以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。なお、図面中に示す上下、左右、前後を示す各矢印は、車両用空調装置1を車両に搭載した際の上下方向、左右方向、前後方向を示している。
本実施形態では、車室内の空調を行う車両用空調装置1を内燃機関EGから車両走行用の駆動力を得る車両に適用した例を説明する。なお、車両用空調装置1は、例えば、電動モータから車両走行用の駆動力を得る車両にも適用可能である。
図1に示すように、車両用空調装置1は、車室内に吹き出す空気を所望の温度に調整するHVAC(Heating Ventilation and Air Conditioningの略)10を備えている。HVAC10は、車室内の最前部に設けられたインストルメントパネル9の内側に配置されている。
HVAC10は、図示しないダクトを介して、デフロスタ吹出口91、フェイス吹出口92a〜92d、およびフット吹出口93a、93bに接続されている。HVAC10は、デフロスタ吹出口91、フェイス吹出口92a〜92d、およびフット吹出口93a、93bを介して、車室内へ所望の温度に調整された空気を吹き出すことが可能となっている。
デフロスタ吹出口91は、図示しない車両前面の窓ガラスに向けて、HVAC10にて温度調整された空気を吹き出す吹出口である。デフロスタ吹出口91は、インストルメントパネル9における最前部に設けられている。
フェイス吹出口92a〜92dは、車室内の前席SEr、SElに着座した乗員の上半身側に向けて、HVAC10にて温度調整された空気を吹き出す吹出口である。フェイス吹出口92a〜92dは、インストルメントパネル9におけるデフロスタ吹出口91よりも後方側に設けられている。
本実施形態のフェイス吹出口92a〜92dは、車室内の右側座席SErが配置された右側空間SPrに主に空気を吹き出す右側フェイス吹出口92a、92bを含んで構成されている。また、本実施形態のフェイス吹出口92a〜92dは、車室内の左側座席SElが配置された左側空間SPlに主に空気を吹き出す左側フェイス吹出口92c、92dを含んで構成されている。
フット吹出口93a、93bは、車室内の前席SEr、SElに着座した乗員の下半身側に向けて、HVAC10にて温度調整された空気を吹き出す吹出口である。フット吹出口93a、93bは、インストルメントパネル9の内側に開口している。
本実施形態のフット吹出口93a、93bは、車室内の右側空間SPrに主に空気を吹き出す右側フット吹出口93a、および車室内の左側空間SPlに主に空気を吹き出す左側フット吹出口93bを有する。
ここで、図2は、HVAC10を前後方向に沿って上下に切断した際の断面を模式的に図示したものである。本実施形態のHVAC10は、図2に示すように、大別して、ブロワユニット20および温度調整ユニット30の2つの部分に分かれている。HVAC10は、ブロワユニット20と温度調整ユニット30とが、図示しない締結部材によって組み付けられた組付体として構成されている。
本実施形態のHVAC10は、ブロワユニット20が左側座席SEl側に配置されると共に、温度調整ユニット30が各座席SEr、SElの間の中央部付近に配置されるセミセンタ置きのレイアウトとなっている。なお、HVAC10は、例えば、ブロワユニット20および温度調整ユニット30の双方が各座席SEr、SElの間の中央部付近に配置されるセンタ置きのレイアウトとなっていてもよい。
ブロワユニット20は、車室内空気(以下、内気とも呼ぶ。)および車室外空気(以下、外気とも呼ぶ。)の少なくとも一方を吸い込むと共に、吸い込んだ空気を温度調整ユニット30に向けて送風するユニットである。
ブロワユニット20は、図示しない内外気切替装置、および送風機21を備える。図示しない内外気切替装置は、ブロワユニット20における空気流れ最上流部に設けられている。図示しない内外気切替装置は、送風機21に導入する空気を内気および外気の少なくとも一方に設定するための装置である。
送風機21は、内外気切替装置の空気流れ下流側に設けられ、内外気切替装置を介して導入された空気を温度調整ユニット30に送風する装置である。送風機21は、外殻を構成するブロワケース22、およびブロワケース22に収容されて、温度調整ユニット30に向かう気流を発生させるファン23を備える。
ブロワケース22は、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)により成形されている。本実施形態のブロワケース22は、空気の通風路がスクロール状に形成されたスクロールケースで構成されている。ブロワケース22は、空気流れ下流側の部位が、後述する温度調整ユニット30の空調ケース31に対して接続されている。
本実施形態のファン23は、回転軸23aの軸方向の一端側から吸い込んだ空気を回転軸23aの径方向外側に向けて吹き出す遠心ファンで構成されている。なお、ファン23は、遠心ファンに限らず、例えば、軸流ファン、クロスフローファンで構成されていてもよい。
続いて、温度調整ユニット30について、図3および図4を参照して説明する。図3および図4に示す温度調整ユニット30は、内部に収容された冷却用熱交換器32および加熱用熱交換器33によってブロワユニット20から送風された空気を所望の温度に調整するユニットである。温度調整ユニット30は、外殻を構成する空調ケース31の内部に、冷却用熱交換器32および加熱用熱交換器33が収容されている。
空調ケース31は、車室内へ送風する送風空気の通風路を形成する部材である。本実施形態の空調ケース31は、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)により成形されている。
空調ケース31は、ブロワユニット20から送風された空気が流通するように、空気流れ最上流側の部位がブロワケース22に接続されている。空調ケース31には、空気流れ最上流側に、ブロワユニット20から送風された空気が流入する空気流入通路311が形成されている。
空調ケース31における空気流入通路311の空気流れ下流側には、冷却用熱交換器32が配置されている。冷却用熱交換器32は、空調ケース31の内部を流通する空気を冷却する冷却機器である。本実施形態の冷却用熱交換器32は、内部を流通する冷媒の蒸発潜熱を利用して空気を冷却する蒸発器で構成されている。蒸発器は、図示しない、圧縮機、凝縮器、減圧機構と共に蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成している。
空調ケース31における冷却用熱交換器32の下流側には、冷却用熱交換器32で冷却された空気を加熱用熱交換器33側に流す温風通路34、および冷却用熱交換器32で冷却された空気を加熱用熱交換器33を迂回して流す冷風通路35が設定されている。
本実施形態の温風通路34には、加熱用熱交換器33が配置されている。加熱用熱交換器33は、空調ケース31の内部を流通する空気を加熱する加熱機器である。本実施形態の加熱用熱交換器33は、エンジンEGの冷却水を熱源として空気を加熱するヒータコアで構成されている。
本実施形態の冷風通路35は、温風通路34の上方側に形成された上方側冷風通路351、および温風通路34の下方側に形成された下方側冷風通路352で構成されている。すなわち、本実施形態の空調ケース31には、温風通路34の上方側に上方側冷風通路351が形成され、温風通路34の下方側に下方側冷風通路352が形成されている。
空調ケース31には、温風通路34および冷風通路35の空気流れ下流側に調温空間36が設けられている。調温空間36は、加熱用熱交換器33で加熱された加熱空気、および冷却用熱交換器32で冷却された冷却空気が流入する空間である。調温空間36における空気の温度は、加熱用熱交換器33で加熱された加熱空気、および冷却用熱交換器32で冷却された冷却空気の風量割合によって変化する。
そこで、本実施形態では、冷却用熱交換器32の空気流れ下流側であって、温風通路34および冷風通路35の入口側に、温風通路34および冷風通路35に流入させる冷却空気の風量割合を変化させるエアミックスドア37が配置されている。このエアミックスドア37は、調温空間36における空気の温度を調整する温度調整部材を構成している。
上述したように、本実施形態の空調ケース31には、上方側冷風通路351および下方側冷風通路352が形成されている。このため、本実施形態のエアミックスドア37は、上方側冷風通路351を開閉する上方側ドア371、および下方側冷風通路352を開閉する下方側ドア372を有している。本実施形態では、エアミックスドア37の上方側ドア371および下方側ドア372の双方をスライドドアで構成している。なお、エアミックスドア37の上方側ドア371および下方側ドア372は、スライドドアに限らず、例えば、バタフライドアで構成されていてもよい。
空調ケース31の空気流れ最下流部には、調温空間36にて所望の温度に調整された空気を空調ケース31の外部に吹き出すための複数の開口部38、39、40が設けられている。具体的には、本実施形態の空調ケース31には、デフロスタ開口部38、フェイス開口部39、およびフット開口部40が設けられている。
デフロスタ開口部38は、図示しないダクトを介してデフロスタ吹出口91に連通している。デフロスタ開口部38は、空調ケース31の上方側であって、前方側の壁面に形成されている。本実施形態の温度調整ユニット30は、図示しないデフロスタドアにてデフロスタ開口部38が開閉される構成となっている。
フェイス開口部39は、図示しないダクトを介してフェイス吹出口92a〜92dに連通している。フェイス開口部39は、空調ケース31の上方側であって、デフロスタ吹出口91よりも後方側の壁面に形成されている。本実施形態の温度調整ユニット30は、図示しないフェイスドアにてフェイス開口部39が開閉される構成となっている。
フット開口部40は、図示しないダクトを介してフット吹出口93a、93bに連通している。フット開口部40は、空調ケース31の下方側であって、空調ケース31の左右方向の各側壁面に形成されている。本実施形態の温度調整ユニット30は、図示しないフットドアにてフット開口部40が開閉される構成となっている。
また、本実施形態の空調ケース31には、加熱用熱交換器33にて加熱された加熱空気の一部、冷却用熱交換器32にて冷却された冷却空気の一部を空調ケース31の外部に吹き出す中間開口部41が形成されている。この中間開口部41は、後述する加湿器50の構成要素の一部を接続するための開口部である。中間開口部41は、空調ケース31の下方側であって、空調ケース31の左右方向の略中央部に形成されている。
ここで、本実施形態の車両用空調装置1は、温度調整ユニット30の加熱用熱交換器33で加熱された加熱空気、および冷却用熱交換器32で冷却された冷却空気を利用して、車室内を加湿する加湿空気を生成可能に構成されている。本実施形態では、車両用空調装置1における加湿機能を実現する構成要素が、車室内を加湿する加湿器50として機能する。
図4に示すように、加湿器50は、空調ケース31の中間開口部41に対して接続されている。本実施形態の加湿器50は、吸着器51、通路形成部材52、接続部53、加湿用ダクト54、除湿用ダクト55、および駆動機構56を備える。
吸着器51は、水分の吸着および脱離を行う吸着材511、吸着材511を保持する保持部材512を有している。本実施形態の吸着器51は、外形状が円筒形状に構成されている。吸着器51は、その内部を空気が流通可能なように、通気性を有する状態で吸着材511が配置されている。
本実施形態では、吸着材511として、有機系材料の高分子吸着材を採用している。なお、吸着材511は、高分子吸着材に限らず、例えば、無機系材料のゼオライト、シリカゲルを採用することができる。
また、通路形成部材52は、冷却用熱交換器32で冷却された冷却空気の一部を吸着材511に導くと共に、加熱用熱交換器33で加熱された加熱空気の一部を吸着材511に導く調湿用通路521を形成する部材である。通路形成部材52は、空調ケース31とは別部品として構成されている。
本実施形態の通路形成部材52は、加熱用熱交換器33で加熱された加熱空気、および冷却用熱交換器32で冷却された冷却空気が調湿用通路521に導入されるように、空調ケース31の内部に設けられている。
具体的には、本実施形態の通路形成部材52は、空調ケース31の内部における温風通路34および冷風通路35の下方側冷風通路352の出口付近に配置されている。本実施形態の通路形成部材52は、その内部にて冷却用熱交換器32で冷却された空気と加熱用熱交換器33で加熱された空気とが混ざらないように、仕切板522が設けられている。すなわち、調湿用通路521は、仕切板522によって、加熱用熱交換器33で加熱された空気の一部が流れる温風導入通路521a、および冷却用熱交換器32で冷却された空気の一部が流れる冷風導入通路521bに仕切られている。
ここで、本実施形態では、仕切板522が、調湿用通路521にて加熱空気と冷却空気とが混ざることを抑制する混合抑制部として機能する。また、本実施形態では、仕切板522が、吸着器51の空気流れ上流側において温風導入通路521aおよび冷風導入通路521bを区画形成する区画形成部を構成している。
また、本実施形態の通路形成部材52は、図2に示すように、空調ケース31の内部における左右方向の略中央部に設けられている。つまり、通路形成部材52は、調温空間36の一部が車室内の右側空間SPrに吹き出す空気の温度を調整する右側調温空間361と左側空間SPlに吹き出す空気の温度を調整する左側調温空間362とに分かれるように、空調ケース31の内部に設けられている。そして、本実施形態の通路形成部材52は、空気流れ下流側の出口側部位が、空調ケース31に形成された中間開口部41に接続されている。
図4に戻り、本実施形態の加湿器50は、通路形成部材52の出口側部位および後述する加湿用ダクト54の入口側部位を接続する接続部53を備えている。本実施形態の接続部53は、空調ケース31に形成された中間開口部41を介して、通路形成部材52の出口側部位に接続されている。そして、本実施形態の接続部53は、空調ケース31の外側に配置されている。接続部53は、空調ケース31とは別部品として構成されている。
本実施形態の接続部53の内部には、前述の吸着器51が収容されている。すなわち、本実施形態では、接続部53の内部の空間531が吸着器51を収容する空間を構成している。
図5に示すように、本実施形態の接続部53の内部の空間531は、加熱用熱交換器33で加熱された加熱空気を流す放湿空間531aと、冷却用熱交換器32で冷却された冷却空気を流す吸湿空間531bとに区画されている。
具体的には、接続部53には、その内部の空間531を、加熱用熱交換器33で加熱された加熱空気を流す放湿空間531aと、冷却用熱交換器32で冷却された冷却空気を流す吸湿空間531bとに区画する区画部材532が設けられている。すなわち、吸着器51を収容する空間531は、区画部材532によって放湿空間531aと吸湿空間531bとに区画されている。
本実施形態の区画部材532は、吸着器51の空気流れ上流側と空気流れ下流側の双方に配置されている。また、本実施形態の区画部材532は、放湿空間531aに存する空気と吸湿空間531bに存する空気とが実質的に混ざらないように、その端部が吸着材511に対して殆ど隙間がない状態で近接配置されている。
本実施形態の吸着器51は、放湿空間531aおよび吸湿空間531bの双方を跨ぐように、接続部53の内部に収容されている。このため、放湿空間531aに存在する吸着材511では、放湿空間531aを流れる加熱空気によって、吸着材511に吸着された水分が脱離する。これにより、放湿空間531aを通過後の空気は、吸着材511から脱離した水分を含む加湿空気となる。
また、吸湿空間531bに存在する吸着材511では、吸湿空間531bを流れる冷却空気に含まれる水分が吸着される。これにより、吸湿空間531bを通過後の空気は、吸着材511にて除湿された除湿空気となる。
ここで、本実施形態では、区画部材532が、調湿用通路521から後述する加湿用ダクト54に至る空気通路において、加熱空気と冷却空気とが混ざること、および除湿空気と加湿空気とが混ざることを抑制する混合抑制部として機能する。
図4に戻り、接続部53には、放湿空間531aの空気流れ下流側に加湿用ダクト54の入口側部位が接続されている。また、接続部53には、吸湿空間531bの空気流れ下流側に除湿用ダクト55の入口側部位が接続されている。
加湿用ダクト54は、吸着材511から脱離した水分を含む加湿空気を、車室内における加湿対象となる空間に導くダクトである。本実施形態の加湿用ダクト54は、その空気流れ下流側の出口側部位が、車室内における加湿対象となる空間に開口している。このため、吸着材511から脱離した水分を含む加湿空気は、車室内における加湿対象となる空間に吹き出される。なお、車室内における加湿対象となる空間としては、例えば、乗員の顔等が位置する空間が挙げられる。
一方、除湿用ダクト55は、吸着材511にて除湿された除湿空気を、加湿空気を吹き出す空間から離れた空間に導くダクトである。本実施形態の除湿用ダクト55は、その空気流れ下流側の出口側部位が、インストルメントパネル9の内側に開口している。このため、吸着材511にて除湿された除湿風は、除湿風がインストルメントパネル9の内側に排出される。
ところで、前述のように、本実施形態の加湿器50では、放湿空間531aに存する吸着材511に吸着された水分を脱離させることで、加湿空気を生成することが可能となっているが、放湿空間531aに存する吸着材511で脱離可能な水分の量は有限である。
そこで、本実施形態の加湿器50は、吸着器51の吸着材511を放湿空間531aと吸湿空間531bとの間で移動させる駆動機構56を備える。駆動機構56は、吸着器51を回転させることで、放湿空間531aに存する吸着材511の少なくとも一部を吸湿空間531bに移動させると共に、吸湿空間531bに存する吸着材511の少なくとも一部を放湿空間531aに移動させる機構である。
具体的には、駆動機構56は、吸着器51の中心を貫通すると共に吸着器51に連結された回転軸561、および回転軸561を回転駆動させる減速機付きの電動モータ562を有する。回転軸561は、回転可能に接続部53に支持されており、電動モータ562から駆動力が伝達されると、接続部53の内部で吸着器51と共に回転する。これにより、吸着器51における放湿空間531aに存する吸着材511の一部が吸湿空間531bに移動し、吸着器51における吸湿空間531bに存する吸着材511の一部が放湿空間531aに移動する。
本実施形態の電動モータ562は、回転軸561を一方向に連続的に回転駆動する。これにより、吸着器51における放湿空間531aで充分に水分を脱離した吸着材511を吸湿空間531bに移動させると共に、吸着器51における吸湿空間531bで充分に水分を吸着した吸着材511を放湿空間531aに移動させることができる。
続いて、車両用空調装置1の電気制御部である制御装置100について、図6を参照して説明する。図6に示す制御装置100は、CPU、ROMやRAM等の記憶部を含んで構成されるマイクロコンピュータ、およびその周辺回路から構成されている。制御装置100は、記憶部に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種機器の作動を制御する。なお、制御装置100の記憶部は、非遷移的実体的記憶媒体で構成される。
本実施形態の制御装置100は、HVAC10の各種機器の作動を制御する制御装置と加湿器50の各種機器の作動を制御する制御装置を1つにまとめた装置である。なお、車両用空調装置1は、HVAC10の各種機器の作動を制御する制御装置と加湿器50の各種機器の作動を制御する制御装置とが別個に設けられた構成となっていてもよい。
制御装置100の入力側には、空調制御用の各種センサ群101、空調制御用および加湿制御用の操作パネル102が接続されている。空調制御用の各種センサ群101としては、内気温度を検出する内気温度センサ、外気温度を検出する外気温度センサ、車室内の日射量を検出する日射センサ、冷却用熱交換器32の温度を検出する蒸発器温度センサ等が挙げられる。
操作パネル102には、空調運転スイッチ102a、加湿運転スイッチ102b、温度設定スイッチ102c等が設けられている。空調運転スイッチ102aは、HVAC10による空調運転のオン、オフを切り替えるスイッチである。加湿運転スイッチ102bは、加湿器50の加湿運転のオン、オフを切り替えるスイッチである。温度設定スイッチ102cは、温度調整ユニット30から吹き出す空気の目標温度を設定するスイッチである。
制御装置100の出力側には、送風機21、エアミックスドア37、駆動機構56の電動モータ562等の制御対象となる各種機器が接続されている。制御装置100は、送風機21、エアミックスドア37、駆動機構56の電動モータ562等に対して、制御信号を出力するように構成されている。
本実施形態の制御装置100は、出力側に接続された各種機器の作動を制御するハードウェアやソフトウェアを集約した装置である。制御装置100に集約される制御部としては、加湿器50で車室内を加湿する加湿処理を実行する加湿制御部100a等がある。
次に、本実施形態のHVAC10および加湿器50の作動を説明する。まず、HVAC10の作動の概略について説明する。HVAC10は、空調運転スイッチ102aがオンされると、制御装置100が空調制御用の各種センサ群101の検出信号および温度設定スイッチ102cの設定温度に基づいて、車室内へ吹き出す送風空気の目標吹出温度TAOを算出する。そして、制御装置100は、車室内へ吹き出す送風空気の温度が目標吹出温度TAOに近づくように、HVAC10における送風機21、エアミックスドア37等の各種機器の作動を制御する。
このように、HVAC10では、制御装置100が空調制御用の各種センサ群101の検出信号等に応じて各種機器を制御することで、ユーザが要求する適切な車室内の温度調整を実現することができる。
続いて、加湿器50の作動について説明する。加湿器50は、空調運転スイッチ102aおよび加湿運転スイッチ102bの双方がオンされると、制御装置100が、駆動機構56を作動させて吸着器51を所定の回転速度で回転させる。この際、エアミックスドア37の下方側ドア372が、温風通路34および下方側冷風通路352のいずれかを閉鎖する位置にある場合、制御装置100は、温風通路34および下方側冷風通路352の双方が開放される位置に下方側ドア372を制御する。
これにより、図7に示すように、冷却用熱交換器32で冷却された冷却空気の一部、および加熱用熱交換器33で加熱された加熱空気の一部が、調湿用通路521を介して、接続部53に導入される。
そして、接続部53に導入された加熱空気は、吸着器51における放湿空間531aに存する吸着材511に吸着された水分が脱離することで加湿される。本実施形態では、吸着器51が接続部53の内部で回転することから、吸着器51における吸湿空間531bで充分に水分を吸着した吸着材511が放湿空間531aに移動する。これにより、接続部53に導入された加熱空気は、吸着器51における吸湿空間531bに存する吸着材511によって連続的に加湿される。そして、放湿空間531aで加湿された加湿空気は、加湿用ダクト54を介して、車室内の加湿対象となる空間に向けて吹き出される。
一方、接続部53に導入された冷却空気は、接続部53における吸湿空間531bに存する吸着材511により除湿される。本実施形態では、吸着器51が接続部53の内部で回転することから、吸着器51における放湿空間531aで充分に水分を脱離した吸着材511が吸湿空間531bに移動する。これにより、接続部53に導入された冷却空気に含まれる水分が、吸着器51における吸湿空間531bに存する吸着材511により連続的に吸着される。そして、吸湿空間531bを通過した空気は、除湿用ダクト55を介して、インストルメントパネル9の内部の空間に吹き出される。これにより、車室内へ低湿度の冷風が流入し難くなる。
以上説明した車両用空調装置1は、吸着器51の吸着材511から脱離した水分を含む空気を、加湿用ダクト54を介して車室内へ供給する構成となっている。このため、本実施形態の車両用空調装置1によれば、車室内の加湿を実現することができる。
また、車両用空調装置1は、空調ケース31における冷却用熱交換器32および加熱用熱交換器33の空気流れ下流側に、車室内の温度調整を行うための空気が流れる調温空間36と、車室内の加湿を行うための空気が流れる調湿用通路521とが設定されている。このため、車室内の加湿を行うための空気の通風系を空調ケース31の外部に設ける構成に比べて、車両用空調装置1における空気の通風系の簡素化を図ることができる。
加えて、調湿用通路521から加湿用ダクト54に至る空気通路には、加熱空気と冷却空気とが混ざること、および除湿空気と加湿空気とが混ざることを抑制する混合抑制部として、仕切板522および区画部材532が設けられている。
これによると、調湿用通路521から加湿用ダクト54に至る空気通路において、異なる温度の空気の混合による熱損失が抑制される。このため、本実施形態の車両用空調装置1では、吸着器51に対して専用のヒータを追加することなく、加熱空気の一部によって吸着材511の水分を脱離させることができる。
従って、本実施形態の車両用空調装置1によれば、空気の通風系の簡素化を図りつつ、専用のヒータを追加することなく車室内を加湿可能な構成を実現することができる。
また、本実施形態の車両用空調装置1では、空調ケース31の内部に、調湿用通路521を形成する通路形成部材52が設けられており、調湿用通路521および調温空間36が別個の通風路として構成されている。
これによれば、調温空間36および調湿用通路521に対して、冷却用熱交換器32および加熱用熱交換器33を通過した空気を適切に分配することができる。このため、車両用空調装置1において車室内の温度調整機能を発揮させつつ、車室内の加湿を行うことができる。
ここで、車両用空調装置1の温度調整ユニット30には、車両の乗員が着座する右側座席SErが配置された右側空間SPrと左側座席SElが配置された左側空間SPlに対して、同等の空調性能が要求される。
このことを考慮して、本実施形態の車両用空調装置1は、調湿用通路521を形成する通路形成部材52を、調温空間36の一部が右側調温空間361と左側調温空間362とに分かれるように空調ケース31の内部に設ける構成としている。これによれば、調温空間36の右側と左側とを対称的な空間として構成することが可能となる。このことは、車室内における右側座席SErが配置された右側空間SPrと左側座席SElが配置された左側空間SPrに対して発揮させる空調機能を同等に維持可能となる点で有効である。
さらに、本実施形態では、調湿用通路521の出口側部位と加湿用ダクト54の入口側部位とを接続する接続部53に吸着器51を配置する構成としている。これによれば、吸着器51の追加に伴って空調ケース31の内部の調温空間36の大きさが変化することを抑えることができる。
さらにまた、本実施形態の車両用空調装置1は、吸着器51を収容する空間531が、加熱空気が流れる放湿空間531a、冷却空気が流れる吸湿空間531bに区画されている。そして、本実施形態の車両用空調装置1は、吸着器51を回転させることで、吸着器51の吸着材511を放湿空間531aと吸湿空間531bとの間で移動させる駆動機構56を備えている。
これによれば、吸湿空間531bにて吸着材511で吸着した水分を放湿空間531aで脱離させると共に、放湿空間531aにて水分を脱離した吸着材511で吸湿空間531bを流通する空気の水分を吸着することができる。このため、吸着器51にて加湿された空気を連続的に車室内へ提供することが可能となる。
さらに、本実施形態の車両用空調装置1は、区画部材532によって、吸着器51が収容される空間531の少なくとも一部が放湿空間531aおよび吸湿空間531bに区画されている。これによると、加熱空気と冷却空気とが混ざり合うことによる熱損失を充分に抑制すると共に、加湿空気と除湿空気とが混ざり合うことによる車室内の加湿効果の低下を充分に抑制することができる。
ここで、HVAC10の空調ケース31には、後席空調用の開口部、シート空調用の開口部等が設けられていることがある。このような構成のHVAC10では、空調ケース31に設けられた後席空調用の開口部、シート空調用の開口部等に本実施形態の加湿器50を接続することで、簡易に加湿機能を付加することができる。
(第1実施形態の第1変形例)
図7に示すように、第1実施形態では、冷却用熱交換器32を通過した後、加熱用熱交換器33にて加熱された加熱空気を吸着器51に導入する例について説明したが、これに限定されない。
図8および図9に示すように、車両用空調装置1の空調ケース31に冷却用熱交換器32を迂回して流す迂回通路312を追加し、当該迂回通路312を通過した後、加熱用熱交換器33にて加熱された加熱空気を吸着器51に導入する構成となっていてもよい。
(第1実施形態の第2変形例)
上述の第1実施形態では、放湿空間531aに存する空気と吸湿空間531bに存する空気とが実質的に混ざらないように、区画部材532の端部を吸着材511に対して殆ど隙間がない状態で近接配置される例について説明したが、これに限定されない。
例えば、図10に示すように、区画部材532Aは、吸着器51を収容する空間531において、吸着材511との間に所定の隙間531cがあいた状態で配置されていてもよい。これによると、吸着材511と区画部材532Aとの接触が抑制されるので、区画部材532Aとの接触による吸着器51の回転の停止を回避することが可能となる。なお、本変形例では、仕切板522および区画部材532Aが、調湿用通路521から加湿用ダクト54に至る空気通路において、加熱空気と冷却空気とが混ざること、および除湿空気と加湿空気とが混ざることを抑制する混合抑制部として機能する。
但し、本変形例の構成では、図10の破線矢印で示すように、放湿空間531aに存する空気と吸湿空間531bに存する空気とが若干混ざってしまう。このため、隙間531cは、吸着器51の空気流れ上流側において、吸着器51に流入する加熱空気と冷却空気との温度差を確保可能な範囲の大きさに設定することが望ましい。また、隙間531cは、吸着器51の空気流れ下流側において、吸着器51から流出した加湿空気と除湿空気との湿度差を確保可能な範囲の大きさに設定することが望ましい。
(第1実施形態の第3変形例)
上述の第2変形例では、区画部材532Aと吸着材511との隙間531cを介して放湿空間531aと吸湿空間531bとが連通した状態となっている例について説明したが、これに限定されない。
例えば、図11に示すように、区画部材532Aは、吸着材511との間に、放湿空間531aと吸湿空間531bとの間の連通を遮断する弾性部材533が設けられた構成となっていてもよい。
弾性部材533としては、吸着材511と接触した際の接触面積が小さくなるように、例えば、発泡材やブラシ状に形成された部材で構成することが望ましい。このような構成によれば、加熱空気と冷却空気とが混ざることを抑制しつつ、区画部材532Aとの接触による吸着器51の回転の停止を回避することが可能となる。なお、本変形例では、仕切板522、区画部材532A、弾性部材533が、調湿用通路521から加湿用ダクト54に至る空気通路において、加熱空気と冷却空気とが混ざること、および除湿空気と加湿空気とが混ざることを抑制する混合抑制部として機能する。
(第1実施形態の第4変形例)
上述の第1実施形態では、区画部材532が、吸着器51の空気流れ上流側および下流側の双方に配置される例について説明したが、これに限定されない。吸着器51の空気流れ上流側には、調湿用通路521の内部に仕切板522が配置されている。このため、吸着器51の空気流れ上流側では、仕切板522によって、加熱空気および冷却空気が混ざることがある程度抑制される。
このため、例えば、図12に示すように、区画部材532Bは、吸着器51の空気流れ下流側だけに配置されていてもよい。なお、本変形例では、仕切板522および区画部材532Bが、調湿用通路521から加湿用ダクト54に至る空気通路において、加熱空気と冷却空気とが混ざること、および除湿空気と加湿空気とが混ざることを抑制する混合抑制部として機能する。
ここで、図12では、区画部材532Bが吸着材511との間に所定の隙間531cがあいた状態で配置される例を図示したが、これに限定されない。区画部材532Bは、上述の第3変形例の如く、放湿空間531aと吸湿空間531bとの間の連通を遮断する弾性部材が設けられた構成となっていてもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図13を参照して説明する。図13は、本実施形態の温度調整ユニット30を、図4と同様に、前後方向に沿って左右方向の中央部で切断した際の断面を模式的に図示したものである。
図13に示すように、本実施形態では、吸着器51にて除湿された除湿空気が、空調ケース31の内部における冷却用熱交換器32の空気流れ上流側に戻るように、除湿用ダクト55Aが空調ケース31に対して接続されている。
具体的には、本実施形態の除湿用ダクト55Aは、空気流れ下流側の出口側部位が、空調ケース31における空気流入通路311を形成する部位に接続されている。本実施形態では、除湿用ダクト55Aは、吸着材511にて除湿された空気を冷却用熱交換器32の空気流れ上流側に戻す還流ダクトを構成している。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の車両用空調装置1は、第1実施形態と共通の構成を備えている。このため、本実施形態の車両用空調装置1は、第1実施形態と共通の構成から奏される作用効果を、第1実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態では、吸着材511にて除湿された除湿空気を冷却用熱交換器32の空気流れ上流側に戻す構成となっている。これによれば、吸着材511にて除湿された空気が、車室内に供給されることを抑えることができるので、車室内を充分に加湿することができる。
(第2実施形態の第1変形例)
上述の第2実施形態では、吸着材511にて除湿された除湿空気を冷却用熱交換器32の空気流れ上流側に戻す構成について説明したが、これに限定されない。
例えば、図14に示すように、除湿用ダクト55Bは、吸着材511にて除湿された除湿空気が調温空間36に導出されるように、空調ケース31の内部における調温空間36を形成する部位に接続されていてもよい。
ここで、区画部材532Aは、吸着器51を収容する空間531において、吸着材511との間に所定の隙間531cがあいた状態で配置されていてもよい。なお、区画部材532Aは、放湿空間531aと吸湿空間531bとの間の連通を遮断する弾性部材が設けられた構成となっていてもよい。
(第2実施形態の第2変形例)
上述の第2変形例では、区画部材532Aが、吸着器51の空気流れ上流側および下流側の双方に配置される例について説明したが、これに限定されない。
例えば、図15に示すように、区画部材532Bは、吸着器51の空気流れ下流側だけに配置されていてもよい。なお、区画部材532Bは、放湿空間531aと吸湿空間531bとの間の連通を遮断する弾性部材が設けられた構成となっていてもよい。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図16〜図18を参照して説明する。本実施形態では、吸着材511にて加湿された空気を間欠的に車室内に供給する構成としている点が第1実施形態と相違している。
本実施形態の加湿器50は、調湿用通路521を形成する通路形成部材52が、温風通路34および冷風通路35の出口側に開口している。なお、本実施形態の通路形成部材52は、第1実施形態と異なり、調湿用通路521を2つの通路に仕切る仕切板522が廃止されている。なお、図示しないが、本実施形態では、接続部53の内部の空間531を放湿空間531aおよび吸湿空間531bに区画する区画部材532も廃止されている。
また、本実施形態の加湿器50は、吸着器51が接続部53に対して動かないように設置されている。そして、本実施形態の加湿器50は、第1実施形態の駆動機構56の代わりに、調湿用通路521に導入する空気を切り替える切替ドア57を有している。
本実施形態の切替ドア57は、調湿用通路521の空気入口側に設けられている。なお、本実施形態では、切替ドア57が、加熱用熱交換器33にて加熱された加熱空気および冷却用熱交換器32にて冷却された冷却空気を吸着器51に切替導入する導入切替部材を構成する。
さらに、本実施形態の加湿器50は、加湿用ダクト54の空気流れ上流側の開口と、除湿用ダクト55の空気流れ上流側の開口とを選択的に開閉する開閉ドア58を有している。本実施形態の開閉ドア58は、接続部53における吸着器51の空気流れ下流側に設けられている。
切替ドア57および開閉ドア58は、制御装置100の出力側にそれぞれ接続されている。切替ドア57および開閉ドア58は、制御装置100からの制御信号に応じてその作動が制御される。なお、本実施形態では、切替ドア57および開閉ドア58が、調湿用通路521から加湿用ダクト54に至る空気通路において、加熱空気と冷却空気とが混ざること、および除湿空気と加湿空気とが混ざることを抑制する混合抑制部として機能する。
続いて、本実施形態の加湿器50の作動について説明する。本実施形態の加湿器50は、空調運転スイッチ102aおよび加湿運転スイッチ102bの双方がオンされると、制御装置100が、切替ドア57および開閉ドア58を制御して、車室内を加湿する。
本実施形態の制御装置100は、吸着材511に吸着された水分の脱離、吸着材511への水分の吸着が交互に繰り返されるように、切替ドア57および開閉ドア58を制御する。
具体的には、制御装置100は、吸着材511に吸着された水分の脱離させる場合、図17に示すように、温風通路34と調湿用通路521とが連通し、冷風通路35と調湿用通路521との連通が遮断される位置に切替ドア57を制御する。
また、制御装置100は、吸着材511に吸着された水分の脱離させる場合、調湿用通路521と加湿用ダクト54の内部とが連通し、調湿用通路521と除湿用ダクト55の内部との連通が遮断される位置に開閉ドア58を制御する。
これにより、加熱用熱交換器33で加熱された加熱空気の一部は、調湿用通路521を介して、接続部53に導入される。そして、接続部53に導入された加熱空気は、吸着器51の吸着材511に吸着された水分が脱離することで加湿される。その後、吸着材511で加湿された加湿空気は、加湿用ダクト54を介して、車室内の加湿対象となる空間に向けて吹き出される。
一方、制御装置100は、吸着材511に水分を吸着させる場合、図18に示すように、冷風通路35と調湿用通路521とが連通し、温風通路34と調湿用通路521との連通が遮断される位置に切替ドア57を制御する。
また、制御装置100は、吸着材511に水分を吸着させる場合、調湿用通路521と除湿用ダクト55の内部とが連通し、調湿用通路521と加湿用ダクト54の内部との連通が遮断される位置に開閉ドア58を制御する。
これにより、冷却用熱交換器32で冷却された冷却空気の一部は、調湿用通路521を介して、接続部53に導入される。そして、接続部53に導入された冷却空気は、吸着器51の吸着材511にて水分が吸着されることで除湿される。その後、吸着材511で除湿された除湿空気は、除湿用ダクト55を介して、インストルメントパネル9の内部の空間に吹き出される。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の車両用空調装置1は、第1実施形態と共通の構成を備えている。このため、本実施形態の車両用空調装置1は、第1実施形態と共通の構成から奏される作用効果を、第1実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態では、吸着材511に対して、加熱用熱交換器33にて加熱された加熱空気および冷却用熱交換器32にて冷却された冷却空気を切替導入する切替ドア57を備えている。
これによれば、切替ドア57によって、加熱用熱交換器33にて加熱された加熱空気および冷却用熱交換器32にて冷却された冷却空気を交互に吸着器51に供給することが可能となる。これにより、吸着器51にて加湿された空気を間欠的に車室内へ提供すること可能となる。
(第3実施形態の第1変形例)
上述の第3実施形態では、調湿用通路521に導入する空気を切り替える切替ドア57を、調湿用通路521の空気入口側に設ける例について説明したが、これに限定されない。
例えば、図19に示すように、調湿用通路521の上流側に存在する温風通路34および冷風通路35を開閉する中間ドア373を追加し、当該中間ドア373によって、調湿用通路521に導入する空気を切り替える構成としてもよい。
ここで、中間ドア373は、調湿用通路521の上流側に存在する温風通路34および冷風通路35を開閉するドアであり、第1実施形態で説明したエアミックスドア37の上方側ドア371および下方側ドア372とは独立して駆動可能となっている。なお、本変形例では、中間ドア373が、加熱用熱交換器33にて加熱された加熱空気および冷却用熱交換器32にて冷却された冷却空気を吸着器51に切替導入する導入切替部材を構成している。なお、本変形例では、中間ドア373および開閉ドア58が、調湿用通路521から加湿用ダクト54に至る空気通路において、加熱空気と冷却空気とが混ざること、および除湿空気と加湿空気とが混ざることを抑制する混合抑制部として機能する。
本変形例の制御装置100は、吸着材511に吸着された水分の脱離、吸着材511への水分の吸着が交互に繰り返されるように、中間ドア373および開閉ドア58を制御する。
具体的には、制御装置100は、吸着材511に吸着された水分の脱離させる場合、図20に示すように、温風通路34と調湿用通路521とが連通し、冷風通路35と調湿用通路521との連通が実質的に遮断される位置に中間ドア373を制御する。
また、制御装置100は、吸着材511に吸着された水分の脱離させる場合、調湿用通路521と加湿用ダクト54の内部とが連通し、調湿用通路521と除湿用ダクト55の内部との連通が遮断される位置に開閉ドア58を制御する。
これにより、加熱用熱交換器33で加熱された加熱空気の一部は、調湿用通路521を介して、接続部53に導入される。そして、接続部53に導入された加熱空気は、吸着器51の吸着材511に吸着された水分が脱離することで加湿される。その後、吸着材511で加湿された加湿空気は、加湿用ダクト54を介して、車室内の加湿対象となる空間に向けて吹き出される。
一方、制御装置100は、吸着材511に水分を吸着させる場合、図21に示すように、冷風通路35と調湿用通路521とが連通し、温風通路34と調湿用通路521との連通が実質的に遮断される位置に中間ドア373を制御する。
また、制御装置100は、吸着材511に水分を吸着させる場合、調湿用通路521と除湿用ダクト55の内部とが連通し、調湿用通路521と加湿用ダクト54の内部との連通が遮断される位置に開閉ドア58を制御する。
これにより、冷却用熱交換器32で冷却された冷却空気の一部は、調湿用通路521を介して、接続部53に導入される。そして、接続部53に導入された冷却空気は、吸着器51の吸着材511にて水分が吸着されることで除湿される。その後、吸着材511で除湿された除湿空気は、除湿用ダクト55を介して、インストルメントパネル9の内部の空間に吹き出される。
その他の構成は、第3実施形態と同様である。本変形例の車両用空調装置1によっても、第3実施形態の構成から奏される作用効果を、第3実施形態と同様に得ることができる。
(第3実施形態の第2変形例)
上述の第3実施形態では、調湿用通路521の仕切板522および区画部材532を廃止し、調湿用通路521に導入する空気を切り替える切替ドア57を、調湿用通路521の空気入口側に設ける例について説明したが、これに限定されない。
例えば、図22に示すように、調湿用通路521の内部に仕切板522が配置された構成となっていてもよい。すなわち、本変形例の調湿用通路521は、加熱空気の一部が流れる温風導入通路521a、および冷却空気の一部が流れる冷風導入通路521bに仕切られている。
また、図23、図24に示すように、本変形例では、吸着器51を配置する空間531における吸着器51の空気流れ上流側が、区画部材532Cによって温風導入通路521aに連通する空間、および冷風導入通路521bに連通する空間に区画されている。
さらに、本変形例では、吸着器51の空気入口側に、吸着材511に導入する空気を切り替える切替ドア57Aが配置されている。なお、本変形例では、切替ドア57Aが加熱空気および冷却空気を吸着器51に切替導入する導入切替部材を構成する。
本変形例の切替ドア57Aは、吸着器51に対向する位置に設けられている。切替ドア57Aは、吸着器51等の周囲の部材との接触を避けるために、周囲の部材に対して所定の隙間が形成されるように設けられている。なお、本変形例では、切替ドア57Aおよび区画部材532Cが、調湿用通路521から加湿用ダクト54に至る空気通路において、加熱空気と冷却空気とが混ざることを抑制する混合抑制部として機能する。
また、本変形例の切替ドア57Aは、制御装置100の出力側にそれぞれ接続されている。切替ドア57Aは、制御装置100からの制御信号に応じてその作動が制御される。本変形例の制御装置100は、吸着材511に吸着された水分の脱離、吸着材511への水分の吸着が交互に繰り返されるように、切替ドア57Aを制御する。
具体的には、制御装置100は、吸着材511に吸着された水分の脱離させる場合、図23に示すように、温風導入通路521aと吸着材511とが連通し、冷風導入通路521bと吸着材511との連通が遮断される位置に切替ドア57Aを制御する。
これによると、加熱用熱交換器33で加熱された加熱空気の一部が、調湿用通路521を介して、吸着器51に導入される。これにより、吸着器51の吸着材511に吸着された水分が脱離することで加湿される。この際、冷却空気の一部が、図23の破線矢印で示すように、切替ドア57Aとその周囲の部位との隙間を介して加熱空気に混ざってしまうことがある。このため、切替ドア57Aとその周囲の部位との隙間は、吸着器51に流入する加熱空気と冷却空気との温度差を確保可能な範囲の大きさに設定することが望ましい。
一方、制御装置100は、吸着材511に水分を吸着させる場合、図24に示すように、冷風導入通路521bと吸着材511とが連通し、温風導入通路521aと吸着材511との連通が遮断される位置に切替ドア57Aを制御する。
これによると、冷却用熱交換器32で冷却された冷却空気の一部が、調湿用通路521を介して、吸着器51に導入される。これにより、吸着器51の吸着材511にて水分が吸着されることで除湿される。この際、加熱空気の一部が、図24の破線矢印で示すように、切替ドア57Aとその周囲の部位との隙間を介して冷却空気に混ざってしまうことがある。このため、切替ドア57Aとその周囲の部位との隙間は、吸着器51に流入する加熱空気と冷却空気との温度差を確保可能な範囲の大きさに設定することが望ましい。
その他の構成は、第3実施形態と同様である。本変形例の車両用空調装置1によっても、第3実施形態の構成から奏される作用効果を、第3実施形態と同様に得ることができる。
(第3実施形態の第3変形例)
上述の第3実施形態では、切替ドア57が調湿用通路521の空気入口側に設けられ、開閉ドア58が、加湿用ダクト54および除湿用ダクト55の空気流れ上流側の開口付近に設けられた例について説明したが、これに限定されない。
図25に示すように、吸着器51の空気流れ上流側と下流側の空気通路が仕切板522および仕切部534によって分割されている構成では、図26、図27に示すように、吸着器51を収容する空間531に各ドア57B、58Aが配置されていてもよい。なお、吸着器51の空気流れ上流側は、仕切板522によって温風導入通路521aおよび冷風導入通路521bに分割されている。また、吸着器51の空気流れ下流側は、仕切部534によって加湿通路534aおよび除湿通路534bに分割されている。
切替ドア57Bは、加熱空気および冷却空気を吸着器51に切替導入する導入切替部材を構成している。また、開閉ドア58Aは、吸着材511で生成された加湿空気および除湿空気を吸着器51から切替導出させる導出切替部材を構成している。
本変形例の切替ドア57Bおよび開閉ドア58Aは、吸着器51に対向する位置に設けられている。切替ドア57Bおよび開閉ドア58Aは、吸着器51等の周囲の部材との接触を避けるために、周囲の部材に対して所定の隙間が形成されるように設けられている。なお、本変形例では、切替ドア57Bおよび開閉ドア58Aが、調湿用通路521から加湿用ダクト54に至る空気通路において、加熱空気と冷却空気とが混ざること、および除湿空気と加湿空気とが混ざることを抑制する混合抑制部として機能する。
また、本変形例の切替ドア57Bおよび開閉ドア58Aは、制御装置100の出力側にそれぞれ接続されている。切替ドア57Bおよび開閉ドア58Aは、制御装置100からの制御信号に応じてその作動が制御される。本変形例の制御装置100は、吸着材511に吸着された水分の脱離、吸着材511への水分の吸着が交互に繰り返されるように、切替ドア57Bおよび開閉ドア58Aを制御する。
具体的には、制御装置100は、吸着材511に吸着された水分の脱離させる場合、図26に示すように、温風導入通路521aと吸着材511とが連通し、冷風導入通路521bと吸着材511との連通が遮断される位置に切替ドア57Bを制御する。
また、制御装置100は、吸着材511に吸着された水分の脱離させる場合、加湿通路534aと吸着材511とが連通し、除湿通路534bと吸着材511との連通が遮断される位置に開閉ドア58Aを制御する。
これによると、吸着器51が収容された空間531は、冷風導入通路521bと除湿通路534bとの連通が遮断された状態で、温風導入通路521aと加湿通路534aとが連通する加湿通路状態となる。加湿通路状態では、加熱用熱交換器33で加熱された加熱空気の一部が、調湿用通路521を介して、吸着器51に導入される。これにより、吸着器51の吸着材511に吸着された水分が脱離することで加湿される。この際、冷却空気の一部が、図26の破線矢印で示すように、切替ドア57Bとその周囲の部位との隙間を介して加熱空気に混ざってしまうことがある。このため、切替ドア57Bとその周囲の部位との隙間は、吸着器51に流入する加熱空気と冷却空気との温度差を確保可能な範囲の大きさに設定することが望ましい。
一方、制御装置100は、吸着材511に水分を吸着させる場合、図27に示すように、冷風導入通路521bと吸着材511とが連通し、温風導入通路521aと吸着材511との連通が遮断される位置に切替ドア57Bを制御する。
また、制御装置100は、吸着材511に水分を吸着させる場合、除湿通路534bと吸着材511とが連通し、加湿通路534aと吸着材511との連通が遮断される位置に開閉ドア58Aを制御する。
これによると、吸着器51が収容された空間531は、温風導入通路521aと加湿通路534aとの連通が遮断された状態で、冷風導入通路521bと除湿通路534bとが連通する除湿通路状態となる。除湿通路状態では、冷却用熱交換器32で冷却された冷却空気の一部が、調湿用通路521を介して、吸着器51に導入される。これにより、吸着器51の吸着材511にて水分が吸着されることで除湿される。この際、加熱空気の一部が、図27の破線矢印で示すように、切替ドア57Bとその周囲の部位との隙間を介して冷却空気に混ざってしまうことがある。このため、切替ドア57Bとその周囲の部位との隙間は、吸着器51に流入する加熱空気と冷却空気との温度差を確保可能な範囲の大きさに設定することが望ましい。なお、本変形例では、切替ドア57Bおよび開閉ドア58Aが、加湿通路状態と除湿通路状態とを切替可能な状態切替部材を構成している。
その他の構成は、第3実施形態と同様である。本変形例の車両用空調装置1によっても、第3実施形態の構成から奏される作用効果を、第3実施形態と同様に得ることができる。
(第3実施形態の第4変形例)
上述の第3変形例では、吸着器51に対する加熱空気の流入方向および冷却空気の流入方向が同一方向となると共に、加湿空気の流出方向および除湿空気の流出方向が同一方向となる例について説明したが、これに限定されない。
本変形例では、吸着器51に対する加熱空気の流入方向および冷却空気の流入方向が逆方向となると共に、加湿空気の流出方向および除湿空気の流出方向が逆方向となる例について説明する。
図28に示すように、本変形例の通路形成部材52Aは、加熱空気を吸着器51に導く加熱空気ダクト523と、冷却空気を吸着器51に導く冷却空気ダクト524とを備える。本変形例の調湿用通路521は、加熱空気ダクト523および冷却空気ダクト524の内部に形成されている。すなわち、本変形例の調湿用通路521は、加熱空気ダクト523の内部に形成された温風導入通路523a、冷却空気ダクト524の内部に形成された冷風導入通路524aで構成されている。
本変形例の冷却空気ダクト524は、冷却空気の流入方向が、加熱空気の流入方向と逆方向となるように、吸着器51における加熱空気ダクト523が接続された部位とは反対側の部位に接続されている。
また、本変形例の除湿用ダクト55Cは、吸着材511にて除湿された除湿空気が調温空間36に導出されるように、空調ケース31の内部における調温空間36を形成する部位に接続されている。具体的には、本変形例の除湿用ダクト55Cは、除湿空気の流入方向が、加湿空気の流入方向と逆方向となるように、吸着器51における加湿用ダクト54が接続された部位とは反対側の部位に接続されている。
本変形例では、図29、図30に示すように、吸着器51を収容する空間531に第1切替ドア59aおよび第2切替ドア59bが配置されている。なお、本変形例では、第1切替ドア59aおよび第2切替ドア59bが、調湿用通路521から加湿用ダクト54に至る空気通路において、加熱空気と冷却空気とが混ざること、および除湿空気と加湿空気とが混ざることを抑制する混合抑制部として機能する。
第1切替ドア59aは、温風導入通路523aと除湿用ダクト55Cの内部の除湿通路534bとを選択的に開閉するものである。また、第2切替ドア59bは、冷風導入通路524aと加湿用ダクト54の内部の加湿通路534aとを選択的に開閉するものである。
本変形例の第1切替ドア59aおよび第2切替ドア59bは、吸着器51に対向する位置に設けられている。第1切替ドア59aおよび第2切替ドア59bは、吸着器51等の周囲の部材との接触を避けるために、周囲の部材に対して所定の隙間が形成されるように設けられている。
また、本変形例の第1切替ドア59aおよび第2切替ドア59bは、制御装置100の出力側にそれぞれ接続されている。第1切替ドア59aおよび第2切替ドア59bは、制御装置100からの制御信号に応じてその作動が制御される。本変形例の制御装置100は、吸着材511に吸着された水分の脱離、吸着材511への水分の吸着が交互に繰り返されるように、第1切替ドア59aおよび第2切替ドア59bを制御する。
具体的には、制御装置100は、吸着材511に吸着された水分の脱離させる場合、図29に示すように、温風導入通路523aと吸着材511とが連通し、除湿通路534bと吸着材511との連通が遮断される位置に第1切替ドア59aを制御する。
また、制御装置100は、吸着材511に吸着された水分の脱離させる場合、加湿通路534aと吸着材511とが連通し、冷風導入通路524aと吸着材511との連通が遮断される位置に第2切替ドア59bを制御する。
これによると、吸着器51が収容された空間531は、冷風導入通路524aと除湿通路534bとの連通が遮断された状態で、温風導入通路523aと加湿通路534aとが連通する加湿通路状態となる。加湿通路状態では、加熱用熱交換器33で加熱された加熱空気の一部が、調湿用通路521を介して、吸着器51に導入される。これにより、吸着器51の吸着材511に吸着された水分が脱離することで加湿される。この際、冷却空気の一部が、図29の破線矢印で示すように、第2切替ドア59bとその周囲の部位との隙間を介して加湿空気に混ざってしまうことがある。このため、第2切替ドア59bとその周囲の部位との隙間は、吸着器51に流入する加湿空気の湿度を高い状態に維持することが可能な範囲の大きさに設定することが望ましい。
一方、制御装置100は、吸着材511に水分を吸着させる場合、図30に示すように、除湿通路534bと吸着材511とが連通し、温風導入通路523aと吸着材511との連通が遮断される位置に第1切替ドア59aを制御する。
また、制御装置100は、吸着材511に水分を吸着させる場合、冷風導入通路524aと吸着材511とが連通し、加湿通路534aと吸着材511との連通が遮断される位置に第2切替ドア59bを制御する。
これによると、吸着器51が収容された空間531は、温風導入通路523aと加湿通路534aとの連通が遮断された状態で、冷風導入通路524aと除湿通路534bとが連通する除湿通路状態となる。除湿通路状態では、冷却用熱交換器32で冷却された冷却空気の一部が、調湿用通路521を介して、吸着器51に導入される。これにより、吸着器51の吸着材511にて水分が吸着されることで除湿される。この際、加熱空気の一部が、図30の破線矢印で示すように、第1切替ドア59aとその周囲の部位との隙間を介して除湿空気に混ざってしまうことがある。このため、第1切替ドア59aとその周囲の部位との隙間は、吸着器51に流入する除湿空気の湿度を低い状態に維持することが可能な範囲の大きさに設定することが望ましい。
ここで、本変形例では、第1切替ドア59aおよび第2切替ドア59bが、加湿通路状態と除湿通路状態とを切替可能な状態切替部材を構成している。
その他の構成は、第3実施形態と同様である。本変形例の車両用空調装置1によっても、第3実施形態の構成から奏される作用効果を、第3実施形態と同様に得ることができる。
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の各実施形態では、空調ケース31の内部を流通する空気を冷却する冷却機器として、蒸発器を用いる例について説明したが、これに限定されない。冷却機器は、蒸発器以外にも、例えば、ペルチェモジュール、外気等の低温の空気を利用して空調ケース31の内部を流れる空気を冷却する気−気熱交換器で構成されていてもよい。
また、上述の各実施形態では、空調ケース31の内部を流通する空気を加熱する加熱機器として、ヒータコアを用いる例について説明したが、これに限定されない。加熱機器は、ヒータコア以外にも、例えば、ペルチェモジュール、電気ヒータで構成されていてもよい。
また、上述の各実施形態では、HVAC10の内部に冷却用熱交換器32の空気流れ下流側に加熱用熱交換器33が配置される例について説明したが、これに限定されない。HVAC10は、例えば、冷却用熱交換器32および加熱用熱交換器33が空気流れに対して並列に配置される構成となっていてもよい。
また、上述の各実施形態では、冷風通路35が、上方側冷風通路351および下方側冷風通路352の2つの通風路に分かれている例を説明したが、これに限定されない。例えば、冷風通路35は、単一の通風路として形成されていてもよい。
ここで、上述の各実施形態の如く、調湿用通路521を形成する通路形成部材52を空調ケース31の内部における左右方向の略中央部に設けることが望ましいが、これに限定されない。通路形成部材52は、例えば、空調ケース31の内部における左右方向の一方側に偏るように配置されていてもよい。
また、上述の各実施形態では、空調ケース31とは別部品として構成された通路形成部材52によって、調湿用通路521を形成する例について説明したが、これに限定されない。例えば、空調ケース31の内部に立設されたリブを利用して、調湿用通路521が形成される構成となっていてもよい。
また、上述の各実施形態では、空調ケース31とは別部品として構成された接続部53を介して、通路形成部材52の出口側部位および後述する加湿用ダクト54の入口側部位を接続する例について説明したが、これに限定されない。例えば、空調ケース31の中間開口部41に対して、通路形成部材52の出口側部位および後述する加湿用ダクト54の入口側部位を直に接続する構成としてもよい。この場合、空調ケース31の中間開口部41が、通路形成部材52の出口側部位および後述する加湿用ダクト54の入口側部位を接続する接続部を構成する。
上述の各実施形態の如く、吸着器51を接続部53に配置することが望ましいが、これに限定されない。例えば、吸着器51の一部が調湿用通路521に掛かるように配置されていたり、吸着器51の一部が加湿用ダクト54および除湿用ダクト55の一部に掛かる位置に配置されていたりしてもよい。
上述の第1、第2実施形態では、吸着器51に対する加熱空気の流入方向および冷却空気の流入方向が同一方向となると共に、加湿空気の流出方向および除湿空気の流出方向が同一方向となる例について説明したが、これに限定されない。第1、第2実施形態で説明した車両用空調装置1は、吸着器51に対する加熱空気の流入方向および冷却空気の流入方向が逆方向となると共に、加湿空気の流出方向および除湿空気の流出方向が逆方向となるように構成されていてもよい。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、車両用空調装置は、水分の吸着および脱離が可能な吸着材を有する吸着器と、空調ケースに接続され、吸着材から脱離した水分によって加湿された加湿空気を車室内に導く加湿用ダクトと、を備える。空調ケースには、冷却機器で冷却された冷却空気および加熱機器で加熱された加熱空気が流入する調温空間と、加熱空気を吸着材に導くと共に、冷却空気を吸着材に導く調湿用通路と、が冷却機器および加熱機器の空気流れ下流側に設けられている。さらに、車両用空調装置は、調湿用通路から加湿用ダクトに至る空気通路に、加熱空気と冷却空気とが混ざること、および吸着器にて水分が吸着されることで除湿された除湿空気と加湿空気とが混ざることを抑制する混合抑制部が設定されている。
また、第2の観点によれば、車両用空調装置は、空調ケースの内部に、調湿用通路を形成する通路形成部材が設けられ、調湿用通路が調温空間とは別個の通風路として構成されている。
これによれば、調温空間および調湿用通路に対して、冷却機器および加熱機器を通過した空気を適切に分配することができる。このため、車両用空調装置において車室内の温度調整機能を発揮させつつ、車室内の加湿を行うことができる。
また、第3の観点によれば、車両用空調装置は、調温空間の一部が車室内の右側座席が配置された空間に吹き出す空気の温度を主に調整する右側調温空間と、車室内の左側座席が配置された空間に吹き出す空気の温度を主に調整する左側調温空間とに分かれるように、通路形成部材が空調ケースの内部に設けられている。
このように、調湿用通路を形成する通路形成部材を、調温空間の一部が右側調温空間と左側調温空間とに分かれるように空調ケースの内部に設ける構成とすれば、調温空間の右側と左側とを対称的な空間として構成することが可能となる。このことは、車室内における右側座席が配置された空間と左側座席が配置された空間に対して発揮させる空調機能を同等に維持可能となる点で有効である。
また、第4の観点によれば、車両用空調装置は、吸着器は、少なくとも一部が調湿用通路の出口側部位と加湿用ダクトの入口側部位とを接続する接続部の内部に配置されている。このように、調湿用通路の出口側部位と加湿用ダクトの入口側部位とを接続する接続部に吸着材の少なくとも一部を配置する構成とすれば、吸着器の追加に伴って空調ケースの内部の調温空間の大きさが変化することを抑えることができる。
また、第5の観点によれば、車両用空調装置は、空調ケースには、吸着材にて水分が吸着されることで除湿された除湿空気を冷却機器の空気流れ上流側に戻す還流ダクトが接続されている。
このように、吸着材にて除湿された除湿空気を冷却機器の空気流れ上流側に戻す構成とすれば、吸着材にて除湿された除湿空気が車室内に供給されてしまうことを抑えることができるので、車室内を充分に加湿することができる。
また、第6の観点によれば、車両用空調装置は、混合抑制部が、吸着器に対して、加熱空気および冷却空気を切替導入する切替部材を含んで構成されている。これによれば、切替部材によって、冷却空気および加熱空気を交互に吸着器に供給することが可能となる。これにより、吸着器にて加湿された空気を間欠的に車室内へ提供することが可能となる。
また、第7の観点によれば、車両用空調装置は、混合抑制部が、吸着器の空気流れ上流側において加熱空気を流通させる温風導入通路および冷却空気を流通させる冷風導入通路を区画形成する区画形成部を含んで構成されている。
このように、区画形成部によって温風導入通路と冷風導入通路とを区画する構成とすれば、吸着器の空気流れ上流側において加熱空気と冷却空気とが混ざり合うことによる熱損失を充分に抑制することができる。
また、第8の観点によれば、車両用空調装置は、混合抑制部が、加湿通路状態と除湿通路状態とを切替可能な状態切替部材を含んで構成されている。加湿通路状態は、冷風導入通路および除湿通路の連通が遮断された状態で温風導入通路および加湿通路が連通した通路状態である。また、除湿通路状態は、温風導入通路および加湿通路の連通が遮断された状態で冷風導入通路と除湿通路とが連通した通路状態である。
これによると、加熱空気と冷却空気とが混ざり合うことによる熱損失を充分に抑制すると共に、加湿空気と除湿空気とが混ざり合うことによる車室内の加湿効果の低下を充分に抑制することができる。
また、第9の観点によれば、車両用空調装置は、吸着器を収容する空間が、加熱空気が流れる放湿空間、および冷却空気が流れる吸湿空間に区画されている。さらに、吸着器には、吸着器を回転させて吸湿空間に存する吸着材の少なくとも一部を放湿空間に移動させると共に、放湿空間に存する吸着材の少なくとも一部を吸湿空間に移動させる駆動機構が接続されている。
このように、吸着器を回転させることで、吸湿空間にて吸着材で吸着した水分を放湿空間で脱離させると共に、放湿空間にて水分を脱離した吸着材で吸湿空間を流通する空気の水分を吸着することができる。これによれば、吸着器にて加湿された空気を連続的に車室内へ提供することが可能となる。
また、第10の観点によれば、車両用空調装置は、吸着器が収容される空間の少なくとも一部を放湿空間および吸湿空間に区画する区画部材を含んで構成されている。これによると、加熱空気と冷却空気とが混ざり合うことによる熱損失を充分に抑制すると共に、加湿空気と除湿空気とが混ざり合うことによる車室内の加湿効果の低下を充分に抑制することができる。