JPWO2017199527A1 - ステータコアの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の一つの態様のステータコアの製造方法は、上下方向に延びる中心軸を中心とし、複数の板部材が積層されて構成されるステータコアの製造方法であって、磁性材料の一部を打ち抜いて除去し、板部材の外形の一部を有するコア板部を形成する工程S1と、磁性材料の上下方向一方側の面である第1面の一部をマスキングする工程S2と、第1面に、静電塗布方法を用いて接着剤を吹き付ける工程S3と、磁性材料からコア板部を打ち抜いて板部材を形成する工程S4と、接着剤を介して板部材同士を接着し、板部材を積層する工程S5と、を含む。

Description

本発明は、ステータコアの製造方法に関する。
従来、ステータの積層鉄芯を製造する方法として、電磁鋼板を打ち抜きにより単位鉄芯とし、所定枚数の単位鉄芯を互いに接着剤によって固着して積層する方法が知られている。例えば、特許文献1には、粉体接着剤を単位鉄芯の表面に塗布することによって、単位鉄芯同士を固着する方法が記載されている。
日本国公開公報2004−64041号公報
しかし、上記のような方法では、単位鉄芯の表面における接着剤の塗布範囲を制御することが難しく、単位鉄芯の表面において接着剤を塗布すべきでない部分に接着剤が塗布される場合があった。そのため、例えば、単位鉄芯を積層した際に、接着剤が単位鉄芯の外縁からはみ出す場合があった。この場合、単位鉄芯を積層する金型に接着剤が付着しやすいため、定期的に金型に付着した接着剤を除去する等の必要があり、積層鉄芯の生産性が低下する問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みて、複数の板部材同士が接着剤を介して積層されて構成されるステータコアの製造方法であって、板部材において接着剤を塗布すべきでない部分に接着剤が塗布されることを防止できるステータコアの製造方法を提供することを目的の一つとする。
本発明の一つの態様のステータコアの製造方法は、上下方向に延びる中心軸を中心とし、複数の板部材が積層されて構成されるステータコアの製造方法であって、磁性材料の一部を打ち抜いて除去し、前記板部材の外形の一部を有するコア板部を形成する工程S1と、前記磁性材料の上下方向一方側の面である第1面の一部をマスキングする工程S2と、前記第1面に、静電塗布方法を用いて接着剤を吹き付ける工程S3と、前記磁性材料から前記コア板部を打ち抜いて前記板部材を形成する工程S4と、前記接着剤を介して前記板部材同士を接着し、前記板部材を積層する工程S5と、を含む。
本発明の一つの態様によれば、複数の板部材同士が接着剤を介して積層されて構成されるステータコアの製造方法であって、板部材において接着剤を塗布すべきでない部分に接着剤が塗布されることを防止できるステータコアの製造方法が提供される。
図1は、本実施形態のモータを示す断面図である。 図2は、本実施形態のステータコアを示す斜視図である。 図3は、本実施形態のステータコアの製造方法の手順を示すフローチャートである。 図4は、本実施形態のステータコアの製造方法の手順の一部を示す断面図である。 図5は、本実施形態のステータコアの製造方法の手順の一部を示す図であって、上方から視た斜視図である。 図6は、本実施形態のステータコアの製造方法の手順の一部を示す図であって、下方から視た斜視図である。 図7は、本実施形態のマスキング部材の部分を下側から視た底面図である。
図1に示すように、本実施形態のモータ1は、例えば、アウタロータ型のモータである。モータ1は、支持部材40と、中心軸J1を中心とするシャフト31を有するロータ30と、ステータ20と、を備える。
以下の説明においては、中心軸J1が延びる方向と平行な方向を「上下方向」と呼ぶ場合がある。上下方向は、単に説明のために用いられる名称であって、モータ1の実際の位置関係および方向を限定しない。また、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ場合があり、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ場合がある。
支持部材40は、中心軸J1を中心として上下方向に延びる円筒状である。ロータ30は、シャフト31と、マグネット保持部32と、マグネット33と、を有する。シャフト31は、支持部材40の内周面に固定されたベアリングを介して、支持部材40に対して回転可能に支持される。マグネット保持部32は、下側に開口する円筒状であり、シャフト31の上端に固定される。マグネット33は、マグネット保持部32の径方向内側面に固定される。ロータ30は、ステータ20と隙間を介して対向する。図1では、マグネット33が、後述するステータコア10と隙間を介して径方向に対向する。マグネット33は、ステータコア10よりも径方向外側に配置される。
ステータ20は、ステータコア10と、ステータコア10に装着されたインシュレータ21と、インシュレータ21を介して後述するティース12に巻き回されたコイル22と、を有する。
図1および図2に示すように、ステータコア10は、上下方向に延びる中心軸J1を中心とする円環状である。ステータコア10は、支持部材40の外周面に固定される。ステータコア10は、コアバック11と、複数のティース12と、を有する。コアバック11は、中心軸J1を中心とする円環状である。ティース12は、コアバック11から径方向に延びる。図2では、ティース12は、コアバック11から径方向外側に延びる。複数のティース12は、周方向に沿って等間隔に配置される。
ステータコア10は、複数の板部材10aが積層されて構成される。板部材10aは、径方向に拡がる板状である。積層された板部材10a同士は、互いに接着剤で接着されている。板部材10aは、コアバック板部81と、ティース板部82と、を有する。
コアバック板部81は、中心軸J1を中心とする円環板状である。複数の板部材10aのコアバック板部81が上下方向に積層されることで、コアバック11が構成される。すなわち、コアバック板部81は、コアバック11の一部を構成する。ティース板部82は、コアバック板部81から径方向に延びる。図2では、ティース板部82は、コアバック板部81から径方向外側に延びる。複数の板部材10aのティース板部82が上下方向に積層されることで、ティース12が構成される。すなわち、ティース板部82は、ティース12の一部を構成する。
次に、本実施形態のステータコア10の製造方法について説明する。図3に示すように、本実施形態のステータコア10の製造方法は、第1打ち抜き工程S1と、マスキング工程S2と、塗布工程S3と、第2打ち抜き工程S4と、積層工程S5と、を含む。本実施形態において各工程は、図4に示す製造装置Mによって行われる。製造装置Mは、帯状の電磁鋼板80を搬送しつつ、各工程を行う。電磁鋼板80は、磁性材料である。
図4から図7においては、適宜3次元座標軸を示している。Z軸方向は、上下方向と平行な方向である。X軸方向は、Z軸方向と直交する一方向であり、図4では左右方向である。Y軸方向は、Z軸方向およびX軸方向と直交する方向である。図4において電磁鋼板80は、製造装置Mによって、X軸方向と平行な方向に搬送される。以下の説明においては、電磁鋼板80が搬送される方向を単に「搬送方向」と呼ぶ場合がある。また、搬送される電磁鋼板80が進む側、すなわち+X側を単に「下流側」と呼ぶ場合があり、搬送される電磁鋼板80が進む側と逆側、すなわち−X側を単に「上流側」と呼ぶ場合がある。搬送方向は、帯状の電磁鋼板80の長手方向である。Y軸方向は、搬送される電磁鋼板80の短手方向と平行な方向である。
製造装置Mは、上流側から下流側に沿って順に、第1打ち抜き装置M1と、塗布装置M2と、第2打ち抜き装置M3と、を有する。
第1打ち抜き工程S1は、電磁鋼板80の一部を打ち抜いて除去し、板部材10aの外形の一部を有するコア板部83を形成する工程である。図5に示すように、コア板部83は、コアバック板部81と、複数のティース板部82と、を有する。第1打ち抜き工程S1は、図4に示す第1打ち抜き装置M1を用いて行われる。第1打ち抜き装置M1は、第1ダイD1と、第1ダイD1の上側に配置された第1パンチP1と、を有する。
第1ダイD1と第1パンチP1とによって、電磁鋼板80の一部が打ち抜かれ、図5に示す第1孔部81aおよび複数の第2孔部82aが形成される。すなわち、第1孔部81aおよび第2孔部82aは、第1打ち抜き工程S1で電磁鋼板80の一部が除去されて形成された孔部である。第1孔部81aおよび第2孔部82aは、電磁鋼板80を上下方向に貫通する。第1孔部81aは、円形状である。複数の第2孔部82aは、第1孔部81aから径方向外側に離れた位置において、第1孔部81aを囲む。複数の第2孔部82aは、周方向に沿って等間隔に配置される。
第1孔部81aおよび第2孔部82aが形成されることで、コア板部83が形成される。コアバック板部81は、第1孔部81aと第2孔部82aとの径方向の間に形成される。ティース板部82は、周方向に隣り合う第2孔部82a同士の周方向の間に形成される。
第1打ち抜き工程S1が終了した後、電磁鋼板80は、搬送方向に沿って下流側に送られる。より詳細には、第1打ち抜き工程S1が終了した後、電磁鋼板80のうち第1打ち抜き工程S1を施された部分、すなわちコア板部83は、第1打ち抜き装置M1の下流側に隣接して配置された塗布装置M2に搬送される。
マスキング工程S2は、電磁鋼板80の上下方向一方側の面である第1面80aの一部をマスキングする工程である。図4では、第1面80aは、電磁鋼板80における下側の面である。すなわち、第1面80aは、磁性材料における下側の面である。マスキング工程S2は、塗布装置M2を用いて行われる。塗布装置M2は、上側固定部材F1と、上側固定部材F1の下側に配置された下側固定部材F2と、マスキング部材50と、を有する。
上側固定部材F1は、下側固定部材F2に対して上下方向に移動する。これにより、上側固定部材F1と下側固定部材F2とによって、接触した状態で電磁鋼板80を上下方向に挟んで固定することと、電磁鋼板80の固定を解除することと、が可能である。図4では、電磁鋼板80が上側固定部材F1と下側固定部材F2とによって固定された状態を示している。電磁鋼板80が固定された状態において、上側固定部材F1は、電磁鋼板80の上側の面である第2面80bに上側から接触する。電磁鋼板80が固定された状態において、下側固定部材F2は、第1面80aに下側から接触する。上側固定部材F1は、上側固定部材F1を上下方向に貫通する空気抜き孔F1aを有する。
マスキング部材50は、マスキング工程S2において、第1面80aの一部をマスキングする。より詳細には、マスキング部材50は、電磁鋼板80が上側固定部材F1と下側固定部材F2とによって固定された状態である場合に、第1面80aの一部をマスキングする。マスキング部材50は、下側固定部材F2に設けられる。より詳細には、マスキング部材50は、下側固定部材F2の上面に設けられた下側に窪む凹部F2aの内部に配置される。マスキング部材50は、マスク部51と、ガイド部52と、壁部53と、内筒部54と、複数の仕切部55と、を有する。
前記工程S3において、前記接着剤を吹き付ける吹付け部は、前記壁部の内側に配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載のステータコアの製造方法。
マスク部51によって第1面80aがマスキングされる。そのため、第1面80aに接着剤が塗布されない部分が形成される。図6に示すように、マスク部51は、径方向に拡がる円板状である。図4に示すように、マスク部51は、第1面80aと接触する。マスク部51の上面は、下側固定部材F2の上面と、上下方向と直交する同一面上に配置される。図6に示すように、マスク部51は、周方向に沿って複数のマスク貫通孔56を有する。マスク貫通孔56は、マスク部51を上下方向に貫通する。図6では、マスク貫通孔56は、8つ設けられる。図7に示すように、マスク貫通孔56は、第1マスク貫通部56aと、第2マスク貫通部56bと、を有する。
第1マスク貫通部56aは、周方向に延びる。第1マスク貫通部56aは、コアバック板部81と上下方向に重なる。第1マスク貫通部56aの径方向の寸法は、コアバック板部81の径方向の寸法よりも小さい。第1マスク貫通部56aの内縁のうち径方向外側の部分は、コアバック板部81の径方向外縁よりも径方向内側に配置される。第1マスク貫通部56aの内縁のうちの径方向内側の部分は、コアバック板部81の径方向内縁よりも径方向外側に配置される。
第2マスク貫通部56bは、第1マスク貫通部56aから径方向外側に延びる。図7では、第2マスク貫通部56bは、1つのマスク貫通孔56ごとに3つずつ設けられる。第2マスク貫通部56bは、第1マスク貫通部56aの周方向中央と、第1マスク貫通部56aの周方向両端とから、径方向外側に延びる。第2マスク貫通部56bは、ティース板部82と上下方向に重なる。
第2マスク貫通部56bの周方向の寸法は、ティース板部82の周方向の寸法よりも小さい。第2マスク貫通部56bの内縁のうちの周方向両側の部分は、ティース板部82の周方向両縁よりも内側に配置される。第2マスク貫通部56bの内縁のうちの径方向外側の部分は、ティース板部82の径方向外端よりも径方向内側に配置される。
第1面80aのうちマスク貫通孔56と上下方向に重なる部分は、マスク貫通孔56を介して後述する空間Sに露出する。
図6に示すように、マスク部51は、円板部51aと、円環部51bと、複数の延伸部51cと、複数の連結部51dと、を有する。円板部51a、円環部51b、複数の延伸部51c、および複数の連結部51dは、マスク貫通孔56が設けられることによって、設けられる。
円板部51aは、マスク部51の中央に位置する円板状である。円板部51aは、コアバック板部81の径方向内縁部をマスキングする。図7に示すように、円板部51aの径方向外縁は、コアバック板部81の径方向内縁よりも径方向外側に配置される。図4に示すように、円板部51aの径方向外縁部は、コアバック板部81の径方向内縁部に下側から接触する。
図6に示すように、円環部51bは、マスク部51の径方向外縁に位置する円環状である。円環部51bは、ティース板部82の径方向外端をマスキングする。円環部51bは、コア板部83よりも径方向外側において、第1面80aと接触する。円環部51bは、第1面80aにおいてコア板部83を囲む。これにより、マスク部51は、第1面80aにおいてコア板部83を囲む。すなわち、マスク部51は、第1面80aに接触し、第1面80aにおいてコア板部83を囲む。
延伸部51cは、円環部51bの径方向内縁から径方向内側に延びる。延伸部51cは、ティース板部82から接着剤がはみ出し、金型内に接着剤が付着することを防止する。図7に示すように、延伸部51cは、周方向に隣り合う第2マスク貫通部56b同士の周方向の間に配置される。複数の延伸部51cは、周方向に沿って等間隔に配置される。延伸部51cの外形は、第2孔部82aの内縁に沿った形状である。延伸部51cの周方向一方側の縁部は、延伸部51cの周方向一方側に隣り合うティース板部82の周方向他方側の縁部に下側から接触する。延伸部51cの周方向他方側の縁部は、延伸部51cの周方向他方側に隣り合うティース板部82の周方向一方側の縁部に下側から接触する。延伸部51cの径方向内縁部は、コアバック板部81の径方向外縁部に下側から接触する。
連結部51dは、円板部51aの径方向外縁と延伸部51cの径方向内縁とを連結する。そのため、マスク部51が、連結部51dを有する構成により、マスク部51を1つの部材で形成することができる。複数の連結部51dは、周方向に沿って等間隔に配置される。連結部51dの数は、延伸部51cの数よりも少ない。すなわち、連結部51dによって円板部51aと接続される延伸部51cは、複数の延伸部51cのうちの一部である。連結部51dは、周方向に隣り合う第1マスク貫通部56a同士の周方向の間に配置される。連結部51dは、コアバック板部81に下側から接触する。なお、連結部51dは、後述する複数のノズル60aの周方向に間に位置することが望ましい。
ガイド部52は、マスク部51を電磁鋼板80に対する周方向および径方向に位置決めする。図4および図5に示すように、ガイド部52は、電磁鋼板80の一部が打ち抜かれることによって形成された第1孔部81aおよび複数の第2孔部82aに挿入される。すなわち、ガイド部52は、工程S1で磁性材料の一部が除去されて形成された孔部孔部81aに挿入される。ガイド部52は、マスク部51に接続される。より詳細には、ガイド部52は、マスク部51の上面から上側に突出する。この構成により、マスク部51は、第1面80aに対して位置精度よく接触する。したがって、マスク部51のマスキングを好適に行うことができる。なお、ガイド部52は、電磁鋼板80の上面よりも上側に突出してもよい。
図5に示すように、ガイド部52は、第1ガイド部52aと、複数の第2ガイド部52bと、を有する。第1ガイド部52aは、円板部51aの上面から上側に突出する。第1ガイド部52aは、円板状である。第1ガイド部52aの外径は、円板部51aの外径よりも小さく、第1孔部81aの内径とほぼ同じである。第1ガイド部52aは、第1孔部81aに下側から挿入される。
第2ガイド部52bは、延伸部51cの上面から上側に突出する。第2ガイド部52bの上側から視た形状および大きさは、第2孔部82aの形状および大きさとほぼ同じである。複数の第2ガイド部52bは、それぞれ第2孔部82aに下側から挿入される。マスク部51とガイド部52とは、単一の部材の部分であってもよいし、互いに別部材であってもよい。
壁部53は、マスク部51の外縁から上下方向に延びる筒状である。図4に示すように、壁部53は、凹部F2aの内部に配置される。壁部53の上端に円環部51bが固定される。図6に示すように、内筒部54は、上下方向に延びる筒状であり、壁部53の径方向内側に配置される。図4に示すように、内筒部54の上端には、円板部51aが固定される。
図6に示すように、仕切部55は、壁部53の内周面と内筒部54の外周面とを接続する。仕切部55は、径方向に延びる。複数の仕切部55は、周方向に沿って等間隔に配置される。複数の仕切部55によって、壁部53と内筒部54との径方向の間の空間は、周方向に並んで配置される複数の空間Sに仕切られる。図6では、空間Sは、8つ設けられる。
マスク部51の上面が第1面80aと接触することで、第1面80aの一部をマスキングできる。本実施形態においては、円板部51a、延伸部51cおよび連結部51dによって、コア板部83の下面のうちのマスク貫通孔56と上下方向に重ならない部分がマスキングされる。円環部51bによって、第1面80aのうちのコア板部83を囲む環状の部分が、マスキングされる。
マスキング工程S2において、マスキングする部分は、コア板部83の縁部の少なくとも一部を含む。本実施形態では、マスキング工程S2において、マスキングする部分は、コア板部83の縁部全体を含む。すなわち、マスキング工程S2において、マスキングする部分は、コア板部83の径方向外端の縁部を含む。本実施形態のステータコア10は、アウタロータ型のモータ1のステータコアであるため、コア板部83の径方向外端は、ティース板部82の径方向外端である。すなわち、マスキング工程S2において、マスキングする部分は、ティース板部82の径方向外端の縁部を含む。
塗布工程S3は、第1面80aに、静電塗布方法を用いて接着剤を吹き付ける工程である。接着剤は、第1面80aがマスキング部材50によってマスキングされた状態において、第1面80aに吹き付けられる。本実施形態の塗布工程S3において、吹き付けられる接着剤は、液体接着剤である。例えば、接着剤が粉体接着剤の場合、粉体の粒径のばらつきによって、塗布された接着剤の膜厚のムラが大きくなり、膜厚を小さくしにくい場合があった。これに対して、液体接着剤を用いることで、塗布される接着剤の膜厚のムラを小さくでき、接着剤の膜厚を小さくしやすい。
液体接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、フェノール系接着剤、ナイロン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、変性オレフィン樹脂系接着剤、合成ゴム系接着剤、塩化ビニル系接着剤およびこれら接着剤を組み合わせた接着剤等が挙げられる。また、液体接着剤は、嫌気性接着剤であってもよいし、光硬化性接着剤であってもよいし、熱硬化性接着剤であってもよい。
塗布工程S3は、マスキング工程S2と同様に、塗布装置M2を用いて行われる。図4に示すように、塗布装置M2は、静電塗布器60をさらに備える。静電塗布器60は、ノズル60aと、ノズル60aの上側に配置され、接地されたリング62と、ノズル60aに高電圧を印加する電源63と、を有する。
ノズル60aは、上下方向に延びる筒状である。ノズル60aの上部の外径および内径は、上側に向かうに従って小さくなる。ノズル60aは、下側固定部材F2に設けられた貫通孔F2b内に配置される。貫通孔F2bは、凹部F2aの底面から下側固定部材F2の下面までを貫通する。図5および図6では、ノズル60aは、8つ設けられる。
図4に示すように、ノズル60aは、接着剤を吹き付ける吹付け部61を有する。吹付け部61は、ノズル60aの上端部分である。吹付け部61は、貫通孔F2bを介して、凹部F2a内に突出する。吹付け部61は、壁部53の内側に配置される。そのため、吹付け部61から噴出される接着剤が、マスキング部材50の外部に飛散することを抑制できる。各ノズル60aの吹付け部61は、各空間S内に配置される。この構成により、複数のノズル60aから噴出された接着剤が、同じ範囲に重複して塗布されることを防止することができる。
ノズル60aには、電源63から高電圧が印加されるため、吹付け部61から噴出される接着剤は、帯電した状態となる。帯電した接着剤は、静電気力による反発力で細かい粒子となり、リング62内を通って、第1面80aに付着する。このようにして、静電塗布方法を用いて、第1面80aに接着剤を塗布できる。
本実施形態において接着剤は、吹付け部61から上側に噴出される。これにより、塗布工程S3において、第1面80aに、下側から接着剤が吹き付けられる。そのため、接着剤が液体接着剤の場合、接着剤の塗布を行わないときに、接着剤が自重によってノズル60aから第1面80aに垂れることを抑制できる。
本実施形態において接着剤が塗布される第1面80aの部分は、マスク部51よりも径方向内側の部分のうちマスク部51によってマスキングされていない部分、すなわち第1面80aのうちマスク貫通孔56を介して空間Sに露出する部分である。図7に示すように、第1面80aのうちマスク貫通孔56を介して空間Sに露出する部分は、コアバック板部81の一部と、ティース板部82の一部と、を含む。すなわち、塗布工程S3において、接着剤が塗布される部分は、ティース板部82の少なくとも一部を含む。
本実施形態においては、コアバック板部81のうち、径方向内縁部、径方向外縁部、および連結部51dと上下方向に重なる部分を除いた部分に、接着剤が塗布される。また、ティース板部82のうち、縁部を除いた部分に、接着剤が塗布される。
塗布工程S3が終了した後、電磁鋼板80は、搬送方向に沿って下流側に送られる。より詳細には、塗布工程S3が終了した後、電磁鋼板80のうち塗布工程S3を施された部分、すなわちコア板部83は、塗布装置M2の下流側に隣接して配置された第2打ち抜き装置M3に搬送される。
第2打ち抜き工程S4は、電磁鋼板80からコア板部83を打ち抜いて板部材10aを形成する工程である。第2打ち抜き工程S4は、図4に示す第2打ち抜き装置M3を用いて行われる。第2打ち抜き装置M3は、第2ダイD2と、第2ダイD2の上側に配置された第2パンチP2と、を有する。第2ダイD2と第2パンチP2とによって、コア板部83が打ち抜かれ、打ち抜かれた部分が板部材10aとなる。
積層工程S5は、接着剤を介して板部材10a同士を接着し、板部材10aを積層する工程である。第2打ち抜き工程S4で形成された板部材10aは、第2ダイD2に設けられたガイド貫通孔D2aに沿って落下し、順次積層される。板部材10aの下面には、塗布工程S3において接着剤が塗布されるため、板部材10aの下面が、すでに積層された板部材10aの上面と接着剤によって接着される。ガイド貫通孔D2aは、第2ダイD2を上下方向に貫通する。ガイド貫通孔D2aの径方向内側面は、板部材10aの径方向外縁のうちの少なくとも一部を支持する。
上述した各工程を繰り返し、所定枚数の板部材10aを積層することで、ステータコア10が製造される。第1パンチP1と上側固定部材F1と第2パンチP2とは、例えば、共に上下方向に移動する。第1パンチP1と上側固定部材F1と第2パンチP2とは、最も下側に位置する状態、すなわち図4に示す状態において、各装置によって行われる工程を行う。すなわち、電磁鋼板80における搬送方向の3つの箇所において、各箇所が位置する装置に対応した工程がほぼ同時に行われる。第1パンチP1と上側固定部材F1と第2パンチP2とが、図4に示す状態よりも上側に移動した状態において、電磁鋼板80は、搬送方向に沿って上流側から下流側へと送られる。
なお、本実施形態においては、板部材10aの下面に接着剤が塗布されるため、ステータコア10を構成する板部材10aのうち最も下側に位置する板部材10aについては、塗布工程S3を省略する。
本実施形態によれば、マスキング工程S2によって第1面80aをマスキングするため、塗布工程S3において、第1面80aにおいて接着剤を塗布すべきでない部分に接着剤が塗布されることを防止できる。これにより、第2打ち抜き工程S4によって形成される板部材10aにおいて接着剤を塗布すべきでない部分に接着剤が塗布されることを防止できる。したがって、板部材10aを積層した際に、接着剤が板部材10aからはみ出すことを抑制できる。そのため、板部材10aを積層する金型の内側面、すなわち本実施形態では第2ダイD2のガイド貫通孔D2aの径方向内側面に接着剤が付着することを抑制できる。これにより、第2ダイD2内に付着する接着剤を除去する等のメンテナンスの手間が省け、ステータコア10の生産性を向上することができる。
また、例えば、接着剤がステータコア10におけるロータ30と対向する部分にはみ出した場合、ロータ30の回転時に硬化した接着剤がロータ30と擦れ、モータ1の回転性能が低下する場合がある。また、モータ1の組み立て時に、はみ出した接着剤が完全に硬化していない場合には、はみ出した接着剤によってロータ30とステータコア10とが接着される場合もある。これらに対して、本実施形態によれば、接着剤がはみ出すことを抑制できるため、モータ1の回転性能が低下することを抑制でき、かつ、モータ1の組み立て時にロータ30とステータコア10とが接着されることを抑制できる。
また、接着剤を塗布する方法として、静電塗布方法を用いることで、例えば、接触塗布方法等により接着剤を塗布する場合に比べて、接着剤を精度よく塗布することができる。これにより、塗布される接着剤の膜厚を好適に薄くできる。したがって、板部材10aを積層した際に、板部材10a同士の間で接着剤が広がることを抑制できる。
ここで、例えば、板部材同士の間で接着剤を広げて板部材同士の接着を行う場合、接着剤の広がりを制御することが難しく、板部材から接着剤がはみ出す、あるいは板部材同士の接着が不十分となる場合がある。板部材同士の接着が不十分となると、積層された板部材の同士の間に隙間が生じ、ステータコアの磁気特性が低下する場合がある。
これに対して、本実施形態によれば、板部材10a同士の間で接着剤が広がることを抑制できるため、接着剤が広がってはみ出すことを抑制しつつ、板部材10a同士を接着する箇所全体に接着剤を塗布して板部材10a同士の接着を十分にできる。したがって、ステータコア10の磁気特性が低下することを抑制でき、磁気特性に優れたステータコア10が得られる。
また、接着剤を、板部材10aを接着するのに必要な分だけ塗布しやすく、接着剤の使用量を少なくできる。
また、上述した接着剤を広げて板部材同士の接着を行う場合において、接着剤の広がりを制御することは、例えば、板部材が小さくなる程、困難になる。したがって、上述した本実施形態は、小型のステータコアを製造する場合に特に有用である。
また、板部材同士を固定する方法として、板部材同士をカシメる方法、あるいは溶接する方法も考えられる。しかし、これらの方法を用いると、板部材に残留応力が生じ、材料特性が劣化する問題がある。この問題は、板部材が薄い場合に特に顕著である。一方、板部材が薄いほど、ステータコアに渦電流が生じることを抑制できるため、モータを高効率化する観点から、板部材は薄い方が好ましい。したがって、本実施形態のように接着剤を用いて板部材10a同士を接着することで、板部材10aを薄くしてモータ1を高効率化しつつ、板部材10aに残留応力が生じず材料特性が劣化することを抑制できる。
また、本実施形態によれば、マスキング工程S2において、コア板部83の縁部の少なくとも一部をマスキングする。そのため、コア板部83の縁部の少なくとも一部には、接着剤が塗布されず、コア板部83の縁部から接着剤がはみ出すことをより抑制できる。本実施形態では、コア板部83の縁部の全体がマスキングされるため、コア板部83の縁部から接着剤がはみ出すことをさらに抑制できる。なお、マスキング工程S2においては、コア板部83の縁部の一部のみをマスキングしてもよい。
また、本実施形態によれば、マスキング工程S2において、コア板部83の径方向外端の縁部をマスキングする。これにより、板部材10aの積層時に、板部材10aの径方向外側に接着剤がはみ出すことを抑制できる。したがって、接着剤が第2ダイD2のガイド貫通孔D2aの径方向内側面に付着することを抑制できる。また、本実施形態のようにアウタロータ型のモータ1の場合には、ステータコア10におけるロータ30と対向する部分は、ステータコア10の径方向外端である。そのため、板部材10aの径方向外側に接着剤がはみ出すことを抑制できることで、はみ出した接着剤がロータ30と擦れることも抑制できる。
また、例えば、積層されるティース板部同士の接着が不十分な場合、ティース板部同士の間に隙間が生じる場合がある。ティースは、ステータコアの磁気回路の発生に与える影響が大きいため、ティース板部同士の間に隙間が生じると、ステータコアの磁気特性が大きく低下する場合がある。これに対して本実施形態によれば、塗布工程S3において、ティース板部82に接着剤が塗布されるため、ティース板部82同士の接着を十分にできる。これにより、ステータコア10の磁気特性が低下することをより抑制できる。
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。
塗布工程S3において、コアバック板部81に接着剤を塗布せずに、ティース板部82のみに接着剤を塗布してもよい。この場合、接着剤の使用量を低減できる。また、コアバック11は、ステータコア10の磁気回路の発生に与える影響がティース12に比べて小さいため、仮にコアバック板部81同士の間に隙間が生じても、ステータコア10の磁気特性が低下しにくい。この場合、マスキング工程S2において、コアバック板部81の全体をマスキングする。
また、上記の他、接着剤を塗布する部分は、ステータコア10の磁気回路に与える影響の大きい箇所、およびステータコア10において剛性が必要な箇所等に応じて、適宜決定してもよい。これにより、ステータコア10の磁気特性が低下することを抑制しつつ、接着剤の使用量を低減できる。
また、塗布工程S3においては、接着剤を電磁鋼板80の上側から吹き付けてもよい。すなわち、接着剤が吹き付けられる第1面が電磁鋼板80の上側の面であってもよい。この場合、積層される板部材10aの上面に接着剤が塗布されるため、ステータコア10を構成する板部材10aのうち最も上側に位置する板部材10aについては、塗布工程S3を省略する。
また、マスキング工程S2および塗布工程S3は、第1打ち抜き工程S1の前に行ってもよい。
また、接着剤は、粉体接着剤等、液体接着剤以外の接着剤であってもよい。粉体接着剤の種類については、上述した液体接着剤の種類と同様に選択できる。
また、マスキング部材50の構成は、第1面80aにおける所望の位置をマスキングできるならば、特に限定されない。また、静電塗布器60の構成は、静電塗布方法によって第1面80aに接着剤を塗布できるならば、特に限定されない。
また、本発明のステータコアの製造方法は、インナーロータ型のモータのステータコアにも適用できる。この場合、板部材の径方向内端が、ロータと対向するティース板部の先端となる。そのため、マスキング工程において、コア板部の径方向内端の縁部をマスキングすることで、板部材の径方向内側に接着剤がはみ出すことを抑制でき、はみ出した接着剤がロータと擦れることを抑制できる。
また、本発明のステータコアの製造方法は、コアバックが円環状であるとして説明したが、この構成に限定されない。すなわち、上述した積層工程の後、積層されて形成されるステータコアは、円環状のコアバックを有していなくてもよい。例えば、本発明のステータコアの製造方法は、分割コアおよび展開コアの製造に適用してもよい。本発明のステータコアの製造方法を分割コアに適用する場合、上述した実施形態と同様の工程によって、分割された状態の複数の分割コアを製造してもよい。この場合、本発明の一つの態様のステータコアの製造方法は、上述した実施形態と同様の工程に加えて、分割された状態で製造された複数の分割コアを組み立てて環状のコアバックを有するステータコアを形成する工程を含んでもよい。また、本発明のステータコアの製造方法を展開コアに適用する場合、上述した実施形態と同様の工程によって、展開された状態の展開コアを製造してもよい。この場合、本発明の一つの態様のステータコアの製造方法は、上述した実施形態と同様の工程に加えて、展開された状態の展開コアを丸めて環状のコアバックを有するステータコアを形成する工程を含んでもよい。
また、本発明のステータコアの製造方法は、電磁鋼板を打ち抜き、板部材を形成する工程を説明したが、これに限定されない。例えば、アモルファス材料を打ち抜き、板部材を形成してもよく、または、所定の形状に形成されたアモルファス材料を用いてもよい。すなわち、本発明の一つの態様のステータコアの製造方法は、電磁鋼板またはアモルファス材料等の磁性材料を打ち抜く工程と、打ち抜いた磁性材料に対してマスキングし、接着剤を吹き付ける工程と、を含むステータコアの製造方法でもよい。
上記の各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
10…ステータコア、10a…板部材、20…ステータ、50…マスキング部材、51…マスク部、52…ガイド部、53…壁部、61…吹付け部、80…電磁鋼板(磁性材料)、80a…第1面、83…コア板部、J1…中心軸、S1…第1打ち抜き工程(工程S1)、S2…マスキング工程(工程S2)、S3…塗布工程(工程S3)、S4…第2打ち抜き工程(工程S4)、S5…積層工程(工程S5)

Claims (8)

  1. 上下方向に延びる中心軸を中心とし、複数の板部材が積層されて構成されるステータコアの製造方法であって、
    磁性材料の一部を打ち抜いて除去し、前記板部材の外形の一部を有するコア板部を形成する工程S1と、
    前記磁性材料の上下方向一方側の面である第1面の一部をマスキングする工程S2と、
    前記第1面に、静電塗布方法を用いて接着剤を吹き付ける工程S3と、
    前記磁性材料から前記コア板部を打ち抜いて前記板部材を形成する工程S4と、
    前記接着剤を介して前記板部材同士を接着し、前記板部材を積層する工程S5と、
    を含むステータコアの製造方法。
  2. 前記工程S2において、マスキングする部分は、前記コア板部の縁部の少なくとも一部を含む、請求項1に記載のステータコアの製造方法。
  3. 前記工程S2において、マスキングする部分は、前記コア板部の径方向外端の縁部を含む、請求項2に記載のステータコアの製造方法。
  4. 前記工程S3において、前記接着剤は、液体接着剤である、請求項1から3のいずれか一項に記載のステータコアの製造方法。
  5. 前記第1面は、前記磁性材料における下側の面であり、
    前記工程S3において、前記第1面に、下側から前記接着剤が吹き付けられる、請求項4に記載のステータコアの製造方法。
  6. 前記工程S2において、前記第1面の一部をマスキングするマスキング部材は、
    前記第1面に接触するマスク部と、
    前記マスク部に接続され、前記工程S1で前記磁性材料の一部が除去されて形成された孔部に挿入されるガイド部と、
    を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のステータコアの製造方法。
  7. 前記磁性材料は、電磁鋼板である、請求項1から6のいずれか一項に記載のステータコアの製造方法。
  8. 前記工程S2において、前記第1面の一部をマスキングするマスキング部材は、
    前記第1面に接触し、前記第1面において前記コア板部を囲むマスク部と、
    前記マスク部の外縁から上下方向に延びる筒状の壁部と、
    を有し、
    前記工程S3において、前記接着剤を吹き付ける吹付け部は、前記壁部の内側に配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載のステータコアの製造方法。
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