JPWO2017110855A1 - モータの診断方法及びこれを用いた電力変換装置 - Google Patents

モータの診断方法及びこれを用いた電力変換装置 Download PDF

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Abstract

モータの状態を診断する診断方法は、モータの回転速度が0となる非回転電圧信号に基づいてモータに印加する印加ステップと、非回転電圧信号を印加したモータに供給される電流を計測する計測ステップとを含む。この診断方法は、計測ステップにより計測されるモータの電流に基づいてモータの電気特性を演算する演算ステップと、演算ステップにより演算されるモータの電気特性と非回転電圧信号に関するパラメータとに基づいてモータの異常を判定する判定ステップとを含む。

Description

この発明は、モータの状態を診断する診断方法及びこれを用いた電力変換装置に関する。
JP2012−23813Aには、モータの回転数が所定値を超えるときは、モータの故障ありと判定する診断装置が開示されている。
上述のような診断装置において、モータの故障を診断するにはモータ自身が回転していなければならない。そのため、モータが回転できない状態や、モータが回転できる状態か否かが不明な状態において、モータの状態を診断するためにモータを回転駆動させようとすると、制御装置の負荷が大きくなってしまい、故障の原因となるという問題がある。
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、モータの回転が停止した非回転状態であってもモータを診断することが可能な診断方法及びこれを用いた電力変換器を提供することを目的とする。
本発明のある態様によれば、モータの状態を診断する診断方法は、前記モータの回転速度が0となる非回転電圧信号に基づいて前記モータに電圧を印加する印加ステップと、前記印加ステップによって電圧が印加された前記モータに供給される電流を計測する計測ステップと、を含む。そしてモータの診断方法は、前記計測ステップにより計測される前記モータの電流に基づいて、前記モータの電気特性を演算する演算ステップと、前記演算ステップにより演算される前記モータの電気特性と、前記非回転電圧信号に関するパラメータとに基づいて、前記モータの異常を判定する判定ステップと、を含む。
図1は、本発明の第1実施形態における電力変換装置に関する構成例を示すブロック図である。 図2は、本実施形態におけるモータに関するdq軸座標系モデルの一例を説明するモデル図である。 図3は、モータの等価回路の構成を示す回路図である。 図4Aは、モータが非回転状態となる非回転電圧波形の一例を示す波形図である。 図4Bは、モータが回転しているときの一般的な電圧指令波形を例示する波形図である。 図5は、本実施形態における電流制御器の構成例を示すブロック図である。 図6は、モータの内部状態を診断するモータ診断処理部の構成例を示すブロック図である。 図7は、モータの電気定数に基づき位相角βを演算する演算手法を説明する図である。 図8は、非回転状態におけるモータの特性を診断する診断方法の一例を示すフローチャートである。 図9は、モータの磁気特性を診断する磁気特性診断処理の一例を示すフローチャートである。 図10は、本発明の第2実施形態におけるモータの診断方法の一例を示すフローチャートである。 図11は、回転状態におけるモータの特性を診断する回転診断処理の一例を示すフローチャートである。 図12は、本発明の第3実施形態におけるモータ診断処理部の構成例を示すブロック図である。 図13は、本実施形態におけるモータの回転診断処理の一例を示すフローチャートである。 図14は、モータの回転診断処理で実行される磁石異常判定処理の一例を示すフローチャートである。 図15は、本発明の第4実施形態におけるモータの回転診断処理の一例を示すフローチャートである。 図16は、本発明の第5実施形態におけるモータの診断方法の一例を示すフローチャートである。 図17は、本発明の第6実施形態におけるモータの診断方法を用いて診断可能なモータモデルの他の例を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における電力変換装置に関する構成例を示すブロック図である。
電力変換装置100は、電源から供給される電力を変換してモータに供給する電力供給装置であり、例えば、ハイブリッド自動車や電動自動車などに搭載される電力変換器である。本実施形態では、電力変換装置100は、電源101からモータ102に供給される直流電力を交流電力に変換する。
電源101は、モータ102に電力を供給するものである。電源101は、例えば、バッテリ又は燃料電池により実現される。電源101に用いられるバッテリとしては、リチウムイオン電池などが挙げられる。
モータ102は、交流電力によって駆動する交流モータである。モータ102は、例えば、永久磁石モータや誘導モータなどの同期モータにより実現される。本実施形態のモータ102は、巻線が設けられた固定子と、永久磁石が埋め込まれた回転子とによって構成されるIPM(Interior Permanent Magnet)モータである。
電力変換装置100は、ベクトル制御器1と、電流制御器2と、dq軸/uvw相変換器3と、電圧形インバータ4と、電流検出器5u、5v及び5wと、uvw相/dq軸変換器6と、回転子位置検出器7と、回転速度演算器8と、を含む。
ベクトル制御器1は、モータ102に発生するトルクを制御するために、互いに直交する2軸の座標系を用いてモータ102に供給すべき電力を制御するベクトル制御を実行する。なお、d軸は磁石方向の成分を示す軸であり、q軸はトルク方向の成分を示す軸である。
ベクトル制御器1は、不図示のコントローラからモータ102の駆動力を決定するトルク指令値T*を取得する。なお、不図示のコントローラでは、車両の運転状態に応じてトルク指令値T*が算出される。例えば、車両に設けられたアクセルペダルの踏込み量が大きくなるほどトルク指令値T*は大きくなる。
ベクトル制御器1は、モータ102に対するトルク指令値T*と、モータ102の回転速度ωeとに基づいて、モータ102に供給すべき電流指令ベクトル、本実施形態ではd軸電流指令値id *及びq軸電流指令値iq *を演算する。例えば、ベクトル制御器1は、磁石トルクとリアクタンストルクとを用いてモータ102に発生するトルクが最大となるように電流指令ベクトルを制御する最大トルク制御を実行する。
さらに、ベクトル制御器1は、モータ102に供給される電流のd軸成分(d軸電流)とq軸成分(q軸電流)との間で生じる干渉成分が抑制されるように、電流指令ベクトルを制御する非干渉制御を実行する。また、ベクトル制御器1は、モータ102の高速回転領域において、モータ102に生じる誘起電圧が抑制されるようにd軸電流を制御する弱め界磁制御を実行する。
本実施形態では、モータ102のトルク指令値T*及び回転速度ωeで特定される運転点ごとに、d軸電流指令値及びq軸電流指令値を互いに対応付けたベクトル制御マップがベクトル制御器1に予め記憶される。このベクトル制御マップは、実験データやシミュレーションなどにより適宜設定される。
ベクトル制御器1は、モータ102に対するトルク指令値T*と回転速度ωeとを取得すると、上述のベクトル制御マップを参照し、トルク指令値T*及び回転速度ωeで特定された運転点において対応付けられたd軸電流指令値id *及びq軸電流指令値iq *を算出する。ベクトル制御器1は、d軸電流指令値id *及びq軸電流指令値iq *を電流制御器2に出力する。
電流制御器2は、ベクトル制御器1から出力された電流指令ベクトルに対し、電圧形インバータ4からモータ102に供給される電流に関する電流ベクトルをフィードバックして電圧指令ベクトルを生成する。
本実施形態では、電流制御器2は、モータ102のd軸電流指令値id *とd軸電流検出値idとの偏差がゼロに収束するようにd軸電圧指令値vd *を演算する。また、電流制御器2は、q軸電流指令値iq *とq軸電流検出値iqとの偏差がゼロに収束するように、q軸電圧指令値vq *を演算する。電流制御器2は、算出したd軸電圧指令値vd *及びq軸電圧指令値vq *をdq軸/uvw相変換器3に出力する。
dq軸/uvw相変換器3は、次式(1)のように、モータ102の電気角θに基づいて、d軸電圧指令値vd *及びq軸電圧指令値vq *を、三相の電圧指令値であるU相電圧指令値vu *、V相電圧指令値vv *及びW相電圧指令値vw *に変換する。dq軸/uvw相変換器3は、三相の電圧指令値vu *、vv *及びvw *を電圧形インバータ4に出力する。
Figure 2017110855
電圧形インバータ4は、電源101から出力される直流電力を3相の交流電力に変換する電力変換器である。電圧形インバータ4は、三相の電圧指令値vu *、vv *及びvw *に基づき電源101の電圧をパルス幅変調(PWM)制御することにより、三相の交流電圧vu、vv及びvwを生成する。
例えば、電圧形インバータ4は、各相に対応する一対のスイッチング素子を備え、各相の電圧指令値vu *、vv *及びvw *に基づき生成されるデューティ指令値をキャリア信号と比較して各相のPWM信号を生成する。電圧形インバータ4は、各相ごとに生成したPWM信号に基づいて一対のスイッチング素子を駆動するための駆動信号を生成する。
生成された駆動信号に基づいて一対のスイッチング素子がスイッチング制御されるため、電源101の直流電圧が三相の擬似交流電圧vu、vv、及びvwに変換されてモータ102に印加される。これにより、電源101からモータ102における各相の巻線に対して交流電流iu、iv及びiwが供給されることになる。
電流検出器5u、5v及び5wは、電圧形インバータ4からモータ102に供給されるU相電流iu、V相電流iv、及びW相電流iwをそれぞれ検出する。
電流検出器5uは、電圧形インバータ4とモータ102のU相巻線との間を接続したU相電力線に接続され、電流検出器5vは、電圧形インバータ4とモータ102のV相巻線との間を接続したV相電力線に接続される。電流検出器5wは、電圧形インバータ4とモータ102のW相巻線との間を接続したW相電力線に接続される。電流検出器5u、5v及び5wは、検出した三相の交流電流iu、iv及びiwをuvw相/dq軸変換器6に出力する。
uvw相/dq軸変換器6は、次式(2)に示すように、モータ102の電気角θに基づいて、三相の交流電流iu、iv及びiwをd軸電流検出値id及びq軸電流検出値iqに変換する。
Figure 2017110855
uvw相/dq軸変換器6は、d軸電流検出値id及びq軸電流検出値iqを電流制御器2に出力する。なお、電流検出器5u、5v及び5wのうちのいずれか1つの検出器を省略し、次式(3)の関係を利用してd軸電流検出値id及びq軸電流検出値iqを算出するようにしてもよい。
Figure 2017110855
回転子位置検出器7は、モータ102に設けられ、モータ102の回転子位置を所定の周期で検出し、その検出値に基づいて回転子の電気角θを算出する。回転子位置検出器7は、例えばレゾルバや、パルスエンコーダなどによって実現される。回転子位置検出器7は、算出した回転子の電気角θを、dq軸/uvw相変換器3とuvw相/dq軸変換器6と回転速度演算器8とにそれぞれ出力する。
回転速度演算器8は、回転子位置検出器7からの電気角θに基づいて、今回の電気角θと前回の電気角との差分、すなわち単位時間あたりの電気角θの変化量を算出する。回転速度演算器8は、その電気角θの変化量からモータ102の回転速度ωeを算出し、その回転速度ωeをベクトル制御器1に出力する。
次に、モータ102におけるdq軸座標系のモータモデルについて説明する。
図2は、本実施形態におけるモータ102の構成をdq軸座標系でモデル化したモータモデルの一例を示す図である。
図2に示したモータモデルにおいて、Ldはd軸インダクタンスであり、Lqはq軸インダクタンスであり、Rは電機子巻線抵抗であり、ωeは電気角速度である。なお、モータ102はIPMモータであるため、q軸インダクタンスLqはd軸インダクタンスLdに比べて小さくなる(Ld≫Lq)。
そして、Keは誘起電圧定数であり、pはモータ102の極対数であり、Ktは、極対数pを2で除した値に誘起電圧定数Keを乗算した値である。さらに、Krtは、極対数pを2で除した値と、d軸インダクタンスLdからq軸インダクタンスLqを減算した値と、を乗算した値である。また、Tはトルクであり、Jは慣性モーメントであり、sはラプラス演算子であり、Dは摩擦係数であり、ωmは機械角速度であり、θmは機械角である。なお、TLは外乱トルクである。
図2に示すように、点線部分はq軸電流及びd軸電流の両者によって相互に生じるdq軸干渉成分をモデル化した箇所である。この点線部分の電気パラメータの値が分かれば、線形方程式を用いてdq軸干渉成分が相殺されるようにd軸電圧指令値vd *及びq軸電圧指令値vq *の補償量を演算することが可能となる。
すなわち、d軸インダクタンスLdの値とq軸インダクタンスLqの値とが推定できれば、干渉成分を相殺する補償量をあらかじめ求めることができ、これによってモータ102の状態方程式を線形化することができる。一般的には、非干渉制御により、d軸補償量及びq軸補償量が算出されてd軸電圧指令値vd *及びq軸電圧指令値vq *に加味されることでdq軸干渉成分が相殺される。
このため、点線部分における電気パラメータの値を推定し、その推定値を、非干渉制御用のパラメータに設定することにより、dq軸干渉成分が相殺されることになるので、点線部分を無視したモータモデルを前提としたトルク制御を実行することが可能となる。このような制御方法においては、永久磁石の位置ずれや減磁などが原因で点線部分における電気パラメータの推定値の誤差が大きくなると、モータ102の制御が不安定になることが懸念される。
そこで、モータ102に供給される電流の検出値を用いて電気パラメータを計測することにより、モータ102の内部状態を診断することが可能となる。しかしながら、モータ102の回転が停止した非回転状態では、電圧形インバータ4の動作が停止してモータ102が非通電状態となるので、モータ102の電流検出値が0(ゼロ)になり、モータ102の内部状態を診断することが困難となる。
この対策として本実施形態では、モータ102が非回転状態であっても、モータ102の回転速度指令値ωe *がゼロ(0)となる非回転電圧信号に基づいて、電圧形インバータ4を作動させることにより、モータ102に通電する。これにより、モータ102の電流検出値を用いてモータ102の状態を診断することができるようになる。
図3は、モータ102が非回転状態であるときのT型回路モデルを示す回路図である。
図3に示した回路図において、L1はモータ102における1次側の固定子インダクタンスであり、R1は固定子抵抗である。また、L2’は2次側の回転子インダクタンスを1次側のインダクタンス値に換算した値であり、R2’は回転子抵抗を1次側の抵抗値に換算した値である。
そして、M’(=Ld)は、相互インダクタンスを1次側のインダクタンス値に換算した値である。モータ102の回転速度指令値ωe *がゼロとなる非回転状態では、相互インダクタンスへの経路がない回路構成となる。
このため、非回転状態では、固定子インダクタンスL1と回転子インダクタンスの1次側換算値L2’との和である電気定数Lσと、固定子抵抗R1と回転子抵抗の1次側換算値R2’との和である電気定数Rσを監視することで、モータ102を診断することが可能となる。
次に、モータ102が非回転状態となる三相の非回転電圧波形を生成する手法について簡単に説明する。
図4Aは、モータ102が非回転状態となる三相の非回転電圧波形の一例を示す図である。図4Bは、モータ102が回転状態であるときの三相交流電圧波形の一例を示す図である。
モータ102に電圧を印加した状態でモータ102を非回転状態にするには、次式(4)で表わされるdq軸/uvw相の変換式において、q軸電圧指令値vq *が0となるように、三相の電圧指令値vu *、vv *及びvw *を設定する必要がある。
Figure 2017110855
例えば、上式(4)のq軸電圧指令値vq *に0を代入することにより、次式(5)のように、d軸電圧指令値vd *に基づいて三相の電圧指令値vu *、vv *及びvw *が設定される。
Figure 2017110855
上式(5)に示すように、V相電圧指令値vv *及びW相電圧指令値vw *の大きさは、U相電圧指令値vu *に対して半分(1/2)に設定すればよい。そして、次式(6−1)に示すような正弦波信号を式(5)のd軸電圧指令値vd *に代入すると、V相電圧指令値vv *及びW相電圧指令値vw *の位相については同一に設定し、かつ、式(6−2)に示すようにU相電圧指令値vu *からπrad(180°)ずらすように設定すればよい。
Figure 2017110855
このため、d軸電圧指令値vd *に単相交流励磁波形(Cid×sinωt)を入力した場合には、図4Aに示すように、1相の通電に対して他の2相の通電については振幅を半分にして位相を180°ずらした波形が生成される。これにより、モータ102における3相の平均電圧Vは0Vとなり、かつ、回転速度指令値ωe *は0rad/sとなるので、モータ102を非回転状態に維持することができる。
このようにすれば、モータ102が非回転状態であっても、モータ102に供給される電流を検出することが可能となり、この検出値を用いてモータ102の内部状態を把握することが可能となる。
図5は、本実施形態における電流制御器2の構成例を示すブロック図である。
図5では、便宜上、dq軸/uvw相変換器3及び電圧形インバータ4及びuvw相/dq軸変換器6を省略している。また、電流制御器2では、ベクトル制御器1によって非干渉制御が行われたd軸電流指令値id *及びq軸電流指令値iq *が入力されることを想定している。このため、モータ102のモデルにおいては、図2に示した点線部分のdq軸干渉成分が省略されている。
電流制御器2は、d軸電流FB演算器21と、d軸コントローラ22と、q軸電流FB演算器23と、q軸コントローラ24と、モータ診断処理部200とを含む。
d軸電流FB演算器21は、モータ102の内部状態を計測するために、モータ102に供給される電流のd軸成分をd軸電流指令値id *にフィードバックする。具体的には、d軸電流FB演算器21は、d軸電流指令値id *からd軸電流検出値idを減じたd軸電流偏差を演算する。d軸電流FB演算器21は、そのd軸電流偏差をd軸コントローラ22に出力する。
d軸コントローラ22及びq軸コントローラ24は、モータ102の内部状態を診断するために、モータ102が非回転状態となる非回転電圧指令信号を生成する。
本実施形態では、d軸コントローラ22は、式(6−1)に示した非回転診断用のd軸電圧指令値vd *を生成する。d軸コントローラ22は、生成した非回転診断用のd軸電圧指令値vd *をdq軸/uvw相変換器3に出力する。
q軸電流FB演算器23は、q軸電流指令値iq *からq軸電流検出値iqを減じたq軸電流偏差を演算する。q軸電流FB演算器23は、そのq軸電流偏差をq軸コントローラ24に出力する。
q軸コントローラ24は、モータ102が非回転状態となるように非回転診断用のq軸電圧指令値vq *を生成してdq軸/uvw相変換器3に出力する。これにより、dq軸/uvw相変換器3から出力される三相の電圧指令値vu *、vv *及びvw *に基づいて電圧形インバータ4からモータ102に非回転電圧のd軸成分vd及びq軸成分vqが印加される。
モータ診断処理部200は、図4Aに示した3相の非回転電圧を電圧形インバータ4によりモータ102に印加した状態においてモータ102に供給される電流の検出値に基づいて、モータ102の内部状態を診断する診断部を構成する。
本実施形態では、モータ診断処理部200は、d軸コントローラ22からのq軸電圧指令値vq *と、uvw相/dq軸変換器6からのd軸電流検出値idと、d軸電流FB演算器21からのd軸電流偏差とを用いて、モータ102のリアクタンス成分や抵抗成分などの電気特性を診断する。モータ診断処理部200は、診断結果を不図示のコントローラに送信する。
図6は、モータ診断処理部200の詳細構成の一例を示すブロック図である。
ここでは、本実施形態のモータ102がIPMモータであることから、d軸インダクタンスLdに対してq軸インダクタンスLqは小さいため、d軸インダクタンスLdを電気定数Lσ(=√(Ld 2+Lq 2))とみなし、電機子抵抗Rを電気定数Rσとなしている。
モータ診断処理部200は、非回転電圧波形設定部201と、伝達関数202と、位相角演算部203と、絶縁異常判定部211と、磁石異常判定部212と、磁石異常警告部213とを含む。
非回転電圧波形設定部201は、d軸コントローラ22及びq軸コントローラ24によって生成される非回転電圧信号として、非回転診断用のd軸電圧指令値vd *及びq軸電圧指令値vq *の波形を設定する。例えば、非回転電圧波形設定部201は、非回転電圧信号の振幅や、角周波数、位相角などを設定する。
非回転電圧波形設定部201は、d軸コントローラ22から出力される非回転診断用のd軸電圧指令値vd *に関するパラメータとして、電圧指令値vd *の角周波数ωnon及び振幅Cidを設定する。また、非回転電圧波形設定部201は、非回転診断用の電圧指令値vd *によって規定される電気角の設定値β*を算出し、その設定値β*を絶縁異常判定部211及び磁石異常判定部212に出力する。
伝達関数202は、d軸電流検出値idを入力し、次式(7)のようにフィルタ処理を施すことにより、d軸電圧検出値vdを出力する。
Figure 2017110855
ここで、式(7)で示したd軸電圧検出値vdと、式(6−1)で示したd軸電圧指令値vd *とが互いに等しいとみなしてモータ102の定常状態を計算すると、次の式(8−1)及び式(8−2)のように電気定数ωnonLσ及びRσを導出することができる。
Figure 2017110855
なお、Tは積分周期であり、例えば、角周波数ωnonに基づいて設定される。
位相角演算部203は、上式(8−1)及び(8−2)に従って、モータ102の電気定数ωnonLσ及びRσを演算する。そして、位相角演算部203は、所定のサンプリング周期で電気定数ωnonLσ及びRσを演算することにより、次式(9)のように電流位相ωnontを算出する。
Figure 2017110855
ここで、図7に示すように、電流位相ωnontは位相角βとみなせるので、位相角演算部203は、電流位相ωnontを位相角の計測値βとして絶縁異常判定部211に出力する。
絶縁異常判定部211は、モータ102のd軸電流検出値idに基づいて、モータ102に形成された巻線の絶縁状態を判定する。
絶縁異常判定部211は、非回転電圧波形設定部201から電気角の設定値β*を取得し、位相角演算部203から電気角の計測値βを取得する。そして、絶縁異常判定部211は、電気角の設定値β*と計測値βとの差分の絶対値が所定の規定値よりも小さいか否かを判断する。規定値は、正常時において偏差の許容範囲の上限値であり、例えば、0を基準に誤差等を考慮した固定値を加味して設定される。
絶縁異常判定部211は、電気角の設定値β*と計測値βとの差分の絶対値が規定値以上である場合には、モータ102が絶縁異常であると判定する。このように判定する理由は、モータ102の内部で電気的な短絡が発生すると、モータ102のリアクタンス成分、又は抵抗成分が小さくなるため、位相角の計測値βが大きく変動するからである。
一方、絶縁異常判定部211は、電気角の設定値β*と計測値βとの差分の絶対値が規定値よりも小さい場合には、モータ102には絶縁異常が生じていないと判定する。絶縁異常判定部211は、判定結果を不図示のコントローラに送信する。
このように、正常時における電気角の設定値β*と、位相角演算部203で算出された計測値βとを比較することにより、モータ102の電気的な絶縁不良を判定することができる。すなわち、モータ102に非回転電圧を印加してモータ102に供給される電流を検出することにより、モータ102の電気特性の異常を判断することができる。
磁石異常判定部212は、モータ102のd軸電流検出値idに基づいて、モータ102の磁気特性の異常を判定する。
磁石異常判定部212は、位相角演算部203から位相角の計測値βを取得し、次式(10−1)及び(10−2)を用いて、d軸インダクタンスLd及びq軸インダクタンスLqを算出する。
Figure 2017110855
なお、電気定数Lσには、固定子インダクタンスL1が含まれていないため、厳密にはLd≒Lσsinβ、Lq≒Lσsinβとなる。ただし、磁石異常判定部212は計測パラメータの変動量に基づいてモータ102の異常を診断するものであることから、上述の式(10−1)及び(10−2)を用いてd軸インダクタンスLd及びq軸インダクタンスLqを算出するようにしても診断精度に与える影響は軽微である。
そして、磁石異常判定部212は、算出したd軸インダクタンスLdに基づいて、誘起電圧定数の計測値に関する周波数特性Ke(ωnon)を算出する。
次式(11)の関係から、d軸インダクタンスLdと、非回転診断用のq軸電圧指令値vq *と、その角周波数の設定値ωnon *と、d軸電流検出値id及びq軸電流検出値iqとを用いることで、誘起電圧定数Keを計測することができる。なお、Aは定数である。
Figure 2017110855
本実施形態では、磁石異常判定部212は、非回転電圧波形設定部201から角周波数の設定値ωnonを取得し、q軸コントローラ24から非回転診断用のq軸電圧指令値vq *を取得し、d軸電流検出値id及びq軸電流検出値iqを取得する。そして、磁石異常判定部212は、式(12)のように、d軸インダクタンスLdと、非回転診断用のq軸電圧指令値vq *と、その角周波数の設定値ωnon *と、d軸電流検出値id及びq軸電流検出値iqとを用いて誘起電圧定数の計測値Keを算出する。
Figure 2017110855
磁石異常判定部212は、誘起電圧定数の計測値Keを算出すると、d軸電圧指令値vd *における角周波数の設定値ωnon *が所定のステップ幅で増加又は減少するように、非回転電圧波形設定部201による角周波数ωnon *の設定値を変更する。磁石異常判定部212は、角周波数の設定値ωnon *が変更されるたびに誘起電圧定数の計測値Keを算出することにより、誘起電圧定数の計測値に関する周波数特性Ke(ωnon)を演算する。
磁石異常判定部212は、誘起電圧定数の設定値に関する周波数特性Ke(ωnon*を取得し、誘起電圧定数について設定値の周波数特性Ke(ωnon*と計測値の周波数特性Ke(ωnon)との差分(偏差)を求める。
磁石異常判定部212は、角周波数ωnonごとに、誘起電圧定数の設定値Ke *と計測値Keとの偏差の絶対値を算出し、算出した各角周波数ωnonでの偏差の絶対値の和をとる。そして、磁石異常判定部212は、次式(13)のように、誘起電圧定数Keの偏差の絶対値の和が所定の第2の規定値Dth2よりも大きいか否かを判断する。ここにいう規定値は、正常時における偏差の変動量を考慮して決定されるものであり、例えば、誤差等を加味した値に設定される。
Figure 2017110855
そして、磁石異常判定部212は、誘起電圧定数Keの偏差の絶対値が第2の規定値Dth2以上である場合には、モータ102の永久磁石に異常があると判定する。一方、磁石異常判定部212は、誘起電圧定数Keの偏差の絶対値が第2の規定値Dth2よりも小さい場合には、モータ102の永久磁石に異常はないと判定する。磁石異常判定部212は、その判定結果を不図示のコントローラに送信する。
このように、誘起電圧定数について設定値の周波数特性Ke(ωnon*に対する計測値の周波数特性Ke(ωnon)の変動量を求めることにより、モータ102の電気的あるいは磁気的な特性の異常を判定することができる。なお、上述の誘起電圧定数Keの演算処理と同様、モータ102の位相角について設定値の周波数特性β(ωnon*と計測値の周波数特性β(ωnon)とを比較することにより、モータ102の磁気特性の異常を判定するようにしてもよい。
磁石異常警告部213は、d軸電流指令値id *とd軸電流検出値idとに基づいて、モータ102の磁気特性に異常の可能性があることを警告する。
本実施形態の磁石異常警告部213は、d軸電流FB演算器21からのd軸電流偏差に基づいて、モータ102の磁気特性に異常がある可能性が高いか否かを判断する。例えば、磁石異常警告部213は、d軸電流偏差が所定の規定値よりも小さい場合には、モータ102の磁気特性に異常はないと判断する。
一方、d軸電流偏差が規定値以上である場合には、磁石異常警告部213は、モータ102の磁気特性に異常がある可能性が高いと判断する。このように判断する理由は、d軸電流偏差はq軸インダクタンスLqに対するd軸インダクタンスLdの比(Ld/Lq)に対して相関があり、d軸電流偏差が大きくなるほど磁気特性に異常がある可能性が高くなるからである。磁石異常警告部213は、磁気特性に異常がある可能性が高いと判断した場合には、その旨を示す警告情報を不図示のコントローラに送信する。
図8は、モータ診断処理部200によるモータ102の内部状態を診断する診断方法に関する処理手順例を示すフローチャートである。
ステップS901においてモータ診断処理部200は、モータ102の回転速度指令値ωe *が0になったか否かを判断する。すなわち、モータ診断処理部200は、モータ102の回転が停止した非回転状態になったか否かを判断する。この例では回転速度指令値ωe *を用いてモータ102が非回転状態になったか否かを判断したが、回転速度演算器8によって算出される検出値ωeを用いるようにしてもよい。
ステップS902においてモータ診断処理部200は、非回転電圧指令信号の角周波数ωnon *及び振幅Cid及びCiqを設定する。
本実施形態のモータ診断処理部200は、式(6−1)に示した非回転診断用のd軸電圧指令値vd *の角周波数ωnon *及び振幅Cidを所定の値に設定するとともに、非回転診断用のq軸電圧指令値vq *を、例えば0(ゼロ)Vに設定する。
ステップS903において電圧形インバータ4は、非回転診断用のd軸電圧指令値vd *に基づいて、図4Aに示した三相の交流電圧を非回転電圧としてモータ102に印加する。
ステップS904乃至S908においてモータ診断処理部200は、非回転電圧信号を印加したモータ102に対して供給される電流に基づいてモータ102の電気特性を診断する電気特性診断処理を実行する。
ステップS904においてモータ診断処理部200は、uvw相/dq軸変換器6からモータ102のd軸電流検出値idを取得し、d軸電流検出値idに基づき、式(7)に従ってd軸電圧検出値vdを算出する。モータ診断処理部200は、算出したd軸電圧検出値vdと、式(6−1)に示したd軸電圧指令値vd *とに基づき、式(8−1)及び式(8−2)に従って電気定数ωnonLσ及びRσを算出する。
ステップS905においてモータ診断処理部200は、算出した電気定数ωnonLσ及びRσに基づき、式(9)に従って位相角の計測値βを算出する。
ステップS906においてモータ診断処理部200は、非回転電圧指令信号v*によって規定される位相角の設定値β*を取得する。
ステップS907においてモータ診断処理部200は、位相角の設定値β*と計測値βとの差分(位相角βの偏差)の絶対値が第1の規定値Dth1よりも小さいか否かを判断する。第1の規定値Dth1は、正常時における偏差の変動量を考慮して決定されるものであり、例えば、0を基準に誤差等を加味した値に設定される。
ステップS908においてモータ診断処理部200は、位相角βの偏差の絶対値が第1の規定値Dth1以上である場合には、モータ102の巻線が短絡している、すなわち絶縁異常が発生していると判定して、モータ102の診断方法を終了する。
一方、ステップS910においてモータ診断処理部200は、位相角βの偏差の絶対値が第1の規定値Dth1よりも小さい場合には、モータ102の絶縁異常はないと判定し、次にモータ102の磁気特性の異常を診断する磁気特性診断処理を実行する。ステップS910の処理が終了すると、本実施形態におけるモータ102の診断方法についての一連の処理手順が終了する。
図9は、ステップS910により実行される磁気特性診断処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS911においてモータ診断処理部200は、非回転診断用の角周波数ωnon *を初期値に設定する。初期値として角周波数ωnon *の掃引範囲(変更範囲)の下限値に設定される。
ステップS912においてモータ診断処理部200は、d軸電流検出値idに基づいて、上述のステップS904乃至S906の処理と同様に、位相角の計測値β(ωnon)を算出する。
ステップS913においてモータ診断処理部200は、算出した位相角の計測値β(ωnon)に基づいて、誘起電圧定数の計測値Ke(ωnon)を算出する。
本実施形態のモータ診断処理部200は、位相角の計測値β(ωnon)に基づき、式(10−1)に従ってd軸インダクタンスLdを算出する。そして、モータ診断処理部200は、算出したd軸インダクタンスLdと、d軸電流検出値idと、q軸電流検出値iqと、q軸電圧指令値vq *と、非回転診断用の角周波数ωnonとを、式(11)に代入することにより、誘起電圧定数の計測値Ke(ωnon)を算出する。
ステップS914においてモータ診断処理部200は、非回転診断用の角周波数ωnonでの誘起電圧定数の設定値Ke(ωnon*を取得する。このため、モータ診断処理部200は、角周波数ωnonにおける誘起電圧定数の計測値Ke及び設定値Ke *をそれぞれメモリに記録する。
ステップS915においてモータ診断処理部200は、非回転診断用の角周波数ωnonの値を予めさだめられたステップ幅だけ増やす。
ステップS916においてモータ診断処理部200は、ステップ幅だけ増やした角周波数ωnonが掃引範囲の上限値よりも大きいか否かを判断する。そして、モータ診断処理部200は、角周波数ωnonが変更範囲の上限値以下である場合には、d軸コントローラ22及びq軸コントローラ24の両者に設定される角周波数ωnonの値をステップ幅だけ変更する。
モータ診断処理部200は、ステップS912乃至S916の一連の処理を、角周波数ωnonが変更範囲の上限値よりも大きくなるまで繰り返す。すなわち、モータ診断処理部200は、非回転診断用のd軸電圧指令値vd *の角周波数ωnonを段階的に変更する。そして、モータ診断処理部200は、角周波数ωnonが変更されるたびに、誘起電圧定数の計測値Ke(ωnon)及び設定値Ke(ωnon*を算出し、角周波数ωnonに対応付けてメモリにそれぞれ記録する。このため、メモリには、誘起電圧定数に関する計測値の周波数特性Ke(ωnon)及び設定値の周波数特性Ke(ωnon*が互いに保持される。
ステップS917においてモータ診断処理部200は、誘起電圧定数に関する計測値の周波数特性Ke(ωnon)と設定値の周波数特性Ke(ωnon*とを比較する。
本実施形態のモータ診断処理部200は、上述の式(13)のように、角周波数ωnonごとに、誘起電圧定数に関する計測値Keと設定値Ke *との差分(誘起電圧定数Keの偏差)の絶対値を求め、これらの和が第2の規定値Dth2よりも小さいか否かを判断する。
ステップS918においてモータ診断処理部200は、角周波数ωnonごとの誘起電圧定数Keの偏差の絶対値の和が第2の規定値Dth2よりも小さい場合には、モータ102には電気的又は磁気的に異常がないと判定する。
ステップS919においてモータ診断処理部200は、角周波数ωnonごとの誘起電圧定数Keの偏差の絶対値の和が第2の規定値Dth2に対して等しい又は大きい場合には、モータ102の永久磁石についての磁気特性に異常があると判定する。
なお、モータ診断処理部200で磁気特性が異常と判定されるような場合としては、例えば、モータ102における永久磁石の位置がずれた場合や、永久磁石の温度が高くなり過ぎて永久磁石が減磁した場合、経年劣化などが想定される。
ステップS918又はS919の処理が終了すると、モータ診断処理部200は、判定結果を不図示のコントローラに送信し、磁気特性診断処理に関する一連の処理手順を終了する。
本発明の第1実施形態によれば、モータ102の内部状態を診断する診断方法は、モータ102の回転速度ωe *が0となる非回転電圧信号vd *に基づいてモータ102に電圧を印加するステップS903と、モータ102に電圧を印加した状態でモータ102に供給される電流idを取得するステップS904とを含む。さらに診断方法は、ステップS904で取得されるモータ102の電流idに基づいて、モータ102の電気特性であるリアクタンス成分の電気定数Lσ又は抵抗成分の電気定数Rσを演算するステップS905又はS913を含む。
この診断方法は、ステップS905で演算されるモータ102の電気特性と、非回転電圧信号vd *の設定値に関するパラメータである位相角β又は誘起電圧定数Keとに基づいて、モータ102の異常を判定するステップS907又はS917を含む。
このように、本実施形態におけるモータの制御方法では、モータ軸の制御回転数が0である指令波形を用いて、電圧形インバータ4などの電力変換器を作動してモータ102に通電し、モータ102に供給される電流を検出する。これにより、モータ102に対して電圧形インバータ4を接続した状態においてモータ102が有する電気的及び磁気的な特性を診断することが可能となる。
特に、この診断方法は、モータ102の回転が停止した非回転状態であっても、モータ102の内部状態を診断することが可能である。したがって、モータ102を回転させることができない状態、もしくは、モータ102を回転させることができる状態か否か不明な状態であっても、診断に必要となるモータ102の電気特性又は磁気特性を取得することができる。したがって、モータ102を強制的に回転させる必要がないので、電力変換器などに過大な負荷を掛けることなく、モータ102の異常を診断することができる。すなわち、電力変換装置100の故障を抑制しつつモータ102の内部状態を診断することができる。
また、本実施形態の診断方法は、ステップS915において非回転電圧信号vd *の角周波数ωnonを変化させ、ステップS913においてモータ102の電気特性に関する周波数特性Ke(ωnon)を演算する。そして診断方法は、ステップS917において周波数特性の演算値Ke(ωnon)とパラメータの設定値Ke(ωnon*とに基づいて、モータ102に備えられた永久磁石の異常を判定する。
このように、非回転電圧信号vdの角周波数の設定値ωnon *を変更してモータ102のパラメータβを計測することにより、非回転状態での磁気特性の制御パラメータである誘起電圧定数のゲインKeを角周波数ωnonごとに抽出することができる。これにより、モータ102の磁気特性に関する周波数依存特性を把握できるので、より正確にモータ102の異常を検出することが可能となる。
なお、本実施形態ではモータ102が非回転状態になったときにモータ102の内部状態を診断する例について説明したが、モータ102が回転した状態であってもモータ102の内部状態を診断することも可能である。以下ではモータ102が回転状態になったときのモータ102の診断方法について説明する。
(第2実施形態)
図10は、本発明の第2実施形態におけるモータ102の診断方法に関する処理手順例を示すフローチャートである。
本実施形態の診断方法は、図8に示した診断方法のステップS910の処理に代えてステップS920の処理を備えている。ステップS920以外の処理内容については図8に示した処理内容と同じであるため、同一符号を付して説明を省略する。
ステップS920においてモータ診断処理部200は、位相角βの偏差の絶対値が第1の規定値Dth1よりも小さい場合には絶縁異常がないと判断し、モータ102が回転状態になったときにモータ102の内部状態を診断する回転診断処理を実行する。
図11は、ステップS920により実行される回転診断処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS921においてモータ診断処理部200は、モータ102の回転速度ωeがゼロ(0)よりも大きくなったか否かを判断する。すなわち、モータ診断処理部200は、モータ102が回転状態になったか否かを判断する。
ステップS922においてモータ診断処理部200は、モータ102に供給される電流の信号レベルが電流検出器5u、5v及び5wの検出可能範囲内に収まるようにd軸電圧指令値vd *の振幅Cidとq軸電圧指令値vq *の振幅Ciqとを調整する。
例えば、d軸電圧指令値vd *=Cid×sin(ωnont)、q軸電圧指令値vq *=Ciq×cos(ωnont)とすると、q軸電流が検出可能範囲に収まるようにq軸電圧指令値vq *の振幅Ciqを設定した後、d軸電流が検出可能範囲に収まるようにd軸電圧指令値vd *の振幅Cidを設定する。
ステップS923においてモータ診断処理部200は、位相角の計測値βに基づき、上述の式(10−1)及び(10−2)に従ってd軸インダクタンスLd及びq軸インダクタンスLqを算出する。ここでは、d軸インダクタンスLd及びq軸インダクタンスLqの算出値は推定値(現在値)として用いられる。
ステップS924においてモータ診断処理部200は、d軸インダクタンスの推定値Ldと設定値Ld *との差分の絶対値が第3の規定値Dth3よりも小さく、かつ、q軸インダクタンスの推定値Lqと設定値Lq *との差分の絶対値が第4の規定値Dth4よりも小さいか否かを判断する。
なお、d軸及びq軸インダクタンスLd及びLqの設定値としては、例えば、製造時に計測した値や、シミュレーション結果、初期設定値等といった前回値などが利用される。第3及び第4の規定値Dth3及びDth4は、正常時における偏差の変動量を考慮して決定されるものであり、例えば、0を基準に誤差等を加味した値に設定される。
ステップS925においてモータ診断処理部200は、d軸インダクタンスの推定値Ldと設定値Ld *との差分(偏差)の絶対値が第3の規定値Dth3よりも小さく、かつ、q軸インダクタンスの推定値Lqと設定値Lq *との差分(偏差)の絶対値が第4の規定値Dth4よりも小さい場合には、モータ102の永久磁石に異常はないと判定する。
d軸インダクタンスLdの偏差の絶対値が第3の規定値Dth3以上である場合、又は、q軸インダクタンスLqの偏差の絶対値が第4の規定値Dth4以上である場合には、モータ102の永久磁石に異常がある可能性が高い。本実施形態では、モータ102を停止することを想定して、モータの異常をより確実に特定するためにステップS925の処理に進む。なお、ステップS924の条件が成立した場合にモータ102の永久磁石が異常であると判定するようにしてもよい。
ステップS926においてモータ診断処理部200は、q軸電圧値vqによって規定される電気角の設定値θ*を取得する。q軸電圧値vqは、電圧形インバータ4で検出される電圧値を用いて算出してもよいし、d軸電流検出値idを用いて算出してもよい。
ここで、モータ102の電気角の設定値θ*の導出手法について簡単に説明する。q軸電圧値vqは、以下の式(14−1)の関係から式(14−2)のように表わすことができる。
Figure 2017110855
このため、式(14−2)及び式(14−3)の関係を利用することで、q軸電圧値vqに基づいてモータ102の電気角の設定値θ*を導出することができる。
ステップS927においてモータ診断処理部200は、回転子位置検出器7から出力される電気角の検出値θを取得する。
ステップS928においてモータ診断処理部200は、モータ102の電気角の設定値θ*と検出値θとの差分の絶対値が第5の規定値Dth5よりも小さいか否かを判断する。すなわち、モータ診断処理部200は、モータ102の電気角θの変動量が大きくなり過ぎているかどうかを確認する。第5の規定値Dth5は、正常時における偏差の変動量を考慮して決定されるものであり、例えば、0を基準に誤差等を加味した値に設定される。
電気角の設定値θ*と検出値θとの差分の絶対値が第5の規定値Dth5よりも小さい場合には、モータ診断処理部200は、ステップS921の処理に戻って再度診断を行う。
ステップS929においてモータ診断処理部200は、電気角の設定値θ*と検出値θとの差分の絶対値が第5の規定値Dth5に対して等しい又は大きい場合には、モータ102の永久磁石の磁気特性に異常があると判定する。これは、モータ102の電気角θの変動量が過大になったときには非干渉制御が成立していない状況であるといえるため、永久磁石に異常、すなわち位置ずれや減磁が生じていると推定できるからである。
ステップS925又はS929の処理が終了すると、モータ診断処理部200は、判定結果を不図示のコントローラに送信し、本実施形態におけるモータ102の診断方法についての一連の処理手順を終了する。
本発明の第2実施形態によれば、モータ102が回転している状態で、非回転診断用のd軸電圧指令値vd *とモータ102のd軸電流検出値idとに基づいてモータ102の電気特性であるd軸インダクタンスLd及びq軸インダクタンスLqの変動量を取得する。これにより、モータ102の磁気特性の異常を検出することができる。さらに、モータ102の電気角θの偏差を取得することにより、モータ102の磁気特性の異常をより正確に特定することができる。
(第3実施形態)
図12は、本発明の第3実施形態におけるモータ診断処理部200の構成例を示すブロック図である。
電流制御器2は、図6に示した電流制御器の構成に加えて誘起電圧定数乗算器25を備えており、モータ診断処理部200は、非回転電圧波形設定部201と、トルクオブザーバ220と、磁石異常判定部230とを備えている。
誘起電圧定数乗算器25は、d軸コントローラ22から出力されるd軸電圧指令値vd *に誘起電圧定数の推定値Ke^を乗算する。誘起電圧定数の推定値Ke^は、例えば、予め定められた演算式やマップなどを用いて算出されて誘起電圧定数乗算器25に設定される。誘起電圧定数乗算器25は、その誘起電圧定数Ke^を乗算したd軸電圧指令値vd *をdq軸/uvw相変換器3に出力する。これにより、そのd軸電圧指令値vd *に基づいて電圧形インバータ4からモータ102にd軸電圧vdが印加されることになる。
トルクオブザーバ220は、伝達関数221と、誘起電圧定数乗算器222と、d軸電圧偏差演算器223と、補償ゲイン乗算器224と、を含む。
伝達関数221は、d軸電流検出値idを入力し、次式(15)のようにフィルタ処理を施すことにより、d軸電圧検出値vdを出力する。
Figure 2017110855
なお、Tsはd軸インダクタンスLdを電機子抵抗Rで除した値(Ld/R)である。
誘起電圧定数乗算器222は、d軸コントローラ22から出力されるd軸電圧指令値vd *に対し誘起電圧定数の推定値Ke^を乗算する。この誘起電圧定数の推定値Ke^は、例えば、誘起電圧定数乗算器25に設定される推定値と同じである。誘起電圧定数乗算器222は、その誘起電圧定数の推定値Ke^を乗算したd軸電圧指令値vd *をd軸電圧偏差演算器223に出力する。
d軸電圧偏差演算器223は、誘起電圧定数乗算器222からのd軸電圧指令値vd *と、伝達関数221からのd軸電圧検出値vdとのd軸電圧偏差を求め、そのd軸電圧偏差を補償ゲイン乗算器224に出力する。
補償ゲイン乗算器224は、d軸電圧偏差演算器223からのd軸電圧偏差に補償ゲインG(s)を乗算することにより、オブザーバ用の電流値id_obを算出する。補償ゲイン乗算器224は、オブザーバ用の電流値id_obをd軸電流FB演算器21及び磁石異常判定部230にそれぞれ出力する。
補償ゲインG(s)は、d軸電流FB演算器21からのd軸電流偏差がゼロ(0)となるように、例えば、予め定められたマップなどを用いて設定される。d軸電流偏差が0に収束すると、補償ゲインG(s)は1に設定されることになる。補償ゲインG(s)は、次式(16)のように表わすことができる。
Figure 2017110855
磁石異常判定部230は、補償ゲイン乗算器224に設定された補償ゲインG(s)を取得すると、その補償ゲインG(s)に誘起電圧定数の推定値Ke^を乗算することにより、誘起電圧定数の計測値Keを算出する。磁石異常判定部230は、非回転電圧波形設定部201によって角周波数ωnon *が段階的に変更されるたびに、誘起電圧定数の計測値Keを求め、その測定値に関する周波数特性Ke(ωnon)を取得する。
そして磁石異常判定部230は、角周波数ωnonごとに誘起電圧定数の推定値Ke^と計測値Keとの差分の絶対値を算出し、これらの差分の絶対値の和をとり、この和が所定の規定値よりも大きくなった場合に、モータ102の永久磁石に異常があると判定する。
このように、本実施形態ではトルクオブザーバ220において設定される補償ゲインG(s)を取得することにより、回転子位置検出器7や回転速度演算器8などを用いることなく、モータ102の磁気特性を診断することができる。すなわち、本実施形態のモータ診断処理部200の構成は、速度センサレスのベクトル制御方式のモータ駆動システムにおいても適用することが可能である。
なお、本実施形態では補償ゲインG(s)に基づく誘起電圧定数の計測値Keを用いてモータ102の内部状態を診断したが、補償ゲインG(s)を用いてモータ102の内部状態を診断するようにしてもよい。例えば、補償ゲインG(s)の絶対値が0よりも大きく、かつ、所定の値よりも小さい場合にはモータ102の永久磁石が正常であると判定し、それ以外の場合には永久磁石が異常であると判定する。すなわち、モータ診断処理部200は、補償ゲインG(s)に基づいて、モータ102に備えられた磁石の異常を診断するものであってもよい。
図13は、本実施形態におけるモータ102の回転診断処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS941においてモータ診断処理部200は、モータ102の回転速度ωeがゼロ(0)rad/sよりも大きくなったか否かを判断する。
ステップS942においてモータ診断処理部200は、非回転電圧指令値vd *の角周波数ωnonを、周波数特性を取得するために定められた変更範囲の下限値に設定する。
ステップS943においてモータ診断処理部200は、モータ102の運転状態に応じて誘起電圧定数の推定値Ke^を演算する。例えば、モータ診断処理部200は、モータ102のトルク指令値T*と回転速度ωeとの運転点ごとに誘起電圧定数Keを関係付けたマップを用いて誘起電圧定数の推定値Ke^を算出する。電流制御器2は、その誘起電圧定数の推定値Ke^をd軸電圧指令値vd *に乗算し、電圧形インバータ4は、乗算されたd軸電圧指令値vd *に基づいてモータ102に三相の交流電圧を印加する。
ステップS944においてモータ診断処理部200は、d軸電流検出値idに基づいて、オブザーバ用の電流値id_obを算出する。
本実施形態では、モータ診断処理部200は、d軸電流検出値idに基づき上述の式(15)に従ってd軸電圧検出値vdを算出し、算出したd軸電圧検出値vdと、誘起電圧定数の推定値Ke^を乗算した後のd軸電圧指令値vd *との電圧偏差を演算する。モータ診断処理部200は、その電圧偏差に補償ゲインG(s)を乗算することにより、オブザーバ用の電流値id_obを算出する。
すなわち、モータ診断処理部200は、予め定められた補償ゲインG(s)をd軸電圧の偏差に乗算することによりモータ102に供給されるd軸電流の値id_obを推定する。
ステップS945においてモータ診断処理部200は、上記の式(14−1)から導かれるd軸電流の演算値をd軸電流指令値id *とすると、d軸電流指令値id *とオブザーバ用の電流値id_obとの差分の絶対値が第6の規定値Dth6よりも小さいか否かを判断する。第6の規定値Dth6は、正常時における偏差の変動量を考慮して決定されるものであり、例えば、0を基準に誤差等を加味した値に設定される。
ステップS951においてモータ診断処理部200は、d軸電流指令値id *とオブザーバ用の電流値id_obとの差分の絶対値が第6の規定値Dth6に対して等しい又は大きい場合には、所定のステップ幅だけ誘起電圧定数の推定値Ke^を増加又は減少させる。そして、モータ診断処理部200は、d軸電流指令値id *とオブザーバ用の電流値id_obとの差分の絶対値が第6の規定値Dth6よりも小さくなるまで誘起電圧定数の推定値Ke^を変更する。
ステップS946においてモータ診断処理部200は、誘起電圧定数の推定値Ke^に基づいて、予め定められた演算式やマップなどを用いて補償ゲインG(s)を算出する。
ステップS947においてモータ診断処理部200は、補償ゲインG(s)の絶対値から1を減じた値が第7の規定値Dth7よりも小さいか否かを判断する。第7の規定値Dth7は、正常時における偏差の変動量を考慮して決定されるものであり、例えば、0を基準に誤差等を加味した値に設定される。
モータ診断処理部200は、補償ゲインG(s)から「1」を減じた値が第7の規定値Dth7に対して等しい又は大きい場合には、ステップS951に進み、誘起電圧定数の推定値Ke^を変更する。この後、モータ診断処理部200は、d軸電流指令値id *とオブザーバ用の電流値id_obとの偏差の絶対値が第6の規定値Dth6よりも小さくなり、かつ、補償ゲインG(s)から1を減じた値が第7の規定値Dth7よりも小さくなるまで、ステップS944乃至S947及びS951の処理を繰り返す。
すなわち、モータ診断処理部200は、モータ102のd軸電流の偏差(id *‐id_ob)が小さくなるように補償ゲインG(s)の設定値を変更する。
ステップS948においてモータ診断処理部200は、補償ゲインG(s)に誘起電圧定数の推定値Ke^を乗算した値(G(s)×Ke^)を、誘起電圧定数の計測値Keとして角周波数ωnonに関係付けてメモリに記録する。
ステップS949においてモータ診断処理部200は、角周波数の設定値ωnon *を所定のステップ幅だけ増加させる。
ステップS950においてモータ診断処理部200は、角周波数の設定値ωnon *が変更範囲の上限値よりも大きいか否かを判断する。そして、角周波数の設定値ωnon *が変更範囲の上限値に対して等しい又は小さい場合には、モータ診断処理部200は、ステップS942の処理に戻ってステップS943乃至951の処理を繰り返す。すなわち、モータ診断処理部200は、角周波数ωnonごとに誘起電圧定数の計測値Keをメモリに記録する。このため、メモリには、誘起電圧定数の計測値に関する周波数特性Ke(ωnon)が保持される。
ステップS960においてモータ診断処理部200は、角周波数の設定値ωnon *が変更範囲の上限値よりも大きくなった場合には、角周波数ωnon *の変更を停止し、モータ102の永久磁石が異常か否かを判定する磁石異常判定処理を実行する。磁石異常判定処理の詳細については図14を参照して後述する。
ステップS960の磁石異常判定処理が終了すると、モータ診断処理部200は、図10に示した処理に戻り、ステップS920の回転診断処理についての一連の処理手順を終了する。
図14は、ステップS960により実行される磁石異常判定処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS961においてモータ診断処理部200は、角周波数ωnonごとに、誘起電圧定数に関する計測値Keと設定値Ke *との差分(誘起電圧定数Keの偏差)の絶対値を求め、これらの和が第2の規定値Dth2よりも小さいか否かを判断する。
ステップS962においてモータ診断処理部200は、角周波数ωnonごとの誘起電圧定数Keの偏差の絶対値の和が第2の規定値Dth2よりも小さい場合には、モータ102には電気的又は磁気的に異常がないと判定する。
一方、角周波数ωnonごとの誘起電圧定数Keの偏差の絶対値の和が第2の規定値Dth2に対して等しい又は大きい場合には、モータ102における永久磁石の磁気特性に異常がある可能性が高いため、モータ診断処理部200は、より確実にモータ異常を特定するためにステップS963の処理に進む。
ステップS963においてモータ診断処理部200は、モータ102の回転速度ωeが所定の値になった場合には、図8に示したステップS904及びS905の処理と同様に、d軸電流検出値idに基づいて位相角の計測値βを算出する。
ステップS964においてモータ診断処理部200は、図8に示したステップS906の処理と同様に、d軸コントローラ22で生成されるd軸電圧指令値vd *により規定される位相角の設定値β*を取得する。
ステップS965においてモータ診断処理部200は、図8に示したステップS906の処理と同様に、位相角に関する設定値β*と計測値βとの差分の絶対値が第1の規定値Dth1よりも小さいか否かを判断する。そして、位相角に関する設定値β*と計測値βとの差分が第1の規定値Dth1よりも小さい場合には、磁石異常判定処理を終了する。
ステップS966においてモータ診断処理部200は、位相角に関する設定値β*と計測値βとの差分が第1の規定値Dth1に対して等しい又は大きい場合には、モータ102の磁気特性に異常があると判定する。
すなわち、モータ診断処理部200は、角周波数ωnonごとの誘起電圧定数Keの偏差の絶対値の和が第2の規定値Dth2よりも大きく、かつ、位相角に関する設定値β*と計測値βとの差分が第1の規定値Dth1よりも大きい場合には、モータ102の磁気特性に異常があると判定する。
ステップS962又はS966の処理が終了すると、モータ診断処理部200は、磁石異常判定処理に関する一連の処理手順を終了し、図13に示した回転診断処理に戻る。
本発明の第3実施形態によれば、モータ診断処理部200は、モータ102のd軸電流idに基づいてモータ102のd軸電圧の偏差を演算し、演算したd軸電圧の偏差に予め定められた補償ゲインG(s)を乗算してd軸電流を推定するステップS944と、d軸電流の偏差が小さくなるように補償ゲインG(s)の値を設定するステップS946とを含む。
この診断方法は、ステップS948及びS961の処理のように、設定された補償ゲインG(s)に基づいて、モータ102の永久磁石が異常であると判定する。このようにd軸電流を推定するための補償ゲインG(s)を取得することにより、モータ102の磁気特性を診断することが可能となる。
すなわち、非回転電圧信号の角周波数ωnonを変動させて予め設定済みの制御ゲインG(s)と診断パラメータの演算結果とを比較することで、各速度領域における現状の特性変動量をモータ102の回転状態に関わらず計測することができる。このため、モータ102の回転中におけるモータ特性の変動量の計測精度を向上させることができる。さらに、本実施形態によれば、補償ゲインG(s)を計測することにより、この計測値をモータ102の制御パラメータに設定することができるので、モータ102を精度よく制御することができるようになる。
また、本実施形態によれば、図10に示したステップS905においてモータ診断処理部200がモータ102の回転が停止している非回転状態においてモータ102の電気特性である位相角βを演算する。その後、モータ診断処理部200は、ステップS948においてモータ102の回転中に補償ゲインG(s)を設定し、ステップS961においてモータ102の電気特性βと補償ゲインG(s)とに基づいてモータ102の磁気特性が異常であるか否かを診断する。
これにより、モータ102の電気特性βの計測値に基づいてモータ102が絶縁異常と判定された場合には、その後にモータ102の回転中における診断処理を削減することができる。したがって、モータ102の回転中における無用な診断処理を削減することができる。さらに、診断用パラメータとして、モータ102の電気特性βに加えて補償ゲインG(s)を併用することにより、より精度の高い診断を実現することができる。
(第4実施形態)
図15は、本発明の第4実施形態におけるモータ102の回転診断処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS971においてモータ診断処理部200は、モータ102の回転速度ωeがゼロ(0)よりも大きくなったか否かを判断する。
ステップS972においてモータ診断処理部200は、モータ102の回転速度ωeの変化幅が所定の値よりも大きくなったか否かを判断する。
ステップS973においてモータ診断処理部200は、モータ102の回転速度ωeの変化幅が所定の値よりも大きくなった場合には、モータ診断処理部200は、d軸電流検出値idを取得し、そのd軸電流検出値idが計測精度を確保するのに最低限必要となる所定の計測閾値よりも大きいか否かを判断する。d軸電流検出値idが計測閾値よりも小さい場合には、モータ診断処理部200は、ステップS972の処理に戻る。
ステップS974においてモータ診断処理部200は、そのd軸電流検出値idが計測閾値よりも大きい場合には、d軸電流検出値idに基づいてd軸インダクタンスLdを算出する。
本実施形態のモータ診断処理部200は、図8に示したステップS904及びS905の処理と同様に、d軸電流検出値idに基づいて位相角の計測値βを算出し、位相角の計測値βに基づき、上述の式(10−1)に従ってd軸インダクタンスLdを算出する。
ステップS975においてモータ診断処理部200は、算出したd軸インダクタンスLdと、そのときのd軸電圧指令値vd *の角周波数ωとを関係付けてメモリに記録する。
ステップS976においてモータ診断処理部200は、予め定められた周波数範囲において角周波数ωの計測点の数が所定値よりも多くなったか否かを判断する。そして角周波数ωの計測点の数が所定値に達していない場合には、モータ診断処理部200は、ステップS972の処理に戻り、角周波数ωの計測点の数が所定値よりも多くなるまでd軸インダクタンスLdをメモリに記録する。なお、ここにいう所定値は、例えば、実験データなどを用いて決定され、具体的には、モータ102の磁気特性が正常なのかどうかを判定するのに必要となる点数に設定される。
ステップS977においてモータ診断処理部200は、角周波数ωの計測点の数が所定値よりも多くなった場合には、モータ102の特性プロファイルと、メモリ内のd軸インダクタンスの周波数特性Ld(ω)とを比較する。
本実施形態では、モータ診断処理部200は、メモリ内に記録された角周波数ごとに、特性プロファイルの設定値Ld *とd軸インダクタンスの算出値Ldとの差分の絶対値を求め、これら絶対値の和が第7の規定値Dth7よりも小さいか否かを判断する。
第7の規定値Dth7は、正常時における偏差の変動量を考慮して決定されるものであり、例えば、0を基準に誤差等を加味した値に設定される。また、特性プロファイルは、モータ102のパラメータの推定に用いられる演算マップとは異なるものであり、モータ102自身の特性を示すものである。
ステップS978においてモータ診断処理部200は、角周波数(計測点)ごとの特性プロファイルの設定値Ld *とd軸インダクタンスの算出値Ldとの差分の絶対値の和が第7の規定値Dth7よりも小さい場合には、モータ102には異常がないと判定する。
ステップS979においてモータ診断処理部200は、角周波数ごとのd軸インダクタンスの設定値Ld *と算出値Ldとの差分の絶対値の和が第7の規定値Dth7に対して等しい又は大きい場合には、モータ102の永久磁石が異常であると判定する。
ステップS978又はS979の処理が終了すると、モータ診断処理部200は、判定結果を不図示のコントローラに送信し、本実施形態における回転診断処理についての一連の処理手順を終了する。
本発明の第4実施形態によれば、モータ102の回転速度ωeが変化するたびにd軸インダクタンスLdを算出してその周波数特性Ld(ω)を取得することにより、モータ102の内部状態を診断することができる。なお、本実施形態ではモータ102の回転速度ωeが変化するたびにd軸インダクタンスLdを算出したが、d軸電圧指令値vd *の角周波数が変化するたびにd軸インダクタンスLdを算出するようにしてもよい。
(第5実施形態)
図16は、本発明の第5実施形態におけるモータ102の回転診断処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS981においてモータ診断処理部200は、モータ102の回転速度ωeがゼロ(0)rad/sよりも大きくなったか否かを判断する。
ステップS982においてモータ診断処理部200は、モータ102の回転速度ωeが0rad/sよりも大きくなった場合には、図14のステップS922で述べたように、電圧指令値のd軸振幅Cid及びq軸振幅Ciqを調整する処理を実行する。
ステップS983においてモータ診断処理部200は、モータ102の回転速度ωeに基づいき、所定の演算式やマップなどを用いてd軸インダクタンスLd_ω及び位相角βを算出する。
ステップS984においてモータ診断処理部200は、図13のステップS943乃至S947の処理内容と同様に、d軸電流指令値id *とオブザーバ用のd軸電流値id_osとの電流偏差がゼロに収束するように補償ゲインG(s)を調整する。
ステップS985においてモータ診断処理部200は、電流偏差(id *−id_os)がゼロに収束した場合には、d軸電流検出値idに基づいてd軸インダクタンスLd_i及び位相角β_iを算出する。
ステップS986においてモータ診断処理部200は、ステップS983で算出されたd軸インダクタンスLd_ωとステップS985で算出されたd軸インダクタンスLd_iとの偏差(Ld_ω−Ld_i)の絶対値が第8の規定値Dth8よりも大きいか否かを判断する。第8の規定値Dth8は、正常時における偏差の変動量を考慮して決定されるものであり、例えば、0を基準に誤差等を加味した値に設定される。
ステップS987においてモータ診断処理部200は、d軸インダクタンスの偏差(Ld_ω−Ld_i)の絶対値が第8の規定値Dth8よりも小さい場合には、ステップS983で算出された位相角βとステップS985で算出された位相角β_iとの偏差の絶対値が第9の規定値Dth9よりも小さいか否かを判断する。そして位相角の偏差(β−β_i)の絶対値が第9の規定値Dth9よりも小さい場合には、ステップS981の処理に戻る。
一方、d軸インダクタンスの偏差(Ld_ω−Ld_i)の絶対値が第8の規定値Dth8よりも大きい場合、又は、位相角の偏差(β−β_i)の絶対値が第9の規定値Dth9よりも大きい場合には、ステップS988の処理に進む。
ステップS988においてモータ診断処理部200は、図15に示したステップS977の処理と同様に、これまでに取得した角周波数ωでの算出値と特性プロファイルとを比較する。
具体的には、d軸インダクタンスの偏差(Ld_ω−Ld_i)の絶対値が第8の規定値Dth8よりも大きい場合には、モータ診断処理部200は、d軸インダクタンスの算出値Ld_ω、Ld_iと特性プロファイルとの偏差の絶対値の和が第10の規定値Dth10よりも大きいか否かを判断する。
また、位相角の偏差(β−β_i)の絶対値が第9の規定値Dth9よりも大きい場合には、モータ診断処理部200は、位相角の算出値β、β_iと特性プロファイルとの偏差の絶対値の和が第10の規定値Dth10よりも大きいか否かを判断する。
ステップS989においてモータ診断処理部200は、d軸インダクタンスの算出値Ld_ω、Ld_iと特性プロファイルとの偏差の絶対値の和が第10の規定値Dth10よりも大きい場合、又は、位相角の算出値β、β_iと特性プロファイルとの偏差の絶対値の和が第10の規定値Dth10よりも大きい場合には、磁石異常であると判定する。
本発明の第5実施形態によれば、速度フィードバックを用いて特性パラメータLd及びβを算出するとともに、d軸電流の偏差を用いて特性パラメータLd及びβを算出する。そして、2つの特性パラメータの差分が規定値内に収まっていることを確認することにより、モータ102が正常であると判定する。これにより、モータ102の回転中におけるモータ102の内部状態をより正確に診断するこが可能となる。
なお、上記実施形態ではIPMモータの内部状態を診断する例について説明したが、誘導モータであっても上記実施形態と同様に内部状態を診断することが可能である。以下では本発明の適用が可能な誘導モータのモデル例について簡単に説明する。
(第6実施形態)
図17は、本発明の第6実施形態におけるモータ103の内部をdq軸座標系でモデル化したモータモデルの一例を示す図である。本実施形態のモータ103は誘導モータである。
図18に示すように、点線部分はq軸電流とd軸電流とによって生じる干渉成分をモデル化した箇所である。この点線部分の電気パラメータの値が分かれば、dq軸干渉成分を相殺するための補償量をあらかじめ線形方程式を用いて演算することが可能となる。
このため、固定子インダクタンスL1と回転子インダクタンスの1次側換算値L2’との和である電気定数Lσと、モータ2次時定数T2と、すべり角ωsが推定できれば、IPMモータと同様に、モータ103の状態方程式を線形化することができる。
また、本実施形態のモータ103において、図4に示した等価回路モデルが成立するような場合に第3実施形態の手法を適用するこができる。例えば、電気定数Lσとモータ2次時定数T2とすべり角ωsとが演算できれば、電気装荷と磁気装荷のインダクタンス設定値を導出することができる。
したがって、本実施形態のモータ103において、上記実施形態と同様に、モータ103が非回転状態であっても、非回転電圧指令値vd *に基づいてモータ103に電圧を印加し、この状態でモータ103に供給される電流idに基づいてモータ103を診断することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、上記実施形態では、モータの速度情報や電流フィードバックなどの計測パラメータに基づいて位相角βや、d軸インダクタンスLd、誘起電圧定数Keなどの特性パラメータを算出し、これらの算定パラメータと設定データとを比較して診断を行った。しかしながら、計測パラメータとしては、これらの物理量に限られず、速度センサや、角速度センサ、加速度センサなどの各種センサの検出値を用いてもよく、これらを用いて特性パラメータを算出して特性異常を判定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では算定パラメータの偏差の絶対値の和に基づいてモータの異常を判定したが、算定パラメータと設定値との乖離度を判断できるものであればよく、偏差の絶対値の平均値などであってもよい。
なお、上記実施形態は、適宜組み合わせ可能である。
本願は、2015年12月21日に日本国特許庁に出願された特願2015−248793に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (5)

  1. モータの状態を診断する診断方法であって、
    前記モータの回転速度が0となる非回転電圧信号に基づいて前記モータに電圧を印加する印加ステップと、
    前記印加ステップによって電圧が印加された前記モータに供給される電流を計測する計測ステップと、
    前記計測ステップにより計測される前記モータの電流に基づいて、前記モータの電気特性を演算する演算ステップと、
    前記演算ステップにより演算される前記モータの電気特性と、前記非回転電圧信号に関するパラメータとに基づいて、前記モータの異常を判定する判定ステップと、
    を含むモータの診断方法。
  2. 請求項1に記載のモータの診断方法であって、
    前記印加ステップは、前記非回転電圧信号の周波数を変化させ、
    前記演算ステップは、前記モータの電気特性に関する周波数特性を演算し、
    前記判定ステップは、前記周波数特性と前記パラメータとに基づいて、前記モータに備えられた磁石の異常を判定する、
    モータの診断方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のモータの診断方法であって、
    前記計測ステップにより計測されるd軸電流に基づいて、前記モータのd軸電圧の偏差を演算する偏差演算ステップと、
    予め定められた補償ゲインを前記d軸電圧の偏差に乗算してd軸電流を推定する電流推定ステップと、
    前記d軸電流の偏差が小さくなるように前記補償ゲインを設定する設定ステップと、を含み、
    前記判定ステップは、前記補償ゲインに基づいて、前記モータに備えられた磁石が異常であると判定する、
    モータの診断方法。
  4. 請求項3に記載のモータの診断方法であって、
    前記演算ステップは、前記モータの回転が停止しているときに前記モータの電気特性を演算し、
    前記設定ステップは、前記モータが回転しているときに前記補償ゲインを設定し、
    前記判定ステップは、前記モータの電気特性と前記補償ゲインとに基づいて、前記モータの磁気特性が異常であるか否かを診断する、
    モータの診断方法。
  5. モータの回転速度が0となる非回転電圧信号に基づいて前記モータに通電して電圧を印加する電力変換器と、
    前記電力変換器から前記モータに供給される電流を計測するセンサと、
    前記センサにより計測される前記モータの電流に基づいて、前記モータの電気特性を演算する演算器と、
    前記演算器により演算される前記モータの電気特性と、前記非回転電圧信号に関するパラメータとに基づいて、前記モータの異常を判定する診断部と、
    を含む電力変換装置。
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