JPWO2017022742A1 - ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

主収縮方向の150℃熱収縮率が15%以上かつ主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率が15%未満、主収縮方向の90℃熱収縮率が14%以下であるポリエステルフィルム、および、主収縮方向の150℃熱収縮率が15%以上かつ主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率が15%未満であって、温度変調DSCより得られるガラス転移温度が100℃以上であるポリエステルフィルム。塗布工程や乾燥工程などの工程温度である90℃程度では収縮しないか収縮率が小さく、収縮工程温度では大きく収縮するポリエステルフィルムを提供できる。

Description

本発明は、特殊な熱特性を有するポリエステルフィルムに関するものである。
熱収縮フィルムは、包装用途、ラベル用途など、広く使用されているが、近年、水系インキ、特殊インキ、水系塗剤や特殊塗剤等、塗布、乾燥工程において加熱工程を伴う塗剤等を印刷、塗布するために、原反フィルムには塗布乾燥工程における90℃程度の低温では収縮等の変形をしない耐熱性を有し、その後の収縮工程における高温では大きく収縮するといった特徴を持った熱収縮性フィルムが求められるようになってきている。例えば、お茶や清涼飲料水等のボトル容器を中心とした包装用途、フィルムの収縮を利用して複雑な形状の部材に高意匠なデザインを付与する加飾用途、位相差形成層といった光学層を形成する光学用離型フィルムといった用途において、低温での低熱収縮率、高温での高熱収縮率を両立させるニーズが高まっている。熱収縮フィルムとして、特定方向に収縮させるために特許文献1および2に代表されるような一軸延伸フィルムおよび横方向に延伸した後に縦方向に逐次二軸延伸することで特定方向にのみ熱収縮させるフィルムが知られている。
しかしながら、特許文献1または2に記載されている一軸延伸フィルム、横縦逐次二軸延伸フィルムを上記低温耐熱性かつ高温収縮特性が求められる収縮性フィルムとして用いた場合、90℃程度で大きく収縮することから、特殊インキや塗剤を塗布する工程にて変形、収縮してしまうという問題があった。そこで、より耐熱温度が高く、かつ高温に加熱した場合に大きく収縮するフィルムが求められている。
特開2011−79229号公報 国際公開第2014/021120号
そこで本発明の課題は、塗布工程や乾燥工程などの工程温度である90℃程度では収縮しないか収縮率が小さく、収縮工程温度では大きく収縮するポリエステルフィルムを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明に係るポリエステルフィルムは、主収縮方向の150℃熱収縮率が15%以上かつ主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率が15%未満、主収縮方向の90℃熱収縮率が14%以下であることを特徴とする。また、主収縮方向の150℃熱収縮率が15%以上かつ主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率が15%未満であって、温度変調DSCより得られるガラス転移温度が100℃以上であることを特徴とする。
本発明に係るポリエステルフィルムは、150℃では主収縮方向に15%以上、かつ主収縮方向と直交する方向には15%未満、90℃では主収縮方向に14%以下で収縮する特殊な熱特性を有する。また、本発明に係るポリエステルフィルムは主収縮方向の150℃熱収縮率が15%以上かつ主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率が15%未満であって、温度変調DSCより得られるガラス転移温度が100℃以上である特殊な熱特性を有する。これにより、90℃では収縮率が小さく、各種機能層の塗布工程、乾燥工程において塗剤の延展や乾燥のために十分な加熱が可能であり、その後、150℃において主収縮方向に15%以上、かつ主収縮方向と直交する方向に15%未満で収縮するという、特定の方向には大きく収縮する特殊な熱収縮性を示すため、包装用途、加飾用途、光学用途として好ましく用いることができる。
以下、本発明のポリエステルフィルムについて、実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明に係るポリエステルフィルムに用いるポリエステルを与えるグリコールあるいはその誘導体としては、エチレングリコールが80モル%以上であることが好ましいが、その他の成分として、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、それらの誘導体を含んでいてもよい。
また、本発明に用いるポリエステルを与えるジカルボン酸あるいはその誘導体としては、テレフタル酸が80モル%以上であることが好ましいが、その他の成分として、例えば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、並びに、それらの誘導体を挙げることができる。ジカルボン酸の誘導体としては例えばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどのエステル化物を含んでいてもよい。
本発明においては、90℃での主収縮方向の熱収縮率を低く、かつ150℃における主収縮方向の熱収縮率を高くする観点、また、温度変調DSCにより得られるガラス転移温度を100℃以上とし、かつ150℃における主収縮方向の熱収縮率を高くする観点より、ポリエステルの結晶性は高い方が好ましいことから、グリコール成分として、エチレングリコールが85モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。また、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸が85モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。ただし、熱収縮率を高めようとした場合、特にポリエチレンテレフタレートに対しては共重合成分を導入し、非晶性を高めることにより熱収縮率を向上させることができることから、熱収縮性と耐熱性の両立の観点からは、共重合成分を3モル%以上、より好ましくは5モル%以上、特に好ましくは10モル%以上含むことが好ましい。ポリエチレンテレフタレートに共重合成分を導入する場合、共重合成分としては、上に挙げたジカルボン酸成分又はグリコール成分のいずれを用いてもよいが、耐熱性の観点から、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましく用いられる。
本発明のポリエステルフィルムは、耐熱性と熱収縮性の両立の観点からは、温度変調DSCより得られるガラス転移温度が90℃以上であることが好ましい。ここで、ガラス転移温度は後述の特性の測定方法の(6)温度変調DSCガラス転移温度に記載した方法にて得ることができる。本発明のポリエステルフィルムは、各種機能層の塗布工程温度または乾燥工程温度の範囲内である90℃程度にて収縮変形が起こらないことを目的としている。このため、フィルムバルク中の分子運動性を90℃において低くすることが好ましいことから、温度変調DSCより得られるガラス転移温度を90℃以上にすることが好ましい。90℃未満であると、各種機能層等を塗布した後の乾燥工程でフィルムが変形してしまう場合がある。耐熱性と熱収縮性の両立の観点からは、温度変調DSCより得られるガラス転移温度は95℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。更に、高い耐熱性が必要な用途へ展開する場合には、温度変調DSCより得られるガラス転移温度が100℃以上であることが必要となり、好ましくは103℃以上120℃以下であり、105℃以上115℃以下であることがより好ましい。温度変調DSCより得られるガラス転移温度が120℃以上であると、150℃での熱収縮性が低くなる可能性がある。一方、100℃未満であると各種機能層等を塗布した後の乾燥工程でフィルムが変形してしまう場合がある。ガラス転移温度を90℃以上とする方法としては、たとえば、剛直となる成分を共重合することで、制御することが可能である。さらに。共重合成分の選択、共重合量の制御、延伸条件の調整により、ガラス転移温度を100℃以上にすることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートに対する好ましい共重合成分としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。また、製膜時の延伸方式、延伸倍率、延伸及び熱処理の温度を調整することにより達成することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、可動非晶量が25%以上であることが好ましい。ここで、可動非晶量は、後述の特性の測定方法(5)可動非晶量(分率)に記載のとおり、温度変調DSCで測定したガラス転移温度での比熱差より算出することができる。可動非晶量が25%未満であると、熱収縮工程において収縮挙動を示す非晶成分量が少なく、150℃において、主収縮方向に15%以上収縮することができなくなることがある。また上限は特に限定されないが、40%を超えた場合、機械的強度が低下することがあるため、40%以下であることが好ましい。可動非晶量を25%以上とするためには、製膜時の延伸方式、延伸倍率、延伸及び熱処理の温度を調整することにより達成することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、主収縮方向の150℃熱収縮率が15%以上であることが必要である。主収縮方向の150℃熱収縮率を15%以上とすることで、包装用途、加飾用途、光学用途等に用いた場合、優れた収縮特性を示すことができる。好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは25%以上、最も好ましくは30%以上である。主収縮方向の150℃熱収縮率を15%以上とするには、延伸工程において、収縮方向に延伸すればよい。例えば、15%収縮させようとするのであれば、少なくとも1.15倍以上に延伸する必要があり、ホモポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートであれば、主収縮方向の屈折率を1.6以上とすることが好ましい。また、主収縮方向の屈折率が1.64を越えて配向している場合、主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率を15%未満とした上で、主収縮方向150℃熱収縮率は15%以上とすることが困難である。そのため、本発明におけるポリエステルフィルムの主収縮方向の屈折率は、1.60以上1.64以下であることが好ましい。ここで、本発明における主収縮方向とは、フィルムのある任意の1方向を0°として、そこから5°間隔にて180°までの各方向について150℃熱収縮率を測定し、最も収縮率が高い方向のことを指す。本発明において、主収縮方向はフィルム長手方向、主収縮方向と直交する方向はフィルム幅方向であることが好ましい。フィルム長手方向に高い収縮性を示すことにより、各種インキや塗剤の塗布工程、他の機能層との貼り合せなどの加工工程において、ロールtoロールでの貼り合せや加工を行うことができ、特に光学用途において、ロールtoロールでの位相差層形成が可能となるため、好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率が15%未満であることが必要である。通常、縦横の順に逐次二軸延伸したフィルムや縦横の延伸倍率や延伸速度を同等として同時二軸延伸したフィルムであれば、主収縮方向と直交する方向をフィルム幅方向とした場合、幅方向にも収縮してしまう。これに対し、例えば、少なくとも幅方向に延伸した後、その直交方向である長手方向に延伸する工程を含む逐次二軸延伸方法とすることで、主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率を15%未満とすることができる。これは、幅方向に一度配向、結晶化させた状態にて長手方向に延伸させることで、収縮成分と考えられる非晶成分を選択的に長手方向に歪ませることができているものと推定される。このため、樹脂組成としては配向結晶化できる程度に結晶性を有する樹脂を用いることが好ましい。また、配向結晶化は屈折率や面配向係数で定義されるもののことを指し、面配向係数は0.1以上であることが好ましく、非晶成分を結晶化させることなく歪ませる点において面配向係数は0.14以下であることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、主収縮方向の90℃熱収縮率が14%以下であることが好ましい。本発明では各種機能層の塗布工程または乾燥工程の工程温度にて収縮変形しないことが求められる。これに対し、14%を超えると各種機能層を塗布した後の乾燥工程にて収縮変形するため、該工程に耐えることができないことがある。また、シワの低減等、塗布工程、乾燥工程を経たフィルムにおける外観を向上させる観点からは、主収縮方向の90℃熱収縮率が14%以下であることが必要となる場合がある。主収縮方向の90℃熱収縮率は、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。90℃における主収縮方向の熱収縮率を14%以下とするためには、例えば、フィルムの温度変調DSCから得られるガラス転移温度を90℃以上とすることにより達成することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、耐熱性の観点から、主収縮方向の80℃における熱収縮応力が1MPa以下であることが好ましい。80℃における熱収縮応力が1MPa以下であれば、各種機能層の塗布工程または乾燥工程の工程温度での収縮変形を非常に低く抑えることができる。主収縮方向の80℃における熱収縮応力は0.9MPa以下であればより好ましく、0.001MPa以上0.8MPa以下であれば更に好ましく、0.01MPa以上0.2MPa以下であれば最も好ましい。本発明のポリエステルフィルムにおいて、主収縮方向の80℃における熱収縮応力を1MPa以下とする方法としては、例えば、延伸後に80℃以上105℃以下で熱処理を行い、その後105℃よりも高温で熱処理を行う段階熱処理を行う方法が挙げられる。低温/高温の段階熱処理を行うことで、熱結晶化を抑えつつ、非晶部の一部を緩和することができるため、主収縮方向の高温での熱収縮性を高く保ったまま、低温での熱収縮応力を非常に低く抑えることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、高靱性の観点から、主収縮方向と直交する方向の破断伸度が100%以上であることが好ましい。また、主収縮方向の破断伸度を100%以上とすることで、フィルムの靱性が高まり、加工時のフィルム破れを抑制しやすくなるため好ましい。主収縮方向と直交する方向の破断伸度は120%以上であればさらに好ましく、150%以上であれば最も好ましい。本発明のポリエステルフィルムにおいて、主収縮方向と直交する方向の破断伸度を100%以上とする方法としては、主収縮方向と直交する方向の延伸温度を90℃以上とする方法が好ましく用いられる。また、主収縮方向と直交する方向に複数回延伸する場合は、最も延伸温度の高い主収縮方向と直交する方向の延伸工程において延伸温度を90℃以上とすることが好ましい。主収縮方向と直交する方向の延伸温度を90℃以上と高く設定することで、主収縮方向と直交する方向の配向が進行せずに、破断伸度を高めることが可能となる。より好ましくは、主収縮方向と直交する方向の延伸温度は95℃以上である。
本発明のポリエステルフィルムは、さらに靱性を高めるために、主収縮方向の破断伸度が150%以上であり、かつ主収縮方向と直交する方向の破断伸度よりも高いことが好ましい。主収縮方向の破断伸度を150%以上とし、主収縮方向と直交する方向の破断伸度よりも高く制御することで、フィルムの靱性がさらに高まり、加工時のフィルム破れを大幅に低減することができる。本発明のポリエステルフィルムの主収縮方向の破断伸度は、170%以上であればさらに好ましく、200%以上であれば最も好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、二軸延伸によってフィルム表面に微小なキズが着いた場合などの表面平滑化を目的として、少なくとも一方の面にハードコート性、自己修復性、防眩性、反射防止性、低反射性、紫外線遮蔽性、及び帯電防止性からなる群より選択される1種以上の機能を示す表面層を有してもよい。表面層は、フィルム原反収縮による追従性の観点から収縮に追従して変形することができる程度に柔らかい方が好ましい。
次に、本発明のフィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
ポリエステルとして、例えば、ポリエチレンテレフタレートを押出機に供給し溶融押出する。この際、樹脂温度は265℃〜295℃に制御することが好ましい。次いで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧を掛けた電極を使用して静電気で冷却ドラムと樹脂を密着させる静電印加法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点未満にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
本発明のポリエステルフィルムは、主収縮方向の150℃熱収縮率が15%以上かつ、主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率が15%未満であって、90℃主収縮方向熱収縮率が14%以下とするものである。また、主収縮方向の150℃熱収縮率が15%以上かつ主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率が15%未満であって、温度変調DSCより得られるガラス転移温度が100℃以上であることを特徴とするものである。これらを達成するために、前記キャスト法によって得られたシートの延伸方法としては、例えば、フィルム長手方向−幅方向−長手方向に逐次二軸延伸、または、フィルム幅方向−長手方向に逐次二軸延伸した後に、101℃以上160℃以下で熱処理する方法、フィルム幅方向端部を把持して、長手方向と幅方向を延伸し、全延伸工程の最終点から5%の区間の長手方向延伸倍率が、幅方向延伸倍率以上とし、101℃以上160℃以下の熱処理を行う方法、などが好ましく用いられる。
本発明において、特に、主収縮方向の高収縮性を重視する用途に適用する場合、シートの延伸方法としては、長手方向−幅方向−長手方向に逐次二軸延伸した後に、101℃以上160℃以下で熱処理する方法において、最初の長手方向の延伸倍率を、後の長手方向の延伸倍率以下とすることが好ましい。具体的には、最初の長手方向の延伸倍率を、1.01倍以上3倍以下とし、後の長手方向の延伸倍率を1.1倍以上4倍以下とし、かつ、最初の長手方向の延伸倍率を、後の長手方向の延伸倍率以下とすることが好ましい。また、シートの延伸方法を、フィルム幅方向−長手方向に逐次二軸延伸した後に、101℃以上160℃以下で熱処理する方法とすることも好ましい。この場合、幅方向に1.5倍以上6倍以下に延伸し、その後に長手方向に1.1倍以上4倍以下延伸し、長手方向延伸後に、100℃以下の冷却工程、101℃以上160℃以下の熱処理工程を有することが好ましい。さらに、シートの延伸方法を、シートの幅方向端部を把持して、長手方向と幅方向を延伸し、全延伸工程の最終点から5%の区間の長手方向延伸倍率を、幅方向延伸倍率以上とし、トータルの長手方向延伸倍率を、トータルの幅方向延伸倍率よりも低くし、延伸後に101℃以上160℃以下の熱処理を行う方法とすることも好ましい。
一方、本発明において、主収縮方向の高収縮性と、機械強度、ハンドリング性の両立が重要な用途に適用する場合には、延伸方法を長手方向−幅方向−長手方向に逐次二軸延伸した後に、101℃以上160℃以下で熱処理する方法とし、最初の長手方向の延伸倍率を、後の長手方向の延伸倍率より高くすることが好ましい。具体的には、最初の長手方向の延伸倍率を1.11倍以上4倍以下とし、後の長手方向の延伸倍率を1.01倍以上3倍以下とし、かつ、最初の長手方向の延伸倍率を、後の長手方向の延伸倍率より高くすることが好ましい。また、ほかの延伸方法として、フィルムの幅方向端部を把持して、フィルム長手方向と幅方向を延伸し、全延伸工程の最終点から5%の区間の長手方向延伸倍率を幅方向延伸倍率以上とし、トータルの長手方向延伸倍率をトータルの幅方向延伸倍率よりも高くし、延伸後に101℃以上160℃以下の熱処理を行う方法とすることも好ましい。ここで好ましい熱処理温度とは、二軸延伸後に行う熱処理温度の中で、最も高温となる温度を示す。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意の時間とすることができ、好ましくは5秒以上60秒以下、より好ましくは10秒以上40秒以下、最も好ましくは15秒以上30秒以下で行うことができる。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、本発明の目的を阻害しない範囲であれば特に制限はなく、一般的に二軸延伸フィルムとして使用されるような3μm〜300μm程度とすればよい。また、フィルムの厚みは、用途や塗布するインキ、塗剤などに応じて選択することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、裏打ち材等で補強してもよい。裏打ち材としては二軸配向ポリエステルフィルムや二軸配向ポリプロピレンフィルムなどが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは、低温領域では熱収縮率が低く、高温領域において、均一な熱収縮性を示すため、包装用途として好ましく用いられる。印刷層、耐候層、粘着層、接着層、蒸着層等などの各種機能層の塗工、形成工程や乾燥工程においては熱収縮しない耐熱性を有するため、例えば水系溶媒のコーティング剤への対応も可能である。さらに、高温加熱することで、高い熱収縮性を示すため、ボトル等の容器への装着性に優れるので、ラベル用を中心とした各種包装用途に好ましく用いられる。
また、本発明のポリエステルフィルムは、加飾用途にも好ましく用いることが可能である。印刷層、耐候層、粘着層、接着層、蒸着層、耐傷層、耐指紋層等などの各種機能層の塗工、形成工程や乾燥工程においては熱収縮しない耐熱性を有するため、例えば水系溶媒のコーティング剤への対応も可能であり、各種機能層塗工後の乾燥工程での耐熱性に優れ、高温加熱時には高い熱収縮性を示すため、複雑形状の部材への高意匠な加飾への適用が可能である。
また、本発明のポリエステルフィルムは、光学用途にも好ましく用いられる。位相差形成層といった各種機能層の塗工工程や乾燥工程における耐熱性に優れ、高温加熱時の収縮特性を利用して位相差層を形成することが可能である。
(特性の測定方法および効果の評価方法)
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの組成
ポリエステルフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、H−NMRおよび13C−NMRを用いて各モノマー残基成分や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量することができる。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、評価することができる。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時の混合比率から計算により、組成を算出した。
(2)フィルム主収縮方向
フィルムの任意の1方向を0°として、そこから5°間隔にて180°までの方向について150mm(測定方向)×幅10mm(測定方向に直交する方向)のサイズに切り出したサンプルに、100mm(L0)の間隔の両端位置にマーク(標線)を入れ、3gの錘を吊して150℃に加熱した熱風オーブン内に30分間設置し加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離(L1)を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から下記式にて熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%) = 100×(L0−L1)/L0
測定は各方向とも5回ずつ行い、最も熱収縮率の高い方向を主収縮方向とした。
(3)90℃および150℃熱収縮率
フィルムの主収縮方向および主収縮方向と直交する方向について測定を行った。150mm(測定方向)×幅10mm(測定方向に直交する方向)のサイズに切り出したサンプルに、100mm(L0)の間隔の両端位置にマーク(標線)を入れ、3gの錘を吊して測定温度に加熱した熱風オーブン内に30分間設置し加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離(L1)を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から下記式にて熱収縮率を算出した。測定は各方向とも5サンプル実施して平均値で評価を行った。
熱収縮率(%) = 100×(L0−L1)/L0
(4)破断伸度
フィルムの主収縮方向および主収縮方向と直交する方向について測定を行った。引張試験機(オリエンテック社製テンシロンUCT−100)を用いて、幅10mmのサンプルフィルムを測定方向にチャック間長さ50mm(初期試験長)となるようにセットし、温度25℃、湿度65%RHの条件下で、引張速度300mm/分で引張試験を行い、破断したときの伸度を破断伸度とした。各測定はそれぞれ5回ずつ行い、その平均値を用いた。
(5)可動非晶量(分率)
TA Instruments社製温度変調DSCを用いて測定した。試料5mgを窒素雰囲気下、0℃から150℃まで2℃/minの昇温速度、温度変調振幅±1℃、温度変調周期60秒で測定した。ガラス転移温度での比熱差を求め、以下の式より算出した。
可動非晶量(%)=(比熱差)/(ポリエステル完全非晶物の比熱差理論値)×100
ポリエチレンテレフタレート完全非晶物の比熱差理論値=0.4052J/(g℃)
また、本発明ではポリエチレンテレフタレートユニットが89モル%以上であるものについては、ポリエチレンテレフタレートの完全非晶物の比熱差理論値を参照した。また、ポリエチレンテレフタレートユニットが89モル%未満の場合は、該樹脂が非晶状態において下記(6)記載の方法によりガラス転移温度を測定し、その際に得られたガラス転移温度前後での比熱差を該樹脂における完全非晶物の比熱差理論値とした。尚、樹脂を非晶状態とするには、例えば、該樹脂を融点以上に加熱して溶融させた後、3秒以内に20℃以下に急冷することで得るなどの方法が挙げられる。その他、一般的に非晶状態とする手段であれば上記方法に限らず、用いることができる。
(6)温度変調DSCガラス転移温度
TA Instrument社製温度変調DSCを用いて下記条件にて測定を行った。
加熱温度:270〜570K(RCS冷却法)
温度校正:高純度インジウムおよび錫の融点
温度変調振幅:±1K
温度変調周期:60秒
温度ステップ:5K
試料重量:5mg
試料容器:アルミニウム製開放型容器(22mg)
参照容器:アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移点は下記式より算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
(7)フィルム屈折率と面配向係数
ナトリウムD線(波長589nm)を光源とし、マウント液としてヨウ化メチレンを用い、25℃にてアッベ屈折計を用いてフィルム長手方向、幅方向および厚み方向の屈折率(各々、nMD、nTD、nZD)を求めた。求めた屈折率から下記の式により、面配向係数(fn)を算出した。
fn=(nMD+nTD)/2−nZD
(8)包装用途適性
(i)乾燥耐熱性
フィルム表面に、スクリーン印刷を行った。印刷は、ミノグループ(株)製インキU−PET(517)、スクリーンSX270Tを用いて、スキージスピード300mm/sec、スキージ角度45°の条件で行い、次いで90℃条件下の熱風オーブン中で5分間乾燥して、印刷層積層フィルムを得た。得られた印刷層積層フィルムについての外観について、下記の基準で評価を行った。
A:乾燥後もシワの発生は確認されず、良好な外観であった。
B:乾燥後に若干のシワが確認されたが、良好な外観であった。
C:乾燥後にシワが確認されたが、実用上問題ないレベルであった。
D:乾燥後にシワが確認され、実用レベルではなかった。
A、B、Cが合格レベルである。
(ii)熱収縮性
(i)で作成した印刷層積層フィルムについて、フィルム両端部を溶断シールで接着し、円筒状のラベルを作成した。該ラベルを円筒形のアルミボトルの胴部(底面直径150mm)に被せ、150℃雰囲気下のトンネルオーブンに、通過時間3秒で通過させて、ボトルに装着し、収縮外観を下記基準で評価した。
A:シワ、ゆがみ、収縮不足が発生せず、意匠性に優れた外観であった。
B:シワ、ゆがみ、収縮不足の少なくともいずれかが確認できるが、意匠性に優れた外観であった。
C:シワ、ゆがみ、収縮不足の少なくともいずれかが確認できるが実用上問題なかった。
D:シワ、ゆがみ、収縮不足の少なくともいずれかが確認でき、実用レベルではなかった。
A、B、Cが合格レベルである。
(9)加飾用途適性
(i)乾燥耐熱性
フィルム表面に、アプリケーターを用いて、日本ケミカル社製892Lを塗工し、90℃で5分間乾燥を行い、接着層を形成した。接着層積層フィルムについての外観について、下記の基準で評価を行った。
A:乾燥後もシワの発生は確認されず、良好な外観であった。
B:乾燥後に若干のシワが確認されたが、良好な外観であった。
C:乾燥後にシワが確認されたが、実用上問題ないレベルであった。
D:乾燥後にシワが確認され、実用レベルではなかった。
A、B、Cが合格レベルである。
(ii)形状追従性
(i)で作成した接着層積層フィルムについて、接着層積層フィルムを80℃に加熱したマグネシウム筐体(底面200mm×100mm×高さ30mmの直方体)に被せ、150℃雰囲気下のトンネルオーブンに通過時間10秒で通過させて、形状追従させ、収縮外観について下記の基準で評価した。
A:高さ30mmまで追従できた。
B:高さ25mm以上30mm未満まで追従できた。
C:高さ20mm以上25mm未満まで追従できた
D:追従性が低く、高さ20mmまで追従できなかった。
A、B、Cが合格レベルである。
(10)光学用途適性
(i)ハンドリング性
実施例及び比較例で得られた熱収縮性フィルムの端部を切り落としたフィルムロールについて、巻出張力を100N/mとして、巻取張力を100N/m、200N/m、250N/m、300N/mとして搬送し、ハンドリング性について、下記の基準で評価を行った。
A:巻取張力300N/mにて、1000m巻取ができた。
B:巻取張力250N/mでは1000m巻取ができたが、300N/mでは1000m巻取る前にフィルム破断が発生した。
C:巻取張力200N/mでは1000m巻取ができたが、250N/mでは1000m巻取る前にフィルム破断が発生した。
D:巻取張力100N/mでも1000m巻取る前にフィルム破断が発生した
A、B、Cが合格レベルである。
(ii)乾燥耐熱性
フィルム表面にポリカーボネート/トルエン分散体をダイコーターにて塗工・乾燥を行った(乾燥温度:90℃、乾燥時間:1分、巻出張力:200N/m、巻取張力:100N/m)。得られたポリカーボネート積層フィルムの外観について、下記の基準で評価を行った。
A:乾燥後もシワの発生は確認されず、良好な外観であった。
B:乾燥後に若干のシワが確認されたが、良好な外観であった。
C:乾燥後にシワが確認されたが、実用上問題ないレベルであった。
D:乾燥後にシワが確認され、実用レベルではなかった。
A、B、Cが合格レベルである。
(iii)靱性
(ii)で作成したポリカーボネート積層フィルムについて、150℃のオーブン中で主収縮方向に収縮させながら、主収縮方向と直交する方向に微延伸して位相差層を形成した。その際、靱性について、下記の基準で評価を行った。
A:主収縮方向と直交する方向に1.2倍以上延伸できた。
B:主収縮方向と直交する方向に1.1倍以上1.2倍未満延伸できた。
C:主収縮方向と直交する方向に1.05倍以上1.1倍未満延伸できた。
D:主収縮方向と直交する方向に1.05倍延伸ができなかった。
所定の倍率まで延伸してもフィルムが破断しない場合に、延伸できたと評価した。
A、B、Cが合格レベルである。
(iv)熱収縮性
(iii)と同様にして、150℃のオーブン中で主収縮方向に収縮させたフィルムの熱収縮性について、下記の基準で評価した。
A:主収縮方向の熱収縮率が30%以上であり、収縮後のフィルム外観にシワがみられなかった。
B:主収縮方向の熱収縮率が20%以上30%未満収縮であり、収縮後のフィルム外観にシワがみられなかった。
C:主収縮方向の熱収縮率が15%以上20%未満であり、収縮後のフィルム外観にシワがみられなかった。
D:主収縮方向の熱収縮率が15%未満であるか、もしくはフィルム外観にシワがみられた。
A、B、Cが合格レベルである。
(11)80℃における熱収縮応力
温度23℃、相対湿度65%に24時間静置させたフィルムをTMA/SS6000(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、サンプルの初期長20mm、幅2mmとして、23℃から170℃まで昇温速度5℃/分で測定し、得られた熱収縮力曲線より80℃における熱収縮力[N]を読みとり、フィルムの厚みと測定幅より求められる断面積にて割り返して、熱収縮応力[MPa]を算出した。
(ポリエステルの製造)
製膜に供したポリエステル樹脂は以下のように準備した。
(ポリエステルA)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)。
(ポリエステルB)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が90モル%、イソフタル酸成分が10モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.65)。
(ポリエステルC)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が90モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が10モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.65)。
(粒子マスターの製造)
(粒子マスターA)
ポリエステルA中に数平均粒子径0.2μmの凝集シリカを粒子濃度5質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.63)。
(実施例1〜11、比較例1、2)
用いたポリエステルおよび粒子マスターの組成を表1の通りとして、原料を押出機に供給し、押出機シリンダー温度を270℃で溶融し、短管温度を275℃、口金温度を280℃で、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸シートを得た。1縦延伸、1横延伸、熱処理、2縦延伸、2横延伸、熱処理を順に行い、それぞれ表1に示した延伸倍率、延伸温度、熱処理温度としてポリエステルフィルムを得た。なお、延伸倍率1.0倍は延伸を行わずに、表1に記載の温度にて熱処理を行ったことを示す。
得られたフィルムの物性、特性の測定、評価結果を、表2、表3に示す。実施例は全て90℃熱収縮率が15%未満、かつ150℃熱収縮率は25%以上であり、この熱収縮特性が必要な用途への適合性に優れていた。
一方、比較例1は1縦延伸の倍率が3.0倍であったために、1横延伸にて収縮成分が偏向して歪んだため、最終的に取れたフィルム長手方向の150℃熱収縮率が15%未満となった。
また、比較例2はガラス転移温度が90℃未満であったため、90℃における熱収縮率が大きくなってしまった。
実施例は各種機能層塗布後の乾燥適正に優れ、その後、150℃で大きく収縮させるシュリンク性に好適なものであった。
また、実施例11は、加飾用途において求められる実用性は満足し得ないものであったが、80℃における熱収縮応力が1MPa未満であったため、包装用途および光学用途では実用上問題ないレベルであった。
本発明のポリエステルフィルムは、90℃程度では収縮せず、150℃程度では大きく収縮する特殊な熱収縮特性を有する。これにより、90℃程度で収縮変形することなく各種機能層塗布後の乾燥が可能であり、その後、150℃程度で大きく収縮させる必要がある用途での使用が可能となる。

Claims (9)

  1. 主収縮方向の150℃熱収縮率が15%以上かつ主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率が15%未満、主収縮方向の90℃熱収縮率が14%以下であることを特徴とするポリエステルフィルム。
  2. 温度変調DSCより得られるガラス転移温度が90℃以上である請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 温度変調DSCより得られるガラス転移温度が100℃以上である請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  4. 主収縮方向の150℃熱収縮率が15%以上かつ主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率が15%未満であって、温度変調DSCより得られるガラス転移温度が100℃以上であることを特徴とするポリエステルフィルム。
  5. 主収縮方向の90℃熱収縮率が14%以下である、請求項4に記載のポリエステルフィルム。
  6. 主収縮方向の屈折率が1.6以上1.64以下かつ、主収縮方向と直交する方向の屈折率が主収縮方向の屈折率よりも大きく、かつ面配向係数が0.1以上0.14以下である請求項1または4に記載のポリエステルフィルム。
  7. 温度変調DSCより得られる可動非晶量(分率)が25%以上である請求項1または4に記載のポリエステルフィルム。
  8. 破断伸度が主収縮方向、主収縮方向と直交する方向ともに100%以上である請求項1または4に記載のポリエステルフィルム。
  9. 主収縮方向の80℃における熱収縮応力が1MPa以下である請求項1または4に記載のポリエステルフィルム。
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