JPWO2017145617A1 - 車両用空調ユニット - Google Patents

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Abstract

空調ケース(12)の冷風通路(126)は、一方向(DRc)を向いて第1空間(127)に接続され、暖風通路(125)は、上記一方向と交差する他方向(DRh)を向いて第1空間に接続される。また、第2空間(128)は、第1空間に対し冷風通路側とは反対側に接続される。ケース内配置部材(24)のトンネル部(244)および翼部(245)は第1空間に配置される。トンネル部は、トンネル通路の上流端(244b)を形成する上流端形成部(244d)と、トンネル通路の下流端(244c)を形成する下流端形成部(244e)とを有する。その上流端形成部は暖風通路に対して開口し、下流端形成部は上流端形成部に対し反対側を向いて開口する。翼部は、上記一方向と他方向とに交差する幅方向(DR3)において下流端形成部から両側へ拡がるように形成され、トンネル通路の下流端から流出する空気を幅方向へ拡散させるように案内する。

Description

関連出願への相互参照
本出願は、2016年2月22日に出願された日本特許出願番号2016−31362号に基づくもので、ここにその記載内容が参照により組み入れられる。
本開示は、車両において車室内の空調を行う車両用空調ユニットに関するものである。
この種の車両用空調ユニットとして、例えば特許文献1に記載された空調ユニットが従来から知られている。この特許文献1に記載された空調ユニットは、ケース内の温風通路(暖風通路とも呼ぶ)と冷風バイパス通路(冷風通路とも呼ぶ)との合流部位に配置されるエアガイドを有している。
このエアガイドはグリッドとも呼ばれ、例えば、そのエアガイドには、ケース内の暖風通路から空気が流入する通路としての暖風トンネルと、ケース内の冷風通路から空気が流入する通路とが交互に配置されている。このような構成により、そのエアガイドは、空調ユニットから吹き出される空気の温度ばらつきや上下温度差を縮小させる役割を果たす。
特開2009−227026号公報
特許文献1に記載された空調ユニットは車両に設けられるが、車両においては、空調ユニットの接地スペースが限られている。例えば特許文献1のエアガイドであるグリッドでは、そのグリッドからケースの吹出口までの距離が短い場合、冷風と暖風トンネルから出てきた暖風とをグリッドの空気流れ下流側で十分に混ぜることができないことがある。そうなれば、空調ユニットから吹き出される空気の温度ばらつきを縮小させることが困難となる。
このようなことを解決する一案として、例えば上記の温度ばらつきを縮小させるために、暖風トンネルを細分化して多数設けることが考えられる。しかしながら、そのように暖風トンネルが細分化されて多数設けられると、グリッドの通風抵抗が増大することに起因して空調ユニット内のユニット圧損が増大するので、空調ユニットから吹き出される風量が低下する。それと共に、グリッドから生じる騒音が悪化するおそれがある。発明者の詳細な検討の結果、以上のようなことが見出された。
本開示は上記点に鑑みて、グリッドを設けることに起因したユニット圧損の増大を抑えつつ、吹き出される空気の温度ばらつきを縮小させることが可能な車両用空調ユニットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本開示の1つの観点による車両用空調ユニットは、
車室内の空調を行う車両用空調ユニットであって、
加熱器で加熱されて空気が流れる暖風通路、その加熱器を迂回して空気が流れる冷風通路、暖風通路の空気流れ下流側かつ冷風通路の空気流れ下流側に設けられ暖風通路と冷風通路とがそれぞれ接続されている第1空間、および、その第1空間に接続されている第2空間が形成された空調ケースと、
空調ケース内に配置されたケース内配置部材とを備え、
冷風通路は、一方向を向いて第1空間に接続され、
暖風通路は、上記一方向と交差する他方向を向いて第1空間に接続され、
第2空間は、第1空間に対し冷風通路側とは反対側に接続され、
第1空間から流出した空気は第2空間を介して車室内へ吹き出され、
ケース内配置部材は、上記一方向と交差する向きに貫通したトンネル通路が形成されたトンネル部と、翼形状を成す翼部とを有し、
トンネル部および翼部は第1空間に配置され、
トンネル部は、トンネル通路の上流端を形成する上流端形成部と、トンネル通路の下流端を形成する下流端形成部とを有し、
上流端形成部は暖風通路に対して開口し、
下流端形成部は上流端形成部に対し反対側を向いて開口し、
翼部は、上記一方向と上記他方向とに交差する幅方向において下流端形成部から両側へ拡がるように形成され、トンネル通路の下流端から流出する空気を幅方向へ拡散させるように案内する。
これにより、トンネル部および翼部の作用として、車両用空調ユニットから吹き出される空気の温度ばらつきを縮小させることが可能である。そして、翼部がトンネル通路の下流端から流出する空気を幅方向へ拡散させる機能を果たすので、例えば細いトンネル通路を多数設けて温度ばらつきを縮小させる必要がない。そのため、上記グリッドに相当するケース内配置部材を設けることに起因したユニット圧損の増大を抑えることが可能である。
第1実施形態において、車両用空調ユニットの概略構成を示す断面図である。 第1実施形態において車両用空調ユニットを上側から見た平面図である。 図1のIII部分を拡大図示した拡大図である。 図2におけるIV−IV断面を示した断面図、すなわち、グリッド部材のトンネル通路から外れた位置で切断した断面図である。 図4のV部分を拡大図示した拡大図である。 第1実施形態において、車両用空調ユニットが有するグリッド部材を単体で示した第1の斜視図である。 グリッド部材の単体を表した第2の斜視図であって、図6においてそのグリッド部材を矢印VII方向から見た図である。 第1実施形態のグリッド部材を図1における表示の向きと同じ向きで表示した図、すなわち、グリッド部材を単体で示した正面図である。 図8におけるIX矢視図、すなわち、グリッド部材を単体で示した平面図である。 図8におけるX矢視図、すなわち、グリッド部材を単体で示した側面図である。 図9のXI−XI断面を示した断面図、すなわち、グリッド部材のトンネル通路の中央でグリッド部材を切断した断面図である。
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。なお、後述の他の実施形態を含む以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態において、車両用空調ユニット10の概略構成を示す断面図である。この図1は、具体的には、車両用空調ユニット10の平面図である図2におけるI−I断面、すなわち、後述のグリッド部材24のトンネル通路244a中央で切断した断面図を示している。なお、図2のI−I断面は、グリッド部材24単体を示す後述の図9で言えば、その図9のXI−XI断面に一致する。また、図2のIV−IV断面は図9のIV−IV断面に一致する。
図1および図2において上下前後左右の各矢印DR1、DR2、DR3は、車両用空調ユニット10が搭載される車両の向きを示す。すなわち、図1の矢印DR1は車両上下方向DR1を示し、矢印DR2は車両前後方向DR2を示し、図2の矢印DR3は車両幅方向DR3(すなわち、車両左右方向DR3)を示している。車両上下方向DR1、車両前後方向DR2、および、車両幅方向DR3は互いに交差する方向、厳密に言えば互いに直交する方向である。
図1に示す車両用空調ユニット10は、車両のうち車室外に配設されたコンプレッサおよびコンデンサ等を含む車両用空調装置の一部を構成する。車両用空調ユニット10は、車室内の内装パネルの内側に配置され、車室内の空調を行う。詳細には、車両用空調ユニット10は、運転席および助手席から成る前席並びに対して車両後方に配置された後席に着座する後席乗員に対して空調を行う後席用空調ユニットである。
図1に示すように、車両用空調ユニット10は、空調ケース12、蒸発器16、ヒータコア18、エアミックスドア20、吹出口ドア22、グリッド部材24、および送風機部26等を備えている。
送風機部26は、空調ケース12の空気流れ上流側に接続されており、その空調ケース12内へ空気を吹き出す遠心送風機である。送風機部26は、空調ケース12に連結された送風機ケース261と、送風機ケース261内に収容され、回転することにより空気を吸い込むと共に吹き出す遠心ファン262と、その遠心ファン262を回転させるファンモータ263とを備えている。送風機部26は、遠心ファン262の回転により、矢印FLinのように、空調ケース12内に収容された蒸発器16へ向けて送風する。
図1および図2に示すように、空調ケース12は、送風機ケース261と共に、車両用空調ユニット10の外殻を構成する。空調ケース12は、樹脂製の2つの部材121、122から構成されている。すなわち、その2つの部材121、122のうちの一方である第1ケース部材121と、他方である第2ケース部材122は、互いに接合されることによって空調ケース12を構成している。
空調ケース12は、その空調ケース12の内側に、車室内に向けて空気を流す空気通路としてのケース通路123を形成している。更に、そのケース通路123は、空調ケース12内に設けられた構造物によって細分化されている。すなわち、ケース通路123は、上流側空気通路124と、暖風通路125と、冷風通路126と、第1空間としての下流側空間127と、第2空間としてのドア配置空間128とから構成されている。
上流側空気通路124は、その上流側空気通路124の空気流れ上流側で送風機部26の吹出口に接続され、上流側空気通路124の空気流れ下流側で暖風通路125と冷風通路126とに接続されている。すなわち、暖風通路125および冷風通路126は上流側空気通路124の空気流れ下流側に互いに並列的に接続されている。そのため、冷風通路126は、上流側空気通路124からの空気を暖風通路125を迂回させて流す迂回空気通路になっている。なお、本実施形態では、冷風通路126は、暖風通路125よりも上側に配置されている。
蒸発器16は、不図示のコンプレッサ、コンデンサ、および膨張弁とともに、冷媒を循環させる周知の冷凍サイクル装置を構成している。蒸発器16は、蒸発器16を通過する空気を冷媒の蒸発により冷却する。
具体的に、蒸発器16は上流側空気通路124に配置されている。すなわち、蒸発器16は、上流側空気通路124を流れる空気を冷却する冷却用熱交換器、言い換えれば冷却器である。従って、蒸発器16は、矢印FLinのように送風機部26から上流側空気通路124へ流入した空気を冷却し、その冷却した空気を暖風通路125および冷風通路126の一方または両方へ流す。例えば、蒸発器16は、上流側空気通路124を流れる空気の全部が蒸発器16を通り抜けるように上流側空気通路124に配置されている。
蒸発器16の構造は、車両用空調装置に一般的に用いられる周知の蒸発器と同じである。具体的に蒸発器16は、冷媒チューブとコルゲートフィンとが交互に積層された構造を有するコア部と、そのコア部の両端にそれぞれ接続された一対のヘッダタンクとから構成されている。
ヒータコア18は暖風通路125に配置されている。ヒータコア18は、蒸発器16から流出し暖風通路125を流れる空気を、温水であるエンジン冷却水により加熱する加熱用熱交換器、言い換えれば加熱器である。例えば、ヒータコア18は、暖風通路125を流れる空気の全部がヒータコア18を通り抜けるように暖風通路125に配置されている。
従って、暖風通路125では、そのヒータコア18で加熱されて空気が流れる。その一方で、冷風通路126では、蒸発器16で冷却された空気である冷風がそのヒータコア18を迂回して流れる。
ヒータコア18の構造は、車両用空調装置に一般的に用いられる周知の加熱用熱交換器と同じである。具体的にヒータコア18は、温水チューブとコルゲートフィンとが交互に積層された構造を有するコア部と、そのコア部の両端にそれぞれ接続された一対のヘッダタンクとから構成されている。
エアミックスドア20は、空調ケース12内に配置された回動式のドアである。具体的には、エアミックスドア20は、暖風通路125および冷風通路126を開閉する通路ドアであり、不図示の電動アクチュエータによって回動させられる。エアミックスドア20は、図1および図3に示すように、車両幅方向DR3を軸方向とした回動軸201と、その回動軸201に連結された平板状の板状ドア部202とを有している。そして、エアミックスドア20は、矢印AR1のように回動軸201を中心に回動することで、板状ドア部202により暖風通路125と冷風通路126とをそれぞれの空気流れ上流側にて開閉する。
エアミックスドア20の板状ドア部202は、平板形状の樹脂板と、発泡ウレタン等から成る一対のパッキン材とから構成されている。そして、板状ドア部202は、その一対のパッキン材がその樹脂板の両面にそれぞれ貼り付けられた構造になっている。
矢印AR1のように回動するエアミックスドア20は、その回動位置に応じて、暖風通路125を流れる空気と冷風通路126を流れる空気との風量割合を調節する。具体的に、エアミックスドア20は、暖風通路125を全閉にすると共に冷風通路126を全開にする最大冷房位置から、暖風通路125を全開にすると共に冷風通路126を全閉にする最大暖房位置までの間で連続的に回動させられる。なお、例えば図3に表示されたエアミックスドア20は、最大冷房位置と最大暖房位置との間の中間位置に位置決めされた状態、すなわち、暖風通路125と冷風通路126とを共に開いた状態になっている。
エアミックスドア20の最大冷房位置はマックスクール位置とも呼ばれる。エアミックスドア20が最大冷房位置になると、蒸発器16を通過した空気の全量が冷風通路126へ流れる。すなわち、車両用空調ユニット10が最も強力に冷房する最大冷房時(言い換えれば、マックスクール時)には、エアミックスドア20は最大冷房位置に位置決めされる。
その一方で、エアミックスドア20の最大暖房位置はマックスホット位置とも呼ばれる。エアミックスドア20が最大暖房位置になると、蒸発器16を通過した空気の全量が暖風通路125へ流れる。すなわち、車両用空調ユニット10が最も強力に暖房する最大暖房時(言い換えれば、マックスホット時)には、エアミックスドア20は最大暖房位置に位置決めされる。
エアミックスドア20は最大冷房位置と最大暖房位置との間の中間位置に位置決めされることもあり、その場合には、蒸発器16を通過した空気は、エアミックスドア20の回動位置に応じた風量割合で、暖風通路125と冷風通路126とへそれぞれ流れる。そして、暖風通路125を通りヒータコア18で加熱された暖風と冷風通路126を通った冷風とが、その暖風と冷風とが合流する合流空間としての下流側空間127およびドア配置空間128にて混ざり合ってから車室内へ吹き出される。従って、矢印FLinのように送風機部26から吹き出された空気は、エアミックスドア20の回動位置に応じて温度調節されて車室内へ吹き出される。
下流側空間127は、暖風通路125の空気流れ下流側かつ冷風通路126の空気流れ下流側に設けられている。そして、下流側空間127には、暖風通路125と冷風通路126とがそれぞれ接続されている。
具体的には図4に示すように、下流側空間127には、冷風通路126が、一方向DRcとしての冷風通路接続方向DRcを向いて接続されている。それと共に、下流側空間127には、暖風通路125が、その冷風通路接続方向DRcと交差する他方向DRhとしての暖風通路接続方向DRhを向いて接続されている。
ドア配置空間128には吹出口ドア22が配置されており、ドア配置空間128は下流側空間127に接続されている。詳細に言えば、ドア配置空間128は、下流側空間127に対しケース通路123における空気流れの下流側に設けられている。すなわち、ドア配置空間128は、下流側空間127に対し冷風通路126側とは反対側に接続されている。従って、下流側空間127から流出した空気はドア配置空間128を介して車室内へ吹き出される。
図3および図5に示すように、空調ケース12には、温度調節された空調空気(言い換えれば、空調風)を車室内へ吹き出す複数の空気吹出口131、132が形成されている。その複数の空気吹出口131、132は何れもドア配置空間128に接続されており、ドア配置空間128を経た空調空気は、その複数の空気吹出口131、132の一方または両方を介して車室内へ吹き出される。
具体的に、その複数の空気吹出口131、132は、後席乗員の足元に向けて空調風を吹き出す第1吹出口としてのフット吹出口131、および、車室内の後席乗員の上半身に向けて空調風を吹き出す第2吹出口としてのフェイス吹出口132である。
また、フェイス吹出口132は空調ケース12においてフット吹出口131よりも上側に設けられている。そのため、フェイス吹出口132がドア配置空間128に接続されている接続箇所は、フット吹出口131がドア配置空間128に接続されている接続箇所よりも上側に位置している。
また、フェイス吹出口132は、図4の冷風通路接続方向DRcにおいてドア配置空間128に対し下流側空間127側とは反対側に接続されている。従って、冷風通路126と下流側空間127とドア配置空間128とフェイス吹出口132は、その記載順に、ほぼ冷風通路接続方向DRcに沿って並んでいる。すなわち、空調ケース12内の構造は、冷風通路126を流れる空気である冷風が冷風通路126からフェイス吹出口132へ直線的に流れるレイアウトとなっている。
吹出口ドア22は、第2空間としてのドア配置空間128内に設けられた第2空間ドアである。吹出口ドア22は、そのドア配置空間128内で回動する。例えば、吹出口ドア22は上述のエアミックスドア20と同様の回動式のドアであり、不図示の電動アクチュエータによって回動させられる。また、吹出口ドア22はフット吹出口131およびフェイス吹出口132に対する空気流れ上流側に配置されている。
吹出口ドア22は、車両幅方向DR3に沿ったドア軸心CLdを中心とした回動軸221と、その回動軸221に連結された平板状の板状ドア部222とを有している。その板状ドア部222は、矢印AR2のようにドア軸心CLdまわりに回動する。そして、吹出口ドア22は、その板状ドア部222の回動によって、フット吹出口131とフェイス吹出口132とをそれぞれ開閉する。
吹出口ドア22の板状ドア部222は、例えばエアミックスドア20の板状ドア部202と同様の構成になっている。すなわち、吹出口ドア22の板状ドア部222は、平板形状の樹脂板と、発泡ウレタン等から成る一対のパッキン材とから構成されている。そして、板状ドア部222は、その一対のパッキン材がその樹脂板の両面にそれぞれ貼り付けられた構造になっている。
また、吹出口ドア22は、板状ドア部222の基端部が回動軸201に連結された片持ち形のドア機構である。そして、吹出口ドア22の板状ドア部222は、その板状ドア部222のドア先端部222aを、ドア軸心CLdよりも下流側空間127側に有している。本実施形態では、吹出口ドア22が、後述のフットモード位置からフェイスモード位置までの作動範囲内において何れの回動位置にあっても、板状ドア部222のドア先端部222aは、ドア軸心CLdよりも下流側空間127側に位置する。
吹出口ドア22の回動位置は、車両用空調ユニット10において択一的に実現される複数の吹出モード毎に定められている。例えば、車両用空調ユニット10の吹出モードは、フットモード、フェイスモード、または、バイレベルモード等に切り替えられる。
フットモードとは、専らフット吹出口131から空調空気を吹き出させる吹出モードである。フェイスモードとは、専らフェイス吹出口132から空調空気を吹き出させる吹出モードである。バイレベルモードとは、フット吹出口131とフェイス吹出口132との双方から空調風を吹き出させる吹出モードである。
例えば、車両用空調ユニット10の吹出モードがフットモードである場合には、吹出口ドア22は、フェイス吹出口132を閉塞し且つフット吹出口131を最大に開放するフットモード位置に位置決めされる。
また、車両用空調ユニット10の吹出モードがフェイスモードである場合には、吹出口ドア22は、フェイス吹出口132を最大に開放し且つフット吹出口131を閉塞するフェイスモード位置に位置決めされる。
また、車両用空調ユニット10の吹出モードがバイレベルモードである場合には、吹出口ドア22は、フェイスモード位置とフットモード位置との間の中間位置であるバイレベルモード位置に位置決めされる。図1および図3〜5では、そのバイレベルモード位置にある吹出口ドア22が表示されている。
上述したように暖風通路125からの暖風と冷風通路126からの冷風とが混合して成る空調空気が空調ケース12から吹き出されるが、グリッド部材24は、その空調空気の温度ばらつき及び車両上下方向DR1における温度差を縮小する目的で設けられている。
そのグリッド部材24は、図3および図5に示すように、ケース通路123のうち冷風通路126と下流側空間127とに跨って配置されている。言い換えれば、グリッド部材24は、空調ケース12内に配置されたケース内配置部材である。図6および図7は、グリッド部材24を単体で示した斜視図である。
図3、6、7に示すように、グリッド部材24は、第1支持部242と、第2支持部243と、暖風トンネル部としてのトンネル部244と、翼部245とを有している。これらの第1支持部242、第2支持部243、トンネル部244、および翼部245は一体に形成されている。例えば、グリッド部材24は樹脂で構成されており、第1支持部242、第2支持部243、トンネル部244、および翼部245は一体成形されている。
第1支持部242は、ケース通路123の空気流れにおいてトンネル部244に対し上流側に連結されており、そのトンネル部244を空調ケース12に対して支持する。第1支持部242は、冷風通路126の一部に形成された窪み126aに入り込むように配置されている。
第1支持部242は、車両幅方向DR3の両側それぞれに突き出た一対のボス242aを有している。第1支持部242は、このボス242aが空調ケース12に設けられた不図示の嵌合穴に嵌め入れられることによって、空調ケース12に対して固定される。
また、翼部245も、第1支持部242のボス242aと同様の一対のボス245eを有している。そして、翼部245は、そのボス245eが空調ケース12に設けられた不図示の嵌合穴に嵌め入れられることによって、空調ケース12に対して固定される。
第2支持部243は、トンネル部244の下側部分に設けられており、そのトンネル部244を空調ケース12に対して支持する。
具体的に、グリッド部材24のトンネル部244の内側には、図4の冷風通路接続方向DRcと交差する向きに貫通したトンネル通路244aが形成されている。そのトンネル通路244aでは、暖風通路125からの暖風が、トンネル通路244aの上流端244bから下流端244cへと、例えば矢印FHtnのように流れる。
また、図3および図6〜11に示すように、トンネル部244は、トンネル通路244aの上流端244bを形成する上流端形成部244dと、トンネル通路244aの下流端244cを形成する下流端形成部244eとを有している。
上流端形成部244dは、車両上下方向DR1での下側に向かって開口している。従って、上流端形成部244dは暖風通路125に対して開口している。
また、下流端形成部244eは、上流端形成部244dに対し反対側を向いて開口している。例えば、下流端形成部244eは、おおよそ上側を向いて開口している。
更に言えば、下流端形成部244eは、下流側空間127のうち、暖風通路125が接続されている暖風通路接続側とは反対側に偏って配置されている。例えば下流側空間127の暖風通路接続側は下側であるので、下流端形成部244eは、下流側空間127の中で上側に偏って配置されている。
トンネル部244は、トンネル通路244a内に設けられたトンネル内リブ244fを有している。そのトンネル内リブ244fは、トンネル通路244a内においてそのトンネル通路244aの下流端244c側に偏って配置されたリブである。トンネル内リブ244fは、例えば図3に示すように、トンネル通路244a内の空気流れに従った向きを向いて形成されている。
また、図3および図6〜11に示すように、トンネル部244は、図4の冷風通路接続方向DRcを長手方向とした扁平断面形状を成している。そして、トンネル部244の上流端形成部244dは、下流側空間127から暖風通路125の下流端部へ入り込むように配置されている。
図3、6、7、11に示すように、グリッド部材24の翼部245は翼形状を成している。詳細には、翼部245は、図4の冷風通路接続方向DRcと暖風通路接続方向DRhとに交差する幅方向としての車両幅方向DR3において、トンネル部244の下流端形成部244eから両側へ拡がるように形成されている。
グリッド部材24のトンネル部244および翼部245は下流側空間127に配置されている。トンネル部244は、図3、6、7、10に示すように、車両幅方向DR3において下流側空間127の全幅の一部を占めている。詳細には、トンネル部244は、車両幅方向DR3において下流側空間127のほぼ中央に配置されている。
その一方で、翼部245は、車両幅方向DR3において下流側空間127の全幅にわたって設けられている。例えば、車両幅方向DR3における翼部245の幅方向一端245aおよび幅方向他端245bはそれぞれ、下流側空間127に面する空調ケース12の内壁面に突き当たっている。
そのため、図5に示すように、翼部245は、下流側空間127を仕切っている。そして、翼部245は、その下流側空間127を仕切ることにより、その下流側空間127内に2つの分割空間127a、127bを形成している。
ここで、上記の下流側空間127が翼部245によって仕切られることには、下流側空間127が完全に仕切られることだけでなく、その仕切られることによって形成される2つの分割空間127a、127bが完全には分離しておらず下流側空間127が大まかに仕切られることも含まれる。
また、上記2つの分割空間127a、127bのうち、下流側空間127にて暖風通路125が接続されている暖風通路接続側に配置された一方の分割空間を第1分割空間127aと呼ぶものとする。また、その2つの分割空間127a、127bのうちの他方の分割空間を第2分割空間127bと呼ぶものとする。すなわち、下流側空間127からトンネル通路244aを除いた空間は、第1分割空間127aと第2分割空間127bとから構成されている。
その第1分割空間127aは、第2分割空間127bに対し翼部245を挟んで下側に配置され、暖風通路125と冷風通路126とドア配置空間128とのそれぞれへ開放されている。また、第2分割空間127bは、グリッド部材24のトンネル通路244aとドア配置空間128とのそれぞれへ開放されている。
なお、第1分割空間127aは、図5および図10に示すように、グリッド部材24のトンネル部244によって車両幅方向DR3に分割されている。すなわち、下流側空間127のうち翼部245に対する下側において、トンネル部244に対し車両幅方向DR3の一方側に形成された空間と他方側に形成された空間との全体が、第1分割空間127aとなっている。
また、第2分割空間127bは、図5に示すように、グリッド部材24の翼部245と空調ケース12とによって楔状に形成されている。すなわち、第2分割空間127bは、図4の冷風通路接続方向DRcでドア配置空間128に近いほど広くなるように形成されている。
そして、グリッド部材24の翼部245は、第2分割空間127bのドア配置空間128側とは反対側を閉じている。すなわち、その翼部245は、車両前後方向DR2における第2分割空間127bの前側を閉じている。
その一方で、翼部245は、車両前後方向DR2における第2分割空間127bの後側を開放している。すなわち、第2分割空間127bは、ドア配置空間128へ開放されている開放端127cを有している。
また、図5および図10に示すように、グリッド部材24の翼部245は、第1分割空間127aと第2分割空間127bとの並び方向DRiである空間並び方向DRiに段差を有する階段形状を成している。この階段形状により、翼部245は、第2分割空間127bを、車両幅方向DR3におけるトンネル部244の下流端形成部244e側ほど空間並び方向DRiに拡げるように形成している。要するに、空間並び方向DRiの第2分割空間127bの幅は、車両幅方向DR3において中央に近いほど大きくなっている。
このように構成された第2分割空間127bにおいて、グリッド部材24の翼部245は、図10の矢印ARa、ARb、ARc、ARdのように、トンネル通路244aの下流端244cから流出する空気を車両幅方向DR3へ拡散させるように案内する。
次に、車両用空調ユニット10の吹出モードがバイレベルモードである場合のドア配置空間128の状態について説明する。
吹出モードがバイレベルモードである場合には、具体的には図3および図5に示すように、吹出口ドア22がフット吹出口131とフェイス吹出口132との両方を開く。その場合には、吹出口ドア22は、図3および図5に示すバイレベルモード位置に位置決めされる。そして、吹出口ドア22は、そのバイレベルモード位置では、フット吹出口131と第1分割空間127aとのそれぞれへ開放されたフット吹出側空間128aと、フェイス吹出口132と第2分割空間127bとのそれぞれへ開放されたフェイス吹出側空間128bとに、ドア配置空間128を仕切る。
なお、上記のドア配置空間128が吹出口ドア22によって仕切られることには、ドア配置空間128が完全に仕切られることだけでなく、その仕切られることによって形成される2つの空間128a、128bが完全には分離しておらずドア配置空間128が大まかに仕切られることも含まれる。本実施形態では図3および図5に示すように、吹出口ドア22は、バイレベルモード位置においてドア配置空間128を大まかに仕切っている。
また、吹出口ドア22のバイレベルモード位置では、板状ドア部222のドア先端部222aの少なくとも一部分は、第2分割空間127bの開放端127cの一部分と翼部245の端縁245cとに対し、ドア軸心CLdの径方向に対向する。例えば、吹出モードがバイレベルモードである場合には、ドア軸心CLdの周方向において板状ドア部222のドア先端部222aの位置が、図10に示す翼部245の階段形状245dの段差位置に合うように、吹出口ドア22は位置決めされる。
次に、空調ケース12内の空気流れについて説明する。図3および図5に示すように暖風通路125と冷風通路126との両方が開いて通風可能である場合、蒸発器16から流出する空気は、暖風通路125と冷風通路126との両方へ流れる。
その暖風通路125に流入した空気は、矢印FH1のようにヒータコア18へ流れる。そして、そのヒータコア18を通過すると共にヒータコア18で加熱された空気(すなわち、暖風)のうちの一部は、矢印FH2aのようにグリッド部材24のトンネル通路244aへ流れる。それと共に、その暖風のうちの残部は、矢印FH2bのように第1分割空間127aへ流れる。
また、冷風通路126に流入した空気は、矢印FC1のように、冷風通路126を通過して、第1分割空間127aへ流れる。このとき、冷風通路126は図4の冷風通路接続方向DRcを向いて第1分割空間127aに接続されているので、冷風通路126からの空気すなわち冷風は、冷風通路接続方向DRcを向いて第1分割空間127aに流入する。
そして、冷風通路126から流入し第1分割空間127aを通過する冷風は、図5の矢印FC2のようにドア配置空間128へ向かって流れる。そのとき、第1分割空間127aにおいて、その矢印FC2のように流れる冷風に対し、矢印FH2bのように第1分割空間127aへ流入する暖風が合流する。例えば図5のM1領域にて、暖風通路125からの暖風と冷風通路126からの冷風とが互いに合流する。
その合流の結果、その暖風と冷風とが混合した冷暖混合風が構成される。すなわち、暖風通路125からの暖風と冷風通路126からの冷風は、第1分割空間127aを通過する過程で冷暖混合風となって、矢印FC2のようにドア配置空間128へ流れ込む。
その一方で、トンネル通路244aへ流入した暖風は、図3の矢印FHtnのように上向きにトンネル通路244aを通過し第2分割空間127bへ向かって流れ込む。そして、第2分割空間127bでは、トンネル通路244aから第2分割空間127bへ流れ込んだ暖風は、図10の矢印ARa、ARb、ARc、ARdのように車両幅方向DR3の両側それぞれへ拡散されつつ、矢印FH3のようにドア配置空間128へ流れ込む。
第2分割空間127bからドア配置空間128へ流れ込んだ暖風は、ドア配置空間128において、第1分割空間127aからドア配置空間128へ流れ込んだ冷暖混合風と合流する。例えば図5のM2領域にて、第2分割空間127bからの暖風と第1分割空間127aからの冷暖混合風とが互いに合流する。そして、その合流後の冷暖混合風は、2つの空気吹出口131、132のうち開いている空気吹出口から車室内へと吹き出される。
すなわち、グリッド部材24は、暖風通路125を流れる暖風を下流側空間127の中で上側寄りに導くと共に、その上側寄りの位置で車両幅方向DR3へ拡散させつつ第1分割空間127aからの冷暖混合風へ合流させるという役割を果たす。
なお、図3および図5に示すように、吹出口ドア22がバイレベルモード位置にある場合には、吹出口ドア22がフェイスモード位置またはフットモード位置にある場合と比較して、ドア配置空間128における第2分割空間127bからの暖風と第1分割空間127aからの冷暖混合風との混合は、吹出口ドア22によって抑制される。例えば、第1分割空間127aからの冷暖混合風は、フェイス吹出口132よりもフット吹出口131へ流れ易い。その一方で、第2分割空間127bからの暖風は、フット吹出口131よりもフェイス吹出口132へ流れ易い。
上述したように、本実施形態によれば、グリッド部材24のトンネル部244および翼部245は下流側空間127に配置されている。また、トンネル部244の上流端形成部244dは暖風通路125に対して開口し、下流端形成部244eは上流端形成部244dに対し反対側を向いて開口している。また、翼部245は、車両幅方向DR3においてトンネル部244の下流端形成部244eから両側へ拡がるように形成され、トンネル通路244aの下流端244cから流出する空気を車両幅方向DR3へ拡散させるように案内する。
従って、トンネル部244および翼部245の作用として、車両用空調ユニット10から吹き出される空気の温度ばらつきを縮小させると共に、吹出し空気に生じ得る車両上下方向DR1の温度差を縮小させることが可能である。
そして、翼部245がトンネル通路244aの下流端244cから流出する空気を車両幅方向DR3へ拡散させる機能を果たすので、例えば細いトンネル通路244aを多数設けて温度ばらつきを縮小させる必要がない。そのため、グリッド部材24を設けることに起因したユニット圧損の増大すなわちグリッド部材24における通風抵抗の増大を抑えることが可能である。
また、本実施形態によれば、グリッド部材24の翼部245は、下流側空間127を仕切ることにより、その下流側空間127内に2つの分割空間127a、127bを形成している。その2つの分割空間127a、127bのうちの一方である第1分割空間127aは、暖風通路125と冷風通路126とドア配置空間128とのそれぞれへ開放されている。また、その2つの分割空間127a、127bのうちの他方である第2分割空間127bは、グリッド部材24のトンネル通路244aとドア配置空間128とのそれぞれへ開放されている。
従って、第2分割空間127bにおいてトンネル通路244aから流出した暖風が拡散することが、冷風通路126からの空気に妨げられ難い。そして、第2分割空間127bで車両幅方向DR3へ拡散する暖風を、ドア配置空間128で、第1分割空間127aからの冷暖混合風へ混合させることが可能である。
また、本実施形態によれば、第2分割空間127bは、冷風通路接続方向DRcでドア配置空間128に近いほど広くなるように形成されている。従って、第2分割空間127bからドア配置空間128へ空気が流れやすく、且つ、ドア配置空間128側とは反対側から第2分割空間127bへ空気が流入しにくいように、第2分割空間127bを形成することが可能である。
また、本実施形態によれば、グリッド部材24の翼部245は、第2分割空間127bのドア配置空間128側とは反対側を閉じている。従って、第2分割空間127bのドア配置空間128側とは反対側から第2分割空間127bへ空気が流入しにくい。
また、本実施形態によれば、翼部245は、第2分割空間127bを、車両幅方向DR3における下流端形成部244e側ほど空間並び方向DRiに拡げるように形成している。従って、車両幅方向DR3において、第2分割空間127bのうちトンネル通路244aが接続している箇所が最も広く、第2分割空間127bは、トンネル通路244aから流出した暖風が拡散する向きに従って徐々に狭められることになる。その結果、その暖風の風流れ性が良好になり通風抵抗の低減を図ることが可能である。
また、本実施形態によれば、翼部245は階段形状を成している。従って、第2分割空間127bを、車両幅方向DR3における下流端形成部244e側ほど空間並び方向DRiに拡げるように形成しつつ、翼部245を単純な形状にすることができる。
また、本実施形態によれば、吹出口ドア22は、フット吹出口131とフェイス吹出口132との両方を開く場合には、フット吹出側空間128aとフェイス吹出側空間128bとにドア配置空間128を仕切る位置に位置決めされる。そして、フット吹出側空間128aは、フット吹出口131と第1分割空間127aとのそれぞれへ開放される。また、フェイス吹出側空間128bは、フェイス吹出口132と第2分割空間127bとのそれぞれへ開放される。従って、第1分割空間127aの空気がフット吹出口131へ流れ易く、且つ、第2分割空間127bの空気がフェイス吹出口132へ流れ易いように、吹出口ドア22を位置決めすることが可能である。
また、本実施形態によれば、吹出口ドア22は、フット吹出口131とフェイス吹出口132との両方を開く場合には、ドア先端部222aの少なくとも一部分が第2分割空間127bの開放端127cの一部分と翼部245の端縁245cとに対向するように位置決めされる。従って、その位置決めされた状態から吹出口ドア22が多少動いたとしても、フェイス吹出側空間128bにおける暖風の混合割合が急変動することを防止することができる。これにより、例えば、フェイス吹出口132から吹き出される空気の温度が急激に下がらないようにし、その吹出し空気温度の急変動に起因した乗員の快適性悪化(すなわち、フィーリング悪化)を防止することが可能である。
また、上述したように翼部245が階段形状を成しているので、翼部245の端縁245cはドア軸心CLdの周方向に、その階段形状の段差に応じた幅を持つことになる。そのため、上記の快適性悪化を防止するという効果を、翼部245が階段形状を成していることとの相乗効果として更に大きく得ることができる。
また、本実施形態によれば、グリッド部材24のトンネル部244は、トンネル通路244a内においてそのトンネル通路244aの下流端244c側に偏って配置されたトンネル内リブ244fを有している。従って、トンネル通路244aから第2分割空間127bへの空気流路の急拡大によって生じ得る空気の剥離渦に起因した風切音または気柱共鳴音を低減することが可能である。
また、本実施形態によれば、トンネル内リブ244fは、トンネル通路244a内の空気流れに従った向きを向いて形成されている。従って、そのトンネル内リブ244fに起因した通風抵抗の増加を抑制することが可能である。
(他の実施形態)
(1)上述の実施形態において、図1に示す車両用空調ユニット10は、具体的には後席用空調ユニットであるが、後席用に限定される必要はなく、車両の何れの箇所に配置されても構わない。例えば車両用空調ユニット10は、車室内前方に配置されインストルメントパネルから空調風を吹き出させる空調ユニットであっても差し支えない。
(2)上述の実施形態において、車両用空調ユニット10は蒸発器16を備えているが、例えば空調ケース12に導入される空気を冷却する必要がない環境で車両用空調ユニット10が使用されるのであれば、蒸発器16は無くても差し支えない。
(3)上述の実施形態において、図6、7、10に示すように、グリッド部材24のトンネル部244は、車両幅方向DR3において下流側空間127のほぼ中央に配置されているが、下流側空間127の端に配置されていても差し支えない。また、トンネル部244は、複数設けられていても差し支えない。トンネル部244の最適位置、トンネル数、およびトンネル幅は、空調空気の温度ばらつき及び車両上下方向DR1における温度差に応じて適宜定められればよい。
(4)上述の実施形態において、グリッド部材24の翼部245は、図10に示すように階段形状を成しており、その段数は左右それぞれで1段ずつであるが、その段数に限定は無い。また、翼部245は階段形状を成していなくてもよい。翼部245の階段形状の高さ、位置、および段数は、空調空気の温度ばらつき及び車両上下方向DR1における温度差に応じて適宜定められればよい。このとき、図5に示す空間並び方向DRiの第2分割空間127bの幅が車両幅方向DR3において中央に近いほど大きくなるのが好ましい。
また、グリッド部材24の翼部245は、階段形状を成さずに、空間並び方向DRiの第2分割空間127bの幅を車両幅方向DR3の中央に近いほど大きくするように、車両上下方向DR1の位置が連続的に変化したものであってもよい。そのようにした場合の翼部245の形状は、空調空気の温度ばらつき及び車両上下方向DR1における温度差に応じて適宜定められればよい。
(5)上述の実施形態において、グリッド部材24の翼部245は、車両幅方向DR3に略対称的な形状を成しているが、翼部245は対称形状であっても非対称形状であってもよい。
(6)上述の実施形態において、吹出口ドア22は、板状ドア部222の一端に回動軸221が設けられる片持ち形の回動ドアであるが、例えば、板状ドア部222の中央に回動軸221が設けられるバタフライドアであっても差し支えない。このことは、エアミックスドア20についても同様である。
なお、本開示は上記した実施形態に限定されるものではない。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。また、上記実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
また、上記実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、トンネル部の上流端形成部は暖風通路に対して開口し、トンネル部の下流端形成部は上流端形成部に対し反対側を向いて開口している。また、翼部は、幅方向において下流端形成部から両側へ拡がるように形成され、トンネル通路の下流端から流出する空気をその幅方向へ拡散させるように案内する。
また、第2の観点によれば、翼部は、第1空間を仕切ることによりその第1空間内に2つの分割空間を形成している。そして、その2つの分割空間のうち、第1空間にて暖風通路が接続されている側に配置された一方の分割空間は、冷風通路と暖風通路と第2空間とのそれぞれへ開放されている。また、その2つの分割空間のうちの他方の分割空間は、トンネル通路と第2空間とのそれぞれへ開放されている。従って、他方の分割空間においてトンネル通路から流出した空気が拡散することが、冷風通路からの空気に妨げられ難い。そして、他方の分割空間で幅方向へ拡散する空気を、第2空間で、冷風通路から一方の分割空間を経た空気へ混合させることが可能である。
また、第3の観点によれば、上記他方の分割空間は、一方向で第2空間に近いほど広くなるように形成されている。従って、他方の分割空間から第2空間へ空気が流れやすく、且つ、第2空間側とは反対側から他方の分割空間へ空気が流入しにくいように、他方の分割空間を形成することが可能である。
また、第4の観点によれば、翼部は、他方の分割空間の第2空間側とは反対側を閉じている。従って、他方の分割空間の第2空間側とは反対側から他方の分割空間へ空気が流入しにくい。
また、第5の観点によれば、翼部は、他方の分割空間を、幅方向における下流端形成部側ほど上記2つの分割空間の並び方向に拡げるように形成している。従って、上記幅方向において、他方の分割空間のうちトンネル通路が接続している箇所が最も広く、他方の分割空間は、トンネル通路から流出した暖風が拡散する向きに従って徐々に狭められることになる。その結果、その暖風の風流れ性が良好になり通風抵抗の低減を図ることが可能である。
また、第6の観点によれば、翼部は階段形状を成している。従って、他方の分割空間を、幅方向における下流端形成部側ほど上記並び方向に拡げるように形成しつつ、翼部を単純な形状にすることができる。
また、第7の観点によれば、第2空間ドアは、第1吹出口と第2吹出口との両方を開く場合には、第1吹出口と一方の分割空間とのそれぞれへ開放された空間と、第2吹出口と他方の分割空間とのそれぞれへ開放された空間とに第2空間を仕切る位置に位置決めされる。従って、一方の分割空間の空気が第1吹出口へ流れ易く、且つ、他方の分割空間の空気が第2吹出口へ流れ易いように、第2空間ドアを位置決めすることが可能である。
また、第8の観点によれば、第2空間ドアは、第1吹出口と第2吹出口との両方を開く場合には、ドア先端部の少なくとも一部分が他方の分割空間の開放端の一部分と翼部の端縁とに対向するように位置決めされる。従って、その位置決めされた状態から第2空間ドアが多少動いたとしても、第2吹出口と他方の分割空間とのそれぞれへ開放された上記空間における暖風の混合割合が急変動することを防止することができる。これにより、例えば、第2吹出口から吹き出される空気の温度が急激に下がらないようにし、その吹出し空気温度の急変動に起因した乗員の快適性悪化を防止することが可能である。
第8の観点によればこのような効果を得られるが、上述の第6の観点として示したように翼部が階段形状を成していれば、翼部の端縁はドア軸心の周方向に、その階段形状の段差に応じた幅を持つことになる。そのため、上記の快適性悪化を防止するという効果を、第6の観点と第8の観点との相乗効果として更に大きく得ることができる。
また、第9の観点によれば、トンネル部は、トンネル通路内においてそのトンネル通路の下流端側に偏って配置されたリブを有している。従って、トンネル通路から他方の分割空間への空気流路の急拡大によって生じ得る空気の剥離渦に起因した風切音または気柱共鳴音を低減することが可能である。
また、第10の観点によれば、上記リブは、トンネル通路内の空気流れに従った向きを向いて形成されている。従って、そのリブに起因した通風抵抗の増加を抑制することが可能である。

Claims (10)

  1. 車室内の空調を行う車両用空調ユニット(10)であって、
    加熱器(18)で加熱されて空気が流れる暖風通路(125)、該加熱器を迂回して空気が流れる冷風通路(126)、前記暖風通路の空気流れ下流側かつ前記冷風通路の空気流れ下流側に設けられ該暖風通路と該冷風通路とがそれぞれ接続されている第1空間(127)、および、該第1空間に接続されている第2空間(128)が形成された空調ケース(12)と、
    前記空調ケース内に配置されたケース内配置部材(24)とを備え、
    前記冷風通路は、一方向(DRc)を向いて前記第1空間に接続され、
    前記暖風通路は、前記一方向と交差する他方向(DRh)を向いて前記第1空間に接続され、
    前記第2空間は、前記第1空間に対し前記冷風通路側とは反対側に接続され、
    前記第1空間から流出した空気は前記第2空間を介して前記車室内へ吹き出され、
    前記ケース内配置部材は、前記一方向と交差する向きに貫通したトンネル通路(244a)が形成されたトンネル部(244)と、翼形状を成す翼部(245)とを有し、
    前記トンネル部および前記翼部は前記第1空間に配置され、
    前記トンネル部は、前記トンネル通路の上流端(244b)を形成する上流端形成部(244d)と、前記トンネル通路の下流端(244c)を形成する下流端形成部(244e)とを有し、
    前記上流端形成部は前記暖風通路に対して開口し、
    前記下流端形成部は前記上流端形成部に対し反対側を向いて開口し、
    前記翼部は、前記一方向と前記他方向とに交差する幅方向(DR3)において前記下流端形成部から両側へ拡がるように形成され、前記トンネル通路の下流端から流出する空気を前記幅方向へ拡散させるように案内する車両用空調ユニット。
  2. 前記翼部は、前記第1空間を仕切ることにより該第1空間内に2つの分割空間(127a、127b)を形成し、
    前記2つの分割空間のうち、前記第1空間にて前記暖風通路が接続されている側に配置された一方の分割空間(127a)は、前記冷風通路と前記暖風通路と前記第2空間とのそれぞれへ開放され、
    前記2つの分割空間のうちの他方の分割空間(127b)は、前記トンネル通路と前記第2空間とのそれぞれへ開放されている請求項1に記載の車両用空調ユニット。
  3. 前記他方の分割空間は、前記一方向で前記第2空間に近いほど広くなるように形成されている請求項2に記載の車両用空調ユニット。
  4. 前記翼部は、前記他方の分割空間の前記第2空間側とは反対側を閉じている請求項2または3に記載の車両用空調ユニット。
  5. 前記翼部は、前記他方の分割空間を、前記幅方向における前記下流端形成部側ほど前記2つの分割空間の並び方向(DRi)に拡げるように形成している請求項2ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調ユニット。
  6. 前記翼部は階段形状を成している請求項5に記載の車両用空調ユニット。
  7. 前記第2空間内に設けられた第2空間ドア(22)を備え、
    前記空調ケースには、前記車室内へ空気を吹き出す第1吹出口(131)および第2吹出口(132)が形成されており、
    前記第2空間ドアは、
    前記第1吹出口または前記第2吹出口を開閉するドアであり、
    前記第1吹出口と前記第2吹出口との両方を開く場合には、前記第1吹出口と前記一方の分割空間とのそれぞれへ開放された空間(128a)と、前記第2吹出口と前記他方の分割空間とのそれぞれへ開放された空間(128b)とに前記第2空間を仕切る位置に位置決めされる請求項2ないし6のいずれか1つに記載の車両用空調ユニット。
  8. 前記他方の分割空間は、前記第2空間へ開放されている開放端(127c)を有し、
    前記第2空間ドアは、前記幅方向に沿ったドア軸心(CLd)まわりに回動する平板状の板状ドア部(222)を有し、
    前記板状ドア部は、前記ドア軸心よりも前記第1空間側にドア先端部(222a)を有し、
    前記第2空間ドアは、前記第1吹出口と前記第2吹出口との両方を開く場合には、前記ドア先端部の少なくとも一部分が前記開放端の一部分と前記翼部の端縁(245c)とに対向するように位置決めされる請求項7に記載の車両用空調ユニット。
  9. 前記トンネル部は、前記トンネル通路内において該トンネル通路の下流端側に偏って配置されたリブ(244f)を有している請求項1ないし8のいずれか1つに記載の車両用空調ユニット。
  10. 前記リブは、前記トンネル通路内の空気流れに従った向きを向いて形成されている請求項9に記載の車両用空調ユニット。
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