本出願は、2015年3月19日に出願された日本特許出願番号2015−56257号と、2015年3月31日に出願された日本特許出願番号2015−72751号に基づくもので、ここにその記載内容が参照により組み入れられる。
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、各実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。
(第1実施形態)
本実施形態では、車室内の空調を行う車両用空調装置を図示しない内燃機関(例えば、エンジン)から車両走行用の駆動力を得る車両に適用した例を説明する。図1に示すように、車両用空調装置は、主たる構成要素として、空調ユニット10、および加湿装置50を備える。なお、図1に示す上と下とを示す矢印は、車両用空調装置を車両に搭載した際の上下方向を示している。このことは、その他の図面においても同様である。
まず、空調ユニット10について説明する。空調ユニット10は、車室内の計器盤(すなわち、インストルメントパネル)の下方部に配置されている。空調ユニット10は、その外殻を形成する空調ケース11の内部に、蒸発器13、ヒータコア14を収容したものである。
空調ケース11は、車室内へ送風する送風空気の通風路を構成する。本実施形態の空調ケース11は、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)により成形されている。
ここで、図2は、空調ケース11を空気流れ方向に対して直交する方向に切断した際の空調ケース11の模式的な断面を示している。本実施形態の空調ケース11は、図2に示すように、底面部11a、上面部11b、側面部11cにより、送風空気が流れる通風路が区画形成される。なお、図2では、説明の便宜上、後述するドレイン排出部111、冷風導出部112、および温風導出部113が紙面左右方向に並ぶ例を図示しているが、これに限定されないことはいうまでもない。
底面部11aは、空調ケース11における蒸発器13やヒータコア14等の底部と対向する下方側の壁面を構成する部位である。また、上面部11bは、空調ケース11における底面部11aに対向する上方側の壁面を構成する部位である。さらに、側面部11cは、空調ケース11における底面部11aおよび上面部11b以外の壁面を構成する部位である。なお、実際の空調ケース11は、その断面が、図2に示す四角形状とならないことがある。このように、底面部11a等が明確に区別し難い場合には、底面部11aを、空調ケース11の断面における下方側の1/3を占める部位と解釈することができる。そして、上面部11bは、空調ケース11の断面における上方側の1/3を占める部位と解釈することができる。また、側面部11cは、空調ケース11の断面における中央部の1/3を占める部位と解釈することができる。
図1に戻り、空調ケース11の空気流れ最上流側には、車室外空気(すなわち、外気)と車室内空気(すなわち、内気)とを切替導入する内外気切替箱12が配置されている。内外気切替箱12には、外気を導入する外気導入口121、および車室内空気を導入する内気導入口122が形成されている。さらに、内外気切替箱12の内部には、各導入口121、122の開口面積を調整して、外気の導入量と内気の導入量とを割合を変化させる内外気切替ドア123が配置されている。
内外気切替ドア123は、外気導入口121と内気導入口122との間に回動自在に配置されている。内外気切替ドア123は、図示しないアクチュエータにより駆動される。
内外気切替箱12の空気流れ下流側には、車室内への送風空気を冷却する冷却部を構成する蒸発器13が配置されている。蒸発器13は、内部を流通する低温冷媒の蒸発潜熱を送風空気から吸熱して、送風空気を冷却する熱交換器である。蒸発器13は、図示しない圧縮機、凝縮器、減圧機構と共に蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成する。
蒸発器13の空気流れ下流側には、蒸発器13で冷却された空気をヒータコア14側へ流す温風通路16、および蒸発器13で冷却された空気を、ヒータコア14を迂回して流す冷風バイパス通路17が形成されている。
ヒータコア14は、図示しないエンジンの冷却水を熱源として、送風空気を加熱する熱交換器である。本実施形態では、ヒータコア14が送風空気を加熱する加熱部を構成する。
蒸発器13とヒータコア14との間には、エアミックスドア18が回動自在に配置されている。エアミックスドア18は、図示しないアクチュエータにより駆動されて、温風通路16を流通させる空気と冷風バイパス通路17を流通させる空気との割合を調整して、車室内へ送風する送風空気の温度を調整する部材である。
温風通路16、および冷風バイパス通路17の空気流れ下流側には、空調用送風機19が配置されている。空調用送風機19は、空調ケース11の内部に車室内へ吹き出す空気流を発生させる機器である。空調用送風機19は、送風ケース191、空調用ファン192、空調用モータ193等で構成されている。
送風ケース191は、空調ケース11の一部を構成している。送風ケース191には、空気の吸込口191a、吸込口191aを介して吸い込んだ空気を吐出する吐出口191bが形成されている。
空調用ファン192は、吸込口191aを介して温風通路16および冷風バイパス通路17の空気流れ下流側の空気を吸い込み、吐出口191bから吐出する。本実施形態の空調用ファン192は、軸方向から吸い込んだ空気を径方向外側に吹き出す遠心ファンで構成されている。空調用ファン192は、空調用モータ193によって、回転駆動される。なお、空調用ファン192は、遠心ファンに限らず、軸流ファンや貫流ファン等で構成されていてもよい。
空調用送風機19の吐出口191bには、空調用ダクト20が接続されている。空調用ダクト20は、車室内に開口して車室内へ空気を吹き出す図示しない吹出部へ送風空気を導く部材である。吹出部としては、図示しないが、乗員の上半身側に空気を吹き出すフェイス吹出口、乗員の下半身側に空気を吹き出すフット吹出口、車両前面の窓ガラスに向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出口が設けられている。また、空調用ダクト20または送風ケース191には、各吹出口からの空気の吹出モードを設定する図示しないモード切替ドアが設けられている。モード切替ドアは、図示しないアクチュエータにより駆動する。
ここで、本実施形態の空調ケース11には、その底面部11aにドレイン排出部111、冷風導出部112、および温風導出部113が形成されている。ドレイン排出部111は、蒸発器13で生ずる凝縮水を車両外部へ排出する開口部である。本実施形態のドレイン排出部111は、空調ケース11の底面部11aにおける蒸発器13における下端部に対向する部位に形成されている。
冷風導出部112は、空調ケース11内で蒸発器13にて冷却された送風空気(すなわち、冷却空気)の一部を空調ケース11の外部へ導出する開口部である。本実施形態の冷風導出部112は、空調ケース11の底面部11aにおける蒸発器13とヒータコア14との間の部位に形成されている。より具体的には、冷風導出部112は、ドレイン排出部111とヒータコア14との間に位置する底面部11aに形成されている。
温風導出部113は、空調ケース11内でヒータコア14にて加熱された送風空気(すなわち、加熱空気)の一部を空調ケース11の外部へ導出する開口部である。本実施形態の温風導出部113は、空調ケース11の底面部11aにおける空調用送風機19の空調用ファン192と吐出口191bとの間に形成されている。本実施形態の温風導出部113を形成する位置は、空調用送風機19の空気流れ下流側であればよく、例えば、空調ケース11の空調用ダクト20に形成されていてもよい。
ここで、本実施形態の空調ユニット10は、空調ケース11における空気流れ下流側に空調用送風機19を配置する、いわゆる吸込タイプの構成を採用している。このため、空調ケース11の内部は、空調ケース11外部の圧力よりも低い圧力となっている。
続いて、加湿装置50について説明する。加湿装置50は、空調ユニット10と同様に、車両の計器盤の下方部に配置されている。より具体的には、加湿装置50は、空調ケース11の冷風導出部112と後述する加湿装置50の冷風吸入部52とが近接するように、空調ケース11の下方側であって、空調ケース11における蒸発器13が配置された部位に近接する位置に配置されている。
加湿装置50は、その外殻を形成する吸着ケース51の内部に、吸着器60を収容したものである。吸着ケース51は、送風空気の通風路を構成する。吸着ケース51は、空調ケース11とは別体の構成部品である。吸着ケース51は、冷風吸入部52、温風吸入部53、吸着器収容部54、冷風排出部56、および温風排出部57に大別される。
冷風吸入部52は、外部に連通する第1外部導入口52a、および後述する吸着器収容部54の吸湿空間541aに連通する第1内部連通口52bが形成されている。第1外部導入口52aには、蒸発器13で冷却された冷却空気を導入する冷風吸入ダクト521が接続されている。
冷風吸入ダクト521は、冷風吸入部52の第1外部導入口52aと空調ケース11の冷風導出部112とを接続する。本実施形態の冷風吸入ダクト521は、蒸発器13にて冷却された冷却空気を後述する吸着器収容部54の吸湿空間541aに導入する第1導入部を構成する。冷風吸入ダクト521は、空調ケース11とは別体の構成部品であり、冷風導出部112に対して、図示しないスナップフィット等の連結部材により脱着可能に構成されている。
温風吸入部53は、外部に連通する第2外部導入口53a、および後述する吸着器収容部54の放湿空間541bに連通する第2内部連通口53bが形成されている。第2外部導入口53aには、ヒータコア14で加熱された加熱空気を導入する温風吸入ダクト531が接続されている。
温風吸入ダクト531は、温風吸入部53の第2外部導入口53aと空調ケース11の温風導出部113とを接続する。本実施形態の温風吸入ダクト531は、ヒータコア14にて加熱された加熱空気を後述する吸着器収容部54の放湿空間541bに導入する第2導入部を構成する。温風吸入ダクト531は、空調ケース11とは別体の構成部品であり、温風導出部113に対して、図示しないスナップフィット等の連結部材により脱着可能に構成されている。
本実施形態の温風吸入ダクト531は、空調用送風機19の最小風量を基準風量としたとき、温風吸入ダクト531を介して導入される加熱空気が、基準風量よりも少ない風量(例えば、10m3/h、基準風量の10%程度)となるように大きさが設定されている。この場合、温風吸入ダクト531を介して導入される加熱空気が基準風量よりも充分に少ないことから、空調ユニット10側の空調機能への影響は殆ど生じない。
吸着器収容部54は、吸着器60を収容する部位である。本実施形態の吸着器収容部54は、図3、図4に示すように、中空円筒状の外形を有している。吸着器収容部54は、その内部に吸着器60の収容空間541が形成されている。
吸着器収容部54には、収容空間541として、冷風吸入部52を介して導入された冷却空気が流通する空間と、温風吸入部53を介して導入された加熱空気が流通する空間とが設定されている。
具体的には、収容空間541は、吸着器60の空気流れ上流側、および下流側の双方に設けられた第1、第2仕切部材542、543により、冷却空気が流通する空間および加熱空気が流通する空間が仕切られている。
第1仕切部材542は、吸着器60の空気流れ上流側に設けられて、吸着器60の空気流れ上流側の空間を冷却空気の流路と加熱空気の流路を仕切る部材である。第1仕切部材542は、吸着器収容部54の上面部の内側に一体に成形されている。
第2仕切部材543は、吸着器60の空気流れ下流側に設けられて、吸着器60の空気流れ下流側の空間を冷却空気の流路と加熱空気の流路を仕切る部材である。第2仕切部材543は、吸着器収容部54の底面部の内側に一体に成形されている。
吸着器収容部54には、冷却空気が流通する空間、および加熱空気が流通する空間の双方を跨ぐように吸着器60が配置されている。吸着器収容部54における冷却空気が流通する空間は、冷却空気に含まれる水分を吸着器60の吸着材61に吸着する吸湿空間541aを構成する。また、吸着器収容部54における加熱空気が流通する空間は、吸着器60の吸着材61に吸着された水分を脱離して、加熱空気を加湿する放湿空間541bを構成する。
ここで、吸着材61は、単位質量当りの水分の吸着速度が、単位質量当りの水分の脱離速度よりも2倍程度遅くなる傾向がある。吸着材61に吸着される水分が少ないと、吸着材61から脱離させる水分も少なくなり、加湿装置による車室内の加湿量を充分に確保することが難しくなってしまうことが懸念される。
この点を加味して、本実施形態では、吸湿空間541aに存する吸着材61の量が、放湿空間541bに存する吸着材の量よりも多くなるように、吸着器60の収容空間541を各仕切部材542、543により仕切っている。具体的には、各仕切部材542、543としてL字状に曲折した部材を用いることで、吸着器60の収容空間541について、吸湿空間541aが放湿空間541bよりも2倍程度大きくなる設定としている。なお、吸着器60の詳細については後述する。
図1に戻り、冷風排出部56は、吸着器収容部54の吸湿空間541aに連通し、吸湿空間541aを通過した空気を吸着ケース51の外部に排出する部位である。本実施形態の冷風排出部56は、図示しない冷風排出ダクトに接続されている。
冷風排出ダクトは、吸着ケース51の吸湿空間541aを通過した空気を吸着ケース51の外部に導出するダクトであり、吸湿側導出部を構成する。冷風排出ダクトは、その下流端である吹出開口部が計器盤の内部に開口している。これにより、冷風排出ダクトを流れる冷風は、計器盤の内部の空間に吹き出される。
本実施形態の冷風排出部56には、加湿用送風機561が配置されている。加湿用送風機561は、外部に対して圧力が低い空調ケース11の内部から冷却空気を吸着ケース51に導入するために設けられている。加湿用送風機561は、加湿用ファン561a、加湿用モータ561b等で構成されている。
加湿用ファン561aは、吸着器収容部54の吸湿空間541aから空気を吸い込んで吐出する。本実施形態の加湿用ファン561aは、軸方向から吸い込んだ空気を径方向外側に吹き出す遠心ファンで構成されている。加湿用ファン561aは、加湿用モータ561bによって、回転駆動される。なお、加湿用ファン561aは、遠心ファンに限らず、軸流ファンや貫流ファン等で構成されていてもよい。
温風排出部57は、吸着ケース51の放湿空間541bに連通し、放湿空間541bを通過した空気を吸着ケース51の外部に排出する部位である。本実施形態の温風排出部57は、加湿用ダクト571に接続されている。
加湿用ダクト571は、吸着ケース51の放湿空間541bで加湿された加湿空気を車室内へ導出する加湿側導出部を構成する。本実施形態の加湿用ダクト571は、空調ユニット10の吹出ダクトである空調用ダクト20とは別体の構成部品となっている。
また、加湿用ダクト571は、その下流端である吹出開口部572が計器盤における乗員の顔部付近に存在する部位(例えば、メータフード)に開口している。吹出開口部572は、空調ユニット10の吹出部とは異なる位置に開口している。これにより、加湿用ダクトを流れる空気は、乗員の顔部に向けて吹き出され、乗員の顔部周囲の空間が加湿される。
本実施形態では、加湿用ダクト571として流路径がφ50mm、流路長さが1000mm程度のダクトを採用している。これによれば、吸着器60を通過した高温で高湿度の加湿空気が、加湿用ダクト571の外側の空気と熱交換して冷却されることで、加湿空気の相対湿度を高くすることが可能となる。
また、加湿用ダクト571の吹出開口部572は、吹出空気が高湿度状態で顔部に到達するように、その開口径、および乗員の顔部までの距離に設定されている。本実施形態の吹出開口部572は、顔部に到達する空気が、相対湿度40%程度、温度20℃程度、風速0.5m/s程度となるように、開口径が75mm程度、乗員の顔部までの距離が600mm程度に設定されている。つまり、本実施形態では、加湿用ダクト571として、吹出開口部572の開口面積が、吹出開口部572に至る流路の流路断面積よりも大きいダクトを採用している。このように構成される加湿用ダクト571によれば、乗員に到達する風速が低くなるので、加湿空気の拡散を抑制して、加湿空気を顔部に確実に到達させることができる。
さらに、本実施形態の加湿用ダクト571は、内部を流通する空気と外部に存する空気とが熱交換するように、冷風吸入ダクト521や温風吸入ダクト531に比べて厚みが薄くなるように構成されている。
ここで、本実施形態の冷風排出部56、および温風排出部57には、吸着器収容部54の吸湿空間541aを通過した空気(すなわち、冷風)と放湿空間541bを通過した空気(すなわち、温風)とを熱交換させる気−気熱交換器58が配置されている。
気−気熱交換器58は、図5に示すように、複数の金属製の板状部材581、各板状部材581の間に配置されたフィン582を備える熱交換器である。本実施形態の気−気熱交換器58は、その内部で冷風と温風とが混合されないように、冷風を流通させる流路58aと温風を流通させる流路58bとが独立して形成されている。なお、板状部材581、およびフィン582の構成材料としては、伝熱性に優れる金属(例えば、アルミニウム、銅)を採用することが望ましい。
続いて、吸着器60について、図3、図4を用いて説明する。吸着器60は、図3、図4に示すように、吸着器収容部54の内側形状に対応する円盤状の外形を有している。吸着器60は、その中心部に後述する駆動部材70の回転軸71が連結されており、当該回転軸71を介して回転可能に吸着ケース51に支持されている。
吸着器60は、図示しない金属製の板状部材に水分を吸着して脱離(すなわち、放湿)する吸着材61を担持させた構成となっている。各板状部材は、各板状部材の間に後述する回転軸71の軸方向に沿った流路が形成されるように間隔をあけて積層配置されている。本実施形態の吸着器60は、吸着材61を担持した各板状部材を積層配置することで、送風空気と吸着材61との接触面積を増加させている。
吸着材61は、高分子吸着材を採用している。吸着材61としては、送風空気の温度として想定される温度範囲内で、吸着器60を通過する送風空気の相対湿度を50%変化させた際に、吸着している水分量(すなわち、吸着量)が少なくとも3wt%以上変化する吸着特性を有するものが好ましい。より好ましくは、吸着材61としては、前述と同条件の環境下で、吸着量が3wt%〜10wt%の範囲で変化する吸着特性を有するものが好ましい。
本実施形態の吸着器60は、内部空間が吸湿空間541aと放湿空間541bに仕切られた吸着器収容部54に収容されている。前述のように、吸着器60は、吸湿空間541aおよび放湿空間541bの双方を跨ぐように配置されているが、吸湿空間に存する吸着材61で吸着可能な水分の吸着量は有限である。また、放湿空間541bに存する吸着材61で脱離させる水分の量も有限である。
そこで、加湿装置50には、吸着器60の吸着材61を吸湿空間541aと放湿空間541bとの間で移動させる移動機構として駆動部材70が設けられている。駆動部材70は、吸着器60における放湿空間541bに存する吸着材61の少なくとも一部を吸湿空間541aに移動させると共に、吸着器60における吸湿空間541aに存する吸着材61の少なくとも一部を放湿空間541bに移動させる装置である。
駆動部材70は、吸着器60の中心を貫通すると共に吸着器60に連結された回転軸71、および回転軸71を回転駆動させる減速機付きの電動モータ72を有する構成となっている。回転軸71は、回転可能に吸着ケース51に支持されており、電動モータ72から駆動力が伝達されると、吸着ケース51の内部で吸着器60と共に回転する。これにより、吸着器60における放湿空間541bに存する吸着材61の一部が吸湿空間541aに移動し、吸着器60における吸湿空間541aに存する吸着材61の一部が放湿空間541bに移動する。
本実施形態の電動モータ72は、回転軸71を一方向に連続的に回転駆動する。これにより、吸着器60における放湿空間541bで充分に水分を脱離した吸着材61を吸湿空間541aに移動させると共に、吸着器60における吸湿空間541aで充分に水分を吸着した吸着材61を放湿空間541bに移動させることができる。
続いて、車両用空調装置の電気制御部である制御装置100について図6を用いて説明する。図6に示す制御装置100は、CPU、ROMやRAM等の記憶部を含んで構成されるマイクロコンピュータ、およびその周辺回路から構成されている。制御装置100は、記憶部に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種機器の作動を制御する。なお、制御装置100の記憶部は、非遷移的実体的記憶媒体で構成される。
本実施形態の制御装置100は、空調ユニット10の各種機器の作動を制御する制御装置と加湿装置50の各種機器の作動を制御する制御装置を1つにまとめた装置である。なお、制御装置100は、空調ユニット10の各種機器の作動を制御する制御装置と加湿装置50の各種機器の作動を制御する制御装置とを別個に設けられた構成となっていてもよい。
制御装置100の入力側には、空調制御用の各種センサ群101、加湿制御用の各種センサ群102、空調制御用および加湿制御用の操作パネル103が接続されている。
空調制御用の各種センサ群101としては、内気温度を検出する内気温度センサ、外気温度を検出する外気温度センサ、車室内の日射量を検出する日射センサ、蒸発器13の温度を検出する蒸発器温度センサ等が挙げられる。
また、加湿制御用の各種センサ群102としては、加湿用ダクト571から吹き出す空気の温度を検出する第1温度センサや、冷風排出ダクトから吹き出す空気の温度を検出する第2温度センサ等が挙げられる。
操作パネル103には、空調運転スイッチ103a、加湿運転スイッチ103b、温度設定スイッチ103c等が設けられている。空調運転スイッチ103aは、空調ユニット10による空調運転のオン、オフを切り替えるスイッチである。加湿運転スイッチ103bは、加湿装置50の加湿運転のオン、オフを切り替えるスイッチである。温度設定スイッチ103cは、空調ユニット10や加湿装置50から吹き出す空気の目標温度を設定するスイッチである。
本実施形態の制御装置100は、出力側に接続された各種機器の作動を制御する制御部のハードウェアおよびソフトウェアを集約した装置である。制御装置100に集約される制御部としては、加湿装置50で車室内を加湿する加湿処理を実行する加湿制御部100a、車室内の加湿を停止する際に、吸着材61に吸着された水分を脱離させる脱離処理を実行する脱離制御部100b等がある。
次に、本実施形態の空調ユニット10および加湿装置50の作動を説明する。まず、空調ユニット10の作動の概略について説明する。空調ユニット10は、空調運転スイッチ103aがオンされると、制御装置100が空調制御用の各種センサ群101の検出信号および温度設定スイッチ103cの設定温度に基づいて、車室内へ吹き出す送風空気の目標吹出温度TAOを算出する。そして、制御装置100は、車室内へ吹き出す送風空気の温度が目標吹出温度TAOに近づくように、空調ユニット10における各種機器の作動を制御する。
このように、空調ユニット10では、制御装置100が空調制御用の各種センサ群101の検出信号等に応じて各種機器を制御することで、ユーザが要求する適切な車室内の温度調整を実現することができる。
続いて、加湿装置50の作動について、図7のフローチャートを用いて説明する。制御装置100は、空調運転スイッチ103aがオンされると、図7に示すフローチャートに示す制御処理を実行する。
図7に示すように、制御装置100は、加湿運転スイッチ103bのオンオフを検出して加湿要求があるか否かを判定する(S10)。ステップS10の判定処理では、加湿運転スイッチ103bがオフである場合に加湿要求なしと判定し、加湿運転スイッチ103bがオンである場合に加湿要求ありと判定する。
ステップS10の判定処理の結果、加湿要求ありと判定された場合には、制御装置100は、加湿装置50による車室内の加湿処理を実行する(S20)。具体的には、制御装置100は、加湿用送風機561を運転させると共に、駆動部材70を作動させて吸着器60を所定の回転速度(例えば、5rpm)で回転させる。なお、エアミックスドア18が、温風通路16を閉鎖する位置にある場合には、制御装置100は、温風通路16を開放する位置(例えば、中間位置)に変位させる。
この際、制御装置100は、空調用送風機19の最小風量を基準風量としたとき、冷風吸入ダクト521を介して導入される冷却空気が、基準風量よりも少ない風量(例えば、20m3/h、基準風量の20%程度)となるように、加湿用送風機561を制御する。この場合、冷風吸入ダクト521を介して導入される冷却空気が基準風量よりも充分に少ないことから、空調ユニット10側の空調機能への影響は殆ど生じない。なお、制御装置100は、加湿制御用の各種センサ群102の検出値等に基づいて、空調用送風機19の風量を制御するようにしてもよい。
また、制御装置100は、吸着器収容部54の吸湿空間541aに対して、放湿空間541bで水分を充分に脱離した吸着材61が移動するように、駆動部材70の電動モータ72を制御する。例えば、制御装置100は、放湿空間541bにて吸着材61の水分の脱離に要する時間を基準時間としたとき、吸着材61を放湿空間541bに移動させてから基準時間を経過した後に吸湿空間541aに移動するように、電動モータ72を制御する。
ここで、制御装置100が加湿処理を実行した際の加湿装置50の運転状態について、図8を用いて説明する。図8に示すように、蒸発器13で冷却された低温、高湿度の冷却空気(例えば、温度5℃、相対湿度70%)の一部が、冷風吸入ダクト521を介して吸着ケース51内に導入される。そして、吸着ケース51に導入された冷却空気は、吸着器60における吸湿空間541aに存する吸着材61により、冷却空気に含まれる水分が吸着される。
この際、吸着器60が収容空間541で回転することから、吸着器60における放湿空間541bで充分に水分を脱離した吸着材61が吸湿空間541aに移動する。これにより、吸着ケース51に導入された冷却空気に含まれる水分が、吸着器60における吸湿空間541aに存する吸着材61により連続的に吸着される。
続いて、吸湿空間541aを通過した空気は、冷風排出部56を介して、冷風排出ダクトへ流れ、計器盤の内部の空間に吹き出される。これにより、車室内へ低湿度の冷風が流入し難くなる。
また、ヒータコア14で加熱された高温、低湿度の加熱空気(例えば、温度25℃、相対湿度20%)の一部が、温風吸入ダクト531を介して吸着ケース51内に導入される。そして、吸着ケース51に導入された加熱空気は、吸着器60における放湿空間541bに存する吸着材61に吸着された水分が脱離することで加湿される(例えば、温度21℃、相対湿度57%)。
この際、吸着器60が収容空間541で回転することから、吸着器60における吸湿空間541aで充分に水分を吸着した吸着材61が放湿空間541bに移動する。これにより、吸着ケース51に導入された加熱空気は、吸着器60における吸湿空間541aに存する吸着材61の放湿により連続的に加湿される。
ここで、本実施形態では、温風吸入ダクト531が、吸着ケース51内の圧力よりも高い圧力となる空調用送風機19の空気吐出側に接続されている。このため、ヒータコア14で加熱された加熱空気は、空調用送風機19の空気吐出側と吸着ケース51内との圧力差により、温風吸入ダクト531を介して吸着ケース51内に導入される。
続いて、放湿空間541bで加湿された加湿空気は、温風排出部57を流れる。温風排出部57を流れる加湿空気は、気−気熱交換器58における冷風排出部56を流れる冷却空気と熱交換により、冷却されて温度が下がり、相対湿度が高くなる(例えば、温度18℃、相対湿度65%)。そして、気−気熱交換器58を通過した加湿空気は、加湿用ダクト571を介して、吹出開口部572から乗員の顔部に向けて吹き出される。
図7に戻り、制御装置100は、上述の加湿処理の実行中に、加湿停止要求があるか否かを判定する(S30)。ステップS30の判定処理では、各運転スイッチ103a、103bそれぞれがオンである場合に、加湿停止要求なしと判定し、各運転スイッチ103a、103bの一方がオフである場合に、加湿停止要求ありと判定する。
ステップS30の判定処理の結果、加湿停止要求なしと判定された場合は、制御装置100は、加湿処理を継続する。
一方、ステップS30の判定処理の結果、加湿停止要求ありと判定された場合には、制御装置100は、吸着器60の吸着材61に吸着された水分を脱離させる脱離処理を実行する(S40)。
具体的には、制御装置100は、脱離処理の実行時に、駆動部材70により吸着器60を回転させた状態で、加湿用送風機561の運転を停止する。
これにより、蒸発器13で冷却された低温、高湿度の冷却空気は、加湿用送風機561の運転が停止されることで、吸着ケース51内に流入せず、吸着器60における吸湿空間541aに存する吸着材61での水分の吸着が停止する。
一方、ヒータコア14で加熱された高温、低湿度の加熱空気は、温風吸入ダクト531を介して吸着ケース51内に導入され、吸着器60における放湿空間541bに存する吸着材61に吸着された水分が脱離する。
このように、吸湿空間541aにおける吸着材61での水分の吸着を停止し、吸湿空間541aにおける吸着材61の水分の脱離を継続することで、吸着材61に吸着された水分を脱離させることができる。
制御装置100は、予め設定された処理継続時間が経過するまで、脱離処理を継続する。制御装置100は、脱離処理を開始してから時間が経過すると、加湿装置50の各種機器の作動を停止して、制御処理を終了する。なお、処理継続時間は、放湿空間541bに存する吸着材61に吸着された水分の全量を、加湿装置50で脱離するのに要する時間に設定すればよい。
以上説明した本実施形態の加湿装置50、および当該加湿装置50を備える車両用空調装置によれば、空調ユニット10で冷却された冷却空気の水分を利用して、車室内を加湿することができるので、外部から水を供給する必要がない。なお、本実施形態では、空調ユニット10で加熱された加熱空気を利用するので、加湿専用の熱源を用意する必要もない。
また、加湿装置50は、吸着器60における放湿空間541bに存する吸着材61の一部を吸湿空間541aに移動させると共に、吸着器60における吸湿空間541aに存する吸着材61の一部を放湿空間541bに移動させる駆動部材70を備える。
これにより、吸湿空間541aにて吸着材61で吸着した水分を放湿空間541bで脱離させて加熱空気を加湿すると共に、放湿空間541bにて水分を脱離した吸着材61で吸湿空間541aを流通する冷却空気の水分を吸着することができる。
従って、本実施形態の加湿装置50および車両用空調装置によれば、無給水で車室内における連続した加湿を実現することができる
また、本実施形態の加湿装置50は、加湿側導出部を構成する加湿用ダクト571が、空調ユニット10で温度調整された空気の空調用ダクト20とは別体の構成部品としている。これによれば、空調ユニット10で温度調整された空気と加湿装置50で加湿した加湿空気とが混ざりにくくなるので、高湿度の加湿空気を車室内に供給することができる。
さらに、本実施形態では、吸着ケース51、冷風吸入ダクト521、および温風吸入ダクト531を空調ケース11とは別体の構成部品とし、冷風吸入ダクト521、および温風吸入ダクト531を空調ケース11に脱着可能な構成としている。
これによれば、加湿装置50を空調ユニット10に対して後付けすることが可能となる。すなわち、加湿装置50を車両用空調装置のオプション(つまり、アドオンパーツ)とすることができる。
加えて、本実施形態では、吸湿空間541aを通過した冷却空気と、放湿空間541bを通過した加湿空気とを熱交換させる気−気熱交換器58を設ける構成としている。これによれば、気−気熱交換器58により、放湿空間541bを通過した空気を、吸湿空間541aを通過した空気(すなわち、冷却空気)で冷却し、車室内へ導出する加湿空気の相対湿度を高くすることができる。この結果、車室内の加湿による乗員の快適性の向上を図ることが可能となる。
また、本実施形態では、車室内の加湿を停止する際に、制御装置100が吸着材61に吸着された水分を脱離させる脱離処理を実行するようになっている。これによれば、加湿装置50の停止時に、吸着材61に残存する水分による雑菌の繁殖を抑えることができ、車室内の加湿による乗員の快適性を確保することが可能となる。
ここで、吸着材61は、単位質量当りの水分の吸着速度が、単位質量当りの水分の脱離速度よりも遅くなる傾向がある。
この点を加味し、本実施形態では、吸湿空間541aに存する吸着材61の量が、放湿空間541bに存する吸着材61の量よりも多くなるように、吸着ケース51内の収容空間を各仕切部材542、543により仕切る構成としている。
これによれば、吸湿空間541aにおける吸着材61への水分の吸着量を充分に確保することができるので、放湿空間541bにて吸着材61に吸着された水分を効率よく脱離させて、充分な加湿量を確保することが可能となる。
なお、本実施形態では、加湿装置50を空調ユニット10の下方側に配置する例について説明したが、これに限定されない。例えば、加湿装置50を空調ユニット10の上方側や側方側に配置するようにしてもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図9を用いて説明する。本実施形態では、空調用送風機19Aを蒸発器13の空気流れ上流側に配置した空調ユニット10Aに、加湿装置50を適用している点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
図9に示すように、本実施形態の空調ユニット10Aは、内外気切替箱12の空気流れ下流側であって、蒸発器13の空気流れ上流側に空調用送風機19Aを配置している。本実施形態の空調用送風機19Aは、吸込口191aが内外気切替箱12に向かって開口し、吐出口191bが蒸発器13に向かって開口している。
また、本実施形態の温風導出部113Aは、空調ケース11の底面部11aにおけるヒータコア14の空気流れ下流側に形成されている。なお、本実施形態の温風導出部113Aは、ヒータコア14の空気流れ下流側であればよく、例えば、空調ケース11の空調用ダクト20に形成されていてもよい。
さらに、本実施形態の空調ケース11には、ヒータコア14の空気流れ下流側に、空調ケース11から温度調整された空気を、空調用ダクト20、および吹出部を介して車室内へ吹き出すための開口部114が形成されている。
空調ユニット10Aにおける他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の空調ユニット10Aは、空調用送風機19Aを蒸発器13の空気流れ上流側に配置する、いわゆる押込タイプの構成を採用している。このため、空調ケース11の内部における空調用送風機19Aの吐出側以降は、空調ケース11外部の圧力よりも高い圧力となっている。
続いて、本実施形態の加湿装置50について説明する。本実施形態の加湿装置50は、各吸入ダクト521、531それぞれが、吸着ケース51内の圧力よりも高い圧力となる空調用送風機19Aの空気吐出側に接続されている。
このため、蒸発器13で冷却された冷却空気の一部は、空調用送風機19の空気吐出側と吸着ケース51内との圧力差により、冷風吸入ダクト521を介して吸着ケース51内に導入される。同様に、ヒータコア14で加熱された加熱空気の一部は、温風吸入ダクト531を介して吸着ケース51内に導入される。
このように、本実施形態では、空調用送風機19の空気吐出側と吸着ケース51内との圧力差により、各吸入ダクト521、531を介して冷却空気および加熱空気が、吸着ケース51内に導入される。このため、本実施形態の加湿装置50は、第1実施形態における加湿用送風機561に相当する構成を廃している。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の構成によっても、空調ユニット10Aで冷却された冷却空気の水分を利用して、車室内を加湿することができるので、外部から水を供給する必要がない。また、吸湿空間541aにて吸着材61で吸着した水分を放湿空間541bで脱離させて加熱空気を加湿すると共に、放湿空間541bにて水分を脱離した吸着材61で吸湿空間541aを流通する冷却空気の水分を吸着することができる。
従って、本実施形態の加湿装置50および車両用空調装置によれば、無給水で車室内における連続した加湿を実現することができる。
特に、本実施形態の加湿装置50は、第1実施形態における加湿用送風機561に相当する構成を廃している。このため、加湿装置50の部品点数を少なくすることができるといった利点がある。
但し、本実施形態の如く、蒸発器13で冷却された冷却空気の一部が、冷風吸入ダクト521を介して吸着ケース51内に導入される構成とすると、加湿装置50の運転を停止する際の脱離処理で吸着材61の水分を充分に脱離させることが難しくなる。このため、本実施形態では、蒸発器13で冷却された冷却空気の吸着ケース51内への導入を一時的に遮断する遮断部材を追加することが望ましい。遮断部材としては、例えば、第1外部導入口52aを開閉する開閉ドアで構成すればよい。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図10を用いて説明する。本実施形態では、吸着ケース51の吸湿空間541aを通過した空気の排出経路を変更している点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
図10に示すように、本実施形態では、吸湿空間541aを通過した空気を外部へ排出する冷風排出ダクト562の下流端である開口部を空調ケース11に接続している。本実施形態では、冷風排出ダクト562を流れる空気が冷風バイパス通路17に戻るように、冷風排出ダクト562が空調ケース11に接続されている。なお、冷風排出ダクト562の接続する部位は、これに限定されず、空調ケース11における任意の部位に接続することができる。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の構成によっても、空調ユニット10で冷却された冷却空気の水分を利用して、車室内を加湿することができるので、外部から水を供給する必要がない。また、吸湿空間541aにて吸着材61で吸着した水分を放湿空間541bで脱離させて加熱空気を加湿すると共に、放湿空間541bにて水分を脱離した吸着材61で吸湿空間541aを流通する冷却空気の水分を吸着することができる。
従って、本実施形態の加湿装置50および車両用空調装置によれば、無給水で車室内における連続した加湿を実現することができる。
特に、本実施形態の加湿装置50は、吸湿側導出部を構成する冷風排出ダクト562の下流端を空調ケース11に接続し、吸湿空間541aを通過した冷却空気を空調ケース11の内部に導出する構成としている。これによれば、吸湿空間541aを通過した空気を空調ケース11内へ戻すことになるので、車室内に低湿度の空気が漏れることを抑えることができるといった利点がある。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、図11および図12を用いて説明する。本実施形態では、温度が独立して制御された送風空気を車室内の異なる部位に導くことが可能な空調ユニット10Bを用いる点が第1〜第3実施形態と相違している。本実施形態では、第1〜第3実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
図11および図12に示すように、本実施形態の空調ケース11には、内外気切替箱12の空気流れ下流側に、空調用送風機19Aが配置されている。空調用送風機19Aは、空調ケース11の内部に車室内へ吹き出す空気流を発生させる機器である。空調用送風機19Aは、空調用ファン192、および空調用ファン192を駆動する空調用モータ193等で構成されている。
本実施形態の空調用ファン192は、軸方向から吸い込んだ空気を径方向外側に吹き出す遠心ファンで構成されている。なお、空調用ファン192は、遠心ファンに限らず、軸流ファンや貫流ファン等で構成されていてもよい。
空調用送風機19Aの空気流れ下流側には、車室内への送風空気を冷却する冷却部を構成する蒸発器13が配置されている。蒸発器13は、内部を流通する低温冷媒の蒸発潜熱を送風空気から吸熱して、送風空気を冷却する熱交換器である。
図12に示すように、本実施形態の空調ケース11には、センター仕切り板116が一体に形成されている。センター仕切り板116は、蒸発器13よりも空気流れ下流側の通風路を、第1通風路117と第2通風路118に仕切っている。
第1通風路117は、運転席側へ空気を吹き出す運転席側吹出口へ送風空気を導く通路である。運転席側吹出口としては、図示しないが、運転席乗員の上半身側に空気を吹き出すフェイス吹出口、運転席乗員の下半身側に空気を吹き出すフット吹出口、車両前面の窓ガラスに向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出口が設けられている。
図11に示すように、第1通風路117の空気流れ下流部には、運転席側吹出口からの空気の吹出モードを設定する運転席側モード切替ドア119が設けられている。運転席側モード切替ドア119は、図示しないアクチュエータにより駆動される。
第2通風路118は、助手席側へ空気を吹き出す助手席側吹出口へ送風空気を導く通路である。助手席側吹出口としては、図示しないが、助手席乗員の上半身側に空気を吹き出すフェイス吹出口、助手席乗員の下半身側に空気を吹き出すフット吹出口、車両前面の窓ガラスに向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出口が設けられている。
第2通風路118の空気流れ下流部には、助手席側吹出口からの空気の吹出モードを設定する助手席側モード切替ドア120が設けられている。助手席側モード切替ドア120は、図示しないアクチュエータにより駆動される。
第1通風路117における蒸発器13とヒータコア14との間には、第1エアミックスドア181が回動自在に配置されている。第1エアミックスドア181は、図示しないアクチュエータにより駆動される。
第1エアミックスドア181は、第1通風路117内にて蒸発器13からヒータコア14側へ流通させる空気と、第1通風路117内にて蒸発器13を通過後、ヒータコア14をバイパスしてヒータコア14下流側へ流通させる空気との割合を調整する部材である。つまり、第1エアミックスドア181は、ヒータコア14を通過する空気とヒータコア14を迂回して流す空気との割合を調整することで、運転席側へ送風する送風空気の温度を調整する部材である。
第2通風路118における蒸発器13とヒータコア14との間には、第2エアミックスドア182が回動自在に配置されている。第2エアミックスドア182は、図示しないアクチュエータにより駆動される。
第2エアミックスドア182は、第2通風路118内にて蒸発器13からヒータコア14側へ流通させる空気と、第2通風路118内にて蒸発器13を通過後、ヒータコア14をバイパスしてヒータコア14下流側へ流通させる空気との割合を調整する部材である。つまり、第2エアミックスドア182は、ヒータコア14を通過する空気とヒータコア14を迂回して流す空気との割合を調整することで、助手席側へ送風する送風空気の温度を調整する部材である。
第1エアミックスドア181および第2エアミックスドア182は、独立して制御される。これにより、運転席側に吹き出す送風空気の温度と助手席に吹き出す送風空気の温度が独立して制御される。
空調ケース11には、その底面部に冷風導出部112が形成されている。冷風導出部112は、空調ケース11内で蒸発器13にて冷却された送風空気(すなわち、冷却空気)の一部を空調ケース11の外部へ導出する1つの開口部である。
より詳細には、冷風導出部112は、空調ケース11の底面部における蒸発器13とヒータコア14との間の部位に形成されるとともに、第1通風路117と第2通風路118に跨って形成されている。これにより、蒸発器13にて冷却された冷却空気を、第1通風路117および第2通風路118の双方から取り出すことができる。なお、空調ケース11の底面部は、空調ケース11における蒸発器13やヒータコア14等の底部と対向する下方側の壁面を構成する部位である。
続いて、本実施形態の加湿装置50について説明する。加湿装置50は、空調ユニット10Bの下方に配置されるとともに、空調ユニット10Bと同様に車両の計器盤の下方部に配置されている。
加湿装置50は、その外殻を形成する吸着ケース51の内部に、吸着器60を収容したものである。吸着器60は、水分を吸着して脱離する吸着材を有している。吸着ケース51は、空調ケース11とは別体の構成部品である。
吸着ケース51は、冷風導入通路512、冷風導出通路513、加湿前空気通路514、加湿後空気通路515、および吸着器収容部54を形成している。なお、本実施形態では、冷風導入通路512が、第1実施形態の冷風吸入部52および冷風吸入ダクト521の内部通路に相当する。また、本実施形態では、冷風導出通路513が、第1実施形態の冷風排出部56および冷風排出ダクトの内部通路に相当する。さらに、本実施形態では、加湿後空気通路515が、第1実施形態の温風排出部57および加湿用ダクト571の内部通路に相当する。
冷風導入通路512は、空気流れ上流端が空調ケース11の冷風導出部112に接続され、空気流れ下流端が吸着器収容部54に接続されている。これにより、第1通風路117および第2通風路118の双方から取り出された冷却空気は、冷風導入通路512を介して吸着器60に導かれる。
冷風導入通路512の空気流れ上流部位には、空調ケース11の冷風導出部112を開閉する冷風通路ドア90が配置されている。冷風通路ドア90は、図示しないアクチュエータにより駆動される。
冷風導出通路513は、空気流れ上流端が吸着器60に接続され、空気流れ下流端は計器盤の内部に開口している。これにより、吸着器60を通過した冷風は、計器盤の内部の空間に吹き出される。
加湿前空気通路514は、空気流れ上流端が車室内に開口し、空気流れ下流端が吸着器収容部54に接続されている。これにより、車室内から直接取り込まれた加湿前空気(すなわち、加熱空気)は、加湿前空気通路514を介して吸着器60に導かれる。
加湿前空気通路514の空気流れ上流部位には、車室内の空気を加湿前空気通路514に供給する加湿用送風機91、および加湿前空気通路514を開閉する加湿前空気通路ドア92が配置されている。加湿用送風機91は、加湿用ファン、加湿用モータ等で構成されている。加湿前空気通路ドア92は、図示しないアクチュエータにより駆動される。
加湿後空気通路515は、空気流れ上流端が吸着器60に接続され、空気流れ下流端は計器盤における乗員の顔部付近に存在する部位(例えば、メータフード)に開口している。これにより、吸着器60を通過した加湿後空気は、乗員の顔部に向けて吹き出され、乗員の顔部周囲の空間が加湿される。
吸着器収容部54は、吸着器60を収容する部位である。本実施形態の吸着器収容部54の基本構成は、図3および図4に示す第1実施形態の吸着器収容部54と同様に構成される。このため、本実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明し、共通する部分についての説明を省略または簡略化する。
本実施形態の吸着器収容部54には、収容空間541として、冷風導入通路512を介して導入された冷却空気が流通する空間と、加湿前空気通路514を介して導入された加熱空気が流通する空間とが設定されている。
具体的には、収容空間541は、吸着器60の空気流れ上流側、および空気流れ下流側の双方に設けられた図3および図4に示す第1、第2仕切部材542、543により、冷却空気が流通する空間と加熱空気が流通する空間とが仕切られている。
吸着器収容部54には、冷却空気が流通する空間、および加熱空気が流通する空間の双方を跨ぐように吸着器60が配置されている。吸着器収容部54における冷却空気が流通する空間は、第1実施形態と同様に、冷却空気に含まれる水分を吸着器60の吸着材に吸着する吸湿空間541aを構成する。また、吸着器収容部54における加熱空気が流通する空間は、第1実施形態と同様に、吸着器60の吸着材に吸着された水分を脱離して、加熱空気を加湿する放湿空間541bを構成する。
冷風導出通路513および加湿後空気通路515には、吸着器収容部54の吸湿空間541aを通過した空気(すなわち、冷風)と放湿空間541bを通過した空気(すなわち、温風)とを熱交換させる気−気熱交換器58が配置されている。
本実施形態の気−気熱交換器58は、図5に示す第1実施形態の気−気熱交換器58と同様に構成される。すなわち、気−気熱交換器58は、図5に示すように、その内部で冷風と温風とが混合されないように、冷風を流通させる流路58aと温風を流通させる流路58bとが独立して形成されている。
本実施形態の車両用空調装置の他の構成は、第1実施形態と同様であり、第1実施形態の記載を援用して、その詳細な説明を省略する。例えば、本実施形態の車両用空調装置は、第1実施形態と同様に、図6に示す制御装置100を備える。
次に、本実施形態の空調ユニット10Bおよび加湿装置50の作動を説明する。まず、空調ユニット10Bの作動の概略について説明する。
空調ユニット10Bは、空調運転スイッチ103aがオンされると、制御装置100が空調制御用の各種センサ群101の検出信号および温度設定スイッチ103cの設定温度に基づいて、運転席側および助手席側の双方の目標吹出温度TAOを算出する。そして、制御装置100は、運転席側に吹き出す送風空気の温度と助手席側に吹き出す送風空気の温度が各目標吹出温度TAOに近づくように、空調ユニット10Bにおける各種機器の作動を制御する。
このように、空調ユニット10Bでは、制御装置100が空調制御用の各種センサ群101の検出信号等に応じて各種機器を制御することで、ユーザが要求する適切な車室内の温度調整を実現することができる。
続いて、加湿装置50の作動について説明する。本実施形態の制御装置100は、基本的に、第1実施形態と同様に、図7のフローチャートに示す制御処理を実行する。すなわち、制御装置100は、加湿運転スイッチ103bのオンオフを検出して加湿要求があるか否かを判定する。この結果、加湿要求ありと判定された場合には、制御装置100は、加湿装置50による車室内の加湿処理を実行する。
具体的には、制御装置100は、冷風通路ドア90を冷風導出部112が開かれる位置に回動させるとともに、加湿前空気通路ドア92を加湿前空気通路514が開かれる位置に回動させる。また、制御装置100は、加湿用送風機91を運転させると共に、駆動部材70を作動させて吸着器60を所定の回転速度(例えば、5rpm)で回転させる。
この際、制御装置100は、吸着器収容部54の吸湿空間541aに対して、放湿空間541bで水分を充分に脱離した吸着材が移動するように、駆動部材70の電動モータ72を制御する。例えば、制御装置100は、放湿空間541bにて吸着材の水分の脱離に要する時間を基準時間としたとき、吸着材を放湿空間541bに移動させてから基準時間を経過した後に吸湿空間541aに移動するように、電動モータ72を制御する。
ここで、制御装置100が加湿処理を実行した際の加湿装置50の運転状態について、図11および図12を用いて説明する。
まず、冷風導出部112が開かれることにより、蒸発器13で冷却された低温、高湿度の冷却空気(例えば、温度5℃、相対湿度70%)の一部が、第1通風路117および第2通風路118の双方から冷風導入通路512に分流される。これにより、冷風導入通路512を介して吸着器収容部54に導入される。そして、吸着器収容部54に導入された冷却空気に含まれる水分が、吸着器60における吸湿空間541aに存する吸着材に吸着される。
この際、吸着器60が収容空間541で回転することから、吸着器60における放湿空間541bで充分に水分を脱離した吸着材が吸湿空間541aに移動する。これにより、吸着器収容部54に導入された冷却空気に含まれる水分が、吸着器60における吸湿空間541aに存する吸着材により連続的に吸着される。
続いて、吸湿空間541aを通過した空気は、冷風導出通路513を介して気−気熱交換器58に導かれ、気−気熱交換器58を通過した後、再び冷風導出通路513に導かれて、計器盤の内部の空間に吹き出される。これにより、車室内へ低湿度の冷風が流入し難くなる。
また、加湿前空気通路514が開かれ、且つ加湿用送風機91が運転されることにより、車室内の乾燥した空気(例えば、温度25℃、相対湿度20%)が加湿前空気通路514を介して吸着器収容部54に導入される。そして、吸着器収容部54に導入された加湿前空気は、吸着器60における放湿空間541bに存する吸着材に吸着された水分が脱離することで加湿される(例えば、温度21℃、相対湿度57%)。
この際、吸着器60が収容空間541で回転することから、吸着器60における吸湿空間541aで充分に水分を吸着した吸着材が放湿空間541bに移動する。これにより、吸着器収容部54に導入された加湿前空気は、吸着器60における吸湿空間541aに存する吸着材の放湿により連続的に加湿される。
続いて、放湿空間541bで加湿された加湿後空気は、加湿後空気通路515を介して気−気熱交換器58に導かれ、気−気熱交換器58に流入する。気−気熱交換器58に流入した加湿後空気は、気−気熱交換器58を流れる冷風との熱交換により温度が下がり、相対湿度が高くなる(例えば、温度18℃、相対湿度65%)。そして、気−気熱交換器58を通過した加湿後空気は、再び加湿後空気通路515に導かれて、乗員の顔部に向けて吹き出され、乗員の顔部周囲の空間が加湿される。
また、制御装置100は、上述の加湿処理の実行中に、加湿停止要求があるか否かを判定する。この判定処理の結果、加湿停止要求なしと判定された場合は、制御装置100は、加湿処理を継続する。一方、判定処理の結果、加湿停止要求ありと判定された場合には、制御装置100は、吸着器60の吸着材に吸着された水分を脱離させる脱離処理を実行する。
具体的には、制御装置100は、脱離処理の実行時に、駆動部材70により吸着器60を回転させた状態で、冷風通路ドア90により冷風導出部112を閉じる。これにより、蒸発器13で冷却された低温、高湿度の冷却空気は、吸着器収容部54に流入せず、吸着器60における吸湿空間541aに存する吸着材での水分の吸着が停止される。
また、加湿前空気通路514が開かれ、且つ加湿用送風機91が運転されることにより、車室内の乾燥した空気が加湿前空気通路514を介して吸着器収容部54に導入される。これにより、吸着器60における放湿空間541bに存する吸着材に吸着された水分が脱離される。
このように、本実施形態の加湿装置50は、加湿停止要求があった場合に、吸湿空間541aにおける吸着材での水分の吸着を停止し、吸湿空間541aにおける吸着材の水分の脱離を継続することで、吸着材に吸着された水分を脱離させることができる。
制御装置100は、予め設定された処理継続時間が経過するまで、脱離処理を継続する。制御装置100は、脱離処理を開始してから時間が経過すると、加湿装置50の各種機器の作動を停止して、制御処理を終了する。なお、処理継続時間は、放湿空間541bに存する吸着材に吸着された水分の全量を、加湿装置50で脱離するのに要する時間に設定すればよい。
以上説明した本実施形態の車両用空調装置によれば、以下の効果を得ることができる。
(a)本実施形態では、空調ユニット10Bで冷却された冷却空気の水分を利用して車室内を加湿することができるので、外部から水を供給する必要がない。また、本実施形態では、吸着材に吸着された水分を車室内の乾燥した空気にて脱離させるため、水分を脱離させるための熱源を用意する必要もない。
(b)本実施形態では、冷却空気を第1通風路117および第2通風路118の双方から取り出して吸着器60に導くため、第1通風路117および第2通風路118の双方から略均等に冷却空気を取り込むことができる。このため、本実施形態では、第1通風路117の送風空気と第2通風路118の送風空気の温度コントロールや配風割合への影響を小さくすることができる。
(c)加湿装置50は、吸着器60における放湿空間541bに存する吸着材の一部を吸湿空間541aに移動させると共に、吸着器60における吸湿空間541aに存する吸着材の一部を放湿空間541bに移動させる駆動部材70を備える。
これにより、吸湿空間541aにて吸着材で吸着した水分を放湿空間541bで脱離させて加湿前空気を加湿すると共に、放湿空間541bにて水分を脱離した吸着材で吸湿空間541aを流通する冷却空気の水分を吸着することができる。
従って、本実施形態の加湿装置50および車両用空調装置によれば、無給水で車室内における連続した加湿を実現することができる。
(d)本実施形態では、吸湿空間541aを通過した冷却空気と、放湿空間541bを通過した加湿後空気とを熱交換させる気−気熱交換器58を設ける構成としている。これによれば、気−気熱交換器58により、放湿空間541bを通過した空気を、吸湿空間541aを通過した空気(すなわち、冷却空気)で冷却し、車室内へ吹き出される加湿後空気の相対湿度を高くすることができる。この結果、車室内の加湿による乗員の快適性の向上を図ることが可能となる。
(e)本実施形態では、車室内の加湿を停止する際に、制御装置100が吸着材に吸着された水分を脱離させる脱離処理を実行するようになっている。これによれば、加湿装置50の停止時に、吸着材に残存する水分による雑菌の繁殖を抑えることができ、車室内の加湿による乗員の快適性を確保することが可能となる。
(f)ここで、吸着材は、単位質量当りの水分の吸着速度が、単位質量当りの水分の脱離速度よりも遅くなる傾向がある。
この点を加味し、本実施形態では、吸湿空間541aに存する吸着材の量が、放湿空間541bに存する吸着材の量よりも多くなるように、吸着ケース51内の収容空間541を仕切る構成としている。
これによれば、吸湿空間541aにおける吸着材への水分の吸着量を充分に確保することができるので、放湿空間541bにて吸着材に吸着された水分を効率よく脱離させて、充分な加湿量を確保することが可能となる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について、図13および図14を用いて説明する。本実施形態では、吸着材に吸着された水分を、蒸発器13で冷却され且つヒータコア14で加熱された高温、低湿度の空気にて脱離させる点が第4実施形態と相違している。本実施形態では、第4実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
図13および図14に示すように、空調ケース11には、その底面部に加湿前空気導出部113Bが形成されている。加湿前空気導出部113Bは、空調ケース11内にて蒸発器13で冷却され且つヒータコア14で加熱された送風空気の一部を、空調ケース11の外部へ導出する1つの開口部である。なお、加湿前空気導出部113Bは、第1実施形態の温風導出部113に相当する開口部である。
より詳細には、加湿前空気導出部113Bは、空調ケース11の底面部におけるヒータコア14よりも空気流れ下流側の部位に形成されるとともに、第1通風路117と第2通風路118に跨って形成されている。これにより、本実施形態では、蒸発器13で冷却され且つヒータコア14で加熱された送風空気を、第1通風路117および第2通風路118の双方から取り出すことができる。
加湿前空気通路514は、空気流れ上流端が空調ケース11の加湿前空気導出部113Bに接続され、空気流れ下流端が吸着器収容部54に接続されている。加湿前空気導出部113Bは、加湿前空気通路ドア92により開閉される。本実施形態では、第4実施形態における加湿用送風機91が、廃止されている。なお、本実施形態では、加湿前空気通路514が、第1実施形態の温風吸入部53および温風吸入ダクト531の内部通路に相当する。
本実施形態の車両用空調装置において、制御装置100が加湿処理を実行した際には、加湿前空気導出部113Bが開かれる。これにより、蒸発器13で冷却され且つヒータコア14で加熱された高温、低湿度の空気の一部が、第1通風路117および第2通風路118の双方から加湿前空気通路514に分流され、加湿前空気通路514を介して吸着器収容部54に導入される。
そして、吸着器収容部54に導入された加湿前空気は、吸着器60における放湿空間541bに存する吸着材に吸着された水分が脱離することで加湿される。
ここで、蒸発器13で冷却され且つヒータコア14で加熱された高温、低湿度の空気は、車室内の空気よりも相対湿度が低い。従って、本実施形態の車両用空調装置によれば、加湿前空気への加湿量が増加し、乗員の顔部周囲の空間がより確実に加湿される。
以上説明した本実施形態の車両用空調装置によると、第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態の車両用空調装置では、吸着材に吸着された水分を、蒸発器13で冷却され且つヒータコア14で加熱された高温、低湿度の加湿前空気にて脱離させる。このため、本実施形態の車両用空調装置では、加湿前空気への加湿量が増加し、乗員の顔部周囲の空間をより確実に加湿することができる。
また、本実施形態では、第4実施形態における加湿用送風機91を廃止しているため、車両用空調装置の部品点数を少なくすることができる。
なお、本実施形態では、冷風導出部112および加湿前空気導出部113Bを、空調ケース11の底面部に形成したが、例えば、図15に示す変形例のように、冷風導出部112および加湿前空気導出部113Bを、空調ケース11の上面部に形成してもよい。なお、空調ケース11の上面部は、空調ケース11における底面部に対向する上方側の壁面を構成する部位である。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について、図16を用いて説明する。本実施形態では、吸着器60を通過した冷風を内外気切替箱12へ戻す点が第5実施形態と相違している。本実施形態では、第5実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
図16に示すように、内外気切替箱12には、吸着器60および気−気熱交換器58を通過した冷風を導入する冷風導入口124が形成されている。冷風導入口124は、冷却空気戻し通路517を介して、図5に示す気−気熱交換器58における冷風を流通させる流路58aに接続されている。
冷却空気戻し通路517の空気流れ下流部には、冷風導入口124を開閉する冷風戻し通路ドア94が配置されている。冷風戻し通路ドア94は、図示しないアクチュエータにより駆動される。
冷風戻し通路ドア94は、図6に示す制御装置100に制御される。そして、制御装置100は、加湿処理を実行する際、冷風戻し通路ドア94を冷風導入口124が開かれる位置に回動させる。これにより、加湿処理を実行する際には、吸着器60を通過した冷風は内外気切替箱12へ戻される。
ここで、第4、第5実施形態のように吸着器60を通過した冷風を計器盤の内部の空間に吹き出してしまうと乗員に不快感を与えてしまう虞がある。これに対し、本実施形態のように、吸着器60を通過した冷風を内外気切替箱12へ戻すことにより、乗員に不快感を与えることを防止することができる。
以上説明した本実施形態の車両用空調装置によると、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、加湿処理を実行する際には、吸着器60を通過した冷風は内外気切替箱12へ戻されるため、乗員に不快感を与えることを防止することができる。本実施形態の如く、冷却空気戻し通路517を設ける構成は、以降の実施形態で説明する構成に対しても適用することができる。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について、図17を用いて説明する。本実施形態では、空調用送風機19Bおよび加湿用送風機91として吸い込み式の送風機を用いる点が第4実施形態と相違している。本実施形態では、第4実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
図17に示すように、空調用送風機19Bは、吸い込み式の送風機である。空調用送風機19Bは、第1通風路117および第2通風路118において、ヒータコア14よりも空気流れ下流側で、且つ運転席側モード切替ドア119および助手席側モード切替ドア120よりも空気流れ上流側に配置されている。そして、空調用送風機19Bの作動により、空調ケース11の内部に車室内へ吹き出す空気流が発生する。
加湿用送風機91は、吸着器60よりも空気流れ下流側の加湿後空気通路515中に配置されている。加湿用送風機91は、吸い込み式の送風機であり、加湿用ファン、加湿用モータ等で構成されている。そして、加湿用送風機91の作動により、車室内から加湿前空気(すなわち、加熱空気)が吸い込まれ、加湿前空気通路514を介して加湿前空気が吸着器60に導かれる。
本実施形態では、吸着器60よりも空気流れ下流側の冷風導出通路513に、冷風用送風機95が配置されている。冷風用送風機95は、吸い込み式の送風機であり、冷風用ファン、冷風用モータ等で構成されている。そして、冷風用送風機95の作動により、空調ケース11の第1通風路117および第2通風路118の双方から冷却空気が吸い込まれ、冷風導入通路512を介して冷却空気が吸着器60に導かれる。
以上説明した本実施形態の車両用空調装置によると、第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について、図18を用いて説明する。本実施形態では、外気が流れる外気通風路と内気が流れる内気通風路を有する空調ユニット10Cを用いる点が第4実施形態と相違している。本実施形態では、第4実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
図18に示すように、空調ケース11には、内外気仕切り板25が一体に形成されている。内外気仕切り板25は、空調用送風機19Cよりも空気流れ下流側の空調ケース11内の通風路を、外気通風路26と内気通風路27に仕切っている。外気通風路26は、空調ケース11内の上方部位に設けられ、内気通風路27は空調ケース11内の下方部位に設けられている。
空調用送風機19Cは、外気通風路26内に空気流を発生させる外気用ファンと、内気通風路27内に空気流を発生させる内気用ファンとを備えている。
内外気切替ドア123は、内外気2層流モード、内気モード、および外気モードを設定することができる。
内外気2層流モードは、外気導入口121を外気通風路26にのみ連通させるとともに、内気導入口122を内気通風路27にのみ連通させるモードである。この内外気2層流モードでは、外気導入口121から導入された外気は全量が外気通風路26に流入し、内気導入口122から導入された内気は全量が内気通風路27に流入する。
内気モードは、外気導入口121を全閉にするとともに、内気導入口122を全開にするモードである。この内気モードでは、内気導入口122から導入された内気が外気通風路26および内気通風路27に流入する。
外気モードは、外気導入口121を全開にするとともに、内気導入口122を全閉にするモードである。この外気モードでは、外気導入口121から導入された外気が外気通風路26および内気通風路27に流入する。
外気通風路26は、乗員の上半身側に空気を吹き出すフェイス吹出口、および車両前面の窓ガラスに向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出口へ送風空気を導く通路である。外気通風路26の空気流れ下流部には、フェイス吹出口に至る通風路を開閉するフェイスドア28、およびデフロスタ吹出口に至る通風路を開閉するデフロスタドア29が設けられている。フェイスドア28およびデフロスタドア29は、図示しないアクチュエータにより駆動される。
内気通風路27は、乗員の下半身側に空気を吹き出すフット吹出口へ送風空気を導く通路である。内気通風路27の空気流れ下流部には、フット吹出口に至る通風路を開閉するフットドア30が設けられている。フットドア30は、図示しないアクチュエータにより駆動される。
外気通風路26における蒸発器13とヒータコア14との間には、外気側エアミックスドア31が回動自在に配置されている。
外気側エアミックスドア31は、図示しないアクチュエータにより駆動される。外気側エアミックスドア31は、外気通風路26内にて蒸発器13からヒータコア14側へ流通させる空気と、外気通風路26内にて蒸発器13を通過後、ヒータコア14をバイパスしてヒータコア14下流側へ流通させる空気との割合を調整する部材である。すなわち、外気側エアミックスドア31は、外気通風路26を流れる送風空気の温度を調整する部材である。
内気通風路27における蒸発器13とヒータコア14との間には、内気側エアミックスドア32が回動自在に配置されている。内気側エアミックスドア32は、図示しないアクチュエータにより駆動される。内気側エアミックスドア32は、内気通風路27内にて蒸発器13からヒータコア14側へ流通させる空気と、内気通風路27内にて蒸発器13を通過後、ヒータコア14をバイパスしてヒータコア14下流側へ流通させる空気との割合を調整する部材である。すなわち、内気側エアミックスドア32は、内気通風路27を流れる送風空気の温度を調整する部材である。
外気側エアミックスドア31および内気側エアミックスドア32は、独立して制御される。これにより、フェイス吹出口およびデフロスタ吹出口から吹き出す送風空気の温度と、フット吹出口から吹き出す送風空気の温度が独立して制御される。
空調ケース11には、ヒータコア14よりも空気流れ下流側に、外気通風路26と内気通風路27とを連通させる連通開口部115が形成されている。
連通開口部115が形成された部位には、連通開口部115を開閉する連通ドア33が配置されている。連通ドア33は、図示しないアクチュエータにより駆動される。連通ドア33は、内外気2層流モード時には連通開口部115を全閉し、内気モードおよび外気モード時には連通開口部115を全開する。
冷風導出部112は、空調ケース11の上面部に形成されている。冷風導出部112は、外気通風路26内で蒸発器13にて冷却された送風空気(すなわち、冷却空気)の一部を空調ケース11の外部へ導出する開口部である。冷風導出部112には、冷風導入通路512が接続されている。これにより、外気通風路26から取り出された冷却空気は、冷風導入通路512を介して吸着器60に導かれる。
加湿前空気導出部113Bは、空調ケース11の底面部に形成されている。加湿前空気導出部113Bは、内気通風路27内にて蒸発器13で冷却され且つヒータコア14で加熱された送風空気の一部を、空調ケース11の外部へ導出する開口部である。加湿前空気導出部113Bには、加湿前空気通路514が接続されている。これにより、内気通風路27から取り出された加湿前空気(すなわち、加熱空気)は、加湿前空気通路514を介して吸着器60に導かれる。また、本実施形態では、第4実施形態における加湿用送風機91が、廃止されている。
本実施形態の車両用空調装置において、制御装置100が加湿処理を実行した際には、冷風導出部112が開かれる。これにより、外気通風路26から取り出された低温、高湿度の空気(すなわち、冷却空気)が冷風導入通路512を介して吸着器収容部54に導入される。そして、吸着器収容部54に導入された冷却空気に含まれる水分が、吸着器60における吸湿空間541aに存する吸着材に吸着される。
また、加湿前空気導出部113Bが開かれることにより、内気通風路27から取り出された高温、低湿度の加湿前空気(すなわち、加熱空気)が加湿前空気通路514を介して吸着器収容部54に導入される。そして、吸着器収容部54に導入された加湿前空気は、吸着器60における放湿空間541bに存する吸着材に吸着された水分が脱離することで加湿される。
ここで、例えば夏期の冷房時には、外気の相対湿度が内気の相対湿度よりも高くなり易い。従って、内外気2層流モードが設定されている場合には、吸着材に水分を吸着させるための冷却空気を外気通風路26から取り出し、吸着材に吸着された水分を脱離させる加湿前空気を内気通風路27から取り出す。これにより、本実施形態の車両用空調装置では、冷却空気と加湿前空気の相対湿度差を拡大することができ、吸着剤の効率を向上させて車室内に高湿度の空気を供給することができる。
また、吸着器60に導く空気は、外気通風路26および内気通風路27の双方から取り出されるため、外気通風路26の送風空気と内気通風路27の送風空気の温度コントロールや配風割合への影響を小さくすることができる。
以上説明した本実施形態の車両用空調装置によると、第4実施形態の車両用空調装置にて得られる(a)〜(f)効果のうち、(a)、(c)、(d)、(e)、および(f)の効果を得ることができる。
また、本実施形態の車両用空調装置では、外気通風路26から取り出した相対湿度が高い冷却空気にて吸着材に水分を吸着させ、内気通風路27から取り出した相対湿度が低い加湿前空気にて吸着材の水分を脱離させる。このため、本実施形態の車両用空調装置では、冷却空気と加湿前空気の相対湿度差を拡大することができ、吸着剤の効率を向上させて車室内に高湿度の空気を供給することができる。
また、本実施形態の車両用空調装置では、吸着器60に導く空気が、外気通風路26および内気通風路27の双方から取り出される。このため、本実施形態の車両用空調装置では、外気通風路26および内気通風路27の双方から略均等に空気を取り込むことができ、外気通風路26の送風空気と内気通風路27の送風空気の温度コントロールや配風割合への影響を小さくすることができる。
ここで、本実施形態の車両用空調装置は、空調ユニット10Cに対して図16に示す冷却空気戻し通路517を追加して、吸着器60を通過した冷風を内外気切替箱12へ戻す構成としてもよい。
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について、図19を用いて説明する。本実施形態では温度が独立して制御された送風空気を車室内の異なる部位(例えば、運転席側と助手席側)に導くようにした点が第8実施形態と相違している。本実施形態では、第8実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。なお、図19は、第9実施形態に係る車両用空調装置を上方から見た透視図に相当する。
図19に示すように、本実施形態の車両用空調装置は、図18に示す第8実施形態の車両用空調装置に、センター仕切り板34を追加している。
センター仕切り板34は、蒸発器13よりも空気流れ下流側の部位で、外気通風路26を第1外気通風路26aと第2外気通風路26bに仕切っている。第1外気通風路26aは、デフロスタ吹出口、および運転席側のフェイス吹出口に送風空気を導く通路である。第2外気通風路26bは、デフロスタ吹出口、および助手席側のフェイス吹出口に送風空気を導く通路である。
センター仕切り板34は、蒸発器13よりも空気流れ下流側の部位で、内気通風路27を第1内気通風路27aと第2内気通風路27bに仕切っている。第1内気通風路27aは、運転席側のフット吹出口に送風空気を導く通路である。内気通風路27bは、助手席側のフット吹出口に送風空気を導く通路である。
第1外気通風路26aおよび第2外気通風路26bには、独立して制御される図18に示す外気側エアミックスドア31がそれぞれ配置されている。これにより、デフロスタ吹出口および運転席側のフェイス吹出口から吹き出す送風空気の温度と、デフロスタ吹出口および助手席側のフェイス吹出口から吹き出す送風空気の温度が独立して制御される。
第1内気通風路27aおよび第2内気通風路27bには、独立して制御される図18に示す内気側エアミックスドア32がそれぞれ配置されている。これにより、運転席側のフット吹出口から吹き出す送風空気の温度と、助手席側のフット吹出口から吹き出す送風空気の温度が独立して制御される。
冷風導出部112は、第1外気通風路26aと第2外気通風路26bに跨って形成されている。これにより、本実施形態の車両用空調装置では、蒸発器13にて冷却された冷却空気を、第1外気通風路26aおよび第2外気通風路26bの双方から取り出すことができる。
加湿前空気導出部113Bは、第1内気通風路27aと第2内気通風路27bに跨って形成されている。これにより、本実施形態の車両用空調装置では、蒸発器13で冷却され且つヒータコア14で加熱された送風空気を、第1内気通風路27aおよび第2内気通風路27bの双方から取り出すことができる。
本実施形態の車両用空調装置において、制御装置100が加湿処理を実行した際には、冷風導出部112が開かれる。これにより、第1外気通風路26aおよび第2外気通風路26bの双方から取り出された低温、高湿度の空気(すなわち、冷却空気)が冷風導入通路512を介して吸着器収容部54に導入される。そして、吸着器収容部54に導入された冷却空気に含まれる水分が、吸着器60における吸湿空間541aに存する吸着材に吸着される。
また、加湿前空気導出部113Bが開かれることにより、第1内気通風路27aおよび第2内気通風路27bの双方から取り出された高温、低湿度の加湿前空気(すなわち、加熱空気)が加湿前空気通路514を介して吸着器収容部54に導入される。そして、吸着器収容部54に導入された加湿前空気は、吸着器60における放湿空間541bに存する吸着材に吸着された水分が脱離することで加湿される。
ここで、例えば夏期の冷房時には、外気の相対湿度が内気の相対湿度よりも高くなり易い。
従って、内外気2層流モードが設定されている場合には、吸着材に水分を吸着させるための冷却空気を各外気通風路26a、26bから取り出し、吸着材に吸着された水分を脱離させる加湿前空気を各内気通風路27a、27bから取り出す。これにより、本実施形態の車両用空調装置では、冷却空気と加湿前空気の相対湿度差を拡大することができ、吸着剤の効率を向上させて車室内に高湿度の空気を供給することができる。
また、本実施形態の車両用空調装置では、吸着材に水分を吸着させるための冷却空気を第1外気通風路26aおよび第2外気通風路26bから取り出す。このため、本実施形態の車両用空調装置では、第1外気通風路26aの送風空気と第2外気通風路26bの送風空気の温度コントロールや配風割合への影響を小さくすることができる。
また、本実施形態の車両用空調装置では、吸着材に吸着された水分を脱離させる加湿前空気を第1内気通風路27aおよび第2内気通風路27bから取り出す。このため、本実施形態の車両用空調装置では、第1内気通風路27aの送風空気と第2内気通風路27bの送風空気の温度コントロールや配風割合への影響を小さくすることができる。
以上説明した本実施形態の車両用空調装置によると、第4実施形態の車両用空調装置にて得られる(a)〜(f)効果のうち、(a)、(c)、(d)、(e)、および(f)の効果を得ることができる。
また、本実施形態の車両用空調装置では、各外気通風路26a、26bから取り出した相対湿度が高い冷却空気にて吸着材に水分を吸着させ、各内気通風路27a、27bから取り出した相対湿度が低い加湿前空気にて吸着材の水分を脱離させる。このため、本実施形態の車両用空調装置では、冷却空気と加湿前空気の相対湿度差を拡大することができ、吸着剤の効率を向上させて車室内に高湿度の空気を供給することができる。
また、本実施形態の車両用空調装置では、吸着材に水分を吸着させるための冷却空気を第1外気通風路26aおよび第2外気通風路26bから取り出す。このため、本実施形態の車両用空調装置では、第1外気通風路26aの送風空気と第2外気通風路26bの送風空気の温度コントロールや配風割合への影響を小さくすることができる。
また、本実施形態の車両用空調装置では、吸着材に吸着された水分を脱離させる加湿前空気を第1内気通風路27aおよび第2内気通風路27bから取り出す。このため、本実施形態の車両用空調装置では、第1内気通風路27aの送風空気と第2内気通風路27bの送風空気の温度コントロールや配風割合への影響を小さくすることができる。
ここで、本実施形態の車両用空調装置は、空調ユニット10Cに対して図16に示す冷却空気戻し通路517を追加して、吸着器60を通過した冷風を内外気切替箱12へ戻す構成としてもよい。
(第10実施形態)
次に、第10実施形態について、図20および図21を参照して説明する。本実施形態では、空調用送風機19Dを蒸発器13の空気流れ下流側であって、ヒータコア14の空気流れ上流側に配置した空調ユニット10Dに、加湿装置50を適用している点が第5実施形態と相違している。本実施形態では、第5実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
図20に示すように、空調用送風機19Dは、蒸発器13よりも空気流れ下流側で、且つヒータコア14よりも空気流れ上流側に配置されている。そして、空調用送風機19Dの作動により、空調ケース11の内部に車室内へ吹き出す空気流が発生する。
また、図21に示すように、空調ケース11には、空調用送風機19Dの空気流れ下流側の通風路を第1通風路117および第2通風路118に仕切る仕切り板116が配置されている。そして、空調ケース11には、その底面部に冷風導出部112および加湿前空気導出部113Bが形成されている。
冷風導出部112は、空調ケース11内にて蒸発器で冷却された送風空気の一部を、空調ケース11の外部へ導出する1つの開口部である。より詳細には、冷風導出部112は、空調ケース11の底面部における空調用送風機19Dとヒータコア14との間の部位に形成されると共に、第1通風路117および第2通風路118に跨って形成されている。これにより、本実施形態では、蒸発器13で冷却された送風空気を第1通風路117および第2通風路118の双方から取り出すことができる。
また、加湿前空気導出部113B、空調ケース11内にて蒸発器13で冷却され且つヒータコア14で加熱された送風空気の一部を、空調ケース11の外部へ導出する1つの開口部である。より詳細には、加湿前空気導出部113Bは、空調ケース11の底面部におけるヒータコア14よりも空気流れ下流側の部位に形成されると共に、第1通風路117と第2通風路118に跨って形成されている。これにより、本実施形態では、蒸発器13で冷却され且つヒータコア14で加熱された送風空気を、第1通風路117および第2通風路118の双方から取り出すことができる。
本実施形態の車両用空調装置は、空調用送風機19Dの位置が第5実施形態と異なるだけで、その他の構成が第5実施形態と同様となっている。このため、本実施形態の車両用空調装置は、第5実施形態と共通の構成から奏される作用効果を、第5実施形態と同様に得ることができる。
ここで、本実施形態では、空調ケース11の内部に第1通風路117および第2通風路118が設定された空調ユニット10Dにおいて、空調用送風機19Dを蒸発器13とヒータコア14との間に配置する例について説明したが、これに限定されない。
例えば、第1〜第3実施形態の如く、空調ケース11の内部に単層の空気の通風路が設定された空調ユニット10、10Aにおいて、空調用送風機19、19Aを蒸発器13とヒータコア14との間に配置するようにしてもよい。
また、例えば、第8、第9実施形態の如く、外気が流れる外気通風路と内気が流れる内気通風路を有する空調ユニット10Cにおいて、空調用送風機19Cを蒸発器13とヒータコア14との間に配置するようにしてもよい。
(他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の各実施形態では、蒸発器13により送風空気を冷却し、ヒータコア14により送風空気を加熱する空調ユニット10、10A〜10Dに加湿装置50を適用する例について説明したが、これに限定されない。例えば、ペルチェ素子のような冷却部材を、送風空気を冷却する冷却部として採用した空調ユニット10、10A〜10Dや、電気ヒータや、冷凍サイクルの放熱器を、送風空気を加熱する加熱部として採用した空調ユニット10、10A〜10Dに加湿装置50を適用してもよい。
(2)上述の第1〜第3実施形態では、空調ケース11の底面部11aに開口する冷風導出部112に加湿装置50の冷風吸入ダクト521が接続される例について説明したが、これに限定されない。例えば、空調ケース11の上面部11bや側面部11cに設けられた冷風導出部112に冷風吸入ダクト521が接続されていてもよい。
(3)上述の第1〜第3実施形態では、空調ケース11の底面部11aに開口する温風導出部113に加湿装置50の温風吸入ダクト531が接続される例について説明したが、これに限定されない。例えば、空調ケース11の上面部11bや側面部11cに設けられた温風導出部113に温風吸入ダクト531が接続されていてもよい。
ここで、車室内には、ヒータコア14で加熱された加熱空気が吹き出される。このため、温風吸入ダクト531を車室内に連通する開口部に接続し、内気をヒータコア14で加熱された加熱空気として、吸着ケース51へ導入するようにしてもよい。つまり、空調ユニット10、10A〜10Dで加熱された加熱空気が吹き出される車室内には、蒸発器13で冷却された冷却空気に比べて低湿度、且つ、高温の空気が存在する。このため、内気をヒータコア14で加熱された加熱空気として吸着ケース51に導入するようにしてもよい。
(4)上述の第1〜第3実施形態では、空調ケース11に対して各吸入ダクト521、531を介して吸着ケース51を接続する例について説明したが、これに限定されない。例えば、空調ケース11に対して、吸着ケース51の冷風吸入部52、温風吸入部53を直接接続するようにしてもよい。この場合、冷風吸入部52が第1導入部を構成し、温風吸入部53が第2導入部を構成する。
(5)上述の各実施形態では、吸着材61の吸着速度と脱離速度とのズレを加味し、吸湿空間541aに存する吸着材61の量が、放湿空間541bに存する吸着材61の量よりも少なくなるように、収容空間541を仕切る例について説明したが、これに限定されない。
例えば、吸湿空間541aを流通させる冷却空気の風量を、放湿空間541bを流通させる加熱空気の風量よりも増大させるようにしてもよい。これによれば、吸湿空間541aに存する吸着材61の量と放湿空間541bに存する吸着材61の量と同等にしても、吸湿空間541aにおける吸着材61への水分の吸着量を充分に確保することが可能となる。
(6)上述の各実施形態では、吸着器60として複数の金属製の板状部材に吸着材61を担持させる構成とする例について説明したが、これに限定されない。吸着器60としては、例えば、ハニカム構造を有する構造体の内部に吸着材61を担持させる構成としてもよい。
(7)上述の各実施形態では、吸着材61として高分子吸着材を採用する例について説明したが、これに限定されない。吸着材61としては、例えば、シリカゲルやゼオライト等の吸着材を採用してもよい。
(8)上述の各実施形態では、駆動部材70の電動モータ72により、吸着器60を一方向に連続的に回転させることで、吸着器60の吸着材61を吸湿空間541aと放湿空間541bとの間で移動させる例について説明したが、これに限定されない。
例えば、駆動部材70の電動モータ72により、吸着器60を一方向に断続的に回転させることで、吸着器60の吸着材61を吸湿空間541aと放湿空間541bとの間で移動させてもよい。
また、駆動部材70の電動モータ72による吸着器60の回転方向は、一方向に限らず、当該一方向とは逆方向に回転させてもよい。例えば、吸着器60の回転方向を所定時間毎に一方向と当該一方向とは逆方向に切り替えることで、吸着器60の吸着材61を吸湿空間541aと放湿空間541bとの間で移動させてもよい。
また、吸湿空間541aと放湿空間541bとが同等の大きさとなるように収容空間541が仕切られている場合等には、吸湿空間541aに存する全ての吸着材61と、放湿空間541bに存する全ての吸着材61とを入れ替えるようにしてもよい。この場合には、駆動部材70により吸着器60を断続的に180°回転させればよい。
(9)上述の各実施形態では、吸着器60の吸着材61を吸湿空間541aと放湿空間541bとの間で移動させる移動機構として、吸着器60を回転させる駆動部材70を採用する例について説明したが、これに限定されない。例えば、吸着器60を複数の吸着部で構成すると共に、各吸着部を吸湿空間541aと放湿空間541bとの間でスライド移動させる構成を移動機構として採用してもよい。
(10)上述の第1〜第3実施形態の如く、加湿側導出部を構成する加湿用ダクト571を、空調ユニット10、10Aで温度調整された空気の空調用ダクト20とは別体の構成部品とすることが望ましいが、これに限定されない。例えば、加湿用ダクト571を空調ユニット10、10A側の空調用ダクト20とは一体の構成部品としてもよい。
(11)上述の第1〜第3実施形態の如く、吸着ケース51および各吸入ダクト521、531を空調ケース11とは別体の構成部品とし、各吸入ダクト521、531を空調ケース11に脱着可能な構成とすることが望ましいが、これに限定されない。例えば、吸着ケース51および各吸入ダクト521、531を空調ケース11と一体の構成部品としてもよい。
(12)上述の各実施形態の如く、吸湿空間541aを通過した冷却空気と、放湿空間541bを通過した加湿空気とを熱交換させる気−気熱交換器58を設けることが望ましいが、これに限定されず、例えば、気−気熱交換器58が省略されていてもよい。
(13)上述の各実施形態の如く、車室内の加湿を停止する際に、吸着材61に吸着された水分を脱離させる脱離処理を実行することが望ましいが、これに限定されず、脱離処理を実行しないようにしてもよい。
(14)上述の各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。なお、各実施形態を構成する要素は、可能な範囲で適宜組み合わせることができる。
(15)上述の各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
(16)上述の各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。