JP2021130728A - ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】主収縮方向に対して90℃では低熱収縮であり、150℃では高い張力で大きく熱収縮し、主収縮方向と直交する方向のヤング率は低いポリエステルフィルムを提供すること。【解決手段】主収縮方向における150℃熱収縮率が25%以上45%以下、主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率が−6%以上10%以下、主収縮方向における90℃熱収縮率が14%以下、主収縮方向と直交する方向における90℃熱収縮率が5%以下であって、38μm換算における主収縮方向の熱収縮張力ピーク値が0.7N/4mm以上、3.0N/4mm以下である主収縮方向と直交する方向の140℃におけるヤング率が200MPa以下であるポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明はポリエステルフィルムに関するものである。
近年、特殊インキ、塗剤等を印刷、塗布するために原反フィルムには90℃程度の低温では収縮等の変形をしない耐熱性を有し、その後の収縮工程である150℃程度の高温では大きく収縮するといった特徴を持った熱収縮性フィルムが求められるようになってきている。例えば、お茶や清涼飲料水等のボトル容器を中心とした包装用途、フィルムの収縮を利用して複雑形状な部材に高意匠なデザインを付与する加飾用途、光学層を形成する光学用離型フィルムといった用途において、低温での低熱収縮率、高温での高熱収縮率を両立させるニーズが高まっている。熱収縮率フィルムとして、特定方向に収縮させるために特許文献1に記載されているような一軸延伸フィルムおよび横方向に延伸した後に縦方向に逐次二軸延伸することで特定方向にのみ収縮させるフィルムがある(特許文献1)。また、シュリンクラベルは、筒状シュリンクラベルとしてPETボトル等の容器などに装着されて使用された後、ボトルのリサイクルのため消費者の段階でもラベルをボトルから分離しやすいように、筒状シュリンクラベルが切り取りやすいものが好ましい。ラベルを切り取りやすくする方法としては、例えば、引き裂き性の良好な材質のフィルムを用いること、フィルムの厚みを薄くすること、ラベルにミシン目を施すことなどが知られている。(特許文献2)。更に、シュリンク加工時に、より層間剥離が生じにくく、且つ、ラベルの落下耐性及び引き裂き性が優れるシュリンクラベルに関する検討が成されている(特許文献3)。
国際公開第2017/022742号 特開2009−178887号公報 特開2015−179133号公報
特許文献1に挙げた横縦逐次二軸延伸フィルムを上記低温耐熱性かつ高温収縮特性が求められる収縮性フィルムとして用いた場合、150℃においてフィルムは大きく収縮するものの、ヤング率が高すぎてシュリンクラベル等とした後にラベルを分離しにくいといった課題があった。また、特許文献2、3に挙げたフィルムについてはラベル分離等が考慮されているものの、オレフィン層を含む積層構成であるため熱収縮張力が小さく、均一な熱収縮をすることができなかった。
そこで、本発明では上記の問題を解決したポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明では、主収縮方向における150℃熱収縮率が25%以上45%以下、主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率が−6%以上10%以下、主収縮方向における90℃熱収縮率が14%以下、主収縮方向と直交する方向における90℃熱収縮率が5%以下であって、38μm換算における主収縮方向の熱収縮張力ピーク値が0.7N/4mm以上、3.0N/4mm以下、主収縮方向と直交する方向の140℃におけるヤング率が200MPa以下であるポリエステルフィルムを用いる。
本発明のポリエステルフィルムは、主収縮方向における150℃熱収縮率が25%以上45%以下、主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率が−6%以上10%以下、主収縮方向における90℃熱収縮率が14%以下、主収縮方向と直交する方向における90℃熱収縮率が5%以下であって、38μm換算における主収縮方向の熱収縮張力ピーク値が0.7N/4mm以上、3.0N/4mm以下、主収縮方向と直交する方向の140℃におけるヤング率が200MPa以下である特殊な熱特性と機械特性を有する。これにより、印刷や塗布層を設けた状態にて収縮してもフィルムを均一に収縮することができ、主収縮方向と直交する方向の140℃におけるヤング率が200MPa以下を示すため、包装用途、成形加飾用途、光学用途として好ましく用いられる。
以下、本発明のポリエステルフィルムについて詳細に説明する。
本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定方法により求められる主収縮方向における150℃熱収縮率が25%以上45%以下である。主収縮方向の150℃熱収縮率を25%以上45%以下とすることで、包装用途、成形加飾用途、光学用途等に用いた場合、優れた収縮特性を示すことができる。本発明のように主収縮方向の150℃熱収縮率を25%以上とする方法は特に限られるものでは無いが、例えば主収縮方向に延伸を行う方法が挙げられる。例えば、150℃において25%以上収縮させようとするのであれば、少なくとも1.25倍以上に延伸する必要があり、主収縮方向の屈折率を1.57以上1.64以下とする程度配向を付与することが好ましい。ただし、主収縮方向の屈折率が1.64を越えて配向している場合、主収縮方向150℃熱収縮率を25%以上とした上で、主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率を10%以下とすることが困難である場合がある。また、本発明における主収縮方向とは、フィルムのある任意の1方向を0°として、そこから5°間隔にて180°までの方向について150℃熱収縮率を測定し、最も熱収縮率が高い方向のことを指す。
本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定方法により求められる主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率が−6%以上10%以下である。本範囲であることで熱収縮工程におけるシワの発生を抑制することができる。通常、シュリンクフィルムのように二軸延伸したフィルムであれば、長手方向、幅方向、いずれの方向も大きく収縮してしまう。本発明のポリエステルフィルムのように主収縮方向の熱収縮率を25%以上45%以下、かつ主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率が−6%以上10%以下とする方法は特に限られるものでは無いが、ポリエステルフィルムを製造する工程において、少なくとも主収縮方向と直交する方向の延伸倍率を3.0倍以上とした延伸工程(I)の後に、主収縮方向となる方向に延伸倍率が1.1倍を超えて2.2倍以下とした延伸工程(II)を含むことが好ましい。なお、厚みムラなどの均一性を向上させる観点から延伸工程(I)の主収縮方向と直交する方向の延伸の前に、主収縮方向への延伸工程を含んでも良いが、主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率を10%以下にする観点から、当該延伸工程の延伸倍率は1.0倍を超えて2.8倍以下とすることが好ましく、1.6倍以下であることが最も好ましい。また、延伸工程(I)と延伸工程(II)の間に熱処理工程(I)を設けたり、延伸工程(II)の後に熱処理工程(II)を設けることで、熱収縮率、熱収縮張力をさらに制御することができる。
本発明においては、少なくとも延伸工程(I)において主収縮方向と直交する方向の延伸倍率を3.0倍以上とすることで延伸方向に配向、結晶化するように延伸した後に、延伸工程(II)において、延伸方向(I)における当該延伸方向と直交する方向(主収縮方向)に1.0倍を超えて2.2倍以下に延伸することで、フィルムを構成する樹脂の配向結晶化を抑制し、延伸工程(II)の延伸方向(主収縮方向)に大きく熱収縮するフィルムを得ることができる。すなわち、延伸工程(I)の延伸方向に大きく配向、結晶化させた状態で、延伸工程(II)として延伸工程(I)の延伸方向と直交する方向に微延伸させることで収縮成分と考えられる非晶成分を選択的に延伸工程(II)の延伸方向に歪ませることができているものと推定される。このため、主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率が−6%以上10%以下に制御する上で、樹脂組成としては配向結晶化できる程度に結晶性樹脂を用いることが重要である。配向結晶化の程度は、屈折率や面配向係数を指標として把握することができる。本発明において、面配向係数は0.06を超えることが好ましく、非晶成分を結晶化させることなく歪ませる点において面配向係数は0.14以下であることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、主収縮方向の90℃熱収縮率が14%以下である。本発明では各種機能層を印刷および塗布した後の乾燥工程における収縮変形が抑制されることが求められるため、90℃における主収縮方向の収縮率は14%以下である必要がある。主収縮方向の90℃熱収縮率が14%を超えると各種機能層を印刷および塗布した後の乾燥工程にて収縮変形し、平面性が悪化する。一方、主収縮方向の90℃熱収縮率が−2%よりも大きくなる(すなわち−3%、−4%といった熱膨張する)場合には、フィルムの搬送性が悪化し、生産性が悪化する場合があるため、主収縮方向の90℃熱収縮率は−2%よりも大きいことが好ましい。90℃における主収縮方向の熱収縮率を14%以下とするための方法は特に限られるものでは無いが、例えば主収縮方向の屈折率を1.57以上1.64以下とし、かつ面配向係数を0.08以上、0.14以下とする方法が好ましい方法として挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは、主収縮方向と直交する方向における90℃熱収縮率が5%以下である。この範囲であることで例えば包装用途における熱ラミネート時のシワを抑制することができる。好ましくは−2%以上、2%以下である。主収縮方向と直交する方向における90℃熱収縮率は、後述する延伸条件にて制御することが可能である。
本発明のポリエステルフィルムは38μm換算における主収縮方向の熱収縮張力ピーク値が0.7N/4mm以上3.0N/4mm以下である。より好ましくは、1.0N/4mm以上3.0N/4mm以下であり、さらに好ましくは2.0N/4mm以上3.0N/4mm以下である。本範囲であることによって印刷層および塗布層を均一に収縮させることができる。38μm換算における主収縮方向の熱収縮張力ピーク値を本範囲に制御する方法は特に限られるものでは無いが、例えばホモポリエステルを主収縮方向に所定の倍率で延伸することで達成できる。しかしながら、主収縮方向と直交する方向の140℃におけるヤング率を200MPa以下としながら、38μm換算における熱収縮張力ピーク値を0.7N/4mm以上3.0N/4mm以下とするには、以下のような共重合成分を有するポリエステルを用いることがポイントとなる。主収縮方向と直交する方向の140℃におけるヤング率を200MPaとする方法としては、例えばポリエチレンテレフタレートを主成分として、共重合成分をジオール成分またはグリコール成分に対して合計で6モル%以上導入することが従来公知の方法として挙げられるが、かかる方法では共重合成分を導入することによって結晶性が低下することに伴い、フィルム配向は低下してしまうため、従来の方法では熱収縮張力が低下してしまう。このため、本発明においては主収縮方向と直交する方向の140℃におけるヤング率を200MPa以下としながら熱収縮張力ピーク値を0.7N/4mm以上3.0N/4mm以下とするには共重合成分を導入した上で、前述した延伸工程(I)の延伸後に、熱処理工程(I)を実施し、その熱処理工程(I)の熱処理温度HS−1[℃]を、フィルムを構成する樹脂の融点Tm1[℃]よりも80℃以上110℃以下低くなる温度((ΔmS[℃]=Tm1[℃]−HS−1[℃]−)、80≦ΔmS[℃]≦110)で実施することが重要である。例えば、ポリエチレンテレフタレートの場合、HS−1[℃]は、140℃以上170℃以下であることが好ましい。次いで、延伸工程(II)において主収縮方向に延伸を実施することで、主収縮方向と直交する方向の140℃におけるヤング率を200MPa以下としながら主収縮方向の熱収縮張力ピーク値を0.7N/4mm以上3.0N/4mm以下とすることができるものである。なお、ホモポリマーなど結晶性の高い樹脂を用い、ΔmSが80℃以上110℃以下となるようにHS−1を設定して製膜するとフィルムの結晶化が進行し、フィルム破れが発生する場合がある。このため樹脂の結晶性は共重合成分などの導入により低下させることが重要となる。なお、フィルムを構成するポリエステル樹脂が2以上の融点を持つ場合は、最も低い融点をTm1とする。
本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定方法により求められる熱収縮張力立ち上がり開始温度が70℃以上であることが好ましい。印刷や塗布層の乾燥工程にて原反の収縮に起因したシワを抑制し、平面性の悪化を抑制することができる。熱収縮張力立ち上がり開始温度を70℃以上とするためには、75℃以上のガラス転移温度である樹脂を用いた上で、ΔmSを80℃以上110℃以上とする方法が好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、主収縮方向と直交する方向の140℃におけるヤング率が200MPa以下である。本発明のポリエステルフィルムを、印刷やコーティングにより塗布層を設けた後に打ち抜き加工を行う用途に用いる際には、主収縮方向と直交する方向の140℃におけるヤング率が本範囲であることによって各種二次加工が可能となる。140℃におけるヤング率を200MPa以下とするための方法は特に限られるものでは無いが、フィルムを構成するポリエステル樹脂に共重合成分を導入するか、エラストマー等の柔軟樹脂成分を混合することが好ましい方法として挙げられる。
本発明に用いるポリエステルを与えるグリコールあるいはその誘導体としては、エチレングリコールが80モル%以上であることが好ましいが、その他の成分として、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−グルシトール(一般名:イソソルビド)、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、それらの誘導体が挙げられる。
また、本発明に用いるポリエステルを与えるジカルボン酸あるいはその誘導体としては、テレフタル酸が80モル%以上であることが好ましいが、その他の成分として、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、並びに、それらの誘導体を挙げることができる。ジカルボン酸の誘導体としては、例えばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどのエステル化物を挙げることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、MOR値(透過マイクロ波透過型分子配向計で計測された透過マイクロ波強度の最大値と最小値の比)が1.55以上1.90以下であることが好ましい。MOR値を本範囲とすることで、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率を抑制し、主収縮方向に偏向した熱収縮特性とすることができ、シュリンクラベル等の包装用途に好適に用いることができる。MOR値を本範囲とする方法は特に限られるものではないが、フィルム主収縮方向の屈折率と、主収縮方向と直交する方向の屈折率を引いた値の絶対値である複屈折を0.05以上とした上で、ΔmSを80℃以上90℃以下とすることが好ましい制御方法として挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも樹脂Aを主成分とする樹脂層A、樹脂Bを主成分とする樹脂層Bで構成される2層以上の積層フィルムであることが好ましい。本発明において、熱収縮張力を高めるためにΔmSを80℃以上110℃以下にする製膜方法が好ましいが、この際のフィルムは非常に脆く、フィルム破れが頻発し、製膜安定性が悪い。しかしながら、保護層として樹脂層Bを設けると、フィルム破れを抑制し製膜安定性が向上するため好ましい。なお、積層構成はA/Bの2層、A/B/Aの3層、A/B/A/B/Aの5層の他、5層を超える多層積層構成であっても良い。また、本発明の効果を阻害しない範囲においては樹脂層Cをさらに設けたA/B/C積層構成であっても良い。
本発明のポリエステルフィルムは、樹脂層A、樹脂層Bの積層フィルム構成とした際、樹脂Aの融解吸熱ピーク温度TmAが樹脂Bの融解吸熱ピーク温度TmBよりも10℃以上低温であることが好ましい。本発明において、熱収縮張力を本発明の範囲とするために、フィルムを構成する樹脂の融点のうち最も低い方の融点Tm1[℃](樹脂A、樹脂Bからなるポリエステルフィルムにおいて、樹脂Bよりも樹脂Aの融点Tmが低い場合は、Tm1[℃]=TmA[℃]となる)から熱処理工程(I)の設定温度であるHS−1[℃]を引いた値ΔmSを80℃以上110℃以下とすることが好ましく、延伸工程(I)の延伸で付与された配向を緩和することが主な目的である。すなわち、熱処理工程(I)にて樹脂層Aのみをできるだけ配向緩和させたいが、樹脂Aの融点TmAに近い条件にHS−1を設定すると製膜安定性が低くなってしまう。このため、樹脂Aよりも融点の高い樹脂Bを設けることで製膜安定性が向上する。製膜安定性の観点より、樹脂Aの融解吸熱ピーク温度TmAが樹脂Bの融解吸熱ピーク温度TmBよりも15℃以上低い方が好ましく、20℃以上であるとより好ましい。
本発明においては、主収縮方向と直交する方向の140℃におけるヤング率を200MPa以下にする観点から、前記樹脂Aの結晶融解エネルギーΔHmAは25J/g以下であることが好ましく、熱処理工程(I)でのフィルム破れを抑制する観点から、結晶融解エネルギーΔHmAは10J/g以上であることが好ましい。ΔHmAを10J/g以上25J/g以下に制御する方法は特に限られるものでは無いが、例えば、ポリエステル樹脂に対し、共重合成分を導入するのが好ましい方法として挙げられる。熱処理工程(I)におけるフィルム破れ抑制と主収縮方向と直交する方向のヤング率を200MPa以下であることを両立する観点から、樹脂層Aを構成するポリエステル樹脂(樹脂A)のジカルボン酸成分、ジオール成分として、テレフタル酸、エチレングリコールをそれぞれ80モル%以上用いた上で、共重合成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−グルシトール(一般名:イソソルビド)を用いることが好ましい方法として挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは、二軸延伸によってフィルム表面に微小なキズが着いた場合などの表面平滑化を目的として、少なくとも一方の面にハードコート性、自己修復性、防眩性、反射防止性、低反射性、紫外線遮蔽性、及び帯電防止性からなる群より選択される1種以上の機能を示す表面層を有してもよい。フィルム原反収縮による追従性の観点から柔らかい方が好ましい。
次に、本発明のポリエステルフィルムは熱収縮特性の観点から二軸配向していることが好ましい。かかる二軸配向ポリエステルフィルムを得るための好ましい製造方法について、逐次二軸延伸方法を例に挙げて以下に説明する。本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
本発明ポリエステルフィルムの製造方法としては、少なくとも溶融押出工程、キャスティング工程によるシート化の後、延伸工程(I)、熱処理工程(I)、延伸工程(II)、熱処理工程(II)の順に工程を経るフィルムの製造方法が好ましい方法として挙げられる。延伸工程(I)において逐次二軸延伸してもよく、フィルム製膜方向(フィルム流れ方向:MD方向(縦方向))の延伸倍率は1.1倍以上2.2倍以下、フィルム製膜方向と直交する方向(フィルム幅方向:TD方向(横方向))の延伸倍率が3.0倍以上6.0倍以下であることが好ましい。延伸工程(I)において、フィルム製膜方向(フィルム流れ方向:MD方向(縦方向))の延伸倍率は、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率を抑制する観点から2.0倍以下とすることが好ましく、1.5倍以下であることが最も好ましい。また、主収縮方向の熱収縮率を25%以上とする観点から、延伸工程(I)、(II)のフィルム製膜方向積算延伸倍率は2.0倍以下であって、かつ延伸工程(II)のフィルム製膜方向の延伸倍率が延伸工程(I)のフィルム製膜方向の延伸倍率よりも高倍率であることが好ましい。また、熱処理工程(I)の温度(HS−1)は、熱収縮張力ピーク値を0.7N/4mm以上3.0N/4mm以下に制御する観点からフィルムを構成する樹脂の融点Tm1に対して−80℃以上−110℃以下であることが好ましい。また、延伸工程(II)の後に、熱処理工程(II)を有するフィルムの製造方法であって、熱処理温度(HS−2)が樹脂のガラス転移温度以上、ガラス転移温度+40℃以下であることが好ましい。なお、ガラス転移温度が複数存在する場合においてはガラス転移温度が高温である方の温度を基準とする。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、目的が果たせるのであれば特に制限はなく、一般的に二軸延伸フィルムとして使用されるような3μm〜300μm程度とすればよい。必要に応じて厚みを変動させればよい。
本発明のポリエステルフィルムは、さらに裏打ち材等で補強してもよい。裏打ち材としては二軸配向ポリエステルフィルムや二軸配向ポリプロピレンなどが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは、低温領域では熱収縮率が低く、高温領域において、均一な熱収縮性を示すため、包装用途として好ましく用いられる。印刷層、耐候層、粘着層、接着層、蒸着層等などの各種機能層塗工後の乾燥工程においては熱収縮しない耐熱性を有するため、水系溶媒のコーティング剤への対応も可能である。さらに、高温加熱することで、高い熱収縮性を示すため、ボトル等の容器への装着性に優れ、かつ主収縮方法と直交する方向のヤング率が200MPa以下であるためラベルの除去も容易に行うことが可能であり、ラベル用を中心とした各種包装用途に好ましく用いられる。
また、本発明のポリエステルフィルムは、加飾用途にも好ましく用いることが可能である。印刷層、耐候層、粘着層、接着層、蒸着層、耐傷層、耐指紋層等などの各種機能層塗工後の乾燥工程においては熱収縮しない耐熱性を有するため、水系溶媒のコーティング剤への対応も可能なため、各種機能層塗工後の乾燥工程での耐熱性に優れ、高温加熱時には高い熱収縮性を示すため、複雑形状の部材への高意匠な加飾への適用が可能である。
(特性の測定方法および効果の評価方法)
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの組成
ポリエステルフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、H−NMRおよび13C−NMRを用いて各モノマー残基成分や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量することができる。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、評価することができる。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時の混合比率から計算により、組成を算出した。
(2)フィルム厚み、各層厚み
フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、フィルム断面をミクロトームで切り出した。該断面を透過型電子顕微鏡(日立製作所製TEM H7100)で5000倍の倍率で観察し、フィルム厚みおよび積層構成である場合は各層の厚みを求めた。
(3)フィルム主収縮方向
フィルムの任意の1方向を0°として、そこから5°間隔にて180°までの方向について150mm×幅10mmのサイズに切り出したサンプルに、100mm(L0)の間隔の両端位置にマークを入れ、3gの錘を吊して150℃に加熱した熱風オーブン内に30分間設置し加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離(L1)を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から下記式にて熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%) = 100×(L0−L1)/L0
測定は各方向とも5回ずつ行い、最も熱収縮率の高い方向を主収縮方向とした。
(4)90℃熱収縮率および150℃熱収縮率
フィルムを主収縮方向および主収縮方向と直交する方向が長さ方向になるように、長さ150mm×幅10mmのサイズに切り出したサンプルに、100mm(L0)の間隔の両端位置にマークを入れ、3gの錘を吊して測定温度に加熱した熱風オーブン内に30分間設置し所定の温度にて加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離(L1)を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から下記式にて熱収縮率を算出した。測定は各方向とも5サンプル実施して平均値で評価を行った。
熱収縮率(%) = 100×(L0−L1)/L0
(5)熱収縮張力ピーク値、熱収縮張力立ち上がり温度
温度23℃、相対湿度65%に24時間静置させたフィルムをTMA/SS6000(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、サンプルの初期長20mm、幅4mmとして、23℃から170℃まで昇温速度5℃/分で測定し、得られた熱収縮力曲線より熱収縮力ピーク値[mN]を読みとった。なお、フィルム厚みが38μm以外のフィルムに関しては、読み取ったピーク値に測定サンプルのフィルム厚み[μm]で除した値に38を掛けた値を38μm換算における主収縮方向の熱収縮張力ピーク値とした。熱収縮張力の立ち上がり温度は、測定結果荷重から初期荷重を引いた値が10mNを初めて超えた時の温度とした。
(6)ガラス転移温度、融解吸熱ピーク温度(融点)Tm、結晶融解エネルギーΔHm
JIS7122(1987)に準拠し、示差走査熱量計(セイコーインスツル製EXSTAR DSC6220)を用いて、窒素雰囲気中で3mgの樹脂を30℃から300℃まで20℃/minの条件で昇温する。次いで、300℃で5分保持した後、40℃/minの条件で30℃まで降温する。さらに、30℃で5分保持した後、30℃から300℃まで20℃/minの条件で昇温する。この昇温時に得られるガラス転移温度を下記式(i)により算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2・・・(i)
ここで補外ガラス転移開始温度は、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度とする。補外ガラス転移終了温度は、高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度とする。また、融解吸熱ピークのピークトップ温度を融解吸熱ピーク温度(融点)とした。また、結晶融解エネルギーΔHmは、データ解析としてディスクセッション”SSC/5200”を用い、得られた示差走査熱量測定チャート(吸発熱曲線)のDSC曲線から得られる吸熱ピークのうち面積が最大となるピークの面積からJIS7122(1987)に準拠し算出した。
(7)140℃におけるヤング率
フィルムを(3)の測定において最も熱収縮率の高かった方向に直交する方向が長さ方向になるように、長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分としてフィルムの(3)の測定において最も熱収縮率の高かった方向に直交する方向に引張試験を行った。測定は予め140℃に設定した恒温層中にフィルムサンプルをセットし、90秒間の予熱の後で引張試験を行い、ヤング率を測定した。測定は5回ずつ行い、その平均値を用いた。
(8)屈折率、Δn複屈折、面配向係数fn
ナトリウムD線(波長589nm)を光源とし、マウント液としてヨウ化メチレンを用い、25℃にてアッベ屈折計を用いて、(3)で定めたフィルム主収縮方向、主収縮と直交する方向および厚み方向の屈折率(各々、nMD、nTD、nZD)を求めた。求めた屈折率から下記の式により、複屈折、面配向係数(fn)を算出した。
複屈折=┃nMD−nTD┃
面配向係数fn=(nMD+nTD)/2−nZD
(9)MOR値
サンプルを10cm×10cmで切り出し、KSシステムズ(株)製(現王子計測機器(株))の透過マイクロ波透過型分子配向計MOA−2001を用いて、透過マイクロ波強度の最大値と最小値を求め、最大値と最小値の比(最大値/最小値)としてMOR値を求めた。
(10)包装用途適性
(I)乾燥耐熱性
フィルム表面に、スクリーン印刷を行った。印刷は、ミノグループ(株)製インキU−PET(517)、スクリーンSX270Tを用いて、スキージスピード300mm/sec、スキージ角度45°の条件で行い、次いで90℃条件下の熱風オーブン中で5分間乾燥して、印刷層積層フィルムを得た。得られた印刷層積層フィルムについての外観について、下記の基準で評価を行った。
A:乾燥後もシワの発生は確認されず、良好な外観であった。
B:乾燥後に若干のシワが確認されたが、良好な外観であった。
C:乾燥後にシワが確認されたが、実用上問題ないレベルであった。
D:乾燥後にシワが確認され、実用レベルではなかった。
A、B、Cが合格レベルである。
(II)熱収縮性
(I)で作成した印刷層積層フィルムについて、フィルム両端部を溶断シールで接着し、円筒状のラベルを作成した。該ラベルをペットボトルに被せ、150℃雰囲気下のトンネルオーブンに、通過時間3秒で通過させて、ボトルに装着し、収縮外観を下記基準で評価した。
A:シワ、ゆがみ、収縮不足が発生せず、意匠性に優れた外観であった。
B:シワ、ゆがみ、収縮不足の少なくともいずれかが確認できるが、意匠性に優れた外観であった。
C:シワ、ゆがみ、収縮不足の少なくともいずれかが確認できるが実用上問題なかった。
D:シワ、ゆがみ、収縮不足の少なくともいずれかが確認でき、実用レベルではなかった。
A、B、Cが合格レベルである。
(III)ラベル除去性
(II)で作成したボトルに装着した印刷積層フィルムについて、株式会社山本製作所製ペットボトルラベル分離機“PLS−2000”を用い、100本のボトルとラベルを分離し、除却作業完了後にボトル側に残ったラベル量をLx、除却前のラベル量Lとした際、以下の式より算出された値を残存率として、下記基準で判定を行った。
Lx/L×100=残存率(%)
A:残存率が10%未満であった。
B:残存率が10%以上であった。
Aが合格レベルである。
(11)均一収縮性
A4サイズにカットしたフィルムについて、150℃のオーブン中でフィルムを収縮させた後にフィルム面内任意の9箇所について配向角を測定し、下記の基準で判定を行った。
A:配向角のバラツキが±1°であった。
B:配向角のバラツキが±2°であった。
C:配向角のバラツキが±3°であった。
D:配向角のバラツキが±5°であった。
A、B、Cが合格レベルである。
なお、配向角は以下の手順にて測定を行う。
王子計測機器株式会社の自動複屈折装置KOBRA−21ADHを利用した。サンプルを長手方向4cm×幅方向5cmに切り出し、各々高位相差測定モードで波長590nmでのフィルム面内での屈折率最大方位を測定し、配向方向とした。長手方向もしくは幅方向に強く延伸したフィルムにおいては、強く延伸した(より倍率の高い)方向を0°とし、強く延伸した軸方向からの配向方向のなす角を配向角と定義した。
(ポリエステルの製造)
製膜に供したポリエステル樹脂は以下のように準備した。
(ポリエステルA)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)。
(ポリエステルB)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が94モル%、イソフタル酸成分が6モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.75)。
(ポリエステルC)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が92モル%、イソフタル酸成分が8モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.75)。
(ポリエステルD)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が88モル%、イソフタル酸成分が12モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.75)。
(ポリエステルE)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が86モル%、イソフタル酸成分が14モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.75)。
(ポリエステルF)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が82モル%、イソフタル酸成分が18モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.75)。
(ポリエステルG)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が91モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分が9モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.75)。
(ポリエステルH)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が88モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分が12モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.75)。
(ポリエステルI)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が88モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が12モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.75)。
(ポリエステルJ)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が85モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が15モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.75)。
(ポリエステルK)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が82モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が18モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.75)。
(ポリエステルL)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が92モル%、スピログリコール成分が8モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.75)。
(ポリエステルM)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が88モル%、スピログリコール成分が12モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.75)。
(ポリエステルN)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が84モル%、スピログリコール成分が16モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.75)。
(ポリエステルO)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が88モル%、ネオペンチルグリコール成分が12モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.75)。
(ポリエステルP)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が82モル%、ネオペンチルグリコール成分が18モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.75)。
(ポリエステルQ)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が42モル%、イソソルビド成分が15モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールが43モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.75)。
(粒子マスターの製造)
(粒子マスターA)
ポリエステルA中に数平均粒子径1.2μmの凝集シリカを粒子濃度5質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.63)。
(実施例1〜52、比較例1〜4)
用いたポリエステルおよび粒子マスター樹脂の組成を表の通りとして、原料を酸素濃度0.2体積%としたベント同方向二軸押出機に供給し、押出機シリンダー温度を270℃で溶融し、短管温度を275℃、口金温度を280℃で、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸シートを得た。1縦延伸、1横延伸、熱処理、2縦延伸、2横延伸、熱処理を順に行い、それぞれ表に示した延伸倍率、延伸温度、熱処理温度としてポリエステルフィルムを得た。
実施例は全て主収縮方向における150℃熱収縮率が25%以上45%以下、主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率が−6%以上10%以下、主収縮方向における90℃熱収縮率が14%以下、主収縮方向と直交する方向における90℃熱収縮率が5%以下であって、38μm換算におけるMD方向の熱収縮張力ピーク値が0.7N/4mm以上、3.0N/4mm以下、主収縮方向と直交する方向の140℃におけるヤング率が200MPa以下、であり、各種機能層塗布後の乾燥適正に優れ、その後、150℃で大きく収縮させるシュリンク性、二次加工性に好適なものであった。
一方、比較例1は1縦延伸の倍率が3.3倍であったために、1横延伸にて収縮成分が偏向して歪んだため、最終的に取れたフィルム長手方向の150℃熱収縮率が15%未満となった。
また、比較例2はΔmSが110℃を超えていたため、熱収縮張力ピーク値が本願範囲外となった。
比較例3は結晶融解エネルギーが25J/gを超えていたためTM1−HS−1が80℃〜110℃以下の範囲内ではあったものの結晶化によってフィルムを得ることができなかった。
比較例4はホモポリエステルを使用したため主収縮方向と直交する方向のヤング率が200MPa超えてしまい、ラベルの除去性に劣った。
Figure 2021130728
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Figure 2021130728
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本発明のポリエステルフィルムは、90℃程度の低温では収縮を抑制し、150℃程度の高温では高い収縮応力にて大きく収縮する特殊な熱収縮特性を有する上に、主収縮方向と直交する方向のヤング率が低いという特徴を併せ持つ。これにより、90℃程度で収縮変形することを抑制しつつ各種機能層塗布後の乾燥が可能であり、その後、150℃程度大きく収縮させた後に二次加工を要する包装用途、各種離型用途、工程フィルムなどでの使用が可能となる。

Claims (5)

  1. 主収縮方向における150℃熱収縮率が25%以上45%以下、主収縮方向と直交する方向の150℃熱収縮率が−6%以上10%以下、主収縮方向における90℃熱収縮率が14%以下、主収縮方向と直交する方向における90℃熱収縮率が5%以下であって、38μm換算における主収縮方向の熱収縮張力ピーク値が0.7N/4mm以上3.0N/4mm以下、主収縮方向と直交する方向の140℃におけるヤング率が200MPa以下であるポリエステルフィルム。
  2. MOR値(透過マイクロ波透過型分子配向計で計測された透過マイクロ波強度の最大値と最小値の比)が1.55以上1.90以下である請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 熱収縮張力立ち上がり開始温度が70℃以上である請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 少なくとも樹脂Aを主成分とする樹脂層A、樹脂Bを主成分とする樹脂層Bを有する2層以上の積層フィルムであって、前記樹脂Aの融解吸熱ピーク温度TmAが前記樹脂Bの融解吸熱ピーク温度TmBよりも10℃以上低温である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. 前記樹脂Aの結晶融解エネルギーΔHmAが10J/g以上25J/g以下である請求項4に記載のポリエステルフィルム。
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