条件で、慣らし運転を行い、計測される発塵数の値が安定してから、ボールネジの往復運転を50時間行った。なお、ナット端部のグリースシールは取り外している。
各グリースを用いた際の50時間のボールネジ発塵試験によって計測された粒子径0.3μm以上の塵埃の平均発塵数(単位:個/L)を表1に示す。
当該平均発塵数の値が小さい程、低発塵性のグリースといえる。また、この平均発塵数の値を基に、下記基準によるボールネジ発塵試験でのグリースの発塵性も評価した。
(ボールネジ発塵試験でのグリースの発塵性の評価基準)
A:上記の平均発塵数が、30個/L未満である。
B:上記の平均発塵数が、30個/L以上、60個/L未満である。
C:上記の平均発塵数が、60個/L以上である。
比較例1
以下の基油(A−3)及び増ちょう剤(B−1)を表1に示す配合量で配合してなる、市販品のグリース(5)(製品名「AFE−CA」)について、実施例で調製したグリースと同様に、上記(i)〜(iii)の測定及び試験を行った。これらの結果を表1に示す。
・基油(A−3):脂肪酸エステル(ジペンタエリスリトールカルボン酸エステル)とポリα−オレフィンとの混合合成油。
・増ちょう剤(B−1):前記一般式(b1)中のR及びRがステアリル基(オクタデシル基)、Rがジフェニルメチレン基である脂肪族ジウレア。
Figure 2018043744
表1により、実施例1〜4で調製したグリース(1)〜(4)は、比較例1のグリース(5)に比べて、発塵が極めて効果的に抑制されていることがわかる。なお、実施例1〜4のグリース(1)〜(4)は、ハロゲン系化合物を実質的に含まない、非ハロゲン系の低発塵性グリースである。

Claims (8)

  1. ナフテン系油を含む基油(A)と、ウレア系増ちょう剤(B)とを含有する、グリース。
  2. さらに石油樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、及びこれらの水添樹脂から選ばれる樹脂成分(C)を含有する、請求項1に記載のグリース。
  3. 金属原子含有化合物の含有量が、前記グリースの全量基準で、2質量%未満である、請求項1に記載のグリース。
  4. さらに石油樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、及びこれらの水添樹脂から選ばれる樹脂成分(C)を含有し、且つ、金属原子含有化合物の含有量が、前記グリースの全量基準で、2質量%未満である、請求項1に記載のグリース。
  5. 前記ナフテン系油が、合成ナフテン系油を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のグリース。
  6. 基油(A)の40℃における動粘度が、5〜80mm/sである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のグリース。
  7. 基油(A)の全量基準での前記ナフテン系油の含有量が50〜100質量%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のグリース。
  8. クリーンルーム内で製造もしくは使用される装置に用いられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のグリース。
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