JP5470325B2 - 足場用ブラケット - Google Patents

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Description

本発明は、仮設足場において低位から高位に向けて順次階層的に構築される足場床の幅を足場の高さ中途位置から変更可能とする足場用ブラケットに関する。
従来、建設現場等において支柱部材を上方に向けて順次連結することにより構築される仮設足場は、建造物等の壁面に沿うX方向と該壁面に向かう遠近方向のY方向に関して、それぞれ前記X方向に所定間隔をあけて内側支柱と外側支柱を構築し、内側支柱を壁面の近傍に立設すると共に、外側支柱を内側支柱よりもY方向の外側に所定間隔をあけて立設し、前記Y方向に対向する内側支柱と外側支柱を水平部材で連結することにより両支柱間に足場空間を形成すると共に、前記水平材に架設される足場床を低位から高位に向けて順次階層的に構築している。
従って、通常は、内側支柱と外側支柱がそれぞれ鉛直方向に一直線上に構築されるが、例えば、現場の敷地が狭い場合は、内側支柱と外側支柱の間隔が広く取れず、十分な幅の足場床を確保できないため、地上から何層か積み重ねた上方空間において、外側支柱をY方向の外側に偏位させることにより、足場床を拡幅する必要がある。反対に、十分な広さの敷地では内側支柱と外側支柱の間隔を広く取ることができるが、建造物等の壁面が高さ中途位置から外部に張り出す等の突出部を有する場合は、該突出部に対する内側支柱の干渉を回避するために、地上から何層か積み重ねた上方空間において、内側支柱をY方向の外側に偏位させることにより、足場床を狭幅する必要がある。
特開2010−203138号公報
足場床の拡幅に関する従来技術を図9に示している。建造物等の壁面1に沿うX方向(符号Xは図示せず)と該壁面に向かう遠近方向のY方向に関して、それぞれ前記X方向に所定間隔をあけて内側支柱2aと外側支柱2bが構築される。内側支柱2aは、壁面1の近傍に立設され、鉛直軸線D1に沿って上方に延設され、外側支柱2bは、内側支柱2aよりもY方向の外側に所定間隔をあけて立設され、鉛直軸線D2に沿って上方に延設される。内側支柱2a及び外側支柱2bは、所定長さの鋼管から成る支柱部材3を上方に向けて順次連結手段4を介して連結することにより構築され、前記Y方向に対向する内側支柱2aと外側支柱2bを相互に緊結手段5を介して水平部材6で連結することにより両支柱間に足場空間Sを形成すると共に、前記水平部材6に架設される足場板(図示せず)により足場床Fを形成する。従って、足場床Fは、低位から高位に向けて順次階層的に構築される。
そこで、拡幅を必要とする場合は、足場の所定中途高さ位置Hにおける所定階層の足場床Fに位置して、外側支柱2bからY方向の外側に向けて持ち送り枠7を組み立てることにより片持ち状に取付け、該持ち送り枠7の自由端の上に偏位支柱2cが立設される。偏位支柱2cも所定長さの鋼管から成る支柱部材3を上方に向けて順次連結することにより構築され、鉛直軸線D3に沿って上方に延設される。前記持ち送り枠7は、緊結手段5を介して外側支柱2bに連結される水平材7aと、該水平材7aを下方から外側支柱2bに支持させる補強材7bを組み付けている。
このようにして、前記水平材7aに足場板を搭載することにより、所定階層の足場床Fから水平方向に拡張された拡幅足場床fが形成される。また、前記所定階層の足場床Fよりも上方の階層には、内側支柱2aと外側支柱2bと偏位支柱2cの3本の支柱が平行に立設されているので、内側支柱2aと外側支柱2bに架設した水平部材6により形成された上層階の足場床FUに隣接して、外側支柱2bと偏位支柱2cに架設した拡幅水平部材6aに足場板を搭載することにより拡幅足場床fuが形成される。
この従来技術によれば、上層階における拡幅足場床fu及び偏位支柱2cの荷重は、持ち送り枠7と外側支柱2bの全体により支持されるので、各支柱2a、2b、2cが鉛直軸線D1、D2、D3に沿う立設状態から湾曲等の歪みを生じる可能性は低く、仮設足場全体の剛性を保持することができる。
ところが、従来技術の場合、所定階層の足場床Fと拡幅足場床fの間のみならず、上層階における足場床FUと拡幅足場床fuの間に、外側支柱2bが立設されているので、作業者が足場床上で足場空間Sを往来する際の障害になり、拡幅による効果が乏しいという問題がある。
このため、図10に示す変更技術例のように、持ち送り枠7を設けた所定階層の足場床Fの上方に外側支柱2bを立設せず、これにより障害物のない開放された作業空間SOを形成し、上層階には、内側支柱2aと偏位支柱2cを連結する長い水平部材6bにより、障害物のない足場床FUと拡幅足場床fuを同一平面上に形成することが望ましい。
しかしながら、このような変更技術例の場合は、上層階における拡幅足場床fuや偏位支柱2cの荷重Pが持ち送り枠7に集中するので、該持ち送り枠7が下向きに傾くおそれがあり、それに伴い偏位支柱2cが図示矢印Qで示すように鉛直軸線D3から外向きに傾斜するおそれがある。そして、偏位支柱2cの軸線が僅かでも傾斜すると、上方に長く延びる偏位支柱2cの全体を鉛直軸線D3に沿う同軸心で保持できなくなるので、偏位支柱2cが歪み、それにより水平部材6bを介して内側支柱2aを傾け、その結果、内側支柱2aと偏位支柱2cがS字湾曲状に歪んでしまうという重大な問題を提起する。
この点に関して、図示のように、持ち送り枠7を強固に支持するための方杖8や、該方杖8の下端部を支持する外側支柱2bを補強するための補強水平材9を設ける等、特別な補強構造を加えれば、前記歪みを防止することが可能であるが、仮設足場の構築・解体が煩雑になるばかりか、前記補強水平材9が下層階の足場床FLの障害物を生成するという問題がある。
本発明は、上記課題を解決した足場用ブラケットを提供するものであり、その手段として構成したところは、支柱部材を上方に向けて順次連結することにより構築される仮設足場であり、建造物等の壁面に沿うX方向と該壁面に向かう遠近方向のY方向に関して、それぞれ前記X方向に所定間隔をあけて内側支柱と外側支柱を構築し、内側支柱を壁面の近傍に立設すると共に、外側支柱を内側支柱よりもY方向の外側に所定間隔をあけて立設し、前記Y方向に対向する内側支柱と外側支柱を水平部材で連結することにより両支柱間に足場空間を形成すると共に、前記水平部材を介して形成される足場床を低位から高位に向けて順次階層的に構築する構成において、前記内側支柱と外側支柱のうち一方の支柱の上端部を足場の所定高さ中途位置に配置すると共に、他方の支柱を前記所定高さ中途位置よりも上方に延設し、前記一方の支柱の上端部から前記Y方向に偏位した位置に偏位支柱を立設可能とすることにより足場床の幅を変更可能とするブラケットであり、前記一方の支柱の上端部に設けられた緊結手段に固着される固着手段を備えた基端部から前記Y方向に水平に延びる支持アームと、前記支持アームの先端に一体結合された耐力軸体を備え、前記耐力軸体は、鉛直軸線に沿って配置され前記偏位支柱を同軸状に立設させる支持軸部と、該支持軸部から前記一方の支柱の下方位置に固設された張出片に向けて斜めに延びる傾斜軸部と、該傾斜軸部の下端部の係止軸部を一体に形成しており、前記一方の支柱の径方向に移動不能に係止されると共に張出片の上に下動不能に載置される固定手段を前記係止軸部に設けて成る点にある。
前記固定手段は、係止軸部の側方に設けられることにより前記一方の支柱の周面を挟持する挟持手段と、係止軸部の下方に延設されることより前記張出片に載置される座手段を構成することが好ましく、前記座手段に下向きに突出するピンを設け、前記張出片に形成された孔に前記ピンを挿入係止するように構成することが更に好ましい。
本発明の実施形態において、ブラケットは、足場空間をY方向に拡幅する拡幅用ブラケットを構成することができる。この場合、ブラケットは、足場の所定高さ中途位置に配置された外側支柱の上端部に設けられた緊結手段に前記固着手段を介して支持アームの基端部を固着すると共に、前記固定手段を外側支柱の張出片に係止固定し、外側支柱の上端部を内側支柱に水平部材を介して連結した状態で、前記支持軸部に偏位支柱を立設するように構成される。
本発明の実施形態において、ブラケットは、前記支持軸部に緊結手段を設けることにより、足場空間をY方向に狭幅する狭幅用ブラケットを構成することができる。この場合、ブラケットは、足場の所定高さ中途位置に配置された内側支柱の上端部に設けられた緊結手段に前記固着手段を介して支持アームの基端部を固着すると共に、前記固定手段を内側支柱の張出片に係止固定し、前記支持軸部に設けた緊結手段を外側支柱に水平部材を介して連結した状態で、前記支持軸部に偏位支柱を立設するように構成される。
更に、本発明の好ましい実施形態において、ブラケットは、支持軸部に緊結手段を設けておくことにより、足場空間をY方向に拡幅する拡幅用ブラケットと狭幅する狭幅用ブラケットを選択的に使用可能とする拡幅・狭幅兼用ブラケットを構成することができる。ブラケットを拡幅用ブラケットとして使用する場合は、上述の通りであり、この際、支持軸部に設けた緊結手段は、足場空間の外側に配置されるので、先行手摺の取付手段として利用可能である。ブラケットを狭幅用ブラケットとして使用する場合は、上述のように、支持軸部に設けた緊結手段を外側支柱に水平部材を介して連結した状態で、支持軸部に偏位支柱を立設することができる。
本発明によれば、足場構築現場において、足場床の拡幅及び/又は狭幅が簡単な作業で行われ、しかも、構造が複雑な補強構造を加えなくても、上部の荷重を確実に支持することが可能であり、支柱の歪みを生じることなく、全体にわたり剛性を保持する強固な足場を構築できるという効果がある。
そして、拡幅に際しては、足場床と拡張足場床の間に図9に示す従来技術のような障害物を生成しないので、開放された作業空間を有効に利用できる足場床が形成され、拡幅による作業容易化の効果を発揮する。
ところで、拡幅及び/又は狭幅に際し、ブラケット10が受ける荷重は、支持アーム11に対するモーメントと、固着手段13を介して該支持アーム11を支持する支柱2に対する垂直荷重として作用するが、支持アーム11は、耐力軸体12により強固に支持され、モーメントに耐えることにより支持軸部14を鉛直姿勢に保持する。この際、偏位支柱2cから作用する荷重は、耐力軸体12の下端部の係止軸部16に集中するが、上述のように、係止軸部16は、固定手段19により、支柱2の径方向に移動不能に係止されると共に、張出片5bの上に下動不能に載置されており、集中した荷重を支柱2の鉛直方向に作用させることができるので、ブラケット10に歪み変形等を生じることはなく、鉛直姿勢を保持した状態で偏位支柱2cを好適に支持する。
この際、万一、ブラケット10が横方向に位置ずれ等を生じると、支持軸部14と偏位支柱2cの軸心ずれを招来するおそれがあるが、請求項2又は請求項3に記載の本発明によれば、挟持手段27により支柱2の周面を挟持し、更に、座手段28を張出片5bに載置した状態でピン29を孔30に挿入係止しているので、仮に強風等により偏位支柱2cが横向きの外力を受ける場合でも、ブラケット10が所定位置で所定姿勢に堅持され、偏位支柱2cの軸心ずれを防止することが可能である。
更に、請求項6に記載の本発明によれば、拡幅用ブラケットと狭幅用ブラケットを別々に準備する必要はなく、1つのブラケット10により拡幅と狭幅を兼用できる利点がある。
本発明の1実施形態に係るブラケットを示す正面図である。 ブラケットの平面を示しており、(A)は全体の平面図、(B)は支持軸部に設けた連結手段を示す平面図、(C)は連結手段の作用を示す平面図である。 ブラケットの係止軸部に設けた固定手段の具体例を示しており、(A)は固定手段を支柱の張出片に係止する前の状態を示す斜視図、(B)は固定手段を支柱の張出片に係止した状態を示す斜視図である。 拡幅ブラケットとしての使用状態を示す正面図である。 拡幅ブラケットとして使用した状態における付加的構成を示す正面図である。 狭幅ブラケットとしての使用状態を示す正面図である。 狭幅ブラケットとして使用した状態における付加的構成を示す正面図である。 ブラケットの意匠に関する構成を示しており、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は左側面図、(D)は平面図、(E)は底面図であり、背面図は正面図と対称にあらわれるので省略している。 足場床の拡幅に関する従来技術を示す正面図である。 足場床の拡幅に関する変更技術例を示す正面図である。
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
図1は、本発明の1実施形態に係るブラケットを示しており、ブラケット10は、支柱2(後述のように、拡幅の場合は外側支柱2b、狭幅の場合は内側支柱2a)の軸線Dxに直交して水平配置される支持アーム11と、該支持アーム11の先端に一体結合された耐力軸体12を備えている。
前記支持アーム11は、直管から成る鋼管等の金属管により形成され、支柱2の上端部に固設された緊結手段5aに固着される固着手段13を該支持アーム11の基端部に設けている。図例の場合、前記緊結手段5aと固着手段13は、従来技術において水平部材6を支柱2に固着する緊結手段5と同様に、緊結用フランジの楔孔に楔片を楔結合する楔緊結構造を採用しているが、必ずしもこれに限定されるものではない。
前記耐力軸体12は、1本の鋼管等の金属管を折曲することにより形成され、支柱2の軸線Dxと平行な鉛直軸線D3に沿って配置される支持軸部14と、該支持軸部14から支柱2の下方位置に固設された緊結手段5により構成された張出片5bに向けて斜めに延びる傾斜軸部15と、該傾斜軸部15の下端部において支柱2の軸線Dxと平行に延びる係止軸部16を一体に備えている。
図示実施形態の場合、支持アーム11と耐力軸体12を連結する補強骨17が設けられており、該補強骨17は、前記鉛直軸線Dxと平行に配置された直管から成る鋼管等の金属管により形成され、該補強骨17の上端を支持アーム11の基端部に近傍する下面に溶接等で固着し、下端を傾斜軸部15の可及的下端近傍部の上面に溶接等で固着することにより、一体結合されている。尚、図例の場合、補強骨17の下端部は、傾斜軸部15に沿う屈折傾斜部17aを形成し、該屈折傾斜部17aを傾斜軸部15の上面に溶接している。
従来技術に関して説明したように、仮設足場を構成する内側支柱2a、外側支柱2b、偏位支柱2cは、それぞれ相互に共通部材とされた鋼管等の金属管から成る支柱部材3を下位から上位に向けて順次連結することにより構築され、該支柱部材3の軸方向に所定間隔をあけて緊結手段5を設けており、これに対応して、ブラケット10は、耐力軸体12を支柱部材3と同径同材とされた鋼管等の金属管により形成し、支持軸部14に前記緊結手段5と同一構成とされた緊結手段18を設けている。また、係止軸部16には、支柱2の径方向に移動不能に係止されると共に張出片5bの上に下動不能に載置される固定手段19が設けられている。
図示実施形態の場合、前記緊結手段18は、図2に示すように、支持軸部14に溶接等で固着された鋼板等の金属板から成るフランジ20を有し、該フランジ20の放射方向に楔孔21を形成した楔緊結式の緊結手段を構成している。尚、内側支柱2aは、図示のように、所定高さ毎に壁つなぎ材により壁面1に固定される。
更に、上述のように、それぞれの支柱2a、2b、2cを構成する支柱部材3は、下層側の支柱部材3の上端部に設けた連結手段4に上層側の支柱部材3の下端部を入れ子式に嵌合することにより連結されるものであり、これに対応して、ブラケット10の支持軸部14の上端には、前記連結手段4と同一構成とされた連結手段22が設けられている。図示実施形態の場合、連結手段22は、支持軸部14に挿入固着される挿入部23と、支持軸部14の上端にほぼ同一外径として連設される径大部24を有すると共に、該径大部24から上方に突出する軸管部25を備え、前記径大部24と軸管部25に跨がるロック手段26を設けている。ロック手段26は、図2(B)(C)に示すように、下端部に折曲形成されたスライド部26aを径大部24の直径方向にスライド自在に挿通すると共に、上端に折曲形成されたロック部26bを軸管部25の周面に設けた孔に挿脱自在に挿入しており、前記スライド部26aに設けたスプリング26cにより、常時はロック部26bを孔に挿入するように弾発付勢されている。後述するように支持軸部14の上に連結される偏位支柱2cの周面には、前記ロック部26aを挿入可能とする孔が設けられており、図2(C)に示すように前記ロック部26aを軸管部25から離反させた状態で、偏位支柱2cを軸管部25に外嵌した後、前記スプリング26cを介してロック部26aを戻すと、該ロック部26aが偏位支柱2cの孔を挿通して軸管部25の孔に挿入され、偏位支柱2cを抜止め状態となるようにロックする。
ブラケット10の係止軸部16に設けた固定手段19は、図3に示すように、係止軸部16の側方に設けられた挟持手段27と、係止軸部16の下方に延設された座手段28を備えている。
前記座手段28は、ほぼU形に折曲形成された鋼板等の金属板から成り、側壁28a、28aにより係止軸部16を挟持した状態で溶接等により固着され、係止軸部16の下端を超えて下方に突出された係止座部28cを形成している。
前記挟持手段27は、前記座手段28に対して背合わせとなるようにほぼU形に折曲形成された鋼板等の金属板から成り、背壁27bを前記座手段28の背壁28bに重ね合わせた状態で溶接等により固着され、該背壁27bから突出する一対の挟持壁27a、27aにより支柱2の周面を挟持するように構成されている。
更に、図示実施形態の場合、前記座手段28には、下向きに突出するピン29が固設されており、該ピン29を支柱2の張出片5bに形成された孔30に挿入係止するように構成されている。図例の場合、前記座手段28の背壁28bの下縁に形成した切欠き部にピン29の基端部を挿入した状態で溶接等により固着し、ピン29の先端が背壁28bの下縁から下方に突出するように構成している。
支柱2の張出片5bは、上述のように支柱を構成する支柱部材3に設けられたフランジ式の緊締手段5を利用することが可能であり、その場合、楔緊結式のフランジにより構成された緊結手段5(張出片5b)に設けられた楔孔により、ピン29を挿入係止する孔30を構成することができる。
上述のように、係止軸部16は、傾斜軸部15の下端部を屈折することにより、支柱2の軸線Dxと平行するように形成され、挟持手段27に設けられた背壁27bが支柱2の軸方向に沿って当接し、座手段28に設けられた係止座部28cが張出片5bの上面と平行に面接触するように構成され、しかも、ピン29が前記軸線Dxに平行するように構成されている。
(拡幅用ブラケットの使用例)
本発明のブラケット10を拡幅用ブラケットとして使用した場合の1例を図4に示している。上述の従来技術の説明と同様に、足場は、建造物等の壁面1に沿うX方向(符号Xは図示せず)に所定間隔をあけて内側支柱2aと外側支柱2bを構築し、壁面1に向かう遠近方向のY方向に関して、内側支柱2aは、壁面1の近傍に位置して鉛直軸線D1に沿うように立設され、外側支柱2bは、内側支柱2aよりもY方向の外側に所定間隔をあけて鉛直軸線D2に沿うように立設される。内側支柱2a及び外側支柱2bは、所定長さの鋼管等の金属管から成る支柱部材3を上方に向けて順次連結手段4を介して連結することにより構築され、支柱部材3の上下方向に間隔をあけて緊結手段5を設けている。そこで、支柱部材3を上方に向けて順次連結する作業工程中に、前記Y方向に対向する内側支柱2aと外側支柱2bを相互に緊結手段5を介して水平部材6で連結することにより両支柱間に足場空間Sを形成すると共に、前記水平部材6に架設される足場板(図示せず)により足場床Fを形成する。従って、足場床Fは、低位から高位に向けて順次階層的に構築される。このため、図示省略しているが、上層階の足場床を設置する前に下層階の足場床から上層階の手摺体を設置する手摺先行工法を実施することが可能である。
そこで、拡幅が必要とされる足場の所定高さ中途位置Hにおける所定階層の足場床Fに位置して、外側支柱2bの上端部は、該高さ中途位置Hに配置させられる。この際、外側支柱2bの上端部には前記緊結手段5と同様の緊結手段5aが固設されている。尚、内側支柱2aは、前記高さ中途位置Hを超えて所望の高さまで上方に延長される。
ブラケット10は、支持アーム11の固着手段13を外側支柱2bの上端部に固設された緊結手段5aに固着され、係止軸部16の固定手段19を該外側支柱2bの下方位置に固設された緊結手段から成る張出片5bに係止されると共に該張出片5bの直上で外側支柱2bに係止される。具体的には、図3(B)に示すように、挟持手段27の挟持壁27a、27aにより外側支柱2bを挟持すると共に、ピン29を張出片5bの孔30に挿入係止した状態で、座手段28の係止座部28cを張出片5bの上に載置される。これにより、同図に示すX方向及びY方向の何れにも移動不能となるように係止軸部16を係止固定することができる。
この状態で、所定高さ中途位置Hにおいて内側支柱2aと外側支柱2bの間に架設された水平部材6と、ブラケット10の支持アーム11が同一高さとされるので、前記水平部材6に搭載される足場板により形成される足場床Fと同一平面上で、支持アーム11に搭載される足場板により拡張された拡幅足場床fが形成される。
ブラケット10を取付けた状態で、鉛直軸線D3を保持する支持軸部14の上に偏位支柱2cが立設される。上述のように、支持軸部14には連結手段22が設けられているので、該連結手段22の軸管部25に偏位支柱2cの下端部を外嵌すると共にロック手段26により抜止め状にロックされる。これにより、偏位支柱2cは、支持軸部14と同軸状態を保持される。
前記所定高さ中途位置Hにおいて拡幅足場床fを形成された所定階層の足場床Fよりも上方の階層には、内側支柱2aと偏位支柱2cが鉛直方向に平行に立設されるので、内側支柱2aと偏位支柱2cを長い水平部材6cで連結し、該水平部材6cに足場板を搭載することにより、足場床FUと拡幅足場床fuが同一平面上に形成される。このような上層階の足場床に関しても、支柱部材3を上方に順次連結することにより内側支柱2aと偏位支柱2cを延長しながら構築する際に、上述の手摺先行工法を実施することが可能である。この際、ブラケット10により拡幅された階層の足場床F(f)には、図2(A)に示すように、緊結手段18を構成するフランジ20の楔孔21を利用することにより、先行手摺Gが取付けられる。
(拡幅用ブラケットの使用例における付加的構成)
上述のように拡幅用ブラケット10を使用することにより足場の足場床を拡幅する際、本発明は、図5に示すような付加的構成を妨げるものではない。
例えば、外側支柱2bの上端部に他の支柱部材3に設けられた連結手段4と同様の連結手段4aを設けることにより、鉛直軸線D2に沿って更に支柱部材3aを立設しても良い。これにより、前記支柱部材3aと偏位支柱2cを相互に緊結手段5を介して補強水平材6dにより連結できるので、上部からブラケット10に向けて集中する荷重を、前記支柱部材3aを介して外側支柱2bに分担させることが可能となる。尚、前記支柱部材3aは、1本のみならず複数本でも良いが、上層階の足場床FUを超えない本数及び長さとするのが好ましく、これにより上層階の足場床FUに障害物を生成することはない。
また、ブラケット10の係止軸部16を係止させられた外側支柱2bの軸方向に鉛直補強材31を添設することにより、簡単な構成で当該部位における外側支柱2bを補強することができる。
(狭幅用ブラケットの使用例)
本発明のブラケット10を狭幅用ブラケットとして使用した場合の1例を図6に示している。上述の場合と同様に、鉛直軸線D1に沿う内側支柱2aと、鉛直軸線D2に沿う外側支柱2bが立設され、Y方向に対向する内側支柱2aと外側支柱2bを相互に緊結手段5を介して水平部材6で連結することにより両支柱間に足場空間Sが形成され、前記水平部材6に架設される足場板(図示せず)により足場床Fが形成される。この場合も、上層階の足場床を設置する前に下層階の足場床から上層階の手摺体を設置する手摺先行工法を実施することが可能である。
狭幅が必要とされる足場の所定高さ中途位置Hにおける所定階層の足場床Fに位置して、内側支柱2aの上端部は、該高さ中途位置Hに配置させられる。この際、内側支柱2aの上端部には前記緊結手段5と同様の緊結手段5aが固設されている。尚、外側支柱2bは、前記高さ中途位置Hを超えて所望の高さまで上方に延長される。
ブラケット10は、支持アーム11の固着手段13を内側支柱2aの上端部に固設された緊結手段5aに固着され、係止軸部16の固定手段19を該内側支柱2aの下方位置に固設された緊結手段から成る張出片5bに係止されると共に該張出片5bの直上で内側支柱2aに係止される。具体的には、拡幅の場合と同様に、挟持手段27の挟持壁27a、27aにより内側支柱2aを挟持すると共に、ピン29を張出片5bの孔30に挿入係止した状態で、座手段28の係止座部28cを張出片5bの上に載置し、X方向及びY方向の何れにも移動不能となるように係止軸部16を係止固定する。
この状態で、支持軸部14に固設された緊結手段18と外側支柱2bの緊結手段5の間に短い水平部材6eを架設し、該水平部材6eに足場板を搭載することにより狭幅された足場床Fsが形成される。ブラケット10の支持アーム11には、足場板を搭載しても搭載しなくても良いが、搭載した場合は、下層階の足場床FLと同じ幅になるように補助足場床fsを形成することが可能となる。
ブラケット10を取付けた状態で、鉛直軸線D3を保持する支持軸部14の上に偏位支柱2cが立設される。上述のように、支持軸部14には連結手段22が設けられているので、該連結手段22の軸管部25に偏位支柱2cの下端部を外嵌すると共にロック手段26により抜止め状にロックされる。これにより、偏位支柱2cは、支持軸部14と同軸状態を保持される。
前記所定高さ中途位置Hにおいて狭幅された所定階層の足場床Fsよりも上方の階層には、偏位支柱2c外側支柱2bが鉛直方向に平行に立設されるので、偏位支柱2cと外側支柱2bを短い水平部材6eで連結し、該水平部材6eに足場板を搭載することにより、狭幅された足場床FsUが形成される。このような上層階の足場床に関しても、支柱部材3を上方に順次連結することにより偏位支柱2cと外側支柱2bを延長しながら構築する際に、上述の手摺先行工法を実施することが可能である。この場合、ブラケット10により狭幅された足場床Fsには、前記水平部材6eを連結する外側支柱2bの緊結手段5を利用することにより、先行手摺が取付けられる。
(狭幅用ブラケットの使用例における付加的構成)
上述のように狭幅用ブラケット10を使用することにより足場の足場床を狭幅する際、本発明は、図7に示すような付加的構成を妨げるものではない。
例えば、内側支柱2aの上端部に他の支柱部材3に設けられた連結手段4と同様の連結手段4aを設けることにより、鉛直軸線D1に沿って更に支柱部材3aを立設しても良い。これにより、前記支柱部材3aと偏位支柱2cを相互に緊結手段5を介して補強水平材6dにより連結できるので、上部からブラケット10に向けて集中する荷重を、前記支柱部材3aを介して内側支柱2aに分担させることが可能となる。尚、前記支柱3aは、1本のみならず複数本でも良く、狭幅の目的を妨げない限度で上方に延設することが可能である。
また、ブラケット10の係止軸部16を係止させられた内側支柱2aの軸方向に鉛直補強材31を添設することにより、簡単な構成で当該部位における内側支柱2aを補強することができる。
(ブラケットの作用)
上記構成によれば、拡幅及び狭幅の何れの使用態様においても、ブラケット10は、拡幅又は狭幅のために偏位を必要とされる支柱2(拡幅の場合は外側支柱2b、狭幅の場合は内側支柱2a)に固着手段13を介して支持アーム11が固着された状態で、支持軸部14を鉛直軸線D3に沿って保持し、該支持軸部14を耐力軸体12により下方から支持し、該耐力軸体12の係止軸部16を固定手段19により支柱2の径方向に移動不能に係止すると共に張出片5bの上に下動不能に載置しているので、支持軸部14に立設された偏位支柱2cを軸心ずれのない同軸状態にに保持することが可能となる。従って、上部からブラケット10に作用する荷重Pは、ブラケット10により好適に支持され、図10に基づいて説明した変更技術例のような歪みを生じることはない。
ところで、ブラケット10が受ける荷重は、支持アーム11に対するモーメントと、該支持アーム11を支持する耐力軸体12に対する垂直荷重として作用する。そこで、支持アーム11は、耐力軸体12により強固に支持され、モーメントに耐えることにより鉛直姿勢に保持する。耐力軸体12が受ける荷重は、下端部の係止軸部16に集中するが、上述のように、係止軸部16は、固定手段19により、支柱2の径方向に移動不能に係止されると共に、張出片5bの上に下動不能に載置されており、集中した荷重を支柱2の鉛直方向に作用させることができるので、歪み変形等を生じることはなく、支持軸部14の鉛直姿勢を保持した状態で偏位支柱2cを好適に支持する。
この際、万一、ブラケット10が横方向に位置ずれ等を生じると、支持軸部14と偏位支柱2cの軸心ずれを招来するおそれがあるが、上記実施形態のように、挟持手段27により支柱2の周面を挟持し、更に、座手段28を張出片5bに載置した状態でピン29を孔30に挿入係止した構成によれば、仮に強風等により偏位支柱2cが横向きの外力を受ける場合でも、ブラケット10が所定位置で所定姿勢に堅持され、偏位支柱2cの軸心ずれを防止することが可能となる。
そして、ブラケット10は、支持軸部14に緊結手段18を設けているので、図4に示すような拡幅用ブラケットと、図6に示すような狭幅用ブラケットを選択的に使用可能とする拡幅・狭幅兼用ブラケットを提供できる利点がある。
1 壁面
2a 内側支柱
2b 外側支柱
2c 偏位支柱
3 支柱部材
4 連結手段
5、5a 緊結手段
5b 張出片
6 水平部材
10 ブラケット
11 水平アーム
12 耐力軸体
13 固着手段
14 支持軸部
15 傾斜軸部
16 係止軸部
17 補強骨
18 緊結手段
19 固定手段
27 挟持手段
28 座手段
29 ピン
30 孔

Claims (6)

  1. 支柱部材(3)を上方に向けて順次連結することにより構築される仮設足場であり、建造物等の壁面に沿うX方向と該壁面に向かう遠近方向のY方向に関して、それぞれ前記X方向に所定間隔をあけて内側支柱(2a)と外側支柱(2b)を構築し、内側支柱を壁面の近傍に立設すると共に、外側支柱を内側支柱よりもY方向の外側に所定間隔をあけて立設し、前記Y方向に対向する内側支柱と外側支柱を水平部材(6)で連結することにより両支柱間に足場空間(S)を形成すると共に、前記水平部材を介して形成される足場床(F)を低位から高位に向けて順次階層的に構築する構成において、
    前記内側支柱と外側支柱のうち一方の支柱(2)の上端部を足場の所定高さ中途位置(H)に配置すると共に、他方の支柱を前記所定高さ中途位置よりも上方に延設し、前記一方の支柱の上端部から前記Y方向に偏位した位置に偏位支柱(2c)を立設可能とすることにより足場床の幅を変更可能とするブラケット(10)であり、
    前記一方の支柱(2)の上端部に設けられた緊結手段(5a)に固着される固着手段(13)を備えた基端部から前記Y方向に水平に延びる支持アーム(11)と、前記支持アームの先端に一体結合された耐力軸体(12)を備え、
    前記耐力軸体(12)は、鉛直軸線D3に沿って配置され前記偏位支柱(2c)を同軸状に立設させる支持軸部(14)と、該支持軸部から前記一方の支柱の下方位置に固設された張出片(5b)に向けて斜めに延びる傾斜軸部(15)と、該傾斜軸部の下端部の係止軸部(16)を一体に形成しており、
    前記一方の支柱(2)の径方向に移動不能に係止されると共に張出片(5b)の上に下動不能に載置される固定手段(19)を前記係止軸部(16)に設けて成ることを特徴とする足場用ブラケット。
  2. 前記固定手段(19)は、係止軸部(16)の側方に設けられることにより前記一方の支柱(2)の周面を挟持する挟持手段(27)と、係止軸部(16)の下方に延設されることより前記張出片(5b)に載置される座手段(28)を構成して成ることを特徴とする請求項1に記載の足場用ブラケット。
  3. 前記座手段(28)に下向きに突出するピン(29)を設けており、前記張出片(5b)に形成された孔(30)に前記ピン(29)を挿入係止するように構成して成ることを特徴とする請求項2に記載の足場用ブラケット。
  4. 足場空間をY方向に拡幅する拡幅用ブラケットを構成し、
    足場の所定高さ中途位置(H)に配置された外側支柱(2b)の上端部に設けられた緊結手段(5a)に前記固着手段(13)を介して支持アーム(11)の基端部を固着すると共に、前記固定手段(19)を外側支柱(2b)の張出片(5b)に係止固定し、
    外側支柱(2b)の上端部を内側支柱(2a)に水平部材(6)を介して連結した状態で、前記支持軸部(14)に偏位支柱(2c)を立設するように構成して成ることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の足場用ブラケット。
  5. 前記支持軸部(14)に緊結手段(18)を設けることにより、足場空間をY方向に狭幅する狭幅用ブラケットを構成し、
    足場の所定高さ中途位置(H)に配置された内側支柱(2a)の上端部に設けられた緊結手段(5a)に前記固着手段(13)を介して支持アーム(11)の基端部を固着すると共に、前記固定手段(19)を内側支柱(2a)の張出片(5b)に係止し、
    前記支持軸部(14)に設けた緊結手段(18)を外側支柱(2b)に水平部材(6e)を介して連結した状態で、前記支持軸部(14)に偏位支柱(2c)を立設するように構成して成ることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の足場用ブラケット。
  6. 前記支持軸部(14)に緊結手段(18)を設けることにより、足場空間をY方向に拡幅する拡幅用ブラケットと狭幅する狭幅用ブラケットを選択的に使用可能とする拡幅・狭幅兼用ブラケットを構成し、
    拡幅ブラケットとして使用するときは、外側支柱(2b)の上端部に設けられた緊結手段(5a)に前記固着手段(13)を介して支持アーム(11)の基端部を固着すると共に、前記固定手段(19)を外側支柱(2b)の張出片(5b)に係止し、外側支柱(2b)の上端部を内側支柱(2a)に水平部材(6)を介して連結した状態で、前記支持軸部(14)に偏位支柱(2c)を立設するように構成し、
    狭幅ブラケットとして使用するときは、内側支柱(2a)の上端部に設けられた緊結手段(5a)に前記固着手段(13)を介して支持アーム(11)の基端部を固着すると共に、前記固定手段(19)を内側支柱(2a)の張出片(5b)に係止し、前記支持軸部(14)に設けた緊結手段(18)を外側支柱(2b)に水平部材(6e)を介して連結した状態で、前記支持軸部(14)に偏位支柱(2c)を立設するように構成して成ることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の足場用ブラケット。
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