JP6858458B2 - 車両用の空調装置 - Google Patents
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Description
しかし、特許文献1の空調装置では、吸湿材を再生しているときには、空気の除湿を行えないため、空気を連続して除湿できない仕様となっている。
(a)ひとつの吸湿材(デシカント材)に、水分を吸着する吸着領域と、吸着した水分を脱着させる脱着領域とを設定する。
(b)例えば、デシカント材の吸着領域を、除湿対象の空気が通流する流路内に設置し、脱着領域を、デシカント材から水分を脱着させて回収するための回収用の空気の流路内に設置する。
この場合、空気に含まれる水分をデシカント材の吸着領域に吸着させて、空気を除湿する一方で、デシカント材の脱着領域から水分を脱着させて回収用の空気に取り込ませることで、水分の吸着と脱着を連続的に行うことができる。
そのため、除湿対象の空気の風量の増加に追従して、回収用の空気の風量を増加させると、顕熱交換による除湿対象の空気の温度変化が大きくなるので、除湿対象の空気の温度が目的の温度から乖離してしまう。
除湿対象の空気に含まれる水分の吸着と、吸着した水分の回収用の空気への放出が可能なデシカント材と、
前記除湿対象の空気が通流する第1流路と、
前記回収用の空気が通流する第2流路と、
前記第1流路における前記除湿対象の空気の風量と、前記第2流路における前記回収用の空気の風量を制御する制御手段と、を有し、
前記第1流路と前記第2流路とに跨がって設けられた前記デシカント材に、前記除湿対象の空気に含まれる水分を吸着させて、前記除湿対象の空気を除湿するように構成された車両用の空調装置において、
前記制御手段は、
前記回収用の空気の風量が前記除湿対象の空気の目標除湿量を達成する風量に達した後は、前記回収用の空気の風量を、前記除湿対象の空気の風量よりも少ない風量にすると共に、
前記制御手段は、
前記回収用の空気の風量が、前記除湿対象の空気の目標除湿量を達成する風量に達するまでの間は、前記回収用の空気の風量を、前記除湿対象の空気の風量の増加に所定の相関を持って増加させる構成の車両用の空調装置とした。
以下、本発明の第1実施形態を、除湿対象の空気が、空調装置1の温度調節部10で温度が調整された空気(空調空気)である場合を例に挙げて説明する。
図1は、本実施形態にかかる車両用の空調装置1の概略構成図である。
図2は、車両用の空調装置1が備える制御装置7の制御対象を説明する図である。
温度調節部10は、エバポレータ12と、ヒータコア13と、ミックスドア14と、混合部15とを有している。
エバポレータ12の下流側には、ヒータコア13とミックスドア14とが設けられている。ミックスドア14は、エバポレータ12で冷却された空気のヒータコア13側への流入量を調整し、ヒータコア13は、エバポレータ12側から流入した空気を暖める。
空調空気の温度の調節は、ヒータコア13側に流入する空気の量を、ミックスドア14により調整することで行われる。
吹出口16bは、この吹出口16bから吹き出す空調空気が、ウインドシールドガラスWの車幅方向の略全面に当たるようにするために、車幅方向に所定長さを有している。
フットダクト18は、車室90内の床の近傍に開口する吹出口18bと、フット側供給口18aと、を接続している。
ここで、以下の説明においては、取込口21aから取り込んだ車室90内の空気を「内気」、取込口23aや、後記する取込口3aから取り込んだ車外の空気を「外気」とも標記する。
そのため、第1流路2では、送風路22におけるロータ61が設けられた領域に、通流路21が軸線X方向から接続されている。
これにより、取込口21aを介して通流路21内に取り込んだ車室90内の空気(内気)が、通流路21を通って、送風路22内に供給される。
これにより、取込口23aから外気導入部23の内部空間231に取り込まれた車外の空気(外気)が、通流路21を通って送風路22内に供給される。
交差領域25では、デフダクト16と第2流路3とが略直交している。第2流路3の長手方向の一端と他端は、それぞれ、外気の取込口3aと外気の排出口3bになっている。
第2流路3では、デフダクト16との交差領域25よりも下流側に、シロッコファン6Bのロータ61が設けられている。ロータ61は、モータM2の回転駆動力で軸線X回りに回転する。モータM2の駆動は、制御装置7(図2参照)により制御される。
そのため、ロータ61が軸線X回りに回転すると、車外の空気(外気)が、取込口3aから第2流路3内に取り込まれる。
そして、第2流路3内に取り込まれた空気(外気)は、デフダクト16との交差領域25を通過した後、排出口3bから車外に排出される。
デシカント材5は、デフダクト16を通流する空調空気を除湿するために設けられている。
図4は、デシカント材5の構成を説明する図である。図4の(a)は、デシカント材5の一部を分解して示した斜視図である。図4の(b)は、デシカント材5の一部の領域を空気の通流方向から見た平面図であって、デシカント材5の基本構成を説明する図である。
図4の(a)、(b)に示すように、デシカント材5は、間隔を開けて互いに略平行に配置された複数の板状基材51と、板状基材51、51の間に配置された波状基材52とを有している。
波状基材52は、板状基材51の並び方向で隣接する一対の板状基材51、51の間に設けられている。
波状基材52と板状基材51との接触点P1、P2は、接着剤53で接続されている。
波状基材52と、この波状基材52の一方側に位置する板状基材51との接触点P1、P1の間隔Pと、波状基材52と、この波状基材52の他方側に位置する板状基材51との接触点P2、P2の間隔Pは、略同じピッチとなっている。
そして、波状基材52Aと、この波状基材52Aの両側に位置する板状基材51、51との間に形成される空間Saと、波状基材52Bと、この波状基材52Bの両側に位置する板状基材51、51との間に形成される空間Sbとが直交している。
図4に示すデシカント材5では、板状基材51と波状基材52(52A、52B)の表面が、吸着材Sxの層で覆われている。
そして、波状基材52(52A、52B)と板状基材51との接触点P1、P2では、表面が吸着材Sxの層で覆われた板状基材51と波状基材52(52A、52B)とが、接着剤53で隙間無く接続されている(図4の(b)参照)。
また、吸着材において水分は、基材に保持された吸着材の間での移動と、吸着材と基材との間での移動が可能な状態で保持されている。
車両V(図1参照)において、外気を取り込まずに車室90内を空調している場合には、空調装置1は、車室90内から取り込んだ空気(内気)を、温度調整の後に、車室90内に循環させている。
そのため、循環させる空気(空調空気)の絶対湿度が、車室90内の状況などに応じて経時的に上昇することになる。
そのため、空調装置1は、車室90内から取り込んだ空気を除湿するデシカントモードを、動作モードの1つとして有している。
ここで、デシカントモードでは、空調空気に含まれる水分をデシカント材5に吸着させて、空調空気を除湿する一方で、車外から取り込んだ空気(再生用流体)により、デシカント材5から水分を脱着させる。これにより、デシカント材5における水分の吸着が連続して行えるようになっている。
デシカントモードでは、制御装置7が切替弁41を操作して、仕切壁411を、内気導入位置(図1:実線参照)に配置させる。
これにより、第1流路2の通流路21と、外気導入部23との連通が遮断されて、通流路21内を、取込口21aから取り込んだ空気(内気)のみが通流できる状態となる。
交差領域25では、第2流路3とデフダクト16とが略直交する向きで交差している。交差領域25内では、第2流路3を通流する空気(再生用流体)の流路と、デフダクト16を通流する空調空気の流路とに跨がって、デシカント材5が設けられている。
これにより、温度調節部10で温度が調節された空調空気が、デシカント材5で除湿される。
デシカントモードでは、車外から取り込んだ空気(再生用流体)は、少なくとも絶対湿度の低い空気である。そして、本実施形態では、デシカントモードにおいて、第2流路3を通流する車外の空気(外気)を、デシカント材5から水分を脱着させる再生用流体として用いている。
そのため、デシカント材5全体での水分の分布を均一化させようとする作用が発揮される。その結果、空調空気が通流する流路Saを囲む領域(吸着領域)から、車室90外(車外)から取り込んだ再生用流体が通流する流路Sbを囲む領域(脱着領域)に向けて水分が移動する(図3参照)。
そのため、空調空気と再生用流体との間での板状基材51を介した水分の移動が生じやすくなっている。
そのため、空調空気から波状基材52Aに吸着された水分は、再生用流体の流路Sbに接する板状基材51まで移動した後、この板状基材51における流路Sb側の表面から脱着されて、再生用流体に取り込まれることになる(図3の拡大図参照)。
そのため、空調空気から取り込まれて板状基材51、51に移動した水分は、波状基材52Bとの接触点を介して、波状基材52B内に移動する。そして、波状基材52Bに移動した水分は、波状基材52Bの表面から脱着されて、再生用流体に取り込まれることになる。
そして、(2)流路Sbを囲む領域(脱着領域)に移動した水分が、流路Sbを通流する車外の空気(外気:再生用流体)に取り込まれる。
これにより、デフダクト16と第2流路3を、それぞれ空調空気と再生用流体とが連続して通流している状態では、デシカント材5における脱着領域が、デシカント材5における吸着領域よりも少ない水分の吸着量で常に保持される。
そのため、従来のデシカント材の場合のように、デシカント材で水分吸着量が飽和した場合に、例えばヒータを駆動して、デシカント材の再生処理を行う必要が生じない。すなわち、再生用流体を連続して通流させるだけで、空調空気(除湿対象の空気)の除湿を連続して行えることになる。
これにより、車室90内に供給される空調空気の絶対湿度を低減させることができる。
温度調節部10に供給する空気(内気)は、外気導入部23から取り込んだ車外の空気(外気)を含んでいても良い。
ここで、空調空気の風量は、車室90内の空調条件に応じて変化する。例えば、冬季における暖房運転の開始直後のように、車室90内を短時間で暖める必要がある場合には、空調空気の風量は最大になる。
そのため、空調空気の温度が、デシカント材5を介した空調空気と再生用流体との顕熱交換により変化する。そして、空調空気の風量の増加に追従して、再生用流体の風量を増加させると、熱量の交換量が増える結果、デシカント材5の前後での空調空気の温度変化が大きくなる。
この場合には、顕熱交換により空調空気の熱が再生用流体側に奪われて、空調空気から無駄に排出される熱量が増えてしまう結果、空調装置1における暖房効率を低下させる一因となる。
再生用流体(回収用の空気)の風量を、空調空気(除湿対象の空気)の風量よりも多くしても、空調空気(除湿対象の空気)からデシカント材5に取り込まれる水分量が上がらない点、を実験を通じて見出した。
(a)再生用流体の風量が空調空気の目標除湿量を達成する風量に達した後は、再生用流体の空気の風量を、空調空気の風量に追従させて増加させるのではなく、空調空気の風量よりも少ない風量であって、目標除湿量を達成できる風量以上にする。
図5は、空調空気(除湿対象の空気)と再生用流体(回収用の空気)との風量比の関係を説明する図である。
シロッコファン6Aのロータ61が回転すると、デフダクト16を通流する空調空気の風量が、ロータ61の回転数に応じて変化する。
シロッコファン6Bのロータ61が回転すると、第2流路3を通流する再生用流体の風量が、ロータ61の回転数に応じて変化する。
さらに、制御装置7は、少なくとも開閉弁16vを開いて、温度調節部10と車室90内とを、デフダクト16を介して連通させる。
そして、制御装置7は、モータM1を駆動してシロッコファン6Aのロータ61を回転させる。
これにより、空調装置1の温度調節部10に、車室90内から取り込んだ空気(内気)が供給されて、デフダクト16には、温度調節部10で温度が調節された空気(空調空気)が供給される。
さらに、制御装置7は、モータM2を駆動してシロッコファン6Bのロータ61を回転させる。これにより、第2流路3には、車外の空気(再生用流体)が流入する。
制御装置7は、車室90内(車内)の温度および相対湿度から車内の絶対湿度H_inを算出すると共に、車室90外(車外)の温度および相対湿度から車外の絶対湿度H_outを算出する。
本実施形態では、最小の風量として1.5m3/minを想定している。
この際に、制御装置7は、空調空気の風量の増加に所定の相関を持って、再生用流体の風量Vを増加させる。
この実線aに沿って再生用流体の風量Vを増加させている間は、空調空気の風量と再生用流体の風量Vは、常に略同じ風量となる。
例えば、再生用流体の風量Vが、空調空気の風量に対して僅かに少なくなるようにしつつ、再生用流体の風量を、下限風量VLに向けて増加させるようにしても良い(図中、一点鎖線a’参照)。
具体的には、空調用空気の風量に対して1:1の関係となる風量Vを規定する線分(図5、破線L参照)よりも小さい値に設定する。
そうすると、車室90内に供給される空調空気は、デシカント材5で除湿されて絶対湿度が低くなるものの、目的とされていた温度(目的温度)よりも低い温度で車室90内に供給される。
そうすると、空調装置1における暖房効率がいっそう低下する。
これにより、空調空気の目的温度からの乖離幅を小さくして、空調装置1における暖房効率を向上させている。
(a)再生用流体の風量Vが下限風量VLに到達した後は、空調空気の増加に関係なく、再生用流体の風量Vを下限風量VL保持する(図5における線分b参照)。
(b)再生用流体の風量Vが下限風量VLに到達した後は、下限風量VLよりも多い風量であって、空調空気の風量よりも少ない風量の範囲内に、再生用流体の風量Vを設定する(図5における破線Lと線分bの間)。
(c)(b)の場合において、空調空気の風量が増加するにつれて、空調空気の風量に1:1で対応する風量からの乖離量ΔVを大きくする(図5における線分c参照)。
この場合には、車内の絶対湿度H_inと車外の絶対湿度H_outとの絶対湿度差ΔHが最も小さいときを基準として、下限風量VLを設定しておくことが好ましい。
絶対湿度差ΔHが小さくなると、空調空気から再生量流体への水分の移動量が少なくなり、空調空気からの水分の吸着量(吸湿量)が少なくなる。
よって、絶対湿度差ΔHが最も小さいときを基準とすると、設定される下限風量VLは、空調空気を除湿するために必要な再生用流体の最小の風量となる。
車室90内の絶対湿度に影響を及ぼす要素として、車両Vにおける乗員定数や、車室90内の容積がある。乗員定数や車室90内の容積は車両毎に異なるので、車両に応じて決まる目標吸湿量MC_targetを考慮することで、空調空気を除湿するために必要な再生用流体の最小の風量をより適切に決定できる。
そのため、再生用流体として機能する車外の空気(外気)が第2流路3内を通流しないので、デフダクト16を通流する空調空気は、除湿されることなくそのまま車室90内に供給される。
(1)車両用の空調装置1は、
空調空気(除湿対象の空気)に含まれる水分の吸着と、吸着した水分の再生用流体(回収用の空気)への放出が可能なデシカント材5と、
空調空気が通流するデフダクト16(第1流路)と、
再生用流体が通流する第2流路3と、
デフダクト16における空調空気の風量と、第2流路3における再生用流体の風量を制御する制御装置7(制御手段)と、を有する。
デシカント材5は、デフダクト16と第2流路3とに跨がって設けられている。
空調装置1では、デシカント材5に、空調空気に含まれる水分を吸着させて、空調空気が除湿される。
制御装置7は、
再生用流体の風量Vが、空調空気の目標除湿量を達成する風量VLに達した後は、再生用流体の風量Vを、空調空気の風量よりも少ない風量にする。
そのため、デシカント材5が吸着した水分で飽和することを防ぐために、再生用流体の流量を空調空気の風量の増加に追従して増加させて、デシカント材5から再生用流体に放出させる水分の量を増やす必要がある。
(a)空調空気(除湿対象の空気)の目標除湿量を達成しつつ、再生用流体(回収用の空気)と空調空気(除湿対象の空気)との間でのデシカント材5を介した熱量の交換量を抑えることができる。
(b)再生用流体(回収用の空気)と空調空気(除湿対象の空気)との間でのデシカント材5を介した顕熱移動が抑制される結果、顕熱交換により空調空気(除湿対象の空気)から無駄に排出される熱量を抑えることができる。
(c)冬季における空調装置1の暖房運転時には、空調空気(除湿対象の空気)の風量の増加に追従して再生用流体(回収用の空気)の風量を増加させる場合に比べて、デシカント材5の温度を高い温度に保持することができる。
(d)デシカント材5の温度が高くなると、材料側(板状基材51、波状基材、吸着材Sx)の活性化エネルギーが高くなるので、水分の移動速度が速くなる。
(2)制御装置7は、
再生用流体の風量Vが、空調空気の目標除湿量を達成する風量VLに達した後は、
空調空気の風量の下限を、空調空気の目標除湿量を達成する風量VLにする。
また、デシカント材5で除湿された後の空調空気の温度と、目的温度との乖離幅を小さくすることができる。
これにより、冬季における空調装置1の暖房運転時に、除湿された後の空調空気の温度を、目的温度により近い温度にすることができる。
よって、除湿された後の空調空気を、目的温度で車室90内に供給するために、温度調節部10で調整する空調空気の温度を高くする程度を抑えることができる。よって、空調装置1における暖房効率が低下を抑制できる。
(3)制御装置7は、
再生用流体の風量Vが、空調空気の目標除湿量を達成する風量VLに達した後は、
再生用流体の風量を、空調空気の目標除湿量を達成する風量VLで保持する。
(4)デフダクト16(第1流路)は、車両用の空調装置1が備える温度調節部10で温度が調整された空気(空調空気)が通流する流路であり、
第2流路3は、車外から取り込んだ空気(外気:再生用流体)が通流する流路である。
この場合には、空調空気の風量の増加に追従して再生用流体の風量を増加させる場合に比べて、顕熱交換により空調空気から無駄に排出される熱量を抑えることができる。
これにより、温度が調整された空調空気の温度低下の程度を抑えることができるので、空調装置1における暖房効率の低下を抑制できる。
(5)デシカント材5は、デフダクト16(第1流路)と第2流路3とが交差した交差領域25に設けられている。
そのため、上記のように構成することで、顕熱交換により、空調空気(除湿対象の空気)から無駄に排出される熱量を抑えることができる。
(6)デシカント材5は、
間隔をあけて並んだ複数の板状基材51と、
板状基材51の並び方向で隣接する板状基材51、51の間に配置された波状基材52と、を有している。
波状基材52は、当該波状基材52を挟んで一方側に位置する板状基材51と、他方側に位置する板状基材51とに交互に接して設けられている。
波状基材52は、一方側の板状基材51と、他方側の板状基材51との間に空気の流路Sを形成している。
波状基材52は、空調空気(除湿対象の空気)の流路Sa(通流路)を形成する波状基材52A(第1波状基材)と、再生用流体(回収用の空気)の流路Sb(通流路)を形成する波状基材52B(第2波基材)とを、有している。
デシカント材5では、波状基材52Aと波状基材52Bとが、板状基材51の並び方向で交互に配置されている。
そのため、空調空気(除湿対象の空気)と再生用流体(回収用の空気)との間での顕熱移動が生じやすくなっている。
そのため、再生用流体の風量Vが、空調空気の目標除湿量を達成する風量VLに達した後は、再生用流体の風量Vを、除湿対象の空気の風量よりも少ない風量にすることで、顕熱交換により除湿対象の空気から無駄に排出される熱量を抑えることができる。
(7)制御装置7は、
再生用流体の風量Vが、空調空気の目標除湿量を達成する風量VLに達するまでの間は、再生用流体(回収用の空気)の風量を、空調空気(除湿対象の空気)の風量の増加に所定の相関、好ましくは、1:1の相関を持って増加させる(図5、実線a参照)。
(7)空調空気の目標除湿量を達成する再生用流体の風量Vの下限値VLは、1.5m3/minである。
次に、本発明の第2実施形態にかかる空調装置1Aを説明する。
図6は、本実施形態にかかる車両用の空調装置1Aの概略構成図である。
デシカント材5Aは、デフダクト16と第2流路3における空気の通流方向に交差する向き(直交する向き)で設けられている。
波状基材52は、板状基材51の並び方向で隣接する一対の板状基材51、51の間に設けられている。
波状基材52は、当該波状基材52の長手方向で、波状基材52を挟んで一方側に位置する板状基材51と、他方側に位置する板状基材51とに、交互に接して設けられている。
波状基材52と板状基材51との接触部は、接着剤53により接着されており、互いに平行に配置された板状基材51、51の間に波状基材52を位置させることで、デシカント材5A全体としての剛性強度を高めている。
デシカント材5Aでは、板状基材51と波状基材52の表面に、高分子系の吸着材Sxや、無機系の吸着材のような、水分の吸着と脱着が可能な材料を担持させていることが好ましい。
そのため、前記した第1実施形態の場合と同様に、デフダクト16と第2流路3を、それぞれ空調空気と再生用流体が連続して通流している状態では、デシカント材5Aにおいて水分の吸着量が飽和しないようになっている。
(a)再生用流体の風量が空調空気の目標除湿量を達成する風量に達した後は、再生用流体の空気の風量を、空調空気の風量に追従させて増加させるのではなく、空調空気の風量よりも少ない風量であって、目標除湿量を達成できる風量以上にする。
この際に、制御装置7は、空調空気の風量の増加に所定の相関を持って、再生用流体の風量Vを増加させる。
具体的には、空調用空気の風量に対して1:1の関係となる風量Vを規定する線分(図5、破線L参照)よりも小さい値に設定する。
制御装置7は、以下の(a)から(c)の何れかにより、再生用流体の風量Vを決定する。
(a)再生用流体の風量Vが下限風量VLに到達した後は、空調空気の増加に関係なく、再生用流体の風量Vを下限風量VL保持する(図5における線分b参照)。
(b)再生用流体の風量Vが下限風量VLに到達した後は、下限風量VLよりも多い風量であって、空調空気の風量よりも少ない風量の範囲内に、再生用流体の風量Vを設定する(図5における破線Lと線分bの間)。
(c)(b)の場合において、空調空気の風量が増加するにつれて、空調空気の風量に1:1で対応する風量からの乖離量ΔVを大きくする(図5における線分c参照)。
(8)車両用の空調装置1Aは、
空調空気(除湿対象の空気)に含まれる水分の吸着と、吸着した水分の再生用流体(回収用の空気)への放出が可能なデシカント材5Aと、
空調空気が通流するデフダクト16(第1流路)と、
再生用流体が通流する第2流路3と、
デフダクト16における空調空気の風量と、第2流路3における再生用流体の風量を制御する制御装置7(制御手段)と、を有する。
デシカント材5Aは、デフダクト16と第2流路3とが、互いの壁部同士を接触させて設けられた接触領域26に設けられている。
デシカント材5Aは、デフダクト16と第2流路3とに跨がって設けられている。
空調装置1では、デシカント材5Aに、空調空気に含まれる水分を吸着させて、空調空気が除湿される。
制御装置7は、
再生用流体の風量Vが、空調空気の目標除湿量を達成する風量VLに達した後は、再生用流体の風量Vを、除湿対象の空気の風量よりも少ない風量にする。
(a)空調空気(除湿対象の空気)の目標除湿量を達成しつつ、再生用流体(回収用の空気)と空調空気(除湿対象の空気)との間でのデシカント材5Aを介した熱量の交換量を抑えることができる。
(b)再生用流体(回収用の空気)と空調空気(除湿対象の空気)との間でのデシカント材5Aを介した顕熱移動が抑制される結果、顕熱交換により空調空気(除湿対象の空気)から無駄に排出される熱量を抑えることができる。
(d)デシカント材5Aの温度が高くなると、材料側(板状基材51、波状基材、吸着材Sx)の活性化エネルギーが高くなるので、水分の移動速度が速くなる。
次に、本発明の第3実施形態にかかる空調装置1Bを説明する。
図8は、本実施形態にかかる車両用の空調装置1Bの概略構成図である。
冬季における暖房運転時には、空調装置1Bの動作モードがデシカントモードである場合、車室90内から取り込まれた温度と絶対湿度の高い空気(内気:除湿対象の空気)が、交差領域27を通過する。この内気は、第2流路3を通流する再生用流体(外気:回収用の空気)よりも温度が高い空気である。そのため、前記した第1実施形態の場合と同様に、内気(除湿対象の空気)と外気(回収用の空気)との間でデシカント材5を介した顕熱移動が生じる。
(a)再生用流体の風量が内気(除湿対象の空気)の目標除湿量を達成する風量に達した後は、再生用流体の風量を、内気(除湿対象の空気)の風量に追従させて増加させるのではなく、内気(除湿対象の空気)の風量よりも少ない風量であって、目標除湿量を達成できる風量以上にする。
(9)車両用の空調装置1Bは、
車室90内から取り込んだ空気(除湿対象の空気:内気)に含まれる水分の吸着と、吸着した水分の再生用流体(回収用の空気:外気)への放出が可能なデシカント材5と、
車室90内から取り込んだ空気(内気)が少なくとも通流する第1流路2と、
再生用流体が通流する第2流路3と、
第1流路2における内気(除湿対象の空気)の風量と、第2流路3における再生用流体(回収用の空気)の風量を制御する制御装置7(制御手段)と、を有する。
デシカント材5は、第2流路3の通流路21と第2流路3との交差領域27に設けられている。
デシカント材5は、通流路21と第2流路3とに跨がって設けられている。
空調装置1では、デシカント材5に、内気に含まれる水分を吸着させて、空調空気が除湿される。
制御装置7は、
再生用流体の風量Vが、内気(除湿対象の空気)の目標除湿量を達成する風量VLに達した後は、再生用流体の風量Vを、内気(除湿対象の空気)の風量よりも少ない風量にする。
(b)再生用流体(回収用の空気)と内気(除湿対象の空気)との間でのデシカント材5を介した顕熱移動が抑制される結果、顕熱交換により内気(除湿対象の空気)から無駄に排出される熱量を抑えることができる。
(d)デシカント材の温度が高くなると、材料側(板状基材51、波状基材、吸着材Sx)の活性化エネルギーが高くなるので、水分の移動速度が速くなる。
なお、除湿対象の空気は、車室90内から取り込んだ空気(内気)のみである態様に限定されるものではなく、取込口3aから取り込んだ車外の空気(外気)との混合空気であっても良い。
この図9では、除湿対象の空気(空調空気、内気)の風量が、一定の割合で増加している(破線L参照)のに対し、回収用の空気(再生用流体)が、目標吸湿量を達成可能な下限風量VLで保持される場合を示している。
図9に示すように、除湿対象の空気の風量に関係なく、再生用流体の風量Vを、除湿対象の空気の目標吸湿量を達成可能な下限風量VLで保持するようにしても良い(図9、線分d参照)。
これにより、車両Vにおける限られた空間を有効に活用しつつ、空調装置1、1A、1Bの設置の自由度の向上が期待できる。
2 第1流路
3 第2流路
3a 取込口
3b 排出口
5、5A デシカント材
6A、6B シロッコファン
7 制御装置
10 温度調節部
12 エバポレータ
13 ヒータコア
14 ミックスドア
15 混合部
16 デフダクト
17 ベントダクト
18 フットダクト
21 通流路
22 送風路
23 外気導入部
25、27 交差領域
26 接触領域
41 切替弁
51 板状基材
52(52A、52B) 波状基材
53 接着剤
61 ロータ
90 車室
91 インストルメントパネル
231 内部空間
411 仕切壁
H 絶対湿度
L 破線
M1、M2 モータ
P 間隔(ピッチ)
P1、P2 接触点
S(Sa、Sb) 流路(空間)
Sx 吸着材
V 車両
W ウインドシールドガラス
Claims (8)
- 除湿対象の空気に含まれる水分の吸着と、吸着した水分の回収用の空気への放出が可能なデシカント材と、
前記除湿対象の空気が通流する第1流路と、
前記回収用の空気が通流する第2流路と、
前記第1流路における前記除湿対象の空気の風量と、前記第2流路における前記回収用の空気の風量を制御する制御手段と、を有し、
前記第1流路と前記第2流路とに跨がって設けられた前記デシカント材に、前記除湿対象の空気に含まれる水分を吸着させて、前記除湿対象の空気を除湿するように構成された車両用の空調装置において、
前記制御手段は、
前記回収用の空気の風量が前記除湿対象の空気の目標除湿量を達成する風量に達した後は、前記回収用の空気の風量を、前記除湿対象の空気の風量よりも少ない風量にすると共に、
前記制御手段は、
前記回収用の空気の風量が、前記除湿対象の空気の目標除湿量を達成する風量に達するまでの間は、前記回収用の空気の風量を、前記除湿対象の空気の風量の増加に所定の相関を持って増加させることを特徴とする車両用の空調装置。 - 前記制御手段は、
前記回収用の空気の風量が前記除湿対象の空気の目標除湿量を達成する風量に達した後は、
前記回収用の空気の風量の下限を、前記除湿対象の空気の目標除湿量を達成する風量にすることを特徴とする請求項1に記載の車両用の空調装置。 - 前記制御手段は、
前記回収用の空気の風量が前記除湿対象の空気の目標除湿量を達成する風量に達した後は、
前記回収用の空気の風量を、一定値で保持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用の空調装置。 - 前記第1流路は、温度調節部で温度が調整された空気が通流する流路であり、
前記第2流路は、車外から取り込んだ空気が通流する流路であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の車両用の空調装置。 - 前記第1流路は、車両用の空調装置が備える温度調節部に供給されて、前記温度調節部で温度が調整される空気が通流する流路であり、
前記第2流路は、車外から取り込んだ空気が通流する流路であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の車両用の空調装置。 - 前記デシカント材は、前記第1流路と前記第2流路とが交差した交差領域に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の車両用の空調装置。
- 前記デシカント材は、前記第1流路と前記第2流路とが、互いの壁部同士を接触させて設けられた接触領域に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の車両用の空調装置。
- 前記回収用の空気の風量の一定値の下限は、1.5m 3 /minであることを特徴とする請求項3に記載の車両用の空調装置。
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