JPH11315298A - グリース組成物 - Google Patents

グリース組成物

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JPH11315298A
JPH11315298A JP13606798A JP13606798A JPH11315298A JP H11315298 A JPH11315298 A JP H11315298A JP 13606798 A JP13606798 A JP 13606798A JP 13606798 A JP13606798 A JP 13606798A JP H11315298 A JPH11315298 A JP H11315298A
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JP
Japan
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viscosity
cst
base oil
low
grease composition
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JP13606798A
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English (en)
Inventor
Shigehiko Yoshimura
成彦 吉村
Noboru Umemoto
昇 梅本
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Tonen General Sekiyu KK
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Tonen Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トラクション係数が高いことに加えて、低温
起動トルクが低い、及び高温での蒸発損失が少ない、優
れたグリース組成物を提供すること。 【解決手段】 (I)平均分子量が200〜300のジ
シクロペンタジエンオリゴマー水添物(a)、及び平均
分子量が400〜1000のポリブテン(b)からなる
群より選ばれる少なくとも一種の化合物よりなる40℃
における粘度が50〜1000cStである第1の基
油、50重量%以上〜95重量%未満に、(II)40
℃における粘度が10〜1000cStであるポリα−
オレフィン(c)、40℃における粘度が7〜100c
Stであるエステル化合物(d)、及び40℃における
粘度が20〜50cStである鉱油(e)からなる群よ
り選ばれる少なくとも一種の化合物よりなる第2の基
油、5重量%以上〜50重量%未満を混合して得られる
基油に、(III)増稠剤を含有することを特徴とする
グリース組成物を提供した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グリース組成物に
関し、さらに詳しくは、トラクション係数が高く、低温
起動トルクが低く、及び高温での蒸発損失が少ない優れ
た、産業用又は車輌用の動力伝達機構装置に用いられる
トラクショングリース組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】トラクション流体は、トラクションドラ
イブによる動力伝達機構に使用される流体である。トラ
クション流体は、自動車無段変速機(CVT)等のトラ
クションドライブ装置において、転がり接触面に介在
し、動力を伝達するとともに、剛体同士の直接の接触を
防止する潤滑油としての役割を果たしている。トラクシ
ョンドライブは、転がり伝動であるため、歯車伝動に比
べて機構が簡単であり、低騒音で、滑らかな無段変速が
できるため、自動車用トラクションドライブヘの発展が
期待されている。
【0003】トラクションドライブで重要な性能は、動
カ伝達能であって、法線荷重(垂直力)Pに対する接線
カ(トラクションカ)Tの比で定義されるトラクション
係数μ(μ=T/P)で表され、このトラクション係数
が大きいほど、伝達効率がよい。トラクション流体は、
一般に、液状の潤滑油と半固体状又は固体状のグリース
に大別されるが、主成分となる基油によって鉱油系と合
成油系とがあり、トラクション係数等に応じて、種々の
用途に使用されている。
【0004】このように、無段変速機等のトラクション
ドライブ装置においては、動力伝達能の観点から、トラ
クション係数の高いトラクション流体が望まれている
が、装置をコンパクトにするためには、従来の液体の潤
滑油に代えて、グリースを用いる方が有利である。グリ
ースは、液体の潤滑油(基油)に、増稠剤を分散して半
固体状又は固体状にした潤滑剤である。グリースによる
潤滑は、液体の潤滑油を用いた場合と比較して、簡単な
シール機構で潤滑部に保持できるため、少量の潤滑剤で
長時間補給せずに潤滑できること、グリース自体がシ−
ルの役割を果たすため、シール機構を簡略化できるこ
と、等々の利点を有しているため、装置の小型化に寄与
することができる。
【0005】ところで、グリースを自動変速機等のトラ
クションドライブ装置の潤滑剤として使用するには、ト
ラクション係数が高いことに加えて、寒冷地や冬期でも
装置を稼働することができるために、低温起動トルクが
低いこと、グリースには補給がなく潤滑部分に薄膜で付
着して使われるため、高温での蒸発損失が少ないこと、
等の諸性能を有することが求められている。そのため
に、従来から種々のトラクショングリース組成物が提案
されてきた。
【0006】例えば、特公平3−23593号公報に
は、トラクション係数0.08以上、アニリン点70℃
以上、流動点0℃以下の六員環を3個有するナフテン系
炭化水素からなる基油に、増稠剤を含有させたグリース
組成物が提案されている。特公平6−31387号公報
には、2,4−ジシクロヘキシル−2−メチルペンタン
等の炭化水素化合物を基油とし、ジウレア化合物を増稠
剤として3〜25重量%配合したグリース組成物が提案
されている。また、特開平2−28295号公報には、
トラクション係数0.08以上、アニリン点70℃以
上、結晶消失温度0℃以下のナフテン系炭化水素を少な
くとも30重量%以上含んだ基油に、増稠剤としてポリ
ウレア化合物を2〜30重量%含有させたグリース組成
物が提案されている。特開平4−292693号公報に
は、遊星ローラ型トラクションドライブ機構に用いるグ
リース組成物であって、基油としてポリα−オレフィン
系合成油を含み、増稠剤として特定のジウレア化合物を
含むトラクショングリース組成物が提案されている.更
に、特開平9−13068号公報には、平均分子量20
0〜300のシクロペンタジエンオリゴマー水添物、及
びポリブテンから選ばれる少なくとも一種の化合物から
なる基油に、増稠剤を分散させてなるグリース組成物が
提案されている。
【0007】しかしながら、これらの提案にも拘わら
ず、トラクション係数、低温起動トルク及び高温での蒸
発損失等の諸性能を全て満足したグリースは得られず、
開発が困難であった。特に、グリースを自動変速機等の
トラクションドライブ装置の潤滑剤として使用して実用
化を図るためには、トラクション係数が高いこと、低温
起動トルクが低いこと、高温での蒸発損失が少ないこ
と、の三性能をバランス良く有することが求められてい
るが、実用化されたものはなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、トラ
クション係数が高いことに加えて、低温起動トルクが低
い、及び高温での蒸発損失が少ない、優れたグリース組
成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記従来
技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、シク
ロペンタジエンのオリゴマーの水添物及び/又はポリブ
テンからなる第1の基油に、特定のポリα−オレフィ
ン、エステル化合物及び/又は鉱油からなる第2の基油
を一定の割合で配合した混合油を基油とし、これにウレ
ア化合物やベントナイト等の増稠剤を分散させてグリー
ス組成物を作製したところ、高いトラクション係数を維
持しながら、低温起動トルクが低く、寒冷地や冬期でも
使用可能であるばかりでなく、高温でも蒸発損失が少な
い、実用的なトラクショングリースが得られることを見
い出した。本発明のグリース組成物は、装置の小型化に
も寄与することができる。本発明は、これらの知見に基
づいて完成するに至ったものである。かくして、本発明
によれば、(I)平均分子量が200〜300のジシク
ロペンタジエンオリゴマー水添物(a)、及び平均分子
量が400〜1000のポリブテン(b)からなる群よ
り選ばれる少なくとも一種の化合物よりなる40℃にお
ける粘度が50〜1000cStである第1の基油、5
0重量%以上〜95重量%未満に、(II)40℃にお
ける粘度が10〜1000cStであるポリα−オレフ
ィン(c)、40℃における粘度が7〜100cStで
あるエステル化合物(d)、及び40℃における粘度が
20〜50cStである鉱油(e)からなる群より選ば
れる少なくとも一種の化合物よりなる第2の基油、5重
量%以上〜50重量%未満を混合して得られる基油に、
(III)増稠剤を含有することを特徴とするグリース
組成物が提供される。
【0010】また、本発明によれば、下記のような好ま
しい実施態様が提供される。 (1)混合した基油の40℃における粘度が30〜10
00cStである前記グリース組成物。 (2)シクロペンタジエンオリゴマー水添物(a)の平
均分子量が200以上250未満である前記グリース組
成物。 (3)シクロペンタジエンオリゴマー水添物(a)が、
ノルボルネン環二重結合量Xとシクロペンテン環二重結
合量Yの比X/Yが0.10〜0.90のシクロペンタ
ジエンオリゴマーを水素添加したものである前記グリー
ス組成物。 (4)シクロペンタジエンオリゴマー水添物(a)が、
シクロぺンタジエンの三量体と四量体との混合物の水添
物である前記グリース組成物。 (5)ポリブテン(b)が、ポリイソブチレン又はその
水添物である前記グリース組成物。 (6)ポリブテン(b)の平均分子量が450〜950
である前記グリース組成物。 (7)ポリブテン(b)の40℃における粘度が30〜
9,500cStである前記グリース組成物。 (8)第1の基油の40℃における粘度が60〜700
cStである前記グリース組成物。 (9)ポリα−オレフィン(c)の40℃における粘度
が12〜700cStである前記グリース組成物。 (10)エステル化合物(d)がジエステル又はポリオ
ールエステルである前記グリース組成物。 (11)鉱油(e)の40℃における粘度が20〜35
cStである前記グリース組成物。 (12)第1の基油(I)と第2の基油(II)との配
合割合(I:II)が、60:40〜90:10(重量
比)である前記グリース組成物。 (13)増稠剤が、ウレア化合物又はベントナイトであ
る前記グリース組成物。 (14)ウレア化合物が、ジウレア又はトリウレアであ
る前記グリース組成物。 (15)増稠剤の配合割合が、グリース組成物全量基準
で、1〜30重量%である前記グリース組成物。 (16)トラクション係数が0.06以上、好ましくは
0.065以上である前記グリース組成物。 (17)−40℃での低温起動トルクが5〜100N・
cm、好ましくは5〜90N・cmである前記グリース
組成物。 (18)蒸発損失(120℃,100h)が10重量%
以下である前記グリース組成物。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。シクロペンタジエンオリゴマー水添物 本発明で使用するシクロペンタジエンオリゴマー(CP
オリゴマー)の水添物(a)は、例えば、ジシクロペン
タジエンを熱重合し、次いで、水素添加した後、CPオ
リゴマ−の水添物とその他の生成物とを分離することに
より好適に得ることができる。このCPオリゴマー水添
物は、粘度を調整するために、高沸点物(沸点150〜
180℃/2mmHg程度)と、低沸点物(沸点110
〜150℃/2mmHg程度)とに蒸留分離して使用し
てもよい。
【0012】本発明で使用するCPオリゴマー水添物
(a)は、平均分子量が200〜300、好ましくは2
00以上250未満のものであり、シクロペンタジエン
の三量体及び四量体の水添物を主成分とするものであ
る。二量体以下又は五量体以上のCPオリゴマー水添物
が少量含まれていてもよい。平均分子量が上記範囲内に
あることによって、グリ一ス組成物のトラクション係数
を安定で高いものとすることができる。CPオリゴマー
水添物の平均分子量が200未満、あるいは300超過
では、トラクション係数の低下あるいはトラクション係
数が不安定となる。CPオリゴマー水添物の平均分子量
は、重量平均分子量であり、GC−MSで分析し、各成
分のピーク面積から重量平均分子量を算出した。
【0013】CPオリゴマーは、通常、ノルポルネン環
とシクロペンテン環を含むが、本発明で使用するCPオ
リゴマー水添物は、CPオリゴマーであって、ノルポル
ネン環二重結合量Xと、シクロペンテン環二重結合量Y
の比X/Yが0.10〜0.90の範囲内にあるものの
水添物が好ましい。シクロペンタジエン五量体以上のオ
リゴマーの水添物は、樹脂状になりやすく、トラクショ
ン係数が不安定となるだけではなく、流動性や低温粘度
も不充分となる。CPオリゴマー水添物の水添率は、通
常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは
95%以上であり、多くの場合、99%以上の高飽和物
として得られる。水添率が低すぎると、熱安定性等が低
下するおそれがある。
【0014】ポリブテン 本発明で使用するポリブテン(b)は、平均分子量が4
00〜1000(40℃における粘度20〜10,00
0cStに相当する)、好ましくは450〜950(4
0℃における粘度30〜9,500cStに相当する)
のものである。ポリブテンの平均分子量が400未満で
は、高温での蒸発損失が増加し、蒸発によるグリースの
物性変化が大きくなる。一方、ポリブテンの平均分子量
が1000を越えると、流動性が低下し、低温粘度が高
くなり、低温起動トルクが大きくなる。ポリブテンとし
ては、炭素炭素二重結合を水素添加して飽和したものも
含まれる。ポリブテンは、好ましくはポリイソブチレン
又はその水添物である。ポリブテンの平均分子量は、数
平均分子量であり、VPO法により数平均分子量を算出
した。
【0015】ポリα−オレフィン 本発明で使用するポリα−オレフィン(c)は、40℃
における粘度が10〜1000cSt、好ましくは12
〜900cSt、より好ましくは12〜700cStの
ものである。ポリα−オレフィンの40℃における粘度
が10cSt未満では、高温での蒸発損失が大きく、逆
にポリα−オレフィンの40℃における粘度が1000
cStを越えると、流動性が低下し、低温粘度が高くな
り、低温起動トルクが大きくなる。このようなポリα−
オレフィンは、α−オレフィンオリゴマーとも呼ばれ、
α−オレフィンを低重合し、末端二重結合を水素添加し
たものである。α−オレフィンとしてはC10のデセン−
1が粘度指数、流動点の点から好ましい。オリゴマーの
重合度をコントロールすることによって低粘度のものか
ら高粘度のものまで得られる。
【0016】エステル化合物 本発明で使用するエステル化合物(d)は、40℃にお
ける粘度が7〜100cSt、好ましくは8〜60cS
tのものである。エステル化合物としては、種々のもの
を使用できるが、好ましいのは、ジエステル(二塩基酸
エステル)又はポリオールエステル(ネオペンチルポリ
オールエステル)である。ジエステルは分子内にエステ
ル結合を2個もつもので、普通は二塩基酸1に対しアル
コール2の割合でエステル化反応したもので、粘度指数
が高く、低温流動性がよい。ジエステルの原料である二
塩基酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ドデカン二酸などが用いられ、アルコールとして
は、炭素数7〜13で側鎖をもった第一級アルコールが
よく用いられ、例えば、C8の2−エチルヘキサノー
ル、C10のイソデカノール、C13のトリデカノールなど
が挙げられる。二塩基酸エステルとしては、例えば、ジ
−2−エチルヘキシルセバケート(DOS)、ジ−2−
エチルヘキシルシアジペート(DOA)、ジイソデシル
アジペート(DIDA)、ジイソオクチルアジペート
(DIOA)、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート(D
OZ)などが挙げられる。
【0017】ポリオールエステルは、多価アルコール
(ネオペンチルポリオール)と一塩基性脂肪酸とからの
エステル化反応物で、耐熱性に優れる。ポリオールエス
テルの原料であるネオペンチルポリオールとしては、二
価のアルコールとしてネオペンチルグリコール(NP
G)、三価のものとしてトリメチロールプロパン(TM
P)やトリメチロールエタン(TME)、四価のものと
してペンタエリスリトール(PE)、六価のものとして
ジペンタエリスリトール(DPE)があり、トリメチロ
ールプロパン(TMP)とペンタエリスリトール(P
E)がよく用いられる。原料の一塩基性脂肪酸として
は、直鎖や分枝型のC3〜C13のものがよく用いられ、
流動点を改良するために、炭素数の異なる何種類かの直
鎖の酸の混合物や分枝酸を少量混ぜて用いることが多
い。ポリオールエステルとしては、例えば、ネオペンチ
ルグリコールジノナン酸エステル、トリメチロールプロ
パントリヘキサン酸エステル、ペンタエリスリトールテ
トラヘキサン酸エステルなどが挙げられる。
【0018】鉱油 本発明で使用する鉱油(e)は、40℃における粘度が
20〜50cSt、好ましくは20〜35cStであ
る。低温粘度の観点から流動点が−30℃以下が好まし
く、より好ましくは−40℃以下の鉱油を用いるとよ
い。鉱油の40℃における粘度が20cSt未満では、
蒸発損失が大きく、逆に鉱油の40℃における粘度が5
0cStを越えると、流動性が低下し、低温粘度が高く
なり、低温起動トルクが大きくなる。
【0019】このような鉱油としては、パラフィン系原
油又は中間基原油の常圧又は減圧蒸留により誘導される
潤滑油原料をフェノール、フルフラール、N−メチルピ
ロリドンの如き芳香族抽出溶剤で処理して得られる溶剤
精製ラフィネート、潤滑油原料を水素化処理用触媒の存
在下において水素化処理条件下で水素と接触させて得ら
れる水素化処理油、ワックスを異性化用触媒の存在下に
おいて異性下条件下で水素と接触させて得られる異性化
油、あるいは溶剤精製工程と水素化処理工程及び異性化
工程等を組み合わせて得られる潤滑油留分等を挙げるこ
とができる。いずれの製造法においても、脱蝋工程、水
素化仕上げ工程、白土処理工程等の工程は、常法によ
り、任意に採用することができる。鉱油の具体例として
は、軽質ニュートラル油、中質ニュートラル油、重質ニ
ュートラル油及びブライトストック等が挙げられ、要求
性状を満たすように適宜混合することにより基油を調整
することができる。特に、本発明では、深脱蝋処理によ
って得られるものが好適であり、この深脱蝋処理は、溶
剤脱蝋処理法やゼオライト触媒を用いた触媒水添脱蝋処
理法等によって行われる。
【0020】基油 本発明では、グリース組成物の基油として、第1の基油
と第2の基油の混合したものを使用する。混合した基油
の40℃における粘度は、30〜1000cStであ
り、好ましくは60〜700cStである。第1の基油
と第2の基油との配合割合は、第1の基油が50重量%
以上〜95重量%未満、第2の基油が5重量%以上〜5
0重量%未満の範囲である。好ましくは、第1の基油を
60〜90重量%、第2の基油を10〜40重量%の範
囲で使用する。この配合割合によって、許容しうる範囲
で高いトラクション係数を有すると共に、低温起動トル
クが低く、寒冷地や冬期でも使用可能であるばかりでな
く、高温でも蒸発損失が少なく耐熱性の良いものができ
る。第1の基油としては、前記のCPオリゴマー水添物
(a)及びポリブテン(b)からなる群より選ばれる少
なくとも一種の化合物を使用する。これらは、それぞれ
単独で、あるいは両者を組み合わせて使用することもで
きる。第1の基油の40℃における粘度は、50〜10
00cStであり、好ましくは60〜700cStであ
る。第2の基油としては、前記のポリα−オレフィン、
エステル化合物及び/又は鉱油を使用する。これらは、
それぞれ単独で、又は両者若しくは三者を組み合わせて
使用することができる。第2の基油の配合割合が5重量
%未満では、基油の低温流動性が劣るため、グリースと
した場合に、低温起動トルクが高くなり、低温では使用
できなく、50重量%以上では、トラクション係数が満
足するものは得られない。このような理由から第2の基
油としては、低温流動性に優れ、かつ高温での蒸発損失
が少なく、なるべくトラクション係数の高いものが好ま
しい。
【0021】増稠剤 本発明では、増稠剤として、基油中にコロイド状に分散
して、基油を半固体又は固体状にする物質を使用するこ
とができる。このような増稠剤としては、例えば、リチ
ウム、カルシウム、ナトリウム等の金属石けん;べント
ナイト、窒化ホウ素、シリカゲル等の無機化合物;ウレ
ア化合物(尿素誘導体)、フタロシアニン、インダンス
レン、アメリン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機
化合物等が挙げられる。これらの中でも、ジウレア、ト
リウレア、テトラウレア等のウレア化合物、及びべント
ナイトが特に好ましい。ウレア化合物としては、公知の
化合物を使用することができるが、その中でも、下記
の式(1)で表されるジウレア、及び式(2)で表され
るトリウレアが好ましい。
【0022】
【化1】 (R1は、炭素数2〜24の一価の脂肪族炭化水素基、
フェニル基、炭素数1〜16のアルキル基を有するアル
キルフェニル基、又は炭素数5〜8のシクロアルキル基
であり、R2は、炭素数6〜15の二価の芳香族炭化水
素基又はその誘導体基であり、R3は、炭素数2〜24
の一価の脂肪族炭化水素基、フェニル基、炭素数1〜1
6のアルキル基を有するアルキルフェニル基、又は炭素
数5〜8のシクロアルキル基である。)
【0023】
【化2】 (Rlは、炭素数2〜24の一価の脂肪族炭化水素基、
フェニル基、炭素数1〜16のアルキル基を有するアル
キルフェニル基、又は炭素数5〜8のシクロアルキル基
であり、R2は、炭素数6〜15の二価の芳香族炭化水
素基又はその誘導体基、又は二価のトリアジン誘導体基
であり、R3は、炭素数6〜15の二価の芳香族炭化水
素基又はその誘導体基であり、R4は、炭素数2〜24
の一価の脂肪族炭化水素基、フェニル基、炭素数1〜1
6のアルキル基を有するアルキルフェニル基、又は炭素
数5〜8のシクロアルキル基である。)
【0024】このようなウレア化合物としては、式
(1)において、Rl及びR3がフェニル基で、R2がジ
フェニルメタン基であるアリルジウレア、Rl及びR3
フェニル基で、R2がジフェニル基であるアリルジウレ
ア、式(3)で表されるジウレア、式(4)で表される
トリウレア、その他、特開平2−28295号公報、特
開平4−292693号公報等に記載されている各種ジ
ウレア、トリウレア、テトラウレアを使用することがで
きる。
【0025】
【化3】
【0026】
【化4】 式(3)で表されるジウレアは、下記の反応式により得
ることができる。
【0027】
【化5】 式(4)で表されるトリウレアは、下記の反応式により
得ることができる。
【0028】
【化6】
【0029】これらのウレア化合物は、通常、基油中で
原料を反応させることにより、結晶を基油中に析出させ
るのが普通である。ベントナイトは、ベントンとも呼ば
れ、有機アミン等で表面を処理して親油性にした後、基
油中に添加される。これらの増稠剤は、グリース組成物
全量基準で、通常、1〜30重量%、好ましくは2〜2
0重量%程度の割合で基油中に分散される。
【0030】その他の添加剤成分 本発明のグリース組成物には、潤滑油基油に必須成分と
して上記の増稠剤を配合するものであるが、各種用途に
適応した性能を確保するため、さらに必要に応じて、各
種添加剤、即ち極圧剤、酸化防止剤、油性剤、摩擦調整
剤、耐摩耗剤、、金属不活性化剤、防錆剤、腐食防止
剤、粘着剤等を本発明の目的を損なわない範囲で適宜添
加することができる。
【0031】グリース組成物 本発明のグリース組成物は、トラクション係数が高いこ
と、低温起動トルクが低く低温始動性に優れているこ
と、高温での蒸発損失が少ないこと等の特徴を有してい
る。本発明のグリース組成物は、トラクション係数が、
通常、0.06以上、好ましくは0.065以上の高い
値を示す。また、本発明のグリース組成物は、−40℃
での低温起動トルクが、5〜100N・cm、好ましく
は5〜90N・cmと低く、低温での使用が可能であ
る。すなわち、寒冷地や冬期に装置を作動する場合、屋
外では0℃以下、場合によっては−40℃付近になるこ
とがあり、この場合、グリースの低温起動トルクが高い
と、装置を作動することができない。これに対して、本
発明のグリース組成物は、低温起動トルクが低いため、
−40℃付近の低温条件下でも作動することができる。
さらに、本発明のグリース組成物は、高温での蒸発損失
が少なく、高温での長期間の運転中に、グリースの性状
変化や性能低下することが少ない。
【0032】したがって、本発明のグリース組成物は、
前記のような特徴を活かして、自動車無段変速機等のト
ラクションドライブ装置において、動力を伝達するとと
もに、剛体同士の直接の接触を防止する潤滑油としての
役割を果たす潤滑剤として使用することができる。しか
も、本発明のグリース組成物は、トラクション係数が特
に高いため、装置の小型化に寄与することができる。
【0033】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明に
ついてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実
施例のみに限定されるものではない。
【0034】[実旗例1]平均分子量220のシクロペ
ンタジエンの三量体/四量体混合物10重量%と、平均
分子量が600、40℃における粘度が210cStの
ポリブテン60重量%、及び40℃における粘度が1
7.5cStのポリα−オレフィン30重量%との混合
基油4750gに、フェノール系酸化防止剤を少量添加
し、P−メチルアニリン143gとpーフェニレンジイ
ソシアネート107gを加え、撹拌しながら180℃に
加熱した。このようにして、前記式(5)に従って、ジ
ウレア(3)を合成し、基油中にジウレアが分散したグ
リース組成物を調製した。グリース組成物の組成及び物
性の測定結果を表1に示す。
【0035】[実施例2]基油として、40℃における
粘度が17.5cStのポリα−オレフィンの代わりに
40℃における粘度が8.2cStのジオクチルアジペ
ート(DOA)を用いたこと以外は、実施例1と同様に
してグリース組成物を得た。グリース組成物の組成及び
物性の測定結果を表1に示す。
【0036】[実施例3]基油として、40℃における
粘度が17.5cStのポリα−オレフィンの代わりに
40℃における粘度が22cStの鉱油を用いたこと以
外は、実施例1と同様にしてグリース組成物を得た。グ
リース組成物の組成及び物性の測定結果を表1に示す。
【0037】[実施例4〜11]表1に示すような基油
及び配合割合で、実施例1と同様な方法にてグリース組
成物を調製した。グリース組成物の組成及び物性の測定
結果を表1に示す。
【0038】[比較例1〜15]表2に示すような基油
及び配合割合で、実施例1と同様な方法にてグリース組
成物を調製した。グリース組成物の組成及び物性の測定
結果を表2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】物性の測定法 <トラクション係数測定装置及び測定条件> 四円筒型トラクション試験機 周 速 :1m/sec すべり率 :0.83%(482/478rpm) 平均ヘルツ圧:1GPa ローラー温度:40℃ <低温起動トルクの測定方法>JIS K2220に準
拠して、−40℃におけるグリースの低温起動トルク
(N・cm)を測定した。 <蒸発損失量の測定方法>50mlビーカーに10g±
0.1gのグリースを入れ、120℃で100時間加熱
後、グリースの蒸発損失量(重量減)を重量%で測定、
算出した。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、トラクション係数が高
く、低い低温起動トルクを有し、しかも高温での蒸発損
失の少ない、優れたグリース組成物が提供される。本発
明のグリース組成物は、自動車無段変速機等のトラクシ
ョンドライブ装置において、動力を伝達するとともに、
剛体同士の直接の接触を防止する潤滑油としての役割を
果たす潤滑剤として使用することができる。本発明のグ
リース組成物は、トラクション係数が高く、高温での蒸
発損失が少ないため、装置の小型化及び信頼性に寄与す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 107/08 C10M 107/08 // C10N 40:04

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(I)平均分子量が200〜300のジシ
    クロペンタジエンオリゴマー水添物(a)、及び平均分
    子量が400〜1000のポリブテン(b)からなる群
    より選ばれる少なくとも一種の化合物よりなる40℃に
    おける粘度が50〜1000cStである第1の基油、
    50重量%以上〜95重量%未満に、(II)40℃に
    おける粘度が10〜1000cStであるポリα−オレ
    フィン(c)、40℃における粘度が7〜100cSt
    であるエステル化合物(d)、及び40℃における粘度
    が20〜50cStである鉱油(e)からなる群より選
    ばれる少なくとも一種の化合物よりなる第2の基油、5
    重量%以上〜50重量%未満を混合して得られる基油
    に、(III)増稠剤を含有することを特徴とするグリ
    ース組成物。
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