JPWO2017170407A1 - チップ、ドリル - Google Patents

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Abstract

一態様に基づくドリル用チップは、中心軸の一方を第1端、他方を第2端としたとき、第1端の側に位置する切刃と、第2端の側に位置する凹部とを有する第1部と、中心軸に沿って延びる軸部と、第1端の側において軸部に繋がるとともに軸部よりも径が大きい係合部とを有する第2部とを備え、係合部が凹部内に位置している。

Description

本態様は、ドリル用のチップに関する。ドリルは、例えば穴あけ加工などに用いられる。
金属などの穴あけ加工において用いられるチップとして、例えば、特表平10−511432号公報(特許文献1)に記載されたチップが知られている。特許文献1の第2A図に記載されたチップは、互いに組成の異なる第1領域及び第2領域を有しており、第2領域が切刃を有している。第1領域及び第2領域は、冶金的に結合されている。
特許文献1に記載されたチップにおいては、第1領域が円柱形状であり、この第1領域の先端側を覆うように第2領域が位置している。第1領域及び第2領域は互いに組成が異なるため、第1領域及び第2領域の境界においてクラック(亀裂)が生じてチップの耐久性が低下する場合がある。
本態様は、耐久性の良好なチップを提供するものである。
本態様のチップは、中心軸の一方を第1端、他方を第2端としたとき、前記第1端の側に位置する切刃と、前記第2端の側に位置する凹部とを有する第1部と、前記中心軸に沿って延びる軸部と、前記第1端の側において前記軸部に繋がるとともに前記軸部よりも径が大きい係合部とを有する第2部とを備え、前記係合部が前記凹部内に位置する。
一実施形態のドリルを示す斜視図である。 図1に示すドリルの第1端に向かって見た正面図である。 図2に示すドリルをA1方向から見た側面図である。 図2に示すドリルをA2方向から見た側面図である。 一実施形態のチップを示す斜視図である。 図5に示すチップの第1端に向かって見た正面図である。 図5に示すチップの第2端に向かって見た背面図である。 図6に示すチップをA3方向から見た側面図である。 図6に示すチップをA4方向から見た側面図である。 図8に示すチップにおけるB1断面図である。 図8に示すチップにおけるB2断面図である。 図10に示すチップの他の例(第1変形例)の断面図である。 図10に示すチップの他の例(第2変形例)の断面図である。 図10に示すチップの他の例(第3変形例)の背面図である。 図7に示すチップの他の例(第4変形例)の背面図である。 図7に示すチップの他の例(第5変形例)の背面図である。 図10に示すチップの他の例(第6変形例)の断面図である。 一実施形態のホルダを示す斜視図である。 図18に示すホルダの第2端に向かって見た背面図である。 図19に示すホルダをA5方向から見た側面図である。 図19に示すホルダをA6方向から見た側面図である。 図21に示すホルダにおけるB3断面図である。 図10に示すチップの他の例(第7変形例)の断面図である。 一実施形態の切削加工物の製造方法における一工程を示す概略図である。 一実施形態の切削加工物の製造方法における一工程を示す概略図である。 一実施形態の切削加工物の製造方法における一工程を示す概略図である。
<ドリル>
以下、一実施形態のドリル用チップ(単にチップとも言う。)及びドリルについて、図面を用いて詳細に説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、一実施形態を説明する上で必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。したがって、以下に開示するチップ及びドリルは、参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
本実施形態のドリル1は、図1〜図4に示すように、ホルダ3及びチップ5を有している。ホルダ3は、例えば図1に示すように、回転軸X1に沿って細長く伸びた棒形状であり、第1端の側に位置するポケット7を有している。本実施形態におけるホルダ3は、ポケット7を1つ有している。切削加工物を製造するために被削材を切削する工程において、ドリル1は、回転軸X1の周りで回転する。なお、図1などにおける矢印X2は、ドリル1の回転方向を示している。
ここで、回転軸X1に沿った方向での一方を便宜的に「第1端」とするとともに、回転軸X1に沿った方向でのもう一方を便宜的に「第2端」とする。また、対象となる部材における一方の端部の側を「第1端の側」とするとともに、対象となる部材におけるもう一方の端部の側を「第2端の側」とする。ドリルの使用時において一般的には、第1端が「先端」と呼ばれ、第2端が「後端」と呼ばれる。
ポケット7は、チップ5が装着される部分であり、ホルダ3の第1端の側に開口している。本実施形態におけるポケット7には、チップ5が位置している。チップ5はポケット7に直接に接していてもよく、また、チップ5及びポケット7の間に特に図示しないシートが挟まれた構成であってもよい。チップ5は、ホルダ3に対して着脱可能な構成となっている。
まず、ドリル1を構成するチップ5について詳細に説明する。
チップ5は、ドリル1における切削部として機能する。すなわち、チップ5は、被削材と接触する部位であり、被削材の切削加工において主たる役割を有する部位である。本実施形態におけるチップ5は、図5に示すように、第1部9及び第2部11の2つの部によって構成されている。第2部11は、図8などに示すように、軸部13及び係合部15を有している。軸部13は、チップ5の中心軸に沿って延びており、例えば図8に示すように本実施形態においては棒形状である。
チップ5の中心軸は、必ずしもホルダ3の回転軸X1と一致している必要はないが、本実施形態においては、これら2つの軸は一致している。そのため、本実施形態に関する以後の説明においては、回転軸及び中心軸を示す符号としてX1を用いる。
本実施形態におけるホルダ3のポケット7は、軸部13に対応する孔(不図示)を有している。この孔に軸部13が挿入されることによって、ホルダ3に対するチップ5の中心軸X1の周りでの位置決めが図られる。
第2部11の係合部15は、軸部13よりも第1端の側に位置しており、軸部13に繋がっている。本実施形態における係合部15は、軸部13よりも径が大きい。そのため、側面視した場合において、第2部11はT字形状となる。ここで、径とは、中心軸X1に対して直交する方向における幅の最大値を意味する。
本実施形態における係合部15は、中心軸X1に対して直交する方向に延びている。そのため、図8に示す方向から見た場合において、係合部15が、軸部13よりも中心軸X1に対して直交する方向の幅が大きい一方で、図9に示す方向から見た場合においては、軸部13及び係合部15の中心軸X1に対して直交する方向の幅が同じである。
本実施形態における軸部13及び係合部15は、概ね同じ組成であり、一体的に形成されている。ここで、「概ね同じ」とは、2つの領域の組成を測定した場合に常に厳密に同じであることを要求するものではなく、測定誤差の程度のばらつきを許容することを意味している。
第1部9は、第2部11に対して第1端の側に位置している。第1部9における第1端の側には切刃19が位置している。また、第1部9における第2端の側には凹部25が位置している。
切刃19は、第1部9における第1端に形成されている。切刃19は、第1端の側から見た場合において中心軸X1を通っており、中心軸X1を基準として180°の回転対称の形状となっている。本実施形態における切刃19は、第1切刃21及び一対の第2切刃23を有している。第1切刃21の各端部にはそれぞれ第2切刃23が接続されている。そのため、切刃19は、一方の第2切刃23、第1切刃21、もう一方の第2切刃23の順に並んでいる。
第1切刃21は、第1端に向かって見た場合において中心軸X1を通る部分であり、一般的にチゼルエッジと呼ばれる部位である。一対の第2切刃23は、それぞれ第1切刃21の端部に接続されており、切削加工時に被削材を主に切削する、いわゆる「主切刃」と呼ばれる部位である。
主切刃として用いられる一対の第2切刃23は、2つの面が交わる稜部に形成されている。このとき、2つの面のうち第1端の側に位置する面がいわゆる「逃げ面」である。また、2つの面のうち第2端の側に位置する面がいわゆる「すくい面」である。したがって、主切刃は、逃げ面及びすくい面が交わる稜部に形成されているとも言える。主切刃で切削された被削材の切屑は、すくい面を流れる。本実施形態においては、2つの主切刃が存在していることから、すくい面もまた2つ存在している。
なお、切刃19の具体的な構成として、第1切刃21及び一対の第2切刃23を有する構成を例示したが、切刃19としては上記の構成に限定されるものではない。
第1部9における第2端の側の端面は平坦な面形状となっている。この端面の中に凹部25が位置している。本実施形態においては、この凹部25に第2部11の係合部15が位置しており、凹部25において第2部11及び第1部9が接している。本実施形態においては、凹部25において第2部11及び第1部9が接合されていてもよい。
ここで「接合」とは、はんだや樹脂などの接着材を用いて2つの部を接着した場合だけでなく、2つの部同士を溶接した場合及び溶着した場合のように、2つの部を直接に接合した場合も含む概念である。
本実施形態においては、第1部9が第2部11に溶着されていてもよい。第1部9が第2部11に溶着されているときには、第2部11及び第1部9を強固に接合することができる。また、接着材を用いる必要が無いので、ドリル1を製造する上での部材の数を減らすことができる。
複数の部からなるチップ5を備えたドリル1を用いて穴あけ加工を行なう場合には、複数の部間の境界にも負荷が加わり、これらの部の境界にクラックが生じてドリル1が損傷するおそれがある。
しかしながら、本実施形態のドリル1におけるチップ5では、軸部13よりも係合部15の径が大きく、この係合部15が凹部25において第1部9に接合されているときには、第2部11及び第1部9が接合する部分の面積が広いため、第2部11及び第1部9の境界においてクラックが生じにくく、チップ5の耐久性が向上する。
第2部11を構成する材質としては、例えば、金属、超硬合金及びサーメットなどが挙げられる。金属としては、例えば、ステンレス及びチタンが挙げられる。超硬合金の組成としては、例えば、WC(炭化タングステン)−Co(コバルト)、WC−TiC(炭化チタン)−Co及びWC−TiC−TaC(炭化タンタル)−Coが挙げられる。
ここで、WC、TiC、TaCは硬質粒子であり、Coは結合相である。また、サーメットは、セラミック成分に金属を複合させた焼結複合材料である。具体的には、サーメットとして、炭化チタン(TiC)及び窒化チタン(TiN)などのチタン化合物を主成分としたものが一例として挙げられる。
第1部9を構成する材質としては、例えば、ダイヤモンド焼結体、CBN(立方晶窒化ホウ素:Cubic Boron Nitride)、超硬合金及びサーメットなどが挙げられる。超硬合金及びサーメットとしては、第2部11を構成する材質として説明したものと同様のものが用いられる。
第2部11及び第1部9を構成する材質として、同じ材質のものを用いてもよく、また、異なる材質のものを用いてもよい。例えば、第2部11が、チタンなどの金属によって構成されているとともに、第1端の側に切刃19が位置する第1部9が超硬合金によって構成されていてもよい。
本実施形態においては、係合部15の全体が凹部25に位置しており、係合部15における第2端の側の端面と、第1部9における第2端の側の端面とを比較した場合に、回転軸に沿った方向における上記の2つの端面の位置が概ね同じである。言い換えれば、係合部15における第2端の側の端面と、第1部9における第2端の側の端面とが同一平面上に位置している。しかしながら、このような形態に限定されるものではない。
係合部15は、少なくとも一部が凹部25に位置していればよく、図12に示すように、係合部15における第2端の側の一部が凹部25からはみ出していてもよい。また、図13に示すように、係合部15が、第1部9における第2端の側の端面よりも第1端の側に位置していてもよい。
このとき、図13に示すように、係合部15における第2端の側の端面の少なくとも一部が、第1部9に接してもよい。言い換えれば、凹部25の第2端の側における内径が、係合部15の外径よりも小さくてもよい。
凹部25の第2端の側における内径が、係合部15の外径よりも小さい場合には、仮に第2部11と第1部9との境界にクラックが生じて第1部9が第2部11から剥離してしまった場合においても、第2部11における係合部15が第1部9における凹部25に引っ掛かり、第2部11が第1部9から抜け落ちることが避けられる。
また、図14に示すように、中心軸X1に対して直交する方向での係合部15の幅が、第1端の側に近づくにつれて狭くなる構成であってもよい。係合部15がこのように構成されている場合には、係合部15の外周面と切刃19との間での第1部9の肉厚を確保できるので、チップ5の耐久性を高めることができる。さらに、接着材を用いて第2部11及び第1部9を接着する場合においては、これらの部の接合を容易に行なうことができる。
第1部9に対する第2部11の接合面積を増やすことができれば、第2部11における係合部15及び第1部9における凹部25の形状としては特に限定されるものではない。例えば、図15に示すように、第2端の側から見た場合に、凹部25の外周が四角形状であってもよく、また、図16に示すように、第2端の側から見た場合に、凹部25の外周が円形状であってもよい。
図16に示す例においては、第2端の側から見た場合に係合部15の径が一定であるが、図7及び図15に示す例においては、第2端の側から見た場合に係合部15の径が、相対的に長さの長い部分及び短い部分を有している。穴あけ加工などの切削加工を行なう際において、ドリル1はX2方向に回転し、この回転方向に沿った方向の負荷が第2部11及び第1部9の境界にも加わる。
このとき、係合部15が図7及び図15に示す例のように相対的に長さの長い部分及び短い部分を有している場合には、ドリル1の回転方向に対して、係合部15及び凹部25が互いに物理的に支持し合うことになる。第2部11及び第1部9の境界に化学的な接合力だけでなく物理的な支持も加わることになるので、これらの境界にクラックがさらに生じにくくなる。
係合部15における第1端の側の端面は、平坦な面形状であってもよいが、曲面形状であってもよい。図10などに示すように、中心軸X1に交わる凹部25及び係合部15の対向面において、凹部25の側が凸曲面であり、係合部15の側が凹曲面である場合には、第2部11及び第1部9の接合面積を増やすことができる。
また、第2部11及び第1部9の接合面積を増やす観点からは、図17に示す例のように、中心軸X1に交わる凹部25と係合部15との対向面において、凹部25と係合部15の境界が波形となっていてもよい。
また、本実施形態における第1部9は、中心軸X1に対して回転対称となっている。第1部9が上記の構成である場合には、第1部9の重心が中心軸X1上に位置することになる。そのため、チップ5を中心軸X1の周りで安定して回転させることができる。これにより、切削加工時におけるドリル1の回転軸X1がぶれ難くなるので、高精度の切削加工を行なうことができる。
本実施形態における係合部15は、第1部9における切刃19よりも第2端の側に位置している。言い換えれば、第1部9における切刃19の全体が、係合部15よりも第1端の側に位置している。これにより、第1部9における切刃19の第2端の側に位置する部分の肉厚を厚く確保できる。従って、切刃19の耐久性を高めることができる。
次に、ドリル1を構成するホルダ3について詳細に説明する。
本実施形態におけるホルダ3は、図18に示すように、回転軸X1に沿って伸びた棒形状であり、チップ5が装着されるポケット7を有している。本実施形態のホルダ3は、特に図示しない工作機械の回転するスピンドル等で把持される、シャンク(shank)27と呼ばれる部位と、このシャンク27よりも第1端の側に位置する、ボディー(body)29と呼ばれる部位とを有している。
既に述べたように、ホルダ3における第1端の側にはポケット7が位置しており、ポケット7には孔が設けられている。この孔は、回転軸X1に沿って延びており、第1端の側に向かって開口している。孔は、チップ5の軸部13に対応しており、軸部13が孔に挿入される。
ホルダ3におけるボディー29の外周には、一対の溝31が位置している。一対の溝31は、第1端の側の端部がそれぞれ、チップ5におけるすくい面に接続されており、シャンク27に向かって回転軸の周りで螺旋状に延びている。
本実施形態における溝31は、すくい面を流れてきた切屑を外部に排出するために用いられる。そのため、一対の溝31は、一般的に切屑排出溝(flute)と呼ばれている。このとき、工作機械で安定してホルダ3を把持するため、一対の溝31はボディー29にのみ形成されており、シャンク27には形成されていない。
一対の溝31のそれぞれの深さVとしては、ボディー29の外径に対して10〜40%程度に設定できる。ここで、溝31の深さVとは、図21に示すように、回転軸X1に直交する断面における、溝31の底と回転軸X1との距離をボディー29の半径から引いた値を意味している。
そのため、ボディー29における回転軸X1に直交する断面での内接円(軸芯)の直径によって示される芯厚(web thickness)の直径Wとしては、ボディー29の外径に対して20〜80%程度に設定される。具体的には、例えばボディー29の外径が20mmである場合には、溝31の深さVは2〜8mm程度に設定できる。
本実施形態のホルダ3は、例えばボディー29の外径を6mm〜42.5mmに設定すればよい。また、本実施形態のホルダ3は、例えば軸線の長さ(ボディー29の長さ)をLとし、径(ボディー29の外径)をDとするとき、L=3D〜12Dに設定すればよい。
ホルダ3の材質としては、チップ5における第2部11と同様のものが挙げられる。具体的には、例えば、金属、超硬合金及びサーメットなどが挙げられる。
本実施形態におけるチップ5は、第1貫通孔33を有している。また、ホルダ3は、第2貫通孔35を有している。具体的には、チップ5は、2つの第1貫通孔33を有している。第1貫通孔33は、チップ5の第1端の側から第2端の側にかけて延びている。第1貫通孔33における第1端の側の開口部分は、第1部9における逃げ面に位置している。また、第1貫通孔33の第1端の側の部分は、第1部9の中に位置しており、第1貫通孔33の第2端の側の部分は、第1部9と係合部15との境界部分に位置している。
本実施形態における第1貫通孔33は、第1部9における凹部25から第1部9における第1端の側に向かって延びた貫通孔部分と、凹部25において前述の貫通孔部分に接続され、第2端の側に向かって延びた溝部分とによって構成されている。
第2貫通孔35は、ホルダ3における第2端の側から第1端の側にかけて延びており、ホルダ3における第2端の側の端面に1つの開口部分を有している。第2貫通孔35は、第1端の側において2つに分岐しており、第1端の側の2つの開口部分は、それぞれポケット7に位置している。第2貫通孔35における第1端の側の2つの開口部分は、第1貫通孔33における第2端の側の2つの開口部分にそれぞれ接続されている。
第1貫通孔33及び第2貫通孔35は、冷却流体(クーラント)を流すために用いられる。第2貫通孔35における第2端の側の開口部分から供給されたクーラントは、第2貫通孔35及び第1貫通孔33を通って、外部に噴射される。クーラントは、切削加工時に、ドリル1及び被削材を冷却するために用いることができる。特に、ドリル1における切刃19を冷却するため、第1部9における第1端の側に位置して切刃19に接続された逃げ面から外部に向かってクーラントが噴射される。
第1貫通孔33は、第2部11における軸部13から離れて位置している。そのため、軸部13の強度を高めることができる。これにより、チップ5をホルダ3で安定して保持することができる。
第1貫通孔33は、図10などに示すように、チップ5の第1端の側から第2端の側にかけて真っ直ぐ延びた直線形状であってもよいが、図14に示すように構成されていてもよい。
図14に示す第1貫通孔33では、上記の溝部分は、第2端の側の端部よりも第1端の側の端部が中心軸X1の近くに位置した構成となっている。より具体的には、溝部分は、第1端の側に向かうにしたがって中心軸X1に近づいており、また、第1貫通孔33における上記の貫通孔部分は、中心軸X1に沿って延びている。
切刃19における中心軸X1から遠い部分よりも中心軸X1に近い部分を特に冷却することが望まれている。このとき、第1貫通孔33における溝部分が上記のように中心軸に対して傾斜した構成である場合には、第1貫通孔33における第1端の側の開口部分を中心軸X1に近づけることができる。また、第1貫通孔33における貫通孔部分が上記のように中心軸X1に平行に延びている場合には、中心軸X1に沿った方向にクーラントを安定して噴射させることができる。
また、例えば切刃19における第1切刃21を冷却することが特に求められる場合には、図23に示す例のように第1貫通孔33が構成されてもよい。図23に示す例においては、第1貫通孔33における溝部分が図14に示す溝部分と同様の構成である一方で、第1貫通孔33における貫通孔部分もまた、第1端の側に向かうにしたがって中心軸X1に沿って延びている。第1貫通孔33が図23に示す例のように構成されている場合には、中心軸X1に向かってクーラントを噴射させ易いため、中心軸X1と交差している第1切刃21を効率良く冷却することが可能となる。
また、第1貫通孔33の内径は、チップ5の第1端の側から第2端の側にかけて一定であってもよいが、図23に示すように、チップ5の第1端の側(図23における右側の開口部分)における第1貫通孔33の内径が、チップ5の第2端の側(図23における左側の開口部分)における第1貫通孔33の内径よりも小さくてもよい。
第1貫通孔33の内径が、図23に示すように構成されている場合には、クーラントによる冷却効率を高めることができる。具体的には、チップ5の第2端の側の内径が相対的に大きいことによって、クーラントを安定して第1貫通孔33内に供給することが可能となる。また、チップ5の第1端の側の内径が相対的に小さいことによって、クーラントの噴射圧を高めることができるため、クーラントを所望の方向に安定して噴射させ易くなる。
<切削加工物の製造方法>
次に、一実施形態の切削加工物の製造方法について、上述の実施形態のドリル1を用いる場合を例に挙げて詳細に説明する。以下、図24〜図26を参照しつつ説明する。
本実施形態にかかる切削加工物の製造方法は、以下の(1)〜(4)の工程を備える。
(1)準備された被削材101に対して上方にドリル1を配置する工程(図24参照)。
(2)ドリル1を、回転軸X1を中心に矢印X2の方向に回転させ、被削材101に向かってY1方向にドリル1を近付ける工程(図24、25参照)。
本工程は、例えば、被削材101を、ドリル1を取り付けた工作機械のテーブル上に固定し、ドリル1を回転した状態で近付けることにより行なうことができる。なお、本工程では、被削材101とドリル1とは相対的に近付けばよく、例えば被削材101をドリル1に近付けてもよい。
(3)ドリル1をさらに被削材101に近付けることによって、回転しているドリル1の切刃を、被削材101の表面の所望の位置に接触させて、被削材101に加工穴(貫通孔)103を形成する工程(図25参照)。
本工程において、良好な仕上げ面を得る観点から、ホルダにおけるボディーのうち第2端の側の一部が被削材101を貫通しないように設定することが好ましい。すなわち、この一部を切屑排出のためのマージン領域として機能させることで、当該領域を介して優れた切屑排出性を奏することが可能となる。
(4)ドリル1を被削材101からY3方向に離す工程(図26参照)。
本工程においても、上述の(2)の工程と同様に、被削材101とドリル1とは相対的に離せばよく、例えば被削材101をドリル1から離してもよい。
以上のような工程を経ることによって、優れた加工性を発揮することが可能となる。
なお、以上に示したような被削材101の切削加工を複数回行なう場合であって、例えば、1つの被削材101に対して複数の加工穴103を形成する場合には、ドリル1を回転させた状態を保持しつつ、被削材101の異なる箇所にドリル1の切刃を接触させる工程を繰り返せばよい。
以上、一実施形態のドリル1について例示したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意のものとすることができることは言うまでもない。
1・・・ドリル
3・・・ホルダ
5・・・(ドリル用)チップ
7・・・ポケット
9・・・第1部
11・・・第2部
13・・・軸部
15・・・係合部
19・・・切刃
21・・・第1切刃
23・・・第2切刃
25・・・凹部
27・・・シャンク
29・・・ボディー
31・・・溝
33・・・第1貫通孔
35・・・第2貫通孔
101・・・被削材

Claims (9)

  1. 中心軸の一方を第1端、他方を第2端としたとき、
    前記第1端の側に位置する切刃と、前記第2端の側に位置する凹部とを有する第1部と、
    前記中心軸に沿って延びる軸部と、前記第1端の側において前記軸部に繋がるとともに前記軸部よりも径が大きい係合部とを有する第2部とを備え、
    前記係合部が前記凹部内に位置するドリル用チップ。
  2. 前記凹部の前記第2端の側における内径が、前記係合部の外径よりも小さい、請求項1に記載のドリル用チップ。
  3. 前記中心軸に交わる前記凹部と前記係合部との対向面において、前記凹部の側が凸曲面であり、前記係合部の側が凹曲面である、請求項1又は2に記載のドリル用チップ。
  4. 前記第1部は、前記中心軸に対して回転対称である、請求項1〜3のいずれか1つに記載のドリル用チップ。
  5. 前記係合部は、前記切刃よりも前記第2端の側に位置している、請求項1〜4のいずれか1つに記載のドリル用チップ。
  6. 前記第1部は、前記凹部から前記第1端の側に向かって延びた貫通孔を有し、
    前記凹部は、前記貫通孔に接続され、前記第2端の側に向かって延びた溝を有している、請求項1〜5のいずれか1つに記載のドリル用チップ。
  7. 前記溝は、前記第2端の側の端部よりも前記第1端の側の端部が前記中心軸の近くに位置している、請求項6に記載のドリル用チップ。
  8. 前記第2部は、前記第1部に接合されている、請求項1〜7のいずれか1つに記載のドリル用チップ。
  9. 請求項1〜8のいずれか1つに記載のチップと、
    該チップが位置するポケットを前記第1端の側に有するホルダとを備えたドリル。
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