以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。本実施形態では、本開示の加湿器16を、加湿対象空間TSを加湿する加湿装置10に適用した例について説明する。図1に示す加湿装置10は、送風ユニット12、配風ユニット14、加湿器16を含んで構成されている。
送風ユニット12は、外殻を構成する送風ケース122を備えている。送風ケース122には、外部から空気を吸い込む空気吸込口122a、加湿器16側に冷風を吹き出す冷風吹出口122b、および加湿器16側に温風を吹き出す温風吹出口122cが形成されている。
送風ケース122の内部には、空気を送風する送風機124が配置されている。送風機124は、回転軸の軸心に沿って空気を送風する軸流式の送風機で構成されている。なお、送風機124は、軸流式の送風機に限らず、例えば、遠心式の送風機や貫流式の送風機で構成されていてもよい。
また、送風ケース122の内部には、冷風吹出口122bおよび温風吹出口122cに近接する位置に、冷温風生成機126が設けられている。冷温風生成機126は、ペルチェ素子126a、吸熱フィン126b、放熱フィン126cを含んで構成されている。
ペルチェ素子126aは、板状に構成され、通電されることで一面側が吸熱すると共に、他面側が放熱する機能を有する素子である。ペルチェ素子126aは、送風ケース122の内部における冷風吹出口122bと温風吹出口122cとの間に配置されている。
吸熱フィン126bは、ペルチェ素子126aの吸熱面側に配置されている。吸熱フィン126bは、冷風吹出口122bに流れる空気が冷却されるように、冷風吹出口122bに対向する位置に配置されている。
放熱フィン126cは、ペルチェ素子126aの放熱面側に配置されている。放熱フィン126cは、温風吹出口122cに流れる空気が加熱されるように、温風吹出口122cに対向する位置に配置されている。
このように構成される送風ユニット12は、冷温風生成機126のペルチェ素子126aに通電した状態で送風機124を稼働させることで、冷風吹出口122bから冷風を吹き出したり、温風吹出口122cから温風を吹き出したりすることが可能となっている。
続いて、配風ユニット14は、加湿器16で生成される除湿空気および加湿空気を所望の空間に配風するものである。配風ユニット14は、加湿器16で生成された加湿空気を加湿対象空間TSに導く加湿ダクト142、加湿器16で生成された除湿空気を加湿対象空間TSの外部空間に排気する排気ダクト144を含んで構成されている。
続いて、加湿器16は、加湿対象空間TSを加湿するものである。加湿器16は、外殻を構成する収容ケース18、収容ケース18に収容された吸着器20を含んで構成されている。
収容ケース18は、内部に吸着器20が収容される収容部181、冷風を導入する冷風導入部182、温風を導入する温風導入部183、除湿空気を導出する除湿用導出部184、加湿空気を導出する加湿用導出部185を有している。
図1、図2に示すように、収容部181は、外形状が略円柱状の形状となっており、その内部に略円柱状の空間が形成されている。収容部181は、略円形状の一対の端面部181a、181b、一対の端面部181a、181b同士を繋ぐ外周面部181cを有している。
図2に示すように、収容部181は、一対の端面部181a、181bの略中心部に、後述する吸着器20の回転軸24を回転可能に支持する筒状の支持部181d、181eが形成されている。
また、図1に示すように、収容部181は、外周面部181cに対して、冷風導入部182、温風導入部183、除湿用導出部184、および加湿用導出部185が接続されている。
冷風導入部182および温風導入部183は、互いに隣接すると共に同じ方向に延びている。冷風導入部182および温風導入部183それぞれは、略円筒状の形状となっている。なお、冷風導入部182および温風導入部183それぞれは、例えば、略角筒状の形状となっていてもよい。
冷風導入部182は、収容部181に冷風を導入するものである。冷風導入部182は、一端側が送風ケース122の冷風吹出口122bに接続され、他端側が収容部181の外周面部181cに接続されている。
温風導入部183は、収容部181に温風を導入するものである。温風導入部183は、一端側が送風ケース122の温風吹出口122cに接続され、他端側が収容部181の外周面部181cに接続されている。
除湿用導出部184および加湿用導出部185は、互いに隣接すると共に同じ方向に延びている。除湿用導出部184および加湿用導出部185それぞれは、略円筒状の形状となっている。なお、除湿用導出部184および加湿用導出部185それぞれは、例えば、略角筒状の形状となっていてもよい。
除湿用導出部184は、収容部181から除湿空気を導出するものである。除湿用導出部184は、一端側が収容部181の外周面部181cに接続され、他端側が排気ダクト144に接続されている。
具体的には、除湿用導出部184は、収容部181の外周面部181cのうち、後述する吸着器20の回転軸24の回転中心RSを挟んで冷風導入部182の接続位置と対向する部位に接続されている。換言すれば、冷風導入部182および除湿用導出部184は、収容ケース18における後述する吸着器20の回転軸24の回転中心RSを挟んで互いに対向する部位に形成されている。
加湿用導出部185は、収容部181から加湿空気を導出するものである。加湿用導出部185は、一端側が収容部181の外周面部181cに接続され、他端側が加湿ダクト142に接続されている。
具体的には、加湿用導出部185は、収容部181の外周面部181cのうち、後述する吸着器20の回転軸24の回転中心RSを挟んで温風導入部183の接続位置と対向する部位に接続されている。換言すれば、温風導入部183および加湿用導出部185は、収容ケース18における後述する吸着器20の回転軸24の回転中心RSを挟んで互いに対向する部位に形成されている。
収容ケース18の収容部181には、吸着器20が回転可能に収容されている。吸着器20は、内部に空気が流通可能な流通路21が形成されると共に、流通路21を通過する空気に含まれる水分を吸着して脱離することが可能に構成されている。
吸着器20は、外殻を構成する側面壁部22、側面壁部22の内部に設けられた吸着部23、および側面壁部22の外側に固定された回転軸24を有している。
図3、図4に示すように、側面壁部22は、その内部に空気が流通可能な流通路21を形成する略円筒状の部材で構成されている。側面壁部22の両端部には、流通路21に空気を流入させる空気流入口211、および流通路21に空気を流出させる空気流出口212が形成されている。なお、側面壁部22は、空気流入口211および空気流出口212以外の部位から空気が透過しないように、高いガスバリア性が発揮される厚みを有している。
吸着部23は、側面壁部22の内部の流通路21に設けられている。吸着部23は、側面壁部22と一体に構成されている。吸着部23は、表面に吸着物質が担持された波板状の部材を含んで構成されている。吸着部23は、通気性を有している。すなわち、吸着部23は、空気が流通可能なように波板状の部材が配置されている。
ここで、吸着物質は、空気中の水分を吸着したり、吸着した水分を脱離して空気を加湿したりする特性を有する物質である。吸着物質としては、高分子吸着材、ゼオライト、シリカゲル等が採用されている。
回転軸24は、側面壁部22の外側に固定されている。回転軸24は、側面壁部22の外側のうち、空気流入口211と空気流出口212からの距離が略同等となる位置に固定されている。
回転軸24は、その軸心が側面壁部22の延在方向と略直交する方向に延びている。回転軸24は、収容部181の一対の端面部181a、181bに設けられた支持部181d、181eに回転可能に支持されている。
回転軸24は、図2に示すように、収容部181の一対の端面部181a、181bから突き出ている。回転軸24における収容部181から突き出た部位には、後述する回転駆動部材26が接続されている。
ここで、図1に示すように、吸着器20の流通路21は、吸着器20の回転中心RSを構成する回転軸24の軸心を跨ぐように直線状に延びている。そして、吸着器20は、流通路21の空気流入口211および空気流出口212が、収容部181の外周面部181cと対向するように、収容部181に収容されている。
また、吸着器20は、側面壁部22と収容部181の一対の端面部181a、181bとの間から空気が漏れ難くなるように構成されている。すなわち、吸着器20は、側面壁部22の外径が、一対の端面部181a、181bの間隔と略同等の大きさとなっている。
続いて、図2に示す回転駆動部材26は、吸着器20の回転軸24を回転させる部材である。回転駆動部材26は、回転軸24を回転駆動する駆動力を出力する電動モータ(例えば、ステッピングモータ)を含んで構成されている。
ここで、吸着器20の回転軸24は、側面壁部22の外側のうち、空気流入口211と空気流出口212との間に固定されている。そして、吸着器20は、回転軸24の回転に伴って空気流入口211および空気流出口212が変位する。このため、回転駆動部材26は、流通路21の両端部に形成される空気流入口211および空気流出口212の位置が変化するように、吸着器20を変位させる駆動部材として機能する。
次に、加湿装置10の電子制御部である制御装置30について図5を参照して説明する。制御装置30は、プロセッサおよび記憶部を含んで構成される周知のマイクロコンピュータとその周辺回路で構成されている。なお、制御装置30の記憶部は、非遷移的実体的記憶媒体で構成される。
図5に示すように、制御装置30は、その入力側に、加湿装置10による加湿対象空間TSの加湿のオン・オフを切り替える加湿スイッチ31aを含む操作部31が接続されている。
また、制御装置30は、その出力側に、送風機124、冷温風生成機126、回転駆動部材26が接続されている。制御装置30は、記憶部に記憶された制御プログラムに従って各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種機器の作動を制御する。
次に、加湿装置10の作動について説明する。加湿装置10は、加湿スイッチ31aがオン状態に操作されると、制御装置30が送風機124を作動させると共に、冷温風生成機126のペルチェ素子126aに通電する。同時に、制御装置30は、回転駆動部材26によって吸着器20を所定の位置に回転させて、加湿対象空間TSの加湿と水分回収とを所定時間おきに交互に実行する。
制御装置30は、吸着器20に対して水分を吸着させる水分回収時に、回転駆動部材26に対して、図1の一点鎖線で示す水分回収位置に吸着器20を回転させることを指示する制御信号を出力する。
具体的には、回転駆動部材26は、流通路21を介して冷風導入部182と除湿用導出部184とが連通すると共に、吸着器20の側面壁部22によって温風導入部183と加湿用導出部185との連通が遮断される水分回収位置に吸着器20を回転させる。
吸着器20は、流通路21における空気流入口211が収容ケース18の冷風導入部182に対向すると共に、流通路21における空気流出口212が収容ケース18の除湿用導出部184に対向する位置に変位する。
これにより、図6に示すように、送風ユニット12では、送風機124から送風された空気が冷温風生成機126にて冷却されることで、相対湿度の高い冷風が生成される。送風ユニット12で生成された冷風は、冷風導入部182を介して吸着器20に流入する。
吸着器20に流入した冷風は、空気中に含まれる水分が吸着器20の吸着部23で吸着されることで除湿される。そして、吸着器20で水分が吸着された除湿空気は、除湿用導出部184に導出された後、排気ダクト144を介して外部に排気される。
一方、制御装置30は、加湿対象空間TSの加湿時に、回転駆動部材26に対して、図1の実線で示す加湿位置に吸着器20を回転させることを指示する制御信号を出力する。
具体的には、回転駆動部材26は、流通路21を介して温風導入部183と加湿用導出部185とが連通すると共に、吸着器20の側面壁部22によって冷風導入部182と除湿用導出部184との連通が遮断される加湿位置に吸着器20を回転させる。
吸着器20は、流通路21における空気流入口211が収容ケース18の温風導入部183に対向すると共に、流通路21における空気流出口212が収容ケース18の加湿用導出部185に対向する位置に変位する。
これにより、図7に示すように、送風ユニット12では、送風機124から送風された空気が冷温風生成機126にて加熱されることで、冷風に比べて相対湿度の低い温風が生成される。送風ユニット12で生成された温風は、温風導入部183を介して吸着器20に流入する。
吸着器20に流入した温風は、吸着器20の吸着部23から脱離した水分によって加湿される。そして、吸着器20で加湿された加湿空気は、加湿用導出部185に導出された後、加湿ダクト142を介して加湿対象空間TSに吹き出される。
加湿装置10は、加湿スイッチ31aがオフ状態に操作されると、制御装置30が送風機124の作動を停止させると共に、冷温風生成機126のペルチェ素子126aへの通電を停止する。同時に、制御装置30は、回転駆動部材26によって吸着器20を所定の位置に回転させて、加湿対象空間TSの加湿および水分回収を停止させる。
制御装置30は、加湿対象空間TSの加湿および水分回収の停止時に、回転駆動部材26に対して、図1の二点鎖線で示す停止位置に吸着器20を回転させることを指示する制御信号を出力する。
具体的には、回転駆動部材26は、図8に示すように、吸着器20の側面壁部22によって、冷風導入部182と除湿用導出部184との連通が遮断されると共に、温風導入部183と加湿用導出部185との連通が遮断される停止位置に吸着器20を回転させる。
これにより、送風ユニット12の内部と配風ユニット14の内部との連通が吸着器20によって遮断される。この際、吸着器20は、流通路21における空気流入口211および空気流出口212が、収容ケース18の収容部181における外周面部181cに対向する位置に変位する。このため、吸着器20では、意図せずに、流通路21に対して空気が流入したり、流通路21から空気が流入したりすることがない。
以上説明した加湿装置10の加湿器16は、冷風に含まれる水分を吸着器20に吸着させると共に、温風によって吸着器20に吸着された水分を脱離させることができるので、加湿対象空間TSを無給水で加湿することができる。
特に、本実施形態の加湿器16は、収容ケース18の内部で吸着器20を回転させることで、収容ケース18に導入する冷風と温風の切り替え、および収容ケース18から導出する除湿空気と加湿空気の切り替えることが可能となっている。すなわち、本実施形態の加湿器16は、吸着器20自体を、従来まで別部品で構成されていた収容ケース18の内部における空気の導入および導出を切り替える切替手段として機能させることができる。
したがって、本実施形態の加湿器16は、本明細書の背景技術で説明した加湿器に比べて、部品点数を減少させることができるので、簡素な構成で無給水加湿を実現することが可能となる。
また、加湿器16は、加湿装置10の停止時に、回転駆動部材26が、吸着器20の側面壁部22によって、冷風導入部182と除湿用導出部184との連通、および温風導入部183と加湿用導出部185との連通が遮断される停止位置に吸着器20を回転させる。
これによると、吸着器20自体を、収容ケース18からの除湿空気および加湿空気の導出を停止させる停止手段として機能させることができるので、より一層簡素な構成で無給水加湿を実現することが可能となる。
さらに、加湿器16は、吸着器20内部の流通路21が吸着器20の回転中心RSを跨ぐように直線状に延びる構成となっている。これによれば、吸着器20内部の流通路21にける空気の通風抵抗を抑制しつつ、流通路21の長さを確保して、吸着器20における水分の吸着や脱離するためのスペースを拡大させることが可能となる。
ここで、本実施形態では、吸着器20の側面壁部22の内部に形成された流通路21が、冷風導入部182および温風導入部183の一方と除湿用導出部184および加湿用導出部185の一方とを連通させる空気通路部を構成する。また、本実施形態では、吸着器20の側面壁部22が、冷風導入部182および温風導入部183の他方と除湿用導出部184および加湿用導出部185の他方とを閉塞する閉塞部を構成する。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図9〜図12を参照して説明する。本実施形態の加湿器16は、第1実施形態に対して、構造の異なる吸着器20Aおよび収容ケース18Aを採用している点が相違している。
図9に示すように、吸着器20Aは、外殻を構成する側面壁部22A、側面壁部22Aの内部に設けられた吸着部23、および側面壁部22Aの外側に固定された回転軸24Aを有している。
側面壁部22Aは、略円筒状の部材で構成されている。具体的には、側面壁部22Aは、収容部181の一対の端面部181a、181bに対向する円形状の一対の端面対向部221、222、収容部181の外周面部181cに対向する外周対向部223を有している。
側面壁部22Aには、一対の端面対向部221、222の略中央部に回転軸24Aが固定されている。側面壁部22Aは、その内部に回転軸24Aを跨がないように直線状に延びる空気の流通路21Aが形成されている。側面壁部22Aは、外周対向部223に空気流入口211Aおよび空気流出口212Aが形成されている。なお、側面壁部22Aの内部に形成された流通路21Aには、吸着部23が設けられている。
また、本実施形態の冷風導入部182Aおよび除湿用導出部184Aは、図10に示すように、吸着器20を水分回収位置に回転させた際に、収容部181Aにおける流通路21Aの空気流入口211Aおよび空気流出口212Aと対向する部位に接続されている。
同様に、本実施形態の温風導入部183Aおよび加湿用導出部185Aは、図11に示すように、吸着器20を加湿位置に回転させた際に、収容部181Aにおける流通路21Aの空気流入口211Aおよび空気流出口212Aと対向する部位に接続されている。
本実施形態の制御装置30は、水分回収時に、回転駆動部材26に対して、図10に示す水分回収位置に吸着器20Aを回転させることを指示する制御信号を出力する。具体的には、回転駆動部材26は、流通路21Aを介して冷風導入部182Aと除湿用導出部184Aとが連通すると共に、側面壁部22Aによって温風導入部183Aと加湿用導出部185Aとの連通が遮断される水分回収位置に吸着器20Aを回転させる。
これにより、図10に示すように、吸着器20Aに流入した冷風は、空気中に含まれる水分が吸着器20Aの吸着部23で吸着されることで除湿される。そして、吸着器20Aで水分が吸着された除湿空気は、除湿用導出部184Aに導出される。
また、本実施形態の制御装置30は、加湿時に、回転駆動部材26に対して、図11に示す加湿位置に吸着器20Aを回転させることを指示する制御信号を出力する。具体的には、回転駆動部材26は、流通路21Aを介して温風導入部183Aと加湿用導出部185Aとが連通すると共に、側面壁部22Aによって冷風導入部182Aと除湿用導出部184Aとの連通が遮断される加湿位置に吸着器20Aを回転させる。
これにより、図11に示すように、吸着器20Aに流入した温風は、吸着器20Aの吸着部23から脱離した水分によって加湿される。そして、吸着器20Aで加湿された加湿空気は、加湿用導出部185Aに導出される。
さらに、本実施形態の制御装置30は、加湿および水分回収の停止時に、回転駆動部材26に対して、図12に示す停止位置に吸着器20Aを回転させることを指示する制御信号を出力する。具体的には、回転駆動部材26は、吸着器20Aの側面壁部22Aによって、冷風導入部182Aと除湿用導出部184Aとの連通が遮断されると共に、温風導入部183Aと加湿用導出部185Aとの連通が遮断される停止位置に吸着器20Aを回転させる。
これにより、送風ユニット12の内部と配風ユニット14の内部との連通が吸着器20Aによって遮断される。また、吸着器20Aでは、意図せずに、流通路21Aに対して空気が流入したり、流通路21Aから空気が流入したりすることがない。
その他の構成および作動は、第1実施形態と同様である。本実施形態の加湿器16は、第1実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図13〜図20を参照して説明する。本実施形態では、無給水で室内を加湿可能な空調装置50を、車室内を空調する車両用空調装置に適用した例について説明する。なお、図13、図14等に示す上下前後の各矢印は、空調装置50が車両に搭載された状態での向きを示す。また、前後を示す矢印は、車両進行方向を前としている。
図13、図14に示すように、空調装置50は、外殻を構成する空調ケース52、車室内に吹き出す空気を冷却する冷却器54、車室内に吹き出す空気を加熱する加熱器56、ロータリドア60、および加湿器70を備える。
空調ケース52は、車両進行方向の前側に、空気導入口520が設けられている。空気導入口520は、車両幅方向の一方側に開口している。空気導入口520には、図示しない送風機から吹き出される空気が導入される。
冷却器54は、空調ケース52の内部における空気導入口520の空気流れ下流側に配置されている。冷却器54は、圧縮機、放熱器、膨張弁と共に、冷媒を循環させる周知の冷凍サイクル装置を構成し、冷媒を蒸発させることにより、空気導入口520から導入された空気を冷却する。
加熱器56は、空調ケース52の内部における冷却器54の空気流れ下流側に配置されている。加熱器56は、冷却器54を通過した冷風を、図示しないエンジンの冷却水により加熱する。
空調ケース52の内部には、加熱器56の空気流れ下流側に加熱器56で加熱された温風が流れる温風通路521が形成されている。また、空調ケース52の内部には、冷却器54で冷却された冷風を、加熱器56をバイパスして流す冷風通路522が形成されている。
図13に示すように、空調ケース52の内部には、冷風通路522および温風通路521の空気流れ下流側に、冷風通路522からの冷風と温風通路521からの温風とを混合させる混合空間523が形成されている。
空調ケース52には、混合空間523の上方側に、略円弧状のケース周壁部524が設けられている。ケース周壁部524には、デフロスタ吹出開口部524a、フェイス吹出開口部524b、およびフット吹出開口部524cが設けられている。
デフロスタ吹出開口部524aは、車室内の窓ガラスの内表面に向けて空調を吹き出す吹出開口部である。デフロスタ吹出開口部524aは、ケース周壁部524における車両進行方向の前側に形成されている。
フェイス吹出開口部524bは、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出す吹出開口部である。フェイス吹出開口部524bは、ケース周壁部524におけるデフロスタ吹出開口部524aの車両進行方向の後側に形成されている。
具体的には、フェイス吹出開口部524bは、ケース周壁部524のうち、後述する吸着器回転軸78の回転中心RSを挟んで、温風通路521に対向する部位に形成されている。本実施形態では、フェイス吹出開口部524bが、後述する吸着器72から脱離した水分によって加湿された加湿空気を吹き出す加湿用開口部を構成する。
フット吹出開口部524cは、乗員の下半身に向けて空調風を吹き出す吹出開口部である。フット吹出開口部524cは、ケース周壁部524におけるフェイス吹出開口部524bの車両進行方向の後側に形成されている。
具体的には、フット吹出開口部524cは、ケース周壁部524のうち、後述する吸着器回転軸78の回転中心RSを挟んで、冷風通路522に対向する部位に形成されている。本実施形態では、フット吹出開口部524cが、後述する吸着器72にて水分が吸着された除湿空気を吹き出す除湿用開口部を構成する。
ここで、空調ケース52の内部には、冷風通路522および温風通路521と各吹出開口部524a〜524cとの間に、ロータリドア60が配置されている。ロータリドア60は、中空となる略円筒状の部材である。前述した混合空間523は、ロータリドア60の内部に形成される。
ロータリドア60は、冷風通路522および温風通路521の通路開度を調整する機能、および各吹出開口部524a〜524cを開閉する機能する。ロータリドア60は、冷風通路522および温風通路521の通路開度を調整するエアミックス部62、および各吹出開口部524a〜524cを開閉するモード切替部64を有している。
図15に示すように、ロータリドア60を構成するエアミックス部62およびモード切替部64は、互いに分離可能な別の部材として形成されている。
エアミックス部62は、冷風通路522および温風通路521に対向する調整板部621、調整板部621の両端に連結された一対の側板部622、623、およびエアミックス回転軸624、625を有している。
調整板部621は、エアミックス部62における冷風通路522および温風通路521の通路開度を調整するものである。調整板部621は、略円弧状に形成されている。すなわち、調整板部621は、エアミックス回転軸624、625の軸心を中心とする円弧をなすように湾曲している。
また、調整板部621には、後述する吸着器72を回転させた際に、流通路73の一端部に設けられた空気流入口731と重なり合う部位に、表裏を貫通する調整側貫通穴621aが形成されている。
また、一対の側板部622、623は、略扇状の形状を有し、調整板部621の両端に連結されている。一対の側板部622、623には、その要となる部位にエアミックス回転軸624、625が設けられている。
エアミックス回転軸624、625は、一対の側板部622、623から外側に突き出ている。エアミックス回転軸624、625は、その内部に後述するドア回転軸646、647が挿通可能なように略円筒状に形成されている。
エアミックス回転軸624、625は、空調ケース52に設けられた図示しない軸受によって回転可能に支持されている。エアミックス回転軸624、625は、エアミックス部62を回転させる後述するエアミックスアクチュエータ82に接続されている。
エアミックス部62がエアミックス回転軸624、625を中心に回転すると、調整板部621の位置が変化する。この調整板部621の位置変化によって、冷風通路522および温風通路521の通路開度が変化することで、混合空間523への冷風の流入量と温風の流入量を所望の比率に調整することができる。
続いて、モード切替部64について説明する。モード切替部64は、一対のドア側板部641、642、第1〜第3開閉板部643〜645、ドア回転軸646、647を有している。
一対のドア側板部641、642は、それぞれ略円盤状に形成されている。一対のドア側板部641、642は、第1〜第3開閉板部643〜645の両端に連結されている。一対のドア側板部641、642は、その中心部にドア回転軸646、647が設けられている。
第1〜第3開閉板部643〜645は、それぞれ略円弧状に形成されている。第1〜第3開閉板部643〜645は、ドア回転軸646、647の回転方向に間隔をあけて配置されている。第1〜第3開閉板部643〜645の間には、空気が流通可能な隙間が形成されている。
また、第1〜第3開閉板部643〜645には、後述する吸着器72を回転させた際に、流通路73の他端部に設けられた空気流出口732と重なり合う部位に、表裏を貫通する開閉側貫通穴643a〜645aが形成されている。
ドア回転軸646、647は、一対のドア側板部641、642から外側に突き出ている。ドア回転軸646、647は、モード切替部64がエアミックス部62と同軸に回転可能なように、エアミックス回転軸624、625に挿通されている。
ドア回転軸646、647は、その内部に後述する吸着器回転軸78が挿通可能なように略円筒状に形成されている。ドア回転軸646、647は、モード切替部64を回転させる後述するドアアクチュエータ84に接続されている。
モード切替部64がドア回転軸646、647を中心に回転すると、第1〜第3開閉板部643〜645の位置が変化する。この第1〜第3開閉板部643〜645の位置変化によって、各吹出開口部524a〜524cの開閉状態が変化することで、吹出モードが変化する。なお、吹出モードは、周知のフットモード、デフロスタモード、フェイスモード等がある。
続いて、加湿器70について図14〜図17を参照して説明する。加湿器70は、冷却器54および加熱器56の少なくとも一方で温度調整された空気を利用して、車室内を加湿するものである。加湿器70は、空調ケース52の内部に収容された吸着器72を含んで構成されている。
吸着器72は、内部に空気が流通可能な流通路73が形成されると共に、流通路73を通過する空気に含まれる水分を吸着して脱離することが可能に構成されている。吸着器72は、冷風通路522および温風通路521と各吹出開口部524a〜524cとの間に回転可能に配置されている。本実施形態の吸着器72は、ロータリドア60の内部に配置されている。
ここで、ロータリドア60の内部には、冷風通路522を流れる冷風と温風通路521を流れる温風との混合空間523が形成されている。このため、ロータリドア60の内部に吸着器72を配置すると、混合空間523を確保できなくなることが懸念される。
そこで、図15に示すように、吸着器72は、冷風通路522を流れる冷風と温風通路521を流れる温風との混合空間523が確保されるように、ロータリドア60の内部に配置されている。具体的には、吸着器72は、吸着器72の一対の端面対向部741、742とモード切替部64の一対のドア側板部641、642との間に、混合空間523が形成されるように、ロータリドア60の内部における略中央部に配置されている。
図15、図16に示すように、吸着器72は、外殻を構成する側面壁部74、側面壁部74の内部に設けられた吸着部76、および側面壁部74の外側に固定された吸着器回転軸78を有している。
側面壁部74は、略円筒状の部材で構成されている。具体的には、側面壁部74は、モード切替部64の一対のドア側板部641、642に対向する円形状の一対の端面対向部741、742、モード切替部64の各開閉板部643〜645等に対向する外周対向部743を有している。
側面壁部74には、一対の端面対向部741、742の略中央部に吸着器回転軸78が固定されている。側面壁部74は、その内部に吸着器回転軸78を跨ぐように直線状に延びる空気の流通路73が形成されている。側面壁部74は、外周対向部743に空気流入口731および空気流出口732が形成されている。
側面壁部74の内部に形成された流通路73には、吸着部76が設けられている。吸着部76は、第1実施形態で説明した「吸着部23」と同様に、表面に吸着物質が担持された波板状の部材を含んで構成されている。
吸着器回転軸78は、側面壁部74における一対の端面対向部741、742の略中央部に固定されている。吸着器回転軸78は、一対の端面対向部741、742の外側に突き出ている。吸着器回転軸78は、側面壁部74の外側のうち、空気流入口731と空気流出口732からの距離が略同等となる位置に固定されている。
吸着器回転軸78は、吸着器72がロータリドア60と同軸に回転可能なように、ドア回転軸646、647に挿通されている。吸着器回転軸78は、吸着器72を回転させる回転駆動部材80に接続されている。
回転駆動部材80は、吸着器回転軸78を回転させる部材である。回転駆動部材80は、吸着器回転軸78を回転駆動する駆動力を出力する電動モータ(例えば、ステッピングモータ)を含んで構成されている。
吸着器回転軸78は、側面壁部74の外側のうち、空気流入口731と空気流出口732との間に固定されている。そして、吸着器72は、吸着器回転軸78の回転に伴って空気流入口731および空気流出口732の位置が変位する。このため、回転駆動部材80は、吸着器72の流通路73の両端部の空気流入口731および空気流出口732の位置を変位させる部材として機能する。
次に、空調装置50の電子制御部である空調制御装置100について図17を参照して説明する。空調制御装置100は、プロセッサおよび記憶部を含んで構成される周知のマイクロコンピュータとその周辺回路で構成されている。なお、空調制御装置100の記憶部は、非遷移的実体的記憶媒体で構成される。
図17に示すように、空調制御装置100は、その入力側に、車室内の空調のオン・オフを切り替える空調スイッチ101a、加湿器70による車室内の加湿のオン・オフを切り替える加湿スイッチ101bを含む操作部101が接続されている。図示しないが、空調制御装置100の入力側には、外気センサ、内気センサ等の空調用のセンサ群が接続されている。
また、空調制御装置100は、その出力側に、図示しない送風機、回転駆動部材80、エアミックスアクチュエータ82、ドアアクチュエータ84等が接続されている。空調制御装置100は、記憶部に記憶された制御プログラムに従って各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種機器の作動を制御する。
次に、空調装置50における加湿器70の作動について説明する。空調装置50は、空調スイッチ101aおよび加湿スイッチ101bの双方がオン状態に操作されると、空調制御装置100が送風機、冷却器54、および加熱器56を作動させる。同時に、空調制御装置100は、回転駆動部材80によって吸着器72を所定の位置に回転させて、車室内の加湿と水分回収とを所定時間おきに交互に実行する。
空調制御装置100は、吸着器72に対して水分を吸着させる水分回収時に、回転駆動部材80に対して、図18に示す水分回収位置に吸着器72を回転させることを指示する制御信号を出力する。
具体的には、回転駆動部材80は、流通路73を介して冷風通路522とフット吹出開口部524cとが連通し、吸着器72の側面壁部74によって温風通路521とフェイス吹出開口部524bとの連通が遮断される水分回収位置に吸着器72を回転させる。
この際、デフロスタ吹出開口部524aについては、吸着器72の側面壁部74によって、冷風通路522および温風通路521の双方との連通が遮断される。なお、混合空間523を介した各通路521、522と各吹出開口部524a〜524bとの連通状態については、吸着器72の位置によらず、ロータリドア60によって制御される。
吸着器72は、水分回収時に、流通路73における空気流入口731が冷風通路522に対向すると共に、流通路73における空気流出口732がフット吹出開口部524cに対向する位置に変位する。
これにより、図18に示すように、冷却器54で冷却された冷風が、吸着器72に流入する。吸着器72に流入した冷風は、空気中に含まれる水分が吸着器72の吸着部76で吸着されることで除湿される。そして、吸着器72で水分が吸着された除湿空気は、フット吹出開口部524cを介して車室内の下方側に排気される。
一方、空調制御装置100は、車室内の加湿時に、回転駆動部材80に対して、図19に示す加湿位置に吸着器72を回転させることを指示する制御信号を出力する。
具体的には、回転駆動部材80は、流通路73を介して温風通路521とフェイス吹出開口部524bとが連通すると共に、吸着器72の側面壁部74によって冷風通路522とフット吹出開口部524cとの連通が遮断される加湿位置に吸着器72を回転させる。
この際、デフロスタ吹出開口部524aについては、吸着器72の側面壁部74によって、冷風通路522および温風通路521の双方との連通が遮断される。なお、混合空間523を介した各通路521、522と各吹出開口部524a〜524bとの連通状態については、吸着器72の位置によらず、ロータリドア60によって制御される。
吸着器72は、加湿時に、流通路73における空気流入口731が温風通路521に対向すると共に、流通路73における空気流出口732がフェイス吹出開口部524bに対向する位置に変位する。
これにより、図19に示すように、加熱器56で加熱された温風が、吸着器72に流入する。吸着器72に流入した温風は、吸着器72の吸着部76から脱離した水分によって加湿される。そして、吸着器72で加湿された加湿空気は、フェイス吹出開口部524bを介して車室内の上方側における乗員の顔付近に吹き出される。
また、空調装置50は、加湿スイッチ101bがオフ状態に操作されると、空調制御装置100が回転駆動部材80によって吸着器72を所定の位置に回転させて、車室内の加湿および水分回収を停止させる。
空調制御装置100は、車室内の加湿および水分回収の停止時に、回転駆動部材80に対して、図20に示す停止位置に吸着器72を回転させることを指示する制御信号を出力する。
具体的には、回転駆動部材80は、吸着器72の側面壁部74によって、各通路521、522と各吹出開口部524a〜524cとの連通が遮断される停止位置に吸着器72を回転させる。このため、吸着器72では、意図せずに、流通路73に対して空気が流入したり、流通路73から空気が流入したりすることがない。
以上説明した空調装置50は、冷却器54で冷却された冷風に含まれる水分を吸着器72に吸着させると共に、加熱器56で加熱された温風によって吸着器72に吸着された水分を脱離させることができるので、車室内を無給水で加湿することができる。
また、空調装置50の加湿器70は、吸着器72自体が、従来まで別部品で構成されていた空気の導入および導出を切り替える切替手段として機能するので、背景技術で説明した加湿器に比べて、部品点数を減少させることができる。
さらに、車室内に吹き出す空気を冷却する冷却器54および車室内に吹き出す空気を加熱する加熱器56を、吸着器72に導入する冷風および温風の生成手段として利用しているので、加湿器70自体に冷風および温風の生成手段を追加する必要がない。
したがって、本実施形態の空調装置50は、部品点数を減少させることができるので、簡素な構成で無給水加湿を実現することが可能となる。
特に、本実施形態の空調装置50では、吸着器72がロータリドア60の内部に収容されている。これによれば、空調ケース52の内部に吸着器72を収容するための空間に別に用意する必要がないため、加湿器70の追加に伴う空調装置50の大型化を抑制することができる。
この際、ロータリドア60の内部には、冷風通路522を流れる冷風と温風通路521を流れる温風とを混合させる混合空間523が確保されるように、吸着器72が配置されている。このため、加湿器70の追加に伴う空調装置50の空調機能への影響を抑制することができる。
さらに、ロータリドア60を構成する調整板部621には、吸着器72を回転させた際に、流通路73の空気流入口731および空気流出口732に重なり合う部位に表裏を貫通する調整側貫通穴621aが形成されている。同様に、ロータリドア60を構成する第1〜第3開閉板部643〜645には、吸着器72を回転させた際に、流通路73の空気流入口731および空気流出口732に重なり合う部位に表裏を貫通する開閉側貫通穴643a〜645aが形成されている。
このように、本実施形態の加湿器70は、ロータリドア60の調整板部621および第1〜第3開閉板部643〜645によって吸着器72の流通路73が閉塞されることがないので、室内の空調を行いつつ、室内の加湿を実施することができる。
また、本実施形態の加湿器70は、吸着器72内部の流通路73が吸着器72の回転中心RSを跨ぐように直線状に延びている。これによれば、流通路73における通風抵抗を抑制しつつ、流通路73の長さを確保して、吸着器72における水分の吸着や脱離するためのスペースを拡大させることが可能となる。
ここで、本実施形態では、空調ケース52が吸着器72を収容する収容ケースに相当する。そして、本実施形態では、冷風通路522が吸着器72に冷風を導入する冷風導入部に相当し、温風通路521が吸着器72に温風を導入する温風導入部に相当する。また、本実施形態では、フェイス吹出開口部524bが、吸着器72にて加湿された加湿空気を加湿対象空間に向けて導出する加湿用導出部に相当し、フット吹出開口部524cが吸着器72にて除湿された除湿空気を導出する除湿用導出部に相当する。
また、本実施形態では、吸着器72の側面壁部74の内部に形成された流通路73が、冷風通路522および温風通路521の一方とフット吹出開口部524cおよびフェイス吹出開口部524bの一方とを連通させる空気通路部を構成する。また、本実施形態では、吸着器72の側面壁部74が、冷風通路522および温風通路521の他方とフット吹出開口部524cおよびフェイス吹出開口部524bの他方を閉塞する閉塞部を構成する。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、図21〜図23を参照して説明する。本実施形態では、加湿器70Aが空調装置50の空調ケース52に対して脱着可能に構成されている例について説明する。本実施形態では、第3実施形態と異なる部分について主に説明し、第3実施形態と同様の部分についての説明を省略することがある。なお、図21〜図23等に示す上下前後の各矢印は、空調装置50が車両に搭載された状態での向きを示す。また、前後を示す矢印は、車両進行方向を前としている。
図21に示すように、空調装置50は、外殻を構成する空調ケース52、車室内に吹き出す空気を冷却する冷却器54、車室内に吹き出す空気を加熱する加熱器56、加湿器70A等を備える。
空調ケース52は、車両進行方向の前側に、空気導入口520が設けられている。空調ケース52の内部には、冷却器54および加熱器56が配置されている。なお、加熱器56は、空調ケース52の内部における冷却器54の空気流れ下流側に配置されている。
本実施形態の空調ケース52の内部には、冷却器54と加熱器56との間の空気通路、および加熱器56の空気流れ下流側の空気通路を上下に分割するための仕切部材51が設置されている。これにより、加熱器56の空気流れ下流側には、加熱器56で加熱された温風が流れる上側温風通路521Aおよび下側温風通路521Bが形成されている。また、空調ケース52の内部には、冷却器54で冷却された冷風を、加熱器56をバイパスして流す上側冷風通路522Aおよび下側冷風通路522Bが形成されている。
さらに、空調ケース52の内部には、各冷風通路522A、522Bからの冷風と温風通路521A、521Bからの温風とを混合させる上側混合空間523Aおよび下側混合空間523Bが形成されている。なお、各混合空間523A、523Bは、仕切部材51の空気流れ下流側に設けられた連通ドア53を変位させることで、互いに連通可能になっている。
本実施形態の空調ケース52の内部には、冷却器54と加熱器56との間に、各冷風通路522A、522Bおよび各温風通路521A、521Bの通路開度を調整するための一対のエアミックスドア62A、62Bが設けられている。各エアミックスドア62A、62Bは、各冷風通路522A、522Bを流れる冷風の風量と各温風通路521A、521Bを流れる温風の風量との割合を変更することで、車室内に吹き出す空気の温度を調整する温調部材として機能する。各エアミックスドア62A、62Bは、第3実施形態のエアミックス部62と異なり、スライドドアで構成されている。なお、各エアミックスドア62A、62Bは、例えば、バタフライドアや片持ドアで構成されていてもよい。
空調ケース52には、上側混合空間523Aよりも上方側に位置する上壁部525にデフロスタ吹出開口部524aおよびフェイス吹出開口部524bが設けられている。そして、デフロスタ吹出開口部524aの空気流れ上流側には、デフロスタ吹出開口部524aを開閉するデフロスタドア64Aが設けられている。また、フェイス吹出開口部524bの空気流れ上流側には、フェイス吹出開口部524bを開閉するフェイスドア64Bが設けられている。
空調ケース52には、下側混合空間523Bよりも下方側に位置する下壁部526にフット吹出開口部524cが設けられている。フット吹出開口部524cの空気流れ上流側には、フット吹出開口部524cを開閉するフットドア64Cが設けられている。
本実施形態のデフロスタドア64A、フェイスドア64B、およびフットドア64Cは、第3実施形態のモード切替部64と異なり、片持ドアで構成されている。なお、デフロスタドア64A、フェイスドア64B、およびフットドア64Cは、スライドドアやバタフライドアで構成されていてもよい。
また、本実施形態の空調ケース52には、下壁部526に、後述する冷風導入部712を挿通させるための冷風用挿通穴526a、および後述する温風導入部713を挿通させるための温風用挿通穴526bが形成されている。
続いて、本実施形態の加湿器70Aについて説明する。加湿器70Aは、冷却器54および加熱器56の少なくとも一方で温度調整された空気を利用して、車室内を加湿するものである。加湿器70Aは、外殻を構成する収容ケース71、収容ケース71に収容された吸着器72を含んで構成されている。
収容ケース71は、内部に吸着器72が収容される収容部711、冷風を導入する冷風導入部712、温風を導入する温風導入部713、除湿空気を導出する除湿用導出部714、加湿空気を導出する加湿用導出部715を有している。なお、収容部711は、第1実施形態の収容部181と同様に構成されるため、その説明を省略する。
冷風導入部712は、収容部711に冷風を導入するものである。冷風導入部712は、一端側が空調ケース52の下壁部526の冷風用挿通穴526aに挿通された状態で空調ケース52に接続され、他端側が収容部181に接続されている。具体的には、冷風導入部712は、冷却器54にて冷却された冷風が導入されるように、一端側の端部が冷却器54と加熱器56との間に開口している。
ここで、冷却器54では、その表面で空気中に含まれる水分が凝縮することがある。冷却器54の表面に生じた水は、冷風と共に冷却器54側から加熱器56側に向かって流れることがあり、冷風と共に冷風導入部712に侵入してしまう可能性がある。
このため、本実施形態の冷風導入部712は、空気流れ上流側の上流壁部712aが空気流れ下流側の下流壁部712bよりも高くなっている。これによると、冷却器54の表面に生じた水が冷風と共に流れたとしても、冷風導入部712の上流壁部712aが障壁となることで、冷風導入部712への水の侵入が抑制される。
温風導入部713は、収容部711に温風を導入するものである。温風導入部713は、一端側が空調ケース52の下壁部526の温風用挿通穴526bに挿通された状態で空調ケース52に接続され、他端側が収容部181に接続されている。温風導入部713は、加熱器56にて加熱された温風が導入されるように、一端側の端部が下側温風通路521Bに向けて開口している。
除湿用導出部714は、収容部711から除湿空気を導出するものである。除湿用導出部714は、一端側が収容部711に接続され、他端側が図示しない排気ダクトに接続されている。具体的には、除湿用導出部714は、収容部711のうち、吸着器72の吸着器回転軸78の回転中心RSを挟んで冷風導入部712の接続位置と対向する部位に接続されている。換言すれば、冷風導入部712および除湿用導出部714は、収容ケース71における吸着器回転軸78の回転中心RSを挟んで互いに対向する部位に形成されている。
加湿用導出部715は、収容部711から加湿空気を導出するものである。加湿用導出部715は、一端側が収容部711に接続され、他端側が図示しない加湿ダクトに接続されている。具体的には、加湿用導出部715は、収容部711のうち、吸着器回転軸78の回転中心RSを挟んで温風導入部713の接続位置と対向する部位に接続されている。換言すれば、温風導入部713および加湿用導出部715は、収容ケース71における吸着器回転軸78の回転中心RSを挟んで互いに対向する部位に形成されている。
収容ケース71の収容部711には、吸着器72が回転可能に収容されている。吸着器72は、外殻を構成する側面壁部74、側面壁部74の内部に設けられた吸着部76、および側面壁部74の外側に固定された吸着器回転軸78を有している。
側面壁部74は、略円筒状の部材で構成されている。側面壁部74の内部には、冷風導入部712および温風導入部713の一方の導入部と除湿用導出部714および加湿用導出部715の一方の導出部とを連通させる空気通路部740が形成されている。具体的には、側面壁部74には、その外周面に一対の開口部740a、740bが形成されている。一対の開口部740a、740bは、空気通路部740における空気の出入口を構成している。
また、本実施形態の側面壁部74は、冷風導入部712および温風導入部713の他方の導入部と除湿用導出部714および加湿用導出部715の他方の導出部とを閉塞する閉塞部として機能する。すなわち、側面壁部74は、冷風導入部712と除湿用導出部714とが連通する際に温風導入部713と加湿用導出部715とを閉塞し、温風導入部713と加湿用導出部715とが連通する際に冷風導入部712と除湿用導出部714とを閉塞する。
側面壁部74の内部には、吸着部76が配置されている。この吸着部76は、第3実施形態で説明したものと同様に、表面に吸着物質が担持された波板状の部材を含んで構成されている。
また、側面壁部74の外側には、吸着器回転軸78が連結されている。吸着器回転軸78は、吸着器72を回転させる回転駆動部材80に接続されている。なお、本実施形態では、回転駆動部材80が吸着器72を変位させる駆動部材を構成している。
このように構成される本実施形態の加湿器70Aは、空調ケース52に対して脱着可能に構成されている。具体的には、加湿器70Aは、冷風導入部712を空調ケース52の冷風用挿通穴526aに挿通させ、且つ、温風導入部713を空調ケース52の温風用挿通穴526bに挿通させた状態で、図示しない連結部材によって空調ケース52に着脱可能となっている。なお、本実施形態の加湿器70Aは、第3実施形態と異なり、冷風導入部712の一部および温風導入部713の一部を除く部位が、空調ケース52の外側に位置する。
次に、本実施形態の加湿器70Aの作動について説明する。空調装置50は、空調スイッチ101aおよび加湿スイッチ101bの双方がオン状態に操作されると、空調制御装置100が送風機、冷却器54、および加熱器56を作動させる。同時に、空調制御装置100は、回転駆動部材80によって吸着器72を所定の位置に回転させて、車室内の加湿と水分回収とを所定時間おきに交互に実行する。
空調制御装置100は、吸着器72に対して水分を吸着させる水分回収時に、回転駆動部材80に対して、図22に示す水分回収位置に吸着器72を回転させることを指示する制御信号を出力する。具体的には、回転駆動部材80は、空気通路部740を介して冷風導入部712と除湿用導出部714とが連通し、側面壁部74によって温風導入部713と加湿用導出部715とが閉塞される水分回収位置に吸着器72を回転させる。
これにより、冷却器54で冷却された冷風が、吸着器72に流入する。吸着器72に流入した冷風は、空気中に含まれる水分が吸着器72の吸着部76で吸着されることで除湿される。そして、吸着器72で水分が吸着された除湿空気は、除湿用導出部714および排気ダクトを介して加湿対象空間から離れた空間に排気される。
一方、空調制御装置100は、車室内の加湿時に、回転駆動部材80に対して、図23に示す加湿位置に吸着器72を回転させることを指示する制御信号を出力する。具体的には、回転駆動部材80は、空気通路部740を介して温風導入部713と加湿用導出部715とが連通すると共に、側面壁部74によって冷風導入部712と除湿用導出部714とが閉塞される加湿位置に吸着器72を回転させる。
これにより、加熱器56で加熱された温風が、吸着器72に流入する。吸着器72に流入した温風は、吸着器72の吸着部76から脱離した水分によって加湿される。そして、吸着器72で加湿された加湿空気は、加湿用導出部715および加湿ダクトを介して加湿対象空間である車室内の上方側における乗員の顔付近に吹き出される。
なお、空調装置50は、加湿スイッチ101bがオフ状態に操作されると、空調制御装置100が回転駆動部材80によって吸着器72を所定の位置に回転させて、車室内の加湿および水分回収を停止させる。この場合、例えば、回転駆動部材80が、吸着器72の側面壁部74によって、各導入部712、713と各導出部714、715との連通が遮断される停止位置に吸着器72を回転させる。
以上説明した本実施形態の空調装置50は、第3実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第3実施形態と同様に得ることができる。特に、本実施形態の空調装置50は、空調ケース52に対して、加湿器70Aを着脱可能に構成されている。これによれば、加湿器70Aを後付可能なオプションとすることができる。
(第4実施形態の変形例)
上述の第4実施形態では、空調ケース52内部の空気通路が仕切部材51によって上下に分割されたものに対して加湿器70が取り付けられた例について説明したが、これに限定されない。空調装置50は、例えば、空調ケース52内部の空気通路が分割されていないものに対して加湿器70が取り付けられた構成になっていてもよい。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について、図24〜図27を参照して説明する。本実施形態の加湿器16は、第1実施形態に対して、吸着器20を直線的に変位させる駆動部材26Bを採用している点が相違している。なお、本実施形態では、加湿装置10を構成する送風ユニット12および配風ユニット14が第1実施形態と同様に構成されるため、その説明を省略する。
図24に示すように、本実施形態の加湿器16は、外殻を構成する収容ケース18B、収容ケース18Bに収容された吸着器20Bを含んで構成されている。収容ケース18Bは、内部に吸着器20が収容される収容部181B、冷風を導入する冷風導入部182B、温風を導入する温風導入部183B、除湿空気を導出する除湿用導出部184B、加湿空気を導出する加湿用導出部185Bを有している。
本実施形態の収容部181Bは、外形状が略角柱状の形状となっており、その内部に略角柱状の空間が形成されている。収容部181Bには、冷風導入部182B、温風導入部183B、除湿用導出部184B、および加湿用導出部185Bが接続されている。
冷風導入部182Bおよび温風導入部183Bは、互いに隣接すると共に同じ方向に延びている。冷風導入部182Bは、収容部181Bに冷風を導入するものであり、一端側が送風ケース122に接続され、他端側が収容部181Bに接続されている。また、温風導入部183Bは、収容部181に温風を導入するものであり、一端側が送風ケース122に接続され、他端側が収容部181Bに接続されている。
除湿用導出部184Bおよび加湿用導出部185Bは、互いに隣接すると共に同じ方向に延びている。除湿用導出部184Bは、収容部181Bから除湿空気を導出するものであり、一端側が収容部181Bに接続され、他端側が排気ダクト144に接続されている。また、加湿用導出部185Bは、収容部181Bから加湿空気を導出するものであり、一端側が収容部181Bに接続され、他端側が加湿ダクト142に接続されている。
本実施形態の収容ケース18Bの収容部181Bは、収容部181Bに流入する冷風および温風の流入方向に交差する方向に吸着器20Bを変位させることが可能に構成されている。換言すれば、本実施形態の収容部181Bは、冷風導入部182Bおよび温風導入部183Bの並び方向DRpに沿って吸着器20Bを変位させることが可能に構成されている。
また、本実施形態の収容部181Bには、吸着器20Bに設けられた冷風遮断部191を格納するための冷風側格納部186、および温風遮断部192を格納するための温風側格納部187が設けられている。
冷風側格納部186および温風側格納部187は、冷風導入部182Bおよび温風導入部183Bの並び方向DRpに沿って収容部181Bから外側に突き出るように構成されている。具体的には、冷風側格納部186は、収容部181Bにおける冷風が流入する空間を形成する部位から外側に突き出るように構成されている。また、温風側格納部187は、収容部181Bにおける温風が流入する空間を形成する部位から外側に突き出るように構成されている。
本実施形態の収容ケース18Bの収容部181Bには、吸着器20Bが冷風導入部182Bおよび温風導入部183Bの並び方向DRpに変位可能に収容されている。吸着器20Bは、外殻を構成する側面壁部22B、側面壁部22Bの内部に設けられた吸着部23、冷風遮断部191、温風遮断部192を有している。
側面壁部22Bは、その内部に空気が流通可能な流通路21Bを形成する略角筒状の部材で構成されている。側面壁部22Bの両端部には、流通路21Bに空気を流入させる空気流入口211B、および流通路21Bから空気を流出させる空気流出口212Bが形成されている。なお、側面壁部22Bは、空気流入口211Bおよび空気流出口212B以外の部位から空気が透過しないように、高いガスバリア性が発揮される厚みを有している。
吸着部23は、側面壁部22Bの内部の流通路21Bに設けられている。吸着部23は、側面壁部23Bと一体に構成されている。吸着部23は、第1実施形態と同様に、表面に吸着物質が担持された波板状の部材を含んで構成されている。
また、側面壁部22Bの外周側には、冷風遮断部191および温風遮断部192が設けられている。冷風遮断部191は、側面壁部22Bから冷風側格納部186に向けて突き出るように構成されている。
冷風遮断部191は、流通路21Bを介して温風導入部183Bと加湿用導出部185Bとが連通する位置に吸着器20Bを変位させた際に、冷風導入部182Bと除湿用導出部184Bとを閉塞する閉塞部として機能する。なお、冷風遮断部191は、流通路21Bを介して冷風導入部182Bと除湿用導出部184Bとが連通する位置に吸着器20Bを変位させた際に、冷風側格納部186に格納される。
また、温風遮断部192は、流通路21Bを介して冷風導入部182Bと除湿用導出部184Bとが連通する位置に吸着器20Bを変位させた際に、温風導入部183Bと加湿用導出部185Bとを閉塞する閉塞部として機能する。なお、温風遮断部192は、流通路21Bを介して温風導入部183Bと加湿用導出部185Bとが連通する位置に吸着器20Bを変位させた際に、温風側格納部187に格納される。
ここで、本実施形態では、流通路21Bを形成する側面壁部22B、冷風遮断部191、および温風遮断部192が、射出成形等の成形技術によって一体の構造物として構成されている。
本実施形態の吸着器20は、駆動部材26Bによって、流通路21Bを介して冷風導入部182Bと除湿用導出部184Bとが連通する位置、および流通路21Bを介して温風導入部183Bと加湿用導出部185Bとが連通する位置に変位可能になっている。
本実施形態の駆動部材26Bは、図25に示すように、ステッピングモータ等で構成される電動モータ261と、電動モータ261からの出力を吸着器20Bを変位させるための動力に変換する直動機構262を含んで構成されている。本実施形態の直動機構262は、吸着器20Bの側面壁部22Bに設けられた直線状に延びる従動ギア262a、および従動ギア262aに噛み合う円盤状の駆動ギア262bを含んで構成されている。
次に、本実施形態の加湿装置10の作動について説明する。本実施形態の加湿装置10は、加湿スイッチ31aがオン状態に操作されると、制御装置30が送風機124を作動させると共に、冷温風生成機126のペルチェ素子126aに通電する。同時に、制御装置30は、駆動部材26Bによって吸着器20Bを所定の位置に変位させて、加湿対象空間TSの加湿と水分回収とを所定時間おきに交互に実行する。
本実施形態の制御装置30は、吸着器20Bに対して水分を吸着させる水分回収時に、駆動部材26Bに対して、図26で示す水分回収位置に吸着器20Bを変位させることを指示する制御信号を出力する。具体的には、駆動部材26Bは、流通路21Bを介して冷風導入部182Bと除湿用導出部184Bとが連通すると共に、温風遮断部192によって温風導入部183Bと加湿用導出部185Bとが閉塞される水分回収位置に吸着器20Bをスライド移動させる。
これにより、送風ユニット12で生成された冷風が、冷風導入部182Bを介して吸着器20Bに流入する。吸着器20Bに流入した冷風は、空気中に含まれる水分が吸着器20Bの吸着部23で吸着されることで除湿される。そして、吸着器20Bで水分が吸着された除湿空気は、除湿用導出部184Bに導出された後、排気ダクト144を介して外部に排気される。
一方、制御装置30は、加湿対象空間TSの加湿時に、駆動部材26Bに対して、図27で示す加湿位置に吸着器20Bを変位させることを指示する制御信号を出力する。具体的には、駆動部材26Bは、流通路21Bを介して温風導入部183Bと加湿用導出部185Bとが連通すると共に、冷風遮断部191によって冷風導入部182Bと除湿用導出部184Bとが閉塞される加湿位置に吸着器20Bをスライド移動させる。
これにより、送風ユニット12で生成された温風が、温風導入部183Bを介して吸着器20Bに流入する。吸着器20Bに流入した温風は、吸着器20Bの吸着部23から脱離した水分によって加湿される。そして、吸着器20Bで加湿された加湿空気は、加湿用導出部185Bに導出された後、加湿ダクト142を介して加湿対象空間TSに吹き出される。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の加湿器16は、吸着器20B自体を、従来まで別部品で構成されていた収容ケース18Bの内部における空気の導入および導出を切り替える切替手段として機能させることができる。したがって、本実施形態の加湿器16によれば、第1実施形態と同様に、簡素な構成で無給水加湿を実現することができる。
ここで、本実施形態では、吸着器20Bの側面壁部22Bの内部に形成された流通路21Bが、冷風導入部182Bおよび温風導入部183Bの一方と除湿用導出部184Bおよび加湿用導出部185Bの一方とを連通させる空気通路部を構成する。また、本実施形態では、冷風遮断部191および温風遮断部192が、冷風導入部182Bおよび温風導入部183Bの他方と除湿用導出部184Bおよび加湿用導出部185Bの他方とを閉塞する閉塞部を構成する。
(第5実施形態の変形例)
上述の第5実施形態では、駆動部材26Bが電動モータ261および直動機構262を含んで構成される例について説明したが、これに限定されない。駆動部材26Bは、吸着器20Bを水分回収位置と加湿位置とに変位させることが可能であれば、例えば、電磁力によって吸着器20Bの位置を変位させるソレノイド式の電磁機器で構成されていてもよい。このことは第5実施形態以外の実施形態においても同様である。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について、図28〜図30を参照して説明する。本実施形態では、収容ケース18Bの収容部181Bに冷風側格納部186および温風側格納部187が設けられていない点が第5実施形態と相違している。
図28に示すように、本実施形態の収容部181Bには、その内壁面に後述する冷風遮断部191および温風遮断部192の摺動ピン195、196を摺動させるためのガイドレール188、189が設けられている。
続いて、本実施形態の冷風遮断部191および温風遮断部192は、吸着器20Bの変位に対応して傾動するように、その一端側がヒンジ193、194を介して吸着器20Bに連結されている。このヒンジ193、194は、冷風遮断部191および温風遮断部192における一端側に設けられている。本実施形態の流通路21B、冷風遮断部191、および温風遮断部192は、ヒンジ193、194で連結されることによって一体の構造物として構成されている。
また、冷風遮断部191および温風遮断部192には、ヒンジ193、194が設けられた一端側の反対に位置する他端側に、摺動ピン195、196が設けられている。摺動ピン195、196は、収容部181Bに設けられたガイドレール188、189に対して摺動可能に構成されている。この摺動ピン195、196によって、冷風遮断部191および温風遮断部192は、その他端側の端部が収容部181Bの内壁面側に位置付けられる。
このように構成される本実施形態の加湿装置10は、水分回収時に、制御装置30が駆動部材26Bに対して、図29で示す水分回収位置に吸着器20Bを変位させることを指示する制御信号を出力する。具体的には、駆動部材26Bは、流通路21Bを介して冷風導入部182Bと除湿用導出部184Bとが連通する水分回収位置に吸着器20Bをスライド移動させる。この際、冷風遮断部191が収容部181Bの内壁面に沿って延びるよう傾動し、温風遮断部192が温風導入部183Bおよび加湿用導出部185Bを閉塞するように傾動する。これにより、水分回収時には、流通路21Bを介して冷風導入部182Bと除湿用導出部184Bとが連通すると共に、温風遮断部192によって温風導入部183Bと加湿用導出部185Bとが閉塞される。
具体的には、水分回収時には、送風ユニット12で生成された冷風が、冷風導入部182Bを介して吸着器20Bに流入する。吸着器20Bに流入した冷風は、空気中に含まれる水分が吸着器20Bの吸着部23で吸着されることで除湿される。そして、吸着器20Bで水分が吸着された除湿空気は、除湿用導出部184Bに導出された後、排気ダクト144を介して外部に排気される。
一方、制御装置30は、加湿対象空間TSの加湿時に、駆動部材26Bに対して、図30で示す加湿位置に吸着器20Bを変位させることを指示する制御信号を出力する。具体的には、駆動部材26Bは、流通路21Bを介して温風導入部183Bと加湿用導出部185Bとが連通する加湿位置に吸着器20Bをスライド移動させる。この際、温風遮断部192が収容部181Bの内壁面に沿って延びるよう傾動し、冷風遮断部191が冷風導入部182Bおよび除湿用導出部184Bを閉塞するように傾動する。これにより、加湿対象空間TSの加湿時には、流通路21Bを介して温風導入部183Bと加湿用導出部185Bとが連通すると共に、冷風遮断部191によって冷風導入部182Bと除湿用導出部184Bとが閉塞される。
具体的には、送風ユニット12で生成された温風が、温風導入部183Bを介して吸着器20Bに流入する。吸着器20Bに流入した温風は、吸着器20Bの吸着部23から脱離した水分によって加湿される。そして、吸着器20Bで加湿された加湿空気は、加湿用導出部185Bに導出された後、加湿ダクト142を介して加湿対象空間TSに吹き出される。
その他の構成は、第5実施形態と同様である。本実施形態の加湿器16は、吸着器20B自体を、従来まで別部品で構成されていた収容ケース18Bの内部における空気の導入および導出を切り替える切替手段として機能させることができる。したがって、本実施形態の加湿器16によれば、第1実施形態と同様に、簡素な構成で無給水加湿を実現することができる。
特に、本実施形態の加湿器16は、冷風遮断部191および温風遮断部192が吸着器20Bの変位に対応して傾動するように構成されているので、収容部181Bに対して冷風側格納部186および温風側格納部187を設ける必要がない。このことは、加湿器16の体格の小型化に大きく寄与する。
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の第1、第2、第5、第6実施形態では、冷温風生成機126が、ペルチェ素子126a、吸熱フィン126b、放熱フィン126cで構成される例について説明したが、これに限定されない。冷温風生成機126は、冷風および温風を生成可能なものであれば、ペルチェ素子126a、吸熱フィン126b、放熱フィン126cで構成されるもの以外の他のものを採用することができる。
上述の第1、第2、第5、第6実施形態では、加湿器16が送風ユニット12および配風ユニット14と別部材として構成される例について説明したが、これに限定されない。加湿器16は、送風ユニット12および配風ユニット14の少なくとも一方と一体の部材として構成されていてもよい。
上述の第1、第2実施形態の如く、加湿器16は、加湿および水分回収の停止時に、図1の二点鎖線で示す停止位置に、吸着器20を回転させる構成となっていることが望ましいが、これに限定されない。加湿器16は、加湿および水分回収の停止時に、例えば、図1の実線または一点鎖線で示す位置に、吸着器20を回転させる構成となっていてもよい。
上述の第3実施形態では、冷風通路522および温風通路521の通路開度の調整、および各吹出開口部524a〜524cの開閉をロータリドア60で実施する空調装置50を例示したが、これに限定されない。空調装置50は、冷風通路522および温風通路521の通路開度の調整、および各吹出開口部524a〜524cの開閉の一方が、ロータリドア60とは別の部材で実施される構成となっていてもよい。
上述の第3実施形態では、ロータリドア60の内部に加湿器70の吸着器72が配置される例について説明したが、これに限定されない。吸着器72は、冷風通路522および温風通路521と各吹出開口部524a〜524cとの間に配置されていれば、ロータリドア60の内部に配置されていなくてもよい。
上述の第3実施形態の如く、加湿器70は、加湿および水分回収の停止時に、図20に示す停止位置に、吸着器72を回転させる構成となっていることが望ましいが、これに限定されない。加湿器70は、加湿および水分回収の停止時に、例えば、図18または図19に示す位置に、吸着器72を回転させる構成となっていてもよい。
上述の第3、第4実施形態では、空調装置50を車両用空調装置に適用した例について説明したが、これに限定されない。空調装置50は、例えば、家屋等の室内を空調する室内空調装置に適用可能である。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、加湿器は、水分を吸着して脱離することが可能に構成された筒状の吸着器と、吸着器の流通路の両端部の位置が変位するように、吸着器を回転させる回転駆動部材と、を備える。回転駆動部材は、加湿時に、流通路を介して温風導入部と加湿用導出部とが連通すると共に、吸着器の側面壁部によって冷風導入部と除湿用導出部との連通が遮断される加湿位置に吸着器を回転させる。そして、回転駆動部材は、水分回収時に、流通路を介して冷風導入部と除湿用導出部とが連通すると共に、吸着器の側面壁部によって温風導入部と加湿用導出部との連通が遮断される水分回収位置に吸着器を回転させる。
また、第2の観点によれば、加湿器は、回転駆動部材は、加湿および水分回収の停止時に、吸着器の側面壁部によって、温風導入部と加湿用導出部との連通が遮断されると共に、冷風導入部と除湿用導出部との連通が遮断される停止位置に吸着器を回転させる。
これによると、吸着器自体を、収容ケースからの除湿空気および加湿空気の導出を停止させる停止手段として機能させることができるので、より一層簡素な構成で無給水加湿を実現することが可能となる。
また、第3の観点によれば、加湿器は、温風導入部および加湿用導出部が、収容ケースにおける吸着器の回転中心を挟んで対向する部位に形成されている。冷風導入部および除湿用導出部は、収容ケースにおける吸着器の回転中心を挟んで対向する部位に形成されている。そして、流通路は、吸着器の回転中心を跨ぐように直線状に延びている。
このように、吸着器内部の流通路が吸着器の回転中心を跨ぐように直線状に延びる構成とすれば、流通路における通風抵抗を抑制しつつ、流通路の長さを確保して、吸着器における水分の吸着や脱離するためのスペースを拡大させることが可能となる。
上述の実施形態の一部または全部で示された第4の観点によれば、空調装置は、空調ケースと、冷却器と、加熱器と、加湿器と、を備える。加湿器は、水分を吸着して脱離することが可能に構成された筒状の吸着器と、流通路の両端部の位置が変位するように、吸着器を回転させる回転駆動部材と、を含んで構成されている。
回転駆動部材は、室内の加湿時に、流通路を介して温風通路と加湿用開口部とが連通すると共に、吸着器の側面壁部によって冷風通路と除湿用開口部との連通が遮断される加湿位置に吸着器を回転させる。
そして、回転駆動部材は、吸着器に対して水分を吸着させる水分回収時に、流通路を介して冷風通路と除湿用開口部とが連通すると共に、吸着器の側面壁部によって温風通路と加湿用開口部との連通が遮断される水分回収位置に吸着器を回転させる。
また、第5の観点によれば、空調装置は、冷風通路および温風通路と各吹出開口部との間に、冷風通路および温風通路の通路開度を調整する円弧状の調整板部および複数の吹出開口部を開閉する円弧状の開閉板部を含んで構成されるロータリドアが配置されている。
吸着器は、冷風通路を流れる冷風と温風通路を流れる温風とを混合させる混合空間が確保されるように、ロータリドアの内部に配置されている。調整板部には、吸着器を回転させた際に流通路の一端部に設けられた空気流入口と重なり合う部位に、表裏を貫通する調整側貫通穴が形成されている。そして、開閉板部には、吸着器を回転させた際に流通路の他端部に設けられた空気流出口と重なり合う部位に、表裏を貫通する開閉側貫通穴が形成されている。
このように、吸着器がロータリドアの内部に収容される構成とすれば、空調ケースの内部に吸着器を収容するための空間を別に用意する必要がない。このため、加湿器の追加に伴う空調装置の大型化を抑制することができる。
また、ロータリドアの調整板部および開閉板部には、吸着器を回転させた際に、流通路の空気流入口および空気流出口に重なり合う部位に表裏を貫通する貫通穴が形成されている。このように、加湿器は、ロータリドアの調整板部および開閉板部によって吸着器の流通路が閉塞されることがないので、室内の空調を行いつつ、室内の加湿を実施することができる。
上述の実施形態の一部または全部で示された第6の観点によれば、加湿器は、水分を吸着して脱離することが可能に構成された吸着器と、吸着器を変位させる駆動部材と、を備える。駆動部材は、加湿時に、吸着器の空気流通部を介して温風導入部と加湿用導出部とが連通すると共に、吸着器の閉塞部によって冷風導入部と除湿用導出部との連通が遮断される加湿位置に吸着器を変位させる。そして、駆動部材は、水分回収時に、吸着器の空気通路部を介して冷風導入部と除湿用導出部とが連通すると共に、吸着器の閉塞部によって温風導入部と加湿用導出部との連通が遮断される水分回収位置に吸着器を回転させる。
上述の実施形態の一部または全部で示された第7の観点によれば、空調装置は、空調ケースと、冷却器と、加熱器と、加湿器と、を備える。加湿器は、水分を吸着して脱離することが可能に構成された吸着器と、吸着器を変位させる駆動部材と、を備える。駆動部材は、加湿時に、吸着器の空気流通部を介して温風導入部と加湿用導出部とが連通すると共に、吸着器の閉塞部によって冷風導入部と除湿用導出部との連通が遮断される加湿位置に吸着器を変位させる。そして、駆動部材は、水分回収時に、吸着器の空気通路部を介して冷風導入部と除湿用導出部とが連通すると共に、吸着器の閉塞部によって温風導入部と加湿用導出部との連通が遮断される水分回収位置に吸着器を回転させる。