本発明は、各種建設現場や工事現場等で構造物を支持する際に使用される支保工に関し、特に、複数の管材を連結して支保工を構築する構造の技術分野に属する。
例えば、各種建設現場や工事現場等においては、構造物を支保工で支持した状態で様々な作業が進められる。支保工として一般的に使用されているのは、例えば4本の管材に連結部材を溶接して一体化した四角支柱と呼ばれるものや、太い鋼管からなるもの等があり、これらを使用することで重量のある構造物も支持可能になる。
上記四角支柱は4本の管材が溶接によって連結されていて分解することができないので、支柱1本当たりの重量が嵩む。また、鋼管からなるものも許容荷重を大きくするために一般的に太く、かつ、厚肉に形成されているので1本当たりの重量が嵩む。したがって、従来の四角支柱や鋼管からなる支保工の場合、現場において作業者が人力で運搬できるようなものではなく、クレーン等でしか取り扱うことができない。このため、クレーン等の設置が困難な地下ピットや、管内及び槽内のような密閉室に従来の四角支柱や鋼管を搬入することができなかった。
また、例えば特許文献1〜3に開示されているように、複数の支柱を着脱可能な連結具によって連結することで支保工1つ当たりの許容荷重を大きくすることが知られている。特許文献1の支柱には、横架材あるいは斜材を連結するための支保工用連結金具が設けられている。この支保工用連結金具を用いることで水平つなぎ材等と干渉することなく、横架材や斜材で支保工を補強することができるようになっている。また、特許文献2では、水平方向に所定間隔をあけて立設される支柱に水平材連結用鍔を設け、この水平材連結用鍔に穴を形成し、くさび機構付き水平材を水平材連結用鍔の穴に係合させることによって複数の支柱を連結して支保工を構築するようにしている。さらに、特許文献3では、くさび穴を有する受け金具を支柱に設けておき、水平材をくさび穴に係合させることによって複数の支柱を連結して支保工を構築するようにしている。
特開平8−270214号公報
特開2008−57253号公報
特開2014−105572号公報
特許文献1〜3の支保工によれば、複数の支柱を着脱可能な連結具によって連結するようにしているので、支保工を容易に分解することができ、支柱を1本単位で運搬することが可能になる。一般に、特許文献1〜3に開示されているような支柱の場合、1本であれば人力で運搬できる程度の重さであることから、作業者が地下ピットや密閉室まで人力で搬入することができ、利便性が向上する。また、組み合わせる支柱の本数を変更することで、現場毎に支保工の許容荷重を容易に設定することができるという利点もある。さらに、支持する構造物の形状に合わせて支柱を自由に配置することも可能になる。つまり、複数の支柱を着脱可能な連結具によって連結して支保工を構築することで様々なメリットがある。
ところが、上述したように複数の支柱を着脱可能な連結具によって連結して構築する支保工によるメリットは大きいのであるが、次のような問題点もある。すなわち、支柱の上端部は構造物の荷重が直接的に作用する部分であり、安定した状態で構造物を支持するためには、支保工を構成している複数の支柱の上端部同士の相対的な位置関係を適切に保っておく必要がある。また、支柱の下端部はジャッキ等によって支持される部分であり、この下端部同士の相対的な位置関係も安定した状態で構造物を支持するために適切に保っておく必要がある。しかしながら、特許文献1〜3の連結具は、支柱の長さ方向中間部同士を連結するためのものであり、支柱の上端部同士や下端部同士を連結することができるようには構成されてはいない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の支柱を着脱可能な連結具によって連結して支保工を構築する場合に、複数の支柱の上下方向の端部同士の相対的な位置関係を適切に保つことができるようにして構造物を安定した状態で支持できるようにすることにある。
上記目的を達成するために、構造物を下方から支持する支保工において、上下方向に延び、水平方向に間隔をあけて配置される複数の支柱と、上記支柱の上下方向中間部に着脱可能に取り付けられ、該支柱の中間部同士を連結する中間部連結具と、上記支柱の上下方向の一端部同士を連結する端部連結具とを備える構成とした。
この構成によれば、中間部連結具が支柱に対して着脱可能になっているので、中間部連結具を支柱から取り外した状態にすることで、支保工を支柱1本単位にまで容易に分解できる。支柱1本であれば人力での運搬が可能になるので、例えば作業者が支柱を地下ピットや密閉室まで人力で搬入することができる。また、組み合わせる支柱の本数を変更することで、現場毎に支保工の許容荷重を容易に設定することが可能になる。さらに、支持する構造物の形状に合わせて支柱を自由に配置することも可能になる。
また、支保工を構築する際には、複数の支柱の上下方向中間部同士が中間部連結具で連結され、複数の支柱の一端部同士が端部連結具によって連結される。複数の支柱の一端部同士が端部連結具によって連結されることで、それら支柱の一端部同士の相対的な位置関係が適切に保たれる。よって、安定した状態で構造物を支持することが可能になる。
また、上記端部連結具は、水平方向に延びる基板と、該基板に固定されて該基板から上下方向に突出する複数の突出筒部とを有し、上記突出筒部の突出方向先端部に上記支柱が当接するように構成することができる。
この構成によれば、突出筒部の先端部に支柱が当接することで、突出筒部の先端部と支柱とを突き合わせて構造物を確実に支持することが可能になる。
また、上記支柱は上下方向の一端部が開口する管材で構成し、上記端部連結具には、上記支柱に対して一端部の開口から挿入される挿入筒部が、上記突出筒部から該突出筒部の中心線方向に突出するように設けられている構成とすることができる。
この構成によれば、挿入筒部を支柱の一端部の開口から該支柱に挿入することで、端部連結具の突出筒部と支柱とが径方向に相対的に変位し難くなり、支柱の一端部同士が端部連結具によって確実に連結される。
また、上記端部連結具には、上記基板と上記突出筒部の外面とに固定される補強部材が設けられている構成とすることができる。
この構成によれば、基板と突出筒部とが補強部材によって連結されるので、突出筒部の倒れ変形等が抑制される。これにより、より一層安定した状態で構造物を支持することが可能になる。
また、上記補強部材は、複数の上記突出筒部の外面に固定される構成することができる。
この構成によれば、複数の突出筒部が補強部材で連結されるので、複数の突出筒部の相対的な位置関係が適切に保たれる。
本発明によれば、支柱の中間部同士を着脱可能な中間部連結具によって連結するようにしたので、支保工を支柱1本単位にまで容易に分解することができ、人力での運搬を可能にすることができる。また、支柱の上下方向の一端部同士を端部連結具で連結するようにしたので、支柱の一端部同士の相対的な位置関係を適切に保つことができ、構造物を安定した状態で支持できる。
また、端部連結具の突出筒部の突出方向先端部に支柱を当接させることで、突出筒部の先端部と支柱とを突き合わせて構造物を確実に支持することができる。
また、端部連結具の挿入筒部を支柱の一端部の開口から該支柱に挿入することで、端部連結具の突出筒部と支柱とが径方向に相対的に変位し難くなり、支柱の一端部同士を端部連結具によって確実に連結することができる。
また、端部連結具の基板と突出筒部とを補強部材によって連結することで、突出筒部の倒れ変形等を抑制できる。これにより、より一層安定した状態で構造物を支持することができる。
また、複数の突出筒部を補強部材で連結することで、複数の突出筒部の相対的な位置関係を適切に保つことができる。
図1は、実施形態1に係る支保工の側面図である。
図2は、支保工の各支柱の配置を示す平面図である。
図3は、支保工の分解図である。
図4は、支柱の側面図である。
図5は、図4におけるV-V線断面図である。
図6は、中間部連結具の側面図である。
図7は、端部連結具の側面図である。
図8は、端部連結具の平面図である。
図9は、実施形態1の変形例1に係る図7相当図である。
図10は、実施形態1の変形例1に係る図8相当図である。
図11は、実施形態1の変形例2に係る図1相当図である。
図12は、図11のX-X線断面図である。
図13は、屈曲可能な布材を水平方向に屈曲させた状態の図12相当図である。
図14は、屈曲可能な布材によって支柱を連結した状態を拡大して示す側面図である。
図15は、屈曲可能な布材を上下方向に屈曲させた状態の図14相当図である。
図16は、実施形態2に係る図1相当図である。
図17は、実施形態2に係る図2相当図である。
図18は、実施形態2に係る図3相当図である。
図19は、実施形態2に係る図5相当図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る支保工1により構造物100を支持した状態を示す側面図である。支保工1は、例えば各種建設現場や工事現場等において各種構造物100を支持する際に使用される。構造物100としては、例えばコンクリートの床や梁の作る際に使用されるコンクリート型枠を挙げることができ、コンクリートを打設してから硬化するまで支保工1によってコンクリート型枠を支持することができる。また、構造物100は、例えば橋梁等であってもよい。
1つの構造物100を支持するために複数の支保工1が構築され、これら支保工1が連結される。まず、各支保工1について説明する。各支保工1は、上下方向に延び、水平方向に間隔をあけて配置される4本の支柱10を連結して一体化することによって構築されたものである。例えば、図2に平面図として示すように、4本の支柱10を備えた1つの支保工1を、円を描くように2重に並べて互いに連結して使用することもできる。この場合、構造物100の形状が円形に近い形状を持っている。また、支保工1は、直線状に並べて互いに連結して使用することもできるし、支保工1を単独で使用することもできる。支保工1の数や並べ方は、構造物1の形状や大きさ、重量によって任意に設定することができる。
図3にも示すように、支保工1は、4本の支柱10の他に、該支保工1を構築している隣合う支柱10の上下方向中間部に着脱可能に取り付けられて該支柱10の中間部同士を連結する中間部連結具20と、該支保工1を構成している全ての支柱10の下端部同士を連結する下側端部連結具30と、該支保工1を構成している全ての支柱10の上端部同士を連結する上側端部連結具40と、ジャッキ50とを備えている。尚、ジャッキ50は省略してもよい。
4本の支柱10は全て同じものであり、この実施形態では、図2に示すように平面視で四角形をなすように互いに略等間隔に配置されているが、これに限らず、平面視で五角形や六角形等の多角形をなすように支柱10を配置してもよいし、3本の支柱10や2本の支柱10で支保工1を構築してもよく、1つの支保工1を構築するための支柱10の数は任意に設定することができる。また、隣合う支保工1は、布材60によって連結される(図2では仮想線で示す)。
支柱10は、図4に拡大して示すように、円形断面を有する金属製の管材11と、金属製板材からなる連結部12とを有している。管材11は、例えば鋼管等で構成することができ、上下方向に延びるように配置され、構築する支保工1の高さに合うようにその長さが設定されている。管材11の上下方向両端部はそれぞれ開口している。管材11の下部には、該管材11の上下方向中間部に比べて外径が小さく形成された筒状の下側小径部13が設けられている。下側小径部13の形成により、管材11の外周面の下部には下側段部14が形成される。また、管材11の上部には、該管材11の上下方向中間部に比べて外径が小さく形成された筒状の上側小径部15が設けられている。上側小径部15の形成により、管材11の外周面の上部には上側段部16が形成される。下側小径部13と上側小径部15とは、同じ断面形状で同じ長さ、同じ外径及び内径となっている。支柱10の長さは特に限定されるものではなく、現場に応じた長さとすることができる。また、複数の支柱10を上下に着脱可能に連結して使用することもできる。
連結部12は、中間部連結具20が連結される部分であり、管材11の上側、下側、及び上下方向中間部の各部においてそれぞれ複数設けられている。図5に示すように、連結部12は、管材11の外周面から放射状に4方向に突出している。すなわち、4つの連結部12は管材11の同一高さに配置されている。連結部12の内方には、係合孔12aが形成されている。係合孔12aは、連結部12の上方及び下方の両方に開放されている。また、係合孔12aの水平方向の断面は略矩形に近い形状となっている。
図6に示すように、中間部連結具20は、水平方向に延びる棒材21と、棒材21の両端部から下方へ突出するくさび型の係合突出部22とを有している。係合突出部22は、支柱10の係合孔12aに上方から差し込まれた状態で連結部12と係合するようになっている。また、棒材21の両端部には、上方へ突出する突部23が設けられている。中間部連結具20の水平方向の寸法は、支柱10の間隔に対応した長さに設定されている。中間部連結具20の棒材21の水平方向の長さによって隣合う支柱10の間隔が所定間隔となるように設定される。支柱10の間隔は、構造物100の重量に応じて設定することができ、例えば構造物100が重ければ重いほど支柱10の間隔を狭くするのが好ましい。支柱10の間隔としては、例えば150mm〜250mmに設定することができ、この実施形態では200mmに設定している。
図1や図3に示すように、ジャッキ50は4本の支柱10の高さを調整するためのものであり、従来から周知の構造である。すなわち、ジャッキ50は、ベース51と、ベース51から上方へ延びるネジ軸52と、ネジ軸52に螺合する可動部53とを有している。ベース51が支持部材200に設置されている。可動部53をネジ軸52に螺合させた状態で回転させることによって可動部53の高さを変更することができるようになっている。図3に示すように、可動部53の中心部からネジ軸52の上側が上方へ突出するようになっている。また、可動部53の上面は略水平に延びており、後述するように下側端部連結具30が載置されて固定される。
図7及び図8に示すように、下側端部連結具30は、水平方向に延びる基板31と、該基板31に固定されて該基板31から上方に突出する4つの突出筒部32と、補強部材34とを有している。基板31は、ジャッキ50に固定される部分であり、図8に示すように平面視で四角形に近い形状をなしている。基板31の中央部には、上記ジャッキ50のネジ軸52の上側が貫通する貫通孔31aが形成されている。また、基板31はジャッキ50の可動部53に対して締結部材(図示せず)によって締結固定されるようになっており、基板31の周縁部には、締結部材が挿通する複数の挿通孔31bが該基板31を貫通するように形成されている。
4つの突出筒部32は、支保工1を構築する4つの支柱10の配設位置と一致するように配置されている。これら突出筒部32は同じものである。各突出筒部32の外径は、支柱10の上下方向中間部を構成している部分、即ち支柱10における下側小径部13及び上側小径部15以外の部分の外径と略同じである。各突出筒部32の内径は、支柱10における下側小径部13を突出筒部32に挿入可能な内径とされており、具体的には下側小径部13の外径と略同等か、下側小径部13の外径よりも若干大きめに設定されている。各支柱10の下側小径部13が各突出筒部32に挿入されることによって支柱10の下端部同士が連結されて支柱10の下端部同士の相対的な位置関係が適切に保たれる。また、下側小径部13が突出筒部32に挿入されることで、下側小径部13が突出筒部32に対して径方向に殆ど変位することはない。さらに、下側小径部13が突出筒部32に挿入された状態では、下側段部14が突出筒部32の上端部に当接する。
補強部材34は4つ設けられている。各補強部材34は、基板31の上面と、突出筒部32の外面とに固定される板材からなるものであり、基板31の上面から上方へ突出するように配設されている。補強部材34の両端部は、隣合う突出筒部32の外面に固定されており、1つの補強部材34によって2つの突出筒部32が連結されている。
上側端部連結具40は、下側端部連結具30と同様に構成されたものであり、下側端部連結具30の天地を逆にすることで上側端部連結具40として使用することができるようになっている。つまり、上側端部連結具40は、水平方向に延びる基板41と、該基板41に固定されて該基板41から下方に突出する4つの突出筒部42と、補強部材44とを有している。突出筒部42には、支柱10の上側小径部15が挿入されるようになっている。各支柱10の上側小径部15が各突出筒部42に挿入されることによって支柱10の上端部同士が連結されて支柱10の上端部同士の相対的な位置関係が適切に保たれる。
尚、上側端部連結具40の基板41は、構造物100を直接または他の部材が介在した状態で支持する。また、基板41の上側にジャッキ(図示せず)を配設することもできる。
図3に示すように、布材60は、水平方向に延びる棒材61と、棒材61の両端部から下方へ突出するくさび型の係合突出部62とを有している。係合突出部62は、支柱10の係合孔12aに上方から差し込まれた状態で連結部12と係合するようになっている。また、棒材61の両端部には、上方へ突出する突部63が設けられている。
布材60の水平方向の寸法は、隣合う支保工1の間隔に対応した長さに設定されている。布材60の棒材61の水平方向の長さによって隣合う支保工1の間隔が所定間隔となるように設定される。支保工1の間隔は、構造物100の重量に応じて設定することができる。布材60によって複数の支保工1が連結されて一体化する。
次に、上記のように構成された支保工1を構築する場合について説明する。1つの支保工1を構成する資材は上述したように4本の支柱10と、複数の中間部連結具20と、下側端部連結具30と、上側端部連結具40と、ジャッキ50である。中間部連結具20は、支柱10に対してくさび型の係合突出部22によって係合させるだけあって溶接等されないので、支柱10に対して容易に着脱することができる。また、下側端部連結具30は、各支柱10の下側小径部13が各突出筒部32に挿入されるだけであって溶接等されないので、支柱10に対して容易に着脱することができる。上側端部連結具40も同様である。
したがって、支保工1は現場において容易に分解できるとともに、容易に構築することができる。そして、支保工1を分解した状態では、支柱10が非連結状態であることから、別々に運搬可能になる。つまり、1本の支柱10であれば人力での運搬が可能な重量であることから、例えば作業者が支柱10を地下ピットや密閉室まで人力で搬入することができる。
また、支保工1を構築する際には、4本の支柱10の上下方向中間部同士が中間部連結具20で連結され、4本の支柱10の下端部同士が下側端部連結具30によって連結され、また、4本の支柱10の上端部同士が上側端部連結具40によって連結される。支柱10の下端部同士及び上端部同士が連結されることで、それら支柱10の下端部同士の相対的な位置関係が適切に保たれるとともに、上端部同士の相対的な位置関係が適切に保たれる。よって、安定した状態で構造物100を支持することが可能になる。
また、図9及び図10に示す実施形態1の変形例1のように、下側端部連結具30に、各支柱10に対して下端部(上下方向一端部)の開口から挿入される4つの挿入筒部33を設けてもよい。この変形例1では、図示しないが、支柱10の下側小径部及び上側小径部15が設けられていない。
変形例1では、下側端部連結具30の挿入筒部33の下側がそれぞれ突出筒部32に挿入された状態で溶接等により固定されている。挿入筒部33の外径は、支柱10の下部に挿入可能な外径とされており、具体的には支柱10の下部の内径と略同等か、支柱10の下部の内径よりも若干小さめに設定されている。挿入筒部33の上側は、突出筒部32の上端部から該突出筒部の中心線方向(上方)に突出している。挿入筒部33における突出筒部32から突出している部分が支柱10に挿入される。突出筒部32の突出方向先端部(上端部)に支柱10の下端部が当接するようになっている。これにより、支柱10の高さが決定されて構造物100の重量は主に突出筒部32に対して上方から作用することになる。また、挿入筒部33を支柱10に挿入することで、支柱10の下端部が突出筒部32に対して径方向に殆ど変位しなくなる。尚、上側端部連結具40も同様に構成することができる。また、下側端部連結具30のみ、または上側端部連結具40のみを変形例1のように構成してもよい。
図11〜図15は実施形態1の変形例2に係るものである。変形例2では、図11に示すように、正面視で右側に配置される支保工1が左側に配置される支保工1よりも下に位置している。この場合、右側の支保工1を構築する支柱10の長さを、左側の支保工1を構築する支柱10の長さよりも長くする。また、右側の支保工1の支柱10の下側と、左側の支保工1の支柱10の下側とを布材70によって連結する。布材70は、図12〜図15に示すように、第1管材71と、第2管材72と、第3管材73とを有している。第1管材71は、第1端部材74に対して第1角度調整部76を介して連結されている。また、第2管材72は、第2端部材75に対して第2角度調整部77を介して連結されている。第3管材73の両側は、それぞれ、第1管材71における第1端部材74とは反対側から挿入され、第2管材72における第2端部材75とは反対側から挿入されている。そして、第3管材73によって第1管材71及び第2管材72が連結され、この連結状態で第1管材71及び第2管材72の間隔を調整することができるようになっている。すなわち、第3管材73は第1管材71に挿入された状態で、第1管材71に対して固定される一方、第2管材72に挿入された状態で、第2管材72に対して中心線方向にスライド可能となっている。そして、図14に示すように、第2管材72に設けられたロックボルト80を締め込むと、ロックボルト80が第3管材73に当たって第3管材73と第2管材72との相対的な移動が阻止される。図12及び図14では、第1管材71及び第2管材72の間隔を広くした状態を示しており、図13及び図15では、第1管材71及び第2管材72の間隔を狭くした状態を示している。
また、第1端部材74には、下方へ突出するくさび型の係合突出部78が設けられている。係合突出部78は、支柱10の係合孔12aに上方から差し込まれた状態で連結部12と係合するようになっている。同様に、第2端部材75にもくさび型の係合突出部79が設けられている。
第1角度調整部76は、第1端部材74に対する第1管材71の傾斜角度を無段階に変更することができるように構成されており、ユニバーサルジョイント(自在継手)である。第2角度調整部77も同様に構成されている。これにより、図11に示すように、右側の支保工1の支柱10と左側の支保工1の支柱10との連結部12の高さが異なっていてもこれら支柱10を布材70によって連結することができる。また、図13に示すように、右側の支保工1の支柱10が左側の支保工1の支柱10よりも後側(図13の上側)に位置している場合であってもこれら支柱10を布材70によって連結することができる。
(実施形態2)
図16〜図19は、本発明の実施形態2に係るものである。この実施形態2では、1つの支保工1を構築している支柱10の数が5本である点で実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
実施形態1の支柱10が4本の場合に対して、実施形態2では図17に示すように支柱10が各支保工1の中心部に追加されている。これに伴って、下側端部連結具30の突出筒部32の数、及び上側端部連結具40の突出筒部42の数は5つとされている。また、図19に示すように、支柱10の連結部12は、同一高さに8つ設けられており、放射状に突出している。
この実施形態2も実施形態1と同様に作業者が支柱10を地下ピットや密閉室まで人力で搬入することができる。また、5本の支柱10の下端部同士が下側端部連結具30によって連結され、また、5本の支柱10の上端部同士が上側端部連結具40によって連結されるので、支柱10の下端部同士の相対的な位置関係が適切に保たれるとともに、上端部同士の相対的な位置関係が適切に保たれる。よって、安定した状態で構造物100を支持することが可能になる。
尚、実施形態2において、実施形態1の変形例1と同様に、下側端部連結具30及び上側端部連結具40に挿入筒部を設ける構成であってもよい。また、実施形態2において、実施形態1の変形例2と同様な布材70によって支柱10を連結するようにしてもよい。
以上説明したように、本発明に係る支保工は、例えば各種建設現場や工事現場等において構造物を支持する場合に使用することができる。
1 支保工
10 支柱
20 中間部連結具
30 下側端部連結具
31 基板
32 突出筒部
33 挿入筒部
34 補強部材
40 上側端部連結具
50 ジャッキ
60 布材
70 布材
本発明は、各種建設現場や工事現場等で構造物を支持する際に使用される支保工に関し、特に、複数の管材を連結して支保工を構築する構造の技術分野に属する。
例えば、各種建設現場や工事現場等においては、構造物を支保工で支持した状態で様々な作業が進められる。支保工として一般的に使用されているのは、例えば4本の管材に連結部材を溶接して一体化した四角支柱と呼ばれるものや、太い鋼管からなるもの等があり、これらを使用することで重量のある構造物も支持可能になる。
上記四角支柱は4本の管材が溶接によって連結されていて分解することができないので、支柱1本当たりの重量が嵩む。また、鋼管からなるものも許容荷重を大きくするために一般的に太く、かつ、厚肉に形成されているので1本当たりの重量が嵩む。したがって、従来の四角支柱や鋼管からなる支保工の場合、現場において作業者が人力で運搬できるようなものではなく、クレーン等でしか取り扱うことができない。このため、クレーン等の設置が困難な地下ピットや、管内及び槽内のような密閉室に従来の四角支柱や鋼管を搬入することができなかった。
また、例えば特許文献1〜3に開示されているように、複数の支柱を着脱可能な連結具によって連結することで支保工1つ当たりの許容荷重を大きくすることが知られている。特許文献1の支柱には、横架材あるいは斜材を連結するための支保工用連結金具が設けられている。この支保工用連結金具を用いることで水平つなぎ材等と干渉することなく、横架材や斜材で支保工を補強することができるようになっている。また、特許文献2では、水平方向に所定間隔をあけて立設される支柱に水平材連結用鍔を設け、この水平材連結用鍔に穴を形成し、くさび機構付き水平材を水平材連結用鍔の穴に係合させることによって複数の支柱を連結して支保工を構築するようにしている。さらに、特許文献3では、くさび穴を有する受け金具を支柱に設けておき、水平材をくさび穴に係合させることによって複数の支柱を連結して支保工を構築するようにしている。
特開平8−270214号公報
特開2008−57253号公報
特開2014−105572号公報
特許文献1〜3の支保工によれば、複数の支柱を着脱可能な連結具によって連結するようにしているので、支保工を容易に分解することができ、支柱を1本単位で運搬することが可能になる。一般に、特許文献1〜3に開示されているような支柱の場合、1本であれば人力で運搬できる程度の重さであることから、作業者が地下ピットや密閉室まで人力で搬入することができ、利便性が向上する。また、組み合わせる支柱の本数を変更することで、現場毎に支保工の許容荷重を容易に設定することができるという利点もある。さらに、支持する構造物の形状に合わせて支柱を自由に配置することも可能になる。つまり、複数の支柱を着脱可能な連結具によって連結して支保工を構築することで様々なメリットがある。
ところが、上述したように複数の支柱を着脱可能な連結具によって連結して構築する支保工によるメリットは大きいのであるが、次のような問題点もある。すなわち、支柱の上端部は構造物の荷重が直接的に作用する部分であり、安定した状態で構造物を支持するためには、支保工を構成している複数の支柱の上端部同士の相対的な位置関係を適切に保っておく必要がある。また、支柱の下端部はジャッキ等によって支持される部分であり、この下端部同士の相対的な位置関係も安定した状態で構造物を支持するために適切に保っておく必要がある。しかしながら、特許文献1〜3の連結具は、支柱の長さ方向中間部同士を連結するためのものであり、支柱の上端部同士や下端部同士を連結することができるようには構成されてはいない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の支柱を着脱可能な連結具によって連結して支保工を構築する場合に、複数の支柱の上下方向の端部同士の相対的な位置関係を適切に保つことができるようにして構造物を安定した状態で支持できるようにすることにある。
上記目的を達成するために、構造物を下方から支持する支保工において、上下方向に延び、水平方向に間隔をあけて配置される複数の支柱と、上記支柱の上下方向中間部に着脱可能に取り付けられ、該支柱の中間部同士を連結する中間部連結具と、上記支柱の上下方向の一端部同士を連結する端部連結具とを備える構成とした。
この構成によれば、中間部連結具が支柱に対して着脱可能になっているので、中間部連結具を支柱から取り外した状態にすることで、支保工を支柱1本単位にまで容易に分解できる。支柱1本であれば人力での運搬が可能になるので、例えば作業者が支柱を地下ピットや密閉室まで人力で搬入することができる。また、組み合わせる支柱の本数を変更することで、現場毎に支保工の許容荷重を容易に設定することが可能になる。さらに、支持する構造物の形状に合わせて支柱を自由に配置することも可能になる。
また、支保工を構築する際には、複数の支柱の上下方向中間部同士が中間部連結具で連結され、複数の支柱の一端部同士が端部連結具によって連結される。複数の支柱の一端部同士が端部連結具によって連結されることで、それら支柱の一端部同士の相対的な位置関係が適切に保たれる。よって、安定した状態で構造物を支持することが可能になる。
また、上記端部連結具は、水平方向に延びる基板と、該基板に固定されて該基板から上下方向に突出する複数の突出筒部とを有し、上記突出筒部の突出方向先端部に上記支柱が当接するように構成することができる。
この構成によれば、突出筒部の先端部に支柱が当接することで、突出筒部の先端部と支柱とを突き合わせて構造物を確実に支持することが可能になる。
また、上記支柱は上下方向の一端部が開口する管材で構成し、上記端部連結具には、上記支柱に対して一端部の開口から挿入される挿入筒部が、上記突出筒部から該突出筒部の中心線方向に突出するように設けられている構成とすることができる。
この構成によれば、挿入筒部を支柱の一端部の開口から該支柱に挿入することで、端部連結具の突出筒部と支柱とが径方向に相対的に変位し難くなり、支柱の一端部同士が端部連結具によって確実に連結される。
また、上記端部連結具には、上記基板と上記突出筒部の外面とに固定される補強部材が設けられている構成とすることができる。
この構成によれば、基板と突出筒部とが補強部材によって連結されるので、突出筒部の倒れ変形等が抑制される。これにより、より一層安定した状態で構造物を支持することが可能になる。
また、上記補強部材は、複数の上記突出筒部の外面に固定される構成することができる。
この構成によれば、複数の突出筒部が補強部材で連結されるので、複数の突出筒部の相対的な位置関係が適切に保たれる。
本発明によれば、支柱の中間部同士を着脱可能な中間部連結具によって連結するようにしたので、支保工を支柱1本単位にまで容易に分解することができ、人力での運搬を可能にすることができる。また、支柱の上下方向の一端部同士を端部連結具で連結するようにしたので、支柱の一端部同士の相対的な位置関係を適切に保つことができ、構造物を安定した状態で支持できる。
また、端部連結具の突出筒部の突出方向先端部に支柱を当接させることで、突出筒部の先端部と支柱とを突き合わせて構造物を確実に支持することができる。
また、端部連結具の挿入筒部を支柱の一端部の開口から該支柱に挿入することで、端部連結具の突出筒部と支柱とが径方向に相対的に変位し難くなり、支柱の一端部同士を端部連結具によって確実に連結することができる。
また、端部連結具の基板と突出筒部とを補強部材によって連結することで、突出筒部の倒れ変形等を抑制できる。これにより、より一層安定した状態で構造物を支持することができる。
また、複数の突出筒部を補強部材で連結することで、複数の突出筒部の相対的な位置関係を適切に保つことができる。
図1は、実施形態1に係る支保工の側面図である。
図2は、支保工の各支柱の配置を示す平面図である。
図3は、支保工の分解図である。
図4は、支柱の側面図である。
図5は、図4におけるV-V線断面図である。
図6は、中間部連結具の側面図である。
図7は、端部連結具の側面図である。
図8は、端部連結具の平面図である。
図9は、実施形態1の変形例1に係る図7相当図である。
図10は、実施形態1の変形例1に係る図8相当図である。
図11は、実施形態1の変形例2に係る図1相当図である。
図12は、図11のX-X線断面図である。
図13は、屈曲可能な布材を水平方向に屈曲させた状態の図12相当図である。
図14は、屈曲可能な布材によって支柱を連結した状態を拡大して示す側面図である。
図15は、屈曲可能な布材を上下方向に屈曲させた状態の図14相当図である。
図16は、実施形態2に係る図1相当図である。
図17は、実施形態2に係る図2相当図である。
図18は、実施形態2に係る図3相当図である。
図19は、実施形態2に係る図5相当図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る支保工1により構造物100を支持した状態を示す側面図である。支保工1は、例えば各種建設現場や工事現場等において各種構造物100を支持する際に使用される。構造物100としては、例えばコンクリートの床や梁の作る際に使用されるコンクリート型枠を挙げることができ、コンクリートを打設してから硬化するまで支保工1によってコンクリート型枠を支持することができる。また、構造物100は、例えば橋梁等であってもよい。
1つの構造物100を支持するために複数の支保工1が構築され、これら支保工1が連結される。まず、各支保工1について説明する。各支保工1は、上下方向に延び、水平方向に間隔をあけて配置される4本の支柱10を連結して一体化することによって構築されたものである。例えば、図2に平面図として示すように、4本の支柱10を備えた1つの支保工1を、円を描くように2重に並べて互いに連結して使用することもできる。この場合、構造物100の形状が円形に近い形状を持っている。また、支保工1は、直線状に並べて互いに連結して使用することもできるし、支保工1を単独で使用することもできる。支保工1の数や並べ方は、構造物1の形状や大きさ、重量によって任意に設定することができる。
図3にも示すように、支保工1は、4本の支柱10の他に、該支保工1を構築している隣合う支柱10の上下方向中間部に着脱可能に取り付けられて該支柱10の中間部同士を連結する中間部連結具20と、該支保工1を構成している全ての支柱10の下端部同士を連結する下側端部連結具30と、該支保工1を構成している全ての支柱10の上端部同士を連結する上側端部連結具40と、ジャッキ50とを備えている。尚、ジャッキ50は省略してもよい。
4本の支柱10は全て同じものであり、この実施形態では、図2に示すように平面視で四角形をなすように互いに略等間隔に配置されているが、これに限らず、平面視で五角形や六角形等の多角形をなすように支柱10を配置してもよいし、3本の支柱10や2本の支柱10で支保工1を構築してもよく、1つの支保工1を構築するための支柱10の数は任意に設定することができる。また、隣合う支保工1は、布材60によって連結される(図2では仮想線で示す)。
支柱10は、図4に拡大して示すように、円形断面を有する金属製の管材11と、金属製板材からなる連結部12とを有している。管材11は、例えば鋼管等で構成することができ、上下方向に延びるように配置され、構築する支保工1の高さに合うようにその長さが設定されている。管材11の上下方向両端部はそれぞれ開口している。管材11の下部には、該管材11の上下方向中間部に比べて外径が小さく形成された筒状の下側小径部13が設けられている。下側小径部13の形成により、管材11の外周面の下部には下側段部14が形成される。また、管材11の上部には、該管材11の上下方向中間部に比べて外径が小さく形成された筒状の上側小径部15が設けられている。上側小径部15の形成により、管材11の外周面の上部には上側段部16が形成される。下側小径部13と上側小径部15とは、同じ断面形状で同じ長さ、同じ外径及び内径となっている。支柱10の長さは特に限定されるものではなく、現場に応じた長さとすることができる。また、複数の支柱10を上下に着脱可能に連結して使用することもできる。
連結部12は、中間部連結具20が連結される部分であり、管材11の上側、下側、及び上下方向中間部の各部においてそれぞれ複数設けられている。図5に示すように、連結部12は、管材11の外周面から放射状に4方向に突出している。すなわち、4つの連結部12は管材11の同一高さに配置されている。連結部12の内方には、係合孔12aが形成されている。係合孔12aは、連結部12の上方及び下方の両方に開放されている。また、係合孔12aの水平方向の断面は略矩形に近い形状となっている。
図6に示すように、中間部連結具20は、水平方向に延びる棒材21と、棒材21の両端部から下方へ突出するくさび型の係合突出部22とを有している。係合突出部22は、支柱10の係合孔12aに上方から差し込まれた状態で連結部12と係合するようになっている。また、棒材21の両端部には、上方へ突出する突部23が設けられている。中間部連結具20の水平方向の寸法は、支柱10の間隔に対応した長さに設定されている。中間部連結具20の棒材21の水平方向の長さによって隣合う支柱10の間隔が所定間隔となるように設定される。支柱10の間隔は、構造物100の重量に応じて設定することができ、例えば構造物100が重ければ重いほど支柱10の間隔を狭くするのが好ましい。支柱10の間隔としては、例えば150mm〜250mmに設定することができ、この実施形態では200mmに設定している。
図1や図3に示すように、ジャッキ50は4本の支柱10の高さを調整するためのものであり、従来から周知の構造である。すなわち、ジャッキ50は、ベース51と、ベース51から上方へ延びるネジ軸52と、ネジ軸52に螺合する可動部53とを有している。ベース51が支持部材200に設置されている。可動部53をネジ軸52に螺合させた状態で回転させることによって可動部53の高さを変更することができるようになっている。図3に示すように、可動部53の中心部からネジ軸52の上側が上方へ突出するようになっている。また、可動部53の上面は略水平に延びており、後述するように下側端部連結具30が載置されて固定される。
図7及び図8に示すように、下側端部連結具30は、水平方向に延びる基板31と、該基板31に固定されて該基板31から上方に突出する4つの突出筒部32と、補強部材34とを有している。基板31は、ジャッキ50に固定される部分であり、図8に示すように平面視で四角形に近い形状をなしている。基板31の中央部には、上記ジャッキ50のネジ軸52の上側が貫通する貫通孔31aが形成されている。また、基板31はジャッキ50の可動部53に対して締結部材(図示せず)によって締結固定されるようになっており、基板31の周縁部には、締結部材が挿通する複数の挿通孔31bが該基板31を貫通するように形成されている。
4つの突出筒部32は、支保工1を構築する4つの支柱10の配設位置と一致するように配置されている。これら突出筒部32は同じものである。各突出筒部32の外径は、支柱10の上下方向中間部を構成している部分、即ち支柱10における下側小径部13及び上側小径部15以外の部分の外径と略同じである。各突出筒部32の内径は、支柱10における下側小径部13を突出筒部32に挿入可能な内径とされており、具体的には下側小径部13の外径と略同等か、下側小径部13の外径よりも若干大きめに設定されている。各支柱10の下側小径部13が各突出筒部32に挿入されることによって支柱10の下端部同士が連結されて支柱10の下端部同士の相対的な位置関係が適切に保たれる。また、下側小径部13が突出筒部32に挿入されることで、下側小径部13が突出筒部32に対して径方向に殆ど変位することはない。さらに、下側小径部13が突出筒部32に挿入された状態では、下側段部14が突出筒部32の上端部に当接する。
補強部材34は4つ設けられている。各補強部材34は、基板31の上面と、突出筒部32の外面とに固定される板材からなるものであり、基板31の上面から上方へ突出するように配設されている。補強部材34の両端部は、隣合う突出筒部32の外面に固定されており、1つの補強部材34によって2つの突出筒部32が連結されている。
上側端部連結具40は、下側端部連結具30と同様に構成されたものであり、下側端部連結具30の天地を逆にすることで上側端部連結具40として使用することができるようになっている。つまり、上側端部連結具40は、水平方向に延びる基板41と、該基板41に固定されて該基板41から下方に突出する4つの突出筒部42と、補強部材44とを有している。突出筒部42には、支柱10の上側小径部15が挿入されるようになっている。各支柱10の上側小径部15が各突出筒部42に挿入されることによって支柱10の上端部同士が連結されて支柱10の上端部同士の相対的な位置関係が適切に保たれる。
尚、上側端部連結具40の基板41は、構造物100を直接または他の部材が介在した状態で支持する。また、基板41の上側にジャッキ(図示せず)を配設することもできる。
図3に示すように、布材60は、水平方向に延びる棒材61と、棒材61の両端部から下方へ突出するくさび型の係合突出部62とを有している。係合突出部62は、支柱10の係合孔12aに上方から差し込まれた状態で連結部12と係合するようになっている。また、棒材61の両端部には、上方へ突出する突部63が設けられている。
布材60の水平方向の寸法は、隣合う支保工1の間隔に対応した長さに設定されている。布材60の棒材61の水平方向の長さによって隣合う支保工1の間隔が所定間隔となるように設定される。支保工1の間隔は、構造物100の重量に応じて設定することができる。布材60によって複数の支保工1が連結されて一体化する。
次に、上記のように構成された支保工1を構築する場合について説明する。1つの支保工1を構成する資材は上述したように4本の支柱10と、複数の中間部連結具20と、下側端部連結具30と、上側端部連結具40と、ジャッキ50である。中間部連結具20は、支柱10に対してくさび型の係合突出部22によって係合させるだけあって溶接等されないので、支柱10に対して容易に着脱することができる。また、下側端部連結具30は、各支柱10の下側小径部13が各突出筒部32に挿入されるだけであって溶接等されないので、支柱10に対して容易に着脱することができる。上側端部連結具40も同様である。
したがって、支保工1は現場において容易に分解できるとともに、容易に構築することができる。そして、支保工1を分解した状態では、支柱10が非連結状態であることから、別々に運搬可能になる。つまり、1本の支柱10であれば人力での運搬が可能な重量であることから、例えば作業者が支柱10を地下ピットや密閉室まで人力で搬入することができる。
また、支保工1を構築する際には、4本の支柱10の上下方向中間部同士が中間部連結具20で連結され、4本の支柱10の下端部同士が下側端部連結具30によって連結され、また、4本の支柱10の上端部同士が上側端部連結具40によって連結される。支柱10の下端部同士及び上端部同士が連結されることで、それら支柱10の下端部同士の相対的な位置関係が適切に保たれるとともに、上端部同士の相対的な位置関係が適切に保たれる。よって、安定した状態で構造物100を支持することが可能になる。
また、図9及び図10に示す実施形態1の変形例1のように、下側端部連結具30に、各支柱10に対して下端部(上下方向一端部)の開口から挿入される4つの挿入筒部33を設けてもよい。この変形例1では、図示しないが、支柱10の下側小径部及び上側小径部15が設けられていない。
変形例1では、下側端部連結具30の挿入筒部33の下側がそれぞれ突出筒部32に挿入された状態で溶接等により固定されている。挿入筒部33の外径は、支柱10の下部に挿入可能な外径とされており、具体的には支柱10の下部の内径と略同等か、支柱10の下部の内径よりも若干小さめに設定されている。挿入筒部33の上側は、突出筒部32の上端部から該突出筒部の中心線方向(上方)に突出している。挿入筒部33における突出筒部32から突出している部分が支柱10に挿入される。突出筒部32の突出方向先端部(上端部)に支柱10の下端部が当接するようになっている。これにより、支柱10の高さが決定されて構造物100の重量は主に突出筒部32に対して上方から作用することになる。また、挿入筒部33を支柱10に挿入することで、支柱10の下端部が突出筒部32に対して径方向に殆ど変位しなくなる。尚、上側端部連結具40も同様に構成することができる。また、下側端部連結具30のみ、または上側端部連結具40のみを変形例1のように構成してもよい。
図11〜図15は実施形態1の変形例2に係るものである。変形例2では、図11に示すように、正面視で右側に配置される支保工1が左側に配置される支保工1よりも下に位置している。この場合、右側の支保工1を構築する支柱10の長さを、左側の支保工1を構築する支柱10の長さよりも長くする。また、右側の支保工1の支柱10の下側と、左側の支保工1の支柱10の下側とを布材70によって連結する。布材70は、図12〜図15に示すように、第1管材71と、第2管材72と、第3管材73とを有している。第1管材71は、第1端部材74に対して第1角度調整部76を介して連結されている。また、第2管材72は、第2端部材75に対して第2角度調整部77を介して連結されている。第3管材73の両側は、それぞれ、第1管材71における第1端部材74とは反対側から挿入され、第2管材72における第2端部材75とは反対側から挿入されている。そして、第3管材73によって第1管材71及び第2管材72が連結され、この連結状態で第1管材71及び第2管材72の間隔を調整することができるようになっている。すなわち、第3管材73は第1管材71に挿入された状態で、第1管材71に対して固定される一方、第2管材72に挿入された状態で、第2管材72に対して中心線方向にスライド可能となっている。そして、図14に示すように、第2管材72に設けられたロックボルト80を締め込むと、ロックボルト80が第3管材73に当たって第3管材73と第2管材72との相対的な移動が阻止される。図12及び図14では、第1管材71及び第2管材72の間隔を広くした状態を示しており、図13及び図15では、第1管材71及び第2管材72の間隔を狭くした状態を示している。
また、第1端部材74には、下方へ突出するくさび型の係合突出部78が設けられている。係合突出部78は、支柱10の係合孔12aに上方から差し込まれた状態で連結部12と係合するようになっている。同様に、第2端部材75にもくさび型の係合突出部79が設けられている。
第1角度調整部76は、第1端部材74に対する第1管材71の傾斜角度を無段階に変更することができるように構成されており、ユニバーサルジョイント(自在継手)である。第2角度調整部77も同様に構成されている。これにより、図11に示すように、右側の支保工1の支柱10と左側の支保工1の支柱10との連結部12の高さが異なっていてもこれら支柱10を布材70によって連結することができる。また、図13に示すように、右側の支保工1の支柱10が左側の支保工1の支柱10よりも後側(図13の上側)に位置している場合であってもこれら支柱10を布材70によって連結することができる。
(実施形態2)
図16〜図19は、本発明の実施形態2に係るものである。この実施形態2では、1つの支保工1を構築している支柱10の数が5本である点で実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
実施形態1の支柱10が4本の場合に対して、実施形態2では図17に示すように支柱10が各支保工1の中心部に追加されている。これに伴って、下側端部連結具30の突出筒部32の数、及び上側端部連結具40の突出筒部42の数は5つとされている。また、図19に示すように、支柱10の連結部12は、同一高さに8つ設けられており、放射状に突出している。
この実施形態2も実施形態1と同様に作業者が支柱10を地下ピットや密閉室まで人力で搬入することができる。また、5本の支柱10の下端部同士が下側端部連結具30によって連結され、また、5本の支柱10の上端部同士が上側端部連結具40によって連結されるので、支柱10の下端部同士の相対的な位置関係が適切に保たれるとともに、上端部同士の相対的な位置関係が適切に保たれる。よって、安定した状態で構造物100を支持することが可能になる。
尚、実施形態2において、実施形態1の変形例1と同様に、下側端部連結具30及び上側端部連結具40に挿入筒部を設ける構成であってもよい。また、実施形態2において、実施形態1の変形例2と同様な布材70によって支柱10を連結するようにしてもよい。
以上説明したように、本発明に係る支保工は、例えば各種建設現場や工事現場等において構造物を支持する場合に使用することができる。
1 支保工
10 支柱
20 中間部連結具
30 下側端部連結具
31 基板
32 突出筒部
33 挿入筒部
34 補強部材
40 上側端部連結具
50 ジャッキ
60 布材
70 布材